JP2014146681A - 熱電変換材料、熱電変換素子並びにこれを用いた熱電発電用物品及びセンサー用電源 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱電変換性能及び電極密着性に優れた熱電変換材料、熱電変換素子、並びに、該熱電変換素子を用いた熱電発電用物品及びセンサー用電源を提供すること。
【解決手段】基材12上に、第1の電極13、熱電変換層14及び第2の電極15を有する熱電変換素子1であって、該熱電変換層14に、ナノ導電性材料及び一般式(1)で表される共重合体を含有する熱電変換素子1、この熱電変換素子1を用いた熱電発電用物品及びセンサー用電源、並びに、該共重合体及びナノ導電性材料を含有する熱電変換材料。
(下記一般式(1)において、A及びBは、各々独立に、アニリン誘導体由来の共重合体単位又はピロール誘導体由来の共重合体単位を表す。ただし、AとBとは互いに異なる共重合体単位を表す。)
【選択図】図1
【解決手段】基材12上に、第1の電極13、熱電変換層14及び第2の電極15を有する熱電変換素子1であって、該熱電変換層14に、ナノ導電性材料及び一般式(1)で表される共重合体を含有する熱電変換素子1、この熱電変換素子1を用いた熱電発電用物品及びセンサー用電源、並びに、該共重合体及びナノ導電性材料を含有する熱電変換材料。
(下記一般式(1)において、A及びBは、各々独立に、アニリン誘導体由来の共重合体単位又はピロール誘導体由来の共重合体単位を表す。ただし、AとBとは互いに異なる共重合体単位を表す。)
【選択図】図1
Description
本発明は、熱電変換材料並びにこれを用いた熱電発電用物品及びセンサー用電源に関する。
熱エネルギーと電気エネルギーを相互に変換することができる熱電変換材料は、熱電発電素子やペルチェ素子のような熱電変換素子に用いられている。熱電変換材料や熱電変換素子を応用した熱電発電は、熱エネルギーを直接電力に変換することができ、可動部を必要とせず、体温で作動する腕時計や僻地用電源、宇宙用電源等に用いられている。
熱電変換素子の熱電変換性能を評価する指標の1つとして、無次元性能指数ZT(以下、単に性能指数ZTということがある)がある。この性能指数ZTは、下記式(A)で示され、熱電変換性能の向上には、絶対温度1K当りの熱起電力(以下、熱起電力ということがある)S及び導電率σの向上、熱伝導率κの低減が重要である。
性能指数ZT=S2・σ・T/κ (A)
式(A)において、 S(V/K):絶対温度1K当りの熱起電力(ゼーベック係数)
σ(S/m):導電率
κ(W/mK):熱伝導率
T(K):絶対温度
性能指数ZT=S2・σ・T/κ (A)
式(A)において、 S(V/K):絶対温度1K当りの熱起電力(ゼーベック係数)
σ(S/m):導電率
κ(W/mK):熱伝導率
T(K):絶対温度
熱電変換材料には良好な熱電変換性能が要求されるため、熱電変換素子への加工工程が複雑で、また高価で有害物質を含むこともあるものの、現在主に実用化されているのは無機材料である。
一方、有機熱電変換素子は、比較的廉価に製造でき、成膜等の加工も容易であること等から、近年、盛んに研究が進められ、導電性高分子を用いた熱電変換材料や熱電変換素子が報告されるに至っている。例えば、特許文献1にはエメラルジン型導電性ポリアニリン類が、特許文献2にはエメラルジン型導電性ポリアニリン類製膜状物が記載されている。
一方、有機熱電変換素子は、比較的廉価に製造でき、成膜等の加工も容易であること等から、近年、盛んに研究が進められ、導電性高分子を用いた熱電変換材料や熱電変換素子が報告されるに至っている。例えば、特許文献1にはエメラルジン型導電性ポリアニリン類が、特許文献2にはエメラルジン型導電性ポリアニリン類製膜状物が記載されている。
ところで、熱電変換材料及び熱電変換素子において、導電性高分子の1つとしてポリアニリンをカーボンナノチューブと共に用いたものが知られている。例えば、非特許文献1には、多孔質ポリアニリンで被覆された多層カーボンナノチューブのナノ複合体(ナノメートルサイズの複合体)が、また非特許文献2にはポリアニリン被覆層で被覆されたカーボンナノチューブのナノ複合物が記載されている。
Nanotechnology,23(2012),385701
Adv. Mater 2010,22,535−539
特許文献1に記載のエメラルジン型導電性ポリアニリン類及び特許文献2に記載のエメラルジン型導電性ポリアニリン類製膜状物は、いずれも、ポリアニリンを含有するものの、物理的内部因子(TPF)が5(10−6Wm−1K−2)程度、又は、300Kのときの無次元熱電性能指数が0.12程度に過ぎない。また、特許文献3及び4のように、ポリアニリン又はポリピロールとカーボンナノチューブとを併用すると熱電変換性能の向上がある程度期待できるものの、さらなる改善の余地がある。
加えて、熱電変換素子の熱電変換層は電極表面に接して配置されるから、熱電変換層が電極に高度に密着していることが、熱電変換特性及び品質の安定性等の観点から、要求されている。
加えて、熱電変換素子の熱電変換層は電極表面に接して配置されるから、熱電変換層が電極に高度に密着していることが、熱電変換特性及び品質の安定性等の観点から、要求されている。
したがって、本発明は、熱電変換性能に優れ、電極との高い密着性を発現する熱電変換材料、電極との密着性(電極密着性ともいう)及び熱電変換性能に優れた熱電変換層を有する熱電変換素子、並びに、該熱電変換素子を用いた熱電発電用物品及びセンサー用電源を提供することを課題とする。
本発明者等は、上記課題を達成するため、熱電変換素子の熱電変換層にナノ導電性材料(ナノメートルサイズの導電性材料)と共存させる導電性高分子として、種々の導電性高分子を検討した結果、互いに異なる、アニリン由来の共重合体単位又はピロール由来の共重合体単位を少なくとも2種有する、ポリアニリン共重合体及びポリピロール共重合体(ポリ(アニリン−ピロール)共重合体を含む)が、ナノ導電性材料の存在下における分散性を高まること等によって、熱電変換層に優れた熱電変換性能及び電極密着性を発現させることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成された。
すなわち、上記の課題は以下の手段により達成された。
<1>基材上に、第1の電極、熱電変換層及び第2の電極を有する熱電変換素子であって、該熱電変換層が、ナノ導電性材料、及び、下記一般式(1)で表される共重合体を含有する熱電変換素子。
<1>基材上に、第1の電極、熱電変換層及び第2の電極を有する熱電変換素子であって、該熱電変換層が、ナノ導電性材料、及び、下記一般式(1)で表される共重合体を含有する熱電変換素子。
(一般式(1)中、A及びBは、各々独立に、アニリン誘導体由来の共重合体単位又はピロール誘導体由来の共重合体単位を表す。ただし、AとBとは互いに異なる共重合体単位を表す。m及びnは重合度を表す。)
<2>共重合体単位A及びBの重合度の比(m/n)が、1/99〜99/1である<1>に記載の熱電変換素子。
<3>共重合体単位A及びBが、各々独立に、下記一般式(2)〜(5)で表される共重合体単位からなる群より選択される共重合体単位である<1>又は<2>に記載の熱電変換素子。
(一般式(2)〜(5)中、R11〜R14は各々独立に1価の置換基を表す。a1及びc1は各々独立に0〜4の整数を表し、b1は0〜2の整数を表し、d1は0〜6の整数を表す。X11〜X14は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表す。*は共重合体単位の連結部位を表す。)
<4>共重合体単位Aが、a1が0である一般式(2)で表される共重合体単位、b1が0である一般式(3)で表される共重合体単位、c1が0である一般式(4)で表される共重合体単位及びd1が0である一般式(5)で表される共重合体単位からなる群より選択される共重合体単位であり、共重合体単位Bが、a1が1〜4の整数である一般式(2)で表される共重合体単位、b1が1又は2である一般式(3)で表される共重合体単位、c1が1〜4の整数である一般式(4)で表される共重合体単位及びd1が1〜6の整数である一般式(5)で表される共重合体単位からなる群より選択される共重合体単位である<3>に記載の熱電変換素子。
<5>X11〜X14が、水素原子である<3>又は<4>に記載の熱電変換素子。
<6>共重合体単位A及びBが、いずれも、一般式(2)で表される共重合体単位である<3>〜<5>のいずれか1項に記載の熱電変換素子。
<7>共重合体単位A及びBが、いずれも、一般式(3)で表される共重合体単位である<3>〜<5>のいずれか1項に記載の熱電変換素子。
<8>共重合体単位Aが、共重合体単位Bよりも小さな分子量を有している<1>〜<7>のいずれか1項に記載の熱電変換素子。
<9><1>〜<8>のいずれか1項に記載の熱電変換素子を用いた熱電発電用物品。
<10><1>〜<8>のいずれか1項に記載の熱電変換素子を用いたセンサー用電源。
<11>ナノ導電性材料、及び、下記一般式(1)で表される共重合体を含有する、熱電変換素子の熱電変換層を形成するための熱電変換材料。
<5>X11〜X14が、水素原子である<3>又は<4>に記載の熱電変換素子。
<6>共重合体単位A及びBが、いずれも、一般式(2)で表される共重合体単位である<3>〜<5>のいずれか1項に記載の熱電変換素子。
<7>共重合体単位A及びBが、いずれも、一般式(3)で表される共重合体単位である<3>〜<5>のいずれか1項に記載の熱電変換素子。
<8>共重合体単位Aが、共重合体単位Bよりも小さな分子量を有している<1>〜<7>のいずれか1項に記載の熱電変換素子。
<9><1>〜<8>のいずれか1項に記載の熱電変換素子を用いた熱電発電用物品。
<10><1>〜<8>のいずれか1項に記載の熱電変換素子を用いたセンサー用電源。
<11>ナノ導電性材料、及び、下記一般式(1)で表される共重合体を含有する、熱電変換素子の熱電変換層を形成するための熱電変換材料。
(一般式(1)中、A及びBは、各々独立に、アニリン誘導体由来の共重合体単位又はピロール誘導体由来の共重合体単位を表す。ただし、AとBとは互いに異なる共重合体単位を表す。)
<12>有機溶媒を含む<11>に記載の熱電変換材料。
<13>有機溶媒が、ハロゲン系溶媒から選択される少なくとも1種である<12>に記載の熱電変換材料。
<13>有機溶媒が、ハロゲン系溶媒から選択される少なくとも1種である<12>に記載の熱電変換材料。
本発明において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本発明において、置換基に関してxxx基というときには、そのxxx基に任意の置換基を有していてもよい。また、同一の符号で示された基が複数ある場合は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
また、本発明において、置換基に関してxxx基というときには、そのxxx基に任意の置換基を有していてもよい。また、同一の符号で示された基が複数ある場合は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
本発明の熱電変換材料は、高いゼーベック係数、すなわち性能指数ZTを有し、熱電変換性能に優れ、電極との高い密着性を発現する。
また、本発明の熱変換素子及び本発明の熱変換素子を用いた本発明の熱電発電用物品及びセンサー用電源等は、優れた熱電変換性能及び電極密着性を発揮する。
また、本発明の熱変換素子及び本発明の熱変換素子を用いた本発明の熱電発電用物品及びセンサー用電源等は、優れた熱電変換性能及び電極密着性を発揮する。
本発明の熱電変換素子は、基材上に、第1の電極、熱電変換層及び第2の電極を有し、該熱電変換層がナノ導電性材料及び上述の一般式(1)で表される共重合体を含有している。この熱電変換層は、ナノ導電性材料及び該共重合体を含有する本発明の熱電変換材料によって基材上に成形されている。
本発明の熱電変換材料及び熱電変換素子の熱電変換性能は、下記式(A)で示される性能指数ZTによりはかることができる。
性能指数ZT=S2・σ・T/κ (A)
式(A)において、 S(V/K):絶対温度1K当りの熱起電力(ゼーベック係数)
σ(S/m):導電率
κ(W/mK):熱伝導率
T(K):絶対温度
性能指数ZT=S2・σ・T/κ (A)
式(A)において、 S(V/K):絶対温度1K当りの熱起電力(ゼーベック係数)
σ(S/m):導電率
κ(W/mK):熱伝導率
T(K):絶対温度
上記式(A)から明らかなように、熱電変換性能の向上には、熱起電力S及び導電率σを高めるとともに、熱伝導率κを下げることが重要となる。このように熱電変換性能には、導電率σ以外のファクターが大きく影響するため、一般的に導電率σが高いとされる材料であっても、熱電変換材料として有効に機能するかは実際のところ未知数である。また、かりに熱電変換材料の熱電変換性能が優れていても、熱電変換材料が電極に密着しにくいと、熱電変換層としたときの熱電変換性能が低下し、また熱電変換層が電極から剥離しやすく、熱電変換材料として好適に使用できないことがある。したがって、上述のように、熱電変換材料及び熱電変換素子には高い電極密着性も要求されている。
本発明は、このような熱電変換特性及び電極密着性に関する要求に応えるものである。すなわち、本発明の熱電変換材料及び本発明の熱電変換素子は、後述の実施例で示されているように、熱電変換材料として用いるに足る高い電極密着性を有し、かつ熱電変換材料として用いるに足る高い熱電変換性能、具体的には、単位温度差当りの熱起電力S及び性能指数ZTを備えている。本発明の熱電変換材料は、電極密着性が高く、電極から剥離しにくいから、本発明の熱電変換素子を製造する際に歩留まりが向上し、製造コストを低減する効果をも奏する。
本発明は、このような熱電変換特性及び電極密着性に関する要求に応えるものである。すなわち、本発明の熱電変換材料及び本発明の熱電変換素子は、後述の実施例で示されているように、熱電変換材料として用いるに足る高い電極密着性を有し、かつ熱電変換材料として用いるに足る高い熱電変換性能、具体的には、単位温度差当りの熱起電力S及び性能指数ZTを備えている。本発明の熱電変換材料は、電極密着性が高く、電極から剥離しにくいから、本発明の熱電変換素子を製造する際に歩留まりが向上し、製造コストを低減する効果をも奏する。
また、本発明の熱電変換素子は、後述するように、熱電変換層の厚さ方向又は面方向に温度差が生じている状態で、厚さ方向又は面方向に温度差を伝達するように機能するため、本発明の熱電変換材料をある程度の厚みを持った形状に成形して熱電変換層を形成する必要がある。そのため、熱電変換層を塗布により成膜する場合には、熱電変換材料には良好な塗布性や成膜性が要求される。本発明は、このような塗布性及び成膜性に関する要求にも応えることができる。すなわち、本発明の熱電変換材料は、ナノ導電性材料及び共重合体の分散性が良好で塗布性や成膜性にも優れ、熱電変換層への成形・加工に適するものである。また、ナノ導電性材料存在下における共重合体の分散にハロゲン系溶媒を用いても良好な塗布性、成膜成を損なうことなく、熱電特性及び電極密着性に優れた熱電変換層を成膜できる。
以下、本発明の熱電変換材料、次いで本発明の熱電変換素子等について、説明する。
[熱電変換材料]
本発明の熱電変換材料は、熱電変換素子の熱電変換層を形成するための熱電変換組成物であって、ナノ導電性材料及び上述の一般式(1)で表される共重合体を含有している。
本発明の熱電変換材料は、熱電変換素子の熱電変換層を形成するための熱電変換組成物であって、ナノ導電性材料及び上述の一般式(1)で表される共重合体を含有している。
まず、本発明の熱電変換材料に用いる各成分について説明する。
<ナノ導電性材料>
本発明に用いるナノ導電性材料は、ナノメートルサイズの大きさで、導電性を有する材料であればよく、ナノメートルサイズの大きさの導電性を有する炭素材料(以下、ナノ炭素材料ということがある)、ナノメートルサイズの大きさの金属材料(以下、ナノ金属材料ということがある)等が挙げられる。
本発明に用いるナノ導電性材料は、ナノ炭素材料及びナノ金属材料の中でも、それぞれ後述する、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラファイト、グラフェン及びカーボンナノ粒子のナノ炭素材料、並びに、金属ナノワイヤーが好ましく、導電性向上及び溶媒中での分散性向上の観点で、カーボンナノチューブが特に好ましい。
本発明に用いるナノ導電性材料は、ナノメートルサイズの大きさで、導電性を有する材料であればよく、ナノメートルサイズの大きさの導電性を有する炭素材料(以下、ナノ炭素材料ということがある)、ナノメートルサイズの大きさの金属材料(以下、ナノ金属材料ということがある)等が挙げられる。
本発明に用いるナノ導電性材料は、ナノ炭素材料及びナノ金属材料の中でも、それぞれ後述する、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラファイト、グラフェン及びカーボンナノ粒子のナノ炭素材料、並びに、金属ナノワイヤーが好ましく、導電性向上及び溶媒中での分散性向上の観点で、カーボンナノチューブが特に好ましい。
熱電変換材料中のナノ導電性材料の含有量は、熱電変換材料の全固形分中、すなわち熱電変換層中、2〜60質量%であることが好ましく、5〜55質量%であることがより好ましく、10〜50質量%であることが特に好ましい。
ナノ導電性材料は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ナノ導電性材料として2種以上を併用する場合には、少なくとも1種ずつのナノ炭素材料及びナノ金属材料を併用してもよく、ナノ炭素材料又はナノ金属材料それぞれを2種併用してもよい。
ナノ導電性材料は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ナノ導電性材料として2種以上を併用する場合には、少なくとも1種ずつのナノ炭素材料及びナノ金属材料を併用してもよく、ナノ炭素材料又はナノ金属材料それぞれを2種併用してもよい。
1.ナノ炭素材料
ナノ炭素材料は、上述の通り、ナノメートルサイズの大きさで導電性を有する炭素材料であって、その一例を挙げると、炭素原子のsp2混成軌道で構成される炭素−炭素結合によって炭素原子同士が化学結合してなるナノメートルサイズの導電性材料等である。具体的には、フラーレン(金属内包フラーレン及び玉葱状フラーレンを含む。)、カーボンナノチューブ(ピーポッドを含む。)、カーボンナノチューブの片側が閉じた形をしたカーボンナノホーン、カーボンナノファイバー、カーボンナノウォール、カーボンナノフィラメント、カーボンナノコイル、気相成長カーボン(VGCF)、グラファイト、グラフェン、カーボンナノ粒子、カーボンナノチューブの頭部に穴があいたコップ型のナノカーボン物質等が挙げられる。また、ナノ炭素材料として、グラファイト型の結晶構造を持ち導電性を示す各種カーボンブラックも用いることができ、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、バルカン等が挙げられる。
ナノ炭素材料は、上述の通り、ナノメートルサイズの大きさで導電性を有する炭素材料であって、その一例を挙げると、炭素原子のsp2混成軌道で構成される炭素−炭素結合によって炭素原子同士が化学結合してなるナノメートルサイズの導電性材料等である。具体的には、フラーレン(金属内包フラーレン及び玉葱状フラーレンを含む。)、カーボンナノチューブ(ピーポッドを含む。)、カーボンナノチューブの片側が閉じた形をしたカーボンナノホーン、カーボンナノファイバー、カーボンナノウォール、カーボンナノフィラメント、カーボンナノコイル、気相成長カーボン(VGCF)、グラファイト、グラフェン、カーボンナノ粒子、カーボンナノチューブの頭部に穴があいたコップ型のナノカーボン物質等が挙げられる。また、ナノ炭素材料として、グラファイト型の結晶構造を持ち導電性を示す各種カーボンブラックも用いることができ、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、バルカン等が挙げられる。
これらのナノ炭素材料は、従来の製造方法によって製造できる。具体的には、二酸化炭素の接触水素還元、アーク放電法、レーザー蒸発法、CVD法、気相成長法、気相流動法、一酸化炭素を高温高圧化で鉄触媒と共に反応させて気相で成長させるHiPco法等が挙げられる。このようにして製造されたナノ炭素材料は、そのまま用いることもでき、また、洗浄、遠心分離、ろ過、酸化、クロマトグラフ等によって精製されたものを用いることもできる。さらに、ナノ炭素材料は、必要に応じて、ボールミル、振動ミル、サンドミル、ロールミル等のボール型混練装置等を用いて粉砕したもの、化学的、物理的処理によって短く切断されたもの等を用いることもできる。
本発明で用いるナノ導電性材料のサイズはナノメートルサイズであれば特に限定されない。ナノ導電性材料が、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバー、カーボンナノフィラメント、カーボンナノコイル、気相成長カーボン(VGCF)、コップ型のナノカーボン物質等である場合、特にCNTである場合は、平均長さは特に限定されないが、製造容易性、成膜性、導電性等の観点から、平均長さが0.01μm以上1000μm以下であることが好ましく、0.1μm以上100μm以下であることがより好ましい。また、直径は特に限定されないが、耐久性、透明性、成膜性、導電性等の観点から、0.4nm以上100nm以下であることが好ましく、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは15nm以下である。
