加減速検出回路は、たとえば複写機、プリンタなどの情報機器などに用いられるモータの駆動装置に設けられる。加減速検出回路から取り出された制御信号は、たとえばCPUで信号処理されてモータの回転速度を制御したり、または、加減速状態に生じ得るモータから電源への逆電流を抑えたりするために用いられる。
特許文献1(特開2008−5683号公報)は、ホールIC等の位置検出を用いたブラシレスDCモータの駆動装置に関する。回転速度に変化が生じた場合でも正常な動作が行えるよう選択手段を設ける。該選択手段は、検出した回転速度が第1しきい値よりも早い場合は120度通電方式、または、180度通電方式を選択し、検出した回転速度が第1しきい値よりも遅い場合は正弦通電方式を選択する構成としている。
特許文献1、図2を参照すると120度通電方式、180度通電方式、及び正弦波通電方式の3つが示されている。120度通電方式及び180度通電方式は矩形波(方形波)を用いたいわゆる方形波駆動方式のことである。
特許文献2(特開2002−272162号公報)は、同期整流型PWM(Pulse Width Modulation)駆動時にモータ回転数の変動または負荷変動またはトルク指令の減速指令により、トルク指令に比例したPWM駆動のパルス幅が減少し、駆動コイルに流れる回生電流が電源に向かって逆流するという、すなわち、負電流が発生するという不具合を示唆する。負電流が電源側に流れ込むことにより電源電圧が上昇し、モータ及びモータ駆動装置またはこのモータを搭載したセットが破壊するという不具合が生じることを指摘する。そこで、特許文献2は、減速検出手段を用意し、該減速検出手段は減速期間の有無を検出し、減速期間以外においては、同期整流型PWM駆動によってトランジスタをオン/オフさせる。また、減速期間中であることを検出した場合には、片側PWM駆動に切り換える。これにより回生電流の流れる経路を切り換えるというものである。すなわち、起動時及び定常時は同期整流型PWM駆動により極めて低損失な駆動が実現でき、速度制御の引き込み時または負荷変動等によるトルク指令の減速状態は片側PWM駆動に切り換えることで電源への負電流の流れ込みを防止するものである。
特許文献3(特開2008−72788号公報)は、特許文献2と同じ技術分野にかかわり、ほぼ同じ不具合を指摘する。すなわち、モータの減速期間中、電流が電源側へ逆流し、電源電圧の昇圧によりデバイスが破壊するという不具合を指摘する。また、特許文献3にも特許文献2とほぼ同様に同期整流型PWM駆動と片側PWM駆動とを切り換えるものが開示されている。
特許文献3に開示された特徴は、その図1に示されているが、特に着目すべきは速度偏差検出回路9及び回転速度制御回路8であると思料する。これら2つの回路は、たとえば、その段落番号0020、0021に記述されている。要約すると次のとおりである。すなわち、
(a)速度偏差検出回路9には速度指令信号及び速度検出信号(FG信号)が入力され、モータの回転速度(ロータマグネットの回転速度)が目標速度領域に含まれているかが検出される。
(b)速度偏差検出回路9は、基準クロックを所定倍(たとえば1024倍)したパルス信号を用いて、速度指令信号による目標速度とFG信号により検出されるモータ回転速度の差を求める。
(c)速度偏差検出回路9は、速度の差に相当する差分パルス数が例えば目標速度の±6%以内であれば、モータの回転速度が目標速度領域内であると判定する。
(d)速度偏差検出回路9は、モータ回転速度が目標速度領域内であるか否かの検出結果を一定回転検出信号として出力する。
(e)速度偏差検出回路9は、差分パルス数を速度差情報として回転速度制御回路へ出力する。
(f)速度制御回路8は入力された差分パルス(速度差情報)をアナログ信号に変換し、速度制御信号として出力する。
(g)速度制御回路8から出力された速度制御信号は、モータ回転速度が目標速度より遅ければ加速指令となり、モータ回転速度が目標速度より速ければ減速指令となる。
特許文献3、上記(a)〜(g)の要件の中で、要件(a)〜(d)は後述する本発明の技術的思想に類似する。
特許文献4(特開2008−252965号公報)は、適正なタイミングで矩形波駆動から正弦波駆動に切り換えることができるモータの駆動装置を提供するとしている。
モータの回転位置検出に3つのホール素子を用い、これら3つのホール素子は電気角で120度ずつずらした位置に配置される。3つのホール素子から出力される信号は矩形波信号として生成される。
特許文献4は、ホール素子から出力されるホール信号の周期をカウントするためのカウンタを備える。カウンタのカウント数が所定値(たとえば3)未満である場合には矩形波駆動を、カウント数が所定値(たとえば3)以上である場合には正弦波駆動をそれぞれ選択するとしている。
特許文献4、図4を参照すると、ホール位置信号Huの周期T2が設定周期T0未満、すなわち、周期T2<周期T0であり、かつ、ホール位置信号Huが3エッジ以上、すなわち、3カウント以上であるものが例示されている。そして、周期T2をもったホール位置信号Huが3カウントに達したタイミングで矩形波駆動から正弦波駆動に切り換えるものが開示されている。
特許文献5(特開2009−141990号公報)は、本発明者が提案したモータ駆動装置及びこれを用いた電気機器に関する。特許文献5は、モータの回転速度を高精度に制御することが可能なモータ駆動装置を提供する。そのために、モータ駆動信号の周期補正を行うに際して、モータの回転速度が一定状態であると判断したときには、周期補正の頻度を下げ、逆に、モータの回転速度に変動が生じていると判断したときには、周期補正の頻度を上げる構成とするものである。
