JP5619041B2 - 吐出不良検出方法及び装置、画像処理装置、プログラム、並びに印刷システム - Google Patents

吐出不良検出方法及び装置、画像処理装置、プログラム、並びに印刷システム Download PDF

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Description

本発明はインクジェットプリンタなどに用いられる液体吐出ヘッドの吐出不良を検出する方法、装置、プログラム並びにその検出技術を適用した印刷システムに関する。
複数の液体吐出口(ノズル)を有するインクジェットヘッドにおける吐出不良を検出する技術に関して、特許文献1には良否判断の比較の基準となる画像データ(基準データ)と、プリンタで印刷された画像をスキャナで読み込んで取得した読取データとを比較して、両データの画素値の差分からノズルの吐出不良を検出する方法が開示されている。特許文献1によれば、印刷用の画像データに基づきヘッドユニットと用紙を相対移動させつつ、ノズルからインクを吐出して用紙上に描画した画像をスキャナによって読み取る際に、ヘッドユニットと用紙の相対移動方向について元の画像データよりも低い解像度で読み取る構成と、この読取データにおける相対移動方向の解像度と等しい解像度となるように画像データに基づいて基準データを作成する構成と、読取データ上で相対移動方向の同一の画素列にある複数の読取データ画素と対応する複数の基準データ画素とを比較してノズルの不良を検出する構成を開示している。
特開2010−240885号公報
しかし、特許文献1に記載の技術には以下のような課題がある。
(1)基準データとの比較方法について
特許文献1では、吐出不良ノズルの判定の基準となるデータとの比較に際して、単純に該当画素同士の差分値を閾値と比較して、両画素同士の違いを判断している。しかし、実際の印刷画像の不良は人間が印刷物を目で見て判断するため、人間の目視判断と合致するレベルで吐出不良をより高精度に自動判定するためには、人間の視覚特性を考慮した像構造処理をすることが必要となる。この点、特許文献1の技術は改善の余地がある。
(2)基準データや読取画像データの画素とノズル位置との対応付けについて
シングルパス方式のインクジェット印刷装置で大量の印刷物を生産しようとする場合、用紙の相対移動の精度(紙幅方向の位置精度)があまり高くない。このため、印刷物を撮像して得られる撮像画像と、これを描画したインクジェットヘッド(ラインヘッド)のノズルの位置を対応付ける位置合わせ処理をする必要がある。特に、特許文献1のように、印刷用の画像データから基準画像を作成する場合には、撮像画像の画素位置とノズルの位置合わせ処理が重要となるが、この点、引用文献1には言及がない。
(3)ノズル幅方向の読取解像度について
特許文献1では、紙幅方向についてのスキャナの読取解像度は、印刷された画像よりも高い解像度(例えば、720dpiで印刷された画像の場合、その2倍以上の1440dpi以上の読取解像度)とすることが望ましいとしている(特許文献1の段落0031)。しかし、例えば、シングルパス方式の描画装置で高生産性を有するものは、用紙搬送方向と直交する用紙幅方向にノズルが並ぶノズル列を備えるラインヘッドが採用され、描画される画像もかなりの広幅なものになる。その画像領域の全域に渡って高解像度のスキャナで読み取ることは、複数のカメラ(或いは撮像デバイス)を併置することで可能であるが、データ数も増え、処理に時間がかかる。印刷速度に見合う高速処理を実施するには高コストとなり現実的ではない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、上記の課題を解決し、精度よく吐出不良を判定することができる吐出不良検出方法、装置、画像処理装置、プログラム、並びに印刷システムを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明に係る吐出不良検出方法は、複数のノズルが並んだノズル列を備える液体吐出ヘッドと媒体とを相対移動させつつ画像データに基づいて前記ノズルから液体を吐出することによって前記媒体上に記録された画像を読み取り、当該画像の読取データを取得する画像読取工程であって、前記相対移動の方向と直交する方向の読取解像度が前記液体吐出ヘッドのノズル解像度よりも低い解像度の画像読取手段を用いて前記画像を読み取ることにより前記読取データを取得する画像読取工程と、前記画像読取工程によって得られた読取データに対して人間の視覚特性に対応したフィルタ処理を行う視覚特性補正工程と、前記媒体上における画像領域外の余白部分に、予め定められた所定のノズルで記録されたマークから前記読取データの画素位置と前記液体吐出ヘッドにおけるノズル位置との対応関係を特定するノズル位置対応付け工程と、前記ノズル位置対応付け工程によって特定した対応関係を利用して前記視覚特性補正工程によるフィルタ処理後のデータを、前記液体吐出ヘッドのノズル解像度のデータに変換する解像度変換工程と、前記画像読取工程によって得られた読取データ又は前記画像データから基準画像を示す基準データを作成する基準データ作成工程と、前記基準データ作成工程によって作成された基準データを記憶する基準データ記憶工程と、前記画像読取工程により読み取った画像から生成される読取データに対して前記視覚特性補正工程による前記フィルタ処理及び前記解像度変換工程による前記ノズル解像度への変換処理を行って生成されるノズル解像度変換後の読取データと、前記視覚特性に対応したフィルタ処理及び前記液体吐出ヘッドのノズル解像度への変換処理を経て生成されるノズル解像度変換後の基準データとを比較して前記ノズル列におけるノズルの吐出不良を検出する不良検出工程と、を含む。
他の発明態様については明細書及び図面の記載により明らかにする。
本発明によれば、人間の視覚特性を考慮することで不良ノズルを適切に検出することができる。また、媒体上に特定のノズルでマークを記録してノズル位置と画素位置との位置合わせを行うため、不良ノズルの位置を高精度に特定することができる。さらに、本発明によれば、必ずしも高解像度の画像読取手段(スキャナ)を用いる必要がなく、高速かつ安価に高精度の不良ノズル検出を実現できる。
本発明の実施形態に係る印刷システムの構成を示すブロック図 プリンタの構成を示すブロック図 吐出不良を検出する手順を示したフローチャート 基準データの登録処理の手順を示したフローチャート スキャナ特性補正の補正関数の例を示す図 人間の視覚特性を示すグラフ 解像度変換処理の手順を示したフローチャート 用紙上に記録される画像とノズル位置対応付け用のマークの例を示した図 用紙上に記録されるノズル位置対応付け用のマークの他の例を示した図 読み込みデータと基準データの差分の算出処理の手順を示すフローチャート 画像処理装置の機能構成を示すブロック図 不良ノズル特定チャート(ノズル番号特定チャート)の例を示した図 吐出不良を検出する手順の他の例を示したフローチャート インクジェット記録装置の全体構成図 図15(a)はヘッドの構造例を示す平面透視図、図15(b) はその一部の拡大図 ヘッドの他の構造例を示す平面透視図 図15(a)中のA−A線に沿う断面図 インクジェット記録装置のシステム構成を示すブロック図
以下、添付図面に従って本発明を実施するための形態について詳説する。
〔第1実施形態〕
<印刷システムの全体構成>
図1は、本発明の実施形態に係る印刷システムの構成を示すブロック図である。この印刷システム10は、プリンタ12と、コンピュータ(PC)本体14と、表示装置15と、入力装置16と、出力画像を読み取る画像読取手段としてのスキャナ20と、スキャナ20から取得される読取画像のデータを解析する画像処理装置22と、を備える。
プリンタ12は、用紙の搬送方向(第1の方向)と直交する紙幅方向(第2の方向)の描画領域の全域を所定の記録解像度で一度に(1回の紙送りで)描画完成できるノズル列を有するインクジェットヘッドを備えるシングルパス方式の印刷装置である。
コンピュータ本体14は、有線又は無線の通信インターフェースを介してプリンタ12と通信可能に接続されている。コンピュータ本体14には、プリンタ12を制御するためのプリンタドライバーがインストールされており、該コンピュータ本体14はプリンタ12の制御装置として機能する。また、コンピュータ本体14は、プリンタ12によって画像を印刷させるために必要な画像データをプリンタ12に提供する。
コンピュータ本体14には表示装置15と入力装置16が接続されている。表示装置15及び入力装置16はユーザーインターフェース(UI)として機能する。表示装置15には、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどを用いることができる。入力装置16は、キーボード、マウス、タッチパネル、トラックボールなど、各種の手段を採用することができ、これらの適宜の組み合わせであってもよい。オペレータ(ユーザ)は、表示装置15の画面に表示される内容を見ながら入力装置16を使って各種情報の入力を行うことができ、プリンタ12や画像処理装置22等を操作することができる。また、表示装置15を通じてシステムの状態等を把握(確認)することが可能である。なお、コンピュータ本体14と表示装置15と入力装置16とを含んだコンピュータ一式をまとめてコンピュータ18と呼ぶ。
スキャナ20は、多数の光電変換素子(感光画素部)がライン状に配列されたリニアセンサ型の撮像デバイスを備える。本例のスキャナ20には、例えば、RGB各色のCCDラインセンサが並んだ3CCDカラーラインセンサなど、色分解可能な撮像デバイスが用いられる。このようなカラー撮像デバイスを用いることにより、プリンタ12が印刷できる各色の情報を読み取ることができる。
また、シングルパス方式のプリンタ12の場合、印刷後の画像を読み取る画像読取手段としてのスキャナ20は用紙搬送経路に設けられている構成が好ましい。このような構成によれば、大量の枚数を印刷する際、印刷される画像の1枚、1枚を用紙搬送中にチェックすることが可能となる点で望ましい形態である。
本例のスキャナ20は、用紙搬送方向と直交する紙幅方向について用紙上の紙幅分の画像を一度に(1回の紙送りで)読み取ることができる光電変換素子列(読取画素列)を有しており、用紙搬送経路に設置される。プリンタ12によって印刷された用紙を一方向に搬送しながらスキャナ20によって用紙上の画像を読み取り、画像信号に変換する。こうしてスキャナ20によって読み取られた読取画像の電子画像データ(読取データ)が生成される。
スキャナ20の読取解像度は、紙幅方向にはできるだけ高解像度であることが望ましい。理想的には、プリンタ12の紙幅方向の記録解像度の2倍以上の読取解像度であることが望ましい。例えば、600dpiの解像度(記録解像度)のプリンタ12の場合、スキャナ20の紙幅方向の読取解像度は、その2倍の1200dpi以上とすることが望ましい。ただし、本発明の実施に際しては、必ずしもこのような高解像度のスキャナを用いることは要求されない。
一方、スキャナ20の紙送り方向の読取解像度は、スキャナ20のデータ処理可能な解像度に合わせて、プリンタ12の記録解像度よりも低解像度を採用すればよい。例えば、スキャナ20の紙送り方向の読取解像度は、紙幅方向の読取解像度に対して1/10以下の低解像度とすることができる。具体的には、600dpiのプリンタ12の場合、スキャナ20の紙送り方向の読取解像度が100dpiとなるスキャンスピードとし、紙幅方向の読取解像度(例えば、1200dpi)の1/12とすることができる。
図2はプリンタ12の構成を示すブロック図である。プリンタ12は、通信インターフェース部31と、コントローラ32と、用紙搬送部34と、ヘッドユニット36とを備える。プリンタ12は、通信インターフェース部31を介してコンピュータ18(図1参照)と接続される。
ヘッドユニット36は、液体吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッド(以下、ヘッドという。)38C、38M、38Y、38Kを含んで構成される。本実施形態では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の4色のインクを用いるものとし、各色のインクを吐出する手段として、色別にヘッド38C、38M、38Y、38Kを備える場合を説明する。ただし、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されない。ヘッドの数も本例に限定されない。なお、以下の説明において、複数のヘッド38C、38M、38Y、38Kに関してインク色を特定する必要がない事項(各ヘッドに共通の事項)は、符号38を付してヘッド38として説明する。
