JP5621846B2 - 蛍光測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酵素反応により生成した蛍光分子を高感度に検出する蛍光測定方法に関する。より詳細には、酵素反応により生成した蛍光分子の拡散を防ぐことによって、蛍光分子を高感度に検出する蛍光測定方法に関する。
核酸やタンパクなどの生体分子を測定する方法として、検体中のアナライトを酵素によって標識し、酵素反応により生じた分子の量を評価することによって検体中のアナライト量を測定する方法がある。この方法は、酵素反応の触媒活性を利用することから、酵素基質を通じたシグナル増強が容易であり、広く用いられている。ここで、酵素反応により生じた分子の量を評価する方法として種々の方法が用いられているが、高感度測定の容易さから、酵素反応により生じた分子からの蛍光または化学発光を検出してその発光量に基づき酵素反応により生じた分子の量を評価する方法が多く用いられている。このうち、酵素反応により生じた分子からの蛍光に基づく生体分子の測定方法の例として、蛍光原基質変換法が挙げられる。この蛍光原基質変換法は、アナライトに標識した酵素で蛍光原基質を蛍光発光性分子に変換して、この蛍光発光性分子からの蛍光発光を検出することにより、検体中のアナライト量を測定する方法である。また、酵素反応により生じた分子からの化学発光に基づく生体分子の測定方法の例として、酵素化学発光法が挙げられる。この酵素化学発光法は、アナライトに標識した酵素で基質を化学発光性分子に変換して、この化学発光性分子からの化学発光を検出することにより、検体中のアナライト量を測定する方法である。
これら蛍光原基質変換法および酵素化学発光法は、核酸検出に用いられるハイブリダイゼーションアッセイや蛋白質等種々の生体分子の検出に用いられるイムノアッセイなどのアッセイ法に応用されている。ここで、蛍光原基質変換法および酵素化学発光法を応用する対象となるアッセイ法における酵素の存在態様には種々のものが含まれるが、操作の簡便性および自動測定機器による測定への応用の容易さなどの点から、酵素反応を固相上で行う態様のアッセイ法が多用されている。このようなアッセイ法の著名な例として、固相酵素免疫検定法(Enzyme-linked Immunosorbent Assay:以下「ELISA法」と称する。)が挙げられる。酵素反応を固相上で行うアッセイ法に蛍光原基質変換法および酵素化学発光法が応用されると、酵素反応場をそのまま蛍光または化学発光の測定場として用いることができるという利点がある。
しかし、酵素の触媒活性を利用したアナライトの測定法には、酵素反応の生成物が速やかに溶液中に拡散してしまうため、検出感度を充分に向上させることができないという問題点がある。このような問題点を解決するため、種々の研究がなされてきた。
そのような試みの一つとして、国際公開2007/052613号パンフレット(特許文献1)には、酵素標識抗体とアナライトを含む免疫複合体を溶液層のない支持体上に捕捉し、この免疫複合体の上に化学発光基質を含む支持膜を重ね、酵素反応により生じる発光量を検出することによりアナライトの量を測定する方法が開示されている。
また、別の試みとして、特開2008-139245号公報(特許文献2)には、酵素とアナライトを含む免疫複合体を溶液中に存在させた状態で酵素反応を行い、反応生成物をセンサー表面に結合させ、光を検出することによりアナライトの量を測定する方法が開示されている。
国際公開2007/052613号パンフレット 特開2008-139245号公報 特開平6-234618号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、化学発光基質を含む支持膜を予め作成しておき、酵素反応の際に重ね合わせるという操作が必要となる。蛍光原基質変換法または酵素化学発光法に基づき検体中のアナライトの検出を行う従来公知の自動測定機器は、多くの場合、酵素を表面に固定した基板が流路の途中に配置され、且つこの流路を通じて閉鎖系で各種物質の送液を行う構造を有していることから、固相に流路の外部から膜を導入する機構を設けようとすると構造が複雑になり、コストが増大するとともに、機器の小型化に制約が生じるという問題点がある。
また、特許文献2に記載の方法の場合、酵素反応の反応生成物をセンサー表面に結合させるには、アビジンとビオチンとの結合、もしくはジゴキシゲニンと抗ジゴキシゲニン抗体との結合が必要であり、そのためには反応生成物に予めアビジンかビオチン、もしくはジゴキシゲニンが修飾されている必要があるという問題点がある。
本発明は、上記の従来技術の問題を解決するため、蛍光原基質変換法に基づくアッセイ法において、酵素反応によって生成する蛍光分子等が溶液中に拡散することを防止することによって、発光された蛍光の検出効率を高め、これによって高感度化を図ると共に、従来の酵素反応による蛍光基質をそのまま利用可能とする蛍光測定方法を提供することを解決すべき課題とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意研究した結果、基板に固定された酵素による酵素反応により生じる蛍光分子等の検出を行うに当たり、その測定系中に水溶性高分子を共存させておくと、生成した蛍光分子等の拡散を防ぎ、且つこの蛍光分子等を限られた範囲内に留めておくことができ、その結果、検出される蛍光等の強度が増大することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の蛍光測定方法は、
工程(b):酵素固定基板上に、水溶性カチオン化多糖類である水溶性高分子および蛍光分子前駆分子を導入する工程;
工程(c):前記酵素固定基板上で酵素反応を生じさせて、前記蛍光分子前駆分子を蛍光分子に変換する工程;
工程(d):前記蛍光分子を前記水溶性高分子と結合させて、前記酵素固定基板上に蛍光分子−水溶性高分子複合体を形成させる工程;および、
工程(e):前記蛍光分子−水溶性高分子複合体から発光された蛍光を検出する工程
を含むことを特徴とする。
本発明に係る蛍光測定方法において、蛍光分子−水溶性高分子複合体の形成が好適に行われるためには、本発明で用いられる水溶性高分子に含まれるカチオン性基が、第4級アンモニウム基であることが好まし。このような蛍光分子−水溶性高分子複合体は、前記蛍光分子と前記水溶性高分子との静電相互作用により形成されることが好ましい。
また、本発明に係る蛍光測定方法において、水溶性高分子は、酵素反応によって生じた蛍光物質とは速やかに結合する性質を有しつつも、系内に存在する蛍光分子前駆分子が酵素に接近するために内部を通過することを妨げないことが好ましい本発明おいては、そのような水溶性高分子が、水溶性カチオン化多糖類であり、この場合、水溶性カチオン化多糖類におけるカチオン置換度が0.01〜1であることが好ましい。なお、本発明で用いられる水溶性高分子の重量平均分子量は、通常1万〜200万、好ましくは5万〜200万である。
また、本発明に係る蛍光測定方法において、上記工程(b)における水溶性高分子および蛍光分子前駆分子の導入が、流路を通じて行われることが好ましい。
蛍光分子−水溶性高分子複合体が蛍光検出の対象となる領域から逸脱することなく確実に留まるためには、工程(c)〜(e)が静置状態で行われることが望ましい。
本発明に係る蛍光測定方法は、生体分子のアッセイ法としての用途に応用することができる。すなわち、検体中の生体分子を酵素固定基板に組み込むことによって、蛍光分子−水溶性高分子複合体の蛍光量の形で検体中に含まれる生体分子の量を評価することができる。
このように検体中の生体分子を組み込んだ酵素固定基板の態様として、酵素が生体分子とリガンド分子との結合を介して基板上に固定されている酵素固定基板が挙げられる。このような酵素固定基板の典型的な態様として、基板にリガンド分子が結合し、このリガンド分子に生体分子が結合し、さらに、この生体分子に酵素が直接的または間接的に結合している酵素固定基板が挙げられる。
本発明に係る蛍光測定方法を生体分子のアッセイ法として用いる場合、本発明に係る蛍光測定方法の典型的な工程には、工程(b)〜(e)に加えて、
