以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1には第1実施形態に係る画像形成装置10が示されている。画像形成装置10はマイクロコンピュータ等から成りCPU12A、メモリ12B、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等から成る不揮発性の記憶部12Cを内蔵したコントローラ12を備えている。記憶部12Cには、装置構成情報及び処理登録テーブル(何れも後述)が記憶されており、節電制御プログラムが予めインストールされている。節電制御プログラムには、後述する実行順序並べ替え処理を含む節電解除時処理を実行するためのプログラムが含まれており、本発明に係る画像形成装置の制御プログラムの一例である。CPU12Aが上記の節電制御プログラムを実行することで、コントローラ12は本発明に係る並べ替え手段の一例及び制御手段の一例として各々機能し、本第1実施形態に係る画像形成装置10は本発明に係る画像形成装置の一例として機能する。
コントローラ12は第1電力供給部22に接続されており、第1電力供給部22は利用者の操作によってオンオフされる電源スイッチ30を介して商用電源に接続されている。第1電力供給部22は電源スイッチ30がオンされている間、コントローラ12へ電力を供給し、コントローラ12は第1電力供給部22から供給された電力により、電源スイッチ30がオンされている間、作動が継続される。
画像形成装置10には、少なくとも、セットされた読取対象の文書(紙原稿)を光学的に読み取って読取画像データを出力する画像読取部14と、入力された画像データが表す画像を記録用紙上に形成する画像形成部16と、LCD等から成る表示部18A及びテンキーやタッチパネル等から成り利用者による操作を受付ける操作受付部18Bが設けられた操作パネル18と、の各ユニットが設けられている。また画像形成装置10には、1台以上の前処理ユニット32及び1台以上の後処理ユニット34を実装(連結)可能とされている。例として図1には、1台の前処理ユニット32及び3台の後処理ユニット34A〜34Cが画像形成装置10に実装(連結)された構成が示されている。本実施形態において、画像形成装置10に実装(連結)された前処理ユニット32及び後処理ユニット34は本発明における処理ユニットの一例である。
前処理ユニット32は、用紙を大量にセット可能で画像形成装置10へ高速に用紙を供給する機能を備えた給紙装置から成り、複数台の前処理ユニット32を画像形成装置10に実装(連結)する場合、個々の前処理ユニット32には互いにサイズの異なる用紙がセットされる。また、後処理ユニット34としては、実行する後処理が互いに異なる複数種の後処理ユニット34が用意されており、画像が印刷された用紙に対して1種類以上の後処理を行うことがある場合、画像形成装置10には所望の後処理を実行する1台以上の後処理ユニット34が実装(連結)される。
なお、複数種の後処理ユニット34の何れかで実行可能な後処理としては、例えば用紙の反り(カール)を矯正するデカラー処理、用紙上の予め設定された位置で用紙を折る折り処理、用紙上の予め設定された位置に孔を開けるパンチ処理、複数枚の用紙の端部を揃えステープルにより単一の用紙束として綴じるステープル処理、用紙(束)を同一の排出部上の異なる位置へ排出させるオフセット処理、排出された用紙(束)を積み重ねるスタック処理、複数枚の用紙の端部を揃えて製本するブックレット処理等が挙げられる。
操作パネル18の操作受付部18Bには、節電状態の画像形成装置10に対して節電状態の解除を指示するための節電復帰スイッチ(図示省略)が設けられているが、この節電復帰スイッチはコントローラ12に直接接続されており、利用者によって節電復帰スイッチが操作されると、コントローラ12に電力が供給されていれば前記操作がコントローラ12によって検知される。また、コントローラ12の記憶部12Cに記憶されている装置構成情報は、画像形成装置10の現在の装置構成(前処理ユニット32や後処理ユニット34の実装/非実装、実装されている各ユニットの消費電力等)を表す情報であり、例えば前処理ユニット32や後処理ユニット34の追加実装、或いは実装されていた前処理ユニット32又は後処理ユニット34の除去等のように、画像形成装置10の装置構成が変化する毎に、変化した後の装置構成を表す情報へ更新される。
画像形成装置10に設けられた画像読取部14、画像形成部16、操作パネル18と、画像形成装置10に実装(連結)された前処理ユニット32や後処理ユニット34は、給電スイッチ26を介して第2電力供給部24に各々接続され、給電スイッチ26を介して第2電力供給部24から供給される電力によって各々作動する。給電スイッチ26は、例えばリレーや半導体素子から成り外部から供給されるオンオフ信号によってオンオフの状態を切替え可能な構成であり、コントローラ12と各々接続され、コントローラ12から供給されるオンオフ信号によってオンオフの状態が切替えされる。第2電力供給部24は、給電スイッチ26と同じくコントローラ12から供給されるオンオフ信号によってオンオフの状態が切替えされる給電スイッチ28を介して電源スイッチ30に接続されており、電源スイッチ30及び給電スイッチ28が各々オンされている間、各ユニットのうち対応する給電スイッチ26がオンされているユニットに電力を供給する。
次に本第1実施形態の作用を説明する。本実施形態に係る画像形成装置10は、電源スイッチ30がオンされ、第1電力供給部24からコントローラ12に電力が供給されると、コントローラ12が給電スイッチ30をオンさせると共に、全ての給電スイッチ28をオンさせることで、第2電力供給部24から画像読取部14、画像形成部16、操作パネル18、前処理ユニット32及び後処理ユニット34のうち実装されているユニットに電力を各々供給させる。各ユニットにおけるウォームアップ等が終了すると、画像形成装置10が稼働状態となり、コントローラ12は、画像形成装置10で実行可能な複数種類の処理の名称(「コピー」「プリント」「スキャン」等)が選択肢として表示されたメニュー画面(図示省略)を操作パネル18の表示部18Aに表示させる。
また、表示部18Aに上記のメニュー画面が表示されている状態で、利用者によって操作パネル18の操作受付部18Bが操作され、メニュー画面内の何れかの選択肢が選択されると、コントローラ12は、選択された処理の処理内容を指定するための操作画面(図示省略)を表示部18Aに表示させ、利用者によって操作受付部18Bが再度操作され、実行すべき処理の処理内容が指定されて処理の実行が指示されると、実行が指示された処理で使用するユニットにより、実行が指示された処理を行わせる。
