JP5583300B1 - 圧着端子、ワイヤハーネス及び圧着端子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

局部的な強度低下や変形を抑制しつつ、被覆導線の導体部分への水分の侵入を適切に抑制した端子、圧着端子、ワイヤハーネス及び圧着端子の製造方法を提供する。
圧着端子10は、トランジッション部13に形成される重ね合わせ部Teにおいて、レーザ溶接を行う場合の溶接軌跡に特徴を有するものである。すなわち、本実施形態の圧着端子10の重ね合わせ部Teにおけるレーザ溶接の溶接軌跡は、曲線、複数の直線又は断続的に形成される線よりなる。

Description

本発明は、被覆導線の導体部分を接続可能な圧着端子、ワイヤハーネス及び圧着端子の製造方法に関する。
電気機器には、ワイヤハーネスなどの被覆導線が通常用いられる。このような被覆導線の導体部分には、他のコネクタに結合するため、接続端子が固定される。この導体部分の浸食を適切に抑制して安定した電気的導通を維持するためには、導体部分への水分の侵入阻止は重要である。車両に用いられる接続端子は、雨天時の走行や洗車、結露などによって水分にさらされる可能性があるため、導体部分への水分の侵入阻止の必要性はさらに高い。また、車両の軽量化によって燃費効率を向上させるため、導体部分にアルミを使用したアルミ電線も近年注目されている。しかし、このようなアルミ電線を異種金属により形成された接続端子とともに使用する場合、水分や湿度の存在により、導体部分と接続端子との接続部分に、いわゆる電食が発生し得る。
このため、導体部分への水分の侵入を抑制すべく、被覆導線の導体部分が接続端子に接続された状態で接続部分を絶縁体で封止した接続構造体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記の従来技術では、絶縁体による封止に要するコストが比較的高いという点で改善の余地がある。これに対して、板材を曲げることで、被覆導線の導体部分を収容して圧着可能な圧着部を形成し、これによって導体部分を取り囲む態様も考えられる。
このような態様として、一端閉塞型の中空状(筒状)の圧着部を有する端子を用い、この圧着部内に電線の端部を挿入した後、この圧着部をかしめ加工により圧着して、芯線端部を雨水や海水等の付着から保護する技術が提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
また、本出願人らは、一端閉塞型の中空状(筒状)の圧着部を有する端子として、図13に示すように、板条を打ち抜き加工及び曲げ加工を施すことにより、筒状の圧着部Taと、箱状のコネクタ部Tbとを形成し、さらに圧着部Taとコネクタ部Tbとの接続部分を押し潰してトランジッション部Tdを形成した圧着端子STに関する技術を提案している。
このような圧着端子STでは、圧着部Taとトランジッション部Tdとにおいて、中空状に曲げ加工した部分にできる突き合わせ界面Tcと重ね合わせ部Tdとをそれぞれレーザ溶接することによって、密閉構造を形成する。具体的には、まず、圧着端子STにおける円筒状に曲げ加工された圧着部Taの上端部において、軸方向に向かって形成される突き合わせ界面Tcをレーザ溶接する。さらに、トランジッション部Tdを形成し、トランジッション部Tdの重ね合わせ部Teにも導体部分への水の侵入を抑制するためにレーザ溶接を行い封止する。
特開2011−233328号公報 特開2006−331931号公報 特開2001−250602号公報
ところで、上記従来の技術では、トランジッション部Tdを押し潰して板材同士を密着させた重ね合わせ部Teに対してレーザ溶接を行う。このレーザ溶接は、端子幅方向に一直線に溶接しているため、結果としてトランジッション部Tdの強度が低下する可能性がある。すなわち、トランジッション部Tdにおいて、レーザ溶接を施した軌跡に沿って、この溶接軌跡が折れ線となってトランジッション部Tdの首折れが生じる可能性があった。
本発明は、以上のような従来の課題を解決するものであって、その目的は、局部的な強度低下や変形を抑制しつつ、被覆導線の導体部分への水分の侵入を適切に抑制した圧着端子、ワイヤハーネス及び圧着端子の製造方法を提供することにある。
また、本発明の圧着端子は、板材を中空状に折り曲げて、一端に被覆電線の導体部分を収容して圧着可能な開口を有する圧着部を備えた圧着端子であって、前記圧着部の2つの縁部を近接させて、レーザ溶接により接合した第1の溶接部と、前記圧着部の前記開口と反対の一端に形成されるトランジッション部を重ね合わせて重ね合わせ部を形成し、前記重ね合わせ部をレーザ溶接により閉塞した第2の溶接部と、を備え、前記第2の溶接部における溶接軌跡が、曲線、複数の直線又は断続的に形成される線よりなることを特徴とする。
本発明は、上述の圧着端子を備えたワイヤハーネスとして捉えることも可能であり、先端に絶縁被覆から導体部分を露出した被覆電線と、板材を中空状に折り曲げて、一端に前記被覆電線の前記導体部分を収容して圧着可能な開口を有する圧着部を備えた圧着端子と、を備えたワイヤハーネスであって、前記圧着部の2つの縁部を近接させて、レーザ溶接により接合した第1の溶接部と、前記圧着部の前記開口と反対の一端に形成されるトランジッション部を重ね合わせて重ね合わせ部を形成し、前記重ね合わせ部をレーザ溶接により閉塞した第2の溶接部と、を備え、前記第2の溶接部における溶接軌跡が、曲線、複数の直線又は断続的に形成される線よりなることを特徴とする。
本発明は、上述の圧着端子の製造方法として捉えることも可能であり、金属基材からなる板材に打ち抜き加工を施して、展開状態の圧着端子を形成する一次加工工程と、前記展開状態の圧着端子を曲げ加工により、少なくとも、中空状に折り曲げて、一端に被覆導線の導体部分を収容して圧着可能な開口を有する圧着部と、前記圧着部の前記開口と反対の端部にトランジッション部を形成する二次加工工程と、前記圧着部の2つの縁部を近接させてレーザ溶接により接合する第1の溶接工程と、前記トランジッション部を重ね合わせて閉塞し、レーザ溶接により接合する第2の溶接工程と、を含み、前記第2の溶接部における溶接軌跡が、曲線、複数の直線又は断続的に形成される線によりなることを特徴とする。
