発明の要旨
本発明に記載されるのは、例えば、癌、炎症性障害(例えば、感染性疾患によって生じる炎症性障害を含む、例えば、炎症性障害)または自己免疫障害、心血管系疾患または他の障害(例えば、感染性疾患)の治療における、例えば、治療用のペプチドまたはタンパク質の送達において用いられ得る粒子である。この粒子は一般に、疎水性−親水性ポリマー(例えば、ジブロックまたはトリブロックのコポリマー)および治療用のペプチドまたはタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、この粒子はまた、疎水性ポリマーまたは界面活性剤を含む。一般にはこの治療用ペプチドは、ポリマー、例えば、親水性−疎水性ポリマー、または存在する場合、疎水性ポリマーに対して結合される。この治療用のペプチドまたはタンパク質が荷電されている実施形態では、この粒子はまた、この治療用ペプチドに対する対イオンを含んでもよい。また本明細書には、複合体、例えば、治療用のペプチドまたはタンパク質−ポリマー複合体、この粒子または複合体を含む混合物、組成物および剤形、この粒子を用いる方法(例えば、障害を治療するため)、この治療用のペプチドまたはタンパク質−ポリマーの複合体および粒子を備えるキット、この治療用のペプチドまたはタンパク質−ポリマーの複合体および粒子を作製する方法、この粒子を保管する方法、ならびにこの粒子を分析する方法も記載される。
一態様では、本開示は、粒子であって:
a)複数の疎水性ポリマーと;
b)複数の親水性−疎水性ポリマーと;
c)複数の治療用のペプチドまたはタンパク質であって、この複数の治療用のペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部が、a)の疎水性ポリマーまたは親水性−疎水性ポリマーb)のいずれかに共有結合されている、治療用のペプチドまたはタンパク質と、
を含む粒子を特徴とする。
いくつかの実施形態では、この粒子はまた、疎水性部分、例えば、キトサン、ポリ(ビニルアルコール)、またはポロキサマーを含む。
いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、c)の治療用のペプチドまたはタンパク質に対して共有結合されない。いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、c)の治療用のペプチドまたはタンパク質に共有結合され、例えば、a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部が、c)の単一の治療用のペプチドまたはタンパク質に共有結合されるか、またはa)の疎水性ポリマーの少なくとも一部が、c)の複数の治療用のペプチドまたはタンパク質に対して共有結合される。
いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、c)の治療用のペプチドまたはタンパク質に対して直接共有結合される(例えば、疎水性ポリマーのカルボキシ末端またはヒドロキシ末端で)。いくつかの実施形態では、c)の治療用のペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部は、疎水性ポリマーに対してリンカーを介して共有結合される。例示的なリンカーとしては、「クリックケミストリー」を用いて形成される部分を含むリンカー(例えば、WO2006/115547に記載されるような)、ならびにアミド、エステル、ジスルフィド、スルフィド、ケタール、コハク酸塩、オキシム、カルバメート、カーボネート、シリルエーテル、またはトリアゾールを含むリンカー(例えば、アミド、エステル、ジスルフィド、スルフィド、ケタール、スクシナート、またはトリアゾール)が挙げられる。いくつかの実施形態では、このリンカーは、生理学的条件下で切断可能な結合のような官能基を含む。いくつかの実施形態では、このリンカーは、複数の官能基、例えば、生理学的条件下で切断可能な結合を含む。いくつかの実施形態では、このリンカーとしては、官能基、例えば、リンカーの末端でこのリンカーを通じて連結される第一または第二の部分のいずれに対しても直接結合されないが、リンカーに対して内部である、本明細書に記載の結合または官能基が挙げられる。いくつかの実施形態では、このリンカーは、生理学的条件下で加水分解性であるか、このリンカーは、生理学的条件下で酵素的に切断可能であるか、またはこのリンカーは、生理学的条件下で還元され得るジフルフィドを含む。いくつかの実施形態では、このリンカーは、生理学的条件下では切断されず、例えば、このリンカーは、治療用のペプチドまたはタンパク質が活性であるために切断される必要のない十分な長さであり、例えば、このリンカーの長さは、少なくとも約20Å(例えば、少なくとも約24Å)である。
いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、c)の治療用のペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部に対して、この治療用のペプチドまたはタンパク質のアミノ末端を通じて共有結合され;a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、c)の治療用のペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部に対して、この治療用のペプチドまたはタンパク質のカルボキシ末端を通じて共有結合され、および/またはa)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、c)の治療用のペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部に対して、この治療用のペプチドまたはタンパク質のアミノ酸側鎖を通じて共有結合される。
いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、疎水性ポリマーまたは粒子のpHを抑制し得る部分とカップリングされる。例示的なpH抑制部分としては、弱い塩基性塩、例えば、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、および炭酸亜鉛、ならびにプロトンスポンジ(例えば、1つ以上のアミン基を含む)例えば、ポリアミンが挙げられる。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部は、c)の治療用のペプチドまたはタンパク質に対して共有結合される。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部は、c)の単一の治療用のペプチドまたはタンパク質に対して共有結合される。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部は、c)の複数の治療用のペプチドまたはタンパク質に対して共有結合される。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部は、c)の治療用のペプチドまたはタンパク質に対して直接共有結合される。いくつかの実施形態では、c)の治療用のペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部は、b)の親水性−疎水性ポリマーに対して、リンカーを介して共有結合される。例示的なリンカーとしては、「クリックケミストリー」を用いて形成される部分を含むリンカー(例えば、WO2006/115547に記載されるような)、ならびにアミド、エステル、ジスルフィド、スルフィド、ケタール、スクシナート、オキシム、カルバメート、カーボネート、シリルエーテル、またはトリアゾールを含むリンカー(例えば、アミド、エステル、ジスルフィド、スルフィド、ケタール、スクシナート、またはトリアゾール)を含むリンカーが挙げられる。いくつかの実施形態では、このリンカーは、生理学的条件下で切断可能な結合のような官能基を含む。いくつかの実施形態では、このリンカーは、複数の官能基例えば、生理学的条件下で切断可能な結合を含む。いくつかの実施形態では、このリンカーとしては、官能基、例えば、リンカーの末端でこのリンカーを通じて連結される第一または第二の部分のいずれに対しても直接結合されないが、リンカーに対して内部である、本明細書に記載の結合または官能基が挙げられる。いくつかの実施形態では、このリンカーは、生理学的条件下で加水分解性であるか、このリンカーは、生理学的条件下で酵素的に切断可能であるか、またはこのリンカーは、生理学的条件下で還元され得るジフルフィドを含む。いくつかの実施形態では、このリンカーは、生理学的条件下では切断されず、例えば、このリンカーは、治療用のペプチドまたはタンパク質が活性であるために切断される必要のない十分な長さであり、例えば、このリンカーの長さは、少なくとも約20Å(例えば、少なくとも約24Å)である。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部は、c)の治療用のペプチドまたはタンパク質に対して疎水性ポリマーのカルボキシ末端またはヒドロキシ末端で共有結合される。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部は、c)の治療用のペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部に対して、この治療用のペプチドまたはタンパク質のアミノ末端を通じて共有結合される。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部は、c)の治療用のペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部に対して、この治療用のペプチドまたはタンパク質のカルボキシ末端を通じて共有結合される。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部は、c)の治療用のペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部に対してこの治療用のペプチドまたはタンパク質のアミノ酸側鎖を通じて共有結合される。
いくつかの実施形態では、この粒子はさらに、複数の追加の治療用のペプチドまたはタンパク質を含み、ここでこの追加の治療用のペプチドまたはタンパク質は、c)の治療用のペプチドまたはタンパク質とは異なり、例えば、この複数の追加の治療用のペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部は、a)の疎水性ポリマーおよび/またはb)の親水性−疎水性ポリマーのいずれかの少なくとも一部に対して結合される。
いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、乳酸およびグリコール酸のコポリマー(すなわち、PLGA)である。例えば、いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーの一部は、約15:85または25:75〜約75:25または85:15という乳酸対グリコール酸の比、例えば、約50:50という乳酸対グリコール酸の比を有するPLGAである。
いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーは、約6〜約12kDa、例えば約8〜約10kDaという重量平均分子量を有する。他の実施形態では、a)の疎水性ポリマーは、約4〜約8kDaという重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーは、約10〜約100kDaという重量平均分子量を有する。
いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーは、この粒子の約35〜約80重量%を成す。
いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、治療用のペプチドまたはタンパク質に対して共有結合され、かつa)の疎水性ポリマーの一部は、複数の治療用のペプチドまたはタンパク質に結合される。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーは、ブロックコポリマーである。例示的なブロックコポリマーとしては、中性の親水性ブロック(例えば、循環を向上し得る)、およびpH応答性のブロック(例えば、エンドソーム脱出を促進し得る)が挙げられる。例示的なpH応答性のブロックとしては、シスアセトニチル、ヒドラゾン、またはアセタールリンカーを有するブロックが挙げられ、これは、例えば、pH4〜6.5で加水分解され得る。いくつかの実施形態では、このポリマーは、可逆性のペプチド複合体化部位を含み、例えば、これは、サイトゾルに到達したとき、担体からペプチドを遊離する手段をもたらし得る(例えば、チオール)。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーは、ジブロックコポリマー(例えば、PEG−PLGA)である。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーは、トリブロック−コポリマー(例えば、PEG−PLGA−PEG)である。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部の疎水性部分は、ヒドロキシル末端を有する。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部の疎水性部分は、ヒドロキシル末端を有し、かつこのヒドロキシル末端はキャップされている(例えば、アシル部分でキャップされている)。例えば、いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部の疎水性部分は、ヒドロキシル末端を有し、このヒドロキシル末端はアシル部分でキャップされている。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの疎水性部分は、乳酸およびグリコール酸のコポリマー(すなわち、PLGA)を含む。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの疎水性部分は、約15:85または25:75〜約75:25または85:15という乳酸対グリコール酸の比、例えば、約50:50という乳酸対グリコール酸の比を有するPLGAを含む。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの親水性部分は、約1〜約6kDa(例えば、約2〜約6kDa)という重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの疎水性部分は、約8〜約13kDaという重量平均分子量を有する。
いくつかの実施形態では、b)の複数の親水性−疎水性ポリマーは、このような粒子の約5〜約25重量%(例えば、約10〜約25重量%)である。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの親水性部分は、PEGを含む。
いくつかの実施形態では、このような親水性−疎水性ポリマーの親水性部分は、メトキシで終わる。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部は、治療用のペプチドまたはタンパク質に共有結合され、かつb)の親水性−疎水性ポリマーの一部は、複数の治療用のペプチドまたはタンパク質に結合される。
いくつかの実施形態では、この治療用ペプチドは、本明細書に記載される治療用ペプチドである。いくつかの実施形態では、この治療用ペプチドは、約2〜約50個のアミノ酸残基、例えば、約2〜約40個のアミノ酸残基または約2〜約30個のアミノ酸残基を含む。
いくつかの実施形態では、このタンパク質は、本明細書に記載されるタンパク質である。
いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部は、は、化学的に修飾される。
いくつかの実施形態では、この複数の治療用ペプチドは、このような粒子の約1〜約90重量%(例えば、約50%〜約90%、約70%〜約90%、約10%〜50%、約10%〜約30%)である。
いくつかの実施形態では、この粒子はさらに、界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、この界面活性剤はポリマーであり、例えば、この界面活性剤はPVAである。いくつかの実施形態では、このPVAは、約23〜約26kDaという重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、この界面活性剤は、このような粒子の約15〜約35重量%である。
いくつかの実施形態では、この粒子はさらに、対イオンを含む。例えば、この治療用ペプチドが荷電されたペプチドである実施形態では、この粒子は、対イオンを含み得、ここでこの対イオンは、この治療用ペプチド上の電荷のものと反対の電荷を有する。いくつかの実施形態では、粒子中のこの治療用ペプチドの電荷、対この対イオンの電荷の比は、約1:1.5〜約1.5:1(例えば、約1.25:1〜約1:1.25、または約1:1)である。
いくつかの実施形態では、この対イオンは、界面活性剤として機能し得る(例えば、単一部分が、対イオンとしておよび界面活性剤として両方機能し得る)。
いくつかの実施形態では、この粒子の直径は、約200nm未満(例えば、約150nm未満)である。
いくつかの実施形態では、この粒子の表面は、実質的にPEGのようなポリマーでコーティングされる。
いくつかの実施形態では、この粒子のゼータ電位は、約−10〜約10mV(例えば、約−5〜約5mV)である。
いくつかの実施形態では、この粒子は、摂氏23度という温度および60%の湿度を含む条件下で、少なくとも1日(例えば、少なくとも7日、少なくとも14日、少なくとも21日、少なくとも30日)間、化学的に安定である。
いくつかの実施形態では、この粒子は、凍結乾燥された粒子である。
いくつかの実施形態では、この粒子は、薬学的組成物中に処方される。
いくつかの実施形態では、この粒子の表面は、標的化剤を実質的に含まない。
いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、a)の疎水性ポリマーに結合され、この治療用のペプチドまたはタンパク質−疎水性ポリマーの複合体は、以下の特性のうちの1つ以上を有する:
i)この治療用のペプチドまたはタンパク質に結合される疎水性ポリマーは、ホモポリマーであってもよいし、または2種以上のモノマーサブユニットからできているポリマーであってもよい;
ii)このような治療用のペプチドまたはタンパク質に結合される疎水性ポリマーは、約4〜15kDaという重量平均分子量を有する;
iii)この疎水性ポリマーは、第一種および第二種のモノマーサブユニットからできており、かつ、この治療用のペプチドまたはタンパク質に結合されたこのような疎水性ポリマー中の第一種のモノマーサブユニット対第二種のモノマーサブユニットの比は、約15:85または25:75〜約75:25または85:15、例えば、約50:50であり;
iv)この疎水性ポリマーはPLGAであり;かつ
v)この治療用のペプチドまたはタンパク質は、このような粒子の約1〜約100重量%(例えば、約50%〜約100%、約70%〜約100%、約50%〜90%)である。
いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質に結合される疎水性ポリマーは、約4〜15kDa、例えば、6〜12kDa、例えば、8〜10kDaという重量平均分子量を有する。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーは、は、以下の特性のうちの1つ以上を有する:
i)この親水性部分は、約1〜6kDa(例えば、2〜6kDa)という重量平均分子量を有する、
ii)この疎水性ポリマーは、約4〜15kDaという重量平均分子量を有する;
iii)この親水性ポリマーはPEGである;
iv)この疎水性ポリマーは、第一種および第二種のモノマーサブユニットからできており、かつこの疎水性ポリマー中の第一種のモノマーサブユニット対第二種のモノマーサブユニットの比は、約15:85または25:75〜約75:25または85:15、例えば、約50:50である;ならびに
v)この疎水性ポリマーは、PLGAである。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの親水性部分の重量平均分子量が約1〜3kDa、例えば、約2kDaである場合、この親水性部分の重量平均分子量の、この疎水性部分の重量平均分子量に対する比は、1:3〜1:7であり、かつこの親水性部分の重量平均分子量が、約4〜6kDa、例えば、約5kDaである場合、この親水性部分の重量平均分子量の、この疎水性部分の重量平均分子量に対する比は、1:1〜1:4である。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの親水性部分は、約2〜6kDaという重量平均分子量を有し、この疎水性部分は、約8〜13kDaという重量平均分子量を有する。
いくつかの実施形態では、b)のこのような親水性−疎水性ポリマーの親水性部分はメトキシで終わる。
いくつかの実施形態では、この治療用ペプチドは、a)の疎水性ポリマーに結合され、かつこのこの治療用ペプチド−疎水性ポリマーの複合体は、以下の特性のうちの1つ以上を有する:
i)この治療用ペプチドに結合された疎水性ポリマーは、ホモポリマーであってもよいし、または2種以上のモノマーサブユニットからできているポリマーであってもよい;
ii)この治療用ペプチドに結合された疎水性ポリマーは、約4〜15kDaという重量平均分子量を有する;
iii)この疎水性ポリマーは、第一種および第二種のモノマーサブユニットからできており、この治療用のペプチドまたはタンパク質に結合される疎水性ポリマー中の第一種のモノマーサブユニット対第二種のモノマーサブユニットの比は、約15:85または25:75〜約75:25または85:15、例えば、約50:50であり;ならびに
iv)この疎水性ポリマーは、PLGAである。
いくつかの実施形態では、この粒子はさらに、界面活性剤(例えば、PVA)を含む。
別の態様では、本開示は、粒子であって、
a)複数の治療用のペプチドまたはタンパク質−ポリマーの複合体であって、疎水性ポリマーに結合された治療用のペプチドまたはタンパク質を含む複合体と;
b)複数の親水性−疎水性ポリマーと、
を含む粒子を特徴とする。
いくつかの実施形態では、この粒子はさらに、疎水性ポリマー(例えば、PLGA)を含む。
いくつかの実施形態では、この粒子はまた、疎水性部分、例えば、キトサン、ポリ(ビニルアルコール)、またはポロキサマーを含む。
いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、疎水性ポリマーに対して、リンカーを介して共有結合される。例示的なリンカーとしては、「クリックケミストリー」を用いて形成される部分を含むリンカー(例えば、WO2006/115547に記載されるような)、ならびにアミド、エステル、ジスルフィド、スルフィド、ケタール、スクシナート、オキシム、カルバメート、カーボネート、シリルエーテル、またはトリアゾールを含むリンカー(例えば、アミド、エステル、ジスルフィド、スルフィド、ケタール、スクシナート、またはトリアゾール)が挙げられる。いくつかの実施形態では、このリンカーは、生理学的条件下で切断可能な結合のような官能基を含む。いくつかの実施形態では、このリンカーは、複数の官能基例えば、生理学的条件下で切断可能な結合を含む。いくつかの実施形態では、このリンカーとしては、官能基、例えば、リンカーの末端でこのリンカーを通じて連結される第一または第二の部分のいずれに対しても直接結合されないが、リンカーに対して内部である、本明細書に記載の結合または官能基が挙げられる。いくつかの実施形態では、このリンカーは、生理学的条件下で加水分解性であるか、このリンカーは、生理学的条件下で酵素的に切断可能であるか、またはこのリンカーは、生理学的条件下で還元され得るジフルフィドを含む。いくつかの実施形態では、このリンカーは、生理学的条件下では切断されず、例えば、このリンカーは、治療用のペプチドまたはタンパク質が活性であるために切断される必要のない十分な長さであり、例えば、このリンカーの長さは、少なくとも約20Å(例えば、少なくとも約24Å)である。
いくつかの実施形態では、この粒子はさらに、複数の追加の治療用のペプチドまたはタンパク質を含み、ここでこの追加の治療用のペプチドまたはタンパク質は、a)の治療用のペプチドまたはタンパク質とは異なる。いくつかの実施形態では、この複数のこの追加の治療用のペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部は、疎水性ポリマーおよび/またはb)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部に対して結合される。
いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、乳酸およびグリコール酸のコポリマー(すなわち、PLGA)である。例えば、一実施形態では、a)の疎水性ポリマーの一部は、約15:85または25:75〜約75:25または85:15という乳酸対グリコール酸の比、例えば、約50:50という乳酸対グリコール酸の比を有するPLGAである。
いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーは、約6〜約12kDa、例えば約8〜約10kDaという重量平均分子量を有する。他の実施形態では、a)の疎水性ポリマーは、約4〜約8kDaという重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーは、約10〜約100kDaという重量平均分子量を有する。
いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーは、この粒子の約35〜約80重量%を成す。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーは、ブロックコポリマーであり、例えば、b)の親水性−疎水性ポリマーは、ジブロックコポリマーである。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーは、ブロックコポリマーである。例示的なブロックコポリマーとしては、中性の親水性ブロック(例えば、循環を向上し得る)、およびpH応答性のブロック(例えば、エンドソーム脱出を促進し得る)が挙げられる。例示的なpH応答性のブロックとしては、シス−アセトニチル、ヒドラゾン、またはアセタールリンカーを有するブロックが挙げられ、これは、例えば、pH4〜6.5で加水分解され得る。いくつかの実施形態では、このポリマーは、可逆性のペプチドコンジュゲーション部位を含み、例えば、これは、サイトゾルに到達したとき、担体からペプチドを遊離する手段をもたらし得る(例えば、チオール)。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部の疎水性部分は、ヒドロキシル末端を有する。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部の疎水性部分は、ヒドロキシル末端を有し、かつこのヒドロキシル末端はキャップされている(例えば、アシル部分でキャップされている)。例えば、いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部の疎水性部分は、ヒドロキシル末端を有し、かつこのヒドロキシル末端はアシル部分でキャップされている。
いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、疎水性ポリマーまたは粒子のpHを抑制し得る部分とカップリングされる。例示的なpH抑制部分としては、弱い塩基性塩、例えば、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、および炭酸亜鉛、ならびにプロトンスポンジ(例えば、1つ以上のアミン基)例えば、ポリアミンが挙げられる。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの疎水性部分は、乳酸およびグリコール酸のコポリマー(すなわち、PLGA)を含む。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの疎水性部分は、約15:85または25:75〜約75:25または85:15という乳酸対グリコール酸の比、例えば、約50:50という乳酸対グリコール酸の比を有するPLGAを含む。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの親水性部分は、約1〜約6kDa(例えば、約2〜約6kDa)という重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの疎水性部分は、約8〜約13kDaという重量平均分子量を有する。
いくつかの実施形態では、b)の複数の親水性−疎水性ポリマーの疎水性部分は、このような粒子の約5〜約25重量%(例えば、約10〜約25重量%)である。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの親水性部分は、PEGを含む。
いくつかの実施形態では、この親水性−疎水性ポリマーの親水性部分は、メトキシで終わる。
いくつかの実施形態では、この治療用ペプチドは、本明細書に記載される治療用ペプチドである。いくつかの実施形態では、この治療用ペプチドは、約2〜約50個のアミノ酸残基、例えば、約2〜約40個のアミノ酸残基または約2〜約30個のアミノ酸残基を含む。
いくつかの実施形態では、このタンパク質は、本明細書に記載されるタンパク質である。
いくつかの実施形態では、この治療用ペプチドの少なくとも一部は、化学的に修飾される。
いくつかの実施形態では、この複数の治療用ペプチドは、このような粒子の約1〜約50重量%(例えば、約1%〜約20%)である。
いくつかの実施形態では、この粒子はさらに、界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、この界面活性剤はポリマーであり、例えば、この界面活性剤はPVAである。いくつかの実施形態では、このPVAは、約23〜約26kDaという重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、この界面活性剤は、このような粒子の約15〜約35重量%である。
いくつかの実施形態では、この粒子はさらに、対イオンを含む。例えば、この治療用ペプチドが荷電されたペプチドである実施形態では、この粒子は、対イオンを含んでもよく、ここでこの対イオンは、この治療用ペプチドまたはタンパク質上の電荷のものと反対の電荷を有する。いくつかの実施形態では、粒子中のこの治療用ペプチドまたはタンパク質の電荷、対この対イオンの電荷の比は、約1:1.5〜約1.5:1(例えば、約1.25:1〜約1:1.25、または約1:1)である。
いくつかの実施形態では、この対イオンは、界面活性剤として機能し得る(例えば、単一部分が、対イオンとしておよび界面活性剤として両方機能し得る)。
いくつかの実施形態では、この粒子の直径は、約200nm未満(例えば、約150nm未満)である。
いくつかの実施形態では、この粒子の表面実質的にPEGのようなポリマーでコーティングされる。
いくつかの実施形態では、この粒子のゼータ電位は、約−10〜約10mV(例えば、約−5〜約5mV)である。
いくつかの実施形態では、この粒子は、摂氏23度という温度および60%の湿度を含む条件下で、少なくとも1日(例えば、少なくとも7日、少なくとも14日、少なくとも21日、少なくとも30日)化学的に安定である。
いくつかの実施形態では、この粒子は、凍結乾燥された粒子である。
いくつかの実施形態では、この粒子は、薬学的組成物中に処方される。
いくつかの実施形態では、この粒子の表面には実質的に標的化剤がない。
いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、a)の疎水性ポリマーに結合され、かつこの治療用のペプチドまたはタンパク質−疎水性ポリマーの複合体は、以下の特性のうちの1つ以上を有する:
i)このような治療用のペプチドまたはタンパク質に結合される疎水性ポリマーは、ホモポリマーであってもよいし、または2種以上のモノマーサブユニットからできているポリマーであってもよい;
ii)このような治療用のペプチドまたはタンパク質に結合される疎水性ポリマーは、約4〜15kDaという重量平均分子量を有する;
iii)この疎水性ポリマーは第一種および第二種のモノマーサブユニットからできており、かつ、この治療用のペプチドまたはタンパク質に結合されたこのような疎水性ポリマー中の第一種のモノマーサブユニット対第二種のモノマーサブユニットの比は、約15:85または25:75〜約75:25または85:15、例えば、約50:50である;
iv)この疎水性ポリマーはPLGAである;ならびに
v)この治療用ペプチドは、この粒子の約1〜約20重量%である。
いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質に結合される疎水性ポリマーは、約4〜15kDa、例えば、6〜12kDa、例えば、8〜10kDaという重量平均分子量を有する。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーは、以下の特性のうちの1つ以上を有する:
i)この親水性部分は、約1〜6kDa(例えば、2〜6kDa)という重量平均分子量を有する、
ii)この疎水性ポリマーは、約4〜15kDaという重量平均分子量を有する;
iii)この親水性ポリマーはPEGである;
iv)この疎水性ポリマーは第一種および第二種のモノマーサブユニットからできており、かつこの疎水性ポリマー中の第一種のモノマーサブユニット対第二種のモノマーサブユニットの比は、約15:85または25:75〜約75:25または85:15、例えば、約50:50である;ならびに
v)この疎水性ポリマーは、PLGAである。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの親水性部分の重量平均分子量が、約1〜3kDa、例えば、約2kDaである場合、この親水性部分の重量平均分子量のこの疎水性部分に対する重量平均分子量の比は、1:3〜1:7であり、およびこの親水性部分の重量平均分子量が約4〜6kDa、例えば、約5kDaである場合、この親水性部分の重量平均分子量のこの疎水性部分の重量平均分子量に対する比は、1:1〜1:4である。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの親水性部分は、約2〜6kDaという重量平均分子量を有し、かつ疎水性部分は、約8〜13kDaという重量平均分子量を有する。
いくつかの実施形態では、b)のこのような親水性−疎水性ポリマーの親水性部分は、メトキシで終わる。
いくつかの実施形態では、この治療用ペプチドは、a)の疎水性ポリマーに結合され、かつこの治療用ペプチド−疎水性ポリマーの複合体は、以下の特性のうちの1つ以上を有する:
i)この治療用のペプチドまたはタンパク質に結合される疎水性ポリマーは、ホモポリマーであってもよいし、または2種以上のモノマーサブユニットからできているポリマーであってもよい;
ii)この治療用のペプチドまたはタンパク質に結合される疎水性ポリマーは、約4〜15kDaという重量平均分子量を有する;
iii)この疎水性ポリマーは、第一種および第二種のモノマーサブユニットからできており、この治療用のペプチドまたはタンパク質に結合される疎水性ポリマー中の第一種のモノマーサブユニット対第二種のモノマーサブユニットの比は、約15:85または25:75〜約75:25または85:15、例えば、約50:50である;ならびに
iv)この疎水性ポリマーは、PLGAである。
いくつかの実施形態では、この粒子はさらに、界面活性剤(例えば、PVA)を含む。
いくつかの実施形態では、この治療用ペプチドは、本明細書に記載される治療用ペプチドである。いくつかの実施形態では、この治療用ペプチドは、約2〜約50個のアミノ酸残基、例えば、約2〜約40個のアミノ酸残基または約2〜約30個のアミノ酸残基を含む。
いくつかの実施形態では、このタンパク質は、本明細書に記載されるタンパク質である。
いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部は、化学的に修飾される。
いくつかの実施形態では、この複数の治療用のペプチドまたはタンパク質は、このような粒子の約1〜約100重量%である(例えば、約50%〜約100%、約70%〜約100%、約50%〜約90%)。
いくつかの態様では、本開示は、粒子であって、
a)必要に応じて複数の疎水性ポリマー;ならびに
b)複数の治療用のペプチドまたはタンパク質−親水性−疎水性ポリマーの複合体であって、親水性−疎水性ポリマーに結合された治療用のペプチドまたはタンパク質を含む複合体、
、を含む粒子を特徴とする。
いくつかの実施形態では、この粒子は、実質的に疎水性ポリマーを含まない。いくつかの実施形態では、この粒子はまた、疎水性部分、例えば、キトサン、ポリ(ビニルアルコール)、またはポロキサマーを含む。
いくつかの実施形態では、この粒子はさらに、複数の親水性−疎水性ポリマーを含み、ここでこのような複数の親水性−疎水性ポリマーの各々は、疎水性部分に結合された親水性部分を含む。
いくつかの実施形態では、b)の複合体の疎水性−親水性ポリマーは、この治療用のペプチドまたはタンパク質に対して、リンカーを介して共有結合される。例示的なリンカーとしては、「クリックケミストリー」を用いて形成される部分を含むリンカー(例えば、WO2006/115547に記載されるような)、ならびにミド、エステル、ジスルフィド、スルフィド、ケタール、スクシナート、オキシム、カルバメート、カーボネート、シリルエーテル、またはトリアゾールを含むリンカー(例えば、アミド、エステル、ジスルフィド、スルフィド、ケタール、スクシナート、またはトリアゾール)が挙げられる。いくつかの実施形態では、このリンカーは、生理学的条件下で切断可能な結合のような官能基を含む。いくつかの実施形態では、このリンカーは、複数の官能基例えば、生理学的条件下で切断可能な結合を含む。いくつかの実施形態では、このリンカーとしては、官能基、例えば、リンカーの末端でこのリンカーを通じて連結される第一または第二の部分のいずれに対しても直接結合されないが、リンカーに対して内部である、本明細書に記載の結合または官能基が挙げられる。いくつかの実施形態では、このリンカーは、生理学的条件下で加水分解性であるか、このリンカーは、生理学的条件下で酵素的に切断可能であるか、またはこのリンカーは、生理学的条件下で還元され得るジフルフィドを含む。いくつかの実施形態では、このリンカーは、生理学的条件下では切断されず、例えば、このリンカーは、治療用のペプチドまたはタンパク質が活性であるために切断される必要のない十分な長さであり、例えば、このリンカーの長さは、少なくとも約20Å(例えば、少なくとも約24Å)である。
いくつかの実施形態では、この粒子はさらに、複数の追加の治療用のペプチドまたはタンパク質を含み、ここでこの追加の治療用のペプチドまたはタンパク質は、b)の治療用のペプチドまたはタンパク質とは異なる。いくつかの実施形態では、この複数のこの追加の治療用のペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部は、a)の疎水性ポリマーおよび/または親水性−疎水性ポリマーのいずれかの一部に結合される。いくつかの実施形態では、この複数のこの追加の治療用のペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部は、a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部に結合される。
いくつかの実施形態では、この粒子は疎水性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、カルボキシ末端を有する。いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、ヒドロキシル末端を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロキシル末端を有しているa)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、キャップされたヒドロキシル末端(例えば、アシル部分でキャップされている)を有する。
いくつかの実施形態では、この疎水性ポリマーの末端は修飾される(例えば、官能基と反応することによって)、例えば、この疎水性ポリマーのヒドロキシ末端は修飾される(例えば、官能基と反応することによって)か、および/またはこの疎水性ポリマーのカルボキシ末端は修飾される(例えば、官能基と反応することによって)。例えば、ヒドロキシ末端またはカルボキシ末端は、例えば、リンカーを通じて、このポリマーに対して治療用のペプチドまたはタンパク質を結合するために用いられ得る反応性部分で修飾される。いくつかの実施形態では、この反応性部分は、この治療用のペプチドまたはタンパク質と反応せず、ポリマー上に残るか、またはその後の反応で加水分解される。
いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、カルボキシ末端およびヒドロキシル末端の両方を有し、かつ、例えば、ヒドロキシル末端を有しているa)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、エンドキャップされたヒドロキシル末端(例えば、アシル部分でキャップされている)を有する。
いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、乳酸およびグリコール酸のコポリマー(すなわち、PLGA)である。例えば、いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーの一部は、約15:85または25:75〜約75:25または85:15という乳酸対グリコール酸の比、例えば、約50:50という乳酸対グリコール酸の比を有するPLGAである。
いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーは、約6〜約12kDa、例えば約8〜約10kDaという重量平均分子量を有する。他の実施形態では、a)の疎水性ポリマーは、約4〜約8kDaという重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーは約10〜約100kDaという重量平均分子量を有する。
いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーは、この粒子の約35〜約80重量%を成す。
いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、治療用のペプチドまたはタンパク質に対して共有結合され、かつa)の疎水性ポリマーの一部は、複数の治療用のペプチドまたはタンパク質に結合される。
いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、疎水性ポリマーまたは粒子のpHを抑制し得る部分とカップリングされる。例示的なpH抑制部分としては、弱い塩基性塩、例えば、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、および炭酸亜鉛、ならびにプロトンスポンジ(例えば、1つ以上のアミン基を含む)例えば、ポリアミンが挙げられる。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーは、ブロックコポリマーである。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーは、ブロックコポリマーである。例示的なブロックコポリマーとしては、中性の親水性ブロック(例えば、循環を向上し得る)、およびpH応答性のブロック(例えば、エンドソーム脱出を促進し得る)が挙げられる。例示的なpH応答性のブロックとしては、シス−アセトニチル、ヒドラゾン、またはアセタールリンカーを有するブロックが挙げられ、これは、例えば、pH4〜6.5で加水分解され得る。いくつかの実施形態では、このポリマーは、可逆性のペプチドコンジュゲーション部位を含み、例えば、これは、サイトゾルに到達したとき、担体からペプチドを遊離する手段をもたらし得る(例えば、チオール)。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーは、ジブロックコポリマー(例えば、PEG−PLGA)である。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーは、トリブロック−コポリマー(例えば、PEG−PLGA−PEG)である。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部の疎水性部分は、ヒドロキシル末端を有する。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部の疎水性部分は、ヒドロキシル末端を有し、かつこのヒドロキシル末端は、キャップされている(例えば、アシル部分でキャップされている)。例えば、いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部の疎水性部分は、ヒドロキシル末端を有し、かつこのヒドロキシル末端はアシル部分でキャップされている。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの疎水性部分は、乳酸およびグリコール酸のコポリマー(すなわち、PLGA)を含む。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの疎水性部分は、約15:85または25:75〜約75:25または85:15という乳酸対グリコール酸の比、例えば、約50:50という乳酸対グリコール酸の比を有するPLGAを含む。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの親水性部分は、約1〜約6kDa(例えば、約2〜約6kDa)という重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの疎水性部分は、約8〜約13kDaという重量平均分子量を有する。
いくつかの実施形態では、b)の複数の親水性−疎水性ポリマーは、このような粒子の約5〜約25重量%(例えば、約10〜約25重量%)である。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの親水性部分は、PEGを含む。
いくつかの実施形態では、このような親水性−疎水性ポリマーの親水性部分は、メトキシで終わる。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部は、治療用のペプチドまたはタンパク質に対して共有結合され、かつb)の親水性−疎水性ポリマーの一部は、複数の治療用のペプチドまたはタンパク質に結合される。
いくつかの実施形態では、この疎水性ポリマーは、以下の特性のうちの1つ以上を有する:
i)この疎水性ポリマーはホモポリマーであってもよいし、または2種以上のモノマーサブユニットからできているポリマーであってもよい;
ii)この疎水性ポリマーは、約4〜15kDaという重量平均分子量を有する;
iii)この疎水性ポリマーは、第一種および第二種のモノマーサブユニットからできており、この剤に結合されたこのような疎水性ポリマーにおける第一種のモノマーサブユニット対第二種のモノマーサブユニットの比は、約15:85または25:75〜約75:25または85:15、例えば、約50:50である;ならびに
iv)この疎水性ポリマーは、PLGAである。
いくつかの実施形態では、疎水性ポリマーは、約4〜15kDa、例えば、6〜12kDa、例えば、8〜10kDaという重量平均分子量を有する。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーは、以下の特性のうちの1つ以上を有する:
i)この親水性部分は、約1〜6kDa(例えば、2〜6kDa)という重量平均分子量を有する、
ii)この疎水性ポリマーは、約4〜15kDaという重量平均分子量を有する;
iii)この親水性ポリマーはPEGである;
iv)この親水性−疎水性ポリマーの疎水性部分は、第一種および第二種のモノマーサブユニットからできており、この疎水性部分における第一種のモノマーサブユニット対第二種のモノマーサブユニットの比は、約15:85または25:75〜約75:25または85:15、例えば、約50:50であり;ならびに
v)この親水性−疎水性ポリマーの疎水性部分は、PLGAである。
いくつかの実施形態では、この親水性−疎水性ポリマーの親水性部分の重量平均分子量が約1〜3kDa、例えば、約2kDaである場合、この親水性部分の重量平均分子量の、この疎水性部分に対する重量平均分子量の比は、1:3〜1:7であり、かつこの親水性部分の重量平均分子量が約4〜6kDa、例えば、約5kDaである場合、この親水性部分の重量平均分子量の、この疎水性部分に対する重量平均分子量の比は、1:1〜1:4である。
いくつかの実施形態では、この親水性−疎水性ポリマーの親水性部分は、約2〜6kDaという重量平均分子量を有し、この疎水性部分は、約8〜13kDaという重量平均分子量を有する。
