JP5646860B2 - ポリアミド繊維およびエアバッグ用織物 - Google Patents

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Description

本発明は機械的特性に優れ、かつ柔軟性に富み、産業資材分野における補強材、折り畳み形状を伴う収納体、エアバッグなどとして有用なポリアミド繊維およびその織物に関する。
ポリアミド繊維は、強靭性、接着性、耐疲労性などに優れるため、各種産業資材用途、例えば、タイヤコード、搬送ベルト、伝動ベルト、ゴムホースなどのゴム補強用コード、安全ベルト、テント、組紐、縫糸およびエアバッグなどに広く用いられている。また、これらの産業資材製品は常に軽量化が求められており、成形加工時や折り畳み形状を伴う収納体として、その製品が用いられる場合には、柔軟性も欠かせない要素である。中でも、車両に搭載されるエアバッグは、乗員の安全を確保するための装置として欠かせないものとなっており、自動車への搭載率は年々高まっている。近年では、運転席や助手席のみならず、サイドカーテン、サイドバッグ、ニーバッグなど収納部位も様々である。これらエアバッグ用織物には機械的特性や低通気性などの基本的な要求事項の他に、それぞれの使用箇所に応じた所望特性が付加される。例えば、運転席用のエアバッグであれば、車両前方の視界の確保、装備される計器類を見やすくするために、コンパクトに折り畳めるエアバッグ用織物が望まれる。また、サイドカーテンは車両の側面全体をカバーする必要があるため、運転席用のエアバッグに比べ、容量が大きくなったり、形状が複雑化したり、側面衝突後の車両横転を考慮し、展開後のバッグが膨張状態を一定時間保持することなどが求められる。さらにサイドバッグやニーバッグなど収納部と乗員が接近しており、いわゆるバッグ作動距離に制約を受ける場合などには、より短時間にてエアバッグを展開しなければならない。以上のように、様々な形態にて使用されるエアバッグには、高度の機械的特性をもつ繊維やコンパクトに折り畳まれる収納性、または変形追随性に富んだ柔軟性に富んだ繊維が好適である。
特開平6−248508号公報、および特開平6−299411号公報には、少なくとも95モル%がヘキサメチレンアジパミド単位からなり、硫酸相対粘度が3.0以上で、一定の繊維構造特性を有するポリヘキサメチレンアジパミド繊維を得る技術が開示されている。また、該繊維は強度が11.0g/d以上、伸度が16%以上、沸騰水収縮率が4%以下である、いわゆる高強度ナイロン66繊維であるが、このようなナイロン66は機械的特性には優れるものの、製織工程における収率や該糸が織物製品となった際の変形追随性に富む柔軟性、折り畳み収納性、エアバッグとして用いる際の耐バースト性については、なお課題が残るものであった。特許第3457739号には、収納性、低衝撃性、高速展開性に優れるサイドエアーバッグ用織物を得る技術が開示されている。しかし、該技術に用いられている繊維は、絶対的に繊度が低く収納性、低衝撃性、高速展開性には優れるものの、機械的強度が不足している。また、ポリエステルであることから、ポリアミドと比較し熱容量が小さく、このことは高温に達するエアバッグ展開において課題を残すものであった。特許4166203号には、ポリアミド延伸糸の繊度および応力−ひずみ曲線を調整することにより、エアバッグ作動時、瞬間的に発生する衝撃エネルギーを吸収するためのノンコートエアバッグ用ポリアミド繊維に関する技術が開示されている。しかし、車両の小型化、空間の有効化により、エアバッグ用織物に対するなお一層の整形性、折り畳み収納性が望まれるなか、よりコンパクトに折り畳まれた状態から瞬時に展開されるエアバッグの展開速度、耐バースト性を得るには不十分であった。
本発明はこれらの課題に対し、鋭意検討を重ねた結果、従来の技術において成し得なかった高度な機械的特性を有するポリアミド繊維と該糸からなる織物の折り畳み収納性を兼備し、エアバッグがコンパクトに折り畳まれた状態から瞬時に展開する、高速展開性、耐バースト性に優れたエアバッグ用織物を得たのである。つまり、エアバッグの展開の負荷に耐え得るには、展開起点となる折り畳み部の織糸の機械的特性と柔軟性が必要であり、これら2つの要素がエアバッグの展開速度と耐バースト性に重要であることを見出し、本発明をなすに至ったのである。
特開平6−248508号公報 特開平6−299411号公報 特許第3457739号 特許第4166203号