各ヘッド38のインク吐出面(ノズル面)には、用紙の画像形成領域の最大幅に対応する長さにわたってインク吐出用の複数のノズルが配列されている。ノズルの配列形態については、ノズルが一定の間隔で直線上に(一列に)並ぶ一次元ノズル配列であってもよいし、2本のノズル列を互いにそれぞれのノズル列内におけるノズル間隔(ノズル間ピッチ)の1/2ピッチだけノズル列方向にずらして配置した、いわゆる千鳥状配列であってもよい。特に、高記録解像度を実現するためには、3本以上のノズル列を並べるマトリクス配列など、インク吐出面に多数のノズルを二次元的に配列させる構成が好ましい。
二次元ノズル配列を有するインクジェットヘッドの場合、当該二次元ノズル配列における各ノズルを紙送り方向(媒体搬送方向、或いは副走査方向に相当)と直交する方向(紙幅方向、或いは主走査方向に相当)に沿って並ぶように投影(正射影)した投影ノズル列は、主走査方向(媒体幅方向)について、記録解像度を達成するノズル密度でノズルが概ね等間隔で並ぶ一列のノズル列と等価なものと考えることができる。ここでいう「等間隔」とは、インクジェット印刷システムで記録可能な打滴点として実質的に等間隔であることを意味している。例えば、製造上の誤差や着弾干渉による媒体上での液滴の移動を考慮して僅かに間隔を異ならせたものなどが含まれている場合も「等間隔」の概念に含まれる。投影ノズル列(「実質的なノズル列」ともいう。)を考慮すると、主走査方向に沿って並ぶ投影ノズルの並び順に、ノズル位置(ノズル番号)を対応付けることができる。以下の説明で「ノズル位置」という場合、この実質的なノズル列におけるノズルの位置を指す。
コントローラ32は、コンピュータ18から受信した画像データや制御信号等に基づいて用紙搬送部34やヘッドユニット36を制御し、印刷媒体としての用紙上に画像を印刷する制御を行う。用紙搬送部34は、印刷用紙などの媒体を搬送するための手段である。用紙搬送部34の詳細な構造は図示しないが、給紙ローラ、搬送モータ、モータ駆動回路などを含む。シングルパスのプリンタ12では、用紙搬送部34が「相対移動手段」に相当する。
コントローラ32は、通信インターフェース部31を介して取得した画像データに対して、色変換処理、濃度補正処理、不吐出補正処理、ハーフトーン処理などの各種処理を行う画像信号処理手段として機能し得る。コントローラ32は、画像データに応じて各ヘッド38の各ノズルに対応した吐出エネルギー発生素子(例えば、圧電素子)の駆動を制御するための吐出制御信号(印刷データ)を生成し、この吐出制御信号を各ヘッド38に供給するとともに、用紙の搬送を制御する。コントローラ32は、用紙を一定の速度で搬送しながら、エンコーダ等によって用紙の位置を検知し、各ノズルの吐出タイミングを制御する。コントローラ32から各ヘッド38に与えられる吐出制御信号にしたがってノズルからの吐出が行われ、用紙上に画像が形成される。コントローラ32は「印刷制御手段」に相当する。
画像処理装置22は、スキャナ20によって取得される読取画像データを解析して吐出不良を検出する処理を行う信号処理装置として機能する。本例の場合、画像読取手段としてのスキャナ20と、スキャナ20からの取り込み画像を解析処理する画像処理装置22との組み合わせによって吐出不良検出装置24が構成される。なお、画像処理装置22の信号処理機能はコンピュータのハードウエア構成とソフトウエア(プログラム)とによって実現することが可能である。例えば、コンピュータ18に画像処理装置22の機能を実現させることプログラムを組み込み、コンピュータ18を画像処理装置22として機能させることもできる。
<処理フロー>
図3は吐出不良を検出する手順を示したフローチャートである。まず、プリンタ12によって用紙S上に画像を印刷する(ステップS112)。用紙S上には、印刷すべき画像として指定された画像内容を表す画像データに基づいて記録された実画像と、この実画像が記録される画像領域外の余白部分に、予め定められた所定のノズル番号のノズルによって記録される縦線状のマークとが印刷される(図8参照)。
次いで、この印刷された画像をスキャナ20で読み込み(ステップS114)、用紙S上に形成された画像の読取データを生成する。なお、スキャナ20が取り込んだデータのうち、実画像が記録された画像領域と、余白部分のマークが記録された領域とを判別して、注目領域ごとにデータの処理を行うことができる。
次いで、ステップS116に進み、吐出不良の判定に用いる基準画像のデータ(「基準データ」という。)が登録されているか否かの判定を行う。印刷された画像に対する基準データが未登録の場合、ステップS118に進んで基準データの登録処理を行う。スキャナ20で読み込まれた画像をプリンタ12で出力後、当該画像の印刷物をユーザが目視で問題ないことを確認した後、その読取画像のデータを基準データとして登録する。
印刷目的の画像を大量に描画出力する印刷ジョブを実行する前に、いわゆる試し印刷を行って基準データの登録を行う態様も可能であるし、或いは、印刷ジョブを開始して最初の1枚又は数枚の範囲で印刷物を目視で確認し、良好(OK)と判断したら、その画像の読取画像を基準データとして登録するという態様も可能である。
図4は基準データ登録処理のフローチャートである。この処理がスタートすると、まず、スキャナ20を介して取り込まれた画像データに対してスキャナ特性を補正する処理(スキャナ特性補正処理)が行われる(ステップS202)。スキャナ20によって読み込まれた読取画像データは、スキャナ20の性能(スキャナ特性)に依存して、読み込みに伴う解像度劣化が発生する。一般にスキャナのMTF(Modulation Transfer Function )周波数特性FMTFは、高周波数側ではレスポンスが低下する。したがって、その低下分の周波数補償のための変換(補正処理)を実施する。
図5に周波数特性補正(MTF補正)に用いる関数(FMTF -1)の一例を示す。図5に示すように、補正関数は、高周波数でレスポンスを高めるように補正する関数となる。このような関数を適用してMTF補正が行われる。
次に、人間の視覚の空間周波数特性(VTF;Visual Transfer Function)を考慮した視覚特性補正(VTF補正)が行われる(図4のステップS204)。一般的な印刷用途では、印刷画像の差異や欠陥は人間が見て差が無ければ(欠陥として知覚できなければ)問題がないと考えられる。そのため人間の視覚特性FVTFに合わせて、一種のローパスフィルタ(VTF)を適用する。
図6は人間の視覚特性の例を示すものである。横軸は空間周波数(サイクル/ミリメートル)、縦軸は応答である。縦軸は応答感度の最大値を「1」として規格化した相対値で表されている。人間の視覚は、例えば、空間周波数0.8サイクル/ミリメートル(c/mm)近傍で最大感度(「1」とする)となる。空間周波数が2サイクル/ミリメートル(c/mm)で応答は約0.4となり、以下、空間周波数の増加につれて応答は急激に低下し、空間周波数6〜8サイクル/ミリメートルで略ゼロ値になる特性と有する。
このような人間の視覚周波数特性のモデルについては、著者J.Sullivan, L.Ray,and R.Millerによる文献「Design of minimumvisual modulation halftone patterns」IEEE Trans. Syst. Man Cybern., vol121,No.1,33-38(1991)に詳しく述べられている。人間の視覚特性に対応したローパスフィルタを適用して画像データを変換することにより、人間には見えない高周波なムラが発生していたとしても吐出不良として判定されなくなる。
上記の理由により、読取データに対して、以下の(式1)で表される処理を読取データの各ライン毎に行う。ここでいう「各ライン毎」とは、スキャナ20の読取ライン幅方向(「紙幅方向」に相当)に並ぶ画素列毎という意味である。
(式1) Img_ref_mod1(i,n)=FVTF{ FMTF -1 (Img_scan_ref(i,n))}
式1中の記号の意味は以下のとおりである。
・Img_ref_mod1は、読取解像度での基準データの画像データを表す。
・Img_scan_ref(i,n)は、スキャナによる読み込み画像であり、基準画像となる読取データの各種補正処理前のデータを表す。
・iは、スキャナ20の読取ライン幅方向に沿って並ぶ光電変換素子列(CCD;charge-coupled device)の画素番号である。
・nは、ラスター方向(紙送り方向)の読み取りライン数を表す。
(式1)中でFVTF(u)、FMTF -1(u)の関数で表されるそれぞれのフィルタ処理は、周波数空間上の掛け算でもよいし、実空間のコンボリューション演算で求める構成でもよい。なお、スキャナ特性補正(MTF補正)に相当するFMTF -1はスキャナ20が高精度で(高解像度で)読み取れていれば省略することができる。
次に、図4のステップS206に進み、視覚特性補正(ステップS204)後の画像データをプリンタ12のノズル解像度へ変換する解像度変換処理を行う。後述する吐出不良の判定処理においては、各ノズルに対して不良の有無を判断するため、読取画像データについてプリンタ12のノズル解像度への変換処理が必要となる。
この解像度変換処理(ステップS206)は、図7に示すように、スキャナ20の読取画素位置とノズル位置との対応付けを行う処理工程(ステップS262、「ノズル位置対応付け処理工程」に相当)と、得られた対応関係を用いて各ノズル番号xの画素値を求めてノズル解像度でデータを生成する工程(ステップS264)とを含む。
シングルパス方式で描画するインクジェットプリンタでは、大量の用紙を印刷出力する際、各用紙の各画像がそれぞれ何番目のノズルで描画されたかというノズル位置と読取画素位置との関係を補正する必要がある。
用紙の搬送性のズレによって用紙の位置がずれたり(斜行を含む)、描画時の画像の濃さによって用紙上に付与されるインク量の違い(水分量の差)で用紙が膨張し、画像が伸び縮みすることがある。このような位置ズレの補正や、画像伸縮の補正、或いは、スキャナの光学系そのものの歪みを補正するために、出力画像に対して用紙の余白部分に、所定のノズルで目印となるマークを描画し、このマークをスキャナ20で読み取ることにより、当該マークを読み取った撮像デバイスの画素と、マークを描画したノズル番号との対応を取ることができる。
図8にその例を示す。図8に示すように、用紙Sにおける画像領域52(実画像部)の外側の上余白部分54に、既知のノズル番号で目印となる線状のマーク60が記録される。なお、図8において用紙Sは下から上に向かって搬送されるものとする。ノズル位置と読取画素位置との対応付けを行う際の基準となるマーク60を記録するノズル番号は、例えば、0番、1000番、2000番、…という具合に、ヘッド38の実質的なノズル列におけるノズル並び方向(ノズル列方向)に一定のノズル間隔となるように予め設定される。
このとき記録される複数のマーク60の配列において、用紙S上の一方の端(例えば図8の左側の端)から、マーク番号kを付与して各マーク60を区別すると(ただし、kは整数)、k番目のマークを書き込むノズル番号Index_nozzle(k)は、例えば0、1000、2000、3000…という具合に、1000の倍数の数列集合で表される。
つまり、Index_nozzle(k)={0,1000,2000,3000,……}は、マークを書き込むノズル番号として予め設定される。
スキャナの読取画素列のうち、k番目のマークを読み取った読取画素番号をIndex_CCD(k,1)とする。ただし、上余白部をn=1とした。Index_CCD(k,n)は、スキャナによる読取画像Img_scan_ref(i,n)からマーク位置を切り出し、切り出した画像からエッジ位置を算出することでマーク位置が読み取り画像の何画素目であるかを算出して得ることができる。
出力ノズル解像度に変換された基準データの画像データをImg_ref_mod2(x,n)として、各ノズル番号xの画素値を次のようにして求める。
まず、Index_nozzle(k1−1)≦x<Index_nozzle(k1)となる「k1」を求める。
倍率は上記マーク位置の線形補間を用いることができる。
内分の比率pを次式(式2)、
(式2)p={x-Index_Nozzle(k1−1)}/{Index_Nozzle(k1)-Index_Nozzle(k1−1)}
で表すとすると、ノズル解像度変換後の基準データは、
(式3)Img_ref_mod2(x,n)=Img_ref_mod1(Index_CCD(p,1),n)
となる。ここで、Index_CCD(p,n)はpが整数ではなく実数で扱う場合には、pの前後の整数値から補間して求めることができる。
ヘッド38に対する用紙Sの相対移動の精度によっては、ラスター方向の画像の最後(図8における用紙Sの下余白部55に)Index_CCD(k,n)のノズルで描画した同様のマーク61を入れても良い。
このとき、Index_CCD(k,1)と同様にIndex_CCD(k,N)を算出する。Index_CCD(k,N)は、k番目のマークを読み取った読取画素番号であり、下余白部55のマーク61描画域をn=Nで表した。このように画像領域52の外側の上下の余白部(54,55)に同様のマーク60,61を記録することにより、次式(式4)、
