JP5614733B2 - 細胞の上皮性維持に作用する物質のスクリーニング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スフェロイドの形態の変化を指標として、細胞の上皮性維持に作用する物質をスクリーニングする方法に関する。
上皮−間葉転換(Epithelial−Mesenchymal Transition:EMT)とは、細胞が上皮としての特性を維持することができず、間葉系としての特性を獲得する現象である。近年、上皮−間葉転換が、癌細胞の浸潤・転移や組織のリモデリング・線維化などに関与することが報告されている。そのため、細胞の上皮性維持に作用する物質、すなわち、上皮−間葉転換を阻害する物質や、上皮−間葉転換の逆の現象である間葉−上皮転換(Mesenchymal−Epithelial Transition:MET)を誘導する物質は、癌や線維症などの治療薬につながることが期待されている。
従来、細胞の上皮性維持に作用する物質をスクリーニングする方法として、上皮−間葉転換が誘導された細胞に被験物質を接触させ、上皮−間葉転換状態を示すバイオマーカー量の変化を指標として評価する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
国際公開番号WO2009/111067
しかしながら、バイオマーカー量を指標とするスクリーニング方法は、その検出に手間とコストがかかる。それゆえ当該方法は、創薬初期段階のスクリーニングのような、大量のサンプルをスピーディーに評価しなければならないスクリーニングへの適用が困難である。また、低濃度のバイオマーカーの検出は難しいため、信頼性に乏しいという問題がある。
そこで本発明は、迅速かつ低コストで実施でき、信頼性の高いデータの取得を可能とする細胞の上皮性維持に作用する物質のスクリーニング方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上皮細胞が発現する細胞間接着因子であるE−cadherinの発現量と、所定の培養基材上で培養される細胞が示す挙動との間に相関関係があることを見出した。すなわち、上皮−間葉転換によりE−cadherinの発現が低下して細胞の上皮性が維持出来なくなると、当該細胞は高い遊走能を獲得して所定の培養基材上でスフェロイドを形成しやすい状態になると共に、形成されるスフェロイドはE−cadherinの発現量に応じて異なる形態を呈することを見出した。そして、スフェロイド形態の変化を指標としたスクリーニング方法として本発明を完成させた。
本発明の要旨は以下の通りである。
本発明の細胞の上皮性維持に作用する物質のスクリーニング方法は、(a)スフェロイド形成可能な培養基材上で細胞を培養する工程と、(b)前記細胞と被験物質とを接触させる工程と、(c)被験物質が前記細胞の上皮性維持に及ぼす効果をスフェロイドの形態の変化を指標として評価する工程と、を含むことを特徴とする。
この場合、前記工程(c)は、所定の大きさのスフェロイド数の測定により評価することができる。
また、前記工程(c)は、スフェロイド内の低酸素領域を検出可能な試薬を用いて評価することができる。
前記工程(a)は、細胞接着面として機能する所定の凹凸構造を有する培養基材上で行うことができる。
この場合、前記凹凸構造は、所定の平面形状からなる単位構造を規則的に複数配列したものであることが好ましい。
また、凹凸構造は、単位構造間の幅が3μm以下で、平面方向の形状が多角形であると共に、最小内径が3μm以下の単位構造を規則的に複数配列して形成されているものであると良い。
本発明のスクリーニング方法は、スフェロイドの形態の変化を指標として評価を行うため、迅速かつ低コストで目的の物質をスクリーニングすることができる。また、単層細胞よりも生体内に近い状態を反映すると考えられているスフェロイドを利用した方法であることから、効率的にスクリーニングを行うことができる。さらに、複数の指標を同時に捉えて評価することが可能であるため、信頼性の高いスクリーニング結果を得ることができる。
本発明方法に用いる培養基材の凹凸構造を示す平面図である。 スフェロイドの形態を示す写真である。 E−cadherinの発現量を示す写真およびグラフである。 上皮−間葉転換阻害剤がスフェロイドの形態に及ぼす効果を示す顕微鏡写真である。 低酸素領域検出試薬のシグナル強度を示すグラフである。 E−cadherin遺伝子の発現量を示すグラフである。 N−cadherin遺伝子の発現量を示すグラフである。 Vimentin遺伝子の発現量を示すグラフである。 ZEB1遺伝子の発現量を示すグラフである。