ナノ炭素材料は、上述の中でも、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラファイト、グラフェン及びカーボンナノ粒子が好ましく、カーボンナノチューブが特に好ましい。
以下、カーボンナノチューブ(以下、CNTともいう)について説明する。CNTは、1枚の炭素膜(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層CNT、2枚のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた2層CNT、及び複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた多層CNTがある。本発明においては、単層CNT、2層CNT、多層CNTを各々単独で用いてもよく、2種以上を併せて用いてもよい。特に、導電性及び半導体特性において優れた性質を持つ単層CNT及び2層CNTを用いることが好ましく、単層CNTを用いることがより好ましい。
単層CNTの場合、グラフェンシートのグラフェンの六角形の向きに基づく螺旋構造の対称性を軸性カイラルといい、グラフェン上のある6員環の基準点からの2次元格子ベクトルのことをカイラルベクトルという。このカイラルベクトルを指数化した(n,m)をカイラル指数といい、このカイラル指数によって金属性と半導体性に分かれる。具体的には、n−mが3の倍数であるものが金属性を示し、3の倍数でないものが半導体を示す。
本発明で用いることのできる単層CNTは、半導体性のものであっても、金属性のものであってもよく、両者を併せて用いてもよい。また、CNTには金属等が内包されていてもよく、フラーレン等の分子が内包されたもの(特にフラーレンを内包したものをピーポッドという)を用いてもよい。
単層CNTの場合、グラフェンシートのグラフェンの六角形の向きに基づく螺旋構造の対称性を軸性カイラルといい、グラフェン上のある6員環の基準点からの2次元格子ベクトルのことをカイラルベクトルという。このカイラルベクトルを指数化した(n,m)をカイラル指数といい、このカイラル指数によって金属性と半導体性に分かれる。具体的には、n−mが3の倍数であるものが金属性を示し、3の倍数でないものが半導体を示す。
本発明で用いることのできる単層CNTは、半導体性のものであっても、金属性のものであってもよく、両者を併せて用いてもよい。また、CNTには金属等が内包されていてもよく、フラーレン等の分子が内包されたもの(特にフラーレンを内包したものをピーポッドという)を用いてもよい。
CNTはアーク放電法、化学気相成長法(以下、CVD法という)、レーザー・アブレーション法等によって製造することができる。本発明に用いられるCNTは、いずれの方法によって得られたものであってもよいが、好ましくはアーク放電法及びCVD法により得られたものである。
CNTを製造する際には、同時にフラーレンやグラファイト、非晶性炭素が副生成物として生じることがある。これら副生成物を除去するために精製してもよい。CNTの精製方法は特に限定されないが、上述の精製法の他に、硝酸、硫酸等による酸処理、超音波処理が不純物の除去には有効である。併せて、フィルターによる分離除去を行うことも、純度を向上させる観点からより好ましい。
CNTを製造する際には、同時にフラーレンやグラファイト、非晶性炭素が副生成物として生じることがある。これら副生成物を除去するために精製してもよい。CNTの精製方法は特に限定されないが、上述の精製法の他に、硝酸、硫酸等による酸処理、超音波処理が不純物の除去には有効である。併せて、フィルターによる分離除去を行うことも、純度を向上させる観点からより好ましい。
精製の後、得られたCNTをそのまま用いることもできる。また、CNTは一般に紐状で生成されるため、用途に応じて所望の長さにカットして用いてもよい。CNTは、硝酸、硫酸等による酸処理、超音波処理、凍結粉砕法等により短繊維状にカットすることができる。また、併せてフィルターによる分離を行うことも、純度を向上させる観点から好ましい。
本発明においては、カットしたCNTだけではなく、あらかじめ短繊維状に作製したCNTも同様に使用できる。このような短繊維状CNTは、例えば、基板上に鉄、コバルト等の触媒金属を形成し、その表面にCVD法により700〜900℃で炭素化合物を熱分解してCNTを気相成長させることによって、基板表面に垂直方向に配向した形状で得られる。このようにして作製された短繊維状CNTは基板から剥ぎ取る等の方法で取り出すことができる。また、短繊維状CNTはポーラスシリコンのようなポーラスな支持体や、アルミナの陽極酸化膜上に触媒金属を担持させ、その表面にCNTをCVD法にて成長させることもできる。触媒金属を分子内に含む鉄フタロシアニンのような分子を原料とし、アルゴン/水素のガス流中でCVDを行うことによって基板上にCNTを作製する方法でも配向した短繊維状のCNTを作製することもできる。さらには、SiC単結晶表面にエピタキシャル成長法によって配向した短繊維状CNTを得ることもできる。
本発明においては、カットしたCNTだけではなく、あらかじめ短繊維状に作製したCNTも同様に使用できる。このような短繊維状CNTは、例えば、基板上に鉄、コバルト等の触媒金属を形成し、その表面にCVD法により700〜900℃で炭素化合物を熱分解してCNTを気相成長させることによって、基板表面に垂直方向に配向した形状で得られる。このようにして作製された短繊維状CNTは基板から剥ぎ取る等の方法で取り出すことができる。また、短繊維状CNTはポーラスシリコンのようなポーラスな支持体や、アルミナの陽極酸化膜上に触媒金属を担持させ、その表面にCNTをCVD法にて成長させることもできる。触媒金属を分子内に含む鉄フタロシアニンのような分子を原料とし、アルゴン/水素のガス流中でCVDを行うことによって基板上にCNTを作製する方法でも配向した短繊維状のCNTを作製することもできる。さらには、SiC単結晶表面にエピタキシャル成長法によって配向した短繊維状CNTを得ることもできる。
2.ナノ金属材料
ナノ金属材料は、ナノメートルサイズの繊維状又は粒子状の金属材料等であり、具体的には、繊維状の金属材料(金属繊維ともいう)、粒子状の金属材料(金属ナノ粒子ともいう)等が挙げられる。ナノ金属材料は、後述する金属ナノワイヤーが好ましい。
ナノ金属材料は、ナノメートルサイズの繊維状又は粒子状の金属材料等であり、具体的には、繊維状の金属材料(金属繊維ともいう)、粒子状の金属材料(金属ナノ粒子ともいう)等が挙げられる。ナノ金属材料は、後述する金属ナノワイヤーが好ましい。
金属繊維は、中実構造又は中空構造であるのが好ましい。平均短軸長さが1〜1,000nmであって平均長軸長さが1〜100μmの中実構造を持つ金属繊維を金属ナノワイヤーといい、平均短軸長さが1〜1,000nm、平均長軸長さが0.1〜1,000μmであって中空構造を持つ金属繊維を金属ナノチューブという。
金属繊維の材料としては、導電性を有する金属であればよく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、長周期律表(国際純正及び応用化学連合(IUPAC)、1991改訂)の第4周期、第5周期及び第6周期からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属が好ましく、第2族〜第14族から選ばれる少なくとも1種の金属がより好ましく、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、及び第14族から選ばれる少なくとも1種の金属が更に好ましく、主成分として含むことが特に好ましい。
このような金属として、例えば、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、又はこれらの合金等が挙げられる。これらの中でも、導電性に優れる点で、銀、及び銀との合金が好ましい。銀との合金で使用する金属としては、白金、オスミウム、パラジウム、イリジウム等が挙げられる。金属は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
このような金属として、例えば、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、又はこれらの合金等が挙げられる。これらの中でも、導電性に優れる点で、銀、及び銀との合金が好ましい。銀との合金で使用する金属としては、白金、オスミウム、パラジウム、イリジウム等が挙げられる。金属は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
金属ナノワイヤーは、上述の金属で中実構造に形成されていれば、その形状は特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、円柱状、直方体状、断面が多角形となる柱状など任意の形状をとることができ、熱電変換層の透明性が高くなる点で、円柱状、断面の多角形の角が丸まっている断面形状が好ましい。金属ナノワイヤーの断面形状は、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより調べることができる。
金属ナノワイヤーの平均短軸長さ(「平均短軸径」又は「平均直径」と称することがある)は、上述のナノ導電性材料と同じ観点から、50nm以下が好ましく、1〜50nmがより好ましく、10〜40nmがさらに好ましく、15〜35nmが特に好ましい。平均短軸長さは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300個の金属ナノワイヤーの短軸長さを求め、これらの平均値として算出できる。なお、金属ナノワイヤーの短軸が円形でない場合の短軸長さは、最も長いものを短軸長さとする。
金属ナノワイヤーの平均長軸長さ(平均長さと称することがある)は、同様に、1μm以上が好ましく、1〜40μmがより好ましく、3〜35μmがさらに好ましく、5〜30μmが特に好ましい。平均長軸長さは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300個の金属ナノワイヤーの長軸長さを求め、これらの平均値として算出できる。なお、金属ナノワイヤーが曲がっている場合、それを弧とする円を考慮し、その半径及び曲率から算出される値を長軸長さとする。
金属ナノワイヤーの平均長軸長さ(平均長さと称することがある)は、同様に、1μm以上が好ましく、1〜40μmがより好ましく、3〜35μmがさらに好ましく、5〜30μmが特に好ましい。平均長軸長さは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM;日本電子株式会社製、JEM−2000FX)を用い、300個の金属ナノワイヤーの長軸長さを求め、これらの平均値として算出できる。なお、金属ナノワイヤーが曲がっている場合、それを弧とする円を考慮し、その半径及び曲率から算出される値を長軸長さとする。
金属ナノワイヤーは、いかなる製造方法で製造してもよいが、特開2012−230881号公報に記載されている、ハロゲン化合物と分散添加剤とを溶解した溶媒中で加熱しながら金属イオンを還元する製造方法であるのが好ましい。ハロゲン化合物、分散添加剤及び溶媒並びに加熱条件等の詳細は特開2012−230881号公報に記載されている。また、この製造方法以外にも、例えば、特開2009−215594号公報、特開2009−242880号公報、特開2009−299162号公報、特開2010−84173号公報、特開2010−86714号公報等にそれぞれ記載の製造方法によって、金属ナノワイヤーを製造することもできる。
金属ナノチューブは、上述の金属で中空構造に形成されていれば、その形状は特に限定されず、単層であっても多層であってもよい。導電性及び熱伝導性に優れる点で、金属ナノチューブは単層であるのが好ましい。
金属ナノチューブの厚み(外径と内径との差)は、耐久性、透明性、成膜性、導電性等の観点から、3〜80nmが好ましく、3〜30nmがより好ましい。金属ナノチューブの平均長軸長さは、上述のナノ導電性材料と同じ観点から、1〜40μmが好ましく、3〜35μmがより好ましく、5〜30μmがさらに好ましい。金属ナノチューブの平均短軸長さは金属ナノワイヤーの平均短軸長さと同様であるのが好ましい。
金属ナノチューブの厚み(外径と内径との差)は、耐久性、透明性、成膜性、導電性等の観点から、3〜80nmが好ましく、3〜30nmがより好ましい。金属ナノチューブの平均長軸長さは、上述のナノ導電性材料と同じ観点から、1〜40μmが好ましく、3〜35μmがより好ましく、5〜30μmがさらに好ましい。金属ナノチューブの平均短軸長さは金属ナノワイヤーの平均短軸長さと同様であるのが好ましい。
金属ナノチューブは、いかなる製造方法で製造してもよく、例えば、米国特許出願公開第2005/0056118号明細書に記載の製造方法等で製造することができる。
金属ナノ粒子は、上述の金属形成された、粒子状又は粉末状の金属微粒子であればよく、金属微粒子、金属微粒子の表面を保護剤で被覆したものでもよく、さらに、表面を被覆したものを分散媒体中に分散させたものでもよい。金属ナノ粒子に使用される金属としては、上述した中でも、銀、銅、金、パラジウム、ニッケル、ロジウムなどが好ましく挙げられる。また、これらの少なくとも2種からなる合金、これらの少なくとも1種と鉄との合金等も使用できる。2種からなる合金としては、例えば、白金−金合金、白金−パラジウム合金、金−銀合金、銀−パラジウム合金、パラジウム−金合金、白金−金合金、ロジウム−パラジウム合金、銀−ロジウム合金、銅−パラジウム合金、ニッケル−パラジウム合金等が挙げられる。また、鉄との合金としては、例えば、鉄−白金合金、鉄−白金−銅合金、鉄−白金−スズ合金、鉄−白金−ビスマス合金および鉄−白金−鉛合金等が挙げられる。これらの金属又は合金は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
金属ナノ粒子の平均粒径(動的光散乱法)は、導電性に優れる点で、1〜150nmが好ましい。
金属微粒子の保護剤は、例えば、特開2012−222055号公報に記載の保護剤が好適に挙げられ、炭素数10〜20の直鎖状又は分枝状のアルキル鎖を有する保護剤、特に脂肪酸類又は脂肪族アミン類、脂肪族チオール類若しくは脂肪族アルコール類等がさらに好適に挙げられる。ここで、炭素数が10〜20であると、金属ナノ粒子の保存安定性が高く、かつ導電性にも優れる。脂肪酸類脂肪族アミン類、脂肪族チオール類及び脂肪族アルコール類は、特開2012−222055号公報に記載のものが好適である。
金属ナノ粒子は、いかなる製造方法で製造されてもよく、製造方法として、例えば、ガス中蒸着法、スパッタリング法、金属蒸気合成法、コロイド法、アルコキシド法、共沈法、均一沈殿法、熱分解法、化学還元法、アミン還元法及び溶媒蒸発法等が挙げられる。これら製造方法は、それぞれ特有の特徴を備えるが、特に大量生産を目的とする場合には化学還元法、アミン還元法を用いるのが好ましい。これらの製造方法を実施するに当たっては、必要に応じて上述の保護剤を選択して使用するほか、公知の還元剤等を適宜用いることができる。
<共重合体>
本発明に用いる共重合体は、下記一般式(1)で表される共重合体である。
本発明に用いる共重合体は、下記一般式(1)で表される共重合体である。
(一般式(1)中、A及びBは、各々独立に、アニリン誘導体由来の共重合体単位又はピロール誘導体由来の共重合体単位を表す。ただし、AとBとは互いに異なる共重合体単位を表す。)
すなわち、本発明に用いる共重合体は、互いに異なる2種の共重合体単位A及びBを有する、ポリアニリン共重合体及びポリピロール共重合体である。したがって、本発明に用いる共重合体は、単一の繰り返し単位からなるホモポリマーを含有しない。
ここで、互いに異なる共重合体単位は、基本骨格、又は、置換基の種類、数若しくは置換位置が異なる共重合体単位をいい、共重合単位の結合様式(例えば、Head to Head、Head to Tail、Tail to Tail)によって共重合体に見かけ上生じる共重合体単位の相違を含まない。例えば、2−メチルアニリン単位がHead to Tailで結合してなるポリアニリンは、見かけ上、共重合単位が2種存在するが、本発明においては、2−メチルアニリン共重合体単位1種のみを有しているとする。
ここで、互いに異なる共重合体単位は、基本骨格、又は、置換基の種類、数若しくは置換位置が異なる共重合体単位をいい、共重合単位の結合様式(例えば、Head to Head、Head to Tail、Tail to Tail)によって共重合体に見かけ上生じる共重合体単位の相違を含まない。例えば、2−メチルアニリン単位がHead to Tailで結合してなるポリアニリンは、見かけ上、共重合単位が2種存在するが、本発明においては、2−メチルアニリン共重合体単位1種のみを有しているとする。
このような、互いに異なる2種の共重合体単位A及びBを有するこれらの共重合体は、ナノ導電性材料の共存下における優れた分散性を発揮し、熱電変換層に高い熱電変換性能及び電極密着性を発現させることができる。
一般式(1)において、共重合体の共重合体単位になるアニリン誘導体は、アニリン構造を有していれば特に制限されないが、無置換アニリン及び置換アニリンを含む。アニリン誘導体は、好ましくは後述する一般式(2)で表される共重合体単位の前駆体になるアニリン誘導体が挙げられる。また、共重合体の共重合体単位になるピロール誘導体は、ピロール構造を有していれば特に制限されないが、無置換ピロール、置換ピロール及び縮合型ピロールを含む。ピロール誘導体は、好ましくは後述する一般式(3)〜(5)で表される共重合体単位の前駆体になるピロール誘導体が挙げられ、熱電変換特性及び電極密着性の点で、より好ましくは後述する一般式(3)及び(4)で表される共重合体単位の前駆体になるピロール誘導体が挙げられ、さらに好ましくは後述する一般式(3)で表される共重合体単位の前駆体になるピロール誘導体が挙げられる。
共重合体単位A及びBは、上述の共重合体単位から異なるものが選択される。このとき、共重合体単位A及びBとして、熱電変換特性及び電極密着性の点で、上述の共重合体単位から分子量が異なる2種の共重合体単位が選択されるのが好ましく、共重合体単位Aとして小さな分子量の共重合体単位が、共重合体単位Bとして大きな分子量の共重合体単位がそれぞれ選択されるのが好ましい。ここで、共重合体単位の分子量は、共重合体単位の基本骨格の異同、置換基の異同、置換基数等によって、調整できる。分子量の相違は、置換基の異同、置換基数によるのが好ましく、置換基の異同によるのがさらに好ましい。共重合体単位A及びBの分子量の差は特に限定されないが、例えば、置換基を構成する炭素原子でいうと1〜20個分である。
共重合体単位A及びBは、さらに、熱電変換特性及び電極密着性の点で、いずれも、アニリン誘導体由来の共重合体単位又はピロール誘導体由来の共重合体単位から選択されるのが好ましく、アニリン誘導体由来の共重合体単位から選択されるのがより好ましい。このとき、共重合体単位Aは無置換アニリン由来の共重合体単位又はピロール誘導体由来の共重合体単位であるのが特に好ましい。
共重合体単位A及びBは、さらに、熱電変換特性及び電極密着性の点で、いずれも、アニリン誘導体由来の共重合体単位又はピロール誘導体由来の共重合体単位から選択されるのが好ましく、アニリン誘導体由来の共重合体単位から選択されるのがより好ましい。このとき、共重合体単位Aは無置換アニリン由来の共重合体単位又はピロール誘導体由来の共重合体単位であるのが特に好ましい。
共重合体単位A及びBの重合度の比(m/n)は、熱電変換特性及び電極密着性の点で、99/1〜1/99が好ましく、より好ましくは80/20〜10/90であり、さらに好ましくは75/25〜20/80である。
本発明に用いる共重合体は、少なくとも2種の上述の共重合単位の、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよく、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体が好ましい。
本発明に用いる共重合体は、少なくとも2種の上述の共重合単位の、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよく、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体が好ましい。
本発明に用いる共重合体はドープされていてもドープいなくてもよいが、ドープされていていることが好ましい。共重合体がドープされていると、さらに高い熱電変換性能を発揮する。ここで、ドープとは、共重合体の主鎖の一部、すなわち共重合体単位A及びBが、好ましくは後述するドーパントで酸化されていることをいう。共重合体の主鎖を形成する共重合体単位の、酸化された割合をドープ率といい、本発明において、ドープ率は、熱電変換性能がさらに向上する点で、主鎖を形成する共重合体単位A及びBの全モル数に対して、好ましくは10〜90モル%であり、より好ましくは20〜80モル%である。
一般式(1)において、共重合単位A及びBは、各々独立に、下記一般式(2)〜(5)で表される共重合体単位からなる群より選択されるのが好ましい。本発明に用いる共重合体がこれら一般式で表される2種の共重合体単位を有していると、従来のポリアニリン及びポリピロール、特にホモポリアニリン及びホモポリピロールでは実現できなかった、ナノ導電性材料存在下における共重合体の高度な分散性を発揮する。
