従来より、建物などには、火災や地震などの災害発生時に起きる商用電源の停電で周囲の状況を把握できなくなり避難が困難になることを防止するため、避難通路の照度を確保する非常用照明器具が設けられている。
この種の非常用照明器具には、光源部と、非常用の予備電源として機能する蓄電池(たとえば、ニッケル水素二次電池など)とを器具本体に内蔵した電源内蔵型の非常用照明器具と、商用電源が停電する非常時に外部の予備電源(たとえば、非常用の直流電源装置など)から電力の供給を受けて器具本体の光源部を点灯する電源別置型の非常用照明器具とがある。
ここで、電源別置型の非常用照明器具は、たとえば、病院、映画館、百貨店などの特殊施設やオフィスビルやマンションなどの大規模施設において数百個から数千個も設置される。各非常用照明器具は、光源部を点灯するため、耐火電線などにより外部の予備電源と電気的に接続している。電源別置型の非常用照明器具は、商用電源の停電時に予備電源が即時に起動し所定の時間(たとえば、30分)の間、予備電源から耐火電線を介して電力の供給を受け、光源部を点灯することが可能に構成している。
電源別置型の非常用照明器具は、電源内蔵型の非常用照明器具のように、各非常用照明器具の器具本体に蓄電池を内蔵していない。そのため、電源別置型の非常用照明器具は、電源内蔵型の非常用照明器具のように、蓄電池の寿命に伴い各非常用照明器具それぞれから個別に蓄電池を取り出して交換する作業が必要でない。電源別置型の非常用照明器具は、非常用照明器具に共通の外部の予備電源を保守点検などするだけで済む。そのため、電源別置型の非常用照明器具は、電源内蔵型の非常用照明器具を数百個から数千個設置させた場合と比較して、数百個から数千個にもおよぶ個別の非常用照明器具の各蓄電池を点検交換する手間を省くことが可能というメリットがある。
ところで、非常用照明器具は、一般に、光源部としてハロゲン電球やシリカ電球などの白熱電球が使用されている。そのため、非常用照明器具は、消費電力(たとえば、ハロゲン電球では、40W)が大きい。非常用照明器具を数百個から数千個も設置する場合、電源別置型の非常用照明器具と電気的に接続される予備電源は、電源容量が比較的大きなものを必要とし、電源別置型の非常用照明器具の設置時における初期費用が高くなる傾向にある。また、電源別置型の非常用照明器具と電気的に接続する電源容量が大きな予備電源は、予備電源自体の大きさが大型であるため、予備電源の設置場所を確保するのが難しいという問題も生ずる。
また、非常用照明器具を天井材に設置した場合、非常用照明器具は、器具本体直下から所定の半径内の床面の水平面照度を所定の照度以上とできるようにすることが求められる。光源部にハロゲン電球などを用いた非常用照明器具では、器具本体から照射される軸上光度が低く、且つ周囲にいくほど光度が高くなるような配光特性を得られる反射鏡が必要となる。また、光源部にハロゲン電球などを用いた非常用照明器具は、ハロゲン電球などの寿命を考慮して定期的に取り替え可能なようにソケットが必要となる。そのため、電源別置型の非常用照明器具は、電源内蔵型の非常用照明器具のように、蓄電池が内蔵されていないにもかかわらず、器具本体の高さ方向の寸法を小さくすることが難しい問題がある。
ところで、近年、ハロゲン電球などと比較して、長寿命で小型且つ、低消費電力であるLEDを光源部として備えた照明器具が開発されている。ここで、非常用照明器具ではないが、光源部としてLEDを備えた照明器具として、たとえば、図3に示すように、ランプ装置30と、ランプ装置30の口金部35が挿入される嵌合孔を備えたソケット装置13と、ソケット装置13が当接する平板部17および平板部17と繋がった反射板部18を備えた器具本体12とを有するダウンライトが知られている(たとえば、特許文献1)。
