JP5574164B2 - 電子写真感光体、それを用いた画像形成装置、プロセスカートリッジおよび画像形成方法 - Google Patents
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Description
電子写真装置の小型化を図るために、電子写真プロセスの改良が多く成されている。帯電プロセスにおいては、近接放電による帯電方式が多く採用される傾向がある。これは、電子写真感光体表面に帯電部材を接触させたり、非接触で近傍に帯電部材を配置させたりすることで近接放電を発生させ、電子写真感光体表面の帯電を行う方式である。本方式を用いれば、大がかりな帯電装置を必要としないために、装置の小型化には非常に有効である。また最近の近接帯電方式は、電子写真感光体上の帯電の均一性をはかるために、直流電圧に交流電圧を重畳して印可する方式を採用していることが多くなっている。
しかし直流電圧に交流電圧を重畳した近接放電による帯電方式は、電子写真感光体表面近傍に放電が集中するため、電子写真感光体表面を劣化させ、電子写真感光体の膜厚減少が大きいことがわかった。近接放電による電子写真感光体表面の劣化は機械的摺擦とは違い、像担持体への当接部材がない場合においても発生する。このため、近接放電に対する耐久性を有する電子写真感光体もしくは電子写真感光体表面の保護技術の開発が強く望まれている。
図10は、近接放電による電子写真感光体表面の劣化状態を調べるために、電子写真感光体表面に帯電部材のみを非接触状態で近接配置し、連続約150時間の帯電実験を行ったときの、電子写真感光体表面の膜厚の変化を測定した結果である。
実験に使用した電子写真感光体は電荷輸送層にポリカーボネートを用いた有機感光体であり、電子写真感光体に対して当接する部材を全て取り除き、直流電圧に交流電圧を重畳した交番電圧が印加された非接触帯電ローラを用いて帯電を行った。この結果、電子写真感光体表面の膜の削れ量が次第に多くなり、電子写真感光体の膜厚が次第に減少している事実がわかった。膜厚減少のメカニズムについては今のところ検討中で明らかになってはいないが、膜厚が減少した電子写真感光体を分析したところ、電子写真感光体を構成するポリカーボネートが分解されたと考えられるカルボン酸などが検出された。このような物質が検出されたことから、電子写真感光体の膜厚減少のメカニズムとしては、次のようなことが考えられる。
図11(a)に示すように、近接放電を行うと、電子写真感光体表面の放電領域では放電により発生した粒子(オゾン、電子、励起分子、イオン、プラズマなど)のエネルギーが電子写真感光体表面の電荷輸送層1aに照射される。このエネルギーが電子写真感光体表面を構成する分子の結合エネルギーに共鳴、吸収され、図11(b)に示すように、電荷輸送層1aは、樹脂分子鎖の切断による分子量低下、高分子鎖の絡み合い度低下等の化学的劣化を生じる。このような近接放電による電子写真感光体の化学的劣化によって、電子写真感光体表面の電荷輸送層1aは次第にその膜厚を減少させてしまうと考えられる。
この問題は、ポリカーボネートを用いた感光体にだけ起こる問題ではなく、ポリアリレート、ポリスチレン、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等を用いた感光体においても同様な膜厚減少が起こり、本問題の解決には至っていない。
使用劣化後に感光体表面に感光層あるいは保護層を再塗工して再使用する方法や、ブレードで表面を強制的に研磨して摩耗させる方法等も試みられているが、耐刷性を向上させる方がより望ましい。
1.物の表面を極めて硬くして擦過・衝撃に対する抵抗を高くする方法。
2.表面を滑りやすくして擦過・衝撃を逃がしてしまう方法。
3.ゴムのように弾力を持たせて擦過・衝撃を吸収してしまい、元通り復元する方法。
4.表面層に自己修復性をもった樹脂を用い、擦過により切れた分子鎖を修復して元通りに復元する方法。
これら保護層は、感光層の基本機能を阻害しないという観点から可能な限り薄層化することが基本的には望まれるが、この付加機能を設けることにより、さまざまな弊害が発生する。
また、自己修復性樹脂の提案としては特許文献8、9等があるが、これらは専ら電子機器や自動車などの塗装としての用途であり電子写真感光体として使用することについての種々の課題については、何らの開示も示唆もない。
潜像形成前の電子写真感光体表面を帯電させる帯電手段と、
画像データに基づいて、該帯電手段により帯電された電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
形成された静電潜像を可視像化する現像手段と、
可視像化されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、
転写後に該電子写真感光体表面に残留するトナーを除去するクリーニング手段と、
を備えた画像形成装置に用いられる電子写真感光体において、
前記電子写真感光体が、導電性支持体上に少なくとも感光層を有し、かつ前記電子写真感光体の表面を構成する層が、少なくともポリロタキサン及び/又は架橋ポリロタキサンが含まれており、
前記ポリロタキサンは、環状分子と、この環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子と、この直鎖状分子の両末端に配置され上記環状分子の脱離を防止する封鎖基とを有し、上記直鎖状分子及び環状分子の少なくとも一方が、ポリエチレングリコールモノステアリン酸エステルがヘキサメチレンジイソシアネートを介して結合する基を有することを特徴とする電子写真感光体。
(2)前記架橋ポリロタキサンを形成するポリロタキサンは、環状分子と、この環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子と、この直鎖状分子の両末端に配置され上記環状分子の脱離を防止する封鎖基とを有し、上記環状分子がシクロデキストリンであり、当該シクロデキストリンの水酸基の一部又は全部が修飾基で修飾され、その修飾基が、−C3H6−O−基と結合した、カプロラクトンによる修飾基である(−CO(CH2)5OH)基を有することを特徴とする前記(1)に記載の電子写真感光体。
(3)前記ポリロタキサン及び架橋ポリロタキサンの環状分子の包接量は、上記直鎖状分子が環状分子を包接する最大量である最大包接量を1とすると、0.06〜0.61であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の電子写真感光体。
