JP5579885B2 - 音識別条件選定装置および識別関数生成装置 - Google Patents

音識別条件選定装置および識別関数生成装置 Download PDF

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Description

本発明は、異音を含む音と異音を含まない音とを識別するための識別条件を選定する音識別条件選定装置、および異音を含む音と異音を含まない音とを識別する識別関数を生成する識別関数生成装置に関する。
例えば、鉄塔、送電線等から異音が発せられ、その異音が騒音となることがある。このような異音発生の事実を確認した場合、電力会社は、異音の発生原因を突き止め、異音の発生原因を除去する。異音の発生原因を突き止める際、または異音の発生原因の除去により異音が発生しなくなったことを確認する際、電力会社の作業者は、鉄塔や送電線の周囲の音を採取し、採取した音に異音が含まれるか否かを判定する作業を行う。
また、機械装置や機械設備から発生する異音により、機械装置や機械設備の故障を診断する方法が知られている。このような診断方法を用いて診断を行う作業者は、機械装置または機械設備から発せられる音を採取し、採取した音に異音が含まれるか否かを判定する作業を行う。
また、下記の特許文献1には、機械設備の近傍に設置して当該機械設備の異音を検知する異音検知装置が記載されている。この異音検知装置は、集音センサで集音された集音信号を複数の周波数帯に分離し、各周波数帯の信号を所定期間にわたって計測して各周波数帯の信号の定常レベルを計算し、これを基準として設定し、さらに、各周波数帯の基準値に基づいて各周波数帯の許容範囲を決定し、各周波数帯の信号をそれに対応する周波数帯の許容範囲と比較し、いずれかの周波数帯の信号が許容範囲を越えたとき異音発生と判定するものである。
また、下記の特許文献2には、コンベヤ等に使用されるローラ等の回転機械の異常音を診断する回転機械異常音診断処理手法が記載されている。この手法は、携帯型診断装置のマイクロホンで、コンベア等に沿って回転機械音を採取し、その採取した回転機械音の生波形を、所定時間毎に周波数と音圧レベルの時系列スペクトルに分解すると共に異音成分を抽出し、その異音成分から計測異音スペクトルパターンを作成し、他方、予め異音出現頻度と登録異音タイプをパターン化したグループ選別データを作成し、上記計測異音スペクトルパターンとグループ選別データとのパターンマッチングを行って異常音を診断するものである。
特開2008−76246号公報 特開2002−107223号公報
ところで、鉄塔、送電線等に風が当たり、これが原因して異音が発生することがある。このような風による異音においては、その大きさおよび周波数が、風の強さ、風向き、地形等によってまちまちであり、一定の傾向がなく、予想が付かない。また、風の強さや風向きは頻繁に変化するため、異音の発生は不連続である。このため、風による異音は、機械装置等の故障時に発生する異音と比較して特定が難しい。
また、鉄塔や送電線等の付近では、工場から発せられる音や、自動車の音、人の話し声等、様々な大きさや周波数を有する不連続な音が発生している。風による異音は、時にはこのような様々な音と重なり合い、時にはこのような様々な音の狭間に発生する。すなわち、風による異音の背景の音は定常ではない。このため、風による異音は、機械装置等の故障時に発生する異音と比較して識別が難しい。この点を考慮すると、上記特許文献1に記載された異音検知装置は、各周波数帯の信号の定常レベルを計算し、これを基準として異音の発生を検知するため、風による異音を判定する手法として採用することは困難であると考えられる。
また、風による異音の発生やその時期は予想が付かない。多くの場合、鉄塔や送電線の周囲の住民からの風騒音に関する苦情は突然告げられる。そして、住民から風騒音に関する苦情を告げられたときには、電力会社は、風騒音の原因である異音を直ちに特定し、その異音の発生原因を迅速に突き止め、異音を除去する措置を素速く講じなければならない。このため、異音の特徴を特定し、パターン認識を行うための異音パターンを作成するといった、異音判定の準備作業に費やすことが許される期間は、機械装置等の故障診断のための異音判定の準備作業に費やすことが許される期間と比較して短い場合が多い。この点を考慮すると、上記特許文献2に記載された回転機械異常音診断処理手法は、異音出現頻度と登録異音タイプをパターン化したグループ選別データの作成に長時間を要する可能性があるため、風による異音を判定する手法として採用することは困難である。
このような事情もあって、現在、風による異音を判定する作業は、作業者が耳で異音を聞き取る方法や、異音を含む音と異音を含まない音の波形または周波数スペクトルをパーソナルコンピュータのモニタに表示させ、波形または周波数スペクトルを目で見て比較する方法等により行われている。
しかしながら、このような方法では、異音判定が不正確になるおそれがあり、また、異音判定が特定の作業者個人の経験やスキルに依存し、作業者の異動や退職により異音判定作業に支障が生じることがあり、さらに、異音判定作業に多大な労力を要するという問題がある。
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の第1の課題は、異音判定に適用することができ、異音を含む音と異音を含まない音とを正確に識別することを可能にする識別条件を、個人の経験やスキルに依存せず、または少ない労力で選定することができる音識別条件選定装置を提供することにある。
また、本発明の第2の課題は、異音判定に用いることができ、異音を含む音と異音を含まない音とを正確に識別することができる識別関数を、個人の経験やスキルに依存せず、または少ない労力で生成することができる識別関数生成装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の第1の音識別条件選定装置は、異音を含む音と異音を含まない音とを識別するための識別条件を選定する音識別条件選定装置であって、異音を含むサンプル音データの周波数スペクトルを示すサンプルスペクトルデータ、および異音を含まないサンプル音データの周波数スペクトルを示すサンプルスペクトルデータを受け取り、当該各サンプルスペクトルデータにおける所定の周波数範囲を任意のブロック数のブロックに分割し、当該各ブロックにおける振幅の平均値である振幅平均値を算定する第1のデータ加工手段と、前記第1のデータ加工手段により前記ブロック毎に前記振幅平均値が算定された各サンプルスペクトルデータにおいて、互いに隣り合う一対のブロックのうち、周波数の高いブロックの振幅平均値が周波数の低いブロックの振幅平均値よりも大きいときには、周波数の高いブロックの振幅平均値から周波数の低いブロックの振幅平均値を引いた値を算出し、当該値を振幅増加値として設定し、周波数の高いブロックの振幅平均値が周波数の低いブロックの振幅平均値よりも大きくないときには0を振幅増加値として設定する処理を、当該各サンプルスペクトルデータにおいて互いに隣り合う一対のブロックのそれぞれについて行い、さらに、前記異音を含まないサンプルスペクトルデータのブロックのうち、前記異音を含むサンプルスペクトルデータにおける振幅増加値が0であるブロックに対応するブロックについて、その振幅増加値を0に設定し、その後、前記異音を含むサンプルスペクトルデータの各ブロックの振幅増加値から当該ブロックに対応する前記異音を含まないサンプルスペクトルデータのブロックの振幅増加値を引く振幅増加値減算処理を行い、その後、前記振幅増加値減算処理が行われた、前記異音を含むサンプルスペクトルデータにおけるすべての振幅増加値をそれぞれ足し合わせ、その結果得られた値を識別性判定値として設定する識別性判定値設定手段と、異音を含む複数のサンプル音データのサンプルスペクトルデータおよび異音を含まない複数のサンプル音データのサンプルスペクトルデータについて前記第1のデータ加工手段および前記識別性判定値設定手段による処理を行い、当該処理により得られた複数の前記識別性判定値の平均値を算出し、当該平均値が所定の基準値以上か否かを判定する識別性判定手段と、前記識別性判定手段による判定の結果、前記複数の識別性判定値の平均値が前記基準値以上である場合には、前記異音を含む複数のサンプル音データのサンプルスペクトルデータのうちのいくつかサンプルスペクトルデータ、および前記異音を含まない複数のサンプル音データのサンプルスペクトルデータのうちのいくつかのサンプルスペクトルデータを用い、前記異音を含むサンプル音データと前記異音を含まないサンプル音データとを識別する識別関数を生成する識別関数生成手段と、前記識別性判定手段による判定の結果、前記複数の識別性判定値の平均値が前記基準値以上である場合には、前記異音を含む複数のサンプル音データのサンプルスペクトルデータのうちの他のいくつかサンプルスペクトルデータ、および前記異音を含まない複数のサンプル音データのサンプルスペクトルデータのうちの他のいくつかのサンプルスペクトルデータを用い、前記識別関数生成手段により生成された識別関数が前記異音を含むサンプル音データと前記異音を含まないサンプル音データとを正しく識別する確率である識別正解率を算定する正解率算定手段とを備えていることを特徴とする。
また、本発明の第2の音識別条件選定装置は、上述した本発明の第1の音識別条件選定装置において、前記第1のデータ加工手段によりブロック毎に振幅平均値が算定された前記各サンプルスペクトルデータに対し、下限値が0であり、上限値が0より大きくかつ前記各サンプルスペクトルデータの最大振幅値以下である振幅範囲を設定し、当該振幅範囲の上限値をRmaxとし、任意の実数をSとし、前記各振幅平均値をaとし、前記各振幅平均値に対応する相対振幅値をbとした場合に、
a≧Rmaxのときにはb=S、
a<Rmaxのときにはb=(a/Rmax)・S
とする処理を行い、前記各振幅平均値に対応する相対振幅値を算定する第2のデータ加工手段とを備え、前記識別性判定値設定手段は、前記第1のデータ加工手段および前記第2のデータ加工手段により各振幅値が前記相対振幅値に置き換えられた前記各サンプルスペクトルデータにおいて、互いに隣り合う一対のブロックのうち、周波数の高いブロックの相対振幅値が周波数の低いブロックの相対振幅値よりも大きいときには、周波数の高いブロックの相対振幅値から周波数の低いブロックの相対振幅値を引いた値を算出し、当該値を振幅増加値として設定し、周波数の高いブロックの相対振幅値が周波数の低いブロックの相対振幅値よりも大きくないときには0を振幅増加値として設定する処理を、当該各サンプルスペクトルデータにおいて互いに隣り合う一対のブロックのそれぞれについて行い、さらに、前記異音を含まないサンプルスペクトルデータのブロックのうち、前記異音を含むサンプルスペクトルデータにおける振幅増加値が0であるブロックに対応するブロックについて、その振幅増加値を0に設定し、その後、前記異音を含むサンプルスペクトルデータの各ブロックの振幅増加値から当該ブロックに対応する前記異音を含まないサンプルスペクトルデータのブロックの振幅増加値を引く振幅増加値減算処理を行い、その後、前記振幅増加値減算処理が行われた、前記異音を含むサンプルスペクトルデータにおけるすべての振幅増加値をそれぞれ足し合わせ、その結果得られた値を識別性判定値として設定することを特徴とする。
