JP5600417B2 - 表面処理組成物及び表面処理鋼板 - Google Patents
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Description
このような問題に対して、例えば、さきに挙げた特許文献3〜5は、基板上のめっき金属と処理液とが反応し、ごく薄膜の難溶性リン酸塩を形成して耐食性や塗料密着性等が発現するものであるが、このような表面処理鋼板を有機樹脂被覆鋼板に用いた場合にも、加工を行った場合の密着性や耐食性が低下しやすい。特に、厚さが100μm以上となるような有機樹脂層を有する有機樹脂被覆鋼板の場合、皮膜強度が高いため、変形時に有機樹脂層とその下地との界面に強いせん断力が働き、有機樹脂層の剥離が生じやすくなる。
しかし、本発明者らによるその後の研究により、上記表面処理組成物により形成される皮膜は比較的脆い性質があるため、表面処理鋼板を実機で製造する場合、皮膜形成後に金属ロール等に接触すると皮膜にキズが入り、耐食性が低下しやすい問題があることが判明した。また、高温湿潤環境という厳しい環境下では、上述したような厚い有機樹脂層との十分な密着性を確保できないという問題があることも判った。
また、本発明の他の目的は、そのような表面処理鋼板を用いた有機樹脂被覆鋼板を提供することにある。
[1]加水分解性チタン化合物、加水分解性チタン化合物の低縮合物、水酸化チタン、水酸化チタンの低縮合物の中から選ばれる少なくとも1種のチタン化合物を過酸化水素水と混合して得られるチタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して、炭酸ジルコニウム化合物(B)を10〜300質量部、1−ヒドロキシメタン−1,1−ジホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、1−ヒドロキシプロパン−1,1−ジホスホン酸、2−ヒドロキシホスホノ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、及びこれらの塩の中から選ばれる1種又は2種以上の有機リン酸化合物(C)を50〜200質量部含有し、さらに、リン酸のアルミニウム塩、マグネシウム塩、マンガン塩の中から選ばれる1種又は2種以上の金属リン酸塩(D)を表面処理組成物の全固形分中での割合で2〜20mass%、酸化ケイ素(E)を表面処理組成物の全固形分中での割合で20〜40mass%、水溶性有機樹脂及び/又は水分散性有機樹脂(F)を表面処理組成物の全固形分中での割合で2〜10mass%、シランカップリング剤(G)を表面処理組成物の全固形分中での割合で0.5〜20mass%含有することを特徴とする表面処理組成物(但し、弗化ジルコニウム化合物を含む表面処理組成物を除く)。
[3]上記[2]の表面処理組成物において、気相シリカのかさ比重が40g/L以下であることを特徴とする表面処理組成物。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの表面処理組成物において、シランカップリング剤(G)がグリシジル基を有することを特徴とする表面処理組成物。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの表面処理組成物において、pHが7〜12であることを特徴とする表面処理組成物。
[6]亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に、上記[1]〜[5]のいずれかの表面処理組成物を塗布し、乾燥させることにより形成された皮膜付着量が0.03〜0.5g/m2の表面処理皮膜を有することを特徴とする表面処理鋼板。
[7]上記[6]の表面処理鋼板の表面処理皮膜上に有機樹脂層を有することを特徴とする有機樹脂被覆鋼板。
また、本発明の表面処理鋼板及び有機樹脂被覆鋼板は、耐食性、耐黒変性、耐熱変色性及び耐キズ付き性に優れるとともに、有機樹脂層の密着性、特に100μm以上の厚みを有するような厚い有機樹脂層の密着性に優れ、さらに高温湿潤環境下という厳しい環境下での密着性にも優れている。
前記チタン含有水性液(A)は、加水分解性チタン化合物、加水分解性チタン化合物の低縮合物、水酸化チタン、水酸化チタンの低縮合物の中から選ばれる少なくとも1種のチタン化合物と過酸化水素水とを混合して得られるチタンを含む水性液である。
前記加水分解性基としては、上記したように水分と反応することにより水酸化チタンを生成させるものであれば特に制限はないが、例えば、低級アルコキシル基やチタンと塩を形成する基(例えば、塩素などのハロゲン原子、水素原子、硫酸イオンなど)などが挙げられる。
