JP5579884B2 - 音識別条件選定装置および異音判定装置 - Google Patents

音識別条件選定装置および異音判定装置 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、採取した音に異音が含まれているか否かの判定に用いられる音識別条件選定装置および異音判定装置に関する。
例えば、鉄塔、送電線等から異音が発せられ、その異音が騒音となることがある。このような異音発生の事実を確認した場合、電力会社は、異音の発生原因を突き止め、異音の発生原因を除去する。異音の発生原因を突き止める際、または異音の発生原因の除去により異音が発生しなくなったことを確認する際、電力会社の作業者は、鉄塔や送電線の周囲の音を採取し、採取した音に異音が含まれるか否かを判定する作業を行う。
また、機械装置や機械設備から発生する異音により、機械装置や機械設備の故障を診断する方法が知られている。このような診断方法を用いて診断を行う作業者は、機械装置または機械設備から発せられる音を採取し、採取した音に異音が含まれるか否かを判定する作業を行う。
また、下記の特許文献1には、機械設備の近傍に設置して当該機械設備の異音を検知する異音検知装置が記載されている。この異音検知装置は、集音センサで集音された集音信号を複数の周波数帯に分離し、各周波数帯の信号を所定期間にわたって計測して各周波数帯の信号の定常レベルを計算し、これを基準として設定し、さらに、各周波数帯の基準値に基づいて各周波数帯の許容範囲を決定し、各周波数帯の信号をそれに対応する周波数帯の許容範囲と比較し、いずれかの周波数帯の信号が許容範囲を越えたとき異音発生と判定するものである。
また、下記の特許文献2には、コンベヤ等に使用されるローラ等の回転機械の異常音を診断する回転機械異常音診断処理手法が記載されている。この手法は、携帯型診断装置のマイクロホンで、コンベア等に沿って回転機械音を採取し、その採取した回転機械音の生波形を、所定時間毎に周波数と音圧レベルの時系列スペクトルに分解すると共に異音成分を抽出し、その異音成分から計測異音スペクトルパターンを作成し、他方、予め異音出現頻度と登録異音タイプをパターン化したグループ選別データを作成し、上記計測異音スペクトルパターンとグループ選別データとのパターンマッチングを行って異常音を診断するものである。
特開2008−76246号公報 特開2002−107223号公報
ところで、鉄塔、送電線等に風が当たり、これが原因して異音が発生することがある。このような風による異音においては、その大きさおよび周波数が、風の強さ、風向き、地形等によってまちまちであり、一定の傾向がなく、予想が付かない。また、風の強さや風向きは頻繁に変化するため、異音の発生は不連続である。このため、風による異音は、機械装置等の故障時に発生する異音と比較して特定が難しい。
また、鉄塔や送電線等の付近では、工場から発せられる音や、自動車の音、人の話し声等、様々な大きさや周波数を有する不連続な音が発生している。風による異音は、時にはこのような様々な音と重なり合い、時にはこのような様々な音の狭間に発生する。すなわち、風による異音の背景の音は定常ではない。このため、風による異音は、機械装置等の故障時に発生する異音と比較して識別が難しい。この点を考慮すると、上記特許文献1に記載された異音検知装置は、各周波数帯の信号の定常レベルを計算し、これを基準として異音の発生を検知するため、風による異音を判定する手法として採用することは困難であると考えられる。
また、風による異音の発生やその時期は予想が付かない。多くの場合、鉄塔や送電線の周囲の住民からの風騒音に関する苦情は突然告げられる。そして、住民から風騒音に関する苦情を告げられたときには、電力会社は、風騒音の原因である異音を直ちに特定し、その異音の発生原因を迅速に突き止め、異音を除去する措置を素速く講じなければならない。このため、異音の特徴を特定し、パターン認識を行うための異音パターンを作成するといった、異音判定の準備作業に費やすことが許される期間は、機械装置等の故障診断のための異音判定の準備作業に費やすことが許される期間と比較して短い場合が多い。この点を考慮すると、上記特許文献2に記載された回転機械異常音診断処理手法は、異音出現頻度と登録異音タイプをパターン化したグループ選別データの作成に長時間を要する可能性があるため、風による異音を判定する手法として採用することは困難である。
このような事情もあって、現在、風による異音を判定する作業は、作業者が耳で異音を聞き取る方法や、異音を含む音と異音を含まない音の波形または周波数スペクトルをパーソナルコンピュータのモニタに表示させ、波形または周波数スペクトルを目で見て比較する方法等により行われている。
しかしながら、このような方法では、異音判定が不正確になるおそれがあり、また、異音判定が特定の作業者個人の経験やスキルに依存し、作業者の異動や退職により異音判定作業に支障が生じることがあり、さらに、異音判定作業に多大な労力を要するという問題がある。
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、個人の経験やスキルに依存せず、または少ない労力で、異音の有無を正確に判定することを可能にする音識別条件選定装置および異音判定装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の第1の音識別条件選定装置は、異音を含む音と異音を含まない音とを識別するための識別条件を選定する音識別条件選定装置であって、異音を含む複数のサンプル音データおよび異音を含まない複数のサンプル音データの周波数スペクトルをそれぞれ示す複数のサンプルスペクトルデータを受け取り、当該各サンプルスペクトルデータにおける所定の周波数範囲を任意のブロック数のブロックに分割し、各ブロックにおける振幅の平均値である振幅平均値を算定する第1のデータ加工手段と、前記第1のデータ加工手段によりブロック毎に振幅平均値が算定された前記複数のサンプルスペクトルデータのうち、異音成分(前記異音に対応する成分)を含むいくつかのサンプルスペクトルデータおよび異音成分を含まないいくつかのサンプルスペクトルデータを用い、異音成分を含むサンプルスペクトルデータと異音成分を含まないサンプルスペクトルデータとを識別する識別関数を生成する識別関数生成手段と、前記第1のデータ加工手段によりブロック毎に振幅平均値が算定された前記複数のサンプルスペクトルデータのうち、異音成分を含む他のいくつかのサンプルスペクトルデータおよび異音成分を含まない他のいくつかのサンプルスペクトルデータを用い、前記識別関数生成手段により生成された識別関数が異音成分を含むサンプルスペクトルデータと異音成分を含まないサンプルスペクトルデータとを正しく識別する確率である識別正解率を算定する正解率算定手段とを備えていることを特徴とする。
また、本発明の第2の音識別条件選定装置は、上述した本発明の第1の音識別条件選定装置において、前記ブロック数を設定または変更する加工パラメータ設定手段と、前記加工パラメータ設定手段により前記ブロック数が設定または変更される度に、前記第1のデータ加工手段、前記識別関数生成手段および前記正解率算定手段による処理を実行し、それらの結果前記識別関数生成手段により生成された複数の前記識別関数のうち前記識別正解率が最も高い識別関数、および当該識別関数を算定する際に設定された前記ブロック数を前記識別条件として選定する識別条件選定手段とを備えていることを特徴とする。
また、本発明の第3の音識別条件選定装置は、上述した本発明の第1の音識別条件選定装置において、前記第1のデータ加工手段によりブロック毎に振幅平均値が算定された前記各サンプルスペクトルデータに対し、下限値が0であり、上限値が0より大きくかつ前記各サンプルスペクトルデータの最大振幅値以下である振幅範囲を設定し、当該振幅範囲の上限値をRmaxとし、任意の実数をSとし、前記各振幅平均値をaとし、前記各振幅平均値に対応する相対振幅値をbとした場合に、
a≧Rmaxのときにはb=S、
a<Rmaxのときにはb=(a/Rmax)・S
とする処理を行い、前記各振幅平均値に対応する相対振幅値を算定する第2のデータ加工手段とを備え、前記識別関数設定手段は、前記第1のデータ加工手段および前記第2のデータ加工手段により各振幅値が前記相対振幅値に置き換えられた前記複数のサンプルスペクトルデータのうち、異音成分を含むいくつかのサンプルスペクトルデータおよび異音成分を含まないいくつかのサンプルスペクトルデータを用い、前記識別関数を生成し、前記正解率判断手段は、前記第1のデータ加工手段および前記第2のデータ加工手段により各振幅値が前記相対振幅値に置き換えられた複数のサンプルスペクトルデータのうち、異音成分を含む他のいくつかのサンプルスペクトルデータおよび異音成分を含まない他のいくつかのサンプルスペクトルデータを用い、前記識別正解率を算定することを特徴とする。
