JP5600267B2 - 新規な化合物及びその利用 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な化合物及びその利用に関する。更に詳しくは、本発明は特定の複素環式有機化合物及びこれを含有することを特徴とした有機エレクトロニクスデバイスに関する。
近年、有機エレクトロニクスデバイスへの関心が高まっている。その特徴としてはフレキシブルな構造をとり、大面積化が可能である事、更にはエレクトロニクスデバイス製造プロセスにおいて安価で高速の印刷方法を可能にすることが挙げられる。代表的なデバイスとしては有機太陽電池素子、有機光電変換素子、有機EL素子、有機トランジスタ素子などが挙げられる。有機EL素子は携帯電話のディスプレイからTVなどへ応用され、更に高機能化を目指した開発が継続されている。有機太陽電池素子などは安価なエネルギー源として、有機トランジスタ素子などはフレキシブルなディスプレイや安価なICへと盛んに研究開発がなされている。
これら有機エレクトロニクスデバイスの開発には、そのデバイスを構成する材料の開発が非常に重要である。そのため各分野において数多くの材料が検討されているが、十分な性能を有しているとは言えず、現在でも各種デバイスに有用な材料の開発が精力的に行われている。
その中でベンゾトリチオフェン(以下BTTと略記する)誘導体も期待されているが、僅かに数種類が合成されているにすぎず、その応用展開も殆どなされていないのが現状であり、さらにその多量体構造の化合物は全く知られていない(非特許文献1、2)。
J.Org.Chem.1989,Vol.54,4203−4205. Org.Lett.,Vol.6,No.2,273−276(2004).
本発明は有機エレクトロニクスデバイスに使用する新規な化合物とその応用を提供することにある。さらに詳しくは有機太陽電池素子、有機トランジスタ素子などの有機エレクトロニクスデバイスに応用可能な半導体特性を有する新規な多量体化合物を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく、新規な多量体化合物を開発し、さらにその有機エレクトロニクスデバイスとしての可能性を検討し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の構成を有する。
(1)一般式(1)で表される部分構造を2個以上有する多量体化合物。

(式(1)中、X、X及びXはそれぞれ独立に硫黄原子又はセレン原子を表す。)
(2)一般式(1)で表される部分構造を2個以上有する多量体化合物が、オリゴマー又はデンドリマーである、(1)に記載の多量体化合物。
(3)一般式(2)で表される部分構造を2個以上有する、(1)又は(2)に記載の多量体化合物、

(式(2)中、X、X及びXはそれぞれ独立に硫黄原子又はセレン原子を表す。R〜Rの少なくとも1つの部分で、他の部分構造と結合して、多量体を形成する。残りのR〜Rはそれぞれ独立に芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基、ボロン酸基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、アシル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、シアノ基、スルホ基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、アルキルスズ基、アリールスズ基又は水素原子を表す。)
(4)一般式(2)においてX、X及びXが全て硫黄原子である、(3)に記載の多量体化合物。
(5)一般式(3)で表わされる、(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の多量体化合物。

(式(3)中、X乃至Xはそれぞれ独立に硫黄原子又はセレン原子を表す。R〜R16はそれぞれ独立に芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基、ボロン酸基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、アシル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、シアノ基、スルホ基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、アルキルスズ基、アリールスズ基又は水素原子を表す。)
(6)一般式(4)で表わされる、(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の多量体化合物。

(式(4)中、X10乃至X18はそれぞれ独立に硫黄原子又はセレン原子を表す。R17〜R30はそれぞれ独立に芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基、ボロン酸基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、アシル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、シアノ基、スルホ基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、アルキルスズ基、アリールスズ基又は水素原子を表す。)
(7)一般式(5)で表わされる、(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の多量体化合物。

(式(5)中、X19乃至X30はそれぞれ独立に硫黄原子又はセレン原子を表す。R31〜R48はそれぞれ独立に芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基、ボロン酸基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、アシル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、シアノ基、スルホ基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、アルキルスズ基、アリールスズ基又は水素原子を表す。)
(8)一般式(6)で表わされる、(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の多量体化合物。

(式(6)中、X31乃至X48はそれぞれ独立に硫黄原子又はセレン原子を表す。R49〜R74はそれぞれ独立に芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基、ボロン酸基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、アシル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、シアノ基、スルホ基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、アルキルスズ基、アリールスズ基又は水素原子を表す。)
(9)一般式(7)で表わされる、(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の多量体化合物。

(式(7)中、X49乃至X78はそれぞれ独立に硫黄原子又はセレン原子を表す。R75〜R116はそれぞれ独立に芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基、ボロン酸基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、アシル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、シアノ基、スルホ基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、アルキルスズ基、アリールスズ基又は水素原子を表す。)
(10)(1)乃至(9)のいずれか一つに記載の多量体化合物からなる有機半導体材料。
(11)(10)に記載の有機半導体材料を含有する、有機エレクトロニクスデバイス。
(12)前記デバイスが、光電変換素子、有機太陽電池素子、有機EL素子、有機半導体レーザー素子、液晶表示素子又は薄膜トランジスタ素子である、(11)に記載の有機エレクトロニクスデバイス。
(13)(1)乃至(9)のいずれか一つに記載の多量体化合物を含有する、組成物。
(14)(1)乃至(9)又は(13)のいずれか一つに記載の多量体化合物又は組成物を含有する、薄膜。
(15)一般式(1)で表される部分構造を有する化合物同士をカップリング反応することを含む、(1)乃至(9)のいずれか一つに記載の多量体化合物の製造方法、
に関する。
本発明はBTT誘導体に関するものである。本発明化合物を用いて有機エレクトロニクスデバイスを提供することが可能となり、フレキシブルな電子製品の提供も可能となる。
本発明の薄膜トランジスタの構造態様例を示す概略図である。 本発明の薄膜トランジスタの一態様例を製造する為の工程の概略図である。 実施例4で得られた本発明の薄膜トランジスタの概略図である。 実施例5における有機EL素子の構成を示す。 実施例4における有機薄膜トランジスタのドレイン電流−ドレイン電圧曲線を示す。 実施例4における有機薄膜トランジスタのドレイン電流−ゲート電圧曲線を示す。 実施例6における有機EL素子のI−V−L特性図を示す。 実施例7における有機太陽電池素子のJ−V特性図を示す。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、特定の部分構造を2個以上有する化合物とその利用に関したものである。
まずは本発明における多量体化合物について説明する。本発明の多量体化合物は下記一般式(1)で表わされる部分構造を2個以上有する。

式(1)中、X、X及びXはそれぞれ独立に硫黄原子又はセレン原子を表す。
一般式(1)の部分構造を2個以上有することで本発明の化合物はオリゴマーやデンドリマーを形成することができる。
式(1)を詳しく記載すると、下記一般式(2)のように書くことができる。

ここでX、X及びXは、それぞれ独立に硫黄原子又はセレン原子であるが、硫黄原子が好ましい。また、X、X及びXは同一であることが好ましい。ここでR〜Rの少なくとも1つの部分で、他の部分構造と結合して、多量体を形成する。多量体の形成に使用されなかった残りのR〜Rはそれぞれ独立に芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基、ボロン酸基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、アシル基、カルボキシル基、アシルオキシ基、シアノ基、スルホ基、スルファモイル基、アルキルスルファモイル基、カルバモイル基、アルキルカルバモイル基、アルキルスズ基、アリールスズ基又は水素原子を表す。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、ベンゾピレニル基などが挙げられる。これらのうち、好ましいものはフェニル基、ナフチル基、ピレニル基である。
この芳香族炭化水素基が有することができる置換基としては、特に制限はないが、例えば脂肪族炭化水素基(これは置換基を有してもよく、該置換基としてはハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボン酸基、スルホン酸基、ニトロ基、アルコキシル基、アルキル置換アミノ基、アリール置換アミノ基、非置換アミノ基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基などが挙げられる);芳香族炭化水素基(これは置換基を有してもよく、該置換基としてはアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボン酸基、スルホン酸基、ニトロ基、アルコキシル基、アルキル置換アミノ基、アリール置換アミノ基、非置換アミノ基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基などが挙げられる);シアノ基;イソシアノ基;チオシアナト基;イソチオシアナト基;ニトロ基;ニトロソ基;アシル基;アシルオキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;ヒドロキシル基;メルカプト基;置換もしくは非置換アミノ基;アルコキシル基;アルコキシアルキル基;チオアルキル基;芳香族オキシ基;スルホン酸基;スルフィニル基;スルホニル基;スルホン酸エステル基;スルファモイル基;カルボキシル基;カルバモイル基;ホルミル基;アルコキシカルボニル基等が挙げられる。この中でも脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、置換もしくは非置換アミノ基、アルコキシル基、アレーンオキシ基等が好ましい。この中で示している芳香族炭化水素基の例としてはピレニル基、ベンゾピレニル基などの縮合多環式炭化水素基やピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピロリル基、インドレニル基、イミダゾリル基、カルバゾリル基、チエニル基、フリル基、ピラニル基、ピリドニル基などの複素環式炭化水素基、ベンゾキノリル基、アントラキノリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基のような縮合複素環式炭化水素基、等が挙げられる。
また、脂肪族炭化水素基としては飽和又は不飽和の直鎖、分岐又は環状の脂肪族炭化水素基が挙げられ、その炭素数は1〜20が好ましい。ここで、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基の例としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、アリル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−ステアリル基、n−ブテニル基等が挙げられる。また、環状の脂肪族炭化水素基の例としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等の炭素数3〜12のシクロアルキル基が挙げられる。また、脂肪族炭化水素基が有することのできる置換基の例としては、特に制限はないが、例えばハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基、アルコキシル基、カルボン酸基、スルホン酸基、アルキル置換アミノ基、アリール置換アミノ基、非置換アミノ基、アシル基、芳香族炭化水素基(これらは置換基を有してもよく、該置換基として例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボン酸基、スルホン酸基、ニトロ基、アルコキシル基、アルキル置換アミノ基、アリール置換アミノ基、非置換アミノ基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基等)等が挙げられる。この中でも芳香族炭化水素基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、置換もしくは非置換アミノ基、アルコキシル基、置換基を有してもよいアレーンオキシ基等が好ましい。この中に示した芳香族炭化水素基は前記に同じである。
ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が好ましい。
アルコキシル基としては炭素数1〜24のアルコキシル基が挙げられ、炭素数1〜18のアルコキシル基が好ましい。
アルキルチオ基としては炭素数1〜24のアルキルチオ基が挙げられ、炭素数1〜18のアルキルチオ基が好ましい。
アミノ基としては、非置換アミノ基、一置換アミノ基、二置換アミノ基が挙げられる。
その置換基としては、芳香族炭化水素基(これは置換基を有してもよく、該置換基としてはアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボン酸基、スルホン酸基、ニトロ基、アルコキシル基、アルキル置換アミノ基、アリール置換アミノ基、非置換アミノ基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基などが挙げられる)、脂肪族炭化水素基(これは置換基を有してもよく、該置換基としてハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボン酸基、スルホン酸基、ニトロ基、アルコキシル基、アルキル置換アミノ基、アリール置換アミノ基、非置換アミノ基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基などが挙げられる)などが挙げられる。それぞれ芳香族炭化水素基及び脂肪族炭化水素基としては先に述べたものと同様である。
アミド基としてはアセトアミドなどの脂肪族炭化水素基を有するアミド基や、ベンズアミドなどの芳香族炭化水素基を有するアミド基が挙げられる。アシル基としてはホルミル基やアセチル基などの脂肪族炭化水素基を有するアシル基、ベンゾイル基などの芳香族炭化水素基を有するアシル基等が挙げられる。アシルオキシ基中のアシル基としては先のアシル基で述べたものと同様である。スルファモイル基としては、非置換のスルファモイル基、置換のスルファモイル基が挙げられる。また、カルバモイル基としては、非置換のカルバモイル基、置換のカルバモイル基が挙げられる。それらの置換基としては、芳香族炭化水素基(これは置換基を有してもよく、該置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボン酸基、スルホン酸基、ニトロ基、アルコキシル基、アルキル置換アミノ基、アリール置換アミノ基、非置換アミノ基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基等)、脂肪族炭化水素基(これは置換基を有してもよく、該置換基としてハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボン酸基、スルホン酸基、ニトロ基、アルコキシル基、アルキル置換アミノ基、アリール置換アミノ基、非置換アミノ基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基等が挙げられる)などが挙げられる。アルキルスズ基としてはオクチルスズ、トリブチルスズなどが、アリールスズとしてはトリフェニルスズなどが挙げられる。それぞれ芳香族炭化水素基及び脂肪族炭化水素基としては先に述べたものと同様である。ここで挙げた芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基などは、その水素原子が適切な置換基で置換されていてもよい。
一般式(1)で表される部分構造を2個有する多量体化合物として下記の化合物(3)が挙げられる。