加水分解性基として、チタンと塩を形成する基を有する加水分解性チタン化合物としては、塩化チタン、硫酸チタンなどが代表的なものとして挙げられる。
加水分解性基がチタンと塩を形成する基である加水分解性チタン化合物(例えば、塩化チタン、硫酸チタンなど)については、その加水分解性チタン化合物の水溶液とアンモニアや苛性ソーダなどのアルカリ溶液との反応により得られるオルトチタン酸(水酸化チタンゲル)も低縮合物として使用できる。
以上挙げた加水分解性チタン化合物、加水分解性チタン化合物の低縮合物、水酸化チタン、水酸化チタンの低縮合物は、1種又は2種以上を使用できるが、そのなかでも、上述した一般式で示される加水分解性チタン化合物であるテトラアルコキシチタンが特に好ましい。この理由は、テトラアルコキシチタンは、加水分解した時に生成されるアルコールが表面処理組成物を乾燥させる過程で揮発するため、耐食性などの皮膜性能に影響を与えることがなく、特に優れた皮膜性能が得られるからである。
(i)含水酸化チタンのゲル又はゾルに過酸化水素水を添加して得られるチタニルイオン過酸化水素錯体又はチタン酸(ペルオキソチタン水和物)水溶液(特開昭63−35419号公報、特開平1−224220号公報参照)。
このチタニア膜形成用液体を得る場合、チタンと塩を形成する基を有する塩化チタンや硫酸チタンの水溶液とアンモニアや苛性ソーダなどのアルカリ溶液とを反応させることによりオルトチタン酸と呼ばれる水酸化チタンゲルを沈殿させる。次いで、水を用いたデカンテーションによって水酸化チタンゲルを分離し、良く水洗し、さらに過酸化水素水を加え、余分な過酸化水素を分解除去することにより、黄色透明粘性液体を得ることができる。
このゾルはチタン原子以外に酸素原子と水素原子しか含まないので、乾燥や焼成によって酸化チタンに変化する場合、水と酸素しか発生しないため、ゾルゲル法や硫酸塩などの熱分解に必要な炭素成分やハロゲン成分の除去が必要でなく、低温でも比較的密度の高い酸化チタン膜を形成することができる。
この加水分解性チタン化合物aを用いたチタン含有水性液(A)は、加水分解性チタン化合物aと過酸化水素水とを反応させることにより、加水分解性チタン化合物aが水で加水分解されて水酸基含有チタン化合物を生成し、次いで、この水酸基含有チタン化合物に過酸化水素が配位するものと考えられ、この加水分解反応及び過酸化水素による配位が同時近くに起こることにより得られたものであり、室温域での安定性が極めて高く、長期の保存に耐えるキレート液を生成する。従来の製法で用いられる水酸化チタンゲルは、Ti−O−Ti結合により部分的に三次元化しており、このゲルと過酸化水素水を反応させたチタン含有水性液(A)とは組成及び安定性が本質的に異なる。
表面処理組成物(H)を塗布した後の鋼板の加熱温度としては、例えば200℃以下、特に150℃以下が好ましく、このような温度で加熱乾燥することにより、水酸基を若干含む非晶質(アモルファス)の酸化チタン含有皮膜が形成できる。
また、上記したような80℃以上の加熱処理又はオートクレーブ処理を経て得られた酸化チタン分散液をチタン含有水性液(A)として用いた場合、表面処理組成物(H)を塗布するだけで結晶性の酸化チタン含有皮膜が形成できるため、加熱処理できない材料のコーティング材として有用である。
前記酸化チタンゾルは、無定型チタニア微粒子又は/及びアナタース型チタニア微粒子が水(必要に応じて、例えばアルコール系、アルコールエーテル系などの水性有機溶剤を添加してもよい)に分散したゾルである。この酸化チタンゾルとしては、従来公知のものを使用することができ、例えば、(i)硫酸チタンや硫酸チタニルなどの含チタン溶液を加水分解して得られる酸化チタン凝集物、(ii)チタンアルコキシドなどの有機チタン化合物を加水分解して得られる酸化チタン凝集物、(iii)四塩化チタンなどのハロゲン化チタン溶液を加水分解又は中和して得られる酸化チタン凝集物、などの酸化チタン凝集物を水に分散した無定型チタニアゾル、或いは前記酸化チタン凝集物を焼成してアナタース型チタン微粒子とし、このものを水に分散したゾルを使用することができる。
チタン含有水性液(A1)において、上記酸化チタンゾルxとチタン過酸化水素反応物y(加水分解性チタン化合物aと過酸化水素水との反応生成物)との質量比率x/yは、1/99〜99/1、好ましくは約10/90〜90/10の範囲が適当である。質量比率x/yが1/99以上であれば、安定性、光反応性などの点において酸化チタンゾルを添加した効果が十分に得られ、一方、99/1以下であれば、優れた造膜性が得られるので好ましい。