また、本発明の第4の音識別条件選定装置は、上述した本発明の第3の音識別条件選定装置において、前記ブロック数を設定または変更し、かつ前記振幅範囲の上限値を設定または変更する加工パラメータ設定手段と、加工パラメータ設定手段により前記ブロック数または前記振幅範囲の上限値が設定または変更される度に、前記第1のデータ加工手段、前記第2のデータ加工手段、前記識別関数生成手段および前記正解率算定手段による処理を実行し、それらの結果前記識別関数生成手段により生成された複数の前記識別関数のうち前記識別正解率が最も高い識別関数、および当該識別関数を算定する際に設定された前記ブロック数と前記振幅範囲の上限値との組合せを前記識別条件として選定する識別条件選定手段とを備えていることを特徴とする。
また、本発明の第5の音識別条件選定装置は、上述した本発明の第3または第4の音識別条件選定装置において、前記振幅範囲の上限値は、前記各サンプルスペクトルデータの最大振幅値に任意の値m(0<m≦1)を乗じた値であることを特徴とする。
上記課題を解決するために、本発明の第6の音識別条件選定装置は、異音を含む音と異音を含まない音とを識別するための識別条件を選定する音識別条件選定装置であって、異音を含む複数のサンプル音データおよび異音を含まない複数のサンプル音データの波形をそれぞれ示す複数のサンプル波形データを受け取り、当該各サンプル波形データにおける所定の時間範囲を任意のブロック数のブロックに分割し、各ブロックにおける振幅の平均値である振幅平均値を算定するデータ加工手段と、前記データ加工手段によりブロック毎に振幅平均値が算定された前記複数のサンプル波形データのうち、異音成分を含むいくつかのサンプル波形データおよび異音成分を含まないいくつかのサンプル波形データを用い、異音成分を含むサンプル波形データと異音成分を含まないサンプル波形データとを識別する識別関数を生成する識別関数生成手段と、前記データ加工手段によりブロック毎に振幅平均値が算定された前記複数のサンプル波形データのうち、異音成分を含む他のいくつかのサンプル波形データおよび異音成分を含まない他のいくつかのサンプル波形データを用い、前記識別関数生成手段により生成された識別関数が異音成分を含むサンプル波形データと異音成分を含まないサンプル波形データとを正しく識別する確率である識別正解率を算定する正解率算定手段とを備えていることを特徴とする。
また、本発明の第7の音識別条件選定装置は、上述した本発明の第6の音識別条件選定装置において、前記ブロック数を設定または変更する加工パラメータ設定手段と、前記加工パラメータ設定手段により前記ブロック数が設定または変更される度に、前記データ加工手段、前記識別関数生成手段および前記正解率算定手段による処理を実行し、それらの結果前記識別関数生成手段により生成された複数の前記識別関数のうち前記識別正解率が最も高い識別関数、および当該識別関数を算定する際に設定された前記ブロック数を前記識別条件として選定する識別条件選定手段とを備えていることを特徴とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の異音判定装置は、被判定音データ中の異音の有無を判定する異音判定装置であって、上述した本発明の第2の音識別条件選定装置と、入力された被判定音データをその周波数スペクトルを示す被判定スペクトルデータに変換する変換手段と、前記変換手段により変換された被判定スペクトルデータにおける所定の周波数範囲を、前記音識別条件選定装置により選定された前記ブロック数のブロックに分割し、各ブロックにおける振幅の平均値である振幅平均値を算定する第1の被判定データ加工手段と、前記第1の被判定データ加工手段によりブロック毎に振幅平均値が算定された前記被判定スペクトルデータを、前記音識別条件選定装置により選定された前記識別関数に入力し、当該被判定スペクトルデータに異音成分が含まれているか否かを判定する異音判定手段とを備えていることを特徴とする。
上記課題を解決するために、本発明の第2の異音判定装置は、被判定音データ中の異音の有無を判定する異音判定装置であって、上述した本発明の第4の音識別条件選定装置と、入力された被判定音データをその周波数スペクトルを示す被判定スペクトルデータに変換する変換手段と、前記変換手段により変換された被判定スペクトルデータにおける所定の周波数範囲を、前記音識別条件選定装置により選定された前記ブロック数のブロックに分割し、各ブロックにおける振幅の平均値である振幅平均値を算定する第1の被判定データ加工手段と、前記第1の被判定データ加工手段によりブロック毎に振幅平均値が算定された前記被判定スペクトルデータに対し、下限値が0であり、上限値が前記音識別条件選定装置により選定された上限値である振幅範囲を設定し、当該振幅範囲の上限値をRmaxとし、任意の実数をSとし、前記被判定スペクトルデータの各振幅平均値をaとし、当該各振幅平均値に対応する相対振幅値をbとした場合に、
a≧Rmaxのときにはb=S、
a<Rmaxのときにはb=(a/Rmax)・S
とする処理を行い、前記被判定スペクトルデータの各振幅平均値に対応する相対振幅値を算定する第2の被判定データ加工手段と、前記第1の被判定データ加工手段および前記第2の被判定データ加工手段により各振幅値が前記相対振幅値に置き換えられた前記被判定スペクトルデータを、前記音識別条件選定装置により選定された前記識別関数に入力し、当該被判定スペクトルデータに異音成分が含まれているか否かを判定する異音判定手段とを備えていることを特徴とする。
上記課題を解決するために、本発明の第3の異音判定装置は、被判定音データ中の異音の有無を判定する異音判定装置であって、上述した本発明の第7の音識別条件選定装置と、入力された被判定音データの波形を示す被判定波形データにおける所定の時間範囲を任意のブロック数のブロックに分割し、各ブロックにおける振幅の平均値である振幅平均値を算定する被判定データ加工手段と、前記被判定データ加工手段によりブロック毎に振幅平均値が算定された前記被判定波形データを、前記音識別条件選定装置により選定された前記識別関数に入力し、当該被判定波形データに異音成分が含まれているか否かを判定する異音判定手段とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、個人の経験やスキルに依存せず、または少ない労力で、異音の有無を正確に判定することが可能になる。
本発明の第1の実施形態による異音判定装置を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態による異音判定装置の音識別条件選定機能に関する動作を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施形態による異音判定装置におけるサンプルスペクトルデータを示す説明図である。 本発明の第1の実施形態による異音判定装置において、サンプルスペクトルデータをブロックに分割し、ブロック毎に振幅平均値を算定した状態を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態による異音判定装置において、サンプルスペクトルデータに振幅範囲を設定し、各振幅平均値に対応する相対振幅値を算定した状態を示す説明図である。 本発明の第1の実施形態による異音判定装置における識別正解率テーブルを示す説明図である。 本発明の第1の実施形態による異音判定装置の異音判定機能に関する動作を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態による異音判定装置を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態による異音判定装置の音識別条件選定機能に関する動作を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態による異音判定装置の異音判定機能に関する動作を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態による異音判定装置を示している。図1において、本発明の第1の実施形態による異音判定装置1は、被判定音データ中の異音の有無を判定する装置である。また、異音判定装置1に含まれる音識別条件選定部12は、本発明の音識別条件選定装置の実施形態に相当する。
(異音判定装置の機能)
異音判定装置1は、被判定音データ中の異音の有無を判定する機能である異音判定機能と、異音を含む音と異音を含まない音とを識別するための識別条件を選定する音識別条件選定機能とを有する。異音判定装置1では、まず、音識別条件選定機能により識別条件を選定した後、異音判定機能により被判定音データ中の異音の有無を判定する。異音判定機能が被判定音データ中の異音の有無を判定する際には、音識別条件選定機能により選定された識別条件が用いられる。
