特許文献1に開示される装置によれば、経路探索において複数の目的地候補を採り得る場合に、その中から最も太陽光の照射量の多い経路を選択して車両を案内することが可能である。
然るに、この目的地の選択に際して参照される太陽光の照射量は、予め与えられる各種のデータ(特許文献1によれば、例えば、目的地近傍の物体や到着予想時間等)に基づいて算出される推定値としての日照コストによって代替的に把握される。即ち、特許文献1に開示される装置では、選択された目的地における将来的な太陽光の照射量については一切考慮されていない。また、日照コストは、上述したように推定値であり、目的地毎の実際の太陽光の照射量を必ずしも反映しない。
従って、特許文献1に開示される装置では、実践的運用面において、例えば、駐車してみた結果、太陽光の照射量が期待した程には得られない等といった不満が生じる可能性がある。
尚、特許文献2及び3に開示される装置においては、将来的な発電量の予測等がなされ得るが、あくまで目的地到着後の装置の駆動条件の最適化を図るものであって、予測の精度の高低に関係なく、この種の問題に対する抜本的な解決とはなり難い。
更に、特許文献4及び5に開示される装置では、太陽光を有効に利用する観点での工夫が上記文献に増して不十分である。
このように、特許文献1乃至5に開示される装置を含む従来の技術には、移動体が複数の目的地を採り得る場合に、太陽光を最適に受光し得る目的地を選択することが困難であるという技術的な問題点がある。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、太陽光の有効利用の観点からみて最適な目的地の提案を実現し得る太陽光情報利用装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る太陽光情報利用装置は、送信されるデータを蓄積可能なデータベースと共に太陽光情報利用システムを構築し、且つ太陽光を利用した発電が可能な発電手段を備えた移動体に搭載可能な太陽光情報利用装置であって、前記移動体の日当たりに関する日当たり情報を取得する日当たり情報取得手段と、前記取得された日当たり情報に対応する、前記日当たり情報の取得条件に関する条件情報を取得する条件情報取得手段と、前記データベースに対し前記データとして前記取得された日当たり情報と前記取得された条件情報とが相互に関連付けられた太陽光情報を送信する送信手段とを具備し、前記移動体は、前記発電手段の発電電力により駆動される被駆動装置を備え、前記日当たり情報取得手段は、前記日当たり情報として前記被駆動装置の駆動に要した電力を取得することを特徴とする。
本発明に係る太陽光情報利用装置は、各種の移動体に搭載可能であって、且つ本発明に係るデータベースと共に太陽光情報利用システムを構築する、後述する太陽光情報を利用するための装置である。
ここで、本発明に係るデータベースは、例えば当該データベース内部に固定又は適宜切り替え可能に挿入され得る、当該データベースの装置構成に応じて各種態様を採り得る各種の記憶媒体又は記憶素子に、有線無線の別を問わず送信されるデータを蓄積(即ち、記憶)可能であり、また然るべき要求等に応じて適宜、この蓄積された情報を読み出し可能に構成される。本発明に係るデータベースは、例えば、設置型、内蔵型又は可搬型のHDD(Hard Disk Drive)、DVDドライブ、BD(Blu-ray Disk)ドライブ又はCDドライブ等の各種情報記録装置或いはこれら各種情報記録装置に更にマイクロコンピュータ、パーソナルコンピュータ又はワークステーション等の各種制御装置が付帯した情報記録システム等であってもよい。
本発明に係るデータベースは、本発明に係る太陽光情報利用装置に内蔵されていてもよいし、常時又は適宜に接続されてもよい。或いは本発明に係るデータベースと太陽光情報利用装置とは、有線LAN、無線LAN、移動体通信ネットワーク或いはインターネット等の各種のネットワークに収容され、当該ネットワークを介して接続される関係であってもよい。いずれにせよ、太陽光情報利用装置は、後述する太陽光情報をこのデータベースに対し送信することができ、また好適にはこのデータベースから太陽光情報を取得することができる。尚、取得される太陽光情報は、本発明に係る太陽光情報利用システムを構築する他の太陽光情報利用装置によりこのデータベースに送信されたものであってもよい。即ち、この太陽光情報は、太陽光情報利用システムに参加する装置相
互間で共有される情報であってもよい。
本発明に係る移動体とは、移動可能な物体を包括する概念であり、好適な一形態としては各種の移動手段を利用して移動可能な人間や各種車両等を意味するが、その実践的態様は如何様にも限定されない趣旨である。太陽光情報利用装置は、このような概念としての移動体に搭載可能であるが、「搭載可能」とは、必要に応じて搭載されてもよいし、常時搭載されてもよいし、恒常的に据え付けられていてもよいことを意味している。即ち、太陽光情報利用装置は、その設置場所が固定されていても適宜選択可能であってもよく、後者の場合、所有者や使用者の意思や意図等に応じてその都度変化し得る可変な設置場所への設置を可能とする、可搬性や付帯性等を適宜有していてもよい。例えば、太陽光情報利用装置は、携帯型電話機、PDA(Personal Digital Assistance)、ノート型パーソナルコンピュータ、或いは車載型又は携帯型のカーナビゲーション装置等を含む各種の移動端末装置或いは可搬型端末装置の夫々一部であってもよい。この移動体には、例えば、太陽電池セル、当該太陽電池セルが複数連結された太陽電池パネル、或いはこれらに各種電気回路等が付設された太陽電池モジュール等を備えた太陽光発電装置等の形態を採り得る発電手段が備わっている。
本発明に係る太陽光情報利用装置によれば、その動作時には、日当たり情報取得手段により移動体の日当たりに関する日当たり情報が取得される。ここで、「日当たり」とは、太陽光の照射状態を意味し、日当たり情報とは、この太陽光の照射状態を各種の態様の下に表し得る情報である。
例えば、日当たり情報は、日当たりの度合い、即ち太陽光の照射状態の度合いと一対一、一対多、多対一又は多対多に相関し得る各種の物理量、制御量、指標値又は数値等であってもよい。また、日当たり情報は、太陽光の照射量、移動体内外のリアルタイムな又は一定期間内の温度、平均温度若しくは温度変化量等であってもよい。或いは、日当たり情報は、発電手段における実際の発電量や発電効率等であってもよい。
一方、本発明に係る太陽光情報利用装置によれば、その動作時には、条件情報取得手段により、取得された日当たり情報に対応する、日当たり情報の取得条件に関する条件情報が取得される。ここで、「取得条件」とは、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて日当たりとの相関が認められた日当たり情報取得時の各種条件を包括する概念である。
例えば、取得条件とは、日当たり情報の取得時点、取得期間又は取得される日当たり情報が対象とする期間等における、移動体の位置に関する情報であってもよい。この場合、例えば、GPS(Global Positioning System)等の各種測位システムを介して得られる緯度及び経度からなる二次元平面上の位置、緯度、経度及び高度からなる三次元空間上の位置、予め用意された地図データ上で規定される座標位置又は住所等により規定される位置等の情報であってもよい。また、二次元又は三次元空間上でこの種の移動体の位置を含んで規定される、移動体の存在領域又は存在空間に関する情報であってもよい。
