以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。最初に画像形成装置の全体的構成について説明し、その後に、像担持体表面状態検知装置について説明する。各実施形態及び変形例等に亘り、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すに留め、重複説明は省略する。なお、実施形態に記載した内容は、一形態に過ぎず、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
図1に示す画像形成装置は、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)100である。このプリンタ100において、作像部はプロセスカートリッジとして説明する。
図1において、プリンタ100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y,M,C,Kと記す)のトナー像を生成するための4つのプロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kを備えている。これらプロセスカートリッジは、画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kの現像剤を構成するトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっているため、ここでは、Yトナー像を生成するためのプロセスカートリッジ6Yを代表に説明する。
プロセスカートリッジ6Yは、図2に示すように、無端であって回転することでその表面を移動させる像担持体となるドラム状の感光体1Y、ドラムクリーニング装置2Y、図示しない除電装置、帯電装置4Y、及び現像装置5Y等を備えている。プロセスカートリッジ6Yは、プリンタ100の装置本体に脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるように構成されている。
帯電装置4Yは、ここでは帯電ローラを図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転させて、感光体1Yの表面を一様に帯電させる帯電方式が採用されている。一様に帯電された感光体1Yの表面は、レーザ光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。このYの静電潜像は、Yトナーを用いる現像装置5YによってYトナー像に現像される。そして、図1において、プロセスカートリッジ6Yの上方に位置する中間転写体となる中間転写ベルト8上に中間転写される。
ドラムクリーニング装置2Yは、中間転写工程を経た後の感光体1Yの表面に残留したトナーを除去するものである。図示しない除電装置は、クリーニング後の感光体1Yの残留電荷を除電するものである。この除電により、感光体1Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他のプロセスカートリッジ6M,6C,6Kにおいても、同様にして感光体1M,1C,1K上にM,C,Kの各トナー像がそれぞれ形成され、プロセスカートリッジ6M,6C,6Kの上方に位置する中間転写ベルト8上に各トナー像が中間転写される。
図1において、プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kの図中下方には、各色に対応したレーザ光Lを各感光体に照射する露光装置7が配設されている。潜像形成手段たる露光装置7は、画像情報に基づいて発したレーザ光Lを、プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kにおけるそれぞれの感光体に照射して露光する。この露光により、感光体1Y,1M,1C,1K上にはY,M,C,K用の静電潜像が形成される。露光装置7は、光源から発したレーザ光Lを、モータによって回転駆動されたポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して各感光体に照射するものである。
露光装置7の図中下側には、紙収容カセット26、これらに組み込まれた給紙ローラ27、レジストローラ対28など有する給紙手段が配設されている。紙収容カセット26には、記録媒体たる転写紙Pが複数枚重ねて収納されている。給紙ローラ27は、紙収容カセット26内の最上位の転写紙Pに当接している。給紙ローラ27は、図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転されるように構成されていて、この回転により最上位の転写紙Pがレジストローラ対28のローラ間に向けて紙収容カセット26から給紙される。
レジストローラ対28は、転写紙Pを挟み込むべく両ローラを回転駆動するが、挟み込んですぐに回転を一旦停止し、転写紙Pを適切なタイミングで後述の2次転写ニップに向けて送り出す。かかる構成の給紙手段においては、給紙ローラ27と、タイミングローラ対たるレジストローラ対28との組み合わせによって搬送手段が構成されている。この搬送手段は、転写紙Pを収容手段たる紙収容カセット26から後述の2次転写ニップまで搬送するものである。
プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kの図中上方には、中間転写ベルト8を張架しながら無端移動せしめる中間転写ユニット15が配設されている。この中間転写ユニット15は、中間転写ベルト8の他、4つの1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9K、クリーニング装置10、2次転写バックアップローラ12、クリーニングバックアップローラ13、テンションローラ14などを備えている。中間転写ベルト8は、これら3つのローラ13,14,15に張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9Kは、このような無端移動せしめられる中間転写ベルト8を感光体1Y,1M,1C,1Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。
