JP5617366B2 - 穴あけ用ドリル - Google Patents

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Description

本発明は、穴あけ後の穴加工を不要とする良好な内周面粗さの穴を穿設するのに適した穴あけ用ドリルに関する。
ドリルには、穴あけ用ドリルと穴加工用ドリルとがある。穴あけ用ドリルとは、工作物に無垢の状態から穴を穿設するための切削工具であり、穴加工用ドリルとはあらかじめ工作物に設けられた穴に対してさらに穴を加工するための穴加工工具の一つである。
工作物に無垢の状態から所定の内径寸法で良好な内周面粗さの穴を穿設する穴あけ加工の要望は極めて多い。しかし、無垢の状態から内周面粗さの良好な穴を加工する場合、穴あけ用ドリルを用いた穴あけ後にリーマで仕上げ加工を行うという、2つの工程で加工するのが一般的な方法であった。このため、加工コストを低減すべく、リーマでの仕上加工の工程を省略し、穴あけのみの1工程で良好な内径寸法と内周面粗さを持つ穴を加工できる工具が求められている。内径寸法や内周面粗さの良好な穴を加工するためのドリルとして下記のような提案がある。
特許文献1には、FRM等ファイバーを用いた材料の穴あけ用工具として、ドリルの先端角を2段とし、工具軸心から第1先端角を80〜140度、第2先端角を1〜40度とすることで、バリの発生を抑えることの出来る形状のドリルが記載されている。
特許文献2には、自動車の車体のスポット溶接剥離用ドリルとして、ドリルのチゼルエッヂ長さが0.05〜0.3mmであり、且つシンニングがドリル先端側から見た場合において両切刃の刃先を結んだ直線に対して1〜4度傾いた角度で施されてなることで、高硬度の鋼板でも好適に用いることの出来るドリルとして記載されている。また、切れ刃の先端角を、中心付近で90°〜120°の範囲に設け、シャンク側の第二先端角を178°〜186°の範囲に設けることで、薄い鋼板でも好適に用いることのできるドリルとして記載されている。
特開2001−328016号公報 特開2006−88267号公報
しかしながら、従来の工具で無垢の状態から内周面粗さの良好な穴を加工する場合には、充分に解決できていない問題が残っていた。
特許文献1に記載のドリルは、ドリル先端角を、第1段の先端角とシャンク側に第1段の先端角よりは小さい角度で続く第2段の先端角を有するダブルアングルドリルと称されるドリルの一種である。ダブルアングルドリルは穴の前後に発生するバリの原因である先端切れ刃の外周部端での切り残し部を軽減する効果がある。しかし、その効果は本発明が目標とする高精度加工用ドリルの性能である、穴公差:H7、内周面粗さ:6.3S以下、真円度:10μmを達成することは難しい。その理由の一つは、本発明の検討の途中で確認できたことであるが、特許文献1を含むダブルアングルドリルのタイプはドリル先端角を2段にするので、この部分は当然ながらドリル径(すなわち、穿孔された穴径)よりは切刃の径として縮径された部分(山の高さ)が普通のタイプのドリルと比較しても長くなり、長い切刃での切削抵抗も大きくなるので、穴の中でのふらつき(振動)が生じやすくなる。すなわち、ダブルアングルドリルのタイプは穴の両端部に発生するバリの除去に対してはそれなりの効果はあるが、穴内でのドリルのガイド性が劣化して切削抵抗も増大するのでドリルの振動が大きくなる傾向となり、穴加工面での粗さや真円度を劣化させやすくなることが分かった。
特許文献2に記載のドリルは、先端角を2段とし、中心付近で90°〜120°の範囲に設け、シャンク側の第2先端角を178°〜186°に設けることで薄板への穴あけが容易になると記載されている。特許文献2に記載のドリルは、自動車の車体を構成する部品を接合するために用いられるスポット溶接の除去を目的として、作業者が手で持ってつかうエアー駆動又はハンドドリルで用いられるドリルであり、溶接部分を早く削り取るためにほぼ水平に広がった切れ刃を持つスポット溶接剥離作業に適する工具である。このドリルは外周コーナー付近の切れ刃の角度が鋭角なためドリルと穴の内周壁面の擦れにより穴の内周面粗さを良好に加工する効果に乏しく、本発明が目標とする加工穴の精度を達成することは難しい。
