JP6570944B2 - グルタルイミド樹脂およびグルタルイミド樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、主鎖にイミド環構造を有するグルタルイミド樹脂とその製造方法に関するものである。
近年、画像表示装置には、画像の鮮明度の向上の要望により、高度な光学特性を有する光学材料の開発が求められている。高度な光学特性の1つとして複屈折が小さいことが要求されている。一般に、光学材料に用いられる高分子化合物は、その分子の主鎖方向の屈折率と当該主鎖方向に対して垂直方向の屈折率とが異なるため、複屈折が生じる。複屈折が小さい光学フィルム用高分子材料として、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、セルロース系樹脂からなる光学フィルムは、斜め方向の入射光に対して位相差が生じ、当該斜め方向の入射光に対する位相差は、大型の液晶ディスプレイでは、視野角特性に悪影響を及ぼすという欠点を有する。
一方、成形加工性に優れ、表面硬度が高く、高光線透過率、低複屈折および低波長依存性を有する光学材料として、旧来からポリメチルメタクリレートが提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、ポリメチルメタクリレートは、ガラス転移温度(Tg)が100℃程度と低く、耐熱性に劣ることから、耐熱性が求められる用途、例えば、画像表示装置に使用することが困難とされている。そこで、耐熱性に優れ、高度な光学特性を有するアクリル系樹脂として、主鎖にイミド環構造を有するグルタルイミド樹脂が提案されている。
グルタルイミド樹脂は、特許文献3、4に開示されるように、(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体をイミド化剤と反応させることにより製造することができる。しかしこのように製造したグルタルイミド樹脂には、通常カルボン酸基や酸無水物基が存在するため、これに起因して湿熱下での耐久性が低下したり、グルタルイミド樹脂の粘度が上昇し、成形加工性が低下する。そこで、このような問題を解消するため、グルタルイミド樹脂に含まれるカルボン酸基や酸無水物基をエステル化剤によりエステル化し、酸価を低減することが行われている。例えば、特許文献4には、グルタルイミド樹脂を触媒の存在下でエステル化剤と反応させる方法が開示され、エステル化触媒として、ジアザビシクロウンデセン等の複素環式塩基触媒が使用されている。
特開2009−265174号公報 特開平06−102547号公報 国際公開第2005/054311号パンフレット 特開2011−225699号公報
このように、従来、グルタルイミド樹脂の特性を改善するための様々な試みが行われているが、上記のように、グルタルイミド樹脂は湿熱下での耐久性に優れることが望ましく、また光学材料として用途を勘案すれば、できるだけ着色が少ないことが望まれる。本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、湿熱下での耐久性に優れ、着色の少ないグルタルイミド樹脂と、その製造方法を提供することにある。
グルタルイミド樹脂の湿熱下での耐久性を高めるためには、グルタルイミド樹脂に含まるカルボン酸基や酸無水物基をエステル化して酸価をできるだけ低減させることが好ましいが、本発明者らが検討したところ、エステル化触媒としてジアザビシクロウンデセン等の環式塩基触媒を用いた場合は、得られるグルタルイミド樹脂が黄色味がかった色を呈しやすくなることが明らかになった。そして、エステル化反応を効率的に進行させ、かつ得られるグルタルイミド樹脂の着色を低減するためには、エステル化触媒として、pKaが11以上の非環式塩基触媒を用いることが有効であることが明らかになった。
すなわち、本発明のグルタルイミド樹脂の製造方法は、イミド環構造を有するとともに、カルボン酸基および/または酸無水物基を有するアクリル系重合体を、pKaが11以上の非環式塩基触媒の存在下でエステル化剤と反応させる工程を有するところに特徴を有する。本発明のグルタルイミド樹脂の製造方法によれば、カルボン酸基および/または酸無水物基をエステル化剤によりエステル化する際にpKaが11以上の非環式塩基触媒を用いることにより、エステル化反応を効率的に進行させることができるとともに、得られるグルタルイミド樹脂の着色を抑えることができる。
本発明の製造方法において、アクリル系樹脂は、アルカリ金属を、アクリル系重合体1g当たり、4.5×10-3mmol以上22×10-3mmol以下含有することが好ましい。アルカリ金属もグルタルイミド樹脂の着色の原因となりうることから、エステル化反応に供するアクリル系重合体のアルカリ金属の含有量は、アクリル系重合体1g当たり、22×10-3mmol以下とすることが好ましい。一方、アルカリ金属はエステル化反応の触媒として寄与し得るため、エステル化反応を効率的に進行させる点から、アクリル系重合体のアルカリ金属の含有量は、アクリル系重合体1g当たり、4.5×10-3mmol以上とすることが好ましい。
本発明の製造方法により得られるグルタルイミド樹脂は、下記式(1)で表される繰り返し単位と、下記式(2)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
[式(1)中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、R5は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基または環構造を有する基を表す。]
[式(2)中、R6およびR7は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、R8は、炭素数1〜18のアルキル基または環構造を有する基を表す。]
本発明は、pKaが11以上の非環式塩基触媒を含有し、酸価が0.5mmol/g以下であり、10質量%THF溶液としたときの波長390nmの吸光度が1.3以下であるグルタルイミド樹脂も提供する。本発明のグルタルイミド樹脂は、湿熱下での耐久性に優れ、着色の少ないものとなる。
本発明のグルタルイミド樹脂は、アルカリ金属を、グルタルイミド樹脂1g当たり、4.5×10-3mmol以上22×10-3mmol以下含有することが好ましい。また、本発明のグルタルイミド樹脂は、上記式(1)で表される繰り返し単位と、上記式(2)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。上記式(1)において、R5は、炭素数3〜12のシクロアルキル基または炭素数6〜10のアリール基であることが好ましく、これにより、耐熱性に優れ、複屈折が小さいグルタルイミド樹脂とすることができる。
本発明はまた、本発明のグルタルイミド樹脂を含有する光学フィルムや、その光学フィルムの少なくとも一方側の面に透明導電層を有する透明導電性フィルムや、前記光学フィルムや前記透明導電性フィルムを有する画像表示装置も提供する。
本発明のグルタルイミド樹脂の製造方法によれば、カルボン酸基および/または酸無水物基をエステル化剤によりエステル化する際にpKaが11以上の非環式塩基触媒を用いることにより、エステル化反応を効率的に進行させることができるとともに、得られるグルタルイミド樹脂の着色を抑えることができる。また、本発明のグルタルイミド樹脂は、湿熱下での耐久性に優れ、着色の少ないものとなる。
本発明のグルタルイミド樹脂の製造方法について、まず説明する。本発明のグルタルイミド樹脂の製造方法は、イミド環構造を有するとともに、カルボン酸基および/または酸無水物基を有するアクリル系重合体を、pKaが11以上の非環式塩基触媒の存在下でエステル化剤と反応させる工程(エステル化工程)を有するものである。グルタルイミド樹脂がカルボン酸基や酸無水物基を多く有する場合、湿熱下での耐久性が低下したり、グルタルイミド樹脂の粘度が上昇して、フィルム化などを行う際の成形加工性が低下するおそれがあるところ、カルボン酸基や酸無水物基をエステル化することにより、湿熱下での耐久性が向上し、フィルム等への成形加工性を高めることができる。
エステル化剤と反応させるアクリル系重合体は、イミド環構造を有するとともに、カルボン酸基および/または酸無水物基を有するものであり、以下、「イミド化重合体」と称する場合がある。アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸化合物を重合して得られるものが好ましいものの、これに限定されず、α位とβ位の炭素にアルキル基等の置換基が結合していてもよいアクリル酸化合物であるα,β−不飽和カルボニル化合物を重合することにより得られるものを広く用いることができる。(メタ)アクリル酸化合物以外のα,β−不飽和カルボニル化合物は、β位炭素に水素原子以外の置換基が結合していてもよく、α位炭素に水素原子やメチル基以外の置換基が結合していてもよい。なお、β位炭素に結合していてもよい水素原子以外の置換基としては、例えば、炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。α位炭素に結合していてもよい水素原子とメチル基以外の置換基としては、例えば、炭素数2〜8のアルキル基が挙げられる。
前記イミド化重合体は、イミド環構造を有する繰り返し単位として、下記式(1)で表される繰り返し単位(以下、「グルタルイミド単位」と称する場合がある)を有していることが好ましい。
式(1)のグルタルイミド単位において、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソへキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。なかでも、R1、R2、R3およびR4としては、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、これにより、得られるグルタルイミド樹脂の耐熱性を高めやすくなり、またグルタルイミド樹脂をフィルム化して光学フィルムを製造した際に、複屈折の小さい光学フィルムを得やすくなる。イミド化重合体の製造容易性の点からは、R1、R2、R3およびR4は、水素原子またはメチル基であることが好ましく、R1とR3が水素原子で、R2とR4が水素原子またはメチル基であることがより好ましい。
式(1)のグルタルイミド単位において、R5は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基または環構造を有する基を表す。炭素数1〜18のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、イソへキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。環構造を有する基としては、例えば、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基、炭素数6〜10のアリール基等が挙げられる。炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキル基としては、ベンジル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。これらの中でも、R5としては、耐熱性に優れ、複屈折が小さいグルタルイミド樹脂を得る点から、炭素数3〜12のシクロアルキル基または炭素数6〜10のアリール基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基がより好ましい。