(一般式(2)〜(5)中、R11〜R14は各々独立に1価の置換基を表す。a1及びc1は各々独立に0〜4の整数を表し、b1は0〜2の整数を表し、d1は0〜6の整数を表す。X11〜X14は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表す。*は共重合体単位の連結部位を表す。)
一般式(5)の置換基R14は、2つのベンゼン環のいずれに置換してもよい。
一般式(5)の置換基R14は、2つのベンゼン環のいずれに置換してもよい。
上述の一般式(2)で表される共重合体単位において、連結部位は、通常、ベンゼン環の4位及び窒素原子であるが、ベンゼン環の2位及び窒素原子であってもよい。また、同様に、一般式(3)で表される共重合体単位において、連結部位は、通常、ピロール環の2位及び5位にあるが、ピロール環の2位及び3位であってもよい。さらに、一般式(5)で表される共重合体単位において、連結部位は、通常、カルバゾール環の2位及び7位にあるが、これら以外の位置にあってもよい。
R11〜R14としての1価の置換基は、フッ素及び塩素等のハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、クラウンエーテル環基、アリール基、ヘテロアリール基、ジアルキルアミノ基等が挙げられる。また、1価の置換基は、さらに同じ置換基又は異なる置換基で置換されていてもよく、置換基で置換された1価の置換基として、例えば、フルオロアルキル基、置換アルキル基、置換アルコキシ基等が挙げられる。
1価の置換基は、これらの中でも、特に電極密着性に優れる点で、R11〜R14は、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、ヘテロアリール基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アリール基がさらに好ましい。
1価の置換基は、これらの中でも、特に電極密着性に優れる点で、R11〜R14は、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基、ヘテロアリール基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アリール基がさらに好ましい。
アルキル基は、それを構成する炭素数が1〜20であるのが好ましく、2〜20であるのがより好ましく、4〜10であるのがさらに好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐又は環状のアルキル基が含まれ、直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。直鎖のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ドデシルが挙げられる。分岐のアルキル基としては、例えば、i−プロピル、sec−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシルが挙げられる。環状のアルキル基(シクロアルキル基)としては、炭素数3〜14であるのが好ましく、例えば、シクロプロピ、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロオクチル、ノルボルニル、アダマンチルが挙げられる。
アルコキシ基は、それを構成する炭素数が1〜20であるのが好ましく、4〜15であるのがさらに好ましい。アルコキシ基のアルキル部位は、炭素数が異なること以外は上述のアルキル基と同義である。このようなアルコキシ基として、直鎖又は分岐のアルコキシ基が好ましく、好ましいアルコキシ基として、メトキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ペンタデシルオキシが挙げられる。
アリールオキシ基は、それを構成する炭素数が6〜26であるのが好ましく、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシが挙げられる。
アリールオキシ基は、それを構成する炭素数が6〜26であるのが好ましく、例えば、フェノキシ、1−ナフチルオキシが挙げられる。
アルキルオキシカルボニル基は、アルコキシカルボニル基とも称され、炭素数が2〜20であるのが好ましく、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル等が挙げられる。
アルキルチオ基は、炭素数が1〜20であるのが好ましく、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ等が挙げられる。
アリールチオ基は、炭素数が6〜20であるのが好ましく、例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ等が挙げられる。
アルキルチオ基は、炭素数が1〜20であるのが好ましく、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ等が挙げられる。
アリールチオ基は、炭素数が6〜20であるのが好ましく、例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ等が挙げられる。
クラウンエーテル環基としては、それを構成する炭素数が8〜20であるのが好ましく、少なくとも1つの酸素原子が硫黄原子又は窒素原子で置換されたチアクラウンエーテル、アザクラウンエーテルを含む。このようなクラウンエーテル環基としては、例えば、12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジアザ−18−クラウン−6等が挙げられる。
アリール基としては、単環であっても縮環であってもよく、アリール基を構成する炭素数が4〜50であるのが好ましく、6〜40であるのがさらに好ましく、例えば、ベンゼン環基、ナフタレン環基、アントラセン環基、フェナントレン環基、インダセン環基、フルオレン環基、ピレン環基等が挙げられ、ベンゼン環基が好ましい。
ヘテロアリール基としては、単環であっても縮環であってもよく、ヘテロアリール基を構成する炭素数が4〜50であるのが好ましく、6〜40であるのがさらに好ましく、環構成原子としてのヘテロ原子として少なくとも1つの窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子、セレン原子、テルル原子を有する5又は6員環のヘテロ環基が挙げられる。このようなヘテロアリール基として、例えば、芳香族ヘテロアリール基、脂肪族ヘテロアリール基、並びに、これらのベンゾ縮環体及びジベンゾジ縮環体が挙げられる。芳香族ヘテロアリール基及びこれらのベンゾ又はジベンゾ縮環体としては、例えば、ピロール環基、チオフェン環基、フラン環基、セレノフェン環基、テルロフェン環基、イミダゾール環基、ピラゾール環基、オキサゾール環基、イソオキサゾール環基、チアゾール環基、イソチアゾール環基、チアジアゾール環基、ピリジン環基、2−ピリドン環基、ピリミジン環基、ピリダジン環基、ピラジン環基、トリアジン環基、セレノピラン環基、テルロピラン環基、ベンゾチオフェン環基、ジベンゾチオフェン環基、カルバゾール環基等が挙げられる。
脂肪族ヘテロアリール基は、芳香族ではないヘテロアリール環の基であり、飽和又は不飽和のヘテロアリール基である。このような脂肪族ヘテロアリール基及びその縮環としては、例えば、ピロリジン環基、ピペリジン環基、ピペラジン環基、モルホリン環基が挙げられる。これらの中でも、ヘテロアリール基は、チオフェン環基、フラン環基、ピロール環基、イミダゾール環基、オキサゾール環基、チアゾール環基、ベンゾチオフェン環基、ピリジン環基、ジベンゾチオフェン環基及びカルバゾール環基が好ましい。
上述のアリール基及びヘテロアリール基は、オニウム塩等のカチオン状態であってもよいが、上述の共重合体の主鎖を構成する共役構造と共役する点で、中性状態であるのが好ましい。
ヘテロアリール基としては、単環であっても縮環であってもよく、ヘテロアリール基を構成する炭素数が4〜50であるのが好ましく、6〜40であるのがさらに好ましく、環構成原子としてのヘテロ原子として少なくとも1つの窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子、セレン原子、テルル原子を有する5又は6員環のヘテロ環基が挙げられる。このようなヘテロアリール基として、例えば、芳香族ヘテロアリール基、脂肪族ヘテロアリール基、並びに、これらのベンゾ縮環体及びジベンゾジ縮環体が挙げられる。芳香族ヘテロアリール基及びこれらのベンゾ又はジベンゾ縮環体としては、例えば、ピロール環基、チオフェン環基、フラン環基、セレノフェン環基、テルロフェン環基、イミダゾール環基、ピラゾール環基、オキサゾール環基、イソオキサゾール環基、チアゾール環基、イソチアゾール環基、チアジアゾール環基、ピリジン環基、2−ピリドン環基、ピリミジン環基、ピリダジン環基、ピラジン環基、トリアジン環基、セレノピラン環基、テルロピラン環基、ベンゾチオフェン環基、ジベンゾチオフェン環基、カルバゾール環基等が挙げられる。
脂肪族ヘテロアリール基は、芳香族ではないヘテロアリール環の基であり、飽和又は不飽和のヘテロアリール基である。このような脂肪族ヘテロアリール基及びその縮環としては、例えば、ピロリジン環基、ピペリジン環基、ピペラジン環基、モルホリン環基が挙げられる。これらの中でも、ヘテロアリール基は、チオフェン環基、フラン環基、ピロール環基、イミダゾール環基、オキサゾール環基、チアゾール環基、ベンゾチオフェン環基、ピリジン環基、ジベンゾチオフェン環基及びカルバゾール環基が好ましい。
上述のアリール基及びヘテロアリール基は、オニウム塩等のカチオン状態であってもよいが、上述の共重合体の主鎖を構成する共役構造と共役する点で、中性状態であるのが好ましい。
ジアルキルアミノ基としては、上述のアルキル基を有するアミノ基が好ましく、例えば、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N,N−ジブチルアミノ、N,N−ジヘキシルアミノ等が挙げられる。
R11〜R14として採用しうる、上述の、置換基で置換された1価の置換基として、例えば、フルオロアルキル基、置換アルコキシ基、置換アルキル基が挙げられる。
フルオロアルキル基は、上述のアルキル基の少なくとも1つの水素原子をフッ素原子で置換した基であり、アルキル基のすべての水素原子をフッ素原子で置換したペルフルオロアルキル基が好ましい。フルオロアルキル基のアルキル基は上述のアルキル基と同義であり、好ましいものも同じである。フルオロアルキル基としては、例えば、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘキサフルオロプロピル等が挙げられる。
置換アルコキシ基として、アルコキシアルキレンオキシ基が挙げられる。アルコキシアルキレンオキシ基を構成する炭素数は2〜20であるのが好ましく、2〜7であるのがさらに好ましい。アルコキシアルキレンオキシ基として、例えば、メトキシエチレンオキシ(2−メトキシ−1−エトキシ)が挙げられる。
置換アルキル基として、アリール基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基で置換されたアルキル基、アルコキシアルキレンオキシアルキル基が挙げられる。アリール基で置換されたアルキル(アラルキル基ともいう)として、例えば、ベンジル、フェネチル等が挙げられる。アルコキシカルボニル基で置換されたアルキル基として、2−メトキシカルボニルエチル等が挙げられる。アルキルチオ基で置換されたアルキル基として、2−プロピルチオエチルが挙げられる。アルコキシアルキレンオキシアルキル基を構成する炭素数は2〜20であるのが好ましい。
置換アルキル基として、アリール基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基で置換されたアルキル基、アルコキシアルキレンオキシアルキル基が挙げられる。アリール基で置換されたアルキル(アラルキル基ともいう)として、例えば、ベンジル、フェネチル等が挙げられる。アルコキシカルボニル基で置換されたアルキル基として、2−メトキシカルボニルエチル等が挙げられる。アルキルチオ基で置換されたアルキル基として、2−プロピルチオエチルが挙げられる。アルコキシアルキレンオキシアルキル基を構成する炭素数は2〜20であるのが好ましい。
また、上述のアリール基、及び、ヘテロアリール基の縮環体における各縮合環構造の末端又は1価の置換基が置換される、上述の、「1価の置換基と異なる置換基」としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、水酸基、リン酸基等の親水性基が挙げられる。
一般式(2)中、a1は、0〜4の整数を表し、共重合体単位Aとして選択される場合は電極密着性に優れる点で0であるのが好ましく、共重合体単位Bとして選択される場合は熱電変換特性に優れる点で1〜4の整数であるのが好ましく、1又は2であるのがさらに好ましい。1価の置換基R11の数にかかわらず、置換基R11の置換位置は、特に限定されない。
一般式(3)中、b1は、0〜2の整数を表し、共重合体単位Aとして選択される場合は電極密着性に優れる点で0であるのが好ましく、共重合体単位Bとして選択される場合は熱電変換特性に優れる点で1又は2であるのが好ましい。1価の置換基R12の数にかかわらず、置換基R12の置換位置は、特に限定されない。
一般式(4)中、c1は、0〜4の整数を表し、共重合体単位Aとして選択される場合は電極密着性に優れる点で0であるのが好ましく、共重合体単位Bとして選択される場合は熱電変換特性に優れる点で1〜4の整数であるのが好ましく、1又は2であるのがさらに好ましい。1価の置換基R13の数にかかわらず、置換基R13の置換位置は、特に限定されない。
一般式(5)中、d1は、0〜6の整数を表し、共重合体単位Aとして選択される場合は電極密着性に優れる点で0であるのが好ましく、共重合体単位Bとして選択される場合は熱電変換特性に優れる点で1〜6の整数であるのが好ましく、1又は2であるのがさらに好ましい。1価の置換基R14の数にかかわらず、置換基R14は、2つのベンゼン環のいずれに置換してもよく、各ベンゼン環における置換基R14の置換位置は、特に限定されないが、例えば、3位及び6位が好ましい。
一般式(2)〜(5)において、1価の置換基R11〜R14を複数有する場合は、これら1価の置換基は互いに結合して環構造を形成してもよい。
一般式(2)〜(5)において、X11〜X14は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基であり、好ましくは、水素原子である。これらX11〜X14におけるアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基は、上述の置換基R11〜R14におけるアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基と同義であり、好ましいものも同じである。また、X11〜X14は、各々独立に、置換基R11〜R14と同様に、さらに置換基R11〜R14がさらに有する上述の置換基、例えば、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、親水性基を有していてもよい。
共重合単位A及びBは、上述の一般式(2)〜(5)で表される共重合体単位から互いに異なるものが選択される。このとき、共重合体単位A及びBとして、熱電変換特性及び電極密着性の点で、分子量が異なる2種の共重合体単位が選択されるのが好ましく、共重合体単位Aとして小さな分子量の共重合体単位が、共重合体単位Bとして大きな分子量の共重合体単位がそれぞれ選択されるのが好ましい。
具体的には、共重合体単位A及びBの1価の置換基R11〜R14の有無に着目すると、共重合体単位Aが1価の置換基R11〜R14を有しない共重合体単位であり、共重合体単位Bが1価の置換基R11〜R14を1又は複数有する共重合体単位であるのが好ましい。例えば、共重合体単位Aが、a1が0である一般式(2)で表される共重合体単位、b1が0である一般式(3)で表される共重合体単位、c1が0である一般式(4)で表される共重合体単位及びd1が0である一般式(5)で表される共重合体単位からなる群より選択され、共重合体単位Bが、a1が1〜4の整数である一般式(2)で表される共重合体単位、b1が1又は2である一般式(3)で表される共重合体単位、c1が1〜4の整数である一般式(4)で表される共重合体単位及びd1が1〜6の整数である一般式(5)で表される共重合体単位からなる群より選択されるのが、優れた熱電変換特性及び高い電極密着性をバランスよく発現する点で、好ましい。このようにして選択される共重合体単位A及び共重合体単位Bは、いずれも、X11〜X14が水素原子であるのが特に好ましい。
一方、共重合体単位A及びBの基本構造に着目すると、共重合体単位A及びBは、熱電変換特性及び電極密着性に優れる点で、いずれも、同じ基本構造を有しているのが好ましい。例えば、共重合体単位A及びBは、いずれも、アニリン誘導体由来の共重合体単位、又は、ピロール誘導体由来の共重合体単位から選択されるのが好ましい。共重合体単位A及びBが、ピロール誘導体由来の共重合体単位から選択される場合には、上述の一般式(3)〜(5)で表される共重合体単位から選択されるのが好ましく、上述の一般式(3)又は(4)で表される共重合体単位から選択されるのがより好ましく、上述の一般式(3)で表される共重合体単位から選択されるのがさらに好ましい。このように、共重合体単位A及びBは、同じ基本構造でありながらも互いに異なる構造を有するものが好ましく、具体的には、上述の一般式(2)で表される互いに異なる2種の共重合体単位を有するアニリン共重合体、上述の一般式(3)で表される互いに異なる2種の共重合体単位を有するピロール共重合体、上述の一般式(4)で表される互いに異なる2種の共重合体単位を有するベンゾピロール共重合体、上述の一般式(5)で表される互いに異なる2種の共重合体単位を有するカルバゾール共重合体であるのが好ましく、アニリン共重合体及びピロール共重合体がさらに好ましい。
本発明で用いる共重合体は、上述の共重合体単位以外に、共重合体の主鎖を形成する第3の共重合体単位として、他の共重合体単位を含んでいてもよい。他の共重合体単位としては、共役系の構造であることが好ましい。このような第3の共重合体単位として、上述の一般式(2)〜(5)で表される共重合体単位が挙げられる。また、共役系の構造を有する共重合体単位を含む化合物(共役化合物ということがある)として、例えば、チオフェン系化合物、ピロール系化合物、アニリン系化合物、アセチレン系化合物、p−フルオレニレン系化合物、ポリアセン系化合物、ポリフェナントレン系化合物、金属フタロシアニン系化合物、p−キシリレン系化合物、ビニレンスルフィド系化合物、m−フェニレン系化合物、ナフタレンビニレン系化合物、p−フェニレンオキシド系化合物、フェニレンスルフィド系化合物、フラン系化合物、セレノフェン系化合物、アゾ系化合物、ベンゾチアジアゾール系化合物、カルバゾール系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピリミジン系化合物、並びに、これらの共役化合物の誘導体や縮合体から導かれる化合物、これらの共役化合物と金属イオンとの錯体である金属錯体系化合物が挙げられる。
本発明で用いられる共重合体は、上述の他の構造を、上述の各式で表される共重合単位の合計100モルに対して30モル%以下含んでいるのが好ましい。
本発明で用いられる共重合体は、上述の他の構造を、上述の各式で表される共重合単位の合計100モルに対して30モル%以下含んでいるのが好ましい。
本発明に用いられる共重合体の末端は、特に限定されず、水素原子や上述の1価の置換基等のような置換基が挙げられ、例えば、水素原子、無置換アニリン又はアニリン誘導体、無置換ピロール又はピロール誘導体、アミノ基NHX11、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子)、公知のホウ酸誘導体、親水性基(カルボン酸基、スルホン酸基、水酸基及びリン酸基等)を有していてもよい。ここで、アニリン誘導体は上述の一般式(2)で表される共重合単位となるもの、ピロール誘導体上述の一般式(3)〜(5)で表される共重合単位となるものが挙げられる。また、アミノ基NHX11のX11は上述のX11と同義である。
本発明で用いる共重合体の分子量は、特に限定されず、高分子量のものはもちろん、それ未満の分子量のオリゴマー(例えば重量平均分子量1,000〜10,000程度)であってもよい。熱電変換材料の導電性及び熱電変換性能に優れる点で、分子量は、重量平均分子量で5,000〜100,000であることが好ましく、8,000〜50,000であることがより好ましく、10,000〜20,000であることがさらに好ましい。当該重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定された値を、標準ポリスチレンに換算して求めることができる。
上述の共重合体が、熱電変換性能に優れ、かつ電極との高い密着性を熱電変換層に発現させることができる理由を、以下のように推測している。すなわち、共重合体が互いに異なる2種の共重合単位、好ましくは上述のように選択された互いに異なる2種の共重合単位を有することにより、ナノ導電性材料の存在下においても高度に分散して凝集体を形成しにくく、高い熱電変換性能及び電極密着性を発揮すると推測している。