工程(a):検体、酵素、リガンド分子および基板を用いて前記酵素固定基板を製造する工程、および
工程(f):工程(e)で検出された蛍光量から、前記検体中に含まれる前記生体分子を定量する工程
がさらに含まれる。
本発明に係る蛍光測定方法において、工程(e)における蛍光の検出は、近接場光により励起された蛍光を検出することに行うと好ましい。ここで、用いられる近接場光の代表例として、プラズモンにより増強された光が挙げられる。
また、工程(e)における蛍光の検出は、共焦点レーザー顕微鏡または共焦点レーザースキャナーを用いて行ってもよい。
本発明に係る蛍光測定方法は、基板に固定された酵素による酵素反応およびこの酵素反応により生じる蛍光分子等の検出を水溶性高分子共存下で行うことにより、酵素反応により生成した蛍光分子を蛍光検出の測定場付近に留め、これにより測定系における測定範囲外の空間への蛍光分子の拡散を抑制することができるので、高感度の蛍光測定方法を提供することができる。
本発明に係る蛍光測定方法の模式図を示す。 実施例1及び比較例1における、基質溶液を導入してからの反応時間と蛍光強度との関係を示す。
以下、本発明について、図1を参照しながら具体的に説明する。
〔蛍光測定方法〕
本発明に係る蛍光測定方法は、
工程(b):酵素固定基板11上に、水溶性高分子43および蛍光分子前駆分子41を導入する工程;
工程(c):前記酵素固定基板11上で酵素反応を生じさせて、前記蛍光分子前駆分子41を蛍光分子42に変換する工程;
工程(d):前記蛍光分子42を前記水溶性高分子43と結合させて、前記酵素固定基板11上に蛍光分子−水溶性高分子複合体31を形成させる工程;および、
工程(e):前記蛍光分子−水溶性高分子複合体31から発光された蛍光を検出する工程
を含むことを特徴とする。
本発明は、酵素固定基板11上で蛍光分子42を生成させる反応を水溶性高分子43存在下で行うことを最大の特徴とする。
<工程(b)>
本発明の蛍光測定方法において、工程(b)は、酵素固定基板11上に、水溶性高分子43および蛍光分子前駆分子41を導入する工程である。
《酵素固定基板》
本発明に係る蛍光測定方法で用いられる酵素固定基板11は、酵素23を表面上に固定した基板である。この酵素固定基板11は、基板21と酵素23とを含んでおり、この酵素23が基板21と結合した構造を有する。
基板
本発明に係る蛍光測定方法で用いられる酵素固定基板11において、基板21は、酵素23を固定する土台としての役割を有するとともに、後述する工程(e)において蛍光検出を行う測定場を提供する役割を有する。したがって、本明細書において基板21は、「酵素固定基板」との区別をより明確にするために「基礎基板」と呼ばれる場合もある。
この基板21(すなわち、「基礎基板」)は、本発明における蛍光測定の妨げとならず、また酵素23の活性を損なわない限り、その材質に特に制限はなく、酵素化学蛍光反応を用いた一般的なアッセイ法に用いられる従来公知の材質を用いることができる。例えば、基板21として、ガラスを用いてもよく、また、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)などのプラスチックを用いてもよい。
この基板21は、蛍光の検出を行う手段に合わせて適宜複数の層から構成してもよい。
例えば、近接場光、特にプラズモンにより増強された光により励起された蛍光を検出する場合、ガラス製またはプラスチック製の透明平面基板に10〜100nm程度の金属薄膜を形成させたものが基板21として用いられる。表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS)により蛍光の検出を行う場合、金属薄膜が、金、銀、アルミニウム、銅、および白金からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属からなることが好ましく、金からなることがより好ましい。これらの金属については、その合金の形態であってもよく、金属を積層したものであってもよい。なお、透明平面基板上に金属薄膜を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、蒸着法(抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法等)などが挙げられる。
また、基板21の表面には、一般的なバイオアッセイ法で用いられる自己組織化単分子膜(Self Assembled Monolayer:SAM)などからなる表面処理層が設けられていてもよい。ここで、SAMは、後述する結合部22を基板21に固定するための土台として用いられるものである。後述する工程(e)において近接場光により励起された蛍光を検出する場合等、基板21として表面に金属薄膜を形成させた透明平面基板を用いる場合には、この表面処理層は、蛍光の金属消光を防止することを目的として、誘電体からなるスペーサー層をさらに含んでいてもよい。この場合の基板21と表面処理層との構成例として、基板21を構成する金属薄膜上に、誘電体からなるスペーサー層が存在し、このスペーサー層の上にSAM層が存在する構成が挙げられる。
酵素
本発明に係る蛍光測定方法で用いられる酵素固定基板11において、酵素23は、後述する蛍光分子前駆分子41を蛍光分子42に変換する役割を果たす。本発明において用いられる酵素23は、蛍光分子前駆分子41を蛍光分子42に変化させる性質を有するが、それ以外の構成要素、例えば、水溶性高分子43を変質または分解する性質を有さない限り、どのような種類の酵素であってもよい。そのような酵素23の例として、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)などの酸化還元酵素、アルカリホスファターゼなどのホスファターゼ類、および、β−ガラクトシダーゼなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
結合部
本発明に係る蛍光測定方法で用いられる酵素固定基板11において、酵素23は、基板21と直接結合していてもよい。しかし、酵素23が基板21上に確実に固定されるよう、通常の場合、酵素23は、図1に示されるように他の分子または分子複合体等からなる結合部22を介して間接的に結合している。この結合部22は、基板21と酵素23とを結びつける役割を有していることから、必然的に、基板21と結合するための接合部と、酵素23と結合するための接合部とを含むことになる。
基板21と結合するための接合部を構成する官能基または分子として、用いる基板21、または該当する場合には基板21上に設けられる表面処理層の種類に応じて、従来公知の官能基または分子を適宜用いることができる。
また、酵素23と結合するための接合部を構成する官能基または分子として、一般的なバイオアッセイ法で用いられる従来公知の官能基または分子を適宜用いることができる。
このような接合部における結合の例として、ビオチンとアビジンとの結合を利用したものが挙げられる。
結合部22のうち、これら基板21と結合するための接合部および酵素23と結合するための接合部を除く部分を構成する分子または分子複合体等については、本発明における蛍光測定の妨げとならず、また酵素23の活性を損なわない限り、その如何を問わない。
ただ単に、酵素23を基板21に結合すれば足りる場合には、基板21と結合するための接合部と酵素23と結合するための接合部とが一体のものであってもよいし、あるいは、一般的なバイオアッセイ法用のスペーサーまたはリンカーとして一般的に用いられる従来公知の分子を介して、基板21と結合するための接合部と酵素23と結合するための接合部とが結合していてもよい。
本発明に係る蛍光測定方法は、バイオアッセイ法としての用途に応用することができる。バイオアッセイ法としての本発明に係る蛍光測定方法は、検体中の生体分子の含有量を、基板21に固定されて酵素固定基板11の一部となった酵素23の量を通じて、蛍光分子からの蛍光量として評価するものである。そのようなバイオアッセイ系を形成するため、検体中の生体分子は、結合部22に組み込まれた状態で酵素固定基板11を構成する。言い換えると、このような酵素固定基板11において、結合部22は、基板21と結合するための接合部、酵素23と結合するための接合部、生体分子、およびリガンド分子を含む。
