[実施形態1]
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
実施の形態に係る医療用装置1000は、例えば図1および図2に示されるような構成をしており、複数ある設定データの設定に従って動作する医療用アプリケーションの実行により、医療情報を取り扱う医療用装置である。
本実施形態では、医療情報を取り扱うソフトウエア(医療用アプリケーション)として電子カルテアプリケーションプログラムを例に説明を行う。
ここで、設定には、アプリケーションが有する各機能を使用するかどうか、および、どの程度その機能を使用するかなどを定めたもののことであり、例えば、編集データの自動バックアップを行うかどうかおよび何分毎にバックアップを行うか、編集記号等の入力出力情報(入力、表示等の際に使用する印など)を使用するかどうかおよび入力出力情報のどれを使用するか、注意音を発生させるかどうかおよびどの操作の時に注意音を発生させるか、等を定めた設定が考えうる。
具体的には、編集データの自動バックアップについて述べると、文章の作成や数値の入力等の編集作業においては、ユーザがうっかりと編集したデータを保存することなくアプリケーションを終了してしまう場合があるとその編集作業が無駄になるので、編集データが自動で保存される方が望ましい。そこで、アプリケーションによっては自動バックアップの機能を有し、自動バックアップの適用を設定することによって使用することができるものがある。編集記号等の入力出力情報について述べると、出力画面は情報をユーザに伝える重要な役割を有しており効率的かつ効果的に表示する必要があり、入力画面は数値等を間違うことなく入力させる必要がある。また、これらは個人差が大きいものであるので、入出力の仕方などについて設定できる様になっているアプリケーションがある。注意音について述べると、ユーザによってはアプリケーションを使用している際に誤った手順をした場合には適時通知をして欲しい場合がありそこで注意音を鳴らすように設定されるものであるが、一方ユーザによっては音が出るのは煩わしいと感じる場合がある。そこで、ユーザが誤った手順をした事が分かるように注意音を使用すること(または使用しないこと)、またはその誤った手順の種類が分かるように種類ごとに注意音を使い分けることなどを設定することができるアプリケーションが存在する。
また、設定は、更に細分化されたものであってもよく、例えば、編集データの自動バックアップを行うかどうかの設定においてはどの編集データについて行うか(テキストデータ、バイナリデータ、ワープロソフトデータ、エディタデータのどのデータについてバックアップを行うのか)、編集記号等の入力出力情報を使用するかどうかの設定においては入力、表示等においてどの場合に入力出力情報を使用するのか、注意音を発生させるかどうかの設定においてはどの注意音を使用するのか、等を定めた設定が考えうる。
本実施形態では、設定データとして、電子カルテアプリケーションにおける定型文(症状や処置等を説明する文章など)、入力テンプレート(数値等を入力する際の桁数等を定めたものなど)、表示テンプレート(数値等を表示する際の表示のさせ方を定めたものなど)を例に説明を行う(後述)。設定内容は、どの定型文を使用するか、どの入力テンプレート、表示テンプレートを適用するかと言うことである。
具体的には、定型文について述べると、よく使う文章は何度もキーボード等から入力するのはユーザにとって面倒であるので、定型文としてそれらよく使う文章を登録しておき、簡単な操作で定型文を読み出して使用できることが要求される。また、常用される定型文は医者(ユーザ)毎に異なっており、その人が常用する定型文の方が医者(ユーザ)にとって目が行き易く、また注意力を与え易い。よって、ワープロ機能、エディット機能を有するアプリケーションでは、定型文を設定できる機能が付いていることが求められる。
また、入力テンプレート、表示テンプレートについて述べると、これらは上述の編集記号等の入力出力情報に含まれるものであり、入力テンプレートはDBにデータを保存する際に要求される数値の桁数や文字の数などを指定するため等の目的で使用され、また表示テンプレートは情報を見誤らないように表示する、または効果的に表示する等の目的で使用される。また、これらは個人差が大きいものであるので、設定することで個人差に対応できる様になっているアプリケーションであることが求められる。
図1に、実施の形態に係る医療用装置1000の構成を示す。なお、本実施の形態は、CPU(Central Processing Unit)を有する汎用コンピュータ装置(パーソナルコンピュータ、等)に医療情報を取り扱うソフトウエアをインストールすることによって、医療用装置を実現する場合の構成例を示すものである。
本実施形態では、電子カルテアプリケーションは複数のユーザで使用できるアプリケーション(所謂マルチユーザ(multiple user)対応のアプリケーション)とする。
電子カルテアプリケーションのソフトウエアを保持したディスク媒体(CD−ROM等)が汎用コンピュータ装置のディスクドライブに装着されると、インストール(install)作業等により、このソフトウエアがディスクから読み出され、ハードディスク(以下、HDD(Hard Disk Drive)とも呼ぶ)に格納される。しかる後、ソフトウエアが起動されると、対応するプログラムとデータベースがハードディスクからRAM(Random Access Memory)上に展開され、CPUによって、当該プログラムに応じた電子カルテ機能が実行される。
なお、上では、電子カルテアプリケーションを汎用コンピュータ装置にインストールすることによって実現されるものとしたが、予め電子カルテ機能を実装した医療用装置して本発明を実現することもできる。この場合、例えば、電子カルテアプリケーションの組み込みソフトウエアが汎用コンピュータ装置のROM(Read Only Memory)などに記憶されている。また、上記では、ディスク媒体を装着することにより電子カルテアプリケーションをインストールするようにしたが、インターネット等のネットワークを経由したダウンロードによって、電子カルテアプリケーションをインストールしてもよい。
図1を用いて、実施の形態に係る医療用装置1000における設定データの流れと、アプリケーションの実行の処理の結果の流れ、およびCPUの機能について説明する。
医療用装置1000は、設定データカスタマイズ部103、設定データ入力部106、機能設定記憶部200、一時設定記憶部201、入力部400、出力部401を含み、CPU100、医療情報DB300、記憶手段(記憶部)102からなる。
機能設定記憶部200は、アプリケーションの通常の動作(以下、通常モード)において使用される各機能の設定データ(以下、通常設定データ)が記憶される。一時設定記憶部201には、ユーザが一時的に適用するとして指定した設定の設定データ(以下、一時設定データ)が記憶される。
設定データ入力部106は、医療用装置1000の外部から入力された設定データを記憶する。設定データカスタマイズ部103は、一時設定記憶部201と、機能設定記憶部200と、設定データ入力部106との間における設定データのやり取りを司る。設定データカスタマイズ部103のこの機能により、一時設定記憶部201には外部から入力された設定データが転送され、記憶されている。一時設定記憶部201中の外部から入力された設定データは、設定データカスタマイズ部103のこの機能により、後述の設定データ決定部1004の通知を見たユーザの決定に従って、機能設定記憶部200に転送され、記憶される。この設定データカスタマイズ部103による、一時設定記憶部201、機能設定記憶部200、設定データ入力部106間における設定データのやり取りについては、後の動作フローの説明、カスタマイズ作業の説明の所で詳述する。