(式4)Index_CCD(k,n) = {n× Index_CCD(p,1)}+{(1-n)× Index_CCD(p,N)}
を用いて、ラスター方向の途中のn列目のマーク読取画素番号Index_CCD(k,n)を設定することができる。
また、さらに、用紙Sの左右の余白部分56,57にもマーク62,63を入れることができ、このマーク62,63を利用してIndex_CCD(1,q)とIndex_CCD(N,q)を用いて、補正を行うことでさらに精度を上げることができる。すなわち、マーク62,63を利用してIndex_CCD(1,q)、Index_CCD(N,q)と(式4)を用いて、紙送り時に発生する紙おくり方向と垂直方向(添字iの方向)の変動を補正することが可能である。2点で補正するので、始点と終点をあわせるように倍率補間をするようになる。
(式4)で計算されるIndex_CCDをIndex_CCD_cal4と表示すると、q列のIndex_CCDは、Index_CCD_cal4(k,q)={q×Index_CCD(p,1)}+{(1-q)×Index_CCD(p,N)}で求まる。
Index_CCD(1,q)、Index_CCD(N,q)を用いて(式4)で求められるものを補正したIndex_CCDをIndex_CCD_cal5とすると、下記(式5)、
(式5)Index_CCD_cal5(k,q)={Index_CCD_cal4(k,q)-Index_CCD_cal4(1,q)}×{(Index_CCD(N,q)-Index_CCD(1,q))/(Index_CCD_cal4(N,q)-Index_CCD_cal4(1,q)) }
と補間することができる。任意のn列についてもn列に最も近いq1列、q2列の値から比率でそれぞれ、
Index_CCD_cal(1,n)={(n-q1)×Index_CCD(1,q2)+(q2-n)×Index_CCD(1,q2)}/(q2-q1)と、
Index_CCD_cal(N,n)={(n-q1)×Index_CCD(N,q2)+(q2-n)×Index_CCD(N,q2)}/(q2-q1)
を用いて(式5)で求めることができる。
用紙Sの画像領域52外にマーク60〜63を記録する形態は、用紙Sとノズルの相対位置の精度によるため、図8のように、余白部にマーク60〜63を多数記録する形態も可能であるし、用紙Sとノズルの相対位置の精度が高い場合には、マークの数を減らして、例えば、図9のように用紙Sの四隅にマークを入れるだけでもよい。なお、用紙Sとノズルの相対位置の精度が良く、その再現性が高い場合には、Index_CCDを事前に求めておき、画像中にマークを入れないことも可能である。ただし、一般的には、相対位置の精度や再現性が必ずしも高くないため、本実施形態のようにマークを入れてノズル位置と画素位置との対応関係を特定する構成が好ましい。
以上説明した処理(図4のステップS202〜S206)を実施することでノズル解像度に変換された基準データImg_ref_mod2が作成される。
その後、図4のステップS208に進み、当該読み込んだ画像の印刷物について目視による良否確認の判定がなされる。ユーザが問題ないと判断した場合には、適宜のGUI(Graphical User Interface)などから目視良好(OK)の指示が入力される。ユーザが目視OKの指示を入力した場合には、ステップS210に進み、ステップS206にて生成したノズル解像度変換後のデータを基準データとして記憶保存する。
その一方、印刷物を目視で確認した際に、画像不良が確認された場合には、適宜のGUIから画像不良(NG)の指示が入力される。この場合、ステップS208でNG判定となり、基準データの保存処理(ステップS210)をスキップして、メインフロー(図3)に復帰する。基準データの保存処理(ステップS210)が実施されなかった場合、次の読込画像について同様の処理(図3のステップS112〜S118)が行われる。通常、基準データの保存処理が実施されなかった場合、図3に記載しない何らかの画質改善処理(例えば、ノズルメンテナンス作業など)を行ってから再度ステップS112〜S118が行われる。
このように、基準データ登録処理については、ユーザが印刷物を見て問題ないと判断して、適宜のGUIからOKの指示を入力することによって基準データの登録(記憶保存処理)が実行される。ユーザが目視判断によりOKの入力を行ってから、図4のステップS202〜S210の処理を開始してもよいし、ステップS202〜S206の処理後に、GUI画面等でOK(登録)/NG(キャンセル)の入力を問い合わせる表示を行い、ユーザによるGUIボタンの選択に呼応して、登録処理の実行/キャンセルを行うようにしてもよい。
基準データの登録が完了すると、図3のステップS116にてYES判定となり、ステップS120に進む。ステップS120では、新たに印刷された画像の読み込みデータと基準データの差分を計算する演算処理が行われる。そして、この差分演算の結果に基づき、ドット不良箇所(吐出不良ノズル)の判定が行われる(ステップS122)。
図10は、読み込みデータと基準データの差分の算出処理の手順を示すフローチャートである。図10に示すように、スキャナ20で読み込んだ読取データに対して、スキャナ特性補正(MTF補正)(ステップS302)、視覚特性補正(VTF補正)(ステップS304)が行われ、さらにノズル解像度への解像度変換(ステップS306)が行われる。これらの処理(ステップS302〜S306)は、図4のステップS202〜S206及び図7で説明した処理内容と同様である。
スキャナ特性補正(ステップS302)、視覚特性補正(ステップS304)を経て得られる読取解像度での画像データ(補正後のデータ)をImg_mod1とすると、次式(式6)で表される。
(式6) Img_mod1(i,n)=FVTF{ FMTF -1 (Img_scan(i,n))}
式6中の記号の意味は以下のとおりである。
・Img_scan(i,n)は、スキャナで読み取られる画像であり、読取データの各種補正処理前のデータを表す。
・iは、スキャナ20の読取ライン幅方向に沿って並ぶ光電変換素子列(CCD;charge-coupled device)の画素番号である。
・nは、粗い解像度で読み取ったラスター方向(紙送り方向)の読取ライン数の番号である。
スキャナで画像を読み取ることにより、(i,n)で画像位置が特定される二次元の画像データ(読取データ)が得られる。(式5)中でFVTF(u)、FMTF -1(u)の関数で表されるそれぞれのフィルタ処理は、周波数空間上の掛け算でもよいし、実空間のコンボリューション演算で求める構成でもよい。なお、スキャナ特性補正(MTF補正)に相当するFMTF -1はスキャナ20が高精度で(高解像度で)読み取れていれば省略することができる。
また、解像度変換(ステップS306)を経て得られるノズル解像度での画像データをImg_mod2(x,n)とすると、次式(式7)で表される。
(式7) Img_mod2(x,n)=Img_mod1(Index_CCD(p,1),n)
式7に従い、ノズル位置xとライン番号nで特定される画像位置(x,n)の各画素データを求めることができる。
こうして、ノズル解像度に解像度が揃った読み込みデータと基準データの準備ができる。
次に、予め登録した基準画像のデータ(基準データ)と、読み込み画像との差分を計算する(図9のステップS308)。具体的には、差分の絶対値Img_diff(x,n)を次式(式8)で計算する。
(式8) Img_diff(x,n) =|Img_mod2(x,n)- Img_ref_mod2(x,n)|
n=1〜Nの範囲で各読取列について比較(差分計算)を行うことができる。
Img_diff(x,n)=0の場合、画像は理想に近く不良はないと判断できる。不良がある場合には、差分があらわれることになる。差分には、読取り、画像変換の誤差も含まれるため、差分は必ずしも0になるわけではない。本例では、ノズル毎に不良を判断するので、ノズル番号x毎に差分を積算した値を求め、その積算した値が所定の値(閾値α)を超えるか否かで不良ノズルか否かを判断する(図3のステップS122)。
ノズル番号x毎の差分の積算値Img_diff_sum(x)は、次式(式9)で表される。
(式9) Img_diff_sum(x)=Σn Img_diff(x,n)
この差分の積算値Img_diff_sum(x)が次式(式10)、
(式10) Img_diff_sum(x) > α
の不等式を満たす場合に、そのノズルxを不良ノズルと判断する。なお、閾値αと等しい場合にもそのノズルxを不良ノズルと判断するように閾値を定めることもできる。
<不良ノズルを検出した後の処理について>
ノズルが不良と判断された場合には、一旦印刷を停止してノズルメンテナンス作業を実施することができる。或いは、一旦印刷を停止して、又は停止せずに、不良ノズルによる画像欠陥を補正する補正処理(不良ノズル補正)を実施することが可能である。不良ノズル補正機能は、インクジェット分野において公知の方法であり、例えば、不良ノズルの近傍のノズルを用いて不良ノズルの出力を補正することができる。不良ノズル補正機能に関して、特開2011−126208号公報、特開2006−347164号公報などに開示されている技術を適用できる。
一般に、ノズル不良の良否を、ノズルの着弾位置誤差で判断する場合がある。しかしながら、着弾位置で不良を判定することは難しく、出力の絵柄(色の濃さ=打滴率)によっては、同じ位置誤差でもスジムラが発生していない場合がある。着弾位置で不良を判定する装置では、着弾位置で不良と判断されても実際の画像を出力する際には影響がほとんどないことが少なからず発生した。
この点、本実施形態によれば、実際の出力画像に対して視覚特性(VTF)を適用することで、実際の出力画像で画像の良否を判断する構成としている。このため、確実に画像の良否を判断することができ、不要なメンテナンス作業や、補正作業を実施することを回避することが可能である。
<不良ノズルを特定した後の補正処理の例>
(例1:不吐補正方法)
不良ノズルの補正方法として、例えば、特開2011−126208号公報に開示された公知の補正手段を用いることができる。この方法は、不吐出ノズルによるスジムラを是正することができる。同公報には、次の構成からなる画像処理装置[1]〜[6]が開示されている。
[1]被記録媒体に対して相対移動される記録ヘッドであって、複数の記録素子を有する記録ヘッドの記録素子毎の入力に対する出力特性を記憶する出力特性記憶手段と、前記複数の記録素子のうち記録不良の記録素子である記録不良素子に関する記録不良情報を取得する記録不良情報取得手段と、前記記録不良素子により生じる欠陥画素の出力画像への影響を低減させるための濃度補正値を記憶する濃度補正値記憶手段と、入力データを取得する画像データ取得手段と、前記取得した入力データから、前記記録不良素子に対応する画素の隣接画素を記録する隣接記録素子に対応する画素のデータを特定する画像データ特定手段と、前記出力特性記憶手段に記憶されている前記隣接記録素子の出力特性を用いて、前記特定されたデータに対する記録濃度を算出する記録濃度算出手段と、前記算出した記録濃度と前記濃度補正値とを加算した記録濃度が補正後の記録濃度となるように、前記特定されたデータを補正する画像データ補正手段と、を備えたことを特徴とする画像処理装置。
[2]前記出力特性記憶手段は、前記記録ヘッドの記録素子毎の入力データに対する記録濃度を示す特性曲線を記憶することを特徴とする[1]に記載の画像処理装置。
[3]前記濃度補正値記憶手段は、記録色毎に濃度補正値を記憶し、前記画像データ補正手段は、前記記録不良素子の記録色に応じた濃度補正値を用いて前記特定されたデータを補正することを特徴とする[1]又は[2]に記載の画像処理装置。
[4]前記濃度補正値記憶手段は、前記被記録媒体の種類毎の濃度補正値を記憶し、前記画像データ補正手段は、前記被記録媒体の種類に応じた濃度補正値を用いて前記特定されたデータを補正することを特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載の画像処理装置。
[5]前記記録不良情報に基づいて前記記録不良素子の分布を検出する手段を備え、前記濃度補正値記憶手段は、前記記録不良素子の分布に応じた濃度補正値を記憶し、前記画像データ補正手段は、前記検出された記録不良素子の分布に応じた濃度補正値を用いて前記特定されたデータを補正することを特徴とする[1]から[4]のいずれかに記載の画像処理装置。
[6]前記濃度補正値は、前記特定されたデータが記録不良素子間の隣接記録素子に対応する画素のデータであるか否かによって値が異なることを特徴とする[5]に記載の画像処理装置。
特開2011−126208号公報に開示の方法によれば、不吐出ノズルを特定し、不吐出ノズル以外の周囲ノズルによって、その不吐出ノズルの濃度を補うように画像データを補正する補正係数を算出する。
当該補正データを用いて、印刷用の入力画像データに対して画像データの補正を行う。