図7は、特許文献5、図1に示されたモータの駆動装置を構成する内挿パルス信号生成回路Aの一部を抜粋したモータ駆動装置700を示す。
モータ駆動装置700を構成する内挿パルス信号生成回路Aは、図示しないモータを形成する3相(U相、V相、W相)のコイルに電流を供給することによりモータの駆動制御を行う。また、モータの回転状態を検出する手段として、モータには3相(U相、V相、W相)のホールセンサが外付けされるが、これらのホールセンサは図7には図示していない。図7は各相のホールセンサから各々差動入力される正弦波信号を互いに比較して得たパルス状のホール信号HU、HV、HWが第1内挿パルス信号生成部A1と第2内挿パルス信号生成部A2に各別に供給される状態を示す。
内挿パルス信号生成回路Aは、ホール信号HU、HV、HWの1周期(電気角360度)で生成されるパルス数が所定の目標値となるように第1内挿パルス信号生成部A1と第2内挿パルス信号生成回路A2を有して成る。
第1内挿パルス信号生成部A1は、第1内挿パルス信号DIVCLK1を生成する手段であり、分周器A11、カウンタA12、レジスタA13、カウンタA14及び比較部A15を有して成る。
第1内挿パルス信号生成部A1は、第1内挿パルス信号DIVCLK1を生成するに際して、ホール信号HUの1周期(電気角360度)で生成されるパルス数が所定の目標値となるように、ホール信号HUの1周期毎に、第1内挿パルス信号DIVCLK1のパルス生成間隔を調整する。
第2内挿パルス信号生成部A2は、3相分のホール信号HU、HV、HWの入力を受けて、第2内挿パルス信号DIVCLK2を生成する手段であり、合成部A20、分周器A21、カウンタA22、レジスタA23、カウンタA24、及び比較部A25を有して成る。
第2内挿パルス信号DIVCLK2は、ホール信号HU、HV、及びHWの6分の1の周期(電気角60度)に、そのパルス生成間隔が調整される。すなわち、内挿パルス信号DIVCLK2は、第1内挿パルス信号DIVCLK1よりも6倍の頻度でそのパルス生成間隔が調整される。したがって、第2内挿パルス信号DIVCLK2に基づく周期でモータ駆動信号の波形生成を行えば、モータの回転速度が急激に変動したときでも、モータ駆動信号の周期補正を行うことができる。しかし、第2内挿パルス信号DIVCLK2は、3相のホール信号HU、HV、及びHWを合成して得られる合成ホール信号MIXから生成されるため、各相のホールセンサの取り付け位置が偏倚したときにはモータ駆動信号の波形誤差が生じやすくなる。また、第1内挿パルス信号DIVCLK1よりも高い頻度で、そのパルス生成間隔が調整されることから回転むらが比較的大きくなるという不具合が生じ得る。
そこで特許文献5は、モータの回転速度が一定状態であると判断されたときには、第1内挿パルス信号DIVCLK1を選択し、逆にモータの回転速度に変動が生じていると判断されたときには、内挿パルス信号DIVCLKとして、第2内挿パルス信号DIVCLK2を選択する構成としている。
すなわち、特許文献5に示される内挿パルス信号生成回路Aは、ホール信号HU、HV、HWの1周期で生成されるパルス数が所定の目標値となるように、内挿パルス信号DIVCLKのパルス生成間隔を調整するに際して、モータの回転速度が一定状態であると判断したときには、パルス生成間隔の調整頻度を下げ、逆に、モータの回転速度に変動が生じていると判断したときにはパルス生成間隔の調整頻度を上げる構成としている。
このような構成とすることにより、モータの駆動状態に応じて、内挿パルス信号DIVCLKのパルス生成間隔を適切な頻度で調整し、モータ駆動信号の周期補正の頻度を最適化することができるので、常にモータの回転速度を高精度に制御することが可能となる。
図8はモータが減速した際に生じ得る電源VDDの上昇のメカニズムを説明するためのモータ駆動装置800を示す。モータ駆動装置800には、同期整流型PWM駆動が用いられ、スイッチング素子として、トランジスタM1〜M6の6つのトランジスタが用意される。
トランジスタM1〜M6はMOSトランジスタであってもよく、バイポーラトランジスタであってもよい。トランジスタM1〜M6がMOSトランジスタであるとき、それらの制御電極はゲートであり、バイポーラトランジスタである場合にはそれらの制御電極はベースである。図8にはMOSトランジスタを示すのでトランジスタM1〜M6の制御電極G1〜G6はゲートということになる。ゲートG1〜G6には図示しないスイッチング信号が供給される。スイッチング信号はパルス幅が時間の経過とともに遷移する、いわゆるPWM信号である。
図8において、トランジスタM1とM2とは直列に接続される。同様に、トランジスタM3とM4とが直列に接続され、トランジスタM5とM6とが直列に接続される。一般的にこの種のモータ駆動装置では、電源VDDに接続されるトランジスタM1、M3、及びM5を上側トランジスタと称する。また、接地電位GND側に接続されるトランジスタM2、M4、及びM6を下側トランジスタと称する。上側トランジスタと下側トランジスタとに分ける方法は、たとえば同期整流型PWM駆動と片側PWM駆動との違いを説明するのに極めて好都合である。なぜならば、同期整流型PWM駆動と称する場合は、下側トランジスタが上側トランジスタと同期し、かつ、PWM駆動信号に応動してオン/オフ動作を行っていることであり、片側PWM駆動とは上側トランジスタまたは下側トランジスタのみがPWM駆動信号に応動しているとして説明できるからである。いずれにしても上側トランジスタ及び下側トランジスタの各トランジスタの共通接続点にはモータMを構成する3相(U、V、W)のコイルが各別に接続されている。
