JP5600896B2 - 環式ポリアリーレンスルフィドおよびポリアリーレンスルフィドの回収方法 - Google Patents

環式ポリアリーレンスルフィドおよびポリアリーレンスルフィドの回収方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5600896B2
JP5600896B2 JP2009159517A JP2009159517A JP5600896B2 JP 5600896 B2 JP5600896 B2 JP 5600896B2 JP 2009159517 A JP2009159517 A JP 2009159517A JP 2009159517 A JP2009159517 A JP 2009159517A JP 5600896 B2 JP5600896 B2 JP 5600896B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyarylene sulfide
mixture
polar solvent
organic polar
cyclic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009159517A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010037550A (ja
JP2010037550A5 (ja
Inventor
浩平 山下
俊輔 堀内
佳世 土屋
幸二 山内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2009159517A priority Critical patent/JP5600896B2/ja
Publication of JP2010037550A publication Critical patent/JP2010037550A/ja
Publication of JP2010037550A5 publication Critical patent/JP2010037550A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5600896B2 publication Critical patent/JP5600896B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Description

本発明は、環式ポリアリーレンスルフィドおよびポリアリーレンスルフィドの回収方法に関し、少なくともポリアリーレンスルフィド、環式ポリアリーレンスルフィド及び有機極性溶媒を含む混合物から有機極性溶媒を留去することにより、純度の高い環式ポリアリーレンスルフィドおよび線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマー含有量の少ないポリアリーレンスルフィドを回収する方法に関するものである。
ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略する場合もある)に代表されるポリアリーレンスルフィド(以下、PASと略する場合もある)は優れた耐熱性、バリア性、耐薬品性、電気絶縁性、耐湿熱性、難燃性などエンジニアリングプラスチックとして好適な性質を有する樹脂である。また、射出成形、押出成形により各種成形部品、フィルム、シート、繊維等に成形可能であり、各種電気・電子部品、機械部品および自動車部品など耐熱性、耐薬品性の要求される分野に幅広く用いられている。
このPASの具体的な製造方法として、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機アミド溶媒中で硫化ナトリウムなどのアルカリ金属硫化物とp−ジクロロベンゼンなどのポリハロ芳香族化合物とを反応させる方法が提案されており(例えば特許文献1参照。)、この方法はPASの工業的製造方法として幅広く利用されている。この製造方法においては、PASの重合段階において分子量の低いPAS成分である線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーが少なからず生成するが、通常のポリアリーレンスルフィドの回収方法ではこの線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーはポリアリーレンスルフィドと共に回収されるという問題がある。これら線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーがポリアリーレンスルフィド中に混在すると、製品の曲げ強度などの機械的性能を低下させる、樹脂溶融時の発生ガス量を増大する、また成形加工時の金型や口金の汚れを増大するなどの原因になる。そこで、ポリアリーレンスルフィドから線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーを分離する方法が望まれている。通常はポリアリーレンスルフィドを有機溶剤で洗浄するといった精製工程を経て、分離、除去されるが(例えば特許文献2参照。)、これらの工程には長時間を要するため生産性が低下しコストアップの要因となる。
また、分子量の低いPAS成分として、上記線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーの他に環式ポリアリーレンスルフィドが存在することが分かっている(例えば特許文献3参照。)。芳香族環式化合物は、その環状であることから生じる特性に基づく高機能材料や機能材料への応用展開可能性、たとえば包接能を有する化合物としての特性や、開環重合による高分子量直鎖状化合物の合成のための有用なモノマーとしての活用など、その構造に由来する特異性で近年注目を集めており、環式ポリアリーレンスルフィドもこの範疇に属し、注目に値する化合物である。しかしながら、環式ポリアリーレンスルフィドは重量平均分子量が線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーと近く、そのため有機溶剤への溶解性などの物性が類似している。そのため、通常の精製方法では線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーと環式ポリアリーレンスルフィドの分離は困難であり、純度の高い環式ポリアリーレンスルフィドを収率良く得ることは困難を極める。
そこで、純度の高い環式ポリアリーレンスルフィド及び線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマー含有量の少ないポリアリーレンスルフィドを製造するためには、系内に含まれる線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマー量を低減する方法が望まれる。
ジハロゲン化芳香族化合物とスルフィド化剤を有機極性溶媒中で反応させて得られる混合物中に含有される線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマー量を低減する方法としては、反応中に溶媒の一部を除去して重合を行なう方法(例えば特許文献4参照。)、また反応中に溶媒の一部を除去し、次いで系内に水を添加させることで線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーの高分子量化を行なう方法(例えば特許文献5参照。)、さらに反応中に溶媒の一部を除去し、ついで系内に重合助剤を添加し線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーの高分子量化を行なう方法(例えば特許文献6参照。)が開示されている。しかしながら、これらの方法は、線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマー含有量の低減されたポリアリーレンスルフィドを得ることを目的としているため、環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法に関しては何ら開示されていない。また、これらの方法ではジハロゲン化芳香族化合物とスルフィド化剤を反応させる際の有機極性溶媒の量を少なくしているため、環式ポリアリーレンスルフィドの生成量が少ないことが予想でき、環式ポリアリーレンスルフィドの効率よい回収方法であるとは言えない。
特許第3200027号公報 特開昭59−6221号公報 特開平5−163349号公報 特開平5−230214号公報 特開平6−49208号公報 特開2002−284876号公報
本発明は、上記従来技術の課題を解決し、高純度の環式ポリアリーレンスルフィドおよび線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマー含有量の少ないポリアリーレンスルフィドの回収方法を提供することを課題とする。
本発明はかかる課題を解決するために、次の手段を採用するものである。
すなわち、本発明は、
(1)少なくともスルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物及び有機極性溶媒を含む混合物を、混合物中のイオウ成分1モルに対して有機極性溶媒を1.25リットル以上50リットル以下用い、加熱して反応させて得られた、少なくとも重量平均分子量5,000〜1,000,000のポリアリーレンスルフィド、繰り返し単位数mが2〜50の環式ポリアリーレンスルフィド及び有機極性溶媒を含む混合物であって、ポリアリーレンスルフィド100重量部に対して環式ポリアリーレンスルフィドが6重量部以上70重量部以下である混合物(a)から環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドを回収する方法であって、
混合物(a)から有機極性溶媒の量が混合物中のイオウ成分1モルに対して0.1リットル以上1.0リットル以下となるまで有機極性溶媒を留去し、少なくともポリアリーレンスルフィド、環式ポリアリーレンスルフィド及び有機極性溶媒を含む混合物(b)を調製する工程、
および混合物(b)をポリアリーレンスルフィドが不溶となる温度領域で固液分離(c)を行う工程を含むことを特徴とする環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドの回収方法。
(2)少なくともポリアリーレンスルフィド、スルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物及び有機極性溶媒を含む混合物を、混合物中のイオウ成分1モルに対して有機極性溶媒を1.25リットル以上50リットル以下用い、加熱して反応させて得られた、少なくとも重量平均分子量5,000〜1,000,000のポリアリーレンスルフィド、繰り返し単位数mが2〜50の環式ポリアリーレンスルフィド及び有機極性溶媒を含む混合物であって、ポリアリーレンスルフィド100重量部に対して環式ポリアリーレンスルフィドが6重量部以上70重量部以下である混合物(a)から環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドを回収する方法であって、
混合物(a)から有機極性溶媒の量が混合物中のイオウ成分1モルに対して0.1リットル以上1.0リットル以下となるまで有機極性溶媒を留去し、少なくともポリアリーレンスルフィド、環式ポリアリーレンスルフィド及び有機極性溶媒を含む混合物(b)を調製する工程、
および混合物(b)をポリアリーレンスルフィドが不溶となる温度領域で固液分離(c)を行う工程を含むことを特徴とする環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドの回収方法。
(3)環式ポリアリーレンスルフィドが、繰り返し単位数mが2〜25の環式ポリアリーレンスルフィドであることを特徴とする請求項1または2に記載の環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドの回収方法。
(4)ポリアリーレンスルフィドが不溶となる温度領域で固液分離(c)を行なうことにより得られた濾液成分から、環式ポリアリーレンスルフィド混合物を固形物として得る工程を含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドの回収方法。
(5)固液分離(c)により得られた濾液成分から回収した混合物が、環式ポリアリーレンスルフィドを50重量%以上含むことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドの回収方法。
(6)有機極性溶媒を留去する温度が140℃以上であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドの回収方法。
(7)有機極性溶媒を留去する温度が180℃以上であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドの回収方法。
(8)固液分離(c)により得られた少なくともポリアリーレンスルフィドとアルカリ金属ハライド塩を含有する混合物からアルカリ金属ハライド塩を除去する工程をさらに含む(1)〜(7)のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドの回収方法である。
本発明によれば、ポリアリーレンスルフィド、環式ポリアリーレンスルフィドおよび有機極性溶媒を含む混合物からポリアリーレンスルフィド、環式ポリアリーレンスルフィドを回収する際に、有機極性溶媒を留去してから、固液分離を行なうことで、純度の高い環式ポリアリーレンスルフィドを回収することができる、線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマー含有量の少ないポリアリーレンスルフィドを回収することができる、ポリアリーレンスルフィドの粒径を大きくできることから、効率よくポリアリーレンスルフィドを回収できるという効果が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)環式ポリアリーレンスルフィド
本発明における環式ポリアリーレンスルフィドとは、式、−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とする環式化合物であり、好ましくは当該繰り返し単位を80モル%以上含有する下記一般式(ア)のごとき化合物である。
Figure 0005600896
ここでArとしては下記式(イ)〜式(ス)などで表される単位を例示できるが、このなかでも式(イ)〜式(サ)が好ましく、式(イ)及び式(ウ)がより好ましく、式(イ)が特に好ましい(ただし、式中のR1,2は水素、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一でも異なっていてもよい。)。
Figure 0005600896
Figure 0005600896
Figure 0005600896
なお、環式ポリアリーレンスルフィドにおいては前記式(イ)〜式(ス)などの繰り返し単位をランダムに含んでも良いし、ブロックで含んでも良く、それらの混合物のいずれかであってもよい。これらの代表的なものとして、環式ポリフェニレンスルフィド、環式ポリフェニレンスルフィドスルホン、環式ポリフェニレンスルフィドケトン、これらが含まれる環式ランダム共重合体、環式ブロック共重合体及びそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましい環式ポリアリーレンスルフィドとしては、主要構成単位としてp−フェニレンスルフィド単位
Figure 0005600896
を80モル%以上、特に90モル%以上含有する環式ポリフェニレンスルフィド(以下、環式PPSと略すこともある)が挙げられる。
環式ポリアリーレンスルフィドの前記(ア)式中の繰り返し数mに特に制限はないが、2〜50が好ましく、2〜25がより好ましく、3〜20が更に好ましい範囲として例示できる。
また、環式ポリアリーレンスルフィドは、単一の繰り返し数を有する単独化合物、異なる繰り返し数を有する環式ポリアリーレンスルフィドの混合物のいずれでも良い。
(2)ポリアリーレンスルフィド