この画像データの補正処理は、ハーフトーニング処理(2値又は多値のドットデータに変換する処理)の手前段階の連続階調画像データに対して実施することが好ましい。
(例2:ムラ補正方法の例)
不良ノズルの補正方法として、例えば、特開2006−347164号公報に開示された公知の補正手段を用いることができる。この方法は、着弾誤差による濃度ムラを是正することができる。同公報には、次の構成からなる画像記録装置(1)〜(8)が開示されている。
(1)複数の記録素子を有する記録ヘッドと、前記記録ヘッド及び被記録媒体のうち少なくとも一方を搬送して前記記録ヘッドと前記被記録媒体を相対移動させる搬送手段と、前記記録素子の記録特性を示す情報を取得する特性情報取得手段と、前記複数の記録素子のうち、その記録素子の記録特性に起因する濃度ムラを補正する補正対象記録素子を決定する決定手段と、前記複数の記録素子のうち、出力濃度の補正に用いるN個(ただし、Nは2以上の整数)の補正記録素子を設定する補正範囲設定手段と、前記補正対象記録素子の記録特性に起因する濃度ムラを算出し、同濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの低周波成分を低減する補正条件に基づいて前記N個の補正記録素子の濃度補正係数を決定する補正係数決定手段と、前記補正係数決定手段で決定された濃度補正係数を用いて出力濃度を補正する演算を行う補正処理手段と、前記補正処理手段による補正結果に基づいて前記記録素子の駆動を制御する駆動制御手段と、を備えたことを特徴とする画像記録装置。
(2)前記補正条件は、濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの周波数原点(f=0)における微分係数が略0となる条件であることを特徴とする(1)に記載の画像記録装置。
(3)前記補正条件は、空間周波数の直流成分の保存条件と、N−1次までの微分係数が略0となる条件より得られるN本の連立方程式で表されることを特徴とする(2)記載の画像記録装置。
(4)前記記録特性は、記録位置誤差であることを特徴とする(1)乃至(3)の何れか1項に記載の画像記録装置。
(5)前記記録素子の位置を特定するインデックスをiとし、記録素子iの記録位置をxiとするとき、記録素子iの濃度補正係数diは、次式
を用いて決定されることを特徴とする(4)記載の画像記録装置。
(6)前記記録素子の印字モデルを記憶する記憶手段を備え、
前記補正係数決定手段は、前記印字モデルに基づいて前記補正係数を決定することを特徴とする(1)又は(2)記載の画像記録装置。
(7)前記記録素子の記録状態に基づいて前記印字モデルを変更する変更手段を備えることを特徴とする(6)記載の画像記録装置。
(8)前記印字モデルは半球モデルであることを特徴とする(6)又は(7)記載の画像記録装置。
記録画像における濃度の不均一性(濃度ムラ)は、空間周波数特性(パワースペクトル)での強度で表すことができ、濃度ムラの視認性はパワースペクトルの低周波成分で評価できる。例えば、濃度補正データを用いた補正後のパワースペクトルの周波数原点(f=0)における微分係数が略0となる条件を用いて濃度補正係数を決めることで、周波数原点でのパワースペクトルの強度が最小となり、原点付近(すなわち、低周波領域)のパワースペクトルを小さく抑えることができる。これにより、精度のよいムラ補正を実現できる。
特開2006−347164号公報に開示された補正方法を用い、補正対象ノズル及びその周辺の補正範囲に含まれるノズルに対応する濃度補正係数を求める。ノズルの記録特性(着弾誤差など)に起因する濃度ムラを算出し、同濃度ムラの空間周波数特性を表すパワースペクトルの低周波成分を低減する補正条件に基づいて濃度補正データを算出する。当該濃度補正データを用いて、印刷用の入力画像データに対して画像データの補正を行う。
この画像データの補正処理は、ハーフトーニング処理(2値又は多値のドットデータに変換する処理)の手前段階の連続階調画像データに対して実施することが好ましい。
また、特開2011−126208号公報に開示された不吐補正方法と特開2006−347164号公報に開示されたムラ補正方法とを組み合わせることも可能である。これら公報(特開2011−126208号公報、特開2006−347164号公報)で紹介した不吐補正方法、ムラ補正方法は一例であり、不吐補正方法では、画像データに対する補正処理ではなく、補正ノズルの吐出方法を変更し滴量を変更することで補正する方法や、ムラ補正では、テストチャートの画像濃度を読み取りそれに応じてムラを補正する方法など、シングルパスインクジェットにおいてスジムラやノズル欠陥の補正方法として公知のさまざまな技術を用いて組み合わせることも可能である。
<画像処理装置の機能ブロック図>
図11に本実施形態に係る画像処理装置22の機能ブロック図を示した。図示のように、画像処理装置22は、読取画像データ取得部71と、スキャナ特性補正部72と、視覚特性補正部73と、解像度変換部74と、基準データ格納部75と、差分演算部76と、吐出不良判定部77と、閾値格納部78と、判定結果の情報を出力する出力部79とを備える。
解像度変換部74は、ノズル位置対応付け処理部80とノズル解像度データ生成部81を含んで構成される。読取画像データ取得部71は、スキャナ20(図1参照)からデータを取り込む接続端子、或いは通信インターフェース部で構成される。
スキャナ特性補正部72(「読取特性補正手段」に相当)は、図4のステップS202や図10のステップS302で説明したスキャナ特性補正処理(「読取特性補正工程」に相当)を行う処理部である。
視覚特性補正部73(「視覚特性補正手段」に相当)は、図4のステップS204や図19のステップS304で説明した視覚特性補正処理(「視覚特性補正工程」に相当)を行う処理部である。なお、スキャナ特性補正部72の補正機能と、視覚特性補正部73の補正機能とを統合した演算関数を用いて、1回の演算で両補正機能を実現する構成も可能である。
解像度変換部74は、図4のステップS206や図10のステップS306で説明したノズル解像度への変換処理を行う処理部である。ノズル位置対応付け処理部80は、図7 のステップS262で説明した対応付け処理(「ノズル位置対応付け工程」に相当)を行う処理部である。ノズル解像度データ生成部81は、図7のステップS264で説明したノズル解像度のデータ生成処理を行う処理部である。
基準データ格納部75は、解像度変換部74によって生成されたノズル解像度変換後の基準データを記憶する記憶手段である。
差分演算部76は、図10のステップS308で説明したノズル解像度変換後の読取データと基準データの差分を計算する処理部である。吐出不良判定部77は、差分演算部76で計算した差分の情報を元に、閾値αと比較して不良ノズルか否かの判定を行う処理部である。吐出不良判定部77は、図3のステップS122で説明した処理を行う。閾値格納部78は、吐出不良判定部77で用いる閾値αの情報を記憶する記憶手段である。
出力部79は、吐出不良判定部77の判定結果の情報を出力する信号出力端子や通信インターフェース部である。不良ノズルが検知されるとその情報がコンピュータ18やプリンタ12のコントローラ32に通知され、メンテナンス動作の実行制御や不良ノズル補正処理などに利用される。
<変形例1>
基準データは、上記のようにスキャン画像をもとにして作成することが好ましいが、入力画像データから、視覚特性補正、解像度補正(ノズル解像度への変換処理)、γ変換(画像データとスキャナの特性を調整する)を行うことで基準画像のデータ(基準データ)を作成することもできる。
〔第2実施形態〕
シングルパスのインクジェットプリンタでは、高画質の描画性能を実現するために、ノズル密度は1200dpi以上の高解像度であることが望まれる。既に述べたとおり、紙幅方向にスキャナの解像度をプリンタの解像度の2倍以上に高くすることは現実的には難しい。
シングルパスの描画幅の全域を一度に撮像できる1本の高解像度ラインセンサ(撮像デバイス)を製作することは困難であるため、適当な長さの撮像素子を複数個用意し、それらをつなぎ合わせて所望の読取幅を実現することになる。その場合、これら複数個の撮像素子を接続する接続技術が必要になる。
その一方で、実際には、吐出不良の判定に際して、基準画像の参照データ(リファレンスデータ)と、読取画像データとの違いを判断するだけであれば、視覚特性のカットオフ周波数の2倍程度の解像度があれば十分である。
かかる観点から、第2実施形態では、第1実施形態におけるスキャナ20に代えて、視覚特性のカットオフ周波数の2倍程度の比較的低解像度のスキャナ(例えば、600dpiの解像度のスキャナ)を用いる。
このような実施形態においても、上述した第1実施形態と同様に、不良ノズルの有無は演算をすることができる。第1実施形態と比較して、不良ノズルの位置を正確に特定することができていないことから、このままでは不良ノズル補正などの処理は困難であるが、不良ノズルを検知した後で回復作業(メンテナンス動作)を実施するなどの対応を取ることができる。この場合、第1実施形態と同等の機能が低解像度のCCD読取で可能となる。以上のように実施すれば、プリンタの出力解像度よりも低い解像度の画像読取装置(スキャナ)を用いることが可能であるため、安価で処理も高速に実施することが可能となる。画像の不良を検知するにはこのような構成で十分である。
〔第3実施形態〕
第2実施形態の場合、スキャナの読取解像度以上の情報がないので、正確な不良ノス゛ルを特定することはできない。このため、不良ノズル補正処理等で不良ノズルの位置を正確に特定することが必要な場合には、さらに、当該低解像度のスキャナでも不良ノズルが判定できるテストパターン(ノズル番号特定パターン)を出力し(図12参照)、当該テストパターンの読取画像を解析して不良ノズル番号を特定する。
図12にノズル番号特定パターンの例を示す。図12に例示したパターンの場合、パターンの記録に使用されるノズル番号は下記の通りである。ただし、本例の場合k=8である。
Index_nozzle(x,1)={1,9,17,25…,x-k,x,x+k…}
Index_nozzle(x,2)=Index_nozzle(x,1)+1
Index_nozzle(x,3)=Index_nozzle(x,2)+1
以下、同様に表すことができ、
Index_nozzle(x,k)=Index_nozzle(x,k-1)+1
図12に示した例は、いわゆる1オンNオフ型のノズルチェック用のテストパターンであり、N=7の例である。これは実質的なノズル列のノズル番号xを「8」で除算したときの剰余値(0〜7)によって、ノズル群を8つのノズルグループに分け、各グループ毎に吐出を行ったものである。1つのノズルによって1本の縦線分(ライン)が形成され、全ノズルのパターンが記録される。不吐ノズルの位置はラインが欠落し、着弾位置ずれのあるノズルはライン位置がずれる。このようなラインパターンは、ノズル列方向(図12の横方向)で見たとき、7ノズルおきの間隔で吐出されることになるため、低解像度のスキャナでもそのライン位置を識別することができる。ここでは、N=7を例示したが、スキャナの解像度に応じて、適当なNの値を選択することができる。
ノズル番号特定チャートを利用してノズル番号を特定する処理を加えたフローチャートの例を図13に示す。図13において、図11と同一又は類似する工程には同一のステップ番号を付し、その説明は省略する。
図13に示したように、ステップS122に続いて、吐出不良ノズルが検出されたか否かの判定を行い(ステップS124)、不良ノズルの存在が検知された場合には、ステップS126に進んで不良ノズル特定チャート(ノズル番号特定チャート)を出力する。このチャートをスキャナ20で読み取り、その読取画像から吐出不良ノズルの位置を特定する(ステップS128)。
ステップS122で不良ノズルが検出されなかった場合には、ステップS126〜S128を省略して終了する。
<インクジェット記録装置の構成例>
次に、図1で説明した印刷システム10の更なる具体的な例として、インクジェット印刷機の構成例について説明する。
図14は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の構成例を示す図である。このインクジェット記録装置100は、描画部116の描画ドラム170に保持された記録媒体124(「媒体」に相当、以下、便宜上「用紙」と呼ぶ場合がある。)にインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから複数色のインクを打滴して所望のカラー画像を形成する印刷機であり、インクの打滴前に記録媒体124上に処理液(ここでは凝集処理液)を付与し、処理液とインク液を反応させて記録媒体124上に画像形成を行う2液反応(凝集)方式が適用されたオンデマンドタイプの画像形成装置である。
図示のように、インクジェット記録装置100は、主として、給紙部112、処理液付与部114、描画部116、乾燥部118、定着部120、及び排紙部122を備えて構成される。
