本発明の1つの観点では、端末保持装置は、車両に取り付けるための取付部と、端末装置を前記端末装置の表示部を露出させて脱着可能に保持するための、前記端末装置との接触面を有する保持部と、前記接触面側から当該接触面の反対側へ向かう方向への加速度を検出可能な加速度センサと、前記加速度センサの検出信号を、前記端末装置に供給するための供給手段と、を有する。
上記の端末保持装置は、取付部により車両に取り付けられ、保持部により端末装置を保持する。保持部は、端末装置の表示部を露出させて脱着可能に保持するための、端末装置との接触面を有する。また、端末保持装置は、接触面側から当該接触面の反対側へ向かう方向への加速度を検出可能な加速度センサと、当該加速度センサの検出信号を端末装置に供給するための供給手段とを有する。これにより、端末保持装置に内蔵された加速度センサの検出信号を、端末装置に適切に供給することが可能となる。よって、端末装置は、取得した加速度を用いて、ナビゲーションなどの処理を行うことが可能となる。
上記の端末保持装置の一態様では、前記加速度センサに対する前記保持部の取付角度を変化させる接続手段を有する。これにより、加速度センサに対する保持部の取付角度を適切に変化させることができる。
上記の端末保持装置の他の一態様では、前記接続手段は、前記取付部に対する前記加速度センサの取付角度を変化させることなく、前記加速度センサに対する前記保持部の取付角度を変化させる。これにより、加速度センサに対する保持部の取付角度が変化されたとしても、取付部に対する加速度センサの取付角度を適切に維持することができる。
上記の端末保持装置の他の一態様では、前記保持部は、前記端末装置に備えられたカメラ部を露出させるための孔を有し、前記加速度センサは、前記孔の貫通方向に対する加速度を検出可能に取り付けられている。保持部に設けられた孔により、端末装置は、端末保持装置に保持された状態で、カメラにより適切に撮影を行うことができる。また、加速度センサは、孔の貫通方向に対する加速度、つまりカメラの撮影方向についての加速度を検出できるため、端末装置は、そのようなカメラの撮影方向についての加速度を取得することが可能となる。
本発明の他の観点では、端末保持装置は、車両に取り付けるための取付部と、端末装置を前記端末装置の表示部を露出させて脱着可能に保持するための保持部と、前記保持部に保持された前記端末装置の前記表示部側から表示部の反対側へ向かう方向への加速度を検出可能な加速度センサと、前記加速度センサの検出信号を、前記端末装置に供給するための供給手段と、を有する。上記の端末保持装置によっても、端末保持装置に内蔵された加速度センサの検出信号を、端末装置に適切に供給することができる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
[第1実施例]
図1は、本発明の第1実施例に係る端末保持装置1を示す。端末保持装置1は、いわゆるクレードルとして機能し、スマートフォンなどの端末装置2が取り付けられる。
図1は、端末装置2を保持した状態の端末保持装置1を示している。具体的に、図1(a)は端末保持装置1の正面図であり、図1(b)は、端末保持装置1の側面図であり、図1(c)は端末保持装置1の背面図である。また、図2(a)は、端末装置2を保持していない状態の端末保持装置1の正面図である。図2(b)は、端末装置2を保持していない状態における端末保持装置1の背面方向からの斜視図である。
図示のように、端末保持装置1は、ベース11と、ヒンジ12と、アーム13と、基板ホルダ15と、端末ホルダ16とを備える。
ベース11は、端末保持装置1を車両などの移動体に取り付ける際の土台として機能する。例えば、ベース11の下面には吸盤や粘着テープなどが設けられ、ベース11はその粘着テープにより車両のダッシュボードなどの設置面5に固定される。
ヒンジ12は、アーム12に固定されるとともに、ベース11に対して回転可能に取り付けられている。ヒンジ12の回転により、アーム12は端末装置2の前後方向、つまり図1(b)の矢印41及び42の方向に回動する。つまり、車両の設置面5に固定されたベース11に対してヒンジ12を介してアーム12を回転させることにより、設置面5に対する基板ホルダ15及び端末ホルダ30の設置角度が調整可能となっている。