本発明におけるポリアリーレンスルフィドとは、式、−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とする好ましくは当該繰り返し単位を80モル%以上含有する線状のホモポリマーまたは線状のコポリマーである。Arとしては前記の式(イ)〜式(ス)などで表される単位などがあるが、なかでも式(イ)が特に好ましい(ただし、式中のR1,2は水素、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一でも異なっていてもよい。)。
この繰り返し単位を主要構成単位とする限り、下記の式(セ)から式(チ)などで表される少量の分岐単位または架橋単位を含むことができる。これら分岐単位または架橋単位の共重合量は、−(Ar−S)−の単位1モルに対して0〜1モル%の範囲であることが好ましい。
Figure 0005600896
また、本発明におけるポリアリーレンスルフィドは上記繰り返し単位を含むランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物のいずれかであってもよい。
これらの代表的なものとして、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいポリアリーレンスルフィドとしては、ポリマーの主要構成単位としてp−フェニレンスルフィド単位
Figure 0005600896
を80モル%以上、特に90モル%以上含有するポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略すこともある)の他、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトンが挙げられる。
本発明における各種ポリアリーレンスルフィドの分子量に特に制限はないが、一般的なポリアリーレンスルフィドの重量平均分子量としては2000〜1000000が例示でき、2500〜500000が好ましく、5000〜100000がより好ましい。一般に重量平均分子量が前記範囲のポリアリーレンスルフィドは機械強度や耐薬品性などの特性が特に優れたものとなる。なお、ここでの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算で算出した値である。
(3)線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマー
本発明における線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーとは、式、−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とする好ましくは当該繰り返し単位を80モル%以上含有する線状のホモポリマーまたは線状のコポリマーである。Arとしては前記の式(イ)〜式(ス)などで表される単位などがあるが、なかでも式(イ)が特に好ましい(ただし、式中のR1,2は水素、炭素数1から6のアルキル基、炭素数1から6のアルコキシ基、ハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一であっても異なっていてもよい。)。
この繰り返し単位を主要構成単位とする限り、上記の式(セ)から式(チ)などで表される少量の分岐単位または架橋単位を含むこともできる。これら分岐単位または架橋単位の共重合量は、−(Ar−S)−の単位1モルに対して0〜1モル%の範囲であることが好ましい。
また、本発明における線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーは上記繰り返し単位を含むランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物のいずれかであってもよい。
これらの代表的なものとして、線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマー、線状ポリフェニレンスルフィドスルホンオリゴマー、線状ポリフェニレンスルフィドケトンオリゴマー、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましい線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーとしては、主要構成単位としてp−フェニレンスルフィド単位
Figure 0005600896
を80モル%以上、特に90モル%以上含有する線状ポリフェニレンスルフィドオリゴマーが挙げられる。
本発明における各種線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーの平均分子量は前述のポリアリーレンスルフィドよりも低いものと定義でき、一般的な線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーの重量平均分子量としては200〜5000が例示でき、200〜4000が好ましく、300〜3000がより好ましい。なお、ここでの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算で算出した値である。
(4)スルフィド化剤
本発明で用いるスルフィド化剤とは、ジハロゲン化芳香族化合物にスルフィド結合を導入できるものであれば良く、例えばアルカリ金属硫化物、アルカリ金属水硫化物、および硫化水素が挙げられる。
アルカリ金属硫化物の具体例としては、例えば硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウムおよびこれら2種類以上の混合物を挙げることができ、なかでも硫化リチウムおよび/または硫化ナトリウムが好ましく、硫化ナトリウムがより好ましく用いられる。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。なお、水性混合物とは水溶液、もしくは水溶液と固体成分の混合物、もしくは水と固体成分の混合物のことを指す。一般的に入手できる安価なアルカリ金属硫化物は水和物または水性混合物であるので、この様な形態のアルカリ金属硫化物を用いることが好ましい。
アルカリ金属水硫化物の具体例としては、例えば水硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化ルビジウム、水硫化セシウムおよびこれら2種類以上の混合物を挙げることができ、なかでも水硫化リチウムおよび/または水硫化ナトリウムが好ましく、水硫化ナトリウムがより好ましく用いられる。
また、アルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物から、反応系中で調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。また、あらかじめアルカリ金属水硫化物とアルカリ金属水酸化物を接触させて調製したアルカリ金属硫化物も用いることができる。これらのアルカリ金属水硫化物およびアルカリ金属水酸化物は水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができ、水和物または水性混合物が入手のしやすさ、コストの観点から好ましい。
さらに、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素から反応系内で調製されるアルカリ金属硫化物も用いることができる。また、あらかじめ水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物と硫化水素を接触させて調製したアルカリ金属硫化物を用いることもできる。硫化水素は気体状態、液体状態、水溶液状態のいずれの形態で用いても差し障り無い。
本発明において、スルフィド化剤の量は、脱水操作などによりジハロゲン化芳香族化合物との反応開始前にスルフィド化剤の一部損失が生じる場合には、実際の仕込み量から当該損失分を差し引いた残存量を意味するものとする。
なお、スルフィド化剤と共に、アルカリ金属水酸化物および/またはアルカリ土類金属水酸化物を併用することも可能である。アルカリ金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムおよびこれら2種類以上の混合物を好ましいものとして挙げることができ、アルカリ土類金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムなどが挙げられ、なかでも水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。
スルフィド化剤として、アルカリ金属水硫化物を用いる場合には、アルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましいが、この使用量はアルカリ金属水硫化物1モルに対し0.95モルから1.50モル、好ましくは1.00モルから1.25モル、更に好ましくは1.005から1.200モルの範囲が例示できる。スルフィド化剤として硫化水素を用いる場合にはアルカリ金属水酸化物を同時に使用することが特に好ましく、この場合のアルカリ金属水酸化物の使用量は硫化水素1モルに対し2.0〜3.0モル、好ましくは2.01モル〜2.50モル、更に好ましくは2.04〜2.40モルの範囲が例示できる。
(5)ジハロゲン化芳香族化合物
本発明で用いるジハロゲン化芳香族化合物としては、p−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼン、o−ジブロモベンゼン、m−ジブロモベンゼン、1−ブロモ−4−クロロベンゼン、1−ブロモ−3−クロロベンゼンなどのジハロゲン化ベンゼン、及び1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン、1−メチル−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジメチル−2,5−ジクロロベンゼン、1,3−ジメチル−2,5−ジクロロベンゼン、3,5−ジクロロ安息香酸などのハロゲン以外の置換基を含むジハロゲン化芳香族化合物などを挙げることができる。なかでも、p−ジクロロベンゼンに代表されるp−ジハロゲン化ベンゼンを主成分にするジハロゲン化芳香族化合物が好ましい。特に好ましくは、p−ジクロロベンゼンを80〜100モル%含むものであり、さらに好ましくは90〜100モル%含むものである。また、環式ポリアリーレンスルフィド共重合体を製造するために異なる2種以上のジハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて用いることも可能である。
(6)有機極性溶媒
本発明の環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドの製造においては反応溶媒として有機極性溶媒を用いるが、なかでも有機アミド溶媒を用いるのが好ましい。具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドンなどのN−アルキルピロリドン類、N−メチル−ε−カプロラクタムなどのカプロラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミドなどに代表されるアプロチック有機溶媒、及びこれらの混合物などが、反応の安定性が高いために好ましく使用される。これらのなかでもN−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが好ましく、N−メチル−2−ピロリドンがより好ましく用いられる。
(7)アルカリ金属ハライド塩
本発明におけるアルカリ金属ハライド塩とは、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物が反応することによって生成するもの、反応系内のその他成分の反応によって生成するもの、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物の反応開始前、反応中、反応後など随意の段階で反応系に導入されたアルカリ金属ハライド塩など、混合物中に存在するすべてのアルカリ金属ハライド塩を含む。アルカリ金属ハライド塩としては、アルカリ金属、即ちリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムとハロゲン、すなわちフッ素、塩素、臭素、ヨウ素およびアスタチンから構成される、いかなる組み合わせのものも含み、具体例としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、フッ化セシウムなどが例示できる。前記したスルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物の反応により生成するアルカリ金属ハライド塩は、スルフィド化剤の含むアルカリ金属とジハロゲン化物の含むハロゲンから構成されるため、一般的に入手が容易なスルフィド化剤およびジハロゲン化芳香族化合物の組み合わせから生じるアルカリ金属ハライド塩としては塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウムおよびヨウ化ナトリウムが例示でき、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウムが好ましいものとして例示でき、塩化ナトリウムがより好ましいものである。
(8)混合物(a)の調製方法
本発明では、少なくともポリアリーレンスルフィド、環式ポリアリーレンスルフィド及び有機極性溶媒を含む混合物(a)から有機極性溶媒を留去する工程を経て、環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドを回収する。
ここで、混合物(a)とは、少なくともポリアリーレンスルフィド、環式ポリアリーレンスルフィド及び有機極性溶媒を含む混合物であって、ポリアリーレンスルフィド100重量部に対して環式ポリアリーレンスルフィドを6重量部以上含むもの、好ましくは7重量部以上含むもの、より好ましくは8重量部以上含むものである。また、混合物(a)における環式ポリアリーレンスルフィドの量の上限は限定されないが、ポリアリーレンスルフィド100重量部に対して環式ポリアリーレンスルフィドを70重量部以下含むものが好ましく、45重量部以下含むものがさらに好ましく、20重量部以下含むものがより好ましい。さらに、混合物(a)中の有機極性溶媒の量は、混合物(a)中のイオウ成分1モルに対して1.25リットル以上が好ましく、より好ましくは1.5リットル以上、さらに好ましくは2リットル以上のものを指す。混合物(a)中の有機極性溶媒の量の上限に特に制限はないが、混合物(a)中のイオウ成分1モルに対して50リットル以下が好ましく、20リットル以下がさらに好ましく、特に好ましくは15リットル以下である。なお、ここで有機極性溶媒の量は、常温常圧下での溶媒の体積を基準とする。
本発明における混合物(a)の調製方法としては、上記組成を有する混合物を調製できればいかなる方法でも問題ないが、(I)少なくともスルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物及び有機極性溶媒を含む混合物を、加熱して反応させることによる調製方法、及び(II)少なくともポリアリーレンスルフィド、スルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物及び有機極性溶媒を含む混合物を、加熱して反応させることによる調製方法を好ましい調製方法として例示できる。以下、この好ましい調製方法について詳細を記す。
(9)混合物(a)の調製方法(I)
少なくともポリアリーレンスルフィド、環式ポリアリーレンスルフィド及び有機極性溶媒を含む混合物(a)の調製方法として、少なくともスルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物及び有機極性溶媒を含む混合物を、加熱して反応させる方法を好ましい調製方法として例示できる。
この際、ジハロゲン化芳香族化合物の使用量は、スルフィド化剤のイオウ成分1モル当たり0.9〜2.0モルの範囲であることが好ましく、0.95〜1.5モルの範囲がより好ましく、1.005〜1.2モルの範囲が更に好ましい。
