JP5611181B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、モータに流れる各相の電流を検出し、その検出値に基づいてモータに対するフィードバック制御を行うモータ制御装置に関する。
例えば、車両の電動パワーステアリング装置においては、ハンドルの操舵トルクに応じた操舵補助力をステアリング機構に与えるために、ブラシレスモータなどの電動式モータが設けられる。このモータを駆動する装置として、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御方式によるモータ制御装置が知られている。
一般に、PWM制御方式のモータ制御装置は、インバータ回路と、このインバータ回路を制御する制御部とを備えている。インバータ回路には、上アームと下アームにそれぞれスイッチング素子を有する上下一対のアームが複数組(3相モータの場合は3組)設けられている。また、制御部は、トルクセンサで検出された操舵トルクに応じてモータに流すべき電流の目標値を算出し、この目標値とモータに実際に流れる電流の値との偏差に基づいて、所定のデューティを持つPWM信号を生成する。そして、このPWM信号により、インバータ回路の各スイッチング素子のON・OFF動作を制御し、これに応じて電源からインバータ回路を介してモータへ電流を供給し、モータを駆動する。
上記のようなモータ制御装置において、モータに流れる電流(以下、「モータ電流」という。)は、シャント抵抗と呼ばれる電流検出用の抵抗を用いて検出される。この場合、シャント抵抗を各相ごとに設けると、相の数だけシャント抵抗が必要となり、コストが増加する。そこで、単一のシャント抵抗を用いてモータ電流を検出できるようにしたモータ制御装置が知られている(例えば、後掲の特許文献1〜4参照)。
図6は、単一のシャント抵抗を用いたPWM制御方式のモータ制御装置の一例を示している。電源回路1は、整流回路や平滑回路等から構成され、インバータ回路2に電源電圧を供給する。インバータ回路2は、上下一対のアームがU相、V相、W相に対応して3組設けられた3相ブリッジから構成されている。U相、V相、W相の各上アームA1、A3、A5は、それぞれスイッチング素子Q1、Q3、Q5を有している。U相、V相、W相の各下アームA2、A4、A6は、それぞれスイッチング素子Q2、Q4、Q6を有している。これらのスイッチング素子Q1〜Q6は、FET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)からなる。
モータMは、例えば車両の電動パワーステアリング装置に用いられる3相ブラシレスモータである。モータMに流れる電流(モータ電流)を検出するためのシャント抵抗Rは、単一の抵抗からなり、電源回路1とインバータ回路2の下アームA2、A4、A6との間に接続されている。シャント抵抗Rの両端の電圧は、増幅回路5に与えられる。増幅回路5は、シャント抵抗Rの両端の電圧を増幅し、シャント電圧として制御部4へ出力する。
制御部4は、CPUやメモリなどから構成されている。制御部4には、増幅回路5から出力されるシャント電圧が入力され、また、図示しないトルクセンサで検出された操舵トルクが入力される。制御部4は、シャント電圧からモータ電流の検出電流値を算出するとともに、操舵トルクから目標電流値(モータMに流す電流の目標値)を算出し、検出電流値と目標電流値との偏差に基づいて、各相のPWM信号のデューティを算出する。そして、このデューティと鋸歯状のキャリア信号とに基づいて生成した各相のPWM信号を、PWM駆動回路3へ供給する。
PWM駆動回路3は、ICドライバから構成され、スイッチング素子Q1〜Q6を個別にON・OFFさせるための各相のPWM信号を、各スイッチング素子Q1〜Q6のゲートへ出力する。このPWM信号に基づくスイッチング素子Q1〜Q6のON・OFF動作により、電源回路1からインバータ回路2を介してモータMへ電流が供給され、モータMが回転する。
図7は、PWM駆動回路3からインバータ回路2へ与えられるPWM信号を示している。単一のシャント抵抗Rにより電流検出を行う場合は、各相のモータ電流を同時に検出できないことから、各相のPWM信号の位相を互いにずらすことにより、異なるタイミングで電流を検出する。ここでは、U相をデューティが最も大きい最大相、V相をデューティが中間の中間相、W相をデューティが最も小さい最小相としている。