本発明に用いられる共重合体の具体例を、共重合体単位A及びBの組合せとして、以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記具体例において、*は共重合体単位の連結部位を表す。なお、共重合体単位A及びBのモル比は上述した範囲にある。
下記具体例において、PhはC6H5を表す。
下記具体例において、PhはC6H5を表す。
上述の共重合体単位A及びBを有する共重合体は、一般式(2)〜(5)で表される共重合体単位を有するアニリン誘導体又はピロール誘導体を、通常の酸化重合法、又はカップリング重合法により、重合させて製造できる。
本発明の熱電変換材料中の共重合体の含有量は、熱電変換材料の全固形分中、3〜80質量%であることが好ましく、5〜60質量%であることがより好ましく、10〜50質量%であることが特に好ましい。
また、熱電変換材料が後述する非共役高分子を含む場合、当該熱電変換材料中の共重合体の含有量は、材料の全固形分中、3〜70質量%であることが好ましく、5〜60質量%であることがより好ましく、10〜50質量%であることが特に好ましい。
さらに、熱電変換材料が上述の一般式(1)で表される共重合体以外の導電性高分子を含む場合、当該熱電変換材料中の、上述の一般式(1)で表される共重合体単位を繰り返し単位とする共重合体の含有量は、材料の全固形分中、0〜70質量%であることが好ましく、3〜50質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることが特に好ましい。ここで、他の導電性高分子としては、例えば、繰り返し単位として上述の他の共重合体単位を少なくとも1種有する高分子が挙げられる。
また、熱電変換材料が後述する非共役高分子を含む場合、当該熱電変換材料中の共重合体の含有量は、材料の全固形分中、3〜70質量%であることが好ましく、5〜60質量%であることがより好ましく、10〜50質量%であることが特に好ましい。
さらに、熱電変換材料が上述の一般式(1)で表される共重合体以外の導電性高分子を含む場合、当該熱電変換材料中の、上述の一般式(1)で表される共重合体単位を繰り返し単位とする共重合体の含有量は、材料の全固形分中、0〜70質量%であることが好ましく、3〜50質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることが特に好ましい。ここで、他の導電性高分子としては、例えば、繰り返し単位として上述の他の共重合体単位を少なくとも1種有する高分子が挙げられる。
<非共役高分子>
本発明の熱電変換材料は、熱電変換特性がさらに向上する点で、非共役高分子を含有することが好ましい。非共役高分子は共役系の分子構造を有しない高分子化合物、すなわち、主鎖がπ電子又は孤立電子対のローンペアで共役しないものである。
本発明では、非共役高分子の種類は特に限定されず、通常知られている非共役高分子を用いることができる。好ましくは、ビニル化合物を重合してなるポリビニル系高分子、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド及びポリシロキサンからなる群より選ばれる高分子を用いる。本発明において、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの双方又はいずれかを表すものであり、これらの混合物をも包含するものである。
本発明の熱電変換材料は、熱電変換特性がさらに向上する点で、非共役高分子を含有することが好ましい。非共役高分子は共役系の分子構造を有しない高分子化合物、すなわち、主鎖がπ電子又は孤立電子対のローンペアで共役しないものである。
本発明では、非共役高分子の種類は特に限定されず、通常知られている非共役高分子を用いることができる。好ましくは、ビニル化合物を重合してなるポリビニル系高分子、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド及びポリシロキサンからなる群より選ばれる高分子を用いる。本発明において、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの双方又はいずれかを表すものであり、これらの混合物をも包含するものである。
ポリビニル系高分子を形成するビニル化合物として、具体的には、スチレン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、ビニルピリジン、ビニルナフタレン、ビニルフェノール、酢酸ビニル、スチレンスルホン酸、ビニルトリフェニルアミン等のビニルアリールアミン類、ビニルトリブチルアミン等のビニルトリアルキルアミン類等が挙げられる。
ポリ(メタ)アクリレートを形成する(メタ)アクリレート化合物として、具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート等の疎水性のアクリル酸アルキルエステル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、1−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、1−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、1−ヒドロキシブチルアクリレート等のアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等のアクリレート系モノマー、これらのモノマーのアクリロイル基をメタクリロイル基に換えたメタクリレート系モノマー等が挙げられる。
ポリカーボネートの具体例として、ビスフェノールAとホスゲンからなる汎用ポリカーボネート、ユピゼータ(商品名、三菱ガス化学株式会社製)、パンライト(商品名、帝人化成株式会社製)等が挙げられる。
ポリエステルを形成する化合物として、ポリアルコール及びポリカルボン酸、乳酸等のヒドロキシ酸が挙げられる。ポリエステルの具体例として、バイロン(商品名、東洋紡績株式会社製)等が挙げられる。
ポリアミドの具体例として、PA−100(商品名、株式会社T&K TOKA製)等が挙げられる。
ポリイミドの具体例として、ソルピー6,6−PI(商品名、ソルピー工業株式会社製)等が挙げられる。
ポリシロキサンとして、具体的には、ポリジフェニルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン等が挙げられる。
非共役高分子は、可能であれば、単独重合体でも、上述の各化合物等との共重合体であってもよい。
本発明では、非共役高分子として、ビニル化合物を重合してなるポリビニル系高分子を用いることがより好ましい。
ポリ(メタ)アクリレートを形成する(メタ)アクリレート化合物として、具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート等の疎水性のアクリル酸アルキルエステル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、1−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、1−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、1−ヒドロキシブチルアクリレート等のアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等のアクリレート系モノマー、これらのモノマーのアクリロイル基をメタクリロイル基に換えたメタクリレート系モノマー等が挙げられる。
ポリカーボネートの具体例として、ビスフェノールAとホスゲンからなる汎用ポリカーボネート、ユピゼータ(商品名、三菱ガス化学株式会社製)、パンライト(商品名、帝人化成株式会社製)等が挙げられる。
ポリエステルを形成する化合物として、ポリアルコール及びポリカルボン酸、乳酸等のヒドロキシ酸が挙げられる。ポリエステルの具体例として、バイロン(商品名、東洋紡績株式会社製)等が挙げられる。
ポリアミドの具体例として、PA−100(商品名、株式会社T&K TOKA製)等が挙げられる。
ポリイミドの具体例として、ソルピー6,6−PI(商品名、ソルピー工業株式会社製)等が挙げられる。
ポリシロキサンとして、具体的には、ポリジフェニルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサン等が挙げられる。
非共役高分子は、可能であれば、単独重合体でも、上述の各化合物等との共重合体であってもよい。
本発明では、非共役高分子として、ビニル化合物を重合してなるポリビニル系高分子を用いることがより好ましい。
非共役高分子は、疎水性であることが好ましく、スルホン酸や水酸基等の親水性基を分子内に有しないことがより好ましい。また、溶解度パラメータ(SP値)が11以下の非共役高分子が好ましい。本発明において、溶解度パラメータはヒルデブランドのSP値を示し、Fedorsの推算法による値を採用する。
熱電変換材料中に、上述の一般式(1)で表される共重合体と共に非共役高分子を含有させることで、熱電変換材料の熱電変換性能の向上を図ることができる。そのメカニズムについては、まだ定かではないが、(1)非共役高分子はHOMO準位とLUMO準位の間のギャップ(バンドギャップ)が広いため、上述の共重合体中のキャリア濃度を適度に低く保てる点で、非共役高分子を含まない系よりもゼーベック係数を高いレベルで保持でき、(2)一方で、上述の共重合体とナノ導電性材料との共存によりキャリアの輸送経路が形成され、高い導電率を保持できるため、と推測される。すなわち、材料中に、ナノ導電性材料、非共役高分子及び芳香族高分子の3成分を共存させることで、ゼーベック係数と導電率の双方を向上させることが可能となり、結果として熱電変換性能(ZT値)が大きく向上する。
熱電変換材料中の非共役高分子の含有量は、上述の一般式(1)で表される共重合体100質量部に対して、10〜1500質量部であることが好ましく、30〜1200質量部で有ることがより好ましく、80〜1000質量部で有ることが特に好ましい。非共役高分子の含有量が上記範囲内であると、キャリア濃度の増加によるゼーベック係数の低下及び熱電変換性能(ZT値)の低下がなく、また、非共役高分子の混合によるナノ導電性材料分散性の悪化と導電率及び熱電変換性能の低下もないため、好ましい。
<溶媒>
本発明の熱電変換材料は、溶媒を含有することが好ましい。本発明の熱電変換材料は、溶媒中にナノ導電性材料が分散されたナノ導電性材料分散液であることがより好ましい。
溶媒は、各成分を良好に分散又は溶解できればよく、水、有機溶媒及びこれらの混合溶媒を用いることができる。好ましくは有機溶媒であり、アルコール、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、二塩化エタン、トリクロロエチレン、トリクロロエタン、テトラクロロエチレン等の脂肪族ハロゲン系溶媒、DMF、NMP、DMSO等の非プロトン性の極性溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族ハロゲン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、テトラメチルベンゼン、ピリジン等の芳香族系溶媒、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケントン等のケトン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、t−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル系溶媒等が好ましく、脂肪族ハロゲン系溶媒、芳香族ハロゲン系溶媒、非プロトン性の極性溶媒、芳香族系溶媒、エーテル系溶媒等がより好ましく、脂肪族ハロゲン系溶媒及び芳香族ハロゲン系溶媒がさらに好ましい。
本発明において、ハロゲン系溶媒とは、溶媒となる化合物の少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されたものである。なお、ハロゲン系溶剤は、上述のように、脂肪族ハロゲン系溶媒と芳香族ハロゲン系溶媒とに分類される。したがって、本発明において、脂肪族ハロゲン系溶媒及び芳香族ハロゲン系溶媒を併せてハロゲン系溶媒ということがある。
本発明の熱電変換材料は、溶媒を含有することが好ましい。本発明の熱電変換材料は、溶媒中にナノ導電性材料が分散されたナノ導電性材料分散液であることがより好ましい。
溶媒は、各成分を良好に分散又は溶解できればよく、水、有機溶媒及びこれらの混合溶媒を用いることができる。好ましくは有機溶媒であり、アルコール、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、二塩化エタン、トリクロロエチレン、トリクロロエタン、テトラクロロエチレン等の脂肪族ハロゲン系溶媒、DMF、NMP、DMSO等の非プロトン性の極性溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族ハロゲン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、テトラメチルベンゼン、ピリジン等の芳香族系溶媒、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケントン等のケトン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、t−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル系溶媒等が好ましく、脂肪族ハロゲン系溶媒、芳香族ハロゲン系溶媒、非プロトン性の極性溶媒、芳香族系溶媒、エーテル系溶媒等がより好ましく、脂肪族ハロゲン系溶媒及び芳香族ハロゲン系溶媒がさらに好ましい。
本発明において、ハロゲン系溶媒とは、溶媒となる化合物の少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されたものである。なお、ハロゲン系溶剤は、上述のように、脂肪族ハロゲン系溶媒と芳香族ハロゲン系溶媒とに分類される。したがって、本発明において、脂肪族ハロゲン系溶媒及び芳香族ハロゲン系溶媒を併せてハロゲン系溶媒ということがある。
また、溶媒は、あらかじめ脱気しておくことが好ましい。溶媒中における溶存酸素濃度を、10ppm以下とすることが好ましい。脱気の方法としては、減圧下超音波を照射する方法、アルゴン等の不活性ガスをバブリングする方法等が挙げられる。
さらに、溶媒は、あらかじめ脱水しておくことが好ましい。溶媒中における水分量を、1000ppm以下とすることが好ましく、100ppm以下とすることがより好ましい。溶媒中の水分量を予め上述の範囲内にしておくと、熱電変換材料及び熱電変換層の含水量を0.01〜15質量%に調整できる。溶媒の脱水方法としては、モレキュラーシーブを用いる方法、蒸留等、公知の方法を用いることができる。
さらに、溶媒は、あらかじめ脱水しておくことが好ましい。溶媒中における水分量を、1000ppm以下とすることが好ましく、100ppm以下とすることがより好ましい。溶媒中の水分量を予め上述の範囲内にしておくと、熱電変換材料及び熱電変換層の含水量を0.01〜15質量%に調整できる。溶媒の脱水方法としては、モレキュラーシーブを用いる方法、蒸留等、公知の方法を用いることができる。
熱電変換材料中の溶媒量は、熱電変換材料の全量に対して、25〜99.99質量%であることが好ましく、30〜99.95質量%であることがより好ましく、30〜99.9質量%であることがさらに好ましい。
上述の共重合体と共に、ナノ導電性材料、溶媒、特に有機溶媒を含んでなる本発明の熱導電性材料は、良好なナノ導電性材料分散性を示し、有機溶媒がハロゲン系溶媒であると、本発明の共重合体はナノ導電性材料の存在下における顕著な分散性を示す。この観点から、本発明の熱導電性材料の別の態様として、上述の共重合体、ナノ導電性材料及び溶媒、好ましくは有機溶媒、特に好ましくはハロゲン系溶媒を含有し、ナノ導電性材料を溶媒、有機溶媒又はハロゲン系溶媒中に分散してなるナノ導電性材料分散物を包含する。当該分散物は、ナノ導電性材料の分散性がよいため、ナノ導電性材料本来の高い導電性を発揮でき、熱電変換材料をはじめとする各種の導電性材料に好適に用いることができる。このように、本発明に用いる共重合体は、熱電変換材料の塗布性、成膜性を大きく損なうことなく、製造設備、用途及び製造環境等に好適な溶媒をハロゲン系溶媒から適宜に選択して用いることができる。
<ドーパント>
本発明の熱電変換材料は、本発明の熱電変換材料においてキャリア濃度の増加によって導電性をさらに向上させるために、適宜ドーパントを含有してもよい。ドーパントは、上述の一般式(1)で表される共重合体にドープされる化合物で、この共重合体をプロトン化する或いは芳香族高分子のπ共役系から電子を取り除くことで、該共重合体を正の電荷でドーピング(p型ドーピング)することができるものであればよい。具体的には、下記のオニウム塩化合物、酸化剤、酸性化合物、電子受容体化合物等を用いることができる。
本発明の熱電変換材料は、本発明の熱電変換材料においてキャリア濃度の増加によって導電性をさらに向上させるために、適宜ドーパントを含有してもよい。ドーパントは、上述の一般式(1)で表される共重合体にドープされる化合物で、この共重合体をプロトン化する或いは芳香族高分子のπ共役系から電子を取り除くことで、該共重合体を正の電荷でドーピング(p型ドーピング)することができるものであればよい。具体的には、下記のオニウム塩化合物、酸化剤、酸性化合物、電子受容体化合物等を用いることができる。
1.オニウム塩化合物
ドーパントとして用いるオニウム塩化合物は、活性エネルギー線(放射線や電磁波等)の照射、熱の付与等のエネルギー付与によって酸を発生する化合物(酸発生剤、酸前駆体)であることが好ましい。このようなオニウム塩化合物として、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩、カルボニウム塩、ホスホニウム塩等が挙げられる。なかでも、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩、カルボニウム塩が好ましく、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、カルボニウム塩がより好ましく、スルホニウム塩、ヨードニウム塩が特に好ましい。当該塩を構成するアニオン部分としては、強酸の対アニオンが挙げられる。
ドーパントとして用いるオニウム塩化合物は、活性エネルギー線(放射線や電磁波等)の照射、熱の付与等のエネルギー付与によって酸を発生する化合物(酸発生剤、酸前駆体)であることが好ましい。このようなオニウム塩化合物として、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩、カルボニウム塩、ホスホニウム塩等が挙げられる。なかでも、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、アンモニウム塩、カルボニウム塩が好ましく、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、カルボニウム塩がより好ましく、スルホニウム塩、ヨードニウム塩が特に好ましい。当該塩を構成するアニオン部分としては、強酸の対アニオンが挙げられる。
具体的には、スルホニウム塩としては下記一般式(I)又は(II)で表される化合物が、ヨードニウム塩としては下記一般式(III)で表される化合物が、アンモニウム塩としては下記一般式(IV)で表される化合物が、カルボニウム塩としては下記一般式(V)で表される化合物がそれぞれ挙げられ、本発明において好ましく用いられる。
上記一般式(I)〜(V)中、R21〜R23、R25〜R26及びR31〜R33は、それぞれ独立にアルキル基、アラルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基を表す。R27〜R30は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アラルキル基、アリール基、芳香族へテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基を表す。R24は、アルキレン基、アリーレン基を示す。R21〜R33の置換基は、さらに置換基で置換されていてもよい。X−は、強酸のアニオンを表す。
一般式(I)においてR21〜R23のいずれか2つの基が、一般式(II)においてR21及びR23が、一般式(III)においてR25及びR26が、一般式(IV)においてR27〜R30のいずれか2つの基が、一般式(V)においてR31〜R33のいずれか2つの基が、それぞれ結合して脂肪族環、芳香族環、ヘテロ環を形成してもよい。
一般式(I)においてR21〜R23のいずれか2つの基が、一般式(II)においてR21及びR23が、一般式(III)においてR25及びR26が、一般式(IV)においてR27〜R30のいずれか2つの基が、一般式(V)においてR31〜R33のいずれか2つの基が、それぞれ結合して脂肪族環、芳香族環、ヘテロ環を形成してもよい。