基板ホルダ15は、ジャイロセンサなどの基板を保持するホルダである。具体的には、基板ホルダ15は、カバー15aと、ボールリンク15bと、センサ基板15cと、センサ15dとを備える。
ボールリンク15bは、アーム13の上端に取り付けられており、アーム13に対して基板ホルダ15を任意の角度で保持する。カバー15aは、基板ホルダ15の下端に設けられており、アーム13に対する基板ホルダ15の回転を規制する役割を有するが、その詳細については後述する。
基板ホルダ15の内部にはセンサ基板15cが設けられており、センサ基板15cにはセンサ15dが設けられている。センサ15dの好適な一例は、ジャイロセンサや加速度センサである。
端末ホルダ16は、端末装置2を保持するホルダである。端末ホルダ16は、コネクタ16aと、配線16bとを有する。コネクタ16aは、端末ホルダ16の前面、即ち端末装置2が設置される面の底部に設けられ、端末装置2を端末ホルダ16に設置する際に、端末装置2のコネクタと接続される。コネクタ16aは、配線16bによりセンサ基板15cと電気的に接続されている。よって、センサ15dによる検出信号は、センサ基板15c、配線16b及びコネクタ16aを通じて端末装置2へ供給される。
端末装置2は、端末装置2本体の前面側であり液晶表示パネルなどの表示部を有する表示面2aと、端末装置2本体の背面側の背面2bとを備える。通常、端末装置2は矩形の平板形状に構成されており、表示面2aと背面2bは略平行に作られている。なお、表示面2aのことを「前面2a」と呼ぶ場合もある。
端末ホルダ16は前面側に接触面16cを有する。端末装置2を端末ホルダ16に取り付けた際、接触面16cは、端末装置2の背面2bに当接し、端末装置2の背面2bを支持する。なお、図1の例では、端末ホルダ16の接触面16cは、その全面が端末装置2の背面2bと接触するように構成されている。その代わりに、接触面16cのうちの1カ所又は数カ所を部分的に突出させ、その突出した部分のみが端末装置2の背面2bに当接する構造としても構わない。
なお、上記の構成において、ベース11は本発明における「取付部」の一例に相当し、端末ホルダ16は本発明における「保持部」の一例に相当し、コネクタ16aは本発明における「供給手段」の一例に相当し、基板ホルダ15は本発明における「格納部」の一例に相当する。
次に、基板ホルダ15に対する端末ホルダ16の回転機能について説明する。端末装置2を保持する端末ホルダ16は、基板ホルダ15に対して、90度単位で回転可能である。即ち、図1(a)の状態を回転角0度とした場合、端末ホルダ16は、時計回り又は反時計回りに0度、90度、180度、270度の4つの角度に回転した状態で固定することが可能である。なお、回転角90度毎に固定可能とした理由は、通常、端末装置2を見る際に、ユーザは表示部を縦長又は横長に配置した状態で使用するためである。なお、前述のように、端末装置2は通常、矩形の平板形状を有しており、縦長に配置とは、表示部の長手方向が縦となるような配置であり、横長に配置とは、表示部の長手方向が横となるような配置である。
図3に端末ホルダ16を回転させた状態の例を示す。端末保持装置1を正面側から見た場合、図3(a)の状態から矢印の方向に端末ホルダ16を90度回転させると、図3(b)に示す状態となる。また、端末保持装置1を背面側から見た場合、図3(c)の状態から矢印の方向に端末ホルダを90度回転させると、図3(d)に示す状態となる。
構造的には、例えば基板ホルダ15の略中央に回転軸(図示せず)を設け、この回転軸に対して端末ホルダ16を固定することにより、基板ホルダ15に対して端末ホルダ16を回転可能とすることができる。また、基板ホルダ15と端末ホルダ16が相互に当接する面において、回転角90度毎に相互にはまり合う凹凸又は溝と突起などを設けることにより、90度毎の回転角位置において端末ホルダ16を固定することができる。なお、回転軸は、本発明における「接続手段」の一例に相当する。このような構造は単なる一例であり、センサ基板15に対して端末ホルダ16を回転角90度毎に固定できれば、他の構造を採用しても構わない。