ここで示したX〜Xは、先に示したX〜Xと同様である。
一般式(3)の化合物は、一般式(2)で表わされる部分構造のR、R及びRのいずれかの部分が、別の一般式(2)のR、R及びRのいずれかの部分と互いに結合してダイマーを形成したものである。R〜R16は先に示したR〜Rと同様である。
一般式(1)で表される部分構造を3個有する化合物として下記の化合物(4)が挙げられる。

ここで示したX11〜X18は先に示したX〜Xと同様である。また、R17〜R30は先に示したR〜Rと同様である。
一般式(1)で表される部分構造を4個有する化合物として下記の化合物(5)が挙げられる。

ここで示したX19〜X30は先に示したX〜Xと同様である。また、R31〜R48は先に示したR〜Rと同様である。
一般式(1)で表される部分構造を6個有する化合物として下記の化合物(6)が挙げられる。

ここで示したX31〜X48は先に示したX〜Xと同様である。また、R49〜R74は先に示したR〜Rと同様である。
一般式(1)で表される部分構造を10個有する化合物として下記の化合物(7)が挙げられる。

ここで示したX49〜X78は先に示したX〜Xと同様である。また、R75〜R116は先に示したR〜Rと同様である。
一般式(1)で表される化合物は、非特許文献2に開示された公知の方法にある様に、−70℃の低温下で原料のジブロモチオフェンにブチルリチウムを用いて先ずテトラヒドロチオフェン−3−オンを、次に2−チエニルマグネシウムブロミドを順次に反応させ、最後に光酸化反応により環化縮合させることで合成できる。又はスキーム1の様に、トリクロロトリヨードベンゼン(100)から対応するアセチレン誘導体を用いて薗頭反応を行い、化合物(101)を合成し、さらに環化反応する事により(102)を効率的に得る事が出来る。このとき、硫黄だけでなくセレン原子でも同様な反応が可能である(Rが水素原子の場合、アセチレン誘導体としてトリメチルシリルアセチレンを用いると、環化反応時に脱シリル化が起こる)。