上記の曲線で形成される溶接軌跡にはU字状を含む。また、上記の複数の直線で形成される溶接軌跡にはV字状を含む。さらに、上記の曲線、複数の直線又は断続的に形成される線で形成される溶接軌跡には、前記圧着部の開口部から重ね合わせ部へレーザを照射することにより溶接された軌跡を含む。
以上のような本発明では、端子又は圧着端子の重ね合わせ部における溶接軌跡を、例えば、U字状の曲線、V字状の複数の直線により形成することで、重ね合わせ部に係る荷重を圧着端子の軸方向に分散させることができる。したがって、端子の軸方向左右に直線上に溶接軌跡を形成するのに比較して、圧着端子の強度を局部的に低下させるようなことがなく、被覆導線の導体部分への水分の侵入を適切に防止することが可能になる。
また、以上のような本発明では、端子又は圧着端子の重ね合わせ部における溶接軌跡を、圧着部の開口部から重ね合わせ部へレーザを照射することにより溶接された軌跡とすることで、貫通溶接が生じうるような重ね合わせ部の表面を溶接した場合と比べて、強度低下を抑えることができる。
本発明の好ましい態様では、前記溶接軌跡は、前記重ね合わせ部の軸方向に対して左右端部に所定の間隔を設けて形成される。
以上の態様では、重ね合わせ部において、軸方向に対して左右端部は、圧着端子を形成する素材の肉厚部分となっており、壁部が形成されている。この壁部は、溶接により封止する必要がない。したがって、この左右端部の肉厚部分を除いてレーザ溶接を施したとしても、密閉性に影響はない反面、溶接範囲が狭くなるため、トランジッション部のレーザ溶接による強度の低下を防ぐことが可能となる。
本発明の好ましい態様では、前記圧着部における前記トランジッション部との境界は、前記溶接軌跡の形状に沿って形成される。
以上の態様では、圧着部とトランジッション部の境界の形状を、溶接軌跡に合わせて形成することで、圧着端子の密閉性を確保しつつ、すっきりした外観の端子を提供することができる。
本発明の好ましい態様では、前記トランジッション部は、前記溶接軌跡の形状に沿って形成される板材同士が密着した重ね合わせ部と、板材同士が密着しない中空状の部分と、を備える。
以上の態様では、曲げ加工により押し潰された重ね合わせ部を、レーザ溶接を行う範囲程度に留めることで、板材を重ね合わせる範囲を減少させる一方で、折り曲げた板材の間に中空状の部分を設けることで、この部分の強度を高めることができる。
本発明の好ましい態様では、接続端子となるコネクタ部を備え、前記圧着部と前記コネクタ部とは、前記トランジッション部により接続されており、前記コネクタ部と前記トランジッション部との接続部分には、板材を折り曲げて前記第1の溶接部を形成するため、板材が立設した状態から2つの縁部が近接した状態へ移行する折返し部が形成され、前記折返し部は、前記コネクタ部側から前記第1の溶接部の端部に向かって、板材の縁部が外側から内側へ緩やかな傾斜を成すように形成される。
以上の態様では、板材が立設した状態から2つの縁部が近接した状態へ移行する折返し部を、重ね合わせ部とコネクタ部との間に設けることで、トランジッション部の強度を高め、この部分におけるクラックを防止することができる。
本発明の好ましい態様では、前記第2の溶接部における溶接軌跡が、重ね合わせ部の軸方向に対する左右端部側において、板材の板厚だけ隙間を空けた位置から形成されている。以上の態様では、このような位置から溶接を開始することで、当該端部を溶接しないので強度の低下を抑えることができる。また、板条が略180°曲げられた内側から溶接することとなるため、止水性も確保することができる。
以上のような本発明によれば、局部的な強度低下や変形を抑制しつつ、被覆導線の導体部分への水分の侵入を適切に抑制した圧着端子、ワイヤハーネス及び圧着端子の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る圧着端子の一態様を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る圧着端子の一態様を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る圧着端子の複数の溶接パターンを示す模式図である。 本発明の実施形態に係る圧着端子の一態様を示す斜視図(a)及び模式図(b)である。 本発明の実施形態に係る圧着端子の一態様を示す斜視図(a)及び(b)である。 本発明の実施形態に係る圧着端子の一態様を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る圧着端子の一態様を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る圧着端子の製造工程を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る圧着端子の重ね合わせ部を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る圧着端子の重ね合わせ部を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る圧着端子の溶接パターンを示す模式図である。 本発明の実施形態に係る圧着端子の溶接パターンを示す模式図である。 従来の圧着端子の構成を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態について、図1〜図9を参照して具体的に説明する。
[1.本実施形態の圧着端子及びワイヤハーネスの概要]