生体分子
本発明において「生体分子」は、本発明に係る蛍光測定方法をバイオアッセイ法に応用する場合に、測定の対象となる分子または分子断片を意味し、アナライトとも呼ばれる分子である。このような「分子」または「分子断片」としては、例えば、核酸(一本鎖であっても二本鎖であってもよいDNA、RNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、PNA(ペプチド核酸)等、またはヌクレオシド、ヌクレオチドおよびそれらの修飾分子)、タンパク質(ポリペプチド、オリゴペプチド等)、アミノ酸(修飾アミノ酸も含む。)、糖質(オリゴ糖、多糖類、糖鎖等)、脂質、またはこれらの修飾分子、複合体などが挙げられ、具体的には、AFP(αフェトプロテイン)等のがん胎児性抗原や腫瘍マーカー、シグナル伝達物質、ホルモンなどであってもよく、特に限定されない。
リガンド分子
本発明において「リガンド分子」は、上記「生体分子」を特異的に認識し(または、認識され)結合し得る分子または分子断片をいう。このような「分子」または「分子断片」としては、例えば、核酸(一本鎖であっても二本鎖であってもよいDNA、RNA、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、PNA(ペプチド核酸)等、またはヌクレオシド、ヌクレオチドおよびそれらの修飾分子)、タンパク質(ポリペプチド、オリゴペプチド等)、アミノ酸(修飾アミノ酸も含む。)、糖質(オリゴ糖、多糖類、糖鎖等)、脂質、またはこれらの修飾分子、複合体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「タンパク質」としては、例えば、抗体などが挙げられ、具体的には、抗αフェトプロテイン(AFP)モノクローナル抗体((株)日本医学臨床検査研究所などから入手可能)、抗ガン胎児性抗原(CEA)モノクローナル抗体、抗CA19−9モノクローナル抗体、抗PSAモノクローナル抗体などが挙げられる。
なお、本発明において、「抗体」という用語は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体、遺伝子組換えにより得られる抗体、および抗体断片を包含する。本発明において、リガンド分子の典型例は、抗体である。
結合態様
本発明に係る蛍光測定方法で用いられる酵素固定基板11において、酵素23は基板21と直接的に、あるいは結合部22を介して間接的に結合している。基板21への酵素23の結合態様は、本発明の目的が達せられる限り特に限定されるものではない。しかし、本発明に係る蛍光測定方法においては、結合の安定性の点から、基板21と酵素23とが共有結合または分子間のアフィニティに基づく結合を介して結合していることが好ましい。ここで、基板21と酵素23との間に複数の結合が介在していてもよく、またこの複数の結合が、異なる種類の結合から成るものであってもよい。
ここで、結合部22が生体分子およびリガンド分子を含む場合、酵素固定基板11において、酵素23は、生体分子とリガンド分子との結合を介して基板21上に固定されている。
その1つの態様として、酵素固定基板11において、基板21にリガンド分子が結合し、このリガンド分子に生体分子が結合し、この生体分子に酵素23が直接的または間接的に結合している。ここで、基板21上に上述したSAM層およびスペーサー層などの表面処理層が設けられている場合、リガンド分子は、そのような表面処理層を介して基板21と結合していてもよい。また、生体分子と酵素23とは、第2のリガンド分子を介在させることなく直接結合していてもよいし、第2のリガンド分子を介在させて間接的に結合していてもよい。
生体分子と酵素23とが直接結合している場合の例としては、本発明をDNAハイブリダイゼーションアッセイに応用する場合のように、塩基の一部にビオチン修飾を施したターゲットDNAが「生体分子」として用いられており、ビオチン修飾が施された酵素とこのターゲットDNAとがビオチン−アビジン結合を通じて結合している場合が挙げられる。一方、生体分子と酵素23とが第2のリガンド分子を介在させて間接的に結合している場合の例としては、本発明をイムノアッセイに応用する場合のように、抗原および抗体がそれぞれ「生体分子」および「第2のリガンド分子」として用いられており、この抗原に対して、酵素23が抗体を介して結合している場合が挙げられる。
なお、この第2のリガンド分子に酵素23を直接結合させることが困難な場合には、この第2のリガンド分子を特異的に認識し(または、認識され)結合し得る第3のリガンド分子に酵素23を結合させることにより、第2のリガンド分子および第3のリガンド分子が介在した形で生体分子と酵素23とが結合していてもよい。
酵素固定基板11において、基板21と酵素23との間に介在する生体分子およびリガンド分子は、必ずしも直列的に配置されていなくてもよい。例えば、生体分子とリガンド分子とが結合する際にその結合部位に取り込まれやすい分子を介して酵素23が生体分子およびリガンド分子と結合する態様であってもよい。例えば、生体分子およびリガンド分子が核酸である場合、酵素23を結合させた適当なインターカレーターを用いることによって、酵素23を生体分子およびリガンド分子と結合させてもよい。
《蛍光分子前駆分子》
本発明に係る蛍光測定方法において、蛍光分子前駆分子41は、酵素23による酵素反応により蛍光分子42を生成させる基質として用いられる。この蛍光分子前駆分子41は、従来公知の蛍光原基質変換法における蛍光原基質に相当する分子である。
本発明において「蛍光分子」とは、所定の励起光を照射する、または電界効果を利用して励起することによって蛍光を発光する分子を意味し、該「蛍光」は、燐光など各種の発光も含む。
この蛍光分子前駆分子41は、酵素反応による化学変化によって、蛍光分子42に変化する分子である。ここで、本発明に用いられる蛍光分子前駆分子41は、酵素反応により生成する蛍光分子42における最大蛍光波長付近の波長領域において蛍光発光性を示さない限り、他の波長領域において蛍光発光性を有していてもよい。また、蛍光検出の妨げとならない限り、酵素反応により化学発光性分子の生成を伴うものであってもよい。
本発明では、蛍光分子前駆分子41として、蛍光原基質変換法に基づく従来公知のアッセイ法において蛍光原基質として一般的に用いられる基質を用いることができる。このような蛍光分子前駆分子41の例として、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)用基質などの酸化還元酵素用基質、アルカリホスファターゼ用基質などのホスファターゼ用基質、および、β−ガラクトシダーゼ用基質などのグリコシダーゼ用基質が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
蛍光分子前駆分子41として用いられる代表的な酵素反応用基質と蛍光反応によりこの基質から生成する蛍光分子の吸収波長(nm)および発光波長(nm)とを表1に示す。
《水溶性高分子》
本発明に係る蛍光測定方法の最大の特徴は、酵素固定基板11上での酵素反応および、酵素反応により生成した蛍光分子42からの発光検出を水溶性高分子43存在下で行うことにある。ここで、水溶性高分子43は、酵素23による酵素反応により生成した蛍光分子42を捕捉し、溶液中への拡散を防ぐ目的で用いられる。蛍光測定における蛍光検出の対象となる領域は、測定系中のごく狭い部分であることから、蛍光分子42を蛍光検出の対象となる領域付近に局在させることによって、蛍光発光の検出効率を高めることができ、その結果検出感度の向上が可能となる。
蛍光分子42の溶液中への拡散を左右する一つの要素として、溶液の粘度が挙げられる。酵素固定基板11とその上に存在する蛍光分子前駆分子41の溶液とからなる酵素反応系において、水溶性高分子43がこの溶液中に存在する場合、水溶性高分子43が存在しない場合と比べて溶液の粘度が高い。一般に、溶液の粘度が高いほど当該溶液内での溶質が拡散しにくくなることから、水溶性高分子43が存在する溶液においては、水溶性高分子43が存在しない溶液と比べて、酵素反応により生じた蛍光分子42が拡散しにくい傾向にある。