イミド化重合体は、式(1)のグルタルイミド単位を、1種のみ含んでいてもよく、2種類以上含んでいてもよい。
イミド化重合体が有するカルボン酸基および/または酸無水物基は、当該樹脂の主鎖に直接結合していてもよく、側鎖に結合していてもよい。なお、エステル化工程に供するイミド化重合体には、その製造原料や製造中間体に由来して、イミド化重合体にカルボン酸基や酸無水物基が残存し得ることから、これに由来して、イミド化重合体は、下記式(3)で表される繰り返し単位(以下、「α,β−不飽和カルボン酸単位」と称する場合がある)および/または下記式(4)で表される繰り返し単位(以下、「無水グルタル酸単位」と称する場合がある)を含むものであることが好ましい。
式(3)のα,β−不飽和カルボン酸単位において、R9およびR10は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。炭素数1〜8のアルキル基としては、R1〜R4のアルキル基として例示したアルキル基が挙げられる。なかでも、R9およびR10としては、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基であることがより好ましく、R9が水素原子で、R10が水素原子またはメチル基であることがさらに好ましい。式(4)の無水グルタル酸単位において、R1〜R4は上記と同じ意味を表す。
イミド化重合体は、式(3)のα,β−不飽和カルボン酸単位を、1種のみ含んでいてもよく、2種類以上含んでいてもよく、また式(4)の無水グルタル酸単位を、1種のみ含んでいてもよく、2種類以上含んでいてもよい。
エステル化剤と反応させるイミド化重合体は、α,β−不飽和カルボン酸エステルに由来する繰り返し単位(以下、「α,β−不飽和カルボン酸エステル単位」と称する場合がある)を有していてもよく、例えば、下記式(5)で表される繰り返し単位を有していることが好ましい。
式(5)のα,β−不飽和カルボン酸エステル単位において、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。炭素数1〜8のアルキル基としては、R1〜R4のアルキル基として例示したアルキル基が挙げられる。なかでも、R11およびR12としては、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基であることがより好ましく、R11が水素原子で、R12が水素原子またはメチル基であることがさらに好ましい。
式(5)のα,β−不飽和カルボン酸エステル単位において、R13は、炭素数1〜18のアルキル基を有する基を表す。炭素数1〜18のアルキル基としては、R5のアルキル基として例示したアルキル基が挙げられる。これらの中でも、R13としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましく、メチル基、エチル基またはn−ブチル基が特に好ましい。これにより、得られるグルタルイミド樹脂の耐熱性を高めやすくなり、またグルタルイミド樹脂をフィルム化して光学フィルムを製造した際に、複屈折の小さい光学フィルムを得やすくなる。
イミド化重合体は、式(5)のα,β−不飽和カルボン酸エステル単位を、1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
イミド化重合体には、上記以外の繰り返し単位が含まれていてもよい。なお、イミド化重合体は、グルタルイミド単位とα,β−不飽和カルボン酸単位と無水グルタル酸単位とα,β−不飽和カルボン酸エステル単位とを合わせた含有率が70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。イミド化重合体は、例えば、繰り返し単位としてスチレン由来の単位を有していてもよいが、スチレン由来の単位はあまり多く含まれないことが好ましい。従って、イミド化重合体中のスチレン由来の単位の含有率は10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下が特に好ましい。
イミド化重合体の重量平均分子量は特に限定されないが、エステル化することにより得られるグルタルイミド樹脂をフィルム等へ成形したときの機械的強度を高める点から、10,000以上が好ましく、30,000以上がより好ましい。またグルタルイミド樹脂のフィルム等への成形性を向上させる点から、イミド化重合体の重量平均分子量は、500,000以下が好ましく、300,000以下がより好ましい。
イミド化重合体のガラス転移温度は、エステル化することにより得られるグルタルイミド樹脂の耐熱性を高める点から、例えば、130℃以上であることが好ましく、140℃以上がより好ましく、150℃以上がさらに好ましく、160℃以上が特に好ましく、またグルタルイミド樹脂のフィルム等への成形性を向上させる点から、250℃以下が好ましく、230℃以下がより好ましく、210℃以下がさらに好ましく、200℃以下が特に好ましい。
前記イミド化重合体は、単量体成分としてα,β−不飽和カルボニル化合物を重合して、イミド化剤と反応させることにより得ることができる。α,β−不飽和カルボニル化合物を重合する工程(重合工程)では、α,β−不飽和カルボン酸エステルを単独または共重合させたり、α,β−不飽和カルボン酸エステルとα,β−不飽和カルボン酸とを共重合させることが好ましく、得られた単独または共重合体は、そのまま、あるいは必要に応じて活性化した後、イミド化剤と反応可能である。以下、重合工程で得られるアクリル系重合体を「未環化重合体」と称する場合がある。
α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、下記式(6)で表される化合物が好ましく用いられ、α,β−不飽和カルボン酸としては、下記式(7)で表される化合物が好ましく用いられる。下記式(6)および(7)において、R9〜R13は上記と同じ意味を表す。これらの中でも、式(6)で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、R11が水素原子であり、R12が水素原子またはメチル基である(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、式(7)で表されるα,β−不飽和カルボン酸としては、R9が水素原子であり、R10が水素原子またはメチル基である(メタ)アクリル酸が好ましい。
α,β−不飽和カルボン酸エステルとα,β−不飽和カルボン酸とを共重合する場合は、α,β−不飽和カルボン酸エステルとα,β−不飽和カルボン酸の合計100質量%に対してα,β−不飽和カルボン酸を45質量%以下の含有率で含有させることが好ましく、40質量%以下の含有率で含有させることがより好ましい。なお、重合工程では、α,β−不飽和カルボン酸エステルとα,β−不飽和カルボン酸とを共重合することが好ましく、これによりエステル基を含む繰り返し単位とカルボン酸基を含む繰り返し単位を有する未環化重合体が得られ、イミド化剤との反応を進行させやすくなる。
重合工程では、例えば、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法等の重合方法を用いることができるが、溶媒を使用する重合法である溶液重合法を用いることが好ましい。溶液重合法を用いれば、得られる重合体への微小な異物の混入を抑えることができ、光学材料用途等に好適に用いやすくなる。
重合溶媒は、通常のラジカル重合反応で使用される有機溶媒を用いることができる。具体的には、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のエステル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;クロロホルム;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合溶媒中の単量体成分の濃度は、重合条件や得られる重合体の所望する分子量等に応じて適宜設定すればよい。重合溶媒中の単量体成分の濃度は、例えば、溶媒100質量部に対して10質量部以上とすることが好ましく、20質量部以上がより好ましく、また300質量部以下が好ましく、200質量部以下がより好ましい。
重合反応の温度は、溶媒の種類や重合反応の進行度合に応じて適宜調整すればよいが、例えば、50℃以上が好ましく、55℃以上がより好ましく、また160℃以下が好ましく、145℃以下がより好ましい。重合反応の時間は、重合反応の進行度合に応じて適宜調整すればよいが、例えば、1〜48時間(好ましくは3〜24時間)行えばよい。
重合の際には公知の重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)・二塩酸塩、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等のアゾ化合物;過硫酸カリウム等の過硫酸塩類;クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシオクトエート、t−アミルパーオキシイソノナノエート等の過酸化物等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、例えば、単量体成分100質量部に対して0.01〜1質量部とすることが好ましい。重合の際には、必要に応じて、連鎖移動剤等を用いてもよい。
上記のようにして得られた単独または共重合体は、そのままイミド化剤と反応させてもよく、活性化してから反応させてもよい。上記に説明した無水グルタル酸単位は、この活性化単位の一つである。この無水グルタル酸単位を有するアクリル系重合体を得るためには、重合工程で、α,β−不飽和カルボン酸エステルとα,β−不飽和カルボン酸とを共重合させて未環化重合体を得た後、得られた未環化重合体の有する隣接するα,β−不飽和カルボン酸単位とα,β−不飽和カルボン酸エステル単位から脱アルコールし、または未環化重合体の有する隣接するα,β−不飽和カルボン酸単位2つから脱水する、環化工程を行うことが好ましい。環化工程では、脱アルコールまたは脱水することによって、環化縮合反応が進行し、アクリル系重合体の主鎖に無水グルタル酸構造が形成される。以下、環化工程で得られるアクリル系重合体を「環化重合体」と称する場合がある。
イミド化剤と反応させるアクリル系重合体が、無水グルタル酸単位(すなわち無水グルタル酸構造)を有していれば、イミド化剤との反応性を高めることができる。上述した未環化重合体をイミド化剤と反応させてイミド化する場合、イミド化剤の種類によっては、求核性が低く、未環化重合体の有するカルボン酸基やその誘導体との反応性が低下する場合がある。しかし、無水グルタル酸構造(酸無水物基)を有する環化重合体を用いれば、求核性が低いイミド化剤であっても、イミド化反応を進めやすくなる。つまり、イミド化率の高いグルタルイミド樹脂を得るためには、無水グルタル酸単位を有する環化重合体を用いることが好ましい。この方法は、特に、求核性の低い、アニリン等のアリールアミンを用いたときに有効である。
