JP5576164B2 - 水性塗料組成物及びプラスチック成型品の塗装方法 - Google Patents
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Description
項1.側鎖にカルボキシル基及びケトン性のカルボニル基を含有することを特徴とする変性ポリオレフィン樹脂であって、該変性ポリオレフィン樹脂が窒素に結合した活性水素を1個以上有するアミン化合物(A1)とダイアセトンアクリルアミド又はビニルケトン類(A2)とのマイケル付加反応により得られたものである化合物(A)と、酸無水物基含有ポリオレフィン樹脂(B)との開環付加反応により得られたものである変性ポリオレフィン樹脂。
項2.項1に記載の変性ポリオレフィン樹脂が水を含む媒体中に分散されてなる変性ポリオレフィン樹脂水性分散体。
項3.項2に記載の変性ポリオレフィン樹脂水性分散体とヒドラジン誘導体とを含む水性塗料組成物。
項4.表面処理されていても良いプラスチック成型品に、項3に記載の水性塗料組成物を塗装することを特徴とするプラスチック成型品の塗装方法。
項5.項4に記載の塗装方法により得られた塗装物品。
化合物(A)は、例えば窒素に結合した活性水素を1個以上有するアミン化合物(A1)とダイアセトンアクリルアミド又はビニルケトン類(A2)とのマイケル付加反応により得ることができる。また、化合物(A)は酸無水物基含有ポリオレフィン樹脂(B)の酸無水物基と開環付加反応することの可能な反応性基を有するものであり、例えばこのような反応性基としては、水酸基、1級アミノ基及び2級アミノ基を挙げることができる。
本発明で使用する酸無水物基含有ポリオレフィン樹脂(B)としては、ポリオレフィン樹脂を公知の方法において酸無水物基含有不飽和化合物によって変性したものや、さらに塩素化したものを挙げることができる。該ポリオレフィン樹脂は、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキセンなどの炭素数が2〜10のオレフィン類から選ばれた1種又は2種以上を公知の方法により重合せしめてなるポリオレフィン、上記オレフィン類とジエン類の共重合体及びその水素添加物、ポリブタジエン及びその水素添加物、ポリイソプレン及びその水素添加物、スチレン・ブタジエン共重合体及びその水素添加物、スチレン・イソプレン共重合体及びその水素添加物等のオレフィン単量体及び/又はジエン単量体を主要構成単位とする樹脂骨格よりなるもの及びその水素添加物、石油樹脂及びその水素添加物、天然ゴム及びその水素添加物等が挙げられる。本発明における酸無水物基含有ポリオレフィン樹脂は上記したポリオレフィン樹脂を無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸などの酸無水物基含有不飽和化合物を用いて公知の方法に従って変性することにより得ることができる。特に無水マレイン酸によって変性したものが好適である。該酸無水物基含有不飽和化合物による変性量は、ポリオレフィン樹脂の固形分質量に対して1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%の範囲内が適当である。
本発明における変性ポリオレフィン樹脂は前記マイケル付加反応によって得られた酸無水物基と開環付加反応することの可能な反応性基及びケトン性のカルボニル基を有する化合物(A)と酸無水物基含有ポリオレフィン樹脂(B)との開環付加反応により得ることができ、該反応は有機溶剤の存在下で行なうことができる。有機溶剤としては、特に限定しないが、エステル系、エーテル系等の公知の溶剤を使用できる。上記の反応成分の濃度は好ましくは50〜90質量%の範囲内とすることが反応速度や得られた樹脂を水で分散せしめたときに残存する溶剤を少なくすることができる点から好ましく、より好ましくは55〜80質量%の範囲内である。また、反応温度は、反応速度や粘度の点から25〜120℃の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは40〜100℃の範囲内である。
本発明の水性塗料組成物は、上記変性ポリオレフィン樹脂を水を含む媒体中で分散した変性ポリオレフィン樹脂水性分散体を含むものである。