チタン含有水性液(A1)の生成形態やその特性は、さきに述べた加水分解性チタン化合物aを用いたチタン含有水性液(A)と同様であるが、特に、酸化チタンゾルを使用することにより、合成時に一部縮合反応が起きて増粘するのが抑えられる。その理由は、縮合反応物が酸化チタンゾルの表面に吸着され、溶液状態での高分子化が抑えられるためであると考えられる。
また、チタン含有水性液(A1)を80℃以上で加熱処理又はオートクレーブ処理すると、結晶化した酸化チタンの超微粒子を含む酸化チタン分散液が得られる。この酸化チタン分散液を得るための温度条件、結晶化した酸化チタン超微粒子の粒子径、分散液の外観なども、さきに述べた加水分解性チタン化合物aを用いたチタン含有水性液(A)と同様である。このような酸化チタン分散液も、チタン含有水性液(A1)として使用することができる。
表面処理組成物(H)を塗布した後の鋼板の加熱温度としては、例えば200℃以下、特に150℃以下が好ましく、このような温度で加熱乾燥することにより、水酸基を若干含むアナタース型の酸化チタン含有皮膜が形成できる。
以上述べたように、チタン含有水性液(A)の中でも、加水分解性チタン化合物aを用いたチタン含有水性液(A)やチタン含有水性液(A1)は、貯蔵安定性、耐食性などに優れた性能を有するので、本発明ではこれらを使用することが特に好ましい。
過酸化水素水の過酸化水素濃度は特に限定されないが、3〜30質量%程度であることが、取り扱いやすさ、塗装作業性に関係する生成液の固形分の点で好ましい。
表面処理組成物中でのチタン含有水性液(A)の含有量は、固形分で1〜100g/L、好ましくは5〜50g/Lとすることが、処理液の安定性などの点から好ましい。
有機リン酸化合物(C)の配合量は、チタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して50〜200質量部とし、特に70〜150質量部とすることが耐水付着性などの点から好ましい。有機リン酸化合物(C)の配合量が、チタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して50質量部未満では、表面処理組成物の貯蔵安定性が劣るとともに、耐食性の低下もみられる。一方、200質量部を超えると耐水付着性が劣る。
なかでも気相シリカが有機樹脂層との密着性の点から非常に好ましく、良好な性能が得られる。
また、酸化ケイ素(E)として乾式法により製造されたシリカ(気相シリカ)を用いる場合には、金属リン酸塩水溶液に気相シリカを添加して強撹拌することにより、金属リン酸塩水溶液中に気相シリカが分散した酸化ケイ素分散液を予め作製し、これを他の成分と混合すればよい。または、気相シリカ及び金属リン酸塩水溶液を他の配合成分及び水とともに強撹拌して表面処理組成物を作製してもよい。
金属リン酸塩(D)の配合量が、表面処理組成物の全固形分中での割合で2mass%未満では、その効果が発揮されず、鋼板との密着性が不十分となる。一方、20mass%を超えて過剰に添加すると、有機樹脂層を被覆するまでの保管時の黒変などの性能を悪化させる要因となる。また、金属リン酸塩(D)の配合量が8mass%を超えると、保管時の液安定性が低下する傾向がある。
これらのなかでも特に、水溶性又は水分散性のアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂及びエポキシ系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の有機樹脂を用いることが表面処理組成物の貯蔵安定性の面から好ましく、また特に、水溶性又は水分散性のアクリル系樹脂やウレタン系樹脂を主成分として用いることが、表面処理組成物の貯蔵安定性と塗膜性能とのバランスの面から好ましい。
前記親水性の基を有する重合体は、例えば、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、ポリオキシアルキレン基などの親水性の基を有する不飽和単量体、必要に応じて、さらにその他の不飽和単量体を重合させることにより得ることができる。
水溶性又は水分散性アクリル樹脂は、耐食性などの点からスチレンを共重合してなるものが好ましく、全不飽和単量体中のスチレンの量は10〜60質量%、特に15〜50質量%であることが好ましい。また、共重合して得られるアクリル樹脂のTg(ガラス転移点)は30〜80℃、特に35〜70℃であることが、得られる皮膜の強靭性などの点から好ましい。
