JP5604220B2 - 繊維製品処理剤組成物 - Google Patents
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Description
(a)成分:下記一般式(1)で表されるケイ酸エステル
(b)成分:総炭素数が5〜12であり、且つlogPが−0.2〜1.5である有機溶剤から選ばれる少なくとも1種
(c)成分:分子内にエステル基又はアミド基で分断されていても良い総炭素数16〜29の炭化水素基を少なくとも1個有するアミン化合物、その酸塩、及びその4級化物から選ばれる少なくとも1種
本発明の(a)成分は、上記一般式(1)で表されるケイ酸エステルである。
具体的には、ゲラニオール(フローラル調、2.8)、ネロール(フローラル調、2.8)、2,6−ジメチル−2−ヘプタノール(フローラル調、3.0)、シトロネロール(フローラル調、3.3)、ロジノール(フローラル調、3.3)、9−デセノール(フローラル調、3.5)、テトラヒドロリナロール(フローラル調、3.5)、4−メチル−3−デセン−5−オール(フローラル調、3.7)、テトラヒドロゲラニオール(フローラル調、3.7)等が挙げられる。ここで、( )内は、(香調、logP値)である。
具体的には、ジメチルベンジルカルビノール(フローラル調、3.0)、フェニルエチルメチルエチルカルビノール(フローラル調、3.0)、3−メチル−5−フェニルペンタノール(フローラル調、3.2)、3−メチル−5−フェニルペンタノール(フローラル調、3.2)、チモール(アロマティック調、3.4)、等が挙げられる。
具体的には、p−tert−ブチルシクロヘキサノール(ウッディ調、3.1)、o−tert−ブチルシクロヘキサノール(ミンティー調、3.1)、l−メントール(ミンティー調、3.2)、4−イソプロピルシクロヘキシルメタノール(グリーンフローラル調、3.3)、1−(4−イソプロピルシクロヘキシル)エタノール(フローラル調、3.6)、サンタロール(ウッディー調、3.9)、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテンー1−オール(ウッディー調、3.9)ベチベロール(ウッディー調、4.2)、1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)−3−ヘキサノール(ウッディーアンバー調、5.9)、等が挙げられる。
本発明の(b)成分は、総炭素数が5〜12であり且つlogPが−0.2〜1.5の有機溶剤である。ここでlogPとは、(a)成分に関し先に述べたlogPと同じ意味を示す。
本発明の(c)成分は、分子内にエステル基又はアミド基で分断されていても良い総炭素数16〜29の炭化水素基を少なくとも1個有するアミン化合物、その酸塩、及びその4級化物から選ばれる少なくとも1種であり、好ましくは分子内にエステル基又はアミド基で分断された総炭素数16〜29の炭化水素基を少なくとも1個有するアミン化合物、その酸塩、及びその4級化物から選ばれる少なくとも1種である。
(d)成分は、logPが3〜6の香料であり、且つ前記(a)成分が加水分解することで香る香調とは異なる香調を呈する香料である。ここで、香調とは「香料と調香の基礎知識」、30頁〜31頁(産業図書株式会社、中島基貴編著、1996年5月30日第2刷)に記載のように香料の香りの性格のことをいい、各香料成分は、下記1)〜18)の18種類の表現の香調に分類されるのが一般的である。
2)アルデハイディック:短鎖脂肪族アルデヒドの匂いであり、優雅な女性的香調
3)グリーン:緑葉、葉、茎などを思わせる香調
4)フルーティ:ストロベリー、ピーチ、アップル、メロンなどの天然果実を思わせる香調
5)ミンティ:ペパーミント、スペアミントを思わせる香調
6)ハーバル:ラベンダー、セージ、ローズマリーなどのハーブや薬草的な香調
7)アロマティック:バジル、アニス、カモミールなどの香草様の香調
8)スパイシー: クローブ、シナモン、ナツメグ、ペッパーなどのピリッとした感じのスパイスの香調
9)フローラル:ローズ、ジャスミン、ミューゲ、バイオレットなどの花の甘く華やかな香調
10)ウッディ:ベチバー、セダー、サンダルなどの木の匂いを思わせる香調
11)アーシィ:パチュリなどのある種の天然香料に感じられる土臭い香調
12)モッシィ:苔様の香調
13)バルサミック:バルサム様の甘く、柔らかで暖かい香調
14)ハニー:蜂蜜様の香調
15)レザー:なめし皮の香調
16)アニマリック:動物の分泌物や抽出物から合成された類似物質、または、これらに近似した匂いの植物の抽出物などに由来する動物くさい香調
