JP5585758B2 - クランクシャフトの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、クランクシャフトの製造方法に関し、特に軟窒化処理又は窒化処理などの表面硬化処理を施した後に曲げ矯正処理を与えて提供されるクランクシャフトの製造方法に関する。
自動車のレシプロエンジンなどでは、直線往復運動するピストンから回転運動の出力を取り出すためにクランクシャフトが使用されている。このクランクシャフトは、例えば、特許文献1及び2の図でも示されているように、出力軸の回転軸と共通した軸周りにあるジャーナル部と、該回転軸を一定距離だけ平行移動させた軸の軸周りにあるピン部と、これらの間を連結するアーム部と、からなる屈曲形状の部品である。
このクランクシャフトの製造方法では、例えば、丸棒の鋼を必要な形状に熱間鍛造して粗成形した後、機械加工してクランクシャフト部材を一体物として得る。その後、必要に応じて、結晶粒の整粒化や残留応力を取り除くことを目的とする焼きならし処理や、疲労強度を向上させる軟窒化処理又は窒化処理などの表面硬化処理を施して、更に、鍛造時又は表面硬化処理時に生じた曲がりや反りなどを矯正する目的で曲げ矯正処理を与えられて、一体型クランクシャフトが提供される。
曲げ矯正処理では、曲がり方向と反対方向へ向けた曲げをクランクシャフト部材に与えて矯正が行われる。このとき表面硬化処理に先立って焼きならし処理を施し組織を微細化しておくと、矯正可能歪み量を大きく出来て、良好に曲げ矯正処理を行い得る。しかしながら、焼きならし処理に伴うエネルギー消費、製造コストの観点からこの熱処理を省略した非調質鋼によるクランクシャフトの提供が望まれる。
このようなクランクシャフト部材用の非調質鋼においても、曲げ矯正性に優れる、つまり矯正可能歪み量の大きいことが求められる。一般的に、矯正可能歪み量の大きい鋼は、他方で疲労強度が低いため、クランクシャフト部材としての疲労強度を維持出来るよう、表面硬化処理でより硬い表面硬化層を与えられる。結果として、表面硬化層には亀裂が生じやすくなって、曲げ矯正のし易さに欠けてしまう。このようなことから、クランクシャフト部材用の非調質鋼において、曲げ矯正性とともに、高い疲労強度を有することが求められる。
例えば、特許文献1では、鋼の成分組成を規制することで、優れた曲げ矯正性と、高い疲労強度とを両立させ得ることを開示している。このような鋼の成分組成として、C:0.30〜0.43%、Si:0.05〜1.50%、Mn:0.20〜0.60%、P:0.080%以下、S:0.10%以下、Ca:0.0050%以下、Pb:0.20%以下、B:0.005%以下、Cr:0.10%以下、Al:0.010%以下、N:0.010〜0.025%とし、不純物としてのVを0.01%以下に規制することを開示している。Vは疲労限度を向上させる一方で、鍛造品の表面を硬化させ矯正可能歪み量を小さくしてしまう。故に、Vを低減するとともに他の元素についても所定の成分組成に規制している。これにより、表面硬化(窒素拡散)層を深くしつつ、その最大硬さを小さく出来て、また旧オーステナイト結晶粒を小さく出来て、これらの相乗的作用で、良好な曲げ矯正性とともに、高い疲労強度を得られると述べている。
同様に、特許文献2では、特許文献1と同じ考え方による良好な曲げ矯正性と高い疲労強度とを両立させ得る非V含有鋼の成分組成として、C:0.1〜0.6%、Cu:3.0%以下、Ni:3.0%以下で所定の式を満足する範囲内にあるとともに、Si:0.05〜1.50%、P:0.07%以下、Mn:0.20〜1.20%、S:0.10%以下、Al:0.05%以下、Ti:0.020%以下、Ca:0.0030%以下、N:0.030%以下、Pb:0.30%以下とすることを開示している。
また、クランクシャフト部材用の非調質鋼の母材組織を特許文献1及び2に開示されたようなフェライト・パーライト組織以外にすることで、良好な曲げ矯正性と高い疲労強度とを両立させようとの試みもある。
例えば、特許文献3では、母材組織にベイナイト組織を与えることで、良好な曲げ矯正性と高い疲労強度とを両立させ得ることを開示している。特許文献1及び2と同様に、表面硬化(窒素拡散)層を深く得るため、母材を窒素原子の拡散しやすいベイナイト組織にする、と述べている。
同様に、特許文献4では、ベイナイト及びフェライトからなる混合組織、又は、ベイナイト、フェライト及びパーライトからなる混合組織の非調質窒化鋼からなるクランクシャフト部材が開示されている。
特開平10−183298号公報 特開2001−254143号公報 特開2000−160287号公報 特開2006−233300号公報
ところで、クランクシャフトへの要求性能が高まるとともに、さらに高い疲労強度と優れた曲げ矯正性を与えるクランクシャフト部材の開発が期待されている。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、従来のクランクシャフト部材に比較して、高い疲労強度でありながら且つ曲げ矯正性にも優れたクランクシャフトを与えるための製造方法の提供を目的とする。
少なくとも炭化物生成元素であるVの含有量を規制した成分組成を有するV非含有鋼において、オーステナイト領域からの冷却によりフェライト・パーライトの混合組織を与えることができる。本願発明者は、このようなV非含有鋼において、曲げ矯正処理時に応力及び歪みの集中するピン部とアーム部の付け根にあるR角部に冷間圧延加工を施して圧縮残留応力による強化を与え、その上で軟窒化処理を施すことで、冷間圧延加工を受けた周囲において圧縮残留応力を開放させることなく、重畳的に機械的強化を与え得ることを見出した。これによりクランクシャフトとしての優れた曲げ矯正性と、高い疲労強度とを両立させ得る。
すなわち、本発明によるクランクシャフトの製造方法は、曲げ矯正ステップを経て供与されるクランクシャフトの製造方法であって、所定成分組成の非V含有鋼を1100℃以上の温度で粗鍛造する熱間鍛造ステップと、主としてフェライトとパーライトとからなる組織を与えるように冷却する冷却ステップと、機械加工によりクランクシャフト形状を与える機械加工ステップと、前記クランクシャフト形状のR角部の表面に冷間圧延加工を与える表面圧延ステップと、軟窒化処理を施す軟窒化処理ステップと、を含むことを特徴とする。
かかる発明によれば、ピン部とアーム部の付け根にあるR角部には、冷間圧延加工された後に軟窒化処理が施されて機械的且つ組織的に重畳的な機械的強化を与えられる。これによりクランクシャフトとしての優れた曲げ矯正性と、高い疲労強度とを両立して与え得る。
上記した発明において、前記表面圧延ステップは、少なくとも0.05mm以上の圧下量を与えることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、R角部をより機械的に強化出来て、クランクシャフトとしての優れた曲げ矯正性と、高い疲労強度とを両立して与え得る。
上記した発明において、前記軟窒化処理ステップにおいて、処理時間t(hr)及び処理温度T(℃)は、t≦63−0.10T、且つ、570≦T≦620であることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、冷間圧延加工による残留応力を維持しつつ、重畳的に機械的強化をR角部に与え得る。結果として、クランクシャフトとしての優れた曲げ矯正性と、高い疲労強度とを両立して与え得る。
上記した発明において、前記鋼は、必須添加元素として、質量%で、Cを0.2から0.5%、Siを0.05から0.5%、Mnを0.3から1.5%、Sを0.01から0.2%、Cuを0.01から1.5%、Niを0.01から1.5%、Crを0.04から0.3%の範囲内で、不可避的不純物とともに含むことを特徴としてもよい。かかる発明によれば、非V含有鋼においてより高い疲労強度を達成できて、結果として、クランクシャフトとしての優れた曲げ矯正性と、高い疲労強度とを両立して与え得るのである。
上記した発明において、前記鋼は、任意添加元素として、質量%で、Moを0.25%以下、Tiを0.1%以下、Vを0.07%以下、Nbを0.1%以下、Caを0.005%以下で少なくとも1つ以上を含むことを特徴としてもよい。かかる発明によれば、任意添加元素毎によって与えられる製造的な影響などから、上記した発明の利点を害することなく、より良好な鋼を得ることが出来て、結果として、クランクシャフトとしての優れた曲げ矯正性と、高い疲労強度とを両立して与え得るのである。
本発明の1つの実施例によるクランクシャフトの製造方法のフロー図である。 本発明の1つの実施例による製造方法で与えられるクランクシャフト部材の立面図である。 本発明の1つの実施例による製造方法の中間段階で与えられるクランクシャフト部材の要部の断面図である。 表面圧延用ガイド溝の加工方法を説明する図である。 本発明の実施例及び比較例の鋼の成分組成の一覧である。 本発明の実施例及び比較例のクランクシャフト部材の機械的特性の一覧である。 本発明の実施例及び比較例のクランクシャフト部材の機械的特性の一覧である。 本発明の実施例及び比較例のクランクシャフト部材の機械的特性の一覧である。
本発明の1つの実施例によるクランクシャフトの製造方法について、図1のフロー図に従って詳細を説明する。
直径100mm×長さ400mmの丸棒状に加工された所定の成分組成の鋼塊を用意し(S1)、誘導加熱により1250℃に加熱して(S2)、熱間鍛造により粗鍛造体を得る(S3)。これにより、後述するアーム部10、ピン部12及びジャーナル部14(図2参照)の形状と認められ得る屈曲した略クランクシャフト形状にまで成形される。
ここで、熱間鍛造の温度は、鋼が部分溶融してしまうと割れを生じてしまうから、それ以下の温度を上限とし、更に、結晶粒の粗大化を防止するためにより低い温度とすることが好ましい。一方で、かかる温度が低くなると鍛造抵抗を上昇させてしまうので、適宜、調整され得る。後述する成分組成の鋼塊においては、この上限温度は、部分溶融の観点から概ね1400℃以下であり、結晶粒の粗大化の観点から好ましくは概ね1300℃以下であり、下限は概ね1100℃以上である。
続いて、得られた粗鍛造体を主としてフェライト及びパーライトからなる混合組織を与えるように、例えば空冷により冷却する(S4)。
続いて、粗鍛造体の黒皮を除去しつつ、図2に示すようなクランクシャフト形状にまで機械加工する(S5)。クランクシャフト部材1は、これに限定されるものではないが、アーム部10を8箇所、ピン部12を4箇所、及び、ジャーナル部14を5箇所設けた屈曲形状を有する。なお、アーム部10と、ピン部12及びジャーナル部14との付け根にはRを有するR角部16が与えられる。より詳細には、かかる段階で、図3に示すように、R角部16を奥に押し込んだような、深さ約1mm、溝底で1.5mmRの断面部分略円形の表面圧延用ガイド溝16’がR角部16に沿って機械加工により与えられる。
続いて、室温において表面圧延用ガイド溝16’にワークロールをあてがい、表面圧延用ガイド溝16’の底部を冷間圧延加工して表面圧延処理を行う(S6)。表面圧延処理は、所定の荷重を所定の回数に分けて所定の圧下量dだけ冷間圧延加工する。圧下量dは、図4に示すように、圧延前のガイド溝16’の底部の位置Aから、圧延後の底部の位置Bまでの距離とする。ここでは、d=0.13mmの圧下量を与えた。
なお、圧下量dは、後述する当該部分の機械的強化のために0.05mm以上与える必要がある。一方で、所定量以上では効果が一定となる上、割れが生じるなど、機械的強化に反する影響を与え得る。よって、d=0.05〜0.3mm程度であることが好ましい。また、荷重を付加する回数は、ここでは10回であったが、機械的強化の付与と工程の効率化の観点から、6〜15回であることが好ましく、より好ましくは8〜10回である。なお、使用したワークロールは1〜3mm程度の先端半径を有するが、かかる半径によって与えるべき荷重は変化する。
続いて、部材全体に軟窒化処理により表面硬化層を与える(S7)。なお、これは窒化処理であっても良い。例えば、鋼のAl変態点以下で所定の温度に保持した炉中にアンモニアガスを導いて、クランクシャフト1を反応性に富んだ窒素雰囲気中に曝す。これにより、その表面から窒化物及び/又は炭窒化物を生成させて表面硬化層が与えられる。ここでは、590℃で2時間軟窒化処理した。
なお、480〜550℃程度の温度では、窒素が鋼の表面から侵入して窒化物を形成し、これよりも高い温度、例えば、530〜620℃程度の温度では窒素とともに一部の炭素も鋼の表層で窒化物や炭化物を形成し易い。そこでクランクシャフトとしての機械的強化の付与の観点から、処理温度T(℃)と処理時間t(hr)との間の関係について鋭意調査したところ、
t≦63−0.10T
但し、570≦T≦620 (式1)
を満たすとき、後述する優れた曲げ矯正性と、高い疲労強度とを両立して与えることを経験的に得た。つまり、冷間圧延加工して表面圧延処理されたR角部16近傍で圧縮残留応力による機械的強化が図られ得るが、その後に上記した式1を満たす軟窒化処理を与えることにより、かかるR角部16近傍でより微細な炭窒化物の析出がなされ、また組織の微細化が与えられ、重畳的に機械的強化が図られるのである。
続いて、必要に応じ、軟窒化処理(S7)により生じたクランクシャフト部材1の曲がりが大きい場合にあっては、曲げ矯正処理(S8)が施される。曲げ矯正処理では、曲がり方向と反対方向へ向けた曲げをクランクシャフト部材1に与えて矯正を行う。なお、かかる処理は公知であるが故に、詳述しない。クランクシャフト部材1の曲がりが所定の許容範囲内にある場合にあってはかかる処理(S8)を省略し得る。
以上により、クランクシャフト1を得られるが、非調質鋼によるクランクシャフトの製造方法としての追加の工程を適宜、与えられ得る。
次に、以上の製造方法について、各工程の効果について検証した試験を行っている。これについて以下に詳細を説明する。
[圧下量について]
図5に示す成分組成A及びBを有する鋼のそれぞれについて、上記した表面圧延処理(S6)における圧下量を変えたクランクシャフト1を作成した。このクランクシャフト1はそれぞれ曲げ矯正試験及び曲げ疲労試験に供された。
曲げ矯正試験は、支点間距離400mmでクランクシャフト1の両端部近傍を支持し、中央のジャーナル部14に荷重を加える3点曲げ試験により行った。矯正可能歪み量に関連して、荷重を加えたジャーナル部14に亀裂が生じるまでの最大歪み量(無名数、図6乃至図8において10−6歪をμεと表記する)を測定し、これが大きいほど曲げ矯正性が高いと判断される。
曲げ疲労破壊試験は、最大負荷荷重を変化させた曲げ疲労試験によって行った。すなわち、所定の負荷荷重までの繰り返し振幅を与えるが、10回だけ荷重を加えてもなおも破壊しない荷重を測定し、これが大きいほど疲労強度が高いと判断される。
図6には、曲げ矯正試験及び曲げ疲労破壊試験の結果の一覧を示した。表面圧延処理(S6)における圧下量が大きくなると、曲げ矯正性及び疲労強度の双方が高まる。しかしながら、圧下量が所定量を越えると、曲げ矯正性及び疲労強度の双方に対する効果はその量には依存しなくなる。かかる知見から、表面圧延処理(S6)における圧下量0.05mm以上を規定している。
[軟窒化処理について]
図5に示す成分組成Cを有する鋼について、上記した軟窒化処理(S7)における温度及び時間を変えてクランクシャフト1を作成した。このクランクシャフト1は上記したと同様の曲げ矯正試験及び曲げ疲労試験に供された。
図7には、曲げ矯正試験及び曲げ疲労破壊試験の結果の一覧を示した。軟窒化処理の温度が低いと、特に曲げ矯正性が低く、他方、軟窒化処理の温度が高いと疲労強度が低下する。つまり、軟窒化温度には適正温度範囲が存在する。同様の試験を行って、上記した式1の関係を見出した。なお、図7の処理時間t(hr)には式1から求めた最大値(等号に対応する)を示した。
[成分組成について]
図5に示す成分組成A、D、E、F及びGを有する鋼について、上記した工程によってクランクシャフト1を作成した。このクランクシャフト1はやはり上記したと同様の曲げ矯正試験及び曲げ疲労試験に供された。
図8には、曲げ矯正試験及び曲げ疲労破壊試験の結果の一覧を示した。Cr、V、Ti及びNbを多く含む鋼では特に曲げ矯正性について非常に低くなる。これを考慮し、成分組成とその組成幅について以下に詳述する。まず、必須添加元素について述べる。
Cは、非調質鋼からなる鍛造材における必要な機械強度を得るために添加される。一方で、過剰に添加すると、機械加工(S5)で必要とされる被削性を得られなくなる。故に、質量%で、Cは0.20〜0.5%の範囲内である。
Siは、疲労強度の向上に寄与するとともに、鋼溶製時において脱酸作用を与える。一方で、過剰に添加すると、曲げ矯正性を低下させる。故に、質量%で、Siは0.05〜0.5%の範囲内、軟窒化処理の安定した施工の観点から、0.1〜0.4%の範囲内がより好ましい。
Mnは、クランクシャフト部材としての耐力を向上させるのに有効であり、一定の範囲内の添加では、Sと結びついてMn系硫化物を生成し、被削性を向上させる。故に、質量%で、Mnは0.3〜1.5%の範囲内である。
Sは、上記したように、Mnと結びついてMn系硫化物を生成し、被削性を向上させる。故に、質量%で、Sは0.01〜0.2%の範囲内、熱間鍛造時の割れ防止の観点から、0.01〜0.15%の範囲内がより好ましい。
Cuは、クランクシャフト部材としての耐力を向上させるとともに、脆い化合物層の成長を抑制し、曲げ矯正性と疲労強度の向上に寄与する。一方で、過剰に添加すると、熱間加工性を低下させてしまう。故に、質量%で、Cuは1.5%以下、疲労強度の向上の観点から、0.01〜1.0%の範囲内がより好ましい。
Niは、組織を微細化し、クランクシャフト部材としての強度を向上させる。一方で、過剰に添加すると、被削性を低下させてしまう。故に、質量%で、Niは1.5%以下、疲労強度の向上の観点から、0.01〜1.0%の範囲内がより好ましい。
Crは、炭化物生成元素であり、クランクシャフト部材としての強度と靱性を高め、疲労強度を向上させる。一方で、過剰に添加すると、曲げ矯正性を著しく低下させる。故に、質量%で、Crは0.04%以上、好ましくは、0.06〜0.3%の範囲内がより好ましい。
続いて、任意に含み得る任意添加元素について述べる。任意添加元素については、上記した必須添加元素によるクランクシャフトとしての特徴を損うことなく添加し得る上限値を定めている。
Moは、クランクシャフト部材としての強度を向上させるが、過剰に添加すると、被削性を低下させる。故に、質量%で、Moは0.25%以下である。
Tiは、微細な酸化物を形成し、Mn系硫化物生成の核となり得るが、過剰に添加すると、Ti系炭硫化物を生成し、被削性及び曲げ矯正性を低下させる。故に、質量%で、Tiは0.1%以下である。
Nbは、クランクシャフト部材としての耐力を向上させるが、過剰に添加すると、表面硬化層である窒化層の硬さを上げすぎ、曲げ矯正性を著しく低下させる。故に、質量%で、Nbは0.1%以下である。
Caは、被削性を向上させるが、過剰に添加すると、CaSを生成し、逆に被削性を低下させてしまう。故に、質量%で、Caは0.005%以下である。
なお、Vは、クランクシャフト部材としての耐力を向上させ得るが、同時に、表面硬化層である窒化層の硬さを上げ、曲げ矯正性を著しく低下させてしまう。更に、上記したような冷間圧延加工による効果に大きな影響を与える。故に、質量%で、Vは少なくとも0.07%以下に規制されるべきである。
以上述べてきたように、主としてフェライトとパーライトとからなる組織を与えた非V含有鋼において、曲げ矯正処理時に応力及び歪みの集中するピン部とアーム部の付け根にあるR角部に、冷間圧延加工を施して圧縮残留応力による強化を与え、その上で軟窒化処理を施す。これにより、冷間圧延加工を受けた周囲において圧縮残留応力を開放させることなく、重畳的に軟窒化処理による機械的強化を与え得ることを見出した。かかる製造方法により、クランクシャフト部材として従来品以上の優れた曲げ矯正性と、高い疲労強度とを両立させ得る。
ここまで本発明による代表的実施例及びこれに基づく変形例を示したが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではなく、適宜、当業者によって変更され得る。すなわち、当業者であれば、添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の代替実施例及び改変例を見出すことが出来るであろう。
1 クランクシャフト部材
10 アーム部
12 ピン部
14 ジャーナル部
16 R角部
16’ ガイド溝

Claims (4)

  1. 曲げ矯正ステップを経て供与されるクランクシャフトの製造方法であって、
    所定成分組成の非V含有鋼を1100℃以上の温度で粗鍛造する熱間鍛造ステップと、
    主としてフェライトとパーライトとからなる組織を与えるように冷却する冷却ステップと、
    機械加工によりクランクシャフト形状を与える機械加工ステップと、
    前記クランクシャフト形状のR角部の表面に冷間圧延加工を与える表面圧延ステップと、
    軟窒化処理を施す軟窒化処理ステップと、を含み、
    前記鋼は、必須添加元素として、質量%で、
    Cを0.2から0.5%、
    Siを0.05から0.5%、
    Mnを0.3から1.5%、
    Sを0.01から0.2%、
    Cuを0.01から1.5%、
    Niを0.01から1.5%、
    Crを0.04から0.3%の範囲内で、不可避的不純物とともに含むことを特徴とするクランクシャフトの製造方法。
  2. 前記表面圧延ステップは、少なくとも0.05mm以上の圧下量を与えることを特徴とする請求項1記載のクランクシャフトの製造方法。
  3. 前記軟窒化処理ステップにおいて、処理時間t(hr)及び処理温度T(℃)は、
    t≦63−0.10T
    且つ
    570≦T≦620
    であることを特徴とする請求項1又は2に記載のクランクシャフトの製造方法
  4. 前記鋼は、任意添加元素として、質量%で、
    Moを0.25%以下、
    Tiを0.1%以下
    Nbを0.1%以下、
    Caを0.005%以下で少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする請求項1乃至3のうちの1つに記載のクランクシャフトの製造方法。
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