これによって得られた誘導体(Rが水素原子である化合物103)は、下記のスキーム2に記載の通り、トリブロモ化した化合物(104)を得ることが出来、これにアセチレン誘導体を用いて薗頭反応を行うことで不飽和脂肪族炭化水素基を有する化合物(105)が得られ、さらに還元反応を行うことで飽和脂肪族炭化水素基を有する化合物(106)を得る事が出来る。また、芳香族炭化水素化合物のボロン酸誘導体とのクロスカップリングを行うことで芳香族炭化水素基を有する化合物(107)が得られる。この時にブロモ化をコントロールすることによって、置換基の数(モノ体・ジ体・トリ体・テトラ体など)を変更することができる。
上記のようにして得た部分構造(1)の化合物を、場合により数回カップリングすることで目的物である本願の多量体化合物が得られる。カップリングの方法としては例えば置換基としてトリブチルスズなどのアルキルスズ基を持つ誘導体とハロゲン原子を置換基として持つ誘導体を中間体としておけば、右田−小杉−スティルカップリングなどのようにパラジウム触媒を用いたクロスカップリング反応が効率的に行うことが出来る。その他、部分構造(1)の置換基が水素原子である部分同士をブチルリチウムなどの塩基を用いてリチオ化して酸化的なホモカップリングを行う方法などが効率的である。その他にウルマンカップリングやボロン酸基を有する部分構造(1)の化合物を鈴木−宮浦カップリングを用いる方法などが挙げられる。
本発明の第1の製造方法としては、部分構造(1)の置換基が水素原子である部分同士をテトラヒドロフラン(以下、THFと略記)などの無水溶媒中、n−ブチルリチウムなどの塩基を用いてリチオ化して、それを鉄や銅などの金属触媒などを用いて酸化的なカップリング反応を用いることで目的物のダイマー体などを得る方法である。この時、溶媒としてはジアルキルエーテルやTHF、ジメトキシエタンなどのエーテル系の溶媒が好ましく用いることが出来る。原料に対しての溶媒量としては特に制限は無いが、通常1〜100倍量である。好ましくは2〜20倍量が挙げられる。リチオ化の為の塩基としては、n−ブチルリチウムや、t−ブチルリチウム、また金属リチウムなどが好適に用いることが出来る。塩基の使用量としては、基質1モルに対して通常1〜3モル程度である。金属触媒としてはトリ酢酸鉄、塩化鉄などの鉄化合物や金属銅、ヨウ化銅、酸化銅などの銅化合物、パラジウム化合物などが挙げられる。好ましくはトリ酢酸鉄などの鉄化合物が挙げられる。触媒の使用量として基質1モルに対して通常0〜10モルであり、0.1〜5モル程度が好ましい。反応温度としては通常−70〜200℃であり、−20〜100℃が好ましく、室温付近から80℃が更に好ましい。
本発明の第2の製造方法として、置換基としてトリブチルスズなどのアルキルスズ基を持つ誘導体とハロゲン原子を置換基として持つ誘導体を中間体とした、クロスカップリング反応が挙げられる。この方法によればダイマー体以外にも、部分構造(1)をコアとした多量体を効率的に作成する事が可能であり、デンドリマーなどの反応に適している。予めトリブチルスズを有する誘導体及びブロモ体を合成しておき、これを原料として用いる。溶媒としては特に制限は無いが、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族溶媒、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、及びN,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類などが挙げられる。原料に対しての溶媒量としては特に制限は無いが、通常1〜100倍量であり、好ましくは2〜20倍量である。触媒としてはパラジウム触媒やニッケル触媒が挙げられる。なかでも、パラジウム系触媒が好ましい。触媒の添加量として基質1モルに対して通常0〜1モルであり、0.001〜0.1モル程度が好ましい。反応温度としては通常室温〜250℃であり、50〜200℃が好ましい。化合物に導入されている置換基などにより、適宜調整を行うことによって、効率的に化合物を得ることができる。反応式では、Xが硫黄原子の例を挙げているが、セレン原子の化合物も同様に得ることが出来る。
本発明の多量体化合物の精製方法は、特に限定されず、再結晶、カラムグロマトグラフィー、及び真空昇華精製等の公知の方法が採用できる。また、必要に応じてこれらの方法を組み合わせて用いてもよい。
上記の多量体化合物の具体例を下記に挙げるが、この限りではない。この時、シクロヘキシル基をCH、フェニル基をPh、4−ドデシルフェニル基をDP、1−ナフチル基をNp、2−チエニル基をThと表す。
本発明の多量体化合物は、この多量体化合物、溶剤、及び(又は)バインダーを含有する組成物として用いることが出来る。溶剤としては、多量体化合物及びバインダーを溶解又は分散せしめ、かつ適正な温度領域で液体となる溶媒であればいずれでもよい。溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、テトラクロロベンゼン、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、クロロホルム、エーテル、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、アセトニトリル、アセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ブタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、酢酸エチル、1−ブタノール、フルオロベンゼン、1,2−ジメトキシエタン、メチルナフタレン、デカリン、テトラヒドロナフタレンなどが挙げられるが、この限りではない。これらの溶媒は、一種又は二種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
バインダーとしては、高分子化合物及び必要によりその他の種々の低分子化合物や添加剤を混合したものが利用できる。高分子化合物とは、非常に多数の原子が化学結合してできる巨大分子のことであり、単量体の繰り返し構造単位を有する重合体も高分子化合物に含まれる。一般的に分子量が約一万以上のものは高分子化合物とみなされるが、広義においてはオリゴマーと呼ばれる分子量の低い重合体も高分子化合物と呼ばれる。本発明における高分子化合物とは、上記の分子量が高い化合物だけでなく、比較的分子量の小さい重合体も含まれる。
本発明に用いられるバインダーは室温で固体であり、かつ溶媒に溶解する高分子化合物であることが好ましい。これらの高分子化合物の具体例としては、有機系合成高分子化合物、有機系天然高分子化合物、無機系高分子化合物に大別される。その具体例として、以下に示す化合物及びこれらの誘導体、共重合体、混合体が挙げられるが、下記のこれら全ての高分子化合物は一種又は二種以上を任意に組み合わせて使用することも出来る。
有機系合成高分子化合物としては、合成樹脂、プラスチック、ポリ塩化ビニル系高分子、ポリエチレン系高分子、フェノール樹脂系高分子、ポリスチレン系高分子、アクリル樹脂系高分子、アミド樹脂系高分子、エステル樹脂系高分子、ナイロン系高分子、ビニロン系高分子、ポリエチレンテレフタレート系高分子、合成ゴム系高分子、ポリイソプレン系高分子、アクリルゴム系高分子、アクリロニトリルゴム系高分子、ウレタンゴム系高分子などが挙げられるが、好ましくは合成樹脂、プラスチック、ポリ塩化ビニル系高分子、ポリエチレン系高分子、フェノール樹脂系高分子、ポリスチレン系高分子、アクリル樹脂系高分子、アミド樹脂系高分子、エステル樹脂系高分子、ナイロン系高分子、ビニロン系高分子、ポリエチレンテレフタレート系高分子などであり、さらに好ましくは合成樹脂、プラスチック、ポリ塩化ビニル系高分子、ポリスチレン系高分子、ポリエチレン系高分子、フェノール樹脂系高分子、アクリル樹脂系高分子などである。
有機系天然高分子として、セルロース、デンプン、天然ゴムなどが挙げられ、セルロースやデンプンなどがより好ましい。無機系高分子化合物として、シリコーン樹脂、シリコーンゴムなどが挙げられる。
これらの高分子化合物を電気的特性の観点から分類すると、導電性高分子化合物、半導体性高分子化合物、絶縁性高分子化合物に大別される。
導電性高分子化合物とは、分子中に発達したπ電子骨格を有し、電気伝導性を示すことを特徴とする高分子化合物である。導電性高分子化合物の具体例として、ポリアセチレン系高分子、ポリジアセチレン系高分子、ポリパラフェニレン系高分子、ポリアニリン系高分子、ポリチオフェン系高分子、ポリピロール系高分子、ポリパラフェニレンビニレン系高分子、ポリエチレンジオキシチオフェン系高分子、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸の混合物(一般名、PEDOT−PSS)、核酸やこれらの誘導体が挙げられ、その多くがドーピングにより導電性が向上する。これらの導電性高分子化合物の中でも、ポリアセチレン系高分子、ポリパラフェニレン系高分子、ポリアニリン系高分子、ポリチオフェン系高分子、ポリピロール系高分子、ポリパラフェニレンビニレン系高分子などがより好ましい。
半導体性高分子化合物とは、半導体特性を示す高分子化合物である。半導体性高分子化合物の具体例として、ポリアセチレン系高分子、ポリジアセチレン系高分子、ポリパラフェニレン系高分子、ポリアニリン系高分子、ポリチオフェン系高分子、ポリピロール系高分子、ポリパラフェニレンビニレン系高分子、ポリエチレンジオキシチオフェン系高分子、核酸やこれらの誘導体などが挙げられる。その具体例として、ポリアセチレン系高分子、ポリアニリン系高分子、ポリチオフェン系高分子、ポリピロール系高分子、ポリパラフェニレンビニレン系高分子などがより好ましい。半導体性高分子化合物はドーピングにより導電性を発現し、そのドーピング量によって導電性を有する事もある。
絶縁性高分子化合物とは、絶縁性を示すことを特徴とする高分子化合物であり、上記の導電性又は半導体性高分子化合物以外の高分子化合物の大部分は絶縁性高分子化合物である。その具体例として、アクリル系高分子、ポリエチレン系高分子、ポリメタクリレート系高分子、ポリスチレン系高分子、ポリエチレンテレフタレート系高分子、ナイロン系高分子、ポリアミド系高分子、ポリエステル系高分子、ビニロン系高分子、ポリイソプレン系高分子、セルロース系高分子、共重合系高分子及びこれらの誘導体などが挙げられる。
本発明の組成物で得られる効果を損なわない限りにおいて、必要によりその他の添加物、例えば、キャリア発生剤、導電性物質、粘度調整剤、表面張力調整剤、レベリング剤、浸透剤、濡れ調製剤、レオロジー調整剤などを加えてもよい。
本発明の組成物における多量体化合物の含有量は、通常0.01〜95%、好ましくは0.05〜50%、より好ましくは0.1〜20%の範囲である。なお、該「%」は重量基準であり、以下特に断りのない限り同様である。
本発明の組成物中の溶剤の含有量は、通常5〜99.99%、好ましくは50〜99.95%、より好ましくは80〜99.9%の範囲である。
本発明の組成物におけるバインダーは使用してもよいが、使用しなくてもよい。使用する時の含有量としては、本発明の多量体化合物に対して通常1〜500%、好ましくは5〜300%の範囲で使用するのがよい。
本発明の組成物におけるその他の添加物は使用してもよいが、使用しなくてもよい。使用する時の含有量は、多量体化合物に対して通常0.1〜100%、好ましくは0.2〜50%、より好ましくは0.5〜30%の範囲である。
本発明組成物は、例えば、前記含有量になるように、多量体化合物とバインダーを溶媒に溶解もしくは分散せしめ、それぞれの溶解度に応じて熱処理及び攪拌することにより調製できるが、組成物の調製方法はこの限りではない。また、前述のようにバインダーやその他の添加物は使用してもしなくてもよい。前記のその他の添加物を添加する場合には、未溶解成分を残さないように適宜添加するか、又は未溶解成分をろ過などの処理により除去すればよい。
本発明の薄膜とは、本発明の多量体化合物又はそれを含む組成物から形成された薄膜を言う。薄膜の膜厚は、その用途によって異なるが、通常0.1nm〜100μmであり、好ましくは0.5nm〜30μmであり、より好ましくは1nm〜20μmである。
本発明の薄膜の形成方法は、一般的に、真空プロセスである抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法などや、溶液プロセスであるスピンコート法、ドロップキャスト法、ディップコート法、スプレー法、フレキソ印刷、樹脂凸版印刷などの凸版印刷法、オフセット印刷法、ドライオフセット印刷法、パッド印刷法、石版印刷法などの平板印刷法、グラビア印刷法などの凹版印刷法、シルクスクリーン印刷法、謄写版印刷法、リソグラフ印刷法などの孔版印刷法、インクジェット印刷法、マイクロコンタクトプリント法等、さらにはこれらの手法を複数組み合わせた方法が挙げられる。通常は、真空プロセスである抵抗加熱蒸着法や溶液プロセスであるスピンコート法、ディップコート法、インクジェット法、スクリーン印刷、凸版印刷などが好ましい。また、各有機エレクトロニクスデバイスにおいて必要な製膜方法も異なるため、各デバイスの項においても後述する。
本発明の有機エレクトロニクスデバイスとは前記の多量体化合物をエレクトロニクス用途の電子材料として含有するものである。有機エレクトロニクスデバイスとして例えば薄膜トランジスタや有機EL素子、液晶表示素子、光電変換素子、有機太陽電池素子、有機半導体レーザー素子などが挙げられる。これらについて詳細に説明する。
まず薄膜トランジスタについて詳しく説明する。
薄膜トランジスタは、半導体に接して2つの電極(ソース電極及びドレイン電極)があり、その電極間に流れる電流を、ゲート電極と呼ばれるもう一つの電極に印加する電圧で制御するものである。
一般に、薄膜トランジスタ素子はゲート電極が絶縁膜で絶縁されている構造(Metal−Insulator−Semiconductor;MIS構造)がよく用いられる。絶縁膜に金属酸化膜を用いるものはMOS構造と呼ばれる。他には、ショットキー障壁を介してゲート電極が形成されている構造、すなわちMES構造もあるが、有機半導体材料を用いた薄膜トランジスタの場合、MIS構造がよく用いられる。
以下、図を用いて本発明による有機系の薄膜トランジスタについてより詳細に説明するが、本発明はこれらの構造には限定されない。
図1に、本発明の薄膜トランジスタ(素子)のいくつかの態様例を示す。各例において、1がソース電極、2が半導体層、3がドレイン電極、4が絶縁体層、5がゲート電極、6が基板を表す。尚、各層や電極の配置は、素子の用途により適宜選択できる。A〜Dは基板と並行方向に電流が流れるので、横型トランジスタと呼ばれる。Aはボトムコンタクト構造、Bはトップコンタクト構造と呼ばれる。また、Cは半導体上にソース及びドレイン電極、絶縁体層を設け、さらにその上にゲート電極を形成しており、ボトムゲート構造と呼ばれる。Dはトップ&ボトムコンタクト型トランジスタと呼ばれる構造である。Eは縦型の構造をもつトランジスタ、すなわち静電誘導トランジスタ(SIT)の模式図である。このSITは、電流の流れが平面状に広がるので一度に大量のキャリアが移動できる。またソース電極とドレイン電極が縦に配されているので電極間距離を小さくできるため応答が高速である。従って、大電流を伴う高速のスイッチングを行うなどの用途に好ましく適用できる。なお図1中のEには、基板を記載していないが、通常の場合、図1中のEの1及び3で表されるソース及びドレイン電極の外側には基板が設けられる。
各態様例における各構成要素につき説明する。
基板6は、その上に形成される各層が剥離することなく保持できることが必要である。例えば、樹脂板やフィルム、紙、ガラス、石英、セラミックなどの絶縁性材料;金属や合金などの導電性基板上にコーティング等により絶縁層を形成した物;樹脂と無機材料など各種組合せからなる材料;などが使用できる。使用できる樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、ポリエーテルイミドなどが挙げられる。樹脂フィルムや紙を用いると、素子に可撓性を持たせることができ、フレキシブルで、軽量となり、実用性が向上する。基板の厚さとしては、通常1μm〜10mmであり、好ましくは5μm〜5mmである。
ソース電極1、ドレイン電極3、ゲート電極5には導電性を有する材料が用いられる。例えば、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、タングステン、タンタル、ニッケル、コバルト、銅、鉄、鉛、錫、チタン、インジウム、パラジウム、モリブデン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、リチウム、カリウム、ナトリウムなどの金属及びそれらを含む合金;InO、ZnO、SnO、ITO等の導電性酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ビニレン、ポリジアセチレン等の導電性高分子化合物;シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素などの半導体;カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素材料;等が使用できる。また、導電性高分子化合物や半導体にはドーピングが行われていてもよい。その際のドーパントとしては、例えば、塩酸、硫酸などの無機酸;スルホン酸などの酸性官能基を有する有機酸;PF、AsF、FeCl等のルイス酸;ヨウ素等のハロゲン原子;リチウム、ナトリウム、カリウムなどの金属原子;などが挙げられる。ホウ素、リン、砒素などはシリコンなどの無機半導体用のドーパントとしても多用されている。また、上記のドーパントにカーボンブラックや金属粒子などを分散した導電性の複合材料も用いられる。
また、ソースとドレイン電極間の距離(チャネル長)は素子の特性を決める重要なファクターとなる。該チャネル長は、通常0.1〜300μm、好ましくは0.5〜100μmである。チャネル長が短ければ取り出せる電流量は増えるが、逆にリーク電流などが発生するため、適正なチャネル長が必要である。ソースとドレイン電極間の幅(チャネル幅)は通常10〜10000μm、好ましくは100〜5000μmとなる。またこのチャネル幅は、電極の構造をくし型構造とすることなどにより、さらに長いチャネル幅を形成することが可能で、必要な電流量や素子の構造などにより、適切な長さにすればよい。
ソース及びドレイン電極のそれぞれの構造(形)について説明する。ソースとドレイン電極の構造はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。電極の長さは前記のチャネル幅と同じでよい。電極の幅には特に規定は無いが、電気的特性を安定化できる範囲で、素子の面積を小さくするためには短い方が好ましい。電極の幅は、通常0.1〜1000μmであり、好ましくは0.5〜100μmである。電極の厚さは、通常0.1〜1000nmであり、好ましくは1〜500nmであり、より好ましくは5〜200nmである。各電極1、3及び5には配線が連結されているが、配線も電極とほぼ同様の材料により作製される。
絶縁体層4としては絶縁性を有する材料が用いられる。例えば、ポリパラキシリレン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルフェノール、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリスルホン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などのポリマー及びこれらを組み合わせた共重合体;二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタルなどの金属酸化物;SrTiO、BaTiOなどの強誘電性金属酸化物;窒化珪素、窒化アルミニウムなどの窒化物;硫化物;フッ化物などの誘電体;あるいは、これら誘電体の粒子を分散させたポリマー;などが使用しうる。絶縁体層4の膜厚は、材料によって異なるが、通常0.1nm〜100μm、好ましくは0.5nm〜50μm、より好ましくは1nm〜10μmである。
半導体層2の材料として、本発明の多量体化合物又はその組成物が用いられる。それを前記の方法を用いて、半導体層2を薄膜として形成する。薄膜トランジスタの特性を改善したり他の特性を付与するために、必要に応じて他の有機半導体材料や各種添加剤を混合してもよい。また半導体層2は複数の層から成ってもよい。
本発明の薄膜トランジスタにおいては、本発明の多量体化合物の少なくとも1種の化合物を有機半導体材料として用いる。本発明の多量体化合物及びその組成物を用いて薄膜を形成し、組成物として溶剤を使用している場合は実質的にそれを蒸発させた後に使用することができる。後述するが蒸着方法で有機半導体層を形成する場合は多量体化合物の混合物を用いるよりも、単一の多量体化合物を有機半導体材料として用いることが好ましい場合がある。しかし、上記のようにトランジスタの特性を改善する目的等のために、ドーパント等の添加剤を使用することが出来る。特に溶液プロセスで半導体層を形成する場合に有効である。
上記の添加剤は、有機半導体材料の総量を1とした場合、通常0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%の範囲で添加するのがよい。有機半導体材料として前記の半導体組成物を用いる場合はこの限りではない。
また半導体層についても複数の層を形成していてもよいが、単層構造であることがより好ましい。半導体層2の膜厚は、必要な機能を失わない範囲で、薄いほど好ましい。A、B及びDに示すような横型の薄膜トランジスタにおいては、膜厚が厚くなると漏れ電流が増加するため、所定以上の膜厚があれば素子の特性は膜厚に依存しない。必要な機能を示すための半導体層の膜厚は、通常、1nm〜10μm、好ましくは5nm〜5μm、より好ましくは10nm〜3μmである。
本発明の薄膜トランジスタには、例えば基板層と絶縁膜層や絶縁膜層と半導体層の間や素子の外面に必要に応じて他の層を設けることができる。例えば、有機半導体層上に直接、又は他の層を介して、保護層を形成すると、湿度などの外気の影響を小さくすることができ、また、素子のON/OFF比を上げることができるなど、電気的特性を安定化できる利点もある。
保護層の材料としては特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリオレフィン等の各種樹脂からなる膜;酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化珪素等の無機酸化膜、及び窒化膜等の誘電体からなる膜、等が好ましく用いられ、特に、酸素や水分の透過率や吸水率の小さな樹脂(ポリマー)が好ましい。近年、有機ELディスプレイ用に開発されている保護材料も使用が可能である。保護層の膜厚は、その目的に応じて任意の膜厚を選択できるが、通常100nm〜1mmである。
また有機半導体層が積層される基板又は絶縁体層上などに予め表面処理を行うことにより、薄膜トランジスタ素子としての特性を向上させることが可能である。例えば基板表面の親水性/疎水性の度合いを調整することにより、その上に成膜される膜の膜質を改良しうる。特に、有機半導体材料は分子の配向など膜の状態によって特性が大きく変わることがある。そのため、基板などへの表面処理によって、基板などとその後に成膜される有機半導体層との界面部分の分子配向が制御されること、また基板や絶縁体層上のトラップ部位が低減されることにより、キャリア移動度等の特性が改良されるものと考えられる。
トラップ部位とは、未処理の基板に存在する例えば水酸基のような官能基を指し、このような官能基が存在すると、電子が該官能基に引き寄せられ、この結果としてキャリア移動度が低下する。従って、トラップ部位を低減することもキャリア移動度等の特性改良には有効な場合が多い。
上記のような特性改良のための基板処理としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、シクロヘキセン、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン等による疎水化処理;塩酸や硫酸、酢酸等による酸処理;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等によるアルカリ処理;オゾン処理;フッ素化処理;酸素やアルゴン等のプラズマ処理;ラングミュア・ブロジェット膜の形成処理;その他の絶縁体や半導体の薄膜の形成処理;機械的処理;コロナ放電などの電気的処理;また、繊維等を利用したラビング処理、等が挙げられる。
これらの態様において、例えば基板層と絶縁膜層や絶縁膜層と有機半導体層等の各層を設ける方法としては、例えば真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、印刷法、ゾルゲル法等が適宜採用できる。
次に、本発明に係る薄膜トランジスタ素子の製造方法について、図1の態様例Aに示すボトムコンタクト型薄膜トランジスタを例として、図2に基づき以下に説明する。この製造方法は前記した他の態様の薄膜トランジスタ等にも同様に適用しうるものである。
(薄膜トランジスタの基板及び基板処理について)
本発明の薄膜トランジスタは、基板6上に必要な各種の層や電極を設けることで作製される(図2(1)参照)。基板としては上記で説明したものが使用できる。この基板上に前述の表面処理などを行うことも可能である。基板6の厚みは、必要な機能を妨げない範囲で薄い方が好ましい。材料によっても異なるが、通常1μm〜10mmであり、好ましくは5μm〜5mmである。また、必要により基板に電極の機能を持たせるようにしてもよい。
(ゲート電極の形成について)
基板6上にゲート電極5を形成する(図2(2)を参照)。電極材料としては上記で説明したものが用いられる。電極膜を成膜する方法としては、各種の方法を用いることができ、例えば真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、熱転写法、印刷法、ゾルゲル法等が採用される。成膜時又は成膜後、所望の形状になるよう必要に応じてパターニングを行うのが好ましい。パターニングの方法としても各種の方法を用いうるが、例えばフォトレジストのパターニングとエッチングを組み合わせたフォトリソグラフィー法等が挙げられる。また、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法、及びこれら手法を複数組み合わせた手法を利用し、パターニングすることも可能である。ゲート電極5の膜厚は、材料によっても異なるが、通常0.1nm〜10μmであり、好ましくは0.5nm〜5μmであり、より好ましくは1nm〜3μmである。また、ゲート電極と基板を兼ねる場合は上記の膜厚より大きくてもよい。
(絶縁体層の形成について)
ゲート電極5上に絶縁体層4を形成する(図2(3)参照)。絶縁体材料としては上記で説明したもの等が用いられる。絶縁体層4を形成するにあたっては各種の方法を用いうる。例えばスピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、キャスト、バーコート、ブレードコーティングなどの塗布法、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット等の印刷法、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法、CVD法などのドライプロセス法が挙げられる。その他、ゾルゲル法やアルミニウム上のアルマイト、シリコン上の二酸化シリコンのように金属上に酸化物膜を形成する方法等が採用される。尚、絶縁体層と半導体層が接する部分においては、両層の界面で半導体を構成する分子、例えば本発明の多量体化合物の分子を良好に配向させるために、絶縁体層に所定の表面処理を行うこともできる。表面処理の手法は、基板の表面処理と同様のものを用いうる。絶縁体層4の膜厚は、その機能を損なわない範囲で薄い方が好ましい。通常0.1nm〜100μmであり、好ましくは0.5nm〜50μmであり、より好ましくは5nm〜10μmである。
(ソース電極及びドレイン電極の形成)
ソース電極1及びドレイン電極3の形成方法等はゲート電極5の場合に準じて形成することができる(図2(4)参照)。また有機半導体層との接触抵抗を低減するために各種添加剤などを用いることが可能である。
(有機半導体層の形成について)
有機半導体材料としては上記で説明したように、本発明の多量体化合物の一種又はその組成物が使用される。有機半導体層を成膜するにあたっては、各種の方法を用いることができる。スパッタリング法、CVD法、分子線エピタキシャル成長法、真空蒸着法等の真空プロセスでの形成方法;ディップコート法、ダイコーター法、ロールコーター法、バーコーター法、スピンコート法等の塗布法、インクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、マイクロコンタクト印刷法などの溶液プロセスでの形成方法;に大別される。
なお、本発明の多量体化合物を有機半導体材料として使用し、有機半導体層を形成する場合には、印刷などの溶液プロセスや真空プロセスによって成膜し、有機半導体層を形成する方法が挙げられる。
まず有機半導体材料を真空プロセスによって成膜し有機半導体層を得る方法について説明する。前記の有機半導体材料をルツボや金属のボート中で真空下、加熱し、蒸発した有機半導体材料を基板(絶縁体層、ソース電極及びドレイン電極の露出部)に付着(蒸着)させる方法、すなわち真空蒸着法が好ましく採用される。この際、真空度は、通常1.0×10−1Pa以下、好ましくは1.0×10−3Pa以下である。また、蒸着時の基板温度によって有機半導体膜、ひいては薄膜トランジスタの特性が変化する場合があるので、注意深く基板温度を選択するのが好ましい。蒸着時の基板温度は通常、0〜200℃であり、好ましくは10〜150℃であり、より好ましくは15〜120℃であり、さらに好ましくは25〜100℃であり、特に好ましくは40〜80℃である。
また、蒸着速度は、通常0.001〜10nm/秒であり、好ましくは0.01〜1nm/秒である。有機半導体材料から形成される有機半導体層の膜厚は、通常1nm〜10μm、好ましくは5nm〜5μm、より好ましくは10nm〜3μmである。
尚、有機半導体層を形成するための有機半導体材料を加熱、蒸発させ基板に付着させる蒸着方法に代えて、加速したアルゴン等のイオンを材料ターゲットに衝突させて材料原子を叩きだし基板に付着させるスパッタリング法を用いてもよい。
次いで溶液プロセスによって成膜し有機半導体層を得る方法について説明する。本発明の多量体化合物を溶剤等に溶解し、さらに必要であればバインダーなどを添加して得られる組成物を用いて、基板(絶縁体層、ソース電極及びドレイン電極の露出部)に塗布する。塗布の方法としては、キャスティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ブレードコーティング、ワイヤバーコーティング、スプレーコーティング等のコーティング法や、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法等、さらにはこれらの手法を複数組み合わせた方法を採用しうる。