無垢の状態の工作物に穴あけ用ドリルで穴内面の面粗さが6.3S以下程度で、真円度が10μm以下程度の良好な内周精度を確保する穴あけを行うには、バリの抑制を目的とした対策以外に、加工中のドリルの振れを抑制しつつ穴あけを行い、穴あけした穴の内周面精度を向上させるような穴あけができるドリルとする工夫が必要である。ドリル加工でのリーマなどによる仕上げの穴加工工程を省略するには、1)バリの発生防止と、2)穴の真円度と内周面粗さに代表される内周面精度を向上させるという2つの課題を達成する必要がある。本発明は上記1)と2)を同時に達成して、加工された穴の精度について定量的にいえば、穴公差がH7程度、穴内面の内周面粗さが6.3S以下、及び真円度が10μm以下の高精度な穴あけができるドリルを提供しようとするものである。
一般にドリルによる穴あけでは、穴の入り口から工具直径の2倍程度の深さまでがドリルのふらつきや振動が起こりやすく、仕上げの穴加工工程を省略するためには、穴の入り口から前記深さまでの穴の精度を良好にする穴あけ用ドリルが要求される。本発明者は、穴あけ用ドリルの切れ刃の形状を種々検討して製造して切削試験を行ない、高精度な穴あけができる形状を探った。
本発明者の検討によれば、機械部品や自動車部品に多く用いられる、構造用鋼や硬さが35HRC程度の炭素鋼や合金鋼に良好な内周面粗さを持つ穴あけを行う場合には、ドリルの先端角を外周コーナーに向かうに従い小さくするだけでは、良好な内周面粗さを持つ穴あけを行うことが難しいことがわかった。上記の発明の目的を達成するために種々検討した結果、被削材への食い付きを確実にして加工中のふらつき阻止する作用を持つ、径方向に最適な幅で広がる第1先端角の部分と、ドリル自体に穴の壁面を擦らせて仕上げる作用を持つ、先端角としては最も後端部に位置する第3先端角部分が必要であること、及び前記の第1先端角の部分と第3先端角の部分が全体として長くならないように、かつ切削抵抗が大きくならないように繋ぐ切刃部分としての第1先端角よりは大きい角度を有する第2先端角との組合せが必要であり、この最適な組合せが前記の定量的な精度で表現される発明の目的を達成する有効なドリル形状であることが分かった。
本発明はこのような加工を行うため、第1切れ刃、第2切れ刃及び第3切れ刃を設け、それぞれの先端角及び第3切れ刃の幅と回転軸方向の長さを検討した結果生まれたものである。
すなわち本発明の穴あけ用ドリルは、ドリル先端から第1切れ刃、前記第1切れ刃よりドリル軸後部側に続く第2切れ刃、及び前記第2切れ刃よりさらにドリル後部側に続き、第3切れ刃を有する穴あけ用ドリルであって、ドリル軸と外周コーナーを含む平面へ切れ刃を投影したとき、前記第1切れ刃の先端角を第1先端角α1、前記第2切れ刃の先端角を第2先端角α2、及び前記第3切れ刃の先端角を第3先端角α3とすると、前記α1が100°<α1<125°、前記α2が135°<α2<170°、及び前記α3が0°<α3<°の範囲であり、前記ドリルの直径をDとし、前記第3切れ刃の回転軸方向の長さを第3切れ刃長さL3とするとき、前記L3が0.1D≦L3≦0.5Dであることを特徴とする
本発明の穴あけ用ドリルにおいて、前記第1切れ刃の径方向の幅を第1切れ刃幅r1とするとき、前記r1が0.07D<r1<0.18Dであることが好ましい。この範囲であれば、切削抵抗を上昇させることなく、ドリルの振れを抑える効果が大きくなる。
本発明の穴あけ用ドリルにおいて、前記第3先端角α3が0°<α3<1°の範囲であることにより、ドリルを内周壁面へ擦らせる効果が一層高まり、内周面粗さを大きく向上させることができる