いくつかの実施形態では、このような親水性−疎水性ポリマーの親水性部分はメトキシで終わる。
いくつかの実施形態では、この疎水性ポリマーは、以下の特性のうちの1つ以上を有する:
i)この疎水性ポリマーは、ホモポリマーであってもよいし、または2種以上のモノマーサブユニットからできているポリマーであってもよい;
ii)この疎水性ポリマーは、約4〜15kDaという重量平均分子量を有する;
iii)この疎水性ポリマーは、第一種および第二種のモノマーサブユニットからできており、かつこの疎水性ポリマー中の第一種のモノマーサブユニット対第二種のモノマーサブユニットの比は、約15:85または25:75〜約75:25または85:15、例えば、約50:50である;ならびに
iv)この疎水性ポリマーは、PLGAである。
いくつかの実施形態では、この治療用ペプチドは、本明細書に記載される治療用ペプチドである。いくつかの実施形態では、この治療用ペプチドは、約2〜約50個のアミノ酸残基、例えば、約2〜約40個のアミノ酸残基または約2〜約30個のアミノ酸残基を含む。
いくつかの実施形態では、このタンパク質は、本明細書に記載されるタンパク質である。
いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部は、化学的に修飾される。
いくつかの実施形態では、この複数の治療用のペプチドまたはタンパク質は、このような粒子の約1〜約100重量%(例えば、約50%〜約100%、約70%〜約100%、約50%〜約90%)である。
いくつかの実施形態では、この粒子はさらに、界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、この界面活性剤はポリマーであり、例えば、この界面活性剤はPVAである。いくつかの実施形態では、PVAは、約23〜約26kDaという重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、この界面活性剤は、このような粒子の約15〜約35重量%である。
いくつかの実施形態では、この粒子はさらに、対イオンを含む。例えば、この治療用ペプチドが荷電されたペプチドである実施形態では、この粒子は、対イオンを含んでもよく、ここで、この対イオンは、この治療用ペプチドの電荷とは反対の電荷を有する。いくつかの実施形態では、粒子中のこの治療用ペプチドの電荷の、この対イオンの電荷に対する比は、約1:1.5〜約1.5:1(例えば、約1.25:1〜約1:1.25、または約1:1)である。
いくつかの実施形態では、この対イオンは、界面活性剤として機能し得る(例えば、単一部分が、対イオンとしておよび界面活性剤として両方機能し得る)。
いくつかの実施形態では、この粒子の直径は、約200nm未満(例えば、約150nm未満)である。
いくつかの実施形態では、この粒子の表面は、実質的にPEGのようなポリマーでコーティングされる。
いくつかの実施形態では、この粒子のゼータ電位は、約−10〜約10mV(例えば、約−5〜約5mV)である。
いくつかの実施形態では、この粒子は、摂氏23度という温度および60%の湿度を含む条件下で少なくとも1日(例えば、少なくとも7日、少なくとも14日、少なくとも21日、少なくとも30日)の間、化学的に安定である。
いくつかの実施形態では、この粒子は、凍結乾燥された粒子である。
いくつかの実施形態では、この粒子は、薬学的組成物へ処方される。
いくつかの実施形態では、この粒子の表面には実質的に標的化剤がない。
いくつかの態様では、本開示は、粒子であって、
a)必要に応じて,複数の疎水性ポリマーと;
b)複数の親水性−疎水性ポリマー−複合体であって、ここでこの親水性−疎水性ポリマーの複合体が、荷電されたペプチドに対して結合された親水性−疎水性ポリマーを含む、複合体と;
c)複数の荷電された治療用のペプチドまたはタンパク質であって、ここでこの治療用のペプチドまたはタンパク質の電荷が、親水性−疎水性ポリマーに複合体されたペプチドの電荷と反対であり、かつここでこの荷電された治療用のペプチドまたはタンパク質が、この親水性−疎水性ポリマー−複合体の荷電されたペプチドまたはタンパク質と非共有結合(例えば、イオン結合)を形成する、治療用のペプチドまたはタンパク質と;
を含む粒子を特徴とする。
いくつかの実施形態では、この粒子は、実質的に疎水性ポリマーを含まない。いくつかの実施形態では、この粒子はまた、疎水性部分、例えば、キトサン、ポリ(ビニルアルコール),またはポロキサマーを含む。
いくつかの実施形態では、この粒子はさらに、親水性−疎水性ポリマー、例えば、ブロックコポリマー(例えば、PEG−PLGA)を含む。例示的なブロックコポリマーとしては、中性の親水性ブロック(例えば、循環を向上し得る)、およびpH応答性のブロック(例えば、エンドソーム脱出を促進し得る)が挙げられる。例示的なpH応答性のブロックとしては、シス−アセトニチル、ヒドラゾン、またはアセタールリンカーを有するブロックが挙げられ、これは、例えば、pH4〜6.5で加水分解され得る。いくつかの実施形態では、このポリマーは、可逆性のペプチドコンジュゲーション部位を含み、例えば、これは、サイトゾルに到達したとき、担体からペプチドを遊離する手段をもたらし得る(例えば、チオール)。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーは、ジブロックコポリマー(例えば、PEG−PLGA)である。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーは、トリブロック−コポリマー(例えば、PEG−PLGA−PEG)である。
いくつかの実施形態では、このブロックコポリマーは、ジブロックまたはトリブロックのコポリマーである。例示的なブロックコポリマーとしては、中性の親水性ブロック(例えば、循環を向上し得る)、およびpH応答性のブロック(例えば、エンドソーム脱出を促進し得る)が挙げられる。例示的なpH応答性のブロックとしては、シス−アセトニチル、ヒドラゾン、またはアセタールリンカーを有するブロックが挙げられ、これは、例えば、pH4〜6.5で加水分解され得る。いくつかの実施形態では、このポリマーは、可逆性のペプチドコンジュゲーション部位を含み、例えば、これは、サイトゾルに到達したとき、担体からペプチドを遊離する手段をもたらし得る(例えば、チオール)。
いくつかの実施形態では、b)の複合体の疎水性−親水性ポリマーは、この治療用のペプチドまたはタンパク質に対して、リンカーを介して共有結合される。例示的なリンカーとしては、「クリックケミストリー」を用いて形成される部分を含むリンカー(例えば、WO2006/115547に記載されるような)、ならびにアミド、エステル、ジスルフィド、スルフィド、ケタール、スクシナート、オキシム、カルバメート、カーボネート、シリルエーテル、またはトリアゾールを含むリンカー(例えば、アミド、エステル、ジスルフィド、スルフィド、ケタール、スクシナート、またはトリアゾール)が挙げられる。いくつかの実施形態では、このリンカーは、生理学的条件下で切断可能な結合のような官能基を含む。いくつかの実施形態では、このリンカーは、複数の官能基例えば、生理学的条件下で切断可能な結合を含む。いくつかの実施形態では、このリンカーとしては、官能基、例えば、リンカーの末端でこのリンカーを通じて連結される第一または第二の部分のいずれに対しても直接結合されないが、リンカーに対して内部である、本明細書に記載の結合または官能基が挙げられる。いくつかの実施形態では、このリンカーは、生理学的条件下で加水分解性であるか、このリンカーは、生理学的条件下で酵素的に切断可能であるか、またはこのリンカーは、生理学的条件下で還元され得るジフルフィドを含む。いくつかの実施形態では、このリンカーは、生理学的条件下では切断されず、例えば、このリンカーは、治療用のペプチドまたはタンパク質が活性であるために切断される必要のない十分な長さであり、例えば、このリンカーの長さは、少なくとも約20Å(例えば、少なくとも約24Å)である。
いくつかの実施形態では、この粒子はさらに、複数の追加の治療用のペプチドまたはタンパク質を含み、ここでこの追加の治療用のペプチドまたはタンパク質は、b)の治療用のペプチドまたはタンパク質とは異なる。いくつかの実施形態では、この複数のこの追加の治療用のペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部は、a)の疎水性ポリマーおよび/または親水性−疎水性ポリマーのいずれかの少なくとも一部に結合される。いくつかの実施形態では、この複数のこの追加の治療用のペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部は、a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部に結合される。
いくつかの実施形態では、この粒子は、疎水性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、カルボキシ末端を有する。いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、ヒドロキシル末端を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロキシル末端を有しているa)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、キャップされたヒドロキシル末端(例えば、アシル部分でキャップされている)を有する。
いくつかの実施形態では、この疎水性ポリマーの末端は修飾され(例えば、官能基と反応することによって)、例えば、この疎水性ポリマーのヒドロキシ末端は修飾され(例えば、官能基と反応することによって)、および/またはこの疎水性ポリマーのカルボキシ末端は修飾される(例えば、官能基と反応することによって)。例えば、ヒドロキシ末端またはカルボキシ末端は、例えば、リンカーを通じて、このポリマーに対して治療用のペプチドまたはタンパク質を結合するために用いられ得る反応性部分で修飾される。いくつかの実施形態では、この反応性部分は、この治療用のペプチドまたはタンパク質と反応されず、ポリマー上に残るか、またはその後の反応で加水分解される。
いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、カルボキシ末端およびヒドロキシル末端の両方を有し、例えば、ヒドロキシル末端を有しているa)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、キャップされたヒドロキシル末端(例えば、アシル部分でキャップされている)を有する。
いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、乳酸およびグリコール酸のコポリマー(すなわち、PLGA)である。例えば、いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーの一部は、約15:85または25:75〜約75:25または85:15という乳酸対グリコール酸の比、例えば、約50:50という乳酸対グリコール酸の比を有するPLGAである。
いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーは、約6〜約12kDa、例えば約8〜約10kDaという重量平均分子量を有する。他の実施形態では、a)の疎水性ポリマーは、約4〜約8kDaという重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーは、約10〜約100kDaという重量平均分子量を有する。
いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、治療用のペプチドまたはタンパク質に対して共有結合され、かつa)の疎水性ポリマーの一部は、複数の治療用のペプチドまたはタンパク質に結合される。
いくつかの実施形態では、a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部は、疎水性ポリマーまたは粒子のpHを抑制し得る部分とカップリングされる。例示的なpH抑制部分としては、弱い塩基性塩、例えば、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、および炭酸亜鉛、ならびにプロトンスポンジ(例えば、1つ以上のアミン基を含む)例えば、ポリアミンが挙げられる。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーは、ブロックコポリマーである。例示的なブロックコポリマーとしては、中性の親水性ブロック(例えば、循環を向上し得る)、およびpH応答性のブロック(例えば、エンドソーム脱出を促進し得る)が挙げられる。例示的なpH応答性のブロックとしては、シス−アセトニチル、ヒドラゾン、またはアセタールリンカーを有するブロックが挙げられ、これは、例えば、pH4〜6.5で加水分解され得る。いくつかの実施形態では、このポリマーは、可逆性のペプチドコンジュゲーション部位を含み、例えば、これは、サイトゾルに到達したとき、担体からペプチドを遊離する手段をもたらし得る(例えば、チオール)。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーは、ジブロックコポリマー(例えば、PEG−PLGA)である。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーは、トリブロック−コポリマー(例えば、PEG−PLGA−PEG)である。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部の疎水性部分は、ヒドロキシル末端を有する。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部の疎水性部分は、ヒドロキシル末端を有し、かつこのヒドロキシル末端はエンドキャップされている(例えば、アシル部分でキャップされている)。例えば、いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部の疎水性部分は、ヒドロキシル末端を有し、かつこのヒドロキシル末端はアシル部分でキャップされている。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの疎水性部分は、乳酸およびグリコール酸のコポリマー(すなわち、PLGA)を含む。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの疎水性部分は、約15:85または25:75〜約75:25または85:15という乳酸対グリコール酸の比、例えば、約50:50という乳酸対グリコール酸の比を有するPLGAを含む。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの親水性部分は、約1〜約6kDa(例えば、約2〜約6kDa)という重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの疎水性部分は、約8〜約13kDaという重量平均分子量を有する。
いくつかの実施形態では、b)の複数の親水性−疎水性ポリマーは、このような粒子の約5〜約25重量%(例えば、約10〜約25重量%)である。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーの親水性部分は、PEGを含む。
いくつかの実施形態では、この親水性−疎水性ポリマーの親水性部分は、メトキシで終わる。
いくつかの実施形態では、b)の親水性−疎水性ポリマーは、以下の特性のうちの1つ以上を有する:
i)この親水性部分は、約1〜6kDa(例えば、2〜6kDa)という重量平均分子量を有する、
ii)この疎水性ポリマーは、約4〜15kDaという重量平均分子量を有する;
iii)この親水性ポリマーはPEGである;
iv)この親水性−疎水性ポリマーの疎水性部分は、第一種および第二種のモノマーサブユニットからできており、かつこの疎水性部分における第一種のモノマーサブユニット対第二種のモノマーサブユニットの比は、約15:85または25:75〜約75:25または85:15、例えば、約50:50である;ならびに
v)この親水性−疎水性ポリマーの疎水性部分は、PLGAである。
いくつかの実施形態では、この親水性−疎水性ポリマーの親水性部分の重量平均分子量が約1〜3kDa、例えば、約2kDaである場合、この親水性部分の重量平均分子量の、この疎水性部分の重量平均分子量に対する比は、1:3〜1:7であり、かつこの親水性部分の重量平均分子量が約4〜6kDa、例えば、約5kDaである場合、この親水性部分の重量平均分子量の、この疎水性部分の重量平均分子量に対する比は、1:1〜1:4である。
いくつかの実施形態では、この親水性−疎水性ポリマーの親水性部分は、約2〜6kDaという重量平均分子量を有し、かつこの疎水性部分は、約8〜13kDaという重量平均分子量を有する。
いくつかの実施形態では、このような親水性−疎水性ポリマーの親水性部分は、メトキシで終わる。
いくつかの実施形態では、この治療用ペプチドは、本明細書に記載される治療用ペプチドである。いくつかの実施形態では、この治療用ペプチドは、約2〜約50個のアミノ酸残基、例えば、約2〜約40個のアミノ酸残基または約2〜約30個のアミノ酸残基を含む。
いくつかの実施形態では、このタンパク質は、本明細書に記載されるタンパク質である。
いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部は、化学的に修飾される。
いくつかの実施形態では、この複数の治療用のペプチドまたはタンパク質は、このような粒子の約1〜約90重量%である(例えば、約50%〜約90%、約70%〜約90%、約20%〜約70%)。
いくつかの実施形態では、この粒子はさらに、界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、この界面活性剤はポリマーであり、例えば、この界面活性剤はPVAである。いくつかの実施形態では、PVAは、約23〜約26kDaという重量平均分子量を有する。いくつかの実施形態では、この界面活性剤は、このような粒子の約15〜約35重量%である。
いくつかの実施形態では、この粒子はさらに、対イオンを含む。例えば、この治療用ペプチドが荷電されたペプチドである実施形態では、この粒子は、対イオンを含んでもよく、ここで、この対イオンは、この治療用ペプチドの電荷とは反対の電荷を有する。いくつかの実施形態では、粒子中のこの治療用ペプチドまたはタンパク質の電荷の、この対イオンの電荷に対する比は、約1:1.5〜約1.5:1(例えば、約1.25:1〜約1:1.25、または約1:1)である。
いくつかの実施形態では、この対イオンは、界面活性剤として機能し得る(例えば、単一部分が、対イオンとしておよび界面活性剤として両方機能し得る)。
いくつかの実施形態では、この粒子の直径は、約200nm未満(例えば、約150nm未満)である。
いくつかの実施形態では、この粒子の表面は、実質的にPEGのようなポリマーでコーティングされる。
いくつかの実施形態では、この粒子のゼータ電位は、約−10〜約10mV(例えば、約−5〜約5mV)である。
いくつかの実施形態では、この粒子は、摂氏23度という温度および60%の湿度を含む条件下で、少なくとも1日(例えば、少なくとも7日、少なくとも14日、少なくとも21日、少なくとも30日)の間、化学的に安定である。
いくつかの実施形態では、この粒子は、凍結乾燥された粒子である。
いくつかの実施形態では、この粒子は、薬学的組成物へ処方される。
いくつかの実施形態では、この粒子の表面には実質的に標的化剤がない。
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載される複数の粒子を含んでいる組成物を特徴とする。いくつかの実施形態では、この組成物は、薬学的組成物である。
いくつかの実施形態では、この粒子の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%または全てが、約200nM未満という直径を有する。
いくつかの実施形態では、この粒子は、200nM未満(例えば、150nm未満)というDv90の直径を有する。
いくつかの実施形態では、この組成物は約500Da未満という分子量を有するポリマーを実質的に含まない。
いくつかの実施形態では、組成物は、実質的に結合されていない形態の治療用のペプチドまたはタンパク質(すなわち、この粒子に封入されることも、結合されることもない、治療用のペプチドまたはタンパク質)を含まない。
いくつかの実施形態では、この組成物は、環境条件下で少なくとも1日(例えば、少なくとも7日、少なくとも14日、少なくとも21日、少なくとも30日)間、化学的に安定である。いくつかの実施形態では、この組成物は、摂氏23度という温度、かつ60、70、または80パーセントの湿度を含む条件下で、少なくとも1日(例えば、少なくとも7日、少なくとも14日、少なくとも21日、少なくとも30日)間、化学的に安定である。
いくつかの実施形態では、この組成物は、凍結乾燥された組成物である。
いくつかの実施形態では、この組成物は、対象に投与された場合、対象に対して結合されていない形態で(すなわち、粒子中ではなく)投与される治療用のペプチドまたはタンパク質のAUCを超えて、少なくとも10、20、50、75、80、90、100、200または500%まで増大されるAUCを生じる。いくつかの実施形態では、この組成物および治療用のペプチドまたはタンパク質(結合されていない形態で投与される)は、同様の条件下で投与される。いくつかの実施形態では、対象に投与される粒子組成物中の治療用のペプチドまたはタンパク質の量は、例えば、分子の重量または数に関して、結合されていない形態で投与される治療用ペプチドの量と同じである。いくつかの実施形態では、AUCを規定する曲線は以下から選択される:
a)選択された標的区画、例えば、選択された組織、臓器または他の区画におけるこの治療用のペプチドまたはタンパク質の時間に対するプロット。
いくつかの実施形態では、この曲線は、選択された標的区画、例えば、末梢血における、この治療用のペプチドまたはタンパク質の時間に対してのプロットである。いくつかの実施形態では、AUCは、30分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、24時間、2日、または7日の時間間隔にわたって算出される。いくつかの実施形態では、この時間間隔は、このような組成物または結合されていない形態の治療用ペプチドもしくはタンパク質の用量の投与の時点、または1分、10分、60分、2時間、12 時間24時間、2日または7日後に開始する。
いくつかの実施形態では、この対象とは、マウス、ラット、イヌ、またはヒトのうちのいずれかである。
いくつかの実施形態では、この組成物は、対象に投与された場合、この対象に結合されていない形態で投与されたこのような治療用のペプチドまたはタンパク質のピーク血漿濃度(Cmax)の90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、または1%未満であるピーク血漿濃度(Cmax)を生じる。いくつかの実施形態では、結合されていない形態で投与される組成物および治療用のペプチドまたはタンパク質は、同様の条件下で投与される。いくつかの実施形態では、対象に投与される粒子組成物中の治療用のペプチドまたはタンパク質の量は、例えば、分子の重量または数に関して、結合されていない形態で投与される量と同じである。いくつかの実施形態では、Cmaxは、血漿中の遊離した標識された治療用のペプチドまたはタンパク質の存在によって測定される。いくつかの実施形態では、Cmaxの測定値(単数または複数)を、30分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、24時間、2日、または7日の期間にわたってとる。いくつかの実施形態では、この期間は、治療用のペプチドまたはタンパク質の組成物の用量の投与の時点で、またはその投与の1分、10分、60分、2時間、12時間、24時間、2日または7日後に開始する。いくつかの実施形態では、この対象は、マウス、ラット、イヌ、またはヒトのうちのいずれかである。
いくつかの実施形態では、この組成物は、対象に投与された場合、対象に対して結合されていない形態で投与された治療用のペプチドまたはタンパク質の分布体積(VZ)の90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、または1%未満の分布体積(VZ)を生じる。
いくつかの実施形態では、組成物および結合されていない形態で投与される治療用のペプチドまたはタンパク質は、同様の条件下で投与される。いくつかの実施形態では、対象に投与される粒子組成物中の治療用のペプチドまたはタンパク質の量は、例えば、分子の重量または数に関して、結合されていない形態で投与される量と同じである。いくつかの実施形態では、VZは、血漿中の、遊離した標識された治療用のペプチドまたはタンパク質を検出することによって測定される。いくつかの実施形態では、VZ測定値(単数または複数)は、30分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間、24時間、2日、または7日の期間にわたってとる。いくつかの実施形態では、この期間は、この組成物またはフリーの治療用のペプチドまたはタンパク質の用量の投与の時点で、または投与後1分、10分、60分、2時間、12時間、24時間、2日または7日で開始する。いくつかの実施形態では、この対象は、マウス、ラット、イヌ、またはヒトのうちのいずれかである。
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載される複数の粒子または本明細書に記載される組成物を含んでいるキットを特徴とする。
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載される複数の粒子または本明細書に記載される組成物を含んでいる単位剤形を特徴とする。
いくつかの態様では、本開示は、障害を有する対象を治療する方法であって、有効量の本明細書に記載される粒子または本明細書に記載される組成物をこのような対象に投与することを包含する、方法を特徴とする。
一実施形態では、この障害は、対象、例えば、ヒトにおける、増殖性障害、例えば、癌であり、この方法は、本明細書に記載の複合体または粒子を含む組成物を対象に対して、障害を治療するのに有効な量で投与して、これによって増殖性障害を治療することを包含する。一実施形態では、この組成物は、1つ以上の追加の抗癌剤、例えば、化学療法剤、または本明細書に記載される化学療法剤の組み合わせ、および放射線療法と組み合わせて投与される。
一実施形態では、この癌とは、本明細書に記載される癌である。例えば、この癌は、膀胱癌(加速型、および転移性膀胱癌を含む)、乳癌(例えば、エストロゲン受容体陽性乳癌;エストロゲン受容体陰性乳癌;HER−2陽性乳癌;HER−2陰性乳癌;プロゲステロン受容体陽性乳癌;プロゲステロン受容体陰性乳癌;エストロゲン受容体陰性、HER−2陰性、およびプロゲステロン受容体陰性乳癌(すなわち、三重陰性乳癌);炎症性乳癌)、結腸癌(結腸直腸癌を含む)、腎癌(例えば、移行細胞癌)、肝癌、肺癌(小細胞肺癌および非小細胞肺癌、肺腺癌、および扁平上皮癌を含む)、泌尿生殖器癌、例えば、卵巣癌(ファロピウス管癌および腹膜癌を含む)、子宮頚癌、前立腺癌、精巣癌、腎臓癌、および尿管癌、リンパ系癌、直腸癌、喉頭癌、膵癌(外分泌膵癌を含む)、食道癌、胃癌、胆嚢癌、甲状腺癌、皮膚癌(扁平上皮癌を含む)、脳腫瘍(多形神経膠芽腫を含む)、頭頚部癌(例えば、原発不明)、および軟部組織癌(例えば、カポジ肉腫(例えば、AIDS関連のカポジ肉腫)、平滑筋肉腫、血管肉腫および組織球腫であってもよい。好ましい癌としては、乳癌(例えば、転移性乳癌または局所進行性乳癌)、前立腺癌(例えば、ホルモン不応性前立腺癌)、腎細胞癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺腺癌、および扁平上皮癌、例えば、切除不能の局所的に進行性または転移性の非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺腺癌、および扁平上皮癌)、膵癌、胃癌(例えば、転移性胃腺癌)、直腸結腸癌、直腸癌、頭頚部の扁平上皮癌、リンパ腫(ホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫)、腎細胞癌、尿路上皮癌、軟部組織肉腫(例えば、カポジ肉腫(例えば、AIDS関連のカポジ肉腫)、平滑筋肉腫、血管肉腫および組織球腫)、神経膠種、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫)、黒色腫(例えば、進行性または転移性の黒色腫)、胚細胞腫瘍、卵巣癌(例えば、進行性卵巣癌、例えば、進行性ファロピウス管癌または腹膜癌)および胃腸癌が挙げられる。
一実施形態では、炎症に関連する疾患または障害とは、本明細書に記載される疾患または障害である。例えば、炎症に関連する疾患または障害とは、例えば、多発性硬化症、関節リウマチ、乾癬性関節炎、変性関節疾患、脊椎関節症(spondouloarthropathy)、痛風性関節症、全身性エリテマトーデス、若年性関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、骨粗鬆症、糖尿病(例えば、インスリン依存性糖尿病または若年発症糖尿病)、月経性痙攣、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、クローン病、粘液結腸炎、潰瘍性大腸炎、胃炎、食道炎、膵炎、腹膜炎、アルツハイマー病、ショック、強直性脊椎炎、胃炎、結膜炎、膵炎(急性および慢性)、多発性臓器不全症候群(例えば、敗血症または外傷に対して二次性)、心筋梗塞、アテローム動脈硬化症、脳卒中、再灌漑流障害(例えば、心臓肺バイパスまたは腎臓透析による)、急性糸球体腎炎、血管炎、温熱損傷(すなわち、日焼け)、壊死性腸炎、顆粒球輸液関連症候群、および/またはシェーグレン症候群であってもよい。皮膚の例示的な炎症性の病態としては、例えば、湿疹、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、じんましん、強皮症、乾癬、および急性の炎症成分による皮膚炎が挙げられる。
別の実施形態において、本明細書に記載される粒子または複合体を含んでいる組成物を用いて、喘息、気管支炎、肺線維症、アレルギー性鼻炎、酸素毒性、肺気腫、慢性気管支炎、急性呼吸促迫症候群、および任意の慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含むアレルギーおよび呼吸器系の病態を治療または予防することができる。本明細書に記載の粒子または複合体を用いて、B型肝炎およびC型肝炎を含む慢性肝炎感染を治療することができる。
さらに、本明細書に記載される粒子または複合体を含む組成物を用いて、臓器−組織自己免疫疾患(例えば、レイノー症候群)、強皮症、重症筋無力症、移植片拒絶、エンドトキシンショック、敗血症、乾癬、湿疹、皮膚炎、多発性硬化症、自己免疫性甲状腺炎、ぶどう膜炎、全身性エリテマトーデス、アジソン病、自己免疫性多腺性疾患(自己免疫性多腺性症候群としても公知)、およびグレーブス病などの自己免疫疾患および/または自己免疫疾患と関連した炎症を治療することができる。
一実施形態では、この障害は、対象、例えば、ヒトにおける、心血管系の疾患、例えば、心疾患に関連し、ここでこの方法は、本明細書に記載の粒子または複合体を含む組成物を対象に対してこの障害を治療するのに有効な量で投与して、これによって心血管系の疾患を治療することを包含する。
一実施形態では、心血管系の疾患とは、本明細書に記載される疾患または障害である。例えば、心血管系の疾患とは、心筋症または心筋炎:例えば、特発性心筋症、代謝性心筋症、アルコール性心筋症、薬剤誘発性心筋症、虚血性心筋症、および高血圧性心筋症であり得る。本明細書に記載される粒子、複合体、組成物、および方法を用いて治療可能または予防可能なのはまた、大動脈、冠動脈、頚動脈、脳血管性動脈、腎動脈、腸骨動脈、大腿動脈、および膝窩動脈などの主要血管のアテローム性障害(大血管性疾患)も挙げられる。治療または予防することのできる他の脈管系疾患としては、血小板凝集、網膜細動脈、糸球体細動脈、神経栄養血管、心細動脈に関連したもの、ならびに眼の毛細血管床、腎臓、心臓、ならびに中枢および末梢神経系と関連したものが挙げられる。本明細書に記載される粒子、複合体、組成物、および方法で治療され得るさらに他の障害としては、再狭窄、例えば、冠動脈介入後の再狭窄、ならびに高密度および低密度コレステロールの異常なレベルと関連した障害が挙げられる。
一実施形態では、本明細書に記載される粒子または複合体を含んでいる組成物は、血管形成術を受けているかまたは受けたことのある対象に投与される。一実施形態において、本明細書に記載の粒子または複合体を含む組成物は、ステント設置を用いる血管形成術を受けているか、または受けた対象に投与される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の粒子または複合体を含む組成物は、ステントのストラットまたはステントのコーティングとして用いられてもよい。
一実施形態では、この障害は、対象、例えば、ヒトにおける、腎臓に、例えば、腎臓の障害に関連し、ここでこの方法は、本明細書に記載の粒子または複合体を含む組成物を対象に対してこの障害を治療するのに有効な量で投与して、これによって腎臓疾患に関連する疾患または障害を治療することを包含する。
一実施形態では、腎臓に関連する疾患または障害とは、本明細書に記載される疾患または障害である。例えば、腎臓に関連する疾患または障害は、例えば、急性腎不全、急性腎炎症候群、鎮痛薬性ネフロパシー、粥状塞栓(atheroembolic)腎疾患、慢性腎不全、慢性腎炎、先天性ネフローゼ症候群、末期腎不全、グッドパスチャー症候群、間質性腎炎、腎臓障害、腎感染、腎臓損傷、腎臓結石、ループス腎炎、膜性増殖性GN I、膜性増殖性GN II、膜性ネフロパシー、微少変化群、壊死性糸球体腎炎、腎芽細胞腫、腎石灰症、腎性尿崩症、ネフローゼ(ネフローゼ症候群)、多嚢胞性腎疾患、レンサ球菌感染後のGN、逆流性ネフロパシー、腎動脈塞栓症、腎動脈狭窄症、腎乳頭壊死、I型尿細管性アシドーシス、II型尿細管性アシドーシス、腎臓部の灌流不足、腎静脈血栓症であり得る。
いくつかの態様では、本開示は、疎水性ポリマーに共有結合された治療用のペプチドまたはタンパク質を含んでいる治療用のペプチドまたはタンパク質−疎水性ポリマーの複合体を特徴とし、例えば、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、疎水性ポリマーに対してカルボキシ末端を介して共有結合されるか、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、疎水性ポリマーに対してアミノ末端を介して共有結合されるか、および/またはこの治療用のペプチドまたはタンパク質は、疎水性ポリマーに対して、アミノ酸側鎖を介して共有結合される。
いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、疎水性ポリマーに対して、このポリマーの末端で共有結合される。
いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、この疎水性ポリマーの骨格上のポリマーに対して共有結合される。
いくつかの実施形態では、単一の治療用のペプチドまたはタンパク質は、単一の疎水性ポリマーに対して、共有結合される。他の実施形態では、複数の治療用のペプチドまたはタンパク質は、単一の疎水性ポリマーに対して、共有結合される。
いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、疎水性ポリマーに対して直接、共有結合される(例えば、アミド結合を介して)。いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、疎水性ポリマーに対して、リンカーを介して共有結合される。例示的なリンカーとしては「クリックケミストリー」を用いて形成される部分を含むリンカー(例えば、WO2006/115547に記載されるような)、ならびにアミド、エステル、ジスルフィド、スルフィド、ケタール、スクシナート、オキシム、カルバメート、カーボネート、シリルエーテル、またはトリアゾールを含むリンカー(例えば、アミド、エステル、ジスルフィド、スルフィド、ケタール、スクシナート、またはトリアゾール)が挙げられる。いくつかの実施形態では、このリンカーは、生理学的条件下で切断可能な結合のような官能基を含む。いくつかの実施形態では、このリンカーは、複数の官能基、例えば、生理学的条件下で切断可能な結合を含む。いくつかの実施形態では、このリンカーとしては、官能基、例えば、リンカーの末端でこのリンカーを通じて連結される第一または第二の部分のいずれに対しても直接結合されないが、リンカーに対して内部である、本明細書に記載の結合または官能基が挙げられる。いくつかの実施形態では、このリンカーは、生理学的条件下で加水分解性であるか、このリンカーは、生理学的条件下で酵素的に切断可能であるか、またはこのリンカーは、生理学的条件下で還元され得るジフルフィドを含む。いくつかの実施形態では、このリンカーは、生理学的条件下では切断されず、例えば、このリンカーは、治療用のペプチドまたはタンパク質が活性であるために切断される必要のない十分な長さであり、例えば、このリンカーの長さは、少なくとも約20Å(例えば、少なくとも約24Å)である。
いくつかの実施形態では、この疎水性ポリマーは、末端のヒドロキシル部分を有する。いくつかの実施形態では、この疎水性ポリマーのヒドロキシ末端は修飾される(例えば、官能基と反応することによって)。いくつかの実施形態では、この疎水性ポリマーは、キャッピングされている(例えば、アシル部分で)末端のヒドロキシル部分を有する。
いくつかの実施形態では、この疎水性ポリマーは、末端カルボキシ部分を有する。いくつかの実施形態では、この疎水性ポリマーのカルボキシ末端は、修飾される(例えば、官能基と反応することによって)。
いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質−疎水性ポリマーの複合体の疎水性ポリマーは、以下の特性のうちの1つ以上を有する:
i)この治療用のペプチドまたはタンパク質に結合される疎水性ポリマーは、ホモポリマーまたは2種以上のモノマーサブユニットからできているポリマーであってもよい;
ii)この治療用のペプチドまたはタンパク質に結合される疎水性ポリマーは、約4〜15kDaという重量平均分子量を有する(例えば、6〜12kDa、8〜10kDa);
iii)この疎水性ポリマーは、第一種および第二種のモノマーサブユニットからできており、この治療用のペプチドまたはタンパク質に結合される疎水性ポリマー中の第一種のモノマーサブユニット対第二種のモノマーサブユニットの比は、約15:85または25:75〜約75:25または85:15、例えば、約50:50である;ならびに
iv)この疎水性ポリマーは、PLGAである。
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載される、複数の治療用のペプチドまたはタンパク質−疎水性ポリマーの複合体を含んでいる組成物を特徴とする。いくつかの実施形態では、この組成物は、薬学的組成物である。いくつかの実施形態では、この組成物は、反応混合物である。
いくつかの実施形態では、この組成物は、実質的に非複合体型の治療用のペプチドまたはタンパク質を含まない。
いくつかの実施形態では、この組成物は、実質的に、約500Da未満の分子量を有する疎水性ポリマーを含まない。
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載される治療用のペプチドまたはタンパク質−疎水性ポリマーの複合体を作製する方法を特徴とし、この方法は:
治療用のペプチドまたはタンパク質およびポリマーを提供することと;
この治療用のペプチドまたはタンパク質およびポリマーを、このポリマーに対するこの治療用のペプチドまたはタンパク質の共有結合をもたらす条件に供することと;
を包含する。
いくつかの実施形態では、この方法は、反応混合物中で行われ、例えば、反応混合物は、単一の溶媒を含むか、または反応混合物は、複数の溶媒の溶媒系(例えば、この複数の溶媒は、混和性であり、この溶媒系は、水および極性の溶媒(例えば、DMF、DMSO、アセトン、またはアセトニトリル)を含むか、または、この溶媒系は、二相性である(例えば、有機相および水相を含む))を含んでいる。
いくつかの実施形態では、このポリマーは、不溶性の基質に結合される。
いくつかの実施形態では、この方法は、「クリックケミストリー」を用いる結合の形成を含む(例えば、WO2006/115547に記載されるような)。
いくつかの実施形態では、この方法は、アミド結合、ジスルフィド結合、エステル結合、および/またはトリアゾールの形成を生じる。
いくつかの実施形態では、この疎水性ポリマーは、約1mg/ml未満の水溶性を有する。
いくつかの実施形態では、この疎水性ポリマーは、治療用のペプチドまたはタンパク質に対して、この治療用のペプチドまたはタンパク質のアミノ末端を通じて共有結合される。いくつかの実施形態では、この疎水性ポリマーは、この治療用のペプチドまたはタンパク質に対して、この治療用のペプチドまたはタンパク質のカルボキシ末端を通じて共有結合される。いくつかの実施形態では、この疎水性ポリマーは、この治療用のペプチドまたはタンパク質に対して、この治療用のペプチドまたはタンパク質のアミノ酸側鎖を通じて共有結合される。
いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、このポリマーに対してこの疎水性ポリマーの末端で共有結合される。
いくつかの実施形態では、この疎水性ポリマーは、ヒドロキシルおよび/またはカルボン酸末端を有する。
いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、この疎水性ポリマーの骨格上のポリマーに対して共有結合される。
いくつかの実施形態では、単一の治療用のペプチドまたはタンパク質が、単一の疎水性ポリマーに対して共有結合される。他の実施形態では、複数の治療用のペプチドまたはタンパク質が、単一の疎水性ポリマーに対して共有結合される。
いくつかの実施形態では、この方法は、少なくとも約80%(例えば、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%)という純度を有する治療用のペプチドまたはタンパク質−疎水性ポリマーの複合体を生じる。
いくつかの実施形態では、この方法は、少なくとも約100mgの治療用のペプチドまたはタンパク質−疎水性ポリマーの複合体(例えば、少なくとも約1g)を生じる。
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載される方法によって作製される治療用のペプチドまたはタンパク質−疎水性ポリマーの複合体を特徴とする。
いくつかの態様では、本開示は、治療用のペプチドまたはタンパク質−親水性−疎水性ポリマーの複合体であって、親水性−疎水性ポリマーに対して共有結合された治療用のペプチドまたはタンパク質を含み、ここでこの親水性−疎水性ポリマーが疎水性部分に結合された親水性部分を含む、治療用のペプチドまたはタンパク質−親水性−疎水性ポリマーの複合体を特徴とする。
いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、この親水性−疎水性ポリマーの親水性部分に対して共有結合される。
いくつかの実施形態では、この治療用ペプチドは、この親水性−疎水性ポリマーの疎水性部分に対して共有結合される。
いくつかの実施形態では、この親水性−疎水性ポリマーは、この治療用のペプチドまたはタンパク質に対して、この治療用のペプチドまたはタンパク質のアミノ末端を通じて共有結合されるか、この親水性−疎水性ポリマーは、この治療用のペプチドまたはタンパク質に対して、この治療用のペプチドまたはタンパク質のカルボキシ末端を通じて共有結合されるか、および/またはこの親水性−疎水性ポリマーは、この治療用のペプチドまたはタンパク質に対して、この治療用のペプチドまたはタンパク質のアミノ酸側鎖を通じて共有結合される。
いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、この親水性−疎水性ポリマーに対して、このポリマーの末端で共有結合される。いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、このポリマーに対して、この親水性−疎水性ポリマーの骨格上で共有結合される。
いくつかの実施形態では、単一の治療用のペプチドまたはタンパク質が、単一の親水性−疎水性ポリマーに対して共有結合される。
いくつかの実施形態では、複数の治療用のペプチドまたはタンパク質が、単一の親水性−疎水性ポリマーに対して共有結合され、例えば、治療用のペプチドまたはタンパク質が、この親水性−疎水性ポリマーの親水性部分に対して結合され、かつ治療用のペプチドまたはタンパク質が、この親水性−疎水性ポリマーの疎水性部分に対して結合される。
いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、この疎水性−疎水性ポリマーの疎水性部分に対して直接共有結合される(例えば、アミド結合またはエステル結合を介して)。
いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、この親水性−疎水性ポリマーの親水性部分に対して直接共有結合される(例えば、アミド結合またはエステル結合を介して)。
いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、この親水性−疎水性ポリマーに対してリンカーを介して結合される。例示的なリンカーとしては「クリックケミストリー」を用いて形成される部分を含むリンカー(例えば、WO2006/115547に記載されるような)、ならびにアミド、エステル、ジスルフィド、スルフィド、ケタール、スクシナート、オキシム、カルバメート、カーボネート、シリルエーテル、またはトリアゾールを含むリンカー(例えば、アミド、エステル、ジスルフィド、スルフィド、ケタール、スクシナート、またはトリアゾール)が挙げられる。いくつかの実施形態では、このリンカーは、生理学的条件下で切断可能な結合のような官能基を含む。いくつかの実施形態では、このリンカーは、複数の官能基例えば、生理学的条件下で切断可能な結合を含む。いくつかの実施形態では、このリンカーとしては、官能基、例えば、リンカーの末端でこのリンカーを通じて連結される第一または第二の部分のいずれに対しても直接結合されないが、リンカーに対して内部である、本明細書に記載の結合または官能基が挙げられる。いくつかの実施形態では、このリンカーは、生理学的条件下で加水分解性であるか、このリンカーは、生理学的条件下で酵素的に切断可能であるか、またはこのリンカーは、生理学的条件下で還元され得るジフルフィドを含む。いくつかの実施形態では、このリンカーは、生理学的条件下では切断されず、例えば、このリンカーは、治療用のペプチドまたはタンパク質が活性であるために切断される必要のない十分な長さであり、例えば、このリンカーの長さは、少なくとも約20Å(例えば、少なくとも約24Å)である。
いくつかの実施形態では、この親水性−疎水性ポリマーは、以下の特性のうちの1つ以上を有する:
i)この親水性部分は、約1〜6kDa(例えば、2〜6kDa)という重量平均分子量を有する、
ii)この疎水性ポリマーは、約4〜15kDaという重量平均分子量を有する(例えば、6〜12kDa、8〜10kDa);
iii)この親水性ポリマーはPEGである;
iv)この疎水性ポリマーは第一種および第二種のモノマーサブユニットからできており、かつこの治療用ペプチドに結合された疎水性ポリマー中の第一種のモノマーサブユニット対第二種のモノマーサブユニットの比は、約15:85または25:75〜約75:25または85:15、例えば、約50:50である;ならびに
v)この疎水性ポリマーは、PLGAである。
いくつかの実施形態では、この親水性−疎水性ポリマーの親水性部分の重量平均分子量が約1〜3kDa、例えば、約2kDaである場合、この親水性部分の重量平均分子量の、この疎水性部分に対する重量平均分子量の比は、1:3〜1:7であり、このような親水性部分の重量平均分子量が約4〜6kDa、例えば、約5kDaである場合、この親水性部分の重量平均分子量の、この疎水性部分の重量平均分子量に対する比は、1:1〜1:4である。
いくつかの実施形態では、この親水性−疎水性ポリマーの親水性部分は、約2〜6kDaという重量平均分子量を有し、かつこの疎水性部分は、約8〜13kDaという重量平均分子量を有する。
いくつかの実施形態では、この親水性−疎水性ポリマーの親水性部分は、メトキシで終わる。
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載される複数の治療用のペプチドまたはタンパク質−親水性−疎水性ポリマーの複合体を含む組成物を特徴とする。いくつかの実施形態では、この組成物は、薬学的組成物である。いくつかの実施形態では、この組成物は、反応混合物である。
いくつかの実施形態では、この組成物は、実質的に非複合体型の治療用ペプチドを含まない。
いくつかの実施形態では、この組成物は、実質的に、約500Da未満の分子量を有する親水性−疎水性ポリマーを含まない。
