JP5595475B2 - 摩擦攪拌用ツール - Google Patents

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Description

本発明は、摩擦撹拌用ツールに関する。
被接合材よりも実質的に硬い材質の円柱状部材(以下、回転ツール、攪拌ツール又は摩擦撹拌用ツールと呼ぶ。単にツールと呼ぶこともある。)を回転させながら被接合材の接合部に挿入し、この回転ツールを回転させながら移動することによって、上記回転ツールと上記被接合材との間で発生する摩擦熱により接合する摩擦攪拌接合方法がある。
特許文献1には、結合領域(2)で加工物(1A、1B)を結合する方法において、結合領域(2)及び結合領域の両方の側部の加工物の対向部分に、加工物の材質より硬い材質のプローブ(3)を挿入させ、プローブと加工物の間に相対的な循環運動を発生させ、摩擦熱が発生して対向する部分に塑性状態を生じさせ、プローブ(3)を取り外し、可塑性部分を凝固させて、加工物同士を結合することにより、加工物の間の相対的な移動なしに加工物を結合することを特徴とする摩擦溶接方法が開示されている。この接合方法は、回転ツールと被接合材との摩擦熱により被接合材を軟化させ、回転ツールの回転に伴う塑性流動現象を利用したものであり、被接合材を溶かして溶接する方法、例えば、アーク溶接などとは異なる原理に基づいている。
特許文献2には、円柱形状の回転体とその端面のショルダから同軸上に突設したプローブとを有し、一対の被接合部材を突き合わせた接合部に回転させながらプローブを挿入し、発生する摩擦熱によって軟化させつつ攪拌させて接合させる摩擦攪拌接合用工具において、前記プローブと前記回転体とが着脱可能であって、前記プローブが超硬合金又はコバルト系合金鋼(MP159)によって形成されたものであることを特徴とする摩擦攪拌接合用工具が開示されている。
特許文献3には、金属同士の接合部を摩擦撹拌して一体化するための摩擦攪拌接合のための回転ツールであって、金属に接触する部位の表面に接合材金属の付着を阻止する付着阻止皮膜を形成したことを特徴とする回転ツールが開示されている。
特許文献4には、金属製ワークよりも硬い材質からなる摩擦撹拌接合用ツールを、一対の金属製ワークの突き合わせ部に回転させながら押圧、挿入して、前記金属製ワークを摩擦撹拌接合する摩擦撹拌接合用ツールにおいて、金属で形成される中心部材と、前記中心部材の少なくとも前記金属製ワークと摩擦接触する領域を覆うセラミック部材と、を有し、前記セラミック部材は、Siの窒化物からなり、前記中心部材は、Fe、Ni、Co及びWの少なくとも1種を主成分とする耐熱性の合金であることを特徴とする摩擦撹拌接合用ツールが開示されている。
特許文献5には、金属基複合材料(MMCs)、鉄合金、非鉄合金及び超合金を摩擦攪拌接合することができる摩擦攪拌接合工具であって、軸部、肩部及びピンと、前記肩部及びピンの少なくとも一部分に配置された高耐摩耗性材料とを含み、前記肩部は該肩部の前記軸部に対する回転運動を防ぐために前記軸部に機械的に固定され、前記高耐摩耗性材料は第1相及び第2相を有し、前記高耐摩耗性材料は超高温及び超高圧の下で製造され、MMCs、鉄合金、非鉄合金及び超合金を機能上摩擦攪拌接合することができる、摩擦攪拌接合用工具が開示されている。
特許文献6には、1600℃以上の高融点を有する金属若しくは合金を被加工物として摩擦攪拌接合することができる摩擦攪拌接合用工具であって、少なくとも前記被加工物に接触させる部分が、イリジウムを主成分とし、レニウム、ルテニウム、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、ジルコニウム又はハフニウム或いはこれらの2種以上を副成分として含有する組成を有し、且つ、マイクロビッカース硬度が200Hv以上の硬度を有することを特徴とする摩擦攪拌接合用工具が開示されている。
特許文献7には、回転する回転子の先端面から延出されたプローブピンを、被接合部材の接合部に圧入させ、この接合部に沿ってプローブピンを移動させて、接合部において被接合部材を摩擦攪拌接合させる摩擦攪拌接合用ツールにおいて、少なくとも上記の被接合部材と接触するプローブピン及び回転子の部分を、Coを5〜18重量%含有するWC系の超硬合金で構成したことを特徴とする摩擦攪拌接合用ツールが開示されている。
特許文献8には、質量比でAl:0.1〜10%、W:3.0〜45%、残部が不可避的不純物を除きCoの組成、及び原子比でCo3(Al、W)のL1型金属間化合物が析出した金属組織で特徴付けられる高耐熱性、高強度Co基合金が開示されている。