本発明を適用することにより、無垢の状態の工作物に対し、振れを抑制しつつ穴あけをすることができるので、本発明の効果として穴の拡大代が小さく、内周面粗さ及び真円度も良好な穴あけが可能となる。したがって、従来は高精度の穴あけでは必要であったリーマ加工の工程を省略し、ドリル加工の1工程のみで高精度な穴あけを行うことも出来るので、加工工数の低減と、工具費の低減ができる効果もある。
本発明に係る穴あけ用ドリルの一例の側面視図を示す図である。 図1に示した刃先部2の先端部分の拡大図である。 図1に示した本発明に係る穴あけ用ドリルを先端側より見たときの拡大図である。 本発明の第2切れ刃がある穴あけ用ドリルと、ダブルアングルドリルと称される従来の第2切れ刃が無いドリルの場合において、止り穴を加工する場合に生ずる加工長の違いを示す図である。
前述したように、本発明の穴あけ用ドリルは、切れ刃を最適な角度を有する3つの切れ刃として設ける手段により、工作物への食い付きの際に発生するドリルの振れを抑え、切削抵抗を抑えることで加工中の工具の振動を抑制し、工具で加工穴の内周壁面を擦る効果を高めることで、内周面粗さの良好な穴あけを行うことができるように切れ刃を構成したものである。
図1は本発明に係る穴あけ用ドリルの一例の側面視図を示す図である。図1に示すように、ドリル1は超硬合金等の硬質材料からなり、ドリルの回転軸Oを中心軸とする略円柱状に形成されており、その先端側部分には刃先部2が形成され、後端側部分は工作機械の回転軸に把持されるシャンク部3となっている。刃先部2には、刃先部2の先端部分にある切れ刃4からシャンク部3の方向に向かって一定のねじれ角でねじれた一対の切屑排出溝5がドリルの回転軸Oに対して対称に延設形成されている。
図2は、図1に示した刃先部2の先端部分の拡大図である。また、図3は図1に示した本発明に係る穴あけ用ドリルを先端側より見たときの拡大図である。図2及び図3に示すように本発明の穴あけ用ドリルは主に切れ刃4、切屑排出溝5及びランド6から構成される。ランド6にはマージン15を3箇所設けている。切れ刃4は第1切れ刃7、第2切れ刃8、第3切れ刃9で構成され、第3切れ刃9とマージン15により外周コーナー14が形成される。
本発明において、第1切れ刃7をドリルの径方向で測定したときの幅を第1切れ刃幅r1とし、2枚の第1切れ刃7から形成される先端角を第1先端角α1として設けている。また、第2切れ刃8を径方向で測定したときの幅を第2切れ刃幅r2とし、2枚の第2切れ刃8から形成される先端角を第2先端角α2として設けている。さらに、第3切れ刃9を径方向で測定したときの幅を第3切れ刃幅r3とし、2枚の第3切れ刃9から形成される先端角を第3先端角α3として設ける。第3切れ刃9を回転軸方向で測定したときの長さを第3切れ刃長さL3とする。また、本発明の穴あけ用ドリルは図2に示すように切屑排出をできるだけ容易にするためにオイルホール10が設けられていることが望ましいが、本発明の実施には必須の要件ではない。
上記構成の本発明の穴あけ用ドリルにおいて、第1切れ刃7は工作物に食い付く際の振れの抑制や加工中の振れの発生を抑えながら強度を保つため、第1先端角α1を100°<α1<125°の範囲に設ける。第1先端角α1が100°以下の場合、先端の強度が損なわれ切削中にドリルのチッピングや欠損を引き起こす。第1先端角α1が125°以上の場合、工作物に食い付く際に工具の振れが発生するため、精度の良好な穴あけを行うことができない。
本発明の穴あけ用ドリルでは、第2先端角α2を135°<α2<170°の範囲として第1先端角α1や第3先端角α3より大きく設ける。第2先端角α2の角度が、第1先端角α1や第3先端角α3として設けられる範囲にある場合、切れ刃が長くなり切削抵抗が大きくなるため振動が発生して精度の良い穴を加工することができない。第2先端角α2をこの範囲に設けることで切れ刃は長さを短くすることでき、切削抵抗が軽減され、切削中のドリルの振動が抑えられる。第2先端角α2が135°以下の場合、切れ刃4の長さが長いため切削抵抗が増大し、振動の発生により精度の良い穴を加工することができない。第2先端角α2が170°以上の場合、第2切れ刃による切削抵抗が急激に増加するため、工具のふらつきや振動が発生してしまう。
