JP5574509B2 - 芳香族アルデヒドの芳香族アシルハライドへの変換方法 - Google Patents
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Description
特許文献2には、ニート塩素置換芳香族アルデヒドが温和な温度で塩素ガスと接触せしめられる方法が開示されている。この方法は塩素置換芳香族アルデヒドについてのみ適用されそして約80%の収率を与えた。
特許文献4では、酸化触媒の存在下キシレンを酸化し、次いで酸化生成物を塩素化することでフタロイルクロライドが製造された。芳香族ジカルボン酸クロライドを含む不活性溶媒を用いてもよい。反応混合物は、トルエン酸類、フタル酸類、メチルおよびカルボキシベンツアルデヒド類並びにメチルベンジルトルエート類を含有する。この製造法は幾つかの欠点を有している。生成物の一部が酸化触媒の存在のために環塩素化される。混合物中のメチル基と酸基の等モルを正確に制御することが必須である。これらの官能基の存在下での不均衡はいかなるものであっても反応混合物から取り除くことが困難である副生成物を可成りの量で生成することになる。さらに、塩素化工程で副生成物を形成するのを避けるために、酸化で生成される水を除去することも必要である。最後に、酸化工程、塩素化工程および融解工程を含む複雑な方法もまた不利である。
テレフタルアルデヒドは溶媒としての四塩化炭素(CTC)中で塩素と温和な温度で反応して高収率で変換された。この方法によれば、TPALは約35℃の温度でCTC中に緩やかに溶解されそしてその溶液やスラリーを塩素ガスにさらすことによって高変換率且つ高選択率で塩素化される。反応の反応速度、変換率および選択率は光の存在によって影響されない。反応は完全な暗闇中で完璧に良く進行する。
しかしながら、四塩化炭素および他のハロゲン化脂肪族炭化水素の使用は、一層厳しい環境要望のために、もはや許容されず、この溶媒を用いる工業的方法はオゾン層への有害な影響のために政府認可は見込めない。それ故、反応時間と反応温度に関する反応条件が同様に望ましい同様の高収率と選択率を持つ新規方法のための研究が求められた。
必要なことではないが、反応媒体を活性光線で照射することによって反応速度を上げることは有利である。照射は、芳香族アルデヒドがハロゲンと接触せしめられている全反応期間または一部の反応期間中することができる。
“芳香族アシルハライド”という用語は芳香族アルデヒドから得られる反応生成物を表わしている。“如何なる芳香族アシルハライド”という用語は反応生成物または如何なる他の芳香族アシルハライドを表わしている。IDC(イソフタロイルジクロライド)とTDCは反応生成物として製造されるかまたは共溶媒として用いられる最も慣用の芳香族アシルハライドであるが、それらの相当する臭化物と添加物および置換された類縁化合物、例えばナフトタロイルジクロライドの如き堅固な化合物、も同様に用いられる。
一般に、芳香族アルデヒドが低温で、好ましくは90℃未満で、最も好ましくは室温で溶解する共溶媒が選ばれる。共溶媒はTDC、IDC、ベンゾイルクロライド等およびそれらの混合物の如き如何なる芳香族アシルクロライドであってもよい。
温和な温度(90℃)では、反応速度は低くそして選択率は高いが商業的に許容される反応時間で限られた変換率が得られる(30〜50%)。中間生成物3−または4−ホルミルベンゾイルクロライド(3−FBCまたは4−FBC)と異なる副生成物は検出されなかった。活性光線による照射は反応速度を可成り促進し、90%以上のTPAL変換を与えることが判った。ハロゲン光は副生成物としてのCl−TDC(クロロテレフタロイルジクロライド)の生成を抑制する点で最も良い結果を与えることも明らかになった。
TDCを製造する実際の方法はIDCとTDCの共融混合物中にTPALを溶解し、塩素を加え、そしてTPALのTDCへの変換が終了した後に共溶媒IDCから結晶化によってTDCを分離する。
反応開始時の反応媒体の量に関して芳香族アルデヒドの好適な量は、反応媒体の重量に基づいて5〜100重量%、好ましくは10〜60重量%である。10重量%より少ない量は経済的に魅力がなく、60重量%より多い量は高い反応温度を必要とする。
