JP5588396B2 - 高分子化合物、該高分子化合物を含有するフォトレジスト組成物、およびレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Description
上記化学増幅型レジストに用いられる酸解離性溶解抑止基としては、例えば、下記非特許文献1〜3に示されるように、フッ素化されたアルコールへの酸解離性溶解抑止基としてアセタール基、tert−ブチル基のような3級アルキル基、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基などが知られている。
本特許請求の範囲及び明細書における「構成単位」とは、高分子化合物を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
本特許請求の範囲及び明細書において、特に断りがない限り、アルキル基、アルコキシ基、アルキレン基は直鎖または分岐のいずれでもよい。
本発明の高分子化合物は、それらの分子中のアルカリ可溶性基(i)の水素原子が、下記一般式(3)
本発明の高分子化合物を化学増幅型ポジ型レジストの系に用いると、該高分子化合物が上記一般式(1)(または一般式(3))で示される、脂肪族環式基を有する酸解離性溶解抑止基を有することにより、露光前ではアルカリ現像への溶解抑止作用を示し、露光及びPEB(露光後加熱)プロセス後では脱保護によるアルカリ溶解性を発現し、露光前と露光後でのアルカリ溶解性が大きく変化するため、解像性に優れた微細パターンを得ることができる。また、本発明の高分子化合物を用いると、レジストパターンのエッチング耐性が向上する。とくに酸解離性溶解抑止基(ii)に親水性基がさらに導入された場合にはレジストパターンの基板への密着性が向上し、アルカリ現像液への親和性向上により現像欠陥が低減する。またマスクリニアリティも良好となる。
アルカリ可溶性基(i)の詳細は後述する。アルカリ可溶性基(i)は水素原子を有しており、酸解離性溶解抑止基(ii)はこの水素原子を置換している。すなわち、アルカリ可溶性基(i)が、アルコール性水酸基、カルボキシル基、およびフェノール性水酸基である場合、酸解離性溶解抑止基(ii)は該アルカリ可溶性基(i)の水素原子を除いた酸素原子に結合している。
本特許請求の範囲及び明細書における「脂肪族」とは、芳香性に対する相対的な概念であって、芳香性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。「脂肪族環式基」は、芳香性を持たない単環式基または多環式基(脂環式基)であることを意味する。このとき「脂肪族環式基」は炭素、及び水素からなる基であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
このような脂肪族環式基としては、例えば、シクロヘキサン、シクロペンタン、アダマンタン、ノルボルナン、ノルボルネン、メチルノルボルナン、エチルノルボルナン、メチルノルボルネン、エチルノルボルネン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどから誘導される1価の基を挙げることができる。この様な脂肪族環式基は、ArFレジストにおいて、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。これらの中でもシクロヘキシル基、シクロペンチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ノルボルネニル基、メチルノルボルニル基、エチルノルボルニル基、メチルノルボルネニル基、エチルノルボルネニル基、テトラシクロドデカニル基が工業上好ましく、アダマンチル基がさらに好ましい。
本発明の高分子化合物におけるアルカリ可溶性基(i)は、前述の非特許文献においても例示されているように、また、これまで提案されているKrFレジスト、ArFレジスト、F2レジストから公知である。そのようなアルカリ可溶性基とは、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、およびカルボキシル基等が挙げられ、特に限定されない。
本発明においては、アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、およびカルボキシル基から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。中でもアルコール性水酸基が、透明性が高く、また適度なアルカリ可溶性を有するため、好適である。アルコール性水酸基の場合には、なかでも、アルコール性水酸基に結合している炭素原子に隣接する炭素原子が、少なくとも一つのフッ素原子を有することを特徴とするアルコール性水酸基であることがさらに好ましい。
本発明の新規化合物(本発明の高分子化合物に対して「低分子化合物」と称することもある)は、下記一般式(16)
該構成単位(a1)は、本発明の新規化合物から誘導される構成単位であって、前記アルカリ可溶性基(i)が、置換基(R2)を有していてもよいアクリル酸から誘導されるカルボキシル基からなり、該カルボキシル基の水素原子が酸解離性溶解抑止基(ii)で置換されている構成単位に該当する。
すなわち、Xが2原子の水素原子のときはメチレン鎖(−CH2−)を意味している。
本発明の高分子化合物のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算質量平均分子量(Mw)は、特に限定するものではないが、フォトレジスト組成物用として用いるうえで5000〜80000が好ましく、さらに好ましくは8000〜50000とされる。また、分散度(Mw/Mn)は、1.0〜5.0程度であり、好ましくは2.5以下である。Mnは数平均分子量である。
該アルカリ可溶性基を有する構成単位として、好ましくは前記アルコール性水酸基、フェノール性水酸基、およびカルボキシル基を有する単量体単位から選ばれる少なくとも1種または2種以上の構成単位が用いられる。これら以外にも、従来公知のフォトレジスト組成物用高分子に用いられる構成単位を含むこともできる。
なお、化学式(22)で表される構成単位は、化学式(23)で示されるように、四フッ化エチレンから誘導される構成単位と併用することも好ましい。
前駆体におけるアルカリ可溶性基(i)の水素原子を置換して酸解離性溶解抑止基(ii)を導入する方法は、例えば、塩素、臭素などのハロゲン原子を含有したアルコール化合物を用いてハロゲン化メチルエーテル化合物を合成し、これを前駆体のアルカリ可溶性基と反応させて、酸解離性溶解抑止基(ii)を導入することができる。
例えば、クロロメチルエーテル化合物を出発物質とし、前駆体のアルコール水酸基、カルボキシル基、およびフェノール性水酸基から選択されるいずれか一つのアルカリ可溶性基(i)と反応させることにより、該アルカリ可溶性基(i)を式(1)で表される酸解離性溶解抑止基で保護することができる。
本発明にかかるフォトレジスト組成物は、少なくとも、酸の作用によりアルカリ溶解性が変化する基材樹脂成分(A)と、放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有し、この基材樹脂成分(A)が、前述の本発明にかかる高分子化合物であることを特徴とする。