本発明において、第2先端角α2をこの範囲に設けることで、切れ刃の回転軸方向の長さを短くすることができる。図4は本発明の特長である、第2先端角α2を第1先端角α1や第3先端角α3より大きくした第2切れ刃がある穴あけ用ドリルと、ダブルアングルドリルと称される従来の、第2先端角α2を第1先端角α1や第3先端角α3より大きくした第2切れ刃が無いドリルの場合において、止り穴を加工する場合に生ずる加工長の違いを示す図である。所定の精度を持った止り穴を決められた深さだけ加工する場合において、第2先端角α2を第1先端角α1や第3先端角α3より大きくした第2切れ刃が無い従来のドリル11では切れ刃4の回転軸方向の長さが長くなるため、被削材の上面から測定したときの加工穴の深さすなわち希望する加工穴の深さ12を得るためには、被削材の上面からドリルの先端までを測定したときの長さすなわち必要となる加工長13が長くなってしまう。これに対し、本発明のドリル1では第2先端角α2が第1先端角α1や第3先端角α3より大きく設けられていることから、切れ刃4の回転軸方向の長さを短くすることでき、本発明のドリル1による加工長13を短くすることができる。第2先端角α2が第1先端角α1や第3先端角α3より大きい第2切れ刃を本発明のドリルに用いることにより、希望する加工穴の深さを得るための加工長が短くなることから、本発明のドリルによる内周面粗さの良好な穴あけを行うことができるという効果を長時間維持できるようになる。
本発明の穴あけ用ドリルにおいて第3先端角α3を0°<α3<°の範囲に設ける。この範囲に設けることで、ドリルを内周壁面へ擦らせる効果が高まり、内周面粗さが向上する第3先端角α3が小さいほどガイドの効果や内周面粗さを良好に加工することができるが、工具の製作や再研磨が困難にならない程度にするのが良い。第3切れ刃9を有さないものは第3先端角α3が0°となり、この場合は加工穴に生ずるバリの発生が抑制出来ず、内周面粗さを向上する効果が得られない。
本発明の穴あけ用ドリルで、第3切れ刃9の回転軸方向の長さを示す、第3切れ刃長さL3を、ドリルの直径をDとしたときに0.1D≦L3≦0.5Dとすることで、切れ刃を適度な長さに設けられ、切削中のドリルの振動が抑えられる。第3切れ刃長さL3が0.5Dを超える場合、第3切れ刃9の長さが長くなるため切削抵抗の増大による振動の発生により精度の良い穴あけを行うことができない。また、第3切れ刃長さL3が0.1D未満の場合十分な内周面粗さを得ることができない。
本発明の穴あけ用ドリルにおいて、第1切れ刃の径方向の幅を第1切れ刃幅r1とするとき、ドリルの直径をDとしたときの第1切れ刃幅r1を0.07D<r1<0.18Dに設けることが好ましい。第1切れ刃幅r1をこの範囲に設けることにより、切削中のドリルの振動や振れが抑えられるため精度の向上が期待できる。第1切れ刃幅r1が0.07D以下の場合、特に直径Dが3mm未満の小径の場合では、切れ刃長さが短すぎるため、振れを十分に抑えられないおそれがある。第1切れ刃幅r1が0.18D以上の場合、特に切削抵抗の大きくなる直径Dが12mm以上のドリルでは、第2切れ刃を適正な角度で設けたとしても切れ刃長さが長くなりすぎ、切削抵抗の増大により振動が発生し、穴の精度を損なうおそれがある。
本発明の穴あけ用ドリルにおいて第3先端角α3が0°<α3<1°の範囲であるので、バニシングの効果をさらに高めることができるため、より良好な面粗さを得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例については表1乃至表4に示すが、本発明例、参考例、比較例、及び従来例は全ての表を通して試料番号として1乃至26までの番号で示している。
(実施例1)