R21〜R23、R25〜R33において、アルキル基には直鎖、分岐、環状のアルキル基が含まれ、直鎖又は分岐のアルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル等が挙げられる。
環状アルキル基としては、炭素数3〜20のアルキル基が好ましく、具体的には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロオクチル、ノルボルニル、アダマンチル等が挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数7〜15のアラルキル基が好ましく、具体的には、ベンジル、フェネチル等が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル、ナフチル、アントラニル、フェナンシル、ピレニル等が挙げられる。
芳香族へテロ環基としては、ピリジン環基、ピラゾール環基、イミダゾール環基、ベンゾイミダゾール環基、インドール環基、キノリン環基、イソキノリン環基、プリン環基、ピリミジン環基、オキサゾール環基、チアゾール環基、チアジン環基等が挙げられる。
環状アルキル基としては、炭素数3〜20のアルキル基が好ましく、具体的には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロオクチル、ノルボルニル、アダマンチル等が挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数7〜15のアラルキル基が好ましく、具体的には、ベンジル、フェネチル等が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル、ナフチル、アントラニル、フェナンシル、ピレニル等が挙げられる。
芳香族へテロ環基としては、ピリジン環基、ピラゾール環基、イミダゾール環基、ベンゾイミダゾール環基、インドール環基、キノリン環基、イソキノリン環基、プリン環基、ピリミジン環基、オキサゾール環基、チアゾール環基、チアジン環基等が挙げられる。
R27〜R30において、アルコキシ基としては、炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコキシ基が好ましく、具体的には、メトキシ、エトキシ、iso−プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。
アリールオキシ基としては、炭素数6〜20のアリールオキシ基が好ましく、具体的には、フェノキシ、ナフチルオキシ等が挙げられる。
アリールオキシ基としては、炭素数6〜20のアリールオキシ基が好ましく、具体的には、フェノキシ、ナフチルオキシ等が挙げられる。
R24において、アルキレン基には直鎖、分岐、環状のアルキレン基が含まれ、炭素数2〜20のアルキレン基が好ましい。具体的には、エチレン、プロピレン、ブチレン、へキシレン等が挙げられる。環状アルキレン基としては、炭素数3〜20の環状アルキレン基が好ましく、具体的には、シクロペンチレン、シクロへキシレン、ビシクロオクチレン、ノルボニレン、アダマンチレン等が挙げられる。
アリーレン基としては、炭素数6〜20のアリーレン基が好ましく、具体的には、フェニレン、ナフチレン、アントラニレン等が挙げられる。
アリーレン基としては、炭素数6〜20のアリーレン基が好ましく、具体的には、フェニレン、ナフチレン、アントラニレン等が挙げられる。
R21〜R33の置換基が更に置換基を有する場合、置換基として好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、沃素原子)、炭素数6〜10のアリール基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数2〜6のアルケニル基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアルキル基、アリールカルボニル基、アリールカルボニルアルキル基、ニトロ基、アルキルスルホニル基、トリフルオロメチル基、−S−R41等が挙げられる。なお、R41の置換基は上述のR21と同義である。
X−としては、アリールスルホン酸のアニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸のアニオン、過ハロゲン化ルイス酸のアニオン、パーフルオロアルキルスルホンイミドのアニオン、過ハロゲン酸アニオン、又は、アルキル若しくはアリールボレートアニオンが好ましい。これらは、さらに置換基を有してもよく、置換基としてはフルオロ基が挙げられる。
アリールスルホン酸のアニオンとして具体的には、p−CH3C6H4SO3 −、C6H5SO3 −、ナフタレンスルホン酸のアニオン、ナフトキノンスルホン酸のアニオン、ナフタレンジスルホン酸のアニオン、アントラキノンスルホン酸のアニオンが挙げられる。
パーフルオロアルキルスルホン酸のアニオンとして具体的には、CF3SO3 −、C4F9SO3 −、C8F17SO3 −が挙げられる。
過ハロゲン化ルイス酸のアニオンとして具体的には、PF6 −、SbF6 −、BF4 −、AsF6 −、FeCl4 −が挙げられる。
パーフルオロアルキルスルホンイミドのアニオンとして具体的には、CF3SO2−N−−SO2CF3、C4F9SO2−N−−SO2C4F9が挙げられる。
過ハロゲン酸アニオンとして具体的には、ClO4 −、BrO4 −、IO4 −が挙げられる。
アルキル若しくはアリールボレートアニオンとして具体的には、(C6H5)4B−、(C6F5)4B−、(p−CH3C6H4)4B−、(C6H4F)4B−が挙げられる。
アリールスルホン酸のアニオンとして具体的には、p−CH3C6H4SO3 −、C6H5SO3 −、ナフタレンスルホン酸のアニオン、ナフトキノンスルホン酸のアニオン、ナフタレンジスルホン酸のアニオン、アントラキノンスルホン酸のアニオンが挙げられる。
パーフルオロアルキルスルホン酸のアニオンとして具体的には、CF3SO3 −、C4F9SO3 −、C8F17SO3 −が挙げられる。
過ハロゲン化ルイス酸のアニオンとして具体的には、PF6 −、SbF6 −、BF4 −、AsF6 −、FeCl4 −が挙げられる。
パーフルオロアルキルスルホンイミドのアニオンとして具体的には、CF3SO2−N−−SO2CF3、C4F9SO2−N−−SO2C4F9が挙げられる。
過ハロゲン酸アニオンとして具体的には、ClO4 −、BrO4 −、IO4 −が挙げられる。
アルキル若しくはアリールボレートアニオンとして具体的には、(C6H5)4B−、(C6F5)4B−、(p−CH3C6H4)4B−、(C6H4F)4B−が挙げられる。
オニウム塩の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、上記具体例中のX−は、PF6 −、SbF6 −、CF3SO3 −、p−CH3C6H4SO3 −、BF4 −、(C6H5)4B−、RfSO3 −、(C6F5)4B−、又は下記式で表されるアニオンを表し、Rfはパーフルオロアルキル基を表す。
本発明においては、特に下記一般式(VI)又は(VII)で表されるオニウム塩化合物が好ましい。
一般式(VI)中、Yは炭素原子又は硫黄原子を表し、Ar1はアリール基を表し、Ar2〜Ar4は、それぞれ独立にアリール基、芳香族へテロ環基を表す。Ar1〜Ar4は、さらに置換基で置換されていてもよい。
Ar1としては、好ましくはフルオロ置換アリール基又は少なくとも1つのパーフルオロアルキル基で置換されたアリール基であり、より好ましくはペンタフルオロフェニル基、又は少なくとも1つのパーフルオロアルキル基で置換されたフェニル基であり、特に好ましくはペンタフルオロフェニル基である。
Ar2〜Ar4のアリール基、芳香族へテロ環基は、上述のR21〜R23、R25〜R33のアリール基、芳香族へテロ環基と同義であり、好ましくはアリール基であり、より好ましくはフェニル基である。これらの基は、さらに置換基で置換されていてもよく、置換基としては上述のR21〜R33の置換基が挙げられる。
Ar1としては、好ましくはフルオロ置換アリール基又は少なくとも1つのパーフルオロアルキル基で置換されたアリール基であり、より好ましくはペンタフルオロフェニル基、又は少なくとも1つのパーフルオロアルキル基で置換されたフェニル基であり、特に好ましくはペンタフルオロフェニル基である。
Ar2〜Ar4のアリール基、芳香族へテロ環基は、上述のR21〜R23、R25〜R33のアリール基、芳香族へテロ環基と同義であり、好ましくはアリール基であり、より好ましくはフェニル基である。これらの基は、さらに置換基で置換されていてもよく、置換基としては上述のR21〜R33の置換基が挙げられる。
一般式(VII)中、Ar1はアリール基を表し、Ar5及びAr6は、それぞれ独立にアリール基、芳香族へテロ環基を表す。Ar1、Ar5及びAr6は、さらに置換基で置換されていてもよい。
Ar1は、上記一般式(VI)のAr1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
Ar5及びAr6は、上記一般式(VI)のAr2〜Ar4と同義であり、好ましい範囲も同様である。
Ar1は、上記一般式(VI)のAr1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
Ar5及びAr6は、上記一般式(VI)のAr2〜Ar4と同義であり、好ましい範囲も同様である。
上記オニウム塩化合物は、通常の化学合成により製造することができる。また、市販の試薬等を用いることもできる。
オニウム塩化合物の合成方法の一実施態様として、トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの合成方法を下記に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。他のオニウム塩に関しても、同様の手法により合成することができる。
トリフェニルスルホニウムブロミド(東京化成製)2.68g、リチウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート−エチルエ−テルコンプレックス(東京化成製)5.00g及びエタノール146mlを500ml容三口フラスコに入れ、室温にて2時間撹拌した後、純水200mlを添加し、析出した白色固形物を濾過により分取する。この白色固体を純水及びエタノールにて洗浄及び真空乾燥することにより、オニウム塩としてトリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを6.18g得ることができる。
オニウム塩化合物の合成方法の一実施態様として、トリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの合成方法を下記に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。他のオニウム塩に関しても、同様の手法により合成することができる。
トリフェニルスルホニウムブロミド(東京化成製)2.68g、リチウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート−エチルエ−テルコンプレックス(東京化成製)5.00g及びエタノール146mlを500ml容三口フラスコに入れ、室温にて2時間撹拌した後、純水200mlを添加し、析出した白色固形物を濾過により分取する。この白色固体を純水及びエタノールにて洗浄及び真空乾燥することにより、オニウム塩としてトリフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを6.18g得ることができる。
2.酸化剤、酸性化合物、電子受容体化合物
本発明でドーパントとして用いる酸化剤としては、ハロゲン(Cl2,Br2,I2,ICl,ICl3,IBr,IF)、ルイス酸(PF5,AsF5,SbF5,BF3,BCl3,BBr3,SO3)、遷移金属化合物(FeCl3,FeOCl,TiCl4,ZrCl4,HfCl4,NbF5,NbCl5,TaCl5,MoF5,MoCl5,WF6,WCl6,UF6,LnCl3(Ln=La,Ce,Pr,Nd,Sm等のランタノイド)、その他、O2,O3,XeOF4,(NO2 +)(SbF6 −),(NO2 +)(SbCl6 −),(NO2 +)(BF4 −),FSO2OOSO2F,AgClO4,H2IrCl6,La(NO3)3・6H2O等が挙げられる。
本発明でドーパントとして用いる酸化剤としては、ハロゲン(Cl2,Br2,I2,ICl,ICl3,IBr,IF)、ルイス酸(PF5,AsF5,SbF5,BF3,BCl3,BBr3,SO3)、遷移金属化合物(FeCl3,FeOCl,TiCl4,ZrCl4,HfCl4,NbF5,NbCl5,TaCl5,MoF5,MoCl5,WF6,WCl6,UF6,LnCl3(Ln=La,Ce,Pr,Nd,Sm等のランタノイド)、その他、O2,O3,XeOF4,(NO2 +)(SbF6 −),(NO2 +)(SbCl6 −),(NO2 +)(BF4 −),FSO2OOSO2F,AgClO4,H2IrCl6,La(NO3)3・6H2O等が挙げられる。
酸性化合物としては、下記に示すポリリン酸、ヒドロキシ化合物、カルボキシ化合物、又はスルホン酸化合物、プロトン酸(HF,HCl,HNO3,H2SO4,HClO4,FSO3H,CISO3H,CF3SO3H,各種有機酸,アミノ酸等)が挙げられる。
電子受容体化合物としては、TCNQ(テトラシアノキノジメタン)、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン、ハロゲン化テトラシアノキノジメタン、1,1−ジシアノビニレン、1,1,2−トリシアノビニレン、ベンゾキノン、ペンタフルオロフェノール、ジシアノフルオレノン、シアノ−フルオロアルキルスルホニル−フルオレノン、ピリジン、ピラジン、トリアジン、テトラジン、ピリドピラジン、ベンゾチアジアゾール、ヘテロサイクリックチアジアゾール、ポルフィリン、フタロシアニン、ボロンキノレート系化合物、ボロンジケトネート系化合物、ボロンジイソインドメテン系化合物、カルボラン系化合物、その他ホウ素原子含有化合物、又は、Chemistry Letters,1991,p.1707−1710に記載の電子受容性化合物等が挙げられる。
−ポリリン酸−
ポリリン酸には、二リン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸、メタリン酸及ポリリン酸、及びこれらの塩が含まれる。これらの混合物であってもよい。本発明ではポリリン酸は、二リン酸、ピロリン酸、三リン酸、ポリリン酸であることが好ましく、ポリリン酸であることがより好ましい。ポリリン酸は、H3PO4を充分なP4O10(無水リン酸)とともに加熱することにより、或いはH3PO4を加熱して水を除去することにより合成できる。
ポリリン酸には、二リン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸、メタリン酸及ポリリン酸、及びこれらの塩が含まれる。これらの混合物であってもよい。本発明ではポリリン酸は、二リン酸、ピロリン酸、三リン酸、ポリリン酸であることが好ましく、ポリリン酸であることがより好ましい。ポリリン酸は、H3PO4を充分なP4O10(無水リン酸)とともに加熱することにより、或いはH3PO4を加熱して水を除去することにより合成できる。
−ヒドロキシ化合物−
ヒドロキシ化合物は水酸基を少なくとも1つ有する化合物であればよく、フェノール性水酸基を有することが好ましい。ヒドロキシ化合物としては、下記一般式(VIII)で表される化合物が好ましい。
ヒドロキシ化合物は水酸基を少なくとも1つ有する化合物であればよく、フェノール性水酸基を有することが好ましい。ヒドロキシ化合物としては、下記一般式(VIII)で表される化合物が好ましい。
一般式(VIII)中、Rはスルホ基、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基を表し、nは1〜6を示し、mは0〜5を示す。
Rとしては、スルホ基、アルキル基、アリール基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、スルホ基がより好ましい。
nは、1〜5が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜3が更に好ましい。
mは、0〜5であり、0〜4が好ましく、0〜3が更に好ましい。
Rとしては、スルホ基、アルキル基、アリール基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、スルホ基がより好ましい。
nは、1〜5が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜3が更に好ましい。
mは、0〜5であり、0〜4が好ましく、0〜3が更に好ましい。
−カルボキシ化合物−
カルボキシ化合物としてはカルボキシ基を少なくとも1つ有する化合物であればよく、下記一般式(IX)又は(X)で表される化合物が好ましい。
カルボキシ化合物としてはカルボキシ基を少なくとも1つ有する化合物であればよく、下記一般式(IX)又は(X)で表される化合物が好ましい。
一般式(IX)中、Aは二価の連結基を表す。該二価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基又はアルケニレン基と、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子との組み合わせが好ましく、アルキレン基又はアリーレン基と、酸素原子又は硫黄原子との組み合わせがより好ましい。なお、二価の連結基がアルキレン基と硫黄原子との組み合わせの場合、当該化合物はチオエーテル化合物にも該当する。このようなチオエーテル化合物の使用も好適である。
Aで表される二価の連結基がアルキレン基を含むとき、該アルキレン基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、アルキル基が好ましく、カルボキシ基を置換基として有することがより好ましい。
Aで表される二価の連結基がアルキレン基を含むとき、該アルキレン基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、アルキル基が好ましく、カルボキシ基を置換基として有することがより好ましい。
一般式(X)中、Rはスルホ基、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基を表し、nは1〜6を示し、mは0〜5を示す。
Rとしては、スルホ基、アルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、スルホ基、アルコキシカルボニル基がより好ましい。
nは、1〜5が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜3が更に好ましい。
mは、0〜5であり、0〜4が好ましく、0〜3が更に好ましい。
Rとしては、スルホ基、アルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基が好ましく、スルホ基、アルコキシカルボニル基がより好ましい。
nは、1〜5が好ましく、1〜4がより好ましく、1〜3が更に好ましい。
mは、0〜5であり、0〜4が好ましく、0〜3が更に好ましい。
−スルホン酸化合物−
スルホン酸化合物は、スルホ基を少なくとも1つ有する化合物であり、スルホ基を2つ以上有する化合物が好ましい。スルホン酸化合物として好ましくは、アリール基、アルキル基に置換されたものであり、より好ましくは、アリール基に置換されたものである。
なお、上記で説明したヒドロキシ化合物及びカルボキシ化合物において、置換基としてスルホ基を有する化合物は、上述のように、ヒドロキシ化合物及びカルボキシ化合物に分類する。したがって、スルホン酸化合物は、スルホ基を有するヒドロキシ化合物及びカルボキシ化合物を包含しない。
スルホン酸化合物は、スルホ基を少なくとも1つ有する化合物であり、スルホ基を2つ以上有する化合物が好ましい。スルホン酸化合物として好ましくは、アリール基、アルキル基に置換されたものであり、より好ましくは、アリール基に置換されたものである。
なお、上記で説明したヒドロキシ化合物及びカルボキシ化合物において、置換基としてスルホ基を有する化合物は、上述のように、ヒドロキシ化合物及びカルボキシ化合物に分類する。したがって、スルホン酸化合物は、スルホ基を有するヒドロキシ化合物及びカルボキシ化合物を包含しない。
本発明において、これらのドーパントを用いることは必須ではないが、ドーパントを使用すると導電率向上により熱電変換特性の更なる向上が期待でき、好ましい。ドーパントを使用する場合、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。ドーパントの使用量は、最適なキャリア濃度のコントロールの観点から、上述の一般式(1)で表される共重合体100質量部に対して0質量部を超え60質量部以下の割合で使用することが好ましく、2〜50質量部使用することがより好ましく、5〜40質量部使用することがさらに好ましい。