各相の上段PWM信号は、上アームA1、A3、A5のスイッチング素子(以下、「上段スイッチング素子」という)Q1、Q3、Q5に印加されるPWM信号である。各相の下段PWM信号は、下アームA2、A4、A6のスイッチング素子(以下、「下段スイッチング素子」という)Q2、Q4、Q6に印加されるPWM信号である。上段PWM信号と下段PWM信号には、各相の上下のスイッチング素子が同時にONとなってインバータ回路2に短絡が生じるのを回避するため、時間的なずれ(デッドタイム)が設定されている。
図7に示すように、PWM信号の1周期においては、力行区間と回生区間(上段回生区間および下段回生区間)とが存在する。力行区間においては、デッドタイム区間を除いて、上段スイッチング素子Q1、Q3、Q5の少なくとも1つがON状態となり、下段スイッチング素子Q2、Q4、Q6の少なくとも1つがON状態となることにより、シャント抵抗Rにモータ電流が流れる。このため、シャント抵抗Rの両端には、モータ電流に基づく電圧が現れる。
t1、t2は、シャント抵抗Rに流れる電流を検出するタイミングを示している。なお、ここでいうタイミングとは、電流検出が可能な時間幅をもった区間の概念である。タイミングt1では、上段スイッチング素子Q1、Q3、Q5がそれぞれON、OFF、OFFで、下段スイッチング素子Q2、Q4、Q6がそれぞれOFF、ON、ONとなり、インバータ回路2には、図8に点線矢印で示した経路で電流が流れる。このとき、シャント抵抗Rに流れる電流はU相電流であり、タイミングt1でモータMのU相電流が検出される。
タイミングt2では、上段スイッチング素子Q1、Q3、Q5がそれぞれON、ON、OFFで、下段スイッチング素子Q2、Q4、Q6がそれぞれOFF、OFF、ONとなり、インバータ回路2には、図9に点線矢印で示した経路で電流が流れる。このとき、シャント抵抗Rに流れる電流はW相電流であり、タイミングt2でモータMのW相電流が検出される。
V相電流については、U相電流とW相電流とから、計算により求められる。すなわち、U相電流値をIu、V相電流値をIv、W相電流値をIwとしたとき、これらの間には、キルヒホッフの法則により次の関係が成立する。
Iu+Iv+Iw=0
したがって、V相電流値Ivは、
Iv=−(Iu+Iv)
として算出することができる。
図7の上段回生区間では、上段スイッチング素子Q1、Q3、Q5はすべてON、下段スイッチング素子Q2、Q4、Q6はすべてOFFとなり、インバータ回路2には、図10に点線矢印で示した経路で電流が流れる。このときの電流は、モータMの巻線Lu、Lv、Lwに蓄積された電気エネルギーの放出による回生電流であり、上段スイッチング素子Q1、Q3、Q5を介して回流する。したがって、シャント抵抗Rに電流は流れない。
図7の下段回生区間では、上段スイッチング素子Q1、Q3、Q5はすべてOFF、下段スイッチング素子Q2、Q4、Q6はすべてONとなり、インバータ回路2には、図11に点線矢印で示した経路で電流が流れる。このときの電流も、モータMの巻線Lu、Lv、Lwに蓄積された電気エネルギーの放出による回生電流であり、下段スイッチング素子Q2、Q4、Q6を介して回流する。したがって、シャント抵抗Rに電流は流れない。
図12は、図7のタイミングt1、t2付近における各相のPWM信号と、U相電流およびW相電流の変化と、シャント電圧の変化を示している。なお、各相のPWM信号は、上段PWM信号を示しており、下段PWM信号は図示を省略してある。また、便宜上、PWM信号のデューティは各相とも同じとしてある。
T1は、U相のPWM信号が立ち上がってから、V相のPWM信号が立ち上がるまでの第1区間であり、T2は、V相のPWM信号が立ち上がってから、W相のPWM信号が立ち上がるまでの第2区間である。一点鎖線で示す平均電流は、例えば1周期内におけるU相電流の平均値であり、また、U相電流と対称なW相電流の平均値でもある。図12からわかるように、U相電流とW相電流は、時間的に変動するうねった波形となる。