例えばメニュー画面内の「コピー」が利用者によって選択された場合、コントローラ12は、複写処理の処理内容を指定するためのコピー操作画面を表示部18Aに表示させ、利用者によって操作受付部18Bが再度操作され、実行すべき複写処理の処理内容が指定されて複写処理の実行が指示されると、実行が指示された複写処理を画像読取部14及び画像形成部16によって行わせる(なお、複写処理の処理内容によっては前処理ユニット32及び後処理ユニット34の少なくとも1つも使用される)。また、コントローラ12は、メニュー画面内の選択肢「スキャン」が選択され、スキャン処理の処理内容が指定されてスキャン処理の実行が指示された場合は、実行が指示されたスキャン処理を画像読取部14によって行わせ、メニュー画面内の選択肢「プリント」が選択され、プリント処理の処理内容が指定されてプリント処理の実行が指示された場合は、実行が指示されたプリント処理を画像形成部16によって行わせる(プリント処理の処理内容によっては前処理ユニット32及び後処理ユニット34の少なくとも1つも使用される)。
なお、本実施形態に係る画像形成装置10は、プリント処理に関しては、プリント処理対象の印刷データをコントローラ12の記憶部12Cに蓄積記憶しておき、操作パネル18が操作されて蓄積記憶された印刷データのプリント処理が指示されるか、又は、画像形成装置10と通信ケーブルを介して接続されたPC(Personal Computer)等の機器から受信した情報により蓄積記憶された印刷データのプリント処理が指示されるか、又は、予め設定された時刻が到来したことをトリガとして、蓄積記憶された印刷データについて一括してプリント処理を行う機能も設けられている。この機能が利用される場合、印刷データは記憶部12Cに記憶されている処理登録テーブルに登録(蓄積記憶)される。なお、処理登録テーブルに登録(蓄積記憶)される印刷データは、PC等の機器から受信した印刷データであってもよいし、画像読取部14によって原稿が読み取られることで得られた印刷データであってもよいし、画像形成装置10に画情報送受信部(本実施形態では説明を省略した)が追加実装された構成において、画情報送受信部が電話回線網を介して接続された他のファクシミリ装置から受信した印刷データ(画情報)であってもよい。
またコントローラ12は、画像形成装置10の消費電力の低減を目的として、以下の節電制御を行う。なお、この節電制御は、コントローラ12のCPU12Aによって節電制御プログラムが実行されることで実現される。すなわち、コントローラ12には画像読取部14、画像形成部16、前処理ユニット32及び後処理ユニット34のうち実装されているユニットの何れかに対応するタイマが各々設けられており、コントローラ12はこれらのタイマにより各ユニットの各々で最後に処理が行われてからの経過時間を計時する。これらのタイマのタイマ値は、対応するユニットで新たな処理が開始されるとリセットされるが、タイマ値が予め設定した節電状態移行時間に相当する値に達すると、コントローラ12は、対応する給電スイッチ28をオフさせることで、タイマ値が節電状態移行時間に相当する値に達したタイマに対応するユニットへの電力の供給を停止させる。
また、コントローラ12は、各ユニット34の少なくとも1つに電力が供給されている間は操作パネル18への電力の供給を継続させ、各ユニットへの電力の供給が全て停止されるか、又は、各ユニットへの電力の供給が全て停止されてから予め設定された時間が経過した後に、操作パネル18への電力の供給も停止させる。これにより、画像形成装置10は、コントローラ12にのみ電力が供給されている節電状態となる。
なお、節電状態への移行は、最後に処理が行われてからの経過時間が予め設定した節電状態移行時間に相当する値に達した場合に限られるものではなく、例えば「節電復帰スイッチが長押しされた」等のように、節電状態への移行指示を意味する操作が利用者によって行われた場合にも、最後に処理が行われてからの経過時間に拘わらず節電状態へ移行するようにしてもよい。コントローラ12が上述した節電制御を行うことで、例えば電源スイッチ30のオンオフと連動して各ユニットへの電力の供給をオンオフさせる等の場合と比較して、画像形成装置10の消費電力は大幅に低減される。
次に、節電状態を解除する際の処理について説明する。本実施形態において、節電状態解除のトリガとしては、節電状態の画像形成装置10の節電復帰スイッチが利用者によって操作されて節電状態からの復帰が指示された場合と、処理登録テーブルに蓄積記憶されている印刷データのプリント処理の実行が必要になった場合(蓄積記憶されている印刷データのプリント処理の実行が指示されるか、前記プリント処理を実行すべき時刻が到来した場合)と、がある。上記何れかの節電状態解除のトリガが発生した場合、コントローラ12のCPU12Aによって節電復帰時プログラムが実行されることで、図2に示す節電復帰時処理が行われる。
この節電復帰処理では、まず今回の節電状態復帰のトリガが、処理登録テーブルに蓄積記憶されている印刷データのプリント処理の実行が必要となったためか否か判定する。この判定が否定された場合、今回の節電状態復帰のトリガは利用者による節電復帰スイッチの操作と判断できるので、ステップ52へ移行して通常の節電復帰処理を行う。
すなわち、コントローラ12は、まず操作パネル18に対してのみ電力の供給を再開させ、表示部18Aに前述のメニュー画面を表示させる。そして、メニュー画面内の何れかの選択肢(処理の名称)が利用者によって選択されると、選択された処理に対応する操作画面を表示部18Aに表示させ、表示させた操作画面上で利用者によって取消操作以外の操作が行われたことを検知すると、先のメニュー画面上で選択された処理で使用するユニットに対してのみ電力の供給を再開させる。これにより、節電状態からの復帰が指示されると全てのユニットへの電力の供給を再開する場合と比較して、画像形成装置10の消費電力が低減されると共に、電力の供給が再開されたユニットにおけるウォームアップ処理と、表示部18Aに表示された操作画面を介して利用者が処理内容を指定する操作と、が並列に行われることで、利用者が処理の実行を指示してから、実際に処理の実行が開始される迄の待ち時間も短縮される。
なお、上記のように表示部18Aに表示させた操作画面上で利用者によって取消操作以外の操作が行われたことをトリガとして、使用するユニットへの電力の供給を再開させることに代えて、メニュー画面上で何れかの処理が選択されたことをトリガとして、使用するユニットへの電力の供給を再開させるようにしてもよい。