本発明は、コンパクトに折り畳めて収納性に優れ、インフレーターによるバッグ展開に際しても、展開速度、耐バースト性に優れたエアバッグ用織物、該織物を構成するポリアミド繊維を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するため、エアバッグ用織物がコンパクトに折り畳まれた状態からインフレーターにより、瞬時に展開される際、展開起点となる折り畳み部の織糸の機械的特性、柔軟性がエアバッグの展開速度、耐バースト性能に重要であることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち、本発明は下記の発明を提供する。
(1)総繊度が100〜700dtex、引張強度が9.0〜11.5cN/dtex、引掛強度が11.0cN/dtex以上、および押し曲げ柔軟度が1.3×10-4cN/dtex以下であることを特徴とするポリアミド繊維。
(2)引張速度が10m/秒である高速引張試験において、引張強度が11.0cN/dtex以上であることを特徴とする上記(1)項に記載のポリアミド繊維。
(3)沸騰水収縮率Sが4〜11%であり、熱収縮応力σが0.25〜0.66cN/dtexであり、これらの関係が次式を満たすことを特徴とする上記(1)項または(2)項に記載のポリアミド繊維。
(0.0569×S+0.013)<σ<(0.0569×S+0.033)
(4)以下の式で表されるポリマー鎖切断指数DGが4〜15の範囲であることを特徴とする上記(1)〜(3)項のいずれか一項に記載のポリアミド繊維。
DG=exp(1.613×102/(N+C)+2.715)−VR
ただし、N:繊維の末端アミノ基濃度(mmol/kg)
C:繊維の末端カルボキシル基濃度(mmol/kg)
VR:繊維の蟻酸相対粘度
(5)上記(1)〜(4)項のいずれか一項に記載のポリアミド繊維から構成されていることを特徴とするエアバッグ用織物。
(6)ポリアミドポリマーを溶融紡出し、引張強度が9.0〜11.5cN/dtexのポリアミド繊維を得る多段延伸において、紡出糸を前段で150℃未満の温度で全延伸倍率の25〜60%の延伸倍率で延伸し、引き続く後段で150℃以上の温度で残りの延伸を行い、次いで、熱弛緩処理を行って巻き取ることを特徴とする上記(1)項記載のポリアミド繊維の製造方法。
本発明によれば、エアバッグ用織物をコンパクトに整形できるため、モジュールへの収納を容易にするとともに折り畳み部の織糸の機械的特性、柔軟性により高速展開性、耐バースト性に優れたエアバッグ用織物を提供することができる。
本発明のポリアミド繊維を製造する設備の一例を示す説明図。 押し曲げ柔軟度測定用サンプル例を示す説明図。 展開性、および耐バースト性評価用の模擬バッグ形状例を示す説明図。
本発明について、以下具体的に説明する。本発明のポリアミド繊維を構成するポリマーとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン46およびナイロン6とナイロン66の共重合などが用いられる。中でもナイロン6、ナイロン66が耐衝撃性、耐熱性の面からより好ましい。かかるポリマーには、原糸の製造工程や加工工程での生産性、あるいは特性改善のために、通常使用されている各種添加剤を含んでも良い。例えば熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、平滑剤、帯電防止剤、可塑剤、増粘剤、顔料、難燃剤などを含有せしめることができる。熱安定剤としては、ヨウ素、臭素などのハロゲン化物をポリマーに対し、適当量含有させると良い。
また、該ポリマー末端にあたるアミノ基、カルボキシル基は、末端アミノ基が20〜80mmol/kgであることが好ましい。より好ましくは30〜70mmol/kgである。末端アミノ基が20mmol/kg未満の場合には、ポリマーの溶融粘度が高く、製糸工程にて安定な吐出条件が得られず、弱糸、および細糸が発生しやすいといった不具合をもたらす場合がある。一方、末端アミノ基が80mmol/kgを超える場合は、エアバッグとして好適な機械的特性が得られないばかりか、耐バースト性が劣る場合がある。末端カルボキシル基は40〜80mmol/kgであることが好ましい。より好ましくは45〜70mmol/kgである。末端カルボキシル基が40mmol/kg未満の場合は、一般的に高重合度ポリマーであり、延伸過程で著しく高い張力となるため、擦過による糸切れを生じやすく、生産性に支障をきたす場合がある。一方、末端カルボキシル基が80mmol/kgを超える場合は、コーティングなどの加工過程において、ポリマー中の分子緩和が促進され、本発明の意図するエアバッグ用織物の熱的特性が得られない場合がある。ナイロンポリマーは基本的に末端アミノ基濃度と末端カルボキシル基濃度がほぼ同等であるが、重合時にジアミンを加えれば末端アミノ基濃度を高めることができ、ジカルボン酸を加えれば末端カルボキシル基濃度を高めることができる。たとえば、ナイロン66ポリマーであれば、原料モノマーであるヘキサメチレンジアミンアジペート中和塩にジアミンモノマーであるヘキサメチレンジアミンを添加して重合すれば末端アミノ基濃度を高めることができる。