また、蛍光分子42の溶液中への拡散を左右するもう一つの要素として、電荷が挙げられる。従来公知の酵素反応用基質を蛍光分子前駆分子41として用いる場合、多くの場合、酵素反応により生じる蛍光分子42は電荷を有している。ここで、水溶性高分子43がこの蛍光分子42と逆の電荷を有していれば、蛍光分子42と水溶性高分子43との静電相互作用により蛍光分子42は水溶性高分子43と結合しやすくなり、その結果として蛍光分子42が溶液中に拡散することを抑制することができる。このため、水溶性高分子43は、イオン性基を有することが好ましい。ただ、本発明で用いられる蛍光分子前駆分子41から生成する蛍光分子42は、多くの場合、蛍光測定を行う条件下でアニオン型の分子構造を有する。このことから、本発明では、水溶性高分子43が有するイオン性基として、カチオン性基が含まれることが好ましい。特に好ましいイオン性基は、酵素反応条件下において、蛍光分子前駆分子41との結合性が低く、酵素反応により生じる蛍光分子42との結合性が高いカチオン性基である。このカチオン性基の例としては、第3級アミノ基、および第4級アンモニウム基が挙げられる。具体的な第3級アミノ基および第4級アンモニウム基については、水溶性高分子43の種類によって好適な基が異なることから後述する。本発明で用いられる水溶性高分子43には、このようなカチオン性基が1種単独で含まれていてもよいし、あるいは2種以上を組み合わせた形で含まれていてもよい。
なお、本発明で用いられる水溶性高分子43は、電荷のバランスを取るために、イオン性基としてカチオン性基のほかにアニオン性基を含んでいてもよい。この場合、好ましいアニオン性基として、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、リン酸基などが挙げられる。
本発明で用いられる水溶性高分子43において、分子中に含まれるカチオン性基の数が多いほど、より多くの蛍光分子42を捕捉することができるので好ましい。分子中に含まれるカチオン性基の数については用いる水溶性高分子43の種類によりその基準が異なることから、本発明で用いられる水溶性高分子43の具体例とともに、後述する。
本発明の蛍光測定方法において、酵素固定基板11上での酵素反応に生成した蛍光分子42が水溶性高分子43と結合して蛍光分子−水溶性高分子複合体31が形成する。この蛍光分子−水溶性高分子複合体31において、蛍光分子42と水溶性高分子43との間には、最低でも分子間力に基づく相互作用による結合が存在している。ここで、水溶性高分子43がイオン性基を含む場合には、蛍光分子42と水溶性高分子43との間に分子間力に基づく相互作用に加えて静電相互作用が働くようになる。その場合、蛍光分子42と水溶性高分子43との間に静電相互作用に基づくより強い結合が形成されるので、蛍光分子42と水溶性高分子43との間の結びつきがより強固になり、蛍光分子42の溶液中への拡散をより強く抑制することができる。このことから、本発明の蛍光測定方法においては、蛍光分子−水溶性高分子複合体31が、蛍光分子42と水溶性高分子43との静電相互作用により形成されることが好ましい。
ところで、工程(b)において、酵素固定基板11上に蛍光分子前駆分子41と水溶性高分子43とが導入されるが、この蛍光分子前駆分子41と水溶性高分子43とを含む溶液は通常流路を通じて導入されることから流動性を示す必要がある。このような要求を満たすため、本発明に係る蛍光測定方法の1つの態様においては、水溶性高分子43として直鎖状の非架橋型水溶性ポリマーが用いられる。このような水溶性ポリマーを用いると、溶液の形で酵素固定基板11上に導入する際には流路を通じた導入が可能であり、また、工程(c)における酵素反応の際に、溶液中に分布する蛍光分子前駆分子41が酵素固定基板11中の酵素23に接近することを妨げないという利点がある。ここで、直鎖状の非架橋型水溶性ポリマーの代わりに架橋型のポリマーを水溶性高分子43として用いると、ゲル状になり、流路を通じた導入ができなくなるおそれがある。この直鎖状の非架橋型水溶性ポリマーの例としては、直鎖状ポリアクリルアミドおよびその誘導体、並びに直鎖状セルロース誘導体などが挙げられる。
また、本発明の蛍光測定方法のもう1つの態様においては、水溶性高分子43としてチクソトロピー性を有する高分子マトリクスゲルが用いられる。このような高分子マトリクスゲルは、応力が存在する状況下では流動性を示すので、流路を通じて導入することが可能であり、一方、応力が存在しなくなり静止状態におかれると流動性を失うので、酵素固定基板11上に静置された後では酵素固定基板11上から離れないという利点がある。このチクソトロピー性を有する高分子マトリクスゲルの例としては、水溶性セルロース誘導体、キトサンおよびその誘導体等の多糖類などが挙げられる。
本発明で用いられる水溶性高分子43は、本発明の作用・効果を奏しうるものであれば、必ずしも、上記直鎖状の非架橋型水溶性ポリマーおよび上記チクソトロピー性を有する高分子マトリクスゲルに限定されるものではない。水溶性高分子43として、上記直鎖状の非架橋型水溶性ポリマーおよび上記チクソトロピー性を有する高分子マトリクスゲルは、1種単独で用いることもできるし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、本発明で用いられる水溶性高分子43は、上記直鎖状の非架橋型水溶性ポリマーと上記チクソトロピー性を有する高分子マトリクスゲルとの両方の性質を有していてもよい。このような水溶性高分子43を構成する骨格としては、直鎖状ポリアクリルアミド、上記多糖類から選ばれる1つ以上の骨格を有していることが好ましい。
このような水溶性高分子43として用いられるカチオン性高分子として、シャンプー、リンスなどのトイレタリー用途で一般的に用いられる水溶性カチオン化ポリマーが好適に用いられる。このような水溶性カチオン化ポリマーの典型的な化合物として、例えば、カチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉およびカチオン化グアガム誘導体などの水溶性カチオン化多糖類;並びに、ジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合体およびビニルピロリドン/4級アンモニウム修飾アクリルアミド共重合体などのカチオン化ポリアクリルアミド類が挙げられる。これらの化合物として、例えば、特開平6-234618号公報(特許文献3)に記載の化合物を用いることができる。
これらのうち、本発明で水溶性高分子43として用いることができるカチオン化セルロース誘導体として、カチオン性基を有するポリアルキルオキシ基で置換されたアンヒドログルコース単位をアンヒドログルコース単位として含むカチオン化セルロース誘導体が挙げられる。本発明で用いられるカチオン化セルロース誘導体は、カチオン性基を有するポリアルキルオキシ基で置換されたアンヒドログルコース単位を含めて、50〜20000個のアンヒドログルコース単位を含むことが好ましい。
このカチオン化セルロース誘導体に含まれるカチオン性基としては、第4級アンモニウム基が挙げられる。第4級アンモニウム基の一例として、下記式(1)に示されるような構造を有する第4級アンモニウム基が挙げられる。
上記(1)式中、R1,R2,R3はそれぞれ独立に、炭素数10以下のアルキル基、アリール基、アラルキル基であり、R4はアルキレンまたはヒドロキシアルキレン基であり、Xは陰イオンである。また、R1,R2,R3のうちの2以上が式中の窒素原子を含んだ形で複素環を形成しても良い。本発明の一態様においては、セルロース骨格の形成に関与しない水酸基に結合したポリアルキルオキシ鎖に、上記式(1)に示されるような構造を有する第4級アンモニウム基が結合した態様でアンヒドログルコース単位に導入されている。
カチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアガム誘導体等の多糖類の場合には、分子中に含まれるカチオン性基の数をカチオン置換度、すなわち、アンヒドログルコース単位など構成単糖単位に導入されたカチオン基の平均個数で判断することができる。カチオン化セルロースのカチオン置換度は、0.01〜1、すなわちアンヒドログルコース単位あたりに導入されたカチオン基の平均個数が0.01〜1、好ましくは0.02〜0.5である。
カチオン化セルロース誘導体の市販品としてはカチセロ H−60(花王製)、カチナール(東邦化学製)、レオガード(マツモト交商製)等が挙げられる。
本発明で水溶性高分子43として用いることができるカチオン性澱粉として、澱粉残基の水酸基がカチオン性官能基で置換されたカチオン化澱粉が挙げられる。
このカチオン性澱粉に含まれるカチオン性基としては、第4級アンモニウム基が挙げられる。第4級アンモニウム基の一例として、上記式(1)に示されるような構造を有する第4級アンモニウム基が挙げられる。
カチオン性澱粉は、カチオン置換度が0.01〜1、すなわちアンヒドログルコース単位あたり0.01〜1個、特に0.02〜0.5個のカチオン基が導入されたものが好ましい。カチオン性澱粉のうち、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウム澱粉については市販されており、例えば、商品名「センソーマーCI−50」(分子量(GPC−MALLS法):20万)として、マツモト交商から販売されている。
本発明で水溶性高分子43として用いることができるカチオン化グアガム誘導体として、グアガム残基の水酸基がカチオン性基で置換されたカチオン化グアガム誘導体が挙げられる。
このカチオン化グアガム誘導体に含まれるカチオン性基としては、第4級アンモニウム基が挙げられる。第4級アンモニウム基の一例として、上記式(1)に示されるような構造を有する第4級アンモニウム基が挙げられる。
カチオン化グアガム誘導体は、カチオン置換度が0.01〜1、すなわち0.01〜1個、特に0.02〜0.5個のカチオン基が糖ユニットに導入されたものが好ましい。このようなカチオン化グアガム誘導体は、特公昭58−35640号公報、特公昭60−46158号公報、及び特開昭58−53996号公報中に記載されており、例えばセラニーズ−シュタイン・ホール社から商品名「ジャガー」で市販されている。
本発明で水溶性高分子43として用いられる水溶性カチオン化多糖類は、上記に例示したようなグルコースを構成単位とする水溶性カチオン化多糖類に限定されるものではなく、グルコースを構成単位とする他の種類の水溶性カチオン化多糖類でもよいし、グルコース以外の単糖を構成単位として含む水溶性カチオン化多糖類であってもよい。これらの水溶性カチオン化多糖類の場合にも、通常カチオン置換度が0.01〜1のものを好適に用いることができる。
本発明で水溶性高分子43として用いることができるジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物は、ジアリルアンモニウム由来の環状アンモニウム単位と、アクリルアミド単位との共重合体である。このアクリルアミド単位において、アミド結合の窒素原子に結合した水素原子の一部または全部が低級アルキル基(炭素数1〜3)またはフェニル基によって置換されていてもよい。
このジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物に含まれる環状アンモニウム単位としては、下記式(2a)または(2b)に示されるような構造を有する環状アンモニウム単位が挙げられる。
上記(2a)および(2b)式中、R5,R6 はそれぞれ独立に、水素、アルキル基(炭素数1〜18)、フェニル基、アリール基、ヒドロキシアルキル基、アミドアルキル基、シアノアルキル基、アルコキシアルキル基、カルボアルコキシアルキル基であり、R7,R8 はそれぞれ独立に、水素原子、低級アルキル基(炭素数1〜3)、フェニル基であり、Xは陰イオンである。
ジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物は、分子量として3万〜200万、好ましくは10万〜200万の範囲のものが良い。ジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物における環状アンモニウム単位とアクリルアミド単位との比率には、特に制限がない。
上記のようなジアリル4級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物のうち、塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド共重合体、すなわち、上記式(2a)または(2b)において、R5およびR6がメチル基、R7およびR8が水素原子で表される共重合体が水溶性高分子43として好ましく用いられる。この共重合体は、例えば商品名「マーコート550」(重合比:塩化ジメチルジアリルアンモニウム/アクリルアミド=30/70(モル比);分子量(GPC−MALLS法):160万)としてマツモト交商から販売されている。
本発明で水溶性高分子43として用いることができるビニルピロリドン/4級アンモニウム修飾アクリルアミド共重合体として、ビニルピロリドン単位と、第4級アンモニウム基がアミド結合の窒素原子と結合した4級アンモニウム修飾アクリルアミド単位とからなる共重合体が挙げられる。
この4級アンモニウム修飾アクリルアミド単位に含まれる第4級アンモニウム基として、下記式(3)に示されるような構造を有する第4級アンモニウム基が挙げられる。
上記(3)式中、R9,R10,R11はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミドアルキル基、シアノアルキル基、アルコキシアルキル基、カルボアルコキシアルキル基であり、R12は炭素数10以下の直鎖アルキル基であり、Xは陰イオンである。ここで、この4級アンモニウム修飾アクリルアミド単位において、カルボ基に隣接する主鎖上の炭素は、炭素数3以下のアルキル基でさらに置換されていてもよい。
ビニルピロリドン/4級アンモニウム修飾アクリルアミド共重合体の分子量は、1万〜200万、好ましくは5万〜150万が特に良い。この共重合体中に含まれるカチオン性高分子に由来するカチオン性窒素の含有量はビニル重合体にして0.004〜0.2%、好ましくは0.01〜0.15%である。ビニルピロリドン/4級アンモニウム修飾アクリルアミド共重合体におけるビニルピロリドン単位と4級アンモニウム修飾アクリルアミド単位との比率には、特に制限がない。
本発明で水溶性高分子43として用いられるカチオン化ポリアクリルアミド類は、上記に例示したようなカチオン化ポリアクリルアミド類に限定されるものではない。本発明で水溶性高分子43として用いられるカチオン化ポリアクリルアミド類において、カチオン性基は、4級アンモニウム修飾アクリルアミド単位などの形でアクリルアミド単位に導入されていてもよいし、上記環状アンモニウム単位などの形で、アクリルアミド単位とともに共重合させるために用いられる他のモノマー単位に導入されていてもよいし、アクリルアミド単位および当該他のモノマー単位の両方に導入されていてもよい。
本発明で用いられる水溶性高分子43は、対応するモノマーを重合または共重合させることにより製造してもよいし、既存の高分子化合物に対して必要に応じて従来公知の手法による化学修飾を施すことにより製造してもよい。イオン性基を有する水溶性高分子43の場合には、イオン性基を有さない対応するモノマーとイオン性基を有するモノマーとを共重合し、必要に応じてさらに化学修飾を施すことによって製造してもよいし、イオン性基を有さない既存の高分子化合物に対してイオン性基を導入することによって製造してもよい。例えば、イオン性基を有する直鎖状ポリアクリルアミドは、アクリルアミドを、例えば、ジアリルアンモニウム系化合物等適当なイオン性基を有するモノマーと共重合するの方法、あるいは、4級アンモニウム修飾アクリルアミドを必要に応じて他のモノマー単位とともに(共)重合させる方法により得ることができる。また、イオン性基を有する多糖類は、母体となる市販の多糖類に対して、従来公知の手法による化学修飾を施してイオン性基を導入することにより得ることができる。