異音判定装置1の音識別条件選定機能による識別条件の選定は概ね次のように行われる。まず、作業者は、被判定音データに含まれる異音と同様の異音を含む複数(例えば50個)のサンプル音データと、被判定音データに含まれる異音を含まない複数(例えば50個)のサンプル音データを用意する。異音を含む複数のサンプル音データは、それぞれ異なる時点に採取(録音)されたものであり、音データの開始から終了まで常時異音が鳴り続けている比較的短い時間の音データある。異音を含まない複数のサンプル音データは、それぞれ異なる時点に採取(録音)されたものであり、音データの開始から終了まで常時異音が鳴っていない比較的短い時間の音データある。なお、異音を含むサンプル音データであるか、異音を含まないサンプル音データであるかは、作業者の耳で判断する。
続いて、作業者は、用意した合計100個のサンプル音データを異音判定装置1に入力し、識別条件の選定を行う旨の指示を異音判定装置1に入力する。これに応じ、異音判定装置1は、入力された各サンプル音データに含まれる任意の1周期分の音データをその周波数スペクトルを示すサンプルスペクトルデータに変換する。異音判定装置1は、変換した100個のサンプルスペクトルデータを記憶部3に記憶する。
異音判定装置1には、サンプルスペクトルデータを加工するのに用いられる複数の加工パラメータが予め記憶されている。異音判定装置1は、複数の加工パラメータの中から任意の加工パラメータを選択し、選択した加工パラメータを用いて、記憶部3に記憶された100個のサンプルスペクトルデータを加工する。このとき、異音判定装置1は、記憶部3に記憶された100個のサンプルスペクトルデータをそれぞれコピーし、コピーした100個のサンプルスペクトルデータを加工する。これにより、100個のサンプルスペクトルデータが加工された後も、加工前の100個のサンプルスペクトルデータが記憶部3に保持される。
続いて、異音判定装置1は、異音成分(異音に対応する周波数成分)を含む50個の加工されたサンプルスペクトルデータのうちの例えば半数(25個)のサンプルスペクトルデータ、および異音成分を含まない50個の加工されたサンプルスペクトルデータのうちの半数(25個)のサンプルスペクトルデータを用い、異音成分を含むサンプルスペクトルデータと異音成分を含まないサンプルスペクトルデータとを識別する識別関数を生成し、生成した識別関数を記憶部3に記憶する。
続いて、異音判定装置1は、異音成分を含む50個の加工されたサンプルスペクトルデータのうちの残り半数(25個)のサンプルスペクトルデータ、および異音成分を含まない50個の加工されたサンプルスペクトルデータのうちの残り半数(25個)のサンプルスペクトルデータを用い、上記識別関数が異音成分の有無を正しく判定する確率(識別正解率)を算定し、算定した識別正解率を記憶部3に記憶する。
続いて、異音判定装置1は、加工パラメータを変更し、加工パラメータを変更する度に、100個のサンプルスペクトルデータの加工、50個の加工したサンプルスペクトルデータを用いた識別関数の生成・記憶、および残りの50個の加工したサンプルスペクトルデータを用いた識別関数の識別正解率の算定・記憶を行う。加工パラメータは複数あるので、加工パラメータの設定および変更は複数回行われる。したがって、100個のサンプルスペクトルデータの加工、50個の加工したサンプルスペクトルデータを用いた識別関数の生成・記憶、および残りの50個の加工したサンプルスペクトルデータを用いた識別関数の識別正解率の算定・記憶の一連の処理が複数回行われ、この結果、複数の識別関数およびそれらに対応する複数の識別正解率が記憶部3に記憶される。
続いて、異音判定装置1は、複数の識別関数のうち、識別正解率が最も高い識別関数、および当該識別関数を算定する際に用いられた加工パラメータを識別条件として選定する。そして、異音判定装置1は、選定した識別条件を記憶部3に記憶する。
また、異音判定装置1の異音判定機能による異音判定は概ね次のように行われる。まず、作業者は、被判定音データを採取する。ここで、作業者は被判定音データを例えば次のように採取(録音)する。すなわち、鉄塔や送電線等に風が当たることにより発生する異音は、風の強さや風向きにより発生したり、発生しなかったりするため、発生が不連続であり、発生の頻度が少ない場合がある。このため、作業者は、鉄塔や送電線等の周囲に録音機を設置し、異音を録音できることが見込まれる時間(例えば96時間程度の長い時間)を録音時間とし、この録音時間が経過するまで録音機による録音を続ける。通常、録音機が録音を行っている間、作業者は録音機を録音中のまま放置し、昼間は別の作業を行い、夜間は帰宅する。そして、録音時間が経過したとき、作業者は、録音機の録音を停止する。録音された音データは録音機に内蔵されたハードディスク装置またはフラッシュメモリ等に記憶される。
続いて、作業者は、採取した被判定音データを異音判定装置1に入力し、異音判定を行う旨の指示を異音判定装置1に入力する。これに応じ、異音判定装置1は、入力された被判定音データの先頭から1周期分の音データを抽出し、抽出した音データをその周波数スペクトルを示す被判定スペクトルデータに変換する。
続いて、異音判定装置1は、識別条件として記憶部3に記憶されている加工パラメータを読み出し、読み出した加工パラメータを用いて被判定スペクトルデータを加工する。
続いて、異音判定装置1は、識別条件として記憶部3に記憶されている識別関数を読み出し、読み出した識別関数に、加工した被判定スペクトルデータを入力し、被判定スペクトルデータに異音成分が含まれているか否かを判定し、その判定結果を記憶部3に記憶すると共に、異音が存在していた場合には、その旨を例えば液晶ディスプレイに表示する。
異音判定装置1は、被判定音データから1周期分の音データを抽出してそれを被判定スペクトルデータに変換する処理、当該被判定スペクトルデータを加工する処理、当該加工した被判定スペクトルデータに異音成分が含まれているか否かを判定する処理、および判定結果を記憶・表示する処理を、被判定音データにおいて1周期分の音データを抽出する時間軸上の抽出位置を移動させながら繰り返し行う。
(異音判定装置の構成)
図1に示すように、異音判定装置1は、CPU(中央処理装置)2、記憶部3、データ入力部4およびユーザインタフェース5を備えている。異音判定装置1は例えばパーソナルコンピュータにより実現することができる。
データ入力部4は、作業者が音データを異音判定装置1に入力するための装置であり、例えば、USB(Universal Serial Bus)、LAN(ローカルエリアネットワーク)またはインターネットを利用した通信を実現するための通信インターフェイス回路、およびディスクドライブ装置等を備えている。ユーザインタフェース5は、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等の入力装置、および液晶ディスプレイ等の出力装置を備えている。記憶部3は、例えばハードディスク装置、またはフラッシュメモリ等である。CPU2は、記憶部3に記憶されたコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、データ変換部11、音識別条件選定部12、異音判定部20として機能する。また、音識別条件選定部12は、機能に応じ、加工パラメータ設定部13、第1のデータ加工部14、第2のデータ加工部15、識別関数生成部16、正解率算定部17および識別条件選定部18に分けられる。
(音識別条件選定機能に関する動作)
図2は、音識別条件選定機能に関する異音判定装置1の動作を示している。図2において、作業者は、異音を含む音と異音を含まない音とを識別するための識別条件を異音判定装置1に選定させるために、被判定音データに含まれる異音と同様の異音を含む例えば50個のサンプル音データと、被判定音データに含まれる異音が含まれていない例えば50個のサンプル音データを異音判定装置1に入力する。具体的には、作業者は、これら100個のサンプル音データが記録された記録ディスクを異音判定装置1のデータ入力部4としてのディスクドライブ装置に装着する。続いて、作業者は、ユーザインタフェース5としてのキーボード等を操作し、識別条件の選定を行う旨の指示を異音判定装置1に入力する。
これに応じ、異音判定装置1のデータ変換部11が、ディスクドライブ装置に装着された記録ディスクから100個のサンプル音データを読み出し、読み出した各サンプル音データから1周期分の音データを抽出し、抽出した音データをその周波数スペクトルを示すサンプルスペクトルデータにフーリエ変換し、変換した100個のサンプルスペクトルデータを記憶部3に記憶する(ステップS1)。
