JP5599095B2 - 有機−無機ハイブリッド熱電材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機−無機ハイブリッド熱電材料の製造方法に関する。さらに詳しくは、ゼーベック効果による熱電発電や、ペルチェ効果による電子冷却等のいわゆる熱電変換に利用される有機−無機ハイブリッド熱電材料の製造方法に関する。
近年、世界的な地球環境問題への取り組みや、エネルギー資源の有効利用への関心が高まってきている。また、現社会に供給されるエネルギーの一部は、輸送・貯蔵・変換・利用の過程で活用されないまま熱として環境に排出されており、その量は全一次供給エネルギーの実に約2/3に及ぶといわれている。しかもそのエネルギー消費のうち、化石燃料が90%を占めており、21世紀のうちには化石燃料資源が枯渇するという問題も発生してきている。
かかる環境問題やエネルギー問題を打破する解決策の一つとして熱電変換技術がある。この技術を用いれば、未利用熱エネルギーを利用しやすい電気エネルギーへと直接アップグレードできる「エネルギー・リサイクル」として使用できる可能性がある。熱電変換技術とは、異なる2種の金属やp型半導体とn型半導体等の熱電変換材料に温度差を与えると、両端に熱起電力が発生するゼーベック効果を利用して、熱エネルギーを直接電力に変換する技術であり、モーターやタービン等の可動部が全くなく、また、老廃物も発生しないという優れた特徴を有している。
熱電変換技術に使用される熱電材料(熱電変換材料とも呼ばれる。)は、熱エネルギーと電気エネルギーを相互に変換することができる材料であり、熱電冷却素子や熱電発電素子として利用される熱電変換素子を構成する材料である。そして、熱電材料においてその特性を評価するにあたり、以下式(I)及び式(II)で表される物理的内部因子(TPF)や熱電性能指数(ZT)が使用される。ここで、Sはゼーベック係数、σは電気伝導度(導電率)、κは熱伝導度、Tは絶対温度、をそれぞれ示す。また、式(I)及び式(II)におけるSσは、パワーファクターとも呼ばれる。
Figure 0005599095
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式(I)及び式(II)より、熱電材料の熱電変換性能を高めるためには、ゼーベック係数や電気伝導度を高くし、熱伝導度を低くすればよいことがわかる。一方、これらの物理量は1つの材料において個別に改良できるものではなく、1つの特性を向上させると他の特性のうちの1つは低下する関係にあり、例えば、電気伝導度やゼーベック定数を高くすれば、それに伴って熱伝導度も高くなってしまうことが多い。
一般に、無機材料(無機熱電材料)は、ゼーベック係数や電気伝導度が高く、熱伝導度が高いという問題がある。一方、有機材料(有機熱電材料)は、熱伝導度が低いという利点がある。かかる無機材料と有機材料をハイブリッド化することにより、有機材料と無機材料の2種類の性質を同時に発現させることができ、低い熱伝導度を持ち、高いゼーベック係数や電気伝導度を持つ高い熱電変換機能を有する熱電材料の合成が可能と考えられる。そして、無機材料と有機材料をハイブリッド化した有機−無機ハイブリッド熱電材料の開発が進められている(例えば、特許文献1を参照。)。
特許第4296236号公報
しかしながら、従来の熱電材料は、ハイブリッド化した際に、低い熱伝導度ととともに、高いゼーベック係数や電気伝導度を有し、安定した熱電特性を発揮することが困難であった。
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、低い熱伝導度とともに、高いゼーベック係数や電気伝導度を有し、優れた熱電特性を安定して発揮することができる有機−無機ハイブリッド熱電材料の製造方法を提供することにある。
本発明に係る有機−無機ハイブリッド熱電材料の製造方法は、平均粒子径が1〜100nmであり、Bi−(Te、Se)系、Si−Ge系、Pb−Te系、GeTe−AgSbTe系、(Co、Ir、Ru)−Sb系及び(Ca、Sr、Bi)Co系から選ばれた少なくとも1種で、保護剤が実質的に存在しない無機粒子であり、当該無機粒子に対応する前駆体、保護剤及び溶媒を混合後、前記保護剤の分解温度以上で加熱して前記無機粒子の分散溶液を調製し、当該分散溶液を精製して粉末化することにより得られる無機粒子と、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリアセン若しくはその誘導体、及びこれらの共重合体から選ばれた少なくとも1種の有機熱電材料を混合することを特徴とする。
本発明に係る有機−無機ハイブリッド熱電材料の製造方法は、前記した本発明において、前記有機熱電材料がポリアニリンであり、当該ポリアニリンと、前記無機粒子と、カンファスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸及びリン酸から選ばれた少なくとも1種と、m−クレゾールを混合することを特徴とする。
本発明に係る有機−無機ハイブリッド熱電材料の製造方法は、前記した本発明において、前記無機粒子がテルル化ビスマス(BiTe)であり、前記無機粒子に対応する前駆体が四塩化テルルまたはテトラエトキシテルル、及び塩化ビスマスであり、前記保護剤がポリビニルピロリドン(PVP)であり、前記溶媒がテトラエチレングリコールであり、前記保護剤の分解温度が230℃であることを特徴とする。
本発明に係る有機−無機ハイブリッド熱電材料の製造方法は、前記した本発明において、膜状に成形することを特徴とする。