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載される治療用のペプチドまたはタンパク質−親水性−疎水性ポリマーの複合体を作製する方法を特徴とし、この方法は:
治療用のペプチドまたはタンパク質および親水性−疎水性ポリマーを提供することと;
この治療用のペプチドまたはタンパク質および親水性−疎水性ポリマーを、ポリマーに対するこの治療用のペプチドまたはタンパク質の共有結合を達成する条件に供することと、
を包含する。
いくつかの実施形態では、この方法は、反応混合物中で行われ、例えば、この反応混合物は、単一の溶媒を含むか、またはこの反応混合物は、複数の溶媒を含む溶媒系を含む(例えば、この複数の溶媒は、混和性であるか、または、この溶媒系は、二相性である(例えば、有機相および水相を含む))。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのこの治療用ペプチド、タンパク質または親水性−疎水性ポリマーは、不溶性基質に対して結合され、例えば、この親水性−疎水性ポリマーは、不溶性基質に対して結合される。
いくつかの実施形態では、この方法は、「クリックケミストリー」を用いる結合の形成を含む(例えば、WO2006/115547に記載されるような)。
いくつかの実施形態では、この方法は、アミド結合、ジスルフィド結合、エステル結合、および/またはテトラゾールの形成を生じる。
いくつかの実施形態では、この親水性−疎水性ポリマーは、この治療用ペプチドに対して、この治療用のペプチドまたはタンパク質のアミノ末端を通じて共有結合されるか、この親水性−疎水性ポリマーは、この治療用のペプチドまたはタンパク質に対して、この治療用のペプチドまたはタンパク質のカルボキシ末端を通じて共有結合されるか、および/またはこの親水性−疎水性ポリマーは、この治療用のペプチドまたはタンパク質に対して、この治療用のペプチドまたはタンパク質のアミノ酸側鎖を通じて共有結合される。
いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、この疎水性−親水性ポリマーに対して、このポリマーの末端で共有結合される。
いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、この疎水性−親水性ポリマーに対して、このポリマーの親水性部分の上で共有結合される。いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、この疎水性−親水性ポリマーに対して、このポリマーの疎水性部分の上で共有結合される。いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、この疎水性−親水性ポリマーに対してこのポリマーの骨格上で共有結合される。
いくつかの実施形態では、単一の治療用のペプチドまたはタンパク質は、単一の疎水性−親水性ポリマーに対して共有結合される。
いくつかの実施形態では、複数の治療用のペプチドまたはタンパク質は、単一の疎水性−親水性ポリマーに対して共有結合される。いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、この疎水性−親水性ポリマーに対して、このポリマーの親水性部分の上で共有結合されるか、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、この疎水性−親水性ポリマーに対してこのポリマーの疎水性部分の上で共有結合されるか、および/またはこの治療用のペプチドまたはタンパク質は、この疎水性−親水性ポリマーに対してこのポリマーの骨格上で共有結合される。
いくつかの実施形態では、この方法は、少なくとも約80%(例えば、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%)の純度を有する治療用のペプチドまたはタンパク質−親水性−疎水性ポリマーの複合体を生じる。
いくつかの実施形態では、この方法は、少なくとも約100mgの治療用のペプチドまたはタンパク質−疎水性ポリマーの複合体(例えば、少なくとも約1g)を生成する。
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載の方法によって作製される治療用のペプチドまたはタンパク質−親水性−疎水性ポリマーの複合体を特徴とする。
別の態様では、本発明は、複合体、粒子または組成物を保存する方法であって:
このような複合体、粒子または組成物を、容器、例えば、気密性または液密性の容器、例えば、本明細書に記載の容器、例えば、不活性ガス、例えば、アルゴンまたは窒素を頭部空間に充填されている容器中で提供すること;
この複合体、粒子または組成物を、例えば、事前に選択された条件下で、例えば、温度、例えば、本明細書に記載される温度の下で保管することと;
このような容器を第二の位置に移動するか、またはこの容器から、このような複合体、粒子または組成物の全てもしくはアリコートを取り出すことと;
を包含する、方法を特徴とする。
ある実施形態では、この複合体、粒子または組成物は、例えば、治療用のペプチドまたはタンパク質の安定性または活性、物理的特性、例えば、色、凝集、流れるかもしくは注がれる能力、または粒子のサイズもしくは電荷を評価される。この評価は、標準に対して比較されてもよく、必要に応じて、この標準に対応して、この複合体、粒子または組成物が分類される。
ある実施形態では、複合体、粒子または組成物は、再構成された処方物として保管される(例えば、液体中に、溶液または懸濁物として)。
一態様では、タンパク質が、上記の任意の態様および実施形態における治療用のペプチドの代わりに用いられてもよい。本明細書において用いられる「タンパク質」は、100個を超えるアミノ酸を有し、例えば、このタンパク質は、少なくとも110アミノ酸長である。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
粒子であって、
a)複数の疎水性ポリマー;
b)複数の親水性−疎水性ポリマー;および
c)複数の治療用ペプチドまたはタンパク質
を含む粒子であって、前記複数の治療用ペプチドまたはタンパク質のうちの少なくとも一部分がa)の疎水性ポリマーまたはb)の親水性−疎水性ポリマーのいずれかと共有結合される、粒子。
(項目2)
a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部分がc)の治療用ペプチドまたはタンパク質と共有結合されない項目1記載の粒子。
(項目3)
a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部分がc)の治療用ペプチドまたはタンパク質と共有結合される項目1〜2のいずれかに記載の粒子。
(項目4)
c)の治療用ペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部分が、リンカーを介して疎水性ポリマーと共有結合される項目1〜3のいずれかに記載の粒子。
(項目5)
a)の疎水性ポリマーの少なくとも一部分が、治療用ペプチドまたはタンパク質のアミノ酸側鎖を介してc)の治療用ペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部分と共有結合される項目1〜4のいずれかに記載の粒子。
(項目6)
b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部分がc)の治療用ペプチドまたはタンパク質と共有結合される項目1〜5のいずれかに記載の粒子。
(項目7)
b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部分がc)の治療用ペプチドまたはタンパク質と直接的に共有結合される項目1〜6のいずれかに記載の粒子。
(項目8)
c)の治療用ペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部分が、リンカーを介してb)の親水性−疎水性ポリマーと共有結合される項目1〜7のいずれかに記載の粒子。
(項目9)
b)の親水性−疎水性ポリマーの少なくとも一部分が、治療用ペプチドまたはタンパク質のアミノ酸側鎖を介してc)の治療用ペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部分と共有結合される項目1〜8のいずれかに記載の粒子。
(項目10)
複数の付加的治療用ペプチドまたはタンパク質をさらに含む項目1〜9のいずれかに記載の粒子であって、前記付加的治療用ペプチドまたはタンパク質がc)の治療用ペプチドまたはタンパク質とは異なる粒子。
(項目11)
前記複数の付加的治療用ペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部分がa)の疎水性ポリマーおよび/またはb)の親水性−疎水性ポリマーのいずれかの少なくとも一部分と結合される項目1〜10のいずれかに記載の粒子。
(項目12)
対イオンをさらに含む項目1〜11のいずれかに記載の粒子。
(項目13)
粒子であって、
a)任意に、複数の疎水性ポリマー;
b)複数の親水性−疎水性ポリマー複合体(この場合、前記親水性−疎水性ポリマー複合体は、荷電ペプチドまたは荷電タンパク質と結合される親水性−疎水性ポリマーを含む);および
c)複数の荷電治療用ペプチドまたは荷電タンパク質(この場合、前記治療用ペプチドまたはタンパク質の電荷は、前記親水性−疎水性ポリマーと複合体化されるペプチドまたはタンパク質の電荷と逆の電荷である)であって、前記荷電治療用ペプチドまたはタンパク質が、前記親水性−疎水性ポリマー複合体の荷電ペプチドまたは荷電タンパク質との非共有結合(例えばイオン結合)を形成する、複数の荷電治療用ペプチドまたは荷電タンパク質、を含む粒子。
(項目14)
疎水性ポリマーを実質的に有さない項目13記載の粒子。
(項目15)
b)の前記複合体の前記疎水性−親水性ポリマーが、リンカーを介して前記荷電ペプチドと共有結合される項目13または14記載の粒子。
(項目16)
a)の前記疎水性ポリマーの少なくとも一部分が乳酸およびグリコール酸のコポリマー(すなわちPLGA)である項目1〜15のいずれかに記載の粒子。
(項目17)
a)の前記疎水性ポリマーの一部分が約50:50の比率の乳酸対グリコール酸を有するPLGAである項目16記載の粒子。
(項目18)
b)の前記親水性−疎水性ポリマーの疎水性部分が乳酸およびグリコール酸のコポリマー(すなわちPLGA)を含む項目1〜17のいずれかに記載の粒子。
(項目19)
b)の前記親水性−疎水性ポリマーの疎水性部分が約50:50の比率の乳酸対グリコール酸を有するPLGAを含む項目18記載の粒子。
(項目20)
b)の前記親水性−疎水性ポリマーの親水性部分がPEGを含む項目1〜19のいずれかに記載の粒子。
(項目21)
前記治療用ペプチドが約2〜約60のアミノ酸残基を含む項目1〜20のいずれかに記載の粒子。
(項目22)
前記治療用ペプチドまたはタンパク質が本明細書中に記載される治療用ペプチドまたはタンパク質から選択される項目1〜21のいずれかに記載の粒子。
(項目23)
界面活性剤をさらに含む項目1〜22のいずれかに記載の粒子。
(項目24)
直径が約200nm未満(例えば約150nm未満)である項目1〜23のいずれかに記載の粒子。
(項目25)
そのゼータ電位が約−20〜約+20mV(例えば、約−5〜約+5mV)である項目1〜24のいずれかに記載の粒子。
(項目26)
粒子であって、
a)複数の疎水性ポリマー;
b)複数の親水性−疎水性ポリマー;および
c)タンパク質であって、前記タンパク質がa)の疎水性ポリマーまたはb)の親水性−疎水性ポリマーと共有結合される、タンパク質を含む、粒子。
(項目27)
前記項目のいずれかに記載の複数の粒子を含む組成物。
(項目28)
前記項目のいずれかに記載の複数の粒子または前記項目のいずれかに記載の組成物を含むキット。
(項目29)
前記項目のいずれかに記載の複数の粒子または前記項目のいずれかに記載の組成物を含む単一投薬単位。
(項目30)
障害を有する対象の治療方法であって、有効量の前記項目のいずれかに記載の粒子または前記項目のいずれかに記載の組成物を前記対象に投与することを包含する方法。
(項目31)
疎水性ポリマーと共有結合される治療用ペプチドを含む治療用ペプチド−疎水性ポリマー複合体、または疎水性ポリマーと共有結合されるタンパク質を含むタンパク質−疎水性ポリマー複合体。
(項目32)
前記治療用ペプチドまたはタンパク質が治療用ペプチドまたはタンパク質のカルボキシ末端を介して疎水性ポリマーと共有結合される項目31記載の治療用ペプチド−疎水性ポリマー複合体またはタンパク質−疎水性ポリマー複合体。
(項目33)
前記治療用ペプチドまたはタンパク質が治療用ペプチドまたはタンパク質のアミノ末端を介して疎水性ポリマーと共有結合される項目31記載の治療用ペプチド−疎水性ポリマー複合体またはタンパク質−疎水性ポリマー複合体。
(項目34)
前記治療用ペプチドまたはタンパク質が治療用ペプチドまたはタンパク質のアミノ酸側鎖を介して疎水性ポリマーと共有結合される項目31記載の治療用ペプチド−疎水性ポリマー複合体またはタンパク質−疎水性ポリマー複合体。
(項目35)
前記治療用ペプチドまたはタンパク質がポリマーの末端で疎水性ポリマーと共有結合される項目31〜34のいずれかに記載の治療用ペプチド−疎水性ポリマー複合体またはタンパク質−疎水性ポリマー複合体。
(項目36)
前記治療用ペプチドまたはタンパク質が疎水性ポリマーの主鎖に沿ってポリマーと共有結合される項目31〜34のいずれかに記載の治療用ペプチド−疎水性ポリマー複合体またはタンパク質−疎水性ポリマー複合体。
(項目37)
前記治療用ペプチドまたはタンパク質が、リンカーを介して疎水性ポリマーと共有結合される項目31〜36のいずれかに記載の治療用ペプチド−疎水性ポリマー複合体またはタンパク質−疎水性ポリマー複合体。
(項目38)
項目31〜37のいずれかに記載の複数の治療用ペプチド−疎水性ポリマー複合体またはタンパク質−疎水性ポリマー複合体を含む組成物。
(項目39)
項目31記載の治療用ペプチド−疎水性ポリマー複合体またはタンパク質−疎水性ポリマー複合体の製造方法であって、
治療用ペプチドまたはタンパク質、およびポリマーを提供すること;および
前記治療用ペプチドまたはタンパク質およびポリマーを、ポリマーとの治療用ペプチドまたはタンパク質の共有結合をもたらす条件に付すこと
を包含する方法。
(項目40)
親水性−疎水性ポリマーと共有結合される治療用ペプチドまたはタンパク質を含む治療用ペプチド−親水性−疎水性ポリマー複合体またはタンパク質−親水性−疎水性ポリマー複合体であって、疎水性部分と結合される親水性部分を含む親水性−疎水性ポリマー。
(項目41)
前記治療用ペプチドまたはタンパク質が前記親水性−疎水性ポリマーの親水性部分と結合される項目40記載の治療用ペプチド−親水性−疎水性ポリマー複合体またはタンパク質−親水性−疎水性ポリマー複合体。
(項目42)
前記治療用ペプチドまたはタンパク質が前記親水性−疎水性ポリマーの疎水性部分と結合される項目40記載の治療用ペプチド−親水性−疎水性ポリマー複合体またはタンパク質−親水性−疎水性ポリマー複合体。
(項目43)
前記親水性−疎水性ポリマーが、前記治療用ペプチドまたはタンパク質のアミノ末端を介して前記治療用ペプチドまたはタンパク質と共有結合される項目40〜42のいずれかに記載の治療用ペプチド−親水性−疎水性ポリマー複合体またはタンパク質−親水性−疎水性ポリマー複合体。
(項目44)
前記親水性−疎水性ポリマーが、前記治療用ペプチドまたはタンパク質のカルボキシ末端を介して前記治療用ペプチドまたはタンパク質と共有結合される項目40〜42のいずれかに記載の治療用ペプチド−親水性−疎水性ポリマー複合体またはタンパク質−親水性−疎水性ポリマー複合体。
(項目45)
前記親水性−疎水性ポリマーが、前記治療用ペプチドまたはタンパク質のアミノ酸側鎖を介して前記治療用ペプチドまたはタンパク質と共有結合される項目40〜42のいずれかに記載の治療用ペプチド−親水性−疎水性ポリマー複合体またはタンパク質−親水性−疎水性ポリマー複合体。
(項目46)
前記治療用ペプチドまたはタンパク質が、リンカーを介して前記親水性−疎水性ポリマーと結合される項目40〜45のいずれかに記載の治療用ペプチド−親水性−疎水性ポリマー複合体またはタンパク質−親水性−疎水性ポリマー複合体。
(項目47)
項目40〜46のいずれかに記載の複数の治療用ペプチド−親水性−疎水性ポリマー複合体またはタンパク質−親水性−疎水性ポリマー複合体を含む組成物。
(項目48)
項目40記載の治療用ペプチド−親水性−疎水性ポリマー複合体またはタンパク質−親水性−疎水性ポリマー複合体の製造方法であって、
治療用ペプチドまたはタンパク質および親水性−疎水性ポリマーを提供すること;および
前記治療用ペプチドまたはタンパク質および親水性−疎水性ポリマーを、ポリマーとの治療用ペプチドまたはタンパク質の共有結合をもたらす条件に付すこと
を包含する方法。
(項目49)
項目31〜37または40〜46のいずれかに記載の複合体、項目1〜26のいずれかに記載の粒子、あるいは項目27、38または47のいずれかに記載の組成物の保存方法であって、
(a)容器中に前記複合体、粒子または組成物を提供すること;
(b)前記複合体、粒子または組成物を保存すること;および
(c)前記容器を第二の場所に移動するかまたは前記複合体、粒子または組成物の全部またはアリコートを前記容器から取り出すこと
を包含する方法。
(項目50)
保存される前記複合体、粒子または組成物が再構成処方物である項目49記載の方法。
詳細な説明
本発明は、その適用において、以下の詳細な説明に示されるか、または図面に例示される、構築物および構成要素の配置の詳細に限定されない。本発明は、他の実施形態であってもよく、かつ種々の方法で、実施されるかまたは遂行されてもよい。本明細書で用いられる語法および用語はまた、説明目的のためであって、限定するとしてみなされるべきではない。本明細書における「〜を含むこと、〜を包含すること(including)」、「〜を含むこと、〜を備えること(comprising)」、または「〜を有すること(having)」、「〜を含有すること(containing)」、「〜を包含すること(involving)」およびそれらの変形の使用は、その後に列挙される項目およびそれらの等価物、ならびに追加的な項目を包含することを意図する。
粒子、複合体(例えば、治療用のペプチド−ポリマーの複合体およびタンパク質−ポリマーの複合体)および組成物が本明細書に記載される。また、複合体、粒子、および組成物を含む剤形;(例えば、障害を治療するために)この複合体、粒子、および組成物を用いる方法;この複合体、粒子、および組成物を備えるキット;この複合体、粒子、および組成物を製造する方法;この複合体、粒子、および組成物を保管する方法;ならびにこの複合体、粒子および組成物を分析する方法もまた開示される。
見出し、および他の識別子、例えば、(a)、(b)、(i)などは、単に本明細書および特許請求の範囲を読むことを容易にするために示す。本明細書または特許請求の範囲における見出しまたは他の識別子の使用では、このステップまたは要素が、アルファベット順、または数字順、または示される順序で行われることを必要とはしない。
定義
本明細書で使用する場合、「大気条件」という用語は、別段示さない限り、約1大気圧、50%の相対湿度、および約25℃の周囲条件を指す。
「アニオン性(陰イオン性)部分」という用語は、3、2、1もしくは0未満のpKaおよび/または以下の条件のうちの少なくとも1つにおいて陰性電荷を有する部分を指す:本明細書に記載される粒子の生成の間、本明細書に記載される粒子に処方されたとき、または対象に対する本明細書に記載の粒子の投与に続く、例えば、対象における循環の間、および/もしくはエンドソームにおける循環の間。アニオン性部分としては、ポリマー種、例えば、2つ以上の電荷を有する部分が挙げられる。
「アニオン性ポリマー」という用語は、例えば、本明細書に記載される粒子に処方された場合、複数の負の電荷(すなわち、上で記載される条件のうち少なくとも1つのもとで少なくとも2)を有するアニオン性部分を指す。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマーは、少なくとも3、4、5、10、15、または20の負の電荷を有する。
第一部分の第二部分に対する関係、例えば、ポリマーに対する治療用ペプチドの結合に関して本明細書において用いる場合、「結合する」という用語は、第一部分と第二部分の間の共有結合の形成を指す。同じ文脈で、「結合」という名詞は、第一部分と第二部分の間の共有結合を指す。例えば、ポリマーに結合された治療用のペプチドは、ポリマー(例えば、本明細書に記載される疎水性ポリマー)に共有結合された治療用のペプチドである。結合は、例えば、第一部分の第二部分への直接的な結合を通じての直接的な結合であってもよく、またはリンカーを通じてであってもよい(例えば、第一部分と第二部分の間に配置される1つ以上の原子の共有結合鎖を通じて)。例えば、リンカーを通じて結合する場合、第一部分(例えば、薬物)は、リンカーに共有結合し、次にこのリンカーが第二部分(例えば、本明細書に記載される疎水性ポリマー)に共有結合される。
「生分解性」という用語は、使用中に分解することを意図している、本明細書で記載のような、ポリマー、組成物、および処方物を包含する。生分解性ポリマーは典型的には、これが使用中に分解され得るという点で、非性分解性ポリマーとは異なる。特定の実施形態において、このような使用は、インビボ治療法などのインビボでの用途を包含し、他の特定の実施形態において、このような用途はインビトロでの用途を包含する。一般に、生分解性に起因する分解は、生分解性ポリマーの、その構成要素サブユニットへの分解、またはポリマーのより小さな非ポリマーサブユニットへの、例えば生化学的プロセスによる消化を包含する。特定の実施形態において、2つの異なる種類の生分解が一般に特定され得る。例えば、1種類の生分解は、ポリマー骨格における結合(共有結合であろうと他の結合であろうと)の切断が関与し得る。このような生分解において、モノマーおよびオリゴマーが典型的には結果として生じ、さらにより典型的には、このような生分解は、ポリマーのサブユニットの1つ以上を結合する結合の切断によって生じる。対照的に、別の種類の生分解は、側鎖に対して内部の、または側鎖をポリマー骨格に結合する結合(共有結合であろうと他の結合であろうと)の切断と関与し得る。特定の実施形態では、その生分解の1つもしくは他方、またはその両方の一般的な種類が、ポリマーの使用の間に生じ得る。
本明細書で使用する場合、「生分解」という用語は、上記の生分解の両方の一般的な種類を包含する。生分解ポリマーの分解速度は、任意の分解に寄与する連結の化学的性質が何であるか、このようなポリマーの分子量、結晶化度、生体安定性(biostability)、および架橋度、ポリマーの物理的特徴(例えば、形状および大きさ)、ポリマーもしくは粒子の集合、ならびに投与の様式および位置を含む、種々の因子に一部は依存する場合が多い。例えば、より大きな分子量、より高い結晶化度、および/またはより大きな生体安定性は通常、より遅い生分解をもたらす。
「カチオン性部分」という用語は、pKa5以上(例えば、5以上のpKaを有するルイス塩基)および/または以下の条件のうちの少なくとも1つで陽性電荷を有する部分を指す:本明細書に記載される粒子の生成の間、本明細書に記載される粒子に処方されたとき、または対象に対する本明細書に記載の粒子の投与に続く、例えば、対象における循環の間、および/もしくはエンドソームにおける循環の間。例示的なカチオン性部分としては、アミン含有部分(例えば、荷電されたアミン部分、例えば、四級アミン)、グアニジン含有部分(例えば、荷電されたグアニジン、例えば、グアニジニウム部分)、および複素環式および/または複素環式芳香族部分(例えば、荷電部分、例えば、ピリジニウムまたはヒスチジン部分)が挙げられる。カチオン性部分としては、ポリマー種、例えば、2つ以上の電荷を有する部分(例えば、ある部分(例えば、カチオン性PVAおよび/またはポリアミン)の反復する存在によって寄与される)が挙げられる。カチオン性部分としてはまた、陽性荷電および陰性荷電の両方を有する化合物(例えば、アミノ酸、例えば、アルギニン、リジン、またはヒスチジン)を意味する双性イオンを包含する。
「カチオン性ポリマー」という用語、例えば、ポリアミンは、例えば、本明細書に記載される粒子に処方された場合、複数の正の電荷(すなわち、上記の条件のうち少なくとも1つのもとで少なくとも2)を有するポリマー(ポリマーという用語は、本明細書で下に記載される)を指す。いくつかの実施形態では、カチオン性ポリマー、例えば、ポリアミンは、少なくとも3、4、5、10、15、または20の正の電荷を有する。
「生理学的条件下で切断可能」という句は、生理学的な条件に供された場合、約50または約100時間未満の半減期を有する結合を指す。例えば、酵素分解は、生理学的条件(例えば、約4〜約8のpH、および約25℃〜約37℃の温度を有する水溶液)に対する暴露の際、約5年、1年、6カ月、3カ月、1カ月、15日、5日、3日、または1日未満の期間にわたって生じ得る。
「有効量」または「有効な量」とは、細胞を処置し、または障害の症状を治癒させ、緩和させ、軽減し、または改善する上での対象への単回または複数回の用量の投与の際に有効な治療用のペプチド−ポリマーの複合体、粒子または組成物の量を指す。治療用のペプチド−ポリマーの複合体、粒子または組成物の有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに個体における所望の応答を誘発させる化合物の能力などの要因に応じて変動し得る。有効量とはまた、治療用のペプチド−ポリマーの複合体、粒子または組成物の任意の毒性のまたは有害な効果を、治療的に有益な効果が上回るものでもある。
本明細書で使用する場合、「封入する、組み込む(embed)」という用語は、第一部分と第二部分との、例えば、治療用のペプチドとポリマー(例えば、治療剤または診断剤および疎水性ポリマー)との間の非共有結合性の相互作用の形成による、第二の部分とのまたは第二の部分内の第一部分の配置を指す。ある実施形態では、粒子内に封入された部分を指す場合、その部分(例えば、治療用のペプチドまたは対イオン部分)は、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、水素結合、双極子間相互作用、イオン相互作用、およびπスタッキング(pi stacking)などの1つ以上の非共有結合性相互作用を通じてポリマーまたは粒子の他の成分と結合し、この部分とポリマーまたは粒子の他の成分との間の共有結合は、存在しない。封入された部分は、これが封入されるポリマーまたは粒子によって完全にまたは部分的に取り囲まれ得る。
本明細書において用いる場合、「疎水性」という用語は、生理学的イオン強度で水溶液に約0.05mg/mL未満(例えば、約0.01mg/mL以下)の程度までしか溶解することのできない部分を指す。
本明細書において用いる場合、「親水性」という用語は、生理学的なイオン強度で水溶液において少なくとも約0.05mg/mL以上の溶解度を有する部分を指す。
本明細書において用いる場合、「親水性−疎水性ポリマー」という用語は、疎水性部分に対して結合された親水性部分を含むポリマーを指す。例示的な親水性−疎水性ポリマーとしては、例えば、親水性ポリマーのブロックおよび疎水性ポリマーのブロックを含んでいるブロック−コポリマーが挙げられる。
本明細書において用いる場合、「ヒドロキシ保護基」とは、当該分野で周知であり、かつその内容全体が参照により本明細書に援用されるProtecting Groups in Organic Synthesis,T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts,第3版,John Wiley & Sons,1999において詳細に説明されたものを含む。適切なヒドロキシ保護基としては、例えば、アシル(例えば、アセチル)、トリエチルシリル(TES)、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル(Troc)、およびカルボベンジルオキシ(Cbz)が挙げられる。
本明細書において用いる場合、「不活性雰囲気」とは、本明細書に記載されるポリマー−薬剤の複合体、粒子、組成物または混合物と化学的に反応しない不活性ガスから主として構成される雰囲気を指す。不活性ガスの例は、窒素(N2)、ヘリウム、およびアルゴンである。
本明細書において用いる場合、「リンカー」とは、2つ以上の部分(例えば、治療用のペプチドまたは対イオンおよびポリマー、例えば、疎水性または親水性−疎水性または親水性のポリマー)を一緒に接続する部分である。リンカーは少なくとも2つの官能基を有する。例えば、2つの官能基を有するリンカーは、治療用のペプチド、対イオン、疎水性部分(例えば、本明細書に記載のポリマーまたは親水性−疎水性ポリマー)のような部分の上の官能基と反応し得る第一の官能基と、治療用ペプチド、対イオン、疎水性部分(例えば、本明細書に記載のポリマー、または親水性−疎水性ポリマー)のような第二の部分上の官能基と反応し得る第二の官能基とを有し得る。
リンカーは、3つ以上の官能基(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれより多くの官能基)を有してもよく、この官能基は、例えば複数の剤をポリマーに連結するように、またはリンカー内に生体切断性(biocleavable)部分を提供するように、用いられ得る。いくつかの実施形態では、例えば、リンカーが、3つ以上の官能基を有し、例えば、このリンカーは、第一の部分を第二の部分に接続する2つの官能基に加えて、官能基を含み、この追加の官能基(例えば、第三の官能基)は、第一の基と第二の基との間に位置してもよく、いくつかの実施形態では、例えば、生理学的条件下で切断され得る。例えば、リンカーは、
の形態であってもよく、式中、f1は、第一の官能基、例えば、治療用のペプチドまたはタンパク質、対イオン、疎水性部分(例えば、ポリマー、例えば、本明細書に記載の疎水性ポリマー)、または親水性−疎水性部分(例えば、本明細書に記載の親水性−疎水性ポリマー)のような部分の上の官能基と反応し得る官能基であり、f2は、第二の官能基、例えば、本明細書に記載の治療用のペプチドもしくはタンパク質または本明細書に記載の対イオンのような第二の部分上の官能基と反応し得る官能基であり;f3は、生体切断性官能基、例えば、本明細書に記載される生体切断性の結合であり、
は、官能基、例えば、アルキレン(二価のアルキル)基を接続するスペーサーであり、ここで必要に応じて、アルキレンリンカーの1つ以上の炭素原子が、1つ以上のヘテロ原子(例えば、以下の基のうちの1つ以上を生じる:チオエーテル、アミノ、エステル、エーテル、ケト、アミド、シリルエーテル、オキシム、カルバメート、カーボネート、ジスルフィド、複素環式、または複素環式芳香族)で置換されている。文脈に応じて、リンカーとは、第一の部分もしくは第二の部分(例えば、治療用のペプチドもしくはポリマー)のいずれかへの結合の前のリンカー部分、1つの部分へ結合した後だが、第二の部分への結合の前のリンカー部分、または第一および第二の部分の両方に結合した後に存在するリンカーの残基を指す場合がある。
本明細書において用いる場合、「凍結保護剤」という用語は、凍結乾燥した調製物中に存在する物質を指す。典型的には、凍結保護剤は、凍結乾燥加工前に存在し、結果として生じる凍結乾燥した調製物において持続して存在する。典型的には、凍結保護剤は、粒子の形成後に添加される。例えば、粒子の形成と凍結乾燥との間に、濃縮ステップが存在する場合、凍結保護剤は、この濃縮ステップの前に添加されても後に添加されてもよい。凍結保護剤は、凍結乾燥中に、粒子を保護するために、例えば、凝集、粒子の崩壊、および/または他の種類の損傷を低減または防止するために、用いられてもよい。ある実施形態では、凍結保護剤は、抗凍結剤(cryoprotectant)である。
ある実施形態では、凍結保護剤は、炭水化物である。本明細書において用いる場合、「炭水化物」という用語は、単糖類、二糖類、オリゴ糖類、および多糖類を指し、かつ包含する。
ある実施形態では、凍結保護剤は単糖である。本明細書において用いる場合、「単糖」という用語は、より単純な炭水化物単位へと加水分解できない単一の炭水化物単位(例えば、単純な糖)を指す。例示的な単糖凍結保護剤としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、キシロース、リボースなどが挙げられる。
ある実施形態では、凍結保護剤は、二糖である。本明細書において用いる場合、「二糖」という用語は、グリコシド連鎖を通じて、例えば、1−4の連鎖または1−6の連鎖を通じて一緒に結合される2個の単糖単位によって形成される化合物または化学部分を指す。二糖は、2つの単糖類へと加水分解され得る。例示的な二糖凍結保護剤としては、スクロース、トレハロース、ラクトース、マルトースなどが挙げられる。
ある実施形態では、凍結保護剤は、オリゴ糖である。本明細書において用いる場合、「オリゴ糖」という用語は、グリコシド連鎖を通じて、例えば1−4の連鎖または1〜6の連鎖を通じて一緒に結合されて、直鎖の、分岐鎖の、または環状の構造を形成する3〜約15の、好ましくは3〜約10の単糖単位によって形成される化合物または化学部分を指す。例示的なオリゴ糖凍結保護剤としては、シクロデキストリン、ラフィノース、メレチトース、マルトトリオース、スタキオースアカルボース、などが挙げられる。オリゴ糖は、酸化されてもよいし、または還元されてもよい。
ある実施形態では、凍結保護剤は、環状オリゴ糖である。本明細書において用いる場合、「環状オリゴ糖」という用語は、グリコシド連鎖を通じて、例えば、1〜4の連鎖、または1−6の連鎖を通じて、一緒に結合されて環状構造を形成する3〜約15、好ましくは6、7、8、9、または10の単糖単位によって形成される化合物または化学部分を指す。例示的な環状オリゴ糖凍結保護剤としては、αシクロデキストリン、βシクロデキストリン、またはγシクロデキストリンなどの別々の化合物である環状オリゴ糖類が挙げられる。
他の例示的な環状オリゴ糖凍結保護剤としては、環状オリゴ糖部分を含むポリマーなど、より大きな分子構造におけるシクロデキストリン部分を含む化合物が挙げられる。環状オリゴ糖は、酸化されても、または還元されてもよく、例えば酸化されてジカルボニルの形態となってもよい。本明細書において用いる場合、「シクロデキストリン部分」という用語は、ポリマーなど、より大きな分子構造へと組み込まれた、またはその一部であるシクロデキストリン(例えば、α、β、またはγシクロデキストリン)基を指す。シクロデキストリン部分は、直接的にまたは任意のリンカーを通じて1つ以上の他の部分に結合することができる。シクロデキストリン部分は、酸化されてもまたは還元されてもよく、例えば、酸化されてジカルボニルの形態となってもよい。
炭水化物の凍結保護剤、例えば、環状オリゴ糖凍結保護剤は、誘導体化された炭水化物であってもよい。例えば、ある実施形態では、凍結保護剤は、誘導体化された環状オリゴ糖、例えば、誘導体化されたシクロデキストリン、例えば、2ヒドロキシプロピル−βシクロデキストリン、例えば、その内容が参照により本明細書に援用されている米国特許第6,407,079号において開示される、部分的にエーテル化したシクロデキストリン(例えば、部分的にエーテル化したβシクロデキストリン)である。誘導体化されたシクロデキストリンの別の例は、β−シクロデキストリンスルホブチルエーテルナトリウムである。
例示的な凍結保護剤は、多糖である。本明細書において用いる場合、「多糖」という用語は、グリコシド連鎖を通じて、例えば、1−4の連鎖、または1−6の連鎖を通じて一緒に結合されて、直鎖の、分岐鎖の、または環状の構造を形成し、その骨格構造の一部として多糖類を含むポリマーを包含する少なくとも16の単糖単位によって形成される化合物または化学部分を指す。骨格において、多糖は、直鎖であってもまたは環状であってもよい。例示的な多糖保護剤としては、グリコーゲン、アミラーゼ、セルロース、デキストラン、マルトデキストリンなどが挙げられる。
「誘導体化された炭水化物」という用語は、該当の誘導体化していない炭水化物とは少なくとも1つの原子が異なる実体を指す。例えば、誘導体化していない炭水化物に存在する−OHの替わりに、誘導体化された炭水化物は−OXを有してもよく、この式中で、XはH以外である。誘導体は、化学的機能化および/または置換を通じて、あるいは新規合成を通じて得てもよく、「誘導体」という用語は、過程に基づく限定を意味することはない。
いくつかの実施形態では、凍結保護剤は、還元糖アルコール、例えば、マンニトールなどである。
「ナノ粒子」という用語は、任意の1つの寸法の大きさ(例えば、x、y、およびzのデカルト寸法)が約1マイクロメーター(ミクロン)未満、例えば、約500nm未満、または約200nm未満、または約100nm未満、かつ約5nm超である材料の構造を指すために本明細書で用いられる。ある実施形態では、この大きさは、70nm未満であるが、約20nmよりは大きい。ナノ粒子は、種々の幾何学的形状、例えば、球状、楕円体などを有することができる。「ナノ粒子(nanoparticles)」という用語は、「ナノ粒子(nanoparticle)」という用語の複数形として用いられる。
本明細書において用いる場合、「粒子多分散指数(PDI)」または「粒子多分散性」とは、粒子の大きさの分布の幅を指す。粒子のPDIは、PDI=2a2/a1 2の等式から算出することができ、式中、a1は、強度により加重されたZ平均サイズを算出するために用いられる第一の累積率またはモーメントであり、a2は、多分散指数(PdI)として定義されるパラメータを算出するために用いられる第二のモーメントである。1の粒子PDIは、理論的最大値であり、完全に平らなサイズ分布プロットであろう。本明細書で説明される粒子の組成物は、0.5未満、0.4未満、0.3未満、0.2未満、または0.1未満という粒子PDIを有し得る。
本明細書において用いる場合、「薬学的に許容される担体またはアジュバント」とは、本明細書に記載のポリマー−薬剤の複合体、粒子、または組成物とともに患者に投与され得、その薬理学的活性を破壊せず、治療量の粒子を送達するのに十分な用量で投与される場合に非毒性である担体またはアジュバントを指す。薬学的に受容可能な担体として機能することのできる材料のいくつかの例としては、以下が挙げられる:(1)ラクトース、グルコース、マンニトール、およびスクロースなどの糖類;(2)トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;(3)カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロースなどのセルロースおよびその誘導体;(4)トラガカント粉末;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)滑石;(8)ココアバターおよび坐剤用ワックスなどの賦形剤;(9)ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびダイズ油などの油;(10)プロピレングリコールなどのグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコールなどのポリオール;(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)発熱物質非含有水(パイロジェンフリーの水);(17)等張性生理食塩水;(18)リンゲル溶液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝溶液;ならびに(21)薬学的組成物において採用される他の非毒性適合性物質。
本明細書において用いる場合、「ポリマー」という用語は、当該分野で使用される通常の意味、すなわち、共有結合によって接続される1つ以上の反復単位(モノマー)を特徴とする分子構造という意味を与えられる。反復ユニットは、すべて同一であり得、またはいくつかの場合、ポリマー内に2種類以上の反復単位が存在してもよい。ポリマーは、天然であっても、または天然でない(合成の)ポリマーであってもよい。ポリマーは、2つ以上のモノマーを含んでいるホモポリマーであっても、またはコポリマーであってもよい。ポリマーは直鎖であっても、または分岐されてもよい。
2種以上の反復単位がポリマー内に存在するならば、このポリマーはいわば「コポリマー」である。ポリマーを使用する任意の実施形態において、採用されるポリマーはコポリマーであってもよいことが理解されるべきである。コポリマーを形成する反復単位は、任意の様式で配置され得る。例えば、反復単位は、ランダムな順序で、交互の順序で、または「ブロック」コポリマーとして、すなわち、第一の反復単位(例えば、第一のブロック)を各々含む1つ以上の領域、および第二の反復単位(例えば第二のブロック)を各々含む1つ以上の領域、などを含んで配置されてもよい。ブロックコポリマーは、2個(ジブロックコポリマー)、3個(トリブロックコポリマー)、またはそれより多数の別個のブロックを有してもよい。配列の点で、コポリマーは、ランダム、ブロックであってもよく、またはランダムおよびブロックの配列の組み合わせを含んでもよい。
いくつかの場合、ポリマーは、生物から得られ、すなわち、生体高分子である。生体高分子の非限定的な例としては、ペプチドもしくはタンパク質(すなわち、種々のアミノ酸のポリマー)またはDNAもしくはRNAなどの核酸が挙げられる。
本明細書において用いる場合、「ポリマー多分散指数(PDI)」または「ポリマー多分散性」とは、所与のポリマー試料における分子質量の分布を指す。算出されたポリマーPDIは、重量平均分子量を数平均分子量で割ったものである。ポリマーPDIは、ポリマーのバッチにおける個々の分子質量の分布を示す。ポリマーPDIは、典型的には1より大きい値を有するが、ポリマー鎖が均一の鎖の長さに近づくと、PDIは均一(1)に近づく。
本明細書において用いる場合、対象への薬剤の投与の文脈で用いられる「予防する」または「予防すること」という用語は、対象に投与計画、例えば、ポリマー−薬剤の複合体、粒子、または組成物の投与を与えて、その結果、障害の少なくとも1つの症状の発症が、この投与計画の不在下でみられるであろうものと比較して遅延されることを指す。
本明細書において用いる場合、「タンパク質」という用語は、100個以上のアミノ酸を有する複数の連結されたアミノ酸を指す。例えば、このタンパク質は、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、220、240、260、280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500またはそれ以上のアミノ酸長であってもよい。タンパク質としては、例えば、アダプタータンパク質、抗体、炭水化物結合タンパク質、担体タンパク質、細胞周期タンパク質、ケモカイン類、染色体タンパク質、コラーゲン、サイトカイン、線維性タンパク質、増殖因子、熱ショックタンパク質、インターフェロン類、癌遺伝子タンパク質、プロテアーゼ類、ユビキチン類、ジンクフィンガータンパク質およびそれらのフラグメントが挙げられる。
本明細書において用いる場合、「対象」という用語は、ヒトおよび非ヒト動物を含むことを意図する。例示的なヒト対象は、障害、例えば、本明細書で説明される障害を有するヒト患者、または健常な対象を含む。「非ヒト動物」という用語には、すべての脊椎動物、例えば、非哺乳類(ニワトリ、両生類、爬虫類など)、ならびに非ヒト霊長類、飼うための動物、および/または農業的に有用な動物、例えばヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタなどの哺乳類を包含する。
本明細書において用いる場合、「治療用ペプチド」という用語は、1つ以上のアミド結合を通じて一緒に共有結合される、2つ以上のアミノ酸を含むが、100個を超えるアミノ酸は含まないペプチドであって、ここで対象に対するこのペプチドの投与の際、例えば、それ自体治療効果のないリンカーとしてのペプチドの使用とは対照的に、この対象が治療効果を受けるペプチド(例えば、この治療用ペプチドの投与は、細胞を治療するか、または障害の症状を治癒、緩和、救済もしくは改善する)を指す。治療用ペプチドは、例えば、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個を超えるアミノ酸を含んでもよい。いくつかの実施形態では、治療用ペプチドは、15を超える、例えば、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、または90個を超えるアミノ酸を含む。例えば、いくつかの実施形態では、この治療用ペプチドは、9、10、11または12アミノ酸長を超える。
この治療用ペプチドの治療効果は、アゴニストとして作用する治療用のペプチドによって生じてもよいし、またはアンタゴニストとして作用する治療用ペプチドによって生じてもよい。「アゴニスト」という用語は本明細書において用いる場合、あるタンパク質の活性を模倣するか、または上方制御する(例えば、強化するかまたは補充する)ペプチドを指すものとする。直接のアゴニストは、刺激する、種の少なくとも1つの活性を有する。例えば、直接のアゴニストとは、野性型タンパク質の少なくとも1つの活性を有する野性型ペプチドまたはその誘導体であり得る。間接的なアゴニストとは、あるタンパク質の少なくとも1つの活性を増大するペプチドであり得る。間接的なアゴニストとしては、別の分子、例えば、標的ペプチドまたは核酸とのポリペプチドの相互作用を増大するペプチドが挙げられる。「アンタゴニスト」とは本明細書において用いる場合、あるタンパク質の少なくとも1つの活性を低減するかまたは下方制御する(例えば、抑制または阻害する)ペプチドを指すことが意図される。直接のアンタゴニストとは、タンパク質と別の分子、例えば、標的ペプチドまたは酵素基質との間の相互作用を阻害または低減するペプチドであり得る。間接的なアンタゴニストは、存在する発現されたタンパク質の量を減少するペプチドであり得る。いくつかの実施形態では、この治療用ペプチドは、サイトカイン、プロテアーゼ、キナーゼまたは膜タンパク質のアゴニストまたはアンタゴニストである。
例示的な治療用ペプチドとしては、例えば、細胞を治療するか、または代謝性障害の症状を治癒、緩和、救済もしくは改善するペプチド、例えば、ホルモン、例えば、抗糖尿病誘発性(anti−diabetogenic)ペプチド;細胞を治療するか、または増殖性障害、例えば、腫瘍もしくはその転移の症状を治癒、緩和、救済もしくは改善するペプチド;細胞を治療するか、または心血管系障害の症状を治癒、緩和、救済もしくは改善するペプチド;細胞を治療するか、または感染性障害の症状を治癒、緩和、救済もしくは改善するペプチド;ならびに細胞を治療するか、またはアレルギー、炎症もしくは自己免疫の障害の症状を治癒、緩和、救済もしくは改善するペプチドが挙げられる。いくつかの場合には、この治療用ペプチドはホルモンではない。例えば、いくつかの実施形態では、この治療用ペプチドは、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)以外のペプチドである。いくつかの実施形態では、この治療用ペプチドは、ツブリシン(tubulysin)以外のペプチドである。いくつかの実施形態では、この治療用ペプチドはインテグリンと相互作用、例えば、結合しない。例えば、一実施形態では、この治療用ペプチドは、配列Arg−Gly−Aspを有さない。
治療用ペプチドは、α−、β−および/またはγ−アミノ酸を含んでもよい。例えば、この治療用ペプチドは、3つ以上のα−アミノ酸、例えば、3つ以上の連続のα−アミノ酸を含んでもよい。一実施形態では、この治療用ペプチドは、少なくとも4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれ以上のα−アミノ酸、例えば、少なくとも4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個またはそれ以上の連続のα−アミノ酸を含む。典型的には、この治療用ペプチドの全てのアミノ酸が、α−アミノ酸であるか、またはこの治療用ペプチドは、5、4、3または2未満の非−αアミノ酸を含む。治療用ペプチドは、直鎖であっても、分岐であっても環状であっても、またはそれらの組み合わせであってもよい。
いくつかの場合には、この治療用ペプチドは、「標準的な治療用ペプチド」であり、すなわち、この治療用ペプチドのアミノ酸のほとんど(すなわち、アミノ酸の50%超、例えば、アミノ酸のうち51%、55%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、99%、または全て)が標準的なアミノ酸である。標準的なアミノ酸とは、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、Val、Asx、およびGlxである。他の実施形態では、この治療用ペプチドは、「標準でない治療用ペプチド」であり、すなわち、この治療用ペプチドのアミノ酸のほとんど(すなわち、アミノ酸の50%超、例えば、アミノ酸のうち51%、55%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、99%、または全て)が標準でないアミノ酸である。「標準でないアミノ酸」という用語は、本明細書において用いる場合、必要なアミノ基、カルボン酸および側鎖を有するが、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、Val、AsxまたはGlxではないアミノ酸を指す。