(圧着端子の素材)
まず、本実施形態の圧着端子及びワイヤハーネスの概要を説明する。本実施形態のワイヤハーネスは、アルミニウム素線を束ねたアルミニウム芯線を絶縁樹脂で被覆した被覆電線に対して、芯線部分を絶縁樹脂から露出させ、圧着端子を圧着接続して用いるものである。
ここで、アルミニウム電線の芯線としては、例えば鉄(Fe)を約0.2質量%、銅(Cu)を約0.2質量%、マグネシウム(Mg)を約0.1質量%、シリコン(Si)を約0.04質量%、残部がアルミニウム(Al)および不可避不純物からなるアルミニウム芯線を用いることができる。他の合金組成として、Feを約1.05質量%、Mgを約0.15質量%、Siを約0.04質量%、残部がAlおよび不可避不純物のもの、あるいは、Feを約1.0質量%、Siを約0.04質量%、残部がAlおよび不可避不純物のもの、Feを約0.2質量%、Mgを約0.7質量%、Siを約0.7質量%、残部がAlおよび不可避不純物のものなどを用いることができる。これらは、さらにTi、Zr、Sn、Mn等の合金元素を含んでいてもよい。このようなアルミニウム芯線を用い、例えば0.5〜2.5sq(mm)、7〜19本撚りの芯線にして用いることができる。芯線の被覆材としては、例えばPE、PPなどのポリオレフィンを主成分としたものやPVCを主成分としたもの等を用いることができる。
(圧着端子の製造工程)
また、本実施形態のワイヤハーネスに用いる圧着端子を製造する製造工程の概要を、図8を用いて説明する。図8に示すように、本実施形態の圧着端子は、ロール状から巻き出された板条CS(図8(a))から形成される。すなわち、図8(a)に示す板条CSから、一次プレスとして、打ち抜き加工を施すことによって、図8(b)に示す連鎖端子T1が形成される。この連鎖端子T1は、図示しないプレス機内において、連鎖端子T1を送り方向に搬送するためのキャリア部C1,C2が形成されており、このキャリア部C2には、搬送時に位置決めを行うためピンを挿入する送り穴Hが所定ピッチLで複数(ここでは個片の圧着端子Tの位置に合わせて一つずつ)設けられている。キャリア部C1,C2の間には、後工程において個片の圧着端子Tの中空状の圧着部Taを成す部分と、他の端子との接続部分となる箱状のコネクタ部Tbとが形成されている。
図8(c)は、二次プレスとして、曲げ加工を施すことによって、図8(c)に示す連鎖端子T2が形成される。この連鎖端子T2では、キャリア部C2は除去されており、キャリア部C1のみを有する状態となる。また、圧着部Taとコネクタ部Tbとは、曲げ加工により、それぞれ中空状(筒状)と箱状に形成された状態となる。この状態において、圧着部Taは、中空状の曲げ加工した部分にできる突き合わせ界面Tcが形成される。
この突き合わせ界面Tcを、レーザ溶接により接合して圧着部Taを密閉構造にする。具体的には、まず、圧着端子Tにおける円筒状に曲げ加工された圧着部Taの上端部において、軸方向に向かって形成される突き合わせ界面Tcを、レーザ溶接する。さらに、コネクタ部Tbとの接続部分を押し潰してトランジッション部Tdを形成し、トランジッション部Tdの重ね合わせ部Teにも導体部分への水の侵入を抑制するためにレーザ溶接を行い封止する。以上のような作用により、図8(d)に示すように、電線挿入前の圧着端子Tをキャリア部C1によって保持した連鎖端子T3が製造される。
なお、ここでは、圧着端子Tの曲げ加工した部分に突き合わせた例を用いているが、本発明では、曲げ加工した部分がオーバーラップしている場合においても、レーザ溶接して接合することが可能である。
(圧着端子の基本構成)
続いて、本実施形態のワイヤハーネスに用いる圧着端子の基本構成について、図1を用いて説明する。図1に示すように、圧着端子10は、箱形のコネクタ部11と、コネクタ部11の図中奥側(図1で右側)に位置する一端閉塞型の中空状の圧着部12と、コネクタ部11と圧着部12とを接続する平坦なトランジッション部13とを一体に成型してなるものである。
圧着端子10は、導電性と強度を確保するため、基本的に金属材料(銅、アルミニウム、鋼、又はこれらを主成分とする合金等)の基材で形成される。ただし、圧着端子に要求される種々の特性を担保するために、例えば圧着端子10の一部又は全部にスズめっきや銀めっき等が施されていてもよい。
本実施形態では、コネクタ部11は雄型端子等の挿入タブ(図示省略)が挿入される雌型端子の例を示しているが、本発明では、コネクタ部11の細部の形状は特に限定されない。すなわち、他の態様として、雌型のコネクタ部11に代えて例えば雄型端子の挿入タブを設けて形成することも可能である。
圧着部12は、圧着端子10において、上述のように被覆電線の端部が圧着接合される部位である。圧着部12は、長手方向の一端(図1の右奥側)に図示しない電線の端部の挿入するための開口部12a(挿入口)を有し、長手方向の他端(図1の左手前側)はトランジッション部13に接続されて閉塞されている。
具体的には、図8(a)〜(c)において示したように、打ち抜き加工を行った板条CSを中空状に折り曲げて2つの縁部を近接させ、突き合わせ界面Tcを形成する。また、コネクタ部11との接続部分を押し潰してトランジッション部13を形成し、重ね合わせ部Teとして閉塞する。続いて、突き合わせ界面Tcと重ね合わせ部Teに対してレーザ溶接を行い、封止する。
このように、圧着部12は外部より水分等が浸入しないよう電線の絶縁被覆を全周にわたって閉鎖的に取り囲むよう構成したのは、圧着端子10の金属基材(銅、アルミニウム、鋼など)とアルミニウム電線との接点に水分が付着すると、両金属の電極電位の差からいずれかの金属(合金)が腐食してしまうことによる。