本発明で得られた有機−無機ハイブリッド熱電材料は、無機熱電材料として、平均粒子径が1〜100nmであり、保護剤が実質的に存在しない無機粒子を用いているので、無機粒子が有機熱電材料同士の隙間に効率よく入り込んで分散することができ、優れた熱電特性を安定して保持し、高いゼーベック係数や電気伝導度、低い熱伝導度を有することにより、物理的内部因子(TPF)や熱電性能指数(ZT)が優れた熱電材料となる。また、構成材料として有機高分子材料である有機熱電材料を用いているので、加工性も良好な熱電材料となり、例えば、薄膜化も容易に行うことができ、良好な熱電特性を具備する熱電変換素子や熱電変換モジュールを容易に製造可能となり、加えて、熱センサー、熱電冷却装置等の熱電変換技術を利用した各種製品に適用することができる。
また、熱電変換素子は、前記した本発明で得られた有機−無機ハイブリッド熱電材料を用いているので、かかる熱電材料の効果を享受し、優れた熱電特性を安定して保持し、高いゼーベック係数や電気伝導度、低い熱伝導度を有することにより、物理的内部因子(TPF)や熱電性能指数(ZT)が優れた熱電変換素子となる。
本発明に係る有機−無機ハイブリッド熱電材料の製造方法は、平均粒子径が1〜100nmであり、保護剤が実質的に存在しない無機粒子と特定の有機熱電材料を混合するようにしているので、有機熱電材料のマトリックスの中に平均粒子径の小さい無機粒子が分散し、また、無機粒子が有機熱電材料の構成元素に配位し、高いゼーベック係数や電気伝導度、低い熱伝導度を有することにより、物理的内部因子(TPF)や熱電性能指数(ZT)が優れた熱電材料を効率よくかつ簡便に提供することができる。
実施例1で得られた有機−無機ハイブリッド熱電材料のゼーベック係数を示した図である。 実施例1で得られた有機−無機ハイブリッド熱電材料の電気伝導度を示した図である。 実施例1で得られた有機−無機ハイブリッド熱電材料の熱電性能指数(ZT)を示した図である。 実施例1で得られた有機−無機ハイブリッド熱電材料のパワーファクターを示した図である。 比較例1で得られた有機−無機ハイブリッド熱電材料のゼーベック係数を示した図である。 比較例1で得られた有機−無機ハイブリッド熱電材料の電気伝導度を示した図である。 比較例1で得られた有機−無機ハイブリッド熱電材料の熱電性能指数(ZT)を示した図である。 比較例1で得られた有機−無機ハイブリッド熱電材料のパワーファクターを示した図である。 実施例4で得られた有機−無機ハイブリッド熱電材料の電気伝導度を示した図である。 実施例5で得られた有機−無機ハイブリッド熱電材料のゼーベック係数を示した図である。 実施例5で得られた有機−無機ハイブリッド熱電材料の電気伝導度を示した図である。 実施例5で得られた有機−無機ハイブリッド熱電材料の熱電性能指数(ZT)を示した図である。 実施例5で得られた有機−無機ハイブリッド熱電材料のパワーファクターを示した図である。
以下、本発明の一態様を説明する。本発明の有機−無機ハイブリッド熱電材料は、平均粒子径が1〜100nmであり、保護剤が実質的に存在しない無機粒子と、有機熱電材料を基本構成とする。
本発明に係る有機−無機ハイブリッド熱電材料(以下、単に「熱電材料」とする場合もある。)で使用することができる無機粒子は、単体で高いゼーベック係数、高い電気伝導度を有する無機熱電材料であるBi−(Te、Se)系、Si−Ge系、Pb−Te系、GeTe−AgSbTe系、(Co、Ir、Ru)−Sb系、(Ca、Sr、Bi)Co系などを挙げることができ、これらの特性に優れ、また、n型、またはp型の熱電材料となることができ、p型熱電材料となる有機熱電材料と良好にハイブリッド化することが可能なテルル化ビスマス(BiTe)を使用することが好ましい。
本発明に係る有機−無機ハイブリッド熱電材料で使用される無機粒子は、平均粒子径が1〜100nmであり、平均粒子径をかかる範囲(ナノオーダーにおいても比較的小さい粒子径の範囲)とすることにより、状態密度(DOS)が上昇して熱起電力が増大して、バルクに比べて式(II)で表される熱電性能指数(ZT)が大幅に上昇するため、熱電特性の向上を図ることができる。加えて、高分子である有機熱電材料への分散性が向上して、安定した熱電特性を有し、ハイブリッド化した際にも、無機熱電材料の有する特性的な長所(高いゼーベック係数や電気伝導率)を付与することができる。一方、平均粒子径が100nmを超えると、状態密度(DOS)の上昇が期待できず、また、分散性も悪く、熱電特性も不安定となる。平均粒子径は、1〜50nmとすることがより好ましく、1〜20nmとすることがさらに好ましく、1〜10nmとすることが特に好ましい。なお、本発明における「平均粒子径」とは、例えば、TEMやSEM等で観察された適当数(例えば、100個等)の一次粒子の粒子径の平均値とすればよい。ここで、熱電材料においてその特性を評価する指標としては、前記したように式(I)及び式(II)で算出される物理的内部因子(TPF)や熱電性能指数(ZT)であり、また、本発明のハイブリッド熱電材料について、高いゼーベック係数や電気伝導度とは、ゼーベック係数と電気伝導度の少なくとも一方が高くなることを示す。よって、ゼーベック係数や電気伝導度は、両方の値が高いものとなる場合もあるが、一方の値が高くなり、その結果、式(I)及び式(II)で算出される物理的内部因子(TPF)や熱電性能指数(ZT)が高くなり、優れた熱電特性を示すことになる場合もある。
また、かかる無機粒子は、保護剤が実質的に存在しない。化学的に合成した無機粒子を熱電変換材料に応用する場合には、無機粒子の表面に存在する保護剤が原因でキャリアの受け渡しが困難になり、熱電特性に悪影響を及ぼすことになるので、無機粒子に保護剤が実質的に存在しないようにする。これにより、キャリアの受け渡しを良好にし、平均粒子径を1〜100nmとすることとあわせ、熱電特性の向上を図ることができる。なお、ここでいう保護剤とは、無機粒子の合成で一般的に使用される保護剤、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアクリル酸、ポリビニルアミン、ポリビニルアルコール、いわゆる楔(くさび)型配位ポリマー等が挙げられる。
