JP5618045B2 - 生分解性不織布 - Google Patents

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Description

本発明は、生分解性を有する不織布に関するものである。
近年、地球環境問題への関心が高まり、様々な面で対策がとられ始めている。しかしながら、私たちの生活は、大量生産、大量消費、大量廃棄を繰り返している。このため、消費して出た大量の固形廃棄物が大きな社会問題となっている。現在、その状況に応じて、埋め立て、焼却、リサイクルなどで対処されているが、埋め立て地にも限界が近づいている。また、固形廃棄物の一部はどうしても回収できずに自然界に放置される傾向となり、特に人の手の届き難い海洋や森林においては、その傾向がより大きい。このような中、地球環境保護の見地からより環境負荷を回避する重合体として、生分解性を有する脂肪族ポリエステルが注目されている。生分解性を有する重合体は、その性質から、自然界で分解されて二酸化炭素と水になるので、自然界に放置した場合であっても環境負荷は小さい。そのため、近年、生分解性を有する脂肪族ポリエステルからなる繊維、不織布が開発され、環境保護への貢献が期待されている。脂肪族ポリエステルの中でも、ポリ乳酸は、ガラス転移温度が高く、比較的耐熱性に優れることから、広い分野に使用されつつある。
しかしながら、ポリ乳酸は分子間の結合に起因する硬さがあり、ポリ乳酸によって構成される繊維や不織布は、柔軟性に劣るという欠点があった。また、脂肪族ポリエステルとして、ポリ乳酸ではなく、ポリブチレンサクシネート系重合体を用いた繊維および不織布が提案されている(特許文献1)。この技術によれば、ポリブチレンサクシネート重合体とポリブチレンサクシネート・アジペート共重合体との混合樹脂で構成されている繊維から構成されることで、柔軟性と強度の両者を兼ね備えるというものである。しかしながら、ポリブチレンサクシネート系重合体は、結晶化速度が遅いため、紡糸工程における冷却ゾーンの長さを十分確保できるような場合には、結晶化速度が遅くとも糸条が十分に冷却可能となるが、冷却ゾーンの長さを十分に確保することが不可能な既存のスパンボンド製造装置を用いた場合では、限られた冷却ゾーン内にて十分に冷却、固化が進まないために糸条同士の密着や捲縮が発生し、得られた不織布は、外観が不良となり、所望の性能が得られないものとなる。
特開平10−46463号公報
本発明は、スパンボンド法によって不織布を得る際に、限られた冷却ゾーン内にて冷却・固化が十分に行え、構成繊維の開繊性、製糸性が良好であり、また、得られる不織布においては、実用的な機械的物性を有しながら柔軟性にも優れた生分解性不織布を提供することを課題とする。
本発明者らは、柔軟性を有する重合体である1,4−ブタンジオールとコハク酸を主たる構成成分とする重合体を用いて、スパンボンド法に適用するにあたり、製糸性および開繊性を向上させるために、鋭意検討を行った。その結果、上記重合体に特定の2種の添加剤を加えたものを用いてスパンボンド法を適用することにより、課題が解決し得ることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、連続繊維からなる生分解性不織布であって、連続繊維は脂肪族ポリエステル重合体にて構成され、該脂肪族ポリエステル重合体が1,4−ブタンジオールとコハク酸とを主たる構成成分とするもののみであり、該脂肪族ポリエステル重合体中には添加剤を含み、該添加剤が、2価以上の金属を含む高級脂肪酸金属塩またはフェニルホスホン酸金属塩が0.1〜2.0質量%、アマイドワックスが0.1〜2.0質量%含んでいることを特徴とする生分解性不織布を要旨とするものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の連続繊維からなる生分解性不織布は、脂肪族ポリエステル重合体にて構成される。脂肪族ポリエステル重合体は、1,4−ブタンジオールとコハク酸とを主たる構成成分とするものである。1,4−ブタンジオールとコハク酸のみを構成成分とし、第三成分を共重合しないものを用いることが好ましいが、本発明の目的が損なわない範囲で、少量の第三成分が共重合してなるものであってもよい。例えば、特許第3402006号に記載されているごとく、1,4−ブタンジオールとコハク酸とを主たる構成成分とし、乳酸やグリコール酸等の第三成分が少量共重合してなるものが挙げられる。また、共重合してなるものとしては、イソシアナートが添加されていない共重合体を用いる。イソシアナートが添加されることでウレタン結合を含む脂肪族ポリエステルは、不織布化した際に、条件によっては、着色したり、ミクロゲルが発生したりする問題が発生する恐れがあるためである。