第1区間T1では、U相のPWM信号がONになると、モータMに電圧が印加され、シャント抵抗Rに流れる正方向のU相電流が、モータMの時定数に応じて増加してゆく。これに応じて、シャント電圧も増加してゆく。そして、タイミングt1において、U相電流が検出される。このとき検出されるU相電流の値は、平均電流の値に対して、aだけ大きくなっている。しかるに、モータMへ供給される電力は、平均電流値により決まるため、U相電流を正確に検出するには、検出されたU相電流の値からオフセット値aを差し引く必要がある。このため、オフセット値aを予めメモリに記憶しておき、タイミングt1で検出されたU相電流値からオフセット値aを減算した値を検出電流値とする補正を行う。
第2区間T2に入って、U相のPWM信号とV相のPWM信号が共にONすると、モータMに印加される電圧が大きくなる。このため、シャント抵抗Rに流れる負方向のW相電流が増大し、これに応じて、シャント電圧も更に増大してゆく。そして、タイミングt2において、W相電流が検出される。このとき検出されるW相電流の値(絶対値)は、平均電流の値に対して、bだけ大きくなっている。したがって、この場合も、W相電流を正確に検出するには、検出されたW相電流の値からオフセット値bを差し引く必要がある。このため、オフセット値bを予めメモリに記憶しておき、タイミングt2で検出されたW相電流値からオフセット値bを減算した値を検出電流値とする補正を行う。
このように、U相電流およびW相電流の変動に起因して、検出電流値にオフセットが発生するが、上記のようにオフセットを補正することで、検出電流値の誤差が是正される。このため、検出電流値に基づきフィードバック制御を行った場合に、オフセットが操舵補助力に影響して操舵フィーリングが悪化するのを抑制することができる。
しかしながら、上記のオフセット値a、bは、電源回路1からインバータ回路2に印加される電源電圧に依存して変化する。これを図13で説明すると、例えば、U相電流は、電源電圧が低い場合と、通常の場合と、高い場合とで図のような変化をする。すなわち、電源電圧が低い場合は、通常の場合に比べて電流の変化は小さく、電源電圧が高い場合は、通常の場合に比べて電流の変化は大きくなる。このため、U相電流の検出タイミングt1におけるオフセット値は、電源電圧によって、a1、a2、a3のように変化する。また、W相電流も同様に、電源電圧が低い場合と、通常の場合と、高い場合とで図のような変化をする。このため、W相電流の検出タイミングt2におけるオフセット値は、電源電圧によって、b1、b2、b3のように変化する。
したがって、U相電流についてみると、電源電圧が通常の場合のオフセット値a2を用いて検出電流値のオフセット補正を行うと、電源電圧が低くなったり、高くなったりした場合に、正確なU相電流を検出することができなくなる。同様に、W相電流についても、電源電圧が通常の場合のオフセット値b2を用いて検出電流値のオフセット補正を行うと、電源電圧が低くなったり、高くなったりした場合に、正確なW相電流を検出することができなくなる。このため、電源電圧が変動した場合に、検出電流値に誤差が発生し、これが操舵補助力に影響して操舵フィーリングが悪くなるという結果をもたらす。
しかるに、従来は、検出電流値を補正するにあたり、インバータ回路2の電源電圧の変動が考慮されていなかった。このため、各相の電流を正確に検出することができず、フィードバック制御の精度の点で問題があった。
特開2001−95279号公報 特開2004−135441号公報 特開2008−232013号公報 特開2010−68672号公報
本発明の課題は、インバータ回路の電源電圧の変動にかかわらず、各相の電流を正確に検出することが可能なモータ制御装置を提供することにある。
本発明は、上アームと下アームにそれぞれスイッチング素子を有する上下一対のアームが複数組設けられ、PWM信号による各スイッチング素子のON・OFF動作に基づいてモータを駆動するインバータ回路と、モータからインバータ回路を介して流れる各相のモータ電流を検出するための単一のシャント抵抗と、このシャント抵抗に流れる電流に基づいて、第1のタイミングで第1の相のモータ電流を検出し、第2のタイミングで第2の相のモータ電流を検出する電流検出手段と、この電流検出手段が検出した各相のモータ電流の検出値を、モータに流す各相の電流の目標値と比較し、その偏差に応じて、位相が互いにずれた各相のPWM信号を生成するPWM信号生成手段と、第1のタイミングにおける第1の相のモータ電流の検出値を第1のオフセット値により補正し、第2のタイミングにおける第2の相のモータ電流の検出値を第2のオフセット値により補正する補正手段とを備えたモータ制御装置において、インバータ回路に印加される電源電圧を検出する電源電圧検出手段と、電源電圧検出手段が検出した電源電圧に応じて、第1のオフセット値および第2のオフセット値を変更するオフセット値変更手段とを設けたものである。
