JP5614328B2 - 粘着剤組成物、粘着フィルム、および光学部品 - Google Patents
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Description
また、粘着剤組成物からなる粘着フィルムは、この粘着フィルムの両面に、表面が剥離処理された剥離フィルムを備えたノンキャリアタイプの粘着体(いわゆる、両面セパレータ付フィルム。)や、粘着フィルムの片面には第二の透明基材が予め貼着され、他面には剥離フィルムが設けられた、第二の透明基材と一体型の粘着体などといった、フィルム状の粘着体の形態とされることが多い。
剥離フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)などの基材フィルムの表面に、シリコーン樹脂などの剥離成分が塗布されて剥離処理されたものが使用される。
第一の透明基材の材質としては、PET、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ガラスなどが一般的であるが、特にPMMAなどのアクリル基材はアウトガスが発生しやすく、透明性や視認性が低下しやすかった。
また、窒素原子含有共重合性単量体として、アミノ基含有単量体の中でも(メタ)アクリル酸アミノアルキルや(メタ)アクリル酸N−アルキルアミノアルキルを用いて共重合すると、アミノ基は水酸基よりもイソシアネート化合物と反応しやすいため、尿素結合が形成されやすい。尿素結合はウレタン結合と比較して柔軟性に乏しく脆化を招きやすいため、十分な粘着性を発揮できない。また、尿素結合が形成されると親水性が高まるので、水分がポリマー中で保持されやすくなり、金属薄膜の腐食の原因となる。
すなわち、架橋性官能基を有する単量体としてヒドロキシ基含有化合物を用いると、未反応の水酸基により水分がアクリル系共重合体中で保持されやすくなり、金属薄膜の腐食の原因となる。一方、架橋性官能基を有する単量体としてアミノ基含有化合物を用いると、尿素結合が形成されやすくなるため、十分な粘着性を発揮できなかったり、金属薄膜の腐食の原因となったりする。
また、特許文献2では粘着剤から発生するアウトガスについては考慮しているものの、基材から発生するアウトガスについては考慮されておらず、気泡の発生を抑制することは必ずしも十分ではなかった。
また、本発明の光学部品は、前記粘着剤組成物により、第一の透明基材と、基材本体および該基材本体上に設けられた金属薄膜を備えた第二の透明基材とが、金属薄膜層を内側にして貼り合わされたことを特徴とする。
さらに、前記第一の透明基材および/または第二の透明基材がフィルム状であることが好ましい。
なお、本発明において「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸の両方を示すものとする。また、「(メタ)アクリルアミド」とは、メタクリルアミドとアクリルアミドの両方を示すものとする。
本発明の粘着剤組成物は、共重合体(A)と、イソシアネート(B)とを含有する。
共重合体(A)は、三級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド単量体(a1)と、水酸基含有重合性単量体(a2)とを含む単量体混合物(a)を共重合したものであって、質量平均分子量が40万以上、ガラス転移点が−70〜−20℃である。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
その他の単量体としては、(a1)成分および(a2)成分と共重合可能な(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルが使用できる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(n−プロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、アクリル酸2−(n−プロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(n−ブトキシ)プロピルなどが挙げられる。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カルボキシル基含有重合性単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸β−カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸カルボキシペンチル、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。
