JP5592132B2 - 電気絶縁用二軸配向ポリエステルフィルム、それからなるフィルムコンデンサーおよび電気絶縁用二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明の電気絶縁用二軸配向ポリエステルフィルムを用いてなるフィルムコンデンサーも本発明に包含される。
<ポリエステルフィルム>
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルを主たる成分とするフィルムであり、該フィルムの重量を基準として10ppm以上50000ppm以下のフェノール系安定剤を含み、該フィルムの厚み方向の屈折率nzが1.505を超え、測定数50におけるフィルムの絶縁破壊電圧の平均値が450V/μm以上、かつその標準偏差が20V/μm以下である。
本発明におけるポリエステルは、ジオールとジカルボン酸またはその誘導体との重縮合によって得られるポリマーであり、ジカルボン酸として、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸およびセバシン酸が挙げられる。またジオールとしては、例えばエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオールが挙げられる。これらのジカルボン酸とジオールから得られるポリエステルの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートが好ましく、特に高温での耐電圧特性の観点から、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが特に好ましい。
ポリエステルの製造方法として、従来公知の方法、例えばジカルボン酸とジオール、および必要に応じて共重合成分をエステル化反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させてポリエステルとする方法で製造することができる。また、これらの原料モノマーの誘導体をエステル交換反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させてポリエステルとする方法で製造してもよい。
チタン化合物はポリエステルに可溶なチタン化合物であることが好ましい。ここでポリエステルに可溶なチタン化合物とは、有機チタン化合物を意味し、具体的にはテトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラフェニルチタネートまたはこれらの部分加水分解物、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルカリウムおよびチタントリスアセチルアセトネートで例示される化合物、ならびに前記のチタン化合物と無水トリメリット酸等の芳香族多価カルボン酸またはその無水物とを反応させた生成物を挙げることができる。これらの中でも、テトラブチルチタネートおよびトリメリット酸チタンが好ましい。トリメリット酸チタンは、無水トリメリット酸とテトラブチルチタネートとを反応せしめて得られる化合物である。
またポリエステルに含まれるチタン化合物の含有量は、ポリエステルの重量を基準として、チタン元素換算で5〜20ppmの範囲が好ましく、さらに好ましくは7〜18ppm、特に好ましくは8〜17ppmである。チタン化合物量が下限に満たないと、ポリエステル製造時の生産が遅延することがある。一方上限を超えると得られたポリエステルの耐熱安定性が悪くなり、またチタン化合物の析出物によって耐電圧特性が低下することがある。
本発明のポリエステルフィルムは、フィルム中にフェノール系安定剤を含有しており、その含有量は、フィルムの重量を基準として10ppm以上50000ppm以下である。かかる範囲内でフェノール系安定剤をフィルム中に含有することにより、ポリエステルフィルムの絶縁破壊電圧特性が大幅に向上する。
フェノール系安定剤として、ヒンダードフェノール類が挙げられ、中でも高分子量型のヒドロキシフェニルプロピオネート、ヒドロキシベンジルベンゼン、アルキレンビスアミド型のヒンダードフェノールが好ましく例示される。
また高分子量型のヒドロキシベンジルベンゼンとして、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼンなどが例示される。
また、アルキレンビスアミド型のヒンダードフェノールとして、炭素数2〜10のアルキレン鎖を有することが好ましく、特にヘキサメチレンビスアミド型のヒンダードフェノールが一般に入手しやすい。また、アミド結合を介してヒンダードフェノールを両末端に有しており、具体的なヒンダードフェノール化合物として、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド]が例示される。
これらの化合物は単独で用いるだけでなく、2種以上を併用してもよい。
本発明のポリエステルフィルムは、製膜時の巻き取り性を付与するために不活性粒子を含有することができる。不活性粒子としては、例えば炭酸カルシウム、シリカ、タルク、クレーなどの無機粒子、シリコーン、アクリル、スチレンなどの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂のいずれかからなる有機粒子、硫酸バリウム、酸化チタンなどの顔料を少なくとも1種を用いることができる。
さらに、これら不活性粒子は、発明の効果を損なわない範囲で、平均粒径の異なる粒子を2種類以上用いてもよい。
本発明のフィルムは、さらに他の成分を含んでいてもよい。
例えば、ポリエステル以外の樹脂をさらに含有することができ、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂が挙げられる。特にポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂がフィルムの誘電率特性の点で好ましい。他の樹脂をさらに含有する場合は、フィルムの重量を基準として50重量%未満の範囲であることがポリエステルフィルムの耐熱性維持の点で好ましく、より好ましくは40重量%未満、さらに好ましくは30重量%未満、特に好ましくは20重量%未満である。
また、ポリスチレン系樹脂として、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリジメチルスチレン、ポリブチルスチレン、ポリフェニルスチレンが例示され、特に立体化学構造がシンジオタクチック構造を有するポリスチレン系樹脂がポリステルフィルムの耐熱性維持の点で好ましい。
かかるイオウ系安定剤として、チオエーテル系化合物が例示され、具体的にはテトラエステル型高分子量のチオエーテル化合物などが挙げられる。
またリン系安定剤として、ホスホン酸、ホスフェート系化合物、ホスファイト系化合物などが挙げられるが、これらの中でも各種のホスファイト系化合物を用いることができる。
(フィルム厚み方向の屈折率nz)
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの厚み方向の屈折率nzが1.505を超えることを特徴の1つとしている。本発明において、絶縁破壊電圧の平均を高くしつつ同時にそのばらつきを小さくするためには、前述のフェノール系安定剤を必須成分としてフィルム中に含み、かつ厚み方向の屈折率特性がかかる範囲にあることが必要である。また、静電印加方式としてエッジピンニング法を用いることによりフィルム厚み方向の屈折率が高くなり、絶縁破壊電圧の平均を高くすることができ、さらに3.0倍を超える範囲で延伸を行うことにより、絶縁破壊電圧のばらつきを小さくすることができる。
フィルムの厚み方向の屈折率nzは1.508以上であることがさらに好ましく、1.510以上であることが特に好ましい。フィルムの厚み方向の屈折率nzは、かかる範囲内でより高い方が好ましいが、ポリエステルの特性上その上限は1.550以下に制限され、さらには1.520以下、特に1.515以下の範囲である。フィルムの厚み方向の屈折率nzをより高くするためには、エッジピンニング法を用いるだけでなく、さらに延伸を極力抑えることになり、絶縁破壊電圧の平均を高くすることができてもそのばらつきが大きくなることがある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの絶縁破壊電圧は、測定数50の平均値で450V/μm以上であり、より好ましくは470V/μm以上、さらに好ましくは480V/μm以上、特に好ましくは500V/μm以上である。
本発明では、かかる絶縁破壊電圧の平均値を求めるにあたり、測定に用いる1サンプルのサイズを10cm×10cmとし、フィルム縦方向8個×フィルム横方向8個の計64個のサンプルについてそれぞれ測定を実施し、得られた64個の測定値のうち、大きい方から7データと小さい方から7データを減じた50個の平均値を求めたものである。
絶縁破壊電圧の平均値が下限値に満たない場合、例えば電気自動車やハイブリッド自動車など、より高い耐電圧特性が求められている電気絶縁材料に使用したときの電気特性が十分でないことがある。一方、25℃における絶縁破壊電圧の平均値は、より高い方がこれらの電気絶縁材料として用いたときの信頼性が高くなり好ましいが、その上限値は樹脂材料の性質上制限され、通常は700V/μm以下である。
本発明の電気絶縁用二軸配向ポリエステルフィルムは、絶縁破壊電圧の平均値が高いにもかかわらず、その標準偏差が非常に小さいことが特徴であり、フィルムコンデンサーなどの電気絶縁部材として用いた場合の部材の信頼性を高めることができる。すなわち、絶縁破壊電圧のばらつきが小さくなるほど、絶縁破壊電圧の最小値の低下が抑制され、絶縁破壊電圧の平均も高くなる。一方、絶縁破壊電圧のばらつきが20V/μmを越える場合、最も低い部分より破壊されるため、絶縁破壊電圧の平均が高くても必ずしも高性能であるとはいえない。具体的には、測定数50における絶縁破壊電圧の最小値は430V/μmを越えることが好ましく、450V/μmであることがさらに好ましい。
しかしながら、従来のワイヤピンニング法では、3.0倍以下の低延伸倍率でなければ1.505を超える厚み方向屈折率を得ることができないため、フィルムが均一化され難く、高耐電圧領域では絶縁破壊電圧のばらつきが大きくなる。それに対し、フェノール系安定剤を必須成分としてフィルム中に含み、制電印加方式としてエッジピンニング法を用いることにより、フィルムの延伸倍率を高くしてもフィルム厚み方向の屈折率を高く維持したままの状態でフィルム均一性を高めることができ、絶縁破壊電圧の標準偏差を小さくすることができるものである。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム厚みが0.2μm以上5μm以下であることが好ましい。フィルム厚みが薄くなるほど、絶縁破壊電圧を高くした場合にばらつきが大きくなりやすかったところ、本発明の特性のフィルムによって、フィルムの暑さを薄くしても、高耐電圧特性で、かつばらつきの抑制効果が高くなる。
本発明の電気絶縁用二軸配向ポリエステルフィルムは、必要に応じてさらに他の層を設けても良い。さらに他の層を設ける場合、ポリエステル層を積層してもよく、他の樹脂層を積層してもよい。
またその他の層として、塗布層をフィルムの片面または両面に設けてもよい。該塗布層はワックス、シリコーン化合物、フッ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を塗布層の重量を基準として1〜50重量%含有してなることが好ましい。塗布層がこれら化合物の少なくとも1種を含有することにより、塗布層を介して積層した金属層との接着力が弱まり、フィルムの欠陥部に絶縁破壊が生じて短絡状態となったときに短絡電流によりその付近の金属層が容易に飛散し、従来よりもさらに優れた自己回復性(セルフヒーリング性)を得ることができる。一方、塗布層がこれら化合物を含んでいない場合、塗布層が十分な剥離性を備えていないため、金属層との接着力を弱めることができず、フィルムの欠陥部に絶縁破壊が生じて短絡状態となったときに短絡電流によりその付近の金属層が容易に飛散することができず、十分な自己回復性を示すことができないことがある。
ワックスとして、ポリオレフィン系ワックス、エステル系ワックスなどが挙げられ、その他、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス等の天然ワックスも例示される。ポリオレフィン系ワックスの一例として、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックスが挙げられる。また、エステル系ワックスとして、例えば炭素数8個以上の脂肪族モノカルボン酸および多価アルコールからなるエステル系ワックスが挙げられ、具体的にはソルビタントリステアレート、ペンタエリスリットトリペヘネート、グリセリントリパルミテート、ポリオキシエチレンジステアレートが例示される。かかるワックスの中でも、ポリオレフィン系ワックスを用いることがより高い自己回復性が得られる点で好ましい。また塗布層中での良好な分散性の観点で、ワックスはエマルジョンの状態で用いられることが好ましい。
シリコーン化合物としては反応性基を有するシリコーン化合物を用いることが好ましい。反応性基を含有しないシリコーンを用いた場合には塗布層が欠落することがあり、ポリエステルフィルムが短絡状態となったときに、その部分の金属層がポリエステルフィルムから容易に飛散することができず、十分な自己回復性を示すことができないことがある。
フッ素化合物として、フルオロエチレン系モノマーを用いた重合体、フッ化アルキル(メタ)アクリレート系モノマーを用いた重合体などが挙げられる。フルオロエチレン系モノマーを用いた(共)重合体として、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ジフルオロエチレン、モノフルオロエチレン、ジフルオロジクロロエチレン等の(共)重合体が挙げられる。
ワックス、シリコーン化合物、フッ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の含有量は、塗布層の重量を基準として1〜50重量%であることが好ましい。またこれら化合物の含有量は、さらに好ましくは10〜50重量%である。含有量が下限値に満たない場合、離型層を介したポリエステルフィルムと金属層との接着力が高く、フィルムの欠陥部に絶縁破壊が生じて短絡状態となったときに短絡電流によってその付近の金属層が容易に飛散できず、十分な自己回復性が得られないことがある。一方、該含有量が上限値を超える場合、塗布層の離型性が高すぎて金属層が剥離しやすく、巻回などの加工時に容易に金属層が脱離してしまい、不良品が生じることがある。
塗布層は、その他、界面活性剤、架橋剤、滑剤などを含んでいてもよい。
界面活性剤は、ポリエステルフィルムへの水性塗液の濡れ性を高めたり、塗液の安定性を向上させる目的で使用され、例えば、ポリオキシエチレン−脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン型、ノニオン型界面活性剤を挙げることができる。界面活性剤は、塗布層の重量を基準として1〜60重量%含まれていることが好ましい。
塗布層の厚みは、乾燥後の厚みとして、好ましくは0.005〜0.5μm、さらに好ましくは0.005〜0.2μmである。塗布層の厚みが下限値に満たない場合は自己回復性が十分に発現しないことがある。また塗布層の厚みが上限値を超える程度に厚くしても、さらなる自己回復性が得られないことがある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に金属層が積層されていてもよい。金属層の材質については、特に制限はないが、例えばアルミニウム、亜鉛、ニッケル、クロム、錫、銅およびこれらの合金が挙げられる。さらにこれらの金属層は若干量酸化されていてもよい。また、金属層を簡便に形成できるため、金属層は蒸着法により形成された蒸着型金属層であることが好ましい。
本発明のフェノール系安定剤の添加方法は、樹脂の重合時に添加する方法、フィルム製膜工程やマスターペレット作成工程で添加する方法のいずれの方法でもよい。
以下に1)マスターペレット作成工程における添加方法、2)フィルム製膜工程における添加方法、について詳述する。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを得る方法を以下に具体的に述べる。具体的には、前述のフェノール系安定剤の添加方法によってフェノール系安定剤をポリエステルに添加しつつ、該ポリエステル組成物を押出機に供給して、ダイ(Tダイ)から溶融押出し、シート状に成形する。
Tダイより押し出されたシート状成形物を冷却ロールに密着させるにあたり、本発明において静電印加の方式として、エッジピンニング法を用いることが必要である。具体的には、ダイより押し出されたシート状成形物の両端部に針状エッジピニング装置を用いる静電印加の方式を用いる方式が挙げられる。また、針状エッジピニング装置に代えて、エアーノズル、エアーチャンバーなどの方式、吸引チャンバーの方式を用いてもよい。さらに、針状エッジピニング装置を用いる静電印加の方式の補助的な役割で、エアーノズル、エアーチャンバーなどの方式、吸引チャンバーの方式を組み合わせて使用してもよい。
かかる方法を用いてシート状成形物を表面温度40〜90℃に調整した冷却ロールに密着させ、溶融状態から冷却固化することで、未延伸フィルムを得る。かかる方法を用いることにより、本発明のフィルム厚み方向の屈折率、絶縁破壊電圧の平均値、および絶縁破壊電圧のばらつき特性を満たすフィルムを得ることができる。
横延伸倍率は3.0倍を越える範囲で行い、好ましくは3.0倍を超え5.0倍以下、更に好ましくは3.0倍を超え4.5倍以下である。横延伸倍率が下限に満たない場合、フィルム均一性を高めることができず、絶縁破壊電圧のばらつきが大きくなる。また横延伸倍率が上限を超える場合、製膜中に破断が発生しやすくなる。
塗布方法としては、公知の任意の塗工法が適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法等を単独または組合せて用いることができる。
また、本発明の塗布層は、フィルム二軸延伸工程後に別工程で付与されたものであってもよい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは優れた絶縁破壊電圧特性を有することから、電気絶縁用フィルムとして好適に使用することができ、具体的には、フィルムコンデンサー、ウエッジ材やスロット材などのモーター絶縁部材、フレキシブルプリント回路基板、フラットケーブルなどの電気絶縁用途のベースフィルムとして用いることができる。
また、フレキシブルプリント回路基板は、本発明の二軸配向フィルムの少なくとも片面に銅箔または導電ペーストからなる金属層を積層させ、金属層に微細な回路パターンを形成することによって得られる。
またウエッジ材やスロット材などのモーター絶縁部材は、本発明の二軸配向フィルムをRのついたポンチを用いて変形加工を行うことによって得られる。
得られたフィルムサンプル20mgを重トリフルオロ酢酸:重クロロホルム=1:1の混合溶媒に溶解し、600Mの1H−NMR装置を用いて積算回数256回で測定して、フェノール系安定剤の含有量を求めた。
なお、測定に際し、アルキレンビスアミド型のヒンダードフェノールにあたる、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド](「Irganox(登録商標)1098」)の場合は、tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルとアミド結合との間の炭化水素鎖に起因する水素に起因するピーク強度を測定した。かかるNMR測定結果をもとに、安定剤が樹脂と反応している場合はもとの安定剤に換算した含有量を求めた。また、ポリマーと未反応な安定剤と、ポリマーと反応した安定剤とが混在し、同じ炭化水素鎖に着目しても複数のピーク位置が検出される場合は、それらの合計値より含有量を求めた。
その他のフェノール系安定剤についても同様に、着目する水素に起因するピーク強度を測定し、樹脂との反応状態を確認しながら、フィルムに含まれるフェノール系安定剤の合計値より含有量を求めた。
Metricon社製のレーザー屈折率を用い、プリズムカプラ(633nm)波長で測定する。プリズムに密着させたサンプルにレーザー光をプリズムを通じて入射し、プリズムを回転させてサンプルへの入射角を変える。サンプル表面で反射した光を測定し、光量の入射角依存をモニターし臨界角に相当する厚み方向の屈折率を求める。
得られた二軸配向フィルムを用い、JIS規格C2151に記載のDC試験のうち平板電極法に準拠して、東京精電株式会社製ITS−6003を用いて、直流電流、0.1kV/secの昇圧速度で測定し、破壊時の電圧を絶縁破壊電圧として測定した。
測定に用いる1サンプルのサイズを10cm×10cmとし、フィルム縦方向8個×フィルム横方向8個の計64個のサンプルについてそれぞれ測定を実施した。n=64の測定値のうち、大きい方から7データと小さい方から7データを減じ、n=50で平均値を求めて絶縁破壊電圧とした。なお測定は25℃の室温で実施した。
また、得られた50個の絶縁破壊電圧値をもとに、標準偏差を算出した。また、得られた50個の絶縁破壊電圧値の中で最も絶縁破壊電圧の低い値を最小値とした。
P1; 2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル(以下、NDCと称することがある。)100部、エチレングリコール(以下、EGと称することがある。)60部およびチタン化合物(トリメリット酸チタンをチタン元素量が15mmol%となるように添加)をSUS製容器に仕込み、140℃から240℃に昇温しながらエステル交換反応させた後、反応混合物を重合反応器に移し、295℃まで昇温し、30Pa以下の高真空下にて重縮合反応させ、固有粘度0.6dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを得た。
P2; 2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステル100部、エチレングリコール60部、チタン化合物(トリメリット酸チタンをチタン元素量が15mmol%となるように添加)にフェノール系安定剤として「Irganox(登録商標)1098」(N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド])(融点156〜161℃、蒸気圧1.3×10E-12Pa(20℃))を用い、フェノール系安定剤の含有量が組成物重量を基準として2重量%(20000ppm)となるようにSUS製容器に仕込み、140℃から240℃に昇温しながらエステル交換反応させた後、反応混合物を重合反応器に移し、295℃まで昇温し、30Pa以下の高真空下にて重縮合反応させ、固有粘度0.6dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを得た。
P1とP2のポリマーを50重量%:50重量%でブレンドし、ブレンドしたポリマーを180℃で6時間乾燥後、300℃に加熱された押出機に供給し、290℃のダイスよりシート状に成形した。押し出されたシートの両端部に針状エッジピニング装置を用いて静電印加方式(印加電圧:直流3kV)にて梨地冷却ロールに密着させて冷却固化した未延伸フィルムを140℃に加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向)に3.6倍で延伸した後、60℃のロール群で冷却した。
続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き、横延伸最高温度が150℃に加熱された雰囲気中で長手方向に垂直な方向(横方向)に4.0倍で延伸した。その後テンター内で235℃で5秒間熱固定を行い、さらに200℃で1%熱弛緩を行った後、均一に除冷して室温まで冷却し、3μm厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。フィルム中のフェノール系安定剤量は1.00重量%(10000ppm)であった。
熱固定温度を245℃に変更した以外は実施例1と同様にして、二軸配向フィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
P1とP2のポリマーを75重量%:25重量%でブレンドし、フェノール系安定剤の添加量を1.0重量%から0.5重量%に変更した以外は実施例2と同様にして、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
実施例1と同じポリマーを用い、静電印加方式をピンニングワイヤー(SUS304(0.1mmφ))に変更し、未延伸フィルムを得た以外は実施例1と同様の操作を行い、3μm厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
P1のみをポリマーとして用いた以外は実施例1と同様の操作を行い、3μm厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
実施例1と同じポリマーを用い、静電印加方式をピンニングワイヤー(SUS304(0.1mmφ))に変更し、縦延伸倍率を3.0倍、横延伸倍率を3.0倍に変更し、熱固定温度を230℃に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、3μm厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
縦延伸倍率を2.9倍、横延伸倍率を2,9倍に変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、3μm厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に示す。
Claims (10)
- ポリエステルを主たる成分とするフィルムであって、該フィルムの重量を基準として10ppm以上50000ppm以下のフェノール系安定剤を含み、該フィルムの厚み方向の屈折率nzが1.505を超え1.520以下であり、平板電極法を用いて25℃で測定される測定数50におけるフィルムの絶縁破壊電圧の平均値が450V/μm以上700V/μm以下であり、かつその標準偏差が20V/μm以下であることを特徴とする電気絶縁用二軸配向ポリエステルフィルム。
- ポリエステルがポリエチレンナフタレンジカルボキシレートである請求項1に記載の電気絶縁用二軸配向ポリエステルフィルム。
- ポリエステルの触媒がチタン化合物である請求項1または2に記載の電気絶縁用二軸配向ポリエステルフィルム。
- フィルム厚みが0.2μm以上5μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の電気絶縁用二軸配向ポリエステルフィルム。
- 不活性粒子をフィルム重量を基準として0.0001重量%以上5重量%以下の範囲で含有してなる請求項1〜4のいずれかに記載の電気絶縁用二軸配向ポリエステルフィルム。
- 前記のフィルムの絶縁破壊電圧の平均値が450V/μm以上515V/μm以下である請求項1〜5のいずれかに記載の電気絶縁用二軸配向ポリエステルフィルム。
- フィルムコンデンサー用である請求項1〜6のいずれかに記載の電気絶縁用二軸配向ポリエステルフィルム。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の電気絶縁用二軸配向フィルムの少なくとも片面に金属層が積層された電気絶縁用二軸配向ポリエステルフィルム。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の電気絶縁用二軸配向ポリエステルフィルムを用いてなるフィルムコンデンサー。
- ポリエステルを主たる成分とするフィルムの製造方法であって、該フィルムの重量を基準として10ppm以上50000ppm以下の範囲のフェノール系安定剤を含むポリエステル組成物をダイから溶融押出後、冷却ロールに密着させて溶融状態から冷却固化させる静電印加方式としてエッジピンニング法を用い、延伸時の延伸倍率が3.0倍を超える範囲であることを特徴とする電気絶縁用二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
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