(4)前記ポリロタキサン及び架橋ポリロタキサンの環状分子が、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンから成る群より選ばれた少なくとも1種のシクロデキストリンであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(5)前記ポリロタキサン及び架橋ポリロタキサンを形成するポリロタキサンは、塗膜形成成分に対して質量換算で1〜40%含まれることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(6)前記電子写真感光体が、感光層と保護層を積層した構造を有することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(7)前記感光層が、電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層した構造を有することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(8)少なくとも電子写真感光体と、前記電子写真感光体に対して接触または近接して設けられた直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加することによって生じる放電を利用して電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段によって帯電させられた電子写真感光体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像形成手段によって形成された静電潜像の画像部にトナーを付着させ可視像化する現像手段と、可視像化されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、転写後に該電子写真感光体表面に残留するトナーを除去するクリーニング手段とを有する画像形成装置において、前記電子写真感光体が前記(1)〜(7)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
(9)電子写真感光体と、少なくとも帯電手段、現像手段、クリーニング手段より選択される一つ以上の手段とが一体となり画像形成装置本体に着脱可能であるプロセスカートリッジであって、前記電子写真感光体が前記(1)〜(7)のいずれかに記載の電子写真感光体を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
(10)少なくとも電子写真感光体と、前記電子写真感光体に対して接触または近接して設けられた直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加することによって生じる放電を利用して電子写真感光体を帯電させる帯電工程と、前記帯電工程によって帯電させられた電子写真感光体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像形成手段によって形成された静電潜像の画像部にトナーを付着させ可視像化する現像工程と、可視像化されたトナー像を被転写体に転写する転写工程と、転写後に該電子写真感光体表面に残留するトナーを除去するクリーニング工程とを有する画像形成装置において、前記電子写真感光体が前記(1)〜(7)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成方法。
本発明の電子写真感光体は、直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加することによって生じる放電を利用して電子写真感光体を帯電させる帯電器を有する電子写真プロセスにおいても有効である。
この要因としては、ポリロタキサン及び架橋ポリロタキサンは、感光体表面に衝突する放電により発生した粒子のエネルギーによりその分子鎖が切断されても、修復し滑車効果を持続させる機能を有していることが推察される。
なお、このような親油性ポリロタキサンと他のポリマーを混合すると、ファンデルワールス力などによる疑似架橋を生じ、両者が組成物ないしは化合物として挙動しているものと考えられる。この場合、少なくとも上記ポリロタキサンは、上述の滑車効果を発揮しているものと思われる。
硬化型親油性ポリロタキサンの場合は、このような親油性の発現は、従来は親水性溶媒や有機系溶媒に難溶性ないしは不溶性であったポリロタキサンに対し、親油性溶媒という反応場、典型的には架橋場を提供するものである。感光体の塗工液に用いるこのポリロタキサンは、親油性溶媒の存在下で他のポリマーとの架橋や修飾基による修飾を容易に行うことができる反応性を向上したものである。
このような疎水基としては、例えば、アルキル基、ベンジル基(ベンゼン環)及びベンゼン誘導体含有基、アシル基、シリル基、トリチル基、硝酸エステル基、トシル基などがある。
また、環状分子は実質的に環状であれば十分であって、「C」字状のように、必ずしも完全な閉環である必要はない。
このような反応基としては、例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、チオール基、アルデヒド基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なお、反応基としては、後述する封鎖基を形成する(ブロック化反応)際に、この封鎖基と反応しない基が好ましい。環状分子としては、水酸基を有するものが好ましい。
なお、上記した種々の環状分子の中では、特にα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンが良好であり、とりわけ、被包接性の観点からはα−シクロデキストリンを使用することが好ましい。シクロデキストリン類は、生分解性を有するため、環境にとっても好ましい。
また、本発明に用いる上記各種ポリロタキサンにおける上記環状分子の親油性修飾基による修飾度については、環状分子の有する水酸基が修飾され得る最大数を1とするとき、0.02以上であることが好ましく、0.04以上であることがより好ましく、0.06以上であることが更に好ましい。
即ち、上記修飾度が0.02未満であると、溶媒への溶解性が十分なものとならず、不溶性突起物(異物付着などに由来する突出部)が生成することがある。
環状分子の、修飾される前と後の水酸基価を測定し、その差により修飾された水酸基数を求め、修飾された水酸基数の修飾される前の水酸基価に対する比が修飾度となる。
水酸基価は、試料1g中に含まれるOH基をアセチル化するために要する水酸化カリウムのmg数である。水酸基価は、無水酢酸を用いて試料中のOH基をアセチル化し、使われなかった酢酸を水酸化カリウム溶液で滴定することにより求めることができる。
言い換えると、親油性ポリロタキサンの場合、ポリロタキサン全体として親油性を示す限り、親油性修飾基によって修飾されていない水酸基を有する環状分子が部分的に存在したとしても何ら差し支えない。
なお、硬化型ポリロタキサンの場合、疎水基は少なくとも1つでよいが、シクロデキストリン環1つに対してそれぞれ1つの疎水基を有するのが望ましい。また、官能基を有している疎水基をそれぞれ導入することにより、他のポリマーとの反応性を向上させることが可能になる。
親油性ポリロタキサンの場合、親油性修飾基の導入方法としては、以下の方法を採用できる。