なお、圧着端子10と電線の芯線とがアルミニウム同士であっても微妙な合金組成の違いによってそれらの接合部は腐食を生じることがある。本発明において、圧着部12は、電線の絶縁被覆を全周にわたって密着状態で取り囲むことができれば腐食に対して一定の効果が得られるため、必ずしも円筒である必要はなく、場合によっては楕円や矩形の管であってもよい。また、圧着部12は径が一定である必要はなく、長手方向で径が変化していてもよい。ただし、圧着部12は、後述のように、圧着時にその内面が電線の絶縁被覆の表面と十分に密に接することが可能な形状とすることが好ましい。
[2.具体的な実施形態]
本発明の実施形態に係るワイヤハーネスに用いる圧着端子の具体的な態様について、図1〜7を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態の圧着端子10は、トランジッション部13に形成される重ね合わせ部Teにおいて、レーザ溶接を行う場合の溶接軌跡に特徴を有するものである。すなわち、本実施形態の圧着端子10の重ね合わせ部Teにおけるレーザ溶接の溶接軌跡は、曲線、複数の直線又は断続的に形成される線よりなるものである。以下、溶接軌跡の複数のパターンについて、図を参照して説明する。
(第1の態様−曲線)
図1に示すように、圧着端子10において、重ね合わせ部Teにおける溶接軌跡S1を、U字状の曲線で形成する。この場合、U字状の曲線の凸が開口部12aと反対側、言い換えればコネクタ部11側を向くように形成しても良いし、図3(a)に示すように、曲線の凸が、開口部12a側、言い換えればコネクタ部11側と反対側を向くように形成しても良い。
さらに、溶接軌跡S1を曲線で形成するといった場合、図3(b)に示すように、溶接軌跡S1を波状に、すなわち、曲線の凸が複数形成される、又は曲線の変曲点が複数設けられる曲線により、形成する態様も包含する。
(第2の態様−複数の直線)
図2に示すように、圧着端子10において、重ね合わせ部Teにおける溶接軌跡S2を、V字状の複数の直線により形成する。この場合、図2に示すように、圧着端子10の軸方向に対して左右端部から、頂点が開口部12aと反対側、言い換えればコネクタ部11側に向くようにV字状に2本の直線で溶接軌跡S2を形成したものである。
溶接軌跡S2におけるV字の頂点を重ね合わせ部Teのコネクタ側11の端に合わせてしまうと、折れの起点になる可能性があるため、当該頂点を離した方が好ましい。つまり、板材が2枚から1枚に変化する点と溶接による端子基材の物性の変化点が重なって折れの起点になる虞があるため、溶接軌跡S2におけるV字の頂点を離すことで、折れにくくすることができる。
溶接軌跡S2を複数の直線で形成する他の態様として、図3(c)〜(f)がある。図3(c)は、図2に示す態様のV字の頂点が、逆向きに形成された態様であって、圧着端子10の軸方向に対して左右端部から、頂点が開口部12a側、言い換えればコネクタ部11と反対側に向くようにV字状に2本の直線で溶接軌跡S2を形成したものである。
図3(d)は、重ね合わせ部Teにおいて、圧着端子10の軸方向に対して左右端部から2本の直線により、X状に溶接軌跡S2を形成したものである。
また、図3(e)は、図中に矢印で番号を付して示すように、溶接軌跡S2は、左右端部から突き合わせ部Tcまでに、レーザを2回掃引したものであり、実質的に2本の溶接軌跡S2により形成された態様である。
さらに、図3(f)は、溶接軌跡S2を、全5本の直線で形成した態様であり、圧着端子10の軸方向に対して左右端部から、それぞれ軸方向と直交する方向に掃引した軌跡S21,S22と、この軌跡S21,S22の先端から、軸方向に向かって突出した軌跡S23,S24と、この軌跡S23,S24の先端を繋ぐように、軸方向と直交する方向に形成された軌跡S25とから形成される。すなわち、この態様では、溶接軌跡S2の中央部に、開口部12a側に突出した凸状部が形成されたものである。なお、この凸状部の突出方向としては、図3(f)に示す開口部12a側に向けたものに限られず、開口部12aと反対側、すなわち、コネクタ部11側に突出した態様も包含する。
(第3の態様−断続的に形成される線)
第3の態様を、図4(a)又は(b)に示す。図2及び図3(c)〜(e)に示した態様は、複数の直線が連続的に形成された例を示すものであるが、第3の態様として示す例は、図4(a)又は(b)に示すように、複数の線が断続的に、すなわち、各々の線がそれぞれ間隔を設けて形成されるものである。
具体的には、図4(a)に示すように、従来と同様に、重ね合わせ部Teにおいて、溶接軌跡S3を圧着端子10の軸方向に対して左右端部から直線状に形成した上で、さらに、軸方向にずれた箇所に、圧着端子10の軸方向に対して左右方向に、溶接軌跡S4,S5として、分割した直線を2本形成する。
なお、この左右方向に連続的に形成された溶接軌跡S3と、分割して2本形成された溶接軌跡S4,S5との、圧着端子10の軸方向に対する位置関係は、図4(a)に示す態様と逆であっても良い。すなわち、図4(a)では、上述の通り、溶接軌跡S3がコネクタ部11側に設けられ、溶接軌跡S4,S5が開口部12a側に設けられているが、溶接軌跡S3を開口部12a側に設け、溶接軌跡S4,S5をコネクタ部11側に設けてもよい。
また、断続的に形成される線に含まれる他の態様として、図4(b)に示すように、溶接軌跡S6が、圧着端子10の軸方向に対して左右方向に、破線状またはドット状に形成されるものも含まれる。この場合、レーザ溶接機からレーザをパルス状に照射することで、破線状又はドット状の線を形成することが可能である。
(第1の態様〜第3の態様の作用効果)
以上示した第1の態様〜第3の態様の圧着端子の作用効果は次の通りである。
圧着端子10の溶接軌跡S1又はS2は、曲線又は複数の直線により形成される。これにより、重ね合わせ部Teに係る荷重を圧着端子の軸方向に分散させることができる。そのため、従来、圧着端子の軸方向に対して左右に一本の直線状に形成された溶接軌跡の場合のように、溶接軌跡が折れ線となってトランジッション部に首折れが生じるようなことを防ぐことができる。