前記アミノ基含有不飽和単量体などのような含窒素不飽和単量体としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの含窒素アルキル(メタ)アクリレート;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの重合性アミド類;2−ビニルピリジン、1−ビニル−2−ピロリドン、4−ビニルピリジンなどの芳香族含窒素モノマー;アリルアミンなどが挙げられる。
以上挙げた不飽和単量体は、1種又は2種以上を用いることができる。なお、本願の記載において、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタアクリレート」を意味する。
(1)ポリウレタンポリマーの側鎖又は末端に水酸基、アミノ基、カルボキシル基などのイオン性基を導入することにより親水性を付与し、自己乳化により水中に分散又は溶解する方法。
(2)反応の完結したポリウレタンポリマー又は末端イソシアネート基をオキシム、アルコール、フェノール、メルカプタン、アミン、重亜硫酸ソーダなどのブロック剤でブロックしたポリウレタンポリマーを乳化剤と機械的剪断力を用いて強制的に水中に分散する方法。さらに、末端イソシアネート基を持つウレタンポリマーを水、乳化剤及び鎖伸長剤と混合し、機械的剪断力を用いて分散化と高分子量化を同時に行う方法。
(3)ポリウレタン主原料のポリオールとしてポリエチレングリコールのごとき水溶性ポリオールを使用し、水に可溶なポリウレタンとして水中に分散又は溶解する方法。
なお、ポリウレタン系樹脂は、上述した分散又は溶解方法のうち異なる方法で得られたものを混合して用いることもできる。
ポリウレタン系樹脂の市販品としては、ハイドラン(登録商標)HW−330、同HW−340、同HW−350(いずれも商品名,大日本インキ化学工業社製)、スーパーフレックス(登録商標)100、同150、同E−2500、同F−3438D(いずれも商品名,第一工業製薬社製)などを挙げることができる。
シランカップリング剤(G)の配合量は、表面処理組成物の全固形分中での割合で0.5〜20mass%、好ましくは0.5〜10mass%とする。シランカップリング剤(G)の配合量が、表面処理組成物の全固形分中での割合で0.5mass%未満では、高温湿潤環境下での密着性を十分に改善できず、一方、20mass%を超えると液安定性が低下してしまう上、コストアップになる。
本発明の表面処理組成物には、さらに必要に応じて、例えば、樹脂微粒子、無機リン酸化合物などのエッチング剤、本発明が規定する成分以外の重金属化合物、増粘剤、界面活性剤、潤滑性付与剤(ポリエチレンワックス、フッソ系ワックス、カルナバワックスなど)、防錆剤、着色顔料、体質顔料、防錆顔料、染料などを含有することができる。
また、本発明の表面処理組成物は、必要に応じて、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール系溶剤、プロピレングリコール系溶剤などの親水性溶剤で希釈して使用することができる。
本発明の表面処理組成物は、貯蔵安定性や塗装時の安定性などの観点から、その固形分含有量を2〜10mass%程度とすることが好ましい。
本発明の表面処理組成物は、種々の金属材料の表面処理剤として用いることができるが、後述する亜鉛系めっき鋼板、アルミニウム系めっき鋼板の表面処理剤として特に好適である。
また、チタン含有水性液(A)や表面処理組成物には、さらに必要に応じて、さきに挙げたような他の添加成分を含有させてもよい。
また、めっき鋼板としては、鋼板面に予めNiなどの薄目付めっきを施し、その上に上記のような各種めっきを施したものであってもよい。
めっき方法としては、電解法(水溶液中での電解又は非水溶媒中での電解)、溶融法、気相法のうち、実施可能ないずれの方法を採用することができる。
また、表面処理皮膜をめっき皮膜表面に形成した際に皮膜欠陥やムラが生じないようにするため、必要に応じて、予めめっき皮膜表面にアルカリ脱脂、溶剤脱脂、表面調整処理(アルカリ性の表面調整処理又は酸性の表面調整処理)などの処理を施しておくことができる。
また、電気亜鉛めっき鋼板を下地鋼板として用いる場合には、黒変を防止する目的で電気めっき浴に鉄族金属イオン(Niイオン,Coイオン,Feイオンの1種以上)を添加し、めっき皮膜中にこれらの金属を1massppm以上含有させておくことができる。この場合、めっき皮膜中の鉄族金属濃度の上限については特に限定はない。