ネガ型の場合、(A)成分としてアルカリ可溶性樹脂が用いられると共に架橋剤が配合される。そして、レジストパターン形成時に、露光により(B)成分から酸が発生すると、かかる酸が作用し、アルカリ可溶性樹脂と架橋剤との間で架橋が起こり、アルカリ可溶性樹脂がアルカリ不溶性へと変化する。前記架橋剤としては、例えば、通常は、メチロール基又はアルコキシメチル基を有するメラミン、尿素又はグリコールウリルなどのアミノ系架橋剤が用いられる。
ポジ型の場合、(A)成分は、いわゆる酸解離性溶解抑止基を有するアルカリ不溶性のものであり、露光により前記(B)成分から発生した酸が作用すると、酸解離性溶解抑止基が解離し、これによって(A)成分全体がアルカリ不溶性からアルカリ可溶性に変化する。そのため、レジストパターンの形成においてマスクパターンを介して露光すると、または露光に加えて露光後加熱(PEB)を行うと、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりポジ型のレジストパターンが形成できる。ポジ型の場合、(A)成分としては、本願発明の高分子化合物が好ましく用いられる。
前記基材樹脂成分(A)において、アルカリ可溶性基(i)としてカルボキシル基を有する高分子化合物を前駆体とする場合、酸解離性溶解抑止基(ii)で保護されている構成単位として前記一般式(2)で表される化合物から誘導される構成単位(a1)を用いることが好ましい。
この場合、該構成単位(a1)と、従来、化学増幅型フォトレジスト組成物に用いられている公知の他の構成単位とを共重合させ、基材樹脂成分(A)として用いることができる。該他の構成単位として、例えば、以下の(a2)〜(a6)に示すような構成単位が挙げられる。かかる他の構成単位としては、例えば(メタ)アクリル酸のカルボキシル基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成するものが広く知られている。
構成単位(a1)としては、下記一般式(39)から選択される少なくとも1種の化合物から誘導される構成単位を用いることができる。これらは、アセタール基(−R−O−R’;アルコキシアルキル基)を有しているため、例えば、後述する構成単位(a2)と比べて酸の作用により解離しやすい傾向にある。従って、酸発生剤より発生する酸が弱いもの(後述するジアゾメタン系酸発生剤やオキシムスルホネート系酸発生剤やアニオン部にカンファースルホン酸を有するオニウム塩等)でも十分に酸解離性溶解抑止基を解離させることができる。
本発明のアセタールタイプの保護基は、脱保護エネルギーが非常に低く、露光エネルギーのみで脱保護反応が進行することより、酸の拡散や失活の影響を受け難い為、露光面積余裕度が向上すると考えられる。
また、後述する構成単位(a2)のような(メタ)アクリル酸の3級エステル化合物に比べ熱分解点が高いため、熱安定性が向上するため好ましい。従って、保存安定性も向上する。更には、後述する構成単位(a2)と比べ、Tg(ガラス転移点)が低くかつ露光時に保護基が解離する為((a2)単位はPEB時に保護基が解離する)、低温でPEBを行うことができる。すなわち酸発生剤の拡散を容易にコントロールすることができ、レジストパターン形状の制御が容易である為好ましい。またPEBマージンも良好となるため好ましい。また、SiON基板のような無機基板上でも、良好な解像性及びレジストパターン形状を有することから好ましい。
構成単位(a2)としては、単環式基又は多環式基含有酸解離性溶解抑止基を含む(メタ)アクリル酸エステルから誘導される単位であり、構成単位(a1)以外の酸解離性溶解抑止基を有する構成単位を挙げることができる。これらは本発明の効果を損なわない範囲で用いることができる。
前記単環式基としては、シクロアルカンから1個の水素原子を除いた基、例えばシクロヘキシル、シクロペンチル基等の脂肪族単環式基が挙げられる。多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどとして、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基、すなわち脂肪族多環式基が挙げられる。ここで、これらの単環式基又は多環式基は、ArFレジストにおいて多く提案されたもので、本発明においてもこれらの単環式基又は多環式基を任意に選択し使用することができるが、中でもアダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデカニル基等の脂肪族多環式基を用いるのが、工業上入手し易いなどの点で好ましい。具体的には、下記一般式(43)、(44)または(45)から選択される少なくとも1種の構成単位が、解像性、耐ドライエッチング性に優れている等の点で好ましい。
R3としては、水素原子またはメチル基、さらには炭素数2〜5程度の低級アルキル基、具体的にはエチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。
また、R4としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの低級の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。ここで、R4を炭素数2以上のアルキル基とすれば、メチル基の場合に比べて酸解離性が高くなる傾向にあり、好ましい。ただし、工業的にはメチル基、エチル基とするのが最も好ましい。
また、このような一般式(43)〜(45)で表される構成単位の中では、特に一般式(43)で表される構成単位で、かつR4がメチル基またはエチル基であるものが、解像性に優れる等の点で好ましい。
構成単位(a3)は、ラクトン含有単環または多環式基を含む(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位である。ラクトン官能基は、本発明の組成物から形成されるフォトレジスト膜の基板への密着性を高めたり、現像液との親水性を高めたりするうえで有効なものである。
なお、ここでのラクトン環とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環を示し、これをひとつの目の環として数える。したがって、ここではラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a3)としては、このようなラクトン官能基と環基とを共に持てば、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられ、また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン基を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。特に、以下のような構造式(46)、または構造式(47)を有するラクトン含有トリシクロアルカンから水素原子を1つを除いた基が、工業上入手し易いなどの点で有利である。
また、一般式(48)、(49)で表される(メタ)アクリル酸のノルボルナンラクトンエステル、すなわちノルボルナンラクトンの(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位は、得られるレジストパターンの形状、例えば矩形性がさらに良好であるため、好ましい。特に、一般式(49)で表される構成単位はその効果が極めて高く、好ましい。
