JP5603966B2 - タイヤ - Google Patents
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Description
図1は、本発明の第1実施形態に係るタイヤ10の、トレッド6の部分展開図を示す。なお、図示は省略するが、このタイヤ10は、1対のビード部及び1対のサイドウォール部と、両サイドウォール部間に跨るトレッド部と、からなり、一方のビード部からトレッド部を通り、他方のビード部にわたって延びる有機繊維コード又はスチールコードのプライからなるカーカスと、該カーカスとトレッドゴムからなるトレッド6との間に配置したスチールコード層からなるベルトと、を具える。
ここでは、これらの陸部5のうち、タイヤ幅方向最外側に位置する1対の陸部5sを外側陸部Sとし、陸部5sと周方向溝1を介して隣接する陸部5c2及び5c3と、これらの陸部間に位置する陸部5c1と、を中央陸部Cとして、以下、第1実施形態に係るタイヤ10のトレッド6について詳述する。なお、本明細書でいう外側陸部Sとは、タイヤ幅方向外側に、トレッド6の接地端eまでの範囲とする。ここでいうトレッド6の接地端eとは、タイヤ10を適用リムに装着し、所定空気圧を充填し、静止した状態で平板に対し垂直に置き、所定の質量に対応する負荷を加えたときの、平板との接触面におけるタイヤ幅方向両端をいう。
一方、中央陸部Cを構成する陸部5c1、5c2及び5c3は、タイヤ周方向に傾斜して延び、一方端が周方向溝1に開口し、他方端が陸部内で終端する横溝4と、該横溝4と同様の方向に延び、両端が周方向溝1に開口するセンターサイプ3c1、一方端が周方向溝1に開口し、他方端が横溝4に開口するセンターサイプ3c2、及び/又は、両端が横溝4に開口するセンターサイプ3c3(これらのセンターサイプ3c1〜3c3を、以下、サイプ3cともいう)と、を有する。
なお、図示例では、サイプ3c1〜3c3は直線状に延在しているが、例えば、ジグザグ状、鋸歯状、波状等の非直線状であってもよい。
図3には、かかるサイプ3sの端面形状を拡大して示している。サイプ3sは、陸部5sにおけるトレッド踏面Rからサイプ深さ方向(図3に示すZ方向)に、該踏面Rから一方側に傾斜して延びる傾斜部12と、屈曲点G1を介して他方側に傾斜して延びる傾斜部13と、屈曲点G2を介して前記一方側に傾斜して延びる傾斜部14と、屈曲点G3を介して前記他方側に傾斜して延びる傾斜部15と、該傾斜部15の陸部底部側からサイプ深さ方向に、垂直に延びる垂直部16と、を順に具える屈曲部11を有する。
なお、サイプ3sとは、一定の開口幅の下にトレッド6の外側陸部5sの両壁面に囲まれることで形成される空間であるが、ここでは、サイプ3sの幅方向中心線B(図3において、1点鎖線で示される)を、サイプ長手方向にわたって連続させることで形成される面を、サイプ3sのサイプ形状として表している。このように、サイプ3sは、屈曲部11をサイプ長手方向に連ねてなる屈曲域Mを形成する。
かかるサイプ3cの形状を、サイプ長手方向にわたって表したのが、図5である。このサイプ3cは、サイプ長手方向中央に屈曲域Mと、該屈曲域Mの長手方向両端側に、前記平板部9を連ねてなる平板状域N1及びN2を形成する。
タイヤ駆動時に接地圧が高まる外側陸部Sをブロック状にすると、かかる状況下における駆動性能を向上させることができ、また、氷雪路及び乾燥路の双方における走行時に、常にトレッド6の接地域内となる中央陸部Cをリブ状とすると、かかる陸部をブロック状とした場合に比し接地面積を大きくとることができるため、ハンドリング性が向上するからである。また、図1のトレッド6のように、中央陸部Cに片端が周方向溝に開口する横溝4を設けると、中央陸部Cにおけるグリップ力を増加させる観点から好ましい。
また、サイプ幅方向断面視で、サイプ3s及び3cの、サイプ深さ方向に直線状となる垂直部16は、傾斜部15に連続して、該傾斜部15の延在方向に延びる形状であってもよい。