トランジスタM1とM2の共通接続点にはU相コイルが、トランジスタM3とM4の共通接続点にはV相コイルが、トランジスタM5とM6の共通接続点にはW相コイルが各別に接続される。下側トランジスタM2、M4、及びM6のソース又はドレインは共通接続され、該共通の接続点は抵抗Rの一端に接続され、その他端は接地電位GNDに接続される。
抵抗Rの一端に取り出される電圧VDは図示しない、たとえばオペアンプのたとえば非反転入力端子に供給される。該オペアンプは、図示しないたとえばプリドライブ回路を制御し、プリドライブ回路はトランジスタM1〜M6の各ゲートG1〜G6を制御することにより、各相のコイルに流れる電流を所定の大きさに制御する。
トランジスタM1〜M6はPWM駆動に応じてそれぞれオン状態及びオフ状態が存在する。しかし、図8には説明の便宜上、上側トランジスタM1、M3、及びM5においては、トランジスタM1はオンではあるが、トランジスタM3及びM5は共にオフ状態である期間を示す。また、下側トランジスタM2、M4、及びM6においては、トランジスタM2及びM4は共にオフ状態あり、トランジスタM6がPWM駆動信号に応じてオン/オフ動作を行っている状態を示し、かつ、トランジスタM6の制御電極G6にはデューティ比が高い状態から低い状態に変化するスイッチング信号が供給される状態を示す。
図8において、モータMを構成するV相、U相、及びW相のコイルには電源VDDから回生電流i1が流れる。しかし、トランジスタM6の制御電極G6に供給されるスイッチング信号、すなわち、PWM駆動信号のデューティ比が低い場合には、トランジスタM6は、回生電流i1を吸い込むに充分なオン状態には至っていない。このため、トランジスタM6で吸い込めない回生電流i1の一部は、回生電流i2としてトランジスタM5側を介して電源VDDに流れ続ける。電源VDDの出力インピーダンスの大きさにも依存するが、回生電流i2によって電源VDDの電圧は上昇する。電源VDDの電圧が異常に上昇すると、電源VDDに接続されるたとえばプリドライブ回路、トランジスタM1〜M6、その他の電子素子、及びモータ等の耐圧を超え、延いてはこれらの回路や電子素子が劣化又は破壊に至る。
(発明の実施形態)
図1は本発明にかかる加減速検出回路100を示し、パルス生成部110と加減速検出部120を有して構成される。なお、パルス生成部110は、図7に示した従前よく知られた第1内挿パルス信号生成部A1とほぼ同じ回路構成を用いる。なお、図1において、参照符号CLKは基準クロック信号を、参照符号ENはイネーブル端子をそれぞれ表す。イネーブル端子ENに入力される入力信号に基づきカウンタやレジスタは動作可能状態に置かれる。
パルス生成部110は、分周器111、カウンタ112、レジスタ113、カウンタ114、及び比較回路115とを有して成り、内挿パルス信号DIVCLKを生成する手段である。内挿パルス信号DIVCLKは後述するホール信号の周期のN(Nは整数、たとえばN=360)分の1の周期を有するクロック信号として生成される。
パルス生成部110は、内挿パルス信号DIVCLKを生成するに際して、ホール信号HUの1周期(電気角360度)で生成されるパルス数が所定の目標値となるように、ホール信号の1周期毎に、内挿パルス信号DIVCLKのパルス生成間隔を調整する。
パルス生成部110において、分周器111は、基準クロック信号CLKを、N分周(たとえばN=360)して、分周クロック信号D111を生成する。また、分周器111は、U相のホール信号HUの立上がりエッジまたは立下りエッジ毎に、その分周動作をリセットする。なお、分周器111をリセットする信号はU相のホール信号HUではなく、図示しないV相のホール信号HVやW相のホール信号HWであってもよい。
基準クロック信号CLKは、ホール信号HU(HV、HW)よりも十分に高速なクロック信号に設定される。たとえば、ホール信号HU(HV、HW)の周波数のオーダーが数KHzであるのに対して、基準クロック信号CLKのそれは数十MHzである。
カウンタ112は、基準クロック信号CLKが分周器111で分周された分周クロック信号D111のパルス数をカウントし、ホール信号HUの立上がりエッジでクリアする。分周器111の分周比は、たとえば360カウントとしている。このカウント値はホール信号HUの1周期、すなわち、電気角360度をどの程度の頻度で刻むかによって決める。したがって、分周比を360カウントとした場合、その刻みの頻度は1カウントあたり電気角1度に当たる。
レジスタ113は、U相のホール信号HUの立上がりエッジで、カウンタ112のカウント値C112をホールドする。これにより、レジスタ113には基準クロック信号CLKを分周器111でホール信号HUの立上がりでカウントした値が格納される。
カウンタ114は、基準クロック信号CLKのパルス数をカウントし、U相のホール信号HUの立ち上がりエッジでカウント値をクリアする。