本発明のスクリーニング方法は、(a)スフェロイド形成可能な培養基材上で細胞を培養する工程と、(b)前記細胞と被験物質とを接触させる工程と、(c)被験物質が前記細胞の上皮性維持に及ぼす効果をスフェロイドの形態の変化を指標として評価する工程とを含むものである。
本発明におけるフェロイドとは、三次元的に細胞同士が集合・凝集化した細胞集合体を意味する。
また、本発明における細胞の上皮性維持とは、上皮−間葉転換を抑制・阻害された状態、または、間葉−上皮転換を促進・誘導された状態を意味する。したがって、本発明のスクリーニング方法は、上皮−間葉転換の阻害物質のスクリーニング方法と、間葉−上皮転換の誘導物質のスクリーニング方法とに大別される。
上皮−間葉転換の阻害物質のスクリーニング方法は、例えば、スフェロイド形成可能な培養基材上で細胞を培養する工程と、当該細胞と上皮−間葉転換誘導剤とを接触させる工程と、培養細胞と被験物質とを接触させる工程と、被験物質が細胞の上皮−間葉転換に及ぼす効果をスフェロイドの形態の変化を指標として評価する工程と、により行うことができる。上皮−間葉転換誘導剤としては、例えば、TGF-β、TNF-α、EGF、IL-4等を用いることができる。なお、培養細胞と上皮−間葉転換誘導剤とを接触させる工程は、培養細胞と被験物質とを接触させる工程以前であればいつの時点で行っても良く、例えば、細胞播種時に行っても良いし、細胞播種から数日経過後に行っても良いし、培養細胞と上皮−間葉転換誘導剤とを接触させる工程と同時に行っても良い。
間葉−上皮転換の誘導物質のスクリーニング方法は、例えば、スフェロイド形成可能な培養基材上で細胞を培養する工程と、培養細胞と被験物質とを接触させる工程と、被験物質が細胞の間葉−上皮転換に及ぼす効果をスフェロイドの形態の変化を指標として評価する工程と、により行うことができる。当該方法においては、E−cadherin発現量の低い細胞、例えば、ヒト膵癌由来細胞株であるMIAPaCa−2、PANC−1、A1165等を用いて行うことが好ましい。なお、培養細胞と上皮−間葉転換誘導剤とを接触させる工程を挿入して間葉系細胞へと誘導した後に、被験物質と培養細胞とを接触させても良い。特に、上皮癌(例えば、A549)や線癌(例えば、Capan−2)などの細胞を用いる場合は、播種時に上皮−間葉転換誘導剤による処理を行うことが好ましい。
本発明におけるスフェロイドの形態の変化を指標とする評価は、ネガティブコントロール群と被験サンプル群との、スフェロイドの外観及び/又は内部構造の違いを比較することにより行うことができる。
外観の違いは、スフェロイドの形(円形度)、大きさ、数等の変化を指標とすることができる。例えば、ネガティブコントロール群と比べて、被験サンプル群においてスフェロイドのサイズが大きくなった場合や、所定のサイズ以上のスフェロイド数が増加した場合や、スフェロイドの円形度がより1に近づいた場合には、被験物質が細胞の上皮性を維持する効果がある物質であると評価することができる。また、所定のサイズ以上のスフェロイド数の変化を指標とする代わりに(またはそれと並行して)、スフェロイドを形成していない細胞数の変化を指標としても良い。スフェロイドの形態の変化の一態様として捉えられるからである。
一方、内部構造の違いは、スフェロイド内の低酸素領域や酸素濃度の変化を指標とすることができる。例えば、ネガティブコントロール群と比べて、被験サンプル群においてスフェロイド内の低酸素領域が大きい場合には、細胞間接着のタイトなスフェロイドが形成されており、被験物質が細胞の上皮性を維持する効果がある物質であると評価することができる。
なお、本発明のスクリーニング方法は、スフェロイドの外観の違いと内部構造の違いを同時に捉えることができるため、信頼性の高いデータの取得が可能である。さらに、本発明の方法は、視覚的パラメータに基づいて評価を行うことができるため、容易に経時的変化を追うことが可能である。
スフェロイド形態の外観の違いの測定は、位相差顕微鏡等の生物顕微鏡を用いた観察・計測にて行うことができるほか、プレートリーダー、3次元的形状測定可能な装置、画像データを対象とした解析アルゴリズム等を用いて行うことができる。
一方、内部構造の違いの測定は、低酸素領域を検出可能なものであればどのような方法であっても良いが、例えば、燐光を発する化合物を用いて行うことができる。燐光を発する化合物を用いれば、酸素による燐光の消光現象を利用して低酸素状態を可視化でき、低酸素領域及び酸素濃度を把握できるためである。当該化合物は、燐光を発して酸素による消光現象を生じさせるものであれば特に制限されないが、細胞透過性の高い長波長の燐光を発し、燐光寿命が長く、燐光量子収率の高い化合物であることが好ましい。当該化合物の例としては、Ir(III)を中心金属として芳香族系分子を配位子とするイリジウム錯体が挙げられ、具体的には、Bis(2−benzo[b]thiophen−2−yl−pyridine)(acetylacetonate)iridium(III)が挙げられる。なお、燐光シグナルは定量化できるので、被験物質の上皮−間葉転換における阻害効率又は間葉−上皮転換誘導効率を容易に求めることができる。