また、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物を加熱して反応させる反応温度は、反応に用いるスルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物及び有機極性溶媒の種類、量によって多様化するため一意的に決めることはできないが、通常120〜350℃、好ましくは180〜320℃、より好ましくは220〜310℃、さらに好ましくは225〜300℃の範囲が例示できる。この好ましい温度範囲ではより高い反応速度が得られ、反応が均一で進行しやすい傾向にある。また、反応は一定温度で行なう1段階反応、段階的に温度を上げていく多段反応、あるいは連続的に温度を変化させていく形式の反応のいずれでもかまわない。
反応時間は、使用した原料の種類や量あるいは反応温度に依存するので一概に規定できないが、0.1時間以上が好ましく、0.5時間以上がより好ましい。この好ましい時間以上とすることで、未反応の原料成分を十分に減少できるため、生成した環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドの回収がしやすくなる傾向にある。一方、反応時間に特に上限は無いが、40時間以内でも十分に反応が進行し、好ましくは10時間以内、より好ましくは6時間以内も採用できる。
少なくともスルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物及び有機極性溶媒を含む混合物を、加熱して反応させて混合物(a)を調製する際に用いる有機極性溶媒の使用量は、混合物中のイオウ成分1モルに対し、1.25リットル以上が好ましく、より好ましくは1.5リットル以上、さらに好ましくは2リットル以上である。使用量の上限に特に制限はないが、効率よく環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドを製造するとの観点から、スルフィド化剤のイオウ成分1モルに対し50リットル以下とすることが好ましく、20リットル以下がより好ましく、15リットル以下が更に好ましい。なお、ここでの溶媒使用量は常温常圧下における溶媒の体積を基準とする。
前記方法により混合物(a)を調製するに際し、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物を接触させる際の圧力に特に制限はなく、また混合物を構成する原料およびその組成、反応温度等により変化するため一意的に規定することはできないが、好ましい圧力の下限としてゲージ圧で0.05MPa以上、より好ましくは0.3MPa以上が例示できる。なお、本発明の好ましい反応温度においては混合物の自圧による圧力上昇が発生するため、この様な反応温度における好ましい圧力の下限としてゲージ圧で0.25MPa以上、より好ましくは0.3MPa以上を例示できる。また、好ましい圧力の上限としては、10MPa以下、より好ましくは5MPa以下が例示できる。この様な好ましい圧力範囲では、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物を接触させて反応させるのに要する時間が短くできる傾向にある。また、スルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物を接触させて反応させる際に用いる有機極性溶媒の使用量を多くする場合、すなわち混合物における原料であるスルフィド化剤およびジハロゲン化芳香族化合物の濃度が低い条件において、前記好ましい圧力範囲で反応を行うことの効果が特に大きい傾向にあり、原料消費率をより向上できる傾向にある。この理由については現時点定かでないが、このような加熱条件下で揮発性を有するジハロゲン化芳香族化合物など原料はその一部が反応系内で気相に存在し、液相部の反応基質との反応が進行しにくくなる可能性があり、前記好ましい圧力範囲とすることでこのような原料の反応系内での揮発を抑制できるため、より効率よく反応が進行するようになると推測している。また、混合物を加熱する際の圧力を前記好ましい圧力範囲とするために、反応を開始する前や反応中など随意の段階で、好ましくは反応を開始する前に、後述する不活性ガスにより反応系内を加圧することも好ましい方法である。なお、ここでゲージ圧とは大気圧を基準とした相対圧力のことであり、絶対圧から大気圧を差し引いた圧力差と同意である。
本方法のスルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物を接触させて反応させて混合物(a)を調製する方法においては、有機極性溶媒、ジハロゲン化芳香族化合物、スルフィド化剤を必須成分とし混合物として反応を行う。混合物には前記必須成分以外に反応を著しく阻害しない第三成分や、反応を加速する効果を有する第三成分を加えることも可能である。反応を行う方法に特に制限は無いが、撹拌条件下で行なうことが好ましい。なお、ここで原料を仕込む際の温度に特に制限はなく、例えば室温近傍で原料を仕込んだ後に反応を行っても良いし、あらかじめ前述した反応に好ましい温度に温調した反応容器に原料を仕込んで反応を行うことも可能である。また反応を行っている反応系内に逐次的に原料を仕込んで連続的に反応を行うことも可能である。
また、スルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物、及び有機極性溶媒として水を含むものを用いることも可能である。一般にスルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物を用いる反応は混合物中の水分量が増大すると、反応速度が低下する傾向にあるため厳密な水分量の低減が必要であるが、本方法では極めて早く反応が進行するため、混合物中の水分量を厳密に制御することなく十分に反応を行うことが可能である。よって、本方法の混合物(a)中の水分量に特に制限は無いが、反応開始時点、すなわち反応系に仕込んだジハロゲン化芳香族化合物の転化率が0の段階における水分量は、混合物中のイオウ成分1モル当たり0.2モル以上20モル以下が好ましい範囲として例示でき、0.5モル以上10モル以下であることが好ましく、0.6モル以上8モル以下がより好ましい。混合物を形成するスルフィド化剤、有機極性溶媒、ジハロゲン化芳香族化合物、及びその他成分が水を含む場合で、混合物中の水分量が前記範囲を超える場合には、反応を開始する前や反応の途中において、反応系内の水分量を減じる操作を行い、水分量を前記範囲内にすることも可能であり、これにより短時間に効率よく反応が進行する傾向にある。また、混合物の水分量が前記好ましい範囲未満の場合は、前記水分量になるように水を添加することも好ましい方法である。なお、ジハロゲン化芳香族化合物の転化率は、以下の式で算出した値である。ジハロゲン化芳香族化合物の残存量は、通常、ガスクロマトグラフ法によって求めることができる。
(a)ジハロゲン化芳香族化合物をスルフィド化剤に対しモル比で過剰に添加した場合
転化率(%)=[〔ジハロゲン化芳香族化合物の仕込み量(モル)−ジハロゲン化芳香族化合物の残存量(モル))/〔ジハロゲン化芳香族化合物(モル)−ジハロゲン化芳香族化合物の過剰量(モル)〕〕×100
(b)上記(a)以外の場合
転化率(%)=[〔DHA仕込み量(モル)−DHA残存量(モル)〕/〔DHA仕込み量(モル)〕]×100
さらに、混合物(a)の調製において、所望の時間反応を継続し仕込んだ原料が減少した随意の段階で、スルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物及び有機極性溶媒のいずれか、もしくは複数を追加してさらに反応を継続することも可能である。ここで追加する量は、追加する前の混合物中のイオウ成分の量を勘案することが重要であり、原料の追加を行なった後の混合物中のイオウ成分1モルに対して有機極性溶媒を1.25リットル以上になる範囲で追加を行なうことが望まれる。
スルフィド化剤及びジハロゲン化芳香族化合物を追加添加するのは、仕込んだ原料が減少した随意の段階が許容されることは前記したとおりであるが、ジハロゲン化芳香族化合物の転化率が50%以上の段階が好ましく、70%の段階がより好ましく、この様な段階で追加することでより効率よく反応が進行する傾向にある。
なお、原料の追加により、混合物中の水分量が変化する場合、前記した好ましい水分量となるように付加的な操作を行なうことも可能であり、追加する前、追加している途中、追加後に混合物から水を随意量除去する事も望ましい方法である。なお、この水の除去に際し、水以外の成分が混合物から除去される場合、必要に応じてスルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物及び有機極性溶媒を更に追加する事も可能であり、除去された成分を再度混合物に戻す操作を行なってもかまわない。
なお、本方法のスルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物を接触させて反応させて混合物(a)を調製する方法においては、バッチ式および連続方法などの公知の各種重合方式、反応方式を採用することができる。また、製造における雰囲気は非酸化性雰囲気下が望ましく、窒素、ヘリウム、およびアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましく、経済性および取り扱いの容易さの面からは窒素雰囲気下が好ましい。
(10)混合物(a)の調製方法(II)
本発明では、ポリアリーレンスルフィド、スルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物及び有機極性溶媒を含む混合物を、加熱して反応させることにより、少なくともポリアリーレンスルフィド、環式ポリアリーレンスルフィド及び有機極性溶媒を含む混合物(a)を調製することも可能である。
ポリアリーレンスルフィド、スルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物及び有機極性溶媒を含む混合物を、加熱して反応させる反応温度は、混合物中の種類、量、原料に用いるポリアリーレンスルフィドの構造、分子量などによって多様化するため一意的に決めることはできないが、通常120〜350℃、好ましくは200〜320℃、より好ましくは230〜300℃、さらに好ましくは240〜280℃の範囲を例示できる。この好ましい温度範囲では、原料として用いているポリアリーレンスルフィドが混合物中で溶融解する。原料のポリアリーレンスルフィドは、室温近傍では固体状態であることが一般的であり、固体状態では、目的である混合物(a)の生成反応が進行しにくいが、ポリアリーレンスルフィドが溶融解する上記好ましい温度範囲で反応を行うことで反応系が均一化し飛躍的に反応速度が向上し、反応に要する時間を短縮できる傾向にある。また、反応は一定温度で行なう1段階反応、段階的に温度を上げていく多段階反応、あるいは連続的に温度を変化させていく形式のいずれでも問題ない。
反応時間は使用する原料のポリアリーレンスルフィドの構造、分子量など、スルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物、有機極性溶媒の種類、およびこれら原料の量あるいは反応温度に依存するので一概には規定できないが、0.1時間以上が好ましく、0.5時間以上がより好ましい。この好ましい時間以上とすることで、未反応の原料成分を十分に減少できるため、生成した環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドの回収がしやすくなる傾向にある。一方、反応時間に特に上限は無いが、10時間以内でも十分に反応が進行し、好ましくは6時間以内、より好ましくは3時間以内も採用できる。
少なくともポリアリーレンスルフィド、スルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物及び有機極性溶媒を含む混合物を、加熱して反応させて混合物(a)を調製する際に用いる有機極性溶媒の使用量は、混合物中のイオウ成分1モルに対し、1.25リットル以上が好ましく、より好ましくは1.5リットル以上、さらに好ましくは2リットル以上である。使用量の上限に特に制限はないが、効率よく環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドを製造するとの観点から、混合物中のイオウ成分1モルに対し50リットル以下とすることが好ましく、20リットル以下がより好ましく、15リットル以下がさらに好ましい。なお、ここでの溶媒使用量は常温常圧下における溶媒の体積を基準とする。
本方法の混合物(a)の調製方法において、混合物を加熱する際の圧力に特に制限はなく、また混合物を構成する原料およびその組成、反応温度等により変化するため一意的に規定することはできないが、好ましい圧力の下限としてゲージ圧で0.05MPa以上、より好ましくは0.3MPa以上、さらに好ましくは0.4MPa以上が例示できる。なお、本方法の好ましい反応温度においては混合物の自圧による圧力上昇が発生するため、この様な反応温度における好ましい圧力の下限としてゲージ圧で0.25MPa以上、より好ましくは0.3MPa以上を例示できる。また、好ましい圧力の上限としては、10MPa以下、より好ましくは5MPa以下が例示できる。この様な好ましい圧力範囲では、混合物(a)の調製に要する時間を短くできる傾向にある。また、混合物(a)の調製における有機極性溶媒の使用量を多くする場合、すなわち混合物における原料であるポリアリーレンスルフィド、スルフィド化剤およびジハロゲン化芳香族化合物の濃度が低い条件において、前記好ましい圧力範囲で反応を行う事の効果が特に大きい傾向にあり、原料消費率をより向上できる傾向がある。この理由については前述した通り推測している。また、混合物を加熱する際の圧力を前記好ましい圧力範囲とするために、反応を開始する前や反応中など随意の段階で、好ましくは反応を開始する前に、不活性ガスにより反応系内を加圧することも好ましい方法である。なお、ここでゲージ圧とは大気圧を基準とした相対圧力のことであり、絶対圧から大気圧を差し引いた圧力値と同意である。
本方法による混合物(a)の調製方法においては、反応容器にポリアリーレンスルフィド、スルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物、および有機極性溶媒を仕込み、これらを必須成分とする混合物として反応を行う。混合物には前記必須成分以外に反応を著しく阻害しない第三成分や、反応を加速する効果を有する第三成分を加えることも可能である。反応を行う方法に特に制限は無いが、撹拌条件下で行なうことが反応系の均一化のために好ましい。なお、ここで原料を仕込む際の温度に特に制限はなく、例えば室温近傍で原料を仕込んだ後に反応を行っても良いし、あらかじめ前述した反応に好ましい温度に温調した反応容器に原料を仕込んで反応を行うことも可能である。また反応を行っている反応系内に逐次的に原料を仕込んで連続的に反応を行うことも可能である。
また、スルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物、ポリアリーレンスルフィド及び有機極性溶媒として水を含むものを用いることも可能である。一般にスルフィド化剤とジハロゲン化芳香族化合物を用いる反応は混合物中の水分量が増大すると、反応速度が低下する傾向にあるため厳密な水分量の低減が必要であるが、本方法では極めて早く反応が進行するため、混合物中の水分量を厳密に制御することなく十分に反応を行うことが可能である。よって、本方法の混合物(a)中の水分量に特に制限は無いが、反応開始時点、すなわち反応系に仕込んだジハロゲン化芳香族化合物の転化率が0の段階における水分量は、混合物中のイオウ成分1モル当たり0.2モル以上20モル以下が好ましい範囲として例示でき、0.5モル以上10モル以下であることが好ましく、0.6モル以上8モル以下がより好ましい。混合物を形成するスルフィド化剤、有機極性溶媒、ジハロゲン化芳香族化合物、ポリアリーレンスルフィド及びその他成分が水を含む場合で、混合物中の水分量が前記範囲を超える場合には、反応を開始する前や反応の途中において、反応系内の水分量を減じる操作を行い、水分量を前記範囲内にすることも可能であり、これにより短時間に効率よく反応が進行する傾向にある。また、混合物の水分量が前記好ましい範囲未満の場合は、前記水分量になるように水を添加することも好ましい方法である。なお、ジハロゲン化芳香族化合物の転化率は、上記の式で算出した値である。