構成単位(a4)は、極性基含有多環式基を含む(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位であり、極性基を有することにより、樹脂成分(A)全体の現像液との親水性を高め、露光部のアルカリ溶解性を向上し、これにより解像性の向上に寄与するものである。ここで、多環式基としては、前記の構成単位(a1)の場合と同様の多環式基を用いることができる。該極性基としては、シアノ基、カルボキシル基、水酸基などが挙げられ、水酸基であることが好ましい。
このような構成単位(a4)としては、極性基含有多環式基であれば特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、水酸基含有アダマンチル基、特に下記一般式(51)で表される構成単位が、耐ドライエッチング性を上昇させる効果と、パターン断面を矩形状にする効果とを有する点で好ましい。
構成単位(a5)は、前記構成単位(a1)(a2)、(a3)、(a4)以外の多環式基含有非酸解離性溶解抑止基を含む(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
多環式基含有非酸解離性溶解抑止基を含む(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位とは、露光前後の(A)成分全体の疎水性を高めてアルカリ溶解性を抑制する機能を有する構成単位である。すなわち、露光前の(A)成分全体のアルカリ溶解性を低減させるとともに、露光後に、(B)成分から発生する酸の作用により解離することなく、前記構成単位(a1)又は(a2)の酸解離性溶解抑止基の解離により(A)成分全体がアルカリ可溶性へと変化した際の(A)成分全体のアルカリ溶解性を、アルカリ不溶とならない範囲で低減する溶解抑制性を有する基を含む構成単位である。
構成単位(a5)の多環式基としては、前記構成単位(a2)の場合と同様の多環式基を用いることができる。
構成単位(a6)は、前記(a1)〜(a5)単位とは重複しないものであり、 下記一般式(55)で表され、置換基を有していてもよいアクリル酸エステルに結合した環式基X’と、該環式基X’に結合しているフッ素化有機基とから構成されている化合物から誘導される構成単位である。このフッ素化有機基は、有機基の水素原子の少なくとも一部がフッ素により置換されて形成され、かつ、アルコール性水酸基を有することを特徴とする。前記(a6)単位を有することでアルカリ溶解性向上が期待される。このことにより溶解コントラストの増加により解像性が向上する為好ましい。
X’が2価のときs=1である。X’が3価のときs=2である。つまりX’が3価のときX’には2つのフッ素化有機基が結合している。
この中でも、多環式脂肪族炭化水素がより好ましく、例えば、アダマンタン、ノルボルナン、ノルボルネン、メチルノルボルナン、エチルノルボルナン、メチルノルボルネン、エチルノルボルネン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどを挙げることができる。この様な多環式炭化水素は、ArFレジストにおいて、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。これらの中でもアダマンタン、ノルボルナン、ノルボルネン、メチルノルボルナン、エチルノルボルナン、メチルノルボルネン、エチルノルボルネン、テトラシクロドデカンが工業上好ましく、ノルボルナンが最も好ましい。
Yは2価の炭素数1〜6のアルキレン基またはアルキルオキシ基であり、特に限定されないがメチレン基が好ましい。p、q、sはそれぞれ1であることが好ましい。
また、本発明のポジ型フォトレジスト組成物においては、(A)成分として、前記の各構成単位(a1)〜(a6)を形成するモノマーに、従来化学増幅型のポジ型レジストとして公知の耐ドライエッチング性向上基や酸非解離性の溶解抑止基を有するアクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸などのアルカリ可溶性とするためのエチレン性二重結合を有するカルボン酸、アクリル樹脂の製造に用いられる公知のモノマーなどを、必要に応じて適宜組み合わせ、共重合させて用いることもできる。
アクリル樹脂の製造に用いられる公知のモノマーの例としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどのアクリル酸アルキルエステルおよび対応するメタクリル酸アルキルエステルなどを挙げることができる。
本発明のポジ型レジスト組成物に用いる基材樹脂成分(A)として好ましい高分子化合物は構成単位(a1)と構成単位(a3)とを含む共重合体が解像性やレジストパターン形状が良好になる点から好ましい。特には構成単位(a1)と構成単位(a3)と構成単位(a4)とを含む共重合体が更に好ましい。また、基材樹脂成分中に、相互に異なる構成単位(a3)を2つ有する共重合体も好ましい。
本発明の高分子化合物を2元系((a1)/(a6)の共重合体)で用いる場合、構成単位(a1)は、(A)成分の全構成単位の合計に対して、20〜80モル%、好ましくは30〜60モル%、構成単位(a3)は、20〜80モル%、好ましくは30〜60モル%であると好ましい。本発明の高分子化合物を3元系((a1)/(a3)/(a4)の共重合体)で用いる場合、構成単位(a1)は、(A)成分の全構成単位の合計に対して、20〜60モル%、好ましくは30〜50モル%、構成単位(a3)は、20〜60モル%、好ましくは20〜50モル%、構成単位(a4)は、10〜50モル%、好ましくは20〜40モル%であると解像性やドライエッチング耐性に優れ好ましい。
本発明のフォトレジスト組成物における基材樹脂成分(A)の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚に応じて調整すればよい。例えば、後述の好ましい固形分濃度となるように調整される。
本発明のフォトレジスト組成物に用いる酸発生剤成分(B)としては、公知の放射線の照射により酸を発生する化合物中から任意のものを適宜選択して用いることができる。このような酸発生剤としては、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類、ニトロベンジルスルホネート類などのジアゾメタン系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、以下に示す構造をもつ1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(化合物A、分解点135℃)、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン(化合物B、分解点147℃)、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(化合物C、融点132℃、分解点145℃)、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(化合物D、分解点147℃)、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン(化合物E、分解点149℃)、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(化合物F、分解点153℃)、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(化合物G、融点109℃、分解点122℃)、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(化合物H、分解点116℃)などを挙げることができる。