本発明に用いる脂肪族ポリエステル重合体としては、原料(後述する添加剤を含まない重合体)の段階において、DSC装置を用いて昇温速度500℃/分で200℃に昇温し、その状態で5分間ホールドさせた後、降温速度500℃/分で100℃に降温してホールドし、それによって等温結晶化させて示差熱分析したときの結晶化速度指数(以下、「tmax」と略記することがある。)が、5〜15分であることが好ましい。この結晶化速度指数tmaxは、重合体を200℃の溶融状態から冷却し100℃にて結晶化させた時に最終的に到達する結晶化度の1/2に到達するまでの時間(分)で示され、指数が小さいほど結晶化速度が速いことを意味する。したがって、複合繊維の原料となる脂肪族ポリエステル重合体として、上記のように結晶化速度指数tmaxが5〜15分の結晶化速度の高いものを用いることで、溶融紡糸したときの冷却性が良好になり、開繊時にブロッキングが生じにくくすることができる。このような脂肪族ポリエステル重合体として、三菱化学社製、商品名GSPla FZシリーズ(融点115℃)を好ましく用いることができる。
本発明に用いる脂肪族ポリエステル重合体には、2価以上の金属を含む高級脂肪酸金属塩またはフェニルホスホン酸金属塩が含まれる。脂肪族ポリエステル重合体への添加方法は、特に規定しないが、コスト面から高濃度の2価以上の金属を含む高級脂肪酸金属塩またはフェニルホスホン酸金属塩のマスターバッチを用い、これを希釈しながら添加することが望ましい。
2価以上の高級脂肪酸金属塩としては、下記化学式で(A)で表される直鎖状のものが好適に用いられる。
(Cn−12(n−m)−1COOa+ ・・・・・式(A)
n:10〜30の整数
m:脂肪鎖中の不飽和結合の数
X:Ca、Mg、Zn、Pb、Al、Ba、Cdなど金属原子
a:原子Xのイオン価数(2以上の整数)
前記化学一般式(A)で示される直鎖状高級脂肪酸金属塩の具体例として、カプリン酸、ウンデカン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ヘンエイコサン酸、ベヘン酸、トリコ酸、リグノセリン酸、ペンタコサン酸、セロチン酸、ヘプタコ酸、モンタン酸、ノナコサン酸、メリシン酸、カプロレイン酸、9−ウンデシレン酸、リンデル酸、2−ヘプタデセン酸、オレイン酸、シス−9−ナデセン酸、ゴンドイン酸、エルカ酸、セラコレイン酸、シス−7−キサコセイン酸、リノール酸のCa、Mg、Zn、Pb、Al、Ba、Cdなどの2価以上の金属塩が挙げられる。
また、Ca、Mg、Zn塩などは、非水溶性で、肌に触れた時に肌を刺激しないという点から好ましい。また、上記金属塩の中でも、最も入手しやすく安価であるという点、樹脂への分散性の観点からステアリン酸のCa、Mg、Zn塩などが好適である。脂肪族ポリエステル共重合体の結晶化速度をあげるという点では、モンタン酸のカルシウム塩を好適に用いる事ができる。
フェニルホスホン酸金属塩としては、フェニルホスホン酸亜鉛、フェニルホスホン酸カルシウム、フェニルホスホン酸マグネシウム等を使用することができる。
上記、2価以上の金属塩を用いた場合、開繊性が改善され、ウエブの捲縮等もなくなる理由は定かではないが、金属塩の金属イオン部分と1,4−ブタンジオールとコハク酸から合成されるポリブチレンサクシネート重合体(以下「PBS」)のカルボキシル末端のイオン基とが会合し、凝集体を作り、物理架橋構造ができると考える。これは、2価以上の金属塩を添加したものは、添加前のPBSと比較して溶融粘度は高くなるという現象が起こることからも推察される。1価の金属塩では、添加することによって溶融粘度が高くなるという現象が生じ難いことから、本発明では、2価以上の金属塩を用いる。架橋構造が形成された重合体は、高分子鎖のセグメントの運動性が制限される傾向にある。このため、結晶核となりやすく、結果的に結晶化速度を速めることが可能となり、これによって紡糸工程での開繊性を高めると同時に、糸条の冷却が十分行われ、冷却不足によって発生するウエブの捲縮が生じにくくなると推察する。