スルホン酸基含有重合性単量体としては、例えばスチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、(メタ)アクリル酸スルホプロピルなどが挙げられる。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が好ましい。
有機過酸化物としては、例えばベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド、tert−ブチル−α−クミルパーオキシドなどが挙げられる。
無機過酸化物としては、例えば過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
共重合体(A)の質量平均分子量の上限値については特に制限されないが、110万以下が好ましい。質量平均分子量が110万以下であれば、粘着剤組成物の塗工性が向上する。
粘着性と塗工性のバランスから、共重合体(A)の質量平均分子量は、50万〜90万であることが好ましく、70万〜90であることがより好ましい。
粘着性と透明性のバランスから、共重合体(A)のガラス転移点は、−50〜−30℃が好ましい。
1/(Tg+273.15)=Σ[Wn/(Tgn+273.15)] ・・・(1)
なお、Tgnはホモポリマーの特性値として広く知られており、例えば、「POLYMER HANDBOOK、THIRD EDITION」に記載されている値を用いればよい。
これらの中でも、耐光性に優れる粘着剤組成物が得られる点で、脂肪族イソシアネートが好ましい。
対して本発明の粘着剤組成物は、架橋剤としてイソシアネートを含有するので優れた粘着性を有すると共に、金属薄膜を腐食させにくい。より優れた腐食防止を発揮するためには、金属キレート系架橋剤を含有しないことが好ましい。
多価金属原子としては、Al、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Tiなどが挙げられる。
共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子などが挙げられ、有機化合物としては、アルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物などが挙げられる。
アクリル系共重合体(C)の質量平均分子量は、共重合体(A)と同様の方法、すなわちゲルパーミエーションクロマトグラフ法で測定される値である。
アクリル系共重合体(C)のガラス転移点は、アクリル系共重合体(C)を構成する各単量体の種類やその配合量によって調整できる。また、アクリル系共重合体(C)のガラス転移点は、共重合体(A)と同様の方法、すなわち上記式(1)に示されるFoxの式から求められる値である。
メタクリル酸メチルを使用する場合、その含有量は、単量体混合物(c)100質量%中、25〜90質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましい。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
環状構造を有する単量体の含有量は、単量体混合物(c)100質量%中、10〜75質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。
重合開始剤としては、共重合体(A)の説明において先に例示したアゾ化合物が好ましい。
なお、本発明においては、もう一方の剥離フィルムを剥がした後の粘着フィルムの表面を平滑に保持できる性能を「二次剥離性」という。
また、粘着剤組成物は、通常、共重合体(A)やアクリル系共重合体(C)の調製工程に由来した溶媒を含有するが、さらに適当な溶媒が加えられ、粘着フィルムを形成するのに適した粘度となるように希釈されたものであってもよい。
本発明の粘着剤組成物は各種用途に使用でき、特にフラットパネルディスプレイなどの対象物(第一の透明基材)と、電磁波シールドやタッチパネルなど、金属薄膜が設けられた透明基材(第二の透明基材)を貼り合わせるための粘着フィルムとして好適に使用される。
粘着フィルムは、例えば図1に示すように、粘着剤組成物からなる粘着フィルム11の両面に、表面が剥離処理された剥離フィルム12、13が設けられたノンキャリアタイプでフィルム状の粘着体10の形態として使用される。ノンキャリアタイプの粘着体10は、第二の透明基材を予め具備したものではないため、需要に応じて、貼着させる第二の透明基材の種類をその都度選択できる。よって、在庫管理などの点で非常にメリットがある。