熱電変換材料の分散性や成膜性向上の観点から、上記ドーパントの中でも、オニウム塩化合物を用いることが好ましい。オニウム塩化合物は、酸放出前の状態では中性で、光や熱等のエネルギー付与により分解して酸を発生し、この酸によりドーピング効果が発現する。そのため、熱電変換材料を所望の形状に成形・加工した後に、光照射等によりドーピングを行って、ドーピング効果を発現させることができる。さらに、酸放出前は中性であるため、上述の共重合体を凝集・析出等させることなく、該共重合体やナノ導電性材料等の各成分が熱電変換材料中に均一に溶解又は分散する。この熱電変換材料の均一溶解性又は分散性により、ドーピング後には優れた導電性を発揮でき、さらに、良好な塗布性や成膜性が得られるため、熱電変換層等の成形・加工性にも優れる。
<励起アシスト剤>
本発明の熱電変換材料は、熱電変換特性がさらに向上する点で、熱励起アシスト剤を含有することが好ましい。熱励起アシスト剤は、上述の一般式(1)で表される共重合体の分子軌道のエネルギー準位に対して特定のエネルギー準位差の分子軌道を持った物質であり、該共重合体とともに用いることで、熱励起効率を高め、熱電変換材料の熱起電力を向上させることができる。
本発明の熱電変換材料は、熱電変換特性がさらに向上する点で、熱励起アシスト剤を含有することが好ましい。熱励起アシスト剤は、上述の一般式(1)で表される共重合体の分子軌道のエネルギー準位に対して特定のエネルギー準位差の分子軌道を持った物質であり、該共重合体とともに用いることで、熱励起効率を高め、熱電変換材料の熱起電力を向上させることができる。
本発明で用いる熱励起アシスト剤とは、上述の共重合体のLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital;最低空軌道)よりもエネルギー準位の低いLUMOを有する化合物であって、共重合体にドープ準位を形成しない化合物をいう。前述のドーパントは共重合体にドープ準位を形成する化合物であり、熱励起アシスト剤の有無にかかわらずドープ準位を形成するものである。
共重合体にドープ準位が形成されるか否かは吸収スペクトルの測定により評価でき、本発明におけるドープ準位を形成する化合物及びドープ準位を形成しない化合物とは、下記の方法によって評価されたものをいう。
共重合体にドープ準位が形成されるか否かは吸収スペクトルの測定により評価でき、本発明におけるドープ準位を形成する化合物及びドープ準位を形成しない化合物とは、下記の方法によって評価されたものをいう。
−ドープ準位形成の有無の評価法−
ドーピング前の共重合体Aと別成分Bとを質量比1:1で混合し、薄膜化したサンプルの吸収スペクトルを観測する。その結果、共重合体A単独又は成分B単独の吸収ピークとは異なる新たな吸収ピークが発生し、かつこの新たな吸収ピーク波長が共重合体Aの吸収極大波長よりも長波長側である場合にドープ準位が発生したと判断する。この場合、成分Bをドーパントと定義する。一方、サンプルの吸収スペクトルに新たな吸収ピークが存在しない場合、成分Bを励起アシスト剤と定義する。
ドーピング前の共重合体Aと別成分Bとを質量比1:1で混合し、薄膜化したサンプルの吸収スペクトルを観測する。その結果、共重合体A単独又は成分B単独の吸収ピークとは異なる新たな吸収ピークが発生し、かつこの新たな吸収ピーク波長が共重合体Aの吸収極大波長よりも長波長側である場合にドープ準位が発生したと判断する。この場合、成分Bをドーパントと定義する。一方、サンプルの吸収スペクトルに新たな吸収ピークが存在しない場合、成分Bを励起アシスト剤と定義する。
熱励起アシスト剤のLUMOは、上述の共重合体のLUMOよりもエネルギー準位が低く、該共重合体のHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital;最高被占軌道)から発生した熱励起電子のアクセプター準位として機能する。
さらに、該共重合体のHOMOのエネルギー準位の絶対値と熱励起アシスト剤のLUMOのエネルギー準位の絶対値とが下記数式(I)を満たす関係にあるとき、熱電変換材料は優れた熱起電力を備えたものとなる。
さらに、該共重合体のHOMOのエネルギー準位の絶対値と熱励起アシスト剤のLUMOのエネルギー準位の絶対値とが下記数式(I)を満たす関係にあるとき、熱電変換材料は優れた熱起電力を備えたものとなる。
数式(I)
0.1eV≦|共重合体のHOMO|−|熱励起アシスト剤のLUMO|≦1.9eV
0.1eV≦|共重合体のHOMO|−|熱励起アシスト剤のLUMO|≦1.9eV
上記数式(I)は、熱励起アシスト剤のLUMOと共重合体のHOMOとのエネルギー差を表し、これが0.1eVよりも小さい場合(熱励起アシスト剤のLUMOのエネルギー準位が共重合体のHOMOのエネルギー準位よりも低い場合を含む)、共重合体のHOMO(ドナー)と熱励起アシスト剤のLUMO(アクセプター)との間の電子移動の活性化エネルギーが非常に小さくなるため、共重合体と熱励起アシスト剤との間で酸化還元反応が起きて凝集が発生してしまうことがある。その結果、材料の成膜性の悪化や導電率の悪化を招くこととなる。逆に、両軌道のエネルギー差が1.9eVよりも大きい場合、当該エネルギー差が熱励起エネルギーよりも遙かに大きくなってしまうために熱励起キャリアがほとんど発生しない、すなわち熱励起アシスト剤の添加効果がほとんどなくなってしまうことがある。熱電変換材料の熱起電力が向上には、両軌道のエネルギー差が上記数式(I)の範囲内であることが好ましい。
なお、共重合体及び熱励起アシスト剤のHOMO及びLUMOのエネルギー準位は、HOMOエネルギーレベルに関しては、単一の各成分の塗布膜(ガラス基板)をそれぞれ作製し、光電子分光法によりHOMO準位を測定できる。LUMO準位に関しては、紫外可視分光光度計を用いてバンドギャップを測定した後、上記で測定したHOMOエネルギーに加えることにより、LUMOエネルギーを算出できる。本発明において共重合体及び熱励起アシスト剤のHOMO及びLUMOのエネルギー準位は、当該方法により測定・算出された値を用いる。
なお、共重合体及び熱励起アシスト剤のHOMO及びLUMOのエネルギー準位は、HOMOエネルギーレベルに関しては、単一の各成分の塗布膜(ガラス基板)をそれぞれ作製し、光電子分光法によりHOMO準位を測定できる。LUMO準位に関しては、紫外可視分光光度計を用いてバンドギャップを測定した後、上記で測定したHOMOエネルギーに加えることにより、LUMOエネルギーを算出できる。本発明において共重合体及び熱励起アシスト剤のHOMO及びLUMOのエネルギー準位は、当該方法により測定・算出された値を用いる。
熱励起アシスト剤を用いると、熱励起効率が向上し、熱励起キャリア数が増加するため、熱電変換材料の熱起電力が向上する。このような熱励起アシスト剤による熱起電力向上効果は、共重合体のドーピング効果によって熱電変換性能を向上させる手法とは異なるものである。
上述の式(A)からわかるように、熱電変換材料の熱電変換性能を高めるためには、熱電変換材料のゼーベック係数Sの絶対値及び導電率σを大きくし、熱伝導率κを小さくすればよい。なお、ゼーベック係数は、絶対温度1Kあたりの熱起電力である。
熱励起アシスト剤はゼーベック係数を高めることで、熱電変換性能を向上させるものである。熱励起アシスト剤を用いた場合には、熱励起によって発生した電子がアクセプター準位である熱励起アシスト剤のLUMOに存在するため、共重合体上の正孔と熱励起アシスト剤上の電子とが物理的に離れて存在している。そのため、共重合体のドープ準位が熱励起によって発生した電子によって飽和されにくくなり、ゼーベック係数を高めることができる。
上述の式(A)からわかるように、熱電変換材料の熱電変換性能を高めるためには、熱電変換材料のゼーベック係数Sの絶対値及び導電率σを大きくし、熱伝導率κを小さくすればよい。なお、ゼーベック係数は、絶対温度1Kあたりの熱起電力である。
熱励起アシスト剤はゼーベック係数を高めることで、熱電変換性能を向上させるものである。熱励起アシスト剤を用いた場合には、熱励起によって発生した電子がアクセプター準位である熱励起アシスト剤のLUMOに存在するため、共重合体上の正孔と熱励起アシスト剤上の電子とが物理的に離れて存在している。そのため、共重合体のドープ準位が熱励起によって発生した電子によって飽和されにくくなり、ゼーベック係数を高めることができる。
熱励起アシスト剤としては、ベンゾチアジアゾール骨格、ベンゾチアゾール骨格、ジチエノシロール骨格、シクロペンタジチオフェン骨格、チエノチオフェン骨格、チオフェン骨格、フルオレン骨格、及びフェニレンビニレン骨格から選ばれる少なくとも1種の構造を含む高分子化合物、フラーレン系化合物、フタロシアニン系化合物、ペリレンジカルボキシイミド系化合物、又はテトラシアノキノジメタン系化合物が好ましく、ベンゾチアジアゾール骨格、ベンゾチアゾール骨格、ジチエノシロール骨格、シクロペンタジチオフェン骨格、及びチエノチオフェン骨格から選ばれる少なくとも1種の構造を含む高分子化合物、フラーレン系化合物、フタロシアニン系化合物、ペリレンジカルボキシイミド系化合物、又はテトラシアノキノジメタン系化合物がより好ましい。
上述の特徴を満たす熱励起アシスト剤の具体例として下記のものが例示できるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記の例示化合物中、nは整数(好ましくは10以上の整数)を、Meはメチル基を表す。
本発明の熱電変換材料には上記熱励起アシスト剤を1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
熱電変換材料中の熱励起アシスト剤の含有量は、全固形分中、0〜35質量%であることが好ましく、3〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることが特に好ましい。
また、熱励起アシスト剤は、上述の共重合体100質量部に対して0〜100質量部使用することが好ましく、5〜70質量部使用することがより好ましく、10〜50質量部使用することがさらに好ましい。
熱電変換材料中の熱励起アシスト剤の含有量は、全固形分中、0〜35質量%であることが好ましく、3〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることが特に好ましい。
また、熱励起アシスト剤は、上述の共重合体100質量部に対して0〜100質量部使用することが好ましく、5〜70質量部使用することがより好ましく、10〜50質量部使用することがさらに好ましい。
<金属元素>
本発明の熱電変換材料は、金属元素を、単体、イオン等として、含有しているのが、熱電変換特性の向上の観点で、好ましい。金属元素を添加すると、形成される熱電変換層中において、金属元素により電子の輸送が促進されるため、熱電変換特性が向上すると考えられる。金属元素は、特に限定されないが、熱電変換特性の点で、原子量45〜200の金属元素が好ましく、遷移金属元素が更に好ましく、亜鉛、鉄、パラジウム、ニッケル、コバルト、モリブデン、白金、スズであることが特に好ましい。金属元素の添加量に関しては、添加量が少なすぎると熱電変換特性の向上効果が十分に発現せず、逆に多すぎると熱電変換層の物理強度が低下してクラック発生等により熱電変換特性が低下することがある。したがって、本発明の熱電変換材料の固形分中、すなわち熱電変換層中の金属元素の濃度は、50〜30000ppmであることが好ましく、100〜10000ppmであることが更に好ましく、200〜5000ppmであることが特に好ましい。
本発明の熱電変換材料の中の金属元素濃度の測定方法に関しては、例えば、ICP質量分析装置(例えば、株式会社島津製作所製「ICPM−8500」(商品名))、エネルギー分散型蛍光X線分析装置(例えば、株式会社島津製作所製「EDX−720」(商品名))等の公知の分析法により定量することができる。
本発明の熱電変換材料は、金属元素を、単体、イオン等として、含有しているのが、熱電変換特性の向上の観点で、好ましい。金属元素を添加すると、形成される熱電変換層中において、金属元素により電子の輸送が促進されるため、熱電変換特性が向上すると考えられる。金属元素は、特に限定されないが、熱電変換特性の点で、原子量45〜200の金属元素が好ましく、遷移金属元素が更に好ましく、亜鉛、鉄、パラジウム、ニッケル、コバルト、モリブデン、白金、スズであることが特に好ましい。金属元素の添加量に関しては、添加量が少なすぎると熱電変換特性の向上効果が十分に発現せず、逆に多すぎると熱電変換層の物理強度が低下してクラック発生等により熱電変換特性が低下することがある。したがって、本発明の熱電変換材料の固形分中、すなわち熱電変換層中の金属元素の濃度は、50〜30000ppmであることが好ましく、100〜10000ppmであることが更に好ましく、200〜5000ppmであることが特に好ましい。
本発明の熱電変換材料の中の金属元素濃度の測定方法に関しては、例えば、ICP質量分析装置(例えば、株式会社島津製作所製「ICPM−8500」(商品名))、エネルギー分散型蛍光X線分析装置(例えば、株式会社島津製作所製「EDX−720」(商品名))等の公知の分析法により定量することができる。
<他の成分>
本発明の熱電変換材料は、上記成分の他に、酸化防止剤、対光安定剤、耐熱安定剤、可塑剤等を適宜含有してもよい。これらの成分の含有量は、材料の全固形分中、5質量%以下であることが好ましく、0〜2質量%であることがより好ましい。
酸化防止剤としては、イルガノックス1010(日本チガバイギー製)、スミライザーGA−80(住友化学工業(株)製)、スミライザーGS(住友化学工業(株)製)、スミライザーGM(住友化学工業(株)製)等が挙げられる。耐光安定剤としては、TINUVIN 234(BASF製)、CHIMASSORB 81(BASF製)、サイアソーブUV−3853(サンケミカル製)等が挙げられる。耐熱安定剤としては、IRGANOX 1726(BASF製)が挙げられる。可塑剤としては、アデカサイザーRS(アデカ製)等が挙げられる。
本発明の熱電変換材料は、上記成分の他に、酸化防止剤、対光安定剤、耐熱安定剤、可塑剤等を適宜含有してもよい。これらの成分の含有量は、材料の全固形分中、5質量%以下であることが好ましく、0〜2質量%であることがより好ましい。
酸化防止剤としては、イルガノックス1010(日本チガバイギー製)、スミライザーGA−80(住友化学工業(株)製)、スミライザーGS(住友化学工業(株)製)、スミライザーGM(住友化学工業(株)製)等が挙げられる。耐光安定剤としては、TINUVIN 234(BASF製)、CHIMASSORB 81(BASF製)、サイアソーブUV−3853(サンケミカル製)等が挙げられる。耐熱安定剤としては、IRGANOX 1726(BASF製)が挙げられる。可塑剤としては、アデカサイザーRS(アデカ製)等が挙げられる。
<熱電変換材料の調製>
本発明の熱電変換材料は、上記の各成分を混合して調製することができる。好ましくは、溶媒にナノ導電性材料、上述の一般式(1)で表される共重合体を添加して混合し、各成分を溶解又は分散させて調製する。このとき、熱電変換材料中の各成分は、ナノ導電性材料が分散状態で、共重合体等の他の成分が分散又は溶解状態であることが好ましく、ナノ導電性材料以外の成分が溶解状態であることがより好ましい。ナノ導電性材料以外の成分が溶解状態であると、粒界による導電率の低下抑制効果が得られるため好ましい。なお、上記分散状態とは、長時間(目安としては1ヶ月以上)保存しても溶媒中で沈降しない程度の粒径を有する分子の集合状態であり、また、溶解状態とは溶媒中にて1個の分子状態で溶媒和している状態を言う。
熱電変換材料の調製方法に特に制限はなく、通常の混合装置等を用いて常温常圧下で行うことができる。例えば、各成分を溶媒中で撹拌、振とう、混練して溶解又は分散させて調製すればよい。溶解や分散を促進するため超音波処理を行ってもよい。
また、上記分散工程において溶媒を室温以上沸点以下の温度まで加熱する、分散時間を延ばす、又は撹拌、浸とう、混練、超音波等の印加強度を上げる等によって、ナノ導電性材料の分散性を高めることができる。
本発明の熱電変換材料は、上記の各成分を混合して調製することができる。好ましくは、溶媒にナノ導電性材料、上述の一般式(1)で表される共重合体を添加して混合し、各成分を溶解又は分散させて調製する。このとき、熱電変換材料中の各成分は、ナノ導電性材料が分散状態で、共重合体等の他の成分が分散又は溶解状態であることが好ましく、ナノ導電性材料以外の成分が溶解状態であることがより好ましい。ナノ導電性材料以外の成分が溶解状態であると、粒界による導電率の低下抑制効果が得られるため好ましい。なお、上記分散状態とは、長時間(目安としては1ヶ月以上)保存しても溶媒中で沈降しない程度の粒径を有する分子の集合状態であり、また、溶解状態とは溶媒中にて1個の分子状態で溶媒和している状態を言う。
熱電変換材料の調製方法に特に制限はなく、通常の混合装置等を用いて常温常圧下で行うことができる。例えば、各成分を溶媒中で撹拌、振とう、混練して溶解又は分散させて調製すればよい。溶解や分散を促進するため超音波処理を行ってもよい。
また、上記分散工程において溶媒を室温以上沸点以下の温度まで加熱する、分散時間を延ばす、又は撹拌、浸とう、混練、超音波等の印加強度を上げる等によって、ナノ導電性材料の分散性を高めることができる。
このようにして調製される本発明の熱電変換材料は、含水率が0.01質量%以上15質量%以下であることが好ましい。上述した共重合体とナノ導電性材料とを必須成分として含有する熱電変換材料において、含水率を上記範囲とすると、優れた塗布性及び成膜性を維持したまま、高い熱電変換性能を得ることができる。さらに、熱電変換材料として高温条件下での使用に際しても、電極の腐食や材料自身の分解を抑制することができる。熱電変換材料は、長時間にわたり高温状態で使用されるため、熱電変換材料中の水分の影響によって電極の腐食や材料自身の分解反応が生じやすいという問題を有しており、含水率を上記範囲とすることで、このような熱電変換材料中の水分に起因する諸問題を改善することができる。
熱電変換材料の含水率は、0.01質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。
熱電変換材料の含水率は、一定温湿度における平衡含水率を測定することにより評価することができる。平衡含水率は、25℃、60%RHにおいて6時間放置して平衡に達した後、水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定し、水分量(g)を試料重量(g)で除して算出することができる。
熱電変換材料の含水率は、一定温湿度における平衡含水率を測定することにより評価することができる。平衡含水率は、25℃、60%RHにおいて6時間放置して平衡に達した後、水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定し、水分量(g)を試料重量(g)で除して算出することができる。
熱電変換材料の含水率は、熱電変換材料を恒温恒湿器(温度25℃、湿度85%RH)の中に放置(含水率を向上させる場合)又は真空乾燥機(温度25℃)の中で乾燥(含水率を低下させる場合)させることにより制御することができる。また、熱電変換材料を調製する際、溶媒に必要量の水を添加(含水率を向上させる場合)して、又は、脱水溶媒(例えば、和光純薬工業株式会社製の各種脱水溶媒が挙げられる。)を用いて窒素雰囲気下のグローブボックス中にて各成分を混合(含水率を低下させる場合)することによって、含水率を制御することも可能である。
[熱電変換素子]
本発明の熱電変換素子は、基材上に、第1の電極、熱電変換層及び第2の電極を有し、該熱電変換層は、ナノ導電性材料及び上述の一般式(1)で表される共重合体を含有している。
本発明の熱電変換素子は、基材上に、第1の電極、熱電変換層及び第2の電極を有し、該熱電変換層は、ナノ導電性材料及び上述の一般式(1)で表される共重合体を含有している。
本発明の熱電変換素子は、基材上に、第1の電極、熱電変換層及び第2の電極を有するものであればよく、第1の電極及び第2の電極と熱電変換層との位置関係等、その他の構成については特に限定されない。本発明の熱電変換素子において、熱電変換層は、その少なくとも一方の面に第1の電極及び第2の電極に接するように配置されていればよい。例えば、熱電変換層が第1の電極及び第2の電極で挟まれる態様、すなわち、本発明の熱電変換素子が基材上に第1の電極、熱電変換層及び第2の電極をこの順に有している態様であってもよい。また、熱電変換層がその一方の面に第1の電極及び第2の電極に接するように配置される態様、すなわち、本発明の熱電変換素子が基材上に互いに離間して形成された第1の電極及び第2の電極に積層された熱電変換層を有している態様であってもよい。
本発明の熱電変換素子の構造の一例として、図1及び図2に示す素子の構造が挙げられる。図1及び図2中、矢印は、熱電変換素子の使用時における温度差の向きを示す。
図1に示す熱電変換素子1は、第1の基材12上に、第1の電極13及び第2の電極15を含む一対の電極と、該電極13及び15間に本発明の熱電変換材料で形成された熱電変換層14を備えている。第2の電極15の他方の表面には第2の基材16が配設されており、第1の基材12及び第2の基材16の外側には互いに対向して金属板11及び17が配設されている。
本発明の熱電変換素子は、基材上に電極を介して本発明の熱電変換材料で熱電変換層を膜(フィルム)状に設け、この基材を第1の基材として機能させることが好ましい。すなわち、熱電変換素子1は、2枚の基材12及び16の表面(熱電変換層14の形成面)に、第1の電極13又は第2の電極15を設け、これら電極13及び15の間に本発明の熱電変換材料で形成された熱電変換層14を有する構造であることが好ましい。