2価以上の金属を含む高級脂肪酸金属塩またはフェニルホスホン酸金属塩の添加量は、本発明の目的を達成するために、脂肪族ポリエステル重合体に対して0.1〜2.0質量%とする。好ましくは0.1〜1.0質量%、より好ましくは0.1〜0.5質量%である。添加量が多くなると、不織布化する際に糸条の弾性が高くなりすぎてしまい、紡糸工程における延伸張力に耐えきれず、糸切れの原因となりやすい。
本発明においては、脂肪族ポリエステル重合体に、上記した2価以上の金属を含む高級脂肪酸金属塩またはフェニルホスホン酸金属塩に加えて、さらにアマイドワックスを添加する。アマイドワックスを添加することにより、2価以上の金属を含む高級脂肪酸金属塩またはフェニルホスホン酸金属塩を含む脂肪族ポリエステル重合体中にアマイドワックスが広がり、アマイドワックスが、内部滑剤として働き、物理架橋したポリマー間の摩擦を低減し、溶融粘度を低下させるのと同時に紡糸した際の糸条の弾性を低減し、製糸性の向上に役立つことになる。同時に、アマイドワックスは、外部滑剤としての効果もあり、開繊工程における繊維−繊維間の摩擦抵抗を低減し、開繊工程におけるブロッキングの発生を効果的に防止することができる。また、内部滑剤としての効果により、繊維および不織布に特に優れた柔軟性を付与することができる。
アマイドワックスとしては、脂肪族モノカルボン酸アミド、N−置換脂肪族モノカルボン酸アミド、脂肪族ビスステアリン酸アミド、N−置換脂肪族カルボン酸ビスアミド、N−置換尿素類などの脂肪族カルボン酸アミドや芳香族カルボン酸アミド、あるいは水酸基をさらに有するヒドロキシアミドなどが挙げられる。これらの化合物が有するアミド基は1個でも2個以上でもよい。
これらの中でも、N,N−エチレン−ビス−オレイルアミド、N,N−エチレン−ビス−リシノレイルアミド、N,N−エチレン―ビス―ラウリン酸アミド、N,N−エチレン−ビス−ステアリン酸アミド、N,N−エチレン−ビス−12−ビドロキシステアリン酸アミド、N,N−エチレン−ビス−12−ヒドロキシステアリルアミド、N,N−ヘキサメチレン−ビス−12−ヒドロキシステアリルアミド、N,N−エチレン−ビス−ステアリルアミド、エチレン−ビス−ステアリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド等のビスアミドが活性効果が高く、滑剤として優れているのでよい。
本発明の目的を達成するために、アマイドワックスの添加量は、脂肪族ポリエステル重合体に対して0.1〜2.0質量%であり、好ましくは0.1〜1.0質量%、より好ましくは0.1〜0.5質量%である。添加量が少ないと、内部滑剤、外部滑剤としての効果を十分に発揮できず、糸条の弾性低下効果やブロッキング防止効果もまた十分でなくなり、添加量が多いと、得られた繊維からアマイドワックスがブリードアウトする傾向となる。
なお、本発明における脂肪族ポリエステルには、本発明の目的を損なわない限りにおいて、結晶核剤、顔料、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、耐電防止剤、充填材等を添加してもよい。
本発明の生分解性不織布は、前記した2種の添加剤を含む1,4−ブタンジオールとコハク酸を主たる構成成分とする脂肪族ポリエステルによって構成される多数の連続繊維が堆積してなるものである。
連続繊維の横断面は特に限定されず、円形断面以外の三角型、四角型、六角型、扁平型、Y字型、T字型、C字型など種々の異形断面であってもよい。異形断面は、単位ポリマー質量当たりの表面積が大きくなることから、溶融紡糸の際の紡出糸条の冷却性、開繊性に優れている。
また、連続繊維の単糸繊度は、特に限定されないが、1〜11デシテックス程度がよい。単糸繊度が1デシテックス未満になると、紡糸工程において紡出糸条が延伸張力に耐えきれずに糸切れが頻繁に発生し、操業性が悪化しやすくなる。一方、単糸繊度が11デシテックスを超えると、紡出糸条の冷却性に劣る傾向となり、糸条が熱により密着した状態で開繊装置から出てくるようになり、得られる不織布の品位を非常に劣ることとなる。これらの理由により、単糸繊度は、2〜8デシテックスであることがより好ましい。