(給紙部)
給紙部112は、記録媒体124を処理液付与部114に供給する機構である。給紙部112には、枚葉紙である記録媒体124が積層されている。給紙部112の給紙トレイ150から記録媒体124が一枚ずつ処理液付与部114に給紙される。ここでは記録媒体124として、枚葉紙(カット紙)を用いるが、連続用紙(ロール紙)から必要なサイズに切断して給紙する構成も可能である。
(処理液付与部)
処理液付与部114は、記録媒体124の記録面に処理液を付与する機構である。処理液は、描画部116で付与されるインク中の色材(本例では顔料)を凝集させる色材凝集剤を含んでおり、この処理液とインクとが接触することによって、インクは色材と溶媒との分離が促進される。
処理液付与部114は、給紙胴152、処理液ドラム154、及び処理液塗布装置156を備えている。処理液ドラム154は、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)155を備え、この保持手段155の爪と処理液ドラム154の周面の間に記録媒体124を挟み込むことによって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。処理液ドラム154は、その外周面に吸引孔を設けるとともに、吸引孔から吸引を行う吸引手段を接続してもよい。これにより記録媒体124を処理液ドラム154の周面に密着保持することができる。
処理液ドラム154の外側には、その周面に対向して処理液塗布装置156が設けられる。処理液塗布装置156は、処理液が貯留された処理液容器と、この処理液容器の処理液に一部が浸漬されたアニックスローラと、アニックスローラと処理液ドラム154上の記録媒体124に圧接されて計量後の処理液を記録媒体124に転移するゴムローラとで構成される。この処理液塗布装置156によれば、処理液を計量しながら記録媒体124に塗布することができる。本実施形態では、ローラによる塗布方式を適用した構成を例示したが、これに限定されず、例えば、スプレー方式、インクジェット方式などの各種方式を適用することも可能である。
処理液付与部114で処理液が付与された記録媒体124は、処理液ドラム154から中間搬送部126を介して描画部116の描画ドラム170へ受け渡される。
(描画部)
描画部116は、描画ドラム170、用紙抑えローラ174、及びインクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yを備えている。描画ドラム170は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)171を備える。
インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yはそれぞれ、記録媒体124における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有するフルライン型のインクジェット方式の記録ヘッド(インクジェットヘッド)であり、そのインク吐出面には、画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルが複数配列されたノズル列が形成されている。各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yは、記録媒体124の搬送方向(描画ドラム170の回転方向)と直交する方向に延在するように設置される。
描画ドラム170上に密着保持された記録媒体124の記録面に向かって各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yから、対応する色インクの液滴が吐出されることにより、処理液付与部114で予め記録面に付与された処理液にインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料)が凝集され、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体124上での色材流れなどが防止され、記録媒体124の記録面に画像が形成される。
すなわち、描画ドラム170によって記録媒体124を一定の速度で搬送し、この搬送方向について、記録媒体124と各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yを相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち1回の副走査で)、記録媒体124の画像形成領域に画像を記録することができる。かかるフルライン型(ページワイド)ヘッドによるシングルパス方式の画像形成は、記録媒体の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシリアル(シャトル)型ヘッドによるマルチパス方式を適用する場合に比べて高速印字が可能であり、プリント生産性を向上させることができる。
なお、CMYKの標準色(4色)の構成に限らず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
描画部116で画像が形成された記録媒体124は、描画ドラム170から中間搬送部128を介して乾燥部118の乾燥ドラム176へ受け渡される。
(乾燥部)
乾燥部118は、色材凝集作用により分離された溶媒に含まれる水分を乾燥させる機構であり、乾燥ドラム176、及び溶媒乾燥装置178を備えている。乾燥ドラム176は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)177を備え、この保持手段177によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
溶媒乾燥装置178は、乾燥ドラム176の外周面に対向する位置に配置され、複数のハロゲンヒータ180と、各ハロゲンヒータ180の間にそれぞれ配置された温風噴出しノズル182とで構成される。各温風噴出しノズル182から記録媒体124に向けて吹き付けられる温風の温度と風量、各ハロゲンヒータ180の温度を適宜調節することにより、様々な乾燥条件を実現することができる。
乾燥部118で乾燥処理が行われた記録媒体124は、乾燥ドラム176から中間搬送部130を介して定着部120の定着ドラム184へ受け渡される。
(定着部)
定着部120は、定着ドラム184、ハロゲンヒータ186、定着ローラ188、及びインラインセンサ190で構成される。定着ドラム184は、処理液ドラム154と同様に、その外周面に爪形状の保持手段(グリッパー)185を備え、この保持手段185によって記録媒体124の先端を保持できるようになっている。
定着ドラム184の回転により、記録媒体124は記録面が外側を向くようにして搬送され、この記録面に対して、ハロゲンヒータ186による予備加熱と、定着ローラ188による定着処理と、インラインセンサ190による検査が行われる。
定着ローラ188は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性ポリマー微粒子を溶着し、インクを被膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体124を加熱加圧するように構成される。記録媒体124は、定着ローラ188と定着ドラム184との間に挟まれ、所定のニップ圧でニップされ、定着処理が行われる。また、定着ローラ188は、ハロゲンランプなどを組み込んだ加熱ローラによって構成され、所定の温度に制御される。
インラインセンサ190は、記録媒体124に形成された画像(濃度補正用のテストパターンや不吐出ノズル検出用のテストパターン、ノズル位置対応付け用のマークなども含む)を読み取り、画像の濃度、画像の欠陥などを検出するための手段であり、CCDラインセンサなどが適用される。このインラインセンサ190が図1で説明したスキャナ20に相当する。
なお、高沸点溶媒及びポリマー微粒子(熱可塑性樹脂粒子)を含んだインクに代えて、紫外線(UV)露光にて重合硬化可能なモノマー成分を含有したインクを用いてもよい。この場合、インクジェット記録装置100は、加熱定着の定着ローラ188に代えて、UVランプや紫外線LD(レーザダイオード)アレイなど、活性光線を照射する手段が設けられる。
(排紙部)
定着部120に続いて排紙部122が設けられている。排紙部122は、排出トレイ192を備えており、この排出トレイ192と定着部120の定着ドラム184との間に、これらに対接するように渡し胴194、搬送ベルト196、張架ローラ198が設けられている。記録媒体124は、渡し胴194により搬送ベルト196に送られ、排出トレイ192に排出される。搬送ベルト196による用紙搬送機構の詳細は図示しないが、印刷後の記録媒体124は無端状の搬送ベルト196間に渡されたバー(不図示)のグリッパーによって用紙先端部が保持され、搬送ベルト196の回転によって排出トレイ192の上方に運ばれてくる。
また、図16には示されていないが、本例のインクジェット記録装置100には、上記構成の他、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yにインクを供給するインク貯蔵/装填部、処理液付与部114に対して処理液を供給する手段を備えるとともに、各インクジェットヘッド172M,172K,172C,172Yのクリーニング(ノズル面のワイピング、パージ、ノズル吸引等)を行うヘッドメンテナンス部や、用紙搬送路上における記録媒体124の位置を検出する位置検出センサ、装置各部の温度を検出する温度センサなどを備えている。
<ヘッドの構造>
次に、ヘッドの構造について説明する。各ヘッド172M、172K、172C、172Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号250によってヘッドを示すものとする。
図15(a)はヘッド250の構造例を示す平面透視図であり、図15(b) はその一部の拡大図である。また、図16はヘッド250の他の構造例を示す平面透視図、図17は記録素子単位となる1チャンネル分の液滴吐出素子(1つのノズル251に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図15中のA−A線に沿う断面図)である。
図15(a)に示したように、本例のヘッド250は、インク吐出口であるノズル251と、各ノズル251に対応する圧力室252等からなる複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)253をマトリクス状に二次元配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影(正射影)される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録媒体124の送り方向(矢印S方向;副走査方向)と略直交する方向(矢印M方向;主走査方向)に記録媒体124の描画領域の全幅Wmに対応する長さ以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図15(a) の構成に代えて、図16(a)に示すように、複数のノズル251が二次元に配列された短尺のヘッドモジュール250’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録媒体124の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成する態様や、図16(b)に示すように、ヘッドモジュール250”を一列に並べて繋ぎ合わせる態様もある。
各ノズル251に対応して設けられている圧力室252は、その平面形状が概略正方形となっており(図15(a)、(b) 参照)、対角線上の両隅部の一方にノズル251への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口(供給口)254が設けられている。なお、圧力室252の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
図17に示すように、ヘッド250は、ノズル251が形成されたノズルプレート251Aと、圧力室252や共通流路255等の流路が形成された流路板252P等を積層接合した構造から成る。ノズルプレート251Aは、ヘッド250のノズル面(インク吐出面)250Aを構成し、各圧力室252にそれぞれ連通する複数のノズル251が二次元的に形成されている。
流路板252Pは、圧力室252の側壁部を構成するとともに、共通流路255から圧力室252にインクを導く個別供給路の絞り部(最狭窄部)としての供給口254を形成する流路形成部材である。なお、説明の便宜上、図17では簡略的に図示しているが、流路板252Pは一枚又は複数の基板を積層した構造である。