本発明において、「実質的に含有しない」とは、発明の効果に影響のない程度の微量の保護剤を意図的に添加して、本発明の技術的範囲に属さないようにする行為を排除し、かかる微量の保護剤を意図的に添加した場合であっても、本発明の技術的範囲に属するようにする主旨であり、例えば、保護剤の含有量が熱電材料全体の0.1質量%以下であることをいい、好ましくは保護剤の含有量が0.01質量%以下、より好ましくは、保護剤を全く含有しない(含有量が0質量%)ことをいう。
なお、無機粒子の合成で保護剤が必要とされる場合は多いが、本発明に係る熱電材料で使用するにあっては、合成段階において保護剤の分解温度(例えば、ポリビニルピロリドンであれば約230℃)以上で加熱し、保護剤を除去して、実質的に存在しないようにすればよい。
無機粒子の合成は、例えば、無機粒子に対応する前駆体、保護剤及び溶媒を混合後、前記保護剤の分解温度以上で加熱(好ましくは加熱環流)して無機粒子の分散溶液を調製し、当該分散溶液を精製して粉末化することにより得ることができる。ここで、無機粒子の平均粒子径を、1〜100nmの範囲に好適に制御するためには、凝集の抑制や分解物の適切な除去を実施する必要があり、例えば、前駆体のモル数の和に対する保護剤を構成するモノマーのモル数とのモル比rを、保護剤を構成するモノマーのモル数/前駆体のモル数の和=1以上(好ましくは2〜10)(平均粒子径を1〜10nmとする場合にはr=4以上)、加熱ないし加熱還流を短い時間で行い(概ね30〜90分)、加熱ないし加熱還流の終了後は水冷等の強制的な冷却を行わず、空冷等により自然冷却することが好ましい。
なお、精製については、遠心分離により溶媒をエタノール等のアルコールに置換するとともに、保護剤の分解物を除去する。その後、溶媒のアルコールを除去して、乾燥するようにすればよい。
ここで、例えば、テルル化ビスマス(BiTe)を合成する場合には、無機粒子(テルル化ビスマス)に対応する前駆体を四塩化テルルまたはテトラエトキシテルル(あるいはこの両方)、及び塩化ビスマスとして、これらと保護剤であるポリビニルピロリドン(PVP)と、溶媒としてテトラエチレングリコール(TEG)を混合して、窒素気流下でポリビニルピロリドン(PVP)の分解温度である230℃以上で加熱(好ましくは加熱還流)を行い、精製することにより、平均粒子径が1〜100nmのテルル化ビスマスを好適に製造することができる。精製においては、アルゴン下での遠心分離の際にテトラエチレングリコール(TEG)からエタノール等のアルコールに溶媒置換するとともに、分解したポリビニルピロリドン(PVP)を除去するようにする。そして、減圧乾燥等の乾燥を行うことにより、所望の平均粒子径の熱電材料を得ることができる。また、モル比r(保護剤を構成するモノマーのモル数/前駆体のモル数の和)=4以上とすることが好ましい。
本発明に係る有機−無機ハイブリッド熱電材料で使用することができる有機熱電材料は、例えば、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリアセン若しくはその誘導体、及びこれらの材料の共重合体などを挙げることができ、特に、導電性高分子であり、熱電特性に優れるポリアニリンやポリピロールを使用することが好ましく、また、無機粒子の熱起電力を無限に引き出すことができる、n型のポリアセンを使用するようにしてもよい。なお、かかる有機熱電材料の合成は、従来公知の重合方法を実施すればよく、特に制限されない。
無機粒子と有機熱電材料のモル比R(Rは無機粒子に対する有機熱電材料のモル比であり、R=有機熱電材料/無機粒子)は、特に制限はなく、必要とされる特性等に応じて適宜調整すればよいが、R=0.001〜1000とすることが好ましく、得られる有機−無機ハイブリッド熱電材料の加工性を優れた状態とするには、R=1〜500とすることが特に好ましい。
本発明に係る有機−無機ハイブリッド熱電材料を製造するには、前記した無機粒子と有機熱電材料を混合することにより得ることができる。無機粒子と有機熱電材料を混合することにより、有機熱電材料のマトリックスの中に平均粒子径が1〜100nmの無機粒子が分散し、また、無機粒子が有機熱電材料の構成元素に配位する。ここで、本発明にあっては、平均粒子径がこのように小さいので、有機熱電材料同士の隙間に無機粒子が効率よく入り込むことができ、凝集も起こりにくく、無機粒子が有機熱電材料を介して電気的に導通可能となり、高いゼーベック係数や電気伝導度、低い熱伝導度を有することになり、物理的内部因子(TPF)や熱電性能指数(ZT)が優れた熱電材料となる。例えば、有機熱電材料がポリアニリンである場合には、ポリアニリン中の窒素(N)に、無機粒子が配位していることになる。
無機粒子と有機熱電材料との混合は、有機熱電材料が溶解ないし分散可能な溶媒中で混合することにより行うことが好ましい。有機熱電材料を溶媒に溶解ないし分散させた状態で無機粒子と混合し、混合後に溶媒を除去して熱電材料を得るようにすれば、有機熱電材料中に無機粒子を均一に分散させることができる。
なお、溶媒の選択は、有機熱電材料が溶解可能であることはもちろんであるが、無機粒子の有機熱電材料への配位に悪影響を及ぼさないもの(無機粒子と強い相互作用を起こさない溶媒)を使用することが好ましい。前記した有機熱電材料であれば、ポリアニリン若しくはその誘導体の場合は、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等の少なくとも1種を使用することができ、ポリピロール若しくはその誘導体の場合は、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、n−ブタノール、酢酸エチル等の少なくとも1種を使用することができる。
