JP6107411B2 - 薄板の割れ評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、成形シミュレーション方法、成形シミュレーション装置、プログラム、記録媒体、及びシミュレーション結果に基づいた成形方法に関し、特に、薄板のプレス成形シミュレーションにおける破断判定方法および破断判定装置に関する。
自動車部品や家庭電気製品には、薄鋼板やアルミ薄板等の金属薄板を所定の形状にプレス成形加工した部品が多用されるようになってきた。自動車部品や家庭電気製品に用いられる部品を加工するにあたり、例えば、上下一対の凹凸金型を用いて、薄鋼板やアルミ薄板等の金属薄板を所定の形状にプレス成形加工することが行われる。
図8はプレス成形の模式図であり、ダイ1の上に被加工材(「ブランク」と呼ばれることがある。)5が置かれ、被加工材5は、ブランクホルダ2により押さえられ、パンチ3が加工時のパンチ方向6の方向に動くことで加工され、その一方で、ドロービード4により加工時に被加工材が流れ込まないように保持している。
また、図9は、引張試験の模式図であり、例えば、JIS5号あるいはJIS13号B等の引張試験片12は、試験器のつかみ部11によりその両端をつかまれ、引張方向14の方向に引っ張れる。そのときに、引張試験片12にかかる荷重は図示しないロードセルにより計測され、評価距離13の部分は、接触式の変位計や画像計測装置により、時々刻々変化する試験片の変位が計測される。
さて、自動車部品の軽量化を図るため、より高強度の材料を用いることで板厚を減少させることが盛んに行われており、その際に生じる成形不具合である材料破断現象を加工前に予測することは非常に重要であり、今日、有限要素法等によるシミュレーション計算を利用して割れを予測することが日常的に行われている。
例えば、特許文献1には、従来の有限要素法を用いた弾塑性材料の成形シミュレーション方法では、予め部品を複数の領域に分割し、分割された領域だけ大規模な連立方程式求解であるスプリングバック計算を繰り返し行う必要があり、スプリングバック発生の原因となる部位を特定する作業が煩雑化したり、分割の仕方(大きさ、分割数)により、結果が異なり、スプリングバック発生の原因となる部位を十分に特定することが困難であるという問題を解決することを目的として、弾塑性材料の目標形状における1つ又は複数の有限要素ごとに、応力テンソルから要素等価点力ベクトルを計算する工程と、計算された1つ又は複数の有限要素ごとの要素等価節点力ベクトルを、弾塑性材料の善領域又は特定の領域に亘って積分して、その領域の全等価接点ベクトルを計算する工程を含む有限要素法を用いた弾塑性材料の成形シミュレーション方法を開示している。
近年、特許文献1に開示されるようなシミュレーションを実施し、その一方で、板厚限界線や成形限界線図(以下、FLD(Forming Limit Diagram)という。)等の限界歪を実験的あるいは理論的に導出しておき、その限界歪状態と特許文献1に開示されるようなシミュレーションにより得られる歪状態とを比較することにより、ある程度定量的に割れ発生箇所および発生時点の予測を行っている。
ここで、FLDの測定装置とFLDの作成方法の概要について簡単に説明しておく。
図10は、FLD測定機器の模式図である。
図10はFLD測定機器であり、21はダイ、22はブランクホルダ、23はパンチ、24はドロービード、25は被加工材、26は加工時のパンチの方向、27は恒温浴、28はヒーター、29はシリコンオイル、30はブランクホルダ押さえ用バネである。
理解を深めるために、図10を図8のプレス成形の模式図との対比で説明する。ダイ21(図10)はダイ1(図8)に相当し、被加工材25(図10)は被加工材5(図8)に相当し、パンチ23(図10)はパンチ3(図8)に相当し、ブランクホルダ22(図10)はブランクホルダ2(図8)に相当し、ドロービード24(図10)はドロービード4(図8)に相当する。
また、図10のFLD測定機器の模式図が図8のプレス成形の模式図と異なるところは、被加工剤25がシリコンオイル29を有する恒温浴27に浸されることで、温度が一定に保たれ、かつ、ヒーター28により昇温することもできる点である。
図9、図10、図11、図12を用いてFLDの作成概要について説明する。
図9は引張試験の模式図であり、図11は、試験片12(図9)を説明する図である。
図11(a)に示すように、1)試験片12には予め、縦の長さL、横の長さL、の正方形のグリッド等のパターンを転写しておき、2)図10のようなFLD測定機器による試験によりパンチ23に押された結果割れ等が認められた場合には、3)当該グリッドの割れ部分の縦の長さL,横の長さLを計測し、4)L>Lの場合には、最大主歪εと最小主歪εを、