具体的には、重ね合わせ部Teにおける溶接軌跡S1を、図1に示すようにU字状の曲線で形成することにより、トランジッション部13において溶接の熱影響を受ける部分を、圧着端子10の軸方向に均等に配置することができる。したがって、従来のように、端子の軸方向左右に直線上に溶接軌跡を形成するのに比較して、圧着端子が局部的に強度低下させるようなことがなく、被覆導線の導体部分の確実な防水が可能になる。
また、図2に示すように、溶接軌跡S2をV字で形成することで、溶接軌跡を圧着端子の軸方向に分散させることができる。したがって、端子の軸方向左右に直線上に溶接軌跡を形成するのに比較して、圧着端子の強度を局部的に低下させるようなことがなく、被覆導線の導体部分への水分の侵入を適切に防止することが可能になる。
図3(a)〜(d)及び(f)に示したパターンにおいても、溶接軌跡を曲線又は複数の直線により形成することで、溶接軌跡を圧着端子の軸方向に範囲を拡げることで、重ね合わせ部に係る荷重を圧着端子の軸方向に分散させることができる。したがって、端子の軸方向左右に直線上に溶接軌跡を形成するのに比較して、圧着端子の強度を局部的に低下させるようなことがなく、被覆導線の導体部分への水分の侵入を適切に防止することが可能になる。
図3(e)に示す態様は、左右端部から中央の突き合わせ部Tcまでに、レーザを2回掃引して、実質的に2本の溶接軌跡S2により形成することで、重ね合わせ部Teに対する熱影響を抑え、トランジッション部13に局部的に強度が低い部分が形成されるのを抑えたものである。すなわち、連続的にレーザを掃引せず、左右端部からそれぞれ掃引することで、重ね合わせ部Teに対する熱影響が断続的になって、一方の端部から中央に掃引されたレーザの熱影響が他方の端部から中央に掃引されるレーザの熱影響と、時間的に分離される。これにより、重ね合わせ部Teに対する熱影響を抑えることができるものである。
以上のような本態様によれば、圧着端子10の強度低下や変形を抑制しつつ、被覆導線の導体部分への水分の侵入を適切に抑制した圧着端子10を提供することができる。
(第4の態様−封止形状の改良(1))
第4の態様は、図1又は図2に示した溶接軌跡を曲線又は連続的な複数の直線により形成した圧着端子10の改良として、図5及び図6に示すように、圧着端子の圧着部とトランジッション部との境界に当たる傾斜部分の形状を変更した例である。
図5(a)及び(b)は、溶接軌跡S7を、図1と同様に、コネクタ部21側に凸を有する曲線で形成したものであるが、この圧着端子20では、圧着部22とトランジッション部23との境界に当たる、傾斜部24の立上り部分が、図中に破線で示すように、溶接軌跡S7の掃引形状に合わせて曲形状を成すように、圧着部22を潰してトランジッション部23を形成している。なお、図5(b)は、トランジッション部23とコネクタ部21との境界に当たる突き合わせ界面Tcの端部E側の形状も、溶接軌跡S7の形状に合わせて湾曲形状に形成した例を示すものである。
また、図6は、溶接軌跡S8を、図2と同様に、コネクタ部31側に頂点を有するV字状で形成したものであるが、この圧着端子30では、圧着部32とトランジッション部33との境界に当たる、傾斜部34の立上り部分が、図中に破線で示すように、溶接軌跡S8の掃引形状に合わせてV字状を成すように、圧着部32を潰してトランジッション部33を形成している。
なお、図5又は図6に示す態様では、図1又は図2の態様の説明においても言及したように、溶接軌跡S7の曲線の凸の向き、溶接軌跡S8のV字の頂点の向きを逆、すなわち、曲線の凸が開口部22a側に向き、V字の頂点が開口部32a側に向いた態様も包含する。この場合は、圧着部とトランジッション部との境界に当たる、傾斜部の立上り部分が、この溶接軌跡の掃引形状に合わせた形状を成すように、圧着部を潰してトランジッション部を形成する。
以上のような第4の態様の圧着端子20又は30では、重ね合わせ部Teにおいて溶接軌跡を、曲線又は複数の直線により形成することで、上記の態様1〜3と同様、溶接軌跡を圧着端子の軸方向に分散させることができる。したがって、端子の軸方向左右に直線上に溶接軌跡を形成するのに比較して、圧着端子の強度を局部的に低下させるようなことがなく、被覆導線の導体部分への水分の侵入を適切に防止することが可能になる。
また、端子のサイズが小さいほど溶接軌跡を圧着端子軸方向に分散させるだけのスペースを確保しにくくなるが、第4の態様の圧着端子20又は30であれば、重ね合わせ部Teを電線挿入口(開口部22a、32a)側に形成することも可能となる。つまり、溶接の始点と終点を電線挿入口(開口部22a、32a)側に持っていくことにより、電線の芯線が収まるスペースを確保したまま、端子のサイズを小さくすることができる。
また、本態様の圧着端子20又は30では、圧着部22,32とトランジッション部23,33の境界の形状を、溶接軌跡に合わせて形成することで、圧着端子の密閉性を確保しつつ、すっきりした外観の端子を提供することができる。
(第5の態様−封止形状の改良(2))
第5の態様は、図5又は図6に示した圧着端子20又は30の改良として、図7に示すように、圧着端子40は、圧着端子40のコネクタ部41とトランジッション部43との境界の形状に変更を加えた例である。なお、圧着端子40の溶接軌跡S8は、図7では曲線で示しているが、これは代表的な態様を示すものであり、上述の第1〜第3の態様のいずれのパターンによって溶接軌跡を形成することも可能である。
圧着端子40における、コネクタ部41とトランジッション部43との境界の形状に変更は以下の2点である。
一点は、重ね合わせ部Teよりコネクタ部41側の板材が立ち上がった壁部Tfが、コネクタ部41側から突き合わせ界面Tcの端部Eに向かって、板材が立設した状態から板材の縁部が突き合わされる状態へ移行し、これにより折返し部Tgが形成される。この折返し部Tgを形成する板材の傾斜面Thは、外側から内側へ緩やかな傾斜をなしている。また、この折返し部Tgも上下の板材が密着しない中空を形成している。