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部、好ましくは1〜15質量部とされる。上記範囲より少ないとパターン形成が十分に行われないおそれがあり、上記範囲を超えると均一な溶液が得られにくく、保存安定性が低下する原因となるおそれがある。
前記フォトレジスト組成物には、必要に応じ、さらに含窒素有機化合物(D)を含有することができる。化学増幅型レジスト組成物に含窒素化合物を酸拡散防止剤などとして少量配合することはすでに公知である。本発明においても、このような公知の含窒素有機化合物を添加することができる。そのような含窒素有機化合物としては、アミンやアンモニウム塩が挙げられる。
これらの中でも、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブタノールアミンなどの低級の第3級アルカノールアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリデカニルアミン、トリドデシルアミン、トリテトラデカニルアミンなど炭素数6以上15以下のトリアルキルアミンが微細なレジストパターンのトップ部分の膜減りの低減効果に優れることから、好ましい。
また、本発明においては、前記含窒有機素化合物(D)の添加による感度劣化防止等の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸またはリンのオキソ酸若しくはその誘導体を含有させることができる。
本発明のフォトレジスト組成物は、前記基材樹脂成分(A)、前記酸発生剤(B)、および含窒素有機化合物(D)、さらに必要に応じて添加される任意成分を有機溶剤(E)に溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のもの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
また、本発明のフォトレジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えば、公知の溶解抑制剤、フォトレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤などを添加含有させることができる。
本発明のフォトレジスト組成物はリソグラフィーによる半導体集積回路のパターニング等に好適に用いることができる。特に、波長300nm以下の光源、中でもKrF、ArF、F2エキシマレーザーを用いた微細パターニングにおいて優れた解像特性を達成できる。その中でも、ArFエキシマレーザーであることが最も好ましい。更には電子線に対しても有効である。
4−オキソ−2−ヒドロキシアダマンタンにパラホルムアルデヒドを加え、4−オキソ−2−ヒドロキシアダマンタンに対し2.5当量の塩化水素ガスを吹き込み、50℃にて12時間反応させた。反応終了後、生成物を減圧蒸留し、下記化学式(58)でしめされる4−オキソ−2−アダマンチルクロロメチルエーテル(化合物1)を得た。
2−ヒドロキシアダマンタンにパラホルムアルデヒドを加え、2−ヒドロキシアダマンタンに対し2.5当量の塩化水素ガスを吹き込み、50℃にて12時間反応させた。反応終了後、生成物を減圧蒸留し、下記化学式(59)でしめされる2−アダマンチルクロロメチルエーテル(化合物2)を得た。
アダマンタン−1−メタノールにパラホルムアルデヒドを加え、アダマンタン−1−メタノールに対し2.5当量の塩化水素ガスを吹き込み、50℃にて12時間反応させた。反応終了後、生成物を減圧蒸留し、下記化学式(60)でしめされる1−アダマンチルメチルクロロメチルエーテル(化合物3)を得た。
6.9gのメタクリル酸を200mLのテトラヒドロフランに溶解し、トリエチルアミン8.0gを加えた。室温で攪拌した後、15gの化合物2(59)を溶解させたテトラヒドロフラン100mLを滴下した。室温で12時間攪拌した後、析出した塩を濾別した。得られた濾液を溶媒留去し、酢酸エチルに200mLに溶解させた後、純粋(100mL×3)で洗浄し、溶媒留去した。氷冷下放置後、得白色固体を得た。この化合物を化合物4とし、化学式(61)で表す。赤外吸収スペクトル(IR)、プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)を測定した結果を示す。IR(cm-1):2907、2854( C-H伸縮)、1725( C=O伸縮)、1638( C=C伸縮)1H−NMR(CDCl3、内部標準:テトラメチルシラン)ppm:1.45〜2.1(m、17H)、3.75(s、1H)、5.45(s、2H)、5.6(s、1H)、6.12(s、1H)
2.2gのメタクリル酸を50mLのテトラヒドロフランに溶解し、トリエチルアミン2.5gを加えた。室温で攪拌した後、4.3gの化合物1(58)を溶解させたテトラヒドロフラン50mLを滴下した。室温で12時間攪拌した後、析出した塩を濾別した。得られた濾液を溶媒留去し、酢酸エチルに100mLに溶解させた後、純粋(50mL×3)で洗浄し、溶媒留去した。氷冷下放置後、白色固体を得た。この化合物を化合物5とし、化学式(62)で表す。赤外吸収スペクトル(IR)、プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)を測定した結果を示す。IR(cm-1):2926、2861(C-H伸縮))、1725(C=O伸縮)、1636(C=C伸縮)1H−NMR(CDCl3、内部標準:テトラメチルシラン)ppm:1.62〜3.85(m、15H)、4.2(s、1H)、5.4(s、2H)、5.65(s、1H)、6.15(s、1H)
5.5gのメタクリル酸を200mLのテトラヒドロフランに溶解し、トリエチルアミン6.5gを加えた。室温で攪拌した後、12.9gの化合物3(60)を溶解させたテトラヒドロフラン100mLを滴下した。室温で12時間攪拌した後、析出した塩を濾別した。得られた濾液を溶媒留去し、酢酸エチルに100mLに溶解させた後、純粋(100mL×3)で洗浄し、溶媒留去し、無色油状物を得た。この化合物を化合物6とし、化学式(63)で表す。赤外吸収スペクトル、プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)を測定した結果を示す。IR(cm-1):2904、2850(C-H伸縮))、1727(C=O伸縮)、1638(C=C伸縮)1H−NMR(CDCl3、内部標準:テトラメチルシラン)ppm:1.46〜1.96(m、18H)、3.22(s、2H)、5.34(s、2H)、5.6(s、1H)、6.15(s、1H)