本発明におけるスフェロイド形成可能な培養基材は、通常の単層培養に用いられる培養基材よりも、細胞との接着性が抑制されているものであればどのようなものであっても良く、例えば、培養基材表面の親水性又は疎水性を改質したもの等を用いることができる。
培養基材の材質は、細胞に対し無毒性のものであればどのようなものでも良く、例えば、「ポリスチレン」、「ポリエチレン」、「ポリプロピレン」、「ポリイミド」、「ポリ乳酸やポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン等の生分解性ポリマー」、「ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂」、「環状オレフィン共重合体(COC)や環状オレフィン重合体(COP)等の環状オレフィン系熱可塑性樹脂」、「アクリル樹脂」、「光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等のその他の樹脂」、「酸化アルミニウム等の金属」、「ガラス」、「石英ガラス」、「シリコン」等を用いることができる。また、シリコンやガラス等からなる基板本体の表面に、「樹脂」、「フォトレジスト」、「酸化アルミニウム等の金属」等の被覆層が形成されたものを用いることもできる。
培養基材の表面は、細胞接着面として機能し得る限り、紫外線照射、ガンマ線照射、プラズマ照射や、種々の物質のコーティング等といった、細胞の接着性を制御するための処理が施されていても良い。
また、本発明のスクリーニング方法は、細胞接着面として機能する所定の凹凸構造を有する培養基材を用いて行っても良い。
凹凸構造としては、培養する細胞の性質に応じて、線状(ラインアンドスペース)、ピラー状、ホール状等、種々の形状とすることができるが、好ましくは、所定の平面形状からなる単位構造1を規則的に複数配列した構造の方が良い。例えば、図1に示すように、平面形状が多角形である単位構造1を複数連続したものとすることができる。この時、等方的に均一な構造上で細胞を成長させることができるという点で、正三角形、正方形、正六角形等の正多角形や、円形のものがより好ましい。また、ピラー状やホール状の凹凸構造と、平面形状からなる単位構造1から形成される凹凸構造とを組み合わせることも可能である。なお、培養細胞を生体内での状態に近付けるという観点からは、線2の幅は、3μm以下、2μm以下、1μm以下、700nm以下、500nm以下、250nm以下というように、小さくなるほど好ましい。線2の幅が小さくなるほど、凹凸構造面に接着した細胞は、多くの仮足を成長させながらスフェロイドを形成することができると考えられるためである。
また、単位構造1の深さは、培養する細胞の性質に応じて、1nm以上、10nm以上、100nm以上、200nm以上、500nm以上、1μm以上、10μm以上、100μm以上等種々の大きさに形成される。また、この凹凸のアスペクト比としては、0.2以上、0.5以上、1以上、2以上等種々のものがある。
また、単位構造1の最小内径(好ましくは最大内径)は、3μm以下であることが好ましく、2μm以下、1μm以下、700nm以下、500nm以下、250nm以下というように、小さくなるほど好ましい。ここで、内径とは、単位構造1に外接する2本の平行線間の距離を意味する。したがって、最小内径とは、単位構造1に外接する二本の平行線間の距離のうち最も短いものを言い、最大内径とは、単位構造1に外接する二本の平行線間の距離のうち最も長いものを言う。例えば、単位構造1が正六角形の場合には、対向する平行な辺と辺との間の距離が最小内径となり、対向する頂点間の距離が最大内径となる。また、単位構造1が長方形の場合には、短辺の長さが最小内径となり、対角線の長さが最大内径となる。
凹凸構造の形成方法は、いかなる方法であっても良いが、例えば、ナノインプリント技術、溶液キャスト法、エッチング、ブラスト、コロナ放電等を用いることができる。この時、より精密に形状等を制御できる点で、ナノインプリント技術による方法が好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の記述に限定されるものではない。
[E−cadherin発現量とスフェロイド形態の相関関係]
(1)細胞播種および観察