或いは、移動体の位置に関する情報とは、一般的に「駐車場」或いは「駐車スペース」等と称される駐車専用の比較的広大な空間を規定する情報(例えば、駐車場や駐車スペースの住所や名称)、そのような駐車場や駐車スペースにおける車両一台分の区画等といった比較的限定された空間を規定する情報(例えば、「○○駐車場の入り口に向かって左側且つ手前から△番目の区画」等)、更には、このような比較的限定された空間における厳密な位置に関する情報(例えば、ある一台分の駐車区画内での厳密な位置取りや駐車の向き等)であってもよい。或いは、この種の駐車専用に用意された位置、領域又は空間に限定されず、例えば、法規上駐車することが許可された一般道路、規約上駐車することが許可された公共施設又は民間施設内の位置、領域又は空間(例えば、「△△区役所エントランス前」等)等であってもよい。
尚、太陽光情報の有効利用の観点から言えば、本発明に係る「取得条件」とは、少なくともこの種の移動体の位置に関する情報を含む情報であるのが望ましい。
また、取得条件とは、日当たり情報の取得時点、取得期間又は取得される日当たり情報が対象とする期間等に対応する時候気象条件であってもよい。ここで、「時候気象条件」とは、先述した太陽光の照射状態(即ち、日当たり)に実践上無視し得ない程度に影響を与え得る、時間由来或いは気象由来の各種条件を意味する。
例えば、時候気象条件とは、移動体の駐車期間(移動体が一の駐車位置に駐車していた時間範囲)の長さ等の時間条件、一の日当たり情報に対応する駐車期間を規定する駐車開始時刻及び駐車終了時刻(尚、実際に移動体が駐車位置において停止した時刻及び実際に駐車位置から発進した時刻に限定されない。即ち、予め定められた基準に基づいて規定される制御上の開始及び終了時刻であってもよい)等の時刻条件であってもよい。また、当該駐車期間が如何なる時間帯(例えば、朝、午前中、昼、午後、夕方、夜間又は深夜等のカテゴリ、或いは、基準時刻により規定される制御上の時間帯)に該当するのかといった時間帯条件であってもよい。更には、年月日、季節又は節気等の暦条件、及び天気又は天候等の気象条件であってもよい。
本発明に係る太陽光情報利用装置によれば、これら日当たり情報と条件情報とが相互に関連付けられてなる太陽光情報が、送信手段によって上述したデータベースに対し送信される。また、太陽光情報利用装置が、このデータベースから過去に自他の太陽光情報利用装置から送信された太陽光情報を取得するための手段を必ずしも備える必要はないが、好適には、太陽光情報利用装置は、このデータベースと双方向のデータ通信が可能である。
本発明に係る「太陽光情報」とは、上述した概念としての日当たり情報と条件情報とが相互に関連付けられた情報である。例えば、太陽光情報は、「晴天の8月の日中にA海水浴場の駐車場に1時間駐車した場合の太陽電池の発電量」、「曇天の1月の午後4時から午後6時までB県C市のD会館に駐車した場合における太陽電池の発電量と放電量との収支」或いは「晴天時の夏季日中にF駅からG駅までの経路のうちH経路を徒歩で移動した場合の太陽光照射量」等、日当たり情報と条件情報とを適宜組み合わせて得られる、或いはこれらをベースとして適宜数値演算処理や論理演算処理等を経て得られる、各種の実践的態様を有し得る情報である。
従って、太陽光情報を利用する側にとって、例えば、「○○駐車場にxx時間駐車した場合に発電量はどの程度得られるのか?」、「▲▲駐車場と□□駐車場とでは、○×時から○▲時間滞在した場合にどの程度発電量が異なるのか?」、「■■駐車場に駐車したいが、駐車区画や駐車向きはどれが適当か?」或いは「自宅近傍で、これから先数時間にわたって最も太陽光の照射量の多い場所はどこか?」等といった、利用者の個人事情に応じて如何様にも変化し得る要求、要請又は要望に対し、妥当な、的確な或いは最適な解を与え得る情報となる。
ここで、この送信された太陽光情報は、データベースに蓄積されるから、太陽光情報利用装置の使用頻度に応じて、データベースに蓄積される太陽光情報の種類や数量は増加し、太陽光情報の信頼性は向上する。また、複数の太陽光情報利用装置とデータベースとによって、太陽光情報利用システムが構築される場合、太陽光情報利用装置の所有者毎の傾向や癖が相殺され、また太陽光情報のアップデート頻度が向上するため、太陽光情報の信頼性や有用性は飛躍的に向上し得る。
このように、本発明に係る太陽光情報利用装置によれば、データベースが一の太陽光情報利用装置との間でのみ太陽光情報の送受を行うにせよ、数多の太陽光情報利用装置との間で太陽光情報の送受を行うにせよ、実測を伴う情報としての日当たり情報とその取得条件に関する条件情報とに基づいた太陽光情報を蓄積しておくことが可能となる。従って、太陽光の有効利用の観点からみて最適な目的地の提案が実現可能となるのである。
補足すると、駐車位置に至る経路における太陽光の照射状態をどれだけ考慮したところで、駐車位置における、将来的な駐車期間にわたる太陽光の照射状態については不明である。従って、偶発的に太陽光を有効に利用し得る駐車位置に移動体を誘導することが出来るようにしたところで、移動体を、太陽光を真に有効に利用し得る駐車位置に誘導することは殆ど不可能に近い。また、駐車位置近傍の建造物及び建築物の状況をどれだけ考慮して太陽光の照射状態を推定したところで、実測データの裏付けを伴わない太陽光の照射状態は、その信憑性において明らかに劣るのである。
また、本発明に係る太陽光情報利用装置において、移動体は、例えば、発電手段が太陽光を利用して発電した電力としての発電電力を消費することによって駆動される、空調装置、冷却装置又は換気装置等の各種電気駆動型の被駆動装置を備える。
移動体の日当たりは、場合により、移動体内空間の快適性の低下を惹起し得る。例えば、日当たりが良好であっても、移動体内空間が、一般に不快と判断され得る程度に高温又は多湿となる場合がある。或いは、移動体内空間の空気が、一般に不快と判断され得る程度に澱む又は汚れる場合がある。移動体の実践的運用の見地から言えば、この種の不快現象の発生は避けるべきであるとの判断が成立することも少なくない。
一方で、この種の被駆動装置は、発電手段の発電電力を消費することによって動作し、
また移動体の駐車期間において、半ば自動的に(例えば、室温が一定に維持されるように)駆動され得る装置である。従って、被駆動装置の駆動に要した電力(即ち、消費電力)は、発電手段の発電量や発電効率等と同様に、移動体における日当たりと一義的な関係を有し得る。即ち、この種の被駆動装置の稼動状態によっては、発電電力そのものは、バッテリや各種蓄電手段に有効な電力として蓄積される電力と必ずしも一義的な関係を有しない。
ここで、本発明によれば、日当たり情報は、当該被駆動装置の駆動に要した電力を少
なくとも含む情報として取得される。従って、日当たり情報が、より実践的な意味合いを持って取得される。例えば、発電電力が1kwであり且つ被駆動装置の消費電力が0.8kwであれば、実質的に有効な日当たりの度合いとしては0.2kw相当である。これに対し、発電電力が0.6kwでも消費電力が0.2kwであれば、実質的に有効な日当たりの度合いとしては0,4kw相当であり、電力収支からみた実践的運用面においては、後者の方が好適な日当たりであると判断され得るのである。