さらに、混合物(a)の調製において、所望の時間反応を継続し仕込んだ原料が減少した随意の段階で、ポリアリーレンスルフィド、スルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物及び有機極性溶媒のいずれか、もしくは複数を追加してさらに反応を継続することも可能である。ここで追加する量は、追加する前の混合物中のイオウ成分の量を勘案することが重要であり、原料の追加を行なった後の混合物中のイオウ成分1モルに対して有機極性溶媒を1.25リットル以上になる範囲で追加を行なうことが望まれる。
ポリアリーレンスルフィド、スルフィド化剤及びジハロゲン化芳香族化合物を追加添加するのは、仕込んだ原料が減少した随意の段階が許容されることは前記したとおりであるが、ジハロゲン化芳香族化合物の転化率が50%以上の段階が好ましく、70%の段階がより好ましく、この様な段階で追加することでより効率よく反応が進行する傾向にある。
なお、原料の追加により、混合物中の水分量が変化する場合、前記した好ましい水分量となるように付加的な操作を行なうことも可能であり、追加する前、追加している途中、追加後に混合物から水を随意量除去する事も望ましい方法である。なお、この水の除去に際し、水以外の成分が混合物から除去される場合、必要に応じてスルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物及び有機極性溶媒を更に追加する事も可能であり、除去された成分を再度混合物に戻す操作を行なってもかまわない。
なお、混合物(a)の調製には、バッチ方式、及び連続方式など公知の各種重合方式、反応方式を採用することができる。また、製造における雰囲気は非酸化性雰囲気下が望ましく、窒素、ヘリウム、及びアルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましく、特に、経済性及び取り扱いの容易さの面からは窒素雰囲気下が好ましい。反応圧力については、使用した原料及び溶媒の種類や量、あるいは反応温度等に依存し一概には規定できないので特に制限はない。
(11)有機極性溶媒の留去
本発明の方法によって、環式ポリアリーレンスルフィドおよびポリアリーレンスルフィドを製造するためには、前記した方法で調製した混合物(a)から有機極性溶媒を留去することが必須である。
有機極性溶媒を留去する方法としては、混合物(a)から、有機極性溶媒を反応系外に排除し、混合物(a)に含有される有機極性溶媒量を低減できれば、いずれの方法でも特に問題はなく、好ましい方法としては、減圧下あるいは加圧下に有機極性溶媒を蒸留する方法、濾過等により溶媒を除去する方法、フラッシュ移送により溶媒を除去する方法、溶媒と親和力の強い物質を添加することで相分離を発現し実質的に溶媒を反応系外に除去する方法が例示でき、なかでも減圧下あるいは加圧下に有機極性溶媒を蒸留する方法、フラッシュ移送により溶媒を除去する方法がより好ましく、減圧下あるいは加圧下に有機極性溶媒を蒸留する方法がさらに好ましい。また減圧下あるいは加圧下に有機極性溶媒を蒸留する際、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスをキャリアーガスとして用いても良い。
有機極性溶媒の留去を行う温度については、有機極性溶媒の種類や混合物(a)の組成によって多様化するため、一意的には決めることはできないが、140〜320℃が好ましい範囲として例示できる。なかでも、180〜320℃がより好ましく、190〜310℃がさらに好ましく、200〜300℃が特に好ましい。180〜320℃の温度範囲では、大部分のポリアリーレンスルフィドが有機極性溶媒に溶解しており、留去中もポリアリーレンスルフィドの分子鎖生長反応は進行していると予想できる。更に、有機極性溶媒を留去しているため、系内の生長末端濃度が高くなり、結果として分子鎖生長反応が加速度的に進行していると考えられる。そのため、混合物(a)に含有されるポリアリーレンスルフィド、及び線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーの高分子量化反応が有機極性溶媒を留去する間に進行し、最終的に混合物(b)中に含有される線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマー量は低減する。前述した通り、ここでの線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーは重量平均分子量が低いため、各種溶剤への溶解性などの物性が環式ポリアリーレンスルフィドと近く、そのため環式ポリアリーレンスルフィドとの分離が困難な化合物である。従って、混合物(b)中に残存する線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーの量は少ない方が好ましい。また、効果は限定的になるものの、有機極性溶媒の留去を行う温度は140〜180℃の範囲でも良い。この温度領域で有機極性溶媒の留去を行った場合でも、固液分離(c)により回収した環式ポリアリーレンスルフィド混合物中に含まれる線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマー量は低減する傾向にある。効果発現の詳細は現時点定かではないが、140〜180℃の温度領域でも線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーの分子鎖生長反応が進行し、固液分離(c)により環式ポリアリーレンスルフィドとの分離が可能な程度にまで高分子量化反応が進行したのではないかと推測している。
また、留去は一定温度で行う1段階留去、段階的に温度を上げていく多段留去、あるいは連続的に温度を変化させていく形式の留去のいずれでもかまわない。
留去に要する時間は、使用した有機極性溶媒の種類や量あるいは留去温度に依存するので、一概に規定できないが、0.1時間以上が好ましく、0.3時間以上がさらに好ましく、0.5時間以上がより好ましい。この好ましい時間以上とすることで、混合物(a)に含有される線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーの高分子量化が進行しやすくなる傾向にある。さらに、有機極性溶媒を留去した後に、さらに同温度以上で反応を継続することで線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーの高分子量化が進行し、環式ポリアリーレンスルフィドの純度が高くなる傾向にあり、さらにポリアリーレンスルフィドに含有される線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマー量も低減する傾向にあるため、かかる手段を用いることが好ましい。
この有機極性溶媒を留去する際、有機極性溶媒を留去し過ぎると、ポリアリーレンスルフィドが析出固化する傾向にあり、また、混合物(b)の粘度が高くなり操作性が悪化する傾向にある。従って、留去する有機極性溶媒の量は、有機極性溶媒の種類、反応に用いた量などにより多様化するため一意的には決めることができないが、残存する有機極性溶媒の量が、混合物(b)中のイオウ成分1モルに対して0.10リットル以上となることが好ましく、0.15リットル以上となることが更に好ましく、0.20リットル以上となることがより好ましい。
一方で、有機極性溶媒の留去量が少なすぎると、本発明の効果が低下する傾向にある傾向にある。従って、留去する有機極性溶媒の量は、有機極性溶媒の種類、反応に用いた量などにより多様化するため一意的には決めることができないが、留去後に残存する有機極性溶媒の量が、混合物(b)中のイオウ成分1モルに対して1.0リットル以下となるまで留去することが好ましく、0.8リットル以下となるまで留去することが更に好ましく、0.5リットル以下となるまで留去することがより好ましい。
さらに、本発明者らは、有機極性溶媒を留去することにより得られたポリアリーレンスルフィドの物性を詳細に検討した結果、有機極性溶媒を留去することでポリアリーレンスルフィド粉径のメディアン径が増大し、またポリアリーレンスルフィドの粒度分布が狭小化すること、さらに留去する有機極性溶媒の量を増やすことで、得られるポリアリーレンスルフィド粉径のメディアン径が増大する傾向にあることを見出した。従って、有機極性溶媒を留去することで、下記するポリアリーレンスルフィドが不溶となる温度領域での固液分離(c)の分離効率が向上し、さらに純度の高い環式ポリアリーレンスルフィドが回収できる。この際、上記有機極性溶媒の留去を行うにより好ましい温度範囲、即ち180〜320℃の温度範囲、さらに好ましくは190〜310℃、特に好ましくは200〜300℃の温度範囲で有機極性溶媒の留去を行った場合に、ポリアリーレンスルフィドの粒度分布の狭小化、及びポリアリーレンスルフィド粉径のメディアン径増大の効果が大きい傾向にある。また、140〜180℃の温度領域で有機極性溶媒の留去を行った場合でも、ポリアリーレンスルフィド粉径のメディアン径増大の効果は小さいものの、10μm以下のメディアン径を有するポリアリーレンスルフィド成分が減少し、粒度分布が狭小化する傾向にある。この温度領域ではポリアリーレンスルフィドが有機極性溶媒に不溶となる傾向にあること、及び線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーはこの温度領域でも可溶となる傾向にあることから考えると、この温度領域で反応する成分の大部分は線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーであると推測でき、従って上記10μm以下のメディアン径を有するポリアリーレンスルフィド成分は線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーである可能性が高いと考察する。なお、ここでのポリアリーレンスルフィドのメディアン径の測定は、例えば、レーザ回折・散乱法による粒度分布測定装置「SALD−7000」(島津株式会社製)を用いて測定することができる。また、ポリアリーレンスルフィドの粒度分布に関しては、得られたポリアリーレンスルフィドの粒度分布グラフの標準偏差により評価を行なった。
また、有機極性溶媒の留去を行なう前に、ポリアリーレンスルフィドが溶解する温度において不溶である成分を固液分離(d)により除去する操作を行なうことも可能である。この操作を行なうことにより、有機極性溶媒を留去することにより得られる混合物(b)の粘度が低下し、操作性が向上する傾向にある。
ここで、固液分離(d)を行なう温度は、ポリアリーレンスルフィドが溶解する温度であれば特に制限はないが、200〜350℃の範囲が好ましく、220〜300℃の範囲がより好ましく、230〜280℃の範囲が更に好ましい。この様な温度範囲では、ポリアリーレンスルフィドや環式ポリアリーレンスルフィドの分解や変質などが起こりにくく、また有機極性溶媒の分解や変質なども起こりにくい傾向にある。この様な好ましい温度範囲においてはポリアリーレンスルフィドの有機極性溶媒に対する溶解性が向上するため、均一な溶液成分となりやすく、また、溶液成分の粘度は温度が上昇するに伴って低下する傾向にあるため、固液分離操作における分離性が向上する傾向にある。
ポリアリーレンスルフィドが可溶となる温度領域で固液分離(d)を行なう際の圧力に特に制限はないが、ゲージ圧で2.0MPa以下が好ましく、1.0MPa以下がより好ましい。一般に圧力が増大するに伴い、固液分離を行なう機器の耐圧性を高くする必要が生じ、そのような機器はそれを構成する各部位に高度なシール性を有するものが必要となり必然的に機器費が増大することになるため、より低圧で固液分離を行なえる方が好ましい。
また、固液分離(d)を行なう方法は特に限定されず、公知の手法を採用可能であり、フィルターを用いる濾過である加圧濾過や減圧濾過、固形分と溶液の比重差による分離である遠心分離や沈降分離、さらにこれらを組み合わせた方法などを採用可能である。濾過操作の前に沈降分離を行なうデカンタ分離方式も好ましい方法である。濾過操作に用いるフィルターは、固液分離(d)を行なう条件において安定であるものであれば良く、例えばワイヤーふるいや焼結版を好適に用いることができる。また、このフィルターのメッシュ径または細孔径は濾過操作に供するスラリーの粘度や圧力、温度、スラリー中の固形成分の粒子径や得られる濾液の純度(固形分の含有量)などに依存して広範囲に調整し得る。
(12)ポリアリーレンスルフィドの回収
本発明では、有機極性溶媒を留去することにより得られた混合物(b)を、ポリアリーレンスルフィドが不溶となる温度領域で固液分離(c)を行い、不溶成分としてポリアリーレンスルフィドを、可溶成分として環式ポリアリーレンスルフィドを回収する。固液分離(c)を行なう温度は、ポリアリーレンスルフィドが不溶であれば特に制限はないが、20〜200℃の温度範囲が好ましく、50〜150℃の範囲がより好ましく、80〜120℃の範囲が更に好ましく例示できる。この好ましい温度領域においてポリアリーレンスルフィドは固形分として存在する傾向にあり、一方で環式ポリアリーレンスルフィドは有機極性溶媒に溶解している傾向にある。従って、この温度範囲で固液分離することにより、容易にポリアリーレンスルフィドを固形分として、環式ポリアリーレンスルフィドを有機極性溶媒に溶解した状態で分離できる。
固液分離(c)を行なう際の圧力に制限はなく、例えば固液分離(d)における圧力範囲を例示できるが、固液分離(c)は固液分離(d)と比較してより低い温度で固液分離操作を行なうため、固液分離(d)よりも低い圧力下で操作を行なう事が可能である。具体的にはゲージ圧で2.0MPa以下を好ましい圧力範囲として例示でき、1.0MPa以下がより好ましく、0.8MPa以下が更に好ましく、0.5MPa以下がよりいっそう好ましい範囲として例示できる。一般に圧力が増大するに伴い、固液分離を行なう機器の耐圧性を高くする必要が生じ、そのような機器はそれを構成する各部位に高度なシール性を有するものが必要となり必然的に機器費が増大することになる。上記好ましい圧力範囲では一般に入手可能な固液分離機器を使用できる。
また、固液分離(c)を行なう方法は特に限定されず、前記の固液分離(d)で例示した方法を採用可能であり、フィルターを用いる濾過である加圧濾過や減圧濾過、固形分と溶液の比重差による分離である遠心分離や沈降分離、さらにこれらを組み合わせた方法などを採用可能である。濾過操作の前に沈降分離を行なうデカンタ分離方法も好ましい方法である。濾過操作に用いるフィルターは、固液分離を行なう条件において安定であるものであれば良く、例えばワイヤーメッシュフィルター、焼結板、濾布、濾紙など一般に用いられる濾材を好適に用いることができる。また、このフィルターの孔径は固液分離操作に供するスラリーの粘度や圧力、温度、スラリー中の固形成分の粒子径や得られる濾液の純度(固形分の含有量)などに依存して広範囲に調整しうる。特に、この固液分離(c)操作においてスラリーから固形分として回収されるポリアリーレンスルフィドの粒子径、すなわち固液分離(c)に処するスラリー中に存在する固形分の粒子径に応じてメッシュ径または細孔径などのフィルター孔径を選定することは有効である。なお、固液分離(c)に処するスラリー中のポリアリーレンスルフィドの平均粒子径(メディアン径)はスラリーの組成や温度、濃度などにより広範囲に変化しうるが、本発明者らの知りうる限り、その平均粒子径は1〜200μmである傾向がある。従って、フィルターの孔径の好ましい平均孔径としては0.1〜100μmが例示でき、0.25〜20μmが好ましく、0.5〜15μmがより好ましい範囲として例示できる。