細胞培養容器NanoCulture(登録商標)ディッシュ(SCIVAX社製、35mmディッシュ、凹凸構造面の材質=ポリメチルペンテン(三井化学社製TPX)、凹凸構造の平面形状=正方形、単位構造間の幅(線幅)=700nm、単位構造の最小内径=3μm、深さ=1μm)に、細胞を2.5×10cellsで播種し、培養3日目に光学顕微鏡にて観察を行った。細胞としては、ヒト膵臓癌細胞株、BxPC−3,Capan−1,Capan−2,AsPC−1,PANC−1,MIAPaCa−2を用いた。培地は、BxPC−3、AsPC−1,PANC−1については10%FBS含有RPMI1640培地、Capan−1については10%FBS含有MEM培地、Capan−2については10%FBS含有McCoy’s 5A培地、MIAPaCa−2については10%FBS含有DMEM培地を用いた。
(2)ウエスタンブロッティング
(1)と同様の細胞培養容器NanoCulture(登録商標)ディッシュ(SCIVAX社製、35mmディッシュ)に、(1)と同様の細胞を播種し、5日間培養した後、当該細胞をピペッティングにより回収した。回収した当該細胞をPBSで洗浄し、溶解バッファーにて溶解した細胞溶解液をサンプルとした。次に、各種細胞株のサンプル(タンパク質20μg分)をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE)により分離し、その後、タンパク質をPVDF膜に転写した。タンパク質の検出は、一次抗体として抗E−cadherinマウスモノクローナル抗体(BD Biosciences: Cat#610182))、二次抗体としてHRPラベルされた抗マウス抗体(Santa Cruz: sc-2005)、検出試薬としてECL Plus Western Blotting Detection System(GEヘルスケア社製)を用いて行った。
(1)および(2)の結果を図2および図3に示す。E−cadherinの発現量が高いBxPC−3やCapan−2では、スフェロイドの円形度が1に近く、細胞接着のタイトなスフェロイドが形成されていることがわかる。これに対し、E−cadherinの発現量が低いPANC−1やMIAPaCa−2では、前述の細胞株のスフェロイドよりも円形度が1から離れ、細胞接着のルーズなスフェロイドが形成されていることがわかった。
[上皮−間葉転換阻害剤がスフェロイドの形態に及ぼす効果]
(1)プレインキュベーション
細胞培養容器NanoCulture(登録商標)プレート(SCIVAX社製、384ウェルプレート、凹凸構造面の材質=ポリメチルペンテン(三井化学社製TPX)、凹凸構造の平面形状=正方形、単位構造間の幅(線幅)=700nm、単位構造の最小内径=3μm、深さ=1μm)に、5%FBS及び1.0%Matrigel(登録商標)含有DMEM培地を各ウェルに25μlずつ添加し、1000×gで5分間遠心した。
(2)細胞播種
ヒト肺がん細胞由来株A549を5%FBS含有DMEM培地で13.5×10cells/mlに調整した細胞懸濁液を、25μlずつ前述したプレートの各ウェルに添加した(細胞数は3.4×10cells/well、培地添加物の最終濃度は5%FBS、0.5%Matrigel)。
(3)上皮−間葉転換の誘導剤及び阻害剤の添加
培養3日目に、上皮−間葉転換誘導剤であるTGF−β2(R&Dsystems社製;302−B2−002)及びTNF−α(R&Dsystems社製;210−TA−010)を、それぞれ最終濃度が5ng/ml及び10ng/mlになるように各ウェルに添加した。それと同時に、TGF−β2の阻害剤であるSB431542(MiltenyiBiotec社製;130−095−561)を最終濃度が10μMになるように添加した。SB431542を添加しないすべてのウェルには最終濃度0.1%となるようにジメチルスルホキシドを添加した。
(4)低酸素領域検出試薬の添加
培養5日目に、低酸素領域検出用試薬LOX−1(SCIVAX社製)を最終濃度が2μMになるように各ウェルに添加した。LOX−1は、赤色燐光を発するイリジウム錯体を含有する試薬である。
(5)観察
培養6日目に、蛍光顕微鏡による観察を行った。
蛍光顕微鏡にて観察し、撮像した結果を図4に示す。まず、各ウェルの明視野像を比較すると、上皮−間葉転換誘導剤を添加していないウェル(コントロール)では、円形度が1に近く、コンパクトなスフェロイドが形成されている。これに対し、上皮−間葉転換誘導剤を添加したウェルでは、スフェロイドの大半が崩壊し、残ったスフェロイドの輪郭も凹凸が大きくなっていることがわかった。そして、上皮−間葉転換の誘導剤と阻害剤を添加したウェルでは、阻害剤を添加していないウェルと比較して、スフェロイドの崩壊が抑制されるとともにスフェロイドの輪郭も凹凸が小さくなっていることがわかった。一方、各ウェルの蛍光視野像を比較すると、コントロールに比べて上皮−間葉転換の誘導剤を添加したウェルでは、赤色強度が弱くかつ赤色領域が小さくなっており、ここに阻害剤を添加したウェルでは赤色強度が強くかつ赤色領域が大きくなっていることがわかった。すなわち、低酸素領域が大きくなっていることがわかった。また、このときの赤色シグナルを定量化した結果を図5に示す。上皮−間葉転換阻害剤を添加したウェルでは、添加していないウェルの約2倍の赤色シグナルがあることがわかった。