中間転写ユニット15は、これらは中間転写ベルト8の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の転写バイアスが印加される方式とされている。1次転写バイアスローラ9Y,9M,9C,9Kを除くローラは、全て電気的に接地されている。中間転写ベルト8は、その無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、感光体1Y,1M,1C,1K上のYトナー像からトナー像Kまでの各トナー像が重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト8上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
2次転写バックアップローラ12は、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。中間転写ベルト8上に形成された4色トナー像は、この2次転写ニップで転写紙Pに2次転写される。2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト8には、転写紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着するが、これはベルトクリーニング装置10によってクリーニングされる。
2次転写ニップでは、転写紙Pが互いに順方向に表面移動する中間転写ベルト8と2次転写ローラ19との間に挟まれて、レジストローラ対28側とは反対方向に搬送される。2次転写ニップから送り出された転写紙Pは、2次転写ニップよりも上方(下流側)に配設されている定着装置20のローラ間を通過する際に熱と圧力により、表面に転写された4色トナー像が定着される。定着後の転写紙Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、プリンタ本体の上面に形成されたスタック部30に排出され、順次スタックされる。
次に現像装置の構成について説明するが、各現像装置はトナーの色を異なる以外は同一構成であるので、図2に示すプロセスカートリッジ6Y内の現像装置5Yを代表に説明する。現像装置5Yは、内部に磁界発生手段を備え、磁性粒子とトナーを含む二成分系現像剤を表面担持して搬送する現像剤担持体としての現像スリーブ51Yと、現像スリーブ51Y上に担持されて搬送される現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材としてのドクター52Yとを備えている。ドクター52Yよりも現像剤搬送方向の上流側には、感光体1Yと対向した現像領域に搬送されずにドクター52Yで規制された現像剤を収容する1軸側現像剤収容部53Yが形成されている。現像装置5Y内には、1軸側現像剤収容部53Yに隣接し、トナーが補給される2軸側現像剤収容部54Yが形成されている。1軸側現像剤収容部53Yと2軸側現像剤収容部54Yには、現像剤を攪拌搬送するための2本の現像剤搬送部材となる搬送スクリュ55Y,55Yがそれぞれ配設されている。
現像装置5Yの動作について説明する。現像装置5Yにおいては、現像スリーブ51Y上に現像剤層を形成する。トナーは、現像剤搬送スクリュ55Yの2軸側に補給され、攪拌搬送されて現像剤内に取り込まれる。このトナーの取り込みは、現像剤が所定のトナー濃度範囲内になるように行なわれる。現像剤中に取り込まれたトナーは、キャリアとの摩擦帯電により帯電する。帯電したトナーを含む現像剤は、内部に磁極を有する現像スリーブ51Yの表面に供給され、磁力により担持される。現像スリーブ51Yに担持された現像剤層は、現像スリーブ51Yが回転することで矢印方向に搬送されるが、その途中、ドクター52Yで現像剤層の層厚を規制された後、感光体1Yと対向する現像領域まで搬送される。現像領域では、感光体1Y上に形成された潜像に基づく現像が行われる。現像スリーブ51Y上に残った現像剤層は現像スリーブ51Yの回転に伴い1軸側現像剤収容部53Yの現像剤搬送方向の上流部分に搬送される。
各感光体の近傍には、同一構成の像担持体表面状態検知装置200(Y,M,C,K)がそれぞれ配置されている。図2では感光体1Yの近傍に配置された像担持体表面状態検知装置200Yのみを表示している。像担持体表面状態検知装置200Yは、図3に示すように、感光体1Yの表面状態を検知する検知手段となる反射濃度センサ58Yと、反射濃度センサ58Yを支持し、同反射濃度センサ58Yを感光体1Yの表面移動方向に対して直交する像担持体軸線方向(以下「感光体軸線方向」と記す)aに往復運動させる移動手段となるセンサユニット56Yを備えている。
センサユニット56Yは、感光体軸線方向aに延在する往動用と復動用の螺旋状のガイド部となる螺旋溝80Y,81Yが、その表面に形成された送り部材となるクロススクリュネジ60Yと、クロススクリュネジ60Yと反射濃度センサ58Yを覆うセンサユニットケース59Yと、クロススクリュネジ60Yを一方向に回転駆動する駆動手段となる本体駆動源41Yとを備えている。センサユニット56Yは、Yトナー像を形成するためのプロセスカートリッジ6Yに設けられている。M,C,Kのプロセスカートリッジについても、図示は省略しているが、センサユニット56Yの構成と同様なセンサユニット56M,56C,56Kをそれぞれ備えている。センサユニット56Yは、図2に示すように、現像装置5Yと中間転写ベルト8の間に位置し、反射濃度センサ58Yと感光体1Yの表面とが互いに対向するように配設されている。