なお、該当する場合には、対応する市販品を上記水溶性高分子43として用いてもよい。
本発明で用いられる水溶性高分子43の分子量は、酵素反応を妨げないよう、重量平均分子量として通常1万〜200万、好ましくは5万〜200万の範囲にある。
《水溶性高分子および蛍光分子前駆分子の導入》
本発明に係る蛍光測定方法において、酵素固定基板11上に蛍光分子前駆分子41および水溶性高分子43を導入する方法は特に限定されるものではない。しかし、本発明に係る蛍光測定方法の典型的な態様において、水溶性高分子43を使用しない対応する従来公知の蛍光測定方法と同様、閉じた流路系中に酵素固定基板11が配置され、且つ流路を通じて各種薬剤や溶液等が供給される測定系で行われる。そのような測定系で使用する際の操作性の点から、蛍光分子前駆分子41および水溶性高分子43は、通常、溶液の形で酵素固定基板11上に導入されるものであり、その典型的な導入態様では、送液の形で流路を通じて酵素固定基板11上に導入される。
蛍光分子前駆分子41および水溶性高分子43を溶液として導入する場合に用いられる溶媒または緩衝液は、水溶性高分子43を使用しない対応する従来公知の蛍光測定方法で用いられる溶媒または緩衝液と同様のものであり、蛍光分子前駆分子41の種類に合わせて適当なものを用いることができる。
蛍光分子前駆分子41および水溶性高分子43を導入する際には、必要に応じて、従来公知の蛍光原基質変換法に基づくアッセイ法で一般に用いられる添加剤を加えてもよい。
蛍光分子前駆分子41および水溶性高分子43を導入する順番については、本発明の作用・効果を減殺しない限り特に問わない。蛍光分子前駆分子41と水溶性高分子43とのうちいずれかを先に導入してもよく、また、蛍光分子前駆分子41および水溶性高分子43を同時に導入してもよい。ただ、酵素反応により生成する蛍光分子42の拡散を抑制する観点からは、蛍光分子前駆分子41は、水溶性高分子43と同時に、あるいは水溶性高分子43を導入した後に導入することが好ましい。
酵素反応の際、生成する蛍光分子42をより多く捕捉するためには、酵素固定基板11上の溶液中に存在する水溶性高分子43の量が多い方が好ましい。その一方、水溶性高分子43を溶液として導入するためには一定の流動性が必要であることから、水溶性高分子43を導入する際の溶液の粘度が高くなりすぎないことが好ましい。これらを考慮すると、水溶性高分子43は、酵素反応直前における溶液全体における濃度として、通常0.001%〜5%、好ましくは0.01%〜1%となるように酵素固定基板11上に導入される。
蛍光分子前駆分子41の濃度については、本発明の作用・効果を減殺しない限り特に制限されることなく、水溶性高分子43を使用しない対応する従来公知の蛍光測定方法で用いられる基質と同程度の濃度でもよい。具体的には、蛍光分子前駆分子41は、酵素反応直前における溶液全体における濃度として、通常0.01M〜0.000000001M、好ましくは0.001M〜0.0000001Mとなるように酵素固定基板11上に導入される。
蛍光分子前駆分子41および水溶性高分子43を含む溶液の総量は、特に限定されない。ただ、この溶液が送液の形で酵素固定基板11上に導入される場合、この溶液の総量は、流路の容積として、通常0.0001〜20mL、好ましくは0.01〜1mLである。
蛍光分子前駆分子41および水溶性高分子43を送液の形で導入する際の送液の流速は、通常0.1μL/min〜10mL/min、好ましくは1μL/min〜1mL/minである。
流路
「流路」とは、微量な薬液の送達を効率的に行うことができ、反応促進を行うために送液速度を変化させたり、循環させたりすることができる直方体または管状のものである。
また、この流路として、基板21または酵素固定基板11を設置する個所近傍は直方体構造を有することが好ましく、薬液を送達する個所近傍は管状を有することが好ましい。流路を構成する材質、流路の寸法については、水溶性高分子43を使用しない対応する従来公知の方法で用いられる流路と同様のものとすることができる。
流路において、薬物送達部から酵素固定基板部に送液を導入する送液導入口、及びその送液を酵素固定基板部から排出する送液排出口の位置は、いずれも、蛍光測定の妨げとならない限り特に限定されない。例えば、酵素固定基板部の流路が直方体構造を有する場合、前記送液導入口及び送液排出口とも天井面に設けるのが流路の作成上簡便であるが、この送液導入口と送液排出口とのうちいずれか一方、あるいはその両方を側面に設けてもよい。
流路に基板21または酵素固定基板11を固定する方法は、流路が一定の形状に保たれ、且つ蛍光測定が妨げられない限り特に限定されない。
本発明において、酵素固定基板11への水溶性高分子43および蛍光分子前駆分子41の導入は、通常、上記流路を通じて行われる。
《酵素固定基板の製造》
本発明に係る蛍光測定方法をバイオアッセイ法としての用途に応用する場合、工程(b)に先立ち、検体、酵素23、リガンド分子、および、基板21(すなわち、「基礎基板」)を用いて酵素固定基板11を製造することになる。この酵素固定基板11を製造する工程は、本発明の蛍光測定方法における一連の工程(b)〜(e)とは独立した工程として行うことも可能ではある。しかし、本発明に係る蛍光測定方法を、閉じた流路系中に酵素固定基板11が配置され、且つ流路を通じて各種薬剤や溶液等が供給される測定系で用いる場合、酵素固定基板11を製造する工程と、引き続く工程(b)〜(e)とを同じ流路系のもとで一貫して行うことが操作上好都合である。したがって、この酵素固定基板11を製造する工程は、工程(a)として本発明の蛍光測定方法における一連の工程に組み込まれていることが好ましい。
この酵素固定基板11は、ELISA法等の酵素免疫測定法で用いられる一般的な酵素固定基板と同様の手法によって製造することができる。
酵素固定基板11は、典型的には、
工程(a−1):基板21の表面に、必要に応じてSAM層等の表面処理層を形成させる工程、
工程(a−2):基板21の表面に直接的に、あるいは前記工程(a−1)で形成された表面処理層を介して間接的にリガンド分子を結合させる工程、
工程(a−3):前記工程(a−2)で得られた基板の表面に検体を接触させて、検体中の生体分子をリガンド分子と結合させる工程、
工程(a−4):前記工程(a−3)で基板と結合した生体分子に酵素23を結合させる工程
を通じて製造される。
言い換えると、酵素固定基板11は、
工程(a−2)により、基礎基板である基板21の表面にリガンド分子を結合させて、リガンド分子が固定された基板(以下、「リガンド固定基板」と呼ぶ場合がある。)を得、
工程(a−3)により、前記「リガンド固定基板」の表面に検体を接触させて、検体中の生体分子をリガンド分子と結合させて、生体分子が固定された基板(以下、「生体分子固定基板」と呼ぶ場合がある。)を得、
工程(a−4)により、前記「生体分子固定基板」に酵素を結合させる
ことにより得ることができ、その際、工程(a−2)〜(a−4)に先立ち、
工程(a−1)により、基板21の表面に予めSAM層等の表面処理層を形成させておく
こともできる。
ここで、上記工程(a−4)は、例えば、予め、酵素23を第2のリガンド分子と結合させて酵素−第2のリガンド分子複合体を調製してから、上記工程(a−3)で得られた基板(すなわち、「生体分子固定基板」)の表面にこの酵素−第2のリガンド分子複合体を接触させることにより行うことができる。
ただし、生体分子が核酸である場合には、上記工程(a−3)および工程(a−4)を行う代わりに、予め、検体に酵素修飾処理を行ってから、上記工程(a−2)で得られた基板(すなわち、「リガンド固定基板」)の表面に酵素処理済みの検体を接触させることにより、酵素固定基板11を製造することもできる。検体への酵素修飾処理は、従来公知の種々の方法により行うことができる。