なお、本発明の粘着剤組成物は、粘着フィルムの片面には第二の透明基材が予め貼着され、他面には剥離フィルムが設けられた、第二の透明基材と一体型の粘着体の粘着フィルムにも使用できる。
ついで、形成された粘着フィルム11の上に、表面13aが剥離処理された別の剥離フィルム13を表面13aが粘着フィルム11に接するように配置し、貼り合わせることにより、ノンキャリアタイプでフィルム状の粘着体10を製造することができる。
本発明の光学部品は、例えば図2(b)に示すように、粘着剤組成物からなる粘着フィルム11により、第一の透明基材20と、基材本体31および該基材本体31上に設けられた金属薄膜32を備えた第二の透明基材30とが、金属薄膜32を内側にして貼り合わされたものである。
なお、図2(b)中の符号「100」は、光学部品である。
第一の透明基材20の材質としては、透明性などの点から、PCが使用される場合が多いが、例えば、PETなどのポリエステル樹脂、PMMAなどの(メタ)アクリル樹脂、トリアセチルセルロールなどのセルロース樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ガラスなどでもよく、制限はない。
基材本体31の材質としては、第一の透明基材20の説明において先に例示した材質が挙げられる。
金属薄膜32が連続膜や不連続の場合は、蒸着法やスパッタリング法により形成される。
一方、金属薄膜32が透明導電膜の場合は、導電性金属酸化物の溶液を基材本体31上に塗布し、乾燥することで形成される。
まず、図1に示す粘着体10の粘着フィルム11の片面側の剥離フィルム12を剥がし、露出した粘着フィルム11上に、図2(a)に示すように、金属薄膜32が内側(粘着フィルム側)になるように第二の透明基材30を貼着する。その後、もう一方の剥離フィルム13を剥がし、露出した粘着フィルム11上に、図2(b)に示すように、第一の透明基材20の表面を密着させる。
また、上述した各方法において、第一の透明基材と第二の透明基材とを入れ替えて各工程を行い、光学部品を製造してもよい。
加えて、この光学部品を高温高湿下におき、第一の透明基材や第二の透明基材の基材本体からアウトガスが発生するなどし、これらの界面に多数の微細な気泡が形成された場合でも、多数の微細な気泡同士の合体が起こりにくい。そのため、透明性、視認性の低下を抑制することができる。
[アクリル共重合体(A)]
表1、2に示す各単量体混合物(a)を以下のように共重合して、アクリル共重合体(A1)〜(A21)を製造した。
ジメチルアミノプロピルアクリルアミド0.1質量部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル0.5質量部、アクリル酸ブチル59.9質量部、アクリル酸エチル39.5質量部からなる単量体混合物(a)と、該単量体混合物(a)100質量部に対して、酢酸エチル185質量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部を反応容器に投入した。ついで、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換し、窒素雰囲気中、攪拌下で、反応容器内の反応溶液を75℃まで昇温し、12時間反応させた。
反応後、反応容器内の液を酢酸エチルで希釈し、固形分25質量%に調整し、質量平均分子量90万、ガラス転移点−42℃の共重合体(A1)の溶液を得た。
なお、質重量平均分子量は、移動相としてTHFを用い、流速1.0mL/分の条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法により測定を行い、ポリスチレン換算での数値とした。
また、ガラス転移点は、上記式(1)に示すFoxの式から求めた。
単量体混合物(a)の組成、酢酸エチルの量、重合開始剤の種類とその量を表1、2に示すように変更した以外は、共重合体(A1)と同様にして、表1、2に示す質量平均分子量およびガラス転移点の共重合体(A2)〜(A21)の溶液を得た。
「DMAPAA」:ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(Tg:134℃)、
「DMAEA」:アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル(Tg:18℃)、
「HEMA」:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(Tg:55℃)、