また、本発明の第3の音識別条件選定装置は、上述した本発明の第2の音識別条件選定装置において、前記ブロック数を設定または変更し、かつ前記振幅範囲の上限値を設定または変更する加工パラメータ設定手段と、加工パラメータ設定手段により前記ブロック数または前記振幅値の上限値が設定または変更される度に、前記第1のデータ加工手段、前記第2のデータ加工手段、前記識別性判定値設定手段、前記識別性判定手段、前記識別関数生成手段および前記正解率算定手段による処理を実行し、それらの結果前記識別関数生成手段により生成された複数の前記識別関数のうち前記識別正解率が最も高い識別関数、および当該識別関数を算定する際に設定された前記ブロック数と前記振幅範囲の上限値との組合せを前記識別条件として選定する識別条件選定手段とを備えていることを特徴とする。
また、本発明の第4の音識別条件選定装置は、上述した本発明の第3の音識別条件選定装置において、前記振幅範囲の上限値は、前記各サンプルスペクトルデータの最大振幅値に任意の倍率m(0<m≦1)を乗じた値であり、前記識別条件選定手段は、前記振幅範囲の上限値に代えて前記倍率mを前記識別条件の1つとして選定することを特徴とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の識別関数生成装置は、異音を含む音と異音を含まない音とを識別する識別関数を生成する識別関数生成装置であって、異音を含むサンプル音データの周波数スペクトルを示すサンプルスペクトルデータ、および異音を含まないサンプル音データの周波数スペクトルを示すサンプルスペクトルデータを受け取り、当該各サンプルスペクトルデータにおける所定の周波数範囲を任意のブロック数のブロックに分割し、当該各ブロックにおける振幅の平均値である振幅平均値を算定する第1のデータ加工手段と、前記第1のデータ加工手段により前記ブロック毎に前記振幅平均値が算定された各サンプルスペクトルデータにおいて、互いに隣り合う一対のブロックのうち、周波数の高いブロックの振幅平均値が周波数の低いブロックの振幅平均値よりも大きいときには、周波数の高いブロックの振幅平均値から周波数の低いブロックの振幅平均値を引いた値を算出し、当該値を振幅増加値として設定し、周波数の高いブロックの振幅平均値が周波数の低いブロックの振幅平均値よりも大きくないときには0を振幅増加値として設定する処理を、当該各サンプルスペクトルデータにおいて互いに隣り合う一対のブロックのそれぞれについて行い、さらに、前記異音を含まないサンプルスペクトルデータのブロックのうち、前記異音を含むサンプルスペクトルデータにおける振幅増加値が0であるブロックに対応するブロックについて、その振幅増加値を0に設定し、その後、前記異音を含むサンプルスペクトルデータの各ブロックの振幅増加値から当該ブロックに対応する前記異音を含まないサンプルスペクトルデータのブロックの振幅増加値を引く振幅増加値減算処理を行い、その後、前記振幅増加値減算処理が行われた、前記異音を含むサンプルスペクトルデータにおけるすべての振幅増加値をそれぞれ足し合わせ、その結果得られた値を識別性判定値として設定する識別性判定値設定手段と、異音を含む複数のサンプル音データのサンプルスペクトルデータおよび異音を含まない複数のサンプル音データのサンプルスペクトルデータについて前記第1のデータ加工手段および前記識別性判定値設定手段による処理を行い、当該処理により得られた複数の前記識別性判定値の平均値を算出し、当該平均値が所定の基準値以上か否かを判定する識別性判定手段と、前記識別性判定手段による判定の結果、前記複数の識別性判定値の平均値が前記基準値以上である場合には、前記異音を含む複数のサンプル音データのサンプルスペクトルデータおよび前記異音を含まない複数のサンプル音データのサンプルスペクトルデータを用い、前記異音を含む複数のサンプル音データと前記異音を含まない複数のサンプル音データとを識別する識別関数を生成する識別関数生成手段とを備えていることを特徴とする。
また、本発明の第2の識別関数生成装置は、上述した本発明の第1の識別関数生成装置において、前記第1のデータ加工手段によりブロック毎に振幅平均値が算定された前記各サンプルスペクトルデータに対し、下限値が0であり、上限値が0より大きくかつ前記各サンプルスペクトルデータの最大振幅値以下である振幅範囲を設定し、当該振幅範囲の上限値をRmaxとし、任意の実数をSとし、前記各振幅平均値をaとし、前記各振幅平均値に対応する相対振幅値をbとした場合に、
a≧Rmaxのときにはb=S、
a<Rmaxのときにはb=(a/Rmax)・S
とする処理を行い、前記各振幅平均値に対応する相対振幅値を算定する第2のデータ加工手段とを備え、前記識別性判定値設定手段は、前記第1のデータ加工手段および前記第2のデータ加工手段により各振幅値が前記相対振幅値に置き換えられた前記各サンプルスペクトルデータにおいて、互いに隣り合う一対のブロックのうち、周波数の高いブロックの相対振幅値が周波数の低いブロックの相対振幅値よりも大きいときには、周波数の高いブロックの相対振幅値から周波数の低いブロックの相対振幅値を引いた値を算出し、当該値を振幅増加値として設定し、周波数の高いブロックの相対振幅値が周波数の低いブロックの相対振幅値よりも大きくないときには0を振幅増加値として設定する処理を、当該各サンプルスペクトルデータにおいて互いに隣り合う一対のブロックのそれぞれについて行い、さらに、前記異音を含まないサンプルスペクトルデータのブロックのうち、前記異音を含むサンプルスペクトルデータにおける振幅増加値が0であるブロックに対応するブロックについて、その振幅増加値を0に設定し、その後、前記異音を含むサンプルスペクトルデータの各ブロックの振幅増加値から当該ブロックに対応する前記異音を含まないサンプルスペクトルデータのブロックの振幅増加値を引く振幅増加値減算処理を行い、その後、前記振幅増加値減算処理が行われた、前記異音を含むサンプルスペクトルデータにおけるすべての振幅増加値をそれぞれ足し合わせ、その結果得られた値を識別性判定値として設定することを特徴とする。
本発明の第3の識別関数生成装置は、上述した本発明の第2の識別関数生成装置において、前記振幅範囲の上限値は、前記各サンプルスペクトルデータの最大振幅値に任意の倍率m(0<m≦1)を乗じた値であることを特徴とする。
本発明によれば、異音を含む音と異音を含まない音とを正確に識別することを可能にする識別条件の選定、または異音を含む音と異音を含まない音とを正確に識別することができる識別関数の生成を、個人の経験やスキルに依存せず、または少ない労力で行うことができる。したがって、作業者は、異音判定の熟練者でなくても、選定された識別条件または生成された識別関数を用い、高精度な異音判定を容易に行うことができる。
本発明の実施形態による異音判定装置を示すブロック図である。 本発明の実施形態による異音判定装置の音識別条件選定機能に関する動作を示すフローチャートである。 本発明の実施形態による異音判定装置におけるサンプルスペクトルデータを示す説明図である。 本発明の実施形態による異音判定装置において、サンプルスペクトルデータをブロックに分割し、ブロック毎に振幅平均値を算定した状態を示す説明図である。 本発明の実施形態による異音判定装置において、サンプルスペクトルデータに振幅範囲を設定し、各振幅平均値に対応する相対振幅値を算定した状態を示す説明図である。 本発明の実施形態による異音判定装置における識別性判定値設定処理を示すフローチャートである。 本発明の実施形態による異音判定装置における識別性判定値設定処理の具体例を示す説明図である。 本発明の実施形態による異音判定装置における識別性判定値テーブルを示す説明図である。 本発明の実施形態による異音判定装置における識別正解率テーブルを示す説明図である。 本発明の実施形態による異音判定装置の異音判定機能に関する動作を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施形態による異音判定装置を示している。図1において、本発明の実施形態による異音判定装置1は、被判定音データ(判定対象となる音データ)中の異音の有無を判定する装置である。また、異音判定装置1において、後述する音識別条件選定部12は、本発明の音識別条件選定装置の実施形態に相当する。また、音識別条件選定部12において、後述する第1の加工データ部14、第2の加工データ部15、識別性判定部16および識別関数生成部17は、本発明の識別関数生成装置の実施形態に相当する。
(異音判定装置の機能)
異音判定装置1は、被判定音データ中の異音の有無を判定する機能である異音判定機能と、異音を含む音と異音を含まない音とを識別するための識別条件を選定する音識別条件選定機能とを有する。異音判定装置1では、まず、音識別条件選定機能により識別条件を選定した後、異音判定機能により被判定音データ中の異音の有無を判定する。異音判定機能が被判定音データ中の異音の有無を判定する際には、音識別条件選定機能により選定された識別条件が用いられる。この識別条件には、異音判定機能により異音判定を行う際に、被判定音データの加工に用いられる加工パラメータと、被判定音データ中に異音が含まれているか否かの識別に用いられる識別関数が含まれる。
異音判定装置1の音識別条件選定機能による識別条件の選定は概ね次のように行われる。まず、作業者は、被判定音データに含まれる異音と同様の異音を含む複数のサンプル音データと、被判定音データに含まれる異音を含まない複数のサンプル音データを用意する。本実施形態では、説明の便宜上、作業者が、上記異音を含むサンプル音データ、および上記異音を含まないサンプル音データをそれぞれ50個、合計100個のサンプル音データを用意したとする。異音を含む複数のサンプル音データは、それぞれ異なる時点に採取(録音)されたものであり、音データの開始から終了まで常時異音が鳴り続けている比較的短い時間の音データある。異音を含まない複数のサンプル音データは、それぞれ異なる時点に採取(録音)されたものであり、音データの開始から終了まで常時異音が鳴っていない比較的短い時間の音データある。なお、異音を含むサンプル音データであるか、異音を含まないサンプル音データであるかは、作業者の耳で判断する。