図4は、中間転写ベルト8側から、クロススクリュネジ60Yと反射濃度センサ58Y、感光体1Yを見た図であるが、説明し易くするためにセンサユニットケース59Yの記載は省略している。図4において、クロススクリュネジ60Yは、感光体1の回転軸1Yaと平行であり、感光体軸線方向aに延在していて、反射濃度センサ58Yと感光体1Yとが互いに対向するように支持している。クロススクリュネジ60Yの端部は、感光体軸線方向aに位置する一対のフレーム61,62にそれぞれ回転自在に支持されている。フレーム62よりも外側に位置するクロススクリュネジ60Yの端部には、本体駆動源41Yによって回転駆動される駆動ギア64Yと噛合う伝達ギア63Yが固定されている。クロススクリュネジ60Yは、この伝達ギア63Yに駆動力が入力されることで、伝達ギア63Yと一体に回転駆動する。
クロススクリュネジ60Yの表面に形成された螺旋溝80Yは、反射濃度センサ58Yを往動となる図4において左方から右方へ移動する際に用いるもので、螺旋溝81Yは、反射濃度センサ58Yを複動となる図4において、右方から左方方へ移動する際に用いるものであり、両者の位相は180度ずれてクロススクリュネジ60Yの表面に形成されている。螺旋溝80Yと螺旋溝81Yは部分的に交差して交差部Lが形成されている。
センサユニット56Yは、クロススクリュネジ60Yが一方向に回転駆動することで、感光体軸線方向aに往復運動するように構成されている。クロススクリュネジ60Yの感光体軸線方向aへの長さは、感光体1Yと同程度でもよいが、本形態では、感光体1Yの全長よりも長く形成している。つまり、クロススクリュネジ60Yは、感光体1Yの作像領域よりも外側まで延在していて、反射濃度センサ58を感光体1と対向しない位置で待機可能としている。これは、例えばプリンタ100が動作していない時には、図4に示すように、センサユニット56Yを感光体1と対向いない領域に初期位置として置くことができ、センサ表面がトナーで汚れることを防止することができる。
感光体1Yの非作像領域の片側ないしは両側、例えば図4において感光体1Yの非作像領域となる端部に、反射濃度センサ58Yの測定部58Y1を清掃する清掃部材70Yを配設すると、反射濃度センサ58の測定部58Y1に付着したトナーを除去し、感光体1Y上のトナー濃度を精度良く検知することができる。この清掃部材70Yの形態としては、ブラシ等で反射濃度センサ58の測定部581Yをこすってトナーを除去しても良いし、空気を噴射することでトナーを除去するような構成であっても良い。
図3、図5に示すように、センサユニットケース59Yの内面59Yaには、感光体軸線方向aに延在する直線状のセンサガイド59Ybが設けられている。反射濃度センサ58Yには、センサガイド59Yaに係合するように直線状のセンサガイド溝58Ybが検知面581Yと反対側の面に形成されている。
クロススクリュネジ60Yは伝達ギア63Yにより回転する。伝達ギア63Yは本体駆動源41Yから駆動力が入力されるため、クロススクリュネジ60Yの駆動には、プリンタ100が備えている既存の本体駆動源41Yを用いることが可能である。そのため、クラッチや従来技術のようにステッピングモータや正逆モータが不要となり、部品点数が減り、コスト低減になる。
図3,図4に示すように、クロススクリュネジ60Yには、このネジと一体回転する円形の検知板65Yが、その端部に固定されている。検知板65との対向部位には、クロススクリュネジ60Yの回転角度を検知板65から読み取るロータリエンコーダ等の角度検知手段71Yが配設されている。クロススクリュネジ60Yの回転角度は、反射濃度センサ58Yの感光体軸線方向aへの移動距離に相当するので、この角度検知手段71Yと検知板65で反射濃度センサ58Yの位置を検出することができる。
反射濃度センサ58Yには、図6(a),図6(b)に示すように、往動時には螺旋溝80Yに係合し、往動時には螺旋溝81Yに係合する係合部となるクロススクリュネジガイド部材90Yが設けられている。クロススクリュネジガイド部材90Yは、反射濃度センサ58Yの検知面581Yと異なる面で、センサガイド溝58Yaが形成された面と反対側の面に形成された凹部58Ybに挿入されて支持される本体部91Yと、クロススクリュネジ60Yの螺旋溝80Yと螺旋溝81Yに係合する脚部92Yを備えている。
本形態では、凹部58Ybに本体部91Yを、脚部92Yをクロススクリュネジ60Yの螺旋溝80Yと螺旋溝81Yにそれぞれ挿入し、脚部92Yが各溝に案内されて移動可能に遊嵌させている。このため、反射濃度センサ58Yは、センサガイド溝58Yaがセンサガイド59Ybと係合し、クロススクリュネジガイド部材90Yがクロススクリュネジ60Yと互いに反対側となる面においてそれぞれ支持されるため、クロススクリュネジ60Yが回転運動して感光体軸線方向aに移動するときに、回転方向に傾かないように支持されて移動可能とされている。
本形態では、反射濃度センサ58Yとクロススクリュネジガイド部材90Yとを個別に形成し、反射濃度センサ58Yの凹部58Ycにクロススクリュネジガイド部材90Yの本体部91Yを挿入して両者を一体化したが、図6(b)に示すように、反射濃度センサ58Yの検知面581Yと異なる面であり、センサガイド溝58Yaが形成された面と反対側の面に係合部となる突起部93Yを一体形成してクロススクリュネジガイド部材90Yとしてもよい。
図6(a)に示すように、反射濃度センサ58Yとクロススクリュネジガイド部材90Yとが別部材で形成される場合、脚部92Yには円柱状の形状以外にも直方体形状を用いることが可能となる。このとき、クロススクリュネジガイド部材90Yは、移動させたい対象部となる反射濃度センサ58Yに対して回転するのが好ましい。図6(b)に示すように、反射濃度センサ58Yとクロススクリュネジガイド部材90Yが一体で形成される場合には、突起部93Yは円柱形状が望ましい。
反射濃度センサ58Yは、クロススクリュネジガイド部材90Yがクロススクリュネジ60Yの回転に伴ってクロススクリュネジ60Yから力を受けることで、螺旋溝80Yと螺旋溝81Yに沿ってスライドする。