また、生体分子が核酸である場合における別の製造方法として、上記工程(a−3)および工程(a−4)を行う代わりに、予め、酵素23をインターカレーターと結合させて酵素−インターカレーター複合体を調製してから、上記工程(a−2)で得られた基板(すなわち、「リガンド固定基板」)の表面に検体とこの酵素−インターカレーター複合体とを含む溶液を接触させることにより、酵素固定基板11を製造することもできる。
ここで、「接触」とは、上記工程(a−2)を経て得られる基板(すなわち、「リガンド固定基板」)において、リガンド分子等が固定されている面が送液中に浸漬されている状態で、この送液中に含まれる対象物をこのリガンド固定基板と接触させることをいう。本発明において、上記検体と上記リガンド固定基板との「接触」は、流路中に循環する送液に検体が含まれ、リガンド固定基板においてリガンド分子が固定化されている片面のみが該送液中に浸漬されている状態において、リガンド固定基板と検体とを接触させる態様が好ましい。なお、検体等がリガンド固定基板に非特異的に吸着することを防止するため、リガンド分子を基板21に固定化した後、検体を接触させる前に予めリガンド固定基板の表面を牛血清アルブミン(BSA)等のブロッキング剤により処理することが好ましい。
酵素固定基板11を製造する際に用いられる送液としては、検体を希釈した溶媒または緩衝液と同じものが好ましく、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、トリス緩衝生理食塩水(TBS)などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
酵素固定基板11を製造する際の送液を循環させる温度および時間としては、検体の種類などにより異なり、特に限定されるものではないが、通常20〜40℃×1〜60分間、好ましくは37℃×5〜15分間である。
送液中の検体中に含有される生体分子の初期濃度は、100μg/mL〜0.0001pg/mLであってもよい。
送液の総量、すなわち流路の容積としては、通常0.0001〜20mL、好ましくは0.01〜1mLである。
酵素固定基板11を製造する際の送液の流速は、通常1〜2,000μL/min、好ましくは5〜500μL/minである。
なお、本発明においては、酵素固定基板11を製造後、酵素固定基板11を洗浄する工程が含まれることが好ましい。
洗浄工程に使用される洗浄液としては、例えば、Tween20、TritonX100などの界面活性剤を、上記「酵素固定基板11を製造する際に用いられる送液」と同じ溶媒または緩衝液に溶解させ、好ましくは0.00001〜1重量%含有するものが望ましい。
洗浄液を循環させる温度および流速は、上記「酵素固定基板11を製造する際の送液を循環させる温度および流速」と同じであることが好ましい。
洗浄液を循環させる時間は、通常0.5〜180分間、好ましくは5〜60分間である。
検体
本発明において、「検体」とは、本発明に係る蛍光測定方法をバイオアッセイ法としての用途に応用する場合に測定対象となる種々の試料をいう。
「検体」としては、例えば、血液(血清・血漿)、尿、鼻孔液、唾液、便、体腔液(髄液、腹水、胸水等)などが挙げられ、所望の溶媒、緩衝液等に適宜希釈して用いてもよい。これら検体のうち、血液、血清、血漿、尿、鼻孔液および唾液が好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。
<工程(c)>
本発明の蛍光測定方法において、工程(c)は、酵素固定基板11上で酵素反応を生じさせて、蛍光分子前駆分子41を蛍光分子42に変換する工程である。
蛍光分子
本発明に係る蛍光測定方法において、蛍光分子42は、工程(b)において導入された蛍光分子前駆分子41が、酵素23による酵素反応により変化して生成する蛍光発光性の分子である。本発明においては、この蛍光分子42の生成量は、蛍光の発光量の形で評価される。なお、蛍光分子前駆分子41として用いられる代表的な酵素反応用基質から生成する蛍光分子42の励起波長および発光波長については、前述の蛍光分子前駆分子の項で述べた通りである。
<工程(d)>
本発明の蛍光測定方法において、工程(d)は、工程(c)で生成した蛍光分子42を水溶性高分子43と結合させて、酵素固定基板11上に蛍光分子−水溶性高分子複合体31を形成させる工程である。
蛍光分子−水溶性高分子複合体
工程(c)における酵素反応により生成した蛍光分子42は、水溶性高分子43が存在しない測定系においては、酵素固定基板11上に存在する溶液中で自由に移動し、酵素固定基板11から離れた部位にまで拡散する。ここで、蛍光測定における蛍光検出の対象となる領域は酵素固定基板11周辺というごく狭い部分に限られていることから、酵素固定基板11から離れた部位にまで拡散した蛍光分子42からの発光した蛍光は検出されず、このことが従来公知の蛍光原基質変換法に基づく蛍光測定方法において検出感度が充分に向上しない原因となっている。
これに対して、本発明の蛍光測定方法では、酵素固定基板11上の溶液中に水溶性高分子43が存在することから、酵素反応により生成した蛍光分子42は、水溶性高分子43による高い粘性のため水溶性高分子43が存在しない溶液中と比べて拡散が抑制される傾向にある。また、蛍光分子42が水溶性高分子43を移動すると、蛍光分子42と水溶性高分子43との間に静電相互作用などの相互作用が働くため、蛍光分子42は水溶性高分子43と速やかに結合し、蛍光分子−水溶性高分子複合体31を形成する。その状況下では、蛍光分子42は蛍光検出の測定場となる酵素固定基板11周辺の領域により多く留まることになるので、生成した蛍光分子42のうちの蛍光検出に寄与する蛍光分子42の割合が高まり、その結果として検出される蛍光が増大する。このような機構を通じて、本発明の蛍光測定方法は、検出感度の向上を可能とする。
なお、後述する工程(e)を含め、工程(c)〜(e)においては、生成した蛍光分子−水溶性高分子複合体31が送液の流れにより酵素固定基板11上から流出して、蛍光検出の対象となる領域から逸脱する可能性を少なくするため、静置状態で行うことが望ましい。
<工程(e)>
本発明の蛍光測定方法において、工程(e)は、工程(d)で生成した蛍光分子−水溶性高分子複合体31から発光された蛍光を検出する工程である。工程(e)における蛍光の検出は、工程(d)で生成した蛍光分子−水溶性高分子複合体31に対して、励起光を照射し、その励起光に対応する蛍光発光の強度を計測することによって行われる。
工程(e)で用いられる蛍光の検出方法は、バイオアッセイの分野において一般に用いられている公知の蛍光検出方法であれば特に限定されない。
蛍光分子−水溶性高分子複合体31を励起して蛍光を発生させる方法としては、主として、蛍光分子−水溶性高分子複合体31に対して直接励起光を照射することによって蛍光を発生させる方法が挙げられる。この方法によって蛍光の検出・測定を行う手段として、様々な方法が知られているが、本発明の蛍光測定方法においては、共焦点レーザー顕微鏡または共焦点レーザースキャナーを用いて蛍光の検出を行うことが好ましい。これらの蛍光検出装置を用いると、焦点に対応した位置におけるコントラストの高い画像を様々な位置において取得し、重ね合わせることによって、焦点深度の深い画像を得ることができる。したがって、測定系の中で蛍光検出の対象となる領域を広げることができるので、生成した蛍光分子42のうちの蛍光検出に寄与する蛍光分子42の割合を高めることができ、検出感度の向上につながる利点がある。なお、本発明で用いられる共焦点レーザー顕微鏡および共焦点レーザースキャナーを構成する光源、ビームスプリッター、対物レンズ、ピンホール、光検出器、ガルバノミラーなどの部材については、従来公知のものをそれぞれ用いることができる。