明らかに、TPALからTDCを製造する本方法は公知方法を凌賀する主な利点を有する。その理由はそれが簡単な一段法でありそして塩素必要量と塩酸生成とはUS2,791,608の方法よりも33%少ない、ためである。
温度センサーとガス入口スパージャーとを備えた、1lのショット瓶が反応容器として用いられた。混合はマグネティックスターラーで行った。金属フレームに固定された反応器が所望の反応温度を達成するために用いられた、温水を満たした容器皿中に懸垂された。
塩素が小さいサイズのCl2シリダーから反応容器へ供給された。ガス流は予め校正された質量流れ制御器により制御されそして湿気を除去するためにフィルターを通して導かれた。Cl2の供給前後において、反応器内容物が窒素ガスで排気された。この反応混合物はN2(g)とCl2(g)の混合物にさらされた。
実験前後の吸収ボトルの重量を測ることによって、排気中のCl2とHClの全量の表示が得られる。HClとCl2間の区別はボトル1が水で満たされるときになされる。
照射実験のために20Wまたは50Wハロゲン光源のいずれかまたは150W高圧水銀光源(主として光スペクトルのUV域を放射する)が用いられた。
IDC(イソフタロイルジクロライド)、IPALおよびTPALは、シグマ アルドリッチ社から購入した(純度>99%);Cl2は小さいサイズのシリンダー(12.5kg)から純度2.8(>99.8vol%に等しい)で得られた。
TDCはオランダ国デルフザイルのテイジン アラミド社のTDCプラントから得た。
14.9gのTPAL(111ミリモル)が600mlのTDC中に溶解された。化学量論的必要量の約2倍の量の塩素が混合物を通して泡立てられた。その間の混合物は90℃の一定温度に維持された。最初の53分間の間に346ミリモルのCl2が混合物に添加され(6.5ミリモル/分の一定速度)次いで2時間17分の間に余分の66ミリモルのCl2が添加された(0.5ミリモル/分)。最終反応混合物のサンプルのガスクロマトグラフィー分析は、TPALの50%変換を可成りの量の4−ホルミルベンゾイルクロライド(4−FBC)を得ながら示していた。
実験1が反応器の外部に位置する高圧水銀UV光源(150W)で反応混合物に照射しながら、つづけられた。56分間の間に362ミリモルのCl2が供給され(6.5ミリモル/分の一定速度で)次いで2時間18分間でさらに66.5ミリモルのCl2が供給された(0.5ミリモル/分)。
TPALは、少量の還塩素化TDCの生成を伴いつつも、ほぼ完全にTDCに変換された。
12.6gのTPAL(94ミリモル)が560mlのTDC中に溶解された。化学量論的必要量の約2倍量の塩素が90℃の一定温度で混合物を通して泡立てられた。混合物は50Wハロゲン光源で照射された。最初の59分間の間に382ミリモルのCl2が混合物に添加され(6.5ミリモル/分の一定速度で)次いで2時間28分間で余分の71ミリモルのCl2が供給された(0.5ミリモル/分)。最終反応混合物のサンプルのガスクロマトグラフィー分析は、実験2と比較して遥かに良好な選択率を得つつ、TPALのほぼ完全な変換を示していた。
10gのTPALと10gのIPAL(イソフタルアルデヒド)(両方74.5ミリモル)が150mlのTDCに溶解された。この混合物を20Wハロゲン光源で照射し、実験中90℃に維持した。最初の50分間の間に323.5ミリモルのCl2が混合物に添加され(6.5ミリモル/分の一定速度で)次いで2時間45分間で余分の79.5ミリモルのCl2が添加された(0.5ミリモル/分)。
TPALとIPALは完全に且つ高選択的にそれぞれ、TDCとIDC(イソフタロイル ジクロライド)に変換された。
10gのTPALと10gのIPAL(両方74.5ミリモル)がTDC含量が30質量%のTDC/IDC混合物500ml中に溶解された。この混合物は20Wハロゲン光源で照射され、実験中50〜55℃に維持された。最初の45分間の間に291ミリモルのCl2が混合物に添加され(6.5ミリモル/分の一定速度で)次いで2時間35分間で余分の75ミリモルのCl2が添加された(0.5ミリモル/分)。