「4−HBA」:アクリル酸4−ヒドロキシブチル(Tg:−80℃)、
「BA」:アクリル酸ブチル(Tg:−54℃)、
「EA」:アクリル酸エチル(Tg:−25℃)、
「MA」:アクリル酸メチル(Tg:8℃)、
「2−EHA」:アクリル酸2−エチルヘキシル(Tg:−70℃)、
「CHMA」:メタクリル酸シクロヘキシル(Tg:56℃)、
「AIBN」:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、
「ナイパーBW」:ベンゾイルパーオキサイド(日本油脂株式会社製)。
表3に示す各単量体混合物(c)を以下のように共重合して、アクリル系共重合体(C1)〜(C10)を製造した。
メタクリル酸メチル80質量部、メタクリル酸シクロヘキシル20質量部からなる単量体混合物(c)と、該単量体混合物(c)100質量部に対して、トルエン230質量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル8質量部を反応容器に入れた。ついで、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換し、窒素雰囲気中、攪拌下で、反応容器内の反応溶液を100℃まで昇温し、5時間反応させた。
反応後、反応容器内の液をトルエンで希釈し、固形分30質量%に調整し、質量平均分子量4000、ガラス転移点94℃のアクリル系共重合体(C1)の溶液を得た。
なお、質量平均分子量およびガラス転移点は、共重合体(A1)と同様にして求めた。
単量体混合物(c)の組成、およびトルエンと2,2’−アゾビスイソブチロニトリルの量を表3に示すように変更した以外は、アクリル系共重合体(C1)と同様にして、表3に示す質量平均分子量およびガラス転移点のアクリル系共重合体(C2)〜(C10)の溶液を得た。
「MMA」:メタクリル酸メチル(Tg:105℃)、
「CHMA」:メタクリル酸シクロヘキシル(Tg:56℃)、
「IBXMA」:メタクリル酸イソボルニル(Tg:155℃)、
「MA」:アクリル酸メチル(Tg:8℃)、
「AIBN」:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル。
表4に示す組成により、粘着剤組成物を製造した。なお、表中の数値は、固形分の質量部である。
ついで、シリコーン樹脂を含む剥離成分により剥離処理された軽剥離タイプの剥離PETフィルム(厚さ38μm)の剥離面に、製造された粘着剤組成物を乾燥後の厚み(形成された粘着フィルムとしての厚み)が50μmとなるようにアプリケータで塗布し、100℃で溶媒を除去して乾燥するとともに架橋反応させ、粘着フィルムを形成した。
ついで、この粘着フィルム上に、シリコーン樹脂を含む剥離成分により剥離処理された重剥離タイプの剥離PETフィルム(厚み38μm)を剥離面側が粘着フィルムに接するように貼り合わせ、23℃、50%RHで7日間放置し、粘着フィルムの両面に、表面(剥離面)が剥離処理された剥離フィルムが設けられたノンキャリアタイプでフィルム状の粘着体を得た。なお、軽剥離、重剥離とは、剥離しやすさの程度であり、軽剥離は、重剥離よりも剥離しやすいことを意味する。
(1)粘着性の評価
粘着体を幅2.54cm×長さ15cmに裁断した後、軽剥離タイプの剥離PETフィルムを剥がし、厚さ1mmのPC板に貼着した。その後、これを23℃、50%RHで24時間放置した。その後、重剥離タイプの剥離PETフィルムを剥がし、厚さ1mmのアクリル板に貼り合わせ、JIS Z 0237に準拠してロール圧着した。これを24時間静置し、粘着性評価用の積層体を得た。
得られた積層体について、剥離試験機(東洋精機株式会社製、「ストログラフVG」)を用い、23℃、50%RHの雰囲気下、引張速度300mm/分の条件で剥離強度(180度ピール強度)を測定し、以下の評価基準にて粘着性を評価した。
○:剥離強度が30N/inchを超える。
△:剥離強度が10N/inch〜30N/inch。
×:剥離強度が10N/inch未満。
粘着体を幅2.54cm×長さ15cmに裁断した後、軽剥離タイプの剥離PETフィルムを剥がし、厚さ1mmのPC板に貼着した。その後、これを23℃、50%RHで24時間放置した。その後、重剥離タイプの剥離PETフィルムを剥がしたときの粘着フィルムの状態を目視にて観察し、以下の評価基準にて二次剥離性を評価した。
○:粘着フィルムの表面に筋などが見られず、平滑であり、透明性に優れる。
△:粘着フィルムの表面が若干荒れているが、透明性は使用可能範囲である。
×:粘着フィルムの表面に明確な筋が見られ、透明性が損なわれている。