表面処理組成物により形成される表面処理皮膜の付着量は、0.03〜0.5g/m2とする。皮膜付着量が0.03g/m2未満では耐食性が劣り、一方、0.5g/m2を超えると皮膜が割れやすく、有機樹脂被覆後の過酷な加工時の密着性が低下する。
また、チタン含有水性液(A)や表面処理組成物には、さらに必要に応じて、さきに挙げたような他の添加成分を含有させてもよい。
塗布した表面処理組成物(処理液)の乾燥温度(鋼板温度)は60〜200℃程度とすることが好ましい。乾燥温度が60℃以上であれば、皮膜形成が十分となって耐食性等が優れた皮膜となる。一方、乾燥温度が200℃以下であれば、熱により皮膜にクラックが生じることがないため、十分な耐食性の向上効果が得られる。また、より好ましい乾燥温度は60〜140℃であり、さらには好ましいのは60〜100℃である。
また、本発明の表面処理皮膜は、特に100μm以上の厚みを有するような厚い有機樹脂層の密着性に優れているため、本発明の有機樹脂被覆鋼板は、有機樹脂層の厚さが100μm以上である場合に特に有用である。
なお、有機樹脂層には、非クロム系防錆添加剤、固形潤滑剤、着色顔料などをはじめとする種々の添加剤を配合することができる。
[チタン含有水性液(A)の製造]
・製造例1(チタン含有水性液T1)
四塩化チタン60質量%溶液5ccを蒸留水で500ccとした溶液にアンモニア水(1:9=アンモニア:水の質量比)を滴下し、水酸化チタンの低縮合物を沈殿させた。蒸留水で洗浄後、過酸化水素水30質量%溶液を10cc加えてかき混ぜ、チタンを含む黄色半透明の粘性のあるチタン含有水性液T1を得た。
テトラiso−プロポキシチタン10質量部とiso−プロパノール10質量部の混合物を30質量%過酸化水素水10質量部と脱イオン水100質量部の混合物中に20℃で1時間かけて撹拌しながら滴下した。その後25℃で2時間熟成し、黄色透明の少し粘性のあるチタン含有水性液T2を得た。
・製造例3(チタン含有水性液T3)
製造例2で使用したテトラiso−プロポキシチタンの代わりにテトラn−ブトキシチタンを使用した以外は製造例2と同様の製造条件で、チタン含有水性液T3を得た。
製造例2で使用したテトラiso−プロポキシチタンの代わりにテトラiso−プロポキシチタンの3量体(テトラiso−プロポキシチタンの低縮合物)を使用した以外は製造例2と同様の製造条件で、チタン含有水性液T4を得た。
・製造例5(チタン含有水性液T5)
製造例2に対して過酸化水素水を3倍量用い、50℃で1時間かけて滴下し、さらに60℃で3時間熟成した以外は製造例2と同様の製造条件で、チタン含有水性液T5を得た。
製造例3で製造したチタン含有水性液T3を、さらに95℃で6時間加熱処理することにより、白黄色の半透明なチタン含有水性液T6を得た。
・製造例7(チタン含有水性液T7)
テトラiso−プロポキシチタン10質量部とiso−プロパノール10質量部の混合物を、「TKS−203」(商品名,テイカ社製,酸化チタンゾル)5質量部(固形分)、30質量%過酸化水素水10質量部及び脱イオン水100質量部の混合物中に10℃で1時間かけて撹拌しながら滴下した。その後10℃で24時間熟成し、黄色透明の少し粘性のあるチタン含有水性液T7を得た。
B1:炭酸ジルコニウムアンモニウム
B2:オキシ炭酸ジルコニウム
B3:ジルコン弗化アンモニウム
[有機リン酸化合物(C)]
C1:1−ヒドロキシメタン−1,1−ジホスホン酸
C2:1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸
表3、表5、表7、表9、表11に示す固形分配合割合で金属リン酸塩(D)の水溶液に酸化ケイ素(E)を添加して強撹拌し、金属リン酸塩水溶液に酸化ケイ素が分散した混合物を得た。なお、表9及び表10のNo.92の比較例は、酸化ケイ素E4のみを含む。
・金属リン酸塩(D)
D1:第1リン酸アルミニウム
D2:第1リン酸マグネシウム
D3:第1リン酸マンガン
・酸化ケイ素(E)
E1:アエロジル300(商品名,日本アエロジル(株)製,気相シリカ,かさ比重;50g/L)
E2:アエロジル200(商品名,日本アエロジル(株)製,気相シリカ,かさ比重;35g/L)
E3:スノーテックスO(商品名,日産化学工業(株)製,コロイダルシリカ)
E4:アエロジル300CF(商品名,日本アエロジル(株)製,気相シリカ,かさ比重;35g/L)
水溶性又は水分散性有機樹脂のうち、F1〜F5の水分散性アクリル樹脂は、以下に示す製造例8〜12に従って製造し、F6〜F13は市販品を使用した。なお、下記製造例の「部」及び「%」は質量基準である。
・製造例8(水分散性アクリル樹脂F1)