更に、塗布方法に類似した方法として水面上に上記のインクを滴下することにより作製した有機半導体層の単分子膜を基板に移し積層するラングミュアプロジェクト法、液晶や融液状態の材料を2枚の基板で挟んだり毛管現象で基板間に導入する方法等も採用できる。製膜時における基板や組成物の温度などの環境も重要で、基板や組成物の温度によってトランジスタの特性が変化する場合があるので、注意深く基板及び組成物の温度を選択するのが好ましい。蒸着時の基板温度は通常、0〜200℃であり、好ましくは10〜120℃であり、より好ましくは15〜100℃である。用いる組成物中の溶剤などに大きく依存するため、特に注意が必要である。
この方法により作製される有機半導体層の膜厚は、機能を損なわない範囲で、薄い方が好ましい。膜厚が厚くなると漏れ電流が大きくなる懸念がある。有機半導体層の膜厚は、通常1nm〜10μm、好ましくは5nm〜5μm、より好ましくは10nm〜3μmである。
このように形成された有機半導体層(図2(5)参照)は、後処理によりさらに特性を改良することが可能である。例えば、熱処理により、成膜時に生じた膜中の歪みが緩和されること、ピンホール等が低減されること、膜中の配列・配向が制御できると考えられていること等の理由により、有機半導体特性の向上や安定化を図ることができる。本発明の薄膜トランジスタの作成時には、この熱処理を行うことが特性の向上の為には効果的である。この熱処理は有機半導体層を形成した後に基板を加熱することによって行う。熱処理の温度は特に制限は無いが、通常室温〜150℃で、好ましくは40〜120℃、さらに好ましくは45〜100℃である。この時の熱処理時間については特に制限は無いが、通常1分〜24時間、好ましくは2分〜3時間程度である。その時の雰囲気は大気中でもよいが、窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気下でもよい。
また、その他の有機半導体層の後処理方法として、酸素や水素等の酸化性あるいは還元性の気体や、酸化性あるいは還元性の液体などと処理することにより、酸化あるいは還元による特性変化を誘起することもできる。これは例えば膜中のキャリア密度の増加あるいは減少の目的で利用することが多い。
また、ドーピングと呼ばれる手法において、微量の元素、原子団、分子、高分子を有機半導体層に加えることにより、有機半導体層特性を変化させることができる。例えば、酸素、水素、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸;PF、AsF、FeCl等のルイス酸;ヨウ素等のハロゲン原子;ナトリウム、カリウム等の金属原子;各種有機半導体材料等をドーピングすることができる。これは、有機半導体層に対して、これらのガスを接触させたり、溶液に浸したり、電気化学的なドーピング処理をすることにより達成できる。これらのドーピングは有機半導体層の作製後でなくても、有機半導体化合物の合成時に添加したり、有機半導体素子作製用のインクを用いて有機半導体層を作製するプロセスでは、そのインクに添加したり薄膜を形成する工程段階などで添加することができる。また蒸着時に有機半導体層を形成する材料に、ドーピング材料を添加して共蒸着したり、有機半導体層を作製する時の周囲の雰囲気に混合したり(ドーピング材料を存在させた環境下で有機半導体層を作製する)、さらにはイオンを真空中で加速して膜に衝突させてドーピングすることも可能である。
これらのドーピングの効果は、キャリア密度の増加あるいは減少による電気伝導度の変化、キャリアの極性の変化(P型、N型)、フェルミ準位の変化等が挙げられる。この様なドーピングは、特にシリコンなどの無機系の材料を用いた半導体素子ではよく利用されているものである。
(保護層について)
有機半導体層上に保護層7を形成すると、外気の影響を最小限にでき、また、有機薄膜トランジスタの電気的特性を安定化できるという利点がある(図2(6)を参照)。保護層の材料としては前記のものが使用される。保護層7の膜厚は、その目的に応じて任意の膜厚を採用できるが、通常100nm〜1mmである。
保護層を成膜するにあたっては各種の方法を採用しうるが、保護層が樹脂からなる場合は、例えば、樹脂溶液を塗布後、乾燥させて樹脂膜とする方法;樹脂モノマーを塗布あるいは蒸着したのち重合する方法;などが挙げられる。成膜後に架橋処理を行ってもよい。保護層が無機物からなる場合は、例えば、スパッタリング法、蒸着法等の真空プロセスでの形成方法や、ゾルゲル法等の溶液プロセスでの形成方法も用いることができる。
本発明の薄膜トランジスタにおいては有機半導体層上の他、各層の間にも必要に応じて保護層を設けることができる。それらの層は薄膜トランジスタの電気的特性の安定化に役立つ場合がある。
本発明によれば、多量体化合物を有機半導体材料として用いているため比較的低温プロセスでの製造が可能である。従って、高温に曝される条件下では使用できなかったプラスチック板、プラスチックフィルム等のフレキシブルな材質も基板として用いることができる。その結果、軽量で柔軟性に優れた壊れにくい素子の製造が可能になり、ディスプレイのアクティブマトリクスのスイッチング素子等として利用することができる。
本発明の薄膜トランジスタは、メモリー回路素子、信号ドライバー回路素子、信号処理回路素子などのデジタル素子やアナログ素子としても利用できる。さらにこれらを組み合わせることによりICカードやICタグの作製が可能となる。更に、本発明の薄膜トランジスタは化学物質等の外部刺激によりその特性に変化を起こすことができるので、FETセンサーとしての利用も可能である。
次に本発明の有機EL素子を詳しく説明する。
有機EL素子は固体で自己発光型の大面積カラー表示や照明などの用途に利用できることが注目され、数多くの開発がなされている。その構成は、陰極と陽極からなる対向電極の間に、発光層及び電荷輸送層の2層を有する構造のもの;対向電極の間に積層された電子輸送層、発光層及び正孔輸送層の3層を有する構造のもの;及び3層以上の層を有するもの;等が知られており、また発光層が単層であるもの等が知られている。
ここで正孔輸送層は、正孔を陽極から注入させ、発光層への正孔を輸送し、発光層へ正孔の注入を容易にする機能と電子をブロックする機能とを有する。また、電子輸送層は、電子を陰極から注入させ発光層へ電子を輸送し、発光層へ電子の注入を容易にする機能と正孔をブロックする機能を有する。さらに発光層においてはそれぞれ注入された電子と正孔が再結合することにより励起子が生じ、その励起子が放射失活する過程で放射されるエネルギーが発光として検出される。以下に本発明の有機EL素子の好ましい態様を記載する。
本発明の有機EL素子は陽極と陰極との電極間に、1層又は複数層の有機薄膜が形成された、電気エネルギーにより発光する素子である。
本発明の有機EL素子において使用されうる陽極は、正孔を、正孔注入層、正孔輸送層、発光層に注入する機能を有する電極である。一般的に仕事関数が4.5eV以上の金属酸化物や金属、合金、導電性材料などが適している。具体的には、特に限定されるものでないが、酸化錫(NESA)、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)などの導電性金属酸化物、金、銀、白金、クロム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル、タングステンなどの金属、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマーや炭素が挙げられる。それらの中でも、ITOやNESAを用いることが好ましい。
陽極は、必要であれば、複数の材料を用いても、また2層以上で構成されていてもよい。陽極の抵抗は素子の発光に十分な電流が供給できるものであれば限定されないが、素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが好ましい。例えばシート抵抗値が300Ω/□以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、数Ω/□程度の基板の供給も可能になっていることから、低抵抗品を使用することが望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常5〜500nm、好ましくは10〜300nmの間で用いられる。ITOなどの膜形成方法としては、蒸着法、電子線ビーム法、スパッタリング法、化学反応法、塗布法などが挙げられる。
本発明の有機EL素子において使用されうる陰極は、電子を電子注入層、電子輸送層、発光層に注入する機能を有する電極である。一般的に仕事関数の小さい(おおよそ4eV以下である)金属や合金が適している。具体的には、白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムが挙げられるが、特に限定されない。電子注入効率を上げて素子特性を向上させるためにはリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムが好ましい。合金としては、これら低仕事関数の金属を含むアルミニウムもしくは銀等の金属との合金又はこれらを積層した構造の電極等が使用できる。積層構造の電極にはフッ化リチウムのような無機塩の使用も可能である。また、陽極側でなく陰極側へ発光を取り出す場合は、低温で製膜可能な透明電極としてもよい。膜形成方法としては、蒸着法、電子線ビーム法、スパッタリング法、化学反応法、塗布法などが挙げられるが、特に制限されるものではない。陰極の抵抗は素子の発光に十分な電流が供給できるものであれば限定されないが、素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが好ましく、数100〜数Ω/□程度が好ましい。膜厚は通常5〜500nm、好ましくは10〜300nmの範囲で用いられる。更に封止、保護のために、酸化チタン、窒化ケイ素、酸化珪素、窒化酸化ケイ素、酸化ゲルマニウムなどの酸化物、窒化物、又はそれらの混合物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子、フッ素系高分子などで陰極を保護し、酸化バリウム、五酸化リン、酸化カルシウム等の脱水剤と共に封止することができる。
また発光を取り出すために、一般的には素子の発光波長領域で十分に透明性を有する基板上に電極を作成することが好ましい。透明の基板としてはガラス基板やポリマー基板が挙げられる。ガラス基板はソーダライムガラス、無アルカリガラス、石英などが用いられ、機械的・熱的強度を保つのに十分な厚みがあればよく、0.5mm以上の厚みが好ましい。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよく、無アルカリガラスの方が好ましい。このようなものとして、SiOなどのバリアコートを施したソーダライムガラスが市販されているのでこれを使用することもできる。またガラス以外のポリマーでできた基板としては、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエーテルサルホン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル基板などが挙げられる。
本発明の有機EL素子が有する有機薄膜は、陽極と陰極の電極間に、1層又は複数の層で形成されている。その有機薄膜に本発明の多量体化合物を含有させることにより、電気エネルギーにより発光する素子が得られる。
本発明における有機薄膜を形成する1層又は複数の層の「層」とは、正孔輸送層、電子輸送層、正孔輸送性発光層、電子輸送性発光層、正孔阻止層、電子阻止層、正孔注入層、電子注入層、発光層、又は下記構成例9)に示すように、これらの層が有する機能を併せ持つ単一の層を意味する。本発明における有機薄膜を形成する層の構成としては、以下の構成例1)から9)が挙げられ、いずれの構成であってもよい。
構成例
1)正孔輸送層/電子輸送性発光層。
2)正孔輸送層/発光層/電子輸送層。
3)正孔輸送性発光層/電子輸送層。
4)正孔輸送層/発光層/正孔阻止層。
5)正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層。
6)正孔輸送性発光層/正孔阻止層/電子輸送層。
7)前記1)から6)の組み合わせのそれぞれにおいて、正孔輸送層もしくは正孔輸送性発光層の前に正孔注入層を更にもう一層付与した構成。
8)前記1)から7)の組み合わせのそれぞれにおいて、電子輸送層もしくは電子輸送性発光層の前に電子注入層を更にもう一層付与した構成。
9)前記1)から8)の組み合わせにおいて使用する材料をそれぞれ混合し、この混合した材料を含有する一層のみを有する構成。
なお、前記9)は、一般にバイポーラー性の発光材料と言われる材料で形成される単一の層;又は、発光材料と正孔輸送材料又は電子輸送材料を含む層を一層設けるだけでもよい。一般的に多層構造とすることで、効率良く電荷、すなわち正孔及び/又は電子を輸送し、これらの電荷を再結合させることができる。また電荷のクエンチングなどが抑えられることにより、素子の安定性の低下を防ぎ、発光の効率を向上させることができる。
正孔注入層及び輸送層は、正孔輸送材料を単独で、又は二種類以上の該材料の混合物を積層することにより形成される。正孔輸送材料としては、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンなどのトリフェニルアミン類、ビス(N−アリルカルバゾール)又はビス(N−アルキルカルバゾール)類、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ヒドラゾン系化合物、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体やポルフィリン誘導体に代表される複素環化合物、ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリシランなどが好ましく使用できる。素子作製に必要な薄膜を形成し、電極から正孔が注入できて、さらに正孔を輸送できる物質であれば特に限定されるものではない。正孔注入性を向上するための、正孔輸送層と陽極の間に設ける正孔注入層としては、フタロシアニン誘導体、m−MTDATA等のスターバーストアミン類、高分子系ではPEDOT等のポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール誘導体等で作成されたものが挙げられる。
電子輸送材料としては、電界を与えられた電極間において負極からの電子を効率良く輸送することが必要である。電子輸送材料は、電子注入効率が高く、注入された電子を効率良く輸送することが好ましい。そのためには電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時及び使用時に発生しにくい物質であることが要求される。このような条件を満たす物質として、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体に代表されるキノリノール誘導体金属錯体、トロポロン金属錯体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、ナフタルイミド誘導体、ナフタル酸誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、キノキサリン誘導体などが挙げられるが特に限定されるものではない。これらの電子輸送材料は単独でも用いられるが、異なる電子輸送材料と積層又は混合して使用しても構わない。電子注入性を向上するための、電子輸送層と陰極の間に設ける電子注入層としては、セシウム、リチウム、ストロンチウムなどの金属やフッ化リチウムなどが挙げられる。
正孔阻止層は正孔阻止性物質単独又は二種類以上の物質を積層、混合することにより形成される。正孔阻止性物質としては、バソフェナントロリン、バソキュプロイン等のフェナントロリン誘導体、シロール誘導体、キノリノール誘導体金属錯体、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体などが好ましい。正孔阻止性物質は、正孔が陰極側から素子外部に流れ出てしまい発光効率が低下するのを阻止することができる化合物であれば特に限定されるものではない。
発光層とは、発光する有機薄膜の意味であり、例えば強い発光性を有する正孔輸送層、電子輸送層又はバイポーラー輸送層であると言うことができる。発光層は、発光材料(ホスト材料、ドーパント材料など)により形成されていればよく、これはホスト材料とドーパント材料との混合物であっても、ホスト材料単独であっても、いずれでもよい。ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ一種類であっても、複数の材料の組み合わせであってもよい。ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれであってもよい。ドーパント材料は積層されていても、分散されていても、いずれであってもよい。発光層として例えば前述の正孔輸送層や電子輸送層が挙げられる。発光層に使用される材料としては、カルバゾール誘導体、アントラセン誘導体、ナフタレン誘導体、フェナントレン誘導体、フェニルブタジエン誘導体、スチリル誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、テトラセン誘導体、ペリレン誘導体、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体ポルフィリン誘導体や燐光性金属錯体(Ir錯体、Pt錯体、Eu錯体など)などが挙げられる。
これら薄膜の形成方法は、一般的に、真空プロセスである、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、溶液プロセスであるキャスティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ブレードコーティング、ワイヤバーコーティング、スプレーコーティング等のコーティング法や、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法等、さらにはこれらの手法を複数組み合わせた方法を採用しうる。各層の厚みは、それぞれの物質の抵抗値・電荷移動度にもよるので限定することはできないが、0.5〜5000nmの間から選ばれる。好ましくは1〜1000nm、より好ましくは5〜500nmである。
本発明における有機EL素子が有する有機薄膜のうち、陽極と陰極の電極間に存在する、発光層、正孔輸送層、電子輸送層などの薄膜の1層又は複数層に本発明の多量体化合物を含有させることにより、低電気エネルギーでも効率良く発光する素子が得られる。
本発明の有機EL素子は、本発明の多量体化合物を、陽極と陰極との電極間に1層又は複数層形成することにより得ることができる。特に本発明の多量体化合物を使用する部位に制限は無いが、正孔輸送層や発光層における利用、ドーパント材料と組み合わせたホスト材料として好適に使用できる。
本発明の有機EL素子において、本発明の多量体化合物は正孔輸送層や発光層として好適に用いることができる。例えば前述した電子輸送材料又は正孔輸送材料、発光材料などと組み合わせて使用することや混合して使用することができる。好ましくは、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体に代表されるキノリノール誘導体金属錯体、トロポロン金属錯体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、ナフタルイミド誘導体、ナフタル酸誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、キノキサリン誘導体、トリフェニルアミン類、ビス(N−アリルカルバゾール)又はビス(N−アルキルカルバゾール)類、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ヒドラゾン系化合物、オキサジアゾール誘導体に代表される複素環化合物などが挙げられるが特に限定されるものではない。これらは単独でも用いられるが、異なる材料を積層又は混合しても使用することができる。
本発明の多量体化合物をドーパント材料と組み合わせたホスト材料として用いるときの、ドーパント材料の具体例としてはビス(ジイソプロピルフェニル)ペリレンテトラカルボン酸イミドなどのペリレン誘導体、ペリノン誘導体、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)やその類縁体、マグネシウムフタロシアニン、アルミニウムクロロフタロシアニンなどの金属フタロシアニン誘導体、ローダミン化合物、デアザフラビン誘導体、クマリン誘導体、オキサジン化合物、スクアリリウム化合物、ビオラントロン化合物、ナイルレッド、5−シアノピロメテン−BF錯体等のピロメテン誘導体、さらに燐光材料としてアセチルアセトンやベンゾイルアセトンとフェナントロリンなどを配位子とするEu錯体や、Ir錯体、Ru錯体、Pt錯体、Os錯体などのポルフィリン、オルトメタル金属錯体などを用いることができるが特にこれらに限定されるものではない。また2種類のドーパント材料を混合する場合はルブレンのようなアシストドーパントを用いてホスト色素からのエネルギーを効率良く移動して色純度の向上した発光を得ることも可能である。いずれの場合も高輝度特性を得るためには、蛍光量子収率が高いものをドーピングすることが好ましい。
用いるドーパント材料の量は、多すぎると濃度消光現象が起きるため、通常ホスト材料に対して30質量%以下で用いる。好ましくは20質量%以下であり、更に好ましくは10質量%以下である。発光層におけるドーパント材料をホスト材料にドーピングする方法としては、ホスト材料との共蒸着法によって形成することができるが、ホスト材料と予め混合してから同時に蒸着してもよい。また、ホスト材料にサンドイッチ状に挟んで使用することも可能である。この場合、一層又は二層以上のドーパント層として、ホスト材料と積層してもよい。
これらのドーパント層は単独で各層を形成することもできるし、それらを混合して使用してもよい。また、ドーパント材料を、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリスチレンスルホン酸、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリ(メチル)(メタ)アクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリサルフォン、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂などの溶剤可溶性樹脂や、フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性樹脂に溶解又は分散させて用いることも可能である。
本発明に関する有機EL素子に用いられる薄膜の形成方法は、本発明の多量体化合物や組成物を用いて一般的に、真空プロセスである、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、溶液プロセスであるキャスティング、スピンコーティング、ディップコーティング、ブレードコーティング、ワイヤバーコーティング、スプレーコーティング等のコーティング法や、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷等の印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等のソフトリソグラフィーの手法等、さらにはこれらの手法を複数組み合わせた方法を採用しうる。
抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法や溶媒や樹脂に溶解・分散させてコーティングする方法(スピンコート、キャスト、ディップコートなど)、LB法、インクジェット法など特に限定されるものではない。通常は、抵抗加熱蒸着が特性面で好ましい。各層の厚みは、発光物質の抵抗値に応じて、設定するので限定することはできないが、0.5〜5000nmの間から選ばれる。好ましくは1〜1000nm、より好ましくは5〜500nmである。
本発明の有機EL素子はフラットパネルディスプレイとして好適に使用することができる。またフラットバックライトとしても用いることができ、この場合、有色光を発するものでも白色光を発するものでもいずれでも使用できる。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ機器、自動車パネル、表示板、標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でもパソコン用途のための従来のバックライトは蛍光灯や導光板からなっているため薄型化が困難であったが、本発明の発光素子を用いたバックライトは、薄型、軽量が特徴であるため上記問題点は解消される。同様に照明にも有用に用いることができる。
本発明の多量体化合物を用いると、発光効率が高く、寿命が長い有機EL表示装置を得る事が出来る。さらに本発明の薄膜トランジスタ素子を組み合わせることで印加電圧のオンオフ現象を電気的に高精度に制御した有機EL表示装置を低コストで供給することが可能となる。
(有機太陽電池素子について)
本発明の多量体化合物の有機半導体特性を利用することにより、フレキシブルで低コストの、製法が簡便な有機太陽電池素子としての利用が期待される。すなわち、有機太陽電池素子は、色素増感太陽電池の様に電解液を用いないため柔軟性や寿命向上の上でも有利なのが特長であり、従来は導電性ポリマーやフラーレンなどを組み合わせた有機薄膜半導体を用いる太陽電池の開発が主流であるが、発電変換効率が問題となっている。
一般に有機太陽電池素子の構成はシリコン系の太陽電池と同様に、発電を行う層を陽極と陰極ではさみ、光を吸収することで発生した正孔と電子を各電極で受け取ることで太陽電池として機能する。その発電層はP型のドナー材料とN型のアクセプター材料及びバッファー層などのその他の材料で構成されおり、その材料に有機材料が用いられているものを有機太陽電池という。
その構造としては、ショットキー接合、ヘテロ接合、バルクヘテロ接合、ナノ構造接合、ハイブリッドなどが挙げられるが、各材料が効率的に入射光を吸収し、電荷を発生させ、発生した電荷(正孔と電子)を分離・輸送・収集することで太陽電池として機能する。
次に本発明の太陽電池素子における構成要素について説明する。
本発明の太陽電池素子における陽極及び陰極としては、先に述べた有機EL素子と同様である。光を効率的に取り込む必要があるため、発電層の吸収波長領域で透明性を有する電極とすることが望ましい。また良好な太陽電池特性を有するためにはシート抵抗が20Ω/□以下であることが好ましい。
本発明の太陽電池素子における発電層は、本発明の多量体化合物を少なくとも含有する有機薄膜を形成する1層又は複数の層で形成されている。先に示した構造をとることが可能であるが、基本的にP型のドナー材料とN型のアクセプター材料及びバッファー層で構成されている。
P型のドナー材料としては、基本的に有機EL素子の項で述べた正孔注入及び正孔輸送層と同様に正孔を輸送できる化合物や、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリアニリン誘導体等のπ共役型ポリマーや、カルバゾールやその他複素環側鎖にもつポリマーが上げられる。低分子化合物として、ペンタセン誘導体、ルブレン誘導体、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、インジゴ誘導体、キナクリドン誘導体、メロシアニン誘導体、シアニン誘導体、スクアリウム誘導体、ベンゾキノン誘導体なども挙げられる。
N型のアクセプター層としては基本的に有機EL素子の項で述べた電子輸送層と同様に電子を輸送できる化合物やピリジン及びその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、キノリン及びその誘導体を骨格にもつオリゴマーやポリマー、ベンゾフェナンスロリン類及びその誘導体を持つポリマー、シアノポリフェニレンビニレン誘導体(CN−PPVなど)などの高分子材料や、フッ素化フタロシアニン誘導体、ペリレン誘導体、ナフタレン誘導体、バソキュプロイン誘導体、C60やC70、PCBMなどのフラーレン誘導体、などの低分子材料が挙げられる。
それぞれ光を効率的に吸収し、電荷を発生させることが好ましく、使用する材料の吸光係数が高い物が好ましい。
本発明の多量体化合物は特にP型のドナー材料として好適に用いることが出来る。本発明の有機太陽電池の発電層用の薄膜の形成方法は先述の有機EL素子の項で述べた方法と同様でよい。薄膜の膜厚などは太陽電池の構成によっても異なるが、光を十分に吸収するため及び短絡を防ぐためには厚いほうが良いが、発生した電荷を輸送する距離は短い方が良いため、結果的には薄い方が適している。一般的には発電層として10〜5000nm程度が適している。
(光電変換素子について)
本発明の多量体化合物の半導体特性を利用することにより、有機光電変換素子としての利用が期待される。光電変換素子としては、固体撮像素子であるイメージセンサとして、動画や静止画等の映像信号をデジタル信号へ変換する機能を有する電荷結合素子(CCD)等が挙げられ、より安価で、大面積化加工性や、有機物固有のフレキシブル機能性、等を活かす事により有機光電変換素子としての利用も期待される。
(有機半導体レ−ザー素子について)
本発明の多量体化合物は有機半導体特性を有する化合物である事から、有機半導体レーザー素子としての利用が期待される。すなわち、本発明の多量体化合物を含有する有機半導体素子に共振器構造を組み込み、効率的にキャリアを注入して励起状態の密度を十分に高めることが出来れば、光が増幅されレーザー発振に至る事が期待される。従来、光励起によるレーザー発振が観測されるのみで、電気励起によるレーザー発振に必要とされる、高密度のキャリアを有機半導体素子に注入し、高密度の励起状態を発生させるのは非常に困難と提唱されているが、本発明の多量体化合物を含有する有機半導体素子を用いることで、高効率な発光(電界発光)が起こる可能性が期待される。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。実施例中、部は特に指定しない限り質量部を、%は質量%を、化合物No.は上記の具体例に記載の化合物にそれぞれ対応する。また反応温度は、特に断りのない限り反応系内の内温を記載した。
合成例にて得られた各種の化合物は、必要に応じてMS(質量分析スペクトル)、極大吸収(λmax)、及びmp(融点)、1H(13C)−NMR(核磁気共鳴スペクトル)の各種の測定を行うことによりその構造式を決定した。測定機器は以下の通りである。
EI−MS:Shimadzu QP−5050A
MS:Shimadzu MALDI−TOF
吸収スペクトル:Shimadzu UV−3150
1H(13C)−NMR:JEOL Lambda 400 and JEOL EX−270
実施例1
2,2’−ビベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5.6−b’’]トリチオフェン(化合物10)