「治療用ペプチド」は、タンパク質のフラグメント、例えば、公知のタンパク質の配列に対応するアミノ酸配列を有するフラグメントであってもよい。いくつかの実施形態では、この治療用ペプチドは、市販の参照タンパク質の配列に相当するアミノ酸配列を有するフラグメントであり、このフラグメントのグリカン構造が、市販のタンパク質フラグメント由来のフラグメントのグリカン構造とは異なる。例えば、この治療用ペプチドのグリカン構造は、このペプチドの天然に存在するグリコシル化パターンとは、1つ以上のグリカンが、例えば、2、例えば、3、例えば、4、例えば、5、例えば、6、例えば、7、例えば、8、例えば、9、例えば、10またはそれ以上のグリカンが異なってもよい。
好ましい実施形態では、この治療用ペプチドは、このポリマーに対してリンカーを介して(例えば、治療用のペプチドまたはタンパク質とポリマーとの間に位置する1つ以上の原子の共有結合した鎖を通じて)結合される。このリンカーは、例えば、本明細書に記載されるリンカーであってもよい。
ある実施形態では、この治療用ペプチドは、粒子の局在化に実質的に影響せず、例えば、これは、リガンド、例えば、表面タンパク質または細胞外基質成分に対する親和性によってこの粒子を標的とすることはない。
いくつかの実施形態では、この複合体が、ペプチドである標的化剤を含む場合、この標的化剤は、この治療用のペプチドまたはタンパク質とは異なるペプチドまたはタンパク質である。
本明細書において用いる場合、障害を有する対象を「治療する、処置する」または「治療すること、処置すること」という用語は、投与計画、例えば、ポリマー薬剤の複合体、粒子または組成物を対象へ投与し、その結果、その障害の少なくとも1つの症状が治療され(cured)、治癒され(healed)、軽減され、緩和され、変化され、治癒され(remedied)、寛解され、または改善されることを指す。治療することは、障害または障害の症状を軽減するか、緩和するか、変化させるか、治癒するか、寛解するか、改善するか、または影響するのに有効な量を投与することを包含する。治療は、障害の症状の増悪または悪化を阻害し得る。
「双性イオン部分」という用語は、以下の条件のうち少なくとも1つにおいて正の電荷および負の電荷双方を有する部分を指す:本明細書に記載される粒子の生成の間、本明細書に記載される粒子に処方されたとき、または対象に対する本明細書に記載の粒子の投与に続く、例えば、対象における循環の間、および/もしくはエンドソームにおける循環の間。双性イオン部分としては、ポリマー種、例えば、2つ以上の電荷を有する部分が挙げられる。
「アシル」という用語は、アルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロシクリルカルボニル、またはヘテロアリールカルボニル置換基を指し、それらのうちのいずれもさらに置換されてもよい(例えば、1つ以上の置換基によって)。例示的なアシル基としては、アセチル(CH3C(O)−)、ベンゾイル(C6H5C(O)−)、およびアセチルアミノ酸(例えば、アセチルグリシン、CH3C(O)NHCH2C(O)−が挙げられる。
「アルコキシ」という用語は、酸素ラジカルの結合した、以下に定義されるようなアルキル基を指す。代表的なアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、tert−ブトキシ、などが挙げられる。
「カルボキシ」という用語は、−C(O)OHまたはその塩を指す。
「ヒドロキシ」および「ヒドロキシル」という用語は、交換可能に用いられて、−OHを指す。
「置換基」という用語は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクロアルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、またはヘテロアリール基において、その基の任意の原子において「置換された」基を指す。任意の原子が置換され得る。適切な置換基としては、限定するものではないが、アルキル(例えば、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12の直鎖または分岐鎖アルキル)、シクロアルキル、ハロアルキル(例えば、CF3などのペルフルオロアルキル)、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル、アルケニル、アルキニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アルコキシ、ハロアルコキシ(例えば、OCF3などのペルフルオロアルコキシ)、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、カルボキシラート、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、SO3H、スルファート、ホスファート、メチレンジオキシ(−O−CH2−O−、この中で、酸素は近接する原子に結合している)、エチレンジオキシ、オキソ、チオキソ(例えば、C=S)、イミノ(アルキル、アリール、アラルキル)、S(O)nアルキル(式中、nは0〜2である)、S(O)nアリール(式中、nは0〜2である)、S(O)nヘテロアリール(式中、nは0〜2である)、S(O)nヘテロシクリル(式中、nは0〜2である)、アミン(モノ−、ジ−、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、およびこれらの組み合わせ)、エステル(アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール)、アミド(モノ−、ジ−、アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、およびこれらの組み合わせ)、スルホンアミド(モノ−、ジ−、アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、およびこれらの組み合わせ)が挙げられる。一態様において、1つの基における置換基は独立して、上記の置換基の任意の単一の置換基または任意のサブセットである。別の態様において、置換基はそれ自体、上記の置換基の任意の1つで置換されてもよい。
粒子
この粒子は、一般には、治療用のペプチドまたはタンパク質、および対イオン、疎水性部分、例えば、ポリマー、または親水性−疎水性ポリマーのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、この粒子は、治療用のペプチドまたはタンパク質および対イオン、ならびに疎水性部分、例えば、ポリマー、または親水性−疎水性ポリマーのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される粒子は、疎水性部分、例えば、疎水性ポリマー、または脂質(例えば、疎水性ポリマー)、親水性部分および疎水性部分を含むポリマー、治療用のペプチドまたはタンパク質、および対イオンを含む。いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドもしくはタンパク質および/または対イオンは、ある部分に結合される。例えば、この治療用のペプチドもしくはタンパク質および/または対イオンは、ポリマー、(例えば、疎水性ポリマー、または親水性部分および疎水性部分を含んでいるポリマー)に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、ポリマー、(例えば、疎水性ポリマー、または親水性部分および疎水性部分を含んでいるポリマー)に結合され、かつ対イオンは、ポリマーに結合されない(例えば、この対イオンは、粒子に封入される)。いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質および対イオンは、両方ともポリマー、(例えば、疎水性ポリマー、または親水性部分および疎水性部分を含んでいるポリマー)に結合される。いくつかの実施形態では、この対イオンはポリマー(例えば、疎水性ポリマーまたは親水性部分および疎水性部分を含んでいるポリマー)に結合され、かつこの治療用のペプチドまたはタンパク質は、ポリマーに結合されない(例えば、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、この粒子中に封入される)。いくつかの実施形態では、治療用のペプチドまたはタンパク質および対イオンのいずれもポリマーに結合されない。この治療用のペプチドもしくはタンパク質および/または対イオンはまた、他の部分に結合されてもよい。例えば、治療用のペプチドもしくはタンパク質は、対イオンに結合されてもよいし、または親水性ポリマー、例えば、PEGに結合されてもよい。
疎水性部分、例えば、疎水性ポリマーまたは脂質(例えば、疎水性ポリマー)、親水性部分および疎水性部分を含んでいるポリマー、治療用のペプチドまたはタンパク質、および対イオンに加えて、本明細書に記載される粒子は、1つ以上の追加の成分、例えば、追加の治療用のペプチドもしくはタンパク質または追加の対イオンを含んでもよい。本明細書に記載される粒子はまた、少なくとも1つの酸性部分、例えば、カルボン酸基を有する化合物を含んでもよい。この化合物は、小分子であっても、または少なくとも1つの酸性部分を有するポリマーであってもよい。いくつかの実施形態では、この化合物は、ポリマー、例えば、PLGAである。
いくつかの実施形態では、この粒子は、対象に投与された場合、予め選択された区画で、治療用のペプチドもしくはタンパク質の優先的な遊離があるように構成される。この予め選択された区画は、標的部位、位置、組織型、細胞型、例えば、疾患特異的な細胞型、例えば、癌細胞、または細胞内区画、例えば、サイトゾルであってもよい。ある実施形態では、ある粒子は、他の区画、例えば、非腫瘍区画、例えば、末梢血液ではなく、腫瘍において優先的な遊離をもたらす。治療用のペプチドまたはタンパク質がポリマーまたは対イオンに結合される実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、対象の非腫瘍区画、例えば、末梢血液において腫瘍より大きい程度まで放出される(例えば、リンカーの還元切断を通じて)。いくつかの実施形態では、この粒子は、対象に投与された場合、対象の区画、例えば、腫瘍に対して、治療用のペプチドまたはタンパク質が単独に投与された場合よりも多くの治療用のペプチドまたはタンパク質を送達するように構成される。
いくつかの実施形態では、この粒子は、賦形剤、例えば、炭水化物成分、または安定化剤もしくは凍結保護剤、例えば、本明細書に記載の炭水化物成分、安定化剤または凍結保護剤と会合される。理論によって束縛されるものではないが、炭水化物成分は、安定化剤または凍結保護剤として機能し得る。いくつかの実施形態では、炭水化物成分、安定化剤または凍結保護剤は、1つ以上の炭水化物(例えば、本明細書に記載される1つ以上の炭水化物、例えば、例えば、スクロース、シクロデキストリンまたはシクロデキストリンの誘導体(例えば、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、時にはHP−β−CDと呼ばれる))、塩、PEG、PVPまたはクラウンエーテルなどを含む。いくつかの実施形態では、炭水化物成分、安定化剤または凍結保護剤は、2つ以上の炭水化物、例えば、本明細書に記載される2つ以上の炭水化物を含む。一実施形態では、この炭水化物成分、安定化剤または凍結保護剤としては、環状の炭水化物(例えば、シクロデキストリンまたはシクロデキストリンの誘導体、例えば、α−、β−、またはγ−、シクロデキストリン(例えば、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン))および非環状の炭水化物が挙げられる。例示的な非環状のオリゴ糖類としては、10、8、6または4個の単糖類サブユニット(例えば、単糖類または二糖類(例えば、スクロース、トレハロース、ラクトース、マルトース)またはそれらの組み合わせ)が挙げられる。
ある実施形態では、炭水化物成分、安定化剤または凍結保護剤は、第一のおよび第二の構成要素、例えば、環状炭水化物および非環状炭水化物、例えば、単糖類、二糖類または四糖類を含む。
一実施形態では、粒子と会合する環状炭水化物の非環状炭水化物に対する重量比は、本明細書に記載される重量比、例えば、0.5:1.5〜1.5:0.5である。
ある実施形態では、炭水化物成分、安定化剤または凍結保護剤は、以下のような第一のおよび第二の構成要素(ここでは、AおよびBと命名)を含む:
(A)は環状炭水化物を含み、および(B)は二糖類を含む;
(A)は2つ以上の環状炭水化物、例えば、β−シクロデキストリン(本明細書では時には、β−CDと呼ばれる)またはβ−CD誘導体、例えば、HP−β−CDを含み、および(B)は二糖類を含む;
(A)は環状炭水化物、例えば、β−CDまたはβ−CD誘導体、例えば、HP−β−CDを含み、および(B)は2つ以上の二糖類を含む;
(A)は2つ以上の環状炭水化物を含み、および(B)は2つ以上の二糖類を含む;
(A)はシクロデキストリン、例えば、β−CDまたはβ−CD誘導体、例えば、HP−β−CDを含み、および(b)は二糖類を含む;
(A)はβ−シクロデキストリン、例えば、β−CD誘導体、例えば、HP−β−CDを含み、および(B)は二糖類を含む;
(A)はβ−シクロデキストリン、例えば、β−CD誘導体、例えば、HP−β−CDを含み、および(B)はスクロースを含む;
(A)はβ−CD誘導体、例えば、HP−β−CDを含み、および(B)はスクロースを含む;
(A)はβ−シクロデキストリン、例えば、β−CD誘導体、例えば、HP−β−CDを含み、および(B)はトレハロースを含む;
(A)はβ−シクロデキストリン、例えば、β−CD誘導体、例えば、HP−β−CDを含み、ならびに(B)はスクロースおよびトレハロースを含む。
(A)はHP−β−CDを含み、および(B)はスクロースおよびトレハロースを含む。
ある実施形態では、成分AおよびBは、0.5:1.5〜1.5:0.5の比で存在する:
。ある実施形態では、構成要素AおよびBは、以下の比で存在する:3−1:0.4−2;3−1:0.4−2.5;3−1:0.4−2;3−1:0.5−1.5;3−1:0.5−1;3−1:1;3−1:0.6−0.9;および3:1:0.7。ある実施形態では、構成要素AおよびBは、以下の比で存在する:2−1:0.4−2;3−1:0.4−2.5;2−1:0.4−2;2−1:0.5−1.5;2−1:0.5−1;2−1:1;2−1:0.6−0.9;および2:1:0.7。ある実施形態では、構成要素AおよびBは以下の比で存在する:2−1.5:0.4−2;2−1.5:0.4−2.5;2−1.5:0.4−2;2−1.5:0.5−1.5;2−1.5:0.5−1;2−1.5:1;2−1.5:0.6−0.9;2:1.5:0.7。ある実施形態では、構成要素AおよびBは以下の比で存在する:2.5−1.5:0.5−1.5;2.2−1.6:0.7−1.3;2.0−1.7:0.8−1.2;1.8:1;1.85:1および1.9:1。
ある実施形態では構成要素Aは、シクロデキストリン、例えば、β−シクロデキストリン、例えば、β−CD誘導体、例えば、HP−β−CDを含み、および(B)はスクロースを含み、ならびにそれらは以下の比で存在する:2.5−1.5:0.5−1.5;2.2−1.6:0.7−1.3;2.0−1.7:0.8−1.2;1.8:1;1.85:1および1.9:1。
いくつかの実施形態では、この粒子は、複数の疎水性部分を含む。例えば、この粒子は、疎水性ポリマー、例えば、PLGAおよび別の疎水性部分、例えば、キトサン、ポリ(ビニルアルコール)、またはポロキサマーを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、この粒子は、pHを抑制する分子、例えば、緩衝液として機能し得る化合物を含む。例示的なpH抑制部分としては、この系およびプロトンスポンジ(例えば、アミン基)を緩衝する塩基性塩(例えば、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、および炭酸亜鉛)が挙げられ、これはまた緩衝液系を補助し得る。
粒子はまた、例えば、この治療用のペプチドまたはタンパク質上の電荷を無効にするための対イオンが挙げられる。例えば、治療用ペプチドまたはタンパク質−複合体が正に荷電されている場合、例示的な対イオンとしては、酢酸、アダマンタン酸、αケトグルタル酸、D−またはL−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、10−カンファースルホン酸、クエン酸、1,2−エタンジスルホン酸、フマル酸、D−グルコン酸、グルカル酸、D−グルクロン酸、グルカル酸、D−またはL−グルタミン酸、グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、L−リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、1,5ナフタレンジスルホン酸四水和物、2−ナフタレンスルホン酸、硝酸、オレイン酸、パモン酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸水和物、D−サッカリド(saccharid)酸一カリウム塩、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、D−またはL−酒石酸が挙げられる。この治療用ペプチド−複合体が、負に荷電される場合、例示的な対イオンとしては、N−メチルD−グルカミン、コリン、アルギニン、リジン、プロカイン、トロメタミン(TRIS)、スペルミン、N−メチル−モルホリン、グルコサミン、N,N−ビス2−ヒドロキシエチルグリシン、ジアザビシクロウンデセン、クレアチン、アルギニンエチルエステル、アマンタジン、リマンタジン、オルニチン、タウリンおよびシトルリンが挙げられる。
いくつかの実施形態では、この粒子はナノ粒子である。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、約220nm以下(例えば、約215nm、210nm、205nm、200nm、195nm、190nm、185nm、180nm、175nm、170nm、165nm、160nm、155nm、150nm、145nm、140nm、135nm、130nm、125nm、120nm、115nm、110nm、105nm、100nm、95nm、90nm、85nm、80nm、75nm、70nm、65nm、60nm、55nmまたは50nm以下)の直径を有する。ある実施形態では、このナノ粒子は、少なくとも10nm(例えば、少なくとも約20nm)の直径を有する。
本明細書に記載される粒子は、標的化剤または脂質を(例えば、この粒子の表面上に)含んでもよい。
本明細書に記載される複数の粒子の組成物は、約50nm〜約500nm(例えば、約50nm〜約200nm)の平均直径を有し得る。複数の粒子の組成物粒子は、約50nm〜約500nm(例えば、約75nm〜約220nm)から約50nm〜約220nm(例えば、約75nm〜約200nm)という中央粒子サイズ(Dv50(粒子の体積の50%がそれ未満で存在する粒子サイズ)を有し得る。複数の粒子の組成物粒子は、約50nmから約500nm(例えば、約75nm〜約200nm)というDv90(粒子の体積の90%がそれ未満で存在する粒子サイズ)を有し得、約50nm〜約500nm(例えば、約75mm〜約220nm)である。いくつかの実施形態では、複数の粒子の組成物は、約150nm未満のDv90を有する。複数の粒子の組成物は、0.5未満、0.4未満、0.3未満、0.2未満、または0.1未満という粒子PDIを有し得る。
本明細書に記載される粒子は、水中で測定した場合、約−20mV〜約50mVにおよぶ表面ゼータ電位を有してもよい。ゼータ電位は、粒子の表面電位の測定値である。いくつかの実施形態では、粒子は、水中で測定した場合、約−20mV〜約20mV、約−10mV〜約10mV、または中性におよぶ表面ゼータ電位を有してもよい。
ある実施形態では、本明細書に記載される、粒子、または複数の粒子を含む組成物は、25℃±2℃/60%相対湿度±5%相対湿度で、開放、または閉鎖された容器中で、20、30、40、50または60日間保管された場合、例えば、インビボのモデル系で測定した場合、その活性の少なくとも30、40、50、60、70、80、90、または95%を保持し得る。
ある実施形態では、粒子は、非極性の有機溶媒(例えば、ヘキサン、クロロホルムまたはジクロロメタンのうちのいずれか)で安定である。例えば、この粒子は、実質的に不活性であり、例えば、存在する場合、外層は、内部移行しないか、またはかなりの量の表面構成要素が、水性溶媒中でそれらの構成に対して内部移行する。ある実施形態では、構成要素の分布は実質的に、非極性の有機溶媒中で、および水性溶媒中で同じである。
ある実施形態では、粒子は、ミセルの少なくとも1つの構成要素を欠き、例えば、これはコアを欠き、親水性の構成要素を実質的に含まない。
ある実施形態では、この粒子のコアは、かなりの量の親水性構成要素を含む。
ある実施形態では、この粒子のコアは、かなりの量、例えば、少なくとも(重量または数量で)10、20、30、40、50、60または70%の治療用のペプチドを含む。
ある実施形態では、この粒子のコアは、この粒子のうちかなりの量、例えば、少なくとも(重量または数量で)10、20、30、40、50、60または70%の対イオン、例えば、ポリカチオン性部分を含む。
本明細書に記載される粒子は、少量の残留溶媒、例えば、この粒子を調製するのに用いられる溶媒、例えば、アセトン、tert−ブチルメチルエーテル、ベンジルアルコール、ジオキサン、ヘプタン、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、または酢酸プロピル(例えば、イソプロピルアセテート)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、この粒子は、5000ppm未満の溶媒(例えば、4500ppm未満、4000ppm未満、3500ppm未満、3000ppm未満、2500ppm未満、2000ppm未満、1500ppm未満、1000ppm未満、500ppm未満、250ppm未満、100ppm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、5ppm未満、2ppm、または1ppm未満)を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、この粒子は、実質的に、United States Department of Health and Human Services Food and Drug Administration「Q3c−Tables and List」が定義するクラスIIまたはクラスIIIの溶媒を含まない。いくつかの実施形態では、この粒子は、5000ppm未満のアセトンを含む。いくつかの実施形態では、この粒子は、5000ppm未満のtert−ブチルメチルエーテルを含む。いくつかの実施形態では、この粒子は、5000ppm未満のヘプタンを含む。いくつかの実施形態では、この粒子は、600ppm未満のジクロロメタンを含む。いくつかの実施形態では、この粒子は、880ppm未満のジメチルホルムアミドを含む。いくつかの実施形態では、この粒子は、5000ppm未満の酢酸エチルを含む。いくつかの実施形態では、この粒子は、410ppm未満のアセトニトリルを含む。いくつかの実施形態では、この粒子は、720ppm未満のテトラヒドロフランを含む。いくつかの実施形態では、この粒子は、5000ppm未満のエタノールを含む。いくつかの実施形態では、この粒子は、3000ppm未満のメタノールを含む。いくつかの実施形態では、この粒子は、5000ppm未満のイソプロピルアルコールを含む。いくつかの実施形態では、この粒子は、5000ppm未満のメチルエチルケトンを含む。いくつかの実施形態では、この粒子は、5000ppm未満の酢酸ブチルを含む。いくつかの実施形態では、この粒子は、5000ppm未満の酢酸プロピルを含む。
本明細書に記載される粒子は、粒子を作製するための出発材料の重量あたり、または出発材料として用いられて、例えば、約20〜約90重量%(例えば、約20重量%〜約80重量%、約25重量%〜約75重量%、または約30重量%〜約70重量%)の種々の量の疎水性部分、例えば、疎水性ポリマーを含んでもよい。本明細書に記載される粒子は、種々の量の親水性−疎水性ポリマー、例えば、最大約50重量%(例えば、約4から約50重量%、約5重量%、約8重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約23重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%または約50重量%のいずれかまで)を含み得る。例えば、この粒子の親水性−疎水性ポリマーの重量パーセントは、約3%〜30%、約5%〜25%または約8%〜23%である。
本明細書に記載される粒子は、粒子を作製するための出発材料の重量あたり、または出発材料として用いられて、例えば、約0.1%〜約60%(例えば、約1%〜約60%、約2%〜約20%、約3%〜約30%、約5%〜約40%、約または約10%〜約30%)という種々の量の対イオンを含んでもよい。
本明細書に記載される粒子は、粒子を作製するための出発材料の重量あたり、または出発材料として用いられて、例えば、約0.1重量%〜約50重量%(例えば、約1%〜約50%、約0.5%〜約20%、約2%〜約20%、約または約5%〜約15%)の種々の量の治療用のペプチドを含んでもよい。
この粒子が界面活性剤を含む場合、この粒子は、粒子を作製するための出発材料の重量あたり、または出発材料として用いられて、例えば、最大、約40重量%、または約15%〜約35%または約3%〜約10%の種々の量の界面活性剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、この界面活性剤は、PVAである。いくつかの実施形態では、この粒子は、約2%〜約5%のPVA(例えば、約4%)、および約0.1%〜約3%のカチオン性PVA(例えば、約1%)を含んでもよい。
本明細書に記載される粒子は、実質的に、標的化剤を(例えば、粒子中の構成要素に共有結合された標的化剤、例えば、標的の生物学的実態(例えば、膜成分、細胞表面レセプター、前立腺特異的膜抗原など)に結合するかそうでなければ会合することができる標的化剤を)含まなくてもよい。本明細書に記載される粒子は、核酸アプタマー、成長因子、ホルモン、サイトカイン、インターロイキン、抗体、インテグリン、フィブロネクチンレセプター、p−糖タンパク質レセプター、ペプチドおよび細胞結合配列から選択される標的化剤を実質的に含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、粒子内に、標的化部分に複合体化されるポリマーはない。本明細書に記載される粒子は、例えば、対象における標的に高い親和性および比親和性を有する粒子上の部分の使用によって、対象中の部位に対して粒子を選択的に標的する目的のために付加される部分を含まない場合もある。
いくつかの実施形態では、この粒子は、脂質を含まず、例えば、リン脂質を含まない。本明細書に記載される粒子は、ナノ粒子への水の浸透を軽減する両親媒性層を実質的に含まなくてもよい。本明細書に記載される粒子は、脂質、例えば、リン脂質を5%または10%未満(例えば、w/w、v/vとして決定)含んでもよい。本明細書に記載される粒子は、ナノ粒子への水の浸透を例えば軽減する、脂質層、例えば、リン脂質層を実質的に含まなくてもよい。本明細書に記載される粒子は、実質的に脂質を含まなくてもよく、例えば、リン脂質を実質的に含まない。
本明細書に記載される粒子は実質的に、放射性医薬品、例えば、放射性治療薬、放射性診断薬、予防薬または他の放射性同位体を含まなくてもよい。本明細書に記載される粒子は実質的に、免疫調節薬、例えば、免疫調節剤または免疫抑制剤を含まなくてもよい。本明細書に記載される粒子は実質的に、ワクチンも免疫原も、例えば、ペプチド、糖、脂質ベースの免疫原、B細胞抗原またはT細胞抗原も含まなくてもよい。
本明細書に記載される粒子は実質的に、水溶性の疎水性ポリマー、例えば、PLGA、例えば、PLGA(約1kDa未満(例えば、約500Da未満)の分子量を有する)を含まなくてもよい。
例示的な粒子
ある例示的な粒子としては、以下を含む粒子が挙げられる:
a)複数の疎水性ポリマー;
b)複数の親水性−疎水性ポリマー;および
c)複数の治療用のペプチドまたはタンパク質であって、ここで複数の治療用のペプチドまたはタンパク質の少なくとも一部がa)の疎水性ポリマーまたはb)の親水性−疎水性ポリマーのいずれかに対して共有結合されている、治療用のペプチドまたはタンパク質。
別の例示的な粒子としては、以下を含む粒子が挙げられる:
a)複数の治療用のペプチドまたはタンパク質−ポリマーの複合体であって、疎水性ポリマーに結合される治療用のペプチドまたはタンパク質を含むもの;ならびに
b)複数の親水性−疎水性ポリマー。
別の例示的な粒子としては、以下を含む粒子が挙げられる:
a)必要に応じて複数の疎水性ポリマー;および
b)複数の治療用のペプチドまたはタンパク質−親水性−疎水性ポリマーの複合体であって、親水性−疎水性ポリマーに結合された治療用のペプチドまたはタンパク質を含むもの。
別の例示的な粒子としては、以下を含む粒子が挙げられる:
a)必要に応じて複数の疎水性ポリマー;
b)複数の親水性−疎水性ポリマーの複合体であって、この親水性−疎水性ポリマーの複合体が荷電されたペプチドに結合された親水性−疎水性ポリマーを含むもの;および
c)複数の荷電された治療用のペプチドまたはタンパク質であって、この治療用のペプチドまたはタンパク質の電荷が、親水性−疎水性ポリマーに複合体されたペプチドの電荷とは反対であり、かつこの荷電された治療用ペプチドまたはタンパク質が、この親水性−疎水性ポリマー複合体の荷電されたペプチドと非共有結合(例えば、イオン結合)を形成するもの。
粒子および組成物を作製する方法
本明細書に記載される粒子は、粒子、例えば、ナノ粒子を調製するための当該分野で公知の任意の方法を用いて調製され得る。例示的な方法としては、噴霧乾燥、エマルジョン(例えば、エマルジョン−溶媒蒸発または二重エマルジョン)、沈殿(例えば、ナノ沈殿)および位相反転が挙げられる。
一実施形態では、本明細書に記載の粒子は、沈殿(例えば、ナノ沈殿)によって調製され得る。この方法は、粒子の組成物(すなわち、1つ以上のポリマー、任意の追加の構成要素(単数または複数)、および薬剤)を、個々に、または組み合わせて、1つ以上の溶媒中に溶解して、1つ以上の溶液を形成することを包含する。例えば、1つ以上の構成要素を含有する第一の溶液は、1つ以上の構成要素を含有する第二の溶液中に(適切な速度またはスピードで)注いでもよい。この溶液は、例えば、シリンジポンプ、MicroMixer、または活発で制御された混合を可能にする任意のデバイスを用いて組合され得る。いくつかの場合には、ナノ粒子は、第一の溶液が第二の溶液と接触するにつれて形成され得、例えば、接触の際のポリマーの沈殿によってポリマーがナノ粒子を形成する。このような粒子形成の制御は、容易に最適化され得る。
1組の実施形態では、この粒子は、1つ以上のポリマーおよび追加の構成要素を含有する1つ以上の溶液を提供すること、ならびにこの溶液を特定の溶媒と接触させて粒子を生成することによって形成される。非限定的な実施例では、疎水性ポリマー(例えば、PLGA)を、治療用のペプチドまたはタンパク質に複合体して、複合体を形成する。この治療用のペプチドまたはタンパク質−ポリマーの複合体、親水性部分および疎水性部分を含んでいるポリマー(例えば、PEG−PLGA)、ならびに必要に応じて第三のポリマー(例えば、生分解性ポリマー、例えば、PLGA)は、部分的に水混和性の有機溶媒(例えば、アセトン)に溶解される。この溶液は、界面活性剤を含有する水溶液に添加され、所望の粒子が形成される。これらの2つの溶液は、混合/沈殿の前に個々に濾過滅菌されてもよい。
形成されたナノ粒子は、溶媒の除去のため、またはナノ粒子の精製のためにさらなる処理技術に曝されてもよい(例えば、透析)。上述のプロセスの目的のために、水混和性の溶媒としては、アセトン、エタノール、メタノール、およびイソプロピルアルコールが挙げられ;および部分的に水混和性の有機溶媒としては、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、イソ酢酸プロピルまたはジメチルホルムアミドが挙げられる。
本明細書に記載される粒子を生成するために用いられ得る別の方法は、Johnson,B.K.ら,AlChE Journal(2003)49:2264−2282および米国特許出願公開第2004/0091546号(各々がその全体として参照によって本明細書に援用される)で記載されるように「ナノ粒子急速沈殿(flash nanoprecipitation)」と呼ばれるプロセスである。このプロセスは、管理されたサイズの、ポリマー安定化されかつ保護されたナノ粒子の疎水性有機物を高い負荷でかつ収率で生成し得る。このナノ粒子急速沈殿技術は、両親媒性ジブロックコポリマー停止核生成および疎水性有機物の成長に基づく。適切な溶媒に溶解される両親媒性ジブロックコポリマーは、ブロックの溶媒の質が低下されるとき、ミセルを形成し得る。このような溶媒の質の変化を達成するために、接線方向流混合セル(tangential flow mixing cell)(ボルテックスミキサー)を用いる。ボルテックスミキサーは、封じ込め体積チャンバ(confined volume chamber)から構成され、ここでは、水−混和性溶媒中に溶解されるジブロックコポリマーおよび活性剤を含有する1つのジェットストリームを、水を含有する別のジェットストリーム、活性剤およびコポリマーの疎水性ブロックについては抗溶媒と高速度で混合する。このプロセスに関与する高速の混合、および高エネルギーの散逸は、核生成および粒子の成長よりも短いタイムスケールを提供し、これが他の技術では提供されない活性剤負荷含量およびサイズ分布を伴うナノ粒子の形成をもたらす。ナノ粒子急速沈殿を介するナノ粒子の形成の際、混合は、凝集の発生の前に、全ての構成要素の高い過飽和が達成されることを可能にするのに十分速く生じる。従って、活性剤(単数または複数)およびポリマーは同時に沈殿し、かつ遅い溶媒変化(例えば、透析)に基づく広範に用いられる技術で見いだされる低い活性剤の組み込みおよび凝集の限界を克服する。このナノ粒子急速沈殿のプロセスは、構成要素の化学的特異性に対して非感受性であり、これによって普遍的なナノ粒子形成技術となる。
本明細書に記載される粒子はまた、ミキサー技術、例えば、スタティックミキサーまたはマイクロミキサー(例えば、分離−再結合(split−recombine)マイクロ−ミキサー、スリット−インターデジタル(slit−interdigital)マイクロ−ミキサー、スター・ラミネーター・インターデジタル(star laminator interdigital)マイクロ−ミキサー、スーパーフォーカス・インターデジタル(superfocus interdigital)マイクロ−ミキサー、液−液マイクロ−ミキサー、またはインピンジング・ジェット(impinging jet)マイクロ−ミキサー)を用いて調製され得る。
分離−再結合マイクロミキサーは、ストリームを分けること、お互いの上に折り畳み/ガイドすること、およびそれらをお互いの混合ステップについて組み合すことを包含する混合原理を用い、これはこのような8〜12のステップからなる。最終的に混合することは、多段階の流路の残留時間を除いて、ミリ秒内の拡散を介して生じる。さらに高速での流速では、乱流がこの混合効果に加わり、全体の混合の質がさらに改善される。
スリット・インターデジタルマイクロミキサーは、液体の混合を高速にさせる幾何学的焦点を有する多重の積層によって創出される規則的な流動パターンを組み合わせる。この二重ステップの混合に起因して、スリットミキサーは、広範な種々のプロセスに適切である。
本明細書に記載される粒子はまた、Microfluidics Reaction Technology(MRT)を用いて調製され得る。MRTの中心部では、少なくとも50lit/分まで拡張可能な、連続の、インピンジングジェットマイクロリアクターである。このリアクターでは、高速液体反応物を、マイクロリットルスケールの体積内で相互作用するように強制する。この反応物は、高い剪断応力および乱流に曝されるのでナノメートルのレベルで混合する。MRTは、供給速度の正確な制御および反応物の混合位置を提供する。これは、核の生成および成長の過程の制御を確実にし、均一な結晶成長および安定化速度を生じる。
本明細書に記載される粒子はまた、エマルジョンによって調製されてもよい。例示的な乳化方法は、参照によって本明細書に援用される、米国特許第5,407,609号に開示される。この方法は、溶解された壁形成物質を含有する溶媒中に、薬剤、液体または固体を溶解するかそうでなければ分散すること、処理培地中に薬剤/ポリマー溶媒混合物を分散して、エマルジョンを形成すること、および全てのエマルジョンを、より大きい体積の処理媒体または他の適切な抽出媒体に直ちに移して、エマルジョン中の微小液滴から溶媒を直ちに抽出し、マイクロカプセルまたはマイクロスフェアのような微小カプセル化生成物を形成することを包含する。ポリマー送達ビヒクル処方物を調製するために用いられる最も一般的な方法は、溶媒乳化蒸発方法である。この方法は、ポリマーおよび薬物を、水と完全に非混和性である有機溶媒(例えば、ジクロロメタン)中に溶解することを包含する。この有機混合物は、安定化剤、最もよくあるのはポリ(ビニルアルコール)(PVA)を含有する水に添加し、次いで典型的には超音波処理する。
この粒子の調製後、それらを、濾過、ふるい、押し出しまたは超遠心分離によって分画して、特定のサイズ範囲内の粒子を回収してもよい。1つのサイジング法は、選択した均一な細孔サイズを有する一連のポリカーボネート膜を通じて粒子の水性懸濁物を押し出すことを包含する;膜の細孔サイズは、その膜を通じた押し出しによって産生される粒子の最大サイズにほぼ対応する。例えば、参照によって本明細書に援用される、米国特許第4,737,323号を参照のこと。別の方法は、規定のサイズの画分を単離するための、規定の速度の連続的な超遠心分離(例えば、8,000、10,000、12,000、15,000、20,000、22,000、および25,000rpm)である。別の方法は、接線流濾過であり、ここでは、粒子を含有する溶液を、膜の表面に接線方向に沿ってポンピングする。適用される圧力は、膜を通じて液体の一部を濾液側へ強制するように働く。膜の細孔を通過するには大きすぎる粒子は、上流側で保持される。保持される成分は、正常な流量濾過でのように膜の表面では蓄積されず、代わりに接線流によって掃引される。従って、接線流濾過を用いて、水溶液に存在する過剰の界面活性剤を除去しても、またはダイアフィルトレーションによって溶液を濃縮してもよい。
粒子の精製後、それらを、溶液中のままで滅菌濾過してもよい(例えば、0.22ミクロンのフィルターを用いて)。
ある特定の実施形態では、この粒子は、選択されたサイズ範囲内で、サイズが実質的に均一であるように調製される。この粒子は好ましくは、その最大直径で30nm〜300nm(例えば、約30nm〜約250nm)の範囲である。この粒子は、動的光散乱および/または電子顕微鏡(例えば、透過電子顕微鏡または走査電子顕微鏡)のような当該分野で公知の技術によって分析されてこの粒子のサイズが決定され得る。この粒子はまた、薬剤の負荷および/または不純物の有無について試験され得る。
凍結乾燥
本明細書に記載される粒子は、凍結乾燥(freeze−drying)として一般的に公知の凍結乾燥(lyophilization)を介して、乾燥保存のために調製され得る。凍結乾燥とは、溶液から水を抽出して顆粒状の固形物または粉末を形成する過程である。この過程は、溶液を凍結することおよびその後、真空下での昇華によってすべての水または湿気を抽出することによって行われる。凍結乾燥の利点としては、物質の品質の維持、および治療用化合物の分解の最小化が挙げられる。凍結乾燥は、再構成され注射によって患者に投与される医薬品、例えば非経口の薬品を開発するのに特に有用であり得る。あるいは、凍結乾燥は、経口の製剤、特に迅速に融解するかまたは急速に溶解する処方物を開発するのに有用である。
凍結乾燥は、凍結保護剤、例えば、本明細書に記載される凍結保護剤の存在下で行ってもよい。いくつかの実施形態では、凍結保護剤は、炭水化物(例えば、スクロース、シクロデキストリン、またはシクロデキストリンの誘導体(例えば、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン)のような本明細書に記載される炭水化物)、塩、PEG、PVP、またはクラウンエーテルである。
治療用のペプチドまたはタンパク質−ポリマーの複合体
本明細書に記載される治療用のペプチドまたはタンパク質−ポリマーの複合体は、ポリマー(例えば、疎水性ポリマーまたは親水性−疎水性ポリマー)および治療用のペプチドまたはタンパク質を含む。本明細書に記載の治療用ペプチドまたはタンパク質は、本明細書に記載されるポリマーに、例えば、直接結合されても、またはリンカーを通じて結合されてもよい。治療用のペプチドまたはタンパク質は、疎水性ポリマー(例えば、PLGA)に結合されてもよいし、または疎水性部分および親水性部分を有するポリマー(例えば、PEG−PLGA)に結合されてもよい。治療用のペプチドまたはタンパク質は、ポリマーの一方の末端に結合されても、ポリマーの両端に結合されても、またはポリマーの鎖に沿った点に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の治療用のペプチドまたはタンパク質は、ポリマー鎖に沿ったポイントに結合されてもよく、または複数の治療用のペプチドまたはタンパク質は、ポリマーの末端に対して多機能のリンカーを介して結合されてもよい。
ポリマー
治療用のペプチドまたはタンパク質−ポリマーの複合体およびそれに由来する粒子を形成する広範な種々のポリマーおよび方法は、治療用ペプチド送達の当該分野で公知である。本発明に従って任意のポリマーを用いてもよい。ポリマーは天然または天然でない(合成)ポリマーであってもよい。ポリマーは、ホモポリマーであっても、または2つ以上のモノマーを含有するコポリマーであってもよい。ポリマーは直鎖であっても、または分岐されてもよい。
2種以上の反復単位がポリマー内に存在するならば、このポリマーは、「コポリマー」と呼ばれる。ポリマーを使用する任意の実施形態では、使用されているポリマーは、コポリマーであってもよいことが理解されるべきである。コポリマーを形成する反復単位は、任意の方式で配列され得る。例えば、反復単位は、ランダムな順序で、交互の順序で、または「ブロック」コポリマーとして、すなわち、第一の反復単位(例えば、第一のブロック)を各々含む1つ以上の領域、および第二の反復単位(例えば第二のブロック)を各々含む1つ以上の領域、などを含んで配置されてもよい。ブロックコポリマーは、2個(ジブロックコポリマー)、3個(トリブロックコポリマー)、またはそれより多数の別個のブロックを有してもよい。配列の点で、コポリマーは、ランダムであっても、ブロックであってもよく、またはランダムおよびブロックの配列の組み合わせを含んでもよい。
疎水性部分
疎水性ポリマー
本明細書に記載される粒子は、疎水性ポリマーを含んでもよい。疎水性ポリマーは、治療用のペプチドもしくはタンパク質および/または対イオンに結合して複合体(例えば、治療用のペプチド/タンパク質−疎水性ポリマーの複合体または対イオン−疎水性ポリマーの複合体)を形成し得る。
いくつかの実施形態では、この疎水性ポリマーは、別の部分に結合されない。粒子は、複数の疎水性ポリマーを含んでもよく、例えば、ここでは、ある程度が、治療用のペプチドおよび/または対イオンのような別の部分に結合され、ある程度は結合されていない。
例示的な疎水性ポリマーとしては以下が挙げられる:アクリラート類、例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル(BA)、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチル、およびアクリル酸t−ブチル;メタクリラート、例としては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチルおよびメタクリル酸イソブチル;アクリロニトリル類;メタクリロニトリル;ビニル類、例としては、酢酸ビニル、ビニルベルサタート、ビニルプロピオナート、ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、ビニルピリジン、およびビニルイミダゾール;アミノアルキル類、例としては、アミノアルキルアクリラート類、アミノアルキルメタクリラート類、およびアミノアルキル(メタ)アクリルアミド類;スチレン類;セルロースアセタートフタラート;セルロースアセタートスクシナート;フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ポリ(D,L−ラクチド);ポリ(D,L−ラクチド−コ−グリコリド);ポリ(グリコリド);ポリ(ヒドロキシブチラート);ポリ(アルキルカルボナート);ポリ(オルトエステル);ポリエステル類;ポリ(ヒドロキシ吉草酸);ポリジオキサノン;ポリ(エチレンテレフタラート);ポリ(リンゴ酸);ポリ(タルトロン酸);ポリ酸無水物類;ポリホスファゼン類;ポリ(アミノ酸類)およびそれらのコポリマー(一般的には、Svenson,S(編),Polymeric Drug Delivery:第I巻:Particulate Drug Carriers.2006;ACS Symposium Series;Amiji,M.M(編),Nanotechnology for Cancer Therapy.2007;Taylor & Francis Group,LLP;Nairら、Prog.Polym.Sci.(2007)32:762−798参照);疎水性ペプチドに基づくポリマーおよびポリ(L−アミノ酸)に基づくコポリマー;(Lavasanifar,A.,ら、Advanced Drug Delivery Reviews(2002)54:169−190);ポリ(エチレン−酢酸ビニル)(「EVA」)コポリマー;シリコーンゴム;ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリジエン(ポリブタジエン、ポリイソプレン、およびこれらポリマーの水素付加型);ビニルメチルエーテルおよび他のビニルエーテル類のマレイン酸無水物コポリマー;ポリアミド類(ナイロン6,6);ポリウレタン;ポリ(エステルウレタン類);ポリ(エーテルウレタン類);およびポリ(エステル−尿素)。
本明細書に記載されるポリマー−薬剤の複合体または粒子を調製する上で有用な疎水性ポリマーとしてはまた、生分解性ポリマーが挙げられる。生分解性ポリマーの例としては、ポリラクチド類、ポリグリコリド類、カプロラクトンベースのポリマー、ポリ(カプロラクトン)、ポリジオキサノン、ポリ酸無水物類、ポリアミン類、ポリエステルアミド類、ポリオルトエステル類、ポリジオキサノン類、ポリアセタール類、ポリケタール類、ポリカルボナート類、ポリホスホエステル類、ポリエステル類、ポリブチレンテレフタラート、ポリオルトカルボナート類、ポリホスファゼン類、スクシナート類、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(アミノ酸類)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシセルロース、多糖類、キチン、キトサン、およびヒアルロン酸、ならびにこれらのコポリマー、ターポリマーおよび混合物が挙げられる。生分解性ポリマーとしてはまた、カプロラクトン系のポリマー、ポリカプロラクトンおよびポリブチレンテレフタラートを含むコポリマーを含めたコポリマーが挙げられる。
いくつかの実施形態において、ポリマーは、D,L−ラクチド、D−ラクチド、L−ラクチド、D,L−乳酸、D−乳酸、L−乳酸、グリコリド、グリコール酸、ε−カプロラクトン、ε−ヒドロキシヘキサン酸、γ−ブチロラクトン、γ−ヒドロキシ酪酸、δ−バレロラクトン、δ−ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシ酪酸、およびリンゴ酸からなる群より選択されるモノマーから合成されたポリエステルである。
コポリマーはまた、本明細書に記載されるポリマー−薬剤の複合体または粒子においても用いられ得る。いくつかの実施形態において、ポリマーは、乳酸およびグリコール酸の生分解性のランダムコポリマーであるPLGAであり得る。PLGAポリマーは、例えば、約0.1:99.9〜約99.9:0.1(例えば、約75:25〜約25:75、約60:40〜40:60、または約55:45〜45:55)の範囲で変動する比の乳酸:グリコール酸を有し得る。いくつかの実施形態において、例えば、PLGAにおいて、乳酸モノマー、対グリコール酸モノマーの比は、50:50、60:40、または75:25である。
特定の実施形態において、ポリマー−薬剤の複合体または粒子のPLGAポリマーにおけるグリコール酸モノマーに対する乳酸の比を最適化することによって、水の取り込み、薬剤放出(例えば、「徐放」)、およびポリマー分解動態などのパラメーターが最適化され得る。さらに、比を調整することはまた、コポリマーの疎水性に影響するであろうし、このことが次には薬物負荷に影響し得る。
生分解性ポリマーがまた、治療用のペプチド、タンパク質または他の物質、例えば、それに結合する対イオンを有する特定の実施形態において、このようなポリマーの生分解速度は、このような物質の放出速度によって特徴づけられ得る。このような状況において、生分解速度は、ポリマーが化学的に何であるかおよび物理的特徴だけでなく、結合する物質(単数または複数)が何であるかにも依存し得る。対象の組成物の分解は、例えば酸化および/または加水分解による分子内結合の切断だけでなく、外来封入宿主との競合的複合体形成による宿主/ゲスト複合体の解離など、分子内結合の撹乱も含む。いくつかの実施形態において、放出は、粒子における追加的の成分、例えば、少なくとも1つの酸性部分(例えば、遊離酸PLGA)を有する化合物によって影響され得る。