図7は、クロススクリュネジガイド部材90Yの形態を示す。図7(a)〜図7(e)に示すクロススクリュネジガイド部材90Yは、本体部91Yと脚部92Yで構成されている。図7(a)の構成は脚部92Yが角形状のもので、図7(b)〜図7(d)の構成は脚部92Yが円柱状のものである。図7(b)は脚部92Yが円柱状の1本のピンで構成され、図7(c)は脚部92Yが円柱状の2本のピンで構成され、図7(d)は脚部92Yが円柱状の3本のピンで構成されている。図7(e)の構成は、図7(a)と図7(c)の構成を1つにしたもので、2本のピンの間を板状の部材で連結して、脚部92Yとしたものである。図7において、符号Dは反射濃度センサ58Yの移動方向に対する脚部92Yの長さを示し、符号Mは、長さDに対して同一平面において交差する方向への脚部92Yの幅を示す。そして、図7(b)以外の脚部92Yは、幅M<長さDとなるように形成されている。
クロススクリュネジガイド部材90Yとクロススクリュネジ60の螺旋溝80Y及び螺旋溝81Yは、図8(a)に示すように、脚部92Yの底面92Yaが螺旋溝80Y及び螺旋溝81Yの底面80Ya,81Yaに接し、本体部91Yとクロススクリュネジ60Yとが離間する形態と、図8(b)に示すように、本体部91Yの底面91Yaがクロススクリュネジ60Yの表面と接し、脚部92Yの底面92Yaと螺旋溝80Y及び螺旋溝81Yの底面80Ya,81Yaとが離間した形態がある。すなわち、脚部92Yの螺旋溝に対する突出方向への長さJ1を、螺旋溝80Y及び螺旋溝81Yの深さJ2よりも長く形成すると、図8(a)に示すように、螺旋溝80Y及び螺旋溝81Yの底面80Ya,81Yaに脚部92Yの底面92Yaが接し、脚部92Yの螺旋溝に対する突出方向への長さJ1を、螺旋溝80Y及び螺旋溝81Yの深さJ2よりも短く設定すると、図8(b)に示すように、螺旋溝80Y及び螺旋溝81Yの底面80Ya,81Yaと脚部92Yの底面92Yaとが離間する。
クロススクリュネジガイド部材90Yは、感光体軸線方向aへ往復運動する際、図9(a)、図9(b)に示すように、クロススクリュネジ60の螺旋溝80Yと螺旋溝81Y溝の交差部Lを脚部92Yが通過する必要がある。クロススクリュネジガイド部材90Yの脚部92Yが、図7(b)に示すような底面が円形な1本の円筒状のピンで、かつ進行方向に対する長さD(直径)が、各螺旋溝の幅Aよりも小さい場合(D<A)、脚部92Yが螺旋溝80Yまたは螺旋溝81Y内を移動していて交差部Lに進入すると、各溝の壁から受ける力が無くなるため、クロススクリュネジガイド部材90Yは交差部Lで推進力を失う。このときクロススクリュネジ60が回転を続けると、図9(b)に点線矢印で示すように、クロススクリュネジガイド部材90Yは実線矢印で示す本来進むべき方向とは異なる方向へ進んでしまう可能性がある。つまり、螺旋溝80Yを移動しなければならないものが、交差部Lで螺旋溝81Yに進入してしまう可能性がある。
一方、図7(a)、図7(c)に示すように、クロススクリュネジガイド部材90Yの脚部92Yの進行方向に対する長さDが螺旋溝80Y,81Yの幅Aよりも大きい形状の場合(D>A)、脚部92Yが交差部L内に進入しても、脚部92Yの長さDが溝の幅Aよりも大きいため、脚部92Yが交差部Lを通過している間、前述のようにクロススクリュネジ60から受ける力がなくなることはなく、推進力を保ったまま交差部Lを通過することができる。よってクロススクリュネジガイド部材90Yが間違った方向に進むことなく、安定して交差部Lを通過することができ、安定した移動が行える。
次に、螺旋溝80Y,81Yの端部の構成について説明する。図3、図4に示すように、螺旋溝80Yと螺旋溝81Yの両側の端は、それぞれ互いに連続して円弧状の端部601Y,602Yを形成しており、この端部601Y,602Yにより、螺旋溝80Yと螺旋溝81Yとは互いに無端状(連続的)とされている。端部601Y,602Yの形状は基本的には同一形状としている。
端部601Y,602Yの形状としては、図10(a)に示すように、端部601Y,602Yを形成する溝の内壁601Ya,602Yaと外壁601Yb,602Ybの円弧の中心点Nが同一あり、端部601Y,602Yの幅A1が溝の幅Aと同一な形態と、図10(b)に示すように、端部601Y,602Yを形成する溝の内壁601Ya,602Yaと外壁601Yb,602Ybの円弧の中心点N、N1が異なることで曲率が異なり、端部601Y,602Yにおける最長幅A2が、溝の幅Aよりも広い形態とがある。すなわち、端部601Y,602Yは、図10(a)に示すように、感光体軸線方向aに向かって湾曲した切替え部を構成し、クロススクリュネジ60の表面を展開したときに、任意の点Nを中心とした同一中心の円弧形状とされる形状と、クロススクリュネジ60の表面を展開したときに、異なる任意の点N、N1を中心とした異なる中心の円弧形状であり、円弧形状の端部の最長幅A2が、螺旋溝80Y,81Yの幅Aよりも広く形成される形状がある。何れの形状の端部601Y,602Yとするかは、クロススクリュネジガイド部材90Yの脚部92Yの形状を加味して決定する。
クロススクリュネジガイド部材90Yと螺旋溝80Y,81Yとの関係は、先に説明したように、図8(a)に示すように、本体部91Yの底面91Yaとクロススクリュネジ60が接しておらず、脚部92Yの底面92Yaが螺旋溝80Y,81Yの底面80Ya,81Yaに接して支持する場合と、図8(b)に示すように、脚部92Yと螺旋溝80Y,81Yの底面80Ya,81Yaが接しておらず、本体部91Yの底面91Yaとクロススクリュネジ60が接して支持する場合がある。
クロススクリュネジガイド部材90Yの脚部92Yの形状が、図7(b)に示すように底面円形の円筒状の1本のピンで構成した形態の場合、螺旋溝80Y,81Yの端部601Y,602Yの形状は、図10(a)に示す形状にすることで、反射濃度センサ58Y(クロススクリュネジガイド部材90Y)が連続的に移動することが可能となる。