無水グルタル酸構造への環化反応は、未環化重合体を減圧下で加熱し、環化縮合させることにより行うことが好ましい。このような条件で反応を行う方法として、後述するようなベントを備えた押出機等を用いる方法が有効である。
環化工程は、環化反応を促進する点から、減圧下で行うことが好ましく、当該反応における圧力(絶対圧)は、例えば80kPa以下とすることが好ましく、60kPa以下がより好ましく、40kPa以下がさらに好ましい。当該圧力の下限は特に限定されないが、減圧状態を実現するための設備が過剰仕様とならず、設備費を低く抑える点から、1kPa以上が好ましい。
環化工程における反応温度(重合体温度)は、環化反応を促進する点から、240℃以上が好ましく、260℃以上がより好ましく、280℃以上がさらに好ましい。一方、重合体の分解や着色等を抑制する点から、当該温度は350℃以下が好ましく、330℃以下がより好ましい。
無水グルタル酸構造への環化反応に当たっては、触媒を用いることが好ましい。環化縮合反応を促進させる環化触媒としては、酸、塩基およびそれらの塩からなる群より選ばれた少なくとも1種を用いることができる。酸、塩基およびそれらの塩の種類は、特に限定されない。
酸としては、例えば、塩酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、リン酸、亜リン酸、フェニルホスホン酸、リン酸メチル等が挙げられる。塩基としては、例えば、金属水酸化物、アミン、イミン、金属アルコキシド、水酸化アンモニウム塩等が挙げられる。酸および塩基の塩としては、例えば、酢酸金属塩、ステアリン酸金属塩等の有機酸金属塩;炭酸金属塩等が挙げられる。これらの触媒の中では、少量で優れた反応促進効果を示すことから、アルカリ金属を有する化合物が好ましい。アルカリ金属を有する化合物を用いれば、環化反応の触媒として寄与するだけでなく、後述するエステル化反応の触媒としても寄与するため、エステル化反応の反応促進効果も期待できる。
アルカリ金属を有する化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムフェノキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムフェノキシド等のアルカリ金属アルコキシド;酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ステアリン酸ナトリウム等の有機酸アルカリ金属塩等が挙げられる。これらのアルカリ金属を有する化合物の中では、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、酢酸リチウムおよび酢酸ナトリウムが好ましく、ナトリウムメトキシドおよび酢酸リチウムがより好ましい。
環化触媒の量は特に限定されないが、重合体に着色などの悪影響を及ぼさず、重合体の透明性が低下しない範囲内で使用することが好ましい。環化触媒の使用量は、例えば、環化反応に供する未環化重合体、あるいは未環化重合体の重合に用いる単量体成分100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.02質量部以上がより好ましく、0.03質量部以上がさらに好ましく、また1質量部以下が好ましく、0.5質量部以下がより好ましく、0.2質量部以下がさらに好ましく、0.1質量部未満がさらにより好ましい。
上記のようにして得られる環化重合体の重量平均分子量は、例えば、10,000以上が好ましく、30,000以上がより好ましく、また500,000以下が好ましく、300,000以下がより好ましい。環化重合体のガラス転移温度は、例えば、115℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、125℃以上がさらに好ましく、また200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましい。
重合工程で得られた未環化重合体または環化工程で得られた環化重合体は、次にイミド化剤と反応させる(イミド化工程)。以下、未環化重合体と環化重合体をまとめて、「(イミド化の)原料重合体」と称する場合がある。
原料重合体をイミド化剤と反応させることにより、原料重合体の有するカルボン酸基および/または酸無水物基がイミド化され、主鎖にイミド環構造を有するアクリル系重合体(イミド化重合体)を得ることができる。この際、原料重合体に含まれるカルボン酸基および/または酸無水物基を完全にイミド化することは難しいため、得られるイミド化重合体は、イミド環構造を有するとともに、カルボン酸基および/または酸無水物基を有するものとなる。なお、効率的にイミド化を行うためには無水グルタル酸構造を有する環化重合体を用いることが好ましいことから、これをイミド化することにより得られるイミド化重合体も、少なくとも酸無水物基を有するものであることが好ましい。
イミド化剤としてはアミンやアンモニアを用いることができる。アミンとしては1級アミンを用いることが好ましく、例えば、炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキルアミン:炭素数3〜12のシクロアルキル基を有するシクロアルキルアミン;炭素数7〜12のアラルキル基を有するアラルキルアミン(例えば、ベンジルアミン等);炭素数6〜10のアリール基を有するアリールアミン(例えば、アニリン、トルイジン、トリクロロアニリン等)等を用いることができる。これらのイミド化剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。イミド化剤としては、耐熱性に優れ、複屈折が小さいグルタルイミド樹脂を得る点から、環構造を有するアミンを用いることが好ましく、炭素数3〜12のシクロアルキル基を有するシクロアルキルアミンまたは炭素数6〜10のアリール基を有するアリールアミンを用いることがより好ましく、アリールアミンがさらに好ましい。
イミド化剤の量は、イミド化重合体に含まれるグルタルイミド構造の所望量によって適宜調整すればよい。イミド化剤の量としては、例えば、イミド化剤と反応させる未環化重合体または環化重合体100質量部に対して、5〜100質量部の範囲で調整すればよく、10〜70質量部がより好ましい。
イミド化工程に供する原料重合体として無水グルタル酸構造を導入した環化重合体を用いる場合は、環化工程で生成した環化重合体を単離した後、これをイミド化工程でイミド化剤と反応させることにより、主鎖にイミド環構造を有するイミド化重合体を効率よく製造することができる。
イミド化剤によりイミド化反応を行う方法は、公知の方法を用いることができ、例えば、(1)イミド化に対して不活性な溶媒に原料重合体を溶解させ、得られた原料重合体溶液にイミド化剤を添加し、原料重合体とイミド化剤とを反応させる方法(バッチ式反応法)、(2)押出機等を用いて溶融状態の原料重合体にイミド化剤を添加し、原料重合体とイミド化剤とを反応させる方法(溶融混練法)等が挙げられる。
バッチ式反応法には、バッチ式反応槽(圧力容器)を用いることができる。バッチ式反応槽(圧力容器)は、原料重合体を溶媒に溶解させた溶液を加熱し、撹拌することができ、イミド化剤を添加することができる構造を有することが好ましく、イミド化反応の進行に伴って前記溶液の粘度が高くなることがあるので、撹拌効率に優れていることがより好ましい。バッチ式反応槽(圧力容器)としては、例えば、住友重機械工業社製、マックスブレンド(登録商標)撹拌槽等が挙げられる。
バッチ式反応法において、イミド化に対して不活性な溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の脂肪族アルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、クロロトルエン等の芳香族類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール等のエーテル類;等が挙げられる。これらの溶媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの溶媒の中では、トルエン、またはトルエンとメタノールとの混合溶媒が好ましい。
バッチ式反応法において、原料重合体とイミド化剤とを反応させる際の反応温度は、原料重合体をイミド化剤で効率よくイミド化させるとともに、過剰な熱履歴による原料重合体の分解、着色などを抑制する点から、160℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好ましく、また400℃以下が好ましく、350℃以下がより好ましく、300℃以下がさらに好ましい。
溶融混練法では、押出機を用いることができる。押出機としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機等が挙げられる。これらの押出機の中では、原料重合体とイミド化剤とを効率よく混合することができることから、二軸押出機が好ましい。押出機は、1機を単独で用いてもよく、2機以上を直列に接続してもよい。なお、押出機には、未反応のイミド化剤や副生物を除去(脱揮)するために、大気圧以下に減圧させることができるベントが備えられることが好ましい。ベントの数は、1つだけであってもよく、複数であってもよい。
ベント付押出機を用いる場合、押出機は、シリンダと、シリンダ内に設けられたスクリューとを有し、加熱手段を備えていることが好ましい。シリンダには、ベントが1つまたは複数設けられる。ベントは、押出機内の移送方向に対して、少なくとも原料投入部の下流側に設けられることが好ましく、原料投入部の上流側にも設けられてもよい。
溶融混練法において、原料重合体のイミド化は、例えば、原料重合体を押出機の原料投入部から投入し、原料重合体を溶融させ、シリンダ内に充満させた後、イミド化剤を添加ポンプで押出機中に注入することにより、行うことができる。
溶融混練法において、押出機中の反応ゾーンの温度(重合体温度)は、150℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましく、これによりイミド化反応を好適に進行させることができるとともに、得られるイミド化重合体中の残存揮発分を少なくすることができる。一方、前記温度は380℃以下が好ましく、350℃以下がより好ましく、300℃以下がさらに好ましく、これにより過剰な熱履歴による原料重合体の分解を抑えて、分子量の低下を抑えることができ、イミド化重合体の透明性も確保しやすくなる。なお、押出機中の反応ゾーンは、押出機のシリンダにおいて、イミド化剤の注入位置からイミド化重合体の吐出口(ダイス部)までの間の領域を意味する。
溶融混練法においては、押出機中の反応ゾーンにおける原料重合体とイミド化剤との反応時間を長くすることにより、原料重合体のイミド化を促進させることができる。押出機中の反応ゾーン内における原料重合体のイミド化に要する時間は、原料重合体のイミド化を十分に行う観点から、10秒間以上が好ましく、30秒間以上がより好ましい。