エアバッグ用織物を構成する本発明のポリアミド繊維の総繊度は100〜700dtex、好ましくは150〜600dtex、より好ましくは200〜470dtex、さらに好ましくは210〜360dtexの範囲にあるものが、織物の機械的強度と折り畳み性、収納性などの機能面のバランスから好ましい。すなわち100dtex未満では折り畳み性、収納性は好ましいが、機械的強度が不足する場合があり、700dtexを越えると折り畳み性が損なわれ、収納性において不利となる場合がある。
また、単糸繊度は1〜7dtex、好ましくは1.5〜6dtex、より好ましくは2.5〜5.7dtex、さらに好ましくは3.3〜4.9dtexの範囲にあることが織物の軽量化、収納性を向上させるために重要である。さらに、単糸繊度を適正にすることにより、織物の平坦性も改善され、エアバッグを展開する際のような高差圧下においても低通気性が得られる。単糸繊度が1dtex未満では糸の生産性に問題がある場合があり、7dtexを越えると織物が堅く、折り畳み性、収納性の面で問題が生ずる場合がある。
引張強度は9.0〜11.5cN/dtex、好ましくは9.5〜11.0cN/dtex、より好ましくは9.5〜10.5cN/dtexである。強度が9.0cN/dtex未満であると、本発明の意図した機械的特性が得られず、産業資材用繊維としては不十分であり、また、11.5cN/dtexを超える強度においては、糸条品位、例えば毛羽、その発生頻度から、紡糸収率の低下を招いたり、後加工における製織トラブルの原因になったりする。
本発明のポリアミド繊維は基本的に製織して用いるものであるが、近年では、織密度を高くした高密度織物が機械的特性、低通気性に優れるなどの理由から産業資材用途、特にエアバッグ用織物に多く用いられている。高密度織物の場合、織密度を極限まで高めていっても、エアバッグのバースト圧力は向上し難い。織糸糸条同士が近接して絡み合い拘束しあって引っ張られるためである。この場合、ポリアミド繊維の引掛強度が11cN/dtex以上、好ましくは11.5cN/dtex以上、さらに好ましくは12cN/dtex以上であることが高密度織物に適している。引掛強度が高いことでエアバッグのバースト圧力の向上に寄与する。引掛強度は実際上18cN/dtex以下である。
ここで、高密度織物とは、カバーファクターが1500以上のものを指す。本発明のエアバッグ用織物のカバーファクターは、低通気性の観点から、1500〜2500、好ましくは1550〜2225、より好ましくは1600〜2180、さらに好ましくは1700〜2100であるのが良い。カバーファクターが1500より小さいと織物の引張強度や引裂強度が低くなり好ましくない。またカバーファクターが2500を超えると、織物の剛性が高くなり、折り畳み性を悪化させ、収納性を損なう場合がある。ここでカバーファクターとは、経糸総繊度をD1(dtex)、経糸密度をN1(本/2.54cm)、緯糸総繊度をD2(dtex)、緯糸密度をN2(本/2.54cm)とすると、√(D1)×N1+√(D2)×N2で表される。
一方、織物における変形追随性に富んだ柔軟性を得る上で重要な要素は、該織物を構成する織糸の押し曲げ柔軟度である。本発明におけるポリアミド繊維は押し曲げ柔軟度が1.3×10-4cN/dtex以下、好ましくは、1.2×10-4cN/dtex以下、さらに好ましくは1.15×10-4cN/dtex以下である。所望する機械的特性を満足しつつ、かつ柔軟な織物を得るには、上記押し曲げ柔軟度を満足することが好適である。従来、ポリアミド繊維は高延伸比の製糸条件で、高配向とすることによって高強力となすため、高強力であれば引張特性は高剛性となる特性があった。したがって、高強力繊維による高強力織物では十分に柔軟な織物を得ることができなかった。しかしながら、織物を構成する織糸の押し曲げ柔軟度が低ければ変形追随性に富んだ柔軟性が得られ、折畳まれたエアバッグが展開する速度を速くすることができる。高強力ポリアミド繊維では押し曲げ柔軟度は実質的に0.5×10-4cN/dtex以上である。
また、沸騰水収縮率Sが4〜11%であり、熱収縮応力σが0.25〜0.66cN/dtexであることが好ましく、これら2つの値の関係において、σの値が以下の式の範囲であることが好ましい。
(0.0569×S+0.013)<σ<(0.0569×S+0.033)