特許2712838号公報 特開2008−36664号公報 特開2005−152909号公報 特開2004−82144号公報 特表2003−532543号公報 特開2006−320958号公報 特開2005−199281号公報 国際公開2007/032293号公報
本発明の目的は、高温強度が高く、かつ、高温度における耐摩耗性に優れ、生産性に優れた摩擦攪拌用ツールを提供することにある。
本発明の摩擦攪拌用ツールは、A1構造を示すγ相と、前記γ相中に析出したL1 構造を示すγ’相を有するCo基合金で形成され、前記γ’相は(Co,X) (Al,W,Z)よりなり、前記Co基合金は、Niを30−40at%含むことを特徴とする。ここで、Xは主としてNi、Zは主としてCr及びTaである。
本発明によれば、鋳造で生産コストを低減し、生産性に優れ、高温度での摩耗の少ない摩擦攪拌用の回転ツールが提供できる。また、上記ツールを用いることで、TiやZrなどの難溶接材料も容易に接合できる。
本発明による実施例の回転ツールの構成を示す側面図である。 本発明の回転ツールの材料であるCo基合金インゴットの外観写真である。 本発明による実施例のCo基合金インゴットのミクロ組織を示す電子顕微鏡写真である。 本発明のCo基合金回転ツールを用いて作製したSS400材鉄鋼材料の接合部を示す外観写真である。 本発明のCo基合金製回転ツールを接合に用いた後の表面部を示す外観写真である。 本発明のCo基合金製回転ツールを用いて作製したTi−15V−3Cr−3Sn−3Al材の突き合わせ接合部を示す外観写真である。
本発明は、材料を摩擦攪拌により、接合又は改質する摩擦撹拌用のツールに関する。
アルミニウム合金のような低融点金属材料の摩擦攪拌接合においては、すでに実用化に至っている。一方、鉄鋼材料のような高融点材料の摩擦攪拌接合においても比較的早くから報告されているが、鉄鋼材料における摩擦攪拌接合の研究報告例はアルミニウム合金などに比べるとかなり少ない。
アルミニウム合金の接合に一般的に用いられている工具鋼製の回転ツールを鉄鋼材料の接合に適用した場合、ツールが熱変形するため、接合が容易ではないことがその理由の一つとして挙げられる。鉄鋼材料のような高融点材料の摩擦攪拌接合における回転ツール材料の特性としては、高温強度、耐摩耗性、非反応性などが要求される。
特許文献5には、鉄鋼材料及び高融点材料用の接合に適した回転ツールの材料として、PCBN(米国MegaStir製のPolycrystalline Cubic Boron Nitride)のようなセラミック材料が記載されている。
セラミック材料は、一般に、高温での強度は高いが、室温での切削が困難であるため、様々なツール形状に加工することが容易ではない。また、焼結により作製するため、生産性の点で改善の余地がある。
一方、Co基合金(コバルト基合金)も比較的に高温強度が高く、回転ツールとして有望と考えられている。Co合金を回転ツールに適用できることについては、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献6、特許文献7などに記載されている。
Co基合金はセラミック材料と比べて室温での切削性が比較的良いため、様々な形状に比較的に簡単に加工ができることから、経済的な利点が期待できる。しかし、上記Co基合金においては800℃を超える温度で素材の強度が急激に低下するため、上記Co基合金を鉄鋼材料のような高融点材料の接合における回転ツールとして用いた場合は、ツール素材自体の劣化が進み、ツールの摩耗や破損が生じてしまう。
特許文献8には、1000℃付近の高温(鉄鋼材料の摩擦攪拌接合における一般的な接合温度)でも急激な強度低下を抑制可能と思われるCo基合金が記載されている。特許文献8には、γ’強化型のCo−4Al−26.9W(質量%)の3元系合金において、Ni含有量の増加とともに、高温強度を維持する上で最も重要なγ’固溶温度が上昇していることが記載されている。
攪拌ツールの要求特性としては、高温強度以外にも耐摩耗性が挙げられる。一方、特許文献8に記載されているCo基合金において、耐摩耗性に影響を及ぼす因子については明らかではない。上記因子としては、γ’固溶温度のみならずγ’の量(体積分率)やその他の析出物などが考えられる。
上記の回転ツールにおける耐摩耗性の課題は、回転ツールの材質として、L1構造を示すCo(Al,W)のγ’相を体積分率で10%から80%まで析出させたCo基合金を用いることで解決できる。
γ’相の体積分率を10%から80%に限定した理由は次の通りである。