押出機内は、イミド化剤の溶解性を向上させる観点から、少なくとも一部を加圧状態とすることが好ましい(加圧ゾーン)。この場合、加圧ゾーンにおける原料重合体の圧力(絶対圧)は、大気圧以上とすることが好ましく、1MPa以上がより好ましい。また当該圧力は、押出機の耐圧性を考慮して、50MPa以下であることが好ましく、30MPa以下がより好ましい。脱揮をしながらイミド化反応を行う場合は、効率的に脱揮を行う点からイミド化反応の一部を減圧下で行うことが好ましく、押出機内の一部に減圧ゾーンを形成することが好ましい。この場合、押出機内の減圧ゾーンにおける圧力は、90kPa以下とすることが好ましく、80kPa以下がより好ましく、70kPa以下がさらに好ましい。一方、減圧状態を実現するための設備が過剰仕様とならず、設備費を低く抑える点から、減圧ゾーンの圧力は0.1kPa以上が好ましく、1kPa以上がより好ましい。
本発明で用いるイミド化されたアクリル系重合体(すなわちイミド環構造を有するとともに、カルボン酸基および/または酸無水物基を有するアクリル系重合体)は、上記のようにして製造することができる。このように製造されたイミド化重合体は、使用する単量体の種類や量、イミド化剤の使用量等によって変わるものの、例えば酸価が1.0mmol/g以上となり、条件によっては1.2mmol/g以上となる。イミド化重合体の酸価の上限としては、例えば5.0mmol/gである。
本発明の製造方法では、イミド化重合体をエステル化触媒の存在下でエステル化剤と反応させ(エステル化工程)、グルタルイミド樹脂を得る。エステル化工程により、イミド化重合体に含まれるカルボン酸基や酸無水物基をエステルに変換され、酸価の低減されたグルタルイミド樹脂を得ることができる。その結果、得られるグルタルイミド樹脂は、湿熱下でも吸水しにくいものとなり、湿熱下での耐久性に優れるものとなる。また、フィルム等への成形加工の際に、グルタルイミド樹脂の溶融粘度の過度の上昇が抑えられ、成形加工性を高めることができる。
本発明の製造方法では、エステル化触媒として、pKaが11以上の非環式塩基触媒を用いる。このような触媒を用いることにより、エステル化反応を効率的に進行させることができ、また得られるグルタルイミド樹脂の着色を抑えることができる。エステル化触媒として非環式塩基触媒を用いることにより、例えば、ジアザビシクロウンデセンのような環式塩基触媒を用いた場合と比べて、得られる樹脂の波長390nmでの吸光度を低く抑えることができる。
イミド化重合体をエステル化剤でエステル化させる方法としては、イミド化工程の場合と同様に、例えば、(1)エステル化に対して不活性な溶媒にイミド化重合体を溶解させ、得られたイミド化重合体溶液にエステル化剤とエステル化触媒を添加し、イミド化重合体とエステル化剤とを反応させる方法(バッチ式反応法)、(2)押出機等を用いて溶融状態のイミド化重合体にエステル化剤とエステル化触媒を添加し、イミド化重合体とエステル化剤とを反応させる方法(溶融混練法)等を採用することができる。
非環式塩基触媒としては、pKaが11以上で、環構造を有しない化合物であれば特に制限なく用いることができるが、窒素塩基を用いることが好ましい。窒素塩基としてはアミンを使用することも可能であるが、pKa11以上のアミンとするためには一般に、アミンの窒素原子に2以上の比較的強い電子供与性基が結合することが必要となる。この場合、アミンの窒素原子に炭素数が3以上のアルキル基が少なくとも1つ結合した第2級または第3級アミンを用いることが好ましい。また、当該アミンの合計炭素数が、5以上であることが好ましく、6以上であることがさらに好ましい。
非環式塩基触媒としては、アミン以外の窒素塩基を用いることが好ましく、これにより、得られるグルタルイミド樹脂のアミン由来の臭気を抑えやすくなる。そのような窒素塩基としては、アミジン構造を有する化合物を用いることが好ましい。アミジン構造を有する化合物は比較的高いpKaを有し、エステル化触媒として優れた触媒性能を発揮する。アミジン構造を有する化合物としては、具体的には下記式(8)の化合物が好ましい。
上記式(8)において、R14〜R17は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基(当該アルキル基は置換基としてアミノ基を有していてもよい)、またはN位に水素原子またはアルキル基が結合したアミノ基を表す。R14〜R17がアルキル基を含む場合、当該アルキル基は直鎖または分岐鎖状である。R14〜R16は、好ましくは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、R17は、好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、またはN位に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基が結合したアミノ基を表す。
非環式塩基触媒として用いる窒素塩基としては、グアニジン構造を有する化合物を用いることも好ましい。グアニジン構造を有する化合物も比較的高いpKaを有し、エステル化触媒として優れた触媒性能を発揮する。グアニジン構造を有する化合物としては、具体的には下記式(9)の化合物が好ましい。
上記式(9)において、R14〜R16は上記と同じ意味を表し、R18とR19は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基(当該アルキル基は置換基としてアミノ基を有していてもよい)、またはN位に水素原子またはアルキル基が結合したアミノ基を表す。R18とR19がアルキル基を含む場合、当該アルキル基は直鎖または分岐鎖状である。R14〜R16およびR18〜R19は、好ましくは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、より好ましくは、R14が水素原子を表し、R15〜R16、R18〜R19が水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。
pKaが11以上の非環式塩基触媒としては、具体的には、ジメチルヘキシルアミン(pKa11.04)、ジ−n−ブチルアミン(pKa11.3)、ジイソプロピルアミン(pKa11.1)、グアニジン、メチルグアニジン、エチルグアニジン、テトラメチルグアニジン(いずれもpKa11以上)等が挙げられる。pKaが11以上の非環式塩基触媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エステル化工程で用いるpKaが11以上の非環式塩基触媒の量は特に限定されないが、エステル化反応を好適に進行させる点から、当該触媒の使用量は、イミド化重合体100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましい。また、得られるグルタルイミド樹脂の着色を抑える点から、当該触媒の使用量は、イミド化重合体100質量部に対して、5.0質量部以下が好ましく、4.5質量部以下がより好ましく、4.0質量部以下がさらに好ましい。
エステル化工程で用いるエステル化剤としては、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジフェニル、2,2−ジメトキシプロパン、ジメチルスルホキシド、トリエチルオルトホルメート、トリメチルオルトアセテート、トリメチルオルトホルメート、ジメチルサルフェート、メチルトルエンスルホネート、メチルトリフルオロメチルスルホネート、メチルアセテート、イソプロペニルアセテート、メタノール、エタノール、メチルイソシアネート、p−クロロフェニルイソシアネート、ジメチルカルボジイミド、ジメチル−tert−ブチルシリルクロライド、ジメチルウレア、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ジメチルジエトキシシラン、テトラ−N−ブトキシシラン、ジメチル(トリメチルシラン)フォスファイト、トリメチルフォスファイト、トリメチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、ジアゾメタン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらのエステル化剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エステル化剤も非環式化合物を用いることが好ましい。エステル化剤としては、例えば、イミド化重合体のカルボン酸基または酸無水物基に、エステル交換反応により直鎖または分岐鎖状のアルキル基を導入できる化合物が好ましい。当該アルキル基は炭素数1〜18が好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜3であることがさらに好ましい。また、グルタルイミド樹脂の着色の懸念を低減する点から、エステル化剤は炭素と酸素と水素のみから構成される化合物が好ましい。これらのエステル化剤の中でも、コストを低減し、エステル化反応の反応性に優れる点から、炭酸ジメチルが特に好ましい。
エステル化剤の量は特に限定されないが、通常、イミド化重合体100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましく、また50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましい。
得られるグルタルイミド樹脂の着色を抑える点から、エステル化反応に供するイミド化重合体は、アルカリ金属の含有量が少ないことも好ましい。イミド化重合体の製造に当たっては、上記に説明したように、環化工程において環化反応のための触媒としてアルカリ金属を有する化合物を使用する場合があるが、当該アルカリ金属を有する化合物はエステル化反応の触媒としても寄与する。また、エステル化工程で、エステル化触媒の一部として新たにアルカリ金属を有する化合物を添加することも想定される。しかし、アルカリ金属は、得られるグルタルイミド樹脂の着色の原因ともなり得る。従って、イミド化重合体中のアルカリ金属の含有量は、イミド化重合体1g当たり、22×10-3mmol以下であることが好ましく、19×10-3mmol以下がより好ましく、17×10-3mmol以下がさらに好ましい。一方、エステル化反応や前段の環化反応の反応率を高める点から、イミド化重合体中のアルカリ金属の含有量は、イミド化重合体1g当たり、4.5×10-3mmol以上であることが好ましく、6.5×10-3mmol以上がより好ましく、8.5×10-3mmol以上がさらに好ましい。
上記のようにして得られたグルタルイミド樹脂は、pKaが11以上の非環式塩基触媒を含有するものとなる。また、このような触媒を用いてカルボン酸基および/または酸無水物基をエステル化すれば、得られる樹脂は酸価が低減されたものとなるとともに、着色が低減されたものとなる。
グルタルイミド樹脂の酸価は、湿熱下での耐久性を向上させる点から、0.5mmol/g以下であることが好ましく、0.4mmol/g以下がより好ましく、0.3mmol/g以下がさらに好ましい。グルタルイミド樹脂の酸価は、実施例に記載の方法に基づき求める。
グルタルイミド樹脂は、着色の少ないものとする点から、10質量%THF溶液としたときの波長390nmの吸光度が1.3以下であることが好ましく、1.0以下がより好ましく、0.8以下がさらに好ましく、0.7以下が特に好ましい。例えば、エステル化触媒として、環式塩基触媒であるジアザビシクロウンデセンを用いた場合、波長390nm付近に吸光度のピークが現れ、これに基づきグルタルイミド樹脂の着色が起こりやすくなるが、本発明のグルタルイミド樹脂によれば、波長390nm付近での吸光が抑えられ、樹脂の着色が起こりにくくなる。前記吸光度の下限は特に限定されないが、測定値として多少の吸光度が確認されても実用上ほとんど影響を与えないことから、前記吸光度は例えば0.3より大きくてもよく、0.35より大きくてもよい。なお、吸光度は行路長1cmのセルを用いて測定し、詳細は実施例の記載に基づく。