本発明の水性塗料組成物は、変性ポリオレフィン樹脂水性分散体のケトン性のカルボニル基と反応可能なヒドラジン誘導体を架橋剤として含むものである。ヒドラジン誘導体としては、1分子中にヒドラジド基および/またはセミカルバジド基を2個以上有する化合物を好適に用いることができる。例えば蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等の2〜18個の炭素原子を有する飽和脂肪酸ジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどのモノオレフィン性不飽和ジカルボン酸ジヒドラジド、フタル酸、テレフタル酸またはイソフタル酸ジヒドラジド、並びにピロメリット酸のジヒドラジド、トリヒドラジドまたはテトラヒドラジド;ニトリロトリヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、カルボン酸低級アルキルエステル基を1分子中に2個以上有する低重合体をヒドラジンまたはヒドラジン水化物(ヒドラジンヒドラード)と反応させてなるポリヒドラジド(特公昭52−22878号参照)、炭酸ジヒドラジド等のポリヒドラジド化合物;ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート及びそれにより誘導されるポリイソシアネート化合物にヒドラジンやモノアルキル置換ヒドラジンを反応させて得られるポリセミカルバジド化合物、ジイソシアネートを含む該ポリイソシアネート化合物に上記例示のジヒドラジド化合物やポリヒドラジド化合物を反応させて得られるポリヒドラジド化合物、該ポリイソシアネート化合物とポリエチレングリコールモノアルキルエーテル類等の活性水素を有するポリエーテルやポリオールとの反応から得られる変性ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基にヒドラジンやモノアルキル置換ヒドラジンを反応させて得られるポリセミカルバジド化合物、該変性ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に上記例示のジヒドラジドやポリヒドラジドを反応させて得られるポリヒドラジド化合物等が挙げられ、これらは単独で、或いは必要に応じて混合して一緒に用いることができる。
上記により得られる本発明の水性塗料組成物はプラスチック成形品に塗装することができる。プラスチック成形品としては、例えば、インストルメントパネル(インパネ)、ドアトリム、コンソールパネル、センタークラスター、スイッチパネル、メーターフード、シフトノブ、ハンドルなどの自動車内装部品や家庭電化製品の外板部などに使用されているプラスチック成形品などが挙げられ、これらのプラスチック成形品の素材に必要に応じて表面処理、下塗り塗装、中塗り塗装などを行ったもの、これらのものが組み合わさった複合部材などが挙げられる。プラスチック成形品の材質としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキセンなどの炭素数2〜10のオレフィン類の1種もしくは2種以上を(共)重合せしめてなるポリオレフィンが特に好適であるが、それ以外に、ポリカーボネート、ABS樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミドなどにも本発明組成物を適用することができる。
マイケル付加反応生成物1の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた1L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、ダイアセトンアクリルアミド338.4g、脱イオン水180.2g、N−エチルエチレンジアミン352.6gを加え撹拌し、80℃まで昇温して80℃で3時間保持した。次に約100mmHgに減圧しながら60〜80℃で2時間保持し、水と未反応のN−エチルエチレンジアミンの混合物を約240g共沸除去した。その後、水200g加えて80℃で1時間保持した後、約100mmHgに減圧しながら60〜80℃で1.5時間保持し、水とN−エチルエチレンジアミンの混合物を約200g共沸除去する操作を2回繰り返した。その後、約10mmHgに減圧しながら60〜80℃で1.5時間保持し、残存する水とN−エチルエチレンジアミンを除去することで2級のアミノ基を2個有し、さらにケトン性のカルボニル基を有するマイケル付加反応生成物1を得た。
マイケル付加反応生成物2の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた2L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、ダイアセトンアクリルアミド507.7g、水270.3g、ブチルアミン438.8gを加え撹拌し、80℃まで昇温して80℃で2時間保持した。次に約100mmHgに減圧しながら60〜80℃で1.5時間保持し、水と未反応のブチルアミンの混合物を約430g共沸除去した。その後、フラスコに水分定量受器を取り付け、水270g加えて105℃まで昇温し、常圧下103〜105℃で1時間保持し、水とブチルアミンの混合物を約200g共沸除去する操作を2回繰り返した。次に約10mmHgに減圧しながら60〜80℃で1.5時間保持し、残存する水とブチルアミンを除去することで2級のアミノ基を1個とケトン性のカルボニル基を有するマイケル付加反応生成物2を得た。得られたマイケル付加反応生成物2のアミン価は230mgKOH/gであった。