特定の実施形態において、疎水性ポリマーのような1つ以上のポリマーを含む粒子は、所望の適用において許容される期間内で生分解する。インビボ治療法などの特定の実施形態において、このような分解は、通常約5年未満、1年、6ヶ月、3ヶ月、1ヶ月、15日、5日、3日、または1日の期間でさえ、25℃〜37℃の温度を有するpH4〜8の生理学的溶液への曝露の際に生じる。他の実施形態において、ポリマーは、所望の適用に応じて、約1時間〜数週間の期間で分解する。
ポリマーが、インビボで治療用のペプチドの送達に用いられる場合、ポリマー自体が非毒性であること、これらが、体液によってポリマーが浸食される際に非毒性の分解産物へと分解することが重要である。しかしながら、多くの生分解性ポリマーは、インビボでの浸食の際に、周囲の組織と有害な相互作用をするオリゴマーおよびモノマーを生じる(D.F.Williams,J.Mater.Sci.1233(1982))。完全なままのポリマー担体およびその分解産物の毒性を最小化するために、ポリマーは、天然に存在する代謝産物に基づいて設計されている。例示的なポリマーとしては、乳酸および/またはグリコール酸に由来するポリエステル類、ならびにアミノ酸に由来するポリアミド類が挙げられる。
多数の生分解性ポリマーが公知であり、医薬製剤の徐放に用いられる。このようなポリマーは、例えば、各々が全体として参照により本明細書に援用される米国特許第4,291,013号;第4,347,234号;第4,525,495号;第4,570,629号;第4,572,832号;第4,587,268号;第4,638,045号;第4,675,381号;第4,745,160号;および第5,219,980号、ならびにPCT公報WO2006/014626において記載されている。
本明細書に記載される疎水性ポリマーは、種々の末端基を有し得る。いくつかの実施形態において、例えば、ポリマーの末端基がカルボン酸、ヒドロキシ基、またはアミノ基である場合、このポリマーの末端基はさらに修飾されない。いくつかの実施形態において、この末端基はさらに修飾されてもよい。例えば、ヒドロキシル末端基を有するポリマーは、アシル基で誘導体化されて、アシル−キャッピングポリマー(例えば、アセチル−キャッピングポリマーまたはベンゾイルキャッピングポリマー)を、アルキル基で誘導化されて、アルコキシキャッピングポリマー(例えば、メトキシキャッピングポリマー)を、またはベンジル基で誘導体化されて、ベンジルキャッピングポリマーを生じ得る。この末端基はまたさらに、官能基と反応されて、例えば、核酸剤、対イオン、または不溶性基質などの別の部分に対する連結を提供し得る。いくつかの実施形態では、粒子は、官能化された疎水性ポリマー、例えば、疎水性ポリマー、例えば、PLGA(例えば、50:50PLGA)、ある部分で官能化された、例えば、N−(2−アミノエチル)マレイミド、2−(2−ピリジン−2−イル)ジスルファニル)エチルアミノ、またはスクシンイミジニル−N−メチルエステル(別の部分、例えば、治療用のペプチドと反応されなかった)を含む。
疎水性ポリマーは、約1kDa〜約70kDa(例えば、約4kDa〜約66kDa、約2kDa〜約12kDa、約6kDa〜約20kDa、約5kDa〜約15kDa、約6kDa〜約13kDa、約7kDa〜約11kDa、約5kDa〜約10kDa、約7kDa〜約10kDa、約5kDa〜約7kDa、約6kDa〜約8kDa、約6kDa、約7kDa、約8kDa、約9kDa、約10kDa、約11kDa、約12kDa、約13kDa、約14kDa、約15kDa、約16kDa、または約17kDa)の範囲の重量平均分子量を有し得る。
本明細書に記載される疎水性ポリマーは、約2.5以下(例えば、約2.2以下、または約2.0以下、または約1.5以下)のポリマー多分散指数(PDI)を有し得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される疎水性ポリマーは、約1.0〜約2.5、約1.0〜約2.0、約1.0〜約1.7、または約1.0〜約1.6のポリマーPDIを有し得る。
本明細書に記載される粒子は、粒子の例えば、約10重量%〜約90重量%(例えば、約20%〜約80%、約25%〜約75%、または約30%〜約70%)の様々な量の疎水性ポリマーを含み得る。
本明細書に記載される疎水性ポリマーは、例えば、BASF、Boehringer Ingelheim、Durcet Corporation、Purac America、およびSurModics Pharmaceuticalsなどの商業的供給元から市販され得る。本明細書に記載されるポリマーはまた合成されてもよい。ポリマーを合成する方法は、当該分野で公知である(例えば、Polymer Synthesis:TheoryおよびPractice Fundamentals,Methods,Experiments.D.Braunら、第4版,Springer,Berlin,2005参照)。このような方法としては、例えば、重縮合、ラジカル重合、イオン重合(例えば、陽イオンまたは陰イオン重合)、または開環メタセシス重合が挙げられる。
市販のまたは合成されたポリマー試料はさらに、ポリマー−薬剤の複合体の形成または本明細書に記載される粒子もしくは組成物への組み込みの前に精製されてもよい。いくつかの実施形態において、精製は、ポリマー試料の多分散を低下させ得る。ポリマーは、溶液からの沈殿、またはセライトなどの固形物上での沈殿によって精製され得る。ポリマーはまた、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によってさらに精製されてもよい。
他の疎水性部分
本明細書に記載される粒子の他の適切な疎水性部分としては、例えば、リン脂質が挙げられる。例示的な脂質としては、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、卵スフィンゴミエリン(ESM)、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド類、リン酸ジセチル、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、パルミトイルオレオイル−ホスファチジルコリン(POPC)、パルミトイルオレオイル−ホスファチジルエタノールアミン(POPE)、パルミトイルオレオイル−ホスファチジルグリセロール(POPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(DOPE−mal)、ジパルミトイル−ホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジミリストイル−ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジステアロイル−ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、モノメチル−ホスファチジルエタノールアミン、ジメチル−ホスファチジルエタノールアミン、ジエライドイル−ホスファチジルエタノールアミン(DEPE)、ステアロイルオレオイル−ホスファチジルエタノールアミン(SOPE)、リゾホスファチジルコリン、およびジリノレオイルホスファチジルコリンが挙げられる。
他の例示的な疎水性部分としては、コレステロールおよびビタミンE TPGSが挙げられる。
ある実施形態では、疎水性部分は、脂質ではない(例えば、リン脂質ではない)し、脂質を含むこともない。
疎水性−親水性ポリマー
本明細書に記載される粒子は、親水性部分および疎水性部分を含むポリマー、例えば、疎水性−親水性ポリマーを含んでもよい。この親水性−疎水性ポリマーは、別の部分、例えば、治療用のペプチドまたはタンパク質に対して(例えば、親水性部分または疎水性部分を通じて)結合されてもよい。いくつかの実施形態では、疎水性−親水性ポリマーは結合されていない(すなわち、別の部分に結合されない)。粒子は、複数の疎水性−親水性ポリマーを含んでもよく、例えば、ここである程度は、別の部分、例えば、治療用のペプチド、タンパク質および/または対イオンなどに結合され、ある程度は結合されていない。
親水性部分および疎水性部分を含むポリマーは、疎水性ブロックとカップリングされた親水性ブロックのコポリマーであり得る。これらのコポリマーは、約5kDa〜約30kDa(例えば、約5kDa〜約25kDa、約10kDa〜約22kDa、約10kDa〜約15kDa、約12kDa〜約22kDa、約7kDa〜約15kDa、約15kDa〜約19kDa、または約11kDa〜約13kDa、例えば、約9kDa、約10kDa、約11kDa、約12kDa、約13kDa、約14kDa、約15kDa、約16kDa、約17kDa、約18kDaまたは約19kDa)の重量平均分子量を有し得る。親水性部分および疎水性部分を含むポリマーは、薬剤へ結合されてもよい。
ポリマーの適切な疎水性部分の例としては、上記の疎水性部分が挙げられる。コポリマーの疎水性部分は、約1kDa〜約20kDa(例えば、約8kDa〜約15kDa、約1kDa〜約18kDa、17kDa、16kDa、15kDa、14kDa、または13kDa、約2kDa〜約12kDa、約6kDa〜約20kDa、約5kDa〜約18kDa、約7kDa〜約17kDa、約8kDa〜約13kDa、約9kDa〜約11kDa、約10kDa〜約14kDa、約6kDa〜約8kDa、約6kDa、約7kDa、約8kDa、約9kDa、約10kDa、約11kDa、約12kDa、約13kDa、約14kDa、約15kDa、約16kDa、または約17kDa)の重量平均分子量を有し得る。
ポリマーの適切な親水性部分の例としては、以下が挙げられる:カルボン酸、例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、およびマレイン酸;ポリオキシエチレン類または酸化ポリエチレン(PEG);ポリアクリルアミド類(例えば、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ならびにそれらとジメチルアミノエチルメタクリラート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ビニルベンジルトリメチル(thrimethyl)アンモニウムクロリド、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびスルホン酸スチレンとのコポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリオキサゾリン、ポリシアル酸、デンプンおよびデンプン誘導体、デキストランおよびデキストラン誘導体類;ポリペプチド類、例えば、ポリリシン類、ポリアルギニン類、ポリグルタミン酸類;ポリヒアルロン酸類;アルギン酸類、ポリラクチド類、ポリエチレンイミン類、ポリイオネン類、ポリアクリル酸類、およびポリイミノカルボン酸、ゼラチン、ならびに不飽和エチレン性のモノまたはジカルボン酸。適切な親水性ポリマーの列挙は、Handbook of Water−Soluble GumsおよびResins,R.Davidson,McGraw−Hill(1980)に見ることができる。コポリマーの親水性部分は、約1kDa〜約21kDa(例えば、約1kDa〜約8kDa、約1kDa〜約3kDa、例えば、約2kDa、または約2kDa〜約6kDa、例えば、約3.5kDa、または約4kDa〜約6kDa、例えば、約5kDa)の重量平均分子量を有し得る。一実施形態では、親水性部分は、PEGであり、重量平均分子量は、約1kDa〜約21kDa(例えば、約1kDa〜約8kDa、約1kDa〜約3kDa、例えば、約2kDa、または約2kDa〜約6kDa、例えば、約3.5kDa、または約4kDa〜約6kDa、例えば、約5kDa)である。一実施形態では、親水性部分は、PVAであり、重量平均分子量は、約1kDa〜約21kDa(例えば、約1kDa〜約8kDa、約1kDa〜約3kDa、例えば、約2kDa、または約2kDa〜約6kDa、例えば、約3.5kDa、または約4kDa〜約6kDa、例えば、約5kDa)である。一実施形態では、親水性部分は、ポリオキサゾリンであり、重量平均分子量は、約1kDa〜約21kDa(例えば、約1kDa〜約8kDa、約1kDa〜約3kDa、例えば、約2kDa、または約2kDa〜約6kDa、例えば、約3.5kDa、または約4kDa〜約6kDa、例えば、約5kDa)である。一実施形態では、親水性部分は、ポリビニルピロリジンであり、重量平均分子量は、約1kDa〜約21kDa(例えば、約1kDa〜約8kDa、約1kDa〜約3kDa、例えば、約2kDa、または約2kDa〜約6kDa、例えば、約3.5kDa、または約4kDa〜約6kDa、例えば、約5kDa)である。一実施形態では、親水性部分は、ポリヒドロキシルプロピルメタクリルアミドであり、重量平均分子量は、約1kDa〜約21kDa(例えば、約1kDa〜約8kDa、約1kDa〜約3kDa、例えば、約2kDa、または約2kDa〜約6kDa、例えば、約3.5kDa、または約4kDa〜約6kDa、例えば、約5kDa)である。一実施形態では、親水性部分は、ポリシアル酸であり、重量平均分子量は、約1kDa〜約21kDa(例えば、約1kDa〜約8kDa、約1kDa〜約3kDa、例えば、約2kDa、または約2kDa〜約6kDa、例えば、約3.5kDa、または約4kDa〜約6kDa、例えば、約5kDa)である。
親水性部分および疎水性部分を含むポリマーは、ブロックコポリマー、例えば、ジブロックまたはトリブロックコポリマーであってもよい。いくつかの実施形態において、このポリマーは、親水性ブロックおよび疎水性ブロックを含むジブロックコポリマーであり得る。いくつかの実施形態において、このポリマーは、疎水性ブロック、親水性ブロック、および別の疎水性ブロックを含むトリブロックコポリマーであり得る。2つの疎水性ブロックは、同じ疎水性ポリマーであっても、または異なる疎水性ポリマーであってもよい。本明細書で用いられるブロックコポリマーは、親水性部分、対疎水性部分の種々の比、例えば、重量で1:1〜1:40の範囲に及ぶ比(例えば、重量で約1:1〜約1:10、重量で約1:1〜約1:2、または重量で約1:3〜約1:6)を有し得る。
親水性部分および疎水性部分を含むポリマーは、種々の末端基を有し得る。いくつかの実施形態において、末端基は、ヒドロキシ基またはアルコキシ基であり得る(例えば、メトキシ)。いくつかの実施形態において、ポリマーの末端基はさらに修飾されていない。いくつかの実施形態において、末端基はさらに修飾され得る。例えば、末端基は、アルキル基でキャッピングされて、アルコキシでキャッピングされたポリマー(例えば、メトキシでキャッピングされたポリマー)を生じてもよく、標的化剤(例えば、葉酸塩)もしくは色素(例えば、ローダミン)と誘導体化されてもよく、または官能基と反応されてもよい。
親水性部分および疎水性部分を含むポリマーは、コポリマーの2つのブロック間にリンカーを含み得る。このようなリンカーは、例えば、アミド連結、エステル連結、エーテル連結、アミノ連結、カルバメート連結、またはカーボネート連結であってもよい。
本明細書に記載される親水性部分および疎水性部分を含むポリマーは、約2.5以下のポリマー多分散指数(PDI)を有し得る(例えば、約2.2以下、または約2.0以下、または約1.5以下)。いくつかの実施形態において、ポリマーPDIは、約1.0〜約2.5、例えば、約1.0〜約2.0、約1.0〜約1.8、約1.0〜約1.7、または約1.0〜約1.6である。
本明細書に記載される粒子は、親水性部分および疎水性部分を含む種々の量のポリマーを、例えば粒子の重量あたり最大約50重量%含み得る(例えば、約4〜約50重量%、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、または約50重量%)。例えば、粒子内の第二のポリマーの重量パーセントは約3%〜30%、約5%〜25%、または約8%〜23%である。
本明細書に記載される親水性部分および疎水性部分を含むポリマーは、市販されている場合があるし、または合成されてもよい。ポリマーを合成する方法は、当該分野で公知である(例えば、Polymer Synthesis:TheoryおよびPractice Fundamentals,Methods,Experiments.D.Braunら、,第4版,Springer,Berlin,2005を参照のこと)。そのような方法としては、例えば、重縮合、ラジカル重合、イオン重合(例えば、陽イオンまたは陰イオン重合)、または開環メタセシス重合が挙げられる。ブロックコポリマーは、2つのポリマー単位を別個に合成した後、2つの部分を確立された方法を用いて複合体化することによって調製され得る。例えば、ブロックは、EDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド)などのカップリング剤を用いて連結され得る。複合体化の後、2つのブロックは、アミド連結、エステル連結、エーテル連結、アミノ連結、カルバメート連結、またはカーボネート連結を介して連結され得る。
市販のまたは合成されたポリマー試料はさらに、ポリマー−薬剤の複合体の形成または本明細書に記載される粒子もしくは組成物への組み込みの前に精製され得る。いくつかの実施形態において、精製は、濾過できないポリマー試料をもたらし得る、より低分子量のポリマーを除去し得る。ポリマーは、溶液からの沈殿またはセライトなどの固形物への沈殿によって精製され得る。ポリマーはまた、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によってさらに精製されてもよい。
ペプチド−ポリマーの複合体
いくつかの実施形態では、親水性−疎水性ポリマーのようなポリマーが、荷電されたペプチドに結合される。荷電された治療用のペプチドまたはタンパク質は次に、荷電されたペプチドと非共有結合を形成し得る。荷電されたペプチドは、上記と同じ方法を用いて、上記と同じポリマー(例えば、疎水性および親水性−疎水性ポリマー)と複合体を形成し得る。
治療用のペプチド
治療用のペプチドは、記載される治療用のペプチド−ポリマー複合体、粒子または組成物を用いて対象に送達され得る。いくつかの実施形態では、この治療用ペプチドは、薬学的活性を有する化合物である。別の実施形態では、この治療用ペプチドは、臨床上用いられるかまたは治験中の薬物である。別の実施形態では、この治療用ペプチドは、米国の食品医薬品局(Food and Drug Administration)がヒトまたは他の動物での使用について承認している。いくつかの実施形態では、この治療用ペプチドは、荷電されたペプチド(例えば、正の電荷または負の電荷を有する)である。
代謝性障害
開示される治療用ペプチド−ポリマーの複合体、粒子および組成物は、代謝性障害の予防および治療において有用であり得る。
いくつかの実施形態では、この治療用ペプチドはホルモンである。例示的なホルモンとしては、エンケファリン、GLP−1(例えば、GLP−1(7−37)、GLP−1(7−36))、GLP−2、インスリン、インスリン様成長因子−1、インスリン様成長因子−2、オレキシンA、オレキシンB、ニューロペプチドY、成長ホルモン放出ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、コレシストキニン、メラニン形成細胞刺激ホルモン、コルチコトロピン放出因子、メラニン凝集ホルモン、ガラニン、ボンベシン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、ニューロテンシン、エンドルフィン、ダイノルフィンおよびプロインスリンのCペプチドが挙げられる。
好ましくは、この治療用ペプチドは、抗糖尿病誘発性(anti−diabetogenic)ペプチドである。抗糖尿病誘発性ペプチドとしては、以下の活性のうち1つ以上を有するペプチドが挙げられる:1)インスリン分泌を増大する能力;2)インスリン生合成を増大する能力;3)グルカゴン分泌を低減する能力;4)胃内容排出を遅延する能力;5)肝臓糖新生を低減する;6)インスリン感受性を改善する;7)β細胞によるグルコース感知を改善する;8)糖処理を増強する;9)インスリン耐性を低減する;およびβ細胞の機能または生存度を促進する。抗糖尿病誘発性ペプチドの例としては、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、インスリン、インスリン様成長因子−1、インスリン様成長因子−2、エキセジン−4および胃抑制ペプチド、ならびにそれらの改変体および誘導体が挙げられる。上記で列挙される低分子ペプチドのいくつかの改変体が公知である。例えば、GLP−1の公知の改変体としては、例えば、GLP−1(7−36)、GLP−1(7−37)、Gln9−GLP−1(7−37)、Thr16−Lys18−GLP−1(7−37)、Lys18−GLP−1(7−37)およびGly8−GLP−1が挙げられる。誘導体としては、例えば、酸付加塩、カルボン酸塩、低級アルキルエステル、およびPCT国際公開WO91/11457に記載のようなアミドが挙げられる。
例示的な治療用ペプチドとしては以下が挙げられる:
A−71378(Abbott Laboratories)、これは、6つのアミノ酸のペプチド(ならびにそれらの改変体および誘導体)であり、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、肥満のような代謝性障害が治療され得る;
PYY 3−36(Amylin Pharmaceuticals)34個のアミノ酸のペプチド(ならびにそれらの改変体および誘導体)であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、肥満のような代謝性障害が治療され得る;
AC−253(Antam,Amylin Pharmaceuticals)、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、および/または妊娠性糖尿病)および肥満が治療され得る;
アルビグルチド(albiglutide)(GSK−716155、Syncria,GlaxoSmithKline)、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠性糖尿病)が治療され得る;
AKL−0707(LAB GHRH,Akela Pharma)、29個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、脂質代謝性障害および栄養障害が治療され得る;
AOD−9604(Metabolic Pharmaceuticals,Ltd.),環状の16個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、肥満のような代謝性障害が治療され得る;
BAY−73−7977(Bayer AG)、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、および妊娠性糖尿病)が治療され得る;
BMS−686117(Bristol−Myers Squibb)、11個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、および妊娠性糖尿病)が治療され得る;
BIM−44002(Ipsen)、28個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、高カルシウム血症が治療され得る;
CVX−096(Pfizer−Covx)、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、および妊娠性糖尿病)が治療され得る;
ダバリンチド(davalintide)(AC−2307,Amylin Pharmaceuticals)、環状の30個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、肥満のような代謝性障害が治療され得る;
AC−2993(LY−2148568,Byetta(商標)、Amylin Pharmaceuticals)、38個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠性糖尿病)および肥満が治療され得る;
エクスリン(exsulin)(INGAPペプチド、Exsulin)、15個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠性糖尿病)が治療され得る;
グルカゴン(Glucogen(商標)、Novo Nordisk)、29個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠性糖尿病)が治療され得る;
ISF402(Dia−B Tech)、4個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠性糖尿病)が治療され得る;
ララゾチド(larazotide)(AT−1001,SPD−550、Alba Therapeutics Corp)、8個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠性糖尿病)が治療され得る;
リラグルチド(liraglutide)(Victoza(商標)、Novo Nordisk)、31個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠性糖尿病)および肥満が治療され得る;
リキシセナチド(lixisenatide)(AVE−0010、ZP−10、Sanofi Aventis)、44個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠性糖尿病)が治療され得る;
LY−2189265(Eli Lilly & Co.)、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠性糖尿病)が治療され得る;
LY−548805(Eli Lilly & Co.)、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠性糖尿病)が治療され得る;
NBI−6024(Neurocrine Biosciences,Inc.)、15個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠性糖尿病)が治療され得る;
オビネプチド(obinepitide)(7TM Pharma)、36個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、肥満のような代謝性障害が治療され得る;
ペプチドYY(3−36)(MDRNA Inc.)、34個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、肥満のような代謝性障害が治療され得る;
プラムリンチド(pramlintide)(Symlin(商標)、Amylin Pharmaceuticals)、環状の34個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠性糖尿病)および肥満が治療され得る;
R−7089(Roche)、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠性糖尿病)が治療され得る;
セマグルチド(semaglutide)(NN−9535、Novo Nordisk)、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠性糖尿病)が治療され得る;
SST類似体(Merck & Co.Inc.)、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠性糖尿病)が治療され得る;
SUN−E7001(CS−872,Daiichi Sankyo)、30個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠性糖尿病)が治療され得る;
タスポグルチド(taspoglutide)(BIM−51077,Roche)、30個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠性糖尿病)が治療され得る;
テサモレリン(tesamorelin)(TH−9507,Theratechnologies)、44個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、ソマトトロピン欠乏症、筋肉疲労および脂肪異栄養症が治療され得る;
TH−0318(OctoPlus NV)、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠性糖尿病)が治療され得る;
TKS−1225(oxyntomodulin,Wyeth)、37個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、肥満のような代謝性障害が治療され得る;
TM−30339(7TM Pharma)、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、肥満のような代謝性障害が処置され得る;
TT−223(E1−INT,Eli Lilly & Co.)、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠性糖尿病)が治療され得る;
非アシル化グレリン(AZP−01,Alize Pharma)、28個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、代謝性障害、例えば、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠性糖尿病)が治療され得る;ならびに
ウロコルチン(Urocortin)II(Neurocrine Biosciences Inc.)、38個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、肥満のような代謝性障害が治療され得る。
癌
開示される治療用ペプチド−ポリマーの複合体、粒子および組成物は、増殖性障害の治療、例えば、腫瘍およびその転移の治療(ここでこの腫瘍およびその転移は、本明細書に記載される癌である)において有用である。
この治療用ペプチドは、例えば、増殖性シグナル伝達のペプチド阻害剤(例えば、***促進性のシグナル伝達の阻害剤、またはp53のような腫瘍抑制タンパク質の活性を回復するペプチド)、細胞周期阻害剤、またはアポトーシスの誘導因子であり得る。例えば、増殖性シグナル伝達のペプチド阻害剤としては、Ras活性化のペプチド阻害剤、MAPキナーゼのペプチド阻害剤、NF−κB活性のペプチド阻害剤、およびc−Myc活性のペプチド阻害剤が挙げられる。例えば、Bidwellら、(2009)Expert Opin.Drug Delivery 6(10):1033−1047(その内容が参照によって本明細書に援用される)を参照のこと。
特許請求される複合体、粒子および組成物中で用いられ得る治療用ペプチドの例としては、以下が挙げられる:
A−6(Angstrom Pharmaceuticals Inc.)、8個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、卵巣癌)が治療され得る;
PPI−149(abarelix,Plenaxis(商標))、10個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、前立腺癌)が治療され得る;
ABT−510(Abbott Laboratories)、9個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、肺癌(例えば、小細胞または非小細胞肺癌)、腎細胞癌、肉腫、リンパ腫、固形腫瘍、黒色腫および悪性神経膠腫)が治療され得る;
ADH−1(Exherin(商標)、Adherex Technologies)、環状の5個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、固形腫瘍および黒色腫)が治療され得る;
AEZS−108(AN−152、ZEN−008、AEtherna Zentaris)、10個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、子宮内膜癌、乳癌、卵巣癌、および前立腺癌)が治療され得る;
アファメラノチド(afamelanotide)(EP−1647、CUV−1647、Melanotan(商標)、Clinuvel Pharmaceuticals,Ltd.)、13個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、皮膚癌)が治療され得る;
アンバムスチン(ambamustine)(PTT−119,Abbott Laboratories)3個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、リンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫)および肺癌(例えば、小細胞または非小細胞肺癌)が治療され得る;
アンタゴニストG(PTL−68001,Arana Thrapeutics)、6個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、肺癌(例えば、小細胞または非小細胞肺癌)、膵臓癌および結腸直腸癌)が治療され得る;
ATN−161(Attenuon LLC)、5個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、神経膠腫)が治療され得る;
アボレリン(avorelin)(EP−23904、Meterelin(商標)、Lutrelin(商標)、Mediolanum Farmaceutici SpA)、9個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、前立腺癌および乳癌)が治療され得る;
ブセレリン(buserelin)(Suprefact(商標)、Suprecur(商標)、Sanofi−Aventis)、10個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、前立腺癌)が治療され得る;
カルフィルゾミブ(carfilzomib)(PR−171,Proteolix Inc.)、4個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、複数の骨髄腫、リンパ腫、血液学的腫瘍、および固形腫瘍)が治療され得る;
CBP−501(武田薬品)、12個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、肺癌(例えば、小細胞または非小細胞肺癌)および中皮腫)が治療され得る;
セマドチン(cemadotin)(LU−103793,Abbott Laboratories)、5個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌が治療され得る;
セトロレリクス(cetrorelix)(NS−75、Cetrotide(商標)、AEterna Zentaris)、10個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、良性前立腺肥大,類線維腫(例えば、子宮筋腫)、癌(例えば、乳癌、卵巣癌、前立腺癌)が治療され得る;
クロロトキシン(chlorotoxin)(TM−601,TransMolecular Inc.)、36個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、神経膠腫)が治療され得る;
シレンギチド(cilengitide)(EMD−121974,EMD−85189)、5個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、肺癌(例えば、小細胞または非小細胞肺癌)、グリア芽細胞腫、膵臓癌および前立腺癌)が治療され得る;
CTCE−9908(Chemokine Therapeutics Corp.)、17個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌が治療され得る;
CVX−045(Pfizer−Covx)、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、固形腫瘍)が治療され得る;
CVX−060(Pfizer−Covx)、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌が治療され得る;
デガレリクス(degarelix)(FE 200486,Ferring Pharmaceuticals)、10個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、前立腺癌)が治療され得る;
デソロレリン(desolorelin)(Somagard(商標)、Shire)、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、リンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫)、脳腫瘍、黒色腫)が治療され得る;
ジデムニン(didemnin)B(NSC−325319,PharmaMar)、6個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、リンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫)、脳腫瘍、黒色腫)が治療され得る;
DRF−7295(Dabur India Ltd.)、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、乳癌および結腸直腸癌)が治療され得る;
エドトレオチド(edotreotide)(SMT−487,OctreoTher(商標)、Onaita(商標)、Molecular Insight Pharmaceuticals)、環状の7個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌が治療され得る;
エリシデプシン(elisidepsin)(PM−02734,Irvalec(商標)、PharmaMar)、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、肺癌(例えば、小細胞または非小細胞肺癌))が治療され得る;
EP−100(Esperance Pharmaceuticals Inc.)、33個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、前立腺癌)が治療され得る;
ガニレリクス(ganirelix)(Org−37462、RS−26306、Orgalutran(商標)、Antagon(商標)、Schering−Plough Corp)、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、子宮内膜症および癌(例えば、前立腺癌および乳癌)が治療され得る;
グルトキシム(glutoxim)(NOV−002,Pharma Vam)、6個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、肺癌(例えば、小細胞または非小細胞肺癌)および卵巣癌)が治療され得る;
ゴララチド(goralatide)(BIM−32001,Ipsen)、4個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌が治療され得る;
ゴセレリン(goserelin)(ICI−118630、AstraZeneca)、10個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、前立腺癌、乳癌、および子宮癌)が治療され得る;
ヒステレリン(histrelin)(Vantas(商標)、Johnson & Johnson)、9個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、前立腺癌)が治療され得る;
ラブラジミル(labradimil)(RMP−7,Cereport(商標)、Johnson & Johnson)、9個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、神経膠腫および脳腫瘍)が治療され得る;
ロイプロリド(leuprolide)(Lupron(商標)、Prostap(商標)、Leuplin(商標)、Enantone(商標)、武田薬品)、9個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、類線維腫(例えば、子宮筋腫)および癌(例えば、前立腺癌)が治療され得る;
LY−2510924(AVE−0010、Sanofi−Aventis)、環状のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、乳癌)が治療され得る;
ミファムルチド(mifamurtide)(Junovan(商標)、Metpact(商標)、武田薬品)、3個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、骨肉腫)が治療され得る;
met−エンケファリン(enkephalin)(INNO−105、Innovive Pharmaceuticals Inc.)、5個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、固形腫瘍、膵臓癌)が治療され得る;
ムラミックトリペプチド(muramyk tripeptide)(Novartis)、3個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌が治療され得る;
ナファレリン(nafarelin)(RS−94991,Samynarel(商標)、Nasanyl(商標)、Synarel(商標)、Synareia(商標)、Roche)、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、子宮内膜症および癌(例えば、前立腺癌および乳癌)が治療され得る;
オクトレオチド(octreotide)(SMS−201−995、Sandostatin(商標)、Novartis)、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、良性前立腺肥大および癌(例えば、前立腺癌)が治療され得る;
オザレリクス(ozarelix)(D−63153,SPI−153,Spectrum Pharmaceuticals)10個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、良性前立腺肥大および癌(例えば、前立腺癌)治療され得る;
POL−6326(Polyphor)、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌が治療され得る;
ラモレリクス(ramorelix)(Hoe−013,Sanofi Aventis)、9個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、類線維腫(例えば、子宮筋腫)および癌(例えば、前立腺癌)が治療され得る;
RC−3095(AEterna Zentaris)、6個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、固形腫瘍)が治療され得る;
Re−188−P−2045(P2045、Neotide(商標)、Bryan Oncor)、11個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、肺癌(例えば、小細胞または非小細胞肺癌))が治療され得る;
ロムルチド(romurtide)(DJ−7041、Nopia(商標)、Muroctasin(商標)、Daiichi Sankyo)、2個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌が治療され得る;
YHI−501(TZT−1027,Yakult Honsha KK)、2個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、固形腫瘍)が治療され得る;
SPI−1620(Spectrum Pharmaceuticals)、14個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、固形腫瘍)が治療され得る;
タビラウチド(tabilautide)(RP−56142,Sanofi Aventis)、3個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌が治療され得る;
TAK−448(武田薬品)、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、前立腺癌)が治療され得る;
TAK−683(武田薬品)、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、前立腺癌)が治療され得る;
タシドチン(tasidotin)(ILX−651、BSF−223651、Genzyme)、5個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、黒色腫、前立腺癌および肺癌(例えば、小細胞または非小細胞肺癌))が治療され得る;
テヴェレリックス(teverelix)(EP−24332,Antarelix(商標)、Ardana Biosciences)、10個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、子宮内膜症、良性前立腺肥大および癌(例えば、前立腺癌)が治療され得る;
チガポチド(tigapotide)(PCK−3145、Kotinos Pharmaceuticals)、15個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、子宮内膜症、良性前立腺肥大および癌(例えば、前立腺癌)が治療され得る;
チマルファシン(thymalfasin)(Zadaxin(商標)、Timosa(商標)、Thymalfasin(商標)、SciClone Pharmaceuticals)、28個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、黒色腫、肺癌(例えば、小細胞または非小細胞肺癌)および癌腫(例えば、肝細胞癌))が治療され得る;
TLN−232(CAP−232,TT−232,Thallion Pharmaceuticals)、7個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、子宮内膜症、良性前立腺肥大および癌が治療され得る;
トリプトレリン(triptorelin)(WY−42462,Debiopharma)、10個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、子宮内膜症、類線維腫(例えば、子宮筋腫)、良性前立腺肥大および癌(例えば、前立腺癌および乳癌)が治療され得る;
チロセルレウチド(tyroserleutide)(CMS−024,China Medical System)、3個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、肝臓癌(例えば、肝細胞癌)が治療され得る;ならびに
チロセルバチド(tyroservatide)(CMS−024−02,China Medical Systems)、3個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、増殖性障害、例えば、癌(例えば、肺癌(例えば、小細胞または非小細胞肺癌))が治療され得る。
心血管系疾患
開示される治療用ペプチド−ポリマーの複合体、粒子および組成物は、心血管系疾患の予防および治療において有用であり得る。
開示される複合体、粒子および組成物で用いられ得る例示的な治療用ペプチドとしては以下が挙げられる:
AC−2592(Betatropin(商標)、Amylin Pharmaceuticals)、30個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、心不全が治療され得る;
AC−625(Amylin Pharmaceuticals)、ペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、高血圧が治療され得る;
Anaritide(Auriculin(商標)、Johnson & Johnson)、環状の25個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、腎不全、心不全、および高血圧が治療され得る;
APL−180(Novartis)、ペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、冠動脈障害が治療され得る;
Atriopeptin(Astellas Pharma)、25個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害が治療され得る;