次に、センサ基板15cの設置角度について説明する。図1(a)に示されるように、第1実施例では、センサ基板15cを、端末装置2の表示面2aに対して垂直となるように基板ホルダ15に固定している。なお、前述のように、端末装置2は通常は矩形の平板形状に構成されており、表示面2aと背面2bは略平行である。また、前述のように、端末装置2の背面2bと端末ホルダ16の接触面16cは略平行である。よって、通常、センサ基板15cは、端末装置2の表示面2a及び背面2b、並びに、端末ホルダ16の接触面16cに対して垂直となるように基板ホルダ15に固定される。また、センサ基板15cは、上述した端末ホルダ16が上記した90度単位の4つの角度のうちのいずれかの角度回転した状態で固定された際に、表示面2aの長手方向または短手方向のいずれかに対して垂直になるように基板ホルダ15に固定される。
このようにセンサ基板15cを基板ホルダ15に固定することにより、ユーザがどのような状態で端末保持装置1を車両の設置面5に取り付けた場合でも、センサ基板15cは水平、即ち地面に対してほぼ平行な状態で固定されることになる。これは、通常、ユーザは端末装置2の表示面2aが地面に対してほぼ垂直となるように端末保持装置1を設置するからである。通常、ユーザは、進行方向を向いて上半身をほぼ地面に垂直とした姿勢で車両の座席に座る。このため、表示面2aがユーザとほぼ正対するように、即ち、表示面2aが地面と垂直となるように端末保持装置1を車両の設置面5に設置する。なお、設置面5が傾斜した面であったとしても、端末保持装置1のヒンジ12及びボールリンク15bによる回転角調整機能により、ユーザは端末装置2の表示面2aが地面にほぼ垂直となるように角度調整を行うはずである。よって、どのような位置に端末保持装置1が設置された場合でも、センサ基板15cは常に水平、つまり地面に平行に配置されることになる。これにより、ジャイロセンサなどのセンサ15dは常に水平に設置され、正確な検出が可能となる。
図4を参照して、センサ基板15cの設置角度についてさらに説明する。第1実施例では、基板ホルダ15に対して端末ホルダ16は回転角90度毎にしか固定できないため、車両の傾斜した設置面5に端末保持装置1を設置すると、図4(c)に示すように表示部を横長又は縦長に配置した状態となるような回転角度で端末ホルダ16を固定することができない。端末ホルダ16を90度単位で回転させたとしても、図4(a)及び(b)に示すように、端末装置2の表示部は斜め方向となり、センサ基板15cも傾いた状態となってしまう。そこで、ユーザは図4(d)に示すようにヒンジ12を利用して端末装置2の表示部が斜め方向とならないように角度を調整する。その結果、センサ基板15cは自然に水平となる。もしくは、ユーザは傾斜した設置面5を避け、図4(e)に示すように、水平な設置面5を選択して端末保持装置1を設置するので、センサ基板15cは水平に設置される。このように、第1実施例では、ユーザが端末装置2を見やすい状態で設置する、つまり表示面が地面に略垂直であり、斜めにならないように設置する限り、ユーザがセンサ基板15cの傾きを意識する必要なく、センサ基板15cは水平な状態で保持されることになる。
次に、基板ホルダ15のカバー15aがボールリンク15bによる基板ホルダ15の回転を規制する機能について説明する。第1実施例では、上記のようにしてセンサ基板15cが水平に保持されることに加え、カバー15aにより基板ホルダ15の回転を規制して、さらにセンサ基板15cが水平に近い状態で保持されることを確保する。
ジャイロセンサなどのセンサは、水平状態で使用させることが好ましく、許容できる傾き角(以下、「許容傾き角」と呼ぶ。)が決まっている。つまり、完全に水平な状態でなくとも、許容傾き角の範囲内であれば、正確な検出が可能である。よって、第1実施例では、端末保持装置1が設置面5に取り付けられたときに、センサ基板15cの角度が許容傾き角を超えないように、カバー15aが基板ホルダ15の回転を規制する。
図5に、ボールリンク15bを利用して基板ホルダ15及び端末ホルダ16を前後方向に回転させる状態を示す。以下、説明の便宜上、一体として回転動作する基板ホルダ15と端末ホルダ16を「保持部」と呼ぶ。また、センサ15dの許容傾き角は「α」であるとする。