続いて、作業者は、用意した100個のサンプル音データを異音判定装置1に入力し、識別条件の選定を行う旨の指示を異音判定装置1に入力する。これに応じ、異音判定装置1は、入力された各サンプル音データに含まれる任意の1周期分の音データをその周波数スペクトルを示すサンプルスペクトルデータに変換する。異音判定装置1は、変換した100個のサンプルスペクトルデータを記憶部3に記憶する。
異音判定装置1には、サンプルスペクトルデータを加工するのに用いられる複数の加工パラメータが予め記憶されている。異音判定装置1は、複数の加工パラメータの中から任意の加工パラメータを選択し、選択した加工パラメータを用いて、記憶部3に記憶された100個のサンプルスペクトルデータを加工する。このとき、異音判定装置1は、記憶部3に記憶された100個のサンプルスペクトルデータをそれぞれコピーし、コピーした100個のサンプルスペクトルデータを加工する。これにより、100個のサンプルスペクトルデータが加工された後も、加工前の100個のサンプルスペクトルデータが記憶部3に保持される。
続いて、異音判定装置1は、加工された100個のサンプルスペクトルデータにつき、識別性判定を行う。識別性判定とは、加工された複数(例えば後述するように50個)のサンプルスペクトルデータを用いて識別関数を生成した場合、異音成分(異音に対応する周波数成分)を含むサンプルスペクトルデータと異音成分を含まないサンプルスペクトルデータとを正しく識別し得る識別関数が生成される可能性が高いか否かを、加工された100個のサンプルスペクトルデータを用いて識別関数を実際に生成する前に判定する処理である。識別性判定を行うに当たり、異音判定装置1は、加工された100個のサンプルスペクトルデータを用い、異音成分を含むサンプルスペクトルデータと異音成分を含まないサンプルスペクトルデータとを正しく識別し得る識別関数が生成される可能性の程度を推測することができる識別性判定値を生成し、識別性判定値が所定の識別性基準値以上か否かを判断する。識別性判定値が識別性基準値以上であるとき、異音成分を含むサンプルスペクトルデータと異音成分を含まないサンプルスペクトルデータとを正しく識別し得る識別関数が生成される可能性が高いと推測する。
識別性判定値が識別性基準値以上であるとき、続いて、異音判定装置1は、異音成分を含む加工された50個のサンプルスペクトルデータのうちの例えば半数(25個)のサンプルスペクトルデータ、および異音成分を含まない加工された50個のサンプルスペクトルデータのうちの半数(25個)のサンプルスペクトルデータを用い、異音成分を含むサンプルスペクトルデータと異音成分を含まないサンプルスペクトルデータとを識別する識別関数を生成し、生成した識別関数を記憶部3に記憶する。
さらに、識別性判定値が識別性基準値以上であるとき、異音判定装置1は、異音成分を含む50個の加工されたサンプルスペクトルデータのうちの残り半数(25個)のサンプルスペクトルデータ、および異音成分を含まない50個の加工されたサンプルスペクトルデータのうちの残り半数(25個)のサンプルスペクトルデータを用い、上記識別関数が異音成分の有無を正しく判定する確率(識別正解率)を算定し、算定した識別正解率を記憶部3に記憶する。
一方、識別性判定値が識別性基準以上でないときには、異音判定装置1は、今回加工したサンプルスペクトルデータを用いた識別関数の生成も、識別正解率の算定も行わない。このように、異音成分を含むサンプルスペクトルデータと異音成分を含まないサンプルスペクトルデータとを正しく識別し得る識別関数が生成される可能性が高くないと推測される場合には、識別関数の生成も識別正解率の算定も行わないことにより、識別条件の選定を効率よく、迅速に行うことができる。
続いて、異音判定装置1は、加工パラメータを変更し、加工パラメータを変更する度に、100個のサンプルスペクトルデータの加工、および加工した100個のサンプルスペクトルデータについての識別性判定を行い、識別性判定値が識別性基準値以上である場合には、加工した50個のサンプルスペクトルデータを用いた識別関数の生成・記憶、および加工した残りの50個のサンプルスペクトルデータを用いた識別関数の識別正解率の算定・記憶を行う。
加工パラメータは複数あるので、加工パラメータの設定および変更は複数回行われる。したがって、100個のサンプルスペクトルデータの加工および識別性判定も複数回行われる。この間に、識別性判定値が識別性基準値以上であるとの判定される度に、識別関数の生成・記憶および識別正解率の算定・記憶が行われるので、この結果、複数の識別関数およびそれらに対応する複数の識別正解率が記憶部3に記憶される。
続いて、異音判定装置1は、複数の識別関数のうち、識別正解率が最も高い識別関数、および当該識別関数を算定する際に用いられた加工パラメータを識別条件として選定する。そして、異音判定装置1は、選定した識別条件を記憶部3に記憶する。
また、異音判定装置1の異音判定機能による異音判定は概ね次のように行われる。まず、作業者は、被判定音データを採取する。ここで、作業者は被判定音データを例えば次のように採取(録音)する。すなわち、鉄塔や送電線等に風が当たることにより発生する異音は、風の強さや風向きにより発生したり、発生しなかったりするため、発生が不連続であり、発生の頻度が少ない場合がある。このため、作業者は、鉄塔や送電線等の周囲に録音機を設置し、異音を録音できることが見込まれる時間(例えば96時間程度の長い時間)を録音時間とし、この録音時間が経過するまで録音機による録音を続ける。通常、録音機が録音を行っている間、作業者は録音機を録音中のまま放置し、昼間は別の作業を行い、夜間は帰宅する。そして、録音時間が経過したとき、作業者は、録音機の録音を停止する。録音された音データは録音機に内蔵されたハードディスク装置またはフラッシュメモリ等に記憶される。
続いて、作業者は、採取した被判定音データを異音判定装置1に入力し、異音判定を行う旨の指示を異音判定装置1に入力する。これに応じ、異音判定装置1は、入力された被判定音データの先頭から1周期分の音データを抽出し、抽出した音データをその周波数スペクトルを示す被判定スペクトルデータに変換する。
続いて、異音判定装置1は、識別条件として記憶部3に記憶されている加工パラメータを読み出し、読み出した加工パラメータを用いて被判定スペクトルデータを加工する。
続いて、異音判定装置1は、識別条件として記憶部3に記憶されている識別関数を読み出し、読み出した識別関数に、加工した被判定スペクトルデータを入力し、被判定スペクトルデータに異音成分が含まれているか否かを判定し、その判定結果を記憶部3に記憶すると共に、異音が存在していた場合には、その旨を例えば液晶ディスプレイに表示する。
異音判定装置1は、被判定音データから1周期分の音データを抽出してそれを被判定スペクトルデータに変換する処理、当該被判定スペクトルデータを加工する処理、当該加工した被判定スペクトルデータに異音成分が含まれているか否かを判定する処理、および判定結果を記憶・表示する処理を、被判定音データにおいて1周期分の音データを抽出する時間軸上の抽出位置を移動させながら繰り返し行う。
(異音判定装置の構成)
図1に示すように、異音判定装置1は、CPU(中央処理装置)2、記憶部3、データ入力部4およびユーザインタフェース5を備えている。異音判定装置1は例えばパーソナルコンピュータにより実現することができる。
データ入力部4は、作業者が音データを異音判定装置1に入力するための装置であり、例えば、USB(Universal Serial Bus)、LAN(ローカルエリアネットワーク)またはインターネットを利用した通信を実現するための通信インターフェイス回路、およびディスクドライブ装置等を備えている。ユーザインタフェース5は、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等の入力装置、および液晶ディスプレイ等の出力装置を備えている。記憶部3は、例えばハードディスク装置、またはフラッシュメモリ等である。CPU2は、記憶部3に記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、データ変換部11、音識別条件選定部12、異音判定部20として機能する。また、音識別条件選定部12は、機能に応じ、加工パラメータ設定部13、第1のデータ加工部14、第2のデータ加工部15、識別性判定部16、識別関数生成部17、正解率算定部18および識別条件選定部19に分けられる。
(音識別条件選定機能に関する動作)
図2は、音識別条件選定機能に関する異音判定装置1の動作を示している。図2において、作業者は、異音を含む音と異音を含まない音とを識別するための識別条件を異音判定装置1に選定させるために、被判定音データに含まれる異音と同様の異音を含む例えば50個のサンプル音データと、被判定音データに含まれる異音が含まれていない例えば50個のサンプル音データを異音判定装置1に入力する。具体的には、作業者は、これら100個のサンプル音データが記録された記録ディスクを異音判定装置1のデータ入力部4としてのディスクドライブ装置に装着する。続いて、作業者は、ユーザインタフェース5としてのキーボード等を操作し、識別条件の選定を行う旨の指示を異音判定装置1に入力する。
これに応じ、異音判定装置1のデータ変換部11が、ディスクドライブ装置に装着された記録ディスクから100個のサンプル音データを読み出し、読み出した各サンプル音データから1周期分の音データを抽出し、抽出した音データをその周波数スペクトルを示すサンプルスペクトルデータにフーリエ変換し、変換した100個のサンプルスペクトルデータを記憶部3に記憶する(ステップS1)。
ここで、図3は、異音成分を含むサンプルスペクトルデータの一例を示している。図3中の二点鎖線D1で示した部分が異音成分である。
続いて、音識別条件選定部12の加工パラメータ設定部13が、加工パラメータ、具体的には、ブロック数nおよび倍率mの組合せを設定する(ステップS2)。すなわち、記憶部3には、ブロック数nとして用いられる数値が例えば10個予め記憶されている。ブロック数nとして用いられる数値は、例えば10、20、30、40、50、60、70、80、90、100である(図9参照)。また、記憶部3には、倍率mとして用いられる数値が例えば10個予め記憶されている。倍率mとして用いられる数値は、0より大きくかつ1以下の実数であり、例えば0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0である(図9参照)。加工パラメータ設定部13は、初回に設定するブロック数nと倍率mの組合せとして、例えば10と0.1を選択する。