本発明の熱電変換素子の構造の一例として、図1及び図2に示す素子の構造が挙げられる。図1及び図2中、矢印は、熱電変換素子の使用時における温度差の向きを示す。
図1に示す熱電変換素子1は、第1の基材12上に、第1の電極13及び第2の電極15を含む一対の電極と、該電極13及び15間に本発明の熱電変換材料で形成された熱電変換層14を備えている。第2の電極15の他方の表面には第2の基材16が配設されており、第1の基材12及び第2の基材16の外側には互いに対向して金属板11及び17が配設されている。
本発明の熱電変換素子は、基材上に電極を介して本発明の熱電変換材料で熱電変換層を膜(フィルム)状に設け、この基材を第1の基材として機能させることが好ましい。すなわち、熱電変換素子1は、2枚の基材12及び16の表面(熱電変換層14の形成面)に、第1の電極13又は第2の電極15を設け、これら電極13及び15の間に本発明の熱電変換材料で形成された熱電変換層14を有する構造であることが好ましい。
図2に示す熱電変換素子2は、第1の基材22上に、第1の電極23及び第2の電極25が配設され、その上に本発明の熱電変換材料で形成された熱電変換層24が設けられている。
熱電変換素子1の熱電変換層14は、一方の表面が第1の電極13を介して第1の基材12で覆われているが、また、熱電変換素子2の熱電変換層24は、一方の表面が第1の電極23及び第2の電極25並びに第1の基材22で覆われているが、他方の表面にも第2の基材16又は26を第2の電極15を介して、又は、電極を介さず、圧着させることが、熱電変換層14及び24の保護の観点から好ましい。すなわち、熱電変換素子1に使用される第2の基材16の表面(熱電変換層14の圧着面)には第2の電極15が予め形成されているのが好ましい。また、熱電変換素子1及び2において、電極と熱電変換層との圧着は、密着性向上の観点から100℃〜200℃程度に加熱して行うことが好ましい。
本発明の熱電変換素子の基材、熱電変換素子1における第1の基材12及び第2の基材16は、ガラス、透明セラミックス、金属、プラスチックフィルム等の基材を用いることができる。本発明の熱電変換素子において、基材はフレキシビリティーを有しているのが好ましく、具体的には、ASTM D2176に規定の測定法による耐屈曲回数MITが1万サイクル以上であるフレキシビリティーを有しているのが好ましい。このようなフレキシビリティーを有する基材は、プラスチックフィルムが好ましく、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−フタレンジカルボキシレート、ビスフェノールAとイソ及びテレフタル酸のポリエステルフィルム等のポリエステルフィルム、ゼオノアフィルム(商品名、日本ゼオン社製)、アートンフィルム(商品名、JSR社製)、スミライトFS1700(商品名、住友ベークライト社製)等のポリシクロオレフィンフィルム、カプトン(商品名、東レ・デュポン社製)、アピカル(商品名、カネカ社製)、ユーピレックス(商品名、宇部興産社製)、ポミラン(商品名、荒川化学社製)等のポリイミドフィルム、ピュアエース(商品名、帝人化成社製)、エルメック(商品名、カネカ社製)等のポリカーボネートフィルム、スミライトFS1100(商品名、住友ベークライト社製)等のポリエーテルエーテルケトンフィルム、トレリナ(商品名、東レ社製)等のポリフェニルスルフィドフィルム等が挙げられる。使用条件や環境により適宜選択させるが入手の容易性、好ましくは100℃以上の耐熱性、経済性及び効果の観点から、市販のポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、各種ポリイミドやポリカーボネートフィルム等が好ましい。
特に、熱電変換層との圧着面に電極を設けた基材を用いることが好ましい。この基材上に設ける第1の電極及び第2の電極を形成する電極材料としては、ITO、ZnO等の透明電極、銀、銅、金、アルミニウム等の金属電極、CNT、グラフェン等の炭素材料、PEDOT/PSS等の有機材料、銀、カーボン等の導電性微粒子を分散した導電性ペースト、銀、銅、アルミニウム等の金属ナノワイヤーを含有する導電性ペースト等が使用できる。これらの中でも、アルミニウム、金、銀又は銅であるのが好ましい。この時、熱電変換素子1は、基材11、第1の電極13、熱電変換層14及び第2の電極15の順に構成されており、第2の電極15の外側には第2の基材16が隣接していても、第2の基材16を設けることなく第2の電極15が最表面として空気に晒されていてもよい。また、熱電変換素子2は、基材22、第1の電極23及び第2の電極25、熱電変換層24の順に構成されており、熱電変換層24の外側には第2の基材26が隣接していても、第2の基材26を設けることなく熱電変換層24が最表面として空気に晒されていてもよい。
基材の厚さは、取り扱い性、耐久性等の点から、好ましくは30〜3000μm、より好ましくは50〜1000μm、さらに好ましくは100〜1000μm、特に好ましくは200〜800μmである。基材が厚すぎると熱伝導率が低下することがあり、薄すぎると外部衝撃により膜が損傷しやすくなることがある。
本発明の熱電変換素子の熱電変換層は、本発明の熱電変換材料で形成され、これらに加えて、上述の非共役高分子及び熱励起アシスト剤の少なくとも一方を含有しているのが好ましく、ドーパント又はその分解物、金属元素、その他の成分を含有していてもよい。熱電変換層におけるこれら成分及び含有率は上述した通りである。
熱電変換層の層厚は、0.1〜1000μmであることが好ましく、1〜100μmであることがより好ましい。層厚が薄いと温度差を付与しにくくなることと、層内の抵抗が増大してしまうため好ましくない。
一般に、熱電変換素子では、有機薄膜太陽電池用素子等の光電変換素子と比べて、簡便に素子を製造できる。特に、本発明の熱電変換材料を用いると有機薄膜太陽電池用素子と比較して光吸収効率を考慮する必要がないため100〜1000倍程度の厚膜化が可能であり、空気中の酸素や水分に対する化学的な安定性が向上する。
一般に、熱電変換素子では、有機薄膜太陽電池用素子等の光電変換素子と比べて、簡便に素子を製造できる。特に、本発明の熱電変換材料を用いると有機薄膜太陽電池用素子と比較して光吸収効率を考慮する必要がないため100〜1000倍程度の厚膜化が可能であり、空気中の酸素や水分に対する化学的な安定性が向上する。
熱電変換層は、含水率が0.01質量%以上15質量%以下であることが好ましい。熱電変換層の含水率を上記範囲とすると、高い熱電変換性能を得ることができる。さらに、熱電変換素子が高温条件下で使用されても、電極の腐食や熱電変換層自身の分解を抑制することができる。熱電変換層の含水率は、0.01質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。
熱電変換層の含水率は、一定温湿度における平衡含水率を測定することにより評価することができる。平衡含水率は、25℃、60%RHにおいて6時間放置して平衡に達した後、水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定し、水分量(g)を試料質量(g)で除して算出することができる。
熱電変換層の含水率は、一定温湿度における平衡含水率を測定することにより評価することができる。平衡含水率は、25℃、60%RHにおいて6時間放置して平衡に達した後、水分測定器、試料乾燥装置(CA−03、VA−05、共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定し、水分量(g)を試料質量(g)で除して算出することができる。
熱電変換層の成膜方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート、エクストルージョンダイコート、ブレードコート、バーコート、スクリーン印刷、ステンシル印刷、ロールコート、カーテンコート、スプレーコート、ディップコート等、公知の塗布方法を用いることができる。この中でも特に、スクリーン印刷が熱電変換層の電極への密着性に優れる観点で特に好ましい。
塗布後は、必要に応じて乾燥工程を行う。例えば、加熱乾燥、熱風を吹き付けることにより、溶媒を揮発、乾燥させることができる。
塗布後は、必要に応じて乾燥工程を行う。例えば、加熱乾燥、熱風を吹き付けることにより、溶媒を揮発、乾燥させることができる。
(含水率制御処理)
含水率制御処理は、熱電変換材料を成膜加工した後であって、後述するエネルギー付与によるドーピングの前又は後に実施されるのが好ましく、ドーピングの前に実施されるのがさらに好ましい。例えば、ナノ導電性材料、共重合体の各成分を溶媒中で混合、分散等させ、当該混合物を成形・成膜等した後、含水率制御処理を行って、上記範囲の含水率とすることが好ましい。含水率制御処理は上述の方法を適宜に採用できる。
含水率制御処理は、本発明の熱電変換材料の含水量を制御する方法は、塗布した本発明の熱電変換材料を真空乾燥機(温度25℃)の中で乾燥(含水率を低下させる場合)させる方法が好ましい。
含水率制御処理は、熱電変換材料を成膜加工した後であって、後述するエネルギー付与によるドーピングの前又は後に実施されるのが好ましく、ドーピングの前に実施されるのがさらに好ましい。例えば、ナノ導電性材料、共重合体の各成分を溶媒中で混合、分散等させ、当該混合物を成形・成膜等した後、含水率制御処理を行って、上記範囲の含水率とすることが好ましい。含水率制御処理は上述の方法を適宜に採用できる。
含水率制御処理は、本発明の熱電変換材料の含水量を制御する方法は、塗布した本発明の熱電変換材料を真空乾燥機(温度25℃)の中で乾燥(含水率を低下させる場合)させる方法が好ましい。
(エネルギー付与によるドーピング)
熱電変換材料がドーパントとして上述のオニウム塩化合物を含有する場合は、成膜後、又は、含水率制御処理後に、当該膜に活性エネルギー線を照射又は加熱してドーピング処理を行い、導電性を向上させることが好ましい。この処理によって、オニウム塩化合物から酸が発生し、この酸が上述の共重合体をプロトン化することにより当該共重合体が正の電荷でドーピング(p型ドーピング)される。
活性エネルギー線には、放射線や電磁波が包含され、放射線には粒子線(高速粒子線)と電磁放射線が包含される。粒子線としては、アルファ線(α線)、ベータ線(β線)、陽子線、電子線(原子核崩壊によらず加速器で電子を加速するものを指す)、重陽子線等の荷電粒子線、非荷電粒子線である中性子線、宇宙線等が挙げられ、電磁放射線としては、ガンマ線(γ線)、エックス線(X線、軟X線)が挙げられる。電磁波としては、電波、赤外線、可視光線、紫外線(近紫外線、遠紫外線、極紫外線)、X線、ガンマ線等が挙げられる。本発明において用いる線種は特に限定されず、例えば、使用するオニウム塩化合物(酸発生剤)の極大吸収波長付近の波長を有する電磁波を適宜選べばよい。
これらの活性エネルギー線のうち、ドーピング効果及び安全性の観点から好ましいのは紫外線、可視光線、赤外線であり、具体的には240〜1100nm、好ましくは240〜850nm、より好ましくは240〜670nmに極大発光波長を有する光線である。
熱電変換材料がドーパントとして上述のオニウム塩化合物を含有する場合は、成膜後、又は、含水率制御処理後に、当該膜に活性エネルギー線を照射又は加熱してドーピング処理を行い、導電性を向上させることが好ましい。この処理によって、オニウム塩化合物から酸が発生し、この酸が上述の共重合体をプロトン化することにより当該共重合体が正の電荷でドーピング(p型ドーピング)される。
活性エネルギー線には、放射線や電磁波が包含され、放射線には粒子線(高速粒子線)と電磁放射線が包含される。粒子線としては、アルファ線(α線)、ベータ線(β線)、陽子線、電子線(原子核崩壊によらず加速器で電子を加速するものを指す)、重陽子線等の荷電粒子線、非荷電粒子線である中性子線、宇宙線等が挙げられ、電磁放射線としては、ガンマ線(γ線)、エックス線(X線、軟X線)が挙げられる。電磁波としては、電波、赤外線、可視光線、紫外線(近紫外線、遠紫外線、極紫外線)、X線、ガンマ線等が挙げられる。本発明において用いる線種は特に限定されず、例えば、使用するオニウム塩化合物(酸発生剤)の極大吸収波長付近の波長を有する電磁波を適宜選べばよい。
これらの活性エネルギー線のうち、ドーピング効果及び安全性の観点から好ましいのは紫外線、可視光線、赤外線であり、具体的には240〜1100nm、好ましくは240〜850nm、より好ましくは240〜670nmに極大発光波長を有する光線である。
活性エネルギー線の照射には、放射線又は電磁波照射装置が用いられる。照射する放射線又は電磁波の波長は特に限定されず、使用するオニウム塩化合物の感応波長に対応する波長領域の放射線または電磁波を照射できるものを選べばよい。
放射線又は電磁波を照射できる装置としては、LEDランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、DeepUVランプ、低圧UVランプ等の水銀ランプ、ハライドランプ、キセノンフラッシュランプ、メタルハライドランプ、ArFエキシマランプ、KrFエキシマランプ等のエキシマランプ、極端紫外光ランプ、電子ビーム、X線ランプを光源とする露光装置がある。紫外線照射は、通常の紫外線照射装置、例えば、市販の硬化/接着/露光用の紫外線照射装置(ウシオ電機株式会社SP9−250UB等)を用いて行うことができる。
放射線又は電磁波を照射できる装置としては、LEDランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、DeepUVランプ、低圧UVランプ等の水銀ランプ、ハライドランプ、キセノンフラッシュランプ、メタルハライドランプ、ArFエキシマランプ、KrFエキシマランプ等のエキシマランプ、極端紫外光ランプ、電子ビーム、X線ランプを光源とする露光装置がある。紫外線照射は、通常の紫外線照射装置、例えば、市販の硬化/接着/露光用の紫外線照射装置(ウシオ電機株式会社SP9−250UB等)を用いて行うことができる。
露光時間及び光量は、用いるオニウム塩化合物の種類及びドーピング効果を考慮して適宜選択すればよい。具体的には、光量10mJ/cm2〜10J/cm2、好ましくは50mJ/cm2〜5J/cm2で行うことが挙げられる。
加熱によってドーピングを行う場合は、成膜した膜を、オニウム塩化合物が酸を発生する温度以上で加熱すればよい。加熱温度として、好ましくは50〜200℃、より好ましくは70〜150℃である。加熱時間は、好ましくは1〜60分、より好ましくは3〜30分である。
ドーピング処理の時期は特に限定されないが、本発明の熱電変換材料を成膜等、加工処理した後に行うことが好ましい。
本発明の熱電変換材料で形成される熱電変換層(熱電変換膜ともいう)及び本発明の熱電変換素子は、高い熱電変換性能指数ZTを有し、初期の熱電変換性能に優れ、かつ高温高湿のような過酷な環境下においても熱電変換性能の経時安定性が良好で高い初期の熱電変換性能を長期にわたって維持できる。
したがって、本発明の熱電変換素子は、熱電発電用物品の発電素子として好適に用いることができる。このような発電素子として、具体的には、温泉熱発電機、太陽熱発電機、廃熱発電機等の発電機、腕時計用電源、半導体駆動電源、(小型)センサー用電源等が挙げられる。
また、本発明の熱電変換材料及び本発明の熱電変換材料で形成される熱電変換層は、本発明の熱電変換素子、熱電発電素子用材料、熱電発電用膜又は各種導電性膜として好適に用いられ、具体的には、上述の発電素子用の熱電変換材料又は熱電発電用膜等として好適に用いられる。
したがって、本発明の熱電変換素子は、熱電発電用物品の発電素子として好適に用いることができる。このような発電素子として、具体的には、温泉熱発電機、太陽熱発電機、廃熱発電機等の発電機、腕時計用電源、半導体駆動電源、(小型)センサー用電源等が挙げられる。
また、本発明の熱電変換材料及び本発明の熱電変換材料で形成される熱電変換層は、本発明の熱電変換素子、熱電発電素子用材料、熱電発電用膜又は各種導電性膜として好適に用いられ、具体的には、上述の発電素子用の熱電変換材料又は熱電発電用膜等として好適に用いられる。
以下、実施例によって本発明をより詳しく説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
[共重合体及びホモポリマーの合成]
共重合体1〜7及びホモポリマー1〜4を、アニリン誘導体又はピロール誘導体として下記モノマーを用いて、以下のようにして合成した。
共重合体1〜7及びホモポリマー1〜4を、アニリン誘導体又はピロール誘導体として下記モノマーを用いて、以下のようにして合成した。
合成例1(共重合体1の合成)
上記モノマー1(1mmol)と上記モノマー2(99mmol)をトルエン/酢酸ブチル混合溶媒(体積比80/20)100mLに溶解して、アニリン誘導体溶液1を調製した。
酸化剤としてFeCl3(300mmol)をトルエン/酢酸ブチル混合溶媒(体積比80/20)250mLに溶解し、温度計、攪拌機、空気導入管を付した反応器にろ過して不溶物を除きつつ、仕込んだ。この反応溶液に空気を60mL/hで吹き込みながら、アニリン誘導体溶液1を滴下ロートより滴下し、反応温度25±5℃で5時間反応させ、反応後メタノールを加えて反応を停止させた。反応スラリー液をろ過、洗浄、中和処理することにより、下記共重合体1を得た。この共重合体1の重量平均分子量は25,000であった。この分子量はジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン混合液を溶媒にGPC測定により、ポリスチレンを標準試料として求めた。以下の分子量も同様にして求めた。
上記モノマー1(1mmol)と上記モノマー2(99mmol)をトルエン/酢酸ブチル混合溶媒(体積比80/20)100mLに溶解して、アニリン誘導体溶液1を調製した。
酸化剤としてFeCl3(300mmol)をトルエン/酢酸ブチル混合溶媒(体積比80/20)250mLに溶解し、温度計、攪拌機、空気導入管を付した反応器にろ過して不溶物を除きつつ、仕込んだ。この反応溶液に空気を60mL/hで吹き込みながら、アニリン誘導体溶液1を滴下ロートより滴下し、反応温度25±5℃で5時間反応させ、反応後メタノールを加えて反応を停止させた。反応スラリー液をろ過、洗浄、中和処理することにより、下記共重合体1を得た。この共重合体1の重量平均分子量は25,000であった。この分子量はジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン混合液を溶媒にGPC測定により、ポリスチレンを標準試料として求めた。以下の分子量も同様にして求めた。
合成例2(共重合体2の合成)
アニリン誘導体溶液1に代えて、上記モノマー1(99mmol)と上記モノマー2(1mmol)をトルエン/酢酸ブチル混合溶媒(体積比80/20)100mLに溶解して調製したアニリン誘導体溶液2を用いた以外は合成例1と同様にして下記共重合体2を得た。この共重合体2の重量平均分子量は35,000であった。
アニリン誘導体溶液1に代えて、上記モノマー1(99mmol)と上記モノマー2(1mmol)をトルエン/酢酸ブチル混合溶媒(体積比80/20)100mLに溶解して調製したアニリン誘導体溶液2を用いた以外は合成例1と同様にして下記共重合体2を得た。この共重合体2の重量平均分子量は35,000であった。
合成例3(共重合体3の合成)
アニリン誘導体溶液1に代えて、上記モノマー3(50mmol)と上記モノマー4(50mmol)をトルエン/酢酸ブチル混合溶媒(体積比80/20)100mLに溶解して調製したアニリン誘導体溶液3を用いた以外は合成例1と同様にして下記共重合体3を得た。この共重合体3の重量平均分子量は27,000であった。
アニリン誘導体溶液1に代えて、上記モノマー3(50mmol)と上記モノマー4(50mmol)をトルエン/酢酸ブチル混合溶媒(体積比80/20)100mLに溶解して調製したアニリン誘導体溶液3を用いた以外は合成例1と同様にして下記共重合体3を得た。この共重合体3の重量平均分子量は27,000であった。
合成例4(共重合体4の合成)
アニリン誘導体溶液1に代えて、上記モノマー5(75mmol)と上記モノマー6(25mmol)をトルエン/酢酸ブチル混合溶媒(体積比80/20)100mLに溶解して調製したピロール誘導体溶液1を用いた以外は合成例1と同様にして下記共重合体4を得た。この共重合体4の重量平均分子量は38,000であった。
アニリン誘導体溶液1に代えて、上記モノマー5(75mmol)と上記モノマー6(25mmol)をトルエン/酢酸ブチル混合溶媒(体積比80/20)100mLに溶解して調製したピロール誘導体溶液1を用いた以外は合成例1と同様にして下記共重合体4を得た。この共重合体4の重量平均分子量は38,000であった。
合成例5(共重合体5の合成)
アニリン誘導体溶液1に代えて、上記モノマー5(25mmol)と上記モノマー7(75mmol)をトルエン/酢酸ブチル混合溶媒(体積比80/20)100mLに溶解して調製したピロール誘導体溶液2を用いた以外は合成例1と同様にして下記共重合体5を得た。この共重合体5の重量平均分子量は33,000であった。
アニリン誘導体溶液1に代えて、上記モノマー5(25mmol)と上記モノマー7(75mmol)をトルエン/酢酸ブチル混合溶媒(体積比80/20)100mLに溶解して調製したピロール誘導体溶液2を用いた以外は合成例1と同様にして下記共重合体5を得た。この共重合体5の重量平均分子量は33,000であった。
合成例6(共重合体6の合成)
