JP5622185B2 - 粉末高含有軟カプセル及びその製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、軟カプセルを製造する場合には、通常金型が回転式のロータリー法を利用して、二枚の皮膜シートの間に充填された内容物の粘性を利用して該皮膜シートを外方に押し広げることによりポケット形状に沿って立体成形する。
従って、軟カプセルの内容物は、皮膜シートを極力均等に押し広げることができる粘性を有することが求められている。
そのため、内包したい物質が粉末形態の場合には、適当な油脂系基材に懸濁させた懸濁液として使用しており、内容物全量に占める粉末の相対的な重量はかなり抑えられてしまっていた。
しかしながら、硬カプセルの場合には、キャップとボディとの間にできた隙間を介して内容物が吸湿、酸化などの化学変化を受け易く、しかも経口し難い。
また、錠剤の場合には粉末を固形化するのにある程度の量の賦形剤を添加することが不可欠であり、割れや角の崩れも比較的起こり易い。また、内容物の表面が露出してしまうので、吸湿、酸化などの化学変化を諸に受け易いだけでなく、経口の際には内容物に由来する苦味や臭いの不快さが緩和されない。
また、上記した軟カプセルの工夫された製造方法を提供することを目的とする。
(1)軟カプセルの内容物となり得るものは、金型のポケット内で二枚の皮膜シートを外方に押し広げると共に、その押し広げられた空間にすっぽりと入り込めるものであれば良く、固形の芯が有ったとしてもそれが油脂系基材で完全に覆われていれば、従来と同様に軟カプセルの内容物として取り扱えること、
(2)粉末を固形化する際に必要な硬度は加圧成型で十分で、賦形剤などを添加する必要はないこと、
を見出し、粉末を固形化したものを油脂系基材で覆ったものを内容物として軟カプセルを製造してみたところ、
有効成分としての粉末の含有量を飛躍的に高めることに成功し、以下に示す本発明を完成するに至った。
請求項2の発明は、カプセル皮膜の内側に接触する部分が40℃以下にした場合に固体となる脂質を含む層で構成されていることを特徴とする請求項1記載の粉末高含有軟カプセルである。
請求項3の発明は、二枚の皮膜シートの接合によりカプセル皮膜が形成されており、接合部分は突出していないことを特徴とする請求項1又は2記載の粉末高含有軟カプセルである。
しかも、上記した軟カプセルを、従来から慣用されているロータリー式軟カプセル製造装置を用いて製造することができる。
(軟カプセルの形状・構造)
特に形状は限定されないが、ロータリー式軟カプセル製造装置を用いて製造する場合には、それに備えられる金型のポケットの形状による。
図1、図2は本発明の実施の形態に係る軟カプセル1の断面図である。この軟カプセル1は、内容物2とそれを覆うカプセル皮膜5とにより構成されている。カプセル皮膜5は後述する二枚の皮膜シートSの接合・打ち抜きにより立体状に成形されており、境界が若干凹んだ接合部分6が形成されている。
乾燥カプセルの皮膜は接合部分6の近傍が最も厚くなり、その中間部分が最も薄くなるが、いずれの部位の厚さ寸法(d1)も、大部分は0.05〜5.00mmの範囲内に収まっている。
内容物2は粉末3と油脂系基材4とから構成されている。
図1に示すように、カプセル皮膜5側には油脂系基材4が比較的優先的に存在し、中心側には粉末3が比較的優先的に存在しているか、図2に示すように、カプセル皮膜5に接する側には油脂系基材4の層が形成されている場合がある。
粉末3の素材としては、従来から軟カプセルの内容物として使用されてきたものに限定されず、従来、硬カプセルや錠剤の形態が選択されている素材においても、用いることができる。
さらに、皮膜成分として、天然色素、食用色素、化学合成色素、二酸化チタン、Ca化合物などの着色剤を含むことも可能である。
軟カプセルの製造に慣用されているロータリー式軟カプセル製造装置を利用できる。
図3は一例の製造装置7の模式図であり、対向配置されて互いに逆回転する一対の金型8,8の外周面には、カプセル形状を画定するポケット9,9が複数形成されている。符号10はセグメントを示し、このセグメント10を供給路11は上下に貫通して延びており、その下端は一対の金型8、8間に臨んでいる。また、セグメント10には加温するためのヒータ12が備えられている。
符号13は油脂系基材4のための液供給路を示し、この一端は図示しない液タンクに接続し、他端は供給路11に接続されている。液供給路13の途中には、供給ポンプ14が設けられており、この供給ポンプ14の動作状況により液の供給量が決定される。