続いて、第1のデータ加工部14が、記憶部3に記憶された100個のサンプルスペクトルデータのうちのいずれか1つのサンプルスペクトルデータを選択し、選択したサンプルスペクトルデータをコピーする(ステップS3)。続いて、第1のデータ加工部14は、コピーしたサンプルスペクトルデータにおける所定の周波数範囲を、ブロック数nが示す個数のブロックに分割し、各ブロックにおける振幅の平均値である振幅平均値を算定する(ステップS4)。上記所定の周波数範囲とは、識別関数の生成に必要な周波数範囲であり、例えば可聴周波数範囲である。また、ここで用いられるブロック数nは、ステップS2で設定されたブロック数nである。
ここで、図4は、ブロック数nとして50が設定されたときに第1のデータ加工部14によりサンプルスペクトルデータが加工される直前の状態(上段)と加工された直後の状態(下段)を示している。図4を見ればわかる通り、第1のデータ加工部14による加工によって、サンプルスペクトルデータから細かい周波数成分が除去される。また、図示していないが、ブロック数nとして10〜40といった比較的小さい数値が設定された場合には、第1のデータ加工部14による加工直後のサンプルスペクトルデータは、ブロック数nとして50が設定された場合と比較して、細かい周波数成分がより一層除去された状態となる。一方、ブロック数nとして60〜100といった比較的大きい数値が設定された場合には、第1のデータ加工部14による加工直後のサンプルスペクトルデータは、ブロック数nとして50が設定された場合と比較して、細かい周波数成分が除去されずに残存した状態となる。初回にブロック数nとして設定される数値は上述した通り例えば10であるので、第1のデータ加工部14による初回の加工直後のサンプルスペクトルデータは、細かい周波数成分が最も多く除去された状態となる。
続いて、第2のデータ加工部15が、第1のデータ加工部14によりブロック毎に振幅平均値が算定されたサンプルスペクトルデータに対し、下限値が0であり、上限値がサンプルスペクトルデータの最大振幅値Amaxに倍率mを乗じた値である振幅範囲を設定する。ここで用いられる倍率mは、ステップS2で設定された倍率mである。続いて、第2のデータ加工部15は、次に述べる相対振幅値算定処理を行い、サンプルスペクトルデータの各振幅平均値に対応する相対振幅値を算定する(ステップS5)。
すなわち、相対振幅値設定処理において、第2のデータ加工部15は、設定した振幅範囲の上限値をRmaxとし、任意の実数をSとし、サンプルスペクトルデータの各振幅平均値をaとし、当該各振幅平均値に対応する相対振幅値をbとした場合に、
a≧Rmaxのときにはb=S、
a<Rmaxのときにはb=(a/Rmax)・S
とする処理を行う。上記Sは例えば10であり、上記a/Rmaxの解は例えば小数点以下を切り捨てる。これにより、振幅平均値が、設定された振幅範囲の上限値以上である場合には、振幅平均値に対応する相対振幅値が10となり、振幅平均値が、設定された振幅範囲の上限値より小さい場合には、振幅平均値に対応する相対振幅値が、振幅平均値をその大きさに応じて9段階にレベル付けされた値となる。続いて、第2のデータ加工部15は、サンプルスペクトルデータの各振幅平均値をそれに対応する相対振幅値に置き換え、各振幅平均値を相対振幅値に置き換えたスペクトルサンプルデータを記憶部3に記憶する。
ここで、図5は、倍率mとして0.2が設定されたときに第2のデータ加工部15によりサンプルスペクトルデータが加工される直前の状態(上段)と加工された直後の状態(下段)を示している。図5中の上段の破線D2で示した領域が、下限値が0であり、上限値がサンプルスペクトルデータの最大振幅値Amaxに0.2を乗じた値である振幅範囲である。図5を見ればわかる通り、第2のデータ加工部15による加工によって、設定された振幅範囲に含まれる周波数成分が拡大され、その結果、サンプルスペクトルデータにおいて、振幅(パワー)が大きい周波数成分が飽和した状態となって、それらの特徴を容易に無視できるようになり、その一方で、振幅が小さい周波数成分の振幅が相対的に適度に大きくなり、その特徴を容易かつ高精度に抽出できるようになる。また、倍率mとして0.3〜0.5といった数値が設定された場合には、振幅範囲の上限値が縦軸の正方向に移動するため、振幅範囲が広くなり、その結果、サンプルスペクトルデータにおいて、中くらいの大きさの振幅を有する周波数成分の特徴を容易かつ高精度に抽出できるようになる。また、倍率mとして0.6〜1.0といった数値が設定された場合には、振幅範囲の上限値が縦軸の正方向にさらに移動するため、振幅範囲がさらに広くなり、その結果、サンプルスペクトルデータにおいて、大きい振幅を有する周波数成分の特徴を容易かつ高精度に抽出できるようになる。一方、初回に倍率mとして設定される数値は上述した通り例えば0.1であるので、振幅範囲が最も狭くなり、その結果、サンプルスペクトルデータにおいて、微少な振幅を有する周波数成分の特徴を容易かつ高精度に抽出できるようになる。
続いて、第2のデータ加工部15は、ステップS4およびS5の加工を、ステップS1において記憶部3に記憶した100個すべてのサンプルスペクトルデータに対して行ったか否かを判断する(ステップS6)。ステップS4およびS5の加工を、ステップS1において記憶部3に記憶した100個すべてのサンプルスペクトルデータに対して行っていない場合には(ステップS6:NO)、第2のデータ加工部15は、処理をステップS3に戻す。続いて、第1のデータ加工部14が、記憶部3に記憶された100個のサンプルスペクトルデータのうち、ステップS4およびS5の処理をまだ行っていない1つのサンプルスペクトルデータを選び、そのサンプルスペクトルデータをコピーし、コピーしたサンプルスペクトルデータに対し、ステップS4の処理を行い、続いて、第2のデータ加工部15がステップS5の処理を行う。
一方、ステップS6において、ステップS4およびS5の加工を、ステップS1において記憶部3に記憶した100個すべてのサンプルスペクトルデータに対して行った場合には(ステップS6:YES)、第2のデータ加工部15は、処理をステップS7へ移行させる。
続いて、識別性判定部16が、ステップS4およびS5の処理により各振幅値が相対振幅値に置き換えられて記憶部3に記憶された100個のサンプルスペクトルデータをそれぞれコピーし、これらコピーした100個のサンプルスペクトルデータについて識別性判定値設定処理を行う(ステップS7)。
ここで、図6は識別性判定値設定処理の流れを示すフローチャートであり、図7は識別性判定値設定処理を、具体的な数値をあげて説明した図である。図7では、ブロック数nとして50が設定され、倍率mとして0.2が設定されたときに、第1のデータ加工部14および第2のデータ加工部15により加工された異音成分を含むサンプルスペクトルデータおよび異音成分を含まないサンプルスペクトルデータについて識別性判定値設定処理が行われた場合を例にあげている。
図6に示すように、識別性判定値設定処理において、まず、識別性判定部16は、異音成分を含む任意の1つのサンプルスペクトルデータを選択する(ステップS21)。
続いて、識別性判定部16は、選択したサンプルスペクトルデータにおいて、互いに隣り合う一対のブロックのうち、周波数の高いブロックの相対振幅値から周波数の低いブロックの相対振幅値を引き、これにより得られた値を振幅増加値として設定し、当該振幅増加値を記憶部3に記憶する。この処理を、当該サンプルスペクトルデータにおいて互いに隣り合う一対のブロックのそれぞれについて行う(ステップS22)。この結果、当該サンプルスペクトルデータにおいて、互いに隣り合う一対のブロックのうち、周波数の高いブロックの相対振幅値が周波数の低いブロックの相対振幅値よりも大きい場合には、振幅増加値が正の値となり、周波数の高いブロックの相対振幅値が周波数の低いブロックの相対振幅値と等しい場合には、振幅増加値が0となり、周波数の高いブロックの相対振幅値が周波数の低いブロックの相対振幅値よりも小さい場合には、振幅増加値が負の値となる。
続いて、識別性判定部16は、当該サンプルスペクトルデータの振幅増加値のうち、負の値である振幅増加値を0に変更する(ステップS23:第1の変更処理)。
続いて、識別性判定部16は、異音成分を含む50個すべてのサンプルスペクトルデータのそれぞれについて、振幅増加値を設定する処理および第1の変更処理が終了したか否かを判断する(ステップS24)。異音成分を含む50個のサンプルスペクトルデータのうちのいずれかについて、振幅増加値を設定する処理または第1の変更処理が終了していない場合には(ステップS24:NO)、識別性判定部16は処理をステップS21に戻し、異音成分を含むサンプルスペクトルデータのうち、まだ選択していないサンプルスペクトルデータを選択し、当該選択したサンプルスペクトルデータについてステップS22およびS23の処理を行う。
ステップS22〜S24の処理について図7を用いて具体的に説明すると、図7中の表C1は、ブロック数nとして50が設定され、倍率mとして0.2が設定されたときに、第1のデータ加工部14および第2のデータ加工部15により加工された異音成分を含むサンプルスペクトルデータにつき、ステップS22〜S24が行われた場合を示している。表C1において、説明の便宜上、50個に分割されたサンプルスペクトルデータのブロックには、周波数の低い順に1〜50の番号が付されている。例えば、表C1において、互いに隣り合う一対のブロックとして、ブロック番号41、42のブロックに着目すると、これらのブロックの相対振幅値はいずれも3である。これらのブロックのうち、ブロック番号42のブロックが周波数の高いブロックに当たり、ブロック番号41のブロックが周波数の低いブロックに当たる。したがって、ブロック番号42のブロックの相対振幅値からブロック番号41のブロックの相対振幅値を引くと、3−3=0なので、ブロック番号42のブロックの振幅増加値は0となる。次に、表C1において、互いに隣り合う一対のブロックとして、ブロック番号42、43のブロックに着目すると、これらのブロックの相対振幅値はそれぞれ順に3、6である。これらのブロックのうち、ブロック番号43のブロックが周波数の高いブロックに当たり、ブロック番号42のブロックが周波数の低いブロックに当たる。したがって、ブロック番号43のブロックの相対振幅値からブロック番号42のブロックの相対振幅値を引くと、6−3=3なので、ブロック番号43のブロックの振幅増加値は3となる。次に、表C1において、互いに隣り合う一対のブロックとして、ブロック番号43、44のブロックに着目すると、これらのブロックの相対振幅値はそれぞれ順に6、4である。これらのブロックのうち、ブロック番号44のブロックが周波数の高いブロックに当たり、ブロック番号43のブロックが周波数の低いブロックに当たる。したがって、ブロック番号44のブロックの相対振幅値からブロック番号43のブロックの相対振幅値を引くと、4−6=−2なので、ブロック番号44のブロックの振幅増加値は−2となる。次に、表C1において、ブロック番号44のブロックの振幅増加値、−2に着目すると、この振幅増加値は負の値なので上記第1の変更処理により0に変更される。