また、前記に挙げた有機熱電材料のうち、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリパラフェニレン、ポリアセンについては、溶媒に極めて溶解しにくいので、アルキル基、カルボン酸基、スルホン酸基、またはそのエステルなど導入した誘導体を用いるのが好ましい。また、ポリアセンは、溶媒に溶解させることができないので、前駆体(レゾール樹脂)の状態で無機粒子と混合した後、熱処理を施し、レゾール樹脂をポリアセンとすることが好ましい。
有機熱電材料は、必要に応じて、カンファスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、リン酸等のドーパントをドーピングしたものを使用するようにしてもよい。これらは1種を単独で使用してもよく、また、2種以上を組み合わせて使用してもよい。特に、有機熱電材料としてポリアニリンを使用する場合には、無機粒子と混合するにあたり、前記したドーパントとなるカンファスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、リン酸(カンファスルホン酸が好ましい)とm−クレゾールを一緒に混合することにより(直接配位法)、溶媒や保護剤の悪影響を受けることなく、無機粒子の配位が効率よく実施され、また、キャスティング等の製膜化も容易に行うことができる。
かかる直接配位法で得られた有機−無機ハイブリッド熱電材料は、不純物(後記する溶液配位法における1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)や水溶性ポリアニリン法における水溶性ポリアニリン)の存在がなく、また、無機粒子の分散性も高いため、安定した熱電特性を得ることができる。
また、有機熱電材料としてポリアニリンを使用する場合には、あらかじめ1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等の溶媒に溶解させたポリアニリンと無機粒子を混合した後、前記したカンファスルホン酸等のドーパントとm−クレゾールを混合することにより(溶液配位法)、m−クレゾールに溶媒置換して、有機−無機ハイブリッド熱電
材料を得るようにしてもよい。
そして、有機熱電材料としてポリアニリンを使用する場合には、無機粒子を製造するにあたり使用される保護剤として、重量平均分子量が10000以下(好ましくは5000〜500)の水溶性ポリアニリンを用いて、水溶性ポリアニリンで被覆した無機粒子として、これを無機粒子と混合するにあたり、前記したドーパント(カンファスルホン酸が好ましい)とm−クレゾールを一緒に混合することにより(水溶性ポリアニリン法で被覆したテルル化ビスマスを用いた方法:水溶性ポリアニリン法)、有機−無機ハイブリッド熱電材料を得るようにしてもよい。
なお、重量平均分子量が10000以下のポリアニリンは溶解性が非常に高く、エタノールなどのアルコールに可溶であり、また、水を溶媒とした場合であっても、塩酸などを加え溶媒中にプロトンを存在させることにより、ポリアニリン中のアミンがプロトネーションし親水性となるが、これは低分子量のポリアニリン特有の現象である。
製造される有機−無機ハイブリッド熱電材料の形態としては、有機熱電材料を構成材料とした、加工性の高い材料であることを生かし、厚さが概ね3μm〜0.5mm(好ましくは5μm〜50μm)の膜状(薄膜状)に成形することが好ましい。ここで、有機−無機ハイブリッド熱電材料の形態を膜状(薄膜状)とするための塗布手段としては、例えば、キャスティング、スピンコート、ディッピング、インクジェット等を挙げることができる。
また、このような方法により塗布した後には、乾燥することにより有機溶媒等を除去すれば膜状(薄膜状)の有機−無機ハイブリッド熱電材料を得ることができるが、乾燥中あるいは乾燥後に熱処理を実施するようにしてもよい。かかる熱処理は、例えば、50℃〜1200℃で実施すればよく、50℃〜500℃で実施することが好ましい。かかる熱処理により、熱電材料が緻密化され、熱電特性が向上される。
以上説明した本発明に係る有機−無機ハイブリッド熱電材料は、無機粒子として、平均粒子径が1〜100nmであり、保護剤が実質的に存在しない無機粒子を用いているので、無機粒子が有機熱電材料同士の隙間に効率よく入り込んで分散することができ、優れた熱電特性を安定して保持し、高いゼーベック係数や電気伝導度、低い熱伝導度を有することにより、物理的内部因子(TPF)や熱電性能指数(ZT)が優れた熱電材料となる。また、構成材料として有機高分子材料である有機熱電材料を用いているので、加工性も良好な熱電材料となり、例えば、薄膜化も容易に行うことができる。
また、本発明に係る有機−無機ハイブリッド熱電材料は、熱エネルギーと電気エネルギーの間の直接変換、いわゆる熱電変換に利用することができ、有機熱電材料を構成材料とすることにより加工性も良好であることから、良好な熱電特性を具備する熱電変換素子や熱電変換モジュールを容易に製造することが可能となる。加えて、熱センサー、熱電冷却装置等の熱電変換技術を利用した各種装置等に適用することができる。
本発明の有機−無機ハイブリッド熱電材料を用いて熱電変換素子とする場合には、例えば、半導体熱電変換材料、例えばビスマスセレン、アルミドープ酸化亜鉛、あるいは金属例えば白金、パラジウムを電気的かつ物理的に接合させた素子を基本ユニットとすることが好ましい。接合方法としては、例えば、導電性ペーストによる接着、あるいは蒸着やスパッタ等でコーティングする方法等を使用できる。また、所望の出力を得るため、基本ユニットを複数直列に接続させたものを熱電変換素子として使用することもできる。接合点間に温度差をかけた場合には、熱起電力を発生し熱電発電素子となり、一方、この素子に電流を流した場合には接合点間で熱移動が起こり、ペルチェ冷却素子となる。