マイケル付加反応生成物3の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた2L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、ダイアセトンアクリルアミド507.7g、水270.3g、ベンジルアミン642.9gを加え撹拌し、80℃まで昇温して80℃で2時間保持した。次に薄膜蒸留装置を用いて5mmHgの減圧、100℃の壁面において薄膜蒸留を行ない、水と未反応のベンジルアミンの混合物を除去した。その後、撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた2L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、薄膜蒸留により未反応のベンジルアミンを除去した約900gの反応生成物に水500gを加えて105℃まで昇温し、常圧下103〜105 ℃で1時間保持しケチミンの加水分解を行なった。さらに5mmHgの減圧、100 ℃の壁面において薄膜蒸留を行ない、水とケチミンの加水分解により生成したベンジルアミンの混合物を除去することで、2級アミノ基を1分子中に1個有し、さらにケトン性のカルボニル基を有するマイケル付加反応生成物3を得た。重クロロホルム溶媒を用いた該生成物の1H−NMR測定においてダイアセトンアクリルアミドに起因する6.19〜6.23ppmのピークが観察されないことから、未反応のダイアセトンアクリルアミドが残存しないことを確認した。得られたマイケル付加反応生成物3のアミン価は211mgKOH/gであった。
マイケル付加反応生成物4の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた1L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、ダイアセトンアクリルアミド338.4g、脱イオン水180.2g、エチレンジアミン240.4gを加え撹拌し、80 ℃まで昇温して80 ℃で3時間保持した。次に約100mmHgに減圧しながら60〜80 ℃で2時間保持し、水と未反応のエチレンジアミンの混合物を共沸除去した。その後、水200g加えて80 ℃で1時間保持した後、約100mmHgに減圧しながら60〜80 ℃で1.5時間保持し、水とエチレンジアミンの混合物を約200g共沸除去する操作を2回繰り返した。その後、約10mmHgに減圧しながら60〜80 ℃で1.5時間保持し、残存する水とエチレンジアミンを除去することでアミノ基とケトン性のカルボニル基を有するマイケル付加反応生成物4を得た。重クロロホルム溶媒を用いた該生成物の1H−NMR測定においてダイアセトンアクリルアミドに起因する6.19〜6.23ppmのピークが観察されないことから、未反応のダイアセトンアクリルアミドが残存しないことを確認した。
マイケル付加反応生成物5の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた1L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、ダイアセトンアクリルアミド338.4g、脱イオン水180.2g、N−メチルエタノールアミン150.2gを加え撹拌し、100 ℃まで昇温して100 ℃で14時間保持することで水酸基1個とケトン性のカルボニル基を有するマイケル付加反応生成物5を得た。重クロロホルム溶媒を用いた該生成物の1H−NMR測定においてダイアセトンアクリルアミドに起因する6.19〜6.23ppmのピークが観察されないことから、未反応のダイアセトンアクリルアミドが残存しないことを確認した。
変性ポリオレフィン水性分散体I−1の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた1L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、スーパークロン851L(商品名、日本製紙ケミカル株式会社製、ペレット品)(100.0g)、テトラヒドロフラン(以下THF)(150.0g)を加え、60 ℃に加熱して、十分に溶解するまで、攪拌した。溶解を確認した後、マイケル付加反応生成物2(6.0g)を30分かけて滴下した。滴下終了後、同温度で30分攪拌した後にFT−IR(日本分光株式会社製FT/IR−420を使用、KBr板に試料を塗布し透過型で分光光度を測定した)の測定により、1638cm−1に、スーパークロン851Lのマレイン酸とマイケル付加反応性生物2のアミンの反応に由来するアミド結合のピーク生成を確認した。その後n−ブタノール(20.0g)を添加し30分攪拌した。40 ℃まで冷却した後、ジメチルエタノールアミン(4.96g)を加え、15分攪拌した。脱イオン水(300g)を30分かけて滴下したのちに60 ℃まで昇温して、減圧脱溶剤を行い、樹脂固形分25.0%の水性分散体I−1を得た。