ε=ln(L/L) ・・・(式A1)
ε=ln(L/L) ・・・(式A2)
と計算する。ここで、lnは自然対数を表す。
このように、εおよびεの値を求めて、図12のようにプロットすることで、FLDを構築することができる。
しかしながら、FLDモデルのメッシュサイズの大小により破断判定の結果が異なるという問題点が指摘されている。
これに対し、特許文献2は、すなわち、鉄連規格JSC270Dについて、ゲージ長さに対する破断歪の推移を測定した結果、ゲージ長さが小さいと破断限界歪は大きくなるが、ゲージ長さが大きいと破断限界歪は小さくなることに着目し、特定のゲージ長さにおける最大主歪ε、最小主歪ε、材料パラメータαおよび塑性歪比ρ
ρ=ε/ε ・・・(式A3)
の関数β(ρ)から、任意のゲージ長さにおける破断限界歪を計算することで、FLDモデルのメッシュサイズの大小により破断判定が異なるという問題点を解消する方法が提案されている。
しかしながら、オーステナイトを含有する鋼材を、くびれや破断の発生を抑制しながら成形する場合には成形時の温度を考慮する必要がある。
例えば、特許文献3には、鋼板のプレス成形前に750℃〜1000℃程度のオーステナイト単相領域となるAc3点以上に鋼材を加熱炉等で予め加熱し、このオーステナイト単相の状態の鋼材を、プレス成形し、鋼材から金型への伝熱を利用して鋼材を急冷して焼き入れすることで、高強度で寸法精度の良好な成形品を製造する方法が開示されている。
また、特許文献4には、オーステナイトを含有する鋼材に対して、金型ダイを加熱するとともに、金型パンチを冷却しながら絞り成型する方法、すなわち、成型後にフランジ部となる鋼材の一部をダイとの間での伝熱により加熱させてその変形抵抗を低減させるとともに、鋼材のそれ以外の部位をパンチとの間での伝熱により冷却させてその変形抵抗を増大させて絞り成型し、しわや破断の発生を防止しつつ絞り成型する方法を開示している。
さらに、特許文献5では、鋼材である被加工材の金属組織を、体積分率で、母相としてベイニティック・フェライト、グラニュラー・ベイニティック・フェライトを70%以上、第2組織として残留オーステナイトを5%以上30%以下で、かつ、前記残留オーステナイト中のCを1.0質量%以上に制御することで、室温で7%である上記鋼材の全伸び値が、250℃で20%となり、その温度での成型性を向上させる方法が開示されている。
このように、特許文献3〜5に開示された成型方法には、温度を考慮することの重要性が示されているが、有限要素法を用いた成形シミュレーション結果に基づいて成形性の評価を行うための温間FLDモデルには、成形時の温度を十分に考慮できていない。
特許文献6には、温間域または熱間域で金属などの可塑性材料を成形加工する際に生じる加工割れに対して、材料を割れやすい状態にすることにより、延性の高い材料の割れ特性の評価を可能にすることを目的として、予め温間域から熱間域に加熱した軸対称形状の可塑性試験片を平工具で据え込み鍛造し、試験片側面に割れが発生する加工条件を比較検討することにより、加工割れ強度を評価する可塑性材料の熱間加工割れ強度試験方法において、前記軸対称形状の可塑性試験片として、円柱側面に円環状の突起を形成した形状の試験片を用い、据え込み鍛造する可塑性材料の熱間加工割れ強度試験方法が開示されているが、オーステナイト(γ)を含有する鋼材の温度特性を考慮した割れ判定を的確に行うには至っていない。
WO2010/038539号公報 特開2011−147949号公報 特開2005−177805号公報 特開2007−111765号公報 特開2004−190050号公報 特開平09−248647号公報
本発明は、上述の問題を解決すべくなされたものであり、オーステナイト(γ)を含有する鋼材の温度特性を考慮した温間FLDを作成および温間歪応力曲線を作成する方法を提供することで、オーステナイト(γ)を含有する鋼材を被加工材とした有限要素法を用いた成形シミュレーション結果に基づく温間成形性(しわ、割れの発生の判定)評価を精度高くおこなう方法を提供することを目的とする。
発明者らは、鋭意研究開発の結果、TRIP鋼やSUS鋼のようなオーステナイト(γ)を含有する鋼材では、加工中のγの加工誘起マルテンサイト変態の影響で破断ひずみが最大となる破断歪最大値をとる温度である破断歪最大温度が塑性歪比(以下簡単に「歪比」という。)ρによって変化すること、及び、歪比ρに応じた破断歪最大値と破断歪最大値温度を温間FLDに取り込むことで精度の高い薄板の割れ判定を行えることを見出した。