一般に、1/fゆらぎと言われるように、人間が不快に感じない音は、その周波数スペクトルの振幅が周波数に反比例する。したがって、周波数の増加に伴い振幅が増加している周波数成分は異音成分である可能性が高い。ステップS22〜S24の処理の結果、各サンプルスペクトルデータにおいて、周波数の増加に伴い振幅が増加しているブロックの振幅増加値、すなわち、異音成分を含む可能性が高いブロックの振幅増加値だけが0よりも大きい値として残り、他のすべてブロックの振幅増加値は0になる。
図6に戻り、異音成分を含む50個すべてのサンプルスペクトルデータのそれぞれについて、振幅増加値を設定する処理(ステップS22)、および第1の変更処理(ステップS23)が終了した場合には(ステップS24:YES)、異音成分を含む50個のサンプルスペクトルデータの振幅増加値のブロック毎の平均値を算出する(ステップS25)。図7中の表C2は、ステップS25の具体例を示している。
続いて、識別性判定部16は、異音成分を含まない任意の1つのサンプルスペクトルデータを選択する(ステップS26)。
続いて、識別性判定部16は、選択したサンプルスペクトルデータにおいて、互いに隣り合う一対のブロックのうち、周波数の高いブロックの相対振幅値から周波数の低いブロックの相対振幅値を引き、これにより得られた値を振幅増加値として設定し、当該振幅増加値を記憶部3に記憶する。この処理を、当該サンプルスペクトルデータにおいて互いに隣り合う一対のブロックのそれぞれについて行う(ステップS27)。
続いて、識別性判定部16は、当該サンプルスペクトルデータの振幅増加値のうち、負の値である振幅増加値を0に変更する(ステップS28:第1の変更処理)。
続いて、識別性判定部16は、当該異音成分を含まないサンプルスペクトルデータのブロックのうち、異音成分を含むサンプルスペクトルデータ(異音成分を含まないサンプルスペクトルデータと同一のブロック数nおよび倍率mで加工された、異音成分を含むサンプルスペクトルデータ)における振幅増加値の平均値が0であるブロックに対応するブロックについて、その振幅増加値を0に変更する(ステップS29:第2の変更処理)。
ステップS27〜S29の処理について図7を用いて具体的に説明すると、図7中の表C3は、ブロック数nとして50が設定され、倍率mとして0.2が設定されたときに、第1のデータ加工部14および第2のデータ加工部15により加工された異音成分を含まないサンプルスペクトルデータにつき、ステップS27〜S29が行われた場合を示している。表C3においても、50個に分割されたサンプルスペクトルデータのブロックには、周波数の低い順に1〜50の番号が付されている。例えば、表C3において、互いに隣り合う一対のブロックとして、ブロック番号40、41のブロックに着目すると、これらのブロックの相対振幅値はそれぞれ順に2、3である。これらのブロックのうち、ブロック番号41のブロックが周波数の高いブロックに当たり、ブロック番号40のブロックが周波数の低いブロックに当たる。したがって、ブロック番号41のブロックの相対振幅値からブロック番号40のブロックの相対振幅値を引くと、3−2=1なので、ブロック番号41のブロックの振幅増加値は1となる。次に、表C3において、互いに隣り合う一対のブロックとして、ブロック番号41、42のブロックに着目すると、これらのブロックの相対振幅値はそれぞれ順に3、2である。これらのブロックのうち、ブロック番号42のブロックが周波数の高いブロックに当たり、ブロック番号41のブロックが周波数の低いブロックに当たる。したがって、ブロック番号42のブロックの相対振幅値からブロック番号41のブロックの相対振幅値を引くと、2−3=−1なので、ブロック番号42のブロックの振幅増加値は−1となる。次に、表C3において、互いに隣り合う一対のブロックとして、ブロック番号42、43のブロックに着目すると、これらのブロックの相対振幅値はいずれも2である。これらのブロックのうち、ブロック番号43のブロックが周波数の高いブロックに当たり、ブロック番号42のブロックが周波数の低いブロックに当たる。したがって、ブロック番号43のブロックの相対振幅値からブロック番号42のブロックの相対振幅値を引くと、2−2=0なので、ブロック番号43のブロックの振幅増加値は0となる。次に、表C3において、ブロック番号42のブロックの振幅増加値、−1に着目すると、この振幅増加値は負の値なので上記第1の変更処理(ステップS28)により0に変更される。次に、表C3において、異音成分を含まないサンプルスペクトルデータのブロック番号41のブロックの振幅増加値に着目すると、異音成分を含むサンプルスペクトルデータにおけるブロック番号41のブロックの振幅増加値の平均値は表C2に示す通り0であるので、上記第2の変更処理(ステップS29)により、当該異音成分を含まないサンプルスペクトルデータのブロック番号41のブロックの振幅増加値は0に変更される。
上述したように、周波数の増加に伴い振幅が増加している周波数成分は異音成分である可能性が高い。しかしながら、異音成分を含まないサンプルスペクトルデータにおいて、ある周波数成分につき、周波数の増加に伴う振幅の増加が確認されても、異音成分を含むサンプルスペクトルデータにおいて、当該周波数成分と同一の周波数の周波数成分につき、周波数の増加に伴う振幅の増加が確認されていない場合には、異音成分を含まないサンプルスペクトルデータにおける当該周波数成分は、異音成分ではなく、異音成分以外のノイズ成分(背景の音)である可能性が高い。上記第2の変更処理では、異音成分を含まないサンプルスペクトルデータのブロックのうち、異音成分を含むサンプルスペクトルデータにおける振幅増加値が0であるブロックに対応するブロックにつき、振幅増加値を0に変更することで、異音成分を含まないサンプルスペクトルデータから、異音成分以外の周波数成分を、識別性判定に係る処理の対象から除外している。
続いて、識別性判定部16は、異音成分を含まない50個すべてのサンプルスペクトルデータのそれぞれについて、振幅増加値を設定する処理、第1の変更処理および第2の変更処理が終了したか否かを判断する(ステップS30)。異音成分を含まない50個のサンプルスペクトルデータのうちのいずれかについて、振幅増加値を設定する処理、第1の変更処理、または第2の変更処理が終了していない場合には(ステップS30:NO)、識別性判定部16は処理をステップS26に戻し、異音成分を含まないサンプルスペクトルデータのうち、まだ選択していないサンプルスペクトルデータを選択し、当該選択したサンプルスペクトルデータについてステップS27〜S29の処理を行う。
異音成分を含まない50個すべてのサンプルスペクトルデータのそれぞれについて、振幅増加値を設定する処理、第1の変更処理および第2の変更処理が終了した場合には(ステップS30:YES)、識別性判定部16は、異音成分を含まない50個のサンプルスペクトルデータの振幅増加値のブロック毎の平均値を算出する(ステップS31)。図7中の表C4は、ステップS25の具体例を示している。
続いて、識別性判定部16は、異音成分を含むサンプルスペクトルデータにおける各ブロックの振幅増加値の平均値から、当該ブロックに対応する、異音成分を含まないサンプルスペクトルデータにおけるブロックの振幅増加値の平均値を引く振幅増加値減算処理を行う(ステップS32)。図7中の表C5は、ステップS25の具体例を示している。
振幅増加値が正の値であるブロックが、異音成分を含むサンプルスペクトルデータと、異音成分を含まないサンプルスペクトルデータの双方に存在している場合には、上記振幅増加値減算処理により、異音成分を含むサンプルスペクトルデータにおいて、当該振幅増加値の値が0となるか、または減少する。これにより、異音成分以外の周波数成分を識別性判定に係る処理の対象から実質的に除外することができる。
続いて、識別性判定部16は、振幅増加値減算処理が行われた、異音成分を含むサンプルスペクトルデータにおける振幅増加値の平均値のすべてをそれぞれ足し合わせ、その結果得られた値を識別性判定値として設定する(ステップS33)。図7中の表C6は、ステップS33の具体例を示している。これにより識別性判定値設定処理が終わり、続いて、処理は図2中のステップS8へ移行する。
図2中のステップS8において、識別性判定部16は、上記識別性判定値設定処理で設定した識別性判定値が識別性基準値以上であるか否かを判断する。そして、当該識別性判定値が識別性基準値以上である場合には(ステップS8:YES)、識別関数生成部17が、ステップS4およびS5の処理により各振幅値が相対振幅値に置き換えられ、記憶部3に記憶された100個のサンプルスペクトルデータのうち、異音成分を含む任意の例えば25個のサンプルスペクトルデータおよび異音成分を含まない任意の例えば25個のサンプルスペクトルデータを用い、異音成分を含むサンプルスペクトルデータと異音成分を含まないサンプルスペクトルデータとを識別する識別関数を生成し、生成した識別関数を記憶部3に記憶する(ステップS9)。識別関数生成部17は、例えばサポートベクタマシン等の学習モデルを用いてパターン認識を行い、上記識別関数を生成する。なお、サポートベクトルマシン及び識別関数については、例えば、特開2005−352997号公報に記載されている。
続いて、正解率算定部18が、ステップS4およびS5の処理により各振幅値が相対振幅値に置き換えられ、記憶部3に記憶された100個のサンプルスペクトルデータのうち、異音成分を含む残りの25個のサンプルスペクトルデータおよび異音成分を含まない残りの25個のサンプルスペクトルデータを用い、識別関数生成部17により生成された識別関数が異音成分を含むサンプルスペクトルデータと異音成分を含まないサンプルスペクトルデータとを正しく識別する確率である識別正解率を算定し、算定した識別正解率を記憶部3に記憶する(ステップS10)。具体的には、識別関数の生成には用いられなかった、異音成分を含む25個のサンプルスペクトルデータと異音成分を含まない25個のサンプルスペクトルデータを識別関数に順次入力し、識別関数の出力を順次取得し、識別関数の識別正解率を算定する。