入力部400はキーボードやマウスなどの入力用デバイスのことであり、出力部401はLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスや、スピーカなどの音声出力デバイスである。なお、入力部400、出力部401はLCD上でペンタッチ入力が可能なタブレットであってもよい。医療用装置1000、入力部400、出力部401は、例えばこれらのデバイスを有するパーソナルコンピュータで構成することができる。
医療情報DB300は、患者の医療情報や金銭に関する医療情報が格納されているデータベースである。記憶手段102は、CPU100(処理部101)が処理を行う際などに使用されるRAM(Random Access Memory)、ROM、HDD等である。
ソフトウエアを処理するCPU100は少なくとも処理部101を含み、本実施形態ではCPU100は、データプロセッシング機能やデータ表示、音声出力、データ入力等を制御、処理などする機能である通知部1001、ユーザ指定部1002、処理出力部1003、設定データ決定部1004、ユーザ決定部1005、および総合的な演算、制御、プロセッシング等の機能を有する処理部101から構成される。同図中では、処理部101については、アプリケーションの実行処理を行う機能部としての処理部101aが記載されており、処理部101がこれらデータプロセッシング機能やデータ表示、音声出力、データ入力等を処理する機能を含んでもよい。
同図は、かかる医療用装置において実行される機能を機能ブロックとして示したものである。機能ブロックはソフトウエアにおいては、例えば当該機能を有する関数モジュールやサブルーチン等のことであり、同図中ではCPUの機能としてCPUを構成するハードウエア的に記載している。なお、当該CPUの機能が、例えば当該機能を有する基板上の演算素子群等で実現されるハードウエアであってもよい。 通知部1001は、ユーザに対して設定データを一時的に適用することを指定させるための通知を行うため、当該通知である「設定データを一時的に適用するか否かを指定させる」旨を、モニタとしての出力部401に出力し、出力部401は「設定データを一時的に適用するか否かを指定させる」旨のウインドウ等を表示する。なお、「設定データを一時的に適用するか否かを指定させる」旨の通知の文章は通知部1001に格納されている。
ユーザ指定部1002は、ユーザが出力部401を通じて当該「設定データを一時的に適用する」旨の通知を見ることによって(すなわち、通知部1001による通知に対応して)、ユーザによって指定された設定データを、一時設定記憶部201から処理部101へと転送する。ユーザの指定は、入力部400を通じてなされる。ユーザ指定部1002は、ユーザによって設定データが指定される設定データの選択入力手段であり、一時的に設定データを適用するモードをユーザが選択するためのモード選択入力手段でもある。
処理部101は、通知部1001による上記通知に対応して、ユーザによって指定された設定データを用いて、アプリケーション(ここでは、電子カルテアプリケーション)の実行の処理などを行う。なお当該処理の中には、電子カルテアプリケーション内の各動作の処理、実行中における患者の医療情報や金銭に関する医療情報の入力、編集および表示の処理も含まれる。当該実行の処理の結果は、電子カルテアプリケーション内の各動作の処理の処理結果、入力、編集された患者の医療情報や金銭に関する医療情報の格納と表示、および表示のための表示テンプレート等に基づいた処理である。なお、医療情報の入力や医療情報の編集には、医療情報自身の入力しなおし(医療情報自身の再入力、再編集)を含み、更に医療情報の編集には、医療情報を入力、出力するための情報(定型文や入力テンプレート、出力テンプレート等)の編集を含む。ユーザは、上記の編集作業等を入力部400を通じて行い、医療情報は医療情報DB300から得られる。
処理出力部1003は、処理部101によって実行されたアプリケーションの実行の処理の結果(既述の編集データなど)を、ユーザに対して出力(表示)するモニタとしての出力部401へ送出する。
設定データ決定部1004は、処理出力部1003の出力にあわせて、すなわち、ユーザが見ている出力部401へ表示されたアプリケーションの実行の処理の結果にあわせて、ユーザによって指定された設定データの通常設定としての採用をユーザに対して決定させることを要求する通知を行う。当該通知は、「通常設定としての採用するか否かを決定させることを要求する」旨が記載されたウインドウ等である。なお、「通常設定としての採用するか否かを決定させることを要求する」旨の通知の文章は設定データ決定部1004に格納されている。
ユーザ決定部1005は、ユーザが出力部401を通じて当該「通常設定としての採用するか否かを決定させることを要求する」の通知を見ることによって(すなわち、設定データ決定部1004による通知の結果)、ユーザにより決定された設定データを採用して実行したアプリケーションの実行の処理の結果(編集データなど)を、処理部101から記憶手段102へと転送する。ユーザの決定は、入力部400を通じてなされる。ユーザ指定部1005は、ユーザによって設定データを通常設定として採用するかが決定される設定データの選択入力手段であり、通常モードをユーザが選択するためのモード選択入力手段でもある。
記憶手段(記憶部)102は、設定データ決定部1004による上記通知の結果、ユーザにより決定された設定データを採用して実行したアプリケーションの実行の処理の結果を記憶する。
設定データ決定部1004の通知(上記「通常設定としての採用するか否かを決定させることを要求する」の通知)を見たユーザの決定に従って、先述のように、一時設定記憶部201中の外部から入力された設定データは、設定データカスタマイズ部103を経て、機能設定記憶部200に転送され、記憶される。
本実施の形態に係る医療用プログラムでは、そこに含まれる通知ステップ、処理ステップ、処理出力ステップ、設定データ決定ステップ、記憶ステップは、上で述べた対応するハードウエア的な各機能を、ソフトウエアの関数、サブルーチン等で実現することで達成される。すなわち、通知ステップは、ユーザに対して前記設定データを一時的に適用することを指定させるための通知を行う(通知部1001の機能に対応)。前処理ステップは、記通知ステップによる前記通知に対応して、ユーザによって指定された設定データを用いて、前記アプリケーションの実行の処理を行う(処理部101の機能に対応)。処理出力ステップは、前記処理ステップによって実行された前記アプリケーションの実行の処理の結果をユーザに対して出力する(処理出力部1003の機能に対応)。設定データ決定ステップは、前記処理出力ステップの出力にあわせて、前記ユーザによって指定された前記設定データの通常設定としての採用を前記ユーザに対して決定させることを要求する通知を行う(設定データ決定部1004の機能に対応)。記憶ステップは、前記設定データ決定ステップによる前記通知の結果決定された設定データを採用して実行した前記アプリケーションの実行の処理の結果を記憶する(記憶手段102の機能に対応)。