BGC−728(BTG plc)、環状のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、心筋梗塞および脳血管虚血が治療され得る;
カルペリチド(Carperitide)(SUN−4936,HANP(商標)、Daiichi Sankyo)、環状のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、心不全が治療され得る;
CD−NP(Nile Therapeutics)、41個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、心不全が治療され得る;
CG−77X56(Cardeva(商標)、Teva Pharmaceuticals)、ペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、心不全が治療され得る;
D−4F(APP−018,Novartis)、18個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、アテローム性動脈硬化症が治療され得る;
Danegaptide(ZP−1609,WAY−261134,GAP−134,Zealand Pharma)、2個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、心臓不整脈が治療され得る;
DMP−728(DU−728,Bristol−Myers Squibb)、環状の3個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、血栓症(例えば、冠動脈血栓症)が治療され得る;
エフェガトラン(Efegatran)(LY−294468,Eli Lilly and Co.)、3個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、心筋梗塞および血栓症(例えば、冠動脈血栓症)が治療され得る;
EMD−73495(Merck kGaA)、ペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害が治療され得る;
Eptifibatide(C68−22,Integrelin(商標)、Integrilin(商標)、武田薬品)、環状の6個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、急性冠動脈症候群、心筋梗塞、および不安定狭心症が治療され得る;
ET−642(RLT−peptide,Pfizer)、22個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、アテローム性動脈硬化症が治療され得る;
FE 202158(Ferring Pharmaceuticals)、環状の9個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、血管拡張性低血圧(例えば、敗血症および透析低血圧)が治療され得る;
FX−06(Ikaria)、ペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、再灌流傷害が治療され得る;
Icrocaptide(ITF−1697,Italfarmaco)、4個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、呼吸窮迫症候群が治療され得る;
KAI−1455(KAI Pharmaceuticals)、20個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、心血管手術の心臓保護が治療され得る;
KAI−9803(Bristo−Myers Squibb)、23個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、心筋梗塞、再灌流傷害、および冠動脈疾患が治療され得る;
L−346670(Merck & Co.Inc.)、環状の26個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、高血圧が治療され得る;
L−364343(Merck & Co.Inc.)、環状の29個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、高血圧が治療され得る;
LSI−518P(Lipid Sciences Inc.)、ペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害が治療され得る;
ネシリチド(Nesiritide)(Noratak(商標)、Natrecor(商標)、Johnson & Johnson)、32個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、心不全が治療され得る;
ペプチドレニン(阻害薬)阻害剤(Pfizer)、ペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害が治療され得る;
PL−3994(Palatin Technologies)、15個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、高血圧および心不全が治療され得る;
ロチガプチド(Rotigaptide)(ZP−123,GAP−486,Zealand Pharma)、6個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、心室性不整脈および心房細動が治療され得る;
Saralasin(P−113,Sarenin(商標)、Procter & Gamble)、8個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害が治療され得る;
SKF−105494(GlaxoSmithKline)、環状の7個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、高血圧が治療され得る;
テルラキレン(Terlakiren)(CP−80794,Pfizer)、2個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、高血圧が治療され得る;
チマルファシン(Thymalfasin)(Zadaxin(商標)、Timosa(商標)、Thymalfasin(商標)、SciClone Pharmaceuticals)、28個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、血管新生の障害が治療され得る;
トリデカクチド(Tridecactide)(AP−214,Action Pharma)、10個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、再灌流傷害および腎疾患が治療され得る;
(ウラリチド)Ularitide(CDD−95−126、ESP−305、CardioBiss(商標)、Nephrobiss(商標)、EKR Therapeutics)、環状の32個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、心不全および腎不全が治療され得る;
ウロコルチン(Urocortin)II(Neurocrine Biosciences Inc.)、38個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、心不全が治療され得る;ならびに
ZP−120(Zealand Pharma)、12個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、心血管系障害、例えば、収縮期高血圧および心不全が治療され得る。
感染性疾患
本明細書に記載される複合体、粒子および組成物は、感染性疾患を治療または予防するペプチドを含み得る。開示される複合体、粒子および組成物で用いられ得る例示的な治療用ペプチドとしては、以下が挙げられる:
Albuvirtide(Frontier Biotechnologies)、ペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、HIV感染が治療され得る;
ALG−889(Allergene Inc.)、16個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、HIV感染および免疫障害が治療され得る;
Alloferon(Allokine−alpha(商標)、EntoPharm Co.Ltd.)、13個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、B型肝炎ウイルス感染、C型肝炎ウイルス感染、ヘルペスウイルス感染、および癌が治療され得る;
ALX−40−AC(NPS Pharmaceuticals)、9個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、HIV感染が治療され得る;
CB−182804(Cubist Pharmaceuticals)、ペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、多剤耐性グラム陰性細菌感染が治療され得る;
CB−183315(Cubist Pharmaceuticals)、ペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、Clostridium difficile関連下痢症が治療され得る;
CZEN−002(Migami)、重合体の8個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、外陰膣カンジダ症が治療され得る;
エンフビルチド(Enfuvirtide)(T−20、Fuzeon(商標)、Roche)、36個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、HIV感染が治療され得る;
グルコサミルムラミルトリペプチド(Glucosamyl muramyl tripeptide)(Theramide(商標)、DOR BioPharma Inc.)、3個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、ヘルペスウイルス感染、術後感染症、乾癬,気道障害(例えば、肺障害)、および結核が治療され得る;
GMDP(Likopid(商標)、Licopid(商標)、Arana Therapeutics)、2個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、ヘルペスウイルス感染、術後感染症、乾癬,気道障害(例えば、肺障害)、および結核が治療され得る;
ゴロチモド(Golotimod)(SCV−07,SciClone Pharmaceuticals)、2個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、C型肝炎、ウイルス感染、および結核が治療され得る;
GPG−NH2(Tripep)、3個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、HIV感染が治療され得る;
hLF(1−11)(AM−Pharma Holding BV)、11個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、細菌感染、真菌症、菌血症、およびカンジダ性敗血症が治療され得る;
IMX−942(Inimex Pharmaceuticals)、ペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、院内細菌感染が治療され得る;
イセガナン(Iseganan)(IB−367,Ardea Biosciences Inc.)、環状の16個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、口内炎および院内感染肺炎が治療され得る;
ムラブチド(Murabutide)(VA−101,CY−220、Sanofi−Aventis)、2個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、肝炎ウイルス感染およびHIV感染が治療され得る;
ネオゲン(Neogen)(Neogen(商標)、Immunotech Developments)、ペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、ウイルス感染、細菌感染、および造血障害が治療され得る;
NP−213(Novexatin(商標)、NovaBiotics)、環状のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、爪甲真菌症が治療され得る;
オグルファニド(Oglufanide)(IM−862,Implicit Bioscience)、2個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、C型肝炎ウイルス感染が治療され得る;
オミガナン(Omiganan)(CPI−226,Omigard(商標)、Migenix Inc.)、12個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、カテーテル感染および酒さが治療され得る;
OP−145(OctoPlus NV)、ペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、耳炎が治療され得る;
p−1025(Sinclair Pharma plc)、19個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、齲蝕が治療され得る;
P−113(PAC−113,HistaWash(商標)、Histat gingivitis gel(商標)、Histat periodontal wafer(商標)、Pacgen Biopharmaceuticals Corp.)、12個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、Candida albicans感染および歯肉炎が治療され得る;
Pep−F(5K,Milkhaus Laboratory Inc.)、ペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、ヘルペスウイルス感染が治療され得る;
R−15−K(BlockAide/CR(商標)、Adventrx Pharmaceuticals Inc.)、15個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、HIV感染が治療され得る;
シフビルチド(Sifuvirtide)(FusoGen Pharmaceuticals Inc.)、36個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、HIV感染が治療され得る;
SPC−3(Columbia Laboratories)、重合体の56個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、HIV感染が治療され得る;
チマルファシン(Thymalfasin)(Zadaxin(商標)、Timosa(商標)、Thymalfasin(商標)、SciClone Pharmaceuticals)、28個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、癌(例えば、肝細胞癌)、B型肝炎ウイルス感染、C型肝炎ウイルス感染、HIV感染、インフルエンザウイルス感染、aspergillus感染、および創傷治癒が治療され得る;
チモノクタン(Thymonoctan)(FCE−25388,Pfizer)、8個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、肝炎ウイルス感染およびHIV感染が治療され得る;
チモペンチン(Thymopentin)(TP−5、Timunox(商標)、Johnson & Johnson)、5個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、肺感染およびHIV感染が治療され得る;
チフビルチド(Tifuvirtide)(R−724,T−1249,Roche)、39個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、HIV感染が治療され得る;
TRI−1144(Trimeris Inc.)、38個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、HIV感染が治療され得る;
VIR−576(Pharis Biotec)、40個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、HIV感染が治療され得る;ならびに
XOMA−629(XOMA Ltd.)、15個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、微生物障害またはウイルス障害、例えば、座瘡、Staphylococcus aureus感染、および膿痂疹が治療され得る。
アレルギー、炎症および自己免疫障害
本明細書に記載される複合体、粒子および組成物は、アレルギー、炎症および/または自己免疫障害感染性疾患を治療または予防するペプチドを含み得る。開示された複合体、粒子および組成物で用いられ得る例示的な治療用ペプチドとしては、以下が挙げられる:
A−623(AMG−623,Anthera Pharmaceuticals)、ペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、紅斑性狼瘡および慢性リンパ球性白血病が治療され得る;
AG−284(AnergiX.MS(商標)、GlaxoSmithKline)、19個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、多発性硬化症が治療され得る;
AI−502(AutoImmune)、ペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、移植片拒絶が治療され得る;
アロトラップ(Allotrap)2702(B−2702,Allotrap 2702(商標)、Genzyme)、10個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、移植片拒絶が治療され得る;
AZD−2315(AstraZeneca)、8個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、関節リウマチが治療され得る;
Cnsnqic−Cyclic(802−2,Adeona Pharmaceuticals)、環状の5個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、第VIII因子欠乏症、多発性硬化症、および宿主対移植片病が治療され得る;
デルミチド(Delmitide)(RDP−58,Genzyme)、10個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、炎症性腸疾患,潰瘍性大腸炎、およびクローン病が治療され得る;
ジコチド(Dirucotide)(MBP−8298,Eli LillyおよびCo.)、17個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、多発性硬化症が治療され得る;
ジシテルチド(Disitertide)(NAFB−001、P−144、ISDIN SA)、環状の14個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、強皮症が治療され得る;
dnaJP1(AT−001,Adeona Pharmaceuticals)、15個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、関節リウマチが治療され得る;
エドラチド(Edratide)(TV−4710、Teva Pharmaceuticals)、20個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、全身性紅斑性狼瘡が治療され得る;
F−991(Clinquest Inc.)、9個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、アレルギー性喘息および皮膚障害が治療され得る;
FAR−404(Enkorten(商標)、Farmacija doo)、ペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、機能性腸疾患,多発性硬化症、関節リウマチ,喘息、および全身性紅斑性狼瘡が治療され得る;
グラスピモド(Glaspimod)(SKF−107647,GlaxoSmithKline)、8個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、白血球減少症 薬物誘発性真菌乾癬、免疫障害,ウイルス感染、細菌感染、および免疫不全が治療され得る;
グラチラマー(Glatiramer)(COP−1,Copaxone(商標)、Teva Pharmaceuticals)、ペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、緑内障、ハンチントン舞踏病、運動ニューロン疾患、多発性硬化症、および神経変性疾患が治療され得る;
グルコサミルムラミルトリペプチド(Glucosamyl muramyl tripeptide)(Theramide(商標)、DOR BioPharma Inc.)、3個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、ヘルペスウイルス感染、術後感染症、乾癬,気道障害(例えば、肺障害)、および結核が治療され得る;
GMDP(Likopid(商標)、Licopid(商標)、Arana Therapeutics)、2個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、ヘルペスウイルス感染、術後感染症、乾癬,気道障害(例えば、肺障害)、および結核が治療され得る;
イカチバント(Icatibant)(JE−049,HOE−140、Firazyr(商標)、Shire)、8個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、遺伝性血管浮腫、鼻炎、喘息、骨関節炎、疼痛および肝硬変が治療され得る;
IPP−201101(Lupuzor(商標)、ImmuPharma Ltd.)、ペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、全身性紅斑性狼瘡が治療され得る;
MSペプチド(Briana Bio−Tech Inc.)、ペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、多発性硬化症が治療され得る;
Org−42982(AG−4263,AnergiX.RA(商標)、GlaxoSmithKline)、13個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、関節リウマチが治療され得る;
ペンチゲチド(Pentigetide)(TA−521,Pentyde(商標)、Bausch & Lomb)、5個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、アレルギー性鼻炎およびアレルギー性結膜炎が治療され得る;
PI−0824(Genzyme)、19個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、尋常性天疱瘡が治療され得る;
PI−2301(Peptimmune)、ペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、多発性硬化症が治療され得る;
PLD−116(Barr Pharmaceuticals Inc.)、15個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、潰瘍性大腸炎が治療され得る;
PMX−53(Arana Therapeutics)、環状の6個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、炎症、関節リウマチ、および乾癬が治療され得る;
PTL−0901(Acambis plc)、9個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、アレルギー性鼻炎が治療され得る;
RAペプチド(Acambis plc)、4個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、関節リウマチが治療され得る;
TCMP−80(Elan Corp.)、2個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害が治療され得る;
チモデプレシン(Thymodepressin)(Immunotech Developments)、2個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、再発性自己免疫性血球減少症(1、2、3系統)、再生不良性貧血、関節リウマチ、および乾癬が治療され得る;
チモペンチン(Thymopentin)(TP−5、Timunox(商標)、Johnson & Johnson)、5個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、肺感染、関節リウマチ,HIV感染、および原発性免疫不全が治療され得る;
チプリモチド(Tiplimotide)(NBI−5788,Neurocrine Biosciences Inc.)、17個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、多発性硬化症が治療され得る;
ウラリチド(Ularitide)(CDD−95−126、ESP−305、CardioBiss(商標)、Nephrobiss(商標)、EKR Therapeutics)、環状の32個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害、例えば、喘息が治療され得る;ならびに
ZP−1848(Zealand Pharma)、ペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、アレルギー、炎症性障害、または免疫障害が治療され得る。
腎臓病態
開示される治療用のペプチド−ポリマーの複合体、粒子および組成物は、腎臓障害、例えば、本明細書に記載される腎臓障害を治療するのに有用である。
この治療用ペプチドは、例えば、GHRHレセプターのペプチドアゴニスト、ANPレセプターのペプチドアゴニスト、AVPレセプターのペプチドアゴニスト、CALCレセプターのペプチドアゴニスト、CRHレセプターのペプチドアゴニスト、SSTレセプターのペプチドアゴニスト、IL−2レセプターのペプチドアゴニスト、およびMCレセプターのペプチドアゴニストである。
特許請求される複合体、粒子および組成物で用いられ得る治療用ペプチドの例としては以下が挙げられる:
AKL−0707(Aleka Pharma)29個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、腎疾患、例えば、脂質代謝性障害に伴う腎機能不全が治療され得る;
アニリチド(Aniritide)(Johnson & Johnson)25個のアミノ酸環状のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、腎疾患、例えば、腎不全が治療され得る;
BIM−44002(Ipsen)28個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、腎疾患、例えば、腎不全、例えば、腎不全に伴う高カルシウム血症が治療され得る;
ヒトカルシトニン(Human Calcitonin)(Cibacalcin(登録商標)とも呼ばれる)(Novartis)32個のアミノ酸のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、腎疾患、例えば、腎不全、例えば、腎不全に伴う高カルシウム血症が治療され得る;
サケカルシトニン(Salmon Calcitonin)(Calcimar(登録商標)とも呼ばれる)(Sanofi−Aventis)32個のアミノ酸環状のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、腎疾患、例えば、腎不全、例えば、腎不全に伴う高カルシウム血症が治療され得る;
Cペプチド(C−peptide)(SPM−933とも呼ばれる)(Cebix)31個のアミノ酸の直鎖状ペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、腎疾患、例えば、ネフロパシー、例えば、糖尿病性ネフロパシーが治療され得る;
デスモプレシン(Desmopressin)(Minirin(登録商標)とも呼ばれる)、DDAVP(登録商標)、またはOctostim(登録商標))(Ferring Pharmaceuticals)9個のアミノ酸環状のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、腎疾患、例えば、ネフロパシー、例えば、糖尿病性ネフロパシーが治療され得る;
DG−3173(PTR−3173またはSomatoprim(登録商標)とも呼ばれる)(DeveloGen)8個のアミノ酸環状のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、腎疾患、例えば、ネフロパシー、例えば、糖尿病性ネフロパシーが治療され得る;
EA−230(Exponential Biotherapies)4個のアミノ酸直鎖状のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、腎疾患、例えば、腎不全が治療され得る;
エルカトニン(Elcatonin)(Sidinuo(登録商標)またはElcitonin(登録商標)とも呼ばれる)(Asahi Kasei Pharma)31個のアミノ酸環状のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、腎疾患、例えば、腎不全、例えば、腎不全に伴う高カルシウム血症が治療され得る;
リプレシン(Lypressin)(Diapid(登録商標)とも呼ばれる)(Novartis)9個のアミノ酸環状のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、腎疾患、例えば、尿崩症が治療され得る;
テルリプレッシン(Terlipressin)(Glypressin(登録商標)とも呼ばれる)(Ferring Pharmaceuticals)12個のアミノ酸環状のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、腎疾患、例えば、肝腎症候群が治療され得る;
トリデカクチド(Tridecactide)(AP−214とも呼ばれる)(Action Pharma)10個のアミノ酸直鎖状のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、腎疾患が治療され得る;ならびに
ウラリチド(Ularitide)(CDD−95−126、ESP−305、CardioBiss(登録商標)またはNephrobiss(登録商標)とも呼ばれる)(EKR Therapeutics)32個のアミノ酸環状のペプチド、ならびにその改変体および誘導体であって、これは本明細書に記載される粒子、複合体および組成物中で用いられて、腎疾患、例えば、腎不全が治療され得る。
腎疾患
開示されたポリマー−薬剤の複合体、粒子および組成物は、腎疾患を治療するために、例えば、本明細書に記載の腎疾患を治療するのに有用である。この薬剤が診断剤であるいくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマー−薬剤の複合体、粒子および組成物は、腎疾患を評価または診断するために用いられ得る。
例示的な腎疾患としては、例えば、急性腎不全、急性腎炎症候群、鎮痛薬性ネフロパシー、粥状塞栓(atheroembolic)腎疾患、慢性腎不全、慢性腎炎、先天性ネフローゼ症候群、末期腎不全、グッドパスチャー症候群、間質性腎炎、腎臓障害、腎感染、腎臓損傷、腎臓結石、ループス腎炎、膜性増殖性GN I、膜性増殖性GN II、膜性ネフロパシー、微少変化群、壊死性糸球体腎炎、腎芽細胞腫、腎石灰症、腎性尿崩症、ネフローゼ(ネフローゼ症候群)、多嚢胞性腎疾患、レンサ球菌感染後のGN、逆流性ネフロパシー、腎動脈塞栓症、腎動脈狭窄症、腎乳頭壊死、I型尿細管性アシドーシス、II型尿細管性アシドーシス、腎臓部の灌流不足、および腎静脈血栓症が挙げられる。
いくつかの実施形態では、この薬剤は、アセチル化誘導体または薬学的に許容される塩のような、薬学的活性を有する治療用ペプチドの誘導体である。いくつかの実施形態では、この治療用ペプチドは、プロドラッグ、例えば、ヘキサノエートの複合体である。
治療用ペプチドは、ポリマーと組み合わされ、結合されたか、および/または粒子中に負荷された治療用ペプチドの組み合わせを意味し得る。任意の組み合わせの治療用ペプチドが用いられ得る。癌を治療する特定の実施形態では、少なくとも2つの伝統的な化学療法の治療用ペプチドを、ポリマーに結合するか、および/または粒子に負荷してもよい。
ある特定の実施形態では、この治療用ペプチドは、ポリマーに結合されて、治療用のペプチド−ポリマーの複合体が形成され得る。
ある特定の実施形態では、粒子中の治療用ペプチドは、粒子のポリマーに結合される。この治療用ペプチドは、粒子中の任意のポリマー、例えば、疎水性ポリマー、または親水性および疎水性部分を含むポリマーに結合され得る。
ある特定の実施形態では、治療用ペプチドは、粒子中に組み込まれる。治療用ペプチドは、ポリマーまたは粒子の他の構成要素と、1つ以上の非共有結合的な相互作用、例えば、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、水素結合、双極子(dipole−dipole)相互作用、イオン相互作用およびパイスタッキングを通じて会合され得る。
治療用ペプチドは、本明細書に記載される治療用ペプチド−ポリマーの複合体、粒子または組成物の種々の量で存在してもよい。粒子中に存在する場合、この治療用ペプチドは、例えば、約1〜約100重量%(例えば、約2〜約30重量%、約4〜約25 重量%、約50〜約100重量%、約70〜約100重量%、約50〜約90重量%、または約5〜約13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、30%、40%、50%、60%.70%、または80重量%)の量で存在し得る。
複合体
粒子の構成要素のうちの1つ以上は、複合体の形態であってもよく、すなわち、別の部分に結合されてもよい。例示的な複合体としては、治療用のペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体(例えば、治療用のペプチドまたはタンパク質−疎水性ポリマーの複合体、治療用のペプチドまたはタンパク質−疎水性−親水性ポリマーの複合体、または治療用のペプチドまたはタンパク質−親水性ポリマーの複合体)、対イオン−ポリマーの複合体(例えば、対イオン−疎水性ポリマーの複合体または対イオン−疎水性−親水性ポリマーの複合体)、および治療用のペプチドまたはタンパク質−疎水性部分複合体が挙げられる。
本明細書に記載される治療用のペプチドまたはタンパク質−ポリマーの複合体は、ポリマー(例えば、疎水性ポリマー、親水性ポリマー、または親水性−疎水性ポリマー)、および治療用のペプチドまたはタンパク質を含む。本明細書に記載される治療用のペプチドまたはタンパク質は、例えば、直接(例えば、介在するスペーサー部分由来の原子の存在なしで)、またはリンカーを通じて、本明細書に記載されるポリマーに結合され得る。治療用のペプチドまたはタンパク質は、疎水性ポリマー(例えば、PLGA)、親水性ポリマー(例えば、PEG)または親水性−疎水性ポリマー(例えば、PEG−PLGA)に結合され得る。治療用のペプチドまたはタンパク質は、ポリマーの末端に結合されてもよく、ポリマーの両方の末端に結合されてもよく、またはポリマー鎖にそった点に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の治療用のペプチドまたはタンパク質は、ポリマー鎖にそった点に結合されてもよく、または複数の治療用のペプチドまたはタンパク質が、多機能性のリンカーを介してポリマーの末端に結合されてもよい。治療用のペプチドまたはタンパク質は、この治療用のペプチドまたはタンパク質のアミノ末端またはカルボキシル末端を通じて、本明細書に記載のポリマーに結合されてもよい。治療用のペプチドまたはタンパク質はまた、本明細書に記載されるポリマーに対して、この治療用のペプチドまたはタンパク質の一部であるアミノ酸の側鎖の官能基を通じて結合されてもよい。
本明細書に記載される対イオン−ポリマーの複合体は、ポリマー(例えば、疎水性ポリマー、または親水性部分および疎水性部分を含んでいるポリマー)および対イオンを含む。本明細書に記載される対イオンは、本明細書に記載されるポリマーに対して、例えば、直接(例えば、介在するスペーサー部分由来の原子の存在なしで)、またはリンカーを通じて結合され得る。対イオンは、疎水性ポリマー(例えば、PLGA)または疎水性部分および親水性部分を有するポリマー(例えば、PEG−PLGA)に結合され得る。対イオンは、ポリマーの末端に結合されてもよいし、ポリマーの両方の末端に結合されてもよいし、またはポリマー鎖に沿った点に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の対イオンは、ポリマー鎖に沿った点に結合されてもよく、または複数の対イオンは、多機能性のリンカーを介してポリマーの末端に結合されてもよい。
結合の方式
本明細書に記載される治療用のペプチド、タンパク質または対イオンは、直接(例えば、介在するスペーサー部分由来の原子の存在なしで)、本明細書に記載されるポリマーまたは疎水性部分(例えば、ポリマー)に結合され得る。この結合は、ポリマーの末端であっても、またはポリマーの骨格にそってもよい。いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、このポリマーに対する結合点で修飾され;例えば、治療用のペプチドまたはタンパク質の末端のアミンまたは末端のカルボン酸部分は、ポリマーと反応される官能基に変換される(例えば、カルボン酸部分は、チオエステル部分に変換される)。治療用のペプチド、タンパク質または対イオンの反応性官能基は、直接(例えば、介在するスペーサー部分由来の原子の存在なしで)、ポリマー上の官能基に結合され得る。治療用のペプチド、タンパク質または対イオンは、種々の連結、例えば、アミド、エステル、スルフィド(例えば、マレイミドスルフィド)、ジスルフィド、スクシンイミド、オキシム、シリルエーテル、カーボネートまたはカルバメートの連結を介してポリマーに結合され得る。例えば、一実施形態では、治療用のペプチド、タンパク質または対イオンのカルボキシル基は、ポリマーのヒドロキシル基と反応されて、治療用のペプチド、タンパク質または対イオンとポリマーとの間の直接エステル結合を形成し得る。別の実施形態では、治療用のペプチド、タンパク質または対イオンのアミン基は、ポリマーのカルボン酸基に連結されて、アミド結合を形成し得る。ある実施形態では、チオール修飾された治療用のペプチドまたはタンパク質は、ポリマーの末端上の反応性部分(例えば、アクリレートPLGA、またはピリジニル−SS−活性化PLGA、またはマレイミド活性化PLGA)と反応されて、スルフィドもしくはジスルフィドまたはチオエーテル結合(すなわち、スルフィド結合)が形成され得る。例示的な結合方式としては、クリックケミストリーから生じるもの(例えば、アミド結合、エステル結合、ケタール、スクシナート、またはトリアゾールおよびWO2006/115547に記載のもの)が挙げられる。
特定の実施形態では、特定の所望の複合体の形成を容易にするために、適切な保護基が、他のポリマー末端上で、または治療用のペプチドまたはタンパク質の反応性側鎖の上で必要であり得る。例えば、ヒドロキシ末端を有するポリマーは、例えば、シリル基の群(例えば、トリメチルシリル)またはアシル基(例えば、アセチル)で保護され得る。治療用のペプチド、タンパク質(1つ以上の反応性基を側鎖の上に有する)は、例えば、アセチル基または他の保護基で保護されてもよく、その結果、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、例えば、治療用のペプチドまたはタンパク質の末端を通じて、ポリマーに選択的に結合され得る。
いくつかの実施形態では、ポリマーに対する治療用のペプチド、タンパク質または対イオンの結合のプロセスは、同じポリマーおよび同じ治療用のペプチド、タンパク質または対イオンを有する複合体の混合物を含むが、治療用のペプチド、タンパク質または対イオンとポリマーとの間の連結の性質が異なる組成物を生じ得る。例えば、治療用のペプチド、タンパク質または対イオンが、ポリマーと反応し得る複数の反応性部分を有する場合、治療用のペプチド、タンパク質または対イオンおよびポリマーの反応の生成物は、この治療用のペプチド、タンパク質または対イオンがこのポリマーに対して、1つの反応性部分を介して結合されている複合体、ならびにこの治療用のペプチド、タンパク質または対イオンがこのポリマーに対して、別の反応性部分を介して結合されている複合体を含み得る。例えば、治療用のペプチドまたはタンパク質が、ポリマーに結合される場合、この反応の生成物は、複合体であって、治療用のペプチドまたはタンパク質のある程度が治療用のペプチドまたはタンパク質のカルボキシ末端を通じてポリマーに結合されており、かつ治療用のペプチドまたはタンパク質のある程度が、治療用のペプチドまたはタンパク質のアミノ末端を通じてポリマーに結合されている複合体を含み得る。同様に、対イオンが複数の反応性基、例えば、複数のアミンを含む場合、この反応の生成物は、複合体であって、対イオンのある程度が第一の反応性基を通じてポリマーに結合されており、および対イオンのある程度が第二の反応性基を通じてポリマーに結合されている複合体を含み得る。
いくつかの実施形態において、治療用のペプチド、タンパク質または対イオンをポリマーに結合させるプロセスは、保護基の使用を包含し得る。例えば、治療用のペプチド、タンパク質または対イオンが、ポリマーと反応し得る複数の反応性部分を有する場合、この治療用のペプチド、タンパク質または対イオンは、特定の反応性位置において保護され得、それによりポリマーが、特定された位置を介して結合される。一実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、ポリマーに結合される場合、この治療用のペプチドまたはタンパク質のカルボキシル末端で保護されてもよいし、またはアミノ末端上で保護されてもよい。一実施形態では、治療用のペプチドまたはタンパク質は、ポリマーに結合されるとき、この治療用ペプチドまたはタンパク質の側鎖上で保護され得る。一実施形態では、治療用のペプチドまたはタンパク質は、この治療用ペプチドまたはタンパク質の側鎖および末端(例えば、アミノ末端またはカルボキシ末端)上で保護され得る。
いくつかの実施形態において、上で記載されたものなどの選択的にカップリングされた生成物を組み合わせて、治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体の混合物を形成してもよい。例えば、治療用のペプチドまたはタンパク質のカルボキシ末端を通じてこの治療用のペプチドまたはタンパク質に結合されるPLGA、および治療用のペプチドまたはタンパク質のアミノ末端を通じてこの治療用のペプチドまたはタンパク質に結合されるPLGAを組み合わせて、2つの複合体の混合物を形成してもよく、かつこの混合物を、粒子の調製物中で用いてもよい。
ポリマー−薬剤(例えば、ポリマー−治療用ペプチドまたはポリマー−タンパク質)の複合体は、ポリマーに結合した単一の治療用のペプチドもしくはタンパク質または対イオンを含んでもよい。この治療用のペプチド、タンパク質または対イオンは、ポリマーの末端に結合されても、またはポリマー鎖に沿った点に結合されてもよい。
いくつかの実施形態において、この複合体は、ポリマーに結合した複数の治療用のペプチド、タンパク質または対イオンを含んでよい(例えば、2、3、4、5、6、またはそれ以上の薬剤が、ポリマーに結合され得る)。治療用のペプチド、タンパク質または対イオンは、同じであってもまたは異なってもよい。いくつかの実施形態において、複数の治療用のペプチド、タンパク質または対イオンは、多機能性リンカーに結合されてもよい(例えば、ポリグルタミン酸リンカー)。いくつかの実施形態において、複数の治療用のペプチド、タンパク質または対イオンは、ポリマー鎖に沿った点に結合されてもよい。
リンカー
治療用のペプチド、タンパク質または対イオンは、ある部分、例えば、ポリマー、または疎水性部分、例えば、脂質に対して、またはお互いに対して、本明細書に記載のリンカーのようなリンカーを介して結合され得る。例えば:疎水性ポリマーは、対イオンに結合され得;疎水性ポリマーは、治療用のペプチドまたはタンパク質に結合され得;親水性−疎水性ポリマーは治療用のペプチドまたはタンパク質に対して結合され得;親水性ポリマーは、治療用のペプチドまたはタンパク質に結合され得;親水性ポリマーは、対イオンに結合され得;または疎水性部分は、対イオンに結合され得、または治療用のペプチドもしくはタンパク質は対イオンに結合され得る。治療用のペプチドまたはタンパク質は、ある部分、例えば、本明細書に記載されるポリマーに対して、治療用のペプチドまたはタンパク質のカルボン酸位置、例えば、治療用のペプチドまたはタンパク質の末端のカルボン酸位置に対して(例えば、本明細書に記載されるリンカーを通じて)結合され得る。治療用のペプチドまたはタンパク質は、本明細書に記載のポリマーなどの部分に対して、この治療用ペプチドまたはタンパク質のアミン位置、例えば、この治療用ペプチドまたはタンパク質の末端のアミン位置を通じて(例えば、本明細書に記載のリンカーを通じて)結合され得る。いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、ポリマー(例えば、PLGAポリマー、ここでこの結合は、ヒドロキシル末端またはカルボキシ末端である)の末端を通じて結合される。
特定の実施形態では、複数のこのリンカー部分がポリマーに結合されて、リンカーを通じたこのポリマーへの複数の治療用のペプチド、タンパク質または対イオンの結合を可能にし、例えば、ここでは、このリンカーは、ポリマー骨格に沿うようなポリマー上の複数の位置で結合される。いくつかの実施形態では、リンカーは、複数の第一部分がリンカーを通じて第二の部分に連結されることを可能にするように構成され、例えば、複数の治療用のペプチドまたはタンパク質が、分岐リンカーを介してPLGAポリマーのような単一のポリマーに連結され得、ここでこの分岐したリンカーは、これを通じてこの治療用ペプチドまたはタンパク質が結合され得る複数の官能基を含む。いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、生物学的条件下(すなわち、切断可能な生理学的条件下)でリンカーから遊離される。別の実施形態では、単一のリンカーがポリマーに、例えば、そのポリマーの末端で結合される。
リンカーは、例えば、アルキレン(二価アルキル)基を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アルキレンリンカーの1つ以上の炭素原子が、1つ以上のヘテロ原子または官能基(例えば、チオエーテル、アミノ、エーテル、ケト、アミド、シリルエーテル、オキシム、カルバメート、カーボネート、ジスルフィド、または複素環式または複素環式芳香族部分)で置換されてもよい。例えば、アクリレートポリマー(例えば、アクリレートPLGA)は、チオール修飾された治療用のペプチドまたはタンパク質と反応して、スルフィド結合を通じて結合された治療用のペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体を形成し得る。アクリレートは、塩化アクリルアシルとポリマーのヒドロキシル末端との反応によってポリマーの末端に結合され得る(例えば、PLGAポリマーのヒドロキシル末端、例えば、50:50のPLGAポリマー)。