ここで、ランプ装置30は、光源部として複数個のLED32を備え、これらLED32を一表面側に実装する配線基板48と、LED32を点灯する点灯回路の回路部品50を実装する回路基板49と、配線基板48の他表面36側と回路基板49側とを密着させる平円盤状の金属部品39とを有し、熱伝導接続手段たる螺子42によって金属部品39をランプ装置本体31に螺子止めしている。
上述の特許文献1のランプ装置30は、金属部品39がランプ装置本体31の金属部38である外周部40の接触面41に当接している。ランプ装置30は、リード線51を介して回路基板49と電気的に接続したランプピン45の径大部47を、ソケット装置13の接続孔に挿入して固定するとともに電気的に接続している。このとき、ランプ装置30は、ソケット装置13と当接面43で当接している。なお、ランプピン45は、絶縁材46でランプ装置本体31と電気的に絶縁されている。また、ランプ装置30のランプ装置本体31は、放熱のためアルミダイカスト製としている。
上述の特許文献1のダウンライトを非常用照明器具に応用した場合、非常用照明器具は、光源部としてLED32を備えることで、一般の非常用照明器具におけるハロゲン電球などと比較して、光源部の寿命に伴う交換の手間を少なくすることができる。また、特許文献1のダウンライトを応用した非常用照明器具は、非常用照明器具の配光特性に合わせたハロゲン電球用の反射鏡を用ける必要もない。そのため、特許文献1のLED32を光源部としたダウンライトを電源別置型の非常用照明器具に応用した場合、非常用照明器具を小型化することが可能となる。
ここで、ランプ装置30は、光源部となるLED32の点灯に伴う発熱により、LED32自体の温度が高くなる。LED32は、LED32自体の温度が高くなり過ぎると、熱劣化してLED32の寿命が急激に短くなる特性を備えている。光源部としてLED32を備えた上述の特許文献1のダウンライトでは、LED32の寿命を長寿命(たとえば、2万時間から4万時間)とするため、LED32自体の温度を下げる放熱構造を備えている。すなわち、特許文献1のランプ装置30では、LED32の発熱により生じた熱を配線基板48と接触させた平円盤状の金属部品39および金属部品39をランプ装置本体31に螺子止めする螺子42を介してアルミダイカスト製のランプ装置本体31側に放熱させる構成としている。これにより、特許文献1のランプ装置30は、光源部のLED32の温度を所定の許容温度以下に維持することでLED32の寿命を確保している。
(実施形態1)
以下、本実施形態の電源別置型の非常用照明器具10を図1に基づいて説明する。なお、図中において同じ部材に対しては、同じ番号を付している。
本実施形態の非常用照明器具10は、非常時に外部の図示していない予備電源(たとえば、複数個の蓄電池を直並列に接続させた非常用の直流電源装置)からの電力の供給を受けて器具本体1に備えた光源部3を点灯する。非常用照明器具10は、有底円筒状の外殻部となる器具本体1と、該器具本体1の内部に収容できるように、外周面2cが器具本体1の内周面と相似形で器具本体1よりも若干小さい有底円筒状の樹脂ケース2とを備えている。また、非常用照明器具10は、光源部3を構成する複数個(ここでは、3個)のLED3aが一表面5a側に実装されたガラスエポキシ樹脂材料からなる配線基板5が樹脂ケース2の開口部2aを覆うように設けられている。
配線基板5のLED3aが実装された一表面5aと対向する他表面5b側には、LED3aを点灯するための点灯回路の回路部品4が半田などを用いて実装されている。配線基板5は、LED3aが実装された一表面5a側の配線パターン(図示していない)と、LED3aの点灯回路を構成する回路部品4が実装された他表面5b側の配線パターン(図示していない)とが配線基板5の厚み方向に貫設した貫通配線(図示していない)を介して電気的に接続されている。また、配線基板5の他表面5b側には、非常時に予備電源から電力の供給を受ける耐火電線(図示していない)と電気的に接続可能な端子台8を備えている。端子台8は、LED3aに電力を供給するため、点灯回路を介してLED3aと電気的に接続されている。