なお、本実施の形態に係る医療用装置は、上記構成から更に次のような機能部を有する。後述のユーザによる前記アプリケーションの前記設定のカスタマイズを支援するカスタマイズ支援モードにおいて使用される前記設定データである一時設定データを記憶する一時設定記憶部201と、通常モードにおいて使用される前記設定データである通常設定データを記憶する機能設定記憶部200を備える。また、ユーザにカスタマイズ支援モードを選択させための表示を出力する第1の選択表示出力手段(通知部1001)、前記第1の選択表示出力手段の出力に応じて前記カスタマイズ支援モードの選択を入力させるための第1のモード選択入力手段(ユーザ指定部1002)を備える。また、前記第1のモード選択入力手段において前記カスタマイズ支援モードの選択が入力された後に前記カスタマイズ支援モードを実行していることを報知するモード報知手段(後述の「カスタマイズ支援モード」である旨の表示)を備える。また、前記カスタマイズ支援モードを終了させて前記通常モードとするための表示を出力する第2の選択表示出力手段(設定データ決定部1004)、前記第2の選択表示出力手段の出力に応じて前記通常モードの選択を入力させるための第2のモード選択入力手段(ユーザ決定部1005)とを備える。さらに、前記カスタマイズ支援モードを実行している場合には前記一時設定データを用いてアプリケーションを実行し、前記カスタマイズ支援モードの終了後の前記通常モードにおいてユーザの選択により前記一時設定データを前記通常設定データとしてアプリケーションを実行する処理部101を備える。
(作用及び効果)
設定データ決定部1004の通知を通じてユーザが設定を適用するとした決定により、一時設定記憶部201に記憶された一時に適用した設定データを、設定データカスタマイズ部103を通じて機能設定記憶部200へコピーすることで、通常動作において、新たな設定(上記ユーザが一時的に適用した設定)を用いた動作を簡単にすることができる。なお、設定データ決定部1004の通知を通じてユーザが設定を適用しないとした決定の場合には、一時設定記憶部201に記憶された一時設定データを機能設定記憶部200へコピーすることなく通常モードへ戻ることもできる。この場合は、カスタマイズの支援を適用せずに(すなわち一時に適用した設定を通常設定とすることなく)、簡単に元の設定のままで医療用装置1000を使用することができる。なお、この場合は機能設定記憶部200内の設定データは書き換えられてはいない。
以上により、ユーザのカスタマイズ作業に資する支援機能を備えた医療用装置および医療用プログラムを提供することができる。
[実施形態2]
本実施形態では、実施形態1で説明したCPU等の機能の下、外部から得られた設定データを一時的に適用してから通常設定として決定する際の設定データのデータフロー、およびその間の当該設定データを使用して編集等されたデータのデータフロー等について説明する。
(装置の具体的な構成)
図2を用いて、本実施形態に係る医療用装置1000の各機能ブロックについて説明する。同図は、かかる医療用装置において実行される機能を機能ブロックとして示したものである。機能ブロックは、例えばソフトウエアにおける当該機能を有する関数モジュールのことであり、同図中ではCPUの機能としてCPUを構成するハードウエア的に記載している機能もある。なお、当該CPUの機能が、例えば当該機能を有する基板上の演算素子群等で実現されるハードウエアであってもよい。なお、図1と同じ符号の機能ブロックは図1と同じ機能を有するが、図2における動作の説明において必要な場合は、再度説明を行う。
医療用装置1000は、処理部101、記憶手段102、設定データカスタマイズ部103、ユーザ選択記憶部105、設定データ入力部106、外部出力部107、インタフェース(以下、I/F)108、ダウンロード(以下、DL)ファイル監視部109、DLファイル記憶部110、機能設定記憶部200、一時設定記憶部201、医療情報DB300から構成されている。
I/F108には、入力部400と出力部401が接続される。外部出力部107とDLファイル記憶部110はインターネット網などの電気通信回線500に接続される。なお、電気通信回線500にはサイト600や、機能設定記憶部2200、一時設定記憶部2201、外部出力部2107を備えた他のユーザの医療用装置である医療用装置2000が接続されている。
処理部101は、前記電子カルテアプリケーションの実行の処理を行う。なお当該処理の中には、電子カルテアプリケーション内の各動作の処理、実行中における患者の医療情報や金銭に関する医療情報の入力、編集および表示の処理も含まれる。当該実行の処理の結果は、電子カルテアプリケーション内の各動作の処理の処理結果、入力、編集された患者の医療情報や金銭に関する医療情報の格納と表示、および表示のための表示テンプレート等に基づいた処理である。なお、医療情報の入力や医療情報の編集には、医療情報自身の入力しなおし(医療情報自身の再入力、再編集)を含み、更に医療情報の編集には、医療情報を入力、出力するための情報(定型文や入力テンプレート、出力テンプレート等)の編集を含む。
上記の結果、医療用装置1000は医療情報を取り扱う電子カルテの医療用装置として機能する。なお、電子カルテアプリケーションでは、医療情報などの入力を支援するための定型文や入力フォーマットのテンプレート、医療情報などを表示する表示フォーマットのテンプレートなど、ユーザ自らがアプリケーションを使用する際に必要となる複数の設定データが含まれており、この設定データを設定することで、設定データが適用された電子カルテアプリケーション動作を行うことができる。
記憶手段102は、処理部101の処理の際などに使用されるRAM(Random Access Memory)、ROM、HDDなどである。なお、記憶手段102、ユーザ選択記憶部105、DLファイル記憶部110、機能設定記憶部200、一時設定記憶部201、医療情報DB300などの記憶動作を有する機能部は、説明上、各々別個の存在のように説明しているが、これらはRAM、ROM、HDDなどの記憶素子、記憶装置の内部に混在している。各機能部の記憶されている領域は、RAM、ROM、HDDにおけるアドレス等によって区別されている。
設定データカスタマイズ部103は、電子カルテアプリケーションの動作において、ユーザによるアプリケーションの設定のカスタマイズを支援するため設定データを一時的に適用し、一時適用した設定データで電子カルテの編集などを行う事ができる環境をユーザに提供するカスタマイズ支援モード(一時設定モード)と、通常のアプリケーションの動作で使用される通常モードとの間のモード切り換えを行う。なお、電子カルテアプリケーションには、設定データのカスタマイズ支援のために、通常モードとカスタマイズ支援モードを有しているとする。仮にある設定情報(設定データ)の設定を適用させつつアプリケーションを利用して、その利用の結果当該設定が自分にとって有益、有用であるかを確認などを行うモードがカスタマイズ支援モード(一時設定モード)であり、カスタマイズ支援とは異なり通常のアプリケーションの利用において通常の設定データを適用するモードが通常モードである。カスタマイズ支援モードでは、一時設定記憶部201の設定が使用され、通常モードでは、機能設定記憶部200の設定が使用される。
また、設定データカスタマイズ部103は、一時設定記憶部201と、機能設定記憶部200と、設定データ入力部106との間における設定データのやり取りを司る。
ユーザ選択記憶部105は、電子カルテアプリケーションの設定データおよび設定データが有する複数の設定のうち、ユーザがアプリケーションを使用するために選択した設定を記憶する。なお、医療用装置1000の出荷時にはデフォルト値が設定されている。また、ユーザ選択記憶部105は必ずしも備えていなくてもよい。この場合、全ての設定についてユーザが選択した場合と同じである。