ノズルプレート251A及び流路板252Pは、シリコンを材料として半導体製造プロセスによって所要の形状に加工することが可能である。
共通流路255はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路255を介して各圧力室252に供給される。
圧力室252の一部の面(図17において天面)を構成する振動板256には、個別電極257を備えた圧電アクチュエータ258が接合されている。本例の振動板256は、圧電アクチュエータ258の下部電極に相当する共通電極259として機能するニッケル(Ni)導電層付きのシリコン(Si)から成り、各圧力室252に対応して配置される圧電アクチュエータ258の共通電極を兼ねる。なお、樹脂などの非導電性材料によって振動板を形成する態様も可能であり、この場合は、振動板部材の表面に金属などの導電材料による共通電極層が形成される。また、ステンレス鋼(SUS)など、金属(導電性材料)によって共通電極を兼ねる振動板を構成してもよい。
個別電極257に駆動電圧を印加することによって圧電アクチュエータ258が変形して圧力室252の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル251からインクが吐出される。インク吐出後、圧電アクチュエータ258が元の状態に戻る際、共通流路255から供給口254を通って新しいインクが圧力室252に再充填される。
かかる構造を有するインク室ユニット253を図15(b)に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。かかるマトリクス配列において、副走査方向の隣接ノズル間隔をLsとするとき、主走査方向については実質的に各ノズル251が一定のピッチP=Ls/tanθで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。
また、本発明の実施に際してヘッド250におけるノズル251の配列形態は図示の例に限定されず、様々なノズル配置構造を適用できる。例えば、図17で説明したマトリクス配列に代えて、一列の直線配列、V字状のノズル配列、V字状配列を繰り返し単位とするジグザク状(W字状など)のような折れ線状のノズル配列なども可能である。
なお、インクジェットヘッドにおける各ノズルから液滴を吐出させるための吐出用の圧力(吐出エネルギー)を発生させる手段は、圧電アクチュエータ(圧電素子)に限らず、サーマル方式(ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させる方式)におけるヒータ(加熱素子)や他の方式による各種アクチュエータなど様々な圧力発生素子(エネルギー発生素子)を適用し得る。ヘッドの吐出方式に応じて、相応のエネルギー発生素子が流路構造体に設けられる。
<制御系の説明>
図18は、インクジェット記録装置100のシステム構成を示すブロック図である。図18に示すように、インクジェット記録装置100は、通信インターフェース270、システムコントローラ272、画像メモリ274、ROM275、モータドライバ276、ヒータドライバ278、プリント制御部280、画像バッファメモリ282、ヘッドドライバ284等を備えている。
通信インターフェース270は、ホストコンピュータ286から送られてくる画像データを受信するインターフェース部(画像入力手段)である。通信インターフェース270にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
ホストコンピュータ286から送出された画像データは通信インターフェース270を介してインクジェット記録装置100に取り込まれ、一旦画像メモリ274に記憶される。画像メモリ274は、通信インターフェース270を介して入力された画像を格納する記憶手段であり、システムコントローラ272を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ274は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ272は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置100の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システムコントローラ272は、通信インターフェース270、画像メモリ274、モータドライバ276、ヒータドライバ278等の各部を制御し、ホストコンピュータ286との間の通信制御、画像メモリ274及びROM275の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ288やヒータ289を制御する制御信号を生成する。
また、システムコントローラ272は、インラインセンサ190から読み込んだ読取データから、不吐出ノズルの位置や着弾位置誤差のデータ、濃度分布を示すデータ(濃度データ)等を生成する演算処理を行う着弾誤差測定演算部272Aと、測定された着弾位置誤差の情報や濃度情報から濃度補正係数を算出する濃度補正係数算出部272Bとを含んで構成される。なお、着弾誤差測定演算部272A及び濃度補正係数算出部272Bの処理機能はASICやソフトウエア又は適宜の組み合わせによって実現可能である。濃度補正係数算出部272Bにおいて求められた濃度補正係数のデータは、濃度補正係数記憶部290に記憶される。
ROM275には、システムコントローラ272のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データ(濃度補正用パラメータの計測用チャートや、不吐出ノズル位置を検出するためのテストチャートを打滴するためのデータ、不吐出ノズル情報などを含む)が格納されている。ROM275は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。また、このROM275の記憶領域を活用することで、ROM275を濃度補正係数記憶部290として兼用する構成も可能である。
画像メモリ274は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ276は、システムコントローラ272からの指示に従って搬送系のモータ288を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ278は、システムコントローラ272からの指示に従って乾燥部118等のヒータ289を駆動するドライバである。
プリント制御部280は、システムコントローラ272の制御に従い、画像メモリ274内の画像データ(多値の入力画像のデータ) から打滴制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理手段として機能するとともに、生成したインク吐出データをヘッドドライバ284に供給してヘッド250の吐出駆動を制御する駆動制御手段として機能する。
すなわち、プリント制御部280は、濃度データ生成部280Aと、補正処理部280Bと、インク吐出データ生成部280Cと、駆動波形生成部280Dとを含んで構成される。これら各機能ブロック(280A〜280D)は、ASICやソフトウエア又は適宜の組み合わせによって実現可能である。
濃度データ生成部280Aは、入力画像のデータからインク色別の初期の濃度データを生成する信号処理手段であり、濃度変換処理(UCR処理や色変換を含む)及び必要な場合には画素数変換処理を行う。
補正処理部280Bは、濃度補正係数記憶部290に格納されている濃度補正係数を用いて濃度補正の演算を行う処理手段であり、ムラ補正処理を行う。
インク吐出データ生成部280Cは、補正処理部280Bで生成された補正後の画像データ(濃度データ)から2値又は多値のドットデータに変換するハーフトーニング処理手段を含む信号処理手段であり、2値(多値)化処理を行う。
インク吐出データ生成部280Cで生成されたインク吐出データはヘッドドライバ284に与えられ、ヘッド250のインク吐出動作が制御される。
駆動波形生成部280Dは、ヘッド250の各ノズル251に対応した圧電アクチュエータ258(図17参照)を駆動するための駆動信号波形を生成する手段であり、該駆動波形生成部280Dで生成された信号(駆動波形)は、ヘッドドライバ284に供給される。なお、駆動波形生成部280Dから出力される信号は、デジタル波形データであってもよいし、アナログ電圧信号であってもよい。
駆動波形生成部280Dは、記録用波形の駆動信号と、異常ノズル検知用波形の駆動信号とを選択的に生成する。各種波形データは予めROM275に格納され、必要に応じて使用する波形データが選択的に出力される。本例に示すインクジェット記録装置100は、ヘッド250の各圧電アクチュエータ258に対して、共通の駆動電力波形信号を印加し、各圧電アクチュエータ258の吐出タイミングに応じて各圧電アクチュエータ258の個別電極に接続されたスイッチ素子(不図示)のオンオフを切り換えることで、各圧電アクチュエータ258に対応するノズル251からインクを吐出させる駆動方式が採用されている。
プリント制御部280には画像バッファメモリ282が備えられており、プリント制御部280における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ282に一時的に格納される。なお、図18において画像バッファメモリ282はプリント制御部280に付随する態様で示されているが、画像メモリ274と兼用することも可能である。また、プリント制御部280とシステムコントローラ272とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース270を介して外部から入力され、画像メモリ274に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの多値の画像データが画像メモリ274に記憶される。
インクジェット記録装置100では、インク(色材)による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、画像メモリ274に蓄えられた元画像のデータ(例えばRGBデータ)は、システムコントローラ272を介してプリント制御部280に送られ、該プリント制御部280の濃度データ生成部280A、補正処理部280B、インク吐出データ生成部280Cを経てインク色ごとのドットデータに変換される。
ドットデータは、一般に画像データに対して色変換処理、ハーフトーン処理を行って生成される。色変換処理は、sRGBなどで表現された画像データ(たとえば、RGB8ビットの画像データ)をインクジェット印刷機で使用するインクの各色の色データ(本例では、KCMYの色データ)に変換する処理である。
ハーフトーン処理は、色変換処理により生成された各色の色データに対して誤差拡散法や閾値マトリクス法等の処理で各色のドットデータ(本例では、KCMYのドットデータ)に変換する処理である。
すなわち、プリント制御部280は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部280で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ282に蓄えられる。この色別ドットデータは、ヘッド250のノズルからインクを吐出するためのCMYK打滴データに変換され、印字されるインク吐出データが確定する。
ヘッドドライバ284は、アンプ回路を含み、プリント制御部280から与えられるインク吐出データ及び駆動波形の信号に基づき、印字内容に応じてヘッド250の各ノズル251に対応する圧電アクチュエータ258を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ284にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
こうして、ヘッドドライバ284から出力された駆動信号がヘッド250に加えられることによって、該当するノズル251からインクが吐出される。記録媒体124の搬送速度に同期してヘッド250からのインク吐出を制御することにより、記録媒体124上に画像が形成される。
上記のように、プリント制御部280における所要の信号処理を経て生成されたインク吐出データ及び駆動信号波形に基づき、ヘッドドライバ284を介して各ノズルからのインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
インラインセンサ(検出部)190は、図14で説明したように、イメージセンサを含むブロックであり、記録媒体124に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつき、光学濃度など)を検出し、その検出結果をプリント制御部280及びシステムコントローラ272に提供する。