そして、トレッド踏面RからD/4以上D/3以下の深さ領域にて、垂直部29から、サイプ幅方向の一方側に向かって傾斜する面、ここでは紙面右下側に向かって傾斜する傾斜部22が形成されている。続いて、トレッド踏面RからD/3以上D/2以下の深さ領域にて、深さD/3の位置に在る第1副屈曲点Q1を介して、前記一方側とは反対の他方側に向かって傾斜する面、ここでは紙面左下側に向かって傾斜する第1傾斜部23が形成されている。続いて、トレッド踏面RからD/2以上2D/3以下の深さ領域にて、深さD/2の位置に在る主屈曲点Pを介して前記一方側に傾斜する面、ここでは紙面右下側に向かって傾斜する第2傾斜部24が形成されている。続いて、トレッド踏面Rから2D/3以上3D/4以下までの深さ領域にて、深さ2D/3の位置に在る第2副屈曲点Q2を介して、前記他方側に向かって傾斜する面、ここでは紙面左下側に向かって傾斜する傾斜部25が形成されている。さらに、傾斜部25の陸部底部側端から陸部5sの底部に向かって、サイプ深さ方向に沿って直線状となる垂直部26が形成されている。
サイプ3s及び3cが、トレッド踏面Rから、該トレッド踏面Rに略垂直となる方向に延びると、トレッド踏面Rに露出するサイプエッジ付近の剛性が高まるため、路面からの入力による巻き込み変形によって、特に、乾燥路面を走行する際に当該エッジ付近が欠損するのを抑制することができる。また、路面からの入力方向に関わらず、エッジ付近が開き易くなってエッジ効果が高まるため、特に、氷雪路面を走行する際に有利となる。
かかる構成によれば、陸部5の剛性を適切な範囲に維持しながら、サイプ3cのエッジ効果を得ることが可能となる。平板状域Nの占めるサイプ長手方向長さが1%以上であれば、中央陸部Cにおけるエッジ効果を十分に発現させることができ、50%以下であれば、中央陸部Cに必要とされる剛性を十分意確保することができる。このように、中央陸部Cを構成する陸部5c1〜5c3に配置するサイプ3cの平板状域の割合を調整することによって、トレッド6の陸部剛性を最適化することができる。
これは、主にサイプ3cのエッジ効果によって氷雪路走行における駆動力を得る中央陸部Cに、主にトレッド6の陸部剛性によって乾燥路走行における駆動力を得る外側陸部Sよりも多くサイプを配置すれば、前記サイプ3c及びサイプ3sを適用した、本発明に係るタイヤに所期される性能を、十分に発揮させることができるからである。
この場合、サイプ3s及び3cは、主屈曲点P、第1副屈曲点Q1、第2副屈曲点Q2の屈曲点を介して、サイプ幅方向に屈曲する形状を有するため、タイヤ20の転動時に、サイプ3s及び3cにより分断された対向する壁面同士が互いに接触して、陸部5s及び5cの倒れ込みをより効果的に抑制することができる。すなわち、陸部にサイプを配設しながらも該陸部の剛性を維持しながら、エッジ効果を増加させるのに有利である。
具体的に、外側陸部Sを構成する陸部5sには、該陸部5sを区画形成する周方向溝1に一端が開口し、他方端が陸部5s内にて終端するサイプが、各ブロックに2本ずつ配設されている。また、中央陸部Cを構成する陸部5c1には、横溝4の延在方向に対して角度を有して延び、一方端が横溝4に開口し、他方端がサイプ3cと合流するサイプがタイヤ周方向に一定間隔で配設されている。さらに、陸部5c2及び5c3には、横溝4サイプ3cの開口端に、タイヤ周方向に延びる複数のサイプが配設されている。これらのサイプうち、中央陸部Cを構成する陸部5c1〜5c3に設けられた、長手方向の一端のみが溝に開口するサイプにも、本発明に係るサイプ形状を適用することができる。
発明例タイヤ1は、タイヤサイズ215/55R17であって、図1のトレッドパターンを有し、かかるトレッドの外側陸部Sにおいては、図4に示すサイプ形状がブロック状の陸部5sに設けられたサイプ3sに適用され、また、中央陸部Cにおいては、図5に示すサイプ形状がリブ状の陸部5cに設けられたサイプ3c1、3c2及び3c3に適用されたタイヤである。各サイプは、図1に示すように、トレッド踏面R上で、タイヤ幅方向に直線状に延びている。サイプの諸元は、表1に示す通りである。