参考例3乃至6、比較例7乃至11及び従来例1、2は、いずれも基本形状としてドリルの直径を6.0mm、全長を100mm、溝長を50mm、切屑排出溝のねじれ角を30°、心厚を1.5mm、溝巾比を52%、シャンク径を6.0mmに設け、先端に切れ刃4を持ち、ランド6に幅0.3mmのマージンを3箇所設けた形状のドリルとして仕様を統一した。ドリルの母材はWCの平均粒径が0.8μm以下、Co量は12wt%からなる超微粒子超硬合金とし、ドリルの切れ刃部を含む表面にはAlCrN膜を被覆した。また、いずれのドリルも工具本体を通してクーラントを供給するためのオイルホールを有する形状とした。
参考例3乃至6及び比較例7乃至11においては、ドリルの切れ刃4に第1切れ刃、第2切れ刃、第3切れ刃を設け、第1切れ刃幅r1を直径Dの0.16倍である1.0mm、第3切れ刃長さL3を直径Dの0.5倍である3mmとし、第1先端角α1、第2先端角α2、第3先端角α3について各先端角を表1に示すように変化させたものを作成して、切削試験に供した。なお表1乃至表4に記載される各先端角の値は、ある角度を狙ってドリルを製造したものを、製造後に新たに実際の仕上がり角度を測定した値として記載している。例えば参考例3のドリルは第1先端角として125°を狙って製造し、実際の角度は実測の結果として公差内である125.2°であったという意味である。
従来例1においては、ドリルの切れ刃4に第1切れ刃のみを設け、第1先端角α1を140.3°とした。
従来例2はダブルアングルドリルと称されるドリルである。従来例2は本発明の特長である、第2先端角α2を第1先端角α1や第3先端角α3より大きくした第2切れ刃を有していない形状であり、第1先端角α1を120.1°、第2先端角α2を140.6°、第1切れ刃幅r1を直径Dの0.16倍である1.0mmとした。
切削試験は、被削材はS50C(硬さが200HB)の長方形のブロック材を使用し、横型マシニングセンターを用いて穴あけ加工を行った。切削条件は回転数3200min−1(切削速度約60m/min)、一回転当たり送り量0.1mm/revとして、穴あけ深さ30mm(直径Dの5倍)の止まり穴の加工を行った。クーラントは水溶性切削液を使用し、オイルホールを通して供給した。
穴あけ精度の評価は、加工を行った穴の拡大代、内周面粗さ及び真円度を測定した。ドリルによる穴あけでは、穴の入り口からドリルの直径の2倍程度の深さまでがドリルのふらつきや振動が起こりやすいので、本発明の実施例では被削材に食い付く時の振れの影響を受け易く、比較的精度を損なうおそれのある、穴の深さ6mm(工具の直径の1.0倍に相当)の位置で、加工を行った穴の拡大代、内周面粗さ及び真円度の測定を行った。
測定の評価は、3本の工具を用いて、1本の工具あたり10穴の加工を行い、穴の拡大代、内周面粗さ及び真円度は合計30穴の加工穴について、それぞれ以下に示す測定方法に基づき評価を行った。
評価方法として、穴の拡大代は、加工された穴の入り口から6mmの位置で内径寸法を3点式内径マイクロメータを用いて、1穴について周方向で3点の測定を実施し、30穴の測定値における内径寸法の最大値と、使用前に測定したドリルの直径との差(mm)を穴の拡大代とした。内周面粗さは被削材を切断し、各々の穴について穴の入り口から6mmでの位置における表面粗さの最大高さ(Rz)を、表面粗さ計を用いて評価した(JIS B0601−2001に基づく)。真円度は真円度形状測定器(株式会社東京精密製 RONDCOM60A)を用いて測定を行った。穴の真円度の測定は穴の入り口から6mmの位置で、接触式プローブで穴径に沿ってトレース曲線を測定し、前記トレース曲線の最小内接円と最大外接円の差異をμmで評価したものである。
評価基準としては、穴の拡大代が嵌めあい公差H7(直径が6.0mmの場合は0〜+0.012mm)、内周面粗さが6.3Sすなわち6.3μm以下、真円度が10μm以下の3つの条件を満たしたものを良好とした。結果を表1に示す。
Figure 0005617366