比較回路115は、レジスタ113のホールド値R113とカウンタ114のカウント値C114が互いに一致したときに、たとえば、ハイレベルの内挿パルス信号DIVCLKを出力する。内挿パルス信号DIVCLKはホール信号HUのN分の1の周期を有する。ここで、Nの大きさはたとえば、ホール信号HUの1周期の電気角360度の整数倍に設定される。本実施の形態ではNは電気角360度と同じ360に設定したが、360の2倍、3倍、4倍という具合に電気角360度の整数倍であることが好ましい。
加減速検出部120は、カウンタ121、比較回路122、123、及び加減速判定部130とを有して成る。
カウンタ121は、内挿パルス信号DIVCLKのパルス数をホール信号HUの1周期の期間でカウントし、後段の比較回路122,123にそのカウント値Nxを伝える。
比較回路122の第1入力端子にはカウンタ121でカウントしたカウント値Nxが、第2入力端子には第1目標カウント値Ndが各別に入力される。比較回路122は、カウント値Nxと第1目標カウント値Ndが一致したときに、たとえばハイレベルの加速判定パルスJaを出力する。両者のカウント値が不一致のときには加速判定パルスJaはたとえばローレベルとなる。
比較回路123の第1入力端子にはカウンタ121でカウントしたカウント値Nx、第2入力端子には第2目標カウント値Nuが各別に入力される。比較回路123は、カウント値Nxと第2目標カウント値Nuが一致したときに、たとえばハイレベルの減速判定パルスJbを出力する。両者のカウント値が不一致のときには減速判定パルスJbはたとえばローレベルとなる。
加減速判定部130の第1入力端子には加速判定パルスJaが、第2入力端子には減速判定パルスJbが各別に入力される。加減速判定部130はモータの加減速状態を最終的に判定した、加減速判定最終信号Jout1、Jout2、及びJout3を出力する。こうした加減速判定最終信号Jout1、Jout2、及びJout3は、後述する図6に示すように、たとえばモータの通電方式、すなわち駆動方式を切り換えるための制御信号として用いられる。なお、加減速判定部130の具体的な回路構成は後述する。
図2A、図2B、及び図2Cは、加減速判定部130の具体的な回路を示す。図2Aは、モータの速度が加速及び減速が混在した状態であるか否かを、図2Bはモータの回転が加速状態であるか否かを、図2Cはモータの回転が減速状態であるか否かをそれぞれ判定する回路である。
図2A、図2B、及び図2Cに示す加減速判定部130は共に共通の論理回路を有する。すなわち、共にRSフリップフロップ132とDフリップフロップ134を有する。ただし、図2Aにはこれらの論理回路の他に論理積回路136を用意している。
図2Aはモータの回転速度が一定状態であるか、それとも加減速状態であるかを検出する加減速判定部130の具体的な回路構成を示す。図2Aにおいて、加減速判定部130を構成するRSフリップフロップ132のセット端子Sバーには、図1に示す比較回路122から出力された加速判定パルスJaが入力される。セット端子Sバーは、参照符号Sの上部に線(バー)を付して表示される。フリップフロップのセット端子Sにこのようなバーが付された場合には、セット端子がローレベルの場合にフリップフロップがセットされることを表す。したがって、フリップフロップ132はセット端子Sバーにローレベルが入力されたときにセットされる。
フリップフロップ132のリセット端子Rバーには論理積回路136の出力が接続され、論理積回路136の第1端子及び第2端子にはそれぞれ減速判定パルスJb及びホール信号HUが入力される。減速判定パルスJbは図1、比較回路123から取り出される。論理積回路136は、減速判定パルスJb及びホール信号HUが共にハイのときにハイレベルの信号を出力する。この組み合わせ以外のときにはローレベルを出力する。
フリップフロップ132のQ出力には判定中間パルスJc1が出力される。判定中間パルスJc1はモータの回転速度が一定状態であるか、それとも加速及び減速の混在した状態であるかを表す情報信号である。
判定中間パルスJc1はDフリップフロップ134のD入力端子に入力される。Dフリップフロップ134は、入力端子CKに入力される入力、すなわち、ホール信号HUが「1」になったとき、D入力の値と同一の出力がQ出力に表れる。このため、D入力端子に入力された情報を一時的に記憶することができる。また、D入力の情報を入力端子CKが入力されるまで遅らせる働きを有する。
図2Aにおいて、加速判定パルスJa及び減速判定パルスJbがハイレベル、すなわち、モータの回転速度が一定状態であるとみなされたときにはRSフリップフロップ132のQ出力、すなわち、判定中間パルスJc1はハイレベルとなる。判定中間パルスJc1がハイレベルであるときDフリップフリップ134のQ出力、すなわち、加減速判定最終信号Jout1はハイレベルとなる。加減速判定最終信号Jout1がハイレベルのとき、モータの回転速度は一定状態であるとみなされ、逆にローレベルのときには回転速度は加速状態または減速状態を表すことになる。
図2Bは、モータの回転速度が加速状態であるか否かを判定する加減速判定部130を構成する具体的な回路構成示す。図2Bにおいて、加速判定パルスJaがハイレベル、すなわち、モータの回転速度が加速状態ではないと判定されたときには、RSフリップフロップ132のQ出力、すなわち、判定中間パルスJc2もハイレベルとなる。判定中間パルスJc2がハイレベルになるとDフリップフリップ134のQ出力、すなわち、加減速判定最終信号Jout2はハイレベルとなる。逆に加減速判定最終信号Jout2がローレベルのときには回転速度は加速状態であると判定される。