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本発明に含まれるものである。
例えば、本発明の熱電変換素子は、本発明の有機−無機ハイブリッド熱電材料を使用することを最小条件とし、その他の構成については限定されない。熱電変換素子に使用する熱電変換材料は、フィルム状に加工したものを使用してもよいが、その形状も限定されるものではない。種々の変形が可能である。また、熱電変換材料表面に保護材や封止材を積層する等、他の材料との複合も可能である。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例に何ら限定されるものではない。
[合成例1]
テルル化ビスマス(BiTe)ナノ粒子の合成:
500mLの4つ口フラスコに、脱水、脱気済みのTEG(テトラエチレングリコール)250mL、塩化ビスマス(BiCl)を1.8mmol、塩化テルル(TeCl)を2.7mmol、PVP(ポリビニルピロリドン)を18mmol(r=4)加えて、324rpmで30分間攪拌して混合体とした。
次に、スライダックを接続したマントルヒーターを用い、得られた混合体を、印加電圧を70Vとして1時間窒素気流下の加熱還流を行った(経過時間と温度との関係を以下に示す。)。加熱終了後は空冷によりゆっくり温度を下げ、触ることができる程度に温度が下がったら、3000rpm、40分で遠心分離を行い、溶媒をTEG(テトラエチレングリコール)からエタノールに溶媒置換を行った。溶媒置換後、エタノール洗浄を4回行った。アルゴン置換を行ったエバポレーターで溶媒(エタノール)を除去した。粉体を回収し、減圧乾燥器で12時間乾燥し、無機粒子であるテルル化ビスマス(BiTe)のナノ粒子を粉体で得た。
(加熱環流における経過時間と温度の関係)
経過時間 温度
10分 : 106℃
20分 : 167℃
30分 : 226℃
40分 : 269℃
50分 : 298℃
60分 : 307℃
(X線回折(XRD)による分析)
得られたテルル化ビスマス(BiTe)についてXRD分析を行った結果、酸化物のピークは確認されず、テルル化ビスマスのピークのみが確認できた。
(透過型断面顕微鏡(TEM)による断面観察)
TEMにより観察した結果、多分散かつ粒径の小さいナノ粒子が多く得られたことが確認できた。平均粒子径は約10nm(大多数が5〜15nmの範囲内)であった。
(フーリエ変換型赤外分光(FT−IR)による分析)
FT−IR分析により、得られたテルル化ビスマスに有機物(保護剤:PVP)が存在するか否かを確認した結果、有機物(保護剤)が全く存在しないことが確認できた。
[合成例2]
ポリアニリンの合成:
1Lのナス型フラスコに塩化リチウム(LiCl)0.778molを入れた後、1moL/Lの塩酸水溶液117mmolをゆっくり加えた。さらにアニリン0.054molを加えて混合溶液とし、冷蔵庫であら熱を取った後、−30℃のアセトン冷媒で1時間冷却した。冷却後の混合溶液に、ペルオキソ二硫酸アンモニウム0.11molと、イオン交換水100mLと、塩化リチウム0.67molの混合溶液を50時間かけて滴下した。滴下終了後、後反応として1時間撹拌し、ゆっくり常温に戻して、中間生成物を得た。
次に、得られた中間生成物をイオン交換水で吸引ろ過(0.2μm)した後、ろ液が中性になるまで洗浄した。洗浄後、アセトンでろ液が無色透明になるまでさらに洗浄した。40℃で12時間減圧乾燥し、粉末状のポリアニリンを得た。得られたポリアニリンに1mol/Lのアンモニア水100mLを加え、1時間撹拌し脱ドープを行った。脱ドープ後のポリアニリンをイオン交換水で吸引ろ過し、ろ液が中性になるまで洗浄した後、アセトンでろ液が無色透明になるまで洗浄ろ過した。そして、得られた生成物50℃で12時間減圧乾燥し、有機熱電材料であるエメラルジン構造のポリアニリン(PANi)を粉末で得た。
(紫外可視近赤外分光法(UV−Vis)による同定)
合成例2で得られたポリアニリンをサンプル管にとり、NMP(1−メチルピロリドン)に溶解させ石英セルに移し測定した。一般に、ポリアニリンは、文献値では329nmにベンゼノイド構造、639nmにキノイド構造のピークが観測され、吸光度比が1.1−1.7とされている。合成例2で得られたポリアニリンも同様なピークが観測され、得られた生成物はエメラルジン構造のポリアニリンであると同定できた。
(フーリエ変換型赤外分光(FT−IR)測定による分析)
合成例2で得られたポリアニリンについて、KBr法にてFT−IR測定を行った。一般に、ポリアニリンは、文献値では1589cm−1にキノイド構造、1492cm−1にベンゼノイド構造、827cm−1に1−4変角振動とされており、合成例2で得られたポリアニリン同様のピークが観測されており、エメラルジン構造のポリアニリンであることが確認できた。
(ゲル浸透クロマトグラフィーによる分子量の測定)
合成例2で得られたポリアニリンについて、分子量をゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)を用いて求めた。GPC測定はポリビニルピリジンを標準サンプルとし、検量線を作成し重量平均分子量等を求めた。また移動相はN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を使用した。重量平均分子量(M)=92000、数平均分子量(M)=81000、重量平均分子量(M)/数平均分子量(M)=1.1であった。
[実施例1〜実施例3]
有機−無機ハイブリッド熱電材料の製造:
合成例1で得られた無機粒子であるテルル化ビスマス(BiTe)ナノ粒子及び合成例2で得られた有機熱電材料であるポリアニリンを用いて、下記の「直接配位法」、「溶液配位法」及び「水溶性ポリアニリン法で被覆したテルル化ビスマスを用いた方法(以下、「水溶性ポリアニリン法」と呼ぶ。)の3種類の製造方法により、有機−無機ハイブリッド熱電材料であるポリアニリン−テルル化ビスマスハイブリッド熱電材料を製造した。