一方、ステップS7の識別性判定値設定処理において設定された識別性判定値が識別性基準値以上でない場合には(ステップS8:NO)、ステップS9およびS10の処理がスキップされ、識別関数の生成・記憶も、識別正解率の算定・記憶も行われない。
続いて、記憶部3に記憶された、ブロック数nとして用いられる10個の数値と、倍率mとして用いられる10個の数値によって作ることができるブロック数nと倍率mとのすべての組合せにつき、ステップS3からステップS11に至るまでの処理を行ったか否かを加工パラメータ設定部13が判断する(ステップS11)。そして、ブロック数nと倍率mとのすべての組合せにつきステップS3からステップS11に至るまでの処理を行っていない場合には(ステップS11:NO)、加工パラメータ設定部13が、処理をステップS2に戻し、記憶部3に記憶された数値を用いてブロック数nまたは倍率mを変更する。続いて、第1のデータ加工部14、第2のデータ加工部15、識別性判定部16、識別関数生成部17および正解率算定部18が上述したようにステップS3〜S10の処理を行う(識別性判定値が識別性基準値以上でなかった場合には、第1のデータ加工部14、第2のデータ加工部15および識別性判定部16がステップS3〜S8の処理を行う)。
例えば、ブロック数nを10に固定し、倍率mを0.1、0.2、…、1.0の順序で逐一変更しながら、ステップS3からステップS11に至るまでの処理を10回行う。この間、100個のサンプルスペクトルデータに対してステップS4の処理をそれぞれ初めて行った直後に、その処理後の各サンプルスペクトルデータを記憶部3に記憶しておけば、それ以降、ステップS4の処理を省略することができる。続いて、同様の要領で、ブロック数nを20に固定し、倍率mを0.1、0.2、…、1.0の順序で逐一変更しながら、ステップS3からステップS11に至るまでの処理を10回行い、続いて、同様の要領で、ブロック数nを30に固定し、倍率mを0.1、0.2、…、1.0の順序で逐一変更しながら、ステップS3からステップS11に至るまでの処理を10回行う。このような手順に従った処理を、ブロック数nと倍率mとのすべての組合せにつきステップS3からステップS11に至るまでの処理が完了するまで繰り返し行う。
ブロック数nと倍率mとのすべての組合せにつきステップS3からステップS11に至るまでの処理を行うと、ステップS3からステップS8に至るまでの処理は100回行われる。しかしながら、ステップS9およびS10の処理が行われる回数は、通常、100回よりも少ない回数であると考えられる。この点につき、図8および図9を用いて具体的に説明する。図8中のテーブルT1は、ブロック数nと倍率mとの組合せを設定・変更しながら、100個のサンプルスペクトルデータについてステップS3〜S7の処理を100回行い、これにより得られた100個の識別性判定値をブロック数nおよび倍率mとそれぞれ対応づけて表した識別性判定値テーブルである。ここで、識別性基準値を例えば7に設定した場合、識別性判定値テーブルT1によると、識別性判定値が識別性基準値以上のブロック数nと倍率mの組合せは、次の5通りである。
ブロック数n=20、倍率m=0.3(識別性判定値=7)
ブロック数n=20、倍率m=0.8(識別性判定値=10)
ブロック数n=30、倍率m=0.4(識別性判定値=8)
ブロック数n=40、倍率m=0.6(識別性判定値=9)
ブロック数n=50、倍率m=0.4(識別性判定値=7)
この結果、ステップS3からステップS8に至るまでの処理が100回行われたのに対し、ステップS9の識別関数の生成・記憶と、ステップS10の識別正解率の算定・記憶の処理が行われたのはわずかに5回である。そして、この結果、記憶部3に記憶された識別関数および識別正解率はそれぞれ5個である。このように、識別性判定を行うことにより、識別関数の生成および識別正解率の算定が行われる回数が減る。識別関数の生成および識別正解率の算定は比較的大規模な処理であるため、これらの処理の回数が減れば、識別条件の選定処理時間が短くなり、また、異音判定装置1の処理負担が軽減される。
また、図9のテーブルT2は、識別性判定値が識別性基準値以上である、ブロック数nと倍率mとの5通りの組合せにそれぞれ対応する識別関数の識別正解率を、ブロック数nおよび倍率mとそれぞれ対応づけて表した識別正解率テーブルである。識別性判定値が識別性基準値以上である場合、識別正解率が比較的高い。識別性判定値が3程度であると、識別正解率が100%から離れており、例えば50%を下回ることがある(図示せず)。しかしながら、識別性判定値が7〜8程度である場合、識別正解率は100%に接近し、例えば90%前後であり、識別性判定値が9〜10程度である場合には、識別正解率は100%に一層接近し、例えば95%〜99%となる。なお、異音判定装置1において、識別正解率は、図9に示す識別正解率テーブルを形成するように記憶部3に記憶される。また、各識別正解率と識別関数との対応関係を示す情報が形成され、当該情報が記憶部3に記憶される。
ブロック数nと倍率mとのすべての組合せにつきステップS3からステップS11に至るまでの処理を完了した場合には(ステップS11:YES)、続いて、識別条件選定部19が、識別関数生成部17により生成された複数の識別関数のうち識別正解率が最も高い識別関数、当該識別関数を算定する際に設定されたブロック数n、および当該識別関数を算定する際に設定された倍率mを識別条件として選定する。ここで、識別関数を算定する際に設定される振幅範囲の上限値は、上述したように、個々のサンプルスペクトルデータの最大振幅値Amaxに倍率mを乗じることにより決定されるので、倍率mは、振幅範囲の上限値に対応する値であり、いわば当該振幅範囲の上限値を相対的に表現する値である。
例えば、図9に示す識別正解率テーブルT2によれば、識別正解率が99%の識別関数が識別正解率の最も高い識別関数であり、その識別関数を算定する際に設定されたブロック数nは20であり、倍率mは0.8である。したがって、識別正解率が99%の識別関数、20および0.8が識別条件として選定される。続いて、識別条件選定部19は、識別条件として選定した識別関数、ブロック数nおよび倍率mを、選定識別関数F、選定ブロック数Pnおよび選定倍率Pmとして記憶部3に記憶する(ステップS12)。
以上説明した通り、本発明の実施形態による異音判定装置1の音識別条件選定機能によれば、高精度な異音判定を可能にする識別条件、すなわち識別関数および加工パラメータ(ブロック数nおよび倍率m)を選定することができる。すなわち、図2中のステップS4の処理により、細かい周波数成分が除去された程度の異なる複数のグループのサンプルスペクトルデータを生成する。また、図2中のステップS5の処理により、比較的小さい振幅を有する周波数成分の特徴を容易かつ高精度に抽出可能なサンプルスペクトルデータのグループ、比較的中くらいの振幅を有する周波数成分の特徴を容易かつ高精度に抽出可能なサンプルスペクトルデータのグループ、および比較的大きい振幅を有する周波数成分の特徴を容易かつ高精度に抽出可能なサンプルスペクトルデータのグループを生成する。そして、このように様々な態様に加工されたサンプルスペクトルデータのグループを用いて、複数の識別関数を生成し、各識別関数の識別正解率を算定し、最も識別正解率の高い識別関数と、この識別関数の算定の際に設定された加工パラメータ(ブロック数nおよび倍率m)を選定する。したがって、異音の特性に一定の傾向がなく、予想が付きにくい場合でも、あるいは異音の発生が不連続であり、または発生頻度が低い場合でも、さらには異音の背景の音が定常でない場合でも、異音成分の有無を高精度に判定することができる識別関数および加工パラメータを選定することができる。
また、サンプルスペクトルデータを様々な態様に加工する処理、識別関数の生成、および識別正解率の最も高い識別関数とその識別関数の算定の際に設定された加工パラメータの選定を自動的に行うことができるので、作業者個人の経験やスキルに依存せず、かつ少ない労力で、高精度な異音判定を可能にする識別関数および加工パラメータを選定することができる。
さらに、識別性判定(図2中のステップS7、または図6)を行うことで、様々な加工パラメータにより加工された複数のサンプルスペクトルデータのグループの中から、識別正解率の高い識別関数が生成される可能性が高いと推測されるサンプルスペクトルデータのグループを選別することができ、選別されたサンプルスペクトルデータのグループのみを用いて識別関数を生成するので、識別関数の生成処理回数を減らし、識別関数および加工パラメータの選定を効率よく、短時間で行うことができる。
(異音判定機能に関する動作)
図10は、異音判定機能に関する異音判定装置1の動作を示している。図10において、作業者は、被判定音データ中の異音の有無を判定するために、被判定音データを異音判定装置1に入力する。具体的には、作業者は、被判定音データが記憶された録音機を例えばUSBケーブルを介して異音判定装置1に接続する。これにより、録音機が異音判定装置1のデータ入力部4としてのUSB通信インタフェース回路に接続される。これに応じ、異音判定装置1のCPU2は、録音機と自動的に通信を行う。これにより、被判定音データが録音機から異音判定装置1のデータ入力部4に入力され、異音判定装置1の記憶部3に記憶される。
続いて、作業者は、ユーザインタフェース5としてのキーボード等を操作し、被判定音データに対して異音判定を行うべき旨の指示を異音判定装置1に入力する。これに応じ、異音判定部20が、被判定音データから1周期分の音データを抽出する位置である抽出位置を、被判定音データの先頭に設定する(ステップS41)。続いて、データ変換部11が、被判定音データの当該抽出位置から1周期分の音データを抽出する(ステップS42)。続いて、データ変換部11が、抽出した音データを被判定スペクトルデータに変換する(ステップS43)。
続いて、異音判定部20が、音識別条件選定機能により識別条件として選定されて記憶部3に記憶された加工パラメータ、具体的には、選定ブロック数Pnおよび選定倍率Pmを読み出す(ステップS44)。