図2Cは、モータの回転速度が減速状態であるか否かを検出する加減速判定部130の具体的な回路構成を示す。図2Cにおいて、減速判定パルスJbがハイレベル、すなわち、モータの回転速度が減速状態ではないと判定されたときには、RSフリップフロップ132のQ出力、すなわち、判定中間パルスJc3もハイレベルとなる。判定中間パルスJc3がハイレベルになるとDフリップフリップ134のQ出力、すなわち、加減速判定最終信号Jout3はハイレベルとなる。逆に加減速判定最終信号Jout3がローレベルのときには回転速度は減速状態であると判定される。
図2A〜図2Cにおいて、RSフリップフロップ132をローレベルからハイレベルへの遷移すなわち、負エッジで動作させるのではなく、ローレベルからハイレベルへの遷移すなわち、正エッジ動作させるようにしてもよい。こうした場合にはRSフリップフロップ132はセット端子Sバーではなくセット端子Sとして表示され、また、リセット端子Rバーではなくリセット端子Rとしてそれぞれ表示される。
なお、図2A〜図2Cにおいて、ホール信号HUは、RSフリップフロップ132のリセット端子Rバー及びDフリップフロップの入力端子CKに入力される。これによりRSフリップフロップ132はホール信号HUの負エッジ、すなわちホール信号HUバーでリセットされる。しかし、ホール信号の正エッジでRSフリップフロップ132をリセットするようにしてもかまわない。
図3は、モータの回転速度が一定状態のときのタイミングチャートを示す。以下図1を参照しながら図3について説明する。図3(a)は、モータを形成する3相の中のU相のコイルから取り出されるホール信号HUを示す。なお、ホール信号はU相ではなく、V相及びW相の少なくとも1つであってもかまわない。すなわち、3相の中の少なくとも1つの相のホール信号を用意すればよい。ホール信号HUの1周期T1は電気角360度に相当する。モータの回転速度が一定状態であるとき、ホール信号HUの1周期は安定しており常に周期T1の大きさを維持する。
図3(b)は比較回路115から出力される内挿パルス信号DIVCLKを示す。内挿パルス信号DIVCLKは、ホール信号HUの1周期T1のN分の1の周期をもったクロック信号として生成されている。N分の1なる大きさは、分周器111によって設定される。なお、分周器111の分周比は360分の1ではなく、たとえば720分の1であってもよいし、その他の分周比であってもかまわない。分周比を示すNの大きさはホール信号HUの1周期の電気角360度の整数倍に設定される。内挿パルス信号DIVCLKの周期がホール信号HUのたとえば360(N=360)分の1及び720(N=360×2)分の1に設定されたとき、内挿パルス信号DIVCLKの1つのパルスはそれぞれ電気角1度及び0.5度に相当する。
図3(a)から図3(b)にかけて図示した参照符合P1、P2、及びP3は、図3(a)に示したホール信号HUの周期に基づき次の内挿パルス信号DIVCLKの周期が決定されるということを表している。
図3(c)はホール信号HUの1周期を電気角で示し、電気角が360度であることを示している。モータの回転速度が一定状態であるとき、電気角360度は参照符号S0で示すように等間隔で表示される。
図3(d)に示した鋸歯状の信号は、カウンタ121が内挿パルス信号DIVCLKをホール信号の1周期T1でカウントする状態を示す。モータの回転速度が一定状態のときのカウント値はたとえば360に設定される。このカウント値は分周器111で決定される。カウント値360はホール信号HUの1周期の電気角360度の大きさに合わせている。したがって、回転速度が一定状態のときの理想のカウント値Nxは360ということになるが、モータの回転速度が一定状態であると判定するには所定のマージンをもたせている。すなわち、目標のカウント値に所定の割合たとえば、±5%乗じたカウント値をマージンとして設ける。この場合、カウント値Nx=360を中心にカウント値Nx=342〜378が、モータの回転速度が一定状態であるとして判定される。すなわち、本実施の形態ではモータの回転速度が一定状態であると判定される許容範囲crは、カウント値342〜378としている。なお、所定の割合は±5%に限定されるものではなく、たとえばホールセンサの取り付け位置の精度等を考慮し随時の割合に設定するとよい。
図3(e)は、比較回路122から出力される加速判定パルスJaを示す。比較回路122の第1の入力端子にはカウンタ121からのカウント値Nxが入力され、第2の入力端子には第1目標カウント値Ndが与えられ、第1目標カウント値Ndはカウント値360の−5%であるカウント値342が設定されている。すなわち、比較回路122に設定されたカウント値のしきい値はカウント値342である。
また、比較回路123の第1の入力端子にはカウンタ121からのカウント値Nxが入力され、第2の入力端子には第2目標カウント値Nuが与えられ、第2目標カウント値Nuはカウント値360の+5%であるカウント値378が設定されている。カウント値NxがNdからNuまでの範囲、すなわち許容範囲cr(カウント値342〜378)の範囲であるときモータの回転速度は一定状態とみなされる。
いまモータの回転速度が一定状態であり、カウンタ121のカウント値Nxが360であったとすれば、比較回路122はカウント値342のタイミングでラッチパルスを出力する。このときのラッチパルスはハイレベルからローレベルに遷移するものとして示している。