[実施例1]
ハイブリッド熱電材料の製造(1)(直接配位法による製造):
グローブボックス中で、4mLサンプル管に、合成例1で得られたテルル化ビスマス(印加電圧:70V)、合成例2で得られたポリアニリン、カンファスルホン酸及びm−クレゾールを、下記表1に示した構成として、攪拌子を入れ密封した。超音波を1時間照射した後、スターラー攪拌を24時間行って混合した。これをガラス板にキャストし乾燥させることによって、膜状のハイブリッド熱電材料を得た。
(構成:直接配位法)
Figure 0005599095
[実施例2]
ハイブリッド熱電材料の製造(2)(溶液配位法による製造):
1Lのナス型フラスコにポリアニリンを300mg、脱水・脱気済みの1,4−ジオキサンを600mL入れ、スターラー攪拌を48時間行い、1,4−ジオキサンにポリアニリンを完全に溶解させた(ポリアニリン溶液と呼ぶ。)。次に、グローブボックス中で100mLナス型フラスコにテルル化ビスマスナノ粒子(印加電圧:70V)とポリアニリン溶液を下記表2の構成として、攪拌子を入れ密封した。これについて48時間スターラー攪拌を行った。
(構成:溶液配位法)
Figure 0005599095
さらに、下記表3に示す構成で、直接配位法と同等のカンファスルホン酸とm−クレゾールを加え、72時間グローブボックス内でスターラー攪拌を行い、同時にロータリーポンプを用い減圧した。この溶液をガラス板にキャストし乾燥させることによって、膜状のハイブリッド熱電材料を得た。
(構成:溶液配位法)
Figure 0005599095
[合成例3]
水溶性ポリアニリンの合成:
300mLナス型フラスコにアニリン0.05mol(4.657g)を入れ、1mol/L塩酸水溶液(10mL)を加えた。オイルバスを80℃に加熱し、過硫酸アンモニウム0.0625mol(14.260g)を粉体で添加した。添加後数秒で激しく重合し、その時発生する熱により、塩酸水溶液に含まれる水が一瞬で気化して系から除かれ、ポリアニリンが生成した。ナス型フラスコ内に残留したポリアニリンを回収し、合成例2と同様にアセトン、水でろ過洗浄し、アンモニア水を用い脱ドープすることにより、重量平均分子量が約10000の水溶性ポリアニリンを粉体で得た。
[合成例4]
水溶性ポリアニリンで保護されたテルル化ビスマスの合成:
合成例1において、保護剤としてポリビニルピロリドン(PVP)の代わりに、合成例3で得られた水溶性ポリアニリンを同モル量(R=4)(18mmol、419.09mg)用い、印加電圧を70Vで合成を行った以外は、合成例1で示した方法と同様な方法を用いて、水溶性ポリアニリンで保護されたテルル化ビスマス(平均粒子径:約10nm)を得た。
[実施例3]
ハイブリッド熱電材料の製造(3)(水溶性ポリアニリン法による製造):
グローブボックス中で、4mLサンプル管に、合成例3で得られた水溶性ポリアニリンで保護されたテルル化ビスマス、合成例2で得られたポリアニリン、カンファスルホン酸、m−クレゾールを下記表4に示した構成として、攪拌子を入れ密封した。超音波を1時間照射した後、スターラー攪拌を24時間行って混合した。これをガラス板にキャストし乾燥させることによって、膜状のハイブリッド熱電材料を得た。なお、加熱によりポリアニリンが分解していると考えたため、分解していない合成例2で得られたポリアニリンを用いている。
(構成:水溶性ポリアニリン法)
Figure 0005599095
実施例1〜実施例3で得られたハイブリッド熱電材料をXRD測定、FT−IR測定及びSEM測定を行うことにより評価した。
(XRD測定)
実施例1〜実施例3のいずれのハイブリッド熱電材料についても、ポリアニリン由来のブロードのピークと、テルル化ビスマス由来のシャープなピークが確認されたため、得られた膜状のハイブリッド熱電材料にはポリアニリンとテルル化ビスマスが存在していることが確認できた。
(FT−IR測定)
得られた膜状のハイブリッド熱電材料を瑪瑙乳鉢でできる限り粉砕し、KBr法によってFT−IR測定を測定した。酸化物が存在する場合、2つのピークが観測される。エーテル(酸素が結晶構造中に入り込んでいる)及びケトン(テルル化ビスマス表面においてなりえる構造)の2つのピークが確認されると考えられるが、実施例1〜実施例3のいずれの測定結果においても、かかるピークは存在しなかった。よって、これらのハイブリッド熱電材料は、テルル化ビスマスが膜にしっかり含有されているため、測定限界以上に酸化していないことが確認できた。
(SEM測定)
SEMで観察した結果、実施例1(直接配位法)及び実施例3(水溶性ポリアニリン法)で得られたハイブリッド熱電材料は、表面のなめらかな膜であることが確認できた。溶液配位法で得られたハイブリッド熱電材料は、若干ではあるが、凝集した部分がみられた。
(熱電変換効率の測定)
実施例1で得られたハイブリッド熱電材料について、熱電特性測定装置を用いて、熱電変換効率の測定を行った。この測定で得られた温度差、熱起電力、電位差から、ゼーベック係数Sと電気伝導度σを算出した。算出に用いた計算式を以下に示した。
Figure 0005599095
Figure 0005599095
Figure 0005599095
なお、測定は、実施例1(直接配位法)について実施した。形状因子を下記に示す。また、再現性確認のため2回測定を行った。ポリアニリンも参照(ブランク)として測定したが、ポリアニリンに関しては、導電性高分子であり、ゼーベック係数は安定しないためプロット数を増やしてある。この結果をもとに、式(I)及び式(II)より物理的内部因子(TPF)や熱電性能指数(ZT)を算出した。結果を図1(ゼーベック係数)、図2(電気伝導度)、図3(熱電性能指数(ZT))及び図4(パワーファクター)にそれぞれ示す。なお、熱伝導度は、いずれも有機熱電材料であるポリアニリンの値とほぼ相違ないものであり、有機熱電材料が有する低い熱伝導度であった。よって、熱電性能指数(ZT)及びパワーファクターの算出において、熱伝導度はポリアニリンのものを用いた。