設定データ入力部106は、医療用装置1000の外部から入力された設定データが有する複数の設定のうち、ユーザ選択記憶部105に記憶されたユーザが選択した設定について、外部から入力された当該設定データを記憶する。なお、外部から入力された設定データには、電子カルテアプリケーションが有する複数の設定の全部が含まれている場合と、複数の設定の一部のみ含まれている場合の両方がある。それらの中でユーザが選択した設定と重なるものについて、外部から入力された設定データとして記憶する。なお、上述のようにユーザ選択記憶部にはデフォルト値が設定されていてもよく、デフォルト値で何も選択されていなかった場合は何も適用されず、デフォルト値で全設定の選択だった場合は全ての設定が適用される。
機能設定記憶部200には、通常モードにおいて使用される通常設定の設定データ(通常設定データ)が記憶される。一時設定記憶部201には、カスタマイズ支援モードにおいて使用される一時設定の設定データ(以下、一時設定データ)が記憶される。機能設定記憶部200には、出荷当初は通常設定データのデフォルト値が格納されている。なお、この出荷時のデフォルト値は別の記憶部(記憶手段102等に存在)に記憶されていて、一番最初の電源投入時に機能設定記憶部200にこの別の記憶部からロードされるものであってもよい。これにより、デフォルト値に戻したい時には、ユーザの手動でこの別の記憶部から機能設定記憶部200に再ロードするだけで、デフォルト値に戻すことができる。
なお、ソフトウエアを処理するCPU100は、少なくとも処理部101を含み、他に設定データカスタマイズ部103、設定データ入力部106、DLファイル監視部109、DLファイル記憶部110などで構成されていてもよい。本実施形態ではCPU100は、処理部101、設定データカスタマイズ部103、設定データ入力部106、DLファイル監視部109で構成されているものとする。
CPU100は、上記の機能以外にデータプロセッシング機能やデータ表示、音声出力、データ入力等を処理する機能を含んでもよく、処理部101がこれらデータプロセッシング機能やデータ表示、音声出力、データ入力等を処理する機能を含んでもよい。また、医療情報DB300や機能設定記憶部200、一時設定記憶部201、ユーザ選択記憶部などは、例えばRAMやHDD内に存在している。
入力部400はキーボードやマウスなどの入力用デバイスのことであり、出力部401はLCDなどの表示デバイスや、スピーカなどの音声出力デバイスである。 サイト600は、インターネット上のHP(ホームページ)であり、本実施形態に係る医療用装置の設定データ、や、電子カルテアプリケーションの設定データを、それらの医療用装置または電子カルテアプリケーションを使用しているユーザがダウンロードやアップロードするためのコミュニティサイトなどのことである。
DLファイル記憶部110は、医療用装置1000の外部から入力された設定データを記憶し、後述の転送指示に従って設定データ入力部106へ設定データを出力する。DLファイル記憶部110は、例えば、フラッシュメモリなどの物理領域や、HDD上のテンポラリデータ用のフォルダ、電気通信回線500上の通信サーバや、サイト600などの内部に存在するインターネットのURL(Uniform Resource Locator)など外部のアドレスで表される論理上の領域などである。DLファイル監視部109は、DLファイル記憶部110に新たな前記設定データが追加されたことを検出する。なお、DLファイル記憶部110に新たな前記設定データが追加されたことが検出された場合に、DLファイル監視部109は上記転送指示をユーザに代わって自動的に出力してもよい。さらにこの場合、当該転送指示を受けて、設定データカスタマイズ部103は、カスタマイズ支援モードへのモード切り換えを行ってもよい。本実施形態では、DLファイル記憶部110に新たな前記設定データが追加されたことが検出された場合には、上で述べたように、DLファイル監視部109は上記転送指示を出力し、設定データカスタマイズ部103がカスタマイズ支援モードへのモード切り換えを行うものとする。転送指示は、DLファイル監視部109が出力する以外に、アプリケーションに供えられたボタンをユーザが押下するなどして、手動で行われてもよい。
外部出力部107は、機能設定記憶部200に記憶された設定データを、ユーザの指示に従って医療用装置1000の外部に対して出力する。外部に対して出力する先とは、例えば、サイト600、他のユーザの医療用装置2000がある。外部出力部107は、例えば、フラッシュメモリなどの物理領域や、HDD上のテンポラリデータ用のフォルダである論理上の領域などがある。
他のユーザの医療用装置2000は、上記医療用装置1000とは異なる他の医療用装置であり、構成は医療用装置1000と同じである。なお、同図には、機能設定記憶部2200、一時設定記憶部2201、外部出力部2107が明示されているが、機能設定記憶部2200は機能設定記憶部200に、一時設定記憶部2201は一時設定記憶部201に、外部出力部2107は外部出力部107に対応するものである。
図2では、汎用コンピュータ装置に医療情報を取り扱うソフトウエアをインストールすることによって、医療用装置1000を実現する構成例を示したが、医療用装置が複数の機器で構成されていてもよい。例えば、医療DB300がデータベースサーバやRAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks、又はRedundant Arrays of Independent Disks)に含まれて、医療用装置1000の外部に存在してもよい。また、DLファイル記憶部110が、例えば、電気通信回線500上の通信サーバやサイト600などの内部に存在してもよい。他に、機能設定記憶部200、一時設定機能部201、ユーザ選択記憶部105、DLファイル監視部109、外部出力部107などが医療用装置1000の外部に存在してもよい。この場合でも、それら外部の機能部を含めて医療用装置1000が構成される。
前記設定データカスタマイズ部103は、一時設定記憶部201と、機能設定記憶部200と、設定データ入力部106との間における設定データのやり取りを司るが、ユーザがアプリケーションを使用している際に、上述のカスタマイズ支援モードによって設定データをためしに使用する場合においては、具体的には前記設定データカスタマイズ部103は次のような動作を行う。
まず、機能設定記憶部200に記憶されている通常設定データが一時設定記憶部201にコピーされる。次に、ユーザ選択記憶部105に記憶された(ユーザが選択した)設定について、設定データ入力部106に記憶された(外部から入力された)設定データを使用して、この一時設定記憶部201に記憶された設定データの書き換えを行う。なお、この書き換えは、それまでのデータ(過去分)が消去される場合でも、それまでのデータ(過去分)に追記される場合でもどちらでもよい。なお、この場合の一時設定記憶部201に記憶される一時設定データは、この書き換え後のデータである。
この場合、処理部101は、このカスタマイズ支援モードでは、一時設定記憶部201から読み出した書き換え後の設定データ(一時設定データ)の設定に従ってアプリケーションの実行の処理を行う。たとえば、後述の実施例で述べるような、一時設定のテンプレートを使用して、一時設定の入力、表示フォーマットを使用するなどして、アプリケーションの処理を行う。また、当該アプリケーションの実行の処理の結果の保存を行う。例えば、当該アプリケーションの処理中における編集作業において、一時設定を使用した編集データ、通常設定を使用した編集データの保存を行う。
その後、カスタマイズ支援モードで一時的な設定として(すなわち一時的な環境として)使用していた上記の書き換え後の設定データを、ユーザが通常の設定として(すなわち通常で使用する環境として)使用したいと所望する場合は、ユーザはカスタマイズ支援モードで使用した設定を通常の設定として使用することを意図して、カスタマイズ支援モードから通常モードへ移行する。この場合、カスタマイズ支援モードの終了後の通常モードにおいて、この書き換え後の設定データを一時設定記憶部201から機能設定記憶部200にコピーし、以後はこの書き換え後の一時設定データを通常設定として使用することができるようにする。