尚、日当たり情報と条件情報とに基づいて太陽光情報を生成或いは構築する手段は、例えば、送信手段を始めとする他の手段が備えていてもよいし、これらと異なる他の手段として太陽光情報利用装置に備わっていてもよいし、太陽光情報利用装置とは異なる他の装置であってもよい。
本発明に係る太陽光情報利用装置の一の態様では、前記日当たり情報取得手段は、前記日当たり情報として、前記発電手段の発電量及び発電効率のうち少なくとも一方を取得する。
発電手段による発電量若しくは発電効率又はその両方は、日当たりの度合いと相関の高い値であるから、本発明に係る日当たり情報として適当である。
本発明に係る太陽光情報利用装置の他の態様では、条件情報取得手段は、前記条件情報として、少なくとも前記取得された日当たり情報に対応する前記移動体の位置情報を取得する。
上述したように、移動体の位置に関する情報は、日当たり情報によって示唆される日当たりの度合いが、如何なる場所の日当たりに対応するものであるかを規定する情報であるから、太陽光情報の有効性を大きく規定し得る情報である。従って、本発明に係る条件情報として適当である。尚、本態様に係る「位置情報」の実践的態様は、上述した移動体の位置に関する情報に係る各種実践的態様を有し得る。
本発明に係る太陽光情報利用装置の他の態様では、前記被駆動装置は、前記移動体の温度を調整する温度調整手段である。
被駆動装置として、この種の温度調整手段を有する場合、例えば、駐車期間において移動体内部の温度を所望の温度に、或いは予め設定される温度に好適に維持することが可能となるため、例えば、夏季或いは冬季等、移動体内外の温度が過度に高温又は低温となり易い特定の期間等においては顕著に有効である。
本発明に係る太陽光情報利用装置の他の態様では、前記移動体は情報を表示可能な表示装置を搭載可能であり、前記太陽光情報利用装置は、前記移動体の駐車位置の候補を決定する決定手段と、前記移動体の日当たりに関する日当たり情報と、前記日当たり情報の取得条件に関する条件情報とが相互に関連付けられた太陽光情報の中から、前記決定された候補に対応する太陽光情報を取得する太陽光情報取得手段と、前記情報として前記取得された太陽光情報に対応する表示情報が表示されるように前記表示装置を制御する制御手段とを具備する。
この態様によれば、移動体は、例えば、画像情報、音声情報又は映像情報等各種情報等の各種情報を表示(即ち、表示とは必ずしも視覚に訴える出力に限定されない)可能な、ディスプレイ装置やスピーカ装置等の各種表示装置を搭載可能である。
ここで、この態様によれば、決定手段により、移動体の駐車位置の候補が決定される。尚、「駐車位置の候補」とは、例えば、予め用意される選択肢の中から、自動的に或いは人為的に設定される各種の条件に基づいて選択される一又は複数の駐車位置等を意味する。尚、「駐車」なる文言は、移動体が「車両」であることを限定するものではない。
ここで、決定手段に係る「決定」とは、予め設定された或いはその都度用意される選択肢の中から主体的に駐車位置の候補を選択することや、外部において選択された駐車位置の候補を単にデータとして取得すること等を含む概念である。即ち、駐車位置の選択プロセス自体は、太陽光情報利用装置の内部でなされても外部でなされてもよい。
例えば、太陽光情報利用装置が、サーバ装置等(先述のデータベースであっても
よい)等と共にインターネット等の各種広域ネットワークやLANやWAN等の限定的ネットワーク等の各種ネットワークに収容される場合、駐車位置の候補をサーバ装置側で決定して、ネットワークを介して太陽光情報利用装置に提供する構成であってもよい。また、太陽光情報利用装置が、カーナビゲーション装置に類する装置形態を採る場合、或いはカーナビゲーション装置を利用可能な装置形態を採る場合、このような駐車位置の候補は、カーナビゲーション装置の一作用として決定されてもよい。
この態様によれば、太陽光情報取得手段により、上述した、日当たり情報と条件情報とが関連付けられた情報としての太陽光情報が取得される。この際、太陽光情報取得手段は、太陽光情報を、太陽光情報利用装置の内部から取得してもよいし、外部から取得してもよい。或いはその両方が可能であってもよい。
例えば、太陽光情報利用装置が、上述したデータベースと共に各種ネットワークに収容される場合、この種のデータベースに蓄積された太陽光情報を取得してもよい。また、このデータベースが、内蔵又は外付け等の各種形態を伴って太陽光情報利用装置に備わる構成であれば、それら内蔵又は外付けされるデータベースから太陽光情報が取得されてもよい。或いは、この太陽光情報は、日当たり情報取得手段により取得される日当たり情報と、条件情報取得手段等により取得される条件情報とに基づいて、太陽光情報利用装置において生成される情報であってもよい。
一方、太陽光情報が取得されると、制御手段により、この取得された太陽光情報に対応する表示情報が表示されるように表示装置が制御される。
ここで、「表示情報」における太陽光情報との対応関係は、特に限定されず、取得された太陽光情報そのものであってもよいし、取得された太陽光情報に対し、例えば視認性や訴求性を向上させるための装飾や補正が施された情報であってもよい。例えば、表示情報は、駐車位置の候補の各々を太陽光の照射量の多い順に並べ替えたリスト等の視覚情報であってもよいし、地図画像上で示される駐車位置の候補に付帯表示される、太陽光の照射量等を数値化或いはアイコン化した視覚情報であってもよい。また、「〜がお勧めです」、「〜の発電効率が最も良好です」等といった音声情報であってもよいし、「〜の向きに駐車して下さい」等といったより具体的な駐車位置の指示に関する音声情報であってもよい。
このように、この態様によれば、太陽光情報利用装置の利用者は、過去に自他の移動体において実測を伴って生成された太陽光情報の中から、その時点で自身が必要とする情報を適宜選択して参照することによって、移動体の駐車位置の候補の少なくとも一部(全候補について太陽光情報が存在するとは限らないため)を評価することができる。このため、最適な目的地の提案を実現し得る。
本発明に係る太陽光情報利用装置の他の態様では、前記太陽光情報利用装置は、前記太陽光情報取得手段は、前記ネットワークを介して前記データベースから前記太陽光情報を取得する。
この態様によれば、太陽光情報利用装置がデータベースと共にネットワークに収容され、太陽光情報が、ネットワークを介してこのデータベースから取得される。データベースがネットワーク上に構築される場合、データベースに係るデータ記憶容量の制約は比較的緩和されるため、比較的大量の太陽光情報を記憶することが可能となり、実践上有益である。
また、このようにネットワーク上に構築されるデータベースは、当該ネットワークに収容される他の太陽光情報利用装置に対しても太陽光情報の送受信が可能であり、太陽光情報利用装置を介してネットワークに収容される全ての移動体で共通の利益を享受し得る点において顕著に有益である。
尚、本発明に係る太陽光情報利用装置は、この種のデータベースを具備していてもよい。その場合、前記太陽光情報取得手段は、ネットワークの通信状態(通信速度や通信の安定性等)に影響を受けることなく、太陽光情報を安定的に取得することが可能となる。
本発明に係る太陽光情報利用装置の他の態様では、前記日当たり情報は、過去に実測された太陽光の照射状態に基づいて生成された情報である。