窒素雰囲気下、30ml丸底フラスコにベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物103)(369mg、1.5mmol)と無水THF(6ml)を加え、氷浴下でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.66M、1.1ml、1.8mmol)を滴下し、室温で1.5時間攪拌した。続いて、Fe(acac)3(349mg、2.25mmol)を加え室温で18時間攪拌した。反応終了後、2N塩酸溶液(6ml)を加え析出した固体を濾取した。水(20ml)、エタノール(20ml)、ベンゼン(20ml)で洗浄したのち、乾燥し昇華精製(350℃)することで化合物10の黄色固体を得た(224mg、61%)。
化合物10の物性値:MS(70eV,EI)m/z=490(M+)、mp.>300℃、EI-MS m/z 490(M+)、
Anal.Calcd for C24H10S6:C,58.74;H,2.05%;Found:C,58.60;H,1.98%、
UV-vis spectra in dichloromethane solution:λmax 377nm
合成例1
2,5−ジオクチルベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物200)

窒素雰囲気下、フラスコにベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物103)を800mg(3.25mmol)と無水THF(80ml)を加え、氷浴下でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M、4.64ml、7.24mmol)を滴下し、60℃に加熱、2時間撹拌した。1−ブロモオクタン(2.3ml、13mmol)を加え、60℃で12時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム溶液(80ml)を加えた後、ジクロロメタン(10ml×2回)で抽出し、飽和食塩水(80ml×3回)で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン、Rf=0.47)で精製することで化合物200の無色固体(597mg,39%)を得た(合成時、2,5,8−トリオクチル[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェンも一緒に副生する)。
化合物200の物性値:mp.36−38℃、EI-MS m/z=470(M+)、
1H-NMR(270MHz,CDCl3)δ7.53(d,J=5.3Hz,1H),7.47(d,J=5.3Hz,1H),7.27(s,1H),7.22(s,1H), 2.98(t,J=7.6Hz,4H),1.80(quint,J=7.6Hz,4H),1.28-1.55(m,20H),0.86-0.88(m,6H)、
13C-NMR(99.5MHz,CDCl3)δ145.9,145.8,131.6,131.5,131.4,130.5,130.2,129.9,124.6,122.3,119.1,119.0,32.0(×2),31.6(×2),30.9(×2),29.5(×2),29.4(×2),29.3(×2),22.8(×2),12.3(×2)、Anal. Calcd for C28H38S3:C,71.43;H,8.14%;Found:C,71.42;H,8.34%
実施例2
2,2’−ビ(5,8−ジオクチルベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物13)