水性分散体I−2〜I−9の製造
配合する成分を以下の表1の通りにする以外は、すべて製造例1と同様にして、水性分散体I−2〜I−9を製造した。
(注2)スーパークロン803MW:日本製紙株式会社製無水マレイン酸変性塩素化ポリオレフィン(塩素含有率29.5%、軟化点:80〜90 ℃)
(注3)アウローレン200:日本製紙株式会社製無水マレイン酸変性ポリオレフィン重量平均分子量:55000〜65000、軟化点:60〜70 ℃)
(注4)アウローレン100:日本製紙株式会社製無水マレイン酸変性ポリオレフィン(重量平均分子量:45000〜55000、軟化点:75〜85 ℃)
(実施例10)
変性ポリオレフィン水性分散体I−10の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた1L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、スーパークロン851L(100.0g)、THF(150.0g)を加え、60 ℃に加熱して、十分に溶解するまで、攪拌した。溶解を確認した後、マイケル付加反応生成物5(6.0g)を30分かけて滴下した。滴下終了後、トリエチルアミン(5.63g)を添加し同温度で15分攪拌した。その後n−ブタノール(20.0g)を添加し30分攪拌した。40 ℃まで冷却した後、脱イオン水(300g)を30分かけて滴下したのちに60 ℃まで昇温して、減圧脱溶剤を行い、樹脂固形分25.0%の水性分散体I−10を得た。
変性ポリオレフィン水性分散体I−11の製造
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた1L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、スーパークロン851L(100.0g)、THF(150.0g)を加え、60 ℃に加熱して、十分に溶解するまで、攪拌した。溶解を確認した後、マイケル付加反応生成物2(6.0g)を30分かけて滴下した。滴下終了後、同温度で30分攪拌した後、THFを減圧留去しながら80 ℃まで昇温した。攪拌しながらシクロヘキサン(100g)、エマノーン1112(商品名、花王ケミカル株式会社製、ポリエチレンオキサイドラウリルエステル)(20g)、ニューコール240(商品名、日本乳化剤株式会社製)(6.6g)を加えた。その後、50 ℃まで冷却し、脱イオン水(300g)を2時間かけて滴下した。同温度で、シクロヘキサンを減圧留去することで、カルボニル含有ポリオレフィン樹脂の水性分散体I−11を得た。
撹拌装置、温度計、冷却管、窒素ガス導入口を備えた1L容のフラスコ内の空気を窒素置換し、スーパークロン851L(100.0g)、THF(190.0g)、n−ブタノール(40.0g)を加え、60 ℃に加熱して、十分に溶解するまで、攪拌した。溶解を確認した後、ジメチルエタノールアミン(3.0g)を加え、15分攪拌した。その脱イオン水(300g)を2時間かけて滴下した後、THFを減圧留去することで、固形分32%の塩素化ポリオレフィン樹脂水性分散体I−12を得た。
配合する成分のうち、スーパークロンの代わりに、アウローレン200を用いる以外は比較例1と同様にして、水性分散体I−13を得た。
水性塗料組成物P−1の作成
上記水性樹脂組成物(I−1)を固形分重量で60部、「ユーコートUX310」(三洋化成工業社製、ウレタンディスパージョン)を固形分重量で20部、アクリル樹脂溶液(W−1:注1)を固形分重量で20部、「MICRO ACE K−1」(日本タルク社製、微粉タルク)50部、「JR−806」(テイカ社製、チタン白)50部、「MA100」(三菱化学社製、カーボンブラック)2部を、常法に従って配合した後、10%アジピン酸ジヒドラジド水溶液10部を添加し、固形分35%となるように脱イオン水で希釈して水性塗料(P−1)を得た。
水性塗料組成物(P−2)〜(P−20)の作成
実施例12において、配合組成を表2に示す通りとする以外は実施例12と同様に行って各水性塗料組成物(P−2)〜(P−20)を得た。