これらの特性は原糸の熱処理を伴う後加工における寸法安定性に関係し、製織した際には、得られる織物の形態、機械的特性、低通気性、並びに織構造が任意の方向に引張られた際の経糸と緯糸のずれ、および織糸と縫糸間の目開きといったエアバッグの展開作動時の各種挙動に関係する。熱応力が低すぎなければ、沸水収縮率によって、加工後の織糸のクリンプがつきすぎて織物の応力に対する歪応答が大きくなりすぎたり、そのために織物の低通気が阻害されるようなことがなく、また、縫目の開きが大きくなったり、縫目の通気が大きくなるような事象になることがないため、エアバッグの耐圧性が低下するようなことが無い。また、熱応力が高すぎなければ、沸水収縮率によって、織物加工中に経緯のクリンプバランスが大きく崩れて、経緯の一方向に応力集中し、縫目部分の一方向が破断してエアバッグの耐圧性が低下するようなことがない。
沸騰水収縮率が11%、熱収縮応力が0.66cN/dtexを越える場合は、熱処理加工中に過度の収縮が発生し、製織条件による経糸および緯糸の織物中のアンバランスを大きく拡大し、縫製目開きを誘発し、耐バースト性が劣る場合がある。沸騰水収縮率が4%未満、熱収縮応力が0.25cN/dtex未満の場合は、機械的特性が本発明の意図するものとは異なり、耐バースト性に問題が生じる可能性がある。
瞬間的なエアバッグ展開においては、該エアバッグを構成する織物、さらに該織物を構成する織糸の高速引張特性も非常に重要な要素である。引張速度が10m/秒である高速引張試験において、原糸の引張強度は11.0cN/dtex以上が好ましく、さらに好ましくは11.5cN/dtex以上、特に好ましくは12.0cN/dtex以上である。本発明のポリアミド繊維は、通常の引張速度における強度が9.0cN/dtex以上の高強度領域にあることから、繊維中の局所的な欠陥が、高速引張時において、破断の起点となり、引張速度が300mm/分程度の通常の引張試験では観測できない強度低下をもたらすことになる。高速引張試験において11cN/dtex以上の強度を有することは、該繊維をエアバッグ用織物に用いるのに好適である。高速引張試験の強度は実質的に18cN/dtex以下である。
本発明のエアバッグ用織物は、平組織、綾組織、朱子組織及びこれらの変形組織等を使用することができるが、これらに特に限定されるものではない。これらの織組織の中でも、織物コスト及びエアバッグの等方展開性の面から平組織が好ましく使用される。かかる織物としては、対称組織である必然性はなく、非対称組織であってもよい。ここでいう非対称組織とは、経糸と緯糸の間での関係を意味するものであり、例えば糸密度や組織の違い、つまり、平組織織物で経糸と緯糸の糸本数が異なるもの、経、緯の一方の糸種が異なるもの、経、緯の一方がリップストップや空羽組織になっているもの等の組織が異なるものを意味するものである。また、ジャカード織機で2重織物を製織し、袋織でエアバッグとなすものも良い。製織機は特に限定されるものではなく、ウォータージェットルーム、エアージェットルーム、レピアルームなどが用いられる。
本発明のポリアミド繊維は溶融紡糸法によって製造することができる。図1はポリアミド繊維を製造する設備(2段延伸プロセス)の一例を示している。
溶融紡糸機に設けられた紡糸口金パック1から紡出された糸条2は直ちに冷風筒3から供給される0.5〜1.2m/秒の冷風により、冷却固化される。
次いで、油剤付与ノズル4にて油剤を0.5〜2.0%付与された後、引取ロール5に捲回して引き取られる。ここで、付与される油剤は、水系であっても非水系であっても良いが、好ましくは非含水油剤であることが良い。好ましい油剤組成として、平滑剤成分としてアルキルエーテルエステル、界面活性剤成分として高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物、極圧剤成分として有機ホスフェート塩等を鉱物油で希釈した非水系油剤を例示することができる。引取られた未延伸糸は、一旦巻き取られることなく、連続して延伸工程に供される。
延伸プロセスは、多段延伸法が好ましい。紡出糸を延伸の前段で150℃未満の温度で全延伸倍率の25〜60%の延伸倍率で延伸し、引き続く後段で150℃以上の温度で残りの延伸を行い、次いで、熱弛緩処理を行って巻き取ることが好ましい。必要な引張強度を得るための全延伸倍率に対して、まず、150℃未満の低温で前段の延伸を行ない、引き続いて150℃以上の高温で後段の延伸を行ない、最後に構造固定の熱弛緩処理により張力緩和を経て巻き取る。前段の延伸も後段の延伸もそれぞれ多段の延伸でもよい。図示した延伸工程は、第1延伸ロール6、第2延伸ロール7、第3延伸ロール8、リラックスロール9を備え、各ロールにて所望の物性が得られるよう、順次糸条を捲回して延伸熱処理を行なう。延伸段数に特に決まりはないが、好ましくは2段延伸プロセス、より好ましくは3段延伸プロセスを用いる。通常、引取ロールと第1延伸ロール間では、軽度な緊張を保つ。ロール間の好ましい伸張率は0.5〜5 % の範囲である。