樹脂ケース2は、開口端部に開口部2a側に向かって突出する突出部2b,2bを樹脂ケース2の奥行き方向(図1の上下方向)に沿って一対設けている。樹脂ケース2は、配線基板5の端部が一対の突出部2b,2bの間に挟持させて、配線基板5を保持している。すなわち、非常用照明器具10の樹脂ケース2は、配線基板5の他表面5b側を覆って配線基板5を保持することになる。
これにより、本実施形態の非常用照明器具10は、LED3aと、LED3aが一表面5a側に実装された配線基板5と、配線基板5の他表面5b側に実装された点灯回路の回路部品4と、端子台8とが一体化して構成されたLEDユニット11を備えている。本実施形態の非常用照明器具10では、樹脂ケース2がLEDユニット11を保持していることになる。また、非常用照明器具10は、光源部3から光が取り出すことができるように、LEDユニット11を保持する樹脂ケース2ごと、器具本体1の内部に収容している。
また、非常用照明器具10は、光源部3からの光を取り出す器具本体1の開口部1aを覆うように、LED3aからの光を所定の配光とするレンズ9を備えた枠体部6を、器具本体1の前面側に設けている。枠体部6は、円盤状であって中央部に開口6aが設けられている。枠体部6の開口6aにおける内端部にレンズ9を保持する保持突起部6bが一対設けられている。枠体部6は、レンズ9の外周部に設けられた鍔部9aを枠体部6の開口6aの外周に沿って設けられた一対の保持突起部6b,6bで保持している。枠体部6は、器具本体1に収容された樹脂ケース2と器具本体1との隙間に、該隙間よりも若干厚みが厚く、枠体部6からレンズ9を囲むように突出した円筒状の保持枠6cを挿入して樹脂ケース2や保持枠6cの弾性力により器具本体1と一体化している。
すなわち、本実施形態の非常用照明器具10は、有底円筒状の器具本体1と、LED3aからの光を外部に所定の配光で照射するためのレンズ9を保持する枠体部6とで、LEDユニット11を保持する樹脂ケース2を器具本体1の内部に収容して固定している。なお、非常用照明器具10の光源部3となる複数個のLED3aから照射される光の配光を個別に制御するため複数個の反射部(図示していない)を配線基板5の一表面5a側に別途に設けてもよい。光源部3としてLED3aを備えた非常用照明器具10は、LED3a自体が小型であるため、光源部にハロゲン電球などを用いたものと比較して、レンズ9や反射部を備えていても、小型化を比較的容易に行うことが可能となる。
非常用照明器具10の器具本体1は、器具本体1の開口部1aの開口縁から外方へ延設された外鍔部1bを備えている。また、器具本体1の外側面1cには、非常用照明器具10を造営材たる天井材Cに固定する際に用いられる複数個(ここでは、2個)の板状の取付ばね7,7を設けている。取付ばね7は、取付ばね7の幅方向の端部を挟持する器具本体1の外側面1cに設けられた挟持部(図示していない)に、外形がL字形状の取付ばね7の一端部7aを嵌め込み器具本体1側に係止させている。本実施形態の非常用照明器具10は、天井材Cに貫設された取付孔C1に挿入され、複数個(ここでは、2個)の取付ばね7,7と、器具本体1の外鍔部1bとにより、天井材Cを挟持して固定する。
本実施形態の非常用照明器具10は、外部の上記予備電源と電気的に接続された上記耐火電線を、器具本体1および樹脂ケース2に貫設された図示しない貫通孔を通して端子台8に接続させて、LEDユニット11に給電可能としている。