グルタルイミド樹脂はまた、着色の少ないものとする点から、L*a*b*表色系のb*値が5.00以下であることが好ましく、4.00以下がより好ましく、3.00以下がさらに好ましい。例えば、エステル化触媒として、環式塩基触媒であるジアザビシクロウンデセンを用いた場合、b*値が高くなる傾向を示し、黄色味がかった色を呈しやすくなるが、本発明のグルタルイミド樹脂によればこのような着色が起こりにくくなる。なおb*値は、グルタルイミド樹脂を厚さ100μmの未延伸フィルムに成形したものを測定したときの値であり、測定方法は実施例の記載に基づく。
グルタルイミド樹脂中のpKaが11以上の非環式塩基触媒の含有量は、グルタルイミド樹脂の着色を低減する点から、グルタルイミド樹脂100質量%中、5.0質量%以下であることが好ましく、4.5質量%以下がより好ましく、4.0質量%以下がさらに好ましい。一方、グルタルイミド樹脂の製造に当たってエステル化反応を進行させやすくする点から、グルタルイミド樹脂中のpKaが11以上の非環式塩基触媒の含有量は、グルタルイミド樹脂100質量%中、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。
グルタルイミド樹脂中のアルカリ金属の含有量は、グルタルイミド樹脂の着色を低減する点から、グルタルイミド樹脂1g当たり、22×10-3mmol以下であることが好ましく、19×10-3mmol以下がより好ましく、17×10-3mmol以下がさらに好ましい。一方、グルタルイミド樹脂中には、製造段階で環化触媒やエステル化触媒としてアルカリ金属を有する化合物が添加される場合があり、グルタルイミド樹脂中にはいくらかのアルカリ金属が含まれていてもよい。グルタルイミド樹脂の製造が容易になる点を考慮すれば、グルタルイミド樹脂中のアルカリ金属の含有量は、グルタルイミド樹脂1g当たり、4.5×10-3mmol以上であることが好ましく、6.5×10-3mmol以上がより好ましく、8.5×10-3mmol以上がさらに好ましい。
グルタルイミド樹脂は、下記式(1)で表されるグルタルイミド単位と、下記式(2)で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステル単位を有することが好ましい。下記式(1)のR1〜R5は、上記に説明した通りである。
上記式(2)において、R6およびR7は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。炭素数1〜8のアルキル基としては、R1〜R4のアルキル基として例示したアルキル基が挙げられる。なかでも、R6およびR7としては、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基であることがより好ましく、R6が水素原子で、R7が水素原子またはメチル基であることが好ましい。
式(2)において、R8は、炭素数1〜18のアルキル基または環構造を有する基を表す。R8の炭素数1〜18のアルキル基または環構造を有する基としては、R5の置換基として例示した炭素数1〜18のアルキル基や環構造を有する基が挙げられる。これらの中でも、R8としては、炭素数1〜18のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましく、メチル基、エチル基またはn−ブチル基が特に好ましい。これにより、得られるグルタルイミド樹脂の耐熱性を高めやすくなり、またグルタルイミド樹脂をフィルム化して光学フィルムを製造した際に、複屈折の小さい光学フィルムを得やすくなる。
グルタルイミド樹脂は、式(1)で表されるグルタルイミド単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよく、また式(2)で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステル単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
グルタルイミド樹脂が、式(1)のグルタルイミド単位と式(2)のα,β−不飽和カルボン酸エステル単位を有していれば、グルタルイミド樹脂の耐熱性や透明性を高めやすくなるとともに、複屈折を小さくすることが容易になる。すなわち、このグルタルイミド樹脂は、グルタルイミド単位に基づき弱い正の複屈折を示し、α,β−不飽和カルボン酸エステル単位に基づき弱い負の複屈折を示し、両者の複屈折が互いに打ち消しあうので、全体として低複屈折を示すものとなる。また、フィルム等への成形性が向上し、機械的強度を高めやすくなる。
グルタルイミド樹脂は、式(1)のグルタルイミド単位の含有率が5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、また85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、75質量%以下がさらに好ましい。式(1)のグルタルイミド単位の含有率が5質量%以上であれば、グルタルイミド樹脂の耐熱性や透明性を高めやすくなり、また複屈折を小さくすることが容易になる。式(1)のグルタルイミド単位の含有率が85質量%以下であれば、フィルム等への成形性が向上し、機械的強度を高めやすくなり、また複屈折を小さくすることが容易になる。
グルタルイミド樹脂は、式(2)のα,β−不飽和カルボン酸エステル単位の含有率が15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上がさらに好ましく、また95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましい。α,β−不飽和カルボン酸エステル単位の含有率が15質量%以上であれば、フィルム等への成形性が向上し、機械的強度を高めやすくなり、また複屈折を小さくすることが容易になる。α,β−不飽和カルボン酸エステル単位の含有率が95質量%以下であれば、グルタルイミド樹脂の耐熱性や透明性を高めやすくなり、また複屈折を小さくすることが容易になる。
グルタルイミド樹脂には、式(1)と式(2)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位が含まれていてもよい。なお、グルタルイミド樹脂は、式(1)と式(2)で表される繰り返し単位を主成分として含むことが好ましく、従ってグルタルイミド樹脂中、式(1)のグルタルイミド単位と式(2)のα,β−不飽和カルボン酸エステル単位とを合わせた含有率が50質量%以上となることが好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。グルタルイミド樹脂は、例えば、繰り返し単位としてスチレン由来の単位を有していてもよいが、スチレン由来の単位はあまり多く含まれないことが好ましい。従って、グルタルイミド樹脂中のスチレン由来の単位の含有率は10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましく、1質量%以下が特に好ましい。
グルタルイミド樹脂の重量平均分子量は、フィルム等へ成形したときの機械的強度を高める観点から、10,000以上が好ましく、30,000以上がより好ましく、またフィルム等への成形性を向上させる観点から、500,000以下が好ましく、300,000以下がより好ましい。グルタルイミド樹脂の重量平均分子量は、実施例に記載の方法に基づき求める。
グルタルイミド樹脂は、ガラス転移温度が130℃以上であることが好ましく、140℃以上がより好ましく、150℃以上がさらに好ましく、160℃以上が特に好ましい。グルタルイミド樹脂がこのようなガラス転移温度を有していれば、グルタルイミド樹脂の耐熱性が向上し、グルタルイミド樹脂を耐熱性が求められる用途、例えば画像表示装置等の用途への適用が可能となる。グルタルイミド樹脂のガラス転移温度の上限については、フィルム等への成形加工性を向上させる点から、250℃以下が好ましく、230℃以下がより好ましく、210℃以下がさらに好ましく、200℃以下が特に好ましい。グルタルイミド樹脂のガラス転移温度は、実施例に記載の方法に基づき求める。
グルタルイミド樹脂は、温度270℃、荷重98Nで測定したメルトフローレートが4.0g/10min以上が好ましく、6.0g/10min以上がより好ましく、7.5g/10min以上がさらに好ましい。グルタルイミド樹脂がこのようなメルトフローレートを有していれば、グルタルイミド樹脂の溶融粘度が低下し、成形加工性を高めることができる。また、グルタルイミド樹脂の成形温度を過度に高くしなくてすむため、樹脂の熱分解が起こりにくくなり、得られた成形品に発泡や異物の混入が生じにくくなる。成形加工に先立ってグルタルイミド樹脂の溶融物をフィルタを通して異物を取り除く場合は、フィルタの圧損を低く抑えて、生産性を高めることができる。一方、溶融粘度が低すぎても、フィルム成形や延伸などの成形加工が困難となるおそれがあることから、前記メルトフローレートは、40g/10min以下が好ましく、30g/10min以下がより好ましく、20g/10min以下がさらに好ましい。グルタルイミド樹脂のメルトフローレートは、JIS K 7210(B法)に準拠して求める。
グルタルイミド樹脂の応力光学係数(Cr)の絶対値は、当該樹脂を延伸させて得られる延伸フィルムの屈折率の異方性を抑制し、複屈折を小さくする観点から、0.3×10-9Pa-1以下が好ましく、0.2×10-9Pa-1以下がより好ましく、0.1×10-9Pa-1以下がさらに好ましい。グルタルイミド樹脂の応力光学係数(Cr)は、特開2015−105332号公報に記載の方法により求めることができる。
グルタルイミド樹脂は、フィルム等への成形加工性を向上させる点から、吸水率が、3.0%以下であることが好ましく、2.5%以下がより好ましく、2.0%以下がさらに好ましい。吸水率は、グルタルイミド樹脂を未延伸フィルムに成形し、実施例に記載の方法に基づき求める。
グルタルイミド樹脂は、他の熱可塑性樹脂と共に用いてもよく、例えば、ポリマーブレンドやポリマーアロイにしてもよい。他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化ビニル重合体;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系重合体;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロースアシレート;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴムあるいはアクリル系ゴムを配合したABS樹脂、ASA樹脂等のゴム質重合体等が挙げられる。