引取りロールの表面温度は20〜50℃ が好ましい。2段延伸プロセスにおいて使用する延伸ロールは第1〜第3延伸ロールであり、それぞれのロール間の速度差を利用して糸条を延伸していく。延伸は第1延伸ロールと第2延伸ロール間、および第2延伸ロールと第3延伸ロール間にて行う。延伸プロセスは、150℃未満の低い温度領域で延伸する第1延伸ロールの温度が40℃ から150℃未満 、高い温度領域で延伸する第2延伸ロール、第3延伸ロールの温度はそれぞれ80〜230℃、150〜250℃とし、段階的に糸条の延伸を行なう。本発明においては、150℃未満の冷延伸においては、延伸倍率を全延伸倍率の25%〜60%に設定することが好ましい。たとえば、第1延伸ロールと第2延伸ロール間で糸条が150℃未満で行われる1段目の延伸を全延伸倍率の25%〜60%に設定すればよい。より好ましくは30〜50%である。引き続く150℃以上の熱延伸においては、目的とする強度を出すに足るような全延伸倍率に達するまで行えばよい。たとえば、1段目の冷延伸の後に第2延伸ロールと第3延伸ロール間で行われる2段目の延伸を残りの延伸倍率で実施すればよい。冷延伸が全延伸倍率の25%未満の場合は、全延伸倍率に対する熱延伸割合が相対的に高くなり、延伸による配向結晶化とロール加熱による熱結晶化が相俟って進行し、結果として強度が高い糸が得られなかったり、得られたとしても毛羽が多く、品質に問題があったりする場合がある。一方、60%を越える場合は、延伸初期に配向化が進み過ぎ、熱延伸時にポリアミド分子鎖に過度な緊張が生じて毛羽の発生を誘発することになる。さらには、繊維中で外層のみ配向して押し曲げ柔軟度が上がり過ぎてしまうことがある。したがって、これらの延伸技術は、前記特開平6−299411号公報ならびに特許第4166203号公報開示の技術とは明らかに相違する。さらに第3延伸ロールとリラックスロール間で適度な張力を維持しつつ、弛緩処理を行うことが好ましい。すなわち、第3延伸ロールとリラックスロール間では糸条に内在する応力ひずみを緩和するために10%以下0%以上、好ましくは10%以下2%以上の弛緩処理を施す。その際のリラックスロールの温度は50〜180℃の範囲にあることが好ましい。より好ましくは、70〜160℃、さらに好ましくは80〜150℃である。弛緩処理を施された糸条は巻取り機10にて巻き取られる。弛緩処理では熱延伸によって生じた歪みを取るだけで無く、延伸によって達成された構造を固定したり、非晶領域の配向を緩和させ熱収縮率を適度に調整することができる。製織工程における糸条のバラケを防止するため、リラックスロールと巻取り機の間で糸条に高圧流体を吹き付けて単糸交絡を付与し、糸条を集束させながら巻き取ってもよい。糸条を交絡させるための装置は公知の交絡付与装置(図示なし)を用いて何ら問題はない。引取りロールから最終延伸ロールすなわち上述の2段延伸プロセスの場合は第3ロールまでの全延伸倍率は、ポリマーの性状や紡出糸の紡出および冷却条件に依存するが、必要とする引張強度を発現する延伸倍率に設定するものであり、4.0倍から6.0倍が好ましい。
本発明により得られる繊維は、以下の式で表されるポリマー鎖切断指数DGが4〜15の範囲であることが好ましい。
DG=exp(1.613×102/(N+C)+2.715)−VR
ただし、N:繊維の末端アミノ基濃度(mmol/kg)
C:繊維の末端カルボキシル基濃度(mmol/kg)
VR:繊維の蟻酸相対粘度
延伸工程において分子鎖切断することが高分子の構造欠陥となり、高速引張強度や引掛強度の低下をもたらすことを見出した。末端基濃度から求められる想定粘性よりも延伸後の粘性は低く、上記の式で表されるDGが15以下であれば分子鎖切断が少なく高速引張強度や引掛強度の低下が少ない。本発明の延伸方法により高延伸であってもDGを15以内に収めることができる。高延伸において完全に分子鎖切断を回避することは困難であり、DGは4以上となる。
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、本明細書および実施例にて用いる物性の定義、測定方法は次の通りである。
(1)蟻酸相対粘度VR
繊維をジクロロメチレンで脱脂し、試料4.5gを濃度8.4wt%になるように、90%蟻酸に十分溶解した後、ウベローデ粘度計を用いて、水温25℃の環境下に10分放置後、該溶液の落下時間を測定した。溶媒の落下時間を同一の方法にて評価し、以下の式に基づいてVRを求めた。
VR=試料の落下時間(秒)/溶媒の落下時間(秒)
(2)末端アミノ基濃度
繊維をジクロロメチレンで脱脂し、試料6gを小数点以下3桁まで正確に秤量し、これを90%フェノール水溶液50ccに溶解する。完全溶解後、溶液温度を25℃に安定させ、0.05N−塩酸水溶液でpH3まで滴定する。この時の0.05N塩酸水溶液の滴下量を記録し、以下の計算式にてポリマー1kg当たりの末端アミノ基濃度(mmol/kg)を算出する。