窒素雰囲気下、フラスコに2,5−ジオクチルベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物200)(100mg、0.21mmol)と無水THF(2.5ml)を加え、氷浴下でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.59M、0.20ml、0.32mmol)を滴下し、60℃に加熱し1.5時間攪拌した。続いて、Fe(acac)3(111mg、0.32mmol)を加え60℃で20時間攪拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム溶液(5ml)を加えた後、クロロホルム(20ml×2回)で抽出し、飽和食塩水(50ml×3回)で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン:ジクロロメタン(3:1)、Rf=0.5)及びヘキサンから再結晶で精製することで化合物13の淡黄色固体(90mg,90%)を得た。
化合物13の物性値:mp.158−160℃、
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.63(s,2H),7.19(s,2H),7.17(s,1H),2.97(t,J=7.0Hz.8H),1.81(quint,J =7.0Hz,8H),1.32(m,16H),0.89(t,J=7.0Hz,12H)、
13C-NMR(99.5MHz,CDCl3)δ146.2,146.1,136.0,132.0,131.9,131.2,130.7,129.9,129.6,119.1,119.0,118.9,32.0(×2),31.6(×2),30.9(×2),30.0(×2),29.4(×2),29.3(×2),22.8(×2),14.3(×2)、
MALDI-TOF MS(1,8,9-trihydroxyanthracene matrix)m/z=939.70(M+),842.03(M+-C7H15)、
Anal.Calcd for C54H76S6:C,71.58;H,7.94%;Found:C,71.40;H,7.93%.、
UV-vis spectra in dichloromethane solution:λmax.380nm(logε:4.59)、
Emission spectra in dichloromethane solution:PLmax.442nm
合成例2
2,5−ジオクチル−8−(トリブチルスズ)ベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物201)

