JP5630312B2 - プレス成形における成形限界線図の作成方法、割れ予測方法およびプレス部品の製造方法 - Google Patents

プレス成形における成形限界線図の作成方法、割れ予測方法およびプレス部品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、プレス成形における成形限界線図の作成方法、割れ予測方法およびプレス部品の製造方法に関し、具体的には曲げ性に支配される割れを考慮した成形限界線図の作成方法、割れ予測方法およびその方法を用いたプレス部品の製造方法に関するものである。
プレス成形は、一対の金型の間に金属板を挟んで挟圧し、鋼板等の金属板を型の形状に倣うよう成形して所望の形状の部品を得ようとする代表的な金属加工方法の一つであり、自動車部品、機械部品、建築部材、家電製品等、幅広い製造分野で用いられている。
プレス成形する際、成形途中で被成形材である金属板に割れが生じる現象がたびたび問題視されており、その解決策として、金属板自体の成形性を高めることの他に、プレス成形における割れを精度よく予測しようとする努力がなされている。例えば、近年よく用いられている方法としては、有限要素法を用いたプレス成形シミュレーションにおいて、金型形状や金属板の機械的特性(材質)の他、金型や金属板の温度、金型を閉塞させる速度(プレス速度)、潤滑条件などの各種プレス条件を変化させて、割れが生じない成形条件を探ろうとする方法がある。
有限要素法は、例えば、特許文献1より抜粋した、図1(a)に示すようなハット形部材をプレス成形する場合、図1(b)に示すように、上型1、下型2および金属板3を模擬した部分を、仮想的なメッシュから構成される要素群に分割した上で、プレス成形における各段階で、各要素にどれだけの応力とひずみがどの方向に作用するかを解析(シミュレーション)する方法である。
ここで、図1(b)の例では、二次元的(平面的)なメッシュに要素分割しているが、三次元的(立体的)なメッシュに要素分割する場合も多い。また、分割する要素は、図1(b)の上型1、下型2を模擬した部分のように、三角形(三角柱)とする場合もあれば、金属板3を模擬した部分のように、四角形(直方体)とする場合もあり、さらに、図示していないが、六角形(六角柱)とする場合もある。なお、金属板のプレス成形シミュレーションでは、金属板の板厚中心を二次元的なメッシュに要素分割する場合が多い。
ところで、従来のプレス割れ発生有無の予測は、有限要素法を用いた金属板のプレス成形シミュレーションで、上記のようなメッシュに分割した各要素の板厚中心における成形後の最大主ひずみεおよび最小主ひずみε(各スカラー)を接点の座標変化から計算により求め、上記最大主ひずみεおよび最小主ひずみεが、別途作成しておいた、図2に示したような成形限界線図FLD(Forming Limit Diagram)の成形限界線FLC(Forming Limit Curve)を挟んで割れ発生領域、割れなしの領域のいずれの側に存在するかを確認し、割れ発生領域に存在する場合に、割れが発生すると予測していた。
上記FLDの作成方法には、代表的なものとして、中島法やMarciniak法がある。これらの方法は、スクライブドサークル等、各種のパターンをマーキングした、形状(幅)の異なる数種のサンプルを使用し、先端曲率半径が25〜50mm程度の球頭パンチ(中島法)あるいは円頭パンチ(Marciniak法)を用いて、破断もしくはネッキングが発生するまで張出し成形し、成形後のマーキングの変化から、破断やネッキング発生位置の最大主ひずみ、最小主ひずみを求め、その測定結果を二次元表示して成形限界線(FLC)を得る方法である。このFLCは、板厚中心の成形限界を示しており、前述した板厚中心の要素を用いて計算したプレス成形シミュレーションと照らし合わせることで、割れの発生を予測するものである。
特開2008−55488号公報