末端アミノ基濃度=A×F×50/B
A:滴定に要した0.05N−塩酸水溶液(ml)
F:0.05N−塩酸水溶液のファクター
B:ポリマー重量(g)
(3)末端カルボキシル基濃度
繊維をジクロロメチレンで脱脂し、試料6gを小数点以下3桁まで正確に秤量し、これを170℃のベンジルアルコール50ccに溶解する。完全溶解後、ベンジルアルコール1リットル、フェノールフタレイン5g、酢酸銅0.5g、二酸化チタン12gから調整された指示薬を0.3ml添加する。その後、0.1N−NaOHエチレングリコール溶液を滴下し、液色が紅色を呈した時点で終了する。この時の0.1N−NaOHエチレングリコール溶液滴下量を記録し、以下の計算式にてポリマー1Kg当たりの末端カルボキシル基濃度(mmol/kg)を算出する。
末端カルボキシル基濃度=C×F×100/B
C:滴定に要した0.1N−NaOHエチレングリコール溶液(ml)
F:0.05N−塩酸水溶液のファクター
B:ポリマー重量(g)
(4)総繊度
JIS L 1017 8.3記載の方法で測定した。
(5)単糸繊度
JIS L 1017 8.3記載の方法で求めた総繊度を、糸条を構成する単糸フィラメントの本数で除して求めた。
(6)引張強度
JIS L 1017 8.5記載の方法で測定した引張強さを総繊度で除して求めた。
(7)高速引張強度
島津製作所製高速引張試験機ハイドロショットHITS−T10を用い、引張速度10m/秒、試料長125mmにて引張強さを測定した。得られた引張強さを総繊度で除して高速引張強度を求めた。なお、試料の準備については、JIS L 1017 6記載の方法にて実施した。
(8)引掛強度
JIS L 1013 8.7記載の方法で測定した引掛強さを総繊度で除して求めた。
(9)押し曲げ柔軟度
図2に示すように、繊維糸条を0.5g/dtexの張力下で同一平面に11cm幅に並列に並べて両端を固定した試料を作った。総繊度が235dtexの場合では100本程度である。把持長30mmで糸条の両端を把持して垂直に圧縮試験機に保持し、糸条の上端を把持するクロスヘッドを2mm/秒で押し下げて糸条の両端を繊維軸方向で接近させた。接近による繊維の屈曲の応力を最大荷重0.5Nのロードセルで測定し、糸条が屈曲した際の降伏圧力を並べた本数と総繊度との積にて除した値を押し曲げ柔軟度(cN/dtex)とし、柔軟度の指標とした。試行は5回行い、その平均値を用いた。
(10)沸騰水収縮率
JIS L 1017 8.14記載の方法で測定した。
(11)熱収縮応力σ
東洋精機製作所製コードレオテスターを用い、昇温に伴う収縮応力を測定した。試料長は250mm、昇温は25℃から250℃まで行った。なお、昇温速度80℃/分にて実施した。測定における最大収縮応力をσとした。
(12)展開性
直径30cmが確保できる円形状に織物を裁断し、これを2枚貼りあわせるかたちで模擬バッグを縫製した。図3(a)に示すように、該バッグには100mm×80mmのガス導入口を設け、導入口のバッグ貼りあわせ箇所の一部を筒状になったガス噴出口に挿入し、ガスが漏れないように密閉固定した。次に、図3(b)〜(d)に示すように、ガス導入口を中心とし、左右に半円状に広がる模擬バッグを中心に向かいそれぞれが重ならないように畳んだ後、ガス導入口の反対側から導入口側に向かい10cm間隔で3回折り畳んだ。展開性評価は、バッグ内に7.5MPaの圧縮ヘリウムガスを一気に導入させた際のバッグ内圧が最大となった時点を展開完了点とし、その到達時間から展開性を評価した。なお、試行は3回とし、展開完了時間はその平均値を用いた。
(13)耐バースト性
展開性評価を15MPaの高圧圧縮ガスで実施し、バッグを概観検査した結果、次の基準にて耐バースト性を評価した。
○:バースト(破裂)、縫製目開きともになし
△:縫製目開きあり
×:バースト
[実施例1]
蟻酸相対粘度VRが82であるペレット状のナイロン66ポリマーを温度295℃にてエクストルーダー式押出機を用いて融解させ、その後、図1に示した製造設備を用いて紡糸した。スピンヘッドにて溶融ポリマーを300℃に均温化させた後、スピンヘッドから表1に示す総繊度となるようにギアポンプにて計量し、紡糸口金パックより紡出させた。紡出されたポリマーは冷風により冷却固化され、糸条を形成させた。固化した糸条に油剤を付与した後、一旦巻き取ることなく引取りローラで引取った。引取った糸条を引取りローラと第1延伸ロール間で1%ストレッチをかけ、第1延伸ロールと第2延伸ローラ間で2.0倍の1段目の延伸を、第2延伸ロールと第3延伸ローラ間でさらに2.65倍の2段目の延伸を行った。延伸後の糸条は第3延伸ローラとリラックスローラ間で3%弛緩処理を施した後、交絡付与装置にて適度な交絡を付与した後、巻取り機にて巻取った。引取りロール、第1延伸ロール、第2延伸ロール、第3延伸ロール、リラックスロールの温度はそれぞれ、非加熱、60℃、210 ℃、220℃、150℃であり、糸条のローラへの捲回数は1 回、2 回、3 回、3 回、4 回とした。この時の総延伸倍率は5.3倍である。得られたナイロン66原糸の評価結果を表1に示した。