一方、今回の節電状態復帰のトリガが、処理登録テーブルに蓄積記憶されている印刷データのプリント処理の実行が必要となった場合であれば、ステップ50の判定が肯定されてステップ54へ移行し、印刷データのプリント処理では画像形成部16が必ず使用されることから、画像形成部16に対応する給電スイッチ26をオンさせることで、画像形成部16への電力の供給を開始させ、次のステップ56で実行順序並べ替え処理を行う。実行順序並べ替え処理は、処理登録テーブルに蓄積記憶されている個々の印刷データのプリント処理の実行順序を並べ替える処理であり、詳細は後述するが、この実行順序並べ替え処理と並行して画像形成部16のウォームアップ等が行われることになる。また、ステップ58では変数iに1を代入する。
ところで、処理登録テーブルへの印刷データの登録に際しては、プリント処理の処理内容を指定するプリント条件情報も印刷データと共に処理登録テーブルに登録され、このプリント条件情報には、画像形成装置10に実装されている前処理ユニット32及び後処理ユニット34の各々が提供可能な機能のうち、印刷データのプリント処理で利用する機能を指定する情報も含まれている。そして、実装されている前処理ユニット32及び後処理ユニット34の各々が提供可能な機能のうち印刷データのプリント処理で利用される機能は、個々の印刷データ毎に相違している可能性がある。
このため、次のステップ60では、ステップ56の実行順序並べ替え処理によってプリント処理の実行順序がi番目に設定された印刷データに対応するプリント条件情報を参照することで、実行順序がi番目のプリント処理における使用ユニット(画像形成装置10に実装されている前処理ユニット32及び後処理ユニット34のうち、プリント処理で使用する少なくとも1つのユニット)を認識する。ステップ62では、ステップ60で認識した使用ユニットの少なくとも1つが給電停止中か否か判定する。この判定が肯定された場合はステップ64へ移行し、ステップ60で認識した使用ユニットのうちの給電停止中の使用ユニットに対応する給電スイッチ26をオンさせることで、上記使用ユニットへの電力の供給を開始させ、ステップ66へ移行する。これにより、電力の供給が開始された使用ユニットでは内部機構の初期化等の処理が行われる。なお、ステップ62の判定が否定された場合は、ステップ64をスキップしてステップ66へ移行する。
ステップ66では、実行順序がi番目のプリント処理で使用する全てのユニット(画像形成部16を含む)が稼働可能な状態か否か判定し、判定が肯定される迄ステップ66を繰り返す。ステップ66の判定が肯定されるとステップ68へ移行し、実行順序がi番目のプリント処理を画像形成部16及びステップ60で認識した使用ユニットによって行わせる。次のステップ70では、変数iが処理登録テーブルに登録されている印刷データの総数(実行すべきプリント処理の処理数)nに達したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ72で変数iを1だけインクリメントしてステップ60に戻り、ステップ70の判定が肯定される迄、ステップ60〜ステップ72を繰り返す。そして、処理登録テーブルに登録されている全ての印刷データのプリント処理が完了すると、ステップ70の判定が肯定されて節電復帰時処理を終了する。なお、上述した節電復帰時処理は本発明に係る制御手段による処理の一例である。
ところで、処理登録テーブルに登録されている印刷データのプリント処理は、通常、処理登録テーブルへの個々の印刷データの登録順に実行される。これに対し、前処理ユニット32や後処理ユニット34では、電力の供給が開始される都度、内部機構の初期化等の処理が行われるので、上述した節電復帰時処理では、前処理ユニット32や後処理ユニット34の各々で内部機構の初期化等の処理が複数回繰り返されることで処理時間が長時間化することを避けるため、画像形成装置10に実装されている前処理ユニット32及び後処理ユニット34のうち、一旦電力の供給を再開したユニットについては、再度節電状態へ移行させることなく電力の供給を継続する。
このため、実行対象の個々のプリント処理の実行順序や個々のプリント処理における使用ユニットの組み合わせによっては、一旦電力の供給が再開された後、他の印刷データのプリント処理で使用されない状態が長時間継続するユニットが出現する可能性があり、このように使用されていないユニットへ供給する電力は無駄になるので、使用されていないユニットへ電力を供給している期間が短くなるように実行対象のプリント処理の実行順序を並べ替えれば、実行対象のプリント処理を実行している間の消費電力が低減される。
上記のプリント処理の実行順序の並べ替えは、例えばプリント処理の実行順序の全ての組み合わせについて消費電力を各々演算し、演算した消費電力が最小値を示す組み合わせをプリント処理の実行順序として選択する処理を行うことで実現できる。しかしながら、n個のプリント処理の実行順序の組み合わせの数はn!(nの階乗)となり、例えばプリント処理の数が10個であっても、プリント処理の実行順序の組み合わせの数は10!=3628800通りもの膨大な数となる。そして、処理登録テーブルには通常、例えば100個程度のプリント処理の印刷データを登録可能であるので、上記のように、実行順序の全てのプリント処理の実行順序の並べ替えを上記処理によって行おうとすると、演算負荷が非常に大きく処理にも長大な時間が掛かることになる。
このため、本第1実施形態では、図2のステップ56において、図3に示す実行順序並べ替え処理を行う。この実行順序並べ替え処理では、まずステップ100において、実行待ち状態のプリント処理の数(処理登録テーブルに登録されている印刷データの数)nを処理登録テーブルから取得すると共に、使用ユニットの総数(画像形成装置10に実装されている前処理ユニット32及び後処理ユニット34の総数)mを装置構成情報から取得し、例として図4(A)に示すようなn行×m列のマトリクスを生成する。なお、図4(A)は実行待ち処理数n=5、使用ユニットの総数m=4の場合に生成されるマトリクスを例として示す。このマトリクスは、各行が互いに異なるプリント処理に対応し、各列が互いに異なる使用ユニットに対応している。
ステップ102では変数iに1を代入し、次のステップ104では、処理登録テーブルへi番目に印刷データが登録されたプリント処理(i番目のプリント処理)のプリント条件情報を処理登録テーブルから取り出し、m個の使用ユニットのうちi番目のプリント処理で使用されないユニット(非使用ユニット)を全て認識する。なお、本実施形態ではm個のユニットに対して互いを区別するための1〜mの識別番号が付与され、ステップ104における非使用ユニットの認識は、i番目のプリント処理で使用されない個々のユニットに付与された識別番号jを各々認識することによって成される。またステップ106では、ステップ104で認識した非使用ユニットの各々について、ステップ100で生成したマトリクスのi行目j列目のセル(i,j)にフラグ=0を設定する。