プリント制御部280は、必要に応じてインラインセンサ190から得られる情報に基づいてヘッド250に対する各種補正を行うとともに、必要に応じて予備吐出や吸引、ワイピング等のクリーニング動作(ノズル回復動作)を実施する制御を行う。
図中のメンテナンス機構294は、インク受け、吸引キャップ、吸引ポンプ、ワイパーブレードなど、ヘッドメンテナンスに必要な部材を含んだものである。
また、ユーザインターフェースとしての操作部296は、オペレータ(ユーザ)が各種入力を行うための入力装置297と表示部(ディスプレイ)298を含んで構成される。入力装置297には、キーボード、マウス、タッチパネル、ボタンなど各種形態を採用し得る。オペレータは、入力装置297を操作することにより、印刷条件の入力、画質モードの選択、付属情報の入力・編集、情報の検索などを行うことができ、入力内容や検索結果など等の各種情報は表示部298の表示を通じて確認することができる。この表示部298はエラーメッセージなどの警告を表示する手段としても機能する。
なお、図18で説明した着弾誤差測定演算部272A、濃度補正係数算出部272B、濃度データ生成部280A、補正処理部280Bが担う処理機能の全て又は一部をホストコンピュータ286側に搭載する態様も可能である。また、システムコントローラ272の機能の全て又は一部をホストコンピュータ286が担う構成も可能である。図1で説明したコンピュータ18をホストコンピュータ286として用いても良いし、他のコンピュータを用いても良い。また、図1で説明した画像処理装置22はホストコンピュータ286に組み込まれていてもよいし、インクジェット記録装置100に組み込まれていてもよい。
図14から図18で説明したインクジェット記録装置100、或いはこれとホストコンピュータ286との組み合わせが「印刷システム」に相当する。描画ドラム170が「相対移動手段」に相当し、システムコントローラ272及びプリント制御部280の組み合わせが「吐出制御手段」に相当する。
<本実施形態の利点>
上述した本発明の実施形態によれば、人間の視覚特性を考慮することで適切に不良ノズルを検出することができる。また、図で説明したように、画像領域外にノズル位置と読取データの画素位置との位置関係を対応付けるマーク(パターン)を記録し、このマークを読み取ることで高精度にノズル番号を特定できる。さらに、第2実施形態で述べたように、スキャナの解像度を視覚特性のカットオフ周波数から定められる解像度として、プリンタの出力解像度よりも低い解像度のものを採用できる。これにより、高速かつ安価に不良ノズルを検知することができる。その際、第3実施形態で述べたとおり、不良ノズル特定パターン(ノズル番号特定チャート)を印刷することで、ノズル番号を精度良く特定することもできる。
<他の変形例>
上記実施形態では、記録媒体124に直接インク滴を打滴して画像を形成する方式(直接記録方式)のインクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、一旦、中間転写体上に画像(一次画像)を形成し、その画像を転写部において記録紙に対して転写することで最終的な画像形成を行う中間転写型の画像形成装置についても本発明を適用することができる。
<ヘッドと用紙を相対移動させる手段について>
上述の実施形態では、停止したヘッドに対して記録媒体を搬送する構成を例示したが、本発明の実施に際しては、停止した記録媒体(被描画媒体)に対してヘッドを移動させる構成も可能である。
<記録媒体について>
「記録媒体」は、液体吐出ヘッドから吐出された液滴によってドットが記録される媒体の総称であり、印字媒体、被記録媒体、被画像形成媒体、受像媒体、被吐出媒体など様々な用語で呼ばれるものが含まれる。本発明の実施に際して、記録媒体の材質や形状等は、特に限定されず、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フィルム、布、不織布、配線パターン等が形成されるプリント基板、ゴムシート、その他材質や形状を問わず、様々な媒体に適用できる。
<装置応用例>
上記の実施形態では、グラフィック印刷用のインクジェット記録装置への適用を例に説明したが、本発明の適用範囲はこの例に限定されない。例えば、電子回路の配線パターンを描画する配線描画装置、各種デバイスの製造装置、吐出用の機能性液体として樹脂液を用いるレジスト印刷装置、カラーフィルター製造装置、マテリアルデポジション用の材料を用いて微細構造物を形成する微細構造物形成装置など、液状機能性材料を用いて様々な形状やパターンを描画するインクジェット装置に広く適用できる。
以上説明した本発明の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜構成要件を変更、追加、削除することが可能である。本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有するものにより、多くの変形が可能である。
<開示する発明の各種態様>
上記に詳述した実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書及び図面は以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
(第1態様):複数のノズルが並んだノズル列を備える液体吐出ヘッドと媒体とを相対移動させつつ画像データに基づいて前記ノズルから液体を吐出することによって媒体上に記録された画像を読み取り、当該画像の読取データを取得する画像読取工程と、画像読取工程によって得られた読取データに対して人間の視覚特性に対応したフィルタ処理を行う視覚特性補正工程と、媒体上における画像領域外の余白部分に、予め定められた所定のノズルで記録されたマークから前記読取データの画素位置と液体吐出ヘッドにおけるノズル位置との対応関係を特定するノズル位置対応付け工程と、ノズル位置対応付け工程によって特定した対応関係を利用して視覚特性補正工程によるフィルタ処理後のデータを、液体吐出ヘッドのノズル解像度のデータに変換する解像度変換工程と、画像読取工程によって得られた読取データ又は画像データから基準画像を示す基準データを作成する基準データ作成工程と、基準データ作成工程によって作成された基準データを記憶する基準データ記憶工程と、画像読取工程により読み取った画像から生成される読取データに対して視覚特性補正工程によるフィルタ処理及び解像度変換工程によるノズル解像度への変換処理を行って生成されるノズル解像度変換後の読取データと、視覚特性に対応したフィルタ処理及び液体吐出ヘッドのノズル解像度への変換処理を経て生成されるノズル解像度変換後の基準データとを比較してノズル列におけるノズルの吐出不良を検出する不良検出工程と、を含む吐出不良検出方法。
この態様によれば、基準画像のデータ(基準データ)と、読取画像の読取データを比較してノズルの吐出不良検知を行う際、読取データの画素位置とノズル位置との対応付けを行うことで、高精度の位置合わせが可能である。また、基準画像のデータと、読取画像のデータの双方に対して、人間の視覚特性を考慮したフィルタ処理を行い、ノズル解像度に変換されたデータ同士で比較を行うため、ノズルの吐出不良を精度よく検出することができる。
(第2態様):第1態様に記載の吐出不良検出方法において、基準データ記憶工程ではノズル解像度変換後の基準データを記憶手段に記憶する構成とすることが好ましい。
基準データは、視覚特性に対応したフィルタ処理とノズル解像度への変換処理を行った後の変換後のデータを記憶しておく態様が好ましい。画像データから基準データを作成する場合には、読取データに対して行われるフィルタ処理やノズル解像度への変換処理と同等の処理を施して、ノズル解像度変換後の基準データとして記憶しておくことが望ましい。
(第3態様):第1態様又は第2態様に記載の吐出不良検出方法において、記画像読取工程によって得られた読取データに対して、画像読取工程で使用する画像読取手段の周波数特性に応じた補正処理を行う読取特性補正工程を含むことができる。
例えば、低解像度のスキャナ(画像読取手段)を用いた場合などには、画像読取手段の周波数応答特性(MTF特性)による影響を補償するような補正を行う態様が好ましい。
(第4態様):第1態様から第3態様のいずれか1項に記載の吐出不良検出方法において、液体吐出ヘッドに対する媒体の相対移動の方向を第1の方向とし、第1の方向と直交する媒体の幅方向を第2の方向とするとき、液体吐出ヘッドは第2の方向について媒体上の描画可能域の全幅を1回の前記相対移動で記録できるノズル列を有するヘッドとすることができる。
この態様によれば、シングルパスの液体吐出ヘッドにおける不良ノズルを効果的に検出することが可能である。
(第5態様):第1態様から第4態様のいずれか1項に記載の吐出不良検出方法において、画像読取工程は、液体吐出ヘッドによる画像記録後の媒体を搬送する媒体搬送経路に設置した画像読取手段を用いて、媒体搬送中に画像の読み取りを行う構成とすることができる。
かかる態様によれば、多数枚の画像を記録する場合においても、各画像について、良否のチェックが可能である。
(第6態様):第1態様から第5態様のいずれか1項に記載の吐出不良検出方法において、不良検出工程は、ノズル解像度変換後の読取データとノズル解像度変換後の基準データとの差分を求める差分演算工程を含み、ノズル位置毎に差分を積算した値が予め定められている所定の閾値を超える場合に、そのノズルを吐出不良と判断する構成とすることができる。
(第7態様):第1態様から第6態様のいずれか1項に記載の吐出不良検出方法において、不良検出工程により吐出不良が検出された場合、さらに、その不良ノズルを特定するためのノズル特定チャートを出力するチャート出力工程を含むことができる。
かかる態様によれば、液体吐出ヘッドの記録解像度よりも低い解像度の画像読取手段を用いた場合でも不良ノズル位置を正確に特定することが可能である。
(第8態様):複数のノズルが並んだノズル列を備える液体吐出ヘッドと媒体とを相対移動させつつ画像データに基づいて前記ノズルから液体を吐出することによって媒体上に記録された画像を読み取り、当該画像の読取データを取得する画像読取手段と、画像読取手段によって得られた読取データに対して人間の視覚特性に対応したフィルタ処理を行う視覚特性補正手段と、媒体上における画像領域外の余白部分に、予め定められた所定のノズルで記録されたマークから読取データの画素位置と液体吐出ヘッドにおけるノズル位置との対応関係を特定するノズル位置対応付け処理手段と、ノズル位置対応付け処理手段によって特定した対応関係を利用して視覚特性補正手段によるフィルタ処理後のデータを、液体吐出ヘッドのノズル解像度のデータに変換する解像度変換手段と、画像読取手段によって得られた読取データ又は前記画像データから基準画像を示す基準データを作成する基準データ作成手段と、基準データ作成手段によって作成された基準データを記憶する基準データ記憶手段と、画像読取手段によって読み取った画像から生成される読取データに対して視覚特性補正手段によるフィルタ処理及び解像度変換手段によるノズル解像度への変換処理を行って生成されるノズル解像度変換後の読取データと、視覚特性に対応したフィルタ処理及び液体吐出ヘッドのノズル解像度への変換処理を経て生成されるノズル解像度変換後の基準データとを比較してノズル列におけるノズルの吐出不良を検出する不良検出手段と、を備える吐出不良検出装置。
この第8態様に係る吐出不良検出装置について、第2態様から第7態様と同様の特徴を組み合わせることができる。この場合、方法を特定する「工程」に対応する「手段」を備える。
(第9態様):複数のノズルが並んだノズル列を備える液体吐出ヘッドと媒体とを相対移動させつつ画像データに基づいてノズルから液体を吐出して媒体上に記録された画像を画像読取手段で読み取ることにより生成された当該画像の読取データを取得するデータ取得手段と、データ取得手段を介して取得された読取データに対して人間の視覚特性に対応したフィルタ処理を行う視覚特性補正手段と、媒体上における画像領域外の余白部分に、予め定められた所定のノズルで記録されたマークから読取データの画素位置と液体吐出ヘッドにおけるノズル位置との対応関係を特定するノズル位置対応付け処理手段と、ノズル位置対応付け処理手段によって特定した対応関係を利用して視覚特性補正手段によるフィルタ処理後のデータを、液体吐出ヘッドのノズル解像度のデータに変換する解像度変換手段と、画像読取手段によって得られた読取データ又は基準データから基準画像を示す基準データを作成する基準データ作成手段と、基準データ作成手段によって作成された基準データを記憶する基準データ記憶手段と、画像読取手段によって読み取った画像から生成される読取データに対して視覚特性補正手段によるフィルタ処理及び解像度変換手段によるノズル解像度への変換処理を行って生成されるノズル解像度変換後の読取データと、視覚特性に対応したフィルタ処理及び液体吐出ヘッドのノズル解像度への変換処理を経て生成されるノズル解像度変換後の基準データとを比較してノズル列におけるノズルの吐出不良を検出する不良検出手段と、を備える画像処理装置。