ここでの固液分離(c)によれば、混合物(b)に含まれるポリアリーレンスルフィドの大部分を固形分として分離可能であり、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上を固形分として回収しうる。また、固液分離により分離した固形状のポリアリーレンスルフィドが環式ポリアリーレンスルフィドを含む有機極性溶媒溶液(母液)を含む場合には、このような固形分をフレッシュな溶媒を用いて洗浄することで、環式ポリアリーレンスルフィドの固形分への残留量を低減することも可能である。この方法としては固形分ケークが積層したフィルター上にフレッシュな溶媒を加えて固液分離する方法や固形分ケークにフレッシュな溶媒を加えて撹拌することでスラリー化した後に固液分離する方法などが例示できるが、これら操作を行なう条件は前記した固液分離(c)に採用する好ましい条件に準じて行なうことが好ましい。なお、ここで用いる溶剤は環式ポリアリーレンスルフィドが溶解しうるものであれば良く、好ましくは有機極性溶媒が例示できる。
また、上記固液分離(c)により固形成分として回収されるポリアリーレンスルフィドは、線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマー含有量が著しく低減されたものである。この場合、固形成分にはアルカリ金属ハライド塩が含まれているため、公知の方法でアルカリ金属ハライド塩を除去することも可能である。除去方法としては、例えばアルカリ金属ハライド塩が可溶な第二の溶剤と接触させる方法が挙げられる。
固形成分からアルカリ金属ハライド塩を除去する際に用いる第二の溶剤としては、アルカリ金属ハライド塩が可溶な溶剤が好ましく、例えばメタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒及び水が例示でき、水が特に好ましい。
固形成分からアルカリ金属ハライド塩を除去する際の温度に特に制限はないが、上限は用いる第二の溶剤の常圧下での還流条件温度以下にすることが好ましく、前述した溶剤を用いる場合は例えば20〜100℃が好ましい温度範囲として例示でき、より好ましくは25〜80℃が例示できる。
固形成分を第二の溶剤と接触させる方法としては、固形成分が積層したフィルター上に第二の溶剤を加えて固液分離する方法や、固形成分に第二の溶剤を加えて撹拌することでスラリー化した後に固液分離する方法などが例示できる。固液分離の方法としては、例えば濾過による分離、遠心分離、デカンテーション等を例示できる。また、このようにして得られたポリアリーレンスルフィドを再度第二の溶剤と接触させて、さらにアルカリ金属ハライド塩の含有量を低減させることも可能である。
かくして得られたポリアリーレンスルフィドは第二の溶剤を含むので、所望に応じて常圧下および/または減圧下で乾燥することも可能である。かかる乾燥温度としては、50〜200℃の範囲が好ましく、70〜150℃の範囲がより好ましい。乾燥雰囲気は、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性雰囲気下、減圧下、酸素、空気などの酸化性雰囲気下、空気と窒素の混合雰囲気の何れでも良いが、減圧下で行なうことが好ましく、常圧下で乾燥を行なって大部分の溶剤を除去した後、減圧下で再度乾燥することも好ましい方法である。乾燥時間は、0.5〜50時間が好ましく、1〜30時間がより好ましく、1〜20時間がさらに好ましい。
本発明により得られるポリアリーレンスルフィドは、耐熱性、耐薬品性、難燃性、電気性質並びに機械的性質に優れている。特に本発明により発現する顕著な効果として、ポリアリーレンスルフィド中に含まれるポリアリーレンスルフィドオリゴマーなどの低分子量成分量が公知の方法により得られるポリアリーレンスルフィドと比べて著しく低減されることを挙げることができ、これにより、ゲルおよびガス発生量が少なく成形性に特に優れ、射出成形のみならず、押出成形によりシート、フィルム、繊維及びパイプなどの押出成形品に成形することができる。
(13)環式ポリアリーレンスルフィドの回収
上記固液分離(c)により得られた濾液成分から有機極性溶媒を除去することで環式ポリアリーレンスルフィド混合物を得ることができる。濾液成分から有機極性溶媒を除去し、環式ポリアリーレンスルフィド混合物を得る方法に特に制限はなく、濾液成分をポリアリーレンスルフィド成分に対する溶解性が低く且つ有機極性溶媒と混和する溶剤と接触させて、環式ポリアリーレンスルフィド混合物を回収する方法、濾液の有機極性溶媒の一部もしくは大部分を蒸留などの操作により除去した後に、ポリアリーレンスルフィド成分に対する溶解性が低く且つ有機極性溶媒と混和する溶剤と接触させて、環式ポリアリーレンスルフィド混合物を回収する方法、濾液を冷却して環式ポリアリーレンスルフィド混合物を析出させ、析出した環式ポリアリーレンスルフィド混合物を回収する方法、濾液を常圧以下で加熱して有機極性溶媒を除去し、環式ポリアリーレンスルフィド混合物を回収する方法が挙げられる。なかでも、有機極性溶媒の一部もしくは大部分を蒸留などの操作により除去した後に、ポリアリーレンスルフィド成分に対する溶解性が低く且つ有機極性溶媒と混和する溶剤と接触させて、環式ポリアリーレンスルフィド混合物を回収する方法が好ましい。また、この様な特性を有する溶剤は一般に比較的極性の高い溶剤があり、用いた有機極性溶媒の種類により好ましい溶剤は異なるので限定はできないが、例えば水やメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールヘキサノールに代表されるアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンに代表されるケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルに代表される酢酸エステル類が例示でき、入手性、経済性の観点から水、メタノール及びアセトンが好ましく、水が特に好ましい。このような溶剤による処理を行なうことで、環式ポリアリーレンスルフィド混合物に含有される有機極性溶媒や副生塩の量を低減することが可能である。この処理により環式ポリアリーレンスルフィド混合物は固形成分として析出するので、公知の固液分離法を用いて環式ポリアリーレンスルフィド混合物を回収することができる。固液分離法としては、例えば濾過による分離、遠心分離、デカンテーション等を例示できる。なお、これら一連の処理は必要に応じて数回繰り返すことも可能であり、これにより環式ポリアリーレンスルフィド混合物に含有される有機極性溶媒や副生塩の量がさらに低減される傾向にある。ポリアリーレンスルフィド成分に対する溶解性が低く且つ有機極性溶媒と混和する溶剤と接触させて、環式ポリアリーレンスルフィド混合物を回収する方法では、少なくとも70重量%以上、好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上の有機極性溶媒を除去することが望ましい。
また、濾液から有機極性溶媒を除去する好ましい別の方法としては、常圧以下で加熱して有機極性溶媒を除去する方法が例示できる。なお、上記の様にして得られた環式ポリアリーレンスルフィドを含む濾液は温度によっては固形物を含む場合もあるが、この場合の固形物も有機極性溶媒の除去時に有機極性溶媒に可溶の成分とともに回収することが望ましい。常圧以下で加熱して有機極性溶媒を除去する方法では、有機極性溶媒の除去は、少なくとも50重量%以上、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上、よりいっそう好ましくは95重量%以上の有機極性溶媒を除去することが望ましい。加熱による有機極性溶媒の除去を行なう際の温度は用いる有機極性溶媒の特性に依存するため一意的には限定できないが、通常、20〜150℃、好ましくは40〜120℃の範囲が選択できる。また、有機極性溶媒の除去を行なう圧力は常圧以下が好ましく、これにより有機極性溶媒の除去をより低温で行なうことが可能になる。
かくして得られた環式ポリアリーレンスルフィド混合物は、環式ポリアリーレンスルフィドを50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上含む純度の高いものであり、一般的に得られる線状のポリアリーレンスルフィドとは異なる特性を有する工業的にも利用価値の高いものである。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。これら例は例示的なものであって限定的なものではない。
〈ポリアリーレンスルフィドの分子量測定〉
ポリアリーレンスルフィドの分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の一種であるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算で算出した。GPCの測定条件を以下に記す。
装置:センシュー科学 SSC−7100
カラム名:センシュー科学 GPC3506
溶離液:1−クロロナフタレン
検出器:示差屈折率検出器
カラム温度:210℃
プレ恒温槽温度:250℃
ポンプ恒温槽温度:50℃
検出器温度:210℃
流量:1.0mL/min
試料注入量:300μL (スラリー状:約0.2重量%)
〈ポリアリーレンスルフィドの線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマー含有率〉
ポリアリーレンスルフィドの線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマーの含有量は、ポリアリーレンスルフィドを熱クロロホルムで抽出することで、熱クロロホルム可溶分の重量分率として見積もった。抽出操作は下記方法により行なった。
・ ポリアリーレンスルフィド5gをクロロホルム100gを用いて、バス温85℃で5時間ソックスレー抽出を行なった。
・ ロータリーエバポレーターを用いて得られた抽出液からクロロホルムを留去した。
・ ついで、70℃にて真空乾燥を3時間行い、得られた固形分の重量を求め、ポリアリーレンスルフィド重量に対する重量分率を算出した。
〈環式ポリアリーレンスルフィド含有率の測定〉
環式ポリアリーレンスルフィド混合物における、環式ポリアリーレンスルフィド含有率は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量分析を行うことにより算出した。
HPLCの測定条件を以下に示す。
装置:島津株式会社製 LC−10Avpシリーズ
カラム:Mightysil RP−18 GP 150−4.6(5μm)
検出器:フォトダイオードアレイ検出器(UV=270nm)
〈ジハロゲン化芳香族化合物の消費量測定〉
反応原料のジハロゲン化芳香族化合物の消費量はガスクロマトグラフィー(GC)分析により定量分析を行なうことにより算出した。GCの測定条件を以下に示す。
装置:島津株式会社製 GC17―A
カラム:TC−17 0.32mmφ×60m 0.5μm thickness(GLサイエンス社製)
キャリアガス流量:1.44mL/min
カラム入り口圧:140kPa
カラムオーブン:250℃
スプリット比:10:1
検出器:水素炎イオン化検出法(FID法)
注入量:5μL(反応溶液をクロロホルムにより約10倍に希釈したものを注入)
〈ポリアリーレンスルフィドの平均粒子径測定〉
ポリアリーレンスルフィドの平均粒子径の測定条件を以下に示す。
装置:島津レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−7000)
分散液:N−メチル−2−ピロリドン(NMP)
[参考例1]
撹拌機を具備した1リットルのオートクレーブに水硫化ナトリウムの48重量%水溶液を23.54g(水硫化ナトリウム11.30g(0.202モル))、水酸化ナトリウムの48重量%水溶液を17.50g(水酸化ナトリウム8.40g(0.210モル))、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)500mL、p−ジクロロベンゼン(p−DCB)29.40g(0.20モル)を仕込んだ。
反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から200℃まで25分かけて昇温した。次いで、250℃まで35分かけて昇温し、250℃で2時間反応を行い、混合物(a)を調製した。
得られた内容物をガスクロマトグラフィー及び高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、モノマーのp−DCBの消費率98.1%、環式ポリフェニレンスルフィドの生成率は16.6%であることが分かった。これより、本方法により調製した混合物(a)中には、ポリフェニレンスルフィド100重量部に対して、環式ポリフェニレンスルフィドを20重量部含んでいることが分かる。
[参考例2]
参考例1で得られた内容物500gを約1500gのイオン交換水で希釈したのちにガラスフィルターで析出成分の濾過回収を行なった。フィルターオン成分を約300gのイオン交換水に分散させ、70℃で30分間撹拌し、再度前記同様の濾過回収を行なう操作を計3回行い、白色固体を得た。これを80℃で8時間真空乾燥に処し、乾燥固体を得た。
得られた固形物を円筒濾紙に仕込み、溶剤としてクロロホルムを用いて約5時間ソックスレー抽出を行なうことで、固形分に含まれる線状ポリフェニレンスルフィドオリゴマーを除去した。
抽出操作後に円筒濾紙内に残留した固形成分を70℃で8時間真空乾燥に処し、乾燥固体を約14.5g得た。分析の結果、赤外分光分析における吸収スペクトルより、線状のポリフェニレンスルフィドであり、また重量平均分子量は12800であった。ここで得られたポリフェニレンスルフィドを参考例3にて使用した。
[参考例3]
撹拌機を具備したオートクレーブに、参考例2により調製した重量平均分子量12800のポリフェニレンスルフィドを1.73g(イオウ成分量0.16モル)、水硫化ナトリウムの48重量%水溶液を4.68g(水硫化ナトリウム2.24g(0.04モル))、水酸化ナトリウムの48重量%水溶液4.67g(水酸化ナトリウム2.00g(0.05モル))、NMPを500mL、及びp−ジクロロベンゼンを5.88g(0.04モル)を仕込んだ。ポリフェニレンスルフィド及び水硫化ナトリウムに由来するイオウ成分の合計は0.20モルであり、混合物中のイオウ成分1モル当たりの溶媒量は約2.50Lであった。
反応容器を室温・常圧下にて窒素ガス下に密閉した後、400rpmで撹拌しながら、室温から200℃まで約1時間かけて昇温した。次いで270℃まで約0.5時間かけて昇温した。270℃で1時間反応を行い、混合物(a)を調製した。
得られた内容物をガスクロマトグラフィー及び高速液体クロマトグラフィーにより分析した結果、モノマーのp−DCBの消費率87.2%、仕込んだモノマー(p−DCB)に対する環式ポリフェニレンスルフィドの生成率は約55.8%、混合物中のイオウ成分がすべて環式ポリフェニレンスルフィドに転化すると仮定した場合の環式ポリフェニレンスルフィドの生成率は11.2%であることが分かった。この結果より、本方法により調製した混合物(a)中には、ポリフェニレンスルフィド100重量部に対して、環式ポリフェニレンスルフィドを13重量部含んでいることが分かる。
[実施例1]
参考例1記載の方法により得られた混合物(a)を抜き出しバルブを具備したオートクレーブに仕込み、内温が250℃になるように加温した。次いで、内温を250℃に保ちながら、抜き出しバルブを徐々に開放し、40分かけて溶媒を380g留去した。溶媒留去の完了後、オートクレーブを室温近傍にまで冷却し、混合物(b)を回収した。
留去した溶媒の分析をガスクロマトグラフィーにより行なったところ、NMPを約355g含んでいることが分かった。これにより、混合物(b)は、イオウ原子1モル当たり約0.75リットルのNMPを含んでいることが分かった。
回収した混合物(b)を、反応液の温度が100℃になるように窒素下にて加熱撹拌を行なった。100℃で20分間保持した後、細孔直径10μmのガラスフィルターを用いて固液分離(c)を行なった。固液分離(c)には約5分の時間を要した。
固液分離(c)により得られた濾液成分を約3倍量のメタノールに滴下し、析出したメタノール不溶成分を回収した。得られた固体成分を減圧下、80℃で8時間乾燥を行ない、環式ポリフェニレンスルフィド混合物を3.56g得た(収率16.5%)。
得られた環式ポリフェニレンスルフィド混合物を、高速液体クロマトグラフィーにより分析を行なったところ、環式ポリフェニレンスルフィドを83重量%含有していることが分かった。