例えば、ポリロタキサンの環状分子としてシクロデキストリンを用い、当該シクロデキストリンの水酸基に、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリエチレングリコールモノステアリン酸エステルよりなるイソシアネート化ポリエチレングリコールモノステアリン酸エステルを反応させる。このときのイソシアネート化ポリエチレングリコールモノステアリン酸エステルの添加量を変更することで修飾度を任意に制御できる。
硬化型親油性ポリロタキサンの場合、親油性修飾基の導入方法としては、例えば、ポリロタキサンの環状分子としてシクロデキストリンを用い、当該シクロデキストリンの水酸基を、プロピレンオキシドを用いてヒドロキシプロピル化し、その後、ε−カプロラクトンを添加し、2‐エチルへキサン酸スズを添加する。このときのε−カプロラクトンの添加量を変更することで修飾度を任意に制御できる。
シクロデキストリンの水酸基を、プロピレンオキシドを用いてヒドロキシプロピル化するとき、プロピレンオキシドの添加量を変更することによって、上記ヒドロキシアルキル基による修飾度を制御することができる。
即ち、この比が0.06未満では滑車効果が不十分となって塗膜の伸び率が低下することがある。0.61を超えると、環状分子が密に配置され過ぎて環状分子の可動性が低下し、同様に塗膜の伸び率が不十分となって耐擦傷性が劣化する傾向がある。
ポリロタキサンは、上述のように、環状分子を直鎖状分子に密に詰めないことが好ましい。密に詰めないことにより、架橋した際に、架橋環状分子又は直鎖状分子の可動距離を保持することができる。この可動距離により、上述したように、高い破壊強度、高エントロピー弾性、優れた伸張性、及び/又は優れた復元性、所望により高吸収性又は高吸湿性を提供することができる。
α−シクロデキストリンの包接量は、NMR、光吸収、元素分析などにより確認することができる。
例えば、DMF(ジメチルホルムアミド)に、BOP試薬(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロフォスフェート)、HOBt、アダマンタンアミン、ジイソプロピルエチルアミンを、この順番で添加し溶液とする。一方、DMF/DMSO(ジメチルスルホキシド)混合溶媒に、直鎖状分子に環状分子が串刺された包接錯体を分散させた溶液を得る。これら両者を混合し、このときのDMF/DMSOの混合比率を変更することで、環状分子の包接量を任意に制御できる。なお、DMF/DMSO比が高いほど環状分子の包接量は大きくなる。
また、環状分子の大きさにも影響を受けるが、その長さについても、環状分子が滑車効果を発揮できる限り特に限定されない。
かかる反応基としては、採用する封鎖基の種類などに応じて適宜変更することができるが、水酸基、アミノ基、カルボキシル基及びチオール基などを例示することができる。
これら直鎖状分子のうち、特にポリエチレングリコール、ポリカプロラクトンが良好であり、水や親水性溶媒への溶解性の観点からはポリエチレングリコールを用いることが好ましい。
即ち、直鎖状分子の分子量が1,000未満では、環状分子による滑車効果が十分に得られなくなって塗膜の伸び率が低下し、耐擦傷性が劣化することがある。分子量が50,000を超えると、塗工液としたときの塗装性が低下し、平滑性や艶などの外観が劣化する傾向がある。
このような基としては、「嵩高さ」を有する基又は「イオン性」を有する基などを挙げることができる。なお、ここで「基」とは、分子基及び高分子基を含む種々の基を意味する。
また、「イオン性」を有する基のイオン性と、環状分子の有するイオン性とが相互に影響を及ぼし合い、例えば反発し合うことにより、環状分子が直鎖状分子に串刺しにされた状態を保持することができる。
上述の如き、各種ポリロタキサンは、
(1)環状分子と直鎖状分子とを混合し、環状分子の開口部を直鎖状分子で串刺し状に貫通して直鎖状分子に環状分子を包接させる工程と、
(2)得られた擬ポリロタキサンの両末端(直鎖状分子の両末端)を封鎖基で封鎖して、環状分子が串刺し状態から脱離しないように調製する工程と、
(3)得られたポリロタキサンの環状分子の水酸基を親油性修飾基で修飾する工程、
によって処理することにより得られる。
親油性ポリロタキサンを溶解させる親油性溶媒としては、特に限定されるものではないが、イソプロピルアルコールやブチルアルコールなどのアルコール類、酢酸エチルや酢酸ブチルなどのエステル類、メチルエチルケトンやメチルイソブチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテルやジオキサンやテトラヒドロフランなどのエーテル類、トルエンやキシレンなどの炭化水素系溶媒などを挙げることができ、該親油性ポリロタキサンは、これらの2種以上を混合した溶媒についても良好な溶解性を示す。
このような親油性の架橋ポリロタキサンとしては、比較的低分子量のポリマー、代表的には分子量が数千程度のポリマーと架橋した親油性ポリロタキサンを挙げることができる。
かかる官能基は、そのシクロデキストリンの外側にあることが立体構造的に好ましく、ポリマーと結合又は架橋する際、この官能基を用いて容易に反応を行うことができる。
一方、架橋剤を用いる場合には、その用いる架橋剤の種類に応じて適宜変更することができる。
更に、本発明においては、官能基の具体例として、例えば水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、チオール基及びアルデヒド基などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
かかる官能基としては、特にシクロデキストリンの水酸基と結合した化合物の残基であり、当該残基が、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基を有するものが良好であり、反応の多様性の観点からは水酸基が好ましい。
このような官能基を形成する化合物としては、例えばプロピレンオキシドなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
例えば、当該親油性修飾ポリロタキサンの親油性溶媒への溶解性向上効果をあまり低下させなければ、官能基を形成する化合物がポリマーであってもよく、溶解性の観点からは、例えば、分子量が数千程度であることが望ましい。
なお、上述の官能基としては、後述する封鎖基が脱離しない反応条件において反応する基であることが好ましい。
また、クラックなども発生しにくい。
更に、耐候性、耐汚染性、密着性等にも優れる。
この塗膜形成成分は、ポリロタキサンの環状分子を介してポリロタキサンと結合している。
図2に、架橋ポリロタキサンを概念的に示す。
同図において、この架橋ポリロタキサン1は、ポリマー3と上記ポリロタキサン5を有する。
そして、このポリロタキサン5は、環状分子7を介して架橋点9によってポリマー3及びポリマー3’と結合している。
即ち、図2(B)に示すように、環状分子7は滑車効果によって直鎖状分子6に沿って移動可能であるため、上記応力をその内部で吸収可能である。