続いて、第1のデータ加工部14が、ステップS44で読み出された選定ブロック数Pnを用いて被判定スペクトルデータを加工する。すなわち、第1のデータ加工部14は、被判定スペクトルデータにおける所定の周波数範囲を、選定ブロック数Pnが示す個数のブロックに分割し、各ブロックにおける振幅の平均値である振幅平均値を算定する(ステップS45)。
続いて、第2のデータ加工部15が、ステップS44で読み出された倍率Pmを用いて、被判定スペクトルデータをさらに加工する。すなわち、第2のデータ加工部15は、第1のデータ加工部14によりブロック毎に振幅平均値が算定された被判定スペクトルデータに対し、下限値が0であり、上限値がサンプルスペクトルデータの最大振幅値Amaxに選定倍率Pmを乗じた値である振幅範囲を設定する。続いて、第2のデータ加工部15は、上述した相対振幅値算定処理を行い、被判定スペクトルデータの各振幅平均値に対応する相対振幅値を算定する(ステップS46)。そして、第2のデータ加工部15は被判定スペクトルデータの各振幅平均値を相対振幅値に置き換える。
続いて、異音判定部20が、音識別条件選定機能により識別条件として選定されて記憶部3に記憶された選定識別関数Fを読み出す(ステップS47)。続いて、異音判定部20は、第2のデータ加工部15により各振幅平均値が相対振幅値に置き換えられた被判定スペクトルデータを、読み出した選定識別関数Fに入力し、被判定スペクトルデータに異音成分が含まれているか否かを判定する(ステップS48)。続いて、異音判定部20は、判定結果を、ステップS41で被判定音データから1周期分の音データを抽出した抽出位置を示す情報(例えば被判定音データの先頭から当該抽出位置までの再生時間)と共に、記憶部3に記憶する。また、異音判定部20は、異音の存在が判定されたとき、異音が存在することを示す情報を、抽出位置を示す情報と共に例えば液晶ディスプレイに表示する(ステップS49)。
続いて、異音判定部20は、1周期分の音データを被判定音データの最後まで抽出し終えたか否かを判断する(ステップS50)。1周期分の音データを被判定音データの最後まで抽出し終えていない場合には(ステップS50:NO)、異音判定部20は、処理をステップS41に戻し、被判定音データにおいて抽出位置を所定の時間間隔移動させ、データ変換部11、第1のデータ加工部14および第2のデータ加工部15と協働し、ステップS42〜S49の処理を再び行う。一方、1周期分の音データを被判定音データの最後まで抽出し終えたとき(ステップS50:YES)、異音判定機能に関する動作は終了する。
このような異音判定装置1の異音判定機能は、作業者に次のような利益をもたらす。すなわち、上述したように、鉄塔や送電線等に風が当たることにより発生する異音は、発生が不連続であり、発生の頻度が少ない場合があるため、作業者は、異音の有無を判定するために、鉄塔や送電線等の周囲の音を長時間録音する必要がある。そして、従来、作業者は、このように長時間録音された音データを耳で聞き、異音の有無を確認するといった作業を行っていた。この作業は、音を聞くという単純な行為を長時間連続的に強いられるため、忍耐力を有するきつい作業であった。
しかしながら、異音判定装置1の異音判定機能によれば、作業者は、鉄塔や送電線等の周囲の音を長時間録音した音データを被判定音データとして異音判定装置1に入力し、異音判定を行う旨の指示を異音判定装置1に入力すれば、異音判定装置1により異音の有無が自動的に判定され、その結果が液晶ディスプレイに表示される。異音判定装置1によれば、作業者は、録音した音データを聞き続ける場合と比較して、異音の有無を大幅に短時間で知ることができ、忍耐力は特に必要とされない。また、異音判定装置1による異音判定は自動的に行われるので、異音判定装置1が異音判定を行っている間、作業者は別の作業を行うことができる。
なお、上記実施形態において、識別性判定値設定処理により最終的に得られる識別性判定値が実質的に変わらなければ、図6に示す識別性判定値設定処理のステップの順番が異なってもよい。例えば、次のような順番でもよい。なお、図示は省略する。まず、100個のサンプルスペクトルデータの中から、異音成分を含む任意の1のサンプルスペクトルデータと、異音成分を含まない任意の1つのサンプルスペクトルデータとを選択する(ステップS61)。続いて、選択された異音成分を含む1つのサンプルスペクトルデータについて各振幅増加値を算定してから、負の値である振幅増加値を0に変更する(ステップS62)。続いて、選択された異音成分を含まない1つのサンプルスペクトルデータについて各振幅増加値を算定してから、負の値である振幅増加値を0に変更し、さらに、選択された異音成分を含まない1つのサンプルスペクトルデータのブロックのうち、選択された異音成分を含む1つのサンプルスペクトルデータにおける振幅増加値が0であるブロックに対応するブロックにつき振幅増加値を0に変更する(ステップS63)。続いて、ステップS62の処理が施された、選択された異音成分を含む1つのサンプルスペクトルデータの振幅増加値から、ステップS63の処理が施された、選択された異音成分を含まない1つのサンプルスペクトルデータの振幅増加値をブロック毎に引く(ステップS64)。続いて、ステップS64の処理が施された、選択された異音成分を含む1つのサンプルスペクトルデータの振幅増加値をすべて足し合わせ、これにより得られた値を識別性判定値とする(ステップS65)。ステップS61〜S65の処理を、残りの98個(49組)のサンプルスペクトルデータに対しても行い、これにより、50個の識別性判定値を算出する(ステップS66)。続いて、これら50個の識別判定値の平均値を算出する(ステップS67)。そして、図2中のステップS8では、ステップS67で算出した識別判定値の平均値が所定の識別性基準値以上であるか否かを判断する。
また、上記実施形態では、ブロック毎に振幅平均値が算定されたスペクトルデータに対して振幅範囲を設定するに当たり、振幅範囲の上限値を、スペクトルデータの最大振幅値に倍率m(または選定倍率Pm)を乗じた値にする場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。当該振幅範囲の上限値の値を、スペクトルデータの最大振幅値以下の値となるように、他の方法により決定してもよい。また、スペクトルデータの最大振幅値以下の値となるような絶対的な値を複数定めておき、それらの値を振幅範囲の上限値として選択的に用いてもよい。
また、上記実施形態では、識別関数生成部17において識別関数を生成する学習モデルとしてサポートベクタマシンを用いる場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。例えばニューラルネットワーク等の他の学習モデルを用いてもよい。
また、上記実施形態では、音の周波数スペクトルを用いて異音判定を行い、例えば、ウェブレット変換による時間ー周波数平面上の信号のスペクトルを用いて異音判定を行ってもよい。
また、上記実施形態では、図2中のステップS9において生成された複数の識別関数の中から、識別正解率が最も高い識別関数を選択し、その識別関数と当該識別関数の生成の際に設定されたブロック数nおよび倍率mを識別条件として選定する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。図2中のステップS7において設定された複数の識別性判定値の中から、最も大きい識別性判定値を選択し、当該選択された識別性判定値が得られたサンプルスペクトルデータを用いて生成された識別関数と当該識別関数の生成の際に設定されたブロック数nおよび倍率mを識別条件として選定してもよい。
また、上記各実施形態では、本発明の異音判定装置1をパーソナルコンピュータ等により実現する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らず、図1に示す構成要素を搭載した専用の装置として実現してもよい。例えば、図1に示す構成要素を小型の筐体に収容し、さらに、周囲の音を録音することができるマイクや、マイクから入力された音をデジタル化するアナログーデジタル変換回路等を組み込み、屋外で異音判定を行うことができる装置としてもよい。
また、上記各実施形態では、音識別条件選定機能と異音判定機能とを有する異音判定装置1を例にあげたが、本発明はこれに限らない。本発明を、音識別条件選定機能のみを備えた音識別条件選定装置として具現化してもよい。また、本発明を、第1のデータ加工部15、第2のデータ加工部16、識別性判定部17および識別関数生成部17を備えた識別関数生成装置として具現化してもよい。
また、本発明の実施形態による異音判定装置1は、鉄塔や送電線等に風が当たることにより発生する異音の判定だけでなく、機械装置や機械設備の故障診断等にも用いることができる。特に、異音判定装置1は、発生が不連続な異音、発生頻度が低い異音、または周波数特性等が予測困難な異音の検出ないし判定に効果を発揮する。
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う音識別条件選定装置および識別関数生成装置もまた本発明の技術思想に含まれる。
1 異音判定装置
2 CPU
3 記憶部
12 音識別条件選定部(音識別条件選定装置)
13 加工パラメータ設定部(加工パラメータ設定手段)
14 第1のデータ加工部(第1のデータ加工手段)
15 第2のデータ加工部(第2のデータ加工手段)
16 識別性判定部(識別性判定値設定手段、識別性判定手段)
17 識別関数生成部(識別関数生成手段)
18 正解率算定部(正解率算定手段)
19 識別条件選定部(識別条件選定手段)

Claims (7)

  1. 異音を含む音と異音を含まない音とを識別するための識別条件を選定する音識別条件選定装置であって、
    異音を含むサンプル音データの周波数スペクトルを示すサンプルスペクトルデータ、および異音を含まないサンプル音データの周波数スペクトルを示すサンプルスペクトルデータを受け取り、当該各サンプルスペクトルデータにおける所定の周波数範囲を任意のブロック数のブロックに分割し、当該各ブロックにおける振幅の平均値である振幅平均値を算定する第1のデータ加工手段と、