本発明の生分解性不織布の形態は、連続繊維を構成する脂肪族ポリエステル重合体の一部が溶融または軟化することにより繊維同士が熱接着して形態保持しているもの、繊維同士が機械的に交絡することにより形態保持しているもの等が挙げられる。繊維同士が機械的に交絡してなるものは、より柔軟性が優れるものとなる。熱接着の形態としては、繊維同士の接点において、溶融または軟化した脂肪族ポリエステルを介して熱接着したものであってもよいし、熱エンボス装置を通すことにより、部分的に形成される熱圧着部とそれ以外の非熱圧着部とを有し、熱圧着部に位置する脂肪族ポリエステルが溶融または軟化して不織布として形態保持しているものであってもよい。熱エンボス装置を通すことにより不織布化したものは、非熱圧着部は熱と圧力の影響をほとんど受けないため、肌触りの良好な不織布となり、また、熱圧着部の存在により機械的物性も良好であり、形態安定性にも優れるものとなる。
不織布の目付は、その不織布の用途によって適宜選択すればよく、特に限定しないが、一般的には10〜300g/mの範囲がよい。
本発明の生分解性不織布は、1,4−ブタンジオールとコハク酸を主たる構成成分とする脂肪族ポリエステルに特定の2種の添加剤を添加したものを溶融紡糸することによって得られるものであり、特定の2種の添加剤を添加することにより、紡糸工程での冷却ゾーンの距離が限られたものであるスパンボンド法であっても、良好に適用することができるため、効率よく不織布を製造することができる。以下、本発明の生分解性不織布を得る方法の一例について説明する。
まず、1,4−ブタンジオールとコハク酸を主たる構成成分とする脂肪族ポリエステル重合体と、2価以上の金属を含む高級脂肪酸金属塩またはフェニルホスホン酸金属塩を用意する。脂肪族ポリエステル重合体に対して、0.1〜2.0質量%となる2価以上の金属を含む高級脂肪酸金属塩またはフェニルホスホン酸金属塩を計量し、脂肪族ポリエステル重合体に上記添加剤を溶融混合する。また、一方、アマイドワックスを用意し、脂肪族ポリエステル重合体に対して、0.1〜2.0質量%となるように計量し、計量したアマイドワックスを、上記脂肪族ポリエステルに添加して溶融混合する。脂肪族ポリエステルに2種の添加剤が溶融混合された重合体を、紡糸口金を介して溶融紡糸し、紡出した糸条を、従来公知の横吹き付けや環状吹き付け等の冷却装置を用いて冷却せしめた後、吸引装置を用いて牽引細化して引き取る。このときの牽引速度は、1000〜4000m/分と設定することが好ましい。牽引速度が1000m/分未満であると、糸条において十分に分子配向が促進されず、得られる不織布の寸法安定性や熱安定性に劣る傾向となる。一方、牽引速度が高すぎると紡糸安定性に劣る。
牽引細化した糸条群は、公知の開繊器具にて開繊した後、スクリーンコンベアなどの移動式捕集面上に開繊堆積させて、構成繊維がランダムに堆積した不織ウエブを形成する。次いで、得られた不織ウエブは、適宜の不織布化手段により、不織布とすることにより、本発明の生分解性不織布を得ることができる。
本発明の生分解性不織布は、実用的な機械的強度を有しながら、柔軟性に優れるため、各種の用途に好適に用いることができる。例えば、柔軟性および肌触り性に優れることから、オムツや生理用品等の衛生材の各種部材に好適に用いることができる。
また、本発明の生分解性不織布は、農業用被覆資材として好適に用いることができる。柔軟性が高いため、野菜や果物等の農作物にソフトに接触することができるため、作物を傷つけることなく、良好に生育させることができる。また、良好な引裂強力を有することから、敷設時や使用時に破れ難い。農業用被覆資材として用いる場合の目付は、10〜30g/mがよい。被覆資材としての機械的特性を有しながら、透光性や通気性を十分に有し、かつ保温性を保持できるためである。