17)アンバー:天然のアンバーグリスそのものの香調だけでなく、調合したアンバーベースの香調も指す。主にラブダナム、ベンゾイン、バルサム類、サンダル、ベチバー、パチュリ、バニリン、クマリンなどの組み合わせに由来する、甘くて重厚な香調
18) ムスキー:麝香鹿の雄の生殖腺の分泌物的な強い動物様の香調、あるいはそれに類似した匂いをもつ合成品に由来する、暖かみがあり、肉感的で艶っぽい香調。
具体的には、ターピノレン(シトラス調、4.4)、リモネン(シトラス調、4.4)、p−サイメン(シトラス調、4.1)、γ−ターピネン(シトラス、ハーバル調、4.4)、α−フェランドレン(シトラス、ペッパー調、4.4)が挙げられる。ここで、( )内は、(香調、logP値)である。
具体的には、サンダルマイソールコア(ウッディ調、3.9)、サンタロール(ウッディ調、3.9)、ネロリドール(フローラルグリーン調、4.6)、ファルネソール(フローラル調、4.8)、セドロール(ウッディ調、4.5)、パチュリアルコール(アーシィ調、5.0)が挙げられる。
具体的には、アルデヒドC−11(アルデハイディック調、4.1)、アミルシンナミックアルデヒド(フローラル調、4.3)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(フローラル調、4.9)、リリアール(フローラル調、3.9)、l−カルボン(ミンティ調、3.7)、イオノンα(ウッディ調、3.7)、メチルイオノンα(ウッディ調、4.2)、メチルイオノンG(ウッディ調、4.0)が挙げられる。
具体的には、シトロネリルアセテート(フローラル調、4.2)、ゲラニルアセテート(フローラル調、3.7)、リナリルアセテート(ハーバル調、3.5)、ベンジルサリシレート(バルサミック調、4.2)、イソブチルサリシレート(フローラル調、3.9)が挙げられる。
繊維製品処理剤組成物中の(a)成分の含有量は0.1〜5質量%であり、香りの変化をより判りやすくする観点から、好ましくは0.15〜3質量%、より好ましくは0.2〜2質量%である。繊維製品処理剤組成物中の(c)成分の含有量は4〜25質量%であり、(a)成分の加水分解を適度に抑制する観点から、好ましくは4〜24質量%、より好ましくは6〜23質量%、更に好ましくは10〜22質量%である。(b)成分と(c)成分の質量比は(b)成分/(c)成分=1/1〜1/15であり、(a)成分の加水分解を適度に促進する観点から、好ましくは1/1〜1/12、より好ましくは1/1.5〜1/10である。(b)成分と(c)成分の質量比((b)成分/(c)成分)を大きくすることにより、(a)成分の加水分解性を高くすることが出来、逆に(b)成分と(c)成分の質量比((b)成分/(c)成分)を小さくすることで、加水分解性を低くすることが出来る。
本発明の繊維製品処理剤組成物は、保存安定性の観点又は本発明の効果を更に増強する観点から、非イオン界面活性剤〔以下、(e)成分という〕を好ましくは0.1〜8質量%、より好ましくは0.2〜6質量%含有することが好適である。(e)成分としては、下記一般式(4)で表される非イオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
〔式中、R41は、炭素数8〜18、好ましくは8〜16の炭化水素基(好ましくはアルキル基又はアルケニル基)である。R42は、炭素数2又は3のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基である。R43は、炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子である。aは、2〜100、好ましくは4〜80、より好ましくは5〜60、特に好ましくは8〜50の数を示す。Eは、−O−、−COO−、−CON<又は−N<であり、Eが−O−又は−COO−の場合bは1であり、Eが−CON<又は−N<の場合bは2である。〕
<(a)成分>
(a−1):下記合成例1で得られたケイ酸エステル
(a−2):下記合成例2で得られたケイ酸エステル
(a−3):下記合成例3で得られたケイ酸エステル
(a−4):下記合成例4で得られたケイ酸エステル
<(a’)成分:(a)成分の比較化合物)
(a’−1):下記合成例5で得られたケイ酸エステル
<(b)成分>
(b−1):1,6−ヘキサンジオール(総炭素数:6、logP=−0.11)
(b−2):ヘキシレングリコール(総炭素数:6、logP=−0.02)
(b−3):ジエチレングリコール−モノ−t−ブチルエーテル(総炭素数:8、logP=0.56)