グルタルイミド樹脂は、種々の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等の酸化防止剤;耐光安定化剤、耐候安定化剤、熱安定化剤等の安定化剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;近赤外線吸収剤;紫外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃化剤;アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機充填材、無機充填材等の充填材;樹脂改質剤;可塑剤;滑剤等が挙げられる。
本発明のグルタルイミド樹脂は、例えば、光学フィルム等の原料として好適に使用することができる。光学フィルムは、グルタルイミド樹脂を用い、例えば、Tダイ法、インフレーション法等の溶融押出成形法、キャスト成形法、プレス成形法等によって製造することができる。光学フィルムを溶融押出成形法によって製造する場合、例えば、単軸押出機、二軸押出機等を用いることができる。
光学フィルムは、機械的強度を高めたり、所定の位相差を達成する観点から、一軸延伸または二軸延伸されていることが好ましく、二軸延伸されていることがより好ましい。本発明の光学フィルムを二軸延伸させる方法としては、例えば、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法等が挙げられる。
光学フィルムを延伸させる際の延伸温度は、破断させずに光学フィルムを延伸させるとともに、十分に分子配向させる観点から、グルタルイミド樹脂のガラス転移温度よりも20℃低い温度から当該ガラス転移温度よりも50℃高い温度までの温度範囲であることが好ましく、より好ましくはグルタルイミド樹脂のガラス転移温度よりも10℃低い温度から当該ガラス転移温度よりも30℃高い温度までの温度範囲である。
光学フィルムの延伸倍率は、縦方向および当該縦方向に直交する横方向のいずれの方向においても、機械的強度を高めたり、位相差を調整する観点から、それぞれ、1.5〜3倍程度であることが好ましく、1.5〜2.5倍程度であることがより好ましい。
延伸された光学フィルムの寸法変化率は、例えば透明伝導性フィルム等の二次加工が施されたフィルムの耐久性を向上させる観点から、1.0%以下であることが好ましく、0.7%以下がより好ましく、0.5%以下がさらに好ましく、0.2%以下が特に好ましい。光学フィルムの寸法変化率は次の方法により求める。溶融押出で得られた未延伸フィルムを96mm×96mmの大きさに切り出し、逐次二軸延伸機(東洋精機製作所社製、X−6S)を用い、Tg+20℃の温度にて240mm/分の延伸速度で縦方向(MD方向)および横方向(TD方向)の順にそれぞれ延伸倍率が2倍となるように逐次二軸延伸を行う。未延伸フィルムの二軸延伸を行った後、得られた延伸フィルムを速やかに試験装置から取り出して冷却することにより、厚さ40μmのフィルムを得て、これを裁断することにより、40mm×40mmの大きさのサンプル3枚を作製する。サンプルの四辺の長さ(La1、La2、La3、La4)をデジタルノギスで測定する。次に、前記サンプルを、温度85℃、相対湿度85%の恒温槽内で保管し、250時間経過後に恒温槽から取り出し、サンプルの四片の長さ(Lb1、Lb2、Lb3、Lb4)を再度測定する。サンプル3枚の各辺における寸法変化率を次式により求める:寸法変化率(%)=|(Lb−La)/La|×100(式中、Laは試験前における一辺の長さ、Lbは試験後における一片の長さを表す)。求めたサンプル3枚の各辺の寸法変化率の平均値を求め、その各辺の平均値の和を4で除することにより、フィルムの寸法変化率とする。
光学フィルムの厚さは、その用途によって異なるので一概には定めることはできない。例えば、光学フィルムを、液晶表示装置、有機EL表示装置などの画像表示装置に用いられる保護フィルム、反射防止フィルム、偏光フィルム等の用途に用いる場合には、当該光学フィルムの厚さは、1μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、20μm以上がさらに好ましく、また250μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、80μm以下がさらに好ましい。また、例えば、光学フィルムをITOフィルム、銀ナノワイヤーフィルム、メタルメッシュフィルム等に用いられる透明導電性フィルム等の用途に用いる場合には、当該光学フィルムの厚さは、20μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、40μm以上がさらに好ましく、また400μm以下が好ましく、350μm以下がより好ましく、300μm以下がさらに好ましい。
光学フィルムの面内位相差Reは、光学フィルムの屈折率の異方性を抑制し、複屈折を小さくする観点から、20nm以下が好ましく、10nm以下がより好ましく、5nm以下がさらに好ましく、3nm以下が特に好ましい。また、光学フィルムの厚さ方向位相差Rthの絶対値は、面内位相差Reと同様に、光学フィルムの屈折率の異方性を抑制し、複屈折を小さくする観点から、20nm以下が好ましく、10nm以下がより好ましく、5nm以下がさらに好ましく、3nm以下が特に好ましい。例えば、上記に説明した応力光学係数(Cr)の絶対値を0.3×10-9Pa-1以下に制御することにより、二軸延伸後における光学フィルムの厚さ方向位相差Rthの絶対値を20nm以下とすることができる。
光学フィルムの面内位相差Reおよび厚さ方向位相差Rthは、位相差フィルム・光学材料検査装置(大塚電子社製、RETS−100)を用い、波長590nmの光で、入射角40°の条件で測定することにより求める。光学フィルムの面内位相差Reは、式:Re=(nx−ny)×d(式中、nxは波長590nmの光に対する遅相軸方向(光学フィルムの面内において最大の屈折率を示す方向)の屈折率、nyは進相軸方向(光学フィルムの面内におけるnxと垂直な方向)の屈折率、dは光学フィルムの厚さ(nm)を表す)に基づいて求められる。また、厚さ方向位相差Rthは、式:Rth={(nx+ny)/2−nz}×d(式中、nxは波長590nmの光に対する遅相軸方向の屈折率、nyは進相軸方向の屈折率、nzはフィルムの厚さ方向の屈折率、dはフィルムの厚さ(nm)を表す)に基づいて求められる。
光学フィルムの光弾性係数の絶対値は、光漏れ、特に高温高湿度の環境下における光漏れを抑制する観点から、10×10-12Pa-1以下が好ましく、6×10-12Pa-1以下がより好ましい。光学フィルムの光弾性係数は次の方法に従い求める。すなわち、光学フィルムの延伸方向を長辺として20mm×50mmに切り出してサンプルを作製し、このサンプルをエリプソメーター(日本分光社製、品番:M−150)の光弾性計測ユニットに装着し、延伸方向と平行に5〜25Nの応力荷重を印加しながら複屈折を3点で計測し、波長590nmの光を用い、応力に対する複屈折の傾きを光弾性係数として求める。
光学フィルムの60〜100℃の温度範囲における線膨張係数は、高温環境下における寸法変化を抑制する観点から、80×10-6-1以下が好ましく、70×10-6-1以下がより好ましい。光学フィルムの60〜100℃における線膨張係数は、熱機械測定装置(島津製作所社製、TMA−60)を用い、測定荷重5g、昇温速度5℃/minで、60℃から100℃に昇温する際の傾きとして求める。なお、測定用のサンプルは、光学フィルムを延伸方向を長辺として5mm×20mmの大きさに切り出し、これを60℃で15時間の前処理を行った後、室温まで冷却することにより調製する。
光学フィルムには、必要に応じて、少なくとも一方の面にコーティング層が設けられる。コーティング層としては、例えば、帯電防止層、粘着剤層、接着剤層、易接着層、防眩(ノングレア)層、光触媒層、防汚層、反射防止層、ハードコート層、紫外線遮蔽層、熱線遮蔽層、電磁波遮蔽層、ガスバリヤー層等が挙げられる。
光学フィルムの少なくとも一方の面には透明導電層が設けられてもよく、これにより透明導電性フィルムを形成することができる。透明導電層を構成する材料としては、従来、当該分野で導電性材料として用いられているものがいずれも使用可能であり、具体的には、有機導電性化合物;有機導電性ポリマー;酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、インジウム−スズ酸化物(ITO)、アンチモン−スズ酸化物(ATO)、亜鉛−アルミニウム酸化物、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)等の金属酸化物;金、銀、銅、パラジウム、アルミニウム等の金属が挙げられる。これらの中でも、酸化亜鉛または酸化インジウムを含むものが好ましく、酸化インジウムを含むものがより好ましい。なかでも、インジウム−スズ酸化物は、高い透明性と導電性を兼ね備えているため好ましい。
透明導電層は、例えば、光学フィルムの少なくとも一方の面に設けられたハードコート層上に形成される。透明導電層は、ハードコート層に接して設けられても、他の層を介して設けられてもよい。例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法等の薄膜形成手段により、ハードコート層上に透明導電層を形成することができる。
透明導電層の厚みは、導電性を確保する点から、0.001μm以上が好ましく、0.005μm以上がより好ましく、0.01μm以上がさらに好ましく、また光透過性を向上させる点から、10μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.5μm以下がさらに好ましい。
光学フィルムの表面には光学調整層が形成されていてもよい。光学調整層は、入射される光線の透過率または反射率を適宜調整するための層である。光学調整層は、屈折率が相対的に低い低屈折率層と屈折率が相対的に高い高屈折率層とを交互に積層させることによって形成させることができる。
光学フィルムは、例えば、光ディスクの保護フィルム、液晶表示装置等の画像表示装置の偏光板に用いられる偏光子保護フィルム、位相差フィルム、視野角補償フィルム、光拡散フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、タッチパネル用導電フィルム、拡散板、導光体、プリズムシート等の用途に用いることが期待されるものである。従って、光学フィルムは、画像表示装置(例えば、液晶表示装置)等の用途に好適に使用することができる。
以下に、実施例を示すことにより本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは全て本発明の技術的範囲に包含される。
(1) 分析方法
(1−1) 重量平均分子量(Mw)
重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。測定に用いた装置および測定条件は以下の通りである。
−測定システム:東ソー社製GPCシステムHLC−8220
−測定側カラム構成:
東ソー社製、TSK−GEL SuperHZM−M 6.0×150、2本直列接続
東ソー社製、TSK−GEL SuperHZ−L 4.6×35、1本
−リファレンス側カラム構成:
東ソー社製、TSK−GEL SuperH−RC 6.0×150、2本直列接続
−展開溶媒:テトラヒドロフラン(和光純薬工業社製、特級)
−溶媒流量:0.6mL/分
−標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー社製、PS−オリゴマーキット)