ここで、図3は、異音成分を含むサンプルスペクトルデータの一例を示している。図3中の二点鎖線D1で示した部分が異音成分である。
続いて、音識別条件選定部12の加工パラメータ設定部13が、加工パラメータ、具体的には、ブロック数nおよび倍率mの組合せを設定する(ステップS2)。すなわち、記憶部3には、ブロック数nとして用いられる数値が例えば10個予め記憶されている。ブロック数nとして用いられる数値は、例えば10、20、30、40、50、60、70、80、90、100である(図6参照)。また、記憶部3には、倍率mとして用いられる数値が例えば10個予め記憶されている。倍率mとして用いられる数値は、0より大きくかつ1以下の実数であり、例えば0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0である(図6参照)。加工パラメータ設定部13は、初回に設定するブロック数nと倍率mの組合せとして、例えば10と0.1を選択する。
続いて、第1のデータ加工部14が、記憶部3に記憶された100個のサンプルスペクトルデータのうちのいずれか1つのサンプルスペクトルデータを選択し、選択したサンプルスペクトルデータをコピーする(ステップS3)。続いて、第1のデータ加工部14は、コピーしたサンプルスペクトルデータにおける所定の周波数範囲を、ブロック数nが示す個数のブロックに分割し、各ブロックにおける振幅の平均値である振幅平均値を算定する(ステップS4)。上記所定の周波数範囲とは、識別関数の生成に必要な周波数範囲であり、例えば可聴周波数範囲である。また、ここで用いられるブロック数nは、ステップS2で設定されたブロック数nである。
ここで、図4は、ブロック数nとして50が設定されたときに第1のデータ加工部14によりサンプルスペクトルデータが加工される直前の状態(上段)と加工された直後の状態(下段)を示している。図4を見ればわかる通り、第1のデータ加工部14による加工によって、サンプルスペクトルデータから細かい周波数成分が除去される。また、図示していないが、ブロック数nとして10〜40といった比較的小さい数値が設定された場合には、第1のデータ加工部14による加工直後のサンプルスペクトルデータは、ブロック数nとして50が設定された場合と比較して、細かい周波数成分がより一層除去された状態となる。一方、ブロック数nとして60〜100といった比較的大きい数値が設定された場合には、第1のデータ加工部14による加工直後のサンプルスペクトルデータは、ブロック数nとして50が設定された場合と比較して、細かい周波数成分が除去されずに残存した状態となる。初回にブロック数nとして設定される数値は上述した通り例えば10であるので、第1のデータ加工部14による初回の加工直後のサンプルスペクトルデータは、細かい周波数成分が最も多く除去された状態となる。
続いて、第2のデータ加工部15が、第1のデータ加工部14によりブロック毎に振幅平均値が算定されたサンプルスペクトルデータに対し、下限値が0であり、上限値がサンプルスペクトルデータの最大振幅値Amaxに倍率mを乗じた値である振幅範囲を設定する。ここで用いられる倍率mは、ステップS2で設定された倍率mである。続いて、第2のデータ加工部15は、次に述べる相対振幅値算定処理を行い、サンプルスペクトルデータの各振幅平均値に対応する相対振幅値を算定する(ステップS5)。
すなわち、相対振幅値設定処理において、第2のデータ加工部15は、設定した振幅範囲の上限値をRmaxとし、任意の実数をSとし、サンプルスペクトルデータの各振幅平均値をaとし、当該各振幅平均値に対応する相対振幅値をbとした場合に、
a≧Rmaxのときにはb=S、
a<Rmaxのときにはb=(a/Rmax)・S
とする処理を行う。上記Sは例えば10であり、上記a/Rmaxの解は例えば小数点以下を切り捨てる。これにより、振幅平均値が、設定された振幅範囲の上限値以上である場合には、振幅平均値に対応する相対振幅値が10となり、振幅平均値が、設定された振幅範囲の上限値より小さい場合には、振幅平均値に対応する相対振幅値が、振幅平均値をその大きさに応じて9段階にレベル付けされた値となる。続いて、第2のデータ加工部15は、サンプルスペクトルデータの各振幅平均値をそれに対応する相対振幅値に置き換え、各振幅平均値を相対振幅値に置き換えたスペクトルサンプルデータを記憶部3に記憶する。
ここで、図5は、倍率mとして0.2が設定されたときに第2のデータ加工部15によりサンプルスペクトルデータが加工される直前の状態(上段)と加工された直後の状態(下段)を示している。図5中の上段の破線D2で示した領域が、下限値が0であり、上限値がサンプルスペクトルデータの最大振幅値Amaxに0.2を乗じた値である振幅範囲である。図5を見ればわかる通り、第2のデータ加工部15による加工によって、設定された振幅範囲に含まれる周波数成分が拡大され、その結果、サンプルスペクトルデータにおいて、振幅(パワー)が大きい周波数成分が飽和した状態となって、それらの特徴を容易に無視できるようになり、その一方で、振幅が小さい周波数成分の振幅が相対的に適度に大きくなり、その特徴を容易かつ高精度に抽出できるようになる。また、倍率mとして0.3〜0.5といった数値が設定された場合には、振幅範囲の上限値が縦軸の正方向に移動するため、振幅範囲が広くなり、その結果、サンプルスペクトルデータにおいて、中くらいの大きさの振幅を有する周波数成分の特徴を容易かつ高精度に抽出できるようになる。また、倍率mとして0.6〜1.0といった数値が設定された場合には、振幅範囲の上限値が縦軸の正方向にさらに移動するため、振幅範囲がさらに広くなり、その結果、サンプルスペクトルデータにおいて、大きい振幅を有する周波数成分の特徴を容易かつ高精度に抽出できるようになる。一方、初回に倍率mとして設定される数値は上述した通り例えば0.1であるので、振幅範囲が最も狭くなり、その結果、サンプルスペクトルデータにおいて、微少な振幅を有する周波数成分の特徴を容易かつ高精度に抽出できるようになる。
続いて、第2のデータ加工部15は、ステップS4およびS5の加工を、ステップS1において記憶部3に記憶した100個すべてのサンプルスペクトルデータに対して行ったか否かを判断する(ステップS6)。ステップS4およびS5の加工を、ステップS1において記憶部3に記憶した100個すべてのサンプルスペクトルデータに対して行っていない場合には(ステップS6:NO)、第2のデータ加工部15は、処理をステップS3に戻す。続いて、第1のデータ加工部14が、記憶部3に記憶された100個のサンプルスペクトルデータのうち、ステップS4およびS5の処理をまだ行っていない1つのサンプルスペクトルデータを選び、そのサンプルスペクトルデータをコピーし、コピーしたサンプルスペクトルデータに対し、ステップS4の処理を行い、続いて、第2のデータ加工部15がステップS5の処理を行う。
一方、ステップS6において、ステップS4およびS5の加工を、ステップS1において記憶部3に記憶した100個すべてのサンプルスペクトルデータに対して行った場合には(ステップS6:YES)、第2のデータ加工部15は、処理をステップS7へ移行させる。
続いて、識別関数生成部16が、第2のデータ加工部15により各振幅平均値が相対振幅値に置き換えられた100個のサンプルスペクトルデータのうち、異音成分を含む任意の例えば25個のサンプルスペクトルデータおよび異音成分を含まない任意の例えば25個のサンプルスペクトルデータを用い、異音成分を含むサンプルスペクトルデータと異音を含まないサンプルスペクトルデータとを識別する識別関数を生成し、生成した識別関数を記憶部3に記憶する(ステップS7)。識別関数生成部16は、例えばサポートベクターマシン等の学習モデルを用いてパターン認識を行い、上記識別関数を生成する。なお、サポートベクトルマシン及び識別関数については、例えば、特開2005−352997号公報に記載されている。
続いて、正解率算定部17が、第2のデータ加工部15により各振幅平均値が相対振幅値に置き換えられた100個のサンプルスペクトルデータのうち、異音成分を含む残りの25個のサンプルスペクトルデータおよび異音成分を含まない残りの25個のサンプルスペクトルデータを用い、識別関数生成部16により生成された識別関数が異音成分を含むサンプルスペクトルデータと異音成分を含まないサンプルスペクトルデータとを正しく識別する確率である識別正解率を算定し、算定した識別正解率を記憶部3に記憶する(ステップS8)。具体的には、識別関数の生成には用いられなかった、異音成分を含む25個のサンプルスペクトルデータと異音成分を含まない25個のサンプルスペクトルデータを識別関数に順次入力し、識別関数の出力を順次確認し、識別関数の識別正解率を算定する。