(b−4):2−フェノキシエタノール(総炭素数:8、logP=1.2)
(b−5):1,9−ノナンジオール(総炭素数:9、logP=1.5)
<(b’)成分:(b)成分の比較化合物>
(b’−1):イソプロパノール(総炭素数:3、logP=0.074)
(b’−2):テトラエチレングリコール(総炭素数:8、logP=−1.18)
(b’−3):エチレングリコール−モノ−(2−エチルヘキシル)エーテル(総炭素数10、logP=2.83)
<(c)成分>
(c−1):下記合成例6で得られた化合物
(c−2):下記合成例7で得られた化合物
<(c’)成分:(c)成分の比較化合物>
(c’−1):N,N−ジアルキル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド(アルキル基の組成はラウリル基とミリスチル基がラウリル基/ミリスチル基=40/60(質量比)の割合で混合された基)
<(d)成分>
(d−1):ベンジルサリシレート(logP=4.2、バルサミック調)及びメチルイオノン−α(logP=4.2、ウッディ調)をベンジルサリシレート/メチルイオノン−α=9/1の質量比で混合した香料組成物。香調はバルサミック調をベースに、ウッディな香り。
(d−2):アルデヒドC−11(logP=4.1、アルデハイディック調)及びリモネン(logP=4.4、シトラス調)をアルデヒドC−11/リモネン=1/9の質量比で混合した香料組成物。香調はシトラス調をベースにアルデハイディックな香り。
<その他成分>
・(e)成分:非イオン性界面活性剤
(e−1):ポリオキシエチレン(平均8モル付加)デシルエーテル
(e−2):ポリオキシエチレン(平均20モル付加)ラウリルエーテル
・塩化カルシウム
・イオン交換水
200mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン27.08g(0.13mol)、ゲラニオール72.30g(0.47mol)、2.8%ナトリウムメトキシドメタノール溶液0.485mLを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら110〜120℃で2時間攪拌した。2時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら117〜120℃でさらに4時間攪拌した。4時間後、冷却を開始し、減圧を解除した。25℃で大気圧下(1025mPa)になった後、濾過を行いケイ酸エステル((a−1)成分)を含む77gの黄色油状物を得た。
100mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン18.78g(0.09mol)、サンダルマイソールコア(2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール)63.0g(0.324mol)、2.8%ナトリウムメトキシドメタノール溶液0.635mLを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら109〜110℃で2時間攪拌した。2時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら117〜120℃でさらに3時間攪拌した。3時間後、冷却を開始し、減圧を解除した後、濾過を行いケイ酸エステル((a−2)成分)75gを得た。
200mLの四つ口フラスコにメチルトリエトキシシラン27.24g(0.20mol)、ゲラニオール87.9g(0.57mol)、2.8%ナトリウムメトキシドメタノール溶液0.108mLを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら115℃で2時間攪拌した。2時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら118〜121℃でさらに3時間攪拌した。3時間後、冷却を開始し、減圧を解除した。25℃で大気圧下になった後、濾過を行いケイ酸エステル((a−3)成分)を含む103gの黄色油状物を得た。
100mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン72.96gと水酸化カリウム0.24g、イオン交換水0.4mLを入れ、窒素気流下120〜125℃、33kPa〜101kPa(常圧)で約37時間反応を行った。この間イオン交換水を0.4mL追加した。反応後、33kPaで更に2時間反応させた後、冷却、濾過を行い、67.29gのエトキシシランの縮合物を淡黄色液体として得た。