この態様によれば、太陽光情報が過去に実測された太陽光の照射状態に基づいて生成されるため、太陽光情報の信頼性が向上し、その利用価値もまた向上する。特に、太陽光の照射状態として、各種発電手段の発電状態(発電量や発電効率等)が含まれる場合には信頼性及び利用価値が向上する。実測を伴わない場合と比較して信頼性及び利用価値が向上する。
本発明に係る太陽光情報利用装置の他の態様では、前記取得された太陽光情報と所定の評価基準とに基づいて前記決定された候補を評価する評価手段を更に具備し、前記制御手段は、前記表示情報の少なくとも一部として、前記評価手段による評価結果を表示させる。
この態様によれば、評価手段により、取得された太陽光情報と所定の評価基準(例えば、評価を行うにあたっての優先事項、必須事項、或いはそれらの優先順位や重み付け等を意味する)とに基づいて、決定された候補に一定の評価を与えることができるため、利用者側の負担が軽減され、太陽光の有効利用が一層簡便に実現可能となる。
本発明に係る太陽光情報利用装置の他の態様では、前記移動体は、太陽光を利用した発電が可能な発電手段を備える。
この態様によれば、移動体は、例えば、太陽電池セル、当該太陽電池セルが複数連結された太陽電池パネル、或いはこれらに各種電気回路等が付設された太陽電池モジュール等を備えた太陽光発電装置等の形態を採り得る発電手段を備えるため、太陽光情報を有効に利用することが可能となる。
本発明に係る太陽光情報利用装置の他の態様では、前記移動体の所有者が前記移動体の駐車意思を有するか否かを判別する判別手段を更に具備し、前記制御手段は、前記所有者が前記駐車意思を有すると判別された場合に前記表示情報を表示させる。
この態様によれば、移動体の所有者が移動体の駐車意思を有する場合に表示情報を表示することができるため、所有者(即ち、太陽光情報利用装置の利用者と実質的に等価である)に対する利便性を一層向上させることが可能となる。
尚、判別手段が駐車意思の有無を判別するにあたっての実践的態様は、実践上問題が生じない精度で利用者の意思を推定し得る限りにおいて如何様にも限定されない。例えば、判別手段は、(1)利用者がカーナビゲーション装置を介して駐車場検索を実行しようとした場合に、(2)カーナビゲーション装置による経路案内中に目的地に接近した場合に、或いは(3)自宅に接近した場合に、夫々所有者が自宅に移動体の駐車位置を有している旨の判別を行ってもよい。
本発明に係る太陽光情報利用装置の他の態様では、前記表示装置は、前記表示情報を画像情報として表示可能であり、前記制御手段は、前記取得された太陽光情報に応じて、前記画像情報における前記決定された候補の表示態様を変更する。
この態様によれば、表示情報が画像情報として表示され、太陽光情報に応じてその画像情報が適宜変更される。例えば、この変更の態様は、複数の駐車位置の候補が存在する場合に、太陽光の照射量(発電手段の発電量や発電効率であってもよいし、車内温度等であってもよい)を定量的に区分して、各候補に対応する画像情報を当該区分に応じて変化させるものであってもよい。このようにフレキシブルに画像情報の変更がなされることにより、利用者に対する訴求性を一層向上させ、太陽光の有効利用を促進することが可能となる。
<発明の実施形態>
以下、適宜図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照し、本発明の第1実施形態に係る太陽光情報利用システムの構成について説明する。ここに、図1は、太陽光情報利用システム1の概念図である。
図1において、太陽光情報利用システム1は、本発明に係る「ネットワーク」の一例たる広域無線ネットワーク2に収容された、複数の車両10A,10B,・・・,10E及びサーバ装置20を含んで構成される、本発明に係る「太陽光情報利用システム」の一例である。
車両10A,10B,・・・,10Eは、夫々、太陽光情報利用システム1を利用すべく、例えば事前に処理を経てユーザIDの付与した、本発明に係る「移動体」の一例として機能する車両である。尚、本実施形態において、各車両の構成は相互に等しいため、これ以降の説明においては、特に何の断りもない限り、各車両を代表して車両10Aについて説明することとする。
ここで、図2を参照し、車両10Aの構成について説明する。ここに、図2は、車両10Aの図である。
図2において、車両10Aは、ECU100、太陽電池パネル200、コンバータ210、バッテリ300、SOCセンサ310、PCU400、ベンチレーション装置500、車内温度センサ600、音声出力装置700、カーナビ装置800及びアンテナ900を備える。
ECU100は、CPU、ROM及びRAM等を備え、車両10Aの動作を制御可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「太陽光情報利用装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納される制御プログラムに従って、後述する太陽光情報蓄積処理を実行可能に構成されている。
太陽電池パネル200は、複数の太陽電池セルが電気的に直列に接続された、本発明に係る「発電手段」の一例たる太陽光発電装置である。
太陽電池パネル200を構成する個々の太陽電池セルは、太陽光が照射された際に光起電効果により起電力を生じることにより発電可能に構成される。但し、太陽電池パネル200及びそれを構成する各太陽電池セルの構成は、公知の太陽電池の構成を採り得るため、ここでは、その詳細な説明を省略することとする。
太陽電池パネル200は、個々の太陽電池セルにおいて発電された電力を、コンバータ210を介してバッテリ300又はベンチレーション装置500に供給可能に構成されている。尚、コンバータ210は、太陽電池パネル200の出力電圧を昇圧してバッテリ300或いはPCU400に供給する所謂昇圧コンバータである。
バッテリ300は、充電可能な蓄電池であり、車両10Aに備わる各種の電気駆動装置(電装補機類を含む)の電源として機能するように構成されている。このバッテリ300には、ECU100と電気的に接続されたSOCセンサ310が付設されており、バッテリ300のSOC(State Of Charge:充電状態)は、定量化され、常時ECU100に把握される構成となっている。
PCU400は、バッテリ300から供給される電力或いはコンバータ210から供給される電力のデューティ比を制御するインバータ装置等を含む出力制御装置である。PCU400は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によりその駆動状態が制御される構成となっている。
ベンチレーション装置500は、PCU400から供給される駆動電力により駆動される、本発明に係る「被駆動装置」の一例たる空調装置である。
ベンチレーション装置500は、車両10Aの車内温度Tmpが所定値以上に上昇すると作動し、車内温度Tmpを常時一定範囲に維持するようにその作動状態が制御される装置である。ベンチレーション装置500は、車両10Aが駐車場等に駐車中であっても、ECU100により、常にその駆動状態が制御される構成となっている。
車内温度センサ600は、車両10Aの車内温度Tmpを検出可能に構成されたセンサである。車内温度センサ600は、ECU100と電気的に接続されており、検出された車内温度Tmpは、一定又は不定の周期でECU100に把握される構成となっている。