また、このような条件を満足する温間FLDを構築するには、様々な温度についての歪比ρ及び破断歪εを計測する必要があるが、このような実験をすべて実行するには、膨大な時間と労力が必要であり、その実現可能性に乏しいが、材料が同一の場合には、変数が1つで、上に凸で、唯一つの最大値および変曲点を有し、最大値をとる変数の値を通って当該変数軸に垂直な直線を軸として対称な関数により表現でき、表現された関数を用いて実験値のない破断歪εを適切に推定できることを見いだした。
さらに、発明者らは、加工硬化指数nは歪比ρの一次関数f(ρ)として近似でき、常温Tのときの破断歪εf0は、歪比ρにより構成される式により計算できることを見出した。
発明者らは、これらの知見に基づいて本発明を完成させた。発明の要旨は以下の通りである。
(1)オーステナイト(γ)を含有する鋼材の割れ評価に用いる温間FLDを作成する方法であって、
前記オーステナイト(γ)を含有する鋼材の歪比ρごとに破断ひずみの最大値(以下、「破断歪最大値」という。)および破断歪最大値をとる温度(以下、「破断歪最大温度 」という。)の情報を有する温間FLDを作成するステップを有することを特徴とする薄板の割れ評価方法。
(2)前記温間FLDを作成する方法であって、
予め定められた1つの前記オーステナイト(γ)を含有する鋼材について、
複数の歪比ρについて、各々、温度Tと破断歪εのデータを複数個採取するステップと、
歪比ρごとに前記温度Tと破断歪εの複数のデータを満足する曲線を作成するステップと、
横軸を温度Tとし縦軸を破断歪ε としたグラフ上に、変数が温度1つで、上に凸で、変曲点と唯一つの最大値を有し、前記最大値を取る温度が前記歪比ρより変化し、前記最大値をとる温度の値を通って当該温度軸に垂直な直線を軸として対称な関数(以下、「1変数対称関数」という。)を前記歪比ρごとに対応する前記複数の曲線のそれぞれにフィッティングするステップ(以下、フィッティングされた関数を「FLD関数」という。)と、
前記複数の曲線の破断歪最大温度Tそれぞれ対応する歪比ρとから、前記複数の曲線の破断歪最大温度T表す、歪比ρを変数とする、フィッティングした関数T(ρ)を作成するステップと、
を有することを特徴とする(1)に記載の薄板の割れ評価方法。
(3)前記温間FLDを作成する方法であって、
前記予め定められた1つのオーステナイト(γ)を含有する鋼材について、
複数の歪比ρについて、常温Tの時の破断歪εf0データ採取するステップと、
前記データから歪比ρを与えたときに常温Tの時の破断歪εf0を算出する関数( 以下、「常温破断歪関数」という。)を作成するステップと、
を有することを特徴とする(2)に記載の薄板の割れ評価方法。
(4)前記常温破断歪関数作成する方法であって、
前記複数の歪比ρと常温Tのときの破断歪εf0データから加工硬化指数nと常温Tの破断歪εf0のデータから加工硬化指数nを表す、歪比ρ変数とする、フィッティングした関数f(ρ)を作成するステップと、
前記関数f(ρ)を用いて、常温破断歪関数を作成するステップと、
を有することを特徴とする(3)に記載の薄板の割れ評価方法。
(5)(1)〜(4)に記載の方法により求められた温間FLDを用い、有限要素法により得られた結果に基づいて温間成形性を判断することを特徴とする薄板の割れ評価方法。
本発明の方法によれば、TRIP鋼やSUS鋼のようなオーステナイト(γ)を含有する鋼材が有する破断歪最大値および破断歪最大温度を考慮した精度の高い薄板割れ予測を行うことができるという顕著な効果を奏する。なお、この効果は、TRIP鋼やSUS鋼のようなオーステナイト(γ)を10%以上含有する鋼材の場合にはさらに顕著となる。
有限要素法結果を用いた薄板割れ判定の手順を表す図である。 温間応力歪曲線を表す図である。 温間FLD曲線を表す図である。 温度T(℃)と限界歪(ε)を表す図である。 温間FLD曲線作成のイメージ図である。 プレス成形の境界条件のイメージ図である。 実施例(鋼板が物質Aの場合)を表す図である。 プレス成形の模式図である。 引張試験の模式図である。 FLDの測定の模式図である。 試験片について説明する図である、 FLDの例を表す図である。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態はTRIP鋼やSUS鋼のようなオーステナイト(γ)を含有する鋼材の割れ判定に用いる温間FLDを構築する方法であり、具体的には以下の2つのステップ群からなる。
[ステップ群1]
予め定められた材料について、加工硬化指数nを歪比ρ変数とする関数f(ρ)を作成するステップである。
発明者らは、Stoeren−Riceの式