蛍光分子−水溶性高分子複合体31を励起して蛍光を発生させる方法は、上述の方法に限定されるものではない。例えば、近接場光を利用して間接的に励起光を照射することによって蛍光を発生させる方法を用いてもよい。この場合、近接場光により励起された蛍光を検出することになる。このような近接場光の例としては、プラズモンにより増強された光が挙げられる。具体例としては、表面プラズモン励起増強蛍光分光法(SPFS)により、表面プラズモン等を用いて蛍光分子−水溶性高分子複合体31を励起して蛍光を発生させる方法が挙げられる。近接場光により励起された蛍光を検出する利点としては、蛍光検出の際に入射光からの影響を最小限に抑えつつ、高感度の測定が可能となることが挙げられる。ここで、近接場光により励起された蛍光を検出する場合、近接場光による励起が可能な領域はきわめて限られており、例えば、SPFSによる電場増強の効果を得られる領域は、酵素固定基板11の表面から100〜200nm程度までの領域に限られている。このような測定系において、水溶性高分子43を溶液中に共存させることによって、蛍光分子42を蛍光分子−水溶性高分子複合体31の形で酵素固定基板11の表面付近の領域に留めておくことは、生成した蛍光分子42のうちの近接場光により励起される蛍光分子42の割合を高めることにつながり、高感度化を行う上で有利となる。なお、本発明で近接場光により励起された蛍光を検出するために用いられる光源、プリズム、光学フィルタ、偏光フィルタ、カットフィルタ、集光レンズ、光検出器などの部材については、従来公知のものをそれぞれ用いることができる。
《生体分子の定量》
本発明に係る蛍光測定方法をバイオアッセイ法としての用途に応用する場合、工程(e)の後、検出された蛍光量をもとにして、検体中に含まれる「生体分子」を定量することになる。より具体的には、既知濃度の生体分子での測定を実施することで検量線を作成し、作成された検量線に基づいて被測定検体中の生体分子量を測定シグナルから算出する工程である。
この検出された蛍光量から検体中に含まれる生体分子を定量する工程は、本発明の蛍光測定方法における一連の工程(b)〜(e)とは独立した工程として行うことも可能ではある。しかし、水溶性高分子43を用いない対応する従来公知の蛍光測定方法と同様、水溶性高分子43を用いる本発明に係る蛍光測定方法においても、通常の場合、蛍光を検出する工程と検出された蛍光量から検体中に含まれる生体分子を定量する工程とは、一連の工程として行われる。したがって、工程(e)で検出された蛍光量から検体中に含まれる生体分子を定量する工程は、工程(f)として本発明の蛍光測定方法における一連の工程に組み込まれていることが好ましい。
アッセイS/N比
工程(f)においては、上記工程(b)の前に測定した“ブランク蛍光シグナル”、上記工程(e)で得られた“測定蛍光シグナル”、および何も修飾していない基板21を流路に固定し、超純水を流しながら蛍光発光を測定して得られたシグナルを“初期ノイズ”としたとき、下記式(4a)で表されるアッセイS/N比を算出することができる:
アッセイS/N比=|Ia/Io|/In (4a)
(上記式(1a)において、Iaはアッセイ蛍光シグナル、Ioはブランク蛍光シグナル、Inは初期ノイズである)。
ただし、アッセイS/N比を算出するにあたっては、実用上、上記式(4a)に代えて、検体中に含まれる生体分子の濃度が0の場合における“アッセイノイズシグナル”を基準として、下記式(4b)にしたがって算出してもよい:
アッセイS/N比=|Ia|/|Ian| (4b)
(上記式(4b)において、Ianはアッセイノイズシグナル、Iaは上記式(4a)の場合と同様にアッセイ蛍光シグナルである)。
酵素化学蛍光試薬としてDDAOPを使用し、アルカリフォスファターゼ標識二次抗体を用いてSPFS検出法により蛍光強度を測定した。
[実施例1]
抗AFPモノクローナル抗体(一次抗体)を表面に固定化したSPFSセンサー基板を常法により作成し、抗体を固定化した側の表面に、抗原であるAFP(0.1ng/mL)を反応させた後、アルカリフォスファターゼ標識抗AFPモノクローナル抗体(二次抗体)を結合させた。これにより、酵素固定基板として機能する、表面に抗原抗体のサンドイッチ複合体が形成されたSPFSセンサーが得られた。
その後、このSPFSセンサー表面上に、6.0E−6 mol/LのDDAOP溶液(pH8.5、トリス塩酸緩衝液)に0.05重量%のカチオン化高分子(カチナールHC-100,東邦化学製、商品名)を添加した基質溶液を、流速100μL/minにて導入してセットし、生成される蛍光分子の蛍光強度を測定した。
[比較例1]
比較例として、基質溶液としてカチオン化高分子を添加していない基質溶液を用いたことを除いては実施例1と同様に、蛍光分子の蛍光強度を測定した。
実施例1及び比較例1のSPFS系における、基質溶液をSPFSセンサー表面に導入してからの反応時間と蛍光強度との関係を図2に示す。
図2に示されるように、カチオン化高分子が添加されている基質溶液では、蛍光強度が反応開始後、直線的に蛍光強度が増加するのに対し、カチオン化高分子が添加されていない基質溶液では、反応開始後5分程度までは蛍光強度の増加が無く、その後徐々に蛍光強度が上昇する傾向となった。これは、表面上で生成した蛍光生成物が速やかに溶液中に拡散し、蛍光シグナルとして検出されるまでに時間がかかるのに対し、カチオン化高分子が添加されている基質溶液では生成した蛍光分子がセンサーの最表面に留まり、結果として反応時間直後から効率的に蛍光シグナルとして検出できていることを示している。
11・・・酵素固定基板
21・・・基板
22・・・結合部
23・・・酵素
31・・・蛍光分子−水溶性高分子複合体
41・・・蛍光分子前駆分子
42・・・蛍光分子
43・・・水溶性高分子

Claims (13)

  1. 下記工程(b)〜(e)を含むことを特徴とする蛍光測定方法:
    工程(b):酵素固定基板上に、水溶性カチオン化多糖類である水溶性高分子および蛍光分子前駆分子を導入する工程;
    工程(c):前記酵素固定基板上で酵素反応を生じさせて、前記蛍光分子前駆分子を蛍光分子に変換する工程;
    工程(d):前記蛍光分子を前記水溶性高分子と結合させて、前記酵素固定基板上に蛍光分子−水溶性高分子複合体を形成させる工程;および、
    工程(e):前記蛍光分子−水溶性高分子複合体から発光された蛍光を検出する工程。
  2. 前記水溶性高分子に含まれるカチオン性基が、第4級アンモニウム基である請求項1に記載の蛍光測定方法。
  3. 前記蛍光分子−水溶性高分子複合体が、前記蛍光分子と前記水溶性高分子との静電相互作用により形成される請求項1または2に記載の蛍光測定方法。
  4. 前記水溶性カチオン化多糖類におけるカチオン置換度が0.01〜1である請求項1〜3のいずれか1項に記載の蛍光測定方法。
  5. 前記水溶性高分子の重量平均分子量が1万〜200万である請求項1〜のいずれか1項に記載の蛍光測定方法。
  6. 上記工程(b)における水溶性高分子および蛍光分子前駆分子の導入が、流路を通じて行われる請求項1〜5のいずれか1項に記載の蛍光測定方法。
  7. 前記工程(c)〜(e)が静置状態で行われる請求項1〜のいずれか1項に記載の蛍光測定方法。
  8. 前記酵素固定基板において、酵素が生体分子とリガンド分子との結合を介して基板上に固定されている請求項1〜のいずれか1項に記載の蛍光測定方法。
  9. 前記酵素固定基板において、
    前記基板に前記リガンド分子が結合し、
    前記リガンド分子に前記生体分子が結合し、
    前記生体分子に前記酵素が直接的または間接的に結合している
    請求項に記載の蛍光測定方法。
  10. 工程(a):検体、酵素、リガンド分子および基板を用いて前記酵素固定基板を製造する工程、および
    工程(f):前記工程(e)で検出された蛍光量から、前記検体中に含まれる前記生体分子を定量する工程
    をさらに含むことを特徴とする請求項8または9に記載の蛍光測定方法。
  11. 前記工程(e)において、近接場光により励起された蛍光を検出する請求項1〜10のいずれか1項に記載の蛍光測定方法。
  12. 前記近接場光がプラズモンにより増強された光である請求項11に記載の蛍光測定方法。
  13. 前記工程(e)において、共焦点レーザー顕微鏡または共焦点レーザースキャナーを用いて蛍光の検出を行う請求項1〜10のいずれか1項に記載の蛍光測定方法。
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