符号15は搬送路を示し、この搬送路15は振動フィーダーで構成されている。搬送路15は傾斜されており、その下端は水平になっている。水平部には落下穴16が形成されている。その落下穴16は粉末固形物3’よりも十分に設計されている。落下穴16の下方には、右側の金型8の最上部のポケット9が臨んでいる。
符号17は押込み器具を示し、この押込み器具17のシャフト18は上下方向に進退動作可能になっており、シャフト18の下端には当接片19が取り付けられているが、その当接片19は搬送路15の落下穴16より十分に小さく設計されている。押込み器具17はセグメント10の右側に配置されており、そのシャフト18が後退したときには、当接片19は搬送路15の落下穴16上に待機しており、シャフト18が進行したときには、当接片19は搬送路15の落下穴16を貫入して金型8のポケット9内に入り込む。
図3に示すように、左右両側の上方から二枚の皮膜シート5’、5’が回転する金型8,8上に供給される。
同時に、粉末固形物3’も順次搬送路15上を搬送されてくる。そして、図4(1)に示すように、落下穴16から右側の皮膜シート5’上に落下する。さらに、図4(2)に示すように、押込み器具17のシャフト18が進行することにより、その当接片19により押されて粉末固形物3’が金型8のポケット9内に皮膜シート5’の上から押し込まれる。その後は、右側の皮膜シート5’は、左側の皮膜シート5’と共に、セグメント10に相対して適度に温められながら金型8、8の回転により二枚の皮膜シート5’、5’は下方に引き込まれていき、ポケット9、9の正対位置で突き合わされて、熱・圧力の作用により接合され打ち抜かれる。同時に、二枚の皮膜シート5’、5’の間に供給ポンプ14の動作により所定のタイミングで油脂系基材4が充填供給されていき、皮膜シート5’、5’が外方に押し広げられてポケット9、9の形状をした軟カプセルとなる。即ち、皮膜シート5’と粉末固形物3’の間に油脂系基材4が存在する軟カプセルとなる。
(検体1)
皮膜液は、ゼラチン(皮膜基材成分):100重量部、水:90重量部の割合で配合し、65℃の加熱下で真空脱泡しながら60分間撹拌して調製したものを準備した。特に、可塑剤は使用しなかった。粉末固形物は、コンドロイチン硫酸とブルーベリー粉末を20:1の重量比で配合し、V型混合機にて60分間混合させた後、長径12×短径6×厚み3.5mmの楕円形に加圧成型したものを準備した。
皮膜液と粉末固形物の準備終了後、図3に示している製造装置7を利用して、軟カプセルを製造した。油脂系基材としてはMCTを使用し、粉末固形物100重量部に対して2重量部充填した。
得られた軟カプセルのサイズは13×7mmで成形直後の皮膜重量は130mg、内容物重量は200mgで、カプセル総重量は330mgであった。
皮膜液は、ゼラチン(皮膜基材成分):90重量部、プルラン(皮膜基材成分):15重量部、水:90重量部の割合で配合し、65℃の加熱下で真空脱泡しながら60分間撹拌して調製したものを準備した。特に、可塑剤は使用しなかった。粉末固形物は、キトサンとブルーベリー粉末を20:3の重量比で配合し、V型混合機にて60分間混合させた後、長径12×短径6×厚み3.5mmの楕円形に、加圧成型したものを準備した。
皮膜液と内容物の準備終了後、図3に示している製造装置7を利用して、軟カプセルを製造した。油脂系基材としてはMCTを使用し、粉末固形物100重量部に対して5重量部充填した。
得られた軟カプセルのサイズは13×7mmで成形直後の皮膜重量は160mg、内容物重量は250mgで、カプセル総重量は410mgであった。
皮膜液は、ゼラチン(皮膜基材成分):100重量部、グリセリン(可塑剤):30重量部、水:90重量部の割合で配合し、65℃の加熱下で真空脱泡しながら60分間撹拌して調製したものを準備した。粉末固形物は、コンドロイチン硫酸とブルーベリー粉末を20:1の重量比で配合し、V型混合機にて60分間混合させた後、長径12×短径6×厚み3.5mmの楕円形に、加圧成型したものを準備した。
皮膜液と内容物の準備終了後、図3に示している製造装置7を利用して、軟カプセルを製造した。油脂系基材としてはMCTを使用し、粉末固形物100重量部に対して10重量部充填した。
得られた軟カプセルのサイズは13×7mmで成形直後の皮膜重量は130mg、内容物重量は220mgで、カプセル総重量は350mgであった。