また、この架橋ポリロタキサンの前駆体である上記ポリロタキサンは、上述の如く親油性溶媒への溶解性が改善されており、親油性溶媒中での架橋などが容易である。
従って、以下に説明する架橋ポリロタキサンの形成方法によれば、上記塗膜形成成分の物性と上記ポリロタキサン自体の物性を併有する材料が得られるのみならず、ポリマー種などを選択することにより、所望の機械的強度などを有する塗膜を得ることができる。
なお、架橋ポリロタキサンは、架橋対象が親油性であり、その分子量が余り大きくない場合、例えば分子量が数千程度までなら親油性溶媒に溶解する。
架橋ポリロタキサンは、代表的には、(a)硬化型親油性ポリロタキサンを他の塗膜形成成分と混合し、(b)当該塗膜形成成分の少なくとも一部を物理的及び/又は化学的に架橋させ、(c)当該塗膜形成成分の少なくとも一部と上記ポリロタキサンとを環状分子を介して結合させる(硬化反応)、ことにより形成できる。上記硬化反応は、例えば100〜140℃に加熱することにより行うことができる。
なお、上記ポリロタキサンは、親油性溶媒に可溶であるため、(a)工程〜(c)工程を親油性溶媒中で円滑に行うことができる。
また、これらの工程は硬化剤を用いることでより円滑に行うことができる。
また、(b)工程と(c)工程はほぼ同時に実施してもよい。
また、溶媒は塗膜形成時に加熱処理などで除去できる。
即ち、ポリロタキサンの塗膜形成成分に対する含有量が1%に満たない場合には、ポリロタキサンの滑車効果が十分に得られず、塗膜の伸び率が低下して所望の耐擦傷性が得られなくなることがある。40%を超えると、塗膜に粘着感が生じる可能性がある。
なお、光架橋基としては、ケイ皮酸、クマリン、カルコン、アントラセン、スチリルピリジン、スチリルピリジニウム塩及びスチリルキノリン塩などを例示できる。
更に、かかる樹脂成分は、ホモポリマーでもコポリマーでもよい。コポリマーの場合、2種以上のモノマーから構成されるものでもよく、ブロックコポリマー、交互コポリマー、ランダムコポリマー又はグラフトコポリマーのいずれであってもよい。
また、上記硬化剤は、分子量が2000未満、好ましくは1000未満、更に好ましくは600未満、いっそう好ましくは400未満のものを用いることができる。
<電子写真感光体の層構造について>
本発明に用いられる電子写真感光体を図面に基づいて説明する。
図3は、本発明の電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体31上に、電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する感光層32が設けられた単層構造の電子写真感光体である。この場合は、感光層32にポリロタキサンを含む樹脂が含有されている。
図4は、図3の感光層32上に保護層33を設けたものである。この場合、保護層33中にポリロタキサンが含有されている。
図5は、導電性支持体31上に、電荷発生機能を有する電荷発生層321と、電荷輸送物機能を有する電荷輸送層322とが積層された積層構造の電子写真感光体である。この場合は、電荷輸送層322にポリロタキサンが含有されている。電荷発生層321と電荷輸送層322とは逆層の場合もあり、その場合は、電荷発生層にポリロタキサンが含有されている。
図6は、図5の電荷輸送層322上に保護層33を設けたものである。この場合、保護層33中にポリロタキサンが含有されている。
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。またエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当なバインダー樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体として用いることができる。
この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられるバインダー樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体とバインダー樹脂を適当な溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体として良好に用いることができる。
次に感光層について説明する。感光層は積層構造でも単層構造でもよい。
積層構造の場合には、感光層は電荷発生機能を有する電荷発生層と電荷輸送機能を有する電荷輸送層とから構成される。また、単層構造の場合には、感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層である。
以下、積層構造の感光層及び単層構造の感光層のそれぞれについて述べる。
(電荷発生層について)
電荷発生層は、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
前者の具体的な例としては、特開平01−001728号公報、特開平01−009964号公報、特開平01−013061号公報、特開平01−019049号公報、特開平01−241559号公報、特開平04−011627号公報、特開平04−175337号公報、特開平04−183719号公報、特開平04−225014号公報、特開平04−230767号公報、特開平04−320420号公報、特開平05−232727号公報、特開平05−310904号公報、特開平06−234836号公報、特開平06−234837号公報、特開平06−234838号公報、特開平06−234839号公報、特開平06−234840号公報、特開平06−234841号公報、特開平06−239049号公報、特開平06−236050号公報、特開平06−236051号公報、特開平06−295077号公報、特開平07−056374号公報、特開平08−176293号公報、特開平08−208820号公報、特開平08−211640号公報、特開平08−252868号公報、特開平08−269183号公報、特開平09−062019号公報、特開平09−043883号公報、特開平09−71642号公報、特開平09−87376号公報、特開平09−104746号公報、特開平09−110974号公報、特開平09−110976号公報、特開平09−157378号公報、特開平09−221544号公報、特開平09−227669号公報、特開平09−228367号公報、特開平09−241369号公報、特開平09−268226号公報、特開平09−272728号公報、特開平09−302084号公報、特開平09−302085号公報、特開平09−328539号公報等に記載の電荷輸送性高分子材料が挙げられる。
また、後者の具体例としては、例えば特開昭63−285552号公報、特開平05−19497号公報、特開平05−70595号公報、特開平10−73944号公報等に記載のポリシリレン重合体が例示される。
電荷発生層に併用できる電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
電荷輸送層は電荷輸送機能を有する層である。