還流冷却器、撹拌器、温度計、滴下ロートを装備した容量2リットルの4つ口フラスコに脱イオン水665部、アクアロンRN−50(注1)9部、アクアロンRN−2025(注2)87部、下記組成のモノマー混合液1(1段目)を強制乳化してなるプレエマルションの5%(28.9部)を加え、窒素置換後、昇温した。
《モノマー混合液1》
脱イオン水 166.5部
アクアロンRN−50 6.6部
アクアロンRN−2025 53部
スチレン 35部
メチルメタクリレート 163.5部
2−エチルヘキシルアクリレート 105部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 5部
メタクリル酸 3部
アクリロニトリル 38.5部
ターシャリードデカンチオール 1部
55℃以上に達したら、パーブチルH(注3)5部を脱イオン水83.5部に溶解させてなる酸化剤水溶液の5%(4.43部)及びナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート2.5部を脱イオン水83.5部に溶解させてなる還元剤水溶液の5%(4.3部)を添加し、さらに昇温して60℃の温度で保持した。添加15分後から、残りのプレエマルションを1.5時間、酸化剤水溶液を3.5時間、還元剤水溶液を3.5時間にわたって滴下した。酸化剤水溶液と還元剤水溶液の滴下を続けている間、1段目プレエマルションの滴下終了1時間後より下記組成のモノマー混合液2(2段目)を1時間にわたって滴下した。
《モノマー混合液2》
スチレン 15部
メチルメタクリレート 84.5部
2−エチルヘキシルアクリレート 22.5部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 4.25部
メタクリル酸 6部
アクリロニトリル 15部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 2.75部
全ての滴下終了時からさらに1時間60℃の温度に保持し、その後40℃以下に温度を下げ、25%アンモニア水3.35部、スラオフEX(注4)0.35部、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート83.5部を添加し、pH8.0、不揮発分31%の水分散性アクリル樹脂F1を得た。
(注1)アクアロンRN−50:商品名、第一工業製薬(株)製、ノニオン性乳化剤、固形分60%
(注2)アクアロンRN−2025:商品名、第一工業製薬(株)製、ノニオン性乳化剤、固形分25%
(注3)パーブチルH:商品名、日本油脂(株)製、t−ブチルハイドロキシパーオキサイド、有効成分69%
(注4)スラオフEX:商品名、日本エンバイロケミカルズ(株)製、防腐剤
製造例8において、1段目、2段目のモノマー組成を表2に示す配合比とする以外は、製造例8と同様の方法で水分散性アクリル樹脂F2〜F5を得た。
表2に各水分散性アクリル樹脂の特性値を併せて示す。
F7:スーパーフレックス150(商品名,第一工業製薬(株)製,水性ポリウレタン樹脂)
F8:スーパーフレックス420(商品名,第一工業製薬(株)製,水性ポリウレタン樹脂)
F9:スーパーフレックス300(商品名,第一工業製薬(株)製,水性ポリウレタン樹脂)
F10:バイロナールMD−1100(商品名,東洋紡績(株)製,水性ポリエステル樹脂)
F11:アデカレジンEM−0718(商品名,(株)ADEKA製,水性エポキシ系樹脂)
F12:モデピクス303(商品名,荒川化学工業(株)製,水性エポキシ系樹脂)
F13:ウォーターゾールS−370(商品名,大日本インキ化学工業(株)製,水性エポキシ系樹脂)
G1:KBM−403(商品名、信越化学工業(株)製、グリシジル基含有型)
G2:KBE−403(商品名、信越化学工業(株)製、グリシジル基含有型)
G3:KBE−402(商品名、信越化学工業(株)製、グリシジル基含有型)
G4:KBM−303(商品名、信越化学工業(株)製、グリシジル基含有型)
G5:KBE−903(商品名、信越化学工業(株)製、アミノ基含有型)
G6:KBM−803(商品名、信越化学工業(株)製、メルカプト基含有型)
G7:KBE−585(商品名、信越化学工業(株)製、ウレイド基含有型)
G8:KBM−1003(商品名、信越化学工業(株)製、ビニル基含有型)