このようにすると、インバータ回路に印加される電源電圧に応じて、第1のオフセット値と第2のオフセット値が変更されるので、電源電圧が変動した場合でも、変更されたオフセット値に基づいて、第1および第2のタイミングにおける検出電流値が適正に補正される。このため、電源電圧の変動にかかわらず、各相の電流を正確に検出することが可能となり、フィードバック制御の精度が向上する。
本発明において、オフセット値変更手段は、電源電圧検出手段が検出した電源電圧と基準電圧との差を演算し、この差に基づいて、第1のオフセット値に対する第1の補正値と、第2のオフセット値に対する第2の補正値とを演算し、第1のオフセット値に第1の補正値を加算し、第2のオフセット値に第2の補正値を加算することにより、各オフセット値を変更することができる。
本発明において、第1のオフセット値は、第1のタイミングにおける第1の相のモータ電流の検出値と、所定周期内における第1の相のモータ電流の平均値との差であり、第2のオフセット値は、第2のタイミングにおける第2の相のモータ電流の検出値と、所定周期内における第2の相のモータ電流の平均値との差であり、第2のオフセット値が第1のオフセット値より大きくてもよい。
本発明によれば、インバータ回路の電源電圧の変動にかかわらず、各相の電流を正確に検出することが可能なモータ制御装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係るモータ制御装置を示した回路図である。 モータ電流の検出値を補正する補正手段のブロック図である。 電源電圧と可変オフセット値との関係を示したグラフである。 電流検出のパターンを示した図である。 各相のPWM信号のデューティの変化を示した図である。 従来のモータ制御装置を示した回路図である。 PWM信号の位相関係と電流検出のタイミングを示した図である。 図7のタイミングt1における電流経路を示した図である。 図7のタイミングt2における電流経路を示した図である。 図7の上段回生区間における電流経路を示した図である。 図7の下段回生区間における電流経路を示した図である。 各相のPWM信号と、U相電流およびW相電流の変化と、シャント電圧の変化を示した図である。 電源電圧の変動によるオフセット値の変化を示した図である。
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分または対応部分には、同一符号を付してある。
図1は、本実施形態に係るモータ制御装置を示している。図1において、図6と異なる点は、次の2点である。第1点は、電源回路1とインバータ回路2とを結ぶ電源ライン6上のP点の電圧、すなわちインバータ回路2に印加される電源電圧が制御部4に取り込まれ、制御部4がこの電源電圧を監視するようにした点である。第2点は、制御部4に、電源電圧に基づいてオフセット値を変更する機能(後述)が備わっている点である。
他の構成については、図6と同じであって、すでに詳細に述べたので、ここでは説明を省略する。また、図7〜図13は、本実施形態にも共通する。図1では、制御部4は、本発明における電流検出手段、PWM信号生成手段、補正手段、電源電圧検出手段、およびオフセット値変更手段を構成している。これらの各手段の機能は、ソフトウェアによって実現される。
図2は、制御部4における補正手段のブロック図を示している。符号13および14は加算器、符号15および16は減算器、符号17および18は乗算器をそれぞれ表している。「第1区間検出電流」は、第1区間T1(図12)のタイミングt1で検出されるモータ電流の検出値、「第2区間検出電流」は、第2区間T2のタイミングt2で検出されるモータ電流の検出値を表している。