しかしながら、発明者らの研究によれば、上記従来の割れ予測方法を用いた場合、割れ発生なしと予測されたプレス成形条件でも、実際の金属板のプレス成形、特に高強度鋼板の実プレス成形で割れが発生し、予測した結果と現実とが大きく乖離している事例が多々発生していた。
本発明は、従来技術が抱える上記問題点を解決すべく開発したものであり、その目的は、プレス成形における割れの発生を精度よく予測することができる成形限界線図FLDの作成方法と、そのFLDを用いた割れ予測方法ならびにその予測方法を用いたプレス部品の製造方法を提案することにある。
発明者らは、特に高強度鋼板において、従来の方法による割れ発生の予測と実プレス成形における割れ発生の結果とが乖離している原因について鋭意検討を重ねた。その結果、鋼板に発生する割れには、主に低強度、軟質材において起こる延性が支配する割れと、主に高強度、硬質材において起こる曲げ性が支配する割れとがあり、従来の割れ成形限界線図FLDは、プレス成形における板厚中心の最大主ひずみ、最小主ひずみから成形限界線FLCを求めていた、すなわち、上記の延性支配の割れに基づいて作成しており、後者の曲げ性支配の割れについては一切考慮していなかったためであることが明らかとなった。
そこで、発明者らは、さらに検討を重ね、プレス成形における板厚中心の最大主ひずみ、最小主ひずみから成形限界線FLCを得ていた従来の成形限界線図FLDを改善し、延性が支配する割れに基づく割れ予測に加えて、曲げ性が支配する割れをも考慮した成形限界線図FLDを用い、併せて、曲げ性支配の割れをも考慮したプレス成形シミュレーションを行うことで、割れの発生を精度良く予測することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、プレス成形する金属板表面に0.5〜1.0mmの標点間距離でマーキングを施した後、その金属板を、先端の最小曲率半径が3〜10mmのパンチを用いて張出し成形し、パンチ先端部の金属板表面に亀裂が発生した時点における最大主ひずみおよび最小主ひずみをマーキングの変化から測定し、成形限界線を得ることを特徴とするプレス成形における成形限界線図の作成方法である。
また、本発明は、上記の成形限界線図を基にプレス成形における割れの発生を予測することを特徴とするプレス成形における割れ予測方法を提案する。
また、本発明は、上記のプレス成形における割れ予測方法を用いて金属板の割れ発生の有無を予測し、割れが発生しない条件で金属板をプレス成形することを特徴とするプレス部品の製造方法を提案する。
本発明によれば、プレス成形における割れの発生有無を精度よく予測することができる成形限界線図FLDを作成することができるので、自動車のパネル部品、構造・骨格部品等の各種部品をプレス成形する際の割れ発生を精度よく予測することが可能となり、プレス成形を安定して行うことができるとともに、プレス製品の不良率の低減にも大きく寄与することができる。
有限要素法を用いたプレス成形シミュレーションを説明する図であり、(a)は金型と被成形材(金属板)との関係を、(b)はメッシュ分割例を示す。 成形限界線図(FLD)を説明する図である。 割れの形態を説明する図であり、(a)は延性が支配している割れ、(b)は曲げ性が支配している割れを示す。 実施例においてプレス成形した部品形状、寸法を説明する図である。 表1の鋼板Aをプレス成形したときに割れが発生する金型位置を、従来のFLDから予測した結果とプレス成形の結果とを対比して示す図である。 表1の鋼板Bをプレス成形したときに割れが発生する金型位置を、従来のFLDから予測した結果とプレス成形の結果とを対比して示す図である。 実施例においてFLDの作成に用いた試験片形状を説明する図である。 マーキングの標点間距離が、測定される最大主ひずみに及ぼす影響を示すグラフである。 張出し成形後の試験片の断面形状(割れの形態)を示す図である。 