次いで、100mLの四つ口フラスコに先のテトラエトキシシラン縮合物25.00gとゲラニオール62.95g、4.8%水酸化ナトリウム水溶液0.17gを入れ、エタノールを留出させながら97〜121℃で2時間攪拌した。2時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら118〜121℃でさらに3時間攪拌した。3時間後、冷却、減圧を解除した後、濾過を行い、ポリ(ゲラニルオキシ)シロキサン(一般式(1−3)において、m=5(平均)の化合物)を主成分として含む65.36gの淡黄色油状物として得た。
200mLの四つ口フラスコにテトラエトキシシラン41.68g(0.20mol)、β−フェニルエチルアルコール87.98g(0.72mol)、2.8%ナトリウムメトキシドメタノール溶液1.85mLを入れ、窒素気流下エタノールを留出させながら112℃〜118℃で2時間攪拌した。2時間後、槽内の圧力を徐々に8kPaまで下げ、エタノールを留出させながら115℃でさらに3時間攪拌した。3時間後、冷却を開始し、減圧を解除した。25℃で大気圧下(1025mPa)になった後、濾過を行いケイ酸テトラキス(β−フェニルエチル)エステルを主成分として63質量%含む95gの黄色油状物を得た。
混合脂肪酸(パルミチン酸/ステアリン酸/オレイン/リノール酸質量比=30/30/35/5、平均分子量275)195g(0.71モル)と、トリエタノールアミン54.4g(0.37モル)を混合し、180〜185℃(常圧下)で3時間反応させ、次に200mmHgまで減圧し、更に3時間熟成した。その後、窒素で常圧に戻し、100℃まで冷却し脱水縮合物392gを得た。得られた縮合物の酸価(JIS K0070準拠)は0.7mgKOH/g、全アミン価(JIS K2501準拠)は196mgKOH/gであった。次に、この脱水縮合物392gの温度を70〜75℃に調温し、前記脱水縮合物のアミン価を基に、脱水縮合物のアミン当量に対して0.98当量に相当するジメチル硫酸を2.5時間かけて滴下した。滴下終了後、50〜55℃で更に3時間熟成し、目的の化合物(c−1)を含有する反応生成物を得た。得られた反応生成物の揮発分をJIS K0067の方法に従って測定し、エタノール含有量とした。エタノール以外の固形分の組成を下記文献記載のHPLCの方法に準拠して分析した。得られた反応生成物の組成を表2に示す。
文献:Eilkes,A.J.,C.Jacobs,G.Walraven,J.M.Talbot, Characterization of quaternized triethanolamine esters (esterquats) by HPLC, HRCGC, and NMR, World Surfactants Congr.,4th,1996,1,389-412.
N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(3−アミノプロピル)アミン(分子量132)66g(0.5モル)と、ステアリン酸及びパルミチン酸の混合脂肪酸(ステアリン酸/パルミチン酸質量比=6/4、平均分子量273)259g(0.95モル)を、定法に従って脱水縮合させた(反応温度範囲:180〜190℃、圧力範囲:150〜200Torr)。反応の進行は反応物中の未反応の脂肪酸含量を、JIS K 0070記載の試験法に従い、酸価を測定することで追跡し、酸価が5になった時点で反応を終了させた。反応終了後、反応物を70℃まで空冷し、窒素で常圧(760Torr)に戻した。得られた反応生成物中の未反応脂肪酸含量を、前記JISの試験法に従い酸価を測定することで求めた。その結果、未反応脂肪酸含有量は5質量%であった。得られた反応生成物中の残分(即ち、95質量%)が、下記式(2−1)の化合物と下記式(2−2)の化合物を(2−1)/(2−2)質量比=86/14にて含む(c−1)成分であった。
表3及び表4に示す配合成分を各表に示す割合で用い、下記方法により繊維製品処理剤組成物1〜22(表3)、及び比較組成物1〜11(表4)を調製した。得られた各組成物について、保存安定性(即ち、(a)成分の加水分解性)並びに香りの強さを下記方法に従って評価した。