「第1区間基準オフセット値」は、第1区間検出電流を補正するためのオフセット値であって、図12におけるオフセット値aを表している。「第2区間基準オフセット値」は、第2区間検出電流を補正するためのオフセット値であって、図12におけるオフセット値bを表している。オフセット値a、bの各値は、あらかじめ決められていて、制御部4のメモリ(図示省略)に記憶されている。
第1区間補正直線11は、第1区間基準オフセット値aを補正するための関数であって、横軸は電源電圧と基準電圧との差分ΔV、縦軸は補正値Xである。補正値Xは差分ΔVと比例関係にあり、直線の傾きはαである。すなわち、X=ΔV・αの関係が成立する。ΔVが0のとき(電源電圧に変動がないとき)は、補正値Xの値は0となる。
第2区間補正直線12は、第2区間基準オフセット値bを補正するための関数であって、横軸は電源電圧と基準電圧との差分ΔV、縦軸は補正値Yである。補正値Yは差分ΔVと比例関係にあり、直線の傾きはβである。すなわち、Y=ΔV・βの関係が成立する。ΔVが0のとき(電源電圧に変動がないとき)は、補正値Yの値は0となる。
ここで、傾きαと傾きβの関係は、α<βとなる。したがって、同じ差分ΔVに対して、補正値Xと補正値Yの関係は、X<Yとなる。このようにする理由は、図12のように、第1区間T1でのオフセット値aに比べて、第2区間T2でのオフセット値bのほうが大きいので、オフセット値bの補正には、オフセット値aの補正よりも大きな補正値が必要となるからである。
以下、図2に従って、モータ電流の検出値を補正する一連の処理について説明する。
最初に、第1区間T1における補正処理について説明する。制御部4は、まず、インバータ回路2に印加される電源電圧Vと、第1区間補正直線11とに基づいて、第1区間基準オフセット値a(第1のオフセット値)に対する補正値X(第1の補正値)を算出する。詳しくは、電源電圧Vと基準電圧Voとの差分ΔV=V−Voを演算し、この差分ΔVと第1区間補正直線11とから、補正値X=ΔV・αを算出する。基準電圧Voは、あらかじめ決められていて、制御部4のメモリに記憶されている。
続いて、加算器13により、第1区間基準オフセット値aと補正値Xとを加算し、a+Xを算出する。このa+Xの値を、以下では「第1区間可変オフセット値」という。そして、減算器15により、第1区間検出電流Id1から、第1区間可変オフセット値a+Xを減算し、Id1−(a+X)を算出する。さらに、乗算器17により、減算器15の出力に第1区間のゲインG1を乗算して、
I1={Id1−(a+X)}・G1
={Id1−(a+ΔV・α)}・G1
を算出する。このI1が、第1区間T1のタイミングt1で検出された検出電流Id1の補正電流値となる。
従来は、電源電圧Vの変動が考慮されておらず、補正電流値は、
I1’=(Id1−a)・G1
により算出されていた。このため、電源電圧Vが変動して第1区間検出電流Id1が増減した場合に、第1区間基準オフセット値aが追従せず、補正電流値I1’に誤差が発生する。これに対して、本実施形態では、電源電圧Vの変動(差分ΔV)に応じた補正値Xを算出し、この補正値Xを用いて、第1区間基準オフセット値aを第1区間可変オフセット値(a+X)に変更するようにしている。
このため、図3(a)に示すように、電源電圧が低い場合と、通常の場合と、高い場合とで、第1区間可変オフセット値(a+X)はa1、a2、a3のように変化する。ここで、電源電圧が「低」「通常」「高」の各場合につき第1区間補正直線11から得られる補正値XをそれぞれX1、X2、X3とすると、a1=a+X1、a2=a+X2、a3=a+X3である。また、通常の場合の電源電圧を前述の基準電圧Voとした場合、X2=0であるから、a2は第1区間基準オフセット値aと等しくなる。すなわち、電源電圧が通常の場合は、第1区間基準オフセット値aは変更されない。
そこで、これらの可変オフセット値a1、a2、a3を、それぞれ図13のa1、a2、a3の値とし、第1区間検出電流Id1から可変オフセット値a1、a2、a3を差し引く。これにより、電源電圧の変動にかかわらず、第1区間T1における検出電流値を、平均電流値に補正することができる。すなわち、前述の補正電流値I1は、平均電流値のことである。
次に、第2区間T2における補正処理について説明する。制御部4は、まず、インバータ回路2に印加される電源電圧Vと、第2区間補正直線12とに基づいて、第2区間基準オフセット値b(第2のオフセット値)に対する補正値Y(第2の補正値)を算出する。詳しくは、電源電圧Vと基準電圧Voとの差分ΔV=V−Voを演算し、この差分ΔVと第2区間補正直線12とから、補正値Y=ΔV・βを算出する。