窒素雰囲気下、フラスコに2,5−ジオクチルベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物200)(285mg、0.61mmol)と無水THF(20ml)を加え、氷浴下でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.65M、0.84ml、1.38mmol)を滴下し、室温にて1.5時間攪拌した。塩化トリブチルスズ(0.37ml、1.38mmol)を加え1.5時間撹拌を継続した。飽和塩化アンモニウム溶液(20ml)を加えた後、ジクロロメタン(10ml×2回)で抽出し、飽和食塩水(20ml×3回)で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィー(アルミナ、ヘキサン)、さらにGPC(JAIGEL 1H-2H,CHCl3,Rv=148mL)で精製することで化合物201の黄色固体(388mg,74%)を得た。
化合物201の物性値:
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.59(s,1H),7.29(s,1H),7.20(s,1H),2.95-2.99(m,4H),1.76-1.83(m,4H),1.58-1.66(m,8H),1.15-1.42(m,30H),0.86-0.96(m,15H)、
13C-NMR(99.5MHz,CDCl3)δ145.5,143.4,137.5,135.6,133.1,131.4,131.3,130.1,129.5,129.4,119.6,119.0,32.0(×2),31.6(×2),30.9(×2),29.5(×2),29.4(×2),29.3(×2),29.1,27.4,22.8(×2),14.3(×2),13.9,11.1、EI-MS m/z=760(M+)、
Anal.Calcd for C40H64S3Sn:C,63.23;H,8.49%;Found:C,63.36;H,8.34%.
合成例3
2,5,8−トリブロモベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン (化合物104)

窒素雰囲気下、三口フラスコにベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物103)(50mg、0.20mmol)、塩化メチレン(2.9mL)、酢酸(0.7mL)を加えた。遮光条件下でNBS(120mg、0.67mmol)を少しずつ加え、室温で18時間攪拌した。反応終了後、水(4mL)を加え析出した固体を濾取し、水(4ml×2回)、エタノール(4ml×2回)で洗浄し、クロロベンゼンから再結晶することで化合物104の薄紫色固体(52.6mg、54%)を得た。
化合物104の物性値:
mp.230.0℃、EI-MS m/z=480(M+)、1H-NMR(270MHz,CDCl3)・7.51(s,3H)、
Anal. Calcd for C12H3S3Br3:C,29.84;H,0.63%;Found:C,30.05;H,0.67%.
実施例3
2,5,8−トリス(5,8−ジオクチルベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン−2−イル)ベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物33)

窒素雰囲気下、2,5,8−トリブロモベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物104)(182mg、0.37mmol)と2,5−ジオクチル−8−トリブチルスズ−ベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物201)(1.04g、1.36mmol)をトルエン(9.4ml)に溶解させ、窒素気流で脱気した。Pd(PPh(108mg、94mol)を加え、還流温度で24時間反応した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム溶液(5ml)を加えた後、ジクロロメタン(20ml×2回)で抽出し、飽和食塩水(50ml×3回)で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘキサン−CS(1:1)、Rf=0.50)、さらにクロロホルムで再結晶することで化合物33の黄色固体(169mg、27%)を得た。
化合物33の物性値:mp:223−225℃、
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ7.17(s,3H),7.01(s,3H),6.75(s,3H),6.68(s,3H),2.75(m,12H),1.71(m,12H),1.34(m,60H),0.94(t,J=6.3Hz,18H)、
MALDI-TOF MS(1,8,9-trihydroxyanthracene matrix)m/z=1651.81(M+)、
Anal. Calcd for C96H114S12:C,69.77;H,6.95%;Found:C,69.50;H,6.72%、
UV-vis spectra in dichloromethane solution:λmax 387nm(logε:4.99)、
Emission spectra in dichloromethane solution:PLmax 448nm
実施例4
薄膜トランジスタ素子の作成及びその評価
オクチルトリクロロシラン処理を行った200nmのSiO熱酸化膜付きnドープシリコンウェハー上に、化合物13の0.4%クロロホルム溶液(本願の組成物)を滴下しスピンコート(3000rpm30秒間)製膜を行い、本発明の薄膜を得た。次いでこの基板に電極作成用シャドウマスクを取り付け、真空蒸着装置内に設置し、装置内の真空度が1.0×10−4Pa以下になるまで排気し、抵抗加熱蒸着法によって、金の電極、すなわちソース電極(1)及びドレイン電極(3)、を80nmの厚さに蒸着し、TC(トップコンタクト)型である本発明の有機トランジスタ素子を得た。
なお、本実施例における電界効果トランジスタにおいては、熱酸化膜付きnドープシリコンウェハーにおける熱酸化膜が絶縁層(4)の機能を有し、nドープシリコンウェハーが基板(6)及びゲート電極(5)の機能を兼ね備えている(図3参照)。得られた電界効果トランジスタをプローバー内に設置し半導体パラメーターアナライザー(ケースレー4200)を用いて半導体特性を測定した。半導体特性はゲート電圧を10Vから−100Vまで20Vステップで走査し、またドレイン電圧を0Vから−60Vまで走査し、ドレイン電流−ドレイン電圧を測定した。その結果、電流飽和が観測された。またドレイン電流を−60Vとし、ゲート電圧を20Vから−50Vまで走査し、ゲート電圧−ドレイン電流を測定した。得られた電圧電流曲線より、本素子はp型半導体を示し、キャリア移動度は0.14cm/Vsであり、オンオフ比は10であった。図5に本実施例の有機薄膜トランジスタのドレイン電流−ドレイン電圧曲線を示し、図6にドレイン電流−ゲート電圧曲線を示す。
実施例5
有機EL素子の作成及びその評価
ITO透明導電膜を150nm堆積させたガラス基板(東京三容真空(株)製、14Ω/□以下)を素子作製前にUV−オゾン洗浄した。この基板上に化合物(33)の0.27%クロロホルム溶液(本発明の組成物に相当)を滴下しスピンコート(1500rpm30秒間)製膜を行い、真空中で乾燥し、本発明の薄膜(約20nm)を得た。この基板を真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が2×10−3Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱蒸着法によって、発光層兼電子輸送層としてトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(AlQ3)を50nmの厚さに蒸着した。さらにシャドウマスクを介してフッ化リチウムを0.8nmの厚さに、アルミニウムを100nmの厚さに蒸着して陰極を形成し、φ2mmの丸型有機EL素子を作製した。この有機EL素子の構成は図4に示される。本実施例有機EL素子の電流効率は3.03cd/A(1000cd/m)を示した。図7に本実施例の有機EL素子のI−V−L特性図を示す。
実施例6
有機太陽電池素子の作成及びその評価
実施例5と同様にITO上に化合物33の薄膜を作製した。次いでこの基板を真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が2×10−3Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱蒸着法によって、C60を30nmの厚さに、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンを10nm蒸着した。さらにシャドウマスクを介してアルミニウムを100nmの厚さに蒸着して陰極を形成し、φ2mmの丸型有機太陽電池素子を作製した。AM1.5のソーラーシミュレーターを用いて100mW/cmとして光電変換効率を測定した。開放電圧は0.85V、短絡電流は2.11mA/cm、フィルファクターは0.51、変換効率は約1%の有機太陽電池が得られた。図8に本実施例の有機太陽電池素子のJ−V特性図を示す。
実施例7
2,5−ジオクチル−8−ヨードベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物202)

窒素雰囲気下、50ml丸底フラスコ中で2,5−ジオクチルベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物200)(940mg,2.0mmol)をTHF(28ml)に溶解し、0℃に冷却後、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.57M、1.60ml、2.50mmol)を滴下し、室温で1.5時間攪拌した。続いて、ヨウ素(660mg、2.6mmol)のTHF(28ml)溶液を滴下し、そのまま1.5時間攪拌した。NaHSO水溶液(10ml)を添加後、ジクロロメタン(20ml×2回)で粗生成物を抽出した。該抽出液をNaHSO水溶液(20ml×3回)で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧下で溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン、Rf=0.6)で精製することで2,5−ジオクチル−8−ヨードベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェンの白色固体(920mg、78%)を得た。
化合物202の物性値:
1H NMR (400 MHz, CDCl3)・δ7.70 (s, 1H), 7.19 (s, 1H), 7.16 (s, 1H), 2.96 (t, J = 8.0 Hz, 4H), 1.77 (m, 4H), 1.28-1.42 (m, 40H), 0.88 (t, J = 6.3 Hz, 6H); EI-MS m/z 550 (M+).
Anal. Calcd for C28H37IS3: C, 56.36; H, 6.25 %. Found: C, 56.36; H, 6.25 %
実施例8
5,5’’,8,8’’−テトラオクチル−8’−(トリメチル錫)−2,2’;5’,2’’−テルベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物204)