図5(a)は、端末装置2が地面にほぼ垂直となるようにボールリンク15bの回転を調整した状態を示す。この場合、センサ基板15cは水平な状態で保持されている。また、この場合、アーム13の上端部はカバー15aの下端の縁に当接しておらず、カバー15aは保持部の回転を規制していない。
図5(b)は、ボールリンク15bを利用して矢印81の方向に保持部を回転させた状態を示す。矢印81の方向へ保持部を回転させると、それに伴いセンサ基板15cも水平方向に対して傾いていくが、センサ基板15cの傾き角が許容傾き角αになったときには、矢印X1で示すように、アーム13がカバー15aの下端の縁に当たり、保持部の回転を規制する。つまり、保持部はそれ以上矢印81の方向に回転できない。これにより、センサ基板15cは、水平方向に対して許容傾き角α以上傾くことが防止される。
図5(c)は、ボールリンク15bを利用して、矢印82の方向、即ち図5(b)とは逆方向に保持部を回転させた状態を示す。この場合も、センサ基板15cの傾き角が許容傾き角αに至ったときに、矢印X2に示すようにカバー15aの下端の縁がアーム13に当たり、それ以上の回転を防止する。これにより、センサ基板15cは、水平方向に対して許容傾き角α以上傾くことが防止される。
図6に、ボールリンク15bを利用して保持部を左右方向に回転させる状態を示す。図6(a)では、センサ基板15cが水平な状態で保持されている。この場合、カバー15aの下端の縁はアーム13に当接しておらず、カバー15aは保持部の回転を規制していない。
図6(b)は、ボールリンク15bを利用して矢印83の方向に保持部を回転させた状態を示す。矢印83の方向へ保持部を回転させると、それに伴いセンサ基板15cも水平方向に対して傾いていくが、センサ基板15cの傾き角が許容傾き角αになったときには、矢印X3で示すように、アーム13がカバー15aの下端の縁に当たり、保持部の回転を規制する。つまり、保持部はそれ以上矢印83の方向に回転できない。これにより、センサ基板15cは、水平方向に対して許容傾き角α以上傾くことが防止される。
図6(c)は、ボールリンク15bを利用して、矢印84の方向、即ち図6(b)とは逆方向に保持部を回転させた状態を示す。この場合も、センサ基板15cの傾き角が許容傾き角αに至ったときに、矢印X4に示すようにカバー15aの下端の縁がアーム13に当たり、それ以上の回転を防止する。これにより、センサ基板15cは、水平方向に対して許容傾き角α以上傾くことが防止される。
このように、第1実施例では、ボールリンク15bを利用した保持部の回転をカバー15aが規制することにより、センサ基板15cが許容傾き角を超えて傾いた状態となることが防止されている。なお、上記の例では、カバー15aを先細り形状として下端の径を上端に比べて小さくした構造を採用しているが、これは一例であり、ボールリンク15bを利用した保持部の回転を他の構造によって規制することとしてもよい。例えば、カバー15aを先細り形状としなくても、カバー15aの下端の径と、アーム13の径とを調整することにより、許容傾き角以上の回転を防止するように構成することができる。
以上説明したように、第1実施例に係る端末保持装置1によれば、端末装置2の表示面2aに対して垂直となるようにセンサ基板15cが固定されているので、ユーザは、通常の見やすい状態で端末保持装置1を車両の設置面5に取り付けるだけで、センサ基板15cが略水平に保持される。よって、ユーザは、センサ基板15cの傾き角を考慮することなく、端末保持装置1を取り付けることができる。
さらに、端末保持装置1では、センサ基板15cの傾き角が許容傾き角を超えないように、ボールリンク15bによる保持部の回転を規制する構造を設けたので、ユーザがボールリンク15bの回転機能を利用して基板ホルダ15の角度を微調整した場合でも、センサ基板15cが許容傾き角以上に傾くことがない。
(第1実施例の変形例)
上記の第1実施例では、端末ホルダ16が基板ホルダ15を軸として回転できるように構成されているが、本発明はこの例には限定されない。例えば、縦長又は横長のいずれか一方のみで配置されるような端末装置の場合には、端末ホルダ16が基板ホルダ15に対して回転できないように構成してもよい。