の加工硬化指数nに着目し、がオーステナイト系の鉄鋼材料(TRIP鋼、SUS鋼)では、加工硬化指数nはオーステナイトの加工誘起マルテンサイト変態が塑性歪比ρによる依存性を持つことから、加工硬化指数nが歪比ρの関数となり、材料が同一の場合には、加工硬化指数nは歪比ρの関数となり得ることを見いだして、以下のステップを構築した。
(ステップ1−1)データを採取するステップである。
実験等を行い、複数の歪比ρについて、常温Tの時の破断歪εf0データ採取する。
(ステップ1−2)加工硬化指数を計算するステップである。
実験で得られた歪比ρと常温Tのときの破断歪εf0データを

に代入して得られる加工硬化指数nを計算する。
(ステップ1−3)関数f(ρ)を作成するステップである。
計算により得られた加工硬化指数nと常温Tのときの破断歪εf0のデータから加工硬化指数nを歪比ρ変数とする関数f(ρ)を作成する。
例えば、関数f(ρ)を、

と記述される一次関数とすることで、関数f(ρ)を求めることは簡単になるが、関数f(ρ)をρの一般的な関数としたほうが良い精度を得られる場合もありうる。
(ステップ1−4)破断歪εf0を計算する式をつくるステップである。
前記f(ρ)を用いて、任意の歪比ρにおける常温Tのときの破断歪εf0を計算する