続いて、記憶部3に記憶された、ブロック数nとして用いられる10個の数値と、倍率mとして用いられる10個の数値によって作ることができるブロック数nと倍率mとのすべての組合せにつき、ステップS3〜S8の処理を行ったか否かを加工パラメータ設定部13が判断する(ステップS9)。そして、ブロック数nと倍率mとのすべての組合せにつきステップS3〜S8の処理を行っていない場合には(ステップS9:NO)、加工パラメータ設定部13が、処理をステップS2に戻し、記憶部3に記憶された数値を用いてブロック数nまたは倍率mを変更する。続いて、第1のデータ加工部14、第2のデータ加工部15、識別関数生成部16および正解率算定部17が、上述したようにステップS3〜S8の処理を行う。
例えば、ブロック数nを10に固定し、倍率mを0.1、0.2、…、1.0の順序で逐一変更しながら、ステップS3〜S8の処理を10回行う。この間、100個のサンプルスペクトルデータに対してステップS4の処理をそれぞれ初めて行った直後に、その処理後の各サンプルスペクトルデータを記憶部3に記憶しておけば、それ以降、ステップS4の処理を省略することができる。続いて、同様の要領で、ブロック数nを20に固定し、倍率mを0.1、0.2、…、1.0の順序で逐一変更しながら、ステップS3〜S8の処理を10回行い、続いて、同様の要領で、ブロック数nを30に固定し、倍率mを0.1、0.2、…、1.0の順序で逐一変更しながら、ステップS3〜S8の処理を10回行う。このような手順に従った処理を、ブロック数nと倍率mとのすべての組合せにつきステップS3〜S8の処理が完了するまで繰り返し行う。
ブロック数nと倍率mとのすべての組合せにつきステップS3〜S8の処理を行うと、ステップS3〜S8の処理は100回行われ、この結果、100個の識別関数と、それらに対応する100個の識別正解率が記憶部3に記憶されることとなる。ここで、図6は、100個の識別正解率をブロック数nおよび倍率mと対応づけて配列した識別正解率テーブルを示している。異音判定装置1において、識別正解率は、このようなテーブルを形成するように記憶部3に記憶される。また、各識別正解率と識別関数との対応関係を示す情報が形成され、当該情報が記憶部3に記憶される。
ブロック数nと倍率mとのすべての組合せにつきステップS3〜S8の処理を完了した場合には(ステップS9:YES)、続いて、識別条件選定部18が、識別関数生成部16により生成された100個の識別関数のうち識別正解率が最も高い識別関数、および当該識別関数を算定する際に設定されたブロック数nと倍率mとの組合せを識別条件として選定する。例えば、図6に示す識別正解率テーブルによれば、識別正解率が99%の識別関数が識別正解率の最も高い識別関数であり、その識別関数を算定する際に設定されたブロック数nは20であり、倍率mは0.8である。したがって、識別正解率が99%の識別関数、20および0.8が識別条件として選定される。ここで、識別関数を算定する際に設定される振幅範囲の上限値は、上述したように、個々のサンプルスペクトルデータの最大振幅値Amaxに倍率mを乗じることにより決定されるので、倍率mは、振幅範囲の上限値に対応する値であり、いわば当該振幅範囲の上限値を相対的に表現する値である。続いて、識別条件選定部18は、識別条件として選定した識別関数、ブロック数nおよび倍率mを、選定識別関数F、選定ブロック数Pnおよび選定倍率Pmとして記憶部3に記憶する(ステップS10)。
このように、異音判定装置1の音識別条件選定機能では、ステップS4の処理により、細かい周波数成分が除去された程度の異なる複数のグループのサンプルスペクトルデータを生成することができ、ステップS7の処理により、これら複数のグループのサンプルスペクトルデータを用いて複数の識別関数を生成し、ステップS8の処理により、これらの識別関数の中から最も識別正解率の高い識別関数を選び、かつこの識別関数の算定に用いられたブロック数nと倍率mの組合せを選ぶことができる。したがって、サンプルスペクトルデータに含まれる異音成分の周波数特性に一定の傾向がない場合でも、当該異音成分の有無を高精度に判定可能な識別関数を生成することができ、当該識別関数を用いた高精度な異音判定を可能にするためのスペクトルデータの加工パラメータ(ブロック数nと倍率mの組合せ)を特定することができる。
また、異音判定装置1の音識別条件選定機能では、第2のデータ加工部15によるステップS5の処理により、比較的小さい振幅を有する周波数成分の特徴を容易かつ高精度に抽出可能なサンプルスペクトルデータのグループ、比較的中くらいの振幅を有する周波数成分の特徴を容易かつ高精度に抽出可能なサンプルスペクトルデータのグループ、および比較的大きい振幅を有する周波数成分の特徴を容易かつ高精度に抽出可能なサンプルスペクトルデータのグループを生成することができ、ステップS7の処理により、これら複数のグループのサンプルスペクトルデータを用いて複数の識別関数を生成し、ステップS8の処理により、これらの識別関数の中から最も識別正解率の高い識別関数を選び、かつこの識別関数の算定に用いられたブロック数nと倍率mの組合せを選ぶことができる。したがって、サンプルスペクトルデータに含まれる異音成分の振幅の大きさに一定の傾向がない場合でも、当該異音成分の有無を高精度に判定可能な識別関数を生成することができ、当該識別関数を用いた高精度な異音判定を可能にするためのスペクトルデータの加工パラメータ(ブロック数nと倍率mの組合せ)を特定することができる。
また、異音判定装置1の音識別条件選定機能によれば、それぞれ異なる時点に採取(録音)された多数のサンプル音データを用いて学習を行い、識別関数を生成する。したがって、異音の背景の音が定常ではない場合でも、当該異音成分の有無を高精度に判定可能な識別関数を生成することができる。
また、異音判定装置1の音識別条件選定機能によれば、作業者が複数のサンプル音データを異音判定装置1に入力し、識別条件の選定を行う旨の指示を異音判定装置1に入力するだけで、異音成分の有無を高精度に判定可能な識別関数および加工パラメータを生成することができる。したがって、作業者は、少ない労力で、かつ短時間で、このような識別関数および加工パラメータを得ることができる。また、作業者個人の経験やスキルに依存せずに、異音成分の有無を高精度に判定可能な識別関数および加工パラメータを得ることができ、経験の浅い作業者でも、このような識別関数および加工パラメータを取得することができる。
(異音判定機能に関する動作)
図7は、異音判定機能に関する異音判定装置1の動作を示している。図7において、作業者は、被判定音データ中の異音の有無を判定するために、被判定音データを異音判定装置1に入力する。具体的には、作業者は、被判定音データが記憶された録音機を例えばUSBケーブルを介して異音判定装置1に接続する。これにより、録音機が異音判定装置1のデータ入力部4としてのUSB通信インタフェース回路に接続される。これに応じ、異音判定装置1のCPU2は、録音機と自動的に通信を行う。これにより、被判定音データが録音機から異音判定装置1のデータ入力部4に入力され、異音判定装置1の記憶部3に記憶される。
続いて、作業者は、ユーザインタフェース5としてのキーボード等を操作し、被判定音データに対して異音判定を行うべき旨の指示を異音判定装置1に入力する。これに応じ、異音判定部20が、被判定音データから1周期分の音データを抽出する位置である抽出位置を、被判定音データの先頭に設定する(ステップS11)。続いて、データ変換部11が、被判定音データの当該抽出位置から1周期分の音データを抽出する(ステップS12)。続いて、データ変換部11が、抽出した音データを被判定スペクトルデータに変換する(ステップS13)。
続いて、異音判定部20が、音識別条件選定機能により識別条件として選定されて記憶部3に記憶された加工パラメータ、具体的には、選定ブロック数Pnおよび選定倍率Pmの組合せを読み出す(ステップS14)。
続いて、第1のデータ加工部14が、ステップS12で読み出された選定ブロック数Pnを用いて被判定スペクトルデータを加工する。すなわち、第1のデータ加工部14は、被判定スペクトルデータにおける所定の周波数範囲を、選定ブロック数Pnが示す個数のブロックに分割し、各ブロックにおける振幅の平均値である振幅平均値を算定する(ステップS15)。
続いて、第2のデータ加工部15が、ステップS12で読み出された倍率Pmを用いて、被判定スペクトルデータをさらに加工する。すなわち、第2のデータ加工部15は、第1のデータ加工部14によりブロック毎に振幅平均値が算定された被判定スペクトルデータに対し、下限値が0であり、上限値がサンプルスペクトルデータの最大振幅値Amaxに選定倍率Pmを乗じた値である振幅範囲を設定する。続いて、第2のデータ加工部15は、上述した相対振幅値算定処理を行い、被判定スペクトルデータの各振幅平均値に対応する相対振幅値を算定する(ステップS16)。そして、第2のデータ加工部15は被判定スペクトルデータの各振幅平均値を相対振幅値に置き換える。