この点を詳細に説明すると、図11(a)に示すように、クロススクリュネジ60に形成された螺旋溝80Y,81Yの端部601Y,602Yの形状が、図10(a)に示す形状で各溝の幅が端部も含めて幅Aとされている場合(A=A1)、図8(a)に示すように、脚部92Yの底面92Yaと螺旋溝80Y,81Yの底面80Ya,81Yaが接している支持方法、あるいは、図8(b)に示すように、本体部91Yの底面91Yaとクロススクリュネジ60とが接している支持方法の何れであってもよい。これは、クロススクリュネジ60が回転してクロススクリュネジガイド部材90Yが移動しても、脚部92Yが各螺旋溝の内壁601Ya,602Yaと外壁601Yb,602Ybによって進行方向に対して側面側から支持されて移動するので、クロススクリュネジガイド部材90Yは、転倒することなく連続的に移動することができるためである。
図11(b)に示すように、螺旋溝80Y,81Yの端部601Y,602Yの形状が、図10(b)に示すように、各螺旋溝の内壁601Ya,602Yaと外壁601Yb,602Ybの曲率が異なる円弧である形状の場合、端部601Y,602Yにおける最長幅A2が広くなり、内壁601Ya,602Yaと外壁601Yb,602Ybが脚部92Yを側面側から支えることができなくなり、脚部92Yが各壁から力を受けなくなる。このような状態になると、脚部92Yが傾いて本体部91Yや反射濃度センサ58Yが各螺旋溝から外れてしまうことが考えられる。また、脚部92Yは推進力を失い一瞬静止した状態になるので、連続的な折返し部となる端部601Y,602Yを脚部92Yが曲がるということを実現できなくなる事も想定される。このため、1本の円筒状のピンで脚部92Yを構成する場合には、溝の端部形状は図11(a)に示すように螺旋溝80Y,81Yの幅Aが端部601Y,602Yにおいても均一であり、脚部92Yの進行方向に対して側面側から脚部92Yに接触する幅Aとするのが望ましい。
クロススクリュネジガイド部材90Yの脚部92Yの形状が、図7(c)に示すように円筒状の2本のピンで構成し、幅M<長さDとした形態の場合、円筒状の1本のピンで構成したクロススクリュネジガイド部材90Yの形態の場合と同じ理由で、クロススクリュネジ60の端部の溝の形状は図10(a)に示す形状にすることで、クロススクリュネジ60か回転して反射濃度センサ58Yが感光体軸線方向aに移動して端部601Y,602Yを通過する際に減速することなく反射濃度センサ58Yの折り返しが可能となる。
2本のピンで脚部92Yを構成した場合の螺旋溝80Y,81Yの端部601Y,602Yでの脚部92Yの折返し動作について図12を用いて説明する。図12において、脚部92Yの2本のピンのうち、進行方向に位置するピンを符号Eで示し、進行方向後方に位置するピンを符号Fで示す。
クロススクリュネジ60が回転すると、脚部92Yの2本のピンE、Fには、たとえば螺旋溝80Yから力が伝えられて図12(a)に示すように端部601Yに向かって移動する。そして、ピンEから端部(折返し部)601Yに進入し、端部601Yに沿って折返し動作を行い、その進行方向が変更される。時間が経つと、ピンEの後方に位置するピンFが端部(折返し部)601Yに進入し、図12(b)に示すようにピンEとピンFが内壁601Yaを跨ぐような配置を占める。さらに時間が経つと、図12(c)に示すようにピンEは端部(折返し部)601Yを通過し、ピンFが端部(折返し部)601Yを通過し、脚部92Yが螺旋溝80Yから螺旋溝81Yへと案内されて折返し動作が行われる。このため、反射濃度センサ58Yは、端部(折返し部)601Yを通過する際に減速することなく進行方向を反転することができる。なお、脚部92Yが端部(折返し部)602Yを通過する際も端部(折返し部)601Yと同様の動作をするので、反射濃度センサ58Yは、端部(折返し部)602Yを通過する際に減速することなく進行方向を反転することができる。
クロススクリュネジガイド部材90Yと螺旋溝80Y,81Yとの接し方は、図8(a)に示すように、脚部92Yの底面92Yaと螺旋溝80Y,81Yの底面80Ya,81Yaが接している支持方法だと、クロススクリュネジガイド部材90Yが転倒することなく連続的に動くことができる。
図8(b)に示すように、本体部91Yの底面91Yaとクロススクリュネジ60が接している支持方法でも、本体部91Yの底面Yaとクロススクリュネジ60が摺擦しているので、クロススクリュネジガイド部材90Yが転倒することなく連続的に移動することができる。
クロススクリュネジ60に形成した螺旋溝80Y,81Yの端部601Y,602Yの形状が、図10(b)に示すように、内壁601Ya,602Yaと外壁601Yb,602Ybで曲率の異なる円弧で形成された形状の場合、最長幅A2が溝の幅Aよりも広くなり、端部601Y,602Yの内壁601Ya,602Yaや外壁601Yb,602YbでピンE,Fを支えることができず推進力を失い、図11(b)を用いて説明した1本のピンで脚部92Yを構成した場合と同じ理由で連続的に端部(折返し部)601Y,602Yを曲がるということができない。したがって、円筒状の2本のピンで脚部92Yを構成したクロススクリュネジガイド部材90Yの場合も、端部601Y,602Yの形状は図10(a)に示す形状とするのが望ましい。
クロススクリュネジガイド部材90Yの脚部92Yの形状が、図7(a)に示すように板状になっていて、幅M<長さDとした場合、螺旋溝80Y,81Yの端部601Y,602Yの形状が、図10(a)に示すように、螺旋溝80Y,81Yの幅Aと同一幅A1(A=A1)とした形状であると、クロススクリュネジ60が回転してクロススクリュネジガイド部材90Yが感光体軸線方向aに移動すると、板状の脚部92Yが螺旋溝80Y,81Yの内壁や外壁に引っかかってしまい、図13(a),図13(b)に示すような曲がり方をすることができない。したがって、螺旋溝80Y,81Yの端部601Y,602Yの形状を、図10(b)に示すように、内壁601Ya,602Yaと外壁601Yb,602Ybの曲率の異なる円弧形状とし、端部(折返し部)601Y,602Yの最長幅A2が各螺旋溝の幅Aよりも広くして(A<A2)、端部601Y,602Yの幅が螺旋部の溝幅Aと異なる形状でなければならない。