非常用照明器具10の施工にあたっては、端子台8を上記耐火電線と電気的に接続させた後、器具本体1の外側面1cに設けられた各取付ばね7,7の他端部7b,7bを、器具本体1の外側面1c側に近づけるように押し倒した状態で、天井材Cの取付孔C1に挿入する。非常用照明器具10は、器具本体1の外鍔部1bが天井材Cの取付孔C1の周部に当接するまで取付孔C1に押し込まれると、取付ばね7,7が器具本体1の外側面1cから離れる方向に開く。ここで、非常用照明器具10は、取付ばね7の一部が取付孔C1の周部に弾接し、取付ばね7の一部と、器具本体1の外鍔部1bとで天井材Cを挟持することにより、天井材Cに取り付けられる。
こうして天井材Cに取り付けられた本実施形態の非常用照明器具10は、非常時に点灯すると、非常用照明器具10直下から所定の半径内の床面の水平面照度を所定の照度とする。すなわち、非常用照明器具10は、LED3aが発光した光がレンズ9に入射され、レンズ9のレンズ効果により屈折することで、LED3aから照射された光の配光分布よりも、より広い非常用照明器具10の配光分布に適した所定の広角な光を照射するように構成している。
ところで、電源別置型の非常用照明器具10では、LED3aの寿命が、たとえば、100時間程度あればよい。そのため、非常用照明器具10は、一般照明の光源部としてLED3aを備えた場合におけるLED3aの目標寿命(たとえば、2万時間から4万時間)よりも短く設計することができる。したがって、非常用照明器具10は、光源部3としてLED3aを備えたダウンライトなどと比較して、放熱用の構造に関し、より簡易な構造とすることができる。
非常用照明器具10は、光源部3を配線基板5に実装させたLEDユニット11を、金属材料と比較して一般に熱伝導性が低いが加工性に優れた樹脂ケース2に保持させている。すなわち、非常用照明器具10は、LEDユニット11を樹脂ケース2に保持した場合でも、非常用照明器具10におけるLED3aの寿命を満足するLED3a自体の許容温度にすることができる。なお、非常用照明器具10は、配線基板5の一表面5aにLED3aを実装するとともに、配線基板5の他表面5b側に点灯回路の回路部品4を実装する構造とすることにより、点灯回路用の基板を別途に設ける必要もなく、より小型化が可能としている。
以下、本実施形態の非常用照明器具10の各構成について、より具体的に詳述する。
本実施形態の非常用照明器具10に用いられる器具本体1は、金属材料(たとえば、アルミニウムやステンレスなど)や各種の樹脂材料で構成することができる。器具本体1を金属材料で構成する場合、非常用照明器具10の施工時などに収容する樹脂ケース2が外力により撓んで変形することを抑制することが可能となる。また、器具本体1を金属材料で構成することにより、樹脂材料で形成させたものと比較して、非常用照明器具10の耐火性を向上させることができる。器具本体1は、樹脂ケース2および配線基板5を、枠体部6を用いて器具本体1の内部側に収容させて固定することができる。また、器具本体1には、樹脂ケース2を収容する開口部1aの開口縁から外方へ延設され、非常用照明器具10の天井材C側への固定に利用することができる外鍔部1bを好適に備えているが、器具本体1を天井材Cへ直接螺子止めする場合などでは必ずしも必要ではない。本実施形態の非常用照明器具10に用いられる器具本体1は、有底の円筒状に形成しているが、円筒状に限られず、有底の矩形筒状や椀形状であってもよい。
本実施形態の非常用照明器具10に用いられる樹脂ケース2は、LED3aが一表面5a側に実装され、他表面5b側に回路部品4および端子台8が実装された配線基板5からなるLEDユニット11を保持することが可能なものである。このような樹脂ケース2は、各種の樹脂材料(たとえば、PBTなど)を用いて射出形成などにより形成することができる。本実施形態の非常用照明器具10に用いられる樹脂ケース2は、器具本体1の内部に収容できるように、外周面2cが器具本体1の内周面と相似形で、器具本体1よりも若干小さい有底円筒状に形成させているが、LEDユニット11を保持し、器具本体1の内部に収容可能であれば、矩形筒状など適宜の形状とすることができる。樹脂ケース2は、LEDユニット11を保持させることで、LEDユニット11と一体として取り扱うことができ、非常用照明器具10の組み立てや設置を簡便に行うことが可能となる。