続いて、加算器14により、第2区間基準オフセット値bと補正値Yとを加算し、b+Yを算出する。このb+Yの値を、以下では「第2区間可変オフセット値」という。そして、減算器16により、第2区間検出電流Id2から、第2区間可変オフセット値b+Yを減算し、Id2−(b+Y)を算出する。さらに、乗算器18により、減算器16の出力に第2区間のゲインG2を乗算して、
I2={Id2−(b+Y)}・G2
={Id2−(b+ΔV・β)}・G2
を算出する。このI2が、第2区間T2のタイミングt2で検出された検出電流Id2の補正電流値となる。
この場合も、電源電圧Vの変動(差分ΔV)に応じた補正値Yを算出し、この補正値Yを用いて、第2区間基準オフセット値bを第2区間可変オフセット値(b+Y)に変更する。この結果、図3(b)に示すように、電源電圧が低い場合と、通常の場合と、高い場合とで、第2区間可変オフセット値(b+Y)はb1、b2、b3のように変化する。ここで、電源電圧が「低」「通常」「高」の各場合につき第2区間補正直線12から得られる補正値YをそれぞれY1、Y2、Y3とすると、b1=b+Y1、b2=b+Y2、b3=b+Y3である。また、通常の場合の電源電圧を前述の基準電圧Voとした場合、Y2=0であるから、b2は第2区間基準オフセット値bと等しくなる。すなわち、電源電圧が通常の場合は、第2区間基準オフセット値bは変更されない。
そこで、これらの可変オフセット値b1、b2、b3を、それぞれ図13のb1、b2、b3の値とし、第2区間検出電流Id2から可変オフセット値b1、b2、b3を差し引く。これにより、電源電圧の変動にかかわらず、第2区間T2における検出電流値を、平均電流値に補正することができる。すなわち、前述の補正電流値I2は、平均電流値のことである。
このようにして、第1区間T1の補正電流値I1と、第2区間T2の補正電流値I2とを算出した後、制御部4は、これらの電流値がどの相に対応したものであるかの相判別を行い、最終的に各相の補正電流値を算出する。この相判別は、図4に示したパターンに基づいて行われる。パターンは、U相、V相、W相の各PWM信号のデューティに応じた位相の前後関係により、(1)〜(6)の6種類のパターンに分かれる。図5は、各相のPWM信号のデューティの変化と各パターンとの対応関係を示している。
例えば、図7の場合は、PWM信号のデューティの大きさがU相、V相、W相の順となっているので、パターン(3)に該当する。したがって、第1区間T1(タイミングt1)で検出された電流はU相電流であり、第2区間T2(タイミングt2)で検出された電流はV相電流であると判別される。W相電流は、前述のとおり、U相電流とV相電流とから計算によって算出される。
パターン(1)に該当する場合は、第1区間T1で検出された電流はV相電流であり、第2区間T2で検出された電流はW相電流であると判別される。また、U相電流はこれらの電流から計算によって算出される。パターン(2)に該当する場合は、第1区間T1で検出された電流はU相電流であり、第2区間T2で検出された電流はW相電流であると判別される。また、V相電流はこれらの電流から計算によって算出される。パターン(4)〜(6)に該当する場合も、同様の要領で第1区間T1と第2区間T2における検出電流の相が判別される。
このようにして、各区間で検出された電流の相が確定すると、次に制御部4は、各相の補正電流値を各相の目標電流値とそれぞれ比較し、それらの偏差に基づいて、各相ごとにPWM信号のデューティを算出する。そして、算出したデューティに応じた各相のPWM信号を生成して、PWM駆動回路3(図1)へ出力する。これにより、シャント抵抗Rで検出されたモータ電流に基づくフィードバック制御が行われる。
以上のように、本実施形態においては、インバータ回路2に印加される電源電圧Vに応じて、第1区間基準オフセット値aおよび第2区間基準オフセット値bが、それぞれ第1区間可変オフセット値a+X、および第2区間可変オフセット値b+Yに変更される。このため、電源電圧Vが変動した場合でも、その変動に応じた可変オフセット値に基づいて、第1区間T1と第2区間T2における検出電流値を、平均電流値に補正することができる。これにより、誤差を含まない正確な補正電流値I1、I2を用いて、モータMに対するフィードバック制御を精度良く行うことができる。その結果、電源電圧Vの変動が操舵補助力に影響しなくなり、操舵フィーリングを向上させることができる。