第9態様に係る画像処理装置について、第2態様から第7態様と同様の特徴を組み合わせることができる。この場合、方法を特定する「工程」に対応する「手段」を備える。
また、第9態様に係る画像処理装置における各手段に対応する工程を備える画像処理方法を提供することができる。
(第10態様):コンピュータを、複数のノズルが並んだノズル列を備える液体吐出ヘッドと媒体とを相対移動させつつ画像データに基づいて前記ノズルから液体を吐出して前記媒体上に記録された画像を画像読取手段で読み取ることにより生成された当該画像の読取データを取得するデータ取得手段と、データ取得手段を介して取得された読取データに対して人間の視覚特性に対応したフィルタ処理を行う視覚特性補正手段と、媒体上における画像領域外の余白部分に、予め定められた所定のノズルで記録されたマークから読取データの画素位置と液体吐出ヘッドにおけるノズル位置との対応関係を特定するノズル位置対応付け処理手段と、ノズル位置対応付け処理手段によって特定した対応関係を利用して視覚特性補正手段によるフィルタ処理後のデータを、液体吐出ヘッドのノズル解像度のデータに変換する解像度変換手段と、画像読取手段によって得られた読取データから基準画像を示す基準データを作成する基準データ作成手段と、基準データ作成手段によって作成された基準データを記憶する基準データ記憶手段と、画像読取手段によって読み取った画像から生成される読取データに対して視覚特性補正手段によるフィルタ処理及び解像度変換手段によるノズル解像度への変換処理を行って生成されるノズル解像度変換後の読取データと、視覚特性に対応するフィルタ処理及び液体吐出ヘッドのノズル解像度への変換処理を経て生成されるノズル解像度変換後の基準データとを比較してノズル列におけるノズルの吐出不良を検出する不良検出手段、として機能させるためのプログラム。
第10態様に係るプログラムについて、第2態様から第7態様と同様の特徴を組み合わせることができる。この場合、方法を特定する「工程」に対応する「手段」としてコンピュータを機能させるプログラムとなる。
(第11態様):複数のノズルが並んだノズル列を備える液体吐出ヘッドと、ノズルから吐出される液体を付着させる媒体と液体吐出ヘッドとを相対移動させる相対移動手段と、画像データに基づいて液体吐出ヘッドのノズルから液体を吐出させる制御を行い、媒体上に画像を形成する印刷制御手段と、第8態様に記載の吐出不良検出装置と、を備えた印刷システム。
10…印刷システム、12…プリンタ、18…コンピュータ、20…スキャナ、22…画像処理装置、24…吐出不良検出装置、34…用紙搬送部、38C,38M,38Y,38K…ヘッド、54…上余白部、60…マーク、71…読取画像データ取得部、72…スキャナ特性補正部、73…視覚特性補正部、74…解像度変換部、75…基準データ格納部、76…差分演算部、77…吐出不良判定部、78…閾値格納部、80…ノズル位置対応付け処理部、81…ノズル解像度データ生成部、100…インクジェット記録装置、124…記録媒体、170…描画ドラム、172M,172K,172C,172Y…インクジェットヘッド、190…インラインセンサ、251…ノズル、272…システムコントローラ、280…プリント制御部

Claims (11)

  1. 複数のノズルが並んだノズル列を備える液体吐出ヘッドと媒体とを相対移動させつつ画像データに基づいて前記ノズルから液体を吐出することによって前記媒体上に記録された画像を読み取り、当該画像の読取データを取得する画像読取工程であって、前記相対移動の方向と直交する方向の読取解像度が前記液体吐出ヘッドのノズル解像度よりも低い解像度の画像読取手段を用いて前記画像を読み取ることにより前記読取データを取得する画像読取工程と、
    前記画像読取工程によって得られた読取データに対して人間の視覚特性に対応したフィルタ処理を行う視覚特性補正工程と、
    前記媒体上における画像領域外の余白部分に、予め定められた所定のノズルで記録されたマークから前記読取データの画素位置と前記液体吐出ヘッドにおけるノズル位置との対応関係を特定するノズル位置対応付け工程と、
    前記ノズル位置対応付け工程によって特定した対応関係を利用して前記視覚特性補正工程によるフィルタ処理後のデータを、前記液体吐出ヘッドのノズル解像度のデータに変換する解像度変換工程と、
    前記画像読取工程によって得られた読取データ又は前記画像データから基準画像を示す基準データを作成する基準データ作成工程と、
    前記基準データ作成工程によって作成された基準データを記憶する基準データ記憶工程と、
    前記画像読取工程により読み取った画像から生成される読取データに対して前記視覚特性補正工程による前記フィルタ処理及び前記解像度変換工程による前記ノズル解像度への変換処理を行って生成されるノズル解像度変換後の読取データと、前記視覚特性に対応したフィルタ処理及び前記液体吐出ヘッドのノズル解像度への変換処理を経て生成されるノズル解像度変換後の基準データとを比較して前記ノズル列におけるノズルの吐出不良を検出する不良検出工程と、
    を含む吐出不良検出方法。
  2. 前記基準データ記憶工程において、前記ノズル解像度変換後の基準データを記憶手段に記憶する請求項1に記載の吐出不良検出方法。
  3. 前記画像読取工程によって得られた読取データに対して、前記画像読取工程で使用する画像読取手段の周波数特性に応じた補正処理を行う読取特性補正工程を含む請求項1又は2に記載の吐出不良検出方法。
  4. 前記液体吐出ヘッドに対する前記媒体の相対移動の方向を第1の方向とし、前記第1の方向と直交する前記媒体の幅方向を第2の方向とするとき、前記液体吐出ヘッドは前記第2の方向について前記媒体上の描画可能域の全幅を1回の前記相対移動で記録できるノズル列を有するヘッドである請求項1から3のいずれか1項に記載の吐出不良検出方法。
  5. 前記画像読取工程は、前記液体吐出ヘッドによる画像記録後の媒体を搬送する媒体搬送経路に設置した画像読取手段を用いて、媒体搬送中に画像の読み取りを行う請求項1から4のいずれか1項に記載の吐出不良検出方法。
  6. 前記不良検出工程は、
    前記ノズル解像度変換後の読取データと前記ノズル解像度変換後の基準データとの差分を求める差分演算工程を含み、
    ノズル位置毎に前記差分を積算した値が予め定められている所定の閾値を超える場合に、そのノズルを吐出不良と判断する請求項1から5のいずれか1項に記載の吐出不良検出方法。
  7. 前記不良検出工程により吐出不良が検出された場合、さらに、その不良ノズルを特定するためのノズル特定チャートを出力するチャート出力工程と、
    前記ノズル特定チャートを前記画像読取手段によって読み取ることで得られる読取画像から不良ノズルの位置を特定する工程と、
    を含む請求項1から6のいずれか1項に記載の吐出不良検出方法。
  8. 複数のノズルが並んだノズル列を備える液体吐出ヘッドと媒体とを相対移動させつつ画像データに基づいて前記ノズルから液体を吐出することによって前記媒体上に記録された画像を読み取り、当該画像の読取データを取得する画像読取手段であって、前記相対移動の方向と直交する方向の読取解像度が前記液体吐出ヘッドのノズル解像度よりも低い解像度の画像読取手段と、
    前記画像読取手段によって得られた読取データに対して人間の視覚特性に対応したフィルタ処理を行う視覚特性補正手段と、
    前記媒体上における画像領域外の余白部分に、予め定められた所定のノズルで記録されたマークから前記読取データの画素位置と前記液体吐出ヘッドにおけるノズル位置との対応関係を特定するノズル位置対応付け処理手段と、
    前記ノズル位置対応付け処理手段によって特定した対応関係を利用して前記視覚特性補正手段によるフィルタ処理後のデータを、前記液体吐出ヘッドのノズル解像度のデータに変換する解像度変換手段と、
    前記画像読取手段によって得られた読取データ又は前記画像データから基準画像を示す基準データを作成する基準データ作成手段と、
    前記基準データ作成手段によって作成された基準データを記憶する基準データ記憶手段と、
    前記画像読取手段によって読み取った画像から生成される読取データに対して前記視覚特性補正手段による前記フィルタ処理及び前記解像度変換手段による前記ノズル解像度への変換処理を行って生成されるノズル解像度変換後の読取データと、前記視覚特性に対応したフィルタ処理及び前記液体吐出ヘッドのノズル解像度への変換処理を経て生成されるノズル解像度変換後の基準データとを比較して前記ノズル列におけるノズルの吐出不良を検出する不良検出手段と、
    を備える吐出不良検出装置。
  9. 複数のノズルが並んだノズル列を備える液体吐出ヘッドと媒体とを相対移動させつつ画像データに基づいて前記ノズルから液体を吐出して前記媒体上に記録された画像を画像読取手段で読み取ることにより生成された当該画像の読取データを取得するデータ取得手段であって、前記相対移動の方向と直交する方向の読取解像度が前記液体吐出ヘッドのノズル解像度よりも低い解像度の画像読取手段を用いて前記画像を読み取ることにより生成された前記読取データを取得するデータ取得手段と、
    前記データ取得手段を介して取得された読取データに対して人間の視覚特性に対応したフィルタ処理を行う視覚特性補正手段と、
    前記媒体上における画像領域外の余白部分に、予め定められた所定のノズルで記録されたマークから前記読取データの画素位置と前記液体吐出ヘッドにおけるノズル位置との対応関係を特定するノズル位置対応付け処理手段と、
    前記ノズル位置対応付け処理手段によって特定した対応関係を利用して前記視覚特性補正手段によるフィルタ処理後のデータを、前記液体吐出ヘッドのノズル解像度のデータに変換する解像度変換手段と、
    前記画像読取手段によって得られた読取データ又は基準データから基準画像を示す基準データを作成する基準データ作成手段と、
    前記基準データ作成手段によって作成された基準データを記憶する基準データ記憶手段と、
    前記画像読取手段によって読み取った画像から生成される読取データに対して前記視覚特性補正手段によるフィルタ処理及び前記解像度変換手段によるノズル解像度への変換処理を行って生成されるノズル解像度変換後の読取データと、前記視覚特性に対応したフィルタ処理及び前記液体吐出ヘッドのノズル解像度への変換処理を経て生成されるノズル解像度変換後の基準データとを比較して前記ノズル列におけるノズルの吐出不良を検出する不良検出手段と、
    を備える画像処理装置。
  10. コンピュータを、
    複数のノズルが並んだノズル列を備える液体吐出ヘッドと媒体とを相対移動させつつ画像データに基づいて前記ノズルから液体を吐出して前記媒体上に記録された画像を画像読取手段で読み取ることにより生成された当該画像の読取データを取得するデータ取得手段であって、前記相対移動の方向と直交する方向の読取解像度が前記液体吐出ヘッドのノズル解像度よりも低い解像度の画像読取手段を用いて前記画像を読み取ることにより生成された前記読取データを取得するデータ取得手段と、
    前記データ取得手段を介して取得された読取データに対して人間の視覚特性に対応したフィルタ処理を行う視覚特性補正手段と、
    前記媒体上における画像領域外の余白部分に、予め定められた所定のノズルで記録されたマークから前記読取データの画素位置と前記液体吐出ヘッドにおけるノズル位置との対応関係を特定するノズル位置対応付け処理手段と、
    前記ノズル位置対応付け処理手段によって特定した対応関係を利用して前記視覚特性補正手段によるフィルタ処理後のデータを、前記液体吐出ヘッドのノズル解像度のデータに変換する解像度変換手段と、
    前記画像読取手段によって得られた読取データから基準画像を示す基準データを作成する基準データ作成手段と、
    前記基準データ作成手段によって作成された基準データを記憶する基準データ記憶手段と、
    前記画像読取手段によって前記基準画像とは別の読取画像から生成される読取データに対して前記フィルタ処理及び前記ノズル解像度への変換処理を行って生成されるノズル解像度変換後の読取データと、前記フィルタ処理及び前記ノズル解像度への変換処理を経て生成されるノズル解像度変換後の基準データとを比較して前記ノズル列におけるノズルの吐出不良を検出する不良検出手段と、
    として機能させるためのプログラム。
  11. 複数のノズルが並んだノズル列を備える液体吐出ヘッドと、
    前記ノズルから吐出される液体を付着させる媒体と前記液体吐出ヘッドとを相対移動させる相対移動手段と、
    画像データに基づいて前記液体吐出ヘッドの前記ノズルから液体を吐出させる制御を行い、前記媒体上に画像を形成する印刷制御手段と、
    請求項8に記載の吐出不良検出装置と、
    を備えた印刷システム。
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