さらに、得られたナイロン66原糸を500m/分の速度で整経し、次いで津田駒製ウォータージェットルーム(ZW303)を用いて、経糸及び緯糸の織密度を73本×73本に合わせ、回転速度800rpmで製織し織物を得た。得られた織物はそのまま100℃の乾燥ゾーンを通過させた。得られた織物に公知の方法にて20g/m2となるように、シリコーンコートを施した後エアバッグを縫製し、展開試験ならびに耐バースト試験等に用いた。得られた結果を表1に併せて示す。
[実施例2]
蟻酸相対粘度VRが85であるペレット状のナイロン66ポリマーを表1に示す総繊度となるよう実施例1と同様に溶融紡糸した。引取った糸条を引取りローラと第1延伸ロール間で1%ストレッチをかけ、第1延伸ロールと第2延伸ローラ間で2.0倍の1段目の延伸を、第2延伸ロールと第3延伸ローラ間で2.57倍の2段目の延伸を行った。延伸後の糸条は第3延伸ローラとリラックスローラ間で7%弛緩処理を施した後、交絡付与装置にて適度な交絡を付与した後、巻取り機にて巻取った。引取りロール、第1延伸ロール、第2延伸ロール、第3延伸ロール、リラックスロールの温度はそれぞれ、非加熱、60℃、210 ℃、220℃、180℃であり、糸条のローラへの捲回数は実施例1と同様にした。この時の総延伸倍率は5.14倍である。得られたナイロン66原糸の評価結果を表1に示した。
さらに、得られたナイロン66原糸を用いて、経糸及び緯糸の織密度は60本×60本としたことを除いて実施例1と同様に製織し、織物を得た。得られた織物を用いて、実施例1と同様にエアバッグを縫製し、展開試験ならびに耐バースト試験等を行なった。得られた結果を表1に併せて示す。
[実施例3]
表1に示す総繊度となるように、実施例2と同様の溶融紡糸をした。第3延伸ローラの温度を160℃にし、リラックスローラ間で5%弛緩処理を施した以外は実施例1と同様の延伸処理を行った。得られたナイロン66原糸の評価結果を表1に示した。
さらに、得られたナイロン66原糸を用いて、経糸及び緯糸の織密度は49本×49本としたことを除いて実施例1と同様に製織し、織物を得た。得られた織物を用いて、実施例1と同様にエアバッグを縫製し、展開試験ならびに耐バースト試験等を行なった。得られた結果を表1に併せて示す。
[比較例1]
蟻酸相対粘度VRが85であるペレット状のナイロン66ポリマーを表1に示す総繊度となるように、実施例1と同様に溶融紡糸した。第1延伸ロールと第2延伸ローラ間で3.4倍の1段目の延伸を、第2延伸ロールと第3延伸ローラ間で1.56倍の2段目の延伸を行い、第3延伸ローラとリラックスローラ間で7%弛緩処理を施し、第3延伸ロール温度が230℃で、リラックスロール温度が210℃としたことを除いて、実施例1と同様の延伸処理を行なった。この時の総延伸倍率は5.30倍である。得られたナイロン66原糸の評価結果を表1に示した。
さらに、得られたナイロン66原糸を用いて実施例1と同様に製織し、織物を得た。得られた織物を用いて、実施例1と同様にエアバッグを縫製し、展開試験ならびに耐バースト試験等を行なった。得られた結果を表1に併せて示す。展開速度が遅く、沸騰水収縮率に比べ熱収縮応力が高くバランスが悪いため、耐バースト性評価後のバッグには縫製部の目開きが観察された。
[比較例2]
蟻酸相対粘度VRが94であるペレット状のナイロン66ポリマーを温度295℃にてエクストルーダー式押出機を用いて融解させ、その後、スピンヘッドにて310℃に均温化させた。スピンヘッドから表1に示す総繊度となるようにギアポンプにて計量し、紡糸口金パックより紡出させた。紡出されたポリマーは、冷風により、冷却固化され、糸条を形成させた。固化した糸条に油剤を付与した後、一旦巻き取ることなく引取りローラで引取った。引取った糸条を引取りローラと第1延伸ロール間で3%ストレッチをかけ、第1延伸ロールと第2延伸ローラ間で3.8倍の1段目の延伸を、第2延伸ロールと第3延伸ローラ間でさらに1.4倍の2段目の延伸を行った。延伸後の糸条は第3延伸ローラとリラックスローラ間で3%弛緩処理を施した後、交絡付与装置にて適度な交絡を付与した後、巻取り機にて巻取った。引取りロール、第1延伸ロール、第2延伸ロール、第3延伸ロール、リラックスロールの温度はそれぞれ、非加熱、60℃、210 ℃、210℃、150℃であり、糸条のローラへの捲回数は1 回、2 回、3 回、3 回、4 回とした。この時の総延伸倍率は5.32倍である。得られたナイロン66原糸の評価結果を表1に示した。