−カラム温度:40℃
(1−2) ガラス転移温度(Tg)
ガラス転移温度は、JIS K 7121の規定に準拠して求めた。具体的には、示差走査熱量計(リガク社製、Thermo plus EVO DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温(昇温速度20℃/分)して得られたDSC曲線から、始点法により評価した。リファレンスには、α−アルミナを用いた。
(1−3) 酸価
塩化メチレン24.94gにグルタルイミド樹脂0.15gを溶解させ、メタノール14.85gを添加し、3時間撹拌した。その後、この溶液に1質量%フェノールフタレインエタノール溶液を2滴添加し、撹拌しながら、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を加え、室温で1時間撹拌を継続し、このときの0.1N水酸化ナトリウム水溶液の使用量をA(mL)とした。この溶液に0.1N塩酸を滴下して溶液の赤紫色が消失するまでの0.1N塩酸の滴下量B(mL)を測定した。次に、塩化メチレン24.94gとメタノール14.85gの混合液に1質量%フェノールフタレインエタノール溶液を2滴添加し、撹拌しながら、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を加え、室温で1時間撹拌を継続し、このときの0.1N水酸化ナトリウム水溶液の使用量をC(mL)とした。この溶液に0.1N塩酸を滴下して溶液の赤紫色が消失するまでの0.1N塩酸の滴下量D(mL)を測定した。樹脂中に残存する酸成分の量(カルボキシル基および酸無水物基の合計量)、すなわち酸価を次式により求めた:
酸価(mmol/g)=0.1×{(A−B)−(C−D)}/0.15
(1−4) 吸光度
吸光度は、グルタルイミド樹脂のテトラヒドロフラン(THF)溶液(樹脂濃度10質量%)を厚さ1cmのセルに入れ、分光光度計(島津製作所社製、UV−3100)を用いて、波長200nm〜800nmの範囲で測定し、そのうちの波長390nmでの測定値を用いて算出した。
(1−5) b*値
グルタルイミド樹脂を押出機で溶融押し出しして、厚さ100μmの未延伸フィルムを作製した。作製した未延伸フィルムのb*値を、分光色差計(日本電色工業社製、Colormeter ZE6000)を用いて、JIS Z 8730の規定に準拠して求めた。
(1−6) 非環式塩基触媒の含有量
グルタルイミド樹脂の非環式塩基触媒の含有量は、ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、GC2010)を用いて行った。まず、非環式塩基触媒とこはく酸ジメチルとをアセトンに溶解させた検量線溶液を調製し、当該溶液を下記測定条件のガスクロマトグラフィーで測定して得たピーク面積から検量線を作成した。次に、測定対象物であるグルタルイミド樹脂とこはく酸ジメチルとをアセトンに溶解させた測定試料を調製し、当該試料を下記測定条件のガスクロマトグラフィーで測定して、作成した検量線を用いた内部標準法により、グルタルイミド樹脂の非環式塩基触媒の含有量を求めた。測定条件は以下の通りである。
−カラム:RESTEK Rxi−624Sil MS
−温度:注入口温度250℃、検出器温度315℃
−キャリアガス:ヘリウム(カラム流量2.69mL/分)
−注入量:1.0μL
−内部標準試料:こはく酸ジメチル
−希釈溶剤:アセトン
具体的には、
−カラム:RESTEK Rxi−624Sil MS 0.25mmID 30m
−温度:40℃(5分保持)+40℃〜310℃(10℃/分)+310℃(10分保持)
−注入口温度:250℃
−検出器温度:315℃
−キャリアガス:ヘリウム(カラム流量1.27mL/分)
−注入量:1.0μL
−内部標準試料:トリデカン
−希釈溶剤:アセトン
(1−7) アルカリ金属の含有量
グルタルイミド樹脂のアルカリ金属の含有量は、グルタルイミド樹脂をマイクロ波試料前処理装置(マイルストーン社製、ETHOS ONE)を用いて前処理を行い、その試料を水で希釈し、ICP−MS(アジレント・テクノロジー社製、Agilent(登録商標)7700S)を用いて測定した。
(1−8) 吸水率
グルタルイミド樹脂を押出機で溶融押し出しして、厚さ100μmの未延伸フィルムを作製した。得られた未延伸フィルムを80℃で24時間乾燥させた後、その質量(X)を測定した。次に、前記で得られた未延伸フィルムを85℃、相対湿度85%の恒温槽内で保管することによって吸水させ、250時間経過後に恒温槽から取り出し、吸水後の未延伸フィルムの質量(Y)を測定した。未延伸フィルムの吸水率を次式により求めた:吸水率(%)={(Y−X)/X}×100。
(2) グルタルイミド樹脂の製造
(2−1) 実施例1
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入管を備えた反応釜に、メタクリル酸メチル79.4質量部、メタクリル酸20.6質量部、重合溶媒としてトルエン90.0質量部とメタノール22.5質量部の混合溶媒、および酸化防止剤(ADEKA社製、アデカスタブ(登録商標)2112)0.05質量部を仕込み、反応釜内に窒素ガスを通じながら73℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まった時点で、重合開始剤としてジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業社製、V−601)0.25質量部を反応釜内に添加するとともに、トルエン7.3質量部とメタノール1.8質量部の混合溶媒に上記ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)0.35質量部を溶解した溶液を2時間かけて反応釜内に滴下しながら、約71〜76℃の還流下で溶液重合を行った。ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)の滴下終了後に、さらに4時間かけて熟成を行うことにより、重合体溶液を得た。得られた重合体溶液に含まれるアクリル系重合体(未環化重合体)におけるメタクリル酸由来の繰り返し単位の含有率は20.6質量%であり、重量平均分子量は11万であった。
次に、環化縮合反応の触媒(環化触媒)であるナトリウムメトキシド0.05質量部を9.9質量部のメタノールに溶解した触媒溶液を、約65〜70℃の反応釜内の重合体溶液に20分間かけて滴下し、均一な触媒含有重合体溶液とした。得られた触媒含有重合体溶液を、バレル温度290℃、回転数70rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数2個のベントタイプスクリュー二軸押出機(孔径:15mm、L/D:45)内に、樹脂量換算で300g/hの処理速度で導入し、この押出機内の脱揮を行い、軸内滞留時間0.9分程度で押し出すことにより、無水グルタル酸構造を有するアクリル系重合体(環化重合体)の透明なペレットPを得た。得られた環化重合体の重量平均分子量は10万であり、ガラス転移温度は131℃であった。
次に、得られたペレットPを、バレル温度330℃、回転数300rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、ベント数1個のベントタイプスクリュー二軸押出機(孔径:15mm、L/D:45)内に、樹脂量換算で480g/hの処理速度でホッパーより導入し、ホッパーの後よりアニリンを液添ポンプにて230g/hの投入速度で押出機内に注入し、軸内滞留時間5.6分程度で押し出すことにより、イミド環構造を有するアクリル系重合体(イミド化重合体)の透明なペレットQを得た。得られたイミド化重合体は、式(1)において、R1とR3が水素原子、R2とR4がメチル基、R5がフェニル基である繰り返し単位と、式(2)において、R6が水素原子、R7がメチル基、R8がメチル基である繰り返し単位を有しており、重量平均分子量が9.4万、ガラス転移温度が179℃、酸価が1.27mmol/gであった。
次に、得られたペレットQを、バレル温度260℃、回転数300rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、ベント数1個のベントタイプスクリュー二軸押出機(孔径:15mm、L/D:45)内に、樹脂量換算で420g/hの処理速度でホッパーより導入し、ホッパーの後より、樹脂100質量部に対して24.0質量部の炭酸ジメチルと3.0質量部のテトラメチルグアニジン(TMG;pKaが11以上の非環式塩基触媒)の混合液を液添ポンプにて押出機内に注入し、軸内滞留時間2.2分程度で押出すことにより、エステル化されたグルタルイミド樹脂の透明なペレットRを得た。得られたグルタルイミド樹脂は、重量平均分子量が8万、ガラス転移温度が159℃、酸価が0.26mmol/gであり、樹脂中のテトラメチルグアニジンの含有率は1.8質量%であった。
次に、得られたペレットRを単軸押出機(孔径:20mm、L/D:25)に入れ、Tダイ温度を275℃に調節し、コートハンガータイプTダイ(幅150mm)から溶融押し出しを行い、ロール温度145℃の冷却ロール上に吐出することにより、厚さ100μmの未延伸フィルムを作製した。得られたフィルムの波長390nmにおける吸光度は0.63、b*値は2.95であった。
(2−2)実施例2
実施例1で得られたペレットQを用い、炭酸ジメチルの添加量を16.0質量部に変更し、テトラメチルグアニジンの添加量を1.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてペレットQからペレットRを製造した。得られたペレットRのグルタルイミド樹脂は、重量平均分子量が8万、ガラス転移温度が162℃、酸価が0.26mmol/gであり、樹脂中のテトラメチルグアニジンの含有率は0.5質量%であった。また、実施例1と同様にして厚さ100μmの未延伸フィルムを作製したところ、このフィルムの波長390nmにおける吸光度は0.40、b*値は1.29であった。
(2−3)実施例3
実施例1で得られたペレットQを用い、炭酸ジメチルの添加量を24.0質量部に変更し、テトラメチルグアニジンの添加量を1.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてペレットQからペレットRを製造した。得られたペレットRのグルタルイミド樹脂は、重量平均分子量が8万、ガラス転移温度が161℃、酸価が0.17mmol/gであり、樹脂中のテトラメチルグアニジンの含有率は0.6質量%であった。また、実施例1と同様にして厚さ100μmの未延伸フィルムを作製したところ、このフィルムの波長390nmにおける吸光度は0.42、b*値は1.41であった。
(2−4)実施例4
実施例1において、環化触媒であるナトリウムメトキシドの添加量を0.02質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてペレットPを製造した。次いで、ペレットPからペレットQの製造の際に、二軸押出機へ導入するペレットPの処理速度を450g/hに変更し、アニリンの投入速度を260g/hに変更し、滞留時間を4.5分程度に変更した以外は、実施例1と同様にしてペレットPからペレットQを製造した。得られたペレットQのイミド環構造を有するアクリル系重合体(イミド化重合体)は、式(1)において、R1とR3が水素原子、R2とR4がメチル基、R5がフェニル基である繰り返し単位と、式(2)において、R6が水素原子、R7がメチル基、R8がメチル基である繰り返し単位を有しており、重量平均分子量が9.2万、ガラス転移温度が171℃、酸価が1.58mmol/gであった。