粘着体を幅50mm×長さ50mmに裁断した後、軽剥離タイプの剥離PETフィルムを剥がし、光学用のPET製表面フィルムを貼着した。その後、これを23℃、50%RHで24時間放置した。その後、重剥離タイプの剥離PETフィルムを剥がし、厚さ1mmのPMMA基材(アクリル基材)または厚さ1mmのPC基材に貼り合わせ、JIS Z 0237に準拠してロール圧着した。これを24時間静置し粘着フィルムを介して基材表面に光学用のPET製表面フィルムが貼着された積層体を得た。
この積層体を80℃、95%RHで48時間放置した後、23℃、50%RHで24時間放置して、積層体の表面における気泡生成の様子をルーペで観察した。
耐気泡性について、以下の5段階で評価した。
5:気泡が全く観察されない。
4:部分的に微細な気泡が観察されるが、大きな気泡は観察されない。
3:全体的に微細な気泡が観察されるが、大きな気泡は観察されない。
2:部分的に大きな気泡が観察される。
1:全体的に大きな気泡が観察される。
粘着体を幅50mm×長さ50mmに裁断した後、軽剥離タイプの剥離PETフィルムを剥がし、光学用のPET製表面フィルムを貼着した。その後、これを23℃、50%RHで24時間放置した。その後、重剥離タイプの剥離PETフィルムを剥がし、厚さ2mmのガラス板に貼り合わせ、JIS Z 0237に準拠してロール圧着した。これを24時間静置し、透明性評価用の積層体を得た。
ついで、光学用のPET製表面フィルム、ガラス板および透明性評価用の積層体について、ヘイズメーター(村上色彩研究所製、「HM−65W」)でヘイズ値(曇り度)を測定し、下記式(2)より粘着フィルムのヘイズ値を算出した。
粘着フィルムのヘイズ値=(透明性評価用の積層体のヘイズ値)−(光学用のPET製表面フィルムのヘイズ値+ガラス板のヘイズ値) ・・・(2)
得られた粘着フィルムのヘイズ値を以下の3段階で評価した。なお、「△黄」および「×黄」は、粘着フィルムのヘイズがそれぞれ下記範囲内であり、かつ黄変した場合を示す。
○:ヘイズ値が0.1〜0.5。
△:ヘイズ値が0.6〜0.9。
×:ヘイズ値が1以上。
まず、ブランク試験として、以下の測定を行った。
幅50mm×長さ130mmのITO−PETフィルムの中央部の2点間(2点間の距離:60mm)の抵抗値をデジタルマルチメーター(アドバンスト社製、「R6581D」)を用いて測定した。これを初期抵抗値(X1)とする。ついで、ITO−PETフィルムを高温高湿下(85℃、95%RH)で1000時間放置して曝露処理を行った。曝露処理後のITO−PETフィルムの抵抗値を初期抵抗値(X1)と同様にして測定した。これを曝露処理後の抵抗値(Y1)とする。初期抵抗値(X1)および曝露処理後の抵抗値(Y1)の結果より、抵抗値の変化(X1−Y1)を求めたところ、51であった。
この試験片について、粘着フィルムを挟んだ2点間(2点間の距離:60mm)の抵抗値をデジタルマルチメーターを用いて測定した。これを初期抵抗値(X2)とする。ついで、試験片を高温高湿下(85℃、95%RH)で1000時間放置して曝露処理を行った。曝露処理後の試験片の抵抗値を初期抵抗値(X2)と同様にして測定した。これを曝露処理後の抵抗値(Y2)とする。
初期抵抗値(X2)および曝露処理後の抵抗値(Y2)の結果より、抵抗値の変化(X2−Y2)を求めた。先に求めたブランク試験における抵抗値の変化(X1−Y1)の値を基に、以下の評価基準にて耐腐食性を評価した。
◎:抵抗値の変化(X2−Y2)が51未満。
○:抵抗値の変化(X2−Y2)が51〜55。
△:抵抗値の変化(X2−Y2)が55を超え、58未満。
×:抵抗値の変化(X2−Y2)が58以上。
粘着体の製造において、軽剥離タイプの剥離PETフィルムの剥離面に粘着剤組成物を塗布したときの塗膜の状態について目視にて観察し、以下の評価基準にて塗工性を評価した。
○:ムラが見られない。
△:部分的に弱いムラが見られる。
×:ムラが見られる。
表4、5に示す配合により、粘着剤組成物を製造した。
そして、参考例1−1と同様にしてフィルム状の粘着体、積層体、および試験片を製造し、同様に評価した。結果を表4、5に示す。
表6〜8に示す配合により、粘着剤組成物を製造した。
そして、参考例1−1と同様にしてフィルム状の粘着体、積層体、および試験片を製造し、同様に評価した。結果を表6〜8に示す。
「HMDI−1」:旭化成ケミカルズ株式会社製の「デュラネート24A−100」(ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体)、NCO%=23.5%、