[上皮−間葉転換の誘導剤及び阻害剤添加時における遺伝子発現変化の検証]
実施例2で確認されたスフェロイドの形態の変化が、上皮−間葉転換及び上皮−間葉転換阻害を反映しているのか否かを検証するために、上皮又は間葉系マーカーとして知られている遺伝子について、その発現レベルをqRT−PCRにより測定した結果を図6〜図9に示す。(1)プレインキュベーション〜(3)上皮−間葉転換の誘導剤及び阻害剤の添加までの工程は、実施例2に示したものと同様に行った。そして、培養6日目に、各サンプルからRNeasy Plus Mini Kit(QIAGEN社製)を用いて全RNAを抽出し、そのRNAをPrimeScript RT reagent Kit(タカラバイオ社製)を用いて逆転写したものを、qRT−PCRに用いた。PCRにはSYBER Premix Ex TaqII(タカラバイオ社製)を用いた。またその反応および検出にはThermal Cycler Dice(タカラバイオ社製)を用いた。PCRに用いたプライマーは下記表1に示す。なおデータは、内部標準遺伝子(TBP)の発現量で補正したうえで、コントロールの発現量を1とした場合の相対値として示した。
Figure 0005614733
上皮マーカーとして知られているE−cadherinの発現量は、上皮−間葉転換誘導剤の添加によりコントロールの1割以下に減少し、阻害剤の添加によりコントロールの6割程度にまで回復している(図6)。一方、間葉系マーカーとして知られているN−cadherinの発現量は、上皮−間葉転換誘導剤の添加によりコントロールの約9倍にまで増加し、阻害剤の添加によりコントロールと同程度にまで減少している(図7)。同様に、間葉系マーカーであるVimentinと、E−cadherinの発現を抑制する転写因子であるZEB1の発現も、N−cadherinと近似の発現レベル変化を示した(図8および図9)。これらの結果より、実施例2で確認されたスフェロイドの形態の変化は、上皮−間葉転換及び上皮−間葉転換阻害時に生じる細胞の性質の変化を反映するものであることが示唆された。
本発明方法は、抗癌剤や線維症治療薬等の薬剤スクリーニングに使用することができる。
1 単位構造
2 線

Claims (7)

  1. (a)細胞接着面として機能する規則的に複数配列された所定の凹凸構造を有する、スフェロイド形成可能な培養基材上で細胞を培養する工程と、(b)前記細胞と被験物質とを接触させる工程と、(c)スフェロイド形態の変化を観測し、当該観測した変化を指標として、被験物質が前記細胞の上皮性維持に及ぼす効果を評価する工程と、を含む細胞の上皮性維持に作用する物質のスクリーニング方法。
  2. 前記工程(c)は、前記観測した変化を指標として、上皮マーカーであるE−cadherin発現量の増加及び上皮−間葉転換に対する被験物質の抑制・阻害作用効果を評価することを特徴とする請求項1に記載のスクリーニング方法。
  3. 前記工程(c)は、前記観測した変化を指標として、間葉系マーカーであるN−cadherin、Vimentin、又はZEB1の少なくとも何れか1以上の発現量の低下及び間葉−上皮転換に対する被験物質の促進・誘導作用効果を評価することを特徴とする請求項1に記載のスクリーニング方法。
  4. 前記スフェロイド形態の変化は、被験サンプル群においてネガティブコントロール群と比して、スフェロイドのサイズが大きくなること、所定のサイズ以上のスフェロイドの数が増加すること、又は、スフェロイドの円形度がより1に近付くこと、の少なくとも何れか1以上の変化であることを特徴とする請求項1乃至3に記載のスクリーニング方法。
  5. 前記工程(c)は、スフェロイド内の低酸素領域を検出可能な試薬を用いて評価することを特徴とする請求項1乃至4に記載のスクリーニング方法。
  6. 前記凹凸構造は、所定の平面形状からなる単位構造を規則的に複数配列したものであることを特徴とする請求項1乃至5に記載のスクリーニング方法。
  7. 前記凹凸構造は、平面方向の形状が多角形である単位構造を規則的に複数配列して形成されていることを特徴とする請求項1乃至5に記載のスクリーニング方法。
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