撹拌機、温度計、還流冷却管の備わった通常のアクリル樹脂反応槽に、エチレングリコールモノブチルエーテル35部を仕込み、加熱撹拌して110℃に保持した。この中に、スチレン10部、メチルメタクリレート40部、n−ブチルメタクリレート25部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部、メタクリル酸3部、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート5部(固形分量、脱イオン水10部に溶解して配合)、「NFバイソマーPEM6E」(第一工業製薬(株)製、商品名、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、分子量約350)10部、アゾビスイソブチロニトリル4部及びイソブチルアルコール20部からなる混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了後、110℃で30分間熟成し、次にエチレングリコールモノブチルエーテル15部及びアゾビスイソブチロニトリル0.5部からなる追加触媒混合液を1時間かけて滴下した。ついで110℃で1時間熟成したのち冷却し、固形分55%のアクリル樹脂溶液W−1を得た。
容量2リットルの4つ口フラスコに脱イオン水28.5重量部、Newcol707SF(日本乳化剤社製、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性界面活性剤、不揮発分30%)0.1重量部を加え、窒素置換後、85 ℃に保った。この中に脱イオン水36.8重量部、スチレン15重量部、メチルメタクリレート41.3重量部、n−ブチルアクリレート24重量部、2−エチルヘキシルアクリレート15重量部、ダイアセトンアクリルアミド2重量部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート0.5重量部、ヒドロキシエチルアクリレート2重量部、アクリル酸0.2重量部、Newcol707SF6.6重量部をエマルション化してなるプレエマルションの3重量%および0.5重量部の過硫酸アンモニウムを10重量部の脱イオン水に溶解させた溶液10.5重量部の25重量%を添加し、添加20分後から残りのプレエマルションおよび残りの過硫酸アンモニウム水溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、これをさらに2時間85 ℃に保持した後、40〜60 ℃に降温した。次いでアンモニア水でpH8〜9に調整し、固形分55重量%のアクリル樹脂水性分散体E−1を得た。エマルションのpHは8.3であった。
(注7)10%アジピン酸ジヒドラジド水溶液
試験塗装物の作成
ポリプロピレン(脱脂処理済)板に、上記の通り作成した水性塗料を表3に示す通り選択し、これを乾燥膜厚で約20μmになるようにスプレー塗装し、80 ℃で20分間加熱乾燥させて各試験塗装物を作成した。
上記の通り作成した各試験塗装物を下記性能試験に供した。その結果を表3に示す。
光沢:各試験塗装物の塗装面を目視で評価した。○はツヤがある状態、△はツヤが引けている状態、×はツヤがない状態を示す。
初期付着性:塗膜面に素地に達するようにカッターで切り込み線を入れ、大きさ2mm×2mmのマス目を100個作り、その表面に粘着セロハンテープを貼着し、20℃においてそれを急激に剥離した後のマス目の残存塗膜数を調べた。
耐湿性:各試験塗装物を、50 ℃で98%RH下に10日間静置してから、乾燥後の塗装面を目視で評価した。○はブリスター発生なし、△はツヤがひけているがブリスター発生のない状態、×はブリスター発生を示す。
耐溶剤性:各試験塗装物の塗膜面を、キシレンを湿らせたガーゼを10枚重ねて、荷重約9.8Nを加えて10往復ラビングした後、塗膜面を目視にて評価した。素地露出が認められない場合は○、塗膜が削れ素地が露出している場合は△、塗膜が溶けて素地が露出している場合は×で示す。
Claims (5)
- 側鎖にカルボキシル基及びケトン性のカルボニル基を含有することを特徴とする変性ポリオレフィン樹脂であって、該変性ポリオレフィン樹脂が窒素に結合した活性水素を1個以上有するアミン化合物(A1)とダイアセトンアクリルアミド又はビニルケトン類(A2)とのマイケル付加反応により得られたものである化合物(A)と、酸無水物基含有ポリオレフィン樹脂(B)との開環付加反応により得られたものである変性ポリオレフィン樹脂。
- 請求項1に記載の変性ポリオレフィン樹脂が水を含む媒体中に分散されてなる変性ポリオレフィン樹脂水性分散体。
- 請求項2に記載の変性ポリオレフィン樹脂水性分散体とヒドラジン誘導体とを含む水性塗料組成物。
- 表面処理されていても良いプラスチック成型品に、請求項3に記載の水性塗料組成物を塗装することを特徴とするプラスチック成型品の塗装方法。
- 請求項4に記載の塗装方法により得られた塗装物品。
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