続いて、異音判定部20が、音識別条件選定機能により識別条件として選定されて記憶部3に記憶された選定識別関数Fを読み出す(ステップS17)。続いて、異音判定部20は、第2のデータ加工部15により各振幅平均値が相対振幅値に置き換えられた被判定スペクトルデータを、読み出した選定識別関数Fに入力し、被判定スペクトルデータに異音成分が含まれているか否かを判定する(ステップS18)。続いて、異音判定部20は、判定結果を、ステップS11で被判定音データから1周期分の音データを抽出した抽出位置を示す情報(例えば被判定音データの先頭から当該抽出位置までの再生時間)と共に、記憶部3に記憶する。また、異音判定部20は、異音の存在が判定されたとき、異音が存在することを示す情報を、抽出位置を示す情報と共に例えば液晶ディスプレイに表示する(ステップS19)。
続いて、異音判定部20は、1周期分の音データを被判定音データの最後まで抽出し終えたか否かを判断する(ステップS20)。1周期分の音データを被判定音データの最後まで抽出し終えていない場合には(ステップS20:NO)、異音判定部20は、処理をステップS11に戻し、被判定音データにおいて抽出位置を所定の時間間隔移動させ、データ変換部11、第1のデータ加工部14および第2のデータ加工部15と協働し、ステップS12〜S19の処理を再び行う。一方、1周期分の音データを被判定音データの最後まで抽出し終えたとき(ステップS20:YES)、異音判定機能に関する動作は終了する。
このような異音判定装置1の異音判定機能は、作業者に次のような利益をもたらす。すなわち、上述したように、鉄塔や送電線等に風が当たることにより発生する異音は、発生が不連続であり、発生の頻度が少ない場合があるため、作業者は、異音の有無を判定するために、鉄塔や送電線等の周囲の音を長時間録音する必要がある。そして、従来、作業者は、このように長時間録音された音データを耳で聞き、異音の有無を確認するといった作業を行っていた。この作業は、音を聞くという単純な行為を長時間連続的に強いられるため、忍耐力を有するきつい作業であった。
しかしながら、異音判定装置1によれば、作業者は、鉄塔や送電線等の周囲の音を長時間録音した音データを被判定音データとして異音判定装置1に入力し、異音判定を行う旨の指示を異音判定装置1に入力すれば、異音判定装置1により異音の有無が自動的に判定され、その結果が液晶ディスプレイに表示される。異音判定装置1によれば、作業者は、録音した音データを聞き続ける場合と比較して、異音の有無を大幅に短時間で知ることができ、忍耐力は特に必要とされない。また、異音判定装置1による異音判定は自動的に行われるので、異音判定装置1が異音判定を行っている間、作業者は別の作業を行うことができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図8は本発明の第2の実施形態による異音判定装置を示している。図8中の本発明の第2の実施形態による異音判定装置51において、図1に示す本発明の第1の実施形態による異音判定装置1と同一の構成要素には同一の符号を付している。図8を見ればわかる通り、本発明の第2の実施形態による異音判定装置51のハードウェア構成は、本発明の第1の実施形態による異音判定装置1とほぼ同じである。しかし、本発明の第2の実施形態による異音判定装置51の機能には、本発明の第1の実施形態による異音判定装置1の機能と比較していくつかの相違点がある。
すなわち、第1の実施形態による異音判定装置1は、音の周波数スペクトルデータを用いて識別条件の選定および異音判定を行うが、第2の実施形態の異音判定装置51は、音の波形データを用いて識別条件の選定および異音判定を行う。また、第1の実施形態による異音判定装置1は、スペクトルデータの所定の周波数範囲をブロックに分割して各ブロックにおける振幅平均値を算定する処理と、下限値が0であり、上限値がスペクトルデータの最大振幅値に0より大きくかつ1以下の値を乗じた値である振幅範囲を設定し、各振幅平均値をそれに対応する相対振幅値に置き換える処理を行うが、第2の実施形態による異音判定装置51は、波形データの所定の時間範囲をブロックに分割して各ブロックにおける振幅平均値を算定する処理のみを行う。
図9は、本発明の第2の実施形態による異音判定装置51における音識別条件選定機能に関する動作を示している。図8において、作業者は、異音を含む音と異音を含まない音とを識別するための識別条件を異音判定装置51に選定させるために、被判定音データに含まれる異音と同様の異音を含む例えば50個のサンプル音データと、被判定音データに含まれる異音が含まれていない例えば50個のサンプル音データを異音判定装置51に入力する。具体的には、作業者は、これら100個のサンプル音データが記録された記録ディスクを異音判定装置51のデータ入力部4としてのディスクドライブ装置に装着し、識別条件の選定を行う旨の指示を異音判定装置51に入力する。
これに応じ、異音判定装置51のデータ変換部61が、ディスクドライブ装置に装着された記録ディスクから100個のサンプル音データを読み出し、読み出した各サンプル音データから1周期分の音データを抽出し、サンプル波形データを生成し、生成した100個のサンプル波形データを記憶部に記憶する(ステップS31)。
続いて、音識別条件設定部62の加工パラメータ設定部63が、加工パラメータ、具体的には、ブロック数nを設定する(ステップS32)。すなわち、記憶部3には、ブロック数nとして用いられる数値が例えば10個予め記憶されている。ブロック数nとして用いられる数値は、例えば10、20、30、40、50、60、70、80、90、100である。加工パラメータ設定部63は、初回に設定するブロック数nとして、例えば10を選択する。
続いて、データ加工部64が、記憶部に記憶された100個のサンプル波形データのうちのいずれか1つのサンプル波形データを選択し、選択したサンプル波形データをコピーする(ステップS33)。続いて、データ加工部64は、コピーしたサンプル波形データにおける所定の時間範囲を、ブロック数nが示す個数のブロックに分割し、各ブロックにおける振幅の平均値である振幅平均値を算定する(ステップS34)。上記所定の時間範囲とは、識別関数の生成に必要な時間範囲であり、例えばサンプル波形データの1周期である。また、ここで用いられるブロック数nは、ステップS32で設定されたブロック数nである。
続いて、データ加工部64は、ステップS34の加工を、ステップS31において記憶部3に記憶した100個すべてのサンプル波形データに対して行ったか否かを判断する(ステップS35)。ステップS34の加工を、ステップS31において記憶部3に記憶した100個すべてのサンプル波形データに対して行っていない場合には(ステップS35:NO)、データ加工部64は、処理をステップS32に戻す。続いて、データ加工部64が、記憶部3に記憶された100個のサンプル波形データのうち、ステップS34の加工をまだ行っていない1つのサンプル波形データを選び、そのサンプル波形データをコピーし、コピーしたサンプル波形データに対し、ステップS34の処理を行う。
一方、ステップS35において、ステップS34の加工を、ステップS31において記憶部3に記憶した100個すべてのサンプル波形データに対して行った場合には(ステップS35:YES)、データ加工部64は、処理をステップS36へ移行させる。
続いて、識別関数生成部16が、データ加工部64によりブロック毎に振幅平均値が算定された100個のサンプル波形データのうち、異音成分を含む任意の例えば25個のサンプル波形データおよび異音成分を含まない任意の例えば25個のサンプル波形データを用い、異音成分を含むサンプル波形データと異音を含まないサンプル波形データとを識別する識別関数を生成し、生成した識別関数を記憶部3に記憶する(ステップS36)。
続いて、正解率算定部17が、データ加工部64によりブロック毎に振幅平均値が算定された100個のサンプルスペクトルデータのうち、異音成分を含む残りの25個のサンプル波形データおよび異音成分を含まない残りの25個のサンプル波形データを用い、識別関数生成部16により生成された識別関数が異音成分を含むサンプル波形データと異音成分を含まないサンプル波形データとを正しく識別する確率である識別正解率を算定し、算定した識別正解率を記憶部3に記憶する(ステップS37)。