次のステップ108では変数iが実行待ち処理数nに達したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ110で変数iを1だけインクリメントしてステップ104に戻り、ステップ108の判定が肯定される迄ステップ104〜ステップ110を繰り返す。これにより、例として図4(A)に示すように、実行待ち状態の個々のプリント処理に対応するマトリクスの各行のうち、個々のプリント処理における非使用ユニットに対応するセルには、フラグ=0が各々設定されることになる。
ステップ112では、1番目〜n番目のプリント処理(実行待ち状態の全ての(n個の)プリント処理)の各々を処理対象配列に設定する。ステップ114では、処理対象配列に設定されているプリント処理の数が1よりも多いか否か判定する。この場合は判定が肯定されてステップ116へ移行し、マトリクスのうち処理対象配列に対応するセル群(処理対象配列に設定した各プリント処理の何れかに対応する各行)の中に、フラグ=0が設定されているセルが存在しているか否かを探索し、次のステップ118では、ステップ116の探索で該当するセルが抽出されたか否か判定する。
ステップ118の判定が肯定された場合はステップ120へ移行し、マトリクスのうちフラグ=0が設定されているセルの数を、処理対象配列に設定した各プリント処理毎に演算する。またステップ122では、処理対象配列に設定した各プリント処理のうち、ステップ118で演算したフラグ=0が設定されているセルの数が最大のプリント処理に対応するマトリクス中の行を、処理対象配列に対応するマトリクスのセル群のうちの先頭に並べ替え、並べ替えた行に対応するプリント処理に対し、当該プリント処理の実行順序を昇順に設定する(既に実行順序が設定されたプリント処理が存在しなければ実行順序=1に設定し、既に実行順序が設定されたプリント処理が存在していれば、既に設定された実行順序の最大値+1を実行順序に設定する)。
次のステップ124では、処理対象配列に対応するマトリクスのセル群のうち、ステップ124で実行順序を設定したプリント処理で使用されるユニットに対応する列上に位置し、かつフラグが設定されている全てのセルにフラグ=1を設定する。次のステップ126では、ステップ124で実行順序を設定したプリント処理を処理対象配列から除外し、ステップ114に戻る。これにより、ステップ114又はステップ118の判定が否定される迄、ステップ114〜ステップ126が繰り返される。そして、ステップ114又はステップ118の判定が否定されるとステップ128へ移行し、処理対象配列に設定している全てのプリント処理に対して昇順に実行順序を各々設定し、実行順序並べ替え処理を終了する。
上述した図3の実行順序並べ替え処理の作用について、図4に示すプリント処理の実行順序の並べ替えの一例に沿って更に説明する。図4は、実行待ち処理数n=5、使用ユニットの総数m=4、プリント処理1の未使用ユニットがユニット2,4、プリント処理2の未使用ユニットがユニット2〜4、プリント処理3の未使用ユニットがユニット2,3、プリント処理4の未使用ユニットがユニット1,3、プリント処理5の未使用ユニットがユニット1,2、の条件で、図3の実行順序並べ替え処理を行った場合を示す。
上記の条件では、処理の一巡目において、ステップ120で処理対象配列の各プリント処理毎に演算されるフラグ=0が設定されたセルの数が、図4(A)に示すように、プリント処理1,3〜5は各々「2」、プリント処理2は「3」となる。このため、フラグ=0が設定されたセルの数が最大のプリント処理は「プリント処理2」となり、図4(B)に示すように、プリント処理2に対応する行が処理対象配列に対応するセル群(この時点ではマトリクス全体)の先頭に並べ替えられ、プリント処理2に対して実行順序=1が設定される(ステップ122)。また、プリント処理2ではユニット1が使用されるので、ユニット1に対応する列上に位置しかつフラグが設定されている全てのセル(この例ではユニット1に対応する列上のプリント処理4,5に対応するセル)にフラグ=1が設定される(ステップ124)。そして、プリント処理2が処理対象配列から除外され(ステップ126)、処理の一巡目が終了する。
処理の二巡目では、処理対象配列の各プリント処理毎に演算されるフラグ=0が設定されたセルの数が、図4(C)に示すように、プリント処理1,3は各々「2」、プリント処理4,5は各々「1」となる。このため、フラグ=0が設定されたセルの数が最大のプリント処理は「プリント処理1」及び「プリント処理3」となるが、図4(D)に示すように、プリント処理1,3に対応する行は既に処理対象配列に対応するセル群の先頭に位置しているので、並べ替えは行われず、プリント処理1に対して実行順序=2が、プリント処理3に対して実行順序=3が各々設定される(ステップ122)。また、プリント処理1ではユニット1,3が使用され、プリント処理3ではユニット1,4が使用されるので、既に対応するセルにフラグ=1を設定したユニット1を除くユニット3,4に対応する列上に位置しかつフラグが設定されている全てのセル(この例ではユニット3に対応する列上のプリント処理1,3,4に対応するセル及びユニット4に対応する列上のプリント処理1,2に対応するセル)にフラグ=1が各々設定される(ステップ124)。そして、プリント処理1,3が処理対象配列から除外され(ステップ126)、処理の二巡目が終了する。
処理の三巡目では、処理対象配列の各プリント処理毎に演算されるフラグ=0が設定されたセルの数が、図4(E)に示すように、プリント処理4は「0」、プリント処理5は「1」となる。このため、フラグ=0が設定されたセルの数が最大のプリント処理は「プリント処理5」となり、図4(D)に示すように、プリント処理5に対応する行が処理対象配列に対応するセル群の先頭に並べ替えられ、プリント処理5に対して実行順序=4が設定される(ステップ122)。また、プリント処理5ではユニット3,4が使用されるが、ユニット3,4は既に対応するセルにフラグ=1が設定されているので、新たにフラグ=1が設定されるセルは生じない(ステップ124)。そして、プリント処理5が処理対象配列から除外され(ステップ126)、処理の三巡目が終了する。
処理の四巡目では、処理対象配列にプリント処理4のみ設定されているので、ステップ114の判定が否定され、プリント処理5に対して実行順序=5が設定(ステップ128)されて実行順序並べ替え処理が終了する。なお、図3に示す実行順序並べ替え処理は、請求項1に記載の並べ替え手段による処理の一例である。