500mLのガラスビーカーに、一枚の長さが2.5cmのタービン型羽根が3枚ついた攪拌羽根を設置(攪拌羽根底部がビーカー底面より1cm上部になるように設置)し、繊維製品処理剤組成物の出来上がり質量が300gになるのに必要な量の95%相当量のイオン交換水及び(b)成分(または(b’)成分)を入れた。(e)成分を使用する場合には(b)成分を入れた後に(e)成分を投入した。ウォーターバスで62℃まで昇温した。62±3℃の温度範囲で、500rpmで攪拌しながら、溶融した(c)成分を1分間かけて添加した。10分攪拌後、10質量%の塩化カルシウム水溶液を添加した。10分攪拌後に(a)成分(または(a’)成分)を添加した。10分攪拌後、所定のpHにするのに必要な量の35%塩酸水溶液及び/又は48%水酸化ナトリウム水溶液を添加した。5分間攪拌した後に5℃のウォーターバスで30℃まで冷却した。最後に再度pHを確認し、必要に応じて35%塩酸水溶液及び/又は48%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを調整した。
表3及び表4において、(c−1)又は(c−2)に含有するアミン化合物は、ほぼすべて塩酸塩の状態で組成物に存在する。なお、表中、(c)成分の数値はそれ自体(有効分)の含有量である。また、(a)成分(または(a’)成分)の数値は合成例1〜5で得られたケイ酸エステルの含有量である。
(1) 繊維製品処理剤組成物の保存
上記調製方法で得られた繊維製品処理剤組成物40gを50ml容量のガラス製のスクリュー管に入れ、40℃の恒温槽(ヤマト科学製送風定温恒温器)にて14日間静置保存した。
(2) 保存後の(a)成分の残存率の算出
下記の測定方法に従って測定した、保存前後の繊維製品処理剤組成物中における遊離状態の香料アルコール量並びに保存前の繊維製品処理剤組成物中における香料アルコール全量(遊離状態のものもケイ酸エステル中にアルコール残基として存在する状態のものも全て含めた香料アルコール量)に基づいて、保存後の(a)成分の残存率を下記式により算出した。結果を表3及び表4に示す。ここで、下記式中、Xは保存前の繊維製品処理剤組成物中における遊離状態の香料アルコール量を、Yは保存後の繊維製品処理剤組成物中における遊離状態の香料アルコール量を、Zは保存前の繊維製品処理剤組成物中における香料アルコール全量をそれぞれ示す。
カラム:Lichrospher 100 RP−18(e) 5μm 250mm×4φ
カラム温度:40℃
溶離剤:アセトニトリル/水=7/3(質量比)の混合溶液
流速:1.0mL/min
検出器:UV(220nm)
以下に示す評価サンプル、香り基準品1及び香り基準品2を用意し、下記処理方法に従って繊維製品に処理し、以下に示す評価基準に従って評価した。なお、香り基準品2を用意するのに用いた「繊維製品処理剤組成物基準サンプル」に関しては、上記<繊維製品処理剤組成物(1)の製造>において、(a)成分の代わりに(a)成分の原料となった香料アルコールを同質量用いた以外は、上記<繊維製品処理剤組成物の製造(1)>と同様の方法で調製した。
香り基準品1:繊維製品処理剤組成物40gを50ml容量のガラス製のスクリュー管に入れ、25℃の恒温槽(ヤマト科学製送風定温恒温器)にて6時間放置したサンプル
香り基準品2:繊維製品処理剤組成物基準サンプル40gを50ml容量のガラス製のスクリュー管に入れ、25℃の恒温槽(ヤマト科学製送風定温恒温器)にて6時間放置したサンプル
(1−1)前処理した木綿タオルの調製
あらかじめ、市販の弱アルカリ性洗剤(花王(株)製 アタック高活性バイオEX、2009年製)を用いて、木綿タオル(木綿100%、武井タオル製、約34cm×86cm、約68g/1枚当たり)24枚を日立全自動洗濯機NW-6CYで5回洗浄を繰り返し、室内乾燥することによって、過分の薬剤を除去した(洗剤濃度0.0667質量%、水道水47L使用、水温20℃、洗浄10分、ため濯ぎ2回)。
(1−2)木綿タオルへの繊維製品処理剤組成物の処理
National製電気バケツ(N−BK2)に、5リットルの水道水を投入し、繊維製品処理剤組成物を10g/繊維1kgとなるように投入し、前記の木綿タオル2枚を投入し5分間処理した。処理後、日立製2槽式洗濯機(型番:PS−H35L)の脱水槽で3分間脱水した。
香り基準品1で処理した脱水直後の木綿タオルから香る、香りの強さを0、香り基準品2で処理した脱水直後の木綿タオルから香る、香りの強さを5とし、評価点0、1、2、3、4及び5の6段階評価で、評価サンプルで処理した脱水直後の木綿タオルから香る、香りの強さを評価した。
評価は10人のパネラー(20代女性5人、20代男性5人の計10人)の平均点を求めた。結果を表3及び表4に示す。