本実施形態の非常用照明器具10に用いられる光源部3を構成するLED3aは、給電により光を照射することが可能な半導体発光素子である。このようなLED3aとして、たとえば、青色光や紫外線を発するLEDチップと、該LEDチップから放射された光エネルギーにより励起されて、より長波長の光を放射する粒子状の蛍光体(たとえば、青色光により励起され発光波長域がブロードな黄色系の光を放射する蛍光体や紫外線により励起され青色、緑色および赤色をそれぞれ発光可能な3種類の蛍光体など)が含有された色変換部材とを備えることで、白色光などの混色光を照射させることができる。
LED3aの構造は、図示しないが、たとえば、LEDチップから放射された光の配光を制御するドーム状に形成され、パッケージ基板との間に、上記LEDチップを収納する形で、上記パッケージ基板の一表面側とで囲まれた空間で上記LEDチップおよび該LEDチップと電気的に接続されたボンディングワイヤを封止した透光性材料(たとえば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂やガラスなど)からなる封止部と、パッケージ基板の上記一表面側から上記封止部を覆う形で配設され上記LEDチップから放射され上記封止部を透過した光によって励起され上記LEDチップとは異なる色の光を放射する蛍光体を含有した透光性材料により、ドーム状に形成された色変換部材とを備えたものを用いることができる。また、上記色変換部材と上記封止部の表面との間には、空気層を備えて形成することもできる。
ここで、LED3aは、たとえば、発光層に青色光を放射するInGaNなどの窒化ガリウム系化合物半導体を用いたLEDチップと、青色光を吸収して補色となる黄色光などを放射するEuで付活された(Sr,Ba)2SiO4などの希土類でドープされた珪酸塩系の蛍光体、Ceで付活されたY3Al5O12やCeで付活されたTb3Al5O12などの希土類でドープされたアルミネート系の蛍光体などが透光性材料中に含有された上記色変換部材とを用いることで白色光を得ることができる。
さらに、LED3aは、上記色変換部材を用いる代わりに蛍光体を含有しない透光性部材で、赤色光を発光する赤色LEDチップ、緑色光を発光する緑色LEDチップおよび青色光を発光する青色LEDチップを覆った構成として、白色光を発光させることもできる。このような、LED3aは、リフロー半田付けなどにより、配線基板5の一表面5aの上記配線パターンに表面実装するとともに電気的に接続させることができる。
このほか、LED3aは、ベアチップとなるLEDチップでもよいし、LEDチップを合成樹脂などのパッケージで被覆させ外部に給電のためのリード端子が設けられた表面実装型発光ダイオードなどを用いてもよい。
非常用照明器具10に用いられるLED3aは、所望に応じて配線基板5の一表面5a上に複数個設けることができ、各LED3aを配線基板5の一表面5a側の上記配線パターンを用いて電気的に直列接続、並列接続や直並列接続させてもよい。配線基板5の一表面5a側のLED3aは、平面視において、マトリックス状、千鳥状や円形状など適宜に配置させることができる。