プレス成形シミュレーションに用いるシェル要素を説明する図である。 実施例に用いたパンチを説明する図であり、(a)は従来のFLD作成に用いたパンチ、(b)は本発明のFLD作成に用いたパンチを示す。 実施例で得られた従来のFLDと、本発明のFLDとを対比して示す図である。 表1の鋼板Bをプレス成形したときに割れが発生する位置について、最大主ひずみと最小主ひずみが金型の下死点からの距離によってどのように変化するのかをFLD上にプロットした図である。 従来のFLDと本発明のFLDから予測した割れ発生金型位置と、プレス成形における割れ発生金型位置とを対比して示す図である。
先ず、本発明の基本的技術思想について説明する。
発明者らは、高強度の薄鋼板を対象としたプレス成形の研究を行っていた際、鋼板の引張強さTSが980MPa級あるいは1180MPa級と高強度化、硬質化するのに伴い、プレス成形において、くびれ(ネッキング)を起こすことなく破断に至るケースが多く見られることに気付いた。この現象を、図3を用いて説明すると、例えば、球頭パンチを用いて低強度で軟質な鋼板を張出し成形する場合には、一般に、図3(a)に示したように局部的にくびれが発生し、そのくびれ部の板厚減少量が大きくなって割れに至るのが普通である。しかし、上述した引張強さが980MPa級や1180MPa級のように高強度化、硬質化した鋼板では、図3(b)に示したように、鋼板表面からクラックが発生して、一気に割れに至ることがあることがわかった。
そして、上記のような割れ挙動を示す高強度鋼板では、従来のFLDを用いて割れの発生を予測した場合、割れが発生しないと予測されたときでも、プレス成形では割れが発生すること、特に曲げ変形量が大きい部位において多いことがわかった。
そこで、発明者らは、引張強さTSおよび伸びElがほぼ同等で、曲げ性が大きく異なる表1に示す2種類の高強度鋼板AおよびBを、上型と下型からなる金型(モデル金型)を用いて図4に示す自動車のセンターピラー上部でルーフレールと接続する部分を模擬した部品形状にプレス成形し、割れが発生する時の金型の圧下位置(下死点からの距離)を調査し、板厚中心における最大主ひずみおよび最小主ひずみから作成した従来のFLDを用いて予測した割れ発生時の金型圧下位置とを対比し、図5および図6に示した。なお、プレス成形で割れの発生した鋼板位置は、厳しい曲げ加工を受ける部位に相当していた。
Figure 0005630312
図5は、曲げ性に優れる鋼板Aの結果を示したものであり、従来法で作成したFLDから予測した割れ発生時の金型圧下位置は、プレス成形において割れが発生した金型圧下位置と一致している。しかし、曲げ性に劣る鋼板Bの結果を示した図6では、従来法で作成したFLDから予測した割れ発生時の金型圧下位置は、プレス成形において割れが発生した金型圧下位置と大きくずれており、予測精度が悪くなっている。
上記の結果から、高強度化、硬質化した高強度鋼板では、プレス成形において曲げ変形を強く受ける部位で起こる割れには、局所的なくびれが発生してこの部分の板厚減少が進展して至る割れ(以降、「延性支配の割れ」とも称する)と、板厚減少を伴わずに鋼板表面に亀裂が発生し、一気に板厚方向に伝播して至る割れ(以降、「曲げ性支配の割れ」とも称する)との2種類の形態があること、そして、後者の曲げ性支配の割れが起こる場合には、従来のFLDを用いた割れ予測方法では、予測精度が大きく悪化することを見出した。
そこで、発明者らは、従来の延性支配に起因した割れの予測方法の問題点を解決し、割れの発生を精度よく予測するには、どうすべきかを検討した。その結果、従来の延性のみを考慮したFLDの他に、さらに、曲げ性を考慮したFLDを作成するとともに、有限要素法を用いたプレス成形シミュレーションで各要素の表面ひずみ(最大主ひずみ、最小主ひずみ)を求め、上記FLDと上記表面ひずみとを対比して割れを予測してやれば精度よく割れを予測できること、また、上記曲げ性を考慮したFLDを作成するには、先端の曲率半径が小さなパンチを用いて張出し成形し、鋼板表面に亀裂が発生したときの表面ひずみを成形限界として、その時の最大主ひずみ、最小主ひずみを求めてやればよいことを見出した。
本発明は、上記の新規な知見に基づいてなされたものである。
以下、本発明について、プレス成形する被成形材(金属板)として鋼板を例にとって具体的に説明する。なお、本発明は、鋼板のみでなく、非鉄金属からなる金属板にも適用できる。
(成形限界線図FLDの作成方法)
まず、本発明が対象とする鋼板は、板厚が0.6〜3mmで、90°曲げ(V曲げ)における限界曲げ半径と板厚の比(限界曲げ半径/板厚)が1.0以上であることが好ましい。板厚が上記範囲外では、プレス成形がなされることが少ないこと、また、限界曲げ半径と板厚の比が1.0未満では、曲げ性が良好であるため、延性支配の割れが起こるため、本発明を用いる必要がないからである。
上記鋼板の曲げ性を考慮した成形限界線図FLDを作成するには、まず、上記鋼板を、図7に示すような幅が10〜100mmで種々の幅を有する試験片に加工する。ここで、幅を変えた試験片を種々準備する理由は、ひずみ比(最小主ひずみと最大主ひずみの比)を広範囲に変化させるためである。
次いで、その表面に、標点間距離0.5〜1.0mmでマーキングを施す。マーキングの形状(マーキングパターン)は、サークルパターン、ドットパターン、グリッドパターン、同心円パターン等、成形後にひずみ量を計測することができるものであればいずれでもよい。また、マーキング方法は、電解エッチング、フォトエッチング、インクによる転写(スタンプ印刷)等があるが、いずれの方法を用いてもよいが、けがきは、亀裂発生を誘発するため好ましくない。なお、上記標点間距離とは、個々のマーキングパターンの中心間の距離をいう。また、標点間距離0.5〜1.0mmに限定する理由については後述する。
次いで、上記試験片を先端の最小曲率半径が3〜10mmのパンチを用いて張出し成形する。この際、パンチ先端部の試験片(鋼板)表面を、実体顕微鏡や光学顕微鏡、レーザー変位計等で観察しながら成形し、鋼板表面に亀裂が生じた時点で成形を終了する。上記パンチの先端形状は、先端の最小曲率半径が3〜10mmのものであれば、球頭や楕円球頭、V字等、どのような形状でもよい。なお、パンチ先端の最小曲率半径を3〜10mmに限定する理由は、3mmを下回ると、パンチ先端部分の変形領域におけるひずみ変化が大きくなりすぎ、マーキングの標点間距離では主ひずみを正確に測定することが困難になること、一方、10mmを超えると、後述するように、曲げ変形の影響が弱くなるためである。
上記張出し成形終了後、パンチ先端が当接して亀裂が発生した部分のマーキング位置もしくは形状変化を計測して、割れ発生時の最大主ひずみと最小主ひずみを求める。これを、種々の幅の試験片について繰り返して行うことで、亀裂発生時の最大主ひずみおよび最小主ひずみを広範囲に亘って得ることができる。そして、上記のようにして得た最大主ひずみおよび最小主ひずみの測定結果を二次元表示し、成形限界線FLCを得る。
ここで、標点間距離0.5〜1.0mmに限定する理由について説明する。
前述した表1の鋼板Bから、幅が40mmで、マーキングの標点間距離を0.5〜3.0mmの範囲で種々に変化させた試験片を準備し、上記のようにして、先端の最小曲率半径が10mmの楕円球頭パンチを用いて張出し成形し、鋼板表面に亀裂が発生した時点の最大主ひずみを測定した。上記測定の結果を、マーキングの標点間距離と、計測された最大主ひずみとの関係として図8に示した。この結果から、マーキングの標点間距離を1.0mmよりも大きくした場合には、最大主ひずみは小さく測定されて、測定精度が低下してしまうことがわかる。一方、標点間距離を0.5mmよりも小さくすると、マーキングすることが難しくなる他、マーキングの標点位置の測定誤差が大きくなるため、主ひずみの測定精度が低下する。よって、本発明においては、標点間距離は0.5〜1.0mmの範囲とする。
次に、パンチ先端の最小曲率半径を10mm以下に限定する理由について説明する。図9は、前述した表1の鋼板Bから採取した試験片を、パンチ先端の最小曲率半径が15mmと10mmの楕円球頭パンチを用いて張出し成形した場合の割れ形態を示す模式図である。パンチ先端の最小曲率半径が10mmの場合には、図9(b)のように試験片の表面からクラックが発生する曲げ性支配の割れ形態であるが、パンチ先端の最小曲率半径が15mmのパンチを用いて張り出し成形をした場合には、図9(a)のように局所的なくびれの発生から板厚減少が進展して割れに至る延性支配の割れ形態となってしまう。したがって、パンチ先端の最小曲率半径は、曲げ性支配の割れ形態となる10mm以下とする。
(割れの予測方法)
本発明のプレス成形における割れの予測方法は、有限要素法等のシェル要素を用いた方法を用いて鋼板を所望の部品形状にプレス成形するシミュレーションを行い、成形後の各要素の鋼板表面の最大主ひずみと最小主ひずみ、あるいは、成形過程における各要素の鋼板表面の最大主ひずみと最小主ひずみの推移を求め、この結果を、別途、前述した方法で作成したFLD上にプロットし、各要素の最大主ひずみと最小主ひずみのプロットが、FLDの成形限界線FLCを挟んで割れ発生領域に存在するかあるいは割れなしの領域に存在するかを確認し、1要素でも割れ発生領域に存在する場合には、その要素の部分で割れが発生すると予測する。なお、上記割れ発生有無の予測は、成形部品全ての要素について行う必要はなく、経験上から、割れの発生が懸念される部位に絞り込み、その部位の要素における鋼板表面の最大主ひずみおよび最小主ひずみを求めて、割れの予測を行ってもよい。
上記シミュレーションを行う場合のシェル要素は、薄鋼板の場合、一般に板厚方向の応力は無視できるため、板厚方向に要素を考えないシェル要素を用いることができ、通常、板厚中央位置形状でシミュレーション用モデルを作成することが多い。例えば、図10に示すように、各要素内に応力やひずみを計算するための点(積分点)を設定し、板厚方向にも板厚等分位置に積分点を設定する。最大主ひずみおよび最小主ひずみは、各積分点において計算するが、本発明における表面ひずみとは、鋼板の表面位置の積分点で計算された最大主ひずみの平均値および最小主ひずみの平均値、図中の記号で説明すると、d1〜d4の平均値である。なお、上記積分点の数や位置は、シミュレーションに用いる要素の種類によって決まるものである。
(プレス部品の製造方法)
本発明のプレス部品の製造方法は、上記に説明した割れ予測方法で、プレス成形における金属板の割れを予測し、もし、割れが発生することが予測された場合には、その条件(金属板、金型)でのプレス成形を止め、割れが発生しない条件に変更してプレス成形することを特徴とするものである。具体的に、プレス成形に用いる金型形状を変更したり、プレス速度や温度、潤滑状態等の成形条件を変更したり、あるいは、金属板の材質(延性、曲げ性等)を変更したりして、割れ発生のない条件にてプレス成形を実施する。
前述した表1に示した鋼板Bを、図7に示した形状で、最狭部の幅が10〜100mmである試験片を数種類作製し、この試験片表面に、電解エッチングでドットパターンを標点間距離1.0mmでマーキングした。
次いで、上記試験片を、図11に示した、先端の最小曲率半径が25mmの球頭パンチと、先端の最小曲率半径が7.5mmの楕円球頭パンチを用いて張出し成形した。なお、楕円球頭パンチを用いた張出し成形では、成形中のパンチ先端部の鋼板表面を実体顕微鏡で観察し、表面に亀裂が入った段階で成形を終了した。一方、球頭パンチを用いた張出し成形では、鋼板に貫通割れが発生するまで成形を行った。
次いで、張出し成形後の試験片について、パンチ先端近傍のドット間隔の変化を測定し、最大主ひずみおよび最小主ひずみを求め、FLDを作成した。なお、上記球頭パンチを用いて作成したFLDは、板厚中心ひずみで成形限界を示す従来のFLDに相当し、楕円球頭パンチを用いて作成したFLDは、曲げ割れを考慮した本発明のFLDに相当する。
図12に、上記2種類の方法で作成したFLDをそれぞれ示す。ただし、従来のFLDは鋼板の板厚中心の成形限界であり、本発明のFLDは鋼板の表面の成形限界である。
次に、鋼板Bを、上型と下型からなる金型(モデル金型)を用いて、図4に示した自動車のセンターピラー上部でルーフレールと接続する部分を模擬した部品形状にプレス成形したところ、上型と下型が完全に密着する下死点から12mmの位置で割れが発生することを確認した。
次いで、上記プレス成形とは別に、鋼板Bを上記部分に成形する場合について、有限要素法を用いて3次元プレス成形シミュレーションを行い、金型が下死点に至るまでの成形過程において、割れ発生位置の板厚中心および鋼板表面の最大主ひずみと最小主ひずみの推移を求めた。なお、有限要素法の解析ソフトは、LS−DYNA Ver9.71(LSTC;Livermore Software Technology Corporation社製)を用い、シェル要素は、板厚中心の正方形とし、要素サイズは1.0mmとした。
次いで、上記シミュレーションによって求めた割れ発生位置の成形過程における最大主ひずみと最小主ひずみの推移を、図12に示した従来のFLDと本発明のFLD上にプロットし、割れが発生する金型位置、すなわち、上記プロットがそれぞれのFLDのFLC以上の割れ領域に移行する金型の下死点からの位置を求めた結果を、図13に示す。なお、従来のFLDでは、板厚中心における最大主ひずみ、最小主ひずみで割れ予測を行い、本発明のFLDでは、板表面の最大主ひずみ、最小主ひずみで割れ予測を行った。
図14に、上記割れ発生の金型位置の予測結果と、プレス成形を行ったときの割れ発生金型位置とを対比して示した。この図によれば、従来のFLDを用いた割れ発生予測では、下死点から7mmの位置まで金型を下降させたときに割れが発生すると予測されたが、本発明のFLDを用いた割れ発生予測では、下死点から11mmの位置まで金型を下降させたときに割れが発生すると予測されており、プレス成形で実測した割れ発生金型位置(下死点から12mmの位置)とほぼ一致している。この結果から、本発明のFLDを用いて割れの発生を予測した方が、精度がよいことがわかる。
本発明は、上記に説明した内容に限られるものではなく、例えば、上記実施例では、引張強さが980MPa級以上の鋼板(1180MPa級の鋼板)に適用した例を示しており、本発明は、このような高強度鋼板のプレス成形に適用することが好ましいが、引張強さが980MPa級未満の鋼板や、鋼板以外の金属板に適用することもできる。
1:プレス金型の上型
2:プレス金型の下型
3:被成形材(金属板、鋼板)
4:メッシュ分割
5:要素

Claims (3)

  1. プレス成形する金属板表面に0.5〜1.0mmの標点間距離でマーキングを施した後、その金属板を、先端の最小曲率半径が3〜10mmのパンチを用いて張出し成形し、パンチ先端部の金属板表面に亀裂が発生した時点における最大主ひずみおよび最小主ひずみをマーキングの変化から測定し、成形限界線を得ることを特徴とするプレス成形における成形限界線図の作成方法。
  2. 請求項1に記載の成形限界線図を基にプレス成形における割れの発生を予測することを特徴とするプレス成形における割れ予測方法。
  3. 請求項2に記載のプレス成形における割れ予測方法を用いて金属板の割れ発生の有無を予測し、割れが発生しない条件で金属板をプレス成形することを特徴とするプレス部品の製造方法。
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