[合成例7] 樹脂1(化学式(64)で表される高分子化合物。以下、単に樹脂番号の後に(64)等と式番号のみを記載することがある。)の合成
8.0gの化合物4とγ−ブチロラクトンメタクリル酸エステル5.4gを50mLのテトラヒドロフランに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル0.52gを加えた。24時間還流した後、反応溶液を1Lのn−ヘプタンに滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い白色な粉体樹脂を得た。この樹脂を樹脂1とし、化学式(64)で表す。樹脂1の分子量(Mw)は21100であった。また、カーボン13(質量数13のカーボンの意、以下同様。)核磁気共鳴スペクトル(13C-NMR)を測定した結果、式中の組成比(モル%、以下同様。)はm:n=0.49:0.51であった。
1.0gの化合物4とγ−ブチロラクトンメタクリル酸エステル0.68g、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリル酸エステル0.47gを20mLのテトラヒドロフランに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル0.08gを加えた。24時間還流した後、反応溶液を2Lのn−ヘプタンに滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い白色な粉体樹脂を得た。この樹脂を樹脂2とし、化学式(65)で表す。この樹脂2の分子量(Mw)は11500であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定した結果、式中の組成比はm:n:l=0.34:0.42:0.24であった。
1.0gの化合物4とγ−ブチロラクトンメタクリル酸エステル0.68g、3−ヒドロキシ−1−アダマンチルアクリル酸エステル0.44gを20mLのテトラヒドロフランに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル0.08gを加えた。24時間還流した後、反応溶液を2Lのn−ヘプタンに滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い白色な粉体樹脂を得た。この樹脂を樹脂3とし、化学式(66)で表す。この樹脂3の分子量(Mw)は10800であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定した結果、組成比はm:n:l=0.29:0.45:0.26であった。
1.0gの化合物4とγ−ブチロラクトンメタクリル酸エステル0.68g、ノルボルナンラクトンメタクリル酸エステル(一般式(49)のR3がメチル基である構成単位に対応するモノマー)0.47gを20mLのテトラヒドロフランに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル0.08gを加えた。24時間還流した後、反応溶液を2Lのn−ヘプタンに滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い白色な粉体樹脂を得た。この樹脂を樹脂4とし、化学式(67)で表す。この樹脂4の分子量(Mw)は12000であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定した結果、組成比はm:n:l=0.37:0.42:0.21であった。
1.0gの化合物4とγ−ブチロラクトンメタクリル酸エステル0.68g、ノルボルナンラクトンメタクリル酸エステル(一般式(48)のR3がメチル基である構成単位に対応するモノマー)0.44gを20mLのテトラヒドロフランに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル0.08gを加えた。24時間還流した後、反応溶液を2Lのn−ヘプタンに滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い白色な粉体樹脂を得た。この樹脂を樹脂5とし、化学式(68)で表す。この樹脂5の分子量(Mw)は12900であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定した結果、組成比はm:n:l=0.36:0.42:0.22であった。
付加重合により合成した樹脂6を用い、前記化合物1〜3をそれぞれ導入した樹脂7から樹脂9が得られた。樹脂6から樹脂9は、それぞれ下記化学式(69)から(72)で表される。これらの樹脂の物性値を表1に示した。
公知の金属触媒を用い、付加重合反応を用いて、化学式(69)で表される樹脂6を合成した。式中のxは100である。
5.0gの樹脂6を70mLのテトラヒドロフランに溶解し、水素化ナトリウム0.15gを加えた。室温で溶液系が均一になるまで攪拌した後、0.8gの化合物1を滴下した。室温で12時間攪拌した後、析出した塩を濾別した。得られた濾液を1Lの水に滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥後、テトラヒドロフランに溶解させ1Lのメタノール:純水(80:20)の混合物に滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い白色な粉体樹脂を得た。この樹脂を樹脂7とする。
5.0gの樹脂6を70mLのテトラヒドロフランに溶解し、水素化ナトリウム0.15gを加えた。室温で溶液系が均一になるまで攪拌した後、0.7gの化合物2を滴下した。室温で12時間攪拌した後、析出した塩を濾別した。得られた濾液を1Lの水に滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥後、テトラヒドロフランに溶解させ1Lのメタノール:純水(80:20)の混合物に滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い白色な粉体樹脂を得た。この樹脂を樹脂8とする。
5.0gの樹脂6を70mLのテトラヒドロフランに溶解し、水素化ナトリウム0.15gを加えた。室温で溶液系が均一になるまで攪拌した後、0.8gの化合物3を滴下した。室温で12時間攪拌した後、析出した塩を濾別した。得られた濾液を1Lの水に滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥後、テトラヒドロフランに溶解させ1Lのメタノール:純水(80:20)の混合物に滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い白色な粉体樹脂を得た。この樹脂を樹脂9とする。
[合成例15]樹脂10(74)の合成
24.0gの下記化学式(73)で示されるポリ−4−ヒドロキシスチレン樹脂(73)を200mLのテトラヒドロフランに溶解し、水素化ナトリウム2.4gを加えた。室温で溶液系が均一になるまで攪拌した後、12gの化合物2を滴下した。室温で12時間攪拌した後、析出した塩を濾別した。得られた濾液を1Lの水に滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥後、テトラヒドロフランに溶解させ3Lのn−ヘプタンルに滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い、白色な粉体樹脂10を得た。
樹脂10の分子量(Mw)は12400、分散度(Mw/Mn)は1.28であった。また、プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)を測定した結果、化学式(74)における組成比はm:n=0.87:0.13であった。
[合成例16]樹脂11(75)の合成
3.0gの化合物4とγ−ブチロラクトンメタクリル酸エステル2.0gを45mLのテトラヒドロフランに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル0.20gを加えた。12時間還流した後、反応溶液を2Lのn−ヘプタンに滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い白色な粉体樹脂を得た。この樹脂を樹脂11とし、化学式(75)で表す。この樹脂11の分子量(Mw)は12300、分散度(Mw/Mn)は1.96であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定した結果、式中の組成比はm:n:l=0.47:0.53であった。また、熱分解点は257.1℃、Tgは147.9℃であった。尚、本合成例及び比較合成例において、熱分解点は熱分析装置DSC6200(Seiko Instrument社製)にて10℃/minの昇温条件で測定を行った。また、Tg(ガラス転移点)は熱分析装置TG/DTA6200(Seiko Instrument社製)にて10℃/minの昇温条件で測定を行った。
3.0gの化合物4と下記化学式(76)で表される化合物7を4.0gとを60mLのテトラヒドロフランに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル0.20gを加えた。12時間還流した後、反応溶液を2Lのn−ヘプタンに滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い白色な粉体樹脂を得た。この樹脂を樹脂12とし、化学式(77)で表す。この樹脂12の分子量(Mw)は9800、分散度(Mw/Mn)は1.61であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定した結果、式中の組成比はm:n=0.57:0.43であった。また、熱分解点は234.5℃、Tgは114.1℃であった。
6.0gの化合物6とγ−ブチロラクトンメタクリル酸エステル3.9gを90mLのテトラヒドロフランに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル0.37gを加えた。12時間還流した後、反応溶液を2Lのn−ヘプタンに滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い白色な粉体樹脂を得た。この樹脂を樹脂13とし、化学式(78)で表す。この樹脂13の分子量(Mw)は12800、分散度(Mw/Mn)は1.87であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定した結果、式中の組成比はm:n=0.43:0.57であった。また、熱分解点は240.0℃、Tgは142.2℃であった。
6.0gの化合物6と7.6gの化合物7とを120mLのテトラヒドロフランに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル0.37gを加えた。12時間還流した後、反応溶液を2Lのn−ヘプタンに滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い白色な粉体樹脂を得た。この樹脂を樹脂14とし、化学式(79)で表す。この樹脂14の分子量(Mw)は11600、分散度(Mw/Mn)は1.60であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定した結果、式中の組成比はm:n=0.56:0.44であった。また、熱分解点は233.6℃、Tgは109.4℃であった。
[比較合成例1]比較樹脂1(80)の合成
9.9gの2-メチル-2-アダマンチルメタクリレートと6.0gのγ−ブチロラクトンメタクリル酸エステルを140mLのテトラヒドロフランに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル0.63gを加えた。12時間還流した後、反応溶液を2Lのn−ヘプタンに滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い白色な粉体樹脂を得た。この樹脂を比較樹脂1とし、化学式(80)で表す。この比較樹脂1の分子量(Mw)は8700、分散度(Mw/Mn)は1.83であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定した結果、式中の組成比はm:n=0.41:0.59であった。また、熱分解点は222.5℃、Tgは158.9℃であった。
10.6gの2-メチル-2-アダマンチルメタクリレートと15.0gの化合物7を230mLのテトラヒドロフランに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル0.74gを加えた。12時間還流した後、反応溶液を2Lのn−ヘプタンに滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い白色な粉体樹脂を得た。この樹脂を比較樹脂2とし、化学式(81)で表す。この比較樹脂2の分子量(Mw)は8780、分散度(Mw/Mn)は1.42であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定した結果、式中の組成比はm:n=0.64:0.36であった。また、熱分解点は215.7℃、Tgは133.3℃であった。
下記化学式(82)で表される比較樹脂3’(Promerus社製)を15g(質量平均分子量=7640、分散度=1.93)を100mLのテトラヒドロフランに溶解し、水素化ナトリウム0.88gを加えた。室温で溶液系が均一になるまで攪拌した後、1.76gのクロロメチルメチルエーテル(東京化成工業株式会社製)を滴下した。室温で12時間攪拌した後、析出した塩を濾別した。得られた濾液を1Lの水に滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥後、テトラヒドロフランに溶解させ、1Lのn−ヘプタンに滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い白色な粉体樹脂を得た。収量5.0g。この樹脂を比較樹脂3とし、化学式(83)で表す。この比較樹脂3における質量平均分子量(Mw)は14000、分散度(Mw/Mn)は2.14であり、水酸基の保護率は40.7%であった。
比較合成例3において保護率を変えた。すなわち、クロメチルメチルエーテルの量を調節したこと以外は同様な方法を用いて反応を行った。得られた樹脂の質量平均分子量(Mw)は13900、分散度(Mw/Mn)は2.23であり、水酸基の保護率は20.8%であった。これを比較樹脂4とする。化学式(83)で表される。
樹脂7から9を用いて、ポジ型フォトレジストの解像性をArF露光にて確認した。ポジ型フォトレジスト用組成物は、以下に示す酸発生剤、含窒素有機化合物、および溶剤を用いて、樹脂7から9についてそれぞれ調製した。
樹脂7〜9 100質量部
酸発生剤:TPS−PFBS 2.0質量部
含窒素有機化合物:トリイソプロパノールアミン 0.2質量部
溶剤:PGMEA 1250質量部
「現像条件:NMD−3 2.38%(東京応化工業製)の30秒」とは、NMD−3 2.38%(製品名、東京応化工業製)を用い、現像時間30秒の条件で現像したことを示す。
樹脂1を用いて、ポジ型フォトレジスト性能をArFエキシマレーザーの露光量を変化させた際のレジスト膜厚の変化から確認した。ポジ型フォトレジスト用組成物は、以下に示す酸発生剤、含窒素有機化合物、および溶剤を用いて調製した。レジスト膜厚は200nmに調製した。得られた露光量変化に対するレジスト膜厚変化を表す感度曲線を図1に示した。
樹脂1 100質量部
酸発生剤:TPS−PFBS 2.0質量部
含窒素有機化合物:トリイソプロパノールアミン 0.2質量部
溶剤:PGMEA 1250質量部
樹脂2から5を用いて、ポジ型フォトレジストの解像性をArF露光にて確認した。ポジ型フォトレジスト用組成物は、以下に示す酸発生剤、含窒素有機化合物、および溶剤を用いて、樹脂2から5についてそれぞれ調製した。
樹脂2〜5 100質量部
酸発生剤:TPS−PFBS 3.0質量部
含窒素有機化合物:トリイソプロパノールアミン 0.35質量部
溶剤:PGMEA 1250質量部
GBL 125質量部
ポジ型フォトレジストの露光解像性を下記の表4に示す条件で確認した。
下記表6に示す組成のポジ型レジスト組成物を調製した後、表7の条件でレジストパターンを形成して評価した。その結果を表8に示した。
PAG1:トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート
PAG2:下記化学式(84)で表されるビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン
EL:乳酸エチル
PAG3を用いた場合、比較例3は解像せず、比較例6では170nmのラインアンドスペースパターンが得られたが、これらに比べて実施例11,14,19は、解像性、感度ともに向上した。
ライン幅120nm、ピッチ240nmのラインアンドスペースパターンを形成し、実施例9、実施例12、実施例15、比較例1、比較例4についてそれぞれLER(ラインエッジラフネス:ラインエッジラフネスとは、ライン側壁の不均一な凹凸のことである。)を示す尺度である3σを求めた。なお、本実施例において、3σは、側長SEM(日立製作所社製,商品名「S−9220」)により測定し、この3σが小さいほどラフネスが小さく、均一幅のレジストパターンが得られたことを意味する。その結果、実施例9では6.4nm、実施例12では5.4nm、実施例15では6.9nm、比較例1では9.0nm、比較例4では6.9nmであった。このことからも、本発明の構成単位(a1)を用いることでLERが低減されることがわかった。
PAG1を用いた場合は、解像性は略同等であったが、実施例において感度の向上が認められた。
下記表9に示す組成のレジスト組成物を調整し、下記表10に示す実装条件でレジストパターンを形成した後、評価した結果を表11にまとめた。
感度:実施例20〜21については100nmのラインアンドスペースパターンのサイズが1:1となるときの感度を測定した。比較例9については160nmのラインアンドスペースパターンのサイズが1:1となるときの感度を測定した。
LER:実施例20〜21については、100nmのラインアンドスペースパターンのサイズが1:1のLERを測定した。比較例9については、160nmのラインアンドスペースパターンのサイズが1:1となるときのLERを測定した。
合成例8と同様な方法で、下記に示す構造式が共通で、組成比等が異なる樹脂15〜20を合成した。その結果を表12に示した。
38.8gの(4−オキソ−2−アダマンチルオキシ)メチルメタクリレート(合成例5の化合物5に相当)と25.0g のγ-ブチロラクトンメタクリレートを640mLのテトラヒドロフランに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル2.41g を加えた。6時間還流した後、反応溶液を2Lのメタノールに滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い白色な粉体樹脂を得た。この樹脂を樹脂21とし、その構造式を下記に示す。樹脂21の分子量(Mw)は12400、分散度(Mw/Mn)は2.01であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定した結果、組成比はm:n=0.48:0.52であった。その結果を表12に示した。
18.7gの2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、13.6gのγ−ブチロラクトンメタクリレート、及び9.5gの3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートを200mlのテトラヒドロフランに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル1.64gを加えた。6時間還流した後、反応溶液を1Lのn−ヘプタンに滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い白色な粉体樹脂を得た。この樹脂を比較樹脂5とし、その構造式を下記に示す。比較樹脂5の質量平均分子量(Mw)は10000、分散度(Mw/Mn)は2.0であった。であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定した結果、下記構造式に示す各構成単位の組成比はm:n:l=0.4:0.4:0.2であった。
比較合成例1と同様な方法で比較樹脂6を合成した。比較樹脂6の質量平均分子量(Mw)は9200、分散度(Mw/Mn)は1.96であった。であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定した結果、下記構造式に示す各構成単位の組成比はm:n=0.44:0.56であった。
下記表13に示す組成のポジ型レジスト組成物を調整した。
次いで、8インチのシリコンウェーハ上に有機反射防止膜用材料(ブリューワーサイエンス社製、商品名ARC−29)を塗布し、225℃で60秒間焼成して反射防止膜を形成して基板とした。
該基板上に、上記で得られたポジ型レジスト組成物をスピンナーを用いて均一に塗布し、表14に示す条件でプレベーク(PAB)して、乾燥させることにより、レジスト層を形成した。ついで、ArF露光装置(波長193nm)NSR−S302(Nikon社製、NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)を用い、マスクを介して選択的に露光した。