加えて、処理部101は、この通常モードにおいては機能設定記憶部200から読み出した設定データの設定に従ってアプリケーションの実行の処理が行われるので、カスタマイズ支援モードの終了後の通常モードにおいては、上述の一時設定記憶部201から機能設定記憶部200にコピーされた書き換え後の設定データの設定に従ってアプリケーションの実行の処理が行われることとなる。
なお、医療用装置1000に外部から入力される設定データについてであるが、外部から入力された設定データはまずDLファイル記憶部110に蓄積され、その後、既述の転送指示に従って設定データ入力部106に記憶される。DLファイル記憶部110に蓄積されるタイミングは、ユーザが、電子カルテアプリケーションで外部サイト600などからダウンロードしたタイミングや、当該電子カルテアプリケーション以外のプログラム(例えば、インターネット閲覧用ブラウザなど)で外部サイト600などからダウンロードしたタイミングや、当該ユーザ以外のユーザが当該電子カルテアプリケーションを使用して外部サイト600などに設定データをアップロードしたタイミングなどである。
なお、図1の通知部1001、ユーザ指定部1002、処理出力部1003、設定データ決定部1004、ユーザ決定部1005は、図2では、処理部101に含まれている。
(動作フロー)
次に図3を使用して、医療用プログラムの動作について主に上で述べたカスタマイズ作業に関する部分を説明した動作フローについて述べる。同図における医療用プログラムが電子カルテアプリケーションである場合を例に説明する。
電子カルテアプリケーションがインストールされている汎用コンピュータ装置において、電子カルテアプリケーションが起動されると、ステップS100へ動作状態が移行する。
ステップS100では、電子カルテアプリケーションの初期設定がなされ、その中で、モードが通常モードに設定される設定データカスタマイズステップが含まれる。
ステップS101では、モード判定がなされ、モードがカスタマイズ支援モードの場合はステップS200へ移行し、モードが通常モードの場合はステップS102へ移行する。なお、モードの変更は、ユーザが手動で入力する場合や、DLファイル記憶部に新たな設定データが存在する場合に設定データカスタマイズ部103が自動で行う場合とがある。ユーザが手動で入力する場合には、出力部401であるモニタ等に「カスタマイズ支援モードへ移行する」旨、すなわち「設定データを一時的に適用する」旨をウインドウ等で表示することで、ユーザに設定データを一時的に適用することを促してもよい。
ステップS102では、機能設定記憶部200に記憶されている通常設定データに従って電子カルテプログラムにおける医療情報の入力、編集、表示などの処理を行う処理ステップが実行される。 なお、編集における表示などについては、出力ステップが司る。
ステップS103では、設定データが有する複数の設定の中からユーザが所望の設定を選択し、その選択設定を記憶する(ユーザ選択記憶ステップ)。
ステップS104では、外部から入力された設定データをDLファイル記憶部110に記憶する。および、転送指示が入力された場合は、当該転送指示に従ってこの設定データを設定データ入力部へ転送する。
ステップS105では、上記の転送された外部入力設定データについて、複数の設定のうちユーザ選択記憶ステップで記憶されたユーザが選択した設定について、上記転送された設定データを設定データ入力部に記憶する(ステップS105が設定データ入力ステップに該当する)。
なお、上記ステップS103〜S105は、上記のように都度実行されてもよいが、好ましくは、ユーザがその選択を変更した場合にのみ実行されてよい。
ステップS106では、ユーザからの指示に従い通常設定を手動で変更する。これは、カスタマイズ支援モードによるカスタマイズ作業の支援を受けずに、ユーザ自らが直接設定データを変更する場合である。例えば、アプリケーションにおけるユーザ設定変更のプルダウンメニュー等を経て所望の設定に変更するなどの場合である。
ステップS107では、アプリケーションを終了する指示がなされたかどうか判断され、終了指示がなされた場合は当該プログラムを終了して、コンソールへ戻るなどの処理がなされる。終了指示がなされなかった場合はステップS101へ戻る。
ステップS200からステップS205はカスタマイズ支援モードに関する動作である。
ステップS200では、まずモードをカスタマイズ支援モードへ変更する。 次に、通常設定データを一時設定記憶部201にコピーする。
ステップS201では、ユーザ選択記憶部105に記憶された設定について、設定データ入力部106に記憶された設定データを読み出す。
ステップS202では、読み出された設定データを使用し、一時設定記憶部201に記憶された設定データを書き換える。なお、この書き換え後のデータは一時設定データであるので、この書き換え後のデータを一時設定記憶部201に記憶する際の一時設定記憶部201へのアクセスを行うステップS202は、一時設定データの入出力を司る一時設定記憶ステップである。
ステップS203では、一時設定記憶部201から読み出した書き換え後の設定データ(一時設定データ)の設定に従って電子カルテアプリケーションにおける患者の医療情報を入力および表示をするための処理を行う。なお、編集における表示などについては、出力ステップが司る。
ステップS204では、モード判定がなされ、モードが通常モードへ変更された場合はステップS205へ移行し(同図中の「Y」)、モードがカスタマイズ支援モードのままの場合はステップS203へ戻る(同図中の「N」)。このステップS204において、出力部401であるモニタ等に「カスタマイズ支援モードを終了する」旨と、その中で「通常設定としての採用を決定させることを要求する」旨をウインドウ等で表示することで、ユーザに設定データを通常設定として採用を決定させる様に促してもよい。
このステップS204とステップS203のループ動作によって、ユーザがカスタマイズ支援モードにおいて一時設定データを使用したお試し動作を行い、その有益性、有用性を確認できる。なお、モードの変更は、ユーザが手動で入力する場合や、DLファイル記憶部に新たな設定データが存在する場合に設定データカスタマイズ部103が自動で行う場合とがある。
なお、同図中における「Y*」は、モードを通常モードへと変更を行うが、一時設定(データ)を通常モードでは使用しない、すなわち、書き換え後の設定データを一時設定記憶部201から機能設定記憶部200にコピーすることは行わない(設定データカスタマイズステップを使用しない)場合である。これにより、一時設定(データ)を通常モードで使用せず、通常モードでは元の設定のままアプリケーションの使用を続けることができる。これは、ユーザに一時設定(データ)を通常モードにおいても使用するかどうかの確認を行うことで達成できる。当該確認で「はい」は同図中の「Y」を意味し、「いいえ」は同図中の「Y*」を意味する。例えば一時設定(データ)が有益、有用である場合には、ユーザは当該確認で「はい」と回答し、有益、有用でない場合には、ユーザは当該確認で「いいえ」と回答するであろう。その後、ステップS102へ移行する。