もう一点は、トランジッション部43における重ね合わせ部Teのコネクタ部11側が、図中に破線で示すように、溶接軌跡S8に沿うように、湾曲状に立ち上げて形成した点である。すなわち、図7の説明において示したように、曲げ加工により、トランジッション部43及び重ね合わせ部Teを形成するに当たって、重ね合わせ部Teのコネクタ部41側を湾曲状に押し潰し、上下の板材を密着させて形成するものである。このような曲げ加工により、押し潰される重ね合わせ部Teの面積が減少し、トランジッション部43において折り曲げた板材の間に中空を設け、上下の板材が密着していない膨らみ部Tiが形成される。また、この膨らみ部Tiは、重ね合わせ部Te側から前述の折返し部Tgへ向かって、トランジッション部43が徐々に厚みを増すように傾斜を成すように形成されている。
以上のような第5の態様の圧着端子40では、トランジッション部43において、曲げ加工により押し潰された重ね合わせ部Teの範囲を減少させる一方で、折り曲げた板材の間に中空状の折返し部Tg又は膨らみ部Tiが設けられることで、トランジッション部43の強度を高めることができる。したがって、端子の軸方向左右に直線上に溶接軌跡を形成するのに比較して、圧着端子の強度を局部的に低下させるようなことがなく、被覆導線の導体部分への水分の侵入を適切に防止することが可能になる。
[3.他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に開示した態様に限られず、例えば、以下の態様も包含する。
上記の各態様においては、圧着端子の重ね合わせ部Teにおいて、圧着端子の軸方向に対して左右方向の端部から端部まで、レーザ溶接の軌跡を渡るように形成したが、本発明では、左右端部から所定の範囲はレーザ溶接せず、中央部分だけをレーザ溶接する態様も含む。
すなわち、重ね合わせ部Teにおいて、軸方方向に対して左右端部は、圧着端子を形成する素材の肉厚部分となっており、壁部が形成されている。この壁部は、溶接により封止する必要がない。したがって、この左右端部の肉厚部分を除いてレーザ溶接を施したとしても、密閉性に影響はない反面、溶接範囲が狭くなるため、トランジッション部におけるレーザ溶接の熱影響による強度の低下を防ぐことが可能となる。
また、本発明では、重ね合わせ部Teの断面形状が、必ずしも平坦である場合に限らず、図9(a)〜(h)及び図10(a)〜(c)に示すような複雑な断面形状を採用してもよい。
具体的に、図9(a)に示す断面形状55aは、例えば軸方向に対して左右端部近傍を押し潰すことで、重ね合わせ部Teの表面50に凹部55aaが形成された形状である。図9(b)に示す断面形状55bは、軸方向に対する左右端部において、重ね合わせ部Teの表面50から突出した凸部55baが形成された形状である。図9(c)に示す断面形状55cは、軸方向に対して左右端部の外側に向けて、重ね合わせ部Teの表面50から突出した凸部55baが形成された形状である。図9(d)に示す断面形状55dは、軸方向に対する左右端部において、重ね合わせ部Teの突き合わせ界面Tcが形成された表面50aから突出した凸部55bcが形成された形状である。図9(e)に示す断面形状55eは、重ね合わせ部Teの突き合わせ界面Tcが形成された表面50aに対して、軸方向に対する左右端部が盛り上がった盛り上がり部55eaが形成された形状である。図9(f)に示す断面形状55fは、軸方向に対する左右端部55faと重ね合わせ部Teの突き合わせ界面Tcとが盛り上がった略W字形状である。図9(g)に示す断面形状55gは、重ね合わせ部Teに相当する板条51の一部をオーバーラップさせて曲げ加工したオーバーラップ部52が形成された形状である。図9(h)は、軸方向に対する左右端部55faに対して突き合わせ界面Tcが盛り上がった形状である。
図10(a)に示す断面形状55iは、例えば重ね合わせ部Teの表面50のうち、突き合わせ界面Tc側の表面50aを押し潰すことで、表面50aに対して左右端部に盛り上がり部55iaが形成された略コ字形状である。図10(b)に示す断面形状55jは、例えば上述した断面形状55iと同様に重ね合わせ部Teの突き合わせ側から板材を押し潰すことで、突き合わせ界面Tcに対して左右端部が盛り上がった盛り上がり部55jaが形成された略U字形状である。ここで、断面形状55iにおいて突き合わせ界面Tcの周囲が平面(表面50a)となっているのに対して、断面形状55jは、突き合わせ界面Tcの周囲が平面ではなく、突き合わせ界面Tcを起点して盛り上がり部55ja側に盛り上がっている点で異なる。図10(c)に示す断面形状55kは、例えば、重ね合わせ部Teにおいて突き合わせ界面Tcが形成されていない表面から突き合わせ界面Tc側に押し潰すことにより、左右端部55kaから突き合わせ界面Tcが直線的に盛り上がった略V字形状である。
上記の図9(a)〜(h)及び図10(a)〜(c)に示すような断面形状であっても、曲線、複数の直線又は断続的に形成される線を、溶接軌跡とすることで、圧着端子の強度を局部的に低下させるようなことがなく、被覆導線の導体部分への水分の侵入を適切に防止するように、溶接することができる。
また、本発明では、重ね合わせ部Teの幅方向の端部、つまり軸方向に対する左右端部側において、板条の板厚だけ隙間を空けた位置から溶接を開始することが好ましい。このような位置から溶接を開始することで、当該端部を溶接しないので強度の低下を抑えることができる。また、板条が略180°曲げられた内側から溶接することとなるため、止水性も確保することができる。
また、本発明では、重ね合わせ部Teにおいてビード幅ができるだけ狭くなるように溶接することで、溶接の熱影響によって強度が低下することを抑えることができる。