図3(f)に示した減速判定パルスJbは、比較回路123から出力される。比較回路123の第1入力端子にはカウンタ121のカウント値Nxが入力される。比較回路123の第2入力端子には第2目標カウント値Nuが入力される。第2目標カウント値Nuは、たとえば、カウント値378に設定される。モータの回転速度が一定状態であるときは当然のことながら減速の状態ではないのでカウント値は378未満となり、比較回路123の出力から取り出される減速判定パルスJbはハイレベルを維持する。
図3(g)は、後述の加減速判定最終信号を出力する前に取り出した判定中間パルスJc1を示す。判定中間パルスJc1は図2Aに示したフリップフロップ132のQ出力から取り出される。モータの回転速度が一定状態のときには、判定中間パルスJc1は、カウント値342で立上がり、カウント値360で立ち下がるパルスとして出力される。判定中間パルスJc1はラッチされた後リセットされる。
図3(h)は加減速判定部130から出力される加減速判定最終信号Jout1を示す。加減速判定最終信号Jout1がハイレベル及びローレベルのどちらに維持されるかは、判定中間パルスJc1のラッチレベルに応じて異なってくる。本実施の形態では判定中間パルスJc1はハイレベルにラッチされるので加減速判定最終信号Jout1もハイレベルにラッチされる。したがって、モータの回転速度が一定状態であると判定されたときの加減速判定最終信号Jout1はハイレベルに維持される。加減速判定最終信号Jout1は後述の図6に示すようにたとえば、モータの通電方式、すなわちモータの駆動方式を切換える制御信号として用いられる。
図4は、モータの回転速度が加速状態であるときの各ノードに表れる信号を示す。すなわち、前の図3はモータの回転速度が一定状態であるのに対し、図4はその速度よりも速くなった状態を示す。以下図1も参照しながら図4について説明する。図4(a)は、モータを形成する3相の中のU相のコイルから取り出されるホール信号HUを示す。なお、ホール信号はU相ではなく、V相及びW相の少なくとも1つを用いることができる。ホール信号HUの1周期T1は電気角360度に相当する。モータの回転速度が加速状態であるとき、ホール信号HUの周期は回転速度が一定状態のときの周期T1よりも短くなり周期T2に遷移した状態を示す。すなわち、モータの回転速度が加速状態に入ると周期T2<T1の関係が成立する。
図4(b)は比較回路115から出力される内挿パルス信号DIVCLKを示す。内挿パルス信号DIVCLKは、ホール信号HUの1周期T1の360分の1の周期をもったクロック信号として生成される。360分の1なる大きさは、前に述べたように分周器111によって設定される。
図4(a)から図4(b)にかけて参照符合P1、P2、及びP3はホール信号HUの周期に基づき次の内挿パルス信号DIVCLKの周期が決定されるということを表している。
図4(c)はホール信号HUの1周期の電気角が360度であることを示す。電気角360度の位置はモータの回転速度が一定状態である状態を参照符号S0で示す。しかし、モータが加速状態に入ると、周期T2に応動し電気角360度は参照符号S1で示す位置に遷移する。
図4(d)に示した鋸歯状の信号は、カウンタ121が内挿パルス信号DIVCLKの数をホール信号の1周期T1でカウントする状態を示す。モータの回転速度が一定状態とみなされるときのカウント値Nxは、第1目標値Ndから第2目標値Nuまでの許容範囲crで示される。カウント値Nxの理想的な大きさは許容範囲crの中心値であるカウント値360である。このカウント値360は分周器111で決定される。カウント値360はホール信号HUの1周期の電気角360度の大きさに合わせている。したがって、回転速度が一定状態とみなされるときの理想カウント値は360ということになるが、所定のマージンをみている。たとえば、カウント360の±5%の範囲であれば回転速度は一定状態であるとみなすとき、カウント値が360を中心にカウント値342〜378の範囲のときに、モータの回転速度は一定状態であるとして判定される。
図4(d)は、周期T1の期間、すなわち、モータの回転速度が一定状態であるとみなされる周期T1においては、カウンタ121は許容範囲crの中心値であるカウント値360を示す。しかし、モータの回転速度が加速状態に入った周期T2では、周期が短くなった分カウント値も少なくなり、速度が一定状態とみなされる最小のカウント値342までカウント値△cdだけ足らない状態となる。
図4(e)は、比較回路122から出力される加速判定パルスJaを示す。比較回路122の第1の入力端子にはカウンタ121からのカウント値Nxが入力され、第2の入力端子には第1目標カウント値Ndが入力され、第1目標カウント値Ndは許容範囲crの中心値であるカウント値360の−5%にあたるカウント値342の大きさに設定されている。すなわち、加速状態を検出するために比較回路122に設定されたカウント値のしきい値はカウント値342である。
カウント値Nxが、回転速度は一定状態とみなされる許容範囲crの範囲であるときには、ハイレベルからローレベルに遷移するラッチパルスを、カウント値Nxが342未満であるときには、比較回路122はモータの回転速度は加速状態であることを示すハイレベルの加速判定パルスJaをそれぞれ出力する。