また、固液分離(c)により固形分として分離した成分を約5倍量の脱イオン水に加え、分散させた後、70℃に加熱して15分間撹拌を継続した。スラリーをガラスフィルター(平均孔径10〜16μm)で濾過して固形分を得た。得られた固形分を約5倍量の脱イオン水に分散させ、得られた固形分を120℃で3時間真空乾燥に処し、乾燥固体約17.50gを得た。
得られたポリフェニレンスルフィドを分析した結果、重量平均分子量16000のポリマーであることが分かった。また、上記に記した方法により、ポリフェニレンスルフィドに含まれる線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマー含有量を測定したところ、0.15%であることが分かった。また、ポリフェニレンスルフィドの粒度分布測定を行なったところ、メディアン径が22μm、粒度分布の標準偏差は0.53であることが分かった。
[実施例2]
参考例3記載の方法により得られた混合物(a)を抜き出しバルブを具備したオートクレーブに仕込み、内温が250℃になるように加温した。次いで、内温を250℃に保ちながら、抜き出しバルブを徐々に開放し、40分かけて溶媒を390g留去した。溶媒留去の完了後、オートクレーブを室温近傍にまで冷却し、混合物(b)を回収した。
留去した溶媒の分析をガスクロマトグラフィーにより行なったところ、NMPを約365g含んでいることが分かった。これにより、混合物(b)は、イオウ原子1モル当たり約0.74リットルのNMPを含んでいることが分かった。
回収した混合物(b)を、反応液の温度が100℃になるように窒素下にて加熱撹拌を行なった。100℃で20分間保持した後、細孔直径10μmのガラスフィルターを用いて固液分離(c)を行なった。固液分離(c)には約6分の時間を要した。
固液分離(c)により得られた濾液成分を約3倍量のメタノールに滴下し、析出したメタノール不溶成分を回収した。得られた固体成分を減圧下、80℃で8時間乾燥を行い、環式ポリフェニレンスルフィド混合物を2.35g得た(収率10.9%)。
得られた環式ポリフェニレンスルフィド混合物を、高速液体クロマトグラフィーにより分析を行なったところ、環式ポリフェニレンスルフィドを81重量%含有していることが分かった。
また、固液分離(c)により固形分として分離した成分を約5倍量の脱イオン水に加え、分散させた後、70℃に加熱して15分間撹拌を継続した。スラリーをガラスフィルター(平均孔径10〜16μm)で濾過して固形分を得た。得られた固形分を約5倍量の脱イオン水に分散させ、得られた固形分を120℃で3時間真空乾燥に処し、乾燥固体約17.30gを得た。
得られたポリフェニレンスルフィドを分析した結果、重量平均分子量15300のポリマーであることが分かった。また、上記に記した方法により、ポリフェニレンスルフィドに含まれる線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマー含有量を測定したところ、0.20%であることが分かった。また、ポリフェニレンスルフィドの粒度分布測定を行なったところ、メディアン径が20μm、粒度分布の標準偏差は0.56であることが分かった。
[比較例1]
参考例1により得られた混合物(a)を、反応液の温度が100℃になるように窒素下にて加熱撹拌を行なった。100℃で20分間保持した後、細孔直径10μmのガラスフィルターを用いて固液分離(c)を行なった。固液分離(c)には約70分の時間を要した。
固液分離(c)により得られた濾液成分を約3倍重量のメタノールに滴下し、析出したメタノール不溶成分を回収した。得られた固体成分を減圧下、80℃で8時間乾燥を行ない、環式ポリフェニレンスルフィド混合物を3.89g得た(収率18%)。
得られた環式ポリフェニレンスルフィド混合物を、高速液体クロマトグラフィーにより分析を行なったところ、環式ポリフェニレンスルフィドを76重量%含有していることが分かった。
また、固液分離(c)により固形分として分離した成分を約5倍量の脱イオン水に加え、分散させた後、70℃に加熱して15分間撹拌を継続した。スラリーをガラスフィルター(平均孔径10〜16μm)で濾過して固形分を得た。得られた固形分を約5倍量の脱イオン水に分散させ、70℃に加熱して15分間撹拌して濾過して固形分を得る操作を3回繰り返した。得られた固形分を120℃で3時間真空乾燥に処し、乾燥固体約17.06gを得た。
得られたポリフェニレンスルフィドを分析した結果、重量平均分子量11000のポリマーであることが分かった。また、上記に示した方法により、ポリフェニレンスルフィドに含まれる線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマー含有量を測定したところ、3.5%であることが分かった。また、ポリフェニレンスルフィドの粒度分布測定を行なったところ、メディアン径が12μm、粒度分布の標準偏差は0.764と非常に分布が広いことが分かった。
実施例1と比較例1の比較により、反応終了後に有機極性溶媒を留去することにより、環式ポリアリーレンスルフィドの純度が高くなること、ポリアリーレンスルフィドの重量平均分子量が高くなること、ポリアリーレンスルフィドに含まれる線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマー含有率が低減すること、ポリアリーレンスルフィドのメディアン径が大きくなり、かつ粒度分布が狭くなること及び固液分離(c)の効率が大幅に向上することが分かる。
[実施例3]
参考例1記載の方法により得られた混合物(a)を抜き出しバルブを具備したオートクレーブに仕込み、内温が200℃になるように加温した。次いで、内温を200℃に保ちながら減圧下で70分かけて溶媒を378g留去した。溶媒の留去の完了後、オートクレーブを室温近傍にまで冷却し、混合物(b)を回収した。
留去した溶媒の分析をガスクロマトグラフィーにより行なったところ、NMPを約354g含んでいることが分かった。これにより、混合物(b)は、イオウ原子1モル当たり0.78リットルのNMPを含んでいることが分かった。
次いで、混合物(b)を、反応液の温度が100℃になるように窒素下にて加熱撹拌を行なった。100℃で20分間保持した後、細孔直径10μmのガラスフィルターを用いて固液分離(c)を行なった。固液分離(c)には約23分の時間を要した。
固液分離(c)により得られた濾液成分を約3倍重量のメタノールに滴下し、析出したメタノール不溶成分を回収した。得られた固体成分を減圧下、80℃で8時間乾燥を行ない、環式ポリフェニレンスルフィド混合物を3.75g得た(収率17,4%)。
得られた環式ポリフェニレンスルフィド混合物を、高速液体クロマトグラフィーにより分析を行なったところ、環式ポリフェニレンスルフィドを78重量%含有していることが分かった。
また、固液分離(c)により固形分として分離した成分を約5倍量の脱イオン水に加え、分散させた後、70℃に加熱して15分間撹拌を継続した。スラリーをガラスフィルター(平均孔径10〜16μm)で濾過して固形分を得た。得られた固形分を約5倍量の脱イオン水に分散させ、70℃に加熱して15分間撹拌して濾過して固形分を得る操作を3回繰り返した。得られた固形分を120℃で3時間真空乾燥に処し、乾燥固体17.48gを得た。
得られたポリフェニレンスルフィドを分析した結果、重量平均分子量12500のポリマーであることが分かった。また、上記に示した方法により、ポリフェニレンスルフィドに含まれる線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマー含有率を測定したところ、1.9%であることが分かった。また、ポリフェニレンスルフィドの粒度分布測定を行なったところ、メディアン径が15μm、粒度分布の標準偏差は0.63であることが分かった。
実施例1と比較例1との比較により、有機極性溶媒を留去する温度に関係なく、反応終了後に有機極性溶媒を留去することにより、環式ポリアリーレンスルフィドの純度が高くなり、ポリアリーレンスルフィドの重量平均分子量が高くなり、ポリアリーレンスルフィドに含まれる線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマー含有率が低減し、さらにポリアリーレンスルフィドのメディアン径が大きくなり、かつ固液分離(c)の効率が向上することが分かるが、実施例1と実施例3の比較により、好ましい温度範囲で有機極性溶媒を留去した方が、これら効果がより顕著に現れる傾向にあることが分かる。
[実施例4]
参考例1記載の方法により得られた混合物(a)を抜き出しバルブを具備したオートクレーブに仕込み、内温が150℃になるように加温した。次いで、内温を150℃に保ちながら減圧下で120分かけて溶媒を380g留去した。溶媒の留去完了後、オートクレーブを室温近傍にまで冷却し、混合物(b)を回収した。
留去した溶媒の分析をガスクロマトグラフィーにより行ったところ、NMPを約353g含んでいることが分かった。これにより、混合物(b)は、イオウ原子1モル当たり0.78リットルのNMPを含んでいることが分かった。
次いで、混合物(b)を、反応液の温度が100℃になるように窒素下にて加熱撹拌を行った。100℃で20分間保持した後、細孔直径10μmのガラスフィルターを用いて固液分離(c)を行った。固液分離(c)には約45分の時間を要した。
固液分離(c)により得られた濾液成分を約3倍量のメタノールに滴下し、析出したメタノール不溶成分を回収した。得られた固体成分を減圧下、80℃で8時間乾燥を行い、環式ポリアリーレンスルフィド混合物を3.78g得た(収率17.6%)。
得られた環式ポリアリーレンスルフィド混合物を、高速液体クロマトグラフィーにより分析を行ったところ、環式ポリアリーレンスルフィドを78重量%含有していることが分かった。
また、固液分離(c)により固形分として分離した成分を約5倍量の脱イオン水に加え、分散させた後、70℃に加熱して15分間撹拌を継続した。スラリーをガラスフィルター(平均孔径10〜16μm)で濾過して固形分を得た。得られた固形分を約5倍量の脱イオン水に分散させ、70℃に加熱して15分間撹拌して濾過して固形分を得る操作を3回繰り返した。得られた固形分を120℃で3時間真空乾燥に処し、乾燥固体17.4gを得た。
得られたポリフェニレンスルフィドを分析した結果、重量平均分子量11000のポリマーであることが分かった。また、上記に示した方法により、ポリフェニレンスルフィドに含まれる線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマー含有率を測定したところ、2.5%であることが分かった。また、ポリフェニレンスルフィドの粒度分布測定を行ったところ、メディアン径が12μm、粒度分布の標準偏差は0.65であることが分かった。
比較例1との比較により、ポリアリーレンスルフィドが析出する温度領域で有機極性溶媒の留去を行っても、環式ポリアリーレンスルフィドの純度が高くなり、かつポリアリーレンスルフィドの粒度分布が狭小化するため固液分離(c)の効率が向上することが分かる。一方で実施例1との比較により、好ましい温度範囲で有機極性溶媒の留去を行った方が、回収したポリアリーレンスルフィド中に含まれる線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマー含有率の低減効果が大きいことが分かる。
[実施例5]
参考例1記載の方法により得られた混合物(a)を抜き出しバルブを具備したオートクレーブに仕込み、内温が250℃になるように加温した。ついで、内温を250℃に保ちながら50分かけて溶媒を440g留去した。溶媒留去の完了後、オートクレーブを室温近傍にまで冷却し、混合物(b)を得た。留去した溶媒の分析をガスクロマトグラフィーにより行なったところ、NMPを約415g含んでいることが分かった。これにより、今後物(b)は、イオウ原子1モル当たり約0.47リットルのNMPを含んでいることが分かった。
次いで、混合物(b)を、反応液の温度が100℃になるように窒素下にて加熱撹拌を行なった。100℃で20分間保持した後、細孔直径10μmのガラスフィルターを用いて固液分離(c)を行なった。固液分離(c)には約3分の時間を要した。
固液分離(c)により得られた濾液成分を約3倍重量のメタノールに滴下し、析出したメタノール不溶成分を回収した。得られた固体成分を減圧下、80℃で8時間乾燥を行い、環式ポリフェニレンスルフィド混合物を3.46g得た(収率16.1%)。
得られた環式ポリフェニレンスルフィド混合物を、高速液体クロマトグラフィーにより分析を行ったところ、環式ポリフェニレンスルフィドを86重量%含有していることが分かった。
固液分離(c)により固形分として分離した成分を約5倍量の脱イオン水に加え、分散させた後、70℃に加熱して15分間撹拌を継続した。スラリーをガラスフィルター(平均孔径10〜16μm)で濾過して固形分を得た。得られた固形分を約5倍量の脱イオン水に分散させ、70℃に加熱して15分間撹拌して濾過して固形分を得る操作を3回繰り返した。得られた固形分を120℃で3時間真空乾燥に処し、乾燥固体約17.55gを得た。
得られたポリフェニレンスルフィドを分析した結果、重量平均分子量18000のポリマーであることが分かった。また、上記に示した方法により、ポリフェニレンスルフィドに含まれる線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマー含有率を測定したところ、0.08%であることが分かった。また、ポリフェニレンスルフィドの粒度分布測定を行なったところ、メディアン径が42μm、粒度分布の標準偏差は0.57であることが分かった。
実施例1と実施例4との比較により、有機極性溶媒の留去量を増やし、混合物(b)に含まれるイオウ原子1モル当たりの有機極性溶媒の量を低減することで、環式ポリアリーレンスルフィドの純度が高くなり、ポリアリーレンスルフィドの重量平均分子量が高くなり、さらにポリアリーレンスルフィドのメディアン径が大きくなる傾向にあることが分かる。
[実施例6]
参考例1記載の方法により得られた混合物(a)を抜き出しバルブを具備したオートクレーブに仕込み、内温が250℃になるように加温した。次いで、内温を250℃に保ちながら、抜き出しバルブを徐々に開放し、38分かけて溶媒を約325g留去した(留去溶媒(1))。その後、内温が140℃になるまで徐冷し、内温140℃で減圧下50分かけて溶媒を115g留去した(留去溶媒(2))。溶媒留去の完了後、オートクレーブを室温近傍にまで冷却し、混合物(b)を回収した。
留去した溶媒(1)の分析をガスクロマトグラフィーにより行ったところ、NMPを約300g含んでいることが分かった。これにより、250℃で溶媒の留去を行った後の反応液は、イオウ原子1モル当たり、約1.03リットルのNMPを含んでいることが分かった。また、回収した混合物(b)はイオウ原子1モル当たり、約0.47リットルのNMPを含んでいることが分かる。
回収した混合物(b)を、反応液の温度が100℃になるように窒素下にて加熱撹拌を行った。100℃で20分間保持した後、細孔直径10μmのガラスフィルターを用いて固液分離(c)を行った。固液分離(c)には約7分の時間を要した。
固液分離(c)により得られた濾液成分を約3倍量のメタノールに滴下し、析出したメタノール不溶成分を回収した。得られた固体成分を減圧下、80℃で8時間乾燥を行い、環式ポリフェニレンスルフィド混合物を3.63g得た(収率16.8%)。
得られた環式ポリフェニレンスルフィド混合物を、高速液体クロマトグラフィーにより分析を行ったところ、環式ポリフェニレンスルフィドを82重量%含有していることが分かった。
また、固液分離(c)により固形分として分離した成分を約5倍量の脱イオン水に加え、分散させた後、70℃に加熱して15分撹拌を継続した。スラリーをガラスフィルター(平均孔径10〜16μm)で濾過して固形分を得た。得られた固形分を約5倍量の脱イオン水に分散させ、得られた固形分を120℃で3時間真空乾燥に処し、乾燥固体を約17.2g得た。
得られたポリフェニレンスルフィドを分析した結果、重量平均分子量16000のポリマーであることが分かった。また、上記に記した方法により、ポリフェニレンスルフィドに含まれる線状ポリアリーレンスルフィドオリゴマー含有量を測定したところ、0.1%であることが分かった。また、ポリフェニレンスルフィドの粒度分布測定を行ったところ、メディアン径が28μm、粒度分布の標準偏差は0.55であることが分かった。