「HMDI−2」:住化バイエルウレタン株式会社製の「スミジュールN3300」(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)、NCO%=21.8%。
なお、参考例1−12、実施例2−22では、共重合体(A20)の質量平均分子量が大きいため、塗工性に劣っていた。
また、参考例1−13では、共重合体(A21)を過酸化物系の重合開始剤(ベンゾイルパーオキサイド)を用いて製造したため、耐腐食性が他の実施例に比べて若干劣っていた。
比較例1−2、2−2では、イソシアネート(B)の割合が多いため、耐腐食性が悪かった。
比較例1−3、2−3では、共重合体(A12)を構成する単量体混合物(a)中の水酸基含有重合性単量体の量が多いため、耐腐食性が悪かった。
比較例1−4、2−4では、共重合体(A13)を構成する単量体混合物(a)中の三級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド単量体の量が多いため、耐腐食性が悪かった。また、透明性にも劣り、かつ粘着フィルムが黄変した。
比較例1−5、2−5では、共重合体(A14)を構成する単量体混合物(a)中に水酸基含有重合性単量体が含まれないため、粘着性、およびアクリル基材に対する耐気泡性が悪かった。特に、アクリル系共重合体(C)を含有しない比較例1−5の場合、二次剥離性、およびPC基材に対する耐気泡性も悪かった。
比較例1−6、2−6では、共重合体(A15)を構成する単量体混合物(a)中に三級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド単量体が含まれないため、粘着性、アクリル基材に対する耐気泡性、および耐腐食性が悪かった。特に、アクリル系共重合体(C)を含有しない比較例1−6の場合、PC基材に対する耐気泡性も悪かった。
比較例1−7、2−7では、共重合体(A16)のガラス転移点が低かったため、粘着性、およびアクリル基材に対する耐気泡性が悪かった。特に、アクリル系共重合体(C)を含有しない比較例1−7の場合、PC基材に対する耐気泡性も悪かった。
比較例1−8、2−8では、共重合体(A17)のガラス転移点が高かったため、透明性が悪かった。特に、アクリル系共重合体(C)を含有しない比較例1−8の場合、粘着性も悪かった。
比較例1−9、2−9では、共重合体(A18)の質量平均分子量が低かったため、粘着性、およびアクリル基材に対する耐気泡性が悪かった。特に、アクリル系共重合体(C)を含有しない比較例1−9の場合、PC基材に対する耐気泡性も悪かった。
比較例1−10、2−10では、共重合体(A19)を構成する単量体として、三級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド単量体の代わりに、アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチルを用いたため、粘着性、およびアクリル基材に対する耐気泡性が悪かった。特に、アクリル系共重合体(C)を含有しない比較例1−10の場合、PCに対する耐気泡性、および耐腐食性も悪かった。
Claims (4)
- 三級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド単量体と、水酸基含有重合性単量体とを含み、酸性基含有重合性単量体を含まない単量体混合物(a)を共重合した、質量平均分子量が40万以上、ガラス転移点が−70〜−20℃の共重合体(A)と、該共重合体(A)100質量部に対して0.2〜1.4質量部のイソシアネート(B)とを含有し、
前記単量体混合物(a)100質量%中、三級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド単量体の含有量が0.1〜2.0質量%、水酸基含有重合性単量体の含有量が0.1〜5.0質量%であり、
前記共重合体(A)100質量部に対して、質量平均分子量が2000〜6000、ガラス転移点が65〜105℃のアクリル系共重合体(C)を5〜35質量部含有することを特徴とする粘着剤組成物。 - 請求項1に記載の粘着剤組成物からなることを特徴とする粘着フィルム。
- 請求項1に記載の粘着剤組成物により、第一の透明基材と、基材本体および該基材本体上に設けられた金属薄膜を備えた第二の透明基材とが、金属薄膜を内側にして貼り合わされたことを特徴とする光学部品。
- 前記第一の透明基材および/または第二の透明基材がフィルム状であることを特徴とする請求項3に記載の光学部品。
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