図4(f)は、減速判定パルスJbを示し、減速判定パルスJbは、比較回路123から出力される。減速判定パルスJbは減速状態のみの情報を有するものであり、加速状態の情報は有していない。したがって、モータの回転速度が一定状態であるか加速状態の何れかである場合には、減速判定パルスJbはハイレベルを維持したままとなる。
図4(g)は、加減速判定の判定中間パルスJc2を示す。判定中間パルスJc2は図2Bに示したフリップフロップ132のQ出力から取り出される。モータの回転速度が一定状態とみなされるときには、判定中間パルスJc2は、カウント値342のタイミングで立上がり、カウント値360のタイミングで立ち下がるパルスが出力される。判定中間パルスJcは一時ラッチされ、その後はリセットされる。
図4(h)は加減速判定部130から出力される加減速判定最終信号Jout2を示す。モータの回転速度が一定状態であると判定されたときの加減速判定最終信号Jout2はたとえばハイレベルに維持される。しかし加速状態と判定される周期T2に入ると加減速判定最終信号Jout2はローレベルに維持される。すなわち、加減速判定最終信号Jout2がハイレベルからローレベルに遷移したときは、モータの回転速度は加速状態として検出、判定される。加減速判定最終信号Jout2は後述の図6に示すようにたとえば、モータを同期整流型PWM駆動と片側PWM駆動との間で切り換えるようにする。または、同期整流型PWM駆動と正弦波駆動との間で切り換えるようにしてもよい。または、特許文献1に開示されるように、120度通電方式、180度通電方式、及び正弦波通電方式の間で切り換えるようにしてもよい。または、同期整流型PWM駆動、片側PWM駆動、正弦波駆動、120〜180度通電方式の中から少なくとも2つ選びこれらの間で通電方式を切り換えるようにしてもかまわない。
図5は、モータの回転速度が減速状態であるときの各ノードに表れる信号を示す。すなわち、前の図3はモータの回転速度が一定状態であるのに対し、図4はその速度よりも遅くなった状態を示す。以下図1も参照しながら図5について説明する。図5(a)は、モータを形成する3相の中のU相のコイルから取り出されるホール信号HUを示す。なお、ホール信号はU相ではなく、3相の中の少なくとも1つの相のホール信号を用意すればよい。ホール信号HUの1周期T1は電気角360度に相当する。
モータの回転速度が減速状態であるとき、ホール信号HUの周期は回転速度が一定状態のときの周期T1よりも長い周期T3に遷移する。すなわち、モータの回転速度が減速状態に至ると周期T1<T3の関係が成立する。
図5(b)は比較回路115から出力される内挿パルス信号DIVCLKを示す。たとえば内挿パルス信号DIVCLKは、ホール信号HUの1周期T1の360分の1の周期をもったクロック信号として生成されている。360分の1なる大きさは、前に述べたように分周器111によって設定される。
図5(a)から図5(b)にかけて示した参照符合P1、P2、及びP3は、図5(a)に示すホール信号HUの周期に基づき次の内挿パルス信号DIVCLKの周期が決定されるということを表す。
図5(c)はホール信号HUの1周期の電気角が360度であることを示す。電気角360度の位置はモータの回転速度が一定状態であるときは参照符号S0で示される。しかし、モータが加速状態に入ると、周期T2に応動し電気角360度は参照符号S2で示す位置に遷移する。
図5(d)に示した鋸歯状の信号は、カウンタ121が内挿パルス信号DIVCLKの数をホール信号の1周期T1でカウントする状態を示す。モータの回転速度が一定状態のときの理想的なカウント値はたとえば360に設定される。このカウント値360は分周器111で決定される。カウント値360はホール信号HUの1周期の電気角360度の大きさに合わせている。したがって、回転速度が一定状態のときのカウント値は360ということになるが、所定のマージンをみている。たとえば、カウント値360の±5%の範囲であれば回転速度は一定状態であるとみなすならば、カウント値360を中心にカウント値342〜378の範囲であるとき、モータの回転速度は一定状態であるとみなされる。
図5(d)において、モータの回転速度が一定状態であるとみなされる周期T1においては、カウンタ121は許容範囲crの中心値であるカウント値360を示す。しかし、モータの回転速度が減速状態に入る周期T3では、回転速度が一定状態とみなされる最大のカウント値378をカウント値△cuだけオーバーした状態を示す。
図5(e)は、比較回路122から出力される加速判定パルスJaを示す。比較回路122の第1の入力端子にはカウンタ121からのカウント値Nxが入力され、第2の入力端子には第1目標カウント値Ndが入力され、カウント値Ndは許容範囲crの中心値であるカウント値360の−5%にあたるカウント値342の大きさに設定されている。すなわち、比較回路122に設定されたカウント値のしきい値はカウント値342である。
カウント値Nxが、回転速度は一定状態とみなされる許容範囲crの範囲であるときには、ハイレベルからローレベルに遷移するラッチパルスを、カウント値Nxが342未満であるときには、比較回路122はモータの回転速度は加速状態であることを示すハイレベルの加速判定パルスJaをそれぞれ出力する。加速判定パルスJaはカウント値Nxが第1目標カウント値Ndと比較されたものである。加速判定パルスJaは加速状態のみの情報を有するものであり、減速状態の情報は有していない。したがって、モータの回転速度が一定状態であるか減速状態の何れかである場合には、加速判定パルスJaは必ず第1目標カウント値Nd(カウント値342)をクリアする。このとき、比較回路122は、第1目標カウント値Ndに到達するタイミングでハイレベルからローレベルに遷移するラッチパルスを出力する。