ステップS205では、モードが通常モードに変更され(設定データカスタマイズステップ)、書き換え後の設定データを一時設定記憶部201から機能設定記憶部200にコピーする(設定データカスタマイズステップ)。このコピー動作における機能設定記憶部200へのアクセスは、通常設定データの機能設定記憶部200への入出力であるので、ステップS205は、機能設定記憶ステップである。これにより、一時設定(データ)を通常モードでも使用することができる。その後、ステップS103へ移行する。
設定データカスタマイズステップは、ステップS100、ステップS201とステップS202、ステップS205とが該当する。
ステップS103へ移行した後のステップS102で、機能設定記憶部200から読み出した設定データの設定に従って患者の医療情報を入力、編集および表示をするための処理が行われる(処理ステップ)。
なお、処理ステップにおける表示処理は、表示データを出力部401から出力させる出力ステップによって実現される。また、出力ステップが入力データ、編集データを出力部401から出力させることによって、処理ステップにおける入力、編集処理の一助となる。すなわち、出力部401に出力された(例えば表示モニタ等に表示された)入力データ、編集データを(目で見るなどして)確認しながら、ユーザは入力、編集を行うことができる。
処理ステップは処理部101において入力、編集、および表示等の処理を行う。
以上に説明した本発明の医療プログラムの実施例は、本発明が特徴する通知ステップと処理ステップと出力ステップと設定データ決定ステップと記憶ステップとを備えるものであり、これらの各ステップと上述の実施例との対応は以下のとおりである。
ユーザに対して設定データを一時的に適用することを指定させるための通知を行う通知ステップは、上記のステップS101で構成される。当該通知ステップによる通知に対応して、ユーザによって指定された設定データを用いて、アプリケーションの実行の処理を行う処理ステップは上述のステップS102からなる処理ステップである。この処理ステップによって実行されたアプリケーションの実行の処理の結果(編集データなど)をユーザに対して出力する処理出力ステップは上述のステップS101とステップS102、ステップS203、ステップS204とからなる出力ステップである。出力ステップの出力にあわせてユーザによって指定された設定データの通常設定としての採用をユーザに対して決定させることを要求する通知を行う設定データ決定ステップは、上記のステップS204で構成される。当該設定データ決定ステップによる通知の結果決定された設定データを採用して実行したアプリケーションの実行の処理の結果(編集データなど)を記憶する記憶ステップは、上述の記憶ステップである。
(作用及び効果)
以上のような、一時設定記憶部201および一時設定記憶ステップ、設定データカスタマイズ部103および設定データカスタマイズステップ等を有することで、ユーザはカスタマイズ支援モードにおいて一時設定(データ)の有益性、有用性を試すことができる。すなわち、一時設定(データ)を適用した電子カルテアプリケーションにおける患者の医療情報を入力および表示の動作(上記のステップS204とステップS203のループ動作)によって、ユーザが一時設定データを使用したお試し動作をすることができ、一時設定(データ)の有益性、有用性を確認することができる。
さらに、一時設定記憶部201に記憶された一時設定データを機能設定記憶部200へコピーすることで、通常動作で新たな設定(上記一時設定)を適用した動作を簡単にすることができ、一時設定記憶部201に記憶された一時設定データを機能設定記憶部200へコピーすることなく通常モードへ戻れば、お試しの一時設定を適用せずに、簡単に元の設定で使用することができる。元の設定とは、機能設定記憶部200内の設定データに基づくものであり、なお、上記の場合には機能設定記憶部200内の設定データは書き換えられてはいない。
なお、当該アプリケーションにおける設定データの変化は、
出荷時のデフォルト値⇔ユーザが設定した通常設定データ⇔一時設定データ
と表されるように、出荷時のデフォルト値とユーザが設定した通常設定データとの間、かつ、ユーザが設定した通常設定データと一時設定データとの間で変更が可能となっている。
以上により、ユーザのカスタマイズ作業に資する支援機能を備えた医療用装置および医療用プログラムを提供することができる。
本実施例では、設定データとして入力、表示フォーマットの設定を例として考え、入力、表示フォーマットを変更する場合の説明を行う。具体的には、ユーザ1が自分の入力、表示フォーマットを自分の医療用装置からサイト600へアップし、ユーザ2がその入力、表示フォーマットを自分の医療用装置へダウンロードする場合で説明する。入力フォーマット(以下、入力テンプレートとも呼ぶ)とは、電子カルテデータを入力する際の入力項目と、ユーザが内容を書き込む書き込み先である入力欄の種類や配置(座標や寸法等)などの設定情報をいい、表示フォーマット(以下、表示テンプレートとも呼ぶ)とは、その入力データを表示する際にどのような様式(表示欄の座標や寸法、文字の色、フォント、ポイント数、等)で出力するかを記述する情報である。なお、表示テンプレートを使用すれば、入力時とは違ったテンプレートで表示させる事ができる。よって、表示テンプレートの代わりに、入力テンプレートに対して表示テンプレートをどのように異ならせるかが定められている表示変換規則を使用しても良い。なお表示変換規則は、逆に表示テンプレートに対して入力テンプレートをどのように異ならせるか定めるものであってもよい。
図9、10、11にユーザ1の医療用装置における入力テンプレート、表示変換規則の設定情報を示す。
図9に入力テンプレートの設定情報を示す。ユーザ毎のユーザIDがふられ(以下、ユーザ1のIDを9741とする)、テンプレートID、テンプレート名とともにテンプレート情報が格納されている。テンプレートIDとテンプレート名は対応しており、テンプレートの適用局面等で分類される(例えば、「基本」、「特別」など)。テンプレート情報とは、そのテンプレートに含まれるラベルID、オブジェクトの座標などの事であり、OB数(オブジェクト数)はそのテンプレートIDにおけるそのオブジェクトの数を示している。オブジェクトとは、その入力テンプレートに含まれる入力枠、出力枠等のことである。
図10に入力テンプレートにおけるラベルの設定情報を示す。ユーザ毎のユーザIDがふられ、ラベルID、ラベル名とともに入力される種別(文字、数値など)、ラベルの横(Width)、縦(Height)の長さ、体温や脈圧などの単位が格納されている。ラベルIDとラベル名は対応しており、ラベルの適用局面等で分類される(例えば、「主訴」、「血圧」、「体温」、「○○歴」など)。種別において、文字には01、数値には02の2桁の数字が割り当てられている。なお、単位が無い場合は、単位の列には「0」が記載されている。
図11に表示変換規則設定情報を示す。ユーザ毎のユーザIDがふられ、規則IDとともに入力フォーマットを出力フォーマットに変換する変換式が格納されている。規則IDは規則の適用される局面等で分類される。例えば、「血圧」、「体温」、などの入出力対象毎に分類されても良い。
図12にユーザ1の医療用装置における入力テンプレートの設定情報をサイト600に向けて出力する際の選択画面を示している。テンプレート一覧に表示されているテンプレート名を選択すれば、内容プレビューに図9の入力テンプレートの設定情報、図10の入力テンプレートにおけるラベルの設定情報に従ったテンプレートが表示される。同図に示すように、主訴の部分の矩形(ラベル)はラベルID=L001のラベルが表示され、収縮期血圧の部分の矩形(ラベル)はラベルID=L002のラベルが表示され、拡張期血圧の部分の矩形(ラベル)はラベルID=L003のラベルが表示されている。なお、ユーザ1の医療用装置における表示変換規則の設定情報をサイト600に向けて出力する際の選択画面は、図12に準じた形で出力部401に表示される。ユーザは入力部400を使用して選択する。