皮膜液は、ゼラチン(皮膜基材成分):100重量部、グリセリン(可塑剤):30重量部、水:90重量部の割合で配合し、65℃の加熱下で真空脱泡しながら60分間撹拌して調製したものを準備した。内容物は、コンドロイチン硫酸とブルーベリー粉末とMCTとグリセリン脂肪酸エステルを18:2:10:5の重量比率で配合したものを準備した。
皮膜と内容物の準備終了後、従来のロータリー式軟カプセル製造装置を利用して、軟カプセルを製造した。
この軟カプセルのサイズは13×7mmで充填直後の皮膜重量は110mg、内容物重量は200mgで、カプセル総重量は310mgであった。
皮膜液は、ゼラチン(皮膜基材成分):100重量部、グリセリン(可塑剤):30重量部、水:90重量部の割合で配合し、65℃の加熱下で真空脱泡しながら60分間撹拌して調製したものを準備した。内容物は、コンドロイチン硫酸とブルーベリー粉末とMCTとグリセリン脂肪酸エステルを18:2:4:2の重量比率で混合したものを準備した。
皮膜と内容物の準備終了後、従来のロータリー式軟カプセル製造装置を利用して、軟カプセルの製造を試みたが、通称メディシンポンプと呼ばれる充填ポンプ内で必要とされる内溶液の流動性が無い為、安定的に供給されない上に、ポンプから押し出された内溶液が樹脂製のチュ−ブ内で詰まってしまい、内容物を充填できなかった。
この軟カプセルのサイズは13×7mm、充填直後の皮膜重量は110mg、内容物重量は200mgで、カプセル総重量は310mg前後を想定していた。
得られた各検体、対照品1のカプセルの内容物の粉末と油の重量比と収率は以下の通りであった。
〈カプセル高温下試験〉
高温で保管することによりカプセル内溶液の漏れ及び付着の発生を確認する為、以下の手順で試験した。
(1)各検体を20カプセルずつ6号ガラス瓶に入れ、密栓し、+40℃で保存した。
(2)14日(2W)後、28日(4W)後、56日(8W)後、112日(16W)後、の状態を観察した。
結果は、以下の通りであった。
〈カプセル内容液の漏れ比較試験−耐熱・耐寒試験〉
高温又は冷所での保管することで急激な温度変化によるカプセル被膜の膨張・収縮を繰り返させることによりカプセル内溶液の漏れの発生を確認する為、以下の方法で試験した。
(1)検体を20カプセルずつ6号ガラス瓶に入れ、密栓し、−20℃で24時間、続いて+40℃で24時間保存した。
(2)以上を1サイクルとして、これを3サイクル実施し、内容液である油脂系基材の漏れを観察した。
結果は、以下の通りであった。
本発明カプセルの崩壊性を確認するため、以下の方法で崩壊試験を行った。
本発明カプセル(検体1〜6)を試験機に6個ずつ入れ、これを37℃に保持した精製水に浸漬させ上下運動を行い、カプセルが開口するまでの時間を測定した。この試験内容は日本薬局方(第15改正)崩壊試験法に準ずる。測定は1回につき6カプセルずつ、計三回実施し、その平均値を求めた。結果を表4に示した。なお、対照品として従来のゼラチンカプセルについても同様に開口時間を測定し、その結果を表4に併記した。
結果は、以下の通りであった。
カプセルに振動や衝撃を繰り返し与えることにより、内容液の漏れの発生を確認する為、以下の手順で試験した。
(1)各検体を10カプセルずつ6号ガラス瓶に入れ、デシケーター内において24時間減圧乾燥を行い、カプセルの乾燥状態を整えた。
(2)乾燥後、6号ガラス瓶に密栓をして、上下振幅10cmで5回/秒のサイクルにて120秒間振動させた。
(3)以上を1サイクルとして、これを5サイクル実施し、内容液の漏れを観察した。
結果は、以下の通りであった。
さらに、内容物中の油含有量が少ない条件の場合においては、皮膜中の可塑剤を通常より減らして軟カプセル皮膜の強度を低く設定することができる。その理由として、内容物の固型量が多いので、内容物の温度変化があっても内容物が膨張・収縮し難く、皮膜接着部からの液漏れやカプセルの外圧からの衝撃による割れを防ぐことができる。これにより、従来から問題になっている軟カプセルの欠点であるカプセル皮膜の付着性の改善も図れることが実証された。
(検体4)
皮膜液は、ゼラチン(皮膜基材成分):100重量部、グリセリン(可塑剤):30重量部、水:90重量部の割合で配合し、65℃の加熱下で真空脱泡しながら60分間撹拌して調製したものを準備した。粉末固形物は、ドライビタミンA粉末(ビタミンA脂肪酸エステル6%含有)とマルチトールとショ糖脂肪酸エステルを1:20:2の重量比で配合し、V型混合機にて60分間混合させた後、長径12×短径6×厚み3.5mmの楕円形に加圧成型したものを準備した。