表5に示す配合成分を表5に示す割合で用い、下記方法により、表5に示す繊維製品処理剤組成物23〜28、及び比較組成物12〜14を調製した。得られた各組成物について、保存安定性(即ち、(a)成分の加水分解性)を上記<保存安定性の評価>と同様の手順で評価すると共に、香りの変化を下記方法に従って評価した。
500mLのガラスビーカーに、一枚の長さが2.5cmのタービン型羽根が3枚ついた攪拌羽根を設置(攪拌羽根底部がビーカー底面より1cm上部になるように設置)し、繊維製品処理剤組成物の出来上がり質量が300gになるのに必要な量の95%相当量のイオン交換水及び(b)成分(または(b’)成分)を入れた。(e)成分を使用する場合には(b)成分を入れた後に(e)成分を投入した。ウォーターバスで62℃まで昇温した。62±3℃の温度範囲で、500rpmで攪拌しながら、溶融した(c)成分を1分間かけて添加した。10分攪拌後、10質量%の塩化カルシウム水溶液を添加した。10分攪拌後に(a)成分(または(a’)成分)及び(d)成分を添加した。10分攪拌後、所定のpHにするのに必要な量の35%塩酸水溶液及び/又は48%水酸化ナトリウム水溶液を添加した。5分間攪拌した後に5℃のウォーターバスで30℃まで冷却した。最後に再度pHを確認し、必要に応じて35%塩酸水溶液及び/又は48%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを調整した。表5の組成においては、(c−1)中に含有するアミン化合物は、ほぼすべて塩酸塩の状態で存在する。なお、表5中、(c)成分の数値はそれ自体(有効分)の含有量である。また、(a)成分の数値は合成例1〜5で得られたケイ酸エステルの含有量である。
以下に示す評価サンプル、香り基準品3及び香り基準品4を用意し、下記処理方法に従って繊維製品に処理し、以下に示す評価基準に従って評価した。なお、香り基準品4を用意するのに用いた「繊維製品処理剤組成物基準サンプル」に関しては、上記<繊維製品処理剤組成物の製造(2)>において、(a)成分の代わりに(a)成分の原料となった香料アルコールを同質量用いた以外は、上記<繊維製品処理剤組成物の製造(2)>と同様の方法で調製した。
香り基準品3:繊維製品処理剤組成物40gを50ml容量のガラス製のスクリュー管に入れ、25℃の恒温槽(ヤマト科学製送風定温恒温器)にて6時間放置したサンプル
香り基準品4:繊維製品処理剤組成物基準サンプル40gを50ml容量のガラス製のスクリュー管に入れ、25℃の恒温槽(ヤマト科学製送風定温恒温器)にて6時間放置したサンプル
上記<香りの変化の評価(1)>の場合と同様の方法で木綿タオルを処理した。
香り基準品3で処理した脱水直後の木綿タオルから香る香調、香り基準品4で処理した脱水直後の木綿タオルから香る香調、並びに評価サンプルで処理した脱水直後の木綿タオルから香る香調を検討し、下記評価基準にて、評価点0、1、2、3、4及び5の6段階評価で評価した。
評価点0:評価サンプルの香調は香り基準品3の香調に近い
評価点5:評価サンプルの香調は香り基準品4の香調に近い
Claims (2)
- 下記(a)成分、(b)成分、(c)成分及び水を含有する繊維製品処理剤組成物であって、該組成物中の(a)成分の含有量が0.1〜5質量%、(c)成分の含有量が4〜25質量%、(b)成分と(c)成分の質量比が(b)成分/(c)成分=1/1〜1/15であり、該組成物の25℃でのpHが2〜6である繊維製品処理剤組成物。
(a)成分:下記一般式(1)で表されるケイ酸エステル
(b)成分:総炭素数が5〜12であり、且つlogPが−0.2〜1.5である有機溶剤から選ばれる少なくとも1種
(c)成分:分子内にエステル基又はアミド基で分断されていても良い総炭素数16〜29の炭化水素基を少なくとも1個有するアミン化合物、その酸塩、及びその4級化物から選ばれる少なくとも1種
〔式中、Xは−OH、−R1、−OR2又は−OR3であり、YはX又は−OSi(X)3であり、R1は置換基としてフェニル基、水酸基又はアルコキシ基を有していても良い総炭素数1〜22の炭化水素基、R2は香料アルコールから水酸基1個を除いた残基であって−OR 2 に対応するR 2 OHはlogPが2〜5であり、R3は炭素数1〜6の炭化水素基、nは平均値を示す0〜15の数である。複数個のX及びYはそれぞれ同一でも異なっていても良いが、一分子中に−OR2を少なくとも1つ有する。〕 - 更に(d)成分として、logPが3〜6の香料であり、組成物中の前記(a)成分が加水分解することで香る香調とは異なる香調を呈する香料を含有する請求項1記載の繊維製品処理剤組成物。
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