本発明では、以上述べた以外にも種々の実施形態を採用することができる。例えば、図7では、左側の力行区間でモータ電流を検出しているが、右側の力行区間でモータ電流を検出してもよい。また、両方の力行区間でモータ電流を検出してもよい。
前記実施形態では、スイッチング素子Q1〜Q6としてFETを使用したが、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラモードトランジスタ)のような他のスイッチング素子を使用してもよい。
前記実施形態では、モータMとして3相モータを例に挙げたが、本発明は、3相以外の多相モータを駆動する場合にも適用することができる。
前記実施形態では、モータMとしてブラシレスモータを例に挙げたが、本発明は、誘導モータや同期モータなどを駆動する装置にも適用することができる。
前記実施形態では、車両の電動パワーステアリング装置に本発明を適用した例を挙げたが、本発明は、電動パワーステアリング装置以外の装置にも適用することができる。
1 電源回路
2 インバータ回路
3 PWM駆動回路
4 制御部
5 増幅回路
A1、A3、A5 上アーム
A2、A4、A6 下アーム
Q1〜Q6 スイッチング素子
M モータ
R シャント抵抗

Claims (3)

  1. 上アームと下アームにそれぞれスイッチング素子を有する上下一対のアームが複数組設けられ、PWM(Pulse Width Modulation)信号による各スイッチング素子のON・OFF動作に基づいてモータを駆動するインバータ回路と、
    前記モータから前記インバータ回路を介して流れる各相のモータ電流を検出するための単一のシャント抵抗と、
    前記シャント抵抗に流れる電流に基づいて、第1のタイミングで第1の相のモータ電流を検出し、第2のタイミングで第2の相のモータ電流を検出する電流検出手段と、
    前記電流検出手段が検出した各相のモータ電流の検出値を、前記モータに流す各相の電流の目標値と比較し、その偏差に応じて、位相が互いにずれた各相のPWM信号を生成するPWM信号生成手段と、
    前記第1のタイミングにおける第1の相のモータ電流の検出値を第1のオフセット値により補正し、前記第2のタイミングにおける第2の相のモータ電流の検出値を第2のオフセット値により補正する補正手段と、を備えたモータ制御装置において、
    前記インバータ回路に印加される電源電圧を検出する電源電圧検出手段と、
    前記電源電圧検出手段が検出した電源電圧に応じて、前記第1のオフセット値および前記第2のオフセット値を変更するオフセット値変更手段と、を更に備えたことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 請求項1に記載のモータ制御装置において、
    前記オフセット値変更手段は、
    前記電源電圧検出手段が検出した電源電圧と基準電圧との差を演算し、
    前記差に基づいて、前記第1のオフセット値に対する第1の補正値と、前記第2のオフセット値に対する第2の補正値とを演算し、
    前記第1のオフセット値に前記第1の補正値を加算し、前記第2のオフセット値に前記第2の補正値を加算することにより、前記各オフセット値を変更することを特徴とするモータ制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のモータ制御装置において、
    前記第1のオフセット値は、前記第1のタイミングにおける第1の相のモータ電流の検出値と、所定周期内における第1の相のモータ電流の平均値との差であり、
    前記第2のオフセット値は、前記第2のタイミングにおける第2の相のモータ電流の検出値と、所定周期内における第2の相のモータ電流の平均値との差であり、
    前記第2のオフセット値が前記第1のオフセット値より大きいことを特徴とするモータ制御装置。
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