音声出力装置700は、車両10の車室内部に設置された、音声信号生成部、増幅装置及びスピーカ等を含む装置である。音声出力装置700は、ECU100の制御により各種音声情報を出力可能に構成されている。
カーナビ装置800は、車載型ナビゲーション装置である。カーナビ装置800の構成については後述することとする。
アンテナ900は、GPSアンテナ、VICSアンテナ及びネットワーク2に接続するための無線アンテナ等を含む複合型アンテナ装置である。アンテナ900は、測位用のGPS信号の受信、道路情報や交通情報に関するVICS信号の受信、及びネットワーク2との間のデータ通信用に関する信号の送受信が可能である。
ここで、図3を参照し、カーナビ装置800の詳細な構成について説明する。ここに、図3は、カーナビ装置800のブロック図である。
カーナビ装置800は、カーナビECU810、通信部820、記憶装置830、表示制御部840、ディスプレイ850及びタッチパネル装置860を備える。
カーナビECU810は、ECU100により制御される、カーナビ装置800の制御に特化された制御装置であり、ECU100と共に、本発明に係る「太陽光情報利用装置」の一例を構成する。
通信部820は、アンテナ900を介したデータの送受信を制御する送受信回路である。記憶装置830は、大容量のHDDであり、本発明に係る「データベース」の一例である。記憶装置830は、内部に地図情報DB831と太陽光情報DB832とを備える。
地図情報DB831は、車両10Aの目的地検索及び目的地への経路案内等に利用される地図データを系統的に格納するデータベースである。太陽光情報DB832は、太陽電池パネル200の発電量、車両10Aの駐車位置及び時候気象条件等を相互に対応付けた後述する太陽光情報を格納するデータベースである。太陽光情報DB832に格納される太陽光情報は、本発明に係る「太陽光情報」の一例である。
表示制御部840は、ディスプレイ850の表示画面上の表示内容を制御する映像制御回路である。
カーナビECU100は、表示制御部840を介してディスプレイ850上に表示させた各種の選択肢(一種のソフトウェアスイッチである)のうちいずれが選択されたかをタッチパネル装置860の状態から解析して、選択された選択肢に対応する各種の機能を実行するように構成されている。
図1に戻り、サーバ装置20は、ネットワーク2に収容され、太陽光情報利用システム1を運用する事業者に所有されるワークステーション型のコンピュータ装置である。
ここで、図4を参照し、サーバ装置20の構成について説明する。ここに、図4は、サーバ装置20のブロック図である。図4において、サーバ装置20は、制御装置21、記憶装置22及び通信部23を備える。
制御装置21は、CPU、ROM及びRAM等を備え、サーバ装置20の動作を包括的に制御可能に構成された電子制御ユニットである。
記憶装置22は、太陽光情報DB22Aを格納する比較的大容量のHDDである。太陽光情報DB22Aは、上述した太陽光情報DB832と同様に、発電量、駐車位置及び時候気象条件等を相互に対応付けた、本発明に係る「太陽光情報」の一例たる太陽光情報を格納するデータベースであり、本発明に係る「データベース」の他の一例である。但し、太陽光情報DB22Aに格納される太陽光情報は、車両10Aに限らず、サーバ装置20を利用可能な全ての車両(例えば、車両10B、10C、10D或いは10E等)から送信される太陽光情報である。
通信部23は、ネットワーク2を介したサーバ装置20と各車両とのデータ通信を制御する装置である。
<実施形態の動作>
次に、図5を参照し、本実施形態の動作として、車両10AにおいてECU100により実行される、太陽光情報蓄積処理について説明する。ここに、図5は、太陽光情報蓄積処理のフローチャートである。
図5において、ECU100は、車両10Aの駐車が完了したか否かを判別する(ステップS101)。
ステップS101に係る判別処理は、IGオフ状態が所定時間(例えば、5分)以上経過したか否かに基づいて実行される。駐車が完了していない場合(ステップS101:NO)、ECU100は、ステップS101を繰り返し実行して、駐車が完了するまで処理を実質的に待機状態に制御する。
一方、駐車が完了した場合(ステップS101:YES)、ECU100は、発電状態のモニタを開始する(ステップS102)。
ここで、「発電状態のモニタ」とは、車両10Aにおける太陽電池パネル200の発電量の継続的な記録を意味する。ECU100は、周期的に計算される太陽電池パネル200の発電量を時間積分して、モニタ終了までの期間の総発電量を把握する。
また、この発電情報のモニタ開始と同時に、ECU100は、車内温度センサ600により検出される車内温度Tmpの継続的記録を開始する。更に、この発電情報のモニタ開始と同時に、ECU100は、ベンチレーション装置500の消費電力の積算を開始する。
これら三種類の指標値(発電量、温度及び消費電力)は、いずれも本発明に係る「日当たり情報」の一例であり、いずれも実現象として実測され得る信頼性の高い指標値である。
発電状態のモニタが開始されると、ECU100は、車両10が発進したか否かを判別する(ステップS103)。車両が発進せずに一の駐車位置に駐車している状態が継続している場合(ステップS103:NO)、発電情報のモニタは継続され、ステップS103が繰り返し実行される。
一方、車両10Aが駐車位置から発進した場合(ステップS103:YES)、ECU100は、発電状態のモニタを終了し(ステップS104)、太陽光情報を取得する(ステップS105)。
ここで、太陽光情報について改めて説明すると、太陽光情報は、一の駐車期間(ここでは、ステップS102からステップS104に至る時間経過)における、太陽光の照射状態たる日当たり(太陽電池パネル200の総発電量、平均温度及び温度変化量並びに総消費電力)と、車両10Aの駐車位置(ここでは、GPS信号を解析して得られる駐車位置に関する緯度及び経度の情報、地図情報DB831を参照して得られる駐車位置の名称並びに車両10Aの後述する駐車角度θvである)と、モニタ開始時刻(駐車開始時刻であってもよい)、モニタ終了時刻(駐車終了時刻であってもよい)、日付及び天候等の時候気象条件と、車種名称とによって規定される。尚、当該駐車位置、モニタ開始時刻、モニタ終了時刻、及び時候気象条件は、各々が本発明に係る「条件情報」の一例である。
太陽光情報を取得すると、ECU100は、取得した太陽光情報を、太陽光情報DB832及び太陽光情報DB22Aに送信して(ステップS106)、処理をステップS101に戻す。
尚、太陽光情報DB832への太陽光情報の送信とは、車両10A内部の電気的なデータ記録処理を意味し、太陽光情報DB22Aへの太陽光情報の送信とは、ネットワーク2を介したデータの送信を意味する。送信された太陽光情報は、いずれのデータベースにおいても好適に蓄積される。尚、ここでは、太陽光情報を構成する各種の情報が、相互の対応付けがなされた状態で送信され、太陽光情報の送信が遂行されるが、ECU100は、これらを予め一まとめのデータに変換して送信処理を行ってもよい。
ここで、図6を参照し、ステップS105において太陽光情報の一部をなす車両10Aの駐車角度θvについて説明する。ここに、図6は、駐車角度θvの概念図である。
図6において、駐車角度θvは、車両10Aの前後方向に延伸する仮想の線分(図示鎖線参照)と、南北に延伸する仮想の線分(図示SとNとを結ぶ破線)とのなす角度である。この駐車角度θvは、太陽電池パネル200の発電量に少なからず影響を与える。
次に、図7を参照し、太陽光情報DB832及び太陽光情報DB22A(ここでは、単に「太陽光情報DB」と略称する)の詳細について説明する。ここに、図7は、太陽光情報DBの構成を概念的に表した図である。
太陽光情報DBにおいては、日付、時間(モニタ開始時刻とモニタ終了時刻)、緯度(駐車位置の緯度)、経度(駐車位置の軽度)、駐車角度θv、場所(駐車位置の名称)、天候、温度(ここでは、平均温度)、温度変化量、発電量、消費量(上述した消費電力量)及び車種の各データ項目が横方向に順次配列しており、横方向に配列したこれらデータ項目群が、一個の太陽光情報をなす構成となっている。即ち、太陽光情報DBにおいては、太陽光情報が縦方向に配列した構成を採る。尚、縦方向への太陽光情報の配列態様は、例えば、タッチパネル装置860の操作等により自由に変更可能である。
太陽光情報DBにおいて、駐車位置の緯度及び経度は、例えば、一個の駐車スペースにおける駐車位置の変化も表し得る程度に精細に規定されている。ここで、図8を参照し、その理由について説明する。ここに、図8は、一駐車スペースにおける駐車位置の変化が太陽電池パネル200の発電量に与える影響を説明する図である。尚、同図において、既出の各図と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図8において、破線枠Pは、車両一台分の駐車スペースPを表しており、左側から順に、駐車スペースPの左手前側に前進駐車した場合(パターンAとする)、右奥側に前進駐車した場合(パターンBとする)、そして殆ど真ん中に後進駐車した場合(パターンCとする)が夫々図示されている。
一方、図8において、各駐車位置及び向きに対応する太陽電池パネル200の発電量の時間推移(図では6:00〜20:00迄の時間推移)が、各駐車位置概念図の下方に表される。図示する通り、発電量の観点からはパターンAが最も安定且つ発電量が多く、パターンBが最も不安定且つ発電量が少ない。同一の駐車スペースであっても、駐車位置に応じてこのように発電量が変化し得るため、太陽光情報を規定する緯度及び経度は、これら駐車スペース内の駐車位置をも区分し得るように、比較的精細に与えられている。
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係る太陽光情報利用システム1によれば、太陽光情報蓄積処理によって、各車両に備わる記憶装置やネットワーク2上に構築された記憶装置に対し、車両が駐車位置に一回駐車する毎に太陽光情報が送信される。
このため、特にネットワーク2上に構築された記憶装置には、比較的短時間で無数の太陽光情報が蓄積され得る。
この記憶装置は、各車両と常時、或いは認証やログイン等の処理を介して限定的に双方向通信可能であり、ネットワーク2に収容される車両は、ネットワーク2への接続が可能な状況であれば、いつでもこの太陽光情報を参照し、自車両の駐車位置を決定するにあたっての拠り所とすることができる。
従って、各車両において、将来的に車両を駐車させるにあたって、太陽光を最も有効に利用し得る駐車位置を的確に且つ簡便に決定することが可能となるのである。
尚、補足すると、本実施形態に係る太陽光情報は、車両の駐車位置の決定以外にも有意義な情報を与える。例えば、人間を移動体として扱えば、ECU100及び太陽光情報DB832に相当する構成要素を、例えば携帯型電話機等に搭載することによって、歩行中の人間も太陽光情報の有効利用が可能となる。この場合、例えば、日光浴をしたい、或いは陽当たりの良好な歩道を歩きたい、等といった些細な要求に対しても有効な解を与え得る。
また、本実施形態において、太陽光情報には、太陽電池パネル200の発電量の他、車両10Aの車内温度Tmp及びベンチレーション装置500の消費電力が含まれているため、太陽光の照射状態が、より多角的に検証され有意義である。特に、ベンチレーション装置500の消費電力は、太陽電池パネル200の発電電力を上限として、ベンチレーション装置500の駆動状態に応じて変化するものであり、その大小が、夫々バッテリ300の充電量の小大に対応する。即ち、ベンチレーション装置500の消費電力が太陽光情報の一部を構築することによって、太陽電池パネル200の発電量と、ベンチレーション装置500の電力消費量とのバランスを評価することが可能となり、より実践的に駐車位置の評価を行うことが可能となる。太陽電池パネル200の発電量が多くても、ベンチレーション装置500の消費電力もまた多いのでは、バッテリ300の充電の観点からは、必ずしも好ましくないのである。
尚、ネットワーク2及びサーバ装置20が無く、各車両が独自に記憶装置に太陽光情報を蓄積するだけの構成であっても、本実施形態により享受される本質的な利益には何らの影響もない。また、このように、自車両内に太陽光情報を蓄積可能である場合、ネットワーク2との間の通信状態が劣悪であっても、自車両内に蓄積された太陽光情報については、何ら問題なく利用し得るため、信頼性の面からも好適である。
<第2実施形態>
次に、図9を参照し、本発明の第2実施形態として、ECU100により実行される駐車場設定処理について説明する。ここに、図9は、駐車場設定処理のフローチャートである。尚、第2実施形態に係るシステム構成は、第1実施形態に係る太陽光情報利用システム1と同等であるとする。
図9において、ECU100は、駐車場の検索要求が有るか否かを判別する(ステップS201)。駐車場の検索要求がない場合(ステップS201:NO)、ECU100は、ステップS201を繰り返し実行し、処理を実質的に待機状態に制御する。尚、「駐車場の検索要求」とは、具体的には、車両10Aのドライバが、カーナビ装置800のタッチパネル装置860を介した人為操作により駐車場の検索を要求する旨の意思を示した場合にタッチパネル装置860から出力される電気信号、又は当該電気信号を解析したカーナビECU810からECU100に送信される電気信号を意味する。
駐車場の検索要求がある場合(ステップS201:YES)、ECU100は、カーナビECU810を介して表示制御部830を制御し、ディスプレイ850に条件設定画面を表示させる(ステップS202)。
ここで、図10を参照し、条件設定画面の詳細について説明する。ここに、図10は、条件設定画面の一例を表す模式図である。尚、同図において、既出の図と重複する箇所については同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図10において、ステップS202が実行されると、ディスプレイ850の表示画面上には、「検索条件を選択して下さい」といったインフォメーションと共に、「料金重視」、「距離重視」及び「充電重視」の3種類の検索条件に対応する検索条件アイコンが表示される。
料金重視アイコンは、時間当たりの駐車料金が安価であることを検索条件として重視する旨のアイコンである。距離重視アイコンは、現時点の車両10Aの位置からの距離が短いことを検索条件として重視する旨のアイコンである。充電重視アイコンは、駐車期間におけるバッテリ300の充電量が多いことを検索条件として重視する旨のアイコンである。バッテリ300の充電量が多い、とは、即ち、定性的には、太陽電池パネル200の発電量が多く、一方でベンチレーション装置500の電力消費量が少ないことを意味する。
これら検索条件アイコンの下部には、ドライバがタッチパネル装置860を介して選択操作可能なチェックボックスが設けられており、ドライバが選択したチェックボックスには、選択された旨を表すチェックマークが表示される。図10では、料金重視及び充電重視の2種類の検索条件アイコンが選択された様子が示されている。
一方、ディスプレイ850の表示画面右下方には、決定アイコン(矢線型のアイコン)が表示されている。決定アイコンは、ドライバの選択を確定するアイコンであり、決定アイコンが選択されると、条件設定画面の表示は終了する構成となっている。尚、図10では、このように検索条件アイコンが選択されているが、検索条件アイコンを何ら選択せぬまま、決定アイコンを操作することも可能である。この場合、駐車場の検索条件として、デフォルトの検索条件が無条件に選択される。尚、デフォルトの検索条件は、任意に設定可能であってもよい。
図9に戻り、条件設定画面の表示を終了させると、ECU100は、ドライバによる条件設定がなされたか否かを判別する(ステップS203)。何らかの検索条件アイコンが選択され、条件設定がなされた場合(ステップS203:YES)、ECU100は、設定された検索条件に基づいて駐車場を検索する(ステップS204)。一方、検索条件アイコンが選択されなかった場合(ステップS203:NO)、ECU100は、デフォルトの検索条件に基づいて駐車場を検索する(ステップS209)。尚、検索条件に基づいた駐車場の検索プロセス自体は、公知の各種アルゴリズムを適用可能であり、また本願との関連性が薄いため、ここではその詳細な説明を省略することとする。
尚、ECU100は、検索条件として「充電重視」に相当する検索条件アイコンが選択された場合には、地図情報DB831を参照して決定される駐車場の候補に対応する太陽光情報を、太陽光情報DB832又は太陽光情報DB22Aから取得する。各太陽光情報DBに蓄積された太陽光情報には、先述したように、太陽電池パネル200の発電量及びベンチレーション装置500の電力消費量が含まれている。従って、例えば、車両10Aから所定距離内に存在する駐車場の候補に対し、バッテリ300の充電に比較的適した候補を、ドライバによる選択以前に選択することも可能である。即ち、このようなECU100の処理は、本発明に係る「評価手段」の作用の一例である。
ECU100は、設定された条件に基づいた駐車場の検索処理が終了すると、カーナビECU810を介して表示制御部830を制御し、ディスプレイ850に検索結果表示画面を表示させる(ステップS205)。
ここで、図11を参照し、検索結果表示画面の詳細について説明する。ここに、図11は、検索結果表示画面の一例を表す模式図である。尚、同図において、既出の図と重複する箇所については同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図11において、ステップS202が実行されると、ディスプレイ850の表示画面上には、駐車場の検索結果がリストとして表示される。このリストは、画面右下の「次候補」アイコンを選択すると、次順のリストに切り替わる構成となっている。図11には、「第2○○駐車場」が、ドライバの要求を最も満たす駐車場として提案された旨が表されている。尚、リストに含まれる駐車場の候補は、タッチパネル装置860を介して選択することができる。
図9に戻り、検索結果表示画面を表示させると、ECU100は、リストに表示される駐車場の候補の一つが選択されたか否かを判別する(ステップS206)。駐車場の候補が選択されていない場合(ステップS206:NO)、ECU100は、ステップS205に係る検索結果表示画面の表示を継続する。
また、駐車場の候補が選択された場合(ステップS206:YES)、ECU100は、選択された候補を目的地として設定してよいか否かを判別する(ステップS207)。この際、ECU100は、検索結果表示画面上で駐車場の候補を選択した際に現れる「この駐車場を目的地に設定しますか?」等といった、インフォメーションにリンクして表示される、「OK」及び「キャンセル」のソフトウェアボタンのうちいずれが選択されたかを判別する。
即ち、ECU100は、「OK」が選択された場合には、選択された候補を目的地として設定する旨が許可されたものと判断し、「キャンセル」が選択された場合には、選択された候補を目的地として設定する旨が許可されないものと判断する。
選択された候補を目的地として設定することが許可されない場合(ステップS207:NO)、ECU100は、処理をステップS205に戻し、再度検索結果表示画面を表示させる。一方、選択された候補を目的地として設定することが許可された場合(ステップS207:YES)、ECU100は、選択された駐車場の候補を、目的地として設定する(ステップS208)。ステップS208が実行されると、処理はステップS201に戻される。
このように、本実施形態に係る駐車場設定処理によれば、ドライバが車両10Aを駐車するための駐車場の検索を所望した場合に、本発明に係る「表示情報」の一例として、検索結果表示画面が表示される。この検索結果表示画面は、ドライバがバッテリ300の充電を重視する旨を検索条件設定画面で指示している場合には、太陽電池パネル200の発電量及びベンチレーション装置500の電力消費量等に基づいて駐車場の候補を評価した、本発明に係る「評価結果」の一例となる。
ここで、太陽光情報DB832及び太陽光情報DB22Aに蓄積される太陽光情報が多い程、車両10Aの駐車場を決定するにあたって、どの駐車場が将来的に最もバッテリ300の充電に適しているかを的確に判断することが可能となる。
また、本実施形態において、太陽光情報には、太陽光の照射状態、車両の位置及び時候気象条件が相互に関連付けられて規定されている。更に、太陽光の照射状態(太陽電池パネル200の発電量、ベンチレーション装置500の電力消費量及び車室内温度Tmp等)は、実現象を伴うものとして実測される。駐車場の候補に完全に適合した太陽光情報が存在しなくても、類似する位置、類似する時間帯又は類似する天候に対応する太陽光情報を参照することによって、ドライバの意思に適した駐車場を的確に選択することが可能となるのである。
<第3実施形態>
次に、図12を参照し、本発明の第3実施形態として、ECU100により実行される駐車位置案内処理について説明する。ここに、図12は、駐車位置案内処理のフローチャートである。尚、第3実施形態に係るシステム構成は、第1及び第2実施形態に係る太陽光情報利用システム1と同等であるとする。
図12において、ECU100は、カーナビ装置800による経路案内中であるか否かを判別する(ステップS301)。尚、このような経路案内には、第2実施形態に係る、目的地に設定された駐車場への案内も含まれる。経路案内中でない場合(ステップS301:NO)、ECU100は、ステップS301を繰り返し実行し、処理を実質的に待機状態に制御する。
一方、経路案内中である場合(ステップS301:YES)、ECU100は、経路案内の目的地が接近したか否かを判別する(ステップS302)。尚、目的地に接近したか否かの判別は、例えば、目的地への残距離が所定値以内まで減少したか否か等に基づいて行うことができる。目的地が接近していない場合(ステップS302:NO)、ECU100は、処理をステップS301に戻す。
目的地が接近している場合(ステップS302:YES)、ECU100は、目的地に駐車場があるか否かを判別する(ステップS303)。尚、目的地に駐車場があるか否かは、地図情報DB831を参照することにより判断することが可能である。また、第2実施形態で示したように、駐車場自体が目的地である場合、ステップS303に係る判断分岐は無条件に「YES」側に分岐する。
駐車場が存在しない場合(ステップS303:NO)、ECU100は、目的地付近の駐車場を検索し(ステップS306)、ディスプレイ850への表示制御を介してドライバに提案する(ステップS307)。この際、ステップS306に係る最適な駐車場の検索には、第2実施形態に例示したような、太陽光情報に基づいた駐車場検索(例えば、予想される駐車時間帯や駐車時間において最も太陽光の恩恵を享受し得る駐車場の検索等)を適用することができる。
最適な駐車場を提案すると、ECU100は、ドライバが、係る提案した駐車場を受け入れたか否かを判別する(ステップS308)。提案した駐車場が受け入れられなかった場合(ステップS308:NO)、ECU100は、処理をステップS301に戻し一連の処理を繰り返す。一方、提案した駐車場が受け入れられた場合(ステップS308:YES)、ECU100は、提案した駐車場への経路案内を開始すると同時に、提案した駐車場に接近したか否かを判別する(ステップS309)。尚、この場合の「接近」とは、ステップS302に係る目的地への接近よりも短い距離によって規定される。提案した駐車場に未だ接近していない場合(ステップS309:NO)、ECU100は、ステップS309を繰り返し実行し、提案した駐車場への経路案内を継続する。
一方、提案した駐車場へ接近した場合(ステップS309:YES)、或いは、ステップS303において、目的地に駐車場がある(駐車場が目的地である場合も含む)場合(ステップS303:YES)、ECU100は、最適駐車位置を取得する(ステップS304)と共に、ディスプレイ850に最適駐車位置教示画面を表示させることによって、この取得した最適駐車位置をドライバに提案する(ステップS305)。最適駐車位置の提案は、車両10Aの駐車が完了するまで継続し、駐車が完了した場合には、処理はステップS301に戻される。
ここで、図13を参照し、最適駐車位置教示画面の詳細について説明する。ここに、図13は、最適駐車位置教示画面の一例を表す模式図である。尚、同図において、既出の図と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図13において、最適駐車位置教示画面には、提案され受け入れられた駐車場或いは目的地の駐車場の上面視図が表される。
この駐車場に駐車スペースが複数台分存在する場合(図では8箇所存在する)、ECU100は、複数の駐車スペースのうち、取得された最適な駐車スペースを選択し、この選択された最適な駐車スペースに相当する部分に、車両10Aを表す自車アイコン(図示黒塗五角形アイコン参照)を表示させることによって、最適駐車位置を教示する。
また、自車アイコンは、尖端部が前方を意味しており、車両10Aを駐車する際の車両の向きをも表し得るアイコンである。従って、自車アイコンによれば、最適駐車位置を、車両の向きまで含めて教示することができる。ECU100は、最適駐車位置としての駐車スペース及び駐車の向きを自車アイコンによって表すと、「図の位置・向きがオススメです」なるインフォメーション(即ち、本発明に係る「表示情報」の他の一例である)を表示させる。
尚、ステップS304において最適駐車位置を取得するにあたり、ECU100は、太陽光情報DB832又は太陽光情報DB22Aに蓄積された太陽光情報を利用する。即ち、太陽光情報は、緯度及び経度の情報を含んでおり、駐車スペース毎の太陽光の照射状態を特定することができる。また、駐車の向きに関しては、駐車角度θvを参照することができる。これらに基づいて、目的地としての駐車場における最適な駐車位置を取得することができるのである。尚、このような最適駐車位置の決定に際し、比較的複雑な演算処理が伴う場合には、ECU100は、サーバ装置20に対し、最適駐車位置の決定を依頼してもよい。この場合、決定された最適駐車位置をネットワーク2を介してデータとして取得するだけで済むため、ECU100の処理負担は軽くなる。また、このようなECU100の依頼の有無に関係なく、予め最適駐車位置の決定に関する処理はサーバ20によって行われるように、太陽光情報利用システム1が構築されていてもよい。これは、第2実施形態に係る駐車場の評価プロセスについても同様である。
ここで、図14を参照し、最適駐車位置教示画面の他の例について説明する。ここに、図14は、最適駐車位置教示画面の他の例を表す模式図である。尚、同図において、図13と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図14において、最適駐車位置教示画面には、最適な駐車スペースが拡大表示されている。この拡大された最適な駐車スペースにおいて、最適駐車位置は、図13と較べて更に精細に定義される。図14には、このような精細な最適駐車位置として、最適な駐車スペースの右奥(図中左手前)に前方入庫した位置が教示されている。
<第4実施形態>
次に、図15を参照し、本発明の第4実施形態に係る地図情報表示画面について説明する。尚、同図において、既出の図面と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図15において、ディスプレイ850の表示画面には、通常の経路案内時等に表示される地図情報表示画面が表示されている。ここで、分かり易いように、一の地図情報表示画面上で駐車場の位置を駐車場アイコンP0として表すとした場合、ECU100は、太陽光情報を参照し、それら駐車場を、太陽電池パネル200の発電量或いはバッテリ300の充電量の点から評価して複数レベルに区分する。
区分が終了すると、ECU100は、最も当該発電量又は充電量の多い区分に該当する駐車場については、駐車場アイコンを駐車場アイコンP0から駐車場アイコンP2へと変更する。また、当該発電量又は充電量が次に多い区分に該当する駐車場については、駐車場アイコンを駐車場アイコンP0から駐車場アイコンP1へと変更する。
このように、本実施形態によれば、ドライバが特段に駐車への関心がないと考えられる通常の経路案内時であっても、地図情報表示画面上に、太陽光の有効利用が可能な駐車場が、極めて視覚効果が高いアイコンとして表示される。
このため、通常の地図表示の効果を損なわない範囲で、常時、ドライバに対し太陽光の有効利用を促すことが可能となる。また、このように表示態様が変更された駐車場アイコンは、一種の意識下の映像情報となり得るため、ドライバは、無意識に太陽光の有効利用が可能な駐車場の存在を認識することができる。また、場合によっては、駐車場の検索をなすにあたって、カーナビ装置800に頼らずとも、太陽光の有効利用を図り得る駐車場を自力で決定することも可能となる。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う太陽光情報利用装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。