窒素雰囲気下、20ml丸底フラスコ中で2,5−ジオクチル−8−ヨードベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物202)(282mg、473μmol)と2,5,8−トリス(トリメチル錫)ベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物203)(194mg、264μmol)をDMF(9.4ml)に溶解し、Pd(PPh(30mg、12mμmol)を加え、80℃で12時間加熱後、冷却し、水(5ml)を加え、生成物を析出させた。該析出物を濾別し、水洗浄(5ml×2回)、エタノール洗浄(5ml×2回)をし、減圧乾燥して黄色固体の粗生成物を得た。該粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(アルミナゲル)にてジクロロメタンで溶出し、GPC(JAIGEL-1H, 2H, CHCl3)にて精製し、黄色固体の5,5’’,8,8’’−テトラオクチル−8’−(トリメチル錫)−2,2’;5’,2’’−テルベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物204)(265mg,83%)を得た。
化合物204の物性値:
1H NMR (400MHz, CDCl3)・δ7.75 (s, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.24 (s, 2H), 7.20 (s, 1H), 7.18 (s, 1H), 3.01-2.96 (m, 8H), 1.84-1.82 (m, 8H), 1.51-1.31 (m, 40H), 0.90 (t, J = 6.4 Hz, 12H), 0.53 (s, 3JSn-H = 28.6 Hz, 9H)
: MALDI-TOF MS (1,8,9-trihydroxyanthracene matrix) m/z 1263 (M+)
実施例9
2,5−ジオクチル−8−(トリブチル錫)ベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物205)

窒素雰囲気下、100ml丸底フラスコ中で2,5−ジオクチルベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物200)(600mg、1.27mmol)をTHF(40ml)に溶解し、0℃に冷却して、n−ブチルリチウム(1.57M、2.0ml、3.14mmol)を滴下し、室温まで昇温後、1.5時間攪拌した。その後、塩化トリメチル錫(586mg、3.14mmol)を加え、更に1.5時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム塩水溶液(20ml)を加え、ジクロロメタン(10ml×2回)で粗生成物を抽出し、飽和食塩水(20ml×3回)で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で溶媒を留去した。得られた濃縮物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(アルミナゲル)にてジクロロメタンにより溶出し、GPC(JAIGEL-1H, 2H, CHCl3, Rv = 148 mL)で精製し、白色固体の2,5−ジオクチル−8−(トリメチル錫)ベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(707mg、88%)を得た。
化合物205の物性値:
1H NMR (270 MHz, CDCl3)・δ7.58, 7.27 (s, 1H), 7.21 (s, 1H), 2.95-3.00 (m, 4H), 1.77-1.83 (m, 4H), 1.55-1.28 (m, 20H), 0.86-0.96 (m, 6H), 0.46 (s, 3JSn-H= 28.6 Hz, 9H). EI-MS m/z 634 (M+)
Anal. Calcd for C31H46S3Sn: C, 58.76; H, 7.32 %. Found: C, 59.03; H, 7.35 %
実施例10
8’−ブロモ−5,5’’,8,8’’−テトラオクチル−2,2’;5’,2’’−テルベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物206)

窒素雰囲気下、還流コンデンサー付試験管中でDMF(5ml)に2,5−ジオクチル−8−(トリブチル錫)ベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物201)(222g、350μmol)と2,5,8−トリブロモベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物104)(94mg、195μmol)を溶解し、Pd(PPh(16mg、14μmol)を加え、80℃で12時間加熱後、冷却後、水(5ml)を加え、生成物を析出させた。析出物を濾別し、水洗浄(5ml×2回)、エタノール洗浄(5ml×2回)し、減圧乾燥して黄色固体の粗生成物を得た。該粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(アルミナゲル)にてジクロロメタンで溶出し、GPC(JAIGEL-1H, 2H, CHCl3)で精製し、黄色固体の8’−ブロモ−5,5’’,8,8’’−テトラオクチル−2,2’;5’,2’’−テルベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(94mg,42%)を得た。
化合物206の物性値:
1H NMR (400MHz, CDCl3)・δ7.00 (s, 1H), 6.92 (s, 1H), 6.88 (s, 1H), 6.83 (s, 1H), 6.77 (s, 1H), 6.71 (s, 1H), 6.68 (s, 1H), 6.67 (s, 1H), 6.63 (s, 1H), 2.75-2.67 (m, 8H), 1.66-1.62 (m, 8H), 1.38-1.26 (m, 40H), 0.92 (t, J = 6.4, Hz 12H);
MALDI-TOF MS (1,8,9-trihydroxyanthracene matrix) m/z 1263 (M+).
Anal. Calcd for C68H77BrS9: C, 64.67; H, 6.15 %. Found: C, 64.72; H, 6.04 %
実施例11
2,2’−ビス{5,8−ビス(5’,8’−ジオクチルベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン−2’−イル)}ベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物207)

窒素雰囲気下、還流コンデンサー付試験管中で、トルエン(1ml)に5,5’’,8,8’’−テトラオクチル−8’−(トリメチル錫)−2,2’;5’,2’’−テルベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物204)(53mg、40μmol)と5,5’’,8,8’’−テトラオクチル−8’−ブロモ−2,2’;5’,2’’−テルベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物206)(50mg、40μmol)を溶解し、Pd(PPh(3mg、2.4μmol)を加え、16時間還流加熱した。冷却後、水(1ml)を加え、ジクロロメタン(10ml×2回)で抽出し、飽和食塩水(20ml×3回)で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、さらに溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。該粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(アルミナゲル)にてジクロロメタンで溶出し、GPC(JAIGEL-1H, 2H, CHCl3)で精製し、褐色固体の2,2’−ビス{5,8−ビス(5’,8’−ジオクチルベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン−2’−イル)}ベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(55mg、58%)を得た。
化合物207の物性値:
MALDI-TOF MS (1,8,9-trihydroxyanthracene matrix) m/z 2365 (M+)、
Anal. Calcd for C136H154S18: C, 69.04 ; H, 6.56 %. Found: C, 68.96; H, 6.54 %、
UV-vis spectra in dichloromethane solution:λmax.393nm(logε:5.19)
実施例12
2,5,8−トリ{5’,5’’’,8’,8’’’−テトラオクチル−2’,2’’;5’’,2’’’−テルベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン−8’’−イル}ベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物208)

窒素雰囲気下、還流コンデンサー付試験管中で、2,5,8−トリブロモベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物104)(20mg、41μmol)と5,5’’,8,8’’−テトラオクチル−8’−(トリメチル錫)−2,2’;5’,2’’−テルベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(化合物204)(200mg、148μmol)をトルエン(2ml)に溶解し、Pd(PPh(5mg、4μmol)を加え、16時間還流した。冷却後、水(1ml)を加え、ジクロロメタン(10ml×2回)で抽出し、飽和食塩水(20ml×2回)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。該粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(アルミナゲル)にてジクロロメタンで溶出し、GPC(JAIGEL-1H, 2H, CHCl3)で精製し、茶褐色固体のBTTの混合物、2,5,8−トリ{5’,5’’’,8’,8’’’−テトラオクチル−2’,2’’;5’’,2’’’−テルベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン−8’’−イル}ベンゾ[1,2−b:4,5−b’:5,6−b’’]トリチオフェンと2,2’−ビス{5,8−ビス(5’,8’−ジオクチルベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン−2’−イル)}ベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェンを得た。さらにGPC(JAIGEL-2H, 3H, CHCl3)で2回精製したところ、茶褐色固体の2,5,8−トリ{5’,5’’’,8’,8’’’−テトラオクチル−2’,2’’;5’’,2’’’−テルベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン−8’’−イル}ベンゾ[1,2−b:3,4−b’:5,6−b’’]トリチオフェン(51mg、32%)を得た。
化合物(208)の物性値:
MALDI-TOF MS (1,8,9-trihydroxyanthracene matrix) m/z 3762 (M+)、
Anal. Calcd for C216H234S30: C, 68.41 ; H, 6.22 %. Found: C, 68.13; H, 6.03 %、
UV-vis spectra in dichloromethane solution:λmax.395nm(logε:5.36)
上記の実施例からも明らかなように、本発明により得られた多量体化合物は、有機薄膜トランジスタや有機EL素子、有機太陽電池として優れた特性値を示しており、有機エレクトロニクスデバイスとして高い汎用性を有した非常に有用な化合物であると言える。
図1〜図3において同じ名称には同じ番号を付すものとする。
1 ソース電極
2 半導体層
3 ドレイン電極
4 絶縁体層
5 ゲート電極
6 基板
7 保護層

Claims (14)

  1. 一般式(2)で表される部分構造を2個以上有する、多量体化合物。

    (式(2)中、X、X及びXはそれぞれ独立に硫黄原子又はセレン原子を表す。R〜Rの少なくとも1つは単結合であり、他の部分構造結合して、多量体を形成する。残りのR〜Rはそれぞれ独立に芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基、アミノ基、又は水素原子を表す。)
  2. 一般式(2)で表される部分構造を2個以上有する多量体化合物が、オリゴマー又はデンドリマーである、請求項1に記載の多量体化合物。
  3. 一般式(2)においてX、X及びXが全て硫黄原子である、請求項3に記載の多量体化合物。
  4. 一般式(3)で表わされる、請求項1又は2に記載の多量体化合物。

    (式(3)中、X乃至Xはそれぞれ独立に硫黄原子又はセレン原子を表す。R〜R16はそれぞれ独立に芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基、アミノ基、又は水素原子を表す。)
  5. 一般式(4)で表わされる、請求項1又は2に記載の多量体化合物。

    (式(4)中、X10乃至X18はそれぞれ独立に硫黄原子又はセレン原子を表す。R17〜R30はそれぞれ独立に芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基、アミノ基、又は水素原子を表す。)
  6. 一般式(5)で表わされる、請求項1又は2に記載の多量体化合物。

    (式(5)中、X19乃至X30はそれぞれ独立に硫黄原子又はセレン原子を表す。R31〜R48はそれぞれ独立に芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基、アミノ基、又は水素原子を表す。)
  7. 一般式(6)で表わされる、請求項1又は2に記載の多量体化合物。

    (式(6)中、X31乃至X48はそれぞれ独立に硫黄原子又はセレン原子を表す。R49〜R74はそれぞれ独立に芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基、アミノ基、又は水素原子を表す。)
  8. 一般式(7)で表わされる、請求項1又は2に記載の多量体化合物。

    (式(7)中、X49乃至X78はそれぞれ独立に硫黄原子又はセレン原子を表す。R75〜R116はそれぞれ独立に芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、メルカプト基、アルキルチオ基、アミノ基、又は水素原子を表す。)
  9. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の多量体化合物からなる有機半導体材料。
  10. 請求項に記載の有機半導体材料を含有する、有機エレクトロニクスデバイス。
  11. 前記デバイスが、光電変換素子、有機太陽電池素子、有機EL素子、有機半導体レーザー素子、液晶表示素子又は薄膜トランジスタ素子である、請求項10に記載の有機エレクトロニクスデバイス。
  12. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の多量体化合物を含有する、組成物。
  13. 請求項1乃至又は12のいずれか一項に記載の多量体化合物又は組成物を含有する、薄膜。
  14. 一般式(2)で表される部分構造を有する化合物同士をカップリング反応することを含む、請求項1乃至のいずれか一項に記載の多量体化合物の製造方法。
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