図13にユーザ1の医療用装置における定型文(設定ファイル)の出力構成、およびその内容を示す。ファイル「template9741_002.cfg」を、HDD上のディレクトリ「C:\Data\output\」に出力する(外部出力部107に相当)。
ファイル「template9741_002.cfg」の内容は同図に示すとおりである。ファイル中には、入力テンプレート設定情報、ラベル設定情報、表示変換規則情報が記載される。「#」の識別文字の後ろには、これらの情報名の何れかが記載されている。なお、この「#」の識別文字で始まる行は、当該アプリケーションにおいてはコメントの行として解釈される。
「#入力テンプレート設定情報」以下では、TemplateID、TemplateName、countと、ID1、ID2などの3桁の英数字、の各行が入力テンプレート設定情報として記載されている。TemplateIDとTemplateNameはテンプレートIDとテンプレート名のことであり、Countは、ファイル中に存在するテンプレート数を表わし、同図のファイル中には3つ存在している。テンプレートが一つの場合は「ID1=」の後ろにテンプレート情報(ラベルID、オブジェクトの座標など)が記載され、2つの場合は、「ID1=」の後ろと「ID2=」の後ろにテンプレート情報が記載される。3つ以上の場合は、この規則性に従い記載される。
「#ラベル設定情報」以下では、L001、L002などの3桁の英数字(ラベルID)の各行がラベル設定情報として記載されている。L001などの3桁の英数字の後ろには、「=」を挟んで、ラベル名、種別(2桁の数字で記載)、ラベルの横、縦の長さ、単位が順番に記載されている。
「#表示変換規則情報」以下では、P001の3桁の英数字(規則ID)の行が表示変換規則情報として記載されている。P001の3桁の英数字の後ろには、「=」を挟んで、入力フォーマットを出力フォーマットに変換する変換式が順番に記載されている。
図14、15、16にユーザ2の医療用装置のDLファイル記憶部110または、一時設定記憶部201に上記の入力テンプレート、表示変換規則の設定情報(設定ファイル)がダウンロードされた場合を示している(ユーザ2のIDを9865とする)。図の見方は、各々図9、10、11と同じである。なお、図14、15、16では、図7のようにユーザ2の既存の設定情報がオーバライトされて書き換えられることなく、データ列の最下にユーザ1の設定情報が追記されている。この際、テンプレートIDやラベルID、規則IDが、ユーザ2の医療用装置で使用されていない未使用のID値に各々リナンバされる。なお、図14、15、16においてユーザ2の既存の設定情報がオーバライトされて書き換えられてもよく、図7においてデータ列の最下にユーザ1の設定情報が追記されてもよい。
図8のカスタマイズ支援モードにおけるユーザ2の医療用装置の表示例によると、画面の下半分の左側に、サイトを通じてユーザ1から入手したテンプレートおよび表示変換規則に従って患者の体温、血圧が表示されている。同図における、選択小ウインドウW1、W3、とボタンW2、表示W4、およびアプリケーションの実行の処理の結果DK1、DK2、定型文TB1については、実施例1の場合と同じである。よって、選択小ウインドウW1の表示データが、通知部1001から出力部401へ向けて出力され、選択小ウインドウW3の表示データが、設定データ決定部1004から出力部401へ向けて出力される点も同じである。また、定型文TB1が、一時設定記憶部201から、処理出力部1003、出力部401を経て出力される点も同じである。
以上により、ユーザ1のテンプレートや表示変換規則などを医療用装置からサイト600へアップし、ユーザ2がそのテンプレートや表示変換規則などを自分の医療用装置へダウンロードしてカスタマイズ支援モードで使用することができ、そのテンプレートや表示変換規則などの有益性、有用性を確認してからユーザ2がそのテンプレートや表示変換規則などを通常でも使用するかどうかを判断することができる。よって、ユーザのカスタマイズ作業に資することができる。
上記の2つの実施例の場合において、例えばユーザ1が医療用装置2000を使用し、ユーザ2が医療用装置1000を使用しているとして、以下で2者間の設定情報等のデータのやり取りについて説明を行う。
ユーザ1は図5、図12の画面を使用して、医療用装置2000の機能設定記憶部2200にある自分の設定情報の中から出力するものを選択し、機能設定記憶部2200から外部出力部2107、電気通信回線500を経てサイト600へ選択した設定情報をアップロードする。
ユーザ2が電子カルテアプリケーションやブラウザ等を使用してサイト600にアクセスすると、サイト600に、アップされている設定情報のファイル名(上述のteikei9741_001.cfgやtemplate9741_002.cfgなど)の一覧が説明文付きで表示される。ユーザ2は、一覧の中から希望するものを選んでダウンロードする。ダウンロード先は、DLファイル記憶部110であるが、具体的にはHDD上のディレクトリなどである。なお、ダウンロードしたい設定情報について医療用装置1000に設定しておくことで、サイト600に所望の設定情報がアップロードされた場合に、自動で当該設定情報(ファイル)がダウンロードされてもよい。また、ダウンロードした設定情報のうち、どの設定情報を反映させるかを反映設定として事前に個別指定しておく。例えば、設定ファイルに記述されている設定情報の全てを反映させる、ファイル中の入力テンプレートとラベル設定のみを反映させ表示変換規則は反映させない、表示変換規則のみ設定情報を反映させるなど、個別に指定するものであってよい。なお、この反映設定は、ユーザ選択記憶部105に記憶される。なお、DLファイル記憶部110がサイト600の割り当てられた領域である場合に、そこにアップロードされた設定情報を、医療用装置に直接ダウンロードされたものとして扱ってもよい。
DLファイル監視部109は、所定のタイミングでDLファイル記憶部110を監視して、DLファイル記憶部110に存在する設定ファイルのファイル名リストを内部的に保持し、管理する。DLファイル監視部109がDLファイル記憶部110を監視した際に、それまでに保持、管理しているファイル名リストにないファイル名の設定ファイルがDLファイル記憶部110に存在した時は、DLファイル記憶部110に新たな設定データが追加されたことが検出されたとして、DLファイル監視部109は転送指示を出力し、ファイル名リストを更新する。
DLファイル記憶部110はユーザの手入力などによる転送指示に従って設定データ入力部106へダウンロードした設定データを出力する。ここでは、DLファイル記憶部110は、DLファイル監視部109が出力した転送指示によって、設定データ入力部106へダウンロードした設定データ(ファイル)を出力し、設定データカスタマイズ部103は、カスタマイズ支援モードへのモード切り換えを自動で行うことになる。モード切り換えは、ユーザの手入力等でも行えるが、ここでは上記のように自動で行う例で説明している。
カスタマイズ支援モードへのモード切り換えにより、機能設定記憶部200の内容が一時設定記憶部201にコピーされて、ユーザ選択記憶部105の内容(ユーザが選択した設定)について、設定データ入力部106に記憶された上記の外部からダウンロードされた設定データを使用して、一時設定記憶部201に記憶された設定データを書き換える。この書き換えは、既述のように、全部または一部をオーバーライトしてもよいし、追記的にライトされてもよい。