    前記第1のデータ加工手段により前記ブロック毎に前記振幅平均値が算定された各サンプルスペクトルデータにおいて、互いに隣り合う一対のブロックのうち、周波数の高いブロックの振幅平均値が周波数の低いブロックの振幅平均値よりも大きいときには、周波数の高いブロックの振幅平均値から周波数の低いブロックの振幅平均値を引いた値を算出し、当該値を振幅増加値として設定し、周波数の高いブロックの振幅平均値が周波数の低いブロックの振幅平均値よりも大きくないときには0を振幅増加値として設定する処理を、当該各サンプルスペクトルデータにおいて互いに隣り合う一対のブロックのそれぞれについて行い、さらに、前記異音を含まないサンプルスペクトルデータのブロックのうち、前記異音を含むサンプルスペクトルデータにおける振幅増加値が0であるブロックに対応するブロックについて、その振幅増加値を0に設定し、その後、前記異音を含むサンプルスペクトルデータの各ブロックの振幅増加値から当該ブロックに対応する前記異音を含まないサンプルスペクトルデータのブロックの振幅増加値を引く振幅増加値減算処理を行い、その後、前記振幅増加値減算処理が行われた、前記異音を含むサンプルスペクトルデータにおけるすべての振幅増加値をそれぞれ足し合わせ、その結果得られた値を識別性判定値として設定する識別性判定値設定手段と、
    異音を含む複数のサンプル音データのサンプルスペクトルデータおよび異音を含まない複数のサンプル音データのサンプルスペクトルデータについて前記第1のデータ加工手段および前記識別性判定値設定手段による処理を行い、当該処理により得られた複数の前記識別性判定値の平均値を算出し、当該平均値が所定の基準値以上か否かを判定する識別性判定手段と、
    前記識別性判定手段による判定の結果、前記複数の識別性判定値の平均値が前記基準値以上である場合には、前記異音を含む複数のサンプル音データのサンプルスペクトルデータのうちのいくつかサンプルスペクトルデータ、および前記異音を含まない複数のサンプル音データのサンプルスペクトルデータのうちのいくつかのサンプルスペクトルデータを用い、前記異音を含むサンプル音データと前記異音を含まないサンプル音データとを識別する識別関数を生成する識別関数生成手段と、
    前記識別性判定手段による判定の結果、前記複数の識別性判定値の平均値が前記基準値以上である場合には、前記異音を含む複数のサンプル音データのサンプルスペクトルデータのうちの他のいくつかサンプルスペクトルデータ、および前記異音を含まない複数のサンプル音データのサンプルスペクトルデータのうちの他のいくつかのサンプルスペクトルデータを用い、前記識別関数生成手段により生成された識別関数が前記異音を含むサンプル音データと前記異音を含まないサンプル音データとを正しく識別する確率である識別正解率を算定する正解率算定手段とを備えていることを特徴とする音識別条件選定装置。
  2. 前記第1のデータ加工手段によりブロック毎に振幅平均値が算定された前記各サンプルスペクトルデータに対し、下限値が0であり、上限値が0より大きくかつ前記各サンプルスペクトルデータの最大振幅値以下である振幅範囲を設定し、当該振幅範囲の上限値をRmaxとし、任意の実数をSとし、前記各振幅平均値をaとし、前記各振幅平均値に対応する相対振幅値をbとした場合に、
    a≧Rmaxのときにはb=S、
    a<Rmaxのときにはb=(a/Rmax)・S
    とする処理を行い、前記各振幅平均値に対応する相対振幅値を算定する第2のデータ加工手段を備え、
    前記識別性判定値設定手段は、前記第1のデータ加工手段および前記第2のデータ加工手段により各振幅値が前記相対振幅値に置き換えられた前記各サンプルスペクトルデータにおいて、互いに隣り合う一対のブロックのうち、周波数の高いブロックの相対振幅値が周波数の低いブロックの相対振幅値よりも大きいときには、周波数の高いブロックの相対振幅値から周波数の低いブロックの相対振幅値を引いた値を算出し、当該値を振幅増加値として設定し、周波数の高いブロックの相対振幅値が周波数の低いブロックの相対振幅値よりも大きくないときには0を振幅増加値として設定する処理を、当該各サンプルスペクトルデータにおいて互いに隣り合う一対のブロックのそれぞれについて行い、さらに、前記異音を含まないサンプルスペクトルデータのブロックのうち、前記異音を含むサンプルスペクトルデータにおける振幅増加値が0であるブロックに対応するブロックについて、その振幅増加値を0に設定し、その後、前記異音を含むサンプルスペクトルデータの各ブロックの振幅増加値から当該ブロックに対応する前記異音を含まないサンプルスペクトルデータのブロックの振幅増加値を引く振幅増加値減算処理を行い、その後、前記振幅増加値減算処理が行われた、前記異音を含むサンプルスペクトルデータにおけるすべての振幅増加値をそれぞれ足し合わせ、その結果得られた値を識別性判定値として設定することを特徴とする請求項1に記載の音識別条件選定装置。
  3. 前記ブロック数を設定または変更し、かつ前記振幅範囲の上限値を設定または変更する加工パラメータ設定手段と、
    加工パラメータ設定手段により前記ブロック数または前記振幅値の上限値が設定または変更される度に、前記第1のデータ加工手段、前記第2のデータ加工手段、前記識別性判定値設定手段、前記識別性判定手段、前記識別関数生成手段および前記正解率算定手段による処理を実行し、それらの結果前記識別関数生成手段により生成された複数の前記識別関数のうち前記識別正解率が最も高い識別関数、および当該識別関数を算定する際に設定された前記ブロック数と前記振幅範囲の上限値との組合せを前記識別条件として選定する識別条件選定手段とを備えていることを特徴とする請求項2に記載の音識別条件選定装置。
  4. 前記振幅範囲の上限値は、前記各サンプルスペクトルデータの最大振幅値に任意の倍率m(0<m≦1)を乗じた値であり、前記識別条件選定手段は、前記振幅範囲の上限値に代えて前記倍率mを前記識別条件の1つとして選定することを特徴とする請求項3に記載の音識別条件選定装置。
  5. 異音を含む音と異音を含まない音とを識別する識別関数を生成する識別関数生成装置であって、
    異音を含むサンプル音データの周波数スペクトルを示すサンプルスペクトルデータ、および異音を含まないサンプル音データの周波数スペクトルを示すサンプルスペクトルデータを受け取り、当該各サンプルスペクトルデータにおける所定の周波数範囲を任意のブロック数のブロックに分割し、当該各ブロックにおける振幅の平均値である振幅平均値を算定する第1のデータ加工手段と、
    前記第1のデータ加工手段により前記ブロック毎に前記振幅平均値が算定された各サンプルスペクトルデータにおいて、互いに隣り合う一対のブロックのうち、周波数の高いブロックの振幅平均値が周波数の低いブロックの振幅平均値よりも大きいときには、周波数の高いブロックの振幅平均値から周波数の低いブロックの振幅平均値を引いた値を算出し、当該値を振幅増加値として設定し、周波数の高いブロックの振幅平均値が周波数の低いブロックの振幅平均値よりも大きくないときには0を振幅増加値として設定する処理を、当該各サンプルスペクトルデータにおいて互いに隣り合う一対のブロックのそれぞれについて行い、さらに、前記異音を含まないサンプルスペクトルデータのブロックのうち、前記異音を含むサンプルスペクトルデータにおける振幅増加値が0であるブロックに対応するブロックについて、その振幅増加値を0に設定し、その後、前記異音を含むサンプルスペクトルデータの各ブロックの振幅増加値から当該ブロックに対応する前記異音を含まないサンプルスペクトルデータのブロックの振幅増加値を引く振幅増加値減算処理を行い、その後、前記振幅増加値減算処理が行われた、前記異音を含むサンプルスペクトルデータにおけるすべての振幅増加値をそれぞれ足し合わせ、その結果得られた値を識別性判定値として設定する識別性判定値設定手段と、
    異音を含む複数のサンプル音データのサンプルスペクトルデータおよび異音を含まない複数のサンプル音データのサンプルスペクトルデータについて前記第1のデータ加工手段および前記識別性判定値設定手段による処理を行い、当該処理により得られた複数の前記識別性判定値の平均値を算出し、当該平均値が所定の基準値以上か否かを判定する識別性判定手段と、
    前記識別性判定手段による判定の結果、前記複数の識別性判定値の平均値が前記基準値以上である場合には、前記異音を含む複数のサンプル音データのサンプルスペクトルデータおよび前記異音を含まない複数のサンプル音データのサンプルスペクトルデータを用い、前記異音を含む複数のサンプル音データと前記異音を含まない複数のサンプル音データとを識別する識別関数を生成する識別関数生成手段とを備えていることを特徴とする識別関数生成装置。
  6. 前記第1のデータ加工手段によりブロック毎に振幅平均値が算定された前記各サンプルスペクトルデータに対し、下限値が0であり、上限値が0より大きくかつ前記各サンプルスペクトルデータの最大振幅値以下である振幅範囲を設定し、当該振幅範囲の上限値をRmaxとし、任意の実数をSとし、前記各振幅平均値をaとし、前記各振幅平均値に対応する相対振幅値をbとした場合に、
    a≧Rmaxのときにはb=S、
    a<Rmaxのときにはb=(a/Rmax)・S
    とする処理を行い、前記各振幅平均値に対応する相対振幅値を算定する第2のデータ加工手段を備え、
    前記識別性判定値設定手段は、前記第1のデータ加工手段および前記第2のデータ加工手段により各振幅値が前記相対振幅値に置き換えられた前記各サンプルスペクトルデータにおいて、互いに隣り合う一対のブロックのうち、周波数の高いブロックの相対振幅値が周波数の低いブロックの相対振幅値よりも大きいときには、周波数の高いブロックの相対振幅値から周波数の低いブロックの相対振幅値を引いた値を算出し、当該値を振幅増加値として設定し、周波数の高いブロックの相対振幅値が周波数の低いブロックの相対振幅値よりも大きくないときには0を振幅増加値として設定する処理を、当該各サンプルスペクトルデータにおいて互いに隣り合う一対のブロックのそれぞれについて行い、さらに、前記異音を含まないサンプルスペクトルデータのブロックのうち、前記異音を含むサンプルスペクトルデータにおける振幅増加値が0であるブロックに対応するブロックについて、その振幅増加値を0に設定し、その後、前記異音を含むサンプルスペクトルデータの各ブロックの振幅増加値から当該ブロックに対応する前記異音を含まないサンプルスペクトルデータのブロックの振幅増加値を引く振幅増加値減算処理を行い、その後、前記振幅増加値減算処理が行われた、前記異音を含むサンプルスペクトルデータにおけるすべての振幅増加値をそれぞれ足し合わせ、その結果得られた値を識別性判定値として設定することを特徴とする請求項5に記載の識別関数生成装置。
  7. 前記振幅範囲の上限値は、前記各サンプルスペクトルデータの最大振幅値に任意の倍率m(0<m≦1)を乗じた値であることを特徴とする請求項6に記載の識別関数生成装置。
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