上記したチタン含有水性液(A)に対して成分(B)〜(G)および蒸留水を適宜配合して混合し、固形分含有量を2〜10mass%、pHを8に調整した表面処理組成物をめっき鋼板表面に塗布し、5秒後に所定の乾燥温度(最高到達板温)となるように乾燥して表面処理鋼板を作製した。このようにして得られた表面処理鋼板に対し、ゴムロール(48mmφ×205mm)にコピー用紙を巻き付け、690gの荷重(ロール自重含む)でロールを回転させることなく1回、皮膜の表面を擦るキズ付け処理を行ない、供試材1とした。なお、表5及び表6に記載のNo.58の比較例は、上記キズ付け処理を行っていない。
さらに、供試材1に一般的な塩ビフィルム用接着剤を乾燥膜厚が3μmとなるように塗布した後、炉内温度が100℃の加熱炉で加熱し、続いて膜厚250μmの塩ビフィルムをロールで供試材表面に押し付け、鋼板温度が230℃となるようにして、熱圧着することにより塩ビフィルム(有機樹脂層)を接着させ、有機樹脂被覆鋼板(これを「供試材2」とする)を作製した。このようにして作製した供試材2について、下記(5)〜(7)の試験方法により加工後密着性、沸水密着性及び耐食性を評価した。
さらに、下記(8)、(9)の試験方法により表面処理組成物の貯蔵安定性を評価した。
以上の結果を、各供試材に適用した表面処理組成物の組成及びその塗装条件とともに、表3〜表12に示す。
供試材1を赤外線イメージ炉にて30秒で板温500℃に加熱し、30秒間保持した後、室温まで自然放冷した時の表面外観を目視観察した。その評価基準は以下のとおりである。
○:変色なし
△:淡黄色に変色
×:黄色〜茶色に変色
(2)耐水付着性
供試材1に純水1mLを滴下し、100℃のオーブンにて10分間乾燥させた時の表面外観を目視観察した。その評価基準は以下のとおりである。
◎:変化なし
○:ほとんど変化なし
△:滴下部輪郭のみ観察される
×:滴下部全体が変色する
供試材1から切り出された50mm×100mmの試験片を用い、その試験片の端部と裏面をシールして、JIS−Z−2371−2000の塩水噴霧試験を行い、白錆発生面積率が5%となる試験時間を測定した。その評価基準は以下のとおりである。
◎:36時間以上
○:24時間以上、36時間未満
△:12時間以上、24時間未満
×:12時間未満
(4)耐黒変性
供試材1を温度80℃、相対湿度95%雰囲気に制御された恒温恒湿機に24時間静置した際の白色度(L値)変化をΔL(試験後のL値−試験前のL値)で算出した。その評価基準は以下のとおりである。
○:ΔL≧−5.0
△:−5.0>ΔL≧−10.0
×:−10.0>ΔL
供試材2から切り出された30mm×120mmの試験片を用い、その試験片の長さ方向のほぼ中央部に、長さ方向に対して直角に二本線を50mm間隔で描き、試験片の長さ方向両端を引張試験機のクランプでつかみ、前記二本線の間隔が60mmになるまで一軸方向に延伸した。この延伸した後の試験片を試料とし、広げられた二本線間の有機樹脂層に、幅20mmになるように鋼板に達する切込みを設けた。この切込みを設けた有機樹脂層の一端を強制的に剥離し、この剥離した有機樹脂層の端を引張試験機の一方のクランプでつかみ、引張試験機の他方クランプで鋼板をつかみ、剥離速度50mm/分の条件下で剥離試験を行った。この剥離試験では、有機樹脂層は、鋼板表面から180度の方向(反対方向)に剥離するが、この剥離する際の最大強度(=剥離強度)を測定した。この剥離強度が大きいほど、有機樹脂層は金属板から剥離し難く、折り曲げ加工や絞り加工後の密着性に優れていることになる。測定された剥離強度に基づき、加工後密着性を下記基準で評価した。
4(評点):剥離強度が50N/20mm幅以上
3(評点):剥離強度が40N/20mm幅以上、50N/20mm幅未満
2(評点):剥離強度が30N/20mm幅以上、40N/20mm幅未満
1(評点):剥離強度が30N/20mm幅未満
供試材2から切り出された30mm×120mmの試験片を用い、その試験片を沸騰水中に5時間浸漬して引き上げた。この試験片について、上記(5)の試験と同様の方法で鋼板からの有機樹脂層の剥離強度を測定した。この剥離強度が大きいほど、熱水浸漬後の密着性、つまり高温湿潤環境下での密着性に優れていることになる。測定された剥離強度に基づき、沸水密着性を下記基準で評価した。
4(評点):剥離強度が50N/20mm幅以上
3(評点):剥離強度が40N/20mm幅以上、50N/20mm幅未満
2(評点):剥離強度が30N/20mm幅以上、40N/20mm幅未満
1(評点):剥離強度が30N/20mm幅未満
供試材2から切り出された50mm×100mmの試験片を用い、その試験片表面にクロスカットを入れ、JIS−Z−2371−2000の規定に準拠して塩水噴霧試験を1000時間行った。クロスカットからの片側腐食幅を測定した。その評価基準は以下のとおりである。