電荷輸送層は電荷輸送機能を有する電荷輸送物質およびバインダー樹脂を適当な溶媒に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成する。
電荷輸送層が最表面となる構成の場合は、上記電荷輸送機能を有する電荷輸送物質およびバインダー樹脂に加え、上述の各種ポリロタキサンを、適当な溶媒に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成する。ポリロタキサンの含有量は、バインダー樹脂100質量部に対し、1〜50質量部、好ましくは25〜45質量部が適当である。
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送物質の量はバインダー樹脂とポリロタキサンとを合わせた量100質量部に対し、20〜300質量部、好ましくは40〜150質量部が適当である。
また、必要により可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
電荷輸送層に併用できる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、バインダー樹脂100質量部に対して0〜30質量部程度が適当である。
電荷輸送層に併用できるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、バインダー樹脂100質量部に対して0〜1質量部程度が適当である。
電荷輸送層の膜厚は、5〜40μm程度が適当であり、好ましくは10〜30μm程度が適当である。
単層構造の感光層は電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層である。
感光層は電荷発生機能を有する電荷発生物質と電荷輸送機能を有する電荷輸送物質とバインダー樹脂を適当な溶媒に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤等を添加することもできる。
単層で感光層が最表面となる構成の場合は、上記電荷発生機能を有する電荷発生物質と電荷輸送機能を有する電荷輸送物質とバインダー樹脂に加え、上述の各種ポリロタキサンを、適当な溶媒に溶解ないし分散し、これを導電性支持体もしくは下引き層上に塗布、乾燥することにより形成できる。ポリロタキサンの含有量は、バインダー樹脂100質量部に対し、1〜50質量部、好ましくは25〜45質量部が適当である。
電荷発生物質の分散方法、それぞれ電荷発生物質、電荷輸送物質、可塑剤、レベリング剤は前記電荷発生層、電荷輸送層において既に述べたものと同様なものが使用できる。バインダー樹脂としては、先に電荷輸送層の項で挙げたバインダー樹脂のほかに、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。また、先に挙げた高分子電荷輸送物質も使用可能である。かかる感光層の膜厚は、5〜30μm程度が適当であり、好ましくは10〜25μm程度が適当である。
単層構造の感光層中に含有される電荷発生物質は感光層全量に対し1〜30質量%が好ましく、感光層に含有されるバインダー樹脂は全量の14〜55質量%、ポリロタキサンは6〜25質量%、電荷輸送物質は10〜70質量%が良好に用いられる。
本発明の感光体においては、ポリロタキサンを含む保護層が感光層の上に設けられる場合がある。
ポリロタキサンとバインダー樹脂とを、適当な溶媒に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。ポリロタキサンの含有量は、バインダー樹脂100質量部に対し、1〜50質量部、好ましくは25〜45質量部が適当である。
必要により、電荷輸送物質、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤、耐摩耗性粒子等を適量添加することもできる。またポリロタキサンと触媒の混合手段は特に限定されず、単純な撹拌添加、溶媒溶解、分散による混合、ミキサーによる混合、混練りなどを挙げることができる。
このうち一般的な保護層の製膜方法としては、微小開口部を有するノズルより塗工液を吐出し、霧化することにより生成した微小液滴を感光層上に付着させて塗膜を形成するスプレー塗工方法が用いられる。
尚、保護層の厚さは1.0〜30.0μmの範囲であることが好ましい。薄すぎた場合は、滑車効果が不十分となり、長期的使用において、摩耗し、消失しやすくなり、厚い場合には、残留電位上昇や微細ドット再現性の低下が考えられる。
本発明の電子写真感光体においては、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶媒で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、保護層、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、その他必要に応じて設けられる中間層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
これら酸化防止剤は、ゴム、プラスチック、油脂類などの添加剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総質量に対して0.01〜10質量%である。
以下、本発明が適用される画像形成装置について実施形態を説明する。但し、これらはその一例であって、これに限定されるものではない。図7に、後述する各実施例にも共通した構成を有する画像形成装置の一例を示す。この画像形成装置は、有機感光体からなる電子写真感光体を備えている。電子写真感光体1は、少なくとも感光層を有し、感光体表面を構成する層がポリロタキサン及び/又は架橋ポリロタキサンを含有することを特徴としている。
図7において電子写真感光体1は、図示しない駆動装置により回転駆動され、その表面が近接帯電方式の帯電装置2の帯電ローラ2aにより所定の極性に帯電される。帯電された電子写真感光体1の表面は、露光装置3によって露光され画像情報に応じた静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置4から電子写真感光体1の表面に供給される現像剤としてのトナーにより現像されて、トナー像として可視像化される。
一方、図示しない給紙部からは記録媒体としての転写紙が電子写真感光体1に向けて給送される。この転写紙には、電子写真感光体1に対向配置されている転写装置5によって電子写真感光体1上のトナー像が転写紙上に転写される。トナー像が転写された転写紙は、電子写真感光体1から分離した後、転写材搬送経路10に沿って定着装置6に搬送されて、トナー像が定着される。転写紙にトナー像を転写した後の電子写真感光体1上に残留している残留トナーとしての転写残トナーは、クリーニング装置7によって電子写真感光体1上から除去される。また、転写残トナーが除去された後の電子写真感光体表面の残留電荷は、除電装置9により除去される。このようにして、電子写真感光体1は繰り返し使用される。
また、本実施形態の画像形成装置では、電子写真感光体、帯電装置、現像装置、クリーニング装置が一体に構成され、画像形成装置本体から着脱可能なプロセスカートリッジとして構成されていてもよい。
次に画像形成装置に用いる帯電装置2について説明する。この帯電装置2は、近接放電を用いて電子写真感光体を帯電する。近接放電を用いて電子写真感光体を帯電する方法としては、回動可能なローラ状の帯電部材(以下、帯電ローラという)2aを電子写真感光体に接触させて配置する接触帯電方式と、帯電ローラを電子写真感光体に非接触に配置する非接触帯電方式とがある。本実施形態においては、非接触帯電方式を用いている。
本発明は接触帯電方式にも適用できるが、接触帯電方式においては電子写真感光体表面との接触性を向上させ、かつ電子写真感光体に機械的ストレスを与えない弾性部材を用いる事が好ましい。しかし弾性部材を用いた場合には帯電ニップ幅が広くなり、これによって帯電ローラ側に保護物質が付着しやすくなることがある。よって、高耐久化の為には、非接触帯電方式を採用する方が有利である。本実施形態においては、電子写真感光体表面における少なくとも画像形成領域に対して所定の帯電ギャップをもって対向するよう帯電ローラ2aを配置した非接触帯電方式を採用した。
帯電装置としては、形状はこれに限るものではなく、上記接触ローラ方式、ワイヤ方式、鋸歯方式等、も使用できる。
帯電ローラは軸部21aとローラ部21bとからなる。ローラ部21bは軸部21aの回転によって回動可能であり、電子写真感光体1表面のうち画像が形成される画像形成領域11に対向する部分は電子写真感光体1と非接触である。帯電ローラは、その長手方向(軸方向)の寸法が画像形成領域よりも少し長く設定されており、その長手方向の両端部にスペーサ22を設けている。これら2つのスペーサを電子写真感光体表面両端部の非画像形成領域12に当接させることによって、電子写真感光体1と帯電ローラとの間に微小なギャップ14を形成している。この微小なギャップ14は、帯電ローラと電子写真感光体1との最近接部における距離が1〜100μmに維持できるよう構成している。このギャップ14のより好ましい範囲は、10〜80μm、さらに好ましくは30〜65μmであり、本実施形態の装置では、50μmに設定した。また、軸部21aをスプリングからなる加圧バネ15によって電子写真感光体側に加圧している。これにより、微小なギャップ14を精度よく維持することができる。また、帯電ローラはスペーサ22を介して電子写真感光体表面に連れ回って回転する。
帯電ローラは円柱状を呈する導電性支持体としての芯金と、芯金の外周面上に形成された抵抗調整層を有する。帯電ローラの表面は硬質であることが望ましい。ローラ部材としてはゴム部材も使用できるが、ゴム部材のように変形しやすい部材であると電子写真感光体1との微小ギャップ14の均一な維持が困難となり、作像条件によっては帯電ローラの中央部のみが電子写真感光体表面に突発的に接触する可能性がある。帯電ローラは、非接触帯電方式を使用する場合にはたわみが少ない硬質の部材が望ましい。
以上の説明から明らかなように、本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いることができるものである。
本発明の電子写真感光体は、図9に示すタンデム型画像形成装置にも好適に用いることができる。
実施例1
Al製支持体(外径φ30mm)に、乾燥後の膜厚が3.8μmになるように浸漬法で塗工し、下引き層を形成した。
アルキッド樹脂 6部
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂 4部
(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業製)
酸化チタン 40部
(CR−EL:石原産業)
メチルエチルケトン 50部
・電荷発生層用塗工液
下記化学式1を有するビスアゾ顔料 2.5部
ポリビニルブチラール(XYHL、UCC製) 0.5部
シクロヘキサノン 200部
メチルエチルケトン 80部
・電荷輸送層用塗工液
ビスフェノールZ型ポリカーボネート 10部
下記化学式2を有する電荷輸送物質 10部
テトラヒドロフラン 80部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 0.2部
(KF50、信越化学工業製)
・保護層用塗工液
電荷輸送層に用いた電荷輸送物質
ビスフェノールZ型ポリカーボネート
修飾ポリロタキサンA
テトラヒドロフラン
シクロヘキサノン
<混合比(質量)>
電荷輸送物質/ビスフェノールZ型ポリカーボネート/修飾ポリロタキサンA/テトラヒドロフラン/シクロヘキサノン=4/3.5/1.5/170/50
・ポリロタキサンの調製
(1)PEGのTEMPO酸化によるPEG−カルボン酸の調製
直鎖状分子として、PEG(ポリエチレングリコール、分子量:20,000)10g、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジニルオキシラジカル)100mg、臭化ナトリウム1gを水100mLに溶解させ、これに市販の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度5%)5mLを添加し、室温で10分間攪拌した。
次いで、余った次亜塩素酸ナトリウムを分解させるために、エタノールを最大5mLまでの範囲で添加して反応を終了させた。
そして、50mLの塩化メチレンを用いた抽出を3回繰り返して、無機塩以外の成分を抽出したのち、エバポレータで塩化メチレンを留去して、250mLの温エタノールに溶解させてから、冷凍庫(−4℃)に一晩おいて、PEG−カルボン酸のみを析出させ、回収、乾燥した。
(2)PEG−カルボン酸とα−CDを用いた包接錯体の調製
上記(1)により調製したPEG−カルボン酸3g及びα−CD(シクロデキストリン)12gをそれぞれ別々に用意した70℃の温水50mLに溶解させたのち混合し、よく振り混ぜた後、冷蔵庫(4℃)中で一晩静置して、クリーム状に析出した包接錯体を凍結乾燥して回収した。
(3)α−CDの減量、及びアダマンタンアミンとBOP試薬反応系を用いた包接錯体の封鎖
上記(2)により調製した包接錯体14gをジメチルホルムアミド/ジメチルスルホキシド(DMF/DMSO)混合溶媒(体積比90/10)20mLに分散させた。
一方、室温でDMF(ジメチルホルムアミド)10mLに、BOP試薬(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロフォスフェート)3g、HOBt(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)1g、アダマンタンアミン1.4g、ジイソプロピルエチルアミン1.25mLをこの順番に溶解させておき、この溶液を上記により調製した分散液に添加し、すみやかによく振り混ぜ、スラリー状になった試料を冷蔵庫(4℃)中に一晩静置した。
一晩静置した後、DMF/メタノール混合溶媒(体積比1/1)50mLを添加し、混合し、遠心分離して、上澄みを捨てた。
上記のDMF/メタノール混合溶液による洗浄を2回繰り返した後、更にメタノール100mLを用いた洗浄を同様の遠心分離により2回繰り返した。
得られた沈殿を真空乾燥で乾燥させた後、50mLのDMSO(ジメチルスルホキシド)に溶解させ、得られた透明な溶液を700mLの水中に滴下してポリロタキサンを析出させ、析出したポリロタキサンを遠心分離で回収し、真空乾燥又は凍結乾燥させた。
このDMSOに溶解−水中で析出−回収−乾燥のサイクルを2回繰り返し、最終的に精製ポリロタキサンを得た。
得られた精製ポリロタキサン中に含まれるα−CDの量を光吸収測定及びNMRにより求めた。求めた結果、α−CDは80個包接されていることが分かった。一方、用いたPEGにα−CDを密に詰めた場合、最大包接量が230個であることが計算で求めることができる。この計算値と、光吸収測定及びNMRの測定値から、本実施例で用いた精製ポリロタキサンのα−CDの包接量は0.35であった。
トルエン中で20gのポリエチレングリコールモノステアリン酸エステル(TCI社製)に、6gのヘキサメチレンジイソシアネートを結合させた後、エーテルによる再結晶で精製した。
得られたイソシアネート化ポリエチレングリコールモノステアリン酸エステル15gを、DMSO中に溶かした上記精製ポリロタキサン(約500mg)と室温下で一晩反応させた後、エーテルによる再析出で精製し乾燥させ、修飾ポリロタキサンAを得た。
修飾ポリロタキサンAの親油性修飾基による修飾度は0.07であった。
実施例1に用いた電荷輸送層用塗工液の代わりに、実施例1の保護層に用いたポリロタキサンAを含む下記塗工液を用い、保護層を設けないこと以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
ビスフェノールZ型ポリカーボネート 7部
修飾ポリロタキサンA 3部
上記化学式2を有する電荷輸送物質 10部
テトラヒドロフラン 80部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 0.2部
(KF50、信越化学工業製)
実施例2に用いた修飾ポリロタキサンAの替わりに、以下の修飾ポリロタキサンBを用いた以外は、全て実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
・修飾ポリロタキサンBの調製
(1)シクロデキストリンの水酸基のヒドロキシプロピル化
上記によって調製した精製ポリロタキサン500mgを1mol/LのNaOH水溶液50mLに溶解し、プロピレンオキシド21.1g(330mmol)を添加し、アルゴン雰囲気下、室温で一晩撹拌した。
そして、1mol/LのHCl水溶液で中和し、透析チューブにて透析した後、凍結乾燥して回収し、親水性ポリロタキサンを得た。
得られた親水性ポリロタキサンは、1H−NMR及びGPCで同定し、所望のポリロタキサンであることを確認した。
なお、α−CDの包接量は0.35であり、親水性修飾基による修飾度は0.5であった。
(2)修飾ポリロタキサンBの調製
水酸基をヒドロキシプロピル基で修飾したヒドロキシプロピル化ポリロタキサン500mgに、モレキュラーシーブで乾燥させたε−カプロラクトン10mLを加え、室温で30分撹拌して浸透させた。その後、2−エチルヘキサン酸スズ0.2mLを加え、100℃で1〜8時間反応させた。反応終了後、試料を50mLのトルエンに溶解させ、撹拌した450mLのヘキサン中に滴下して析出させ回収し、修飾ポリロタキサンBを得た。
修飾ポリロタキサンBの親油性修飾基による修飾度は0.07であった。
ビスフェノールZ型ポリカーボネート 7部
修飾ポリロタキサンB 3部
上記化学式2を有する電荷輸送物質 10部
テトラヒドロフラン 80部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 0.2部
(KF50、信越化学工業製)
修飾ポリロタキサンBは、電荷輸送層用塗工液として、電荷発生層上に浸漬塗工され、135℃加熱乾燥される。この時、ポリロタキサンが有する、親油性の修飾基や他の官能基が、塗膜形成成分であるビスフェノールZ型ポリカーボネートと架橋して、架橋ポリロタキサンを形成する。この場合、上述の硬化剤は用いていない。
保護層を設けないこと以外は全て実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1における電荷輸送層上にさらに、下記の保護層塗工液をスプレー塗工[スプレーガン:ピースコンPC308 オリンポス社製、エア圧:2kgf/cm2]を行い、150℃60分間乾燥して約5μmの保護層を形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
◎保護層塗工液
下記組成の溶液を高速液衝突分散装置(装置名:アルティマイザーHJP−25005 スギノマシン社製)において、100MPa圧力下、30min循環し、パーフロロアルコキシ(以下、PFAと省略)樹脂粒子分散液(1)を得た。
PFA樹脂粒子(MPE−056、三井フロロケミカル製) 38部
分散助剤(モディパーF210 日本油脂製) 3.8部
テトラヒドロフラン 1000部
シクロヘキサノン 300部
アクリルポリオール共重合体は、モノマー構成比(重量比)St/MMA/2−HEMA/2−HEMA=28/42/30を用いた。前記St/MMA/2−HEMA共重合体溶液(固形分)10部、酸化スズ粒子90部をシクロヘキサノンとテトラヒドロフラン(混合溶媒重量比100/30)の混合溶媒で全固形分濃度20wt%となるように配合し、100時間ボールミル分散した。
続いて、この分散液と希釈用樹脂液(上記アクリルポリオール共重合体樹脂、濃度約10%)とHMDI系ポリイソシアネート(スミジュールHT、住友バイエルウレタン社製)とを、分散液中の酸化スズの粒子と樹脂固形分の割合が6:4、イソシアネート基とアクリルポリオール共重合体の水酸の数の比が1:1になるように混合し、分散液(2)を得た。
分散液(1)と分散液(2)を混合した後、全固形分濃度が3wt%になるようにシクロヘキサノンとテトラヒドロフラン(混合溶媒重量比100/30)の混合溶媒で希釈し、その後、超音波を10分間照射して調整し、保護層塗工液を得た。
作製した電子写真感光体を、直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加する非接触帯電機を有するリコー製IPSiO Color CX9000を用いて、実機通紙試験(A4、NBSリコー製My Paper、スタート時感光体表面帯電電位−650V)を実施し、摩耗特性、画像(日本画像学会発行のテストチャート、サンプル番号「NO.5−1」)特性評価を行った。結果を表1に示す。
保護層を設け、保護層にポリロタキサンを含有させた実施例1の方が、保護層を設けず表面を構成する電荷輸送層にポリロタキサンを含有させた実施例2より、摩擦量は少ないが、電荷輸送層にポリロタキサンを含有させることで、保護層がなくても良好な耐擦傷性を示す。したがって、保護層を塗布しなくてもよくなり、工程や材料を省くことができ、低コスト化することができる。