続いて、すべてのブロック数nにつきステップS33〜S37の処理を行ったか否かを加工パラメータ設定部63が判断する(ステップS38)。そして、すべてのブロック数nにつきステップS33〜S37の処理を行っていない場合には(ステップS38:NO)、加工パラメータ設定部63が、処理をステップS32に戻し、記憶部3に記憶された数値を用いてブロック数nを変更する。続いて、データ加工部64、識別関数生成部16および正解率算定部17が、上述したようにステップS33〜S37の処理を行う。そして、例えば、ブロック数nを20、30、40、…と順次切り替えながら、ステップS33〜S37の処理を繰り返し行う。すべてのブロック数nにつきステップS3〜S8の処理を行うと、ステップS33〜S37の処理は10回行われ、この結果、10個の識別関数と、それらに対応する10個の識別正解率が記憶部3に記憶されることとなる。
すべてのブロック数nにつきステップS33〜S37の処理を完了した場合には(ステップS38:YES)、続いて、識別条件選定部68が、識別関数生成部16により生成された10個の識別関数のうち識別正解率が最も高い識別関数、および当該識別関数を算定する際に設定されたブロック数nを識別条件として選定する。続いて、識別条件選定部68は、識別条件として選定した識別関数およびブロック数nを、選定識別関数Fおよび選定ブロック数Pnとして記憶部3に記憶する(ステップS39)。
このような異音判定装置51の音識別条件選定機能によっても、異音成分の有無を高精度に判定可能な識別関数を生成することができ、当該識別関数を用いた高精度な異音判定を可能にするためのスペクトルデータの加工パラメータ(ブロック数n)を特定することができる。また、このような識別関数の生成および加工パラメータの特定を、作業者個人の経験やスキルに依存することなく、または少ない労力で行うことができる。
図10は、本発明の第2の実施形態による異音判定装置における異音判定機能に関する動作を示している。図10において、作業者は、被判定音データ中の異音の有無を判定するために、被判定音データを異音判定装置51に入力する。具体的には、作業者は、被判定音データが記憶された録音機を例えばUSBケーブルを介して異音判定装置51に接続し、被判定音データを録音機から異音判定装置51の記憶部3へ記憶させる。
続いて、作業者は、被判定音データに対して異音判定を行うべき旨の指示を異音判定装置51に入力する。これに応じ、異音判定部70が、被判定音データから1周期分の音データを抽出する位置である抽出位置を、被判定音データの先頭に設定する(ステップS41)。続いて、データ変換部61が、被判定音データの当該抽出位置から1周期分の音データを抽出し(ステップS42)、抽出した音データから被判定波形データを生成する(ステップS43)。
続いて、異音判定部70が、音識別条件選定機能により識別条件として選定されて記憶部3に記憶された加工パラメータ、具体的には、選定ブロック数Pnを読み出す(ステップS44)。
続いて、データ加工部64が、ステップS44で読み出された選定ブロック数Pnを用いて被判定波形データを加工する。すなわち、データ加工部64は、被判定波形データにおける所定の周波数範囲を、選定ブロック数Pnが示す個数のブロックに分割し、各ブロックにおける振幅の平均値である振幅平均値を算定する(ステップS45)。
続いて、異音判定部70が、音識別条件選定機能により識別条件として選定されて記憶部3に記憶された選定識別関数Fを読み出し(ステップS46)。続いて、異音判定部70は、データ加工部64によりブロック毎に各振幅平均値が算定された被判定波形データを、読み出した選定識別関数Fに入力し、被判定波形データに異音成分が含まれているか否かを判定する(ステップS47)。続いて、異音判定部70は、判定結果を、ステップS41で被判定音データから1周期分の音データを抽出した抽出位置を示す情報(例えば被判定音データの先頭から当該抽出位置までの再生時間)と共に、記憶部3に記憶する。また、異音判定部70は、異音の存在が判定されたとき、異音が存在することを示す情報を、抽出位置を示す情報と共に例えば液晶ディスプレイに表示する(ステップS48)。
続いて、異音判定部70は、1周期分の音データを被判定音データの最後まで抽出し終えたか否かを判断する(ステップS49)。1周期分の音データを被判定音データの最後まで抽出し終えていない場合には(ステップS49:NO)、異音判定部70は、処理をステップS41に戻し、被判定音データにおいて抽出位置を所定の時間間隔移動させ、データ変換部61およびデータ加工部64と協働し、ステップS42〜S48の処理を再び行う。一方、1周期分の音データを被判定音データの最後まで抽出し終えたとき(ステップS49:YES)、異音判定機能に関する動作は終了する。
異音判定装置51の異音判定機能によっても、異音判定を短時間で行うことがき、録音した鉄塔や送電線等の周囲の音を長時間聞き続けるといった忍耐力を要する作業をなくすことができる。
なお、上記第1の実施形態では、ブロック毎に振幅平均値が算定されたスペクトルデータに対して振幅範囲を設定するに当たり、振幅範囲の上限値を、スペクトルデータの最大振幅値に倍率m(または選定倍率Pm)を乗じた値にする場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。当該振幅範囲の上限値の値を、スペクトルデータの最大振幅値以下の値となるように、他の方法により決定してもよい。
また、上記各実施形態では、識別関数生成部16において識別関数を生成する学習モデルとしてサポートベクタマシンを用いる場合を例にあげたが、本発明はこれに限らない。例えばニューラルネットワーク等の他の学習モデルを用いてもよい。
また、上記第1の実施形態では、音の周波数スペクトルを用いて異音判定を行い、上記第2の実施形態では、音の波形を用いて異音判定を行う場合を例にあがたが、例えば、ウェブレット変換による時間ー周波数平面上の信号のスペクトルを用いて異音判定を行ってもよい。
また、上記各実施形態では、本発明の異音判定装置1(51)をパーソナルコンピュータ等により実現する場合を例にあげたが、本発明はこれに限らず、図1(図8)に示す構成要素を搭載した専用の装置として実現してもよい。例えば、図1に示す構成要素を小型の筐体に収容し、さらに、周囲の音を録音することができるマイクや、マイクから入力された音をデジタル化するアナログーデジタル変換回路等を組み込み、屋外で異音判定を行うことができる装置としてもよい。
また、上記各実施形態では、音識別条件選定機能と異音判定機能とを有する異音判定装置1(51)を例にあげたが、本発明はこれに限らない。本発明を、音識別条件選定機能のみを備えた音識別条件選定装置として具現化してもよい。
また、本発明の実施形態による異音判定装置1(51)は、鉄塔や送電線等に風が当たることにより発生する異音の判定だけでなく、機械装置や機械設備の故障診断等にも用いることができる。特に、異音判定装置1(51)は、発生が不連続な異音、発生頻度が低い異音、または周波数特性等が予測困難な異音の検出ないし判定に効果を発揮する。
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う音識別条件選定装置および異音判定装置もまた本発明の技術思想に含まれる。
1、51 異音判定装置
2 CPU
3 記憶部
11、61 データ変換部(変換手段)
12、62 音識別条件選定部(音識別条件選定装置)
13、63 加工パラメータ設定部(加工パラメータ設定手段)
14 第1のデータ加工部(第1のデータ加工手段、第1の被判定データ加工手段)
15 第2のデータ加工部(第2のデータ加工手段、第2の被判定データ加工手段)
16 識別関数生成部(識別関数生成手段)
17 正解率算定部(正解率算定手段)
18、68 識別条件選定部(識別条件選定手段)
20、70 異音判定部
64 データ加工部(データ加工手段、被判定データ加工手段)

Claims (10)

  1. 異音を含む音と異音を含まない音とを識別するための識別条件を選定する音識別条件選定装置であって、
    異音を含む複数のサンプル音データおよび異音を含まない複数のサンプル音データの周波数スペクトルをそれぞれ示す複数のサンプルスペクトルデータを受け取り、当該各サンプルスペクトルデータにおける所定の周波数範囲を任意のブロック数のブロックに分割し、各ブロックにおける振幅の平均値である振幅平均値を算定する第1のデータ加工手段と、
    前記第1のデータ加工手段によりブロック毎に振幅平均値が算定された前記複数のサンプルスペクトルデータのうち、異音成分(前記異音に対応する成分)を含むいくつかのサンプルスペクトルデータおよび異音成分を含まないいくつかのサンプルスペクトルデータを用い、異音成分を含むサンプルスペクトルデータと異音成分を含まないサンプルスペクトルデータとを識別する識別関数を生成する識別関数生成手段と、