上述した処理により、プリント処理1〜5の実行順序は図4(G)に示すように並べ替えられるが、この実行順序では、図4(G)に斜線で示すセルに対応する消費電力が節減される。すなわち、ユニット2については実行順序1〜4のプリント処理が行われている間は使用されないので、この間は節電状態で維持されることで消費電力が節減される。また、ユニット3については実行順序1のプリント処理が行われている間は使用されないので、この間は節電状態で維持されることで消費電力が節減される。また、ユニット4については実行順序1,2のプリント処理が行われている間は使用されないので、この間は節電状態で維持されることで消費電力が節減される。従って、消費電力が低減されるようにプリント処理の実行順序を並べ替えることを、プリント処理の数nに対してn!通りの実行順序の組み合わせについて消費電力を各々演算する等の演算負荷が非常に大きい処理を行うことなく、簡易な処理で実現できる。
〔第2実施形態〕
次に本発明の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態は第1実施形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下、図5を参照し、本第2実施形態に係る実行順序並べ替え処理について、第1実施形態で説明した実行順序並べ替え処理と異なる部分についてのみ説明する。
図5に示すように、本第2実施形態に係る実行順序並べ替え処理は、ステップ100〜ステップ118迄は第1実施形態で説明した実行順序並べ替え処理と同一であり、ステップ116の探索で、処理対象配列に対応するセル群の中からフラグ=0が設定されているセルが抽出されることで、ステップ118の判定が肯定された場合に、本第2実施形態に係る実行順序並べ替え処理ではステップ130へ移行し、ステップ116の探索で抽出されたセルに対応するユニットの数が2以上か(フラグ=0が設定されているセルとして互いに異なるユニットに対応するセルが各々抽出されたか)否か判定する。
処理対象配列に対応するセル群のうちのフラグ=0が設定されているセルに対応するユニットの数が2以上の場合には、ステップ130の判定が肯定されてステップ134へ移行し、ステップ116の探索で抽出されたフラグ=0が設定されているセルの数をユニット毎に演算する。そしてステップ136では、ステップ130で演算したフラグ=0が設定された対応するセルの数が最大のユニットを、処理対象配列の分割の基準として用いる分割基準ユニットに設定し、ステップ138へ移行する。また、処理対象配列に対応するセル群のうちのフラグ=0が設定されているセルに対応するユニットの数が1の場合は、ステップ130の判定が否定されてステップ132へ移行し、ステップ116の探索で抽出されたフラグ=0が設定されているセルに対応する唯一のユニットを分割基準ユニットに設定し、ステップ138へ移行する。
ステップ138では、処理対象配列に対応するマトリクスのセル群を、ステップ132又はステップ136で設定した分割基準ユニットを使用しないプリント処理群(分割基準ユニット非使用処理群)に対応する列群と、分割基準ユニットを使用するプリント処理群(分割基準ユニット使用処理群) に対応する列群と、に分割し、処理対象配列に対応するマトリクスのセル群内の順序が、分割基準ユニット非使用処理群に対応する列群が先、分割基準ユニット使用処理群使用処理群に対応する列群が後となるように並べ替える。またステップ140では、マトリクスの各セルのうち、分割基準ユニットに対応する列上に位置し、かつフラグが設定されている全てのセルにフラグ=1を設定する。
次のステップ142では、ステップ132又はステップ136で設定した分割基準ユニットを使用しないプリント処理群(分割基準ユニット非使用処理群)を処理対象配列に設定し、ステップ114に戻る。これにより、ステップ114又はステップ118の判定が否定される迄、ステップ114〜ステップ142が繰り返される。
ステップ114の判定が否定された場合はステップ144へ移行し、処理対象配列に設定している唯一のプリント処理に対し、当該プリント処理の実行順序を昇順に設定してステップ148へ移行する。また、ステップ118の判定が否定された場合はステップ146へ移行し、処理対象配列に設定した各プリント処理に対し、プリント処理の実行順序を昇順に設定してステップ148へ移行する。
ステップ148では、実行待ち状態の全てのプリント処理に対して実行順序を設定したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ150へ移行し、処理対象配列に対応するマトリクスのセル群のうち、ステップ144又はステップ146で実行順序を設定した何れかのプリント処理で使用されるユニットに対応する列上に位置し、かつフラグが設定されている全てのセルにフラグ=1を設定する。次のステップ152では、実行順序が未設定の単一の処理群(先のステップ138で分割された処理群のうち、実行順序が未設定でかつマトリクス内の順序が最も先の処理群)の個々のプリント処理を処理対象配列に設定し、ステップ114に戻る。
これにより、ステップ114又はステップ118の判定が否定される毎に、ステップ144又はステップ146と、ステップ148〜ステップ152が行われる。そして、実行待ち状態の全てのプリント処理に対して実行順序を設定すると、ステップ148の判定が肯定されて実行順序並べ替え処理を終了する。
上述した図5の実行順序並べ替え処理の作用について、図6に示すプリント処理の実行順序の並べ替えの一例に沿って更に説明する。図6は、図3と同一の条件、すなわち実行待ち処理数n=5、使用ユニットの総数m=4、プリント処理1の未使用ユニットがユニット2,4、プリント処理2の未使用ユニットがユニット2〜4、プリント処理3の未使用ユニットがユニット2,3、プリント処理4の未使用ユニットがユニット1,3、プリント処理5の未使用ユニットがユニット1,2、の条件で、図5の実行順序並べ替え処理を行った場合を示す。
上記の条件では、処理の一巡目において、処理対象配列に対応するセル群(この時点ではマトリクス全体)内のユニット1〜4に対応する列上にフラグ=0が設定されたセルが各々存在しており、ステップ134で各ユニット毎に演算されるフラグ=0が設定されたセルの数が、図6(A)に示すように、ユニット1,4は各々「2」、ユニット2は「4」、ユニット3は「3」となる。このため、フラグ=0が設定されたセルの数が最大のユニットであるユニット2が分割基準ユニットに設定され(ステップ136)、図6(B)に示すように、処理対象配列に対応するセル群は、ユニット2非使用処理群(プリント処理1〜3,5)とユニット2使用処理群(プリント処理4)とに分割され、ユニット2非使用処理群が先となるように並べ替えられる(ステップ138)。また、ユニット2に対応する列上に位置しかつフラグが設定されている全てのセル(この例ではユニット2に対応する列上のプリント処理1〜3,5に対応するセル)にフラグ=1が設定される(ステップ140)。そして、ユニット2非使用処理群が処理対象配列に設定され(ステップ142)、処理の一巡目が終了する。