アクリルポリオール樹脂とイソシアネート化合物とを反応させた樹脂を用いた保護層を有する感光体である、比較例2でも、実施例1同様、実機通紙試験では、良好な耐磨耗性を示した。
作製した電子写真感光体に、以下の条件でブラシを当接して回転させ、感光体表面のブラシによる傷を評価した。結果を表2に示す。
潤滑剤:無し
ブレード:無し
ブラシ:炭素含有アクリル繊維、23デニール、密度20K本/inch2、食込み1mm、毛長さ3mm、芯金径8mm、回転方向:感光体と同じ(表面移動方向は逆)
感光体線速:140mm/s
ブラシ線速:70mm/s
1…架橋ポリロタキサン
3、3’…ポリマー
5…ポリロタキサン
6…直鎖状分子
7…環状分子
8…封鎖基
9…架橋点
(図3〜8について)
1…電子写真感光体
1a…電荷輸送層
2…帯電装置
2a…帯電ローラ
3…露光装置
4…現像装置
5…転写装置
6…定着装置委
7…クリーニング装置
8…クリーニングブレード
9…徐電装置
10…転写材搬送経路
11…画像形成領域
12…非画像形成領域
14…微小なギャップ
15…加圧バネ
16…電源
21…帯電ローラ
21a…軸部
21b…ローラ部
22…スペ−サ
31…導電性支持体
32…感光層
33…保護層
321…電荷発生層
322…電荷輸送層
Claims (10)
- 電子写真感光体と、
潜像形成前の電子写真感光体表面を帯電させる帯電手段と、
画像データに基づいて、該帯電手段により帯電された電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
形成された静電潜像を可視像化する現像手段と、
可視像化されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、
転写後に該電子写真感光体表面に残留するトナーを除去するクリーニング手段と、
を備えた画像形成装置に用いられる電子写真感光体において、
前記電子写真感光体が、導電性支持体上に少なくとも感光層を有し、かつ前記電子写真感光体の表面を構成する層に、少なくともポリロタキサン及び/又は架橋ポリロタキサンが含まれており、
前記ポリロタキサンは、環状分子と、この環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子と、この直鎖状分子の両末端に配置され上記環状分子の脱離を防止する封鎖基とを有し、上記直鎖状分子及び環状分子の少なくとも一方が、ポリエチレングリコールモノステアリン酸エステルがヘキサメチレンジイソシアネートを介して結合する基を有することを特徴とする電子写真感光体。 - 前記架橋ポリロタキサンを形成するポリロタキサンは、環状分子と、この環状分子を串刺し状に包接する直鎖状分子と、この直鎖状分子の両末端に配置され上記環状分子の脱離を防止する封鎖基とを有し、上記環状分子がシクロデキストリンであり、当該シクロデキストリンの水酸基の一部又は全部が修飾基で修飾され、その修飾基が、−C3H6−O−基と結合した、カプロラクトンによる修飾基である(−CO(CH2)5OH)基を有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記ポリロタキサン及び架橋ポリロタキサンの環状分子の包接量は、上記直鎖状分子が環状分子を包接する最大量である最大包接量を1とすると、0.06〜0.61であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 前記ポリロタキサン及び架橋ポリロタキサンの環状分子が、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンから成る群より選ばれた少なくとも1種のシクロデキストリンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記ポリロタキサン及び架橋ポリロタキサンを形成するポリロタキサンは、塗膜形成成分に対して質量換算で1〜40%含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記電子写真感光体が、感光層と保護層を積層した構造を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記感光層が、電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層した構造を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 少なくとも電子写真感光体と、前記電子写真感光体に対して接触または近接して設けられた直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加することによって生じる放電を利用して電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段によって帯電させられた電子写真感光体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像形成手段によって形成された静電潜像の画像部にトナーを付着させ可視像化する現像手段と、可視像化されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、転写後に該電子写真感光体表面に残留するトナーを除去するクリーニング手段とを有する画像形成装置において、前記電子写真感光体が請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
- 電子写真感光体と、少なくとも帯電手段、現像手段、クリーニング手段より選択される一つ以上の手段とが一体となり画像形成装置本体に着脱可能であるプロセスカートリッジであって、前記電子写真感光体が請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 少なくとも電子写真感光体と、前記電子写真感光体に対して接触または近接して設けられた直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加することによって生じる放電を利用して電子写真感光体を帯電させる帯電工程と、前記帯電工程によって帯電させられた電子写真感光体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像形成手段によって形成された静電潜像の画像部にトナーを付着させ可視像化する現像工程と、可視像化されたトナー像を被転写体に転写する転写工程と、転写後に該電子写真感光体表面に残留するトナーを除去するクリーニング工程とを有する画像形成装置において、前記電子写真感光体が請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成方法。
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