TPALとIPALは完全に且つ高選択的に、それぞれ、TDCとIDCに変換された。最初の45分後既に、TPALとIPALは、完全に消失した。しかし、中間生成物4−FBCと3−FBCを表わすピークは同定することができた。
10.29gのTPAL(76.7ミリモル)と5.42gのIPAL(40.4ミリモル)が、TDC含量30質量%のTDC/IDC混合物500ml中に溶解された。この混合物は照射されず且つ実験中45〜50℃に維持された。最初の45分間の間に291ミリモルのCl2が混合物に添加され(6.5ミリモル/分の一定速度で)次いで3時間45分で余分の128ミリモルのCl2が添加された(0.56ミリモル/分)。
最終生成物は、TPALおよびIPALのそれぞれTDCおよびIDCへの完全且つ高選択的変換を示していた。
9.9gのTPAL(73.8ミリモル)と3.32gのIPAL(ともに24.8ミリモル)がTDC含量30質量%のTDC/IDC混合物500ml中に溶解された。この混合物は20Wハロゲン光源で照射され、そして実験中43℃に維持された。30分間の間に194ミリモルのCl2が混合物に添加された(6.5ミリモル/分の一定速度で)。
最終生成物は、TPALおよびIPALのそれぞれTDCおよびIDCへの完全且つ高選択的変換を示していた。
189gのTPAL(1409ミリモル)がTDC含量30質量%のTDC/IDC混合物355ml中に溶解された。この混合物は20Wハロゲン光源で照射され、そして実験中75℃で維持された。3時間6分の間に1522ミリモルのCl2が混合物に添加された(8.2ミリモル/分の一定速度で)。
TPALは4−FBCとTDCに一部変換されただけであった。
10.32gのTPAL(76.9ミリモル)が500mlのベンゾイルクロライド中に溶解された。この混合物は20Wハロゲン光源で照射され、そして実験中室温(22℃)で維持された。30分間の間に194ミリモルのCl2が混合物に添加された(6.5ミリモル/分の一定速度で)。
最終生成物は、TPALのTDCへの完全且つ高選択的変換を示していた。
34.4gのTPAL(257ミリモル)と46.6gのIPAL(348ミリモル)が溶解された。この粘性混合物(共溶媒なし)は20Wハロゲン光源で照射され、そして実験中90℃で維持された。4時間の間に、1440ミリモルのCl2が混合物に添加された(6ミリモル/分の一定速度で)。
高粘性のために、変換率は43%にすぎず、選択率は44%であった。
Claims (8)
- 芳香族ジアルデヒドまたは芳香族ジアルデヒド混合物をキシレンを含まない反応媒体中で芳香族アシルハライドまたは芳香族アシルハライド混合物である反応生成物に変換する方法であって、芳香族ジアルデヒドまたは芳香族ジアルデヒド混合物をハロゲンと接触せしめて反応生成物を得、その際、反応媒体は、芳香族アシルハライドまたはその混合物よりなる群から選ばれる共溶媒を含有する、上記方法。
- 共溶媒が反応生成物と同じ、一つまたは複数の化合物である請求項1による方法。
- 共溶媒が反応生成物と同じ、一つまたは複数の化合物98〜100%を含む請求項2による方法。
- 反応媒体がハロゲンと接触せしめられている期間の少なくとも一部期間、反応媒体が活性光線で照射されている請求項1〜3のいずれかによる方法。
- 芳香族ジアルデヒドがテレフタルアルデヒドであり、共溶媒がテレフタロイルジクロライドでありそしてハロゲンが塩素である請求項1による方法。
- 芳香族ジアルデヒドがイソフタルアルデヒドであり、共溶媒がイソフタロイルジクロライドでありそしてハロゲンが塩素である請求項1による方法。
- 芳香族ジアルデヒドがテレフタルアルデヒドであり、共溶媒がイソフタロイルジクロライドとテレフタルジクロライドの混合物でありそしてハロゲンが塩素であり、しかもテレフタルアルデヒドのテレフタロイルジクロライドへの変換が終了した後テレフタロイルジクロライドが結晶化により共溶媒から分離される請求項1による方法。
- イソフタロイルジクロライドとテレフタロイルジクロライドの混合物が共融混合物である請求項7による方法。
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