◎:カット部からの平均腐食幅が5mm未満
○:カット部からの平均腐食幅が5mm以上、10mm未満
×:カット部からの平均腐食幅が10mm以上
表面処理鋼板の表面に形成された皮膜の耐キズ付き性が劣ると、皮膜が削り取られ、めっき面に到達するキズが多数形成される。このキズ部には皮膜が存在しないため、有機樹脂層との密着性が乏しく、水が侵入し易い。したがって、このキズ部にクロスカット部から侵入した塩水が浸透し、腐食が進行する。その結果、耐キズ付き性が劣る場合には、クロスカット部からの腐食幅が大きくなる。そこで、クロスカットからの片側平均腐食幅の評価は耐キズ付き性の評価になる。
固形分8mass%とした表面処理組成物を40℃で2週間経時させ、固形分の沈殿状態と粘性について目視で評価した。その評価基準は以下のとおりである。
◎:固形分の沈殿なし且つ粘性に変化なし
○:僅かな固形分の沈殿あり又は小さい粘性の変化あり
△:固形分の沈殿が多い又は粘性の変化が大きい
×:固形分の沈殿が多く且つ粘性の変化が大きい
(9)貯蔵安定性(II)
固形分8mass%とした表面処理組成物を30℃に保持し、1週間毎に固形分の沈殿状態を目視で評価した。その評価基準は以下のとおりである。
◎:4週間後も沈殿なし
○:4週間後沈殿発生
△:2週間〜3週間後沈殿発生
×:1週間後沈殿発生
*1 表1に記載のめっき鋼板No.1〜No.9
*2 明細書本文に記載のチタン含有水性液T1〜T7
*3 明細書本文に記載のジルコニウム化合物B1〜B3
*4 明細書本文に記載の有機リン酸化合物C1,C2
*5 明細書本文に記載の金属リン酸塩D1〜D3
*6 明細書本文に記載の酸化ケイ素E1〜E4
*7 明細書本文に記載の水溶性又は水分散性有機樹脂F1〜F13
*8 明細書本文に記載のシランカップリング剤G1〜G8
*9 表面処理組成物(水性処理液)1リットル中の固形分質量(g)
*10 表面処理組成物(水性処理液)の全固形分中での割合(mass%)
Claims (7)
- 加水分解性チタン化合物、加水分解性チタン化合物の低縮合物、水酸化チタン、水酸化チタンの低縮合物の中から選ばれる少なくとも1種のチタン化合物を過酸化水素水と混合して得られるチタン含有水性液(A)の固形分100質量部に対して、炭酸ジルコニウム化合物(B)を10〜300質量部、1−ヒドロキシメタン−1,1−ジホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、1−ヒドロキシプロパン−1,1−ジホスホン酸、2−ヒドロキシホスホノ酢酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、及びこれらの塩の中から選ばれる1種又は2種以上の有機リン酸化合物(C)を50〜200質量部含有し、さらに、リン酸のアルミニウム塩、マグネシウム塩、マンガン塩の中から選ばれる1種又は2種以上の金属リン酸塩(D)を表面処理組成物の全固形分中での割合で2〜20mass%、酸化ケイ素(E)を表面処理組成物の全固形分中での割合で20〜40mass%、水溶性有機樹脂及び/又は水分散性有機樹脂(F)を表面処理組成物の全固形分中での割合で2〜10mass%、シランカップリング剤(G)を表面処理組成物の全固形分中での割合で0.5〜20mass%含有することを特徴とする表面処理組成物(但し、弗化ジルコニウム化合物を含む表面処理組成物を除く)。
- 酸化ケイ素(E)が乾式法にて製造された気相シリカであることを特徴とする請求項1に記載の表面処理組成物。
- 気相シリカのかさ比重が40g/L以下であることを特徴とする請求項2に記載の表面処理組成物。
- シランカップリング剤(G)がグリシジル基を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の表面処理組成物。
- pHが7〜12であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の表面処理組成物。
- 亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に、請求項1〜5のいずれか一項に記載の表面処理組成物を塗布し、乾燥させることにより形成された皮膜付着量が0.03〜0.5g/m2の表面処理皮膜を有することを特徴とする表面処理鋼板。
- 請求項6に記載の表面処理鋼板の表面処理皮膜上に有機樹脂層を有することを特徴とする有機樹脂被覆鋼板。
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