を作成する。このように、Stoeren−Riceの式における加工硬化指数nをρの関数としてあたえることで、精度の高い常温Tのときの破断歪εf0が得られる。
[ステップ群2]
前記予め定められた材料について、FLD関数等をつくるステップである。
(ステップ2−1)データを採取するステップである。
実験等を行い、複数の歪比ρについて、各々、温度Tと破断歪εのデータを複数個採取する。
(ステップ2−2)温度Tと破断歪εの曲線を作成するステップである。
歪比ρごとに、温度Tと破断歪εの複数のデータを満足する曲線を作成する。通常、1軸引張(ρ=-0.5)、平面歪引張(ρ=0)、2軸引張(ρ=1.0)の3種類の曲線が得られる。
データを満足する曲線とは、各データについて予め定められた誤差範囲を許容しながら満足しうる曲線をいうものとし、誤差範囲は±5〜10%の範囲をいうものとする。また、曲線には直線も含まれ、曲線の作成には、重回帰、スプライン曲線を用いる方法含まれるものとする。
(ステップ2−3)関数を得られた曲線にフィッティングするステップである。
本発明の特徴である破断歪最大値と破断歪最大温度を有する曲線について説明する。
破断歪最大値と破断歪最大温度は、歪比ρによって変化することから、少なくとも、1軸引張(ρ=−0.5)、平面歪引張(ρ=0)、2軸引張(ρ=1.0)のときの破断歪εと温度Tとの関係を表すデータを、各々、横軸を温度T(℃)とし縦軸を破断歪εのグラフ上にプロットして作成した曲線の破断歪最大値と破断歪最大温度を確認する作業はきわめて重要である。
図4を用いて、歪比ρと破断歪最大温度Tとの関係を説明する。
図4(a)に示すように、TRIP鋼やSUS鋼のようなオーステナイト(γ)を含有する鋼材では、加工中のγの加工誘起マルテンサイト変態の影響で、破断歪最大値をとる破断歪最大温度はρが大きくなるにしたがい高い温度になり、ρ=1.0の場合には200℃以上で破断歪最大温度をとる場合があり、温度Tが200℃までの場合には、破断歪最大値を確認できない場合があるが、そのような場合には、1軸引張(ρ=-0.5)平面歪引張(ρ=0)2曲線について破断歪最大値と破断歪最大温度を確認し、この2点を満足する直線をつくり、ρ=1.0の破断歪最大温度を推定することができることを発明者らは見出した。
これは、図4(b)に示すように、材料A,材料Bのように、被加工材に応じてその直線は異なるが、歪比ρと破断歪最大温度Tは、概ね直線の関係があり、例えば、A材の場合には、2点から導かれる直線を用いて、ρ=1.0の破断歪最大温度を推定することができることを発明者らは見出したからである。ただし、直線以外の曲線を用いて詳細に推定することもできる。
なお、実験によりデータを採取するときの温度は、破断歪最大値と破断歪最大温度を確認しやすくするために、50℃刻み、あるいは、25℃刻みであることが望ましいが、このような温度刻みでも破断歪最大値と破断歪最大温度を確認できない場合には、ほぼ同じ破断歪の値をとった2点の温度の中間となる温度が破断歪最大温度になる可能性が高いので、当該温度における実験を追加することが望ましい。
したがって、ステップ2−2で得られた曲線は、破断歪最大値を取る破断歪最大温度、および、破断歪最大値が異なるだけで、基本的にほとんど同じ形状をしているが、必ずしも破断歪最大値を見ることのできない曲線があることから、曲線の特徴を把握し易い曲線にフィッティングすればよいことを、発明者らは見いだした。
フィッティングする1変数対称関数は、1)変数が温度1つで、2)上に凸で、3)変曲点と唯一つの最大値を有し、4)前記最大値を取る温度が歪比ρより変化し、5)前記最大値をとる温度の値を通って当該温度軸に垂直な直線を軸として対称な性質を有する。
フィッティングのポイントは、1)破断歪最大温度T、2)破断歪最大値、3)変曲点の位置、常温Tのときの破断歪εf0値を合わせることである。
例えば、1変数対称関数が、歪比ρ、常温Tのときの破断歪εf0、破断歪εが最大となる温度T(ρ)、および、定数D、σ、kにより記述される、

の場合には、T=Tの場合には、ε≒εf0であるから、
1)破断歪εが破断歪最大値をとる破断歪最大温度をT(ρ)とし、
2)T(ρ)と変曲点をとる温度をσ/kとし、
3)kを(2×ln(2))1/2≒1.2とし、
4)破断歪εの最大値εf0(1+D)と常温Tのときの破断歪εf0とからDを決定する、
ことで、フィッティング可能である。
(ステップ2−4)T(ρ)を求めるステップである。
ステップ2−2で得られた曲線の温度の最大値Tと当該曲線歪比ρとから、前記複数の曲線の破断歪最大温度Tを歪比ρを変数とする一次関数、

を作成する。点が2つしか得られない場合には、2点を結ぶ直線として関数をもとめ、点が3つある場合には、最小二乗法によりえら得た直線より求める。
(温間FLDの作成)
第1に、FLD関数を用いて、任意の温度Tにおける破断歪εを求める。
第2に、ρは歪比、εは破断歪(=最大主歪ε)であるから、求められた最大主歪εを用いて、最小主歪ε

により求める。
第3に、温度T毎に、求められた最大主歪ε、最小主歪εをプロットして図3(a)、(b)のような温間FLDを作成する。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態は第1の実施形態により作成した温間FLDを用いて薄板の割れ判定を実施する方法である。
図1を用いて、有限要素法を用いた薄板のプレス成形シミュレーション結果に基づいて成形性の判定を行う手順を説明する。
[条件設定]
条件設定ステップでは、境界条件設定と温間SSカーブ設定を行うステップである。
まず、境界条件設定について説明する。
図6に境界条件の例が記載されている。境界条件としては、例えば、板厚1.4mm、温度150℃、ブランクホルダ力(BHF)100トン、摩擦係数0.12、成形速度3mm/msec等の基礎的境界条件、パンチ、ドロービード、ブランクホルダおよびダイ等の個別的境界条件を設定する。
[温間成形解析]
温間成形解析ステップでは、温間応力歪曲線と、境界条件から弾塑性FEMにより、応力・歪および面圧を計算する。
[成形性の分析]
温間成形解析ステップでは、計算された応力・歪をベースに、本発明の方法により作成された図3のような温間FLDモデルを用いて割れやしわが発生するか否かを検討する。
第1の実施形態である温間FLDの作成についての実施例を説明する。
<(式5)のフィッティング>

のフィッティングを行う。
A材についての歪比ρと当該歪比ρのときの常温Tのときの破断歪εf0のデータを数点実験により求め、横軸歪比ρ、縦軸加工硬化指数nグラフである図5にプロットし、最小自乗法を用いて係数a、bを求める。図5に示す例の場合には、

が求められた。
<(式3)のフィッティング>

のフィッティングを行う。
第1に、図4(a)に示すように、同一のA材について、1軸引張(ρ=-0.5)、2軸引張(ρ=1.0)、平面歪引張(ρ=0)のときの最大主歪ε(=破断歪ε)と温度Tとの関係を表すデータを、各々、横軸を温度T(℃)とし縦軸を判断歪εのグラフ上にプロットしてなめらかな曲線でつなぐ、最大主歪ε(=破断歪ε)が破断歪最大値となる破断歪最大温度Tp(ρ)を求める。
第2に、1軸引張の曲線に着目し、最大主歪ε(=破断歪ε)が破断歪最大値となる破断歪最大温度T(ρ)を150℃、最大値を0.7,変曲点を75℃、初期歪を0.4と読み取り、T(ρ)=150、σ/k=75、1+D=0.7/0.4=1.75を得て、T(ρ)=150、σ=90、k=1.2、D=0.75と決定し、

を得る。
<(式4)のフィッティング>

のフィッティングを行う。
図4(b)に示すように、得られた温度Tp(ρ)と歪比ρのデータをプロットし、これらを満足する直線のa、bを求める。
図4(b)のA材については、

を得る。なお、異なる材料であるB材の場合には、

のように異なる式を得る。
<温間FLDの作成>
フィッティングされた(式2)、(式8)、(式9)および(式10)を用いて作成した温間FLD−Aが図3(a)である。
同様な手順で、材料Bについて作成した温間FLD−Bが図3(b)である。
表1を用いて第2の実施形態である薄板の割れ判定について説明する。
表1において、1〜8は本発明例であり、9〜14は比較例である。
材料はA、Bの2種類を用いる。
FLDは、オーステナイト(γ)を含有する鋼材の破断歪最大値、破断歪最大温度を考慮して作成したFLD−A(材料A用で表1では「A」と記す)、FLD−B(材料B用で表1では「B」と記す)、および、オーステナイト(γ)を含有する鋼材の破断歪最大値、破断歪最大温度を全く考慮しないで作成したZ1,Z2を用いる。
ここで、FLD−Aは図3(a)の温間FLDであり、FLD−Bは図3(b)の温間FLDである。
応力歪線図は、オーステナイト(γ)を含有する鋼材の破断歪最大値、破断歪最大温度を考慮して作成したSS−A(材料A用で表1では「A」と記す)、SS−B(材料B用で表1では「B」と記す)、および、オーステナイト(γ)を含有する鋼材の破断歪最大値、破断歪最大温度を全く考慮しないで作成したZ1,Z2を用いる。
板厚、BHF、摩擦係数、成形速度、加工温度1,加工温度2、加工温度3は表1に記載されたとおりである。
成形性評価1、成形性評価2、成形性評価3は、ぞれぞれ、加工温度1,加工温度2、加工温度3において、表1記載の板厚、BHF、摩擦係数、成形速度で解析を実行したときに、「割れ発生」と判断される場合には「×」、「割れなし」と判断される場合には「○」と評価する。
総合評価は実験と解析の割れ判定が3条件中3条件とも一致していれば「◎」、実験と解析の割れ判定が3条件中2条件一致していれば「○」、実験と解析の割れ判定が3条件中1条件以下一致の場合は「×」とする。
なお、A材は25℃で成形した場合には割れが発生するが、150℃、175℃で成形した場合には割れは発生しなかった。また、B材は25℃で成形した場合には割れが発生するが、75℃、65℃で成形した場合には割れは発生しなかった。
以上の条件の下で解析結果と実験結果を照合すると、本発明例1〜8では◎ないし○であり、優れた効果が認められるが、比較例9〜14では、×であった。
図7は、番号1(本発明例)の判定結果を示したものであり、本発明の方法を用いて、室温(25℃)における成形、温間(150℃)における成形を行った場合の割れの有無の判定をおこなったものである。
本発明の方法を用いると、室温(25℃)成形を行った場合には割れが発生するが、温間(150℃)においては、割れが発生しない。






















有限要素法を用いた薄板のプレス成形シミュレーションの結果に基づいて温間FLDモデルにより弾塑性材料の温間成形性を評価する方法において利用可能である。
1 ダイ
2 ブランクホルダ
3 パンチ
4 ドロービード
5 被加工材
6 加工時のパンチの方向
11 試験機のつかみ部
12 引張試験片
13 評価距離
14 引張方向
21 ダイ
22 ブランクホルダ
23 パンチ
24 ドロービード
25 被加工材
26 加工時のパンチの方向
27 恒温浴
28 ヒーター
29 シリコンオイル
30 ブランクホルダ押さえ用バネ
31 割れ

Claims (5)

  1. オーステナイト(γ)を含有する鋼材の割れ評価に用いる温間FLDを作成する方法であって、
    前記オーステナイト(γ)を含有する鋼材の歪比ρごとに破断ひずみの最大値(以下、「破断歪最大値」という。)および破断歪最大値をとる温度(以下、「破断歪最大温度 」という。)の情報を有する温間FLDを作成するステップを有することを特徴とする薄板の割れ評価方法。
  2. 前記温間FLDを作成する方法であって、
    予め定められた1つの前記オーステナイト(γ)を含有する鋼材について、
    複数の歪比ρについて、各々、温度Tと破断歪εのデータを複数個採取するステップと、
    歪比ρごとに前記温度Tと破断歪εの複数のデータを満足する曲線を作成するステップと、
    横軸を温度Tとし縦軸を破断歪ε としたグラフ上に、変数が温度1つで、上に凸で、変曲点と唯一つの最大値を有し、前記最大値を取る温度が前記歪比ρより変化し、前記最大値をとる温度の値を通って前記横軸に垂直な直線を軸として対称な関数(以下、「1変数対称関数」という。)を前記歪比ρごとに対応する前記複数の曲線のそれぞれにフィッティングするステップ(以下、フィッティングされた関数を「FLD関数」という。)と、
    前記複数の曲線の破断歪最大温度T それぞれ対応する歪比ρとから、前記複数の曲線の破断歪最大温度T表す、歪比ρを変数とする、フィッティングした関数T(ρ)を作成するステップと、
    を有することを特徴とする請求項1に記載の薄板の割れ評価方法。
  3. 前記温間FLDを作成する方法であって、
    前記予め定められた1つのオーステナイト(γ)を含有する鋼材について、
    複数の歪比ρについて、常温Tの時の破断歪εf0データ採取するステップと、
    前記データから歪比ρを与えたときに常温Tの時の破断歪εf0を算出する関数(以下、「常温破断歪関数」という。)を作成するステップと、
    を有することを特徴とする請求項2に記載の薄板の割れ評価方法。
  4. 前記常温破断歪関数作成する方法であって、
    前記複数の歪比ρと常温Tのときの破断歪εf0データから加工硬化指数nと常温Tの破断歪εf0のデータから加工硬化指数nを表す、歪比ρ変数とする、フィッティングした関数f(ρ)を作成するステップと、
    前記関数f(ρ)を用いて、常温破断歪関数を作成するステップと、
    を有することを特徴とする請求項3に記載の薄板の割れ評価方法。
  5. 請求項1〜請求項4に記載の方法により求められた温間FLDを用い、有限要素法により得られた結果に基づいて温間成形性を判断することを特徴とする薄板の割れ評価方法。
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