また、本発明の生分解性不織布は、防草シートとして好適に用いることができる。本発明の生分解性不織布が柔軟性に優れることから、地面への追随性が良好となる。また、良好な引裂強力を有することから、敷設時や使用時に破れ難い。防草シートとして用いる場合は、不織布を構成する繊維は、脂肪族ポリエステルに顔料をあらかじめ練り込んだ原着繊維であることが好ましい。このような原着繊維を用いると、繊維に予め顔料が含まれているため後加工による染色が不要になり、染色による熱劣化がなくなり、また工程数も減るため低コスト化が図れる。防草シートは、シート下へ光が透過することを防いで、雑草の生育を妨げることを要することから、遮光性を考慮してシートの明度を表すL*値が40以下となるように顔料を選定するとよい。例えば、カーボンブラック等の黒色顔料を選択することによりL*値を40以下とすることができる。また、敷設する場所や美観等に応じて他の顔料を添加し、色度を適宜選択して、茶、緑等の色彩にするとよい。本発明の防草シートは、その色調として、a*値が+2〜+10、b*値が+2〜+15の範囲であることが好ましく、この範囲であることにより、雑草の生育を抑制すると共に周囲の美観を損なわない防草シートを得ることができる。なお、L*値、a*値、b*値とは、JIS Z 8729によるものである。
本発明の生分解性不織布によれば、1,4−ブタンジオールとコハク酸を主たる構成成分とする脂肪族ポリエステル重合体中に2価以上の金属を含む高級脂肪酸金属塩またはフェニルホスホン酸金属塩を含有させることで、限られた冷却ゾーン内にて冷却・固化が十分に行え、構成繊維の開繊性、製糸性が良好となることから、スパンボンド法で効率的に不織布を得ることができる。また、得られる不織布においては、実用的な機械的物性を有しながら、繊維を構成する重合体が、1,4−ブタンジオールとコハク酸を主たる構成成分とする脂肪族ポリエステル重合体であることから、柔軟性に非常に優れた生分解性不織布となる。
したがって、本発明の生分解性不織布は、衛生材や農業用資材、防草シートに好適に用いることができる。
次に、実施例に基づき、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例における各種物性値は、以下の方法により測定した。
(1)メルトフローレート(g/10分):
ASTM−D−1238(E)に記載の方法に準じて、温度210℃ 、荷重2160g f で測定した。以降、メルトフローレートを「MFR」と記す。
(2)融点(℃):
示差走査型熱量計(パーキンエルマ社製、DSC−2型)を用い、試料質量を5mg、昇温速度を10℃/分で測定し、得られた融解吸熱曲線の最大値を与える温度を融点(℃)とした。
(3)繊度(デシテックス:以下、「dtex」と記す):
不織ウエブより50本の繊維の繊維径を光学顕微鏡で測定し、密度補正して求めた平均値を繊度とした。
(4)目付(g/m):
標準状態の試料から試料長が10cm、試料幅が5cmの試料片10点を作成し、各試料片の質量(g)を秤量し、得られた値の平均値を単位面積あたりに換算して、目付(g / m)とした。
(5)引張強力(N/5cm幅)、伸度(%):
幅5cm×長さ20cmの短冊状試験片を10個準備し、定速伸張型引張試験機(オリエンテック社製テンシロンUTM−4−1−100)を用いて、つかみ間隔20cm、引張速度20cm/分で引張試験を行い、JIS−L−1906に準じて測定し、伸張−荷重曲線を描いた。得られた伸張−荷重曲線から求められる最大荷重値(N/5cm幅)についての10点の平均値を引張強力(N/5cm幅)とし、破断時の伸度についての10点の平均値を破断伸度(%)とし、各伸度における荷重値の10点の平均値を伸張時の応力(N/5cm幅)とした。なお、測定時の温度は、25℃であった。
(6)引裂強力(N):
JIS−L− 1096のシングルタング法に基づき試料片計10個を作成し、測定した。
(7)不織布の柔軟性(圧縮剛軟度):
長さ10cm、幅5cmの試料片5点を作成し、試料片ごとにその長手方向が周方向となるように曲げて円筒状物とし、各々その端部を接合したものを圧縮剛軟度測定試料とした。定速伸長型引張試験機(東洋ボールドウィン社製、テンシロンUTM−4−1−100)を用い、各測定試料について、その軸方向に圧縮速度5cm/分で圧縮し、得られた最大荷重の平均値を圧縮剛軟度(cN)とした。この圧縮剛軟度は、値が小さいほど柔軟性が優れていることになる。
(8)生分解性:
58℃に維持された熟成コンポスト中に不織布を埋設し、3ヶ月後に取り出した時に、不織布がその形態を保持していない場合、あるいはその形態を保持していても引張強力が埋設前の強力初期値に対して50%以下に低下している場合は、生分解性が良好であると評価して○で示した。これに対して、不織布がその形態を保持しており、引張強力が埋設前の強力初期値に対して50%を超える場合は、生分解性能が不良であると評価して×で示した。
実施例1
脂肪族ポリエステル重合体として、融点115℃、MFR32g/10分の1,4−ブタンジオールとコハク酸から合成されるポリブチレンサクシネート重合体(以下「PBS」と略記する。三菱化学社製 商品名:GSPla FZ61PD)を用意した。また、PBSに高級脂肪酸の金属塩としてモンタン酸カルシウム塩(クラリアント社製 商標名:リコモントCaV101)が0.3質量%となるように計量した。さらに、アマイドワックスとして、エチレン−ビス−ステアリン酸アミド(花王社製 商標名:カオーワックスEB・FF)をPBS中に0.5質量%となるように計量した。
これらを混合し、エクストルーダー型溶融押出機を用いて、温度200℃で溶融し、単孔吐出量1.0g/分の条件で溶融紡糸した。紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却した後、引き続いて紡糸口金の下方に設けたエアサッカーにて牽引速度2400m/分で牽引細化し、公知の開繊器具を用いて開繊し、移動するスクリーンコンベア上にウエブとして捕集堆積させた。堆積させた複合長繊維の単糸繊度は4.2デシテックスであった。
次いで、このウエブをロール温度90℃としたエンボスロールとロール温度90℃としたフラットロールとからなる熱エンボス装置に通して部分的に熱圧着し、目付70g/m2の生分解性不織布を得た。評価結果を表1に示す。
比較例1
ポリ乳酸として、融点168 ℃ 、M F R 65g / 1 0 分のL − 乳酸/ D − 乳酸= 98.6/ 1.4モル%のL − 乳酸/ D − 乳酸共重合体(以下「PLA」)を用意した。PLAの溶融重合体中にタルク0.5質量%となるように、個別に計量した後、エクストルーダー型溶融押出機を用いて、温度210℃で溶融し、単孔吐出量1.7g/分の条件で溶融紡糸した。紡出糸条を公知の冷却装置にて冷却した後、引き続いて紡糸口金の下方に設けたエアサッカーに牽引速度5000m/分で牽引細化し、公知の開繊器具を用いて開繊し、移動するスクリーンコンベア上にウエブとして捕集堆積させた。堆積させた長繊維の単糸繊度は3.0デシテックスであった。
次いで、このウエブをロール温度130℃としたエンボスロールとロール温度130℃としたフラットロールとからなる熱エンボス装置に通して部分的に熱圧着し、目付70g/m2のポリ乳酸不織布を得た。評価結果を表1に示す。
実施例1の本発明の不織布は、実用的な機械的強力を有するものであった。特に、柔軟性の指標である圧縮剛軟度の値は20cNであり、とても柔軟な不織布であり、肌触りも良好であった。また、伸度も50%を超えており、非常に伸びのある不織布であった。
一方、比較例1のポリ乳酸を用いた不織布は、圧縮剛軟度が397cNと高く、とても剛直な不織布であった。また、伸度も15%程度であり、伸びのない硬い不織布であった。

Claims (5)

  1. 連続繊維からなる生分解性不織布であって、連続繊維は脂肪族ポリエステル重合体にて構成され、該脂肪族ポリエステル重合体が1,4−ブタンジオールとコハク酸とを主たる構成成分とするもののみであり、該脂肪族ポリエステル重合体中には、添加剤を含み、該添加剤が、2価以上の金属を含む高級脂肪酸金属塩またはフェニルホスホン酸金属塩が0.1〜2.0質量%、アマイドワックスが0.1〜2.0質量%含んでいることを特徴とする生分解性不織布。
  2. 生分解性不織布が、スパンボンド法により得られたものであることを特徴とする請求項1記載の生分解性不織布。
  3. 請求項1または2記載の生分解性不織布を用いたことを特徴とする衛生材。
  4. 請求項1または2記載の生分解性不織布を用いたことを特徴とする農業用被覆資材
  5. 請求項1または2項記載の生分解性不織布を用いたことを特徴とする防草シート
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