図5(f)は、減速判定パルスJbを示し、減速判定パルスJbは、比較回路123から出力される。回転速度が一定状態とみなされる周期T1では減速判定パルスJbはハイレベルを維持したままである。しかし、周期T3で示す減速状態に入ると、カウント値Nxが第2目標カウント値Nu、すなわち、カウント値378に到達したタイミングで比較回路123から減速判定パルスJbがハイレベルからローレベルに遷移したパルスPdが出力される。
図5(g)は、加減速判定の判定中間パルスJc3を示す。判定中間パルスJc3は図2Cに示したフリップフロップ132のQ出力から取り出される。モータの回転速度が一定状態のときには、判定中間パルスJc3は、パルスPd1で示すようにカウント値342で立上がり、カウント値360で立ち下がるパルスとして出力される。モータの回転速が減速状態であるときには、パルスPd2で示すようにカウント値342のタイミングで立上がり、カウント値378で立下がるパルスとして出力される。なお、パルスPd2は時刻t1〜t2の間で発生する。モータの回転速度が減速状態であると判定されたときの判定中間パルスJc3は一時ラッチされ、その後はリセットされる。
図5(h)は加減速判定部130から出力される加減速判定最終信号Jout3を示す。モータの回転速度が一定状態であると判定されたときの加減速判定最終信号Jout3はたとえばハイレベルに維持される。加減速判定最終信号Jout3は後述の図6に示すようにたとえば、モータを正弦波駆動したり120度通電上側スイッチ駆動したりするための制御信号として用いられる。また、加減速判定最終信号Jout3は図6には図示していないが、同期整流型PWM駆動、片側PWM駆動、120度〜180度通電などの各種各様の通電方式を切り換える制御信号として用いることができる。
加減速判定最終信号Jout3は、時刻t3のタイミングでハイレベルからローレベルに遷移する。時刻t3は図5(a)に示したホール信号HUがローレベルからハイレベルに遷移したタイミングである。
図6は本発明にかかるモータの通電方式、すなわちモータの駆動方式を切り換える通電切換回路600を示す。図6に示された加減速判定部130は、図1、図2A〜図2Cに示したものと同じである。加減速判定部130からは、モータの回転速度が一定状態であるのか、それとも加速状態であるのか、それとも減速状態であるかを判定した加減速判定最終信号Jout1、Jout2、及びJout3が出力される。加減速判定最終信号Jout1は図2Aに示したDフリップフロップ134のQ出力から取り出される。加減速判定最終信号Jout1は、モータの回転速度が加速状態と減速状態とが混在している場合に出力される。加減速判定最終信号Jout2は、図2Bに示したDフリップフロップ134のQ出力から、モータの回転速度が加速状態であるか否かを判定した信号として取り出される。加減速判定最終信号Jout3は、図2cに示したDフリップフロップ134のQ出力から、モータの回転速度が減速状態であるか否かを判定した信号として取り出される。
加減速判定最終信号Jout1、Jout2、及びJout3は、モータの通電方式を切り換える制御信号としてスイッチSWに供給される。モータの通電方式とは、既に延べたように、モータの一部を構成する3相のコイルに接続されたいわゆる上側トランジスタ及び下側トランジスタの駆動方式を指す。加減速判定最終信号Jout3は後述の図6に示すようにたとえば、モータを同期整流型PWM駆動と片側PWM駆動との間で切り換えるようにする。または、同期整流型PWM駆動と正弦波駆動との間で切り換えるようにしてもよい。または、特許文献1に開示されるように、120度通電方式、180度通電方式、及び正弦波通電方式の間で切り換えるようにしてもよい。または、同期整流型PWM駆動、片側PWM駆動、正弦波駆動、120〜180度通電方式の中から少なくとも2つを選びこれらの間で通電方式を切り換えるようにしてもよい。
図6には、各種各様の通電方式の中から、同期整流型PWM駆動と、片側PWM駆動(120度通電上側スイッチ駆動)の2つを示した。スイッチSWの接点sw1には同期整流型PWM駆動が接続され、接点sw2には片側PWM駆動(120度通電上側スイッチ駆動)が接続される。なお、片側PWM駆動とは前にも述べたが、上側トランジスタまたは下側トランジスタのいずれか一方側をPWM駆動する通電方式である。また、120度通電上側スイッチ駆動とは、図8に示した上側トランジスタM1、M3、及びM5をPWM信号で駆動し下側トランジスタM2、M4、及びM6を電気角が互いに120度ずれた矩形波(方形波)信号でオンオフさせる方式である。したがって、120度通電上側スイッチ駆動は片側PWM駆動の1つである。なお、上側トランジスタM1、M3、及びM5を矩形波で駆動し、下側トランジスタM2、M4、及びM6をPWM信号で駆動するようしにてもよい。こうした通電方式は、電源VDDに回生電流が逆流するという不具合を防止することができる。
図6において、スイッチSWの共通接点sw0には同期整流型PWM駆動または片側PWM駆動(120度通電上側スイッチ駆動)の何れかに選択された駆動信号Dsが取り出される。駆動信号Dsは例えば図8に示したゲートG1〜G6の一部または全部に供給され、選択されたモータの通電方式によってモータが駆動される。