板状部材で脚部92Yを構成した場合の螺旋溝80Y,81Yの端部601Y,602Yでの脚部92Yの折返し動作について図13を用いて説明する。図13において、符号GとHで示す点は、螺旋溝80Y,81Yの端部601Y,602Yの外壁601Yb、602Ybと脚部92Yとが接している点を示す。クロススクリュネジ60が回転してクロススクリュネジガイド部材90Yが移動すると、板状の脚部92Yは、たとえばG点とH点を外壁601Ybに接しながら折返し部となる端部601Yに進入する。そして、図13(b)に示すように、端部601Yの内壁601Yaと対向する板状の脚部92YのI点を内壁601Yaに接しながら端部601Yを曲がる。脚部92Yの方向が切り変わると、図13(c)に示すように、G点とH点を外壁601Ybに接しながら端部(折返し部)601Yを曲がるので、引っかかることがなく、クロススクリュネジガイド部材90Y(反射濃度センサ58Y)は減速することなく折り返し動作を行える。なお、脚部92Yが端部(折返し部)602Yを通過する際も端部(折返し部)601Yと同様の動きとなる。
このように板状の脚部92Yが内壁601Ya,602Yaおよび外壁601Yb、602Ybに接しながら移動するので、クロススクリュネジガイド部材90Yと螺旋溝80Y,81Yとの接し方は、図8(a)に示すように、脚部92Yの底面92Yaと螺旋溝80Y,81Yの底面80Ya,81Yaが接している支持方法とすると、クロススクリュネジガイド部材90Yが転倒することなく連続的に動かすことができる。また、円柱状の本体部91Yの幅Rが最長幅A2よりも長ければ(R>A2)、図8(b)に示すように、本体部91Yがクロススクリュネジ60で支えられるので、クロススクリュネジガイド部材90Yを転倒することなく連続的に動かすことができる。
板状の脚部92Yの底面92Yaの形状としては、図7(a)に示すように、幅M<長さDの長方形状の他に、図14(a)〜図14(d)に示す形状が考えられる。図14(a)は、進行方向に対角線が長くなるような菱形形状、図14(b)は進行方向に長くなる平行四辺形形状、図14(c)は底面形状が進行方向に長くなる楕円形状であり、楕円の長径が螺旋溝の幅Aよりも長い形状、図14(d)は、進行方向に長い長円形状であり、図14(e)は底面形状が進行方向に短くなる楕円形状であり、楕円の長径が螺旋溝の幅Aよりも短い形状をそれぞれ示す。各底面形状の脚部92Yにおいても、前述同様に図10(b)に示すような端部601Y,602Yの形状とすることで、端部601Y,602Yで減速することなく折り返し動作が可能となる。
次にクロススクリュネジガイド部材90Yの脚部92Yの形状を、図7(d)に示すように底面が円形の円筒状のピンを複数配設した形状について説明する。図7(d)に示す形態では、底面形状が円形で円筒状のピン3本を配設した形状としているが、ピンは3本に限定されるものではない。この形態では、円筒状の複数のピンは一直線上に配置されていて、その中心にある円筒状のピンを自由に動けるようにすることで、螺旋溝80Y、81Yの端部601Y,602Yの形状を、図8(a)に示す形状にすることで、脚部92Yが端部601Y,602Yを通過する際に減速することなく折り返し動作が可能となる。
図15(a)は本体部91Yの底面91Yaから、クロススクリュネジガイド部材90Yを見た図である。ここでは脚部92Yを構成する3つのピンを便宜的にピンB,C,Dとする。ピンBはクロススクリュネジガイド部材90Y(反射濃度センサ58Y)の進行方向側に位置し、ピンCは進行方向後方に位置し、ピンDは、ピンBとピンCの間に位置している。これらピンは円柱状の本体部91Yの中心を通る直線G上に配列されていて、進行方向に等間隔に配置されている。中心に位置するピンDは、直線G上から外れるように自由に動けるように構成されている。直線Gの延びる方向を進行方向とすると、ピンDは、これと同一平面において交差する方向へ移動可能に構成されている。具体的には、螺旋溝80Y,81Yの幅A方向に移動可能に構成されている。
ピンB,Cは、図15(b)、図15(c)、図15(d)に示すように、図12(a)〜図12(c)に示すピンE,Fと同様の動き方をする。ピンDは、ピンB,C,Dを結ぶ直線G上から外れるように移動可能に構成されているので、図15(c)に示すように、脚部92Yが端部601Yや端部601Y2に進入すると、ピンB,Dに対して内壁601Yaや内壁602Yaによって幅方向に移動する。このため、ピンB,C,Dはクロススクリュネジ60Yが回転しているときは、螺旋溝80Y,81Y内に常に係合し、螺旋溝80Y,81Yから外れることなく折返し部となる端部601Yや端部602Yを減速することなく曲がることができる。
図16は、像担持体表面状態検知装置200Yの変形例を示す。この像担持体表面状態検知装置200Yで用いるクロススクリュネジ60Yに形成された螺旋溝80Y,81Yの端部は、図16(a)、図16(b)に示すように、感光体軸線方向aではなく、この軸線方向と交差する周方向にクロススクリュネジ60Yの表面に形成された溝603Y,604YYによって互いに連続している。各溝603Y,604YYは、周方向に直線的に形成された溝であり、螺旋溝80Y,81Yの端部を構成する。