上記の2つの実施例の場合において、カスタマイズ支援モードへのモード切り換えにより、機能設定記憶部200を使用せずに一時設定記憶部201を使用して動作する「カスタマイズ支援モード」でアプリケーション動作を行う。なお、カスタマイズ支援モードとは、試用モード、一時設定モードと同義である。
既に述べたように、「試用モード開始」ボタン等を押すと、画面には「試用モードに切り替えますが、よろしいですか?」というダイアログが小ウインド等で表示され、ユーザにモード切り換えの確認、催促を行う(図8(a))。
小ウインド中の「YES」ボタンを押すことなどすることで「試用モード」に切り替わり、画面の下部に、「試用モード」等と表示され、試用モードが実行される。
なお、事前に上述の反映設定を設定する場合については、カスタマイズ支援モードに切り替える際にダイアログを出すなどして、ユーザに試用を所望する設定を選択させてよい。また、全ての設定について反映設定にしておき、試用モードから「試用モード終了」ボタンを押した際に、どの設定を反映させるかを選択させる様にしてもよい。
ユーザが「カスタマイズ支援モード」において、「試用モード終了」ボタン等を押すと、「試用中の設定内容を反映させて試用モードを解除しますか?」というダイアログ小ウインドが現れ(図8(b))、「YES」を押すと、一時設定記憶部201の内容を機能設定記憶部200に上書きして、「カスタマイズ支援モード」を解除する。
なお、本実施形態では、ユーザの選択により上記のダイアログ小ウインド(図8(b))において、「NO」を押した場合、設定データカスタマイズ部103は、カスタマイズ支援モードの終了後の通常モードにおいて、書き換え後の設定データを一時設定記憶部201から機能設定記憶部200にコピーしない。一方、カスタマイズ支援モードの終了後の通常モードにおいて設定データカスタマイズ部103が書き換え後の設定データを一時設定記憶部201から機能設定記憶部200にコピーしない場合には、処理部101は、カスタマイズ支援モードにおいて電子カルテアプリケーション等の医療用プログラムの実行の処理で編集された、患者の医療情報や金銭に関する医療情報等の編集データ(当該編集データを「新編集データ」と呼ぶ)については、本実施形態では保存を行わない。これは、設定情報の適用を望まないにも関わらず、それら設定情報を使用した編集データの保存をユーザが望まないと考えられるからである。なお、蓄積されている患者の医療情報や、会計、出納、請求等の金銭に関する医療情報等に基づいて過去に編集されたデータがある場合には(このデータを「旧編集データ」と呼ぶ)、上記新編集データが保存されない事から、当該旧編集データをそのまま残す事を意味する。
一方、上述のダイアログ小ウインドにおいて、「YES」を押した場合は、一時設定記憶部201の内容を機能設定記憶部200に上書きすると共に(上述)、患者の医療情報や金銭に関する医療情報等の編集データ(新編集データ)の保存を行う。これは、設定情報の適用を望む場合は、それら設定情報を使用した編集データの保存をユーザが望むと考えられるからである。なお、蓄積されている患者の医療情報や、会計、出納、請求等の金銭に関する医療情報等に基づいて過去に編集された旧編集データが無い場合は、このように新編集データを保存するだけでよいが、旧編集データが存在する場合は、上記新編集データを保存することがユーザの望みにかなうと考えられる事から、当該旧編集データを破棄して(旧編集データに代えて)新編集データを残す、すなわち新編集データの保存を行う。
これらの編集データの保存は、先に述べたように処理部101で行われる。
これまで説明してきた事により、処理部101は、カスタマイズ支援モードにおいて使用される設定データである一時設定データを通常モードにおいて使用される設定データである通常設定データとして使用する場合には、カスタマイズ支援モードにおける電子カルテアプリケーションの実行の処理で一時設定データを使用して編集された編集データ(新編集データ)の記憶手段102への保存を行う。すなわち、カスタマイズ支援モードの終了後の通常モードにおいて、設定データカスタマイズ部103が書き換え後の設定データを一時設定記憶部201から機能設定記憶部200にコピーする場合には、カスタマイズ支援モードにおける電子カルテアプリケーションの実行の処理で一時設定データを使用して編集された編集データ(新編集データ)についての保存を行う動作をする。
なお、本実施形態における処理部101における編集動作とは、電子カルテアプリケーションにおいて、設定データである定型文や、入力テンプレート、表示テンプレートを用いて経過等や処方等の欄においてユーザが入力を行った際に、入力された新規のデータ(文章や数値等を含む)や、それらに付属する情報(それら入力されたデータの入力箇所等の情報)を記憶手段102の一時的に保存する領域(一般に、作業領域などと呼ばれる)に記憶するものである。さらに、それらのデータを修正、再入力したデータや、それらに付属する情報(それら修正、再入力されたデータの入力箇所等の情報)を記憶手段102の一時的に保存する領域に記憶する。その後、ユーザが当該編集データを保存する指示を行った場合には、それらの編集データを記憶手段102の本保存用の領域(保存領域などと呼ばれることがある)に記憶する。
また、記憶手段102に保存された編集データを出力する出力部401を備えているので、ユーザは出力部401の出力にあわせて(例えば、表示モニタなどである出力部401に表示等された処理部101によって実行されたアプリケーションの実行結果(入力データ、編集データ等)を、目で見るなどして確認しながら)、アプリケーションの実行(入力、編集等の作業)を行うことができる。またこの中で設定データ決定部は、出力部401の出力にあわせて、ユーザによって指定された一時設定を通常設定として採用を決定させることを要求する通知をユーザに対して行う。なお、設定データ決定部による通知の結果ユーザによって決定された設定データを採用して実行したアプリケーションの実行の処理の結果は記憶手段102に記憶され、出力部401は記憶手段102に記憶された実行の処理の結果を出力する。
カスタマイズ支援モードを終了する際に、「試用中の設定内容を反映させて試用モードを解除しますか?」の小ウインドにおいて「NO」を押した場合に、一時設定を全て不適用にしてもよいし、ユーザが選択した設定については適用する(又は不適用にする)ようにしてもよい。この場合、ユーザ選択記憶部105に、上記設定データ入力部106に外部から入力された当該設定データを記憶する際に使用した選択設定とは別の(適用する又は不適用にする)選択設定として予め記憶させておいてもよいし、「NO」を押した場合に選択画面(不図示)が現れて、ユーザに適用する(又は不適用にする)設定を選択させるものであってもよい。
[その他の実施形態]
上では、医療用プログラムが電子カルテアプリケーションである例で実施の形態の説明を行った。なお、医療用プログラムはこれに限られず、レセプトオンラインのプログラム(医療用の会計、出納、の電算、オンライン請求、等のプログラム)であっても良い。この場合であっても、患者の医療情報は使用され、加えて、会計、出納、請求等の金銭に関する医療情報等が使用される。金銭に関する医療情報の実施の形態であっても、電子カルテアプリケーションを例に述べたような、定型文や、入力テンプレート、表示テンプレートを使用するので、上記実施形態からその実施の形態は容易に想到できる。よって、詳細の説明は省略する。
本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施の形態は、あくまでも、本発明の一つの実施形態であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施の形態に記載されたものに制限されるものではない。