(形状因子:ポリアニリン)
試料の厚さ(膜の厚さ) : 12.73μm
試料の幅 : 0.31cm
電極間距離 : 0.65cm
(形状因子:R=1)
試料の厚さ(膜の厚さ) : 14.01μm
試料の幅 : 0.3cm
電極間距離 : 0.65cm
(形状因子:R=5)
試料の厚さ(膜の厚さ) : 8.36μm
試料の幅 : 0.32cm
電極間距離 : 0.26cm
(形状因子:R=10)
試料の厚さ(膜の厚さ) : 13.95μm
試料の幅 : 0.32cm
電極間距離 : 0.7cm
一般に、ゼーベック係数はR値が低い場合には上昇すると考えられるが、同時に分散性も低下し電位差を均一に与えることができなくなる。そのため、図1に示すように、R=1ではゼーベック係数が低く、R=5では高い。またR=10ではテルル化ビスマスナノ粒子が均一に分散するためテルル化ビスマス自体の性質を示すようになり、テルル化ビスマスと同様、300Kあたりにピークトップをもつことができる。そして、この中間であるR値では、分散性が高く、テルル化ビスマスナノ粒子により電流を十分に遮ることができ、ゼーベック係数は高温域(350−400K)で大きく上昇すると考えられる。また、電気伝導度は、直接配位法では、絶縁性を低下させる物質はテルル化ビスマスしか存在しないため、図2に示すように、電気伝導度は大きく減少しないという結果だった。
なお、直接配位法において、ゼーベック係数が高いが電気伝導度が減少しない理由としては、電流は、通常抵抗が少ない部分を選択的に多く流れるので、電流が流れるという作業を導電性高分子が担い、電位差を与える作業をテルル化ビスマスナノ粒子が担うことにより、ゼーベック係数、電気伝導度の両立が可能になると考えられる。一方、このような現象を起こすためには電位差を与える物質が十分に小さく、分散性が高いことが必要な条件であることからも、直接配位法では、電位差を与える物質が十分に小さく、高い分散性でハイブリッド材料が製造されているものと考えられる。そして、実施例1のハイブリッド熱電材料は、このようにゼーベック係数が高いが電気伝導度がそれほど減少しないので、図3及び図4に示すように、熱電性能指数(ZT)及びパワーファクターも良好な結果だった。
また、合成例1で得られたテルル化ビスマスの代わりに、市販品のバルク状のテルル化ビスマスを粉砕したマイクロメートルオーダーのテルル化ビスマス(平均粒子径:3〜5μm)を用いて、それ以外は実施例1と同様な方法により製造した膜状のハイブリッド熱電材料を比較例1(R=5)として調製した。この比較例1のハイブリッド熱電材料を、実施例1と同様にして熱電変換効率を測定した。結果を図5(ゼーベック係数)、図6(電気伝導度)、図7(熱電性能指数(ZT))及び図8(パワーファクター)にそれぞれ示す。なお、実施例1の評価と同様に、ポリアニリンも参照(ブランク)として測定した。
(形状因子:ポリアニリン)
試料の厚さ(膜の厚さ) : 7.54μm
試料の幅 : 0.96cm
電極間距離 : 0.692cm
(形状因子:比較例1)
試料の厚さ(膜の厚さ) : 18.9μm
試料の幅 : 1.12cm
電極間距離 : 0.527cm
図5及び図6に示すように、比較例1のハイブリッド熱電材料は、ポリアニリンと比較して、電気伝導度の低下は概ね実施例1の結果と大差ないか実施例1の結果より低下しており、ゼーベック係数についてはポリアニリンと同様に低い値であった。前記したように、実施例1のハイブリッド熱電材料は、ポリアニリンと比較して高いゼーベック係数を示すことからも、比較例1のような、無機粒子(無機熱電材料)であるテルル化ビスマスの平均粒子径が3〜5μmとした本発明の要件を満たさないハイブリッド熱電材料については、ゼーベック係数について実施例1のハイブリッド熱電材料より劣ることが確認できた。
また、ゼーベック係数等がこのような結果であったため、比較例1のハイブリッド熱電材料の熱電性能指数(ZT)及びパワーファクターは、図7及び図8に示すように、ポリアニリンと比較しても大きく劣るものであった。このことからも、無機粒子(無機熱電材料)の平均粒子径について本発明の要件を満たさないハイブリッド熱電材料については、熱電特性について実施例1のハイブリッド熱電材料より劣ることが確認できた。
[合成例5]
フェノール0.528mol(49.69g)にホルマリン水溶液1.06mol(31.83g)、水酸化ナトリウム49.5mmol(1.98g)を加えた。80℃で2時間の加熱還流を行うことにより、レゾール樹脂水溶液を得た。一方、この状態ではまだ不純物が存在するので、イオン交換樹脂を用いpH11からpH4に調整し、無機塩の除去を行うことによりレゾール樹脂を得た。無機塩が除去された1−ブタノールを過剰量加え、エバポレーターで溶媒除去を行った。これを5回繰り返し、溶液内に残留する水を除去し、水から1−ブタノールに溶媒置換を行ったレゾール樹脂を得た。
[実施例4]
ハイブリッド熱電材料の製造(4):
合成例5で得られた1−ブタノールに溶媒置換を行ったレゾール樹脂と、合成例1で得られたテルル化ビスマスナノ粒子を以下の表5に示した構成で加え、24時間攪拌を行った。そして、減圧したグローブボックス内で120℃のホットプレートに乗せ、キャスト可能な粘性になるまで溶媒除去を行った。120℃のホットプレート上でガラス板にキャストを行い、発泡しないように徐々に真空度を下げて、120℃で24時間減圧乾燥を行った。その後、管状電気炉を用い500℃で30分間、850℃で1時間の熱処理を行うことにより、レゾール樹脂をポリアセンとし、有機−無機ハイブリッド熱電材料であるポリアセン−テルル化ビスマスハイブリッド熱電材料を得た。