表1に示す通り、参考例3乃至6の穴あけ用ドリルによる加工穴は、穴の拡大代が嵌めあい公差H7(直径が6.0mmの場合は0〜+0.012mm)、内周面粗さが6.3Sすなわち6.3μm以下、真円度が10μm以下であり、良好であった。前記参考例の穴あけ用ドリルは、加工中の工具のふらつきや振動を抑制し、なおかつ第3切れ刃を内周壁面へ擦らせる効果で、良好な精度を持つ穴を加工できたと考えられる。
比較例7のドリルは第3先端角α3が大きいため、ドリルの外周コーナーが鋭くなり内周面を傷つけるため内周面粗さが悪化し、穴の拡大代が0.020mm、内周面粗さが9.7μm、真円度が11.7μmであった。
比較例8のドリルは、第2先端角α2が小さく、切れ刃長さが長くなり切削抵抗が増大するため、穴の拡大代が0.025mm、内周面粗さが10.0μm、真円度が10.7μmであった。
比較例9のドリルによる加工穴は、穴の拡大代が0.040mm、内周面粗さが11.5μm、真円度が14.0μmであった。これは第2先端角α2が大きく、第2切れ刃による切削抵抗が急激に増加するため、工具のふらつきや振動が発生してしまったためだと考えられる。
比較例10のドリルは、評価後に工具を観察したところ3本中2本の第1切れ刃にチッピングが観察された。また、加工穴の穴の拡大代が0.018mm、内周面粗さが12.3μm、真円度が11.1μmであった。これは第1先端角α1が小さいため強度が不足したためと考えられる。
比較例11のドリルは、第1先端角α1が大きく、工作物に食い付く際に工具の振れが発生したため、穴の拡大代が0.030mm、内周面粗さが9.8μm、真円度が11.5μmであった。
従来例1、2のドリルは第3切れ刃を設けておらず、ドリルを内周壁面へ擦らせる効果が薄いことから、従来例1は加工穴の穴の拡大代が0.024mm、内周面粗さが14.2μm、真円度が17.3μmであり、従来例2は加工穴の穴の拡大代が0.017mm、内周面粗さが15.4μm、真円度が15.5μmであった。
また、従来例1、2のドリルは穴の拡大代、内周面粗さ、真円度が大きく劣ることから、本発明例のドリルと同程度の穴あけ精度を得るためにはリーマによる穴加工が必要であった。すなわち、本発明の穴あけドリルは、従来例と比較してリーマによる穴加工の工程を省略でき、リーマの工具費を削減できることが確認できた。
(実施例2)
次に、第3切れ刃長さL3を変化させた参考例13乃至15及び比較例12、16の穴あけドリルについて、第3切れ刃長さL3の短いものから順に評価を行った。
参考例13乃至15は、第3切れ刃長さL3をそれぞれ直径Dの0.10倍、0.30倍、0.52倍とし、第3切れ刃長さL3以外は参考例3と同じ仕様とした。
比較例12、16は、第3切れ刃長さL3をそれぞれ直径Dの0.07倍、0.55倍とし、第3切れ刃長さL3以外は参考例3と同じ仕様とした。
試験条件、評価方法および評価基準は実施例1と同様とした。結果を表2に示す。
Figure 0005617366
表2に示す通り、参考例13乃至15の穴あけ用ドリルは、穴の拡大代が嵌めあい公差H7(直径が6.0mmの場合は0〜+0.012mm)の範囲に納まり、内周面粗さは6.3μm以下、真円度は10μm以下であり良好であった。第3切れ刃長さL3の長さを直径Dの0.07倍とした比較例12のドリルでは、穴の拡大代が0.016mm、内周面粗さが9.5μm、真円度が12.2μmであった。これは比較例12のドリルは第3切れ刃の長さが短いため、加工穴の内周面を擦るバニシング効果が十分に現れなかったためと考えられる。また、第3切れ刃長さL3の長さを直径Dの0.55倍とした比較例16のドリルは、穴の拡大代が0.020mm、内周面粗さが10.2μm、真円度が14.0μmであった。比較例16のドリルは、第3切れ刃の長さが長いため切削抵抗が増大し、振動の発生によって穴の精度が悪化したと考えられる。
(実施例3)
参考例17乃至21の穴あけ用ドリルを用いて、第1切れ刃幅r1の影響について評価を行った。参考例17乃至21は第1切れ刃幅r1をそれぞれ直径Dの0.05倍、0.07倍、0.12倍、0.18倍、0.20倍とし、第1切れ刃幅r1以外は参考例3と同じ仕様とした。