Claims (8)

  1. 少なくともスルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物及び有機極性溶媒を含む混合物を、混合物中のイオウ成分1モルに対して有機極性溶媒を1.25リットル以上50リットル以下用い、加熱して反応させて得られた、少なくとも重量平均分子量5,000〜1,000,000のポリアリーレンスルフィド、繰り返し単位数mが2〜50の環式ポリアリーレンスルフィド及び有機極性溶媒を含む混合物であって、ポリアリーレンスルフィド100重量部に対して環式ポリアリーレンスルフィドが6重量部以上70重量部以下である混合物(a)から環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドを回収する方法であって、
    混合物(a)から有機極性溶媒の量が混合物中のイオウ成分1モルに対して0.1リットル以上1.0リットル以下となるまで有機極性溶媒を留去し、少なくともポリアリーレンスルフィド、環式ポリアリーレンスルフィド及び有機極性溶媒を含む混合物(b)を調製する工程、
    および混合物(b)をポリアリーレンスルフィドが不溶となる温度領域で固液分離(c)を行う工程を含むことを特徴とする環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドの回収方法。
  2. 少なくともポリアリーレンスルフィド、スルフィド化剤、ジハロゲン化芳香族化合物及び有機極性溶媒を含む混合物を、混合物中のイオウ成分1モルに対して有機極性溶媒を1.25リットル以上50リットル以下用い、加熱して反応させて得られた、少なくとも重量平均分子量5,000〜1,000,000のポリアリーレンスルフィド、繰り返し単位数mが2〜50の環式ポリアリーレンスルフィド及び有機極性溶媒を含む混合物であって、ポリアリーレンスルフィド100重量部に対して環式ポリアリーレンスルフィドが6重量部以上70重量部以下である混合物(a)から環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドを回収する方法であって、
    混合物(a)から有機極性溶媒の量が混合物中のイオウ成分1モルに対して0.1リットル以上1.0リットル以下となるまで有機極性溶媒を留去し、少なくともポリアリーレンスルフィド、環式ポリアリーレンスルフィド及び有機極性溶媒を含む混合物(b)を調製する工程、
    および混合物(b)をポリアリーレンスルフィドが不溶となる温度領域で固液分離(c)を行う工程を含むことを特徴とする環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドの回収方法。
  3. 環式ポリアリーレンスルフィドが、繰り返し単位数mが2〜25の環式ポリアリーレンスルフィドであることを特徴とする請求項1または2に記載の環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドの回収方法。
  4. ポリアリーレンスルフィドが不溶となる温度領域で固液分離(c)を行なうことにより得られた濾液成分から、環式ポリアリーレンスルフィド混合物を固形物として得る工程を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドの回収方法。
  5. 固液分離(c)により得られた濾液成分から回収した混合物が、環式ポリアリーレンスルフィドを50重量%以上含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドの回収方法。
  6. 有機極性溶媒を留去する温度が140℃以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドの回収方法
  7. 有機極性溶媒を留去する温度が180℃以上であることを特徴とする請求項1〜いずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドの回収方法。
  8. 固液分離(c)により得られた少なくともポリアリーレンスルフィドとアルカリ金属ハライド塩を含有する混合物からアルカリ金属ハライド塩を除去する工程をさらに含む請求項1〜いずれかに記載の環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドの回収方法。
JP2009159517A 2008-07-11 2009-07-06 環式ポリアリーレンスルフィドおよびポリアリーレンスルフィドの回収方法 Expired - Fee Related JP5600896B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009159517A JP5600896B2 (ja) 2008-07-11 2009-07-06 環式ポリアリーレンスルフィドおよびポリアリーレンスルフィドの回収方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008181447 2008-07-11
JP2008181447 2008-07-11
JP2009159517A JP5600896B2 (ja) 2008-07-11 2009-07-06 環式ポリアリーレンスルフィドおよびポリアリーレンスルフィドの回収方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2010037550A JP2010037550A (ja) 2010-02-18
JP2010037550A5 JP2010037550A5 (ja) 2012-05-17
JP5600896B2 true JP5600896B2 (ja) 2014-10-08