処理の二巡目では、処理対象配列に対応するセル群内のユニット1,3,4に対応する列上にフラグ=0が設定されたセルが各々存在しており、ステップ134で各ユニット毎に演算されるフラグ=0が設定されたセルの数が、図6(C)に示すように、ユニット1は「1」、ユニット3,4は各々「2」となる。このため、この例ではフラグ=0が設定されたセルの数が最大のユニットであるユニット3が分割基準ユニットに設定され(ステップ136)、図6(D)に示すように、処理対象配列に対応するセル群は、ユニット3非使用処理群(プリント処理2,3)とユニット3使用処理群(プリント処理1,5)とに分割され、ユニット3非使用処理群が先となるように並べ替えられる(ステップ138)。また、ユニット3に対応する列上に位置しかつフラグが設定されている全てのセル(この例ではユニット3に対応する列上のプリント処理2〜4に対応するセル)にフラグ=1が設定される(ステップ140)。そして、ユニット3非使用処理群が処理対象配列に設定され(ステップ142)、処理の二巡目が終了する。
処理の三巡目では、図6(E)に示すように、処理対象配列(この時点でプリント処理2,3)に対応するセル群内のユニット4に対応する列上にのみフラグ=0が設定されたセルが存在しているので、対応する列上にフラグ=0が設定されたセルが存在している唯一のユニットであるユニット4が分割基準ユニットに設定され(ステップ132)、図6(F)に示すように、処理対象配列に対応するセル群は、ユニット4非使用処理群(プリント処理2)とユニット4使用処理群(プリント処理3)とに分割されるが、図6(F)に示すように、ユニット4非使用処理群(プリント処理2)に対応する行は既に処理対象配列に対応するセル群の先頭に位置しているので、並べ替えは行われない(ステップ138)。また、ユニット4に対応する列上に位置しかつフラグが設定されている全てのセル(この例ではユニット4に対応する列上のプリント処理1,2に対応するセル)にフラグ=1が設定される(ステップ140)。そして、ユニット4非使用処理群(プリント処理2)が処理対象配列に設定され(ステップ142)、処理の三巡目が終了する。
処理の四巡目では、上記処理により処理対象配列がプリント処理2のみとなることで、ステップ114からステップ144へ移行し、プリント処理2に対して実行順序=1が設定される。また、プリント処理2ではユニット1が使用されるので、ユニット1に対応する列上に位置しかつフラグが設定されている全てのセル(この例ではユニット1に対応する列上のプリント処理4,5に対応するセル)にフラグ=1が各々設定される(ステップ150:図6(F)も参照)。そして、実行順序が未設定でかつマトリクス内の順序が最も先の処理群として、プリント処理3から成る処理群が処理対象配列に設定され(ステップ152)、処理の四巡目が終了する。
処理の五巡目では、上記処理により処理対象配列がプリント処理3のみとなることで、ステップ114から再度ステップ144へ移行し、プリント処理3に対して実行順序=2が設定される。また、プリント処理3ではユニット4が使用されるので、ユニット4に対応する列上に位置しかつフラグが設定されている全てのセル(この例ではユニット4に対応する列上のプリント処理1,2に対応するセル)にフラグ=1が各々設定される(ステップ150:図6(F)も参照)。そして、実行順序が未設定でかつマトリクス内の順序が最も先の処理群として、プリント処理1,5から成る処理群が処理対象配列に設定され(ステップ152)、処理の五巡目を終了する。
処理の六巡目では、上記処理により処理対象配列はプリント処理1,5となっているが、図6(F)に示すように、この時点では処理対象配列に対応するセル群(プリント処理1,5に対応する各行)内にフラグ=0が設定されているセルが存在しないので、ステップ118からステップ146へ移行し、プリント処理1に対して実行順序=3が、プリント処理5に対して実行順序=4が各々設定される(ステップ146)。また、プリント処理1ではユニット1,3がプリント処理5ではユニット3,4が使用されるが、ユニット1,3,4の何れも既に対応するセルにフラグ=1が設定されているので新たにフラグ=1が設定されるセルは生じず(ステップ150)、実行順序が未設定のプリント処理4のみが処理対象配列に設定され(ステップ152)、処理の六巡目を終了する。
そして処理の七巡目では、上記処理により処理対象配列がプリント処理4のみとなることで、ステップ114から再度ステップ144へ移行し、プリント処理4に対して実行順序=5が設定されて実行順序並べ替え処理が終了する。なお、図5に示す実行順序並べ替え処理は、請求項2,3に記載の並べ替え手段による処理の一例である。
上述した処理により、プリント処理1〜5の実行順序は図6(G)に示すように並べ替えられるが、この実行順序では、図6(G)に斜線で示すセルに対応する消費電力が節減される。すなわち、ユニット2については実行順序1〜4のプリント処理が行われている間は使用されないので、この間は節電状態で維持されることで消費電力が節減される。また、ユニット3については実行順序1,2のプリント処理が行われている間は使用されないので、この間は節電状態で維持されることで消費電力が節減される。また、ユニット4については実行順序1のプリント処理が行われている間は使用されないので、この間は節電状態で維持されることで消費電力が節減される。従って、消費電力が低減されるようにプリント処理の実行順序を並べ替えることを、プリント処理の数nに対してn!通りの実行順序の組み合わせについて消費電力を各々演算する等の演算負荷が非常に大きい処理を行うことなく、簡易な処理で実現できる。
なお、図6(G)に示す結果を図4(G)に示す結果と単に比較すると、消費電力が節減されるセルの数は同じであるが、第1実施形態で説明した実行順序並べ替え処理(図3)が、各プリント処理毎の非使用ユニット数を基準として並べ替えを行っているのに対し、第2実施形態で説明した実行順序並べ替え処理(図5)では、各ユニット毎の非使用プリント処理の数を基準として分割基準ユニットを設定して並べ替えを行っており、アルゴリズムは若干複雑化しているものの、条件によっては、印刷データのプリント処理の開始からより長時間に亘って節電状態で維持できるユニットが現れるように、プリント処理の実行順序の並べ替えることが可能となる。
〔第3実施形態〕
次に本発明の第3実施形態について説明する。なお、本第3実施形態は第1実施形態及び第2実施形態と同一の構成であるので、各部分に同一の符号を付して構成の説明を省略し、以下、図7を参照し、本第3実施形態に係る実行順序並べ替え処理について、第2実施形態で説明した実行順序並べ替え処理(図5)と異なる部分についてのみ説明する。
第2実施形態で説明した実行順序並べ替え処理(図5)では、ステップ104でi番目のプリント処理の非使用ユニットjを全て認識し、次のステップ106でマトリクスのi行目j列目のセル(i,j)にフラグ=0を各々設定しているが、図7に示すように、本第3実施形態に係る実行順序並べ替え処理では、上記のステップ104に代えて、ステップ105において、i番目のプリント処理の非使用ユニットjを全て認識すると共に、処理登録テーブルに登録されているi番目のプリント処理の印刷データ(の例えばヘッダ等)を参照して印刷データの頁数や用紙サイズ等を認識し、認識した頁数や用紙サイズ等に基づいてi番目のプリント処理のおおよその処理時間tiの推定演算も行う。
また、上記のステップ106に代えて、ステップ107において、まずステップ105で認識した個々の非使用ユニットjの消費電力を装置構成情報から各々読み出し、マトリクスのi行目j列目のセル(i,j)にフラグ=0を設定すると共に、ステップ105で推定演算した処理時間tiと装置構成情報から読み出した非使用ユニットjの消費電力の咳を削減可能消費電力量として設定することを、ステップ105で認識した個々の非使用ユニットjについて各々行う。これにより、例として図8(A)に示すように、実行待ち状態の個々のプリント処理に対応するマトリクスの各行のうち、個々のプリント処理における非使用ユニットに対応するセルには、フラグ=0に加えて削減可能消費電力量も各々設定されることになる。
また、第2実施形態で説明した実行順序並べ替え処理(図5)では、ステップ116の探索で抽出されたセルに対応するユニットの数が2以上の場合(ステップ130の判定が肯定された場合)に、フラグ=0が設定されているセルの数をユニット毎に演算し(ステップ134)、フラグ=0が設定されたセルの数が最大のユニットを分割基準ユニットに設定している(ステップ136)が、本第3実施形態に係る実行順序並べ替え処理では、上記処理に代えて、まずステップ135において、フラグ=0が設定されているセルの削減可能消費電力量の合計値をユニット毎に演算し、次のステップ137において、ステップ135で演算した削減可能消費電力量の合計値が最大のユニットを分割基準ユニットに設定している。
次に、本第3実施形態に係る実行順序並べ替え処理(図7)の作用について、図8に示すプリント処理の実行順序の並べ替えの一例に沿って更に説明する。図8は、図3と同一の条件、すなわち実行待ち処理数n=5、使用ユニットの総数m=4、プリント処理1の未使用ユニットがユニット2,4、プリント処理2の未使用ユニットがユニット2〜4、プリント処理3の未使用ユニットがユニット2,3、プリント処理4の未使用ユニットがユニット1,3、プリント処理5の未使用ユニットがユニット1,2、の条件に加え、ユニット1の消費電力が"2"、ユニット2の消費電力が"3"、ユニット3の消費電力が"5"、ユニット4の消費電力が"6"、プリント処理1,3,5の単位処理時間が各々"1"、プリント処理2,4の単位処理時間が各々"2"、の条件で図7の実行順序並べ替え処理を行った場合を示す。
上記条件では、図8(A)に示すように、マトリクスのユニット1に対応する列のうち、プリント処理4に対応するセルには削減可能消費電力量として"4"、プリント処理5に対応するセルには削減可能消費電力量として"2"が各々設定され、ユニット2に対応する列のうち、プリント処理1に対応するセルには削減可能消費電力量として"3"、プリント処理2に対応するセルには削減可能消費電力量として"6"、プリント処理3に対応するセルには削減可能消費電力量として"3"、プリント処理5に対応するセルには削減可能消費電力量として"3"が各々設定され、ユニット3に対応する列のうち、プリント処理2に対応するセルには削減可能消費電力量として"10"、プリント処理3に対応するセルには削減可能消費電力量として"5"、プリント処理4に対応するセルには削減可能消費電力量として"10"が各々設定され、ユニット4に対応する列のうち、プリント処理1に対応するセルには削減可能消費電力量として"6"、プリント処理2に対応するセルには削減可能消費電力量として"12"が各々設定される。
ここで、処理の一巡目では、処理対象配列に対応するセル群(この時点ではマトリクス全体)内のユニット1〜4に対応する列上にフラグ=0が設定されたセルが各々存在しており、ステップ135で各ユニット毎に演算される削減可能消費電力量の合計値が、図8(B)に示すように、ユニット1は"6"、ユニット2は"15"、ユニット3は"25"、ユニット4は"18"となる。このため、削減可能消費電力量の合計値が最大のユニットであるユニット3が分割基準ユニットに設定され(ステップ137)、図8(C)に示すように、処理対象配列に対応するセル群は、ユニット3非使用処理群(プリント処理2〜4)とユニット3使用処理群(プリント処理1,5)とに分割され、ユニット3非使用処理群が先となるように並べ替えられる(ステップ138)。また、ユニット3に対応する列上に位置しかつフラグが設定されている全てのセル(この例ではユニット3に対応する列上のプリント処理2〜4に対応するセル)にフラグ=1が設定される(ステップ140)。そして、ユニット3非使用処理群が処理対象配列に設定され(ステップ142)、処理の一巡目が終了する。
処理の二巡目では、処理対象配列に対応するセル群内のユニット1,2,4に対応する列上にフラグ=0が設定されたセルが各々存在しており、ステップ135で各ユニット毎に演算される削減可能消費電力量の合計値は、図8(D)に示すように、ユニット1は"4"、ユニット2は"9"、ユニット4は"12"となる。このため、削減可能消費電力量の合計値が最大のユニットであるユニット4が分割基準ユニットに設定され(ステップ137)、図8(E)に示すように、処理対象配列に対応するセル群は、ユニット4非使用処理群(プリント処理2)とユニット4使用処理群(プリント処理3,4)とに更に分割され、ユニット4非使用処理群が先となるように並べ替えられる(ステップ138)。また、ユニット4に対応する列上に位置しかつフラグが設定されている全てのセル(この例ではユニット4に対応する列上のプリント処理1,2に対応するセル)にフラグ=1が設定される(ステップ140)。そして、ユニット4非使用処理群(プリント処理2のみ)が処理対象配列に設定され(ステップ142)、処理の二巡目が終了する。
処理の三巡目では、上記処理により処理対象配列がプリント処理2のみとなることで、ステップ114からステップ144へ移行し、プリント処理2に対して実行順序=1が設定される。また、プリント処理2ではユニット1が使用されるので、ユニット1に対応する列上に位置しかつフラグが設定されている全てのセル(この例ではユニット1に対応する列上のプリント処理4,5に対応するセル)にフラグ=1が各々設定される(ステップ150:図8(E)も参照)。そして、実行順序が未設定でかつマトリクス内の順序が最も先の処理群として、プリント処理3,4から成る処理群が処理対象配列に設定され(ステップ152)、処理の三巡目が終了する。
処理の四巡目では、図8(E)に示すように、処理対象配列(この時点でプリント処理3,4)に対応するセル群内のユニット2に対応する列上にのみフラグ=0が設定されたセルが存在しているので、対応する列上にフラグ=0が設定されたセルが存在している唯一のユニットであるユニット2が分割基準ユニットに設定され(ステップ132)、図6(F)に示すように、処理対象配列に対応するセル群は、ユニット2非使用処理群(プリント処理3)とユニット2使用処理群(プリント処理4)とに分割されるが、図8(E)に示すように、ユニット2非使用処理群(プリント処理3)に対応する行は既に処理対象配列に対応するセル群の先頭に位置しているので、並べ替えは行われない(ステップ138)。また、ユニット2に対応する列上に位置しかつフラグが設定されている全てのセル(この例ではユニット2に対応する列上のプリント処理1〜3,5に対応するセル)にフラグ=1が設定される(ステップ140)。そして、ユニット2非使用処理群(プリント処理3)が処理対象配列に設定され(ステップ142)、処理の四巡目が終了する。
処理の五巡目では、上記処理により処理対象配列がプリント処理3のみとなることで、ステップ114からステップ144へ移行し、プリント処理3に対して実行順序=2が設定される。また、プリント処理3ではユニット1,4が使用されるが、ユニット1は対応するセルに既にフラグ=1が設定されているので、ユニット4に対応する列上に位置しかつフラグが設定されている全てのセル(この例ではユニット4に対応する列上のプリント処理1,2に対応するセル)にフラグ=1が各々設定される(ステップ150:図8(G)も参照)。そして、実行順序が未設定でかつマトリクス内の順序が最も先の処理群として、プリント処理4から成る処理群が処理対象配列に設定され(ステップ152)、処理の五巡目が終了する。
処理の六巡目では、上記処理により処理対象配列がプリント処理4のみとなることで、ステップ114から再度ステップ144へ移行し、プリント処理4に対して実行順序=3が設定される。また、プリント処理4ではユニット2,4が使用されるが、ユニット2,4は何れも対応するセルに既にフラグ=1が設定されているので、新たにフラグ=1が設定されるセルは生じず(ステップ150)、実行順序が未設定でかつマトリクス内の順序が最も先の処理群として、プリント処理1,5から成る処理群が処理対象配列に設定され(ステップ152)、処理の六巡目を終了する。
処理の七巡目では、上記処理により処理対象配列はプリント処理1,5となっているが、図8(G)に示すように、この時点では処理対象配列に対応するセル群(プリント処理1,5に対応する各行)内にフラグ=0が設定されているセルが存在しないので、ステップ118からステップ146へ移行し、プリント処理1に対して実行順序=4が、プリント処理5に対して実行順序=5が各々設定され(ステップ146)、実行順序並べ替え処理が終了する。なお、図7に示す実行順序並べ替え処理は、請求項6,7に記載の並べ替え手段による処理の一例である。
上述した処理により、プリント処理1〜5の実行順序は図8(H)に示すように並べ替えられるが、この実行順序では、図8(H)に斜線で示すセルに対応する消費電力が節減される。すなわち、ユニット2については実行順序1,2のプリント処理が行われている間は使用されないので、この間は節電状態で維持されることで消費電力が節減される。また、ユニット3については実行順序1〜3のプリント処理が行われている間は使用されないので、この間は節電状態で維持されることで消費電力が節減される。また、ユニット4については実行順序1のプリント処理が行われている間は使用されないので、この間は節電状態で維持されることで消費電力が節減される。従って、消費電力が低減されるようにプリント処理の実行順序を並べ替えることを、プリント処理の数nに対してn!通りの実行順序の組み合わせについて消費電力を各々演算する等の演算負荷が非常に大きい処理を行うことなく、簡易な処理で実現できる。
なお、図8(H)に示す結果を図4(G)や図6(G)に示す結果と単に比較すると、消費電力が節減されるセルの数は1個減少しているが、これは、第2実施形態で説明した実行順序並べ替え処理(図7)では、削減可能消費電力量の合計値(図8(B)参照)が最大のユニット3の節電状態を長時間継続させることを優先するアルゴリズムとなっているためであり、図4(G)に示す並べ替え結果に対して図8の条件を適用した場合に削減される電力量は"31"、図6(G)に示す並べ替え結果に対して図8の条件を適用した場合に削減される電力量は"42"となるのに対し、図8(H)に示す並べ替え結果では"46"となり、消費電力(量)が更に低減されるようにプリント処理の実行順序が並べ替えされる。
なお、第3実施形態では、プリント処理の処理時間tiとユニット毎の消費電力の積である削減可能消費電力量に基づいてプリント処理の実行順序の並べ替えを行う態様を説明したが、これに限定されるものではなく、第3実施形態で説明した実行順序並べ替え処理における削減可能消費電力量に代えてユニット毎の消費電力を削減可能消費電力として用い、ユニット毎の消費電力に基づいてプリント処理の実行順序の並べ替えを行うようにしてもよい。この態様は、個々のプリント処理の処理時間のばらつきが小さい等の場合に特に有効であり、個々のプリント処理の処理時間tiの推定演算を行う必要が無くなることで処理がより簡単になる。上記態様における実行順序並べ替え処理は請求項4,5に記載の並べ替え手段による処理の一例である。
また、上記では本発明に係る処理ユニットとして前処理ユニット32及び後処理ユニット34を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記以外のユニットを本発明に係る処理ユニットとして用いることも可能である。
また、上記では本発明に係る画像形成装置の制御プログラムの一例である節電制御プログラムがコントローラ12の記憶部12Cに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、本発明に係る画像形成装置の制御プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。