皮膜液と内容物の準備終了後、図3に示している製造装置7を利用して、軟カプセルを製造した。油脂系基材としてはMCTを使用し、粉末固形物100重量部に対して2重量部充填した。
得られた軟カプセルのサイズは13×7mmで成形直後の皮膜重量は130mg、内容物重量は210mgで、カプセル総重量は340mgであった。
皮膜液は、ゼラチン(皮膜基材成分):100重量部、グリセリン(可塑剤):30重量部、水:90重量部の割合で配合し、65℃の加熱下で真空脱泡しながら60分間撹拌して調製したものを準備した。粉末固形物は、ドライビタミンA粉末(ビタミンA脂肪酸エステル6%含有)とマルチトールとショ糖脂肪酸エステルを1:20:2の重量比で配合し、V型混合機にて60分間混合させた後、長径12×短径6×厚み3.5mmの楕円形に、加圧成型したものを準備した。
皮膜液と内容物の準備終了後、図3に示している製造装置7を利用して、軟カプセルを製造した。油脂系基材としては蜜蝋を使用し、粉末固形物100重量部に対して10重量部充填した。
得られた軟カプセルのサイズは13×7mmで成形直後の皮膜重量は130mg、内容物重量は218mgで、カプセル総重量は348mgであった。
ドライビタミンA粉末(ビタミンA脂肪酸エステル6%含有)とマルチトールとショ糖脂肪酸エステルを1:20:2の重量比で配合し、V型混合機にて60分間混合させた後、定法により縦8×横8×高さ4mm、総重量が200mgの円形に加圧成型し、素錠を製造した。
(対照品4)
ドライビタミンA粉末(ビタミンA脂肪酸エステル6%含有)とマルチトールとショ糖脂肪酸エステルを1:20:2の重量比で配合し、V型混合機にて60分間混合させた後、定法により縦8×横8×高さ4mm、総重量が200mgの円形に加圧成型して、粉末固形物とした。
その固形物の表面に3mgのセラックを均一にムラ無く塗布した後、定法によりグラニュ−糖:卵殻Ca:HPMC:炭酸Ca:アラビアガム:ゼラチンを70:20:4:4:1:1で構成される糖衣層を形成させ、糖衣錠を製造した。
得られた糖衣錠のサイズは9.5×6.5mmで総重量は400mgであった。
〈内容物の酸化比較試験〉
室温で保管した検体4、検体5、対照品3、対照品4の内容物であるビタミンA脂肪酸エステルの残存量を確認する為、以下の手順で試験した。ビタミンA脂肪酸エステルは空気酸化が容易にしやすいので、内容物の酸化度合いの指標とした。
(1)各検体を20カプセルずつ6号ガラス瓶に入れ密栓し、光の影響が無いようにアルミホイルで遮光してから、室温で保存した。
(2)14日(2W)後、28日(4W)後、56日(8W)後、112日(16W)後に、内容物のレチノ−ルをヘキサン抽出したものを、紫外可視吸光度計を用いてレチノ−ル残存量を測定した。
結果は、以下の通りであった。
それに対して、本発明の軟カプセルは、1カプセルに封入できる粉末の量を従来に比べて飛躍的に増量でき、しかも、カプセル皮膜の内側には粉末が油脂系基材の層、通常は油層で囲まれた状態で存在しているため空気酸化し難い。さらに、カプセル皮膜の内側に油脂系基材が含まれているので、粉末が脂溶性のものである場合には錠剤や糖衣錠より、体内吸収性を高めることができる。
従って、本発明の軟カプセルは、特に健康食品の需要拡大に寄与し得るものとなる。
2 内容物
3 粉末 3’ 粉末固形物
4 油脂系基材 4’ 疎水層
5 カプセル皮膜 5’ 皮膜シート
6 接合部分
7 軟カプセルの製造装置
8 金型
9 ポケット
10 セグメント
11 供給路
12 ヒータ
13 液供給路
14 供給ポンプ
15 搬送路
16 落下穴
17 押込み器具
18 シャフト
19 当接片
Claims (3)
- 軟カプセルの内容物が粉末を加圧成型してなる固形物と油脂系基材とからなり、粉末重量が内容物の総重量に対して95〜98%であり、粉末を加圧成型してなる固形物が油脂系基材で覆われており、油脂系基材の脂質層がカプセル皮膜の内側に接触していることを特徴とする粉末高含有軟カプセル。
- カプセル皮膜の内側に接触する部分が40℃以下にした場合に固体となる脂質を含む層で構成されていることを特徴とする請求項1記載の粉末高含有軟カプセル。
- 二枚の皮膜シートの接合によりカプセル皮膜が形成されており、接合部分は突出していないことを特徴とする請求項1又は2記載の粉末高含有軟カプセル。
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