本実施形態の非常用照明器具10における点灯回路の回路部品4は、外部の予備電源から供給される電力に基づいて光源部3のLED3aを点灯可能な点灯回路の構成に用いている。非常用照明器具10は、少なくとも商用電源などの停電時に外部の予備電源からの電力の供給を受けて、非常用照明器具10におけるLED3aの寿命を満足するLED3a自体の許容温度で点灯できればよい。したがって、非常用照明器具10は、非常用照明器具10におけるLED3aの寿命を満足するLED3a自体の許容温度であれば、平常時に外部の商用電源を利用して光源部3のLED3aを点灯させることもできる。すなわち、点灯回路は、平常時に外部の商用電源(図示していない)から供給される交流電力を整流した後に、平滑化して直流電流を出力する整流平滑部(図示していない)と、該整流平滑部からの直流電流をLED3aに一定の電流として供給するための定電流電源部(図示していない)とを備えた構成としてもよい。なお、非常用照明器具10は、非常用照明器具10におけるLED3aの寿命を満足するLED3a自体の許容温度内であるかを温度センセで検知してLED3aを消灯させる機能を備えてもよいし、所定の時間経過後にLED3aを消灯させるタイマ機能を備えてもよい。
また、非常用照明器具10は、点灯回路を構成する回路部品4として、図示していない手動のスイッチおよび該スイッチと連動するタイマを備えさせ、スイッチを操作することにより、LED3aをタイマの所定時間の間だけ点灯させてLED3aの動作を確認する機能を備えてもよい。さらに、非常用照明器具10は、外部のリモートコントローラから送信される無線信号などに基づいて、LED3aへの出力を制御してLED3aの点灯や消灯を制御させる制御回路部を備えた点灯回路の構成としてもよい。これにより、非常用照明器具10が正常に動作するか否かの確認を行うことができる。
また、非常用照明器具10は、人の存在の有無を検知するための人体検知センサや周囲の明るさを検知する明るさセンサの出力に基づいてLED3aへの出力を制御してLED3aの点灯を制御する制御回路部を備えた点灯回路の構成としてもよい。すなわち、非常用照明器具10は、LEDユニット11に上記リモートコントローラからの無線信号を受信する信号受信用素子など各種のセンサを設けて、センサからの出力に基づいて、上記定電流電源部から出力される電流を制御する制御回路部によってLED3aに流れる電流を制御することもできる。なお、制御回路部は、適宜の制御プログラムを搭載したマイクロコンピュータなどで構成すればよい。さらに、非常用照明器具10は、制御回路で点滅点灯することができるように点灯回路を構成してもよい。
本実施形態の非常用照明器具10における配線基板5は、LED3aが実装された一表面5a側に、LED3aに電力を供給する上記配線パターンが形成されている。また、LED3aを点灯させる点灯回路における回路部品4の少なくとも一部を他表面5b側に実装して電気的に接続させる配線パターンが形成されている。さらに、配線基板5は、一表面5a側の配線パターンと、他表面5b側の配線パターンとを配線基板5の厚み方向に貫設させた貫通配線で電気的に接続させている。このような配線基板5としては、たとえば、ガラスエポキシ樹脂基板だけに限られず、アルミナセラミック基板や窒化アルミニウム基板などのセラミック基板からなる絶縁性基板上に、金属材料(たとえば、Auなど)を用いた配線パターンが形成されたもの、金属ベース基板などを用いることもできる。なお、非常用照明器具10は、回路部品4の形状などに合わせて、LED3aを点灯させる点灯回路における回路部品4の一部を別途に設けた回路基板(図示していない)に実装させるとともに、回路基板と配線基板5とを電気的に接続させた構造としてもよい。