発明例タイヤ2〜10は、サイプの各諸元を表1の通りに変化させたこと以外は、発明例タイヤ1と同様である。
比較例タイヤは、サイプが、トレッド踏面Rからサイプ深さ方向に、振幅一定の波形状を描いて延びる部分を有すること以外は、発明例タイヤ1と同様である。
上記の試作タイヤをリム(幅7J)にリム組みして空気圧230kPaを充填した後、一定荷重条件下で大きなせん断力を与えた。この時に、サイプ壁面同士の接触により発揮される陸部摩擦係数を比較することにより、タイヤのドライ性能評価を行った。
試作タイヤを上記と同様の状態にした後、車両を氷雪路面上に設置し、車両の静止状態からアクセルを全開にして50m走行するまでの時間(加速タイム)を計測する、氷雪上加速試験を行うことにより氷雪上性能を評価した。
表1に示される結果は、比較例タイヤを100とする指数表示で表したものであり、各数値が大きいほどかかる性能に優れていることを示している。
3c1、3c2、3c3:センターサイプ 4:横溝 5s:外側陸部 5c1、5c2、5c3:中央陸部 6:トレッド 9:平板部 10、20:タイヤ 11、21:屈曲部 12、13、14、15、22、25:傾斜部 23:第1傾斜部 24:第2傾斜部 26、29:垂直部 B:サイプの幅方向中央線 C:中央陸部 D:サイプ深さ E:第1傾斜部の端辺長さ F:第2傾斜部の端辺長さ G1、G2、G3:屈曲点 K:サイプの開口幅 L、Lc、Ls:サイプの長手方向長さ M:屈曲域 N、N1、N2:平板状域 P:主屈曲点 Q1:第1副屈曲点 Q2:第2副屈曲点 R:トレッド踏面 S:外側陸部 W1:第1傾斜部のサイプ幅方向距離 W2:第2傾斜部のサイプ幅方向距離 H:垂直部の踏面からのサイプ深さ方向の長さ X:タイヤ幅方向 Y:タイヤ周方向 Z:タイヤ径方向 a1:屈曲域における第1傾斜部の面積 a2:屈曲域における第2傾斜部の面積
Claims (5)
- トレッド踏面に設けられた少なくとも2本の周方向溝とトレッド接地端とによって、トレッド踏面に3本以上の陸部を区画形成し、これらの陸部のうち、トレッド幅方向最外側に位置する1対の陸部を外側陸部、該外側陸部以外の陸部を中央陸部としたとき、
前記外側陸部には、サイプ長手方向の両端が該外側陸部内で終端するショルダーサイプが設けられ、該ショルダーサイプは、サイプ深さ方向の少なくとも一部でサイプ幅方向の一方側及び他方側にそれぞれ屈曲する屈曲部が、サイプ長手方向の全長にわたって連続する屈曲域を形成し、
前記中央陸部には、両端が前記周方向溝又はその他の溝に開口するセンターサイプが設けられ、該センターサイプは、サイプ深さ方向の少なくとも一部でサイプ幅方向の一方側及び他方側にそれぞれ屈曲する屈曲部が、サイプ長手方向に連続する屈曲域を形成するとともに、前記トレッド踏面に対して垂直に延び、サイプ深さ方向にわたる平板部が、前記屈曲域のサイプ長手方向の少なくとも一方側に連なる平板状域を形成すること、を特徴とするタイヤ。 - 前記外側陸部がブロック状陸部であり、前記中央陸部がリブ状陸部である、請求項1に記載のタイヤ。
- 前記ショルダーサイプ及び前記センターサイプは、前記トレッド踏面と前記屈曲部との間で、該トレッド踏面に対して垂直に延びる垂直部を有する、請求項1又は2に記載のタイヤ。
- 前記中央陸部の踏面における、前記センターサイプの前記平板状域のサイプ長手方向長さが、前記センターサイプのサイプ長手方向長さの1%以上50%以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記外側陸部の踏面における、前記ショルダーサイプの長手方向長さLsを全ての前記ショルダーサイプで合計した値TLsの、前記外側陸部の総面積Rsに対する割合を示すサイプ密度TLs/Rsが、前記中央陸部の同様のサイプ密度TLc/Rcに比し低い、請求項1から4のいずれか1項に記載のタイヤ。
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