    前記第1のデータ加工手段によりブロック毎に振幅平均値が算定された前記複数のサンプルスペクトルデータのうち、異音成分を含む他のいくつかのサンプルスペクトルデータおよび異音成分を含まない他のいくつかのサンプルスペクトルデータを用い、前記識別関数生成手段により生成された識別関数が異音成分を含むサンプルスペクトルデータと異音成分を含まないサンプルスペクトルデータとを正しく識別する確率である識別正解率を算定する正解率算定手段とを備えていることを特徴とする音識別条件選定装置。
  2. 前記ブロック数を設定または変更する加工パラメータ設定手段と、
    前記加工パラメータ設定手段により前記ブロック数が設定または変更される度に、前記第1のデータ加工手段、前記識別関数生成手段および前記正解率算定手段による処理を実行し、それらの結果前記識別関数生成手段により生成された複数の前記識別関数のうち前記識別正解率が最も高い識別関数、および当該識別関数を算定する際に設定された前記ブロック数を前記識別条件として選定する識別条件選定手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の音識別条件選定装置。
  3. 前記第1のデータ加工手段によりブロック毎に振幅平均値が算定された前記各サンプルスペクトルデータに対し、下限値が0であり、上限値が0より大きくかつ前記各サンプルスペクトルデータの最大振幅値以下である振幅範囲を設定し、当該振幅範囲の上限値をRmaxとし、任意の実数をSとし、前記各振幅平均値をaとし、前記各振幅平均値に対応する相対振幅値をbとした場合に、
    a≧Rmaxのときにはb=S、
    a<Rmaxのときにはb=(a/Rmax)・S
    とする処理を行い、前記各振幅平均値に対応する相対振幅値を算定する第2のデータ加工手段とを備え、
    前記識別関数設定手段は、前記第1のデータ加工手段および前記第2のデータ加工手段により各振幅値が前記相対振幅値に置き換えられた前記複数のサンプルスペクトルデータのうち、異音成分を含むいくつかのサンプルスペクトルデータおよび異音成分を含まないいくつかのサンプルスペクトルデータを用い、前記識別関数を生成し、
    前記正解率判断手段は、前記第1のデータ加工手段および前記第2のデータ加工手段により各振幅値が前記相対振幅値に置き換えられた複数のサンプルスペクトルデータのうち、異音成分を含む他のいくつかのサンプルスペクトルデータおよび異音成分を含まない他のいくつかのサンプルスペクトルデータを用い、前記識別正解率を算定することを特徴とする請求項1に記載の音識別条件選定装置。
  4. 前記ブロック数を設定または変更し、かつ前記振幅範囲の上限値を設定または変更する加工パラメータ設定手段と、
    加工パラメータ設定手段により前記ブロック数または前記振幅範囲の上限値が設定または変更される度に、前記第1のデータ加工手段、前記第2のデータ加工手段、前記識別関数生成手段および前記正解率算定手段による処理を実行し、それらの結果前記識別関数生成手段により生成された複数の前記識別関数のうち前記識別正解率が最も高い識別関数、および当該識別関数を算定する際に設定された前記ブロック数と前記振幅範囲の上限値との組合せを前記識別条件として選定する識別条件選定手段とを備えていることを特徴とする請求項3に記載の音識別条件選定装置。
  5. 前記振幅範囲の上限値は、前記各サンプルスペクトルデータの最大振幅値に任意の値m(0<m≦1)を乗じた値であることを特徴とする請求項3または4に記載の音識別条件選定装置。
  6. 異音を含む音と異音を含まない音とを識別するための識別条件を選定する音識別条件選定装置であって、
    異音を含む複数のサンプル音データおよび異音を含まない複数のサンプル音データの波形をそれぞれ示す複数のサンプル波形データを受け取り、当該各サンプル波形データにおける所定の時間範囲を任意のブロック数のブロックに分割し、各ブロックにおける振幅の平均値である振幅平均値を算定するデータ加工手段と、
    前記データ加工手段によりブロック毎に振幅平均値が算定された前記複数のサンプル波形データのうち、異音成分を含むいくつかのサンプル波形データおよび異音成分を含まないいくつかのサンプル波形データを用い、異音成分を含むサンプル波形データと異音成分を含まないサンプル波形データとを識別する識別関数を生成する識別関数生成手段と、
    前記データ加工手段によりブロック毎に振幅平均値が算定された前記複数のサンプル波形データのうち、異音成分を含む他のいくつかのサンプル波形データおよび異音成分を含まない他のいくつかのサンプル波形データを用い、前記識別関数生成手段により生成された識別関数が異音成分を含むサンプル波形データと異音成分を含まないサンプル波形データとを正しく識別する確率である識別正解率を算定する正解率算定手段とを備えていることを特徴とする音識別条件選定装置。
  7. 前記ブロック数を設定または変更する加工パラメータ設定手段と、
    前記加工パラメータ設定手段により前記ブロック数が設定または変更される度に、前記データ加工手段、前記識別関数生成手段および前記正解率算定手段による処理を実行し、それらの結果前記識別関数生成手段により生成された複数の前記識別関数のうち前記識別正解率が最も高い識別関数、および当該識別関数を算定する際に設定された前記ブロック数を前記識別条件として選定する識別条件選定手段とを備えていることを特徴とする請求項6に記載の音識別条件選定装置。
  8. 被判定音データ中の異音の有無を判定する異音判定装置であって、
    請求項2に記載の音識別条件選定装置と、
    入力された被判定音データをその周波数スペクトルを示す被判定スペクトルデータに変換する変換手段と、
    前記変換手段により変換された被判定スペクトルデータにおける所定の周波数範囲を、前記音識別条件選定装置により選定された前記ブロック数のブロックに分割し、各ブロックにおける振幅の平均値である振幅平均値を算定する第1の被判定データ加工手段と、
    前記第1の被判定データ加工手段によりブロック毎に振幅平均値が算定された前記被判定スペクトルデータを、前記音識別条件選定装置により選定された前記識別関数に入力し、当該被判定スペクトルデータに異音成分が含まれているか否かを判定する異音判定手段とを備えていることを特徴とする異音判定装置。
  9. 被判定音データ中の異音の有無を判定する異音判定装置であって、
    請求項4に記載の音識別条件選定装置と、
    入力された被判定音データをその周波数スペクトルを示す被判定スペクトルデータに変換する変換手段と、
    前記変換手段により変換された被判定スペクトルデータにおける所定の周波数範囲を、前記音識別条件選定装置により選定された前記ブロック数のブロックに分割し、各ブロックにおける振幅の平均値である振幅平均値を算定する第1の被判定データ加工手段と、
    前記第1の被判定データ加工手段によりブロック毎に振幅平均値が算定された前記被判定スペクトルデータに対し、下限値が0であり、上限値が前記音識別条件選定装置により選定された上限値である振幅範囲を設定し、当該振幅範囲の上限値をRmaxとし、任意の実数をSとし、前記被判定スペクトルデータの各振幅平均値をaとし、当該各振幅平均値に対応する相対振幅値をbとした場合に、
    a≧Rmaxのときにはb=S、
    a<Rmaxのときにはb=(a/Rmax)・S
    とする処理を行い、前記被判定スペクトルデータの各振幅平均値に対応する相対振幅値を算定する第2の被判定データ加工手段と、
    前記第1の被判定データ加工手段および前記第2の被判定データ加工手段により各振幅値が前記相対振幅値に置き換えられた前記被判定スペクトルデータを、前記音識別条件選定装置により選定された前記識別関数に入力し、当該被判定スペクトルデータに異音成分が含まれているか否かを判定する異音判定手段とを備えていることを特徴とする異音判定装置。
  10. 被判定音データ中の異音の有無を判定する異音判定装置であって、
    請求項7に記載の音識別条件選定装置と、
    入力された被判定音データの波形を示す被判定波形データにおける所定の時間範囲を任意のブロック数のブロックに分割し、各ブロックにおける振幅の平均値である振幅平均値を算定する被判定データ加工手段と、
    前記被判定データ加工手段によりブロック毎に振幅平均値が算定された前記被判定波形データを、前記音識別条件選定装置により選定された前記識別関数に入力し、当該被判定波形データに異音成分が含まれているか否かを判定する異音判定手段とを備えていることを特徴とする異音判定装置。
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