配線基板5は、非常用照明器具10における樹脂ケース2に保持できればよい。したがって、配線基板5は、平面視において、円形状、楕円形状や多角形状など適宜の形状とすることができる。なお、本実施形態の非常用照明器具10に用いられる配線基板5は、たとえば、円形状の場合、樹脂ケース2の一対の突出部2b,2bで保持できるように、外径が樹脂ケース2の開口部2aの内径よりも若干小さな円形状としている。配線基板5は、樹脂材料の弾性を利用して、樹脂ケース2の一対の突出部2b,2bの間に嵌め込んで保持させればよい。また、樹脂ケース2は、たとえば、樹脂ケース2の一対の突出部2b,2bの少なくとも一方に図示していない切欠部を備え、該切欠部から配線基板5の外周部に部分的に突出した端部を挿入し、配線基板5と樹脂ケース2とを相対的に回動させることにより、配線基板5を保持させる構成としてもよい。
配線基板5は、LED3aを配線基板5の一表面5a上に設けられた上記配線パターンの一部からなるダイパッド部にAuSn、半田や銀ペーストなどの接合材料を用いて接合することができる。配線基板5の一表面5a上には、上記配線パターンを電気的や機械的に保護するため、適宜に合成樹脂などからなる保護膜を形成させてもよい。配線基板5の一表面5a側は、所望に応じて、白色塗装膜を形成させてもよい。これにより、配線基板5は、LED3aからの光を効率よく反射させることもできる。
非常用照明器具10の枠体部6は、LEDユニット11を保持する樹脂ケース2を器具本体1の内部に収容し保持するために好適に用いられる。特に、本実施形態の非常用照明器具10に用いられる枠体部6は、天井材Cに設置する非常用照明器具10の外観に固定螺子の螺子頭などが見えることで見栄えを損なうことなく、配線基板5が保持された樹脂ケース2を器具本体1側に固定することができる。枠体部6は、たとえば、開口6aの外周に沿って設けられた一対の保持突起部6b,6bで、レンズ9の外周部に設けられた鍔部9aを保持している。このような枠体部6は、アルミニウムなどの金属材料や合成樹脂材料を用いて形成することができる。枠体部6は、たとえば、枠体部6の一対の保持突起部6b,6bの少なくとも一方に図示していない切欠部を備え、該切欠部からレンズ9の外周部に部分的に設けられた鍔部9aを挿入し、レンズ9と枠体部6とを相対的に回動させることにより、レンズ9を保持させればよい。また、枠体部6は、枠体部6やレンズ9を構成する材料の弾性を利用して、一対の保持突起部6b,6bの間に嵌め込んで保持させる構成としてもよい。
取付ばね7は、非常用照明器具10を造営材である天井材Cに貫設された取付孔C1の内側に配置させるため、器具本体1の外側面1cに複数個、好適に設けられるものであって、非常用照明器具10の設置形態によっては、必ずしも必要ではない。
端子台8は、非常時に図示していない外部の予備電源から電力の供給を受けて、器具本体1に収容した光源部3たるLED3aに電力を供給するため、外部の耐火電線(図示していない)と電気的に接続するための端子として好適に設けられている。
本実施形態の非常用照明器具10に用いられるレンズ9は、LED3aからの光を所定の配光にするために好適に設けられ、たとえば、レンズ9の材料として、ガラスやアクリル樹脂などを用いることができる。レンズ9は、たとえば、非常用照明器具10からの光を所望の配光が得られるように凸レンズ形状や平凸レンズ形状など適宜の形状に形成してもよい。さらに、レンズ9の代わりに、器具本体1の内部側を保護する目的で、平板状の透光性プレートを配置させるものだけでもよい。また、透光性プレートは、LED3aから照射され透光性プレートを透過する光に指向性を持たせるため、透光性プレートの表面をプリズム状に加工させてもよい。
なお、本実施形態の非常用照明器具10では、図1に示すように、LED3aから照射された光の配光を広げるために、レンズ9の厚みが中央部側で窪んだ両凹面状に形成させている。これにより、本実施形態の非常用照明器具10のレンズ9は、LED3aからレンズ9の中央部に入射する光を側方に屈折させて非常用照明器具10から照射させることができる。これにより、本実施形態の非常用照明器具10は、非常用照明器具10直下から所定の半径内の床面の水平面照度を所定の照度(たとえば、1lx)以上としている。