アニリン誘導体溶液1に代えて、上記モノマー8(75mmol)と上記モノマー9(25mmol)をトルエン/酢酸ブチル混合溶媒(体積比80/20)100mLに溶解して調製したピロール誘導体溶液3を用いた以外は合成例1と同様にして下記共重合体6を得た。この共重合体6の重量平均分子量は31,000であった。
アニリン誘導体溶液1に代えて、上記モノマー8(75mmol)と上記モノマー9(25mmol)をトルエン/酢酸ブチル混合溶媒(体積比80/20)100mLに溶解して調製したピロール誘導体溶液3を用いた以外は合成例1と同様にして下記共重合体6を得た。この共重合体6の重量平均分子量は31,000であった。
合成例7(共重合体7の合成)
窒素雰囲気下、上記モノマー10(50mmol)と上記モノマー11(50mmol)をPd2dba3(1mmol)、トリス(o−トリル)ホスフィン(4mmol、20質量%テトラエチルアンモニウム ヒドロキシド(0.5mL)を加え、トルエン中にて5時間加熱還流した。反応後メタノール300mLを加えて反応を停止させた。反応スラリー液をろ過、洗浄、中和処理、脱保護処理をすることにより、下記共重合体7を得た。この共重合体7の重量平均分子量は12,000であった。
窒素雰囲気下、上記モノマー10(50mmol)と上記モノマー11(50mmol)をPd2dba3(1mmol)、トリス(o−トリル)ホスフィン(4mmol、20質量%テトラエチルアンモニウム ヒドロキシド(0.5mL)を加え、トルエン中にて5時間加熱還流した。反応後メタノール300mLを加えて反応を停止させた。反応スラリー液をろ過、洗浄、中和処理、脱保護処理をすることにより、下記共重合体7を得た。この共重合体7の重量平均分子量は12,000であった。
比較合成例1(ホモポリマー1の合成)
上記モノマー1(100mmol)のみを用いて合成例1と同様にして反応を行い、ホモポリマー1を得た。このホモポリマー1はオルトジクロロベンゼンに不溶性で、重量平均分子量を求められなかった。
上記モノマー1(100mmol)のみを用いて合成例1と同様にして反応を行い、ホモポリマー1を得た。このホモポリマー1はオルトジクロロベンゼンに不溶性で、重量平均分子量を求められなかった。
比較合成例2(ホモポリマー2の合成)
上記モノマー2(100mmol)のみを用いて実施例1と同様にして反応を行い、重量平均分子量が25,000のホモポリマー2を得た。
上記モノマー2(100mmol)のみを用いて実施例1と同様にして反応を行い、重量平均分子量が25,000のホモポリマー2を得た。
比較合成例3(ホモポリマー3の合成)
上記モノマー5(100mmol)のみを用いて実施例1と同様にして反応を行い、ホモポリマー3を得た。このホモポリマー3はオルトジクロロベンゼンに不溶性で、重量平均分子量を求められなかった。
上記モノマー5(100mmol)のみを用いて実施例1と同様にして反応を行い、ホモポリマー3を得た。このホモポリマー3はオルトジクロロベンゼンに不溶性で、重量平均分子量を求められなかった。
比較合成例4(ホモポリマー4の合成)
上記モノマー9(15mmol)のみを用いて実施例1と同様にして反応を行い、ホモポリマー4を得た。このホモポリマー4はオルトジクロロベンゼンに不溶性で、重量平均分子量を求められなかった。
上記モノマー9(15mmol)のみを用いて実施例1と同様にして反応を行い、ホモポリマー4を得た。このホモポリマー4はオルトジクロロベンゼンに不溶性で、重量平均分子量を求められなかった。
実施例1 [テープ剥離試験]
共重合体1 4mg、単層CNT(ASP−100F、Hanwha Nanotech社製、分散物(CNT濃度60質量%)、CNTの平均長さ10μm、直径1.1nm)3mg及び下記に示すドーパント2mgを、オルトジクロロベンゼン4.0mL中に添加し、超音波水浴にて70分間分散させた。この混合液を、電極として金(厚み20nm、長さ1cm、幅:1cm)を片側表面に有するポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:125μm)の電極表面に、ガラス棒を用いてバー塗布し、80℃にて80分間加熱して溶媒を除去した後。その後、80℃の真空下にて8時間乾燥させることにより熱電変換層14である本発明の熱電変換層101を成膜した。なお、実施例1で用いたポリエチレンテレフタレートフィルムは、上述のASTM D2176に規定の測定法による耐屈曲回数MITが5万サイクル以上のフレキシビリティーを有していた。
共重合体1 4mg、単層CNT(ASP−100F、Hanwha Nanotech社製、分散物(CNT濃度60質量%)、CNTの平均長さ10μm、直径1.1nm)3mg及び下記に示すドーパント2mgを、オルトジクロロベンゼン4.0mL中に添加し、超音波水浴にて70分間分散させた。この混合液を、電極として金(厚み20nm、長さ1cm、幅:1cm)を片側表面に有するポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:125μm)の電極表面に、ガラス棒を用いてバー塗布し、80℃にて80分間加熱して溶媒を除去した後。その後、80℃の真空下にて8時間乾燥させることにより熱電変換層14である本発明の熱電変換層101を成膜した。なお、実施例1で用いたポリエチレンテレフタレートフィルムは、上述のASTM D2176に規定の測定法による耐屈曲回数MITが5万サイクル以上のフレキシビリティーを有していた。
共重合体の種類、ドーパントの有無及び/又は溶媒の種類を表1に示すように変更した以外は熱電変換層101と同様にして、本発明の熱電変換層102〜111及び比較の熱電変換層c101〜c104を成膜した。
上記のようにして作製した各熱電変換層101〜111(108を除く。)及びc101〜c104を、乾燥後に、紫外線照射機(アイグラフィックス株式会社製、ECS−401GX)により紫外線を照射して(光量:1.06J/cm2)、ドーピングした。その後、熱電変換層の表面に、スコッチテープ(商品名、住友スリーエム株式会社製)を熱電変換層の表面に気泡の入らないように貼り付けて、勢い良くスコッチテープを剥がして、剥離テストを行った。
剥離テストの評価は、熱電変換層の剥離面積によって5段階で評価した。すなわち、熱電変換層がまったく剥離しなかった場合をA、面積にして0%を超え25%以下剥離した場合をB、面積にして25%を超え75%以下剥離した場合をC、75%を超え100%未満剥離した場合をD、全面剥離した場合をEとした。テープ剥離試験は剥離した熱電変換層の面積が小さいほど、第1の電極12に対する密着性が優れていると判断でき、評価結果がB以上であると、実用上十分な電極密着性を発揮する。結果を表1に示す。
剥離テストの評価は、熱電変換層の剥離面積によって5段階で評価した。すなわち、熱電変換層がまったく剥離しなかった場合をA、面積にして0%を超え25%以下剥離した場合をB、面積にして25%を超え75%以下剥離した場合をC、75%を超え100%未満剥離した場合をD、全面剥離した場合をEとした。テープ剥離試験は剥離した熱電変換層の面積が小さいほど、第1の電極12に対する密着性が優れていると判断でき、評価結果がB以上であると、実用上十分な電極密着性を発揮する。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、アニリン由来又はピロール由来の共重合体単位を2種有するポリアニリン共重合体及びポリピロール共重合体を含有する共重合体1〜7とCNTとを含有する本発明の熱電変換層101〜111は、いずれも、第1の電極12に対する密着性が高かった。これは、アニリン由来の共重合体単位又はピロール由来の共重合体単位を2種有するポリアニリン共重合体及びポリピロール共重合体が好適なナノ導電性材料であるカーボンナノチューブの存在下においても高度に分散して凝集体を形成しにくく、これらポリアニリン共重合体及びポリピロール共重合体とカーボンナノチューブとを含有する熱電変換層に高い電極密着性を発揮させたものと考えられる。
また、共重合体1及びハロゲン系溶媒を用いた本発明の熱電変換層101、108〜110はテープ剥離試験の評価結果がAであり、共重合体1及びテトラヒドロフランを用いた本発明の熱電変換層111の評価結果Bよりも優れ、高い密着性を有していた。
これに対し、ホモポリマー1、3及び4は、いずれも、オルトジクロロベンゼンに不溶解であるため、またホモポリマー2はオルトジクロロベンゼンに溶解するものの疎水性を有する置換基の影響が大きいため、ホモポリマー1〜4を用いた比較の熱電変換層c101〜c104は、いずれも、第1の電極12に対する密着性に劣っていた。
また、共重合体1及びハロゲン系溶媒を用いた本発明の熱電変換層101、108〜110はテープ剥離試験の評価結果がAであり、共重合体1及びテトラヒドロフランを用いた本発明の熱電変換層111の評価結果Bよりも優れ、高い密着性を有していた。
これに対し、ホモポリマー1、3及び4は、いずれも、オルトジクロロベンゼンに不溶解であるため、またホモポリマー2はオルトジクロロベンゼンに溶解するものの疎水性を有する置換基の影響が大きいため、ホモポリマー1〜4を用いた比較の熱電変換層c101〜c104は、いずれも、第1の電極12に対する密着性に劣っていた。
実施例2 [熱電特性(熱起電力S)の測定]
上記共重合体1 4mg、単層CNT(ASP−100F、Hanwha Nanotech社製)3mg及び上述のドーパント2mgを、オルトジクロロベンゼン4.0mL中に添加し、超音波水浴にて70分間分散させた。この混合液を、第1の電極12(厚み20nm、長さ1cm、幅:1cm)として金を片側表面に有するポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:125μm)製の基材11の電極12表面に、ガラス棒を用いてバー塗布し、80℃にて80分間加熱して溶媒を除去した後。その後、80℃の真空下にて8時間乾燥させることにより熱電変換層14を形成した。この熱電変換層14を、乾燥後に、紫外線照射機(アイグラフィックス株式会社製、ECS−401GX)により紫外線を照射して(光量:1.06J/cm2)、ドーピングした。その後、熱電変換層14の上部に、第2の電極15(厚み20nm、長さ1cm、幅:1cm)として金を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:125μm)製の基材16を、第2の電極15が熱電変換層14に対向するように、80℃にて貼り合わせて、図1に示される熱電変換素子1である本発明の熱電変換素子201を作製した。なお、実施例2で用いたポリエチレンテレフタレートフィルムは、上述のASTM D2176に規定の測定法による耐屈曲回数MITが5万サイクル以上のフレキシビリティーを有していた。
上記共重合体1 4mg、単層CNT(ASP−100F、Hanwha Nanotech社製)3mg及び上述のドーパント2mgを、オルトジクロロベンゼン4.0mL中に添加し、超音波水浴にて70分間分散させた。この混合液を、第1の電極12(厚み20nm、長さ1cm、幅:1cm)として金を片側表面に有するポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:125μm)製の基材11の電極12表面に、ガラス棒を用いてバー塗布し、80℃にて80分間加熱して溶媒を除去した後。その後、80℃の真空下にて8時間乾燥させることにより熱電変換層14を形成した。この熱電変換層14を、乾燥後に、紫外線照射機(アイグラフィックス株式会社製、ECS−401GX)により紫外線を照射して(光量:1.06J/cm2)、ドーピングした。その後、熱電変換層14の上部に、第2の電極15(厚み20nm、長さ1cm、幅:1cm)として金を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:125μm)製の基材16を、第2の電極15が熱電変換層14に対向するように、80℃にて貼り合わせて、図1に示される熱電変換素子1である本発明の熱電変換素子201を作製した。なお、実施例2で用いたポリエチレンテレフタレートフィルムは、上述のASTM D2176に規定の測定法による耐屈曲回数MITが5万サイクル以上のフレキシビリティーを有していた。
共重合体の種類又は有無、ドーパントの有無及び/又は溶媒の種類を表2に示すように変更した以外は熱電変換素子201と同様にして、本発明の熱電変換層202〜211及び比較の熱電変換層c201〜c205を成膜した。なお、ドーパントを用いていない場合は上述の紫外線照射によるドーピング処理は実施していない。
上記のようにして作製した各熱電変換素子201〜211及びc201〜c205について、下記の方法により、単位温度差当たりの熱起電力(熱電特性ともいう)を測定した。
熱電変換素子の第1の電極13を一定温度に保ったホットプレート上に設置し、第2の電極15上に温度制御用のペルチェ素子を設置した。ホットプレートの温度を一定(100℃)に保ちつつ、ペルチェ素子の温度を低下させることにより両電極間に温度差(0Kを超え10K以下の範囲)を付与した。この時、両電極間に発生した熱起電力(μV)を両電極間に生じた特定の温度差(K)で除することにより、単位温度差当たりの熱起電力S(μV/K)を算出し、この値を熱電変換素子の熱電特性値とした。算出した熱電特性値を、比較の熱電変換素子c205の算出値に対する相対値(熱電変換素子c205の算出値を「50」に設定した。)として、表2に示す。
熱電変換素子の第1の電極13を一定温度に保ったホットプレート上に設置し、第2の電極15上に温度制御用のペルチェ素子を設置した。ホットプレートの温度を一定(100℃)に保ちつつ、ペルチェ素子の温度を低下させることにより両電極間に温度差(0Kを超え10K以下の範囲)を付与した。この時、両電極間に発生した熱起電力(μV)を両電極間に生じた特定の温度差(K)で除することにより、単位温度差当たりの熱起電力S(μV/K)を算出し、この値を熱電変換素子の熱電特性値とした。算出した熱電特性値を、比較の熱電変換素子c205の算出値に対する相対値(熱電変換素子c205の算出値を「50」に設定した。)として、表2に示す。
表2から明らかなように、アニリン由来又はピロール由来の共重合体単位を2種有するポリアニリン共重合体及びポリピロール共重合体を含有する共重合体1〜7とCNTとを含有する本発明の熱電変換素子201〜211は、いずれも、高い熱電変換性能を発揮した。その理由は、実施例1で述べた通り、共重合体1〜7が好適なカーボンナノチューブの存在下においても高度に分散していることによるものと、考えられる。
また、共重合体1及びハロゲン系溶媒を用いた本発明の熱電変換層201、208〜210は、共重合体1及びテトラヒドロフランを用いた本発明の熱電変換層211よりも、高い熱電変換性能を有していた。
一方、ホモポリマー1、3及び4は、いずれも、オルトジクロロベンゼン等の溶媒に不溶解で、カーボンナノチューブとの混合時に十分に分散せず、凝集した。その結果、比較の熱電変換素子c201、c203及びc204は熱電特性に劣っていた。ホモポリマー2はオルトジクロロベンゼンに溶解するものの、疎水性を有する置換基の影響が大きく、熱電変換素子c202は熱電特性に劣っていた。
また、共重合体1及びハロゲン系溶媒を用いた本発明の熱電変換層201、208〜210は、共重合体1及びテトラヒドロフランを用いた本発明の熱電変換層211よりも、高い熱電変換性能を有していた。
一方、ホモポリマー1、3及び4は、いずれも、オルトジクロロベンゼン等の溶媒に不溶解で、カーボンナノチューブとの混合時に十分に分散せず、凝集した。その結果、比較の熱電変換素子c201、c203及びc204は熱電特性に劣っていた。ホモポリマー2はオルトジクロロベンゼンに溶解するものの、疎水性を有する置換基の影響が大きく、熱電変換素子c202は熱電特性に劣っていた。
実施例3 [金属元素の添加]
共重合体1 4mg、単層CNT(ASP−100F、Hanwha Nanotech社製)3mg及び表3に示される添加量で塩化パラジウムを、オルトジクロロベンゼン4.0mL中に添加し、超音波水浴にて70分間分散させた。この混合液を、第1の電極12(厚み20nm、長さ1cm、幅:1cm)として金を片側表面に有するポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:125μm)製の基材11の電極12表面に、ガラス棒を用いてバー塗布し、80℃にて80分間加熱して溶媒を除去した後。その後、80℃の真空下にて8時間乾燥させることにより熱電変換層14を形成した。その後、熱電変換層14の上部に、第2の電極15(厚み20nm、長さ1cm、幅:1cm)として金を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:125μm)製の基材16を、第2の電極15が熱電変換層14に対向するように、80℃にて貼り合わせて、図1に示される熱電変換素子1である本発明の熱電変換素子301を作製した。なお、実施例3で用いたポリエチレンテレフタレートフィルムは、上述のASTM D2176に規定の測定法による耐屈曲回数MITが5万サイクル以上のフレキシビリティーを有していた。
共重合体1 4mg、単層CNT(ASP−100F、Hanwha Nanotech社製)3mg及び表3に示される添加量で塩化パラジウムを、オルトジクロロベンゼン4.0mL中に添加し、超音波水浴にて70分間分散させた。この混合液を、第1の電極12(厚み20nm、長さ1cm、幅:1cm)として金を片側表面に有するポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:125μm)製の基材11の電極12表面に、ガラス棒を用いてバー塗布し、80℃にて80分間加熱して溶媒を除去した後。その後、80℃の真空下にて8時間乾燥させることにより熱電変換層14を形成した。その後、熱電変換層14の上部に、第2の電極15(厚み20nm、長さ1cm、幅:1cm)として金を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:125μm)製の基材16を、第2の電極15が熱電変換層14に対向するように、80℃にて貼り合わせて、図1に示される熱電変換素子1である本発明の熱電変換素子301を作製した。なお、実施例3で用いたポリエチレンテレフタレートフィルムは、上述のASTM D2176に規定の測定法による耐屈曲回数MITが5万サイクル以上のフレキシビリティーを有していた。
金属塩の種類又は添加量を表3に示すように変更した以外は熱電変換素子301と同様にして、本発明の熱電変換素子302〜304を作製した。
上記のようにして作製した各熱電変換素子301〜304について、実施例2と同様にして、熱電特性を測定し、算出した熱電特性値を、比較の熱電変換素子c205の算出値に対する相対値として、結果を表3に示す。
表3から明らかなように、アニリン由来又はピロール由来の共重合体単位を2種有するポリアニリン共重合体及びポリピロール共重合体及びCNTに加えて金属元素を含有する本発明の熱電変換素子301〜304は、いずれも比較の熱電変換素子c205の相対値に対して、熱電変換特性が向上していた。
1、2 熱電変換素子
11、17 金属板
12、22 第1の基材
13、23 第1の電極
14、24 熱電変換層
15、25 第2の電極
16、26 第2の基材
11、17 金属板
12、22 第1の基材
13、23 第1の電極
14、24 熱電変換層
15、25 第2の電極
16、26 第2の基材
Claims (13)
- 前記共重合体単位A及びBの重合度の比(m/n)が、1/99〜99/1である請求項1に記載の熱電変換素子。
- 前記共重合体単位Aが、a1が0である一般式(2)で表される共重合体単位、b1が0である一般式(3)で表される共重合体単位、c1が0である一般式(4)で表される共重合体単位及びd1が0である一般式(5)で表される共重合体単位からなる群より選択される共重合体単位であり、
前記共重合体単位Bが、a1が1〜4の整数である一般式(2)で表される共重合体単位、b1が1又は2である一般式(3)で表される共重合体単位、c1が1〜4の整数である一般式(4)で表される共重合体単位及びd1が1〜6の整数である一般式(5)で表される共重合体単位からなる群より選択される共重合体単位である請求項3に記載の熱電変換素子。 - 前記X11〜X14が、水素原子である請求項3又は4のいずれか1項に記載の熱電変換素子。
- 前記共重合体単位A及びBが、いずれも、前記一般式(2)で表される共重合体単位である請求項3〜5のいずれか1項に記載の熱電変換素子。
- 前記共重合体単位A及びBが、いずれも、前記一般式(3)で表される共重合体単位である請求項3〜5のいずれか1項に記載の熱電変換素子。
- 前記共重合体単位Aが、前記共重合体単位Bよりも小さな分子量を有している請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱電変換素子。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱電変換素子を用いた熱電発電用物品。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱電変換素子を用いたセンサー用電源。
- 有機溶媒を含む請求項11に記載の熱電変換材料。
- 前記有機溶媒が、ハロゲン系溶媒から選択される少なくとも1種である請求項12に記載の熱電変換材料。
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