さらに、得られたナイロン66原糸を500m/分の速度で整経し、次いで津田駒製ウォータージェットルーム(ZW303)を用いて、経糸及び緯糸の織密度を60本×60本に合わせ、回転速度800rpmで製織し織物を得た。得られた織物はそのまま100℃の乾燥ゾーンを通過させた。得られた織物に公知の方法にて20g/m2となるようシリコーンコートを施した後エアバッグを縫製し、展開試験ならびに耐バースト試験に用いた。得られた結果を表1に併せて示す。展開速度が遅く、耐バースト性評価後のバッグには縫製部を起点としたバーストが確認された。
[比較例3]
比較例2と同様、表1に示す総繊度になるように、ナイロン66ポリマーを溶融紡糸した。引取りローラで引取った糸条を第1延伸ロールとの間で1%ストレッチをかけ、第1延伸ロールと第2延伸ローラ間で3.3倍の1段目の延伸を、第2延伸ロールと第3延伸ローラ間でさらに1.4倍の2段目の延伸を行った。この時の総延伸倍率は4.62倍である。延伸後の糸条は第3延伸ローラとリラックスローラ間で7%弛緩処理を施した後、交絡付与装置にて適度な交絡を付与した後、巻取り機にて巻取った。引取りロール、第1延伸ロール、第2延伸ロール、第3延伸ロール、リラックスロールの温度はそれぞれ、非加熱、60℃、210 ℃、230℃、200℃であり、糸条のローラへの捲回数は1 回、2 回、3 回、3 回、4 回とした。得られたナイロン66原糸の評価結果を表1に示した。
さらに、得られたナイロン66原糸を500m/分の速度で整経し、次いで津田駒製ウォータージェットルーム(ZW303)を用いて、経糸及び緯糸の織密度を49本×49本に合わせ、回転速度800rpmで製織し織物を得た。得られた織物はそのまま100℃の乾燥ゾーンを通過させた。得られた織物に公知の方法にて20g/m2となるようシリコーンコートを施した後エアバッグを縫製し、展開試験ならびに耐バースト試験に用いた。得られた結果を表1に併せて示す。展開速度が遅く、引張強力に劣るため高圧条件には耐えられずバッグバーストも確認された。
Figure 0005646860
本発明のポリアミド繊維およびその織物は、産業資材分野、特にエアバッグ用原糸または織物として好適に利用できる。
1 紡糸口金パック
2 糸条
3 冷風筒
4 油剤付与ノズル
5 引取ロール
6 第1延伸ロール
7 第2延伸ロール
8 第3延伸ロール
9 リラックスロール
10 巻取り機

Claims (5)

  1. 総繊度が100〜700dtex、引張強度が9.0〜11.5cN/dtex、引掛強度が11.0cN/dtex以上、末端アミノ基濃度が20〜80(mmol/kg)、末端カルボキシル基濃度が40〜80(mmol/kg)、以下の式で表されるポリマー鎖切断指数DGが4〜15の範囲であるポリアミド繊維からなり、押し曲げ柔軟度が1.3×10-4cN/dtex以下であることを特徴とするポリアミド繊維。
    DG=exp(1.613×102/(N+C)+2.715)−VR
    ただし、N:繊維の末端アミノ基濃度(mmol/kg)
    C:繊維の末端カルボキシル基濃度(mmol/kg)
    VR:繊維の蟻酸相対粘度
  2. 引張速度が10m/秒である高速引張試験において、引張強度が11.0cN/dtex以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド繊維。
  3. 沸騰水収縮率Sが4〜11%であり、熱収縮応力σが0.25〜0.66cN/dtexであり、これらの関係が次式を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載のポリアミド繊維。
    (0.0569×S+0.013)<σ<(0.0569×S+0.033)
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリアミド繊維から構成されていることを特徴とするエアバッグ用織物。
  5. ポリアミドポリマーを溶融紡出し、押し曲げ柔軟度が1.3×10 -4 cN/dtex以下のポリアミド繊維を得る多段延において、紡出糸を前段で150℃未満の温度で全延伸倍率の25〜60%の延伸倍率で延伸し、引き続く後段で150℃以上の温度で残りの延伸を行い、次いで、熱弛緩処理を行って巻き取ることを特徴とする請求項1記載のポリアミド繊維の製造方法。
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