(実施形態2)
図2に示す本実施形態の非常用照明器具10は、図1に示した実施形態1のように、樹脂ケース2を枠体部6を用いて器具本体1側に保持する構成とする代わりに、樹脂ケース2自体に設けた係合爪2dによって器具本体1に固定した点が相違する。なお、図中において実施形態1と同じ部材に対しては、同じ番号を付して説明を省略している。
以下、本実施形態の非常用照明器具10を、図2を用いて説明する。
本実施形態の非常用照明器具10は、非常時に外部の予備電源(図示していない)から電力の供給を受けて器具本体1に備えた光源部3を点灯する電源別置型の非常用照明器具10である。非常用照明器具10は、図2に示すように光源部3としてLED3aを備え、該LED3aを一表面5a側に実装するとともにLED3aを点灯させる点灯回路における回路部品4の少なくとも一部を他表面5b側に実装する配線基板5と、該配線基板5の他表面5b側を覆って配線基板5を保持する樹脂ケース2と、該樹脂ケース2を収容し光源部3からの光を取り出す開口部1aを備えた有底筒状の器具本体1とを有している。
特に、本実施形態の非常用照明器具10は、樹脂ケース2が、該樹脂ケース2の外周面2c側に設けられた複数個(ここでは、2個)の係合爪2dを備え、器具本体1に貫設された複数個所(ここでは、2箇所)の係合孔1dと係合爪2dとをそれぞれ係合することにより、器具本体1に固定が可能に構成している。
また、非常用照明器具10は、一表面5a側に光源部3となるLED3aが実装され、他表面5b側にLED3aの点灯回路の回路部品4が実装された配線基板5を備えたLEDユニット11を保持する樹脂ケース2を器具本体1に収容して保持している。また、レンズ9を保持する枠体部6は、樹脂ケース2と、樹脂ケース2の係合爪2dが係合孔1dに係合された器具本体1との隙間に、該隙間よりも若干厚みが厚く、枠体部6からレンズ9を囲むように突出した円筒状の保持枠6cを挿入して樹脂ケース2や保持枠6cの弾性力により器具本体1と一体化している。LED3aより発光した光は、レンズ9に入射され、屈折することにより、LED3aから照射された光の配光分布よりも、より広い非常用照明器具10の配光分布に適した所定の広角な光を照射することが可能となる。
本実施形態の非常用照明器具10の施工にあたっては、予め外部の耐火電線(図示していない)とLEDユニット11の端子台8とを電気的に接続させた後、LEDユニット11を保持する樹脂ケース2を有底筒状の器具本体1の内部に押し込んで挿入する。樹脂ケース2の外周面2cに設けられた係合爪2dは、器具本体1の内周面1eに当接することで、樹脂ケース2の周壁が撓む。樹脂ケース2の外周面2cに設けられた係合爪2dは、器具本体1の係合孔1dで係合爪2dが器具本体1の外側面1c側に突出することで固定保持する。これにより、非常用照明器具10は、樹脂ケース2を器具本体1に装着することが可能となる。なお、非常用照明器具10は、樹脂ケース2の係合爪2dと、器具本体1の係合孔1dとの位置を調整することで、樹脂ケース2の器具本体1の内部に収容する深さを調整することができる。また、非常用照明器具10は、樹脂ケース2と器具本体1とを単に固定するだけであれば、樹脂ケース2に係合爪2dを設け、器具本体1側に係合孔1dを設けてもよい。本実施形態の非常用照明器具10では、樹脂ケース2の外周面2cに設けた係合爪2dを、器具本体1の係合孔1dから器具本体1の外側面1c側に突出させている。そのため、非常用照明器具10は、係合爪2dを器具本体1の外部から器具本体1の内部側に押圧しつつ、樹脂ケース2を器具本体1から取り出す方向に移動させることで樹脂ケース2を器具本体1から取り出すこともできる。すなわち、非常用照明器具10は、樹脂ケース2を器具本体1から着脱自在に構成することができる。