γ’相の体積分率が10%以下では、高温強度を維持できなくなり摩擦攪拌用のツールの一部が変形してしまい、耐摩耗性も十分でなかった。一方、γ’相の体積分率が80%以上になると、B2構造のβ相などが過剰に析出して耐摩耗性が低下してしまった。
上記Co基合金の特徴に加えて、μ相、ラーベス相及び炭化物(炭化物相とも呼ぶ。)から選択される1種又は2種以上(少なくとも1種類の相)を析出させたCo基合金を回転ツールに用いることで解決できる。
摩擦攪拌の攪拌温度域において、高温強度及び耐摩耗性を維持できるCo基合金の化学組成としては、10at%程度のAl、7.5at%程度のW、3at%程度のTa、10at%程度のCr、0.06at%程度のB、0.6at%程度のCを含み、Niを30at%または40at%程度含有することが望ましい。また、Coが25at%以上含有することが望ましい。ここで、at%は、原子%とも表記できる単位であり、合金を構成するすべての原子数に対する各構成原子の原子数を表す。
上記の組成範囲のCo基合金における室温での耐力は約800MPaであり、比較的に切削しやすい。また、上記Co基合金は精密鋳造が可能であるため、ツール生産における経済効果も大きいと判断できる。
本発明の摩擦攪拌用ツールは、円柱状のシャンク部、このシャンク部の端部に形成されたショルダ部及びこのショルダ部の端部に形成されたピン部を含むことを特徴とする。前記Co基合金を用いて鋳造された一体成形物、もしくは切削加工物であることが好ましい。本発明の摩擦攪拌用ツールは、摩擦攪拌接合装置に搭載され使用される。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
[実施例1]
図1は、本発明の回転ツールにおけるツール構成の一例である。
摩擦攪拌用ツール101は、精密鋳造により作製したインゴットから一体に切削加工したものである。摩擦攪拌用ツール101を一体に加工することにより、ツール剛性を向上できると共に、ツール作製の簡便化を図ることができ、大幅にコストを削減することが可能である。
摩擦攪拌用ツール101は、接合装置の主軸と連結されるシャンク部102と接合時に被接合材の表面と接触するショルダ部103と接合時に被接合材に挿入されるピン部104とに構成されている。
ツール101の形状として、ショルダ部103の直径が15mmのものを用いた。ピン部104は、ショルダ部103に接続されているピン‐ショルダ接続部105における直径が6mm、ピン先端部106で3.5mmであった。ピン部104の長さは1.8mmにした。被接合材である鉄系材料の厚みは、4mmのものを使用した。接合条件として、ツール101の回転速度及び接合速度にはそれぞれ250回転/分及び500mm/分を用いた。
図2は、精密鋳造により作製したCo基合金インゴットの外観写真である。
インゴットは、Co−40Ni−10Al−7.5W−3Ta−10Cr−0.06B−0.6Cの組成で作製した。単位はすべてat%(原子%:合金を構成するすべての原子数に対する各構成原子の原子数)である。Coの含有量は約29%である。インゴットの外径は約30mm、長さは押し湯の部分を除き100mm程度であった。摩擦攪拌用の回転ツールを作製するに充分な大きさである。また、インゴットは数分程度の非常に短い時間で作製可能であり、生産性に優れていることを確認した。更に、精密鋳造によりニアネット形状のツールが作製可能であることを確認した。
インゴットを作製した後、1250℃で熱処理して空冷し、その後、1000℃で熱処理した。これは、高温強度を維持するに必要である、L1構造を示す(Co、X)(Al、W、Z)のγ’相を析出させるためである。ここで、Xは主としてNiであり、Zは主としてCr及びTaである。また、上記の熱処理の温度は、耐摩耗性や粒界強化に効果的な、μ相、ラーベス相、炭化物を析出にも有効である。
図3に前記インゴットのミクロ組織写真を示す。
インゴットは、結晶粒301と、結晶粒301の粒内のA1構造のγ相に細かく分散析出したγ’析出相302と、結晶粒界303と、結晶粒界303に存在する析出相304とを含む構成である。γ’析出相302の体積分率は約60%である。析出相304は、μ相、ラーベス相及び炭化物相の中の一種類又は複数種類の相である。析出相304は、粒界を安定させる成分(粒界安定成分)である。ここで、結晶粒301は、結晶粒界303に囲まれ、Coマトリクスに多数のγ’析出相302(γ’粒子)を分散させた1個の粒子である。
すなわち、インゴットは、分散して析出したγ’析出相を含有する結晶粒と、相隣る前記結晶粒の間に挟まれた結晶粒界及び析出相とを含むCo基合金で形成され、前記析出相が、μ相、ラーベス相及び炭化物相から選択される少なくとも1種類の相であることを特徴とする。特に、γ’析出相がCo (Al、W)、もしくは(Co、X) (Al、W、Z)の組成を有することが好ましい。
このようなミクロ組織は高温強度及び耐摩耗性の向上に有効である。
図2で示したインゴットを加工して作製した摩擦攪拌用ツールを用いて、SS400の鉄系材料に接合を行った。
図4は、図2で示したインゴットを図1の形状に加工して作製した摩擦攪拌用ツールを用いて接合したSS400鉄鋼材料(鉄系材料)の接合部を示す外観写真である。
本図(前記SS400材の接合部)に示すように、本発明の摩擦攪拌用ツールを用いて前記SS400材の摩擦攪拌接合が可能であることを確認した。
接合条件として、ツール101の回転速度及び接合速度にはそれぞれ250回転/分及び500mm/分を用いた。接合距離は360mmとし、複数回の繰り返し接合した。接合距離に伴う摩擦攪拌用ツールの形状変化を観察し、摩擦攪拌用ツールの性能を評価した。
図5は、360mmを2回接合した後のツール表面部外観及び37回接合後の外観を示したものである。それぞれのトータル接合距離は、0.72m及び13.32mである。
本図からわかるように、13.32m(37回)の接合においても、ピン部及びショルダ部に明瞭な損傷は見当たらない。ピン部及びショルダ部に接合材が若干付着したため、接合後のツールにおける形状変化は明確に計測できていないが、摩耗はほとんど生じていないことが明らかとなった。
上記ツールを用いて継続寿命評価を実施した結果、45m以上のトータル接合距離においてもツールの摩耗が少なく、ツールして使用できることを確認した。
以上の結果より、SS400鉄鋼材料に対する該Co基合金ツールは変形及び摩耗の少ない摩擦攪拌ツールを提供できることが実証できた。
[実施例2〜4]
鉄系材料のほかにも、純チタンやチタン合金に図1の摩擦攪拌用ツール101を用いて摩擦攪拌接合を適用可能であるとの知見が得られた。本実施例で使用したチタン材は、工業用純Ti(実施例2)、チタン合金Ti−6Al−4V(実施例3)、チタン合金Ti−15V−3Cr−3Sn−3Al(実施例4)である。
接合条件として、ツール101の回転速度及び接合速度にはそれぞれ200回転/分及び100mm/分を用いた。
図6は、図1の摩擦攪拌用ツール101を用いて接合したTi−15V−3Cr−3Sn−3Al材の突き合わせ接合部の外観写真である。
本図から、整然とした表面ビードが得られていることがわかる。また、摩擦攪拌用ツールのショルダ部及びピン部における摩耗・変形は見られなかった。本実施例では、接合後のツールの外観検査等で、前記Co基合金製回転ツールとチタン合金との反応はほとんど起きていないことがわかった。
以上の結果より、本発明の摩擦攪拌用ツールは、チタン合金の摩擦攪拌接合にも有効であることが明らかである。
[実施例5]
以下に、Co−30Ni−9.5Al−7.8W−2Ta−10Cr−0.06B−0.6Cの組成を有するCo基合金で形成された摩擦攪拌用ツールの結果を示す。単位はすべてat%である。Coの含有量は約40%である。このツールをツール201とする。ツール201はツール101と同様の手法で作製された。上記ツール201におけるγ’析出相の体積分率は約45%である。
示差走査熱量測定(DSC)により、γ’析出物の固溶温度を測定した結果を表1に示す。表中、ツール101、すなわち、40at%のNiを含む合金の場合、γ’固溶温度は1163℃であり、ツール201、すなわち、30at%のNiを含む合金の場合、γ’固溶温度は1094℃である。
Figure 0005595475
本実施例の上記ツール201は、表1に示すDSCの結果から、γ’析出物の固溶温度は1094℃である。これは、本実施例の摩擦攪拌用ツールにおけるNi、Taの含有量が実施例1の摩擦攪拌用ツール101に比べて低いためである。ツール101およびツール201におけるγ’相の固溶温度は、鉄鋼材料SS400における接合温度(1000℃)より高く、上記ツールのγ’相は接合中においても安定であると考えられる。
実施例1と同様にして、本実施例の摩擦攪拌用ツールによりSS400の鉄系材料に接合を行った。本実施例の摩擦攪拌用ツールも、実施例1の摩擦攪拌用ツールと同様の形状とした。また、接合条件も実施例1と同様の条件を用いた。接合距離は360mmとし、複数回繰り返し接合を行った。
その結果、本実施例の場合もSS400材の摩擦攪拌接合が可能であることを確認した。
[実施例6〜12]
実施例6から12の結果を実施例1から5の結果と併せて表2に示す。
表2には、ツール101とツール201を様々な接合材料に適用した例を示す。
ツール101とツール201を、融点の低いアルミニウム合金から融点の高いステンレス鋼、Ti合金、Zr合金で、問題なく適用できることを確認した。
接合後にツールの表面を観察し、ツールの損傷や表面への接合材料の付着がなく、接合部に欠陥がない場合を○と評価した。
実施例6〜12に適用した接合条件は以下の通りである。
実施例6:N=800回転/分、V=200mm/分、実施例7:N=200回転/分、V=100mm/分、実施例8:N=100回転/分、V=50mm/分、実施例9:N=200回転/分、V=100mm/分、実施例10:N=200回転/分、V=100mm/分、実施例11:N=100回転/分、V=50mm/分、実施例12:N=200回転/分、V=100mm/分で、Nはツールの回転速度、Vは接合速度である。
Figure 0005595475
また、表3には、実施例1から12におけるγ’体積分率を示す。
接合後のツールにおけるγ’体積分率をA:10%以上30%未満、B:30%以上50%未満、C:50%以上65%未満、D:65%以上80%以下として記載した。ここで、例えば、10%以上30%未満は、10%以上且つ30%未満を意味する。
Figure 0005595475
表2及び表3から判るように、γ’析出相の体積分率が10%〜80%のCo基合金からなる摩擦攪拌接合用のツールは、いずれの接合においても効果的であることが明らかである。また、摩擦攪拌接合用のツールにおけるγ’体積分率は、ツールの合金組成のみならず、接合材料の種類や接合条件によって変化させられることがわかる。
[比較例]
通常、PCBN製の回転ツールを用いてTi合金の接合を実施した場合、ツールにおける摩耗が激しい上に、接合部の表面も荒れる。これは、PCBN製の回転ツールに含まれているN(窒素)がTi(チタン)と反応し、TiN(窒化チタン)が形成されるため、ツールが摩耗しやすくなることに起因すると考えられる。
このように、チタンは活性を有する金属であり、接合中に摩擦攪拌用ツールと反応することがしばしば見られる。PCBN製ツールによる活性金属接合の結果を表2に示すが、激しいツール摩耗により接合は不可であったため、×と評価した。
また、PCBNのようなセラミック材質の回転ツールを繰り返して使用した場合、ショルダ部やピン部にクラックが発生し、ツールの一部が欠け落ちることがしばしば見られる。そのため、PCBN製回転ツールの寿命が予測できないのが現状である。これはセラミック材料が熱衝撃に弱いためと考えられる。
SS400、SUS430(AISI430)、SUS304(AISI304)などの材料をPCBN製の回転ツールを用いて接合した結果を表2に示す。使用中に突然、ツール破損が生じたため、△2として評価した。なお、これに比べて、Co基合金は金属材料であるため、ツールにおける突発的な破損は起きにくいと考えられる。
更に、PCBN製の回転ツールをアルミニウム合金(6N01)に対して適用した場合、ツール表面に接合材料(アルミニウム)が付着し、ビード表面が粗くなることもあった。表2には、△1と表記している。
上記の摩擦攪拌用ツール(Co合金製攪拌ツール)を高融点材料の構造部の摩擦攪拌接合に適用した場合、溶接変形、スパッタ及び残留応力が少なくなることがわかった。本発明の摩擦攪拌用ツールを用いた摩擦攪拌接合は、自動車パネル部材やパイプなどの構造物等に応用することができる。
101、201:摩擦攪拌用ツール、102:シャンク部、103:ショルダ部、104:ピン部、105:ピン‐ショルダ接続部、106:ピン先端部、301:結晶粒、302:γ’析出相、303:結晶粒界、304:析出相。

Claims (3)

  1. A1構造を示すγ相と、前記γ相中に析出したL1構造を示すγ’相を有するCo基合金で形成され、前記γ’相は(Co,X) (Al,W,Z)よりなり、
    前記Co基合金は、Niを30−40at%含ことを特徴とする摩擦攪拌用ツール。
    (Xは主としてNi、Zは主としてCr及びTa)
  2. 請求項1に記載の摩擦攪拌用ツールであって、前記Co基合金は精密鋳造により形成されることを特徴とする摩擦攪拌用ツール。
  3. 請求項1または2に記載の摩擦攪拌用ツールを用いることを特徴とする摩擦攪拌接合装置
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