次に、上記で得られたペレットQを用い、炭酸ジメチルの添加量を16.0質量部に変更し、テトラメチルグアニジンの添加量を2.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様の製造条件で、ペレットQからペレットRを製造した。得られたペレットRのグルタルイミド樹脂は、重量平均分子量が8.2万、ガラス転移温度が168℃、酸価が1.16mmol/gであり、樹脂中のテトラメチルグアニジンの含有率は0.9質量%であった。また、実施例1と同様にして厚さ100μmの未延伸フィルムを作製したところ、このフィルムの波長390nmにおける吸光度は0.41、b*値は1.40であった。
(2−5)実施例5
実施例1において、環化触媒であるナトリウムメトキシドの添加量を0.1質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてペレットPを製造した。次いで、ペレットPからペレットQの製造の際に、二軸押出機へ導入するペレットPの処理速度を450g/hに変更し、アニリンの投入速度を162g/hに変更した以外は、実施例1と同様にしてペレットPからペレットQを製造した。得られたペレットQのイミド環構造を有するアクリル系重合体(イミド化重合体)は、式(1)において、R1とR3が水素原子、R2とR4がメチル基、R5がフェニル基である繰り返し単位と、式(2)において、R6が水素原子、R7がメチル基、R8がメチル基である繰り返し単位を有しており、重量平均分子量が9.2万、ガラス転移温度が161℃、酸価が1.15mmol/gであった。
次に、上記で得られたペレットQを用い、炭酸ジメチルの添加量を16.0質量部に変更し、テトラメチルグアニジンの添加量を2.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様の製造条件で、ペレットQからペレットRを製造した。得られたペレットRのグルタルイミド樹脂は、重量平均分子量が7.9万、ガラス転移温度が148℃、酸価が0.25mmol/gであり、樹脂中のテトラメチルグアニジンの含有率は0.8質量%であった。また、実施例1と同様にして厚さ100μmの未延伸フィルムを作製したところ、このフィルムの波長390nmにおける吸光度は1.21、b*値は3.20であった。
(2−6)比較例1
実施例1で得られたペレットQを用い、テトラメチルグアニジンの代わりにジアザビシクロウンデセン(DBU;環式塩基触媒)を3.0質量部用いた以外は、実施例1と同様にしてペレットQからペレットRを製造した。得られたグルタルイミド樹脂は、重量平均分子量が8万、ガラス転移温度が159℃、酸価が0.43mmol/gであった。また、実施例1と同様にして厚さ100μmの未延伸フィルムを作製したところ、このフィルムの波長390nmにおける吸光度は1.41、b*値は5.85であった。
(2−7)比較例2
実施例4で得られたペレットQを用い、テトラメチルグアニジンの代わりにジアザビシクロウンデセンを2.0質量部用いた以外は、実施例4と同様にしてペレットQからペレットRを製造した。得られたグルタルイミド樹脂は、重量平均分子量が8.4万、ガラス転移温度が155℃、酸価が0.77mmol/gであった。また、実施例1と同様にして厚さ100μmの未延伸フィルムを作製したところ、このフィルムの波長390nmにおける吸光度は0.80、b*値は2.50であった。
(2−8)比較例3
実施例5で得られたペレットQを用い、テトラメチルグアニジンの代わりにジアザビシクロウンデセンを2.0質量部用いた以外は、実施例5と同様にしてペレットQからペレットRを製造した。得られたグルタルイミド樹脂は、重量平均分子量が7.6万、ガラス転移温度が148℃、酸価が0.13mmol/gであった。また、実施例1と同様にして厚さ100μmの未延伸フィルムを作製したところ、このフィルムの波長390nmにおける吸光度は3.86、b*値は15.90であった。
(2−9) 結果
実施例1〜5と比較例1〜3の結果を表1にまとめる。表1の結果から分かるように、環化触媒のナトリウムメトキシドの添加量が同じ条件では、エステル化触媒としてpKaが11以上の非環式塩基触媒であるテトラメチルグアニジンを用いることにより、環式塩基触媒であるジアザビシクロウンデセンを用いた場合と比べて、波長390nmにおける吸光度やb*値の小さいグルタルイミド樹脂が得られた。
本発明に係るグルタルイミド樹脂は、例えば、VD、CD、DVD、MD、LDなどの光ディスクの基板の保護フィルム、LCDなどの液晶表示装置などの画像表示装置に備えられている偏光板に用いられる偏光子保護フィルムなどの光学用保護フィルム、有機ELディスプレイ(OLED)に用いられる反射防止フィルム、ITO層などの透明導電層が形成された透明導電性フィルム等の光学フィルムの原料などに好適に使用することができる。

Claims (20)

  1. イミド環構造を有するとともに、カルボン酸基および/または酸無水物基を有するアクリル系重合体を、pKaが11以上の非環式塩基触媒の存在下でエステル化剤と反応させる工程を有するグルタルイミド樹脂の製造方法であって、
    前記グルタルイミド樹脂が、下記式(1)で表される繰り返し単位と、下記式(2)で表される繰り返し単位を有し、

    [式(1)中、R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、R 5 は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基または環構造を有する基を表す。]

    [式(2)中、R 6 およびR 7 は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、R 8 は、炭素数1〜18のアルキル基または環構造を有する基を表す。]
    前記非環式塩基触媒として、第2級アミン、第3級アミン、またはアミジン構造を有する化合物を用いることを特徴とするグルタルイミド樹脂の製造方法
  2. アルカリ金属を、前記アクリル系重合体1g当たり、4.5×10-3mmol以上22×10-3mmol以下含有する請求項1に記載のグルタルイミド樹脂の製造方法。
  3. 前記アミジン構造を有する化合物がグアニジン構造を有する化合物である請求項1または2に記載のグルタルイミド樹脂の製造方法。
  4. 前記非環式塩基触媒として、ジメチルヘキシルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソプロピルアミン、グアニジン、メチルグアニジン、エチルグアニジン、またはテトラメチルグアニジンを用いる請求項1〜3のいずれか一項に記載のグルタルイミド樹脂の製造方法。
  5. 前記非環式塩基触媒を、前記アクリル系重合体100質量部に対して、0.2質量部以上5.0質量部以下用いる請求項1〜4のいずれか一項に記載のグルタルイミド樹脂の製造方法。
  6. 前記グルタルイミド樹脂は、前記式(1)で表される繰り返し単位の含有率が5質量%以上85質量%以下であり、前記式(2)で表される繰り返し単位の含有率が15質量%以上95質量%以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載のグルタルイミド樹脂の製造方法。
  7. 前記式(1)において、R 5 が、炭素数3〜12のシクロアルキル基または炭素数6〜10のアリール基である請求項1〜6のいずれか一項に記載のグルタルイミド樹脂の製造方法。
  8. 前記グルタルイミド樹脂は、L*a*b*表色系のb*値が5.00以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載のグルタルイミド樹脂の製造方法。
  9. 前記エステル化剤が非環式化合物である請求項1〜8のいずれか一項に記載のグルタルイミド樹脂の製造方法。
  10. 前記エステル化剤が、炭素と酸素と水素のみから構成される化合物である請求項1〜9のいずれか一項に記載のグルタルイミド樹脂の製造方法。
  11. pKaが11以上の非環式塩基触媒を5.0質量%以下の含有量で含有するグルタルイミド樹脂であって
    酸価が0.5mmol/g以下であり、
    10質量%THF溶液としたときの波長390nmの吸光度が1.3以下であり、
    前記グルタルイミド樹脂が、下記式(1)で表される繰り返し単位と、下記式(2)で表される繰り返し単位を有し、

    [式(1)中、R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、R 5 は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基または環構造を有する基を表す。]

    [式(2)中、R 6 およびR 7 は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、R 8 は、炭素数1〜18のアルキル基または環構造を有する基を表す。]
    前記非環式塩基触媒が、第2級アミン、第3級アミン、またはアミジン構造を有する化合物であることを特徴とするグルタルイミド樹脂。
  12. アルカリ金属を、グルタルイミド樹脂1g当たり、4.5×10-3mmol以上22×10-3mmol以下含有する請求項11に記載のグルタルイミド樹脂。
  13. 前記アミジン構造を有する化合物がグアニジン構造を有する化合物である請求項11または12に記載のグルタルイミド樹脂。
  14. 前記非環式塩基触媒が、ジメチルヘキシルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソプロピルアミン、グアニジン、メチルグアニジン、エチルグアニジン、またはテトラメチルグアニジンである請求項11〜13のいずれか一項に記載のグルタルイミド樹脂。
  15. 前記式(1)で表される繰り返し単位の含有率が5質量%以上85質量%以下であり、前記式(2)で表される繰り返し単位の含有率が15質量%以上95質量%以下である請求項11〜14のいずれか一項に記載のグルタルイミド樹脂。
  16. 前記式(1)において、R5が、炭素数3〜12のシクロアルキル基または炭素数6〜10のアリール基である請求項11〜15のいずれか一項に記載のグルタルイミド樹脂。
  17. L*a*b*表色系のb*値が5.00以下である請求項11〜16のいずれか一項に記載のグルタルイミド樹脂。
  18. 請求項1117のいずれか一項に記載のグルタルイミド樹脂を含有することを特徴とする光学フィルム。
  19. 請求項18に記載の光学フィルムの少なくとも一方側の面に透明導電層を有することを特徴とする透明導電性フィルム。
  20. 請求項18に記載の光学フィルムまたは請求項19に記載の透明導電性フィルムを有することを特徴とする画像表示装置。
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