この形態のように、往動用と復動用の螺旋溝80Y,81Yの端部が円周方向に連続して形成された直線状の溝603Y,604YYで連結されている場合、クロススクリュネジ60が回転すると、脚部92Yは往動用の螺旋溝80Yを感光体軸線方向aに移動し、溝603Yに案内される。そして、溝603Yを周方向に移動して、復動用の螺旋溝81Yの端部と対向する位置まで回転すると、同螺旋溝81Y内へと進入し螺旋溝81Y内を移動することになる。このため、クロススクリュネジ60か回転して反射濃度センサ58Yが感光体軸線方向aに移動して端部603Y,604YYを通過する際に減速することなく反射濃度センサ58Yの折り返しが可能となる。
ただ、本形態の場合、図4に示す端部601Y,602Yの形状に対して、往動用の螺旋溝80Yから復動用の螺旋溝81Yへと脚部92Y移動する際に、螺旋溝が形成されたクロススクリュネジ60が、復動用の螺旋溝81Yと脚部92Yとが対向する位置まで回転しないと反射濃度センサ58Yが復動用の螺旋溝81Yへと案内されない。このため、往動用の螺旋溝80Yから復動用の螺旋溝81Yへ反射濃度センサ58Yが移動する際に円周方向に移動するので、この間、反射濃度センサ58Yが感光体軸線方向(軸線方向)に移動することができないため、図4に示す端部601Y,602Yの場合に比べて切替に時間を要することとなる。反面、端部601Y,602Yはクロススクリュネジ60の軸方向に湾曲形成しているので、その加工は難しいが、本形態の場合、環状の溝603Y,604YYをクロススクリュネジ60の表面に、各螺旋溝の端部と連通するように形成すればよいので、加工性の面では優れたものになる。
ところで、このクロススクリュネジ60Yで反射濃度センサ58Yを感光体軸線方向aに往復運動して異常部を検知する場合、反射濃度センサ58Yの位置情報がないと感光体1Y上の正常部と異常部の位置がわからない。このため、本形態では、ロータリエンコーダ等の角度検知手段71Yを備えているとともに、検知板65Yをクロススクリュネジ60Yに設置しているので、この情報から反射濃度センサ58Yの感光体1Y上での位置を検知することで、感光体1Y上の正常部と異常部の位置を検知することができる。
感光体1Y上の正常部と異常部の位置の検出方法の別形態としては、図17に示すように、感光体1Yの作像領域の端部に検出用トナー像(検知パターン)S1を作像する。検出用トナー像S1を作像するのは、画像形成装置本体が起動した直後でも良いし、記録紙Pの所定通紙枚数毎に作像しても良い。検出用トナー像S1の作像位置は決まっていて、反射濃度センサ58Yがこのパターンを検出した時は、反射濃度センサ58Yがこのパターン上に位置しているということが分かる。また、クロススクリュネジ60Yの回転数は、本体側駆動源41(モータ)の回転数で決められるので、反射濃度センサ58Yの移動速度も自ずと求められるため、この反射濃度センサ58Yによる検出用トナー像(検知パターン)S1の検知情報と、本体側駆動源41(モータ)の回転数から反射濃度センサ58Yの位置を検知するようにしても、感光体1Y上の正常部と異常部の位置を検知することができる。
図18を用いて本発明と従来の反射濃度センサの動き方を説明する。図18は、計測時間内でのセンサの動き方を模式的に示した図である。同図において、曲線X1は感光体上を移動する従来のセンサの移動軌跡を示し、曲線X2はクロススクリュネジ60Yを用いた移動手段による感光体上を移動する反射濃度センサ58Yの移動軌跡を示す。図18において、双方の計測時間と感光体の直径は同一としている。点線Z1,Z2は、感光体軸線方向aの中心点の位置を示している。従来構成では点線Z1上をセンサが5回通過できるのに対し、本発明の構成であると、点線Z2上をセンサが7回通過できる。つまり、感光体の表面状態を従来よりも多く検知することが可能である。
これは、例えば図4に示す形態の場合、反射濃度センサ58Yの移動手段を、往動用の螺旋溝80Yと復動用の螺旋溝81Yが互いに交差されたクロススクリュネジ60Yを用い、さらにこれら螺旋溝80Y、81Yの端部601Y,602Yが感光体軸線方向aに湾曲して円弧状に連続し、反射濃度センサ58Yを支持するクロススクリュネジガイド部材90Yの脚部92Yと螺旋溝80Y、81Yの関係が上述のような構成としているので、クロススクリュネジ60Yが回転して反射濃度センサ58Yが往動用の螺旋溝80Yと復動用の螺旋溝81Yとの間で移動する際に、双方の螺旋溝の端部が連続しているため、クロススクリュネジ60Yの回転方向を変更する必要がなくなる。また、反射濃度センサ58Yの移動に使用する往動用の螺旋溝80Yと復動用の螺旋溝81Yとの切り換え時において、反射濃度センサ58Yの移動速度となる本体側駆動源41の回転速度を減速する必要がなくなる。このため、感光体軸線方向aにおける、単位時間当たりの反射濃度センサ58Yの移動距離が向上するので、単位時間当たりに反射濃度センサ58Yが特定のポイントとなる中心点Z2上を通過する回数を多くできる。このため、この中心点Z2を反射濃度センサ58Yの検知位置とすると、感光体軸線方向aにおける検知回数を増やすことができ、反射濃度センサ58Yによる感光体表面の状態をより正確に測定することができる。
これに対し、従来構成では、往動用と復動用の螺旋溝が1つであるので、センサを感光体軸線方向aに往復運動する場合には、駆動モータの回転方向を切替える必要があるとともに、センサのオーバーランやモータ回転方向の切替え時のショックを低減するために、減速しなければならない。
次に反射濃度センサ58Yと、反射濃度センサ58Yの検知結果による感光体表面の状態の良否判定について説明する。
一般にプリンタでは、常に安定した画像濃度が得られるようにするために、各感光体の表面にトナーパッチやトナーパターンなどの検出用トナー像S1を作成し、この検出用トナー像S1のトナー付着量(トナー濃度)をトナー付着量検出手段により検出し、その検出結果に基づいて現像剤濃度や画像濃度を適正に制御することが行われている。