いくつかの実施形態では、リンカーは、第二の部分に対する第一の部分の結合を可能にする官能基に加えて、追加の官能基を有する。いくつかの実施形態では、追加の官能基は、生理学的条件下で切断され得る。そのようなリンカーは、例えば、第一の活性化部分、例えば、治療用のペプチドまたはタンパク質、例えば、本明細書に記載の治療用のペプチドまたはタンパク質と、第二の活性化部分、例えば、ポリマー、例えば、本明細書に記載されるポリマーとの反応によって、形成され得、ポリマーに対して治療用のペプチドまたはタンパク質を結合することによって形成される官能基を含むリンカーを生成し得る。任意で、追加の官能基は、追加の結合のための部位を提供するか、または生理学的条件下での切断を可能にし得る。例えば、この追加の官能基は、生理学的条件下で切断可能な、スルフィド、ジスルフィド、エステル、オキシム、カーボネート、カルバメート、またはアミドの結合を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第一部分または第二部分に対してリンカーを結合する官能基の1つまたは両方が、エステル類、アミド類、またはジスルフィド類のような生理学的条件下で切断可能であり得る。
いくつかの実施形態では、追加の官能基は、複素環式部分または複素環式芳香族部分である。
治療用のペプチドまたはタンパク質は、リンカー(例えば、本明細書に記載されるリンカーのような2つまたは3つの官能基を含むリンカー)を通じて、本明細書に記載されるポリマーのような部分に対して、この治療用のペプチドまたはタンパク質のカルボン酸またはアミン基、例えば、この治療用のペプチドまたはタンパク質の末端カルボン酸またはアミンを通じて、またはこの治療用のペプチドまたはタンパク質のアミノ酸の側鎖上の反応性基を通じて、結合され得る。いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドまたはタンパク質は、ポリマーの末端を通じて結合される(例えば、PLGAポリマー、ここでは結合は、ヒドロキシル末端またはカルボキシ末端である)。
いくつかの実施形態では、このリンカーとしては、リンカー中の官能基の反応性を調節し得る部分(例えば、生物学的な条件下で、例えば、官能基の反応性を増大または減少し得る、別の官能基または原子)を包含する。
例えば、図1A〜図1Cに示されるとおり、第一の反応基を有する治療用のペプチド(TP)は、ポリマーに対して治療用のペプチドを結合するための第二の反応基を有しており、一方で生物切断可能な官能基を提供するポリマーと反応され得る。得られたリンカーは、第一のスペーサー、例えば、結合から(すなわち、共有結合の形成によって)生じる官能基に対して治療用のペプチドを結合するアルキレンスペーサー、および第二のスペーサー、例えば、結合から生じる官能基に対してポリマーを結合するアルキレンスペーサー(例えば、約C1〜約C6)を含む。
図1A〜図1Cに示されるとおり、治療用のペプチドは、やはり生分解性であり得る、部分Yを介して第一のスペーサーに結合され得る。Yは、例えば、−O−、−S−、または−NH−、−C(=O)NH−、または−C(=O)O−であってもよい。いくつかの実施形態では、第二のスペーサーは、脱離基X−、例えば、ハロ(例えば、クロロ)またはN−ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)に結合され得る。第二のスペーサーは、このポリマーに対して、ポリマー末端、例えば、ポリマーの末端の−OH、−CO2H、−NH2、または−SH、例えば、PLGAの末端の−OHまたは−CO2Hと連結する追加の官能基(Z)を介して結合され得る。この追加の官能基(Z)は、例えば、−O−、−OC(=O)−、−OC(=O)O−、−OC(=O)NR−、−NR−、−NRC(=O)−、−NRC(=O)O−、−NRC(=O)NR’−、−NRS(=O)2−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)2−、−C(=O)O−、または−C(=O)NR−であってもよく、反応性部位、例えば、結合または切断のための追加の部位を提供する。この治療用のペプチドは、この治療用のペプチドのカルボン酸もしくはアミン基、例えば、治療用の末端のカルボン酸もしくはアミンを通じて、またはこの治療用のペプチドのアミノ酸の側鎖上の反応性基を通じて、結合され得る。いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドは、ポリマーの末端に対してスペーサーを通じて結合される(例えば、PLGAポリマー、ここで、この結合は、ヒドロキシル末端またはカルボキシ末端である)。
ある実施形態では、例えば、図1Aに示されるように、チオール修飾された治療用のペプチドは、ピリジニル−SS−活性化ポリマー(例えば、ピリジニル−SS−活性化PLGA、例えば、ピリジニル−SS−活性化5050 PLGA)と反応して、ジスルフィド結合を通じて結合された治療用のペプチド−ポリマーの複合体を形成し得る。ある実施形態では、チオール修飾された治療用のペプチドは、マレイミド−活性化ポリマー(例えば、マレイミド−活性化PLGA、例えば、マレイミド−活性化5050 PLGA)と反応されて、マレイミドスルフィド結合を通じて結合された治療用のペプチド−ポリマーの複合体を形成し得る。ある実施形態では、チオール修飾された治療用のペプチドは、アクリレート−活性化ポリマー(例えば、アクリレート−活性化PLGA、例えば、アクリレート−活性化5050 PLGA)と反応して、メルカプトプロピオン酸塩結合を通じて治療用のペプチド−ポリマーの複合体を形成し得る。この治療用のペプチドは、治療用のペプチドのカルボン酸またはアミン基、例えば、治療用のペプチドの末端のカルボン酸またはアミンを通じて、または治療用のペプチド質のアミノ酸の側鎖上の反応性基を通じて、結合され得る。いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドは、ポリマーの末端に対してスペーサーを通じて結合される(例えば、PLGAポリマー、ここでこの結合は、ヒドロキシル末端またはカルボキシ末端である)。
ある実施形態では、例えば、図1Bに示されるように、アミン修飾された治療用のペプチドを、活性化カルボン酸またはエステルを有するポリマー(例えば、活性化カルボン酸PLGA、例えば、活性化カルボン酸5050 PLGA、例えば、SPA活性化カルボン酸PLGA、例えば、SPA活性化カルボン酸5050 PLGA)と反応させて、アミド結合を通じて結合された治療用のペプチド−ポリマーの複合体を形成してもよい。ある実施形態では、アミン修飾された治療用のペプチドを、活性化ポリマー(例えば、活性化PLGA、例えば、−活性化5050 PLGA)と反応させて、カルバメート結合を通じて結合された治療用のペプチド−ポリマーの複合体を形成してもよい。ある実施形態では、アミン修飾された治療用のペプチドは、活性化ポリマー(例えば、活性化PLGA、例えば、活性化5050 PLGA)と反応されて、カルバミド結合(尿素)を通じて結合された治療用のペプチド−ポリマーの複合体を形成し得る。ある実施形態では、アミン修飾された治療用のペプチドは、活性化ポリマー(例えば、活性化PLGA、例えば、活性化5050 PLGA)と反応されて、アミノアルキルスルホンアミド結合を通じて結合された治療用のペプチド−ポリマーの複合体を形成し得る。この治療用のペプチドは、治療用のペプチドのカルボン酸またはアミン基、例えば、治療用のペプチドの末端のカルボン酸またはアミンを通じて、または治療用のペプチドのアミノ酸の側鎖上の反応性基を通じて、結合され得る。いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドは、ポリマーの末端に対してスペーサーを通じて結合される(例えば、PLGAポリマー、ここでこの結合は、ヒドロキシル末端またはカルボキシ末端である)。
ある実施形態では、例えば、図1Cに示されるとおり、ヒドロキシルアミン修飾された治療用のペプチドは、アルデヒド−活性化ポリマー(例えば、アルデヒド−活性化PLGA、例えば、アルデヒド−活性化5050 PLGA、例えば、ホルムアルデヒド−活性化PLGA、例えば、ホルムアルデヒド−活性化5050 PLGA)と反応されて、アルドキシム結合を通じて結合された治療用のペプチド−ポリマーの複合体を形成し得る。この治療用のペプチドは、治療用のペプチドのカルボン酸またはアミン基、例えば、治療用のペプチドまたはタンパク質の末端のカルボン酸またはアミンを通じて、または治療用のペプチドのアミノ酸の側鎖上の反応性基を通じて、結合され得る。いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドは、ポリマーの末端に対してスペーサーを通じて結合される(例えば、PLGAポリマー、ここで、この結合は、ヒドロキシル末端またはカルボキシ末端である)。
ある実施形態では、例えば、図1Cに示されるとおり、アルキレン修飾された治療用のペプチドは、アジド−活性化ポリマー(例えば、アジド−活性化PLGA、例えば、アジド−活性化5050 PLGA)と反応されて、トリアゾール結合を通じて結合された治療用のペプチド−ポリマーの複合体を形成し得る。この治療用のペプチドは、治療用のペプチドのカルボン酸またはアミン基、例えば、治療用のペプチドの末端のカルボン酸またはアミンを通じて、または治療用のペプチドのアミノ酸の側鎖上の反応性基を通じて、結合され得る。いくつかの実施形態では、この治療用のペプチドは、ポリマーの末端に対してスペーサーを通じて結合される(例えば、PLGAポリマー、ここで、この結合は、ヒドロキシル末端またはカルボキシ末端である)。
いくつかの実施形態において、薬剤およびポリマーに結合する前のリンカーは、以下の官能基の1つ以上を有し得る:アミン、アミド、ヒドロキシル、カルボン酸、エステル、ハロゲン、チオール、マレイミド、カーボネート、またはカルバメート。いくつかの実施形態において、官能基は、リンカーを通じた第一および第二の部分の結合のためにリンカー配列中に残る。いくつかの実施形態では、このリンカーは、官能基の反応性を調節する1つ以上の原子または基を含む(例えば、この結果、この官能基は、加水分解によって、または生理学的条件下の還元によってなどで切断する)。
いくつかの実施形態では、このリンカーは、リンカー内にアミノ酸またはペプチドを含んでもよい。頻繁に、このような実施形態では、ペプチドリンカーは、加水分解によって、還元条件下で、または特異的な酵素によって(例えば、生理学的な条件下)で切断され得る。
このリンカーが、二価の有機分子の残基である場合、リンカーの切断は、リンカー自体内にあってもよいし、または、リンカーを複合体の残りと、例えば、治療用のペプチドまたはタンパク質またはポリマーのいずれかとカップリングする結合の1つにあってもよい。
いくつかの実施形態では、リンカーは、以下の1つから選択されてもよく、またはリンカーは以下のうちの1つを含んでもよい:
式中、mは1〜10であり、nは1〜10であり、pは1〜10であり、かつRはアミノ酸側鎖である。
リンカーは、クリックケミストリーから生じる結合(例えば、アミド結合、エステル結合、ケタール、コハク酸塩、またはトリアゾールおよびWO2006/115547に記載されるもの)を含み得る。リンカーは、例えば、加水分解、還元反応、酸化的反応、pHシフト、光分解、またはそれらの組み合わせによって、または酵素反応によって切断され得る。このリンカーはまた、酸化的もしくは還元条件下で切断可能である結合を含んでもよいし、または酸に感受性であってもよい。
いくつかの実施形態では、このリンカーは、生理学的条件下では切断されず、例えば、このリンカーは、治療用のペプチドが活性であるために切断される必要のない十分な長さのものであり、例えば、このリンカーの長さは、少なくとも約20Å(例えば、少なくとも約30Åまたは少なくとも約50Å)である。
治療用ペプチド−ポリマーの複合体およびタンパク質−ポリマーの複合体を作製する方法
この治療用のペプチド−ポリマーの複合体およびタンパク質−ポリマーの複合体は、本明細書に記載されるものを含む、当該分野で公知の種々の方法を用いて調製され得る。いくつかの実施形態において、薬剤をポリマーに共有結合させるために、ポリマーまたは薬剤は、当該分野で公知の任意の技術を用いて化学的に活性化され得る。次に、ポリマーと薬剤との間で共有結合を形成させるのに適切な条件下で、活性化されたポリマーを薬剤と混合するか、または活性化された薬剤をポリマーと混合する。いくつかの実施形態において、薬剤上のチオール、ヒドロキシル基、またはアミノ基などの求核試薬が、求電子試薬(例えば、活性化されたカルボニル基)を攻撃して、共有結合を形成する。ある薬剤は、種々の連結、例えば、アミド連結、エステル連結、スクシンイミド連結、カーボネート連結、またはカルバメート連結を介してポリマーに結合され得る。
カップリング反応は一般に、溶媒系で生じ、かつ溶媒の混合物を含んでもよい。例示的な水混和性の溶媒としては、アセトン、DMSO、アセトニトリル、DMF、ジオキサンおよびTHFが挙げられる。例示的な水非混和性の溶媒としては、酢酸エチル、ベンジルアルコール、クロロホルムおよびジロロメタンが挙げられる。この溶媒系は、このペプチドまたはタンパク質に存在するアミノ酸の長さおよび種類に基づいて変化し得る。いくつかの実施形態では、水性の緩衝液が、例えば、親水性のペプチドとともに用いられ得る。いくつかの実施形態において、以下の溶媒の最小量が用いられるか、または全く用いられない:酢酸、アセトニトリル、DMF、DMSO、エタノールまたはイソプロピルアルコール。
いくつかの実施形態では、この薬剤は、リンカーを介してポリマーに結合され得る。このような実施形態では、リンカーは、ポリマーに対して最初に共有結合され得、次いで薬剤に結合され得る。他の実施形態では、リンカーは、ある薬剤に最初に結合され、次いでポリマーに結合されてもよい。
例示的な治療用ペプチド−ポリマーの複合体
治療用ペプチド−ポリマーの複合体は、本明細書に記載される構成要素の多くの異なる組み合わせを用いて作製され得る。例えば、ポリマーの種々の組み合わせ(例えば、PLGA、PLAまたはPGA)、ポリマーに治療用ペプチドを結合するリンカー、および治療用ペプチドを本明細書に記載する。
例示的な治療用ペプチド−ポリマーの複合体としては以下が挙げられる:
1)PLGA−エステルリンカー−治療用ペプチド
この複合体は一般に、PLGAポリマーに複合体され得るアミノ基でのペプチドのカルボニル末端基の修飾を包含する。このリンカーは、高いpHで、またはエステラーゼのような酵素によって切断され得る治療用ペプチドに対するエステル結合を有する。例示的なスキームを下に示す。
2)PLGA−アミドリンカー−治療用ペプチド
この複合体は一般に、アミン官能基によるPLGAのカルボニル末端基の修飾を含む。次いで、PLGA誘導体のアミノ基は、治療用ペプチドのカルボニル末端基、またはグルタミン酸もしくはアスパラギン酸のようなアミノ酸の側鎖上のカルボニル基と反応して、安定なアミド結合を形成し得る。例示的なスキームを下に示す。
3)PLGA−ジスルフィドリンカー−治療用ペプチド
この複合体は一般に、反応性スルフヒドリル基によるPLGAのカルボニル末端基の修飾を含む。この基は、末端基に、または鎖に沿って配置され得るシステイン基を含む治療用ペプチドと反応し得る。これはまた、スルフヒドリル基で誘導体化されるペプチドとも反応し得る。このジスルフィド結合は、内部で還元されて、ペプチドを遊離し得る。例示的なスキームを下に示す。
4)PLGA−ジスルフィドリンカー−治療用ペプチド
この複合体は一般には、PLGAに複合体され得るジスルフィドアミノ基によるチロシン上のヒドロキシル基の修飾を含む。ジスルフィド結合の還元の際、このリンカーは、環化して、ポリペプチドを追い出す。チロシンまたはフェノール基誘導体化アミノ酸を用いてもよい。ジスルフィド結合は、内部で還元されて、治療用ペプチドが遊離され得る。例示的なスキームを下に示す。
5)PLGA−チオエーテルリンカー−治療用ペプチド
この複合体は一般に、マレイミド基でのPLGAのカルボニル末端基の修飾を含む。この基は、ペプチド鎖の末端基にまたはペプチド鎖に沿って位置するシステインを含む治療用ペプチドと反応し得る。これはスルフヒドリル基で誘導体化されたペプチドと反応し得る。この複合体は、非放出のチオエーテル結合を有する。例示的なスキームを下に示す。
6)アルキン末端のPLGA/アジド官能化治療用ペプチド
アセチレン基(すなわち、アルキン)で終わるPLGAポリマーは、治療用ペプチドに複合体化され得る。末端のアミノ官能基(例えば、グリシン)は、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下で4−ペンチン酸とのカップリング反応を介してアルキレン部分に変換され得る。この反応はまた、クリックケミストリーを用いて、例えば、臭化銅のような触媒を用いて行われ、アジド末端のポリマー(例えば、アジド末端のPLGAポリマー)およびアルキン官能化治療用ペプチドと反応し得る。2,2’−ビピリジルをまた、N−メチルピロリドンに溶解して、臭化銅および2,2’−ビピリジルを複合してもよく、これを水(例えば、純水)に対して透析してもよい。この反応を、固体支持体上で行って、例えば、アジド官能化治療用ペプチドを調製してもよい。例示的な反応スキームを下に示す。
7)ディールスアルダー化学作用によって形成されるリンカー
ポリマーに対して治療用ペプチドを連結する、シクロヘキセン基を形成するためのアルケン基に対する複合体されたジエンの反応で用いられ得る部分で終わるPLGAポリマー。例示的なディールスアルダー反応は、マイケル付加(1,4付加)を用いて、例えば、塩基(NaOHまたはKOH)の存在下で行われて、エノラートが形成され得る。得られたエノラートは、次に、α,β−不飽和ケトンと反応し得る。追加の例示的な反応としては、例えば、アミンまたはヒドロキシル基によるエポキシ環の開環が挙げられる(求核性置換−Sn2反応)。
8)抗体薬物の複合体で用いられるリンカー
例示的なリンカーとしては、酸不安定性ヒドラゾンリンカー:システイン残基(例えば、BR96−ドキソルビシン,BMS)に対する(6−マレイミドカプロイル)ヒドラゾンリンカー;および4−(4’−アセチルフェノキシ)ブタン酸(例えば、Mylotarg,Pfizerで用いられるような)が挙げられる。
更なるリンカーとしては、酵素連結複合体が挙げられる。このようなリンカーのある特定の利点としては、ヒドラゾンリンカーと比較して血液循環中での安定性の改善が挙げられる。例示的な酵素連結複合体としては、バリン−シトルリン、バリン−リジン(Seattle Genetics)、およびフェニルアラニン−リジンが挙げられる。
9)クリックケミストリーを用いて合成されるリンカー
アルキン基(例えば、アセチレン)で終わるPLGAポリマーが、アジド基を有する治療用ペプチドに複合体化されてもよいし、またはアジド基で終わるPLGAポリマーが、アルキン基を有する治療用ペプチドに複合体化されてもよい。治療用ペプチドをより容易に放出することを可能にするために、切断可能なリンカー(例えば、エステルまたはジスルフィド)を、アジドまたはアルキン基と、この治療用ペプチドとの間に導入してもよい。
アセチレン基(アルキン)で終わるPLGAを、アジド官能性の治療用ペプチドと反応させることができる。この合成は、例えば、治療用ペプチドを官能化するために、不溶性基質の使用を包含し得る。いくつかの実施形態では、末端のアミノ−官能基(例えば、グリシン)は、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下で4−ペンチン酸とのカップリング反応を介してアルキン部分に変換され得る。
クリックケミストリーを用いる他の例示的なカップリング反応としては、マイケル付加(1,4付加)(例えば、塩基(NaOHまたはKOH)の添加によって、エノラートを形成し、かつこのエノラートが、α,β−不飽和ケトンと反応することを可能にする);ディールス・アルダー反応(例えば、シクロヘキセン基を形成するためのアルケン基に対する複合体されたジエンの反応);ならびにアミンまたはヒドロキシル基によるエポキシ環の開環(例えば、求核性置換−Sn2反応)が挙げられる。
治療用ペプチド−ポリマー複合体およびタンパク質−ポリマー複合体の組成物
上記の治療用のペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体の生成物は、生成物の混合物を含んでもよい。例えば、ポリマーに対する治療用のペプチドまたはタンパク質の複合体化は、収率100%未満で進行してもよく、従って、治療用のペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体を含んでいる組成物はまた、非複合体型のポリマーを含み得る。
治療用のペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体の組成物はまた、同じポリマー、および同じ薬剤を有し、かつこの薬剤とポリマーとの間の連結の性質が異なる治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体も含んでもよい。この治療用のペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体は、組成物中に種々の量で存在してもよい。例えば、複数の利用可能な結合点を有する治療用のペプチドまたはタンパク質がポリマーと反応されるとき、得られる組成物は、より多くの反応性カルボキシル基を介して複合体された生成物を多く含む場合もあり、かつ少ない反応性カルボキシル基を介して結合される生成物を少なく含む場合もある。
さらに、治療用のペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体の組成物は、2つ以上のポリマー鎖に結合される治療用のペプチドまたはタンパク質を含んでもよい。
界面活性剤
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の粒子は界面活性剤を含む。例示的な界面活性剤としては、PEG、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポロキサマー、ポリソルベート、ポリオキシエチレンエステル、PEG−脂質(例えば、PEG−セラミド、d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシナート)、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン、またはレシチンが挙げられる。いくつかの実施形態において、界面活性剤はPVAであり、PVAは、約3kDa〜約50kDa(例えば、約5kDa〜約45kDa、約7kDa〜約42kDa、約9kDa〜約30kDa、または約11〜約28kDa)であり、最大約98%加水分解される(例えば、約75〜95%、約80〜90%加水分解され、または約85%加水分解される)。いくつかの実施形態において、界面活性剤はポリソルベート80である。いくつかの実施形態において、界面活性剤はSOLUTOL(登録商標)HS 15(BASF,Florham Park,NJ)である。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、系の重量あたり最大約35重量%の量で存在する(例えば、最大約20重量%、または最大約25重量%、約15重量%〜約35重量%、約20重量%〜約30重量%、または約23重量%〜約26重量%)。
対イオン
本明細書に記載される粒子は、1つ以上の対イオン、例えば、荷電された部分、カチオン性部分、アニオン性部分、または双性イオン部分を含んでもよい。対イオンは、治療用ペプチドまたはタンパク質に伴う電荷を中和し、それによって製剤の改善を可能にする(例えば、安定性、溶解度または運搬の改善)。いくつかの実施形態では、この荷電された部分は、治療用のペプチドまたはタンパク質と会合される(例えば、治療用のペプチドもしくはタンパク質、または治療用のペプチドもしくはタンパク質の周囲の溶媒和層の一部と水素結合される)。いくつかの実施形態では、この荷電された部分は、本明細書に記載される粒子のポリマーに共有結合される。いくつかの実施形態では、治療用のペプチドまたはタンパク質に共有結合されているポリマーと共有結合される。いくつかの実施形態では、この荷電された部分はペプチドである。
いくつかの実施形態では、荷電された部分は、疎水性ポリマーに対してリンカーを介して(例えば、疎水性ポリマーのカルボキシ末端またはヒドロキシ末端で)共有結合される。いくつかの実施形態では、このリンカーは、クリックケミストリーを用いて形成される結合を含む(例えば、WO2006/115547に記載されるような)。いくつかの実施形態では、このリンカーは、アミド結合、エステル結合、ジスルフィド結合、スルフィド結合、ケタール、スクシネート、またはトリアゾールを含む。いくつかの実施形態では、単一の荷電された部分が、単一の疎水性ポリマーに対して、(例えば、この疎水性ポリマーの末端で)共有結合される。いくつかの実施形態では、荷電された部分が、親水性−疎水性ポリマーに対して、アミド、エステルまたはエーテル結合を介して疎水性部分を通じて共有結合される。いくつかの実施形態では、単一の疎水性ポリマーが、複数の荷電された部分に対して共有結合される。いくつかの実施形態では、少なくともこの複数の荷電された部分の少なくとも一部が、この疎水性ポリマーの少なくとも一部の骨格に対して結合される。
いくつかの実施形態では、カチオン性部分は、カチオン性ポリマー(例えば、PEI、カチオン性PVA、ポリ(ヒスチジン)、ポリ(リジン)、またはポリ(2−ジメチルアミノ)エチルマタクリラート)である。いくつかの実施形態では、カチオン性部分は、アミン(例えば、一級、二級、三級または四級アミン)である。いくつかの実施形態では、カチオン性部分の少なくとも一部は、複数のアミン(例えば、一級、二級、三級または四級アミン)を含む。いくつかの実施形態では、カチオン性部分の少なくとも1つのアミンは、二級または三級のアミンである。いくつかの実施形態では、カチオン性部分の少なくとも一部は、ポリマー、例えば、ポリエチレンイミンまたはポリリジンを含む。重合体のカチオン性部分は、種々の分子量(例えば、約500〜約5000Da、例えば、約1〜約2kDaまたは約2.5kDaにおよぶ)を有する。
いくつかの実施形態では、このカチオン性部分は、ポリマー、例えば、1つ以上の二級または三級のアミンを有するポリマー、例えば、カチオン性PVA(例えば、Kurarayによって提供される、例えば、CM−318またはC−506)、キトサン、ポリエチレンアミンである。カチオン性PVAは、例えば、その内容が参照によって本明細書に援用される米国特許出願公開第2002/0189774号に記載のような、酢酸ビニル/N−ビニルホルムアミドコポリマーを重合することによって、例えば、作製され得る。カチオン性PVAの他の例としては、米国特許第6,368,456号およびFatehi(Carbohydrate Polymers 79(2010)423−428)(その内容が参照によって本明細書に援用される)に記載のものが挙げられる。いくつかの実施形態では、カチオン性部分の少なくとも一部は、カチオン性PVA(例えば、Kurarayに示されるような、例えば、CM−318またはC−506)を含む。
他の例示的なカチオン性部分としては、ポリ(ヒスチジン)およびポリ(2−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)が挙げられる。いくつかの実施形態では、アミンは、酸性のpHにおいて正に荷電される。いくつかの実施形態では、アミンは、生理学的pHにおいて正に荷電される。いくつかの実施形態では、カチオン性部分の少なくとも一部は、硫酸プロタミン、ヘキサデメチリンブロミド(hexademethrine bromide)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、スペルミンおよびスペルミジンからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、カチオン性部分の少なくとも一部は、テトラアルキルアンモニウム部分、トリアルキルアンモニウム部分、イミダゾリウム部分、アリールアンモニウム部分、イミニウム部分、アミジニウム部分、グアナジニウム部分、チアゾリウム部分、ピラゾリリウム部分、ピラジニウム部分、ピリジニウム部分、およびホスホニウム部分からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、カチオン性部分の少なくとも一部は、カチオン性脂質である。いくつかの実施形態では、カチオン性部分の少なくとも一部は、非重合体の疎水性部分(例えば、コレステロールまたはビタミンE TPGS)に対して複合体化される。いくつかの実施形態では、この複数のカチオン性部分は、この粒子の約1〜約60重量%である。いくつかの実施形態では、この複数のカチオン性部分の電荷の、この複数の治療用ペプチドの電荷に対する比は、約1:1〜約50:1(例えば、1:1〜約10:1または1:1〜5:1)である。
本明細書に記載される粒子および複合体での使用のための例示的なカチオン性部分としては、アミン類、例えば、ポリアミン類(例えば、ポリエチレンイミン(PEI)またはその誘導体、例えば、ポリエチレンイミン−ポリエチレングリコール−N−アセチルガラクトサミン(PEI−PEG−GAL)またはポリエチレンイミン−ポリエチレングリコール−トリ−N−アセチルガラクトサミン(PEI−PEG−トリGAL)誘導体)、カチオン性脂質(例えば、DOTIM、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド、1,2ジオレイルオキシプロピル−3−トリメチルアンモニウムブロミド、DOTAP、1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、EDMPC、エチル−PC、DODAP、DC−コレステロール、およびMBOP、CLinDMA、pCLinDMA、eCLinDMA、DMOBA、およびDMLBA)、ポリアミノ酸類(例えば、ポリ(リジン)、ポリ(ヒスチジン)、およびポリ(アルギニン))およびポリビニルピロリドン(PVP)が挙げられる。カチオン性部分は、生理学的pHにおいて正に荷電され得る。
追加の例示的なカチオン性部分としては、硫酸プロタミン、ヘキサデメチリンブロミド(hexademethrine bromide)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、スペルミン、スペルミジン、ならびに例えば、WO2005007854、米国特許第7,641,915号、およびWO2009055445(その各々の内容が参照によって本明細書に援用される)に記載されるものが挙げられる。カチオン性部分としては、N−メチルD−グルカアミン、コリン、アルギニン、リジン、プロカイン、トロメタミン(TRIS)、スペルミン、N−メチル−モルホリン、グルコサミン、N,N−ビス2−ヒドロキシエチルグリシン、ジアザビシクロウンデセン、クレアチン、アルギニンエチルエステル、アマンタジン、リマンタジン、オルニチン、タウリンおよびシトルリンを挙げることができる。カチオン性部分は、さらに、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、リジン、ヒスチジン、アルギニン。モルホリン、メチルグルカミンおよびグルコサミンを含み得る。
正味の正に荷電された治療用ペプチドまたはタンパク質での製剤化に適切であり得るアニオン性部分としては、限定するものではないが、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、レブリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、クエン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、グリコール酸塩 グルコン酸塩、グルクロン酸塩、3−ヒドロキシイソ酪酸塩、2−ヒドロキシイソ酪酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、ピルビン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、タルトロン酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、酢酸、アダマンタン酸、αケトグルタル酸、D−またはL−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、10−カンファースルホン酸、クエン酸、1,2−エタンジスルホン酸、フマル酸、D−グルコン酸、D−グルクロン酸、グルカル酸、D−またはL−グルタミン酸、グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、L−リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、1,5ナフタレンジスルホン酸四水和物、2−ナフタレンスルホン酸、硝酸、オレイン酸、パモン酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸水和物、D−サッカリド(saccharid)酸一カリウム塩、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、D−またはL−酒石酸が挙げられる。
いくつかの実施形態では、薬学的な塩が、本明細書に記載される粒子または複合体での対イオン(例えば、本明細書に記載される荷電部分)を含めることによって形成される。
保管の方法
本明細書に記載される治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子または組成物は、容器中に、少なくとも約1時間(例えば、少なくとも約2時間、4時間、8時間、12時間、24時間、2日、1週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、1年、2年、または3年)保管され得る。従って、本明細書に記載されるのは、本明細書に記載される治療用ペプチド/タンパク質−ポリマー複合体、粒子、または組成物を含む容器である。
治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子、または組成物は、大気条件を含めて種々の条件下で保管され得る。治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子、または組成物はまた、低温、例えば、約5℃以下の温度(例えば、約4℃以下または約0℃以下)で保管されてもよい。ポリマー−薬剤の複合体、粒子、または組成物はまた、約0℃未満の温度(例えば、−80℃〜−20℃)で凍結および保管されてもよい。ポリマー−薬剤の複合体、粒子、または組成物はまた、不活性雰囲気、例えば、窒素またはアルゴンなどの不活性ガスを含む雰囲気の下で保管されてもよい。このような雰囲気は、大気酸素および/または他の反応性ガスを実質的に含まなくてよく、ならびに/あるいは湿気を実質的に含まなくてよい。
本明細書に記載される治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子、または組成物は、琥珀色(amber)バイアルなどの遮光性容器を含む種々の容器に保管されてもよい。容器は、バイアル、例えばゴムまたはシリコーン封鎖(例えば、ポリブタジエンまたはポリイソプレンでできた封鎖)を有する密封バイアルであってもよい。容器は、大気酸素および/または他の反応性ガスを実質的に含まなくてよく、ならびに/あるいは湿気を実質的に含まなくてよい。
粒子を評価する方法
本明細書に記載の粒子は、多数の分析方法に供することができる。例えば、本明細書に記載の粒子を測定して、不純物または残留溶媒が存在するか否かを決定するか(例えば、ガスクロマトグラフィー(GC)を介して)、1つ以上の成分の相対的な量を決定するか(例えば、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を介して)、粒子の大きさを測定するか(例えば、動的光散乱および/または走査型電子顕微鏡を介して)、または表面成分の有無を決定してもよい。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の粒子を、動的光散乱を用いて評価してもよい。粒子に、レーザーを照明してもよく、散乱した光の強度は、より小さな粒子が溶媒分子によってさらに「キックされ、蹴られ(kicked)」より迅速に動くので、粒子の大きさに応じた速度で変動する。これらの強度の揺らぎの分析によって、ブラウン運動の速度が得られ、それゆえ、ストークス−アインシュタイン関係を用いて粒子の大きさが得られる。動的光散乱において測定された直径は、水力学的直径と呼ばれ、粒子が流体内でどのように拡散するかを指す。この技術によって得られた直径は、測定されている粒子と同じ移動拡散係数を有する球の直径である。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される粒子は、クリオ走査電子顕微鏡(Cryo−SEM)を用いて評価され得る。SEMは、ラスター走査パターンにおいて電子の高エネルギービームを用いて走査することによって試料表面が撮像される1種の電子顕微鏡である。電子は、試料を構成する原子と相互作用して、試料表面の形状、組成、および導電性などの他の特性についての情報を含む信号を生じる。クリオ−SEMについて、SEMは、クリオ顕微鏡についての冷却ステージが装備されている。凍結固定を用いてもよく、低温走査電子顕微鏡を、低温保管固定された検体に対して実施してもよい。凍結固定された検体は、特殊な装置において真空下で凍結破砕して、内部構造を明らかにして、スパッターコーティングしてもよく、なおも凍結したままで、SEM凍結ステージへと移動してもよい。
ある実施形態において、本明細書に記載される粒子は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて評価してもよい。この技術において、電子ビームは、極薄の検体を通じて透過され、ビームが通過するにつれて検体と相互作用する。画像は、検体を通じて伝達された電子の相互作用から形成され;この画像は、写真フィルムの層において、蛍光スクリーンなど、撮像装置へと拡大および焦点合わせされるか、または電荷結合素子(CCD)カメラなどのセンサーによって検出される。
薬学的組成物
本明細書で、本明細書に記載される複数の粒子および薬学的に許容される担体またはアジュバントを含む組成物、例えば、薬学的組成物を提供する。
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、本明細書に記載される化合物、例えば、治療用のペプチド−ポリマーの複合体の薬学的に許容される塩を含んでもよい。本明細書に記載される化合物の薬学的に許容される塩としては、薬学的に許容される無機および有機の酸および塩基由来の塩が挙げられる。適切な酸塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、パルモアート(palmoate)、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、およびウンデカン酸塩が挙げられる。適切な塩基に由来する塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウム、およびN−(アルキル)4 +塩が挙げられる。本発明はまた、本明細書に記載される化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化も想定する。水溶性もしくは油溶性または分散性生成物は、このような四級化によって得られてもよい。
ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの湿潤剤、乳化剤、および滑沢剤、ならびに着色料、放出剤、コーティング剤、甘味料、調味料および香料、保存料、ならびに抗酸化剤も組成物中に存在してもよい。
薬学的に許容される抗酸化剤の例としては以下が挙げられる:(1)水溶性の抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性の抗酸化剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなど;ならびに(3)金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸など。
組成物は、ポリマー−薬剤の複合体、粒子、または組成物を懸濁するのに用いられる液体を含んでもよく、この液体は、ポリマー−薬剤の複合体、粒子、または組成物に適応する任意の液体溶液であってもよく、また、薬学的に許容される非毒性液体のような、薬学的組成物において用いられるのに適切である。適切な懸濁液体としては、水、水性スクロースシロップ、トウモロコシシロップ、ソルビトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D5W、およびこれらの混合物からなる群より選択される懸濁液を含むが、これらに限定されない。
本明細書に記載される組成物としてはまた、抗酸化剤、抗菌剤、緩衝液、増量剤、キレート剤、不活性ガス、等張剤、および/または粘性剤など、別の成分を含んでもよい。
一実施形態において、ポリマー−薬剤の複合体、粒子または組成物は、凍結乾燥された形態で提供され、対象への投与の前に再構成される。凍結乾燥されたポリマー−薬剤の複合体、粒子または組成物は、塩または生理食塩水溶液など、例えば、pH6〜9を有する塩化ナトリウム溶液、乳酸リンゲル注射溶液、またはPLASMA−LYTE A Injection pH7.4(登録商標)(Baxter,Deerfield,IL)などの市販の希釈剤などの希釈溶液によって再構成されてもよい。
一実施形態において、凍結乾燥された処方物は、凍結保護剤または安定剤を含み、凍結乾燥の間の結晶形成および融合過程に由来する損傷から、粒子および活性を保護することによって物理的および化学的安定性を維持する。凍結保護剤または安定剤は、ポリエチレングリコール(PEG)、PEG液体複合体(例えば、PEG−セラミドまたはD−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシナート)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリオキシエチレンエステル、ポリオキサマー、ポリソルベート、ポリオキシエチレンエステル、レシチン、糖類、オリゴ糖類、多糖類、炭水化物、シクロデキストリン(例えば、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン)およびポリオール(例えば、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、スクロース、グルコース、およびデキストラン)、塩、ならびにクラウンエーテルのうちの1つ以上であり得る。
いくつかの実施形態において、凍結乾燥したポリマー−薬剤の複合体、粒子または組成物は、水、5%デキストロース注射液、乳酸リンゲルおよびデキストロース注射液、または無水アルコール(米国薬局方)および、Cremophor ELの商標の下でGAF Corporation,Mount Olive,N.J.から入手可能なポリオキシエチレン化したヒマシ油界面活性剤などの非イオン界面活性剤の体積での等量部の混合物で再構成される。凍結乾燥した生成物および再構成用のビヒクルは、適切に遮光されたバイアル中に別個にパッケージングしてもよい。再構成された溶液における界面活性剤の量を最小化するために、十分量のビヒクルのみを提供して、ポリマー−薬剤の複合体、粒子または組成物の溶液を形成してもよい。一旦薬剤の溶解を達成すると、得られる溶液はさらに、適切な非経口希釈剤によって注射の前に希釈される。このような希釈剤は、当業者に周知である。これらの希釈剤は一般的に、臨床施設において入手可能である。しかしながら、本発明のポリマー−薬剤の複合体、粒子または組成物を、十分な非経口希釈剤を含む第三のバイアルでパッケージングして、投与のための最終濃度を調製することは本発明の範囲内である。代表的な希釈剤は、乳酸リンゲル注射液である。
再構成されたポリマー−薬剤の複合体、粒子または組成物の最終的な希釈は、類似の有用性を有する他の調製物、例えば、5%デキストロース注射液、乳酸リンゲルおよびデキストロース注射液、注射用滅菌水などを用いて行ってもよい。しかしながら、その狭いpH範囲(pH6.0〜7.5)に起因して、乳酸リンゲル注射液が最も代表的である。100mLあたり、乳酸リンゲル注射液は、塩化ナトリウム(米国薬局方)0.6g、乳酸ナトリウム0.31g、塩化カリウム(米国薬局方)0.03g、および塩化カルシウム2H2O(米国薬局方)0.02gを含む。モル浸透圧濃度は、275mOsmol/Lであり、等張に非常に近い。
組成物は、単位剤形で簡便に与えられてもよく、医薬の分野で周知の任意の方法によって調製されてもよい。薬学的に許容される担体と組み合わされて単一の剤形を生じ得る活性剤の量は、治療されている宿主、特定の投与様式に応じて変動する。薬学的に許容される担体と組み合わせて単一剤形を生じることのできる活性剤の量とは一般的に、治療効果を生じる化合物の量である。
投与の経路
本明細書に記載される薬学的組成物は、経口的に、非経口的に(例えば、静脈内、皮下、皮内、筋肉内、関節内、動脈内、滑膜内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内、眼内または頭蓋内注射)、局所的に、粘膜に(例えば、直腸にまたは膣に)、鼻腔内に、頬側に、眼に、吸入スプレーを介して投与されてもよく(例えば、噴霧、噴霧剤、または乾燥粉末装置を介して送達される)、またはインプラントのリザーバーを介して投与されてもよい。
非経口投与に適切な薬学的組成物は、1つ以上の薬学的に許容される滅菌等張性水性または非水性の溶液、分散液、懸濁液もしくはエマルジョン、または使用直前に滅菌注射溶液または分散液中に再構成され得る滅菌粉末と組み合わせて、1つ以上のポリマー−薬剤の複合体(単数または複数)、粒子(単数または複数)、または組成物(単数または複数)を含み、これは、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、意図されるレシピエントの血液で処方物が等張となる溶質、または懸濁剤もしくは増粘剤を含んでもよい。
薬学的組成物において採用され得る適切な水性および非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、および適切なそれらの混合物、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散液の場合、必要な粒子の大きさの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。
これらの組成物はまた、保存料、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などのアジュバントを含んでもよい。微生物の作用の防止は、種々の抗菌薬および抗真菌薬、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの封入によって確実にされ得る。糖類、塩化ナトリウムなどの等張化剤を組成物に含むこともまた望ましい場合がある。さらに、注射可能な医薬形態の長期吸収が、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなど、吸収を遅延させる薬剤の封入によってもたらされ得る。
いくつかの場合、薬物の効果を長期化するために、皮下または筋肉内注射からの薬剤の吸収を遅延させることが望ましい。このことは、水溶性に乏しい結晶または非晶質材料の液体懸濁液の使用によって達成され得る。次に、ポリマー−薬剤の複合体、粒子、または組成物の吸収速度は、その解離速度に依存し、解離速度は次に、結晶の大きさおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口的に投与される剤形の吸収の遅延は、油性ビヒクルにポリマー−薬剤の複合体、粒子、または組成物を溶解または懸濁することによって達成される。
経口投与に適切な薬学的組成物は、カプセル、サシェ(cachet)、丸剤、錠剤、ガム、トローチ剤(lozenge)(香味基剤、通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカントを用いる)、散剤、顆粒剤の形態であっても、または水性もしくは非水性液体における溶液もしくは懸濁液として、または水中油型もしくは油中水型液体エマルジョンとして、またはエリキシル剤もしくはシロップ剤として、またはトローチ(pastilles)として(ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤を用いる)、および/または口腔洗浄薬などの形態であってもよく、各々が既定の量の薬剤を活性成分として含む。化合物はまた、ボーラス(bolus)、舐剤、ペーストとしても投与されてもよい。
錠剤は、圧縮または成形によって、必要に応じて1つ以上の付属成分とともに製造され得る。圧縮された錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存料、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、または架橋されたカルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤、または分散剤を用いて調製されてもよい。成形された錠剤は、不活性液体希釈剤で湿潤された粉末状ペプチドまたはペプチド模倣薬の混合物を適切な機械において成形することによって製造されてもよい。