また、本発明では、重ね合わせ部Teの表面を溶接する代わりに、電線挿入口である開口部から重ね合わせ部Teへレーザを照射することにより溶接することが好ましい。つまり、貫通溶接が生じうるような重ね合わせ部Teの表面を溶接した場合と比べて、強度低下を抑えることができる。
また、本発明では、重ね合わせ部Teにおいて、圧着端子の軸方向に対して左右の端部のいずれか一端から1本の直線により溶接軌跡を形成してもよい。つまり、図3(d)に示した2本の溶接軌跡のうち、いずれか1本の溶接軌跡を形成してもよい。また、本発明では、重ね合わせ部Teにおいて、チェック模様となるような溶接軌跡を形成してもよい。さらに、本発明では、重ね合わせ部Teにおいて、圧着端子10の軸方向に対して左右端部を始点及び終点とした略W状の溶接軌跡S2を形成してもよい。
また、本発明では、トランジッション部Tdにおいて溶接軌跡が形成される部分だけ板材を押し潰して密着させることで、重ね合わせ部Teを形成するようにしてもよい。例えば、上述したV字状に2本の直線で溶接軌跡を形成する態様では、図11(a)に示すように、トランジッション部Tのうち、溶接軌跡S9を囲む破線部分だけ板材を押し潰して密着させることで、重ね合わせ部Teを形成してもよい。また、溶接後のトランジッション部Tdには、図11(b)に示すように、溶接部61の周辺の板材が押し潰されず膨らみをもった膨らみ部62が形成されてもよい。
また、本発明では、図12に示すように、軸方向と直交する方向に掃引される軌跡の一部を、途中で折り返してもよい。すなわち、図12(a)に示す溶接軌跡S10のように、軸方向に対する左右端部から軸方向に向かって突き合わせ界面Tc手前まで掃引した軌跡S10a、S10bと、軌跡S10a及び軌跡10bの先端でそれぞれ掃引方向を折り返して略半円を描くように掃引して開口部12a側の突き合わせ界面Tcで接続される軌跡S10c、S10dとから構成されてもよい。
また、図12(b)に示す溶接軌跡S11のように、軸方向に対する左右端部から軸方向に向かって突き合わせ界面Tc手前まで掃引した軌跡S11a、S11bと、軌跡S11a及び軌跡11bの先端でそれぞれ掃引方向を折り返して開口部12a側に突出した軌跡S11c、11dと、軌跡S11c及びS11dの先端を繋ぐように軸方向と直交する方向に掃引された軌跡S11eとから構成されてもよい。
図12(a)及び図12(b)に示す溶接軌跡S10及びS11は、その中央部に、開口部12a側に突出した凸状部が形成されたものとなる。なお、この凸状部の突出方向としては、図12(a)及び図12(b)に示す開口部12a側に向けたものに限られず、開口部12aと反対側、すなわち、コネクタ部11側に突出した態様も包含する。
なお、上記実施形態では、アルミニウム芯線を圧着端子に圧着接続した例をとって説明しているが、本発明の溶接軌跡の工夫は、このような例に限らず、例えば、銅芯線を圧着端子に圧着接続する場合にも採用することが可能である。また、上記実施形態では、圧着端子及びワイヤハーネスを例にとって説明しているが、本発明の溶接軌跡の工夫は、圧着端子に限らず、バスバーなどの板材の端子を接続してレーザ溶接を行う場合にも採用することが可能である。
10,20,30,ST…圧着端子
11,21,31,Tb…コネクタ部
12,22,32…圧着部
12a,22a,32a…開口部
13,23,33…トランジッション部
24…傾斜部
C1,C2…キャリア部
CS…板条
D…ピッチ
H…穴
S1〜S8,S21〜S25…溶接軌跡
T1,T2,T3…連鎖端子
Ta…圧着部
Tc…突き合わせ界面
Td…トランジッション部
Te…重ね合わせ部
Tf…壁部
Tg…折返し部
Th…傾斜面
Ti…膨らみ部

Claims (14)

  1. 板材を中空状に折り曲げて、一端に被覆電線の導体部分を収容して圧着可能な開口を有する圧着部を備えた圧着端子であって、
    前記圧着部の2つの縁部を近接させて、レーザ溶接により接合した第1の溶接部と、
    前記圧着部の前記開口と反対の一端に形成されるトランジッション部を重ね合わせて重ね合わせ部を形成し、前記重ね合わせ部をレーザ溶接により閉塞した第2の溶接部と、
    を備え、
    前記第2の溶接部における溶接軌跡が、U字状の曲線形成される線よりなることを特徴とする圧着端子。
  2. 板材を中空状に折り曲げて、一端に被覆電線の導体部分を収容して圧着可能な開口を有する圧着部を備えた圧着端子であって、
    前記圧着部の2つの縁部を近接させて、レーザ溶接により接合した第1の溶接部と、
    前記圧着部の前記開口と反対の一端に形成されるトランジッション部を重ね合わせて重ね合わせ部を形成し、前記重ね合わせ部をレーザ溶接により閉塞した第2の溶接部と、
    を備え、
    前記第2の溶接部における溶接軌跡が、V字状の複数の直線で形成されることを特徴とする圧着端子。
  3. 板材を中空状に折り曲げて、一端に被覆電線の導体部分を収容して圧着可能な開口を有する圧着部を備えた圧着端子であって、
    前記圧着部の2つの縁部を近接させて、レーザ溶接により接合した第1の溶接部と、
    前記圧着部の前記開口と反対の一端に形成されるトランジッション部を重ね合わせて重ね合わせ部を形成し、前記重ね合わせ部をレーザ溶接により閉塞した第2の溶接部と、
    を備え、
    前記第2の溶接部における溶接軌跡が、曲線、複数の直線又は断続的に形成される線よりなり、前記圧着部の開口部から重ね合わせ部へレーザを照射することにより溶接された軌跡であることを特徴とする圧着端子。
  4. 前記溶接軌跡は、前記重ね合わせ部の軸方向に対して左右端部に所定の間隔を設けて形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧着端子。
  5. 前記圧着部における前記トランジッション部との境界は、前記溶接軌跡の形状に沿って形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の圧着端子。