このようなトナー付着量(トナー濃度)の検出手段としては、発光素子と受光素子を用いて光学的に検出するものが知られており、例えば発光素子として発光ダイオード(LED)を、受光素子としてPD(フォトダイオード)又はPTr(フォトトランジスタ)を組み合わせた反射型フォトセンサが一般的に用いられている。そして、その反射型フォトセンサの構成としては、図19(a)に示すように、検出用トナー像S1からの正反射光のみを検出するタイプ、図19(b)に示すように、検出用トナー像S1からの拡散反射光のみを検出するタイプ、図19(c)に示すように、両者を検出するタイプ等がある。図19(a)〜図19(c)において、符号101A、101B、101Cは素子ホルダを、102はLEDを、103は正反射受光素子を、1は感光体を、S1は像担持体上の検出用トナー像(トナーパッチまたはトナーパターン)を、104は拡散反射受光素子をそれぞれ示す。
このような反射型フォトセンサは使用するトナーの種類(黒トナー、カラートナー)や、使用する感光体1の地肌部の状態等により適宜選択される。例えば使用するトナーが黒トナーで感光体1の地肌部に対して正反射光の反射率の差が大きい場合は、図19(a)に示す正反射光のみを検出するタイプで良いが、カラートナーの場合には感光体1の地肌部に対して正反射光の反射率の差が小さいため検出精度が落ちる。このため、カラートナーの場合は図19(b)に示す拡散反射光を検出するタイプの方が好ましい。また、黒トナーとカラートナーの両方に対応するには、図19(b)に示す拡散反射光を検出するタイプか、より好ましくは図19(c)に示す正反射光と拡散反射光の両者を検出するタイプが良い。本形態に係る反射濃度センサ58Yは、光の入反射量の差で感光体1Yの表面状態を検知する光学式センサであり、図19(c)に示すタイプを採用している。
図20は、現像ポテンシャルと感光体1上のトナー付着量の関係を示す図である。現像ポテンシャルは「感光体電位−現像バイアス[V]である。図20中の丸印が測定結果であり、現像ポテンシャルとトナー付着量のデータが直線関係となる領域がある。この直線領域において、本実施例で使用した光学式の反射濃度センサ58Yの検出起電力と感光体1上トナー付着量の関係を図21に示す。感光体1上のトナー付着量が多くなると、検出起電力[V]が低下する。
本発明の効果は、各移動手段にクロススクリュネジ60(Y,M,C,K)を使用すると、各感光体全域のトナー付着量を測定することができる点と、各感光体上のトナー付着量の異常があった場合、その異常箇所を検知することが出来ることにある。
例えば、反射濃度センサ58Yの検知サイズ(検知領域)は、図22(a)、図22(b)に示すように直径3mmの円の範囲であり、反射濃度センサ58Yは、直径3mmの円内の感光体1上のトナー付着量を検出する。この直径3mmの円を光スポット96とする。他の反射濃度センサ58(M,C,K)についても同様である。
この反射濃度センサ58Yから照射される光スポット96は、感光体1Y上に現像されたトナー像S1を感光体軸線方向aに移動しながら検知する。入力したテキストデータや画素数から、光スポット96内のトナーが付着している割合と、トナーが付着していない割合が分かる。図21により感光体1上のトナー付着量と反射濃度センサ58Yの検出起電力との関係が分かっているので、光スポット96内のトナーが付着している面積比率と反射濃度センサ58Yの検出起電力との関係が求められる。
本発明者は、反射濃度センサ58Yを用いて光スポット径を3mmとし、光スポット96内のトナー付着面積比率を変えながら検出起電力を事前に測定した。その測定結果を図23に示す。
この計測では、黒色トナーを用いて図24(a)に示すような文字を現像して反射濃度センサ58Yで検出起電力を測定した。図24(a)に示すように、光スポット96内には「Rico」の文字が現像されていて、トナーが付着している割合と、トナーが付着していない割合は7:3であり、そのときの反射濃度センサ58Yの検出起電力は1.5[V]であった。図23により面積比率70%のときの反射濃度センサ58Yの検出起電力は1.5[V]であり、その差分は0[V]である。このような差分が発生しない場合には、入力したデータは正常に感光体1Y上に現像されていると判断することができる。
図24(b)は、白スジ97が発生した状態を示す。ここでは、光スポット96内には「Rico」の文字の「c」と「o」が正しく現像されていない。このとき反射濃度センサ58Yの起電力は2.5[V]であった。本来ならば、光スポット96内のトナーが付着している面積比率は70%なので、検出起電力は1.5[V]検出するはずだが、実際測定した検出起電力との差が1.0[V]生じた。
本形態では、このように入力したデータから検出起電力を予め設定し、検出した検出起電力との差をみてその差分が0であれば正常、差分があれば異常と判断することができる。すなわち、異常画像がなければ、図25に示すように、検出起電力の差分は時間に対して常に0[V]であるが、異常がある場合、検出起電力は周期的に0[V]ではなくなる。このとき異常であると判断することができる。
本形態では、反射濃度センサ58Yから検出起電力の差分を、図2に示す反射濃度センサ58Yが接続された制御手段99で演算し、その差分情報に応じて感光体表面の状態の良否を判定することができる。この感光体表面の状態の良否を判定は、イエローの感光体1Yにだけ実施するものではなく、他の感光体1M、1C,1Kについても、各感光体と対向は位置された反射濃度センサ58M、58C,58Kからの検出起電力の差分から制御手段99で判定する。また、各反射濃度センサの感光体上の位置も、この制御手段99で判断するので、各検出起電力の差分と反射濃度センサ58の感光体上での位置情報とから各感光体表面の正常部と異常部の表面状態を、従来よりも正確で低コストに検知することができる。
上記形態では、各感光体の表面状態を検知する検知手段を、光の入反射量の差で各感光体の表面状態を検知する光学式センサとしたが、検知手段としては、このような光学的なセンサに限定されるものではない。例えば、各感光体の表面との接触圧し、その接触圧の変位によって感光体表面状態を検知する接触検知センサを用いて、各感光体表面の状態の良否を判定するようにしてもよい。