錠剤、ならびに糖衣錠、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤などの他の固形剤形は必要に応じて、切れ目を入れられてもよいし、または腸溶性コーティングおよび医薬製剤分野で周知の他のコーティングのような、コーティングおよびシェルを用いて調製されてもよい。錠剤および他の固形剤形はまた、例えば、所望の放出特性を提供するために、様々な比のヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはミクロスフェアを用いて、その内部にある活性成分の緩徐な放出または徐放を提供するよう製剤されてもよい。これらは、例えば、細菌保持フィルターを通じた濾過によって、または滅菌水、もしくはいくつかの他の滅菌注射可能媒体において使用直前に溶解することのできる滅菌固形組成物の形態で滅菌薬を組み込むことによって滅菌されてもよい。これらの組成物はまた、必要に応じて不透明化薬を含んでもよく、活性成分(単数または複数)のみを、または優先的に、胃腸管の特定の部分において、必要に応じて遅延された様式で放出する組成物であってもよい。使用することのできる包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。活性成分はまた、適宜、上記の賦形剤の1つ以上とともにマイクロ封入された形態であってもよい。
経口投与のための液体剤形としては、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が挙げられる。ポリマー−薬剤の複合体、粒子または組成物に加えて、液体剤形は、例えば、水または、他の溶媒、安定化剤、および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油類(特に、綿実油、ピーナッツ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物など、当該分野で通常用いられる不活性希釈剤を含んでもよい。
不活性希釈剤の他に、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化および懸濁剤、甘味料、調味料、着色料、香料、および保存料などのアジュバントも含んでもよい。
懸濁液は、ポリマー−薬剤の複合体、粒子または組成物に加えて、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、およびトラガカント、ならびにこれらの混合物のような懸濁剤を含んでもよい。
局所投与に適切な薬学的組成物は、所望の処置が局所適用によって容易に接近可能な領域または臓器に関与する場合に有用である。皮膚へ局所的に適用するために、薬学的組成物は、担体に懸濁または溶解された活性成分を含む適切な軟膏を用いて処方されるべきである。本明細書に記載される粒子の局所投与のための担体としては、限定するものではないが、鉱油、液化石油、白色石油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス、および水が挙げられる。あるいは、薬学的組成物は、適切な乳化剤とともに担体において懸濁または溶解される活性粒子を含む適切なローションまたはクリームを用いて製剤してもよい。適切な担体としては、限定するものではないが、鉱油、ソルビタンモノステアラート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、および水が挙げられる。また、本明細書に記載される薬学的組成物は、直腸坐剤処方物によってまたは適切な浣腸処方物において下位腸管に局所的に適用され得る。局所性経皮パッチもまた本明細書に含まれる。
本明細書に記載される薬学的組成物は、鼻内エアロゾルまたは吸入によって投与され得る。このような組成物は、医薬製剤の分野において周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコールもしくは他の適切な保存料、バイオアベイラビリティを向上する吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または当該分野で公知の他の可溶化剤もしくは分散剤を使用して、生理食塩水の溶液として調製され得る。
本明細書に記載される薬学的組成物はまた、直腸または膣内投与のための坐剤の形態で投与されてもよい。坐剤は、本明細書に記載される1つ以上のポリマー−薬剤の複合体、粒子または組成物を、室温で固形物だが体温で液体である1つ以上の適切な非刺激性賦形剤と混合することによって調製され得る。従って、組成物は、直腸腔または膣腔において融解し、ポリマー−薬剤の複合体、粒子または組成物を放出する。このような材料としては、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、坐剤用ワックス、またはサリチル酸塩が挙げられる。膣内投与に適切な本発明の組成物としてはまた、当該分野で適切であることが公知のこのような担体を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、ペースト、泡状物、またはスプレー処方物が挙げられる。
眼科用の処方物、眼の軟膏、散剤、溶液などもまた、本発明の範囲内であると意図される。眼の組織(例えば、眼の深部皮質領域、核上性(supranuclear)領域、または水性体液領域)は、眼科用処方物と接触されてもよく、この眼科用処方物はレンズへと分布させられる。本発明の眼科用処方物の投与または適用の任意の適切な方法(単数または複数)(例えば、局所、注射、非経口、風媒性など)が使用されてもよい。例えば、接触することは、局所投与を介して行われても、または注射を介して行われてもよい。
薬用量および薬用量投与計画
治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子および組成物は、当業者に公知の従来法によって薬学的に許容される剤形へと処方することができる。
本発明の薬学的組成物における活性成分の実際の投薬量レベルは、特定の対象、組成物、および投与様式について、対象に対して毒性であることなく、所望の治療応答を達成するのに有効な量の治療用ペプチドを得るために変動されてもよい。
一実施形態において、治療用のペプチド/タンパク質−ポリマー複合体、粒子、または組成物は、例えば0.1〜300mg/m2、約5〜275mg/m2、約10〜250mg/m2、例えば、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290mg/m2の投薬量で対象に投与される。投与は、例えば、1、2、3、4もしくは5日ごと、または毎週、または2、3、4、5、6もしくは7もしく8週毎に一定間隔であってもよい。この投与は、約10分〜約6時間、例えば、約30分〜約2時間、約45分〜90分、例えば、約30分、45分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、またはそれより長い期間にわたってであり得る。一実施形態において、治療用のペプチド−ポリマーの複合体、粒子または組成物は、例えば15分、10分、5分、またはそれより短い期間にわたってボーラス注入または静脈内注入として投与される。一実施形態において、治療用のペプチド−ポリマーの複合体、粒子、または組成物は、この薬剤の所望の用量が投与されるような量で投与される。好ましくは、治療用のペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子、または組成物の用量は、本明細書に記載される用量である。
一実施形態において、対象は、1、2、3、最大10、最大12、最大15回、もしくはそれより多くの処置を、または障害もしくは障害の症状が治癒(cured)、治癒(healed)、軽減、緩和(relieved)、変化、治療、寛解、緩和(palliated)、改善、または影響されるまで受ける。例えば、対象は、障害もしくは障害の症状が治癒(cured)、治癒(healed)、軽減、緩和(relieved)、変化、救済、寛解、緩和(palliated)、改善、または影響されるまで、1、2、3、または4週ごとに1回注入を受ける。好ましくは、投薬スケジュールは、本明細書に記載される投薬スケジュールである。
治療用のペプチド/タンパク質−ポリマー、粒子、または組成物は、第一選択療法として、例えば単独でまたは追加の薬剤(単数または複数)との併用で投与されてもよい。他の実施形態において、治療用のペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子、または組成物は、対象が、第一選択療法に対して耐性を発現するか、この治療法に応答することができないか、またはこの治療法の後に再発した後に投与される。この治療用のペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子、または組成物は、第二の薬剤との併用で投与され得る。好ましくは、この治療用のペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子、または組成物は、本明細書に記載される第二の薬剤との併用で投与される。第二の薬剤は、粒子中の薬剤と同じであっても、または異なってもよい。
キット
本明細書に記載される治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子、または組成物は、キットにおいて提供され得る。このキットには、本明細書に記載される治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子、または組成物、ならびに必要に応じて、容器、薬学的に許容される担体、および/または資料を備える。この資料は、説明資料、指示資料、販売資料、または本明細書に記載される方法および/もしくは本明細書に記載される方法に関して粒子の使用と関連する他の資料であってもよい。
キットの資料は、その形態で制限されることはない。一実施形態において、資料は、この治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子、または組成物の製造、この治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子、または組成物の物理的特性、濃度、使用期限、バッチまたは製造場所情報などについての情報を含んでもよい。一実施形態において、資料は、この治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子、または組成物を投与する方法に関する。
一実施形態において、この資料は、本明細書に記載される治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子、組成物を、本明細書に記載される方法を実施するのに適切な様式で、例えば、適切な用量、剤形、または投与様式(例えば、本明細書に記載される用量、剤形、または投与様式)で投与するための説明書を含んでもよい。別の実施形態において、この資料は、本明細書に記載される治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子、または組成物を、適切な対象、例えば、ヒト、例えば、本明細書に記載される障害を罹患しているかまたはその危険にあるヒトに投与するための説明書を含んでもよい。別の実施形態において、資料は、本明細書に記載される治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体または粒子を薬学的に許容される組成物へ再構成するための説明書を含んでもよい。
一実施形態において、キットは、対象の処置などのための治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子、または組成物を使用するための説明書を備える。この説明書は、治療用ペプチド−ポリマーの複合体、粒子、または組成物を、特定の対象を用いてまたは特定の化学治療薬との併用で使用するために再構成または希釈する方法を含んでもよい。この説明書はまた、治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの組成物を、静脈内注入などによる特定の投与手段を用いて使用するために再構成または希釈する方法も含んでもよい。
別の実施形態において、このキットは、特定の癌のような、特定の適応症を有する対象を処置するための説明書を備える。
このキットの資料は、その形態に限定されることはない。多くの場合、資料、例えば説明書は、印刷された物体、例えば、印刷されたテキスト、図、および/または写真、例えば、ラベルまたは印刷されたシートにおいて提供される。しかしながら、資料はまた、点字、コンピュータ可読材料、ビデオ録画、またはオーディオ録音など、他の形式で提供されてもよい。別の実施形態において、キットの資料は、連絡先、例えば、実際の住所、電子メールアドレス、ウェブサイト、または電話番号であり、そこでキットのユーザーは、本明細書に記載される粒子および/または本明細書に記載される方法におけるその使用についての実質的な情報を得ることができる。この資料はまた、任意の組み合わせの形態で提供されてもよい。
本明細書に記載される治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子、または組成物に加えて、キットの組成物は、他の成分、例えば、界面活性剤、凍結保護剤もしくは安定剤、抗酸化剤、抗菌薬、増量剤、キレート剤、不活性ガス、等張化剤および/もしくは粘性剤、溶媒もしくは緩衝液、安定剤、保存料、香味料(例えば、苦味アンタゴニストもしくは甘味料)、香料、例えば、キットにおける1つ以上の成分を染色または着色するための色素もしくは着色料、または他の見かけを良くする成分、薬学的に許容される担体、ならびに/あるいは、本明細書に記載される病態または障害を治療するための第二の薬剤などを含んでもよい。あるいは、他の成分が、キットに含まれてもよいが、ただし本明細書に記載される粒子とは異なる組成物または容器においてである。このような実施形態において、キットは、本明細書に記載されるポリマー−薬剤の複合体、粒子、もしくは組成物および他の成分を混合するための、または本明細書に記載される治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子、もしくは組成物を他の成分とともに用いるための説明書を備えてもよい。
別の実施形態において、このキットには、第二の治療剤、例えば、第二の化学治療薬を備える。一実施形態において、この第二の剤は、凍結乾燥型または液体型である。一実施形態において、治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子、または組成物および第二の治療薬は別個の容器にあり、別の実施形態においては、治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子、または組成物および第二の治療薬は、同じ容器にパッケージングされる。
いくつかの実施形態において、キットの成分は、例えばゴムまたはシリコーン封鎖(例えば、ポリブタジエンまたはポリイソプレン封鎖)によって密封されたバイアル中に保存される。いくつかの実施形態において、キットの成分は、不活性条件下で保存される(例えば、窒素またはアルゴンなど別の不活性ガスの下)。いくつかの実施形態において、キットの成分は、無水条件下(例えば、乾燥剤を用いる)で保存される。いくつかの実施形態において、キットの成分は、コハク色のバイアルなどの遮光容器に保存される。
本明細書に記載される治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子、または組成物は、任意の形態、例えば、液体、凍結、乾燥、または凍結乾燥した形態において提供されてもよい。本明細書に記載されるポリマー−薬剤の複合体、粒子、または組成物は、実質的に純粋であるか、および/または無菌であることが好ましい。ある実施形態では、この治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子、または組成物は無菌である。本明細書に記載される治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子、または組成物が液体溶液で提供される場合、この液体溶液は好ましくは水溶液であり、無菌の水溶液が好ましい。一実施形態において、この治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子、または組成物は、凍結乾燥型で提供され、必要に応じて希釈溶液は、凍結乾燥した薬剤を再構成するために提供される。希釈剤としては例えば、塩、または生理食塩水溶液、例えば、pH6〜9を有する塩化ナトリウム溶液、乳酸リンゲル注射溶液、D5W、またはPLASMA−LYTE A Injection pH7.4(登録商標)(Baxter,Deerfield,IL)を挙げることができる。
このキットは、本明細書に記載される治療用ペプチド/タンパク質−ポリマーの複合体、粒子、または組成物を含む組成物のための1つ以上の容器を備えてもよい。いくつかの実施形態において、キットは、組成物および資料のための別個の容器、分割器、または区画を備える。例えば、組成物は、ボトル、バイアル、静脈用混合バッグ、静脈用注入セット、ピギーバックセット、またはシリンジに含まれてもよく、資料は、プラスチックスリーブまたはパケットに含まれてもよい。他の実施形態において、キット別個の要素が、単一の分割されていない容器内に含まれる。例えば、組成物は、ラベルの形態で資料が添付されたボトル、バイアル、またはシリンジに含まれる。いくつかの実施形態において、キットは、複数(例えば、パック)の個々の容器を含み、各々が、本明細書に記載される本明細書に記載のポリマー−薬剤の複合体、粒子または組成物のうち1つ以上の単位剤形(例えば、本明細書に記載される剤形)を含む。例えば、キットは、複数のシリンジ、アンプル、ホイルパケット、またはブリスターパックを備え、各々が本明細書に記載される粒子の単一の単位用量を含んでいる。キットの容器は、気密性、防水性(例えば、湿気または蒸発における変化に不透過性である)であっても、および/または遮光性であってもよい。
キットには必要に応じて、組成物の投与に適切な器具、例えば、シリンジ、吸入装置、ピペット、ピンセット、計量スプーン、滴下装置(例えば、点眼装置)、スワブ(例えば、綿スワブまたは木製スワブ)、または任意のそのような送達デバイスを備える。一実施形態において、このデバイスは、例えば、外科的挿入のためにパッケージングされた医用インプラントデバイスである。
粒子および組成物を用いる方法
本明細書に記載されるポリマー−薬剤の複合体、粒子、および組成物を、培養物中の細胞へ、例えばインビトロもしくはエクスビボで、または対象へ、例えばインビボで投与して、本明細書において下に記載される障害を含めて種々の障害を治療または予防してもよい。ポリマー−薬剤の複合体、粒子および組成物は、第一選択療法、第二選択療法、もしくは補助療法の一部として用いられてもよいし、かつまた、単独で用いられてもよいし、または1つ以上の追加の治療の投与計画と組み合わせて用いられてもよい。
本発明の少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様を記載してきたが、当業者には、種々の変更、改変、および改良が容易に行われることが、認められるべきである。このような変更、改変、および改良は、本開示の一部であることが意図され、本発明の精神および範囲内であることが意図される。従って、上記の説明および図は、単なる例に過ぎない。
別段の定義がない限り、本明細書で用いられるすべての技術用語および科学用語は、本発明の属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体が参照によって援用される。矛盾がある場合、定義を含めた本明細書が支配するものとする。加えて、材料、方法、および実施例は、説明のために過ぎず、限定を意図するものではない。
実施例
実施例1:5050 PLGAの精製および特徴付け
ステップA: 機械的撹拌器を装備した3L丸底フラスコに、5050PLGA(300g、Mw:7.8kDa;Mn:2.7kDa)およびアセトン(900mL)を投入した。混合物を室温で1時間撹拌して、透明黄色溶液を生成した。
ステップB:機械的撹拌器を装備した底に出口を有する22Lジャケット反応器に、MTBE(9.0L、5050PLGAの質量に対して30体積)を投入した。セライト(登録商標)(795g)を、約200rpmでオーバーヘッド撹拌しながら溶液に付加して、懸濁液を生成した。この懸濁液に、ステップAからの溶液を1時間に亘って徐々に付加した。ポリマー溶液の付加後、混合物をさらに1時間掻き混ぜて、ポリプロピレンフィルターを通して濾過した。濾過ケーキをMTBE(3×300mL)で洗浄し、0.5時間状態調節して、残留MTBEが5重量%以下(1H NMR解析により測定)になるまで、周囲温度で風乾した(典型的には12時間)。
ステップC:機械的撹拌器を装備した底に出口を有する12Lジャケット反応器に、アセトン(2.1L、5050PLGAの質量に対して7体積)を投入した。ステップBからのポリマー/セライト(登録商標)複合体を、約200rpmでオーバーヘッド撹拌しながら反応器に投入して、懸濁液を生成した。懸濁液を周囲温度でさらに1時間撹拌し、ポリプロピレンフィルターを通して濾過した。濾過ケーキをアセトン(3×300mL)で洗浄し、併合濾液を0.45mM直列フィルターを通して清澄化して、透明溶液を生成した。この溶液を、〜1000mLに濃縮した。
ステップD:機械的撹拌器を装備した底に出口を有する22Lジャケット反応器に、水(9.0L、30体積)を投入し、冷却装置を用いて0〜5℃に温度を下げた。ステップCからの溶液を、約200rpmでオーバーヘッド撹拌しながら2時間掛けて徐々に付加した。溶液の付加後、混合物をさらに1時間撹拌して、ポリプロピレンフィルターを通して濾過した。濾過ケーキを1時間状態調節して、周囲温度で1日風乾し、次いで、3日間真空乾燥して、精製5050PLGAを白色粉末として生成した(258g、収率86%)。1H NMR解析は所望の生成物のものと一致し、そしてカール・フィッシャー分析は、0.52wt%の水を示した。HPLC(AUC、230nm)およびGPC(AUC、230nm)により、生成物を分析した。当該プロセスは、より狭い多分散性、すなわちMw:8.8kDaおよびMn:5.8kDaを生じた。
実施例2. 5050PLGAラウリルエステルの精製および特徴付け
機械的撹拌器を装備した12L丸底フラスコに、MTBE(4L)およびヘプタン(0.8L)を投入した。混合物を約300rpmで掻き混ぜて、これに、アセトン(300mL)中の5050 PLGAラウリルエステル(65g)の溶液を滴下した。ゴム状固体が時間経過とともに生成され、最後に、フラスコの底に固まった。上清をデカントして除去し、固体を、25℃で24時間、真空乾燥して、40gの精製5050 PLGAラウリルエステルを白色粉末として得た(収率:61.5%)。 1H NMR(CDCl3、300MHz):δ 5.25-5.16 (m, 53H), 4.86 - 4.68 (m, 93H), 4.18 (m, 7H), 1.69 - 1.50(m, 179H), 1.26 (bs, 37H), 0.88 (t, J = 6.9 Hz, 6H)。1H NMR解析は、所望の生成物のものと一致した。GPC(AUC、230nm):6.02〜9.9分、tR=7.91分。
実施例3. 7525PLGAの精製および特徴付け
機械的撹拌器を装備した22L丸底フラスコに、12LのMTBEを投入し、これに、ジクロロメタン(DCM、750mL)中の7525 PLGA(150g、約6.6kD)の溶液を約300rpmで撹拌して1時間かけて滴下して、ゴム状固体を得た。上清をデカントして除去し、ゴム状固体をDCM(3L)中に溶解した。溶液を丸底フラスコに移して、濃縮して残渣を得て、これを25℃で40時間真空乾燥して、94gの精製7525PLGAを白色発泡体として得た(収率62.7%)。1H NMR (CDCl3, 300 MHz): δ 5.24-5.15 (m, 68H), 4.91 - 4.68 (m, 56H), 3.22 (s, 2.3H, MTBE), 1.60 -1.55 (m, 206H), 1.19 (s, 6.6H, MTBE)。1H NMR解析は、所望の生成物のものと一致した。GPC(AUC、230nm):6.02〜9.9分、tR=7.37分。
実施例4. O−アセチル−5050−PLGAの合成、精製および特徴付け
オーバーヘッド撹拌器を装備した2000mL丸底フラスコに、精製5050 PLGA(220g、Mn:5700)およびDCM(660mL)を投入した。混合物を10分間撹拌して、透明溶液を得た。Ac2O(11.0mL、116mmol)およびピリジン(9.4mL、116mmol)を溶液に付加すると、約0.5°Cの小発熱を生じた。反応を周囲温度で3時間撹拌し、約600mLに濃縮した。溶液を、約200rpmでオーバーヘッド撹拌しながら1時間掛けて、MTBE(6.6L、30体積)中のセライト(登録商標)(660g)の懸濁液に付加した。懸濁液をポリプロプレンフィルターに通して濾過し、濾過ケーキを周囲温度で1日風乾した。それを、1時間オーバーヘッド撹拌しながら、アセトン(1.6L、約8体積)中に懸濁した。スラリーをフリットガラス漏斗(粗目)に通して濾過し、濾過ケーキをアセトン(3×300mL)で洗浄した。併合濾液をセライト(登録商標)パッドに通して清澄化して、透明溶液を得た。それを約700mLに濃縮して、200rpmで2時間に亘ってオーバーヘッド撹拌しながら、冷水(7.0L、0〜5°C)に付加した。懸濁液を、ポリプロピレンフィルターに通して濾過した。濾過ケーキを水(3×500mL)で洗浄し、1時間状態調節して、543gの湿潤ケーキを得た。それを2つのガラストレーに移して、周囲温度で一晩風乾して、338gの湿潤性生物を得て、これを次に、25℃で2日間、一定重量に真空乾燥して、201gの生成物を白色粉末として得た(収率:91%)。1H NMR解析は、所望の生成物のものと一致した。生成物をHPLCにより分析した(AUC、230nm)ならびにGPC(Mw:9.0kDaおよびMn:6.3kDa))。
実施例5. フォレート−PEG−PLGA−ラウリルエステルの合成、精製および特徴付け
葉酸−PEG−PLGA−ラウリルエステルの合成は、葉酸とPEGビスアミン(Sigma-Aldrich、n=75、MW 3350Da)との直接的カップリングを伴う。低分子量アミンが生成物中に存在する、という可能性のため、PEGビスアミンを精製した。4.9gのPEGビスアミンをDCM(25mL、5体積)中に溶解し、次いで、激しく掻き混ぜながらMTBE(250mL、50体積)中に移した。ポリマーが白色粉末として沈澱した。次に、混合物を濾過し、固体を真空下で乾燥して、4.5gの生成物を得た(92%)。固体の1H NMR分析は、きれいなスペクトルを提供した;しかしながら、アミン基へのα−メチレンの統合に基づいて、すべてのアルコール基がアミンに変換されるというわけではなかった(63%ビスアミン、37%モノアミン)。
精製PEGビスアミンを用いて、フォレート−(γ)CO−NH−PEG−NH2を合成した。葉酸(100mg、1.0当量)を熱DMSO(4.5mL、PEGビスアミンに対して3体積)中に溶解した。溶液を周囲温度に冷却し、(2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)(HATU、104mg、1.2当量)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、80μL、2.0当量)を付加した。その結果生じた黄色溶液を30分間撹拌し、DMSO(3mL、2体積)中のPEGビスアミン(1.5g、2当量)を付加した。過剰量のPEGビスアミンを用いて、PEGビスアミンの二付加物の考え得る生成を回避し、葉酸の変換を改良した。反応物を20℃で16時間撹拌し、C18カラム(RediSep、43g、C18)を用いてCombiFlash(登録商標)により直接精製した。生成物を含有する分画を併合し、CH3CNを真空下で除去した。残留水溶液(約200mL)をクロロホルム(200mL×2)で抽出した。合わせたクロロホルム相を約10mLに濃縮し、MTBE中に移して、生成物を黄色粉末として沈澱させた。物質中のあらゆる非反応PEGビスアミンを完全に除去するために、黄色粉末をアセトン(200mL)で3回洗浄した。残りの固体を真空下で乾燥して、黄色半固体生成物(120mg)を得た。HPLC分析は純度97%を示し、そして1H NMR解析は、生成物が不純物を含有しないことを示した。
葉酸−(γ)CO−NH−PEG−NH2を、p−ニトロフェニル−COO−PLGA−CO2−ラウリルと反応させて、葉酸−PEG−PLGA−ラウリルエステルを得た。p−ニトロフェニル−COO−PLGA−CO2−ラウリルを調製するために、PLGA 5050(ラウリルエステル)(10.0g、1.0当量)およびp−ニトロフェニルクロロホルメート(0.79g、2.0当量)をDCM中に溶解した。溶解ポリマー溶液に、1部のTEA(3.0当量)を付加した。その結果生じた溶液を、20℃で2時間撹拌した。1H NMR解析は、完全変換を示した。次に、反応溶液を4:1 MTBE/ヘプタン(50体積)の溶媒混合物中に移した。生成物は沈澱し、ゴム状になった。上清をデカントして除去し、固体をアセトン(20体積)中に溶解した。その結果生じたアセトン懸濁液を濾過し、濾液を濃縮、乾燥して、生成物を白色発泡体として得た(7.75g、78%、Mn=4648(GPCを基礎にして))。1H NMR解析は、精製物質を示し、検出可能なp−ニトロフェノールは認められなかった。
葉酸−(γ)CO−NH−PEG−NH2(120mg、1.0当量)を、DMSO(5mL)中に溶解し、TEA(3.0当量)を付加した。反応混合物のpHは、8〜9であった。DMSO(1mL)中のp−ニトロフェニル−COO−PLGA−CO2−ラウリル(158mg、1.0当量)を付加し、反応をHPLCによりモニタリングした。16.1分での新規のピーク(約40%、AUC、280nm)が、1時間でHPLCクロマトグラムから観察された。反応混合物の小試料を過剰量の1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)で処理すると、色が直ぐに暗黄色に変わった。この試料のHPLC分析は、p−ニトロフェニル−COO−PLGA−CO2−ラウリルおよび16.1分ピークの完全消失を示した。その代わりに、葉酸−(γ)CO−NH−PEG−NH2の右側におけるピークが出現した。p−ニトロフェニル−COO−PLGA−CO2−ラウリルおよび考え得る生成物は強塩基性条件下では安定でなかった、と結論づけられ得る。16.1分での新規のピークを特定するために、反応混合物の約1/3をCombiFlash(登録商標)により精製した。当該物質を、最終的に、1:4 DMSO/CH3CNの溶媒混合物で溶離した。この物質は黄色であることが観察されたが、これが葉酸縁含量を示し得る。大量のDMSOが存在したため、この物質は溶液から単離されなかった。非反応の葉酸−(γ)CO−NH−PEG−NH2を含有する分画を併合し、濃縮して、残渣を得た。この残渣のニンヒドリン試験は陰性結果を生じたが、これは、PEGの末端でのアミン基の欠如を暗示し得る。この観察は、反応の不完全な変換も説明し得る。
残りの反応溶液を、CombiFlash(登録商標)により精製した。前の精製と同様に、推測された黄色生成物がカラムに保持された。0.5%TFAを含有するMeOHを用いて、当該物質を溶離した。考え得る生成物を含有する分画を合わせ、濃縮乾燥した。この試料の1H NMR分析は、葉酸塩、PEGおよびラウリル−PLGAの存在を示し、そしてこれらのセグメントの統合は、3つの構成成分すべての1:1:1比という所望の値に近かった。高純度が、HPLCおよびGPC分析の両方から観察された。GPCに基づいたMnは、8.7kDaであった。DMSO中の試料を、MTBE中の沈降により回収した。
実施例6. PLGA−PEG−PLGA治療用ペプチド複合体の合成
トリブロックコポリマー PLGA−PEG−PLGAは、Zentner et al.,Journal of Controlled Release, 72, 2001, 203-215により開発された方法を用いて合成される。この方法を用いて得られるPLGAの分子量は、約3kDaである。Chen et al., International Journal of Pharmaceutics, 288, 2005, 207-218により報告された同様の方法が、1〜7kDaの範囲のPLGA分子量を合成するために用いられる。LA/GA比は、典型的には、1:1の比であるが、これに限定されない。最小PEG分子量は2kDaで、上限は30kDaである。PEGの好ましい範囲は、3〜12kDaである。PLGAの分子量は、最小値 4kDaおよび最大値 30kDaである。PLGAの好ましい範囲は、7〜20kDaである。治療用ペプチド(例えばヒストレリンまたはチモペンチン)は、適切なリンカー(すなわち、実施例で列挙されるようなもの)を介してPLGAと複合体化されて、ポリマー治療用ペプチド複合体を形成する。さらに、同一の治療用ペプチドまたは異なる治療用ペプチドが、もう一方のPLGAと結合されて、2つの同一治療用ペプチドまたは2つの異なる治療用ペプチドを有する二元性治療用ペプチド−ポリマー複合体を形成し得る。ナノ粒子は、PLGA−PEG−PLGA単独から、あるいはこのトリブロックコポリマーからなる単一治療用ペプチド−または二元性治療用ペプチド−ポリマー複合体から形成され得る。
実施例7. ポリカプロラクトン−ポリ(エチレングリコール)−ポリカプロラクトン(PCL−PEG−PCL)−治療用ペプチド複合体の合成
トリブロック PCL−PEG−PCLは、Hu et al., Journal of Controlled Release, 118, 2007, 7-17で報告されたような、触媒(すなわち、第一スズオクトアート)の存在下での開環重合法を用いて合成される。この合成から得られるPCLの分子量は、2〜22kDaの範囲である。Ge et al. Journal of Pharmaceutical Sciences, 91, 2002, 1463-1473による論文で示された非触媒法も、PCL−PEG−PCLを合成するために用いられる。この特定の合成から得られるPCLの分子量は、9〜48kDaの範囲である。同様に、Cerrai et al., Polymer, 30, 1989, 338-343により開発された別の無触媒法は、1〜9kDaの範囲のPCLの分子量を有するトリブロックコポリマーを合成するために用いられる。最小PEG分子量は2kDaで、上限は30kDaである。PEGの好ましい範囲は、3〜12kDaである。PCL分子量は、最小値 4kDaおよび最大値 30kDaである。PCLの好ましい範囲は、7〜20kDaである。治療用ペプチド(例えばヒストレリンまたはチモペンチン)は、適切なリンカー(すなわち、実施例で列挙されるようなもの)を介してPCLと複合体化されて、ポリマー−治療用ペプチド複合体を形成する。さらに、同一治療用ペプチドまたは異なる治療用ペプチドが、もう一方のPCLと結合されて、2つの同一治療用ペプチドまたは2つの異なる治療用ペプチドを有する二元性治療用ペプチド−ポリマー複合体を形成し得る。ナノ粒子は、PCL−PEG−PCL単独から、あるいはこのトリブロックコポリマーからなる単一治療用ペプチド−または二元性治療用ペプチド−ポリマー複合体から形成され得る。
実施例8. ポリラクチド−ポリ(エチレングリコール)−ポリラクチド(PLA−PEG−PLA)−治療用ペプチド複合体の合成
トリブロック PLA−PEG−PLAコポリマーは、Chen et al., Polymers for Advanced Technologies, 14, 2003, 245-253で報告された触媒(すなわち、第一スズオクトアート)を用いる開環重合法を用いて合成される。生成され得るPLAの分子量は、6〜46kDaの範囲である。低分子量範囲(すなわち、1〜8kDa)は、Zhu et al., Journal of Applied Polymer Science, 39, 1990, 1-9により示された方法を用いることにより達成され得る。最小PEG分子量は2kDaで、上限は30kDaである。PEGの好ましい範囲は、3〜12kDaである。PLA分子量は、最小値 4kDaおよび最大値 30kDaである。PLAの好ましい範囲は、7〜20kDaである。治療用ペプチド、例えばRNA製剤は、適切なリンカー(すなわち、実施例で列挙されるようなもの)を介してPLAと複合体化されて、ポリマー−治療用ペプチド複合体を形成する。さらに、同一治療用ペプチドまたは異なる治療用ペプチドが、もう一方のPLAと結合されて、2つの同一治療用ペプチドまたは2つの異なる治療用ペプチドを有する二元性治療用ペプチド−ポリマー複合体を形成し得る。ナノ粒子は、PLA−PEG−PLA単独から、あるいはこのトリブロックコポリマーからなる単一治療用ペプチド−または二元性治療用ペプチド−ポリマー複合体から形成され得る。
実施例9. p−ジオキサノン−コ−ラクチド−ポリ(エチレングリコール)−p−ジオキサノン−コ−ラクチド(PDO−PEG−PDO)−治療用ペプチド複合体の合成
トリブロック PDO−PEG−PDOは、Bhattari et al.,Polymer International, 52, 2003, 6-14により開発された方法を用いて、触媒(第一スズ2−エチルヘキサノエート)の存在下で合成される。この合成から得られるPDOの分子量は、2〜19kDaの範囲である。最小PEG分子量は2kDaで、上限は30kDaである。PEGの好ましい範囲は、3〜12kDaである。PDO分子量は、最小値 4kDaおよび最大値 30kDaである。PDOの好ましい範囲は、7〜20kDaである。治療用ペプチド、例えばRNA製剤は、適切なリンカー(すなわち、実施例で列挙されるようなもの)を介してPDOと複合体化されて、ポリマー−治療用ペプチド複合体を形成する。さらに、同一治療用ペプチドまたは異なる治療用ペプチドが、もう一方のPDOと結合されて、2つの同一治療用ペプチドまたは2つの異なる治療用ペプチドを有する二元性治療用ペプチド−ポリマー複合体を形成し得る。ナノ粒子は、PDO−PEG−PDO単独から、あるいはこのトリブロックコポリマーからなる単一治療用ペプチド−または二元性治療用ペプチド−ポリマー複合体から形成され得る。
実施例10. 多官能性PLGA/PLAベースのポリマーの合成
容易に生分解可能であり、その構成成分がすべて生体許容可能構成成分である(すなわちヒトにおいて安全であることが知られている)ポリマー鎖全体を通して分散される官能基を有するPLGA/PLA関連ポリマーを合成し得る。具体的には、3−S−[(ベンキシルオキシカルボニル)メチル]−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン(BMD)から得られるPLGA/PLA関連ポリマーが合成され得る(下記の構造参照)(下記の構造は、カッコ内に示されたモノマー単位のランダムコポリマーを表すよう意図される)。R基の例としては、負電荷、H、アルキルおよびアリールアルキルが挙げられる。
1. BMDから得られるPLGA/PLA関連ポリマー
2. BMDおよび3,5−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン(ビス−DL−乳酸環状ジエステル)を有するPLGA/PLA関連ポリマー
3. BMDおよび1,4−ジオキサン−2,5−ジオン(ビス−グリコール酸環状ジエステル)を有するPLGA/PLA関連ポリマー
好ましい一実施形態では、BMDおよびビス−DL−乳酸環状ジエステルから得られるPLGA/PLAポリマーは、BMDおよびラクチドの割合を変えることにより、多数の異なるペンダント官能基を有して調製される。参照のために、各ポリマーが8kDaという数平均分子量(Mn)を有するとされる場合には、BMDから得られる100重量%であるポリマーは、約46個のペンダントカルボン酸基を有する(1個の酸基/0.174kDa)。同様に、BMDから得られる25重量%および3,5−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン(ビス−DL−乳酸環状ジエステル)から得られる75重量%であるポリマーは、約11個のペンダントカルボン酸基を有する(1個の酸基/0.35kDa)。これは、官能化されない8kDa PLGAポリマーに関するちょうど1個の酸基と、線状PLGA/PLAポリマーの末端基の官能化中に付加される4部位が存在する場合の1個の酸基/2kDa、あるいは4kDa分子が結合される4個の官能基を有する場合の1個の酸基/1kDaに匹敵する。
具体的には、BMDから得られるPLGA/PLA関連ポリマーは、Kimura et al., Macromolecules, 21, 1988, 3338-3340による方法を用いて開発される。このポリマーは、各単位上にペンダントカルボン酸基を伴うグリコール酸とリンゴ酸の反復単位を有する(RO(COCH2OCOCHR1O)nH:ここで、RはHであるか、あるいはアルキルまたはPEG単位等であり、R1はCO2Hである)。各174質量単位に関して1個のペンダントカルボン酸基が存在する。ポリマーの分子量およびポリマー多分散性は、異なる反応条件(すなわち、開始剤の種類、温度、加工処理条件)に伴って変わり得る。Mnは、2〜21kDaの範囲であり得る。さらにまた、ポリマー中の2つのモノマー構成成分すべてに関してペンダントカルボン酸基が存在し得る。前に引用された参考文献に基づいて、NMR解析は、エステル交換または他の機序により検出可能量のβ−マレートポリマーは生成されない、ということを示した。
BMDおよび3,5−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン(ビス−DL−乳酸環状ジエステル)から得られる別の型のPLGA/PLA関連ポリマーは、Kimura et al., Polymer, 1993, 34, 1741-1748により開発された方法を用いて合成される。彼等は、利用された最高BMD比率は15mol%であり、これは、14mol%(16.7重量%)のBMD由来単位を含有するポリマーということになることを示した。BMD組入れのこのレベルは、約8個のカルボン酸残基/8kDa ポリマー(1個のカルボン酸残基/ポリマー1kDa)を表す。BMD単独の使用と同様に、β−マレート由来ポリマーは検出されなかった。さらにまた、Kimura等は、高ポリマー分子量(36〜67kDa)の使用にもかかわらず、ガラス転移温度(Tg)は低20℃台である、と報告した。Tg’は、カルボン酸が遊離していてもまたは依然としてベンジル基であっても、これらのポリマーに関して20〜23°Cであった。より堅くなる要素(すなわち、強力な水素結合を形成し得るカルボン酸)の含有は、Tgを増大するはずである。この具体的ポリマーから得られるポリマー薬剤複合体から形成される任意の粒子の凝集の考え得る防止は、考え得るより低いTg値のため、評価されなければならない。
種々の量のグリコール酸リンゴ酸ベンジルエステルを含有するPLA−PEGポリマーを合成するための別の方法は、Lee et al., Journal of Controlled Release, 94, 2004, 323-335により報告された3,5−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン(ビス−DL−乳酸環状ジエステル)の存在下でのBMDの重合を包含する。彼等は、重合に用いられるBMDの重量によって、合成ポリマーが、約5〜8kDaのPLA鎖中に1.3〜3.7カルボン酸単位を含有する(総ポリマー重量は約11〜13kDaで、PEGは5kDaである)、ということを報告した。一ポリマー中には、3.7カルボン酸単位/疎水性ブロックが存在し、この場合、BMDは疎水性ブロックの重量の約19重量%を表す。BMDのラクチドに対する比は、Kimuraet al., Polymer, 1993, 34, 1741-1748により観察されたものと同様であり、酸残基は、その結果生じるポリマーにおいて類似していた(約1酸単位/疎水性ポリマー1kDa)。
より容易に加水分解可能であるBMDで官能化されるポリマーは、Kimura et al., International Journal of Biological Macromolecules, 25, 1999, 265-271により開発された方法を用いて調製される。彼等は、加水分解の速度が存在する遊離酸基の数に関連した(ポリマーがより多くの酸基を有するほど、加水分解は速い)、ということを報告した。ポリマーは、約5または10mol%のBMD含量を有した。さらにまた、Lee et al., Journal of Controlled Release, 94, 2004, 323-335による参考文献では、ポリマーの加水分解速度は、最高濃度のペンダント酸基で最速であった(19.5重量%のBMDを含有するポリマーに関しては6日、0重量%のBMDを含有するポリマーに関しては20日)。
治療用ペプチド(例えばヒストレリンまたはチモペンチン)は、PLGA/PLA関連ポリマー(BMD含有)と共役され得た(上記実施例を参照)。同様に、粒子は、このようなポリマー−治療用ペプチド複合体から調製され得た。
実施例11. リンゴ酸ベンジルエステルのβ−ラクトンを用いて調製されるポリマーの合成
Wang et al., Colloid Polymer Sci., 2006, 285, 273-281により開発されたように、MePEGOHを、DL−ラクチド(乳酸の環状ジエステル)を有するRS−β−ベンジルマロラクトネート(β−ラクトン)と重合して、MePEG(乳酸)(リンゴ酸) Me(OCH2CH2O)[OCCCH(CH3)O]m[COCH2CH(CO2H)O]を含有するポリマーを得ることにより、ポリマーを調製し得る。これらのポリマーは、抗レベルの酸性基を含有するため、より速く分解する可能性がある。β−ラクトンの使用は、3−[(ベンジルオキシカルボニル)メチル]−1,4−ジオキサン−2,5−ジオンを用いて得られるものとは異なるポリマーを生成する、ということに留意すべきである。これらのポリマーにおいて、カルボン酸基は、メチレンスペーサーを伴わずに、ポリマー鎖に直接的に結合される。
β−ラクトンから直接的に調製され得る別のポリマーは、Ouhib et al., Ch. Des. Monoeres. Polym, 2005, 1, 25により報告された。その結果生じるポリマー(すなわち、ポリ−3,3−ジメチルリンゴ酸)は、遊離酸として水溶性であり、ポリマー鎖の各単位上にペンダントカルボン酸基を有しており、その上、3,3−ジメチルリンゴ酸は非毒性分子である、と報告されている。
Coulembier et al., Macromolecules, 2006,39, 4001-4008により示されたように、3,5−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン(DDD)およびβ−ブチロラクトンの存在下で、4−ベンジルオキシカルボニル−,3,3−ジメチル−2−オキセタノンを重合して、ペンダントカルボン酸基を有するブロックコポリマーを生成し得る。この重合反応を、エチレングリコールの存在下で、カルベン触媒を用いて実行した。用いた触媒は、トリアゾールカルベン触媒であったが、これは、狭い多分散性を有するポリマーをもたらす。
実施例12. PLGA−ヒストレリン複合体の合成
ヒストレリンのセリン上のヒドロキシル基に関して修飾されるグリシンリンカーを用いて、PLGA5050、PLGA75/25またはPLGA85/15ポリマー(推奨MW範囲:10〜100kDa;しかしこれに限定されるわけではない)をヒストレリンと複合体化させる。グリシンおよび治療用ペプチド間のこのエステルリンカーは、高pHで、またはエステラーゼのような酵素により、切断され得る。1H NMRを用いて、生成物の一貫性を確証する。HPLCを用いて、生成物の純度を分析するものとする。GPCは、生成物の純度、分子量および多分散性を確定するために用いられる。
実施例13. PLGA−ネシリチド複合体の合成
PLGA5050、PLGA75/25またはPLGA85/15ポリマー(推奨MW範囲:10〜100kDa;しかしこれに限定されるわけではない)を、アルキニル官能基を用いてカルボニル末端基において修飾する。ネシリチドを、ヒスチジン基のカルボニル末端においてアジド基を用いて官能化する。次に、アルキニル基を有するPLGAを、アジド基を伴うネシリチドと複合体化させて、クリックケミストリーによりトリアゾールを生成する。トリアゾールおよび治療用ペプチド間のこのエステルリンカーは、高pHで、またはエステラーゼのような酵素により、切断され得る。1H NMRを用いて、生成物の一貫性を確証する。HPLCは、生成物の純度を分析するために用いられる。GPCは、生成物の純度、分子量および多分散性を確定するために用いられる。
実施例14. PLGA−チモペンチンの合成
PLGA5050、PLGA75/25またはPLGA85/15ポリマー(推奨MW範囲:10〜100kDa;しかしこれに限定されるわけではない)を、アジド官能基を用いてカルボニル末端基において修飾する。チモペンチンを、アルギニン基のアミノ末端においてアルキニル基を用いて官能化する。次に、アジド基を有するPLGAを、アルキニル基を伴うチモペンチンと複合体化させて、クリックケミストリーによりトリアゾールを生成する。1H NMRを用いて、生成物の一貫性を確証する。HPLCは、生成物の純度を分析するために用いられる。GPCは、生成物の純度、分子量および多分散性を確定するために用いられる。
実施例15. PLGA−RWJ−800088の合成
PLGA5050、PLGA75/25またはPLGA85/15ポリマー(推奨MW範囲:10〜100kDa;しかしこれに限定されるわけではない)を、PLGAとRWJ−800088上のリシンのアミノ末端基との間にアミド結合を形成することにより、RWJ−800088と複合体化させる。1H NMRを用いて、生成物の一貫性を確証する。HPLCは、生成物の純度を分析するために用いられる。GPCは、生成物の純度、分子量および多分散性を確定するために用いられる。