  6. 前記トランジッション部は、前記溶接軌跡の形状に沿って形成される板材同士が密着した重ね合わせ部と、板材同士が密着しない中空状の部分と、を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の圧着端子。
  7. 接続端子となるコネクタ部を備え、
    前記圧着部と前記コネクタ部とは、前記トランジッション部により接続されており、
    前記コネクタ部と前記トランジッション部との接続部分には、板材を折り曲げて前記第1の溶接部を形成するため、板材が立設した状態から2つの縁部が近接した状態へ移行する折返し部が形成され、
    前記折返し部は、前記コネクタ部側から前記第1の溶接部の端部に向かって、板材の縁部が外側から内側へ緩やかな傾斜を成すように形成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の圧着端子。
  8. 前記第2の溶接部における溶接軌跡が、重ね合わせ部の軸方向に対する左右端部側において、板材の板厚だけ隙間を空けた位置から形成されていることを特徴とする請求項1、2、及び4〜7のいずれか1項に記載の圧着端子。
  9. 先端に絶縁被覆から導体部分を露出した被覆電線と、
    板材を中空状に折り曲げて、一端に前記被覆電線の前記導体部分を収容して圧着可能な開口を有する圧着部を備えた圧着端子と、を備えたワイヤハーネスであって、
    前記圧着部の2つの縁部を近接させて、レーザ溶接により接合した第1の溶接部と、
    前記圧着部の前記開口と反対の一端に形成されるトランジッション部を重ね合わせて重ね合わせ部を形成し、前記重ね合わせ部をレーザ溶接により閉塞した第2の溶接部と、
    を備え、
    前記第2の溶接部における溶接軌跡が、U字状の曲線形成される線よりなることを特徴とするワイヤハーネス。
  10. 先端に絶縁被覆から導体部分を露出した被覆電線と、
    板材を中空状に折り曲げて、一端に前記被覆電線の前記導体部分を収容して圧着可能な開口を有する圧着部を備えた圧着端子と、を備えたワイヤハーネスであって、
    前記圧着部の2つの縁部を近接させて、レーザ溶接により接合した第1の溶接部と、
    前記圧着部の前記開口と反対の一端に形成されるトランジッション部を重ね合わせて重ね合わせ部を形成し、前記重ね合わせ部をレーザ溶接により閉塞した第2の溶接部と、
    を備え、
    前記第2の溶接部における溶接軌跡が、V字状の複数の直線で形成されることを特徴とするワイヤハーネス。
  11. 先端に絶縁被覆から導体部分を露出した被覆電線と、
    板材を中空状に折り曲げて、一端に前記被覆電線の前記導体部分を収容して圧着可能な開口を有する圧着部を備えた圧着端子と、を備えたワイヤハーネスであって、
    前記圧着部の2つの縁部を近接させて、レーザ溶接により接合した第1の溶接部と、
    前記圧着部の前記開口と反対の一端に形成されるトランジッション部を重ね合わせて重ね合わせ部を形成し、前記重ね合わせ部をレーザ溶接により閉塞した第2の溶接部と、
    を備え、
    前記第2の溶接部における溶接軌跡が、曲線、複数の直線又は断続的に形成される線よりなり、前記圧着部の開口部から重ね合わせ部へレーザを照射することにより溶接された軌跡であることを特徴とするワイヤハーネス。
  12. 金属基材からなる板材に打ち抜き加工を施して、展開状態の圧着端子を形成する一次加工工程と、
    前記展開状態の圧着端子を曲げ加工により、少なくとも、中空状に折り曲げて、一端に被覆導線の導体部分を収容して圧着可能な開口を有する圧着部と、前記圧着部の前記開口と反対の端部にトランジッション部を形成する二次加工工程と、
    前記圧着部の2つの縁部を近接させてレーザ溶接により接合する第1の溶接工程と、
    前記トランジッション部を重ね合わせて閉塞し、レーザ溶接により接合する第2の溶接工程と、
    を含み、
    前記第2の溶接部における溶接軌跡が、U字状の曲線形成される線によりなることを特徴とする圧着端子の製造方法。
  13. 金属基材からなる板材に打ち抜き加工を施して、展開状態の圧着端子を形成する一次加工工程と、
    前記展開状態の圧着端子を曲げ加工により、少なくとも、中空状に折り曲げて、一端に被覆導線の導体部分を収容して圧着可能な開口を有する圧着部と、前記圧着部の前記開口と反対の端部にトランジッション部を形成する二次加工工程と、
    前記圧着部の2つの縁部を近接させてレーザ溶接により接合する第1の溶接工程と、
    前記トランジッション部を重ね合わせて閉塞し、レーザ溶接により接合する第2の溶接工程と、
    を含み、
    前記第2の溶接部における溶接軌跡が、V字状の複数の直線で形成されることを特徴とする圧着端子の製造方法。
  14. 金属基材からなる板材に打ち抜き加工を施して、展開状態の圧着端子を形成する一次加工工程と、
    前記展開状態の圧着端子を曲げ加工により、少なくとも、中空状に折り曲げて、一端に被覆導線の導体部分を収容して圧着可能な開口を有する圧着部と、前記圧着部の前記開口と反対の端部にトランジッション部を形成する二次加工工程と、
    前記圧着部の2つの縁部を近接させてレーザ溶接により接合する第1の溶接工程と、
    前記トランジッション部を重ね合わせて閉塞し、レーザ溶接により接合する第2の溶接工程と、
    を含み、
    前記第2の溶接部における溶接軌跡が、曲線、複数の直線又は断続的に形成される線よりなり、前記圧着部の開口部から重ね合わせ部へレーザを照射することにより溶接された軌跡であることを特徴とする圧着端子の製造方法。
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