Family

ID=42010414

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009159517A Expired - Fee Related JP5600896B2 (ja) 2008-07-11 2009-07-06 環式ポリアリーレンスルフィドおよびポリアリーレンスルフィドの回収方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5600896B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5434424B2 (ja) * 2008-09-22 2014-03-05 東レ株式会社 環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドの回収方法
KR101706327B1 (ko) * 2010-04-29 2017-02-28 에스케이케미칼 주식회사 열적 및 기계적 물성이 우수한 폴리아릴렌 설파이드 수지 및 이의 제조 방법
JP5966559B2 (ja) * 2011-04-26 2016-08-10 東レ株式会社 ポリフェニレンエーテルエーテルケトンおよび環式ポリフェニレンエーテルエーテルケトン組成物の回収方法
WO2013061561A1 (ja) 2011-10-24 2013-05-02 東レ株式会社 環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法
WO2014103317A1 (ja) 2012-12-27 2014-07-03 東レ株式会社 環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3882562B2 (ja) * 2001-10-02 2007-02-21 東ソー株式会社 ポリアリーレンスルフィドの回収方法
JP2007002172A (ja) * 2005-06-27 2007-01-11 Toray Ind Inc ポリフェニレンスルフィドオリゴマーの回収方法
JP5593580B2 (ja) * 2006-02-02 2014-09-24 東レ株式会社 環式ポリアリーレンスルフィド混合物の製造方法
JP4911073B2 (ja) * 2007-02-28 2012-04-04 東レ株式会社 環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法
CN101668790B (zh) * 2007-02-28 2012-12-26 东丽株式会社 环式聚芳撑硫醚的制造方法
JP5540497B2 (ja) * 2007-11-29 2014-07-02 東レ株式会社 環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法
JP5423038B2 (ja) * 2008-02-28 2014-02-19 東レ株式会社 ポリアリーレンスルフィドとオリゴアリーレンスルフィドの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010037550A (ja) 2010-02-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5731196B2 (ja) 末端ハロゲン基含量が低減されたポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP5593580B2 (ja) 環式ポリアリーレンスルフィド混合物の製造方法
JP5516756B2 (ja) 環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP6517337B2 (ja) 粒状ポリアリーレンスルフィドを製造する方法、及び粒状ポリアリーレンスルフィド
WO2010013545A1 (ja) 粒状ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JPH0651792B2 (ja) ポリ(p−フエニレンスルフイド)の改良製造方法
WO2010134445A1 (ja) ポリアリーレンスルフィド及びその製造方法
JP5540497B2 (ja) 環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法
JP5600896B2 (ja) 環式ポリアリーレンスルフィドおよびポリアリーレンスルフィドの回収方法
JPH05186593A (ja) ポリ(アリーレンスルフィド)ポリマーの調製方法
CN115335435A (zh) 聚芳撑硫醚及其制造方法
JP2018076492A (ja) ポリアリーレンスルフィドプレポリマーおよびその製造方法
JP2011111548A (ja) アルカリ金属ハロゲン化物の連続回収方法
JP2018002829A (ja) 環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP2018199748A (ja) 環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP2018024851A (ja) ポリアリーレンスルフィドおよびその製造方法
JP2017095697A (ja) 環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法
JP6221326B2 (ja) 環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP5434424B2 (ja) 環式ポリアリーレンスルフィド及びポリアリーレンスルフィドの回収方法
JP2017031404A (ja) ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP2018119143A (ja) ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP6733826B2 (ja) ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP6241088B2 (ja) 環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法
JP2011063736A (ja) ポリアリーレンスルフィド及び環式ポリアリーレンスルフィドの回収方法
JP2012092319A (ja) 環式ポリアリーレンスルフィドの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120326

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120326

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130208

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130226

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130423

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131029

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131209

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140722

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140804

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5600896

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees