JP5476142B2 - ワイヤグリッド偏光板 - Google Patents

ワイヤグリッド偏光板 Download PDF

Info

Publication number
JP5476142B2
JP5476142B2 JP2010014910A JP2010014910A JP5476142B2 JP 5476142 B2 JP5476142 B2 JP 5476142B2 JP 2010014910 A JP2010014910 A JP 2010014910A JP 2010014910 A JP2010014910 A JP 2010014910A JP 5476142 B2 JP5476142 B2 JP 5476142B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
grid
base material
wire
wall surface
metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010014910A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011154143A (ja
Inventor
泰幸 河津
宏 山木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei E Materials Corp
Original Assignee
Asahi Kasei E Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei E Materials Corp filed Critical Asahi Kasei E Materials Corp
Priority to JP2010014910A priority Critical patent/JP5476142B2/ja
Publication of JP2011154143A publication Critical patent/JP2011154143A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5476142B2 publication Critical patent/JP5476142B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)

Description

本発明は、ワイヤグリッド偏光板に関し、特に基材上に形成された金属ワイヤがもつ結晶構造が試料面内に結晶配向を有し、良好な偏光性能を示すワイヤグリッド偏光板に関する。
ワイヤグリッド偏光板は、直線状の金属ワイヤ(細線)をガラスやフィルムなどの基材上に一定方向に規則的に配列した構造を有する偏光子である。ワイヤの太さやワイヤ間隔をナノメートルスケールで制御することで偏光性と光透過率性が得られる。例えば、可視波長域において十分な偏光性能を付与したワイヤグリッド偏光子を作製する場合は、ワイヤと空隙を加えた幅(ピッチ)を150nm以下の極微細構造の必要性が知られている。
さらに、ワイヤグリッド偏光板を液晶表示装置等のディスプレイに用いる場合、画像の視認性をより明瞭にするうえで、高い偏光分離性能を示すことが望まれる。
直線状の金属ワイヤ(細線)をガラスやフィルムなどの基材上に一定方向に規則的に配列させる技術として、基材表面にアルミ薄膜を作製し、フォトレジストを用いたドライエッチング法(干渉露光法を含む)でAlの周期的な凹凸パタンを作製する方法(例えば、特許文献1)や、電子線リソグラフィーでAl薄膜に直接凹凸パタンを描画する方法が報告されている。他にも、凹凸形状基材に対し、斜め蒸着法を利用して基材凸部の側面にAlを蒸着する方法が特許文献2等に記載されている。
しかしながら、前記ドライエッチング法や電子線リソグラフィー法は、高価な装置を必要とする、作製できる面積に限界がある、生産性が低いなどの問題がある。一方、基材凸部の片側側面に選択的にAl蒸着する方法は、生産性に優れ、前記両側面蒸着と比較して工程が簡易であり、実用上十分な透過、偏光分離性能を有するワイヤグリッド偏光子の作製方法であることがこれまでに示されている。
ところで、近年のディスプレイはより高精彩な画像で、かつ省エネルギー性が要求されるようになってきており、従来よりも高い偏光分離性能を有するワイヤグリッド偏光子が望まれている。特許文献2に開示のある基材凸部の片側側面に選択的にAl蒸着する方法では、蒸着する過程において、金属材料の結晶成長により、ランダムな方向に結晶成長したAlの粒子形態が、金属ワイヤ(細線)の直線性に影響を及ぼすため、さらに金属ワイヤの直線性を高め、偏光性能を向上させることが望ましいと考えられる。
特開2006−084776号公報 特開2008−083657号公報
本発明は、金属ワイヤの直線性を高め、偏光性能を向上させることを目的の一とする。
本願発明では、金属ワイヤの延在方向への直線性を高めることが、ワイヤグリッドを透過する偏光光の旋光を抑止することが出来るという考察のもと、ワイヤグリッドの基材面上において、ワイヤグリッドの結晶成長方向を制御する方法を見出し、金属ワイヤの延在方向への直線性を高めることに成功した。その結果、高い偏光分離特性を示すワイヤグリッドを得た。
すなわち、本発明のワイヤグリッド偏光板の一態様は、特定方向に延在する格子状凹凸形状を有する基材と、格子状凹凸形状の凸部の一方側の基材壁面に立設する金属ワイヤとを具備するワイヤグリッド偏光板であって、金属ワイヤを構成する金属の立方晶構造における(111)方位が、金属ワイヤの立設方向と垂直な基材面の垂直方向から80°〜90°の範囲で(111)方位への配向を2方向以上6方向以下有しており、格子状凹凸形状の凸部断面形状が略内反り形状であり、格子状凹凸形状の凸部の頂部の幅が10nm以下であり、格子状凹凸形状の凸部の最も高い位置から凸部の高さの1/10下がった位置の基材壁面点と最も近接する基材底点を結ぶ直線を基準とした場合、凸部の頂点より下方に位置する基材壁面である基材側壁部が直線よりも下方にのみ存在することを特徴としている。
本発明のワイヤグリッド偏光板の一態様において、金属ワイヤを構成する金属が基材壁面の垂直方向から上方へ60°〜80°向いた方向に(111)方位への配向を有することが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光板の一態様において、金属ワイヤは、特定方向と垂直に交わる平面において、基材壁面の稜線延長線方向を境界として、基材壁面側に立設されるアルミニウムが70%以上の領域を占めることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光板の一態様において、格子状凹凸形状の凸部断面形状が、凹部底部から凸部頂上までの1/2高さにおいて、格子状凸部の幅が格子ピッチの0.1〜0.6倍であることが好ましい。
本発明のワイヤグリッド偏光板は、ワイヤグリッドを透過する偏光光の旋光を抑止することで、偏光分離能に優れた効果を奏する。
本発明に係るワイヤグリッド偏光板の凹凸樹脂の構造を示した図である。 本発明に係るワイヤグリッド偏光板の金属結晶の配向を示した図である。 本発明の実施例及び比較例に係るワイヤグリッド偏光板A、Bの表面SEM像、断面TEM像である。 本発明の実施例に係るワイヤグリッド偏光板Aのアルミニウム(111)極点図形である。 本発明の比較例に係るワイヤグリッド偏光板Bのアルミニウム(111)極点図形である。
本発明のワイヤグリッド偏光板は、特定方向に延在する格子状凹凸形状を有する基材と、格子状凹凸形状の凸部一方側の基材壁面に立設する金属ワイヤとを具備し、金属ワイヤを構成する金属の立方晶構造における(111)方位が、基材壁面の垂直方向に有することを特徴とする。以下、ワイヤグリッド偏光板を構成する各成分について説明する。
(1)基材
基材は、凸部と凹部がそれぞれ特定方向に延在する格子状凹凸形状を有し、目的とする波長領域において実質的に透明であればよい。ここで、特定方向に延在するとは、格子状凹凸形状が実質的に延在していればよく、格子状凹凸形状が厳密に平行に延在している必要はない。基材としては、樹脂基材が、ロールプロセスが可能になる、ワイヤグリッド偏光板にフレキシブル性(屈曲性)を持たすことができる、等のメリットがある為好ましいが、ガラスなどの無機材料も基材に用いることが出来る。基材に用いることができる樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂や、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線(UV)硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。また、紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂と、ガラスなどの無機基材、上記熱可塑性樹脂、トリアセテート樹脂とを組み合わせたり、単独で用いて基材を構成させることも出来る。
(2)格子状凹凸形状体
格子状凹凸形状の凸部の断面形状(特定方向に垂直に交わる平面における凸部の形状)は、後述する金属ワイヤの結晶成長方向を揃えるという観点から、略内反り形状または内サイクロイドの1つの頂点とその両辺で示される類似形状とすることが好ましい(図1参照)。さらに、格子状凹凸形状の凸部の頂部の幅を30nm以下とすることが好ましく、10nm以下とすることが最も好ましい。これにより格子状凹凸形状の凸部上部から金属ワイヤがランダムな方位に結晶成長する現象を防ぐことができる。ここで「凸部の頂部」とは、凸部の最も高い位置を基準として凸部の高さの1/10下がった位置までの間をいう。図1で示した場合、凸部の高さhからh/10下がった高さまでの間を指す。
さらに、図1の点線部で示すように、格子状凹凸形状の凸部の最も高い位置から凸部の高さの1/10下がった位置の基材壁面点Aと最も近接する基材底点Bを直線で結び、この直線よりも下方にのみ基材側壁部が存在する形状とすることがより好ましい。これにより、基材上方から金属ワイヤを蒸着する場合には特に、基材上方に結晶を成長させることが容易となり、基材面内方向に結晶方位を揃えて金属ワイヤを作製することが可能となる。ここで「基材側壁部」は、凸部の頂部より下方に位置する基材壁面であり、「基材底点」とは、隣接する凸部の頂点同士の中間点における基材部とする。
また、偏光透過率と偏光分離性能を両立するワイヤグリッドを得るという観点から、格子状凹凸形状の凸部の高さhが50〜200nmであることが好ましい。
さらに、格子状凹凸形状の凸部の高さの1/2下がった位置における凸部の幅が、格子ピッチ幅dの0.1〜0.6倍であることが好ましく、0.2〜0.4倍であることがより好ましい。
(3)誘電体
本発明において基材を構成する材料と金属ワイヤとの密着性向上のため、両者の間に両者と密着性が高い誘電体材料を好適に用いることができる。例えば、珪素(Si)の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体又はその複合物(誘電体単体に他の元素、単体又は化合物が混じった誘電体)や、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、イットリウム(Y)、ジルコニア(Zr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、バリウム(Ba)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、銅(Cu)などの金属の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体又はそれらの複合物を用いることができる。誘電体材料は、透過偏光性能を得ようとする波長領域において実質的に透明であることが好ましい。
誘電体材料の積層方法には特に限定は無く、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的蒸着法を好適に用いることができる。
(4)金属ワイヤ
金属としてアルミニウムの他、Ni、Ir、Rh、Pd、Pt、Pb、Au、Ag、Cuまたはこれらの各金属を主成分とする合金を使用することもできる。
(5)金属ワイヤ断面形状
金属ワイヤは、格子状凹凸形状を有する基材の凸部の一方向側の基材壁面に接し、上部が凸部頂部より上方に伸びるよう設けられた構造を有している。
また、金属ワイヤは格子の長手方向(特定方向)と垂直に交わる平面内で、図1に示す基材壁面の稜線延長線方向を境界として、基材壁面側(稜線より蒸着側)に立設される金属が50%以上の面積を占めることが、結晶配向の点から好ましく、70%以上の面積を占めていることがより好ましい。
さらに、特定方向に垂直に交わる平面における金属ワイヤ断面積Sは、光学対称性や偏光透過率の観点から同じ面内で凹部の底部よりも上方の基材凸部断面積Lの1〜8倍であることが好ましく、1倍〜6倍であることがより好ましい。
金属ワイヤの底部は、格子状凹凸形状の凹部の底部と高さが同じ、もしくは、上部に位置してあることが光学対称性や偏光透過率の観点から好ましい。さらに、金属ワイヤの底部から頂部までの高さが格子状凸部の底部から金属ワイヤ頂部までの高さとほぼ等しくなることが好ましい。
一般にワイヤグリッド偏光板は、金属ワイヤのピッチ幅が小さくなるほど幅広い帯域で偏光特性を示すことが出来るが、近赤外〜赤外領域のみの偏光特性を考慮する場合は、ピッチは300nm程度以下であればよく、ピッチの下限は、対象とする領域の1/4〜1/3であれば実用的な範囲である。
金属ワイヤの製造方法には特に限定は無いが、製造コストや生産性の観点から斜め蒸着法が好ましい。本発明でいう斜め蒸着法とは、格子状凹凸形状の延在方向と垂直に交わる平面内において、蒸着源が基材面(金属ワイヤの立設方向と垂直な基材面)の垂直方向(垂線)に対してある角度(入射角度)αを持ちながら金属を蒸着、積層させていく方法である。後述する立体角度も角度αをさす。後述するエッチング工程を考慮して、入射角度αは5°〜40°であることが本発明の金属ワイヤ形状を作製するという面で好ましい。より好ましくは10°〜30°である。
本発明の金属ワイヤ形状を達成する為の金属蒸着量は格子状凸部の形状、面積によって異なるが、格子状凸部のアスペクト比(凸部の高さ/凸部の半値幅)が1.5〜10であって、格子状凸部の幅がピッチ幅に対する格子状凸部半値幅で0.2〜0.4である場合は、平均厚みが50nm〜140nmとなるよう蒸着させることが好ましい。さらに好ましくは70nm〜130nmである。
ここでいう平均厚みとは、平滑ガラス基板上にガラス面に垂直方向から物質を蒸着させたと仮定した時の蒸着物厚みのことを指し、金属蒸着量の目安として使用している。金属蒸着量は格子状凸部の形状、面積に合わせて本発明の金属ワイヤ形状が達成できる範囲で適宜増減させることが出来る。
(6)金属ワイヤ結晶方位
金属ワイヤの結晶方位は、基材となる格子状凹凸形状の影響を強く受ける。例えば、凹凸のないフラットな基材上に、アルミニウムのような立方晶構造を有する金属を通常の抵抗加熱法などを用いて蒸着を施した場合、基材の垂直方向に最密充填面である(111)面が配向することが知られている。この性質を利用して、凹凸形状の側面方向を金属の結晶成長の起点とすることにより、格子状凹凸樹脂形状上での結晶方位を3次元方向に揃えることができる。以下、メカニズムについて図2を用いて説明する。なお、図2(A)は格子の長手方向(特定方向)と垂直に交わる平面を示し、図2(B)は基材面(金属ワイヤの立設方向と垂直な基材面)を示している。
まず、蒸着過程の初期には格子状凹凸形状における基材壁面と垂直方向(3a方向)に立方晶構造を有する金属の(111)面が形成される。基材壁面が曲面である場合にも、垂直方向に(111)面が形成される。また、この際に、格子の長手方向(特定方向)には金属が連続的に形成されるが、この特定方向に結晶面が揃うように原子が配列される。その結果、3a方向の(111)面と約70度の立体角をなす方向(3b方向、3c方向)に(111)面と同等の結晶面間隔を持つ面が現れ、3a方向と約110度の立体角をなす方向(3d方向、3e方向)にも(111)面と同等の結晶面間隔を持つ面が現れる。これらの結晶方向は基材面内方向のX線回折測定を行うことにより検出することができ、結晶方位を制御して作製された金属ワイヤは、金属ワイヤ中の金属の立方晶構造における(111)方位が基材面の垂直方向からの立体角が80°〜90°の範囲で定義する基材面内において、2方向以上〜6方向以下に結晶配向を有し、好ましくは5方向に結晶配向を有する。このような極めて特異的な面内方向への結晶配向を形成させるための条件として、格子状凹凸形状の壁面垂直方向が、立方晶などの金属特有の結晶構造に由来する特定の立体角の関係を保つように設計されなければならない。条件が満たされない場合には基材壁面と垂直方向(3a方向)の1方向にのみ結晶配向が現れるが、基材壁面に形成された結晶子の方位が揃った条件では、2〜6方向に結晶配向が発現する。
さらに、蒸着過程の後期には、この格子状凹凸形状の側面より結晶成長した金属を起点として、この結晶成長の方向と約70度の基材面上方の方向(3f方向)に向かって結晶配向を持ちながら、結晶が成長する。
金属ワイヤの1つの結晶子は断面STEMにより粒界が観察され、たとえばアルミニウムの場合は50nm〜60nmのドメインを持っている。結晶子の結晶方向が揃った界面においては、エッチング工程での粒界エッチングが進まず、エッチング後でも形状が揃った金属ワイヤを得ることができる。
(7)エッチング工程
光学特性の観点から、凹凸格子の凹部底部に積層する金属をエッチングにより除去することが好ましい。エッチング方法は、基材や誘電体層に悪影響を及ぼさず、金属部分が選択的に除去できる方法であれば特に限定は無いが、生産性の観点からアルカリ性の水溶液に浸漬させる方法が好ましい。エッチング時間は積層した金属の量にもよるが、30〜120秒程度となる。
(8)光学特性
ワイヤグリッド偏光板の偏光特性を向上させる上で、グリッドを形成する金属の均一性が高いことが好ましい。前記のような斜め蒸着による積み上げ方式でワイヤグリッドを作製する場合、アルミニウムの結晶粒子のサイズや結晶方位のばらつきがアルカリエッチング後のグリッドの形状の均一性を損なう原因となりうる。この形状の不均一性が光学性能に及ぼす影響を把握するために、FDTD法などの光学シミュレーション法を用いて検証した結果、グリッド形状のばらつきが、電磁波により誘起される金属の電場方向を乱し、可視光の波長領域での偏光分離能が低下することが示された。この乱された電場による偏光漏れを数値化する方法として、以下に示す偏光光の旋光度で定義する指標を用いた。
十分な偏光性能を発現する上で、この旋光度が45%以下であることが好ましく、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは15%以下である。
次に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1、比較例1]
(格子状凹凸形状を有する樹脂基材の作製)
・紫外線硬化樹脂を用いた格子状凹凸形状転写フィルムの作製
格子状凹凸形状転写フィルムの作製には、2種類のNi製金型(以下、金型A、金型Bという)を用いた。金型Aは格子状凹凸形状のピッチが130nmで、特定方向(格子の延在する方向)に垂直な断面における凸部形状が略内反り形状であり、凹凸形状の半値幅(底部から頂部までの高さの半分の位置での凹凸形状の幅)がピッチに対して0.3倍である。
この金型Aは、矩形形状の格子状凹凸形状をもつNi金型に逆スパッタを施し、形状を調整することによって、得ることができる。転写された樹脂の形状の先端が先鋭化されるように逆スパッタ時間を最適化した。
また、金型Bは格子状凹凸形状のピッチが130nmで、特定方向(格子の延在する方向)に垂直な断面における凸部形状が略矩形であり、凹凸形状の高さの半値幅がピッチに対して0.5倍である。
厚み80μmのトリアセチルセルロース樹脂(以下、TACと略す)フィルム(富士写真フィルム製TD80UL−H)にアクリル系紫外線硬化樹脂(屈折率1.52)を約3μm塗布し、塗布面を下にし、金型とTACフィルム間に空気が入らないように乗せた。TACフィルム側から中心波長365nmの紫外線ランプを用いて紫外線を1000mJ/cm照射し、金型A、Bについて格子状凹凸形状を転写した。TACフィルムを金型から剥離し、縦100mm、横100mmの格子状凹凸形状を転写したフィルムを作製した(以下、金型A、Bの2種から転写したフィルムを、それぞれ転写フィルムA、転写フィルムBという)。
転写フィルムAの断面形状は、凸部の頂部の寸法は10nm以下である。さらに、格子状凸部の最も高い位置から凸部の高さの1/10下がった位置の基材壁面点と最も近接する基材底点を結ぶ直線を基準とした場合、この直線よりも下方にのみ基材側壁部が存在する略内反り形状であった。
転写フィルムBの断面形状は、凸部の頂部の寸法は50nmである。さらに、格子状凸部の最も高い位置から凸部の高さの1/10下がった位置の基材壁面点と最も近接する基材底点を結ぶ直線を基準とした場合、この直線よりも下方にのみ基材側壁部が存在する略矩形形状であった。
(ワイヤグリッド偏光板の作製)
・スパッタリング法を用いた誘電体層の形成
次に転写フィルムA、Bの格子状凹凸形状転写表面に、スパッタリング法により誘電体層として二酸化珪素を成膜した。スパッタリング装置条件は、Arガス圧力0.2Pa、スパッタリングパワー4W/cm、被覆速度0.1nm/sとし、転写フィルム上の誘電体平均厚みが3nmとなるように成膜した。ここでは、誘電体の厚みを測定するため表面が平滑なガラス基板を転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑ガラス基板上の誘電体厚みを誘電体平均厚みとした。
・真空蒸着法を用いた金属の蒸着
次に誘電体層を成膜した転写フィルムA、B格子状凹凸形状転写表面に、真空蒸着によりアルミニウム(Al)を成膜した。Alの蒸着条件は、常温下、真空度2.0×10−3Pa、蒸着速度40nm/sとした。Alの厚みを測定するため表面が平滑なガラス基板を転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑ガラス基板上のAl厚みをAl平均厚みとし、格子の長手方向と垂直に交わる平面内において基材面の垂線と蒸着源のなす角度を蒸着角θとした。転写フィルムAは蒸着角θを15°、Al平均厚みを105nmとし、転写フィルムBは蒸着角θを20°、Al平均厚みを91nmとした。
(X線Pole_Figureによる結晶成長配向の解析)
転写フィルムAについてPole_Figure測定はRigaku製高精度薄膜X線回折装置ATX−Gを用いて実施した。ブラッグ反射条件の2θ角が38.4°となるようにシンチレーションカウンター検出器を固定し、試料の法線ベクトルを半球面方向に立体的に変化させて、アルミニウムの(111)方位の回折線強度の極点図形(図4(A)参照)を測定した。基材面の垂直方向からの立体角が80°〜90°の範囲で定義する基材面内方向のX線回折強度を加算平均したプロット(図4(B))から、この転写フィルムは面内5方向に配向を示している。
転写フィルムBについても同様の手法にてアルミニウムの(111)方位の回折線強度の極点図形(図5(A)参照)を測定した。基材面の垂直方向からの立体角が80°〜90°の範囲で定義する基材面内方向のX線回折強度を加算平均したプロット(図5(B))から、この転写フィルムは樹脂壁面の垂直方向である面内1方向にのみ配向を示しており、結晶子同士の方位関係は存在していないことが分かる。
・不要Alの除去
次にAlを蒸着した転写フィルムA、Bをアルカリ水溶液に浸漬し不要なAlを除去した。不要Alの除去としては、Al蒸着した転写フィルムを室温下で、0.1重量%水酸化ナトリウム水溶液に所定時間浸漬することで行った。
この時、転写フィルムAの金属ワイヤの形状において、格子の長手方向と垂直に交わる平面内で、基材壁面の稜線延長線方向を境界として、基材壁面側(稜線より蒸着側)に立設されるアルミニウムの面積をa、基材上のアルミニウムの総面積をbとしたときに、a/(a+b)=0.8となるように調節して転写フィルムAを上記水酸化ナトリウム水溶液に浸漬させた。上記の製造方法の場合、浸漬時間を75秒とすることで目的の金属ワイヤ形状を達成することが出来た。その後すぐに水洗いし、フィルムを乾燥させた。
同様の手順でAlを蒸着した転写フィルムBについても金属ワイヤの形状を上記水酸化ナトリウム水溶液により調整し、a/(a+b)=0.5となるように調整した。
不要Alの除去をした転写フィルムA、Bを以下、それぞれ偏光板A(実施例1)、偏光板B(比較例1)と呼ぶ。図3(A)、(B)は、それぞれ得られた偏光板A、Bの表面SEMおよび断面TEMによる観察像である。図3(A)より、偏光板Aの方が偏光板Bより突起状のラフネスがなく、金属ワイヤの直線性が高くなっていることが確認された。
(偏光度、光線透過率の測定)
偏光板A、Bにおいては、偏光度と光線透過率の測定には日本分光社製偏光フィルム評価装置V7000を用い、23℃65%RHの条件で行った。
また、偏光度、光線透過率は下記式より算出した。Imaxは直線偏光に対する平行ニコル、Iminは直行ニコル状態での透過光強度である。尚、光線透過率T(θ)は、入射光角度θの光線透過率を示す。
偏光度=[(Imax−Imin)/(Imax+Imin)]×100%
光線透過率(T(θ))=[(Imax+Imin)/2]×100%
偏光板Aは偏光度99.95%で光線透過率が41.0%、偏光板Bは99.88%で透過率34%の転写フィルムが得られた。
(分光光度計による旋光度の測定)
分光器(日本分光社製 型番V7100)を用いて、グランテーラー偏光プリズムを介して入射される偏光光(550nm)に対して検光子をクロスニコル位置に設定する。これにより旋光角度の基準となるφ=0を決定する。次にワイヤグリッドサンプルを入射偏光に対してクロスニコル配置になるように検光子の手前に設置する。サンプルを透過した光は検光子をもちいて消光角を解析し、φ=0からのズレ(絶対値)を旋光角度として定義する。
例えば、φ=20度の場合、入射偏光から90度捻じ曲げられた光の強度はSin2φとなることから、光強度として10%となる。
偏光板Aの旋光度を前記手法にて測定した場合、φ=10°であり、偏光板Bでφ=80°であった。これは、偏光板Aは偏光板Bに比べ、結晶の配向性があり、基材壁面側に立設されるAlの割合(a/(a+b))のうち、aの部分が大きいためである。
本発明のワイヤグリッド偏光板は、光学機器、医療機器などの分野で好適に利用できる。
α 入射角度(立体角度)
L 稜線延長方向
d 格子ピッチ幅
H 格子状凹凸形状の凸部高さ
A 基材壁面点
B 基材底点
3a方向 格子状凹凸形状における基材壁面と垂直方向
3b方向 3a方向の(111)面と約70度の立体角をなす方向
3c方向 3a方向の(111)面と約70度の立体角をなす方向
3d方向 3a方向と約110度の立体角をなす方向
3e方向 3a方向と約110度の立体角をなす方向
3f方向 格子状凹凸形状の側面より結晶成長した金属を起点として、この結晶成長の方向と約70度の基材面上方の方向

Claims (4)

  1. 特定方向に延在する格子状凹凸形状を有する基材と、前記格子状凹凸形状の凸部の一方側の基材壁面に立設する金属ワイヤとを具備するワイヤグリッド偏光板であって、前記金属ワイヤを構成する金属の立方晶構造における(111)方位が、前記金属ワイヤの立設方向と垂直な基材面の垂直方向から80°〜90°の範囲で(111)方位への配向を2方向以上6方向以下有しており、前記格子状凹凸形状の凸部断面形状が略内反り形状であり、前記格子状凹凸形状の凸部の頂部の幅が10nm以下であり、前記格子状凹凸形状の前記凸部の最も高い位置から前記凸部の高さの1/10下がった位置の基材壁面点と最も近接する基材底点を結ぶ直線を基準とした場合、前記凸部の頂点より下方に位置する前記基材壁面である基材側壁部が前記直線よりも下方にのみ存在することを特徴とするワイヤグリッド偏光板。
  2. 前記金属は、前記基材壁面の垂直方向から上方へ60°〜80°向いた方向に(111)方位への配向を有することを特徴とする請求項1に記載のワイヤグリッド偏光板。
  3. 前記金属ワイヤは、前記特定方向と垂直に交わる平面において、基材壁面の稜線延長線方向を境界として、基材壁面側に立設されるアルミニウムが70%以上の領域を占めることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のワイヤグリッド偏光板。
  4. 前記格子状凹凸形状の凸部断面形状が、凹部底部から凸部頂上までの1/2高さにおいて、格子状凸部の幅が格子ピッチの0.1〜0.6倍であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のワイヤグリッド偏光板。
JP2010014910A 2010-01-27 2010-01-27 ワイヤグリッド偏光板 Active JP5476142B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010014910A JP5476142B2 (ja) 2010-01-27 2010-01-27 ワイヤグリッド偏光板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010014910A JP5476142B2 (ja) 2010-01-27 2010-01-27 ワイヤグリッド偏光板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011154143A JP2011154143A (ja) 2011-08-11
JP5476142B2 true JP5476142B2 (ja) 2014-04-23

Family

ID=44540174

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010014910A Active JP5476142B2 (ja) 2010-01-27 2010-01-27 ワイヤグリッド偏光板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5476142B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11500140B2 (en) 2018-07-26 2022-11-15 Dexerials Corporation Polarizing plate and optical apparatus having tip portions with continuous curved surface

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20160143443A (ko) * 2015-06-05 2016-12-14 코오롱인더스트리 주식회사 와이어 그리드 편광판 및 이를 포함한 액정표시장치
JP6826073B2 (ja) 2018-05-31 2021-02-03 デクセリアルズ株式会社 偏光板及びその製造方法、並びに光学機器

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4275692B2 (ja) * 2005-10-17 2009-06-10 旭化成株式会社 ワイヤグリッド偏光板及びそれを用いた液晶表示装置
JP2008181113A (ja) * 2006-12-27 2008-08-07 Toray Ind Inc 反射型偏光板及びそれを用いた液晶表示装置
JP5420859B2 (ja) * 2008-06-12 2014-02-19 旭化成イーマテリアルズ株式会社 複合型ワイヤグリッド偏光子及びその製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11500140B2 (en) 2018-07-26 2022-11-15 Dexerials Corporation Polarizing plate and optical apparatus having tip portions with continuous curved surface

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011154143A (ja) 2011-08-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6056903B2 (ja) 偏光素子、及び透過型液晶プロジェクター
JP5636963B2 (ja) ワイヤグリッド型偏光子およびその製造方法
JP5459210B2 (ja) ワイヤグリッド型偏光子およびその製造方法
US7605883B2 (en) Wire grid polarizer and liquid crystal display device using the polarizer
JP5797334B2 (ja) 型基材、型基材の製造方法、型の製造方法および型
CN102959436B (zh) 波长板的制造方法
JP6209190B2 (ja) 無反射ナノコーティング構造及びその製造方法
JP2015034959A (ja) 偏光板、及び偏光板の製造方法
JP5476142B2 (ja) ワイヤグリッド偏光板
Suzuki et al. Low-reflective wire-grid polarizers with absorptive interference overlayers
JP5619586B2 (ja) 投影型映像表示機器
US20130135727A1 (en) Wave plate and wave plate manufacturing method
JP2012155163A (ja) ワイヤグリッド偏光板
KR20090100133A (ko) 경사 증착에 의한 나노 금속 선격자 보호코팅 및 그의 보호코팅 방법
JP5084603B2 (ja) 偏光子及び液晶プロジェクタ
JP4617329B2 (ja) ワイヤグリッド偏光板の製造方法
JP6122045B2 (ja) 波長板の製造方法
JP5591575B2 (ja) ワイヤグリッド偏光板の製造方法
JP6042642B2 (ja) 光学機能体及び、ワイヤグリッド偏光板
JP2011022493A (ja) ワイヤグリッド偏光板
JP5069035B2 (ja) ワイヤグリッド偏光板
JP2011227243A (ja) ワイヤグリッド偏光板とその製造方法
JP2011227130A (ja) ワイヤグリッド型偏光子の製造方法
JP2013178555A (ja) ワイヤグリッド偏光板
JP2005308968A (ja) 光学多層膜及び光学素子

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121004

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130717

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130723

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130904

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20131001

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131225

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20140108

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140207

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5476142

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350