試験条件、評価方法および評価基準は実施例1と同様とした。調査した結果を表3に示す。
Figure 0005617366
参考例17乃至21の穴あけ用ドリルは、穴の拡大代が嵌めあい公差H7(直径が6.0mmの場合は0〜+0.012mm)の範囲に納まり、内周面粗さは6.3μm以下、真円度は10μm以下であり良好であった。また、第1切れ刃幅r1が直径の0.07乃至0.18倍である参考例18乃至20は穴の拡大代が0.010mm以下、内周面粗さは6.0μm以下、真円度は8.0μm以下であり、特に良好であった。第1切れ刃幅r1がこの範囲であれば、大幅な切削抵抗の増大をまねくことなく、切削中の振動を抑えることができるため、特に穴の拡大代について精度の良好な穴を加工できることが分かった。
(実施例4)
参考例22乃至24、本発明例25及び26のドリルについて、第3先端角α3の影響を調査する試験を行った。参考例22乃至24、本発明例25及び26は第3先端角α3をそれぞれ10.0°、5.1°、3.2°、0.9°、0.3°とし、第3先端角α3以外は参考例3と同じ仕様とした。すなわち、第1先端角α1は120°として、第2先端角α2は140°を狙って製造し角度を揃えた。
ドリルによる穴あけの試験条件、評価方法および評価基準は実施例1と同様とした。結果を表4に示す。
Figure 0005617366
参考例22乃至24、本発明例25及び26の穴あけ用ドリルは、穴の拡大代が嵌めあい公差H7(直径が6.0mmの場合は0〜+0.012mm)の範囲に納まり、内周面粗さは6.3μm以下、真円度は10μm以下であり、良好であった。また、第3先端角α3が0.9°である本発明例25及び第3先端角α3が0.3°である本発明例26は穴の拡大代が0.008mm以下、内周面粗さは2.5μm以下、真円度は4μm以下であり、特に良好であった。
このことから第3切れ刃の先端角である第3先端角α3が小さいほど穴精度が良い傾向にあることが分かり、これは第3先端角α3が小さいほど加工穴の内壁面を擦るバニシング効果が高まるためと考えられる。
高精度な穴を加工する場合、ドリルで穴あけ後にリーマを用いて仕上げ加工を行うのが一般的であるが、本発明のドリルを用いることで仕上げ加工を不要にして、1本のドリルで精度の良好な穴あけ加工が出来る。そのために自動車部品、機械部品、及び金型の穴あけに本発明の穴あけ用ドリルを利用することができ、穴あけの加工コストを削減し製造期間を短縮することも出来る。
1 ドリル
2 刃先部
3 シャンク部
4 切れ刃
5 切屑排出溝
6 ランド
7 第1切れ刃
8 第2切れ刃
9 第3切れ刃
10 オイルホール
11 従来のドリル
12 希望する加工穴の深さ
13 加工長
14 外周コーナー
15 マージン
O 回転軸
r1 第1切れ刃幅
α1 第1先端角
r2 第2切れ刃幅
α2 第2先端角
r3 第3切れ刃幅
α3 第3先端角
L3 第3切れ刃長さ

Claims (2)

  1. ドリル先端から第1切れ刃、前記第1切れ刃よりドリル軸後部側に続く第2切れ刃、及び前記第2切れ刃よりさらにドリル後部側に続き、第3切れ刃を有する穴あけ用ドリルであって、
    ドリル軸と外周コーナーを含む平面へ切れ刃を投影したとき、前記第1切れ刃の先端角を第1先端角α1、前記第2切れ刃の先端角を第2先端角α2、及び前記第3切れ刃の先端角を第3先端角α3とすると、前記α1が100°<α1<125°、前記α2が135°<α2<170°、及び前記α3が0°<α3<°の範囲であり、前記ドリルの直径をDとし、前記第3切れ刃の回転軸方向の長さを第3切れ刃長さL3とするとき、前記L3が0.1D≦L3≦0.5Dであることを特徴とする穴あけ用ドリル。
  2. 請求項1の穴あけ用ドリルにおいて、前記第1切れ刃の径方向の幅を第1切れ刃幅r1とするとき、前記r1が0.07D<r1<0.18Dであることを特徴とする穴あけ用ドリル。
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