そして、表14に示す条件でPEB処理し、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で30秒間パドル現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行って、140nmのラインアンドスペース(1:1)のレジストパターン(以下、L/Sパターンという)を形成した。
140nmL/Sパターンを正確に1:1で解像する露光量(感度)(EOP)と、140nmの±10%のL/Sパターンを解像する露光量変動幅(感度の変動幅)から得られた露光余裕度を下記式より算出した。
露光余裕度=〔E(126nm)−E(154nm)〕×100/EOP
EOP:140nmのL/Sを正確に1:1で得る際の感度(mJ/cm2)
E(154nm):154nmのL/Sを得る際の感度(mJ/cm2)
E(126nm):126nmのL/Sを得る際の感度(mJ/cm2)
表13に示す組成のポジ型レジスト組成物を調整した。
次いで、8インチのシリコンウェーハ上に有機反射防止膜用材料(ブリューワーサイエンス社製、商品名ARC−29)を塗布し、225℃で60秒間焼成して反射防止膜を形成して基板とした。
該基板上に、上記で得られたポジ型レジスト組成物をスピンナーを用いて均一に塗布し、表14の条件でプレベークして、乾燥させることにより、レジスト層を形成した。ついで、ArF露光装置(波長193nm)NSR−S302(Nikon社製、NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)を用い、マスクを介して選択的に露光した。
そして、表14の条件でPEB処理し、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で30秒間パドル現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行って、130nmのラインアンドスペース(1:1)のレジストパターン(以下、L/Sパターンという)を形成した。
1:1の130nmのL/Sパターンについて、LERを示す尺度である3σを求めた。なお、3σは、側長SEM(日立製作所社製,商品名「S−9220」)により、試料のレジストパターンの幅を32箇所測定し、その結果から算出した標準偏差(σ)の3倍値(3σ)である。この3σは、その値が小さいほどラフネスが小さく、均一幅のレジストパターンが得られたことを意味する。
また、実施例28と比較例11との結果を比較すると、LERに非常に優れていることがわかった。
21.0gの(4−オキソ−2−アダマンチルオキシ)メチルメタクリレート(合成例5の化合物5に相当)、13.6gのγ−ブチロラクトンメタクリル酸エステル(GBLMA)、及び9.5gの3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートを200mlのテトラヒドロフランに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル1.64gを加えた。12時間還流した後、反応溶液を1Lのn−ヘプタンに滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い白色な粉体樹脂を得た。この樹脂を樹脂22とし、その構造式を下記に示す。
樹脂22の質量平均分子量(Mw)は10200、分散度(Mw/Mn)は1.72であった。
また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定した結果、下記構造式に示す各構成単位の組成比はm:n:l=0.4:0.4:0.2(モル%)であった。
15.7gの(4−オキソ−2−アダマンチルオキシ)メチルメタクリレート(合成例5の化合物5に相当)、17.0gのγ−ブチロラクトンメタクリル酸エステル(GBLMA)、及び9.5gの3−ヒドロキシ−1−アダマンチルメタクリレートを200mlのテトラヒドロフランに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル1.64gを加えた。12時間還流した後、反応溶液を1Lのn−ヘプタンに滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い白色な粉体樹脂を得た。この樹脂を樹脂23とし、その構造式を下記に示す。
樹脂23の質量平均分子量(Mw)は9800、分散度(Mw/Mn)は1.60であった。
また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定した結果、前記[化62]に示す各構成単位の組成比はm:n:l=0.3:0.5:0.2(モル%)であった。
下記に示す組成でポジ型レジスト組成物を調整した。
(A)樹脂:樹脂22 100質量部
(B)酸発生剤:TPS−PFBS 3.5質量部
(D)含窒素有機化合物:トリエタノールアミン 0.35質量部
有機溶剤:PGMEA:EL=6:4 750質量部
該基板上に、上記で得られたポジ型レジスト組成物をスピンナーを用いて均一に塗布し、95℃で90秒間でプレベークして、乾燥させることにより、膜厚225nmのレジスト層を形成した。ついで、ArF露光装置(波長193nm)NSR−S302A(Nikon社製、NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)を用い、バイナリーマスクを介して選択的に露光した。
そして、105℃で90秒間PEB処理し、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で30秒間パドル現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行って、140nmのラインアンドスペース(1:1)のレジストパターンを形成した。その際の感度は23mJ/cm2であり、露光余裕度は15.4%であった。
Claims (6)
- 前記一般式(1)中、R1が1種以上の親水性基を有する脂肪族環式基であることを特徴とする請求項1に記載の高分子化合物。
- 前記親水性基が、カルボニル基、エステル基、アルコール性水酸基、エーテル、イミノ基、およびアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載の高分子化合物。
- 酸の作用によりアルカリ溶解性が変化する基材樹脂成分(A)と、放射線の照射により酸を発生する酸発生剤(B)とを含有してなるフォトレジスト組成物において、
前記基材樹脂成分(A)が、請求項1〜3のいずれか1項に記載の高分子化合物であることを特徴とするフォトレジスト組成物。 - 含窒素有機化合物(D)を含有することを特徴とする請求項4記載のフォトレジスト組成物。
- 請求項4又は5に記載のフォトレジスト組成物を用いて基板上にフォトレジスト膜を形成する工程、
前記フォトレジスト膜を露光する工程、
前記フォトレジスト膜を現像しレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。
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