(構成:実施例4)
Figure 0005599095
(熱電変換効率の測定)
実施例4で得られたポリアセン−テルル化ビスマスハイブリッド熱電材料について、実施例1と同様な方法を用いて、熱電変換効率の測定を行った。なお、測定はR=500について行った。電気伝導度の測定結果を図9に示す。
(形状因子:ポリアセン)
試料の厚さ(膜の厚さ) : 0.1cm
試料の幅 : 0.27cm
電極間距離 : 0.55cm
(形状因子:R=500)
試料の厚さ(膜の厚さ) : 0.05cm
試料の幅 : 0.23cm
電極間距離 : 0.1cm
図9に示すように、実施例4のポリアセン−テルル化ビスマスハイブリッド熱電材料の電気伝導度はポリアセンと比較して高かった。これは、平均粒子径が約10nmのテルル化ビスマスナノ粒子が導電性高分子であるポリアセンにホールを放出することにより、ポリアセンから電子を取り出すドーパントの効果を示していると考えられる。
[合成例6]
テルル化ビスマス(BiTe)ナノ粒子の合成(2):
合成例1と同様な方法を用いて、混合体を調製した。得られた混合体を、マントルヒーターで加熱し、20分で280℃まで温度を上げて還流状態として加熱環流した。印加電圧を60〜70Vで加熱を続け、280℃×60分間の条件で還流を続けた。加熱終了後、電源を切り、窒素気流下、約2時間かけて冷却した。この溶液状の混合体50mLを、450mLのエタノールに入れ攪拌後、6日間放置した。放置後得られた沈殿をデカンテーションで分離し、減圧下乾燥して、無機粒子であるテルル化ビスマス(BiTe)のナノ粒子を粉体で得た。
(X線回折(XRD)による分析)
得られたテルル化ビスマス(BiTe)についてXRD分析を行った結果、酸化物のピークは確認されず、テルル化ビスマスのピークのみが確認できた。
(透過型断面顕微鏡(TEM)による断面観察)
TEMにより観察した結果、合成例1と比較しても粒子径分布が広く、また、平均粒子径は約35nm(大多数が20〜50nmの範囲内)であった。
(フーリエ変換型赤外分光(FT−IR)による分析)
FT−IR分析により、得られたテルル化ビスマスに有機物(保護剤:PVP)が存在するか否かを確認した結果、有機物(保護剤)が全く存在しないことが確認できた。
[実施例5]
有機−無機ハイブリッド熱電材料の製造:
合成例6で得られた無機粒子であるテルル化ビスマス(BiTe)ナノ粒子と、合成例2で得られたポリアニリンを用いて、実施例1に示した方法(直接配位法)と同様な方法により、R=5として、膜状のハイブリッド熱電材料を調製した。
(熱電変換効率の測定)
実施例5で得られたハイブリッド熱電材料について、実施例1と同様にして熱電変換効率を測定した。結果を図10(ゼーベック係数)、図11(電気伝導度)、図12(熱電性能指数(ZT))及び図13(パワーファクター)にそれぞれ示す。なお、実施例1の評価と同様に、ポリアニリンも参照(ブランク)として測定した。
(形状因子:ポリアニリン)
試料の厚さ(膜の厚さ) :7.54μm
試料の幅 : 0.96cm
電極間距離 : 0.692cm
(形状因子:実施例5)
試料の厚さ(膜の厚さ) : 3.57μm
試料の幅 : 1.21cm
電極間距離 : 0.658cm
図10及び図11に示すように、実施例5のハイブリッド熱電材料は、ポリアニリンと比較して、電気伝導度が高かった。そして、図12及び図13に示すように、熱電性能指数(ZT)及びパワーファクターも、ポリアニリンより高いものであり、良好な結果であった。
本発明の熱電材料は、熱電変換技術に適用され、環境問題及びエネルギー問題をクリアする「エネルギー・リサイクル」を実現可能な手段として有利に使用することができる。

Claims (4)

  1. 平均粒子径が1〜100nmであり、Bi−(Te、Se)系、Si−Ge系、Pb−Te系、GeTe−AgSbTe系、(Co、Ir、Ru)−Sb系及び(Ca、Sr、Bi)Co系から選ばれた少なくとも1種で、保護剤が実質的に存在しない無機粒子であり、当該無機粒子に対応する前駆体、保護剤及び溶媒を混合後、前記保護剤の分解温度以上で加熱して前記無機粒子の分散溶液を調製し、当該分散溶液を精製して粉末化することにより得られる無機粒子と、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリアセン若しくはその誘導体、及びこれらの共重合体から選ばれた少なくとも1種の有機熱電材料を混合することを特徴とする有機−無機ハイブリッド熱電材料の製造方法。
  2. 前記有機熱電材料がポリアニリンであり、
    当該ポリアニリンと、前記無機粒子と、カンファスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、トルエンスルホン酸及びリン酸から選ばれた少なくとも1種と、m−クレゾールを混合することを特徴とする請求項に記載の有機−無機ハイブリッド熱電材料の製造方法。
  3. 前記無機粒子がテルル化ビスマス(BiTe)であり、
    前記無機粒子に対応する前駆体が四塩化テルルまたはテトラエトキシテルル、及び塩化ビスマスであり、
    前記保護剤がポリビニルピロリドン(PVP)であり、
    前記溶媒がテトラエチレングリコールであり、
    前記保護剤の分解温度が230℃であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機−無機ハイブリッド熱電材料の製造方法。
  4. 膜状に成形することを特徴とする請求項ないし請求項のいずれかに記載の有機−無機ハイブリッド熱電材料の製造方法。
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