また、上記の第1実施例では、端末ホルダ16が基板ホルダ15に対して0度、90度、180度及び270度回転した状態で固定できるように構成されているが、本発明はこの例には限定されない。例えば、端末ホルダ16が基板ホルダ15に対して0度及び90度の2つの角度回転した状態で固定できるように構成してもよい。即ち、端末装置2を縦長又は横長の2つの方法で配置できればよい。
また、上記の第1実施例では、センサ基板15cは端末装置2の表示面2aに対して垂直となるように基板ホルダ15に固定されている。しかし、センサ基板15cは、完全に垂直でなくとも、センサ基板15cの許容傾き角の範囲内で傾いて設置されていてもよい。図7にこの変形例による端末保持装置の側面図を示す。図7の例では、矢印85が端末装置2の表示面2aに対して垂直な方向を示しており、これに対してセンサ基板15cが許容傾き角αだけ傾いた状態で基板ホルダ15に設置されている。つまり、センサ基板15cは、端末装置2の表示面2aに対して(90−α)度となるように基板ホルダ15に取り付けられている。よって、端末装置2の表示面2aが多少上向きとなるように端末保持装置1を車両に取り付けた場合にセンサ基板15cは地面に略平行となる。
[第2実施例]
次に、第2実施例について説明する。
(装置構成)
図8は、第2実施例に係る端末保持装置1xを示す。図8(a)は正面図を示しており、図8(b)は側面図を示しており、図8(c)は背面図を示している。なお、図1で示した構成要素と同様の構成要素については、図1と同一の符号を付し、その説明を省略する。
第2実施例においては、端末装置2xxの背面2bには、カメラ29が設けられている。また、端末保持装置1xの端末ホルダ16には、端末装置2xが端末保持装置1xに保持された状態においてカメラ29の対向する位置に、孔部(孔)17が形成されている。孔部17は、カメラ29のレンズの径よりも大きな径に構成されている。これにより、端末装置2xが端末保持装置1xに保持された状態において、カメラ29は、端末ホルダ16の外壁に阻害されることなく、端末ホルダ16の後ろ側を撮影することができる。具体的には、カメラ29は車両の外部などを撮影する。
なお、図8に示す例では、端末ホルダ16は、端末装置2xの背面2bの略全面を覆うように構成され、端末装置2xのカメラ29の対向する位置に孔部17が形成されている。この代わりに、端末装置2xが端末保持装置1xに保持された状態にて、端末装置2xにおいてカメラ29が設けられた位置よりも下方の面のみを覆うように、端末ホルダ16を構成することができる。1つの例では、端末ホルダ16の接触面16cを、端末装置2xのカメラ29が設けられた位置よりも下方の位置まで延在するような形状(言い換えると、端末装置2xのカメラ29が設けられた位置よりも上方に接触面16cが存在しないような形状)に構成することができる。このような他の例では、端末保持装置1xに孔部17を形成する必要はない。
また、図8に示す例では、端末装置2xの背面2bの左右方向における略中心線上にカメラ29が設けられているが、このような位置にカメラ29を設けることに限定はされない。例えば、背面2bの左右方向における中心線からある程度離れた位置にカメラ29を設けても良い。この場合には、端末ホルダ16に孔部17を形成する代わりに、端末装置2xが端末保持装置1xに保持された状態にて、端末装置2xにおいてカメラ29が設けられた位置を含む部分に切り欠き部を形成することとしても良い。
次に、図9は、端末装置2xの構成を概略的に示している。図9に示すように、端末装置2xは、主に、CPU21と、ROM22と、RAM23と、通信部24と、表示部25と、スピーカ26と、マイク27と、操作部28と、カメラ29とを有する。端末装置2xは、スマートフォンなどの通話機能を有する携帯型端末装置である。
CPU(Central Processing Unit)21は、端末装置2x全体についての制御を行う。ROM(Read Only Memory)22は、端末装置2xを制御するための制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM(Random Access Memory)23は、操作部26を介してユーザにより設定されたデータを読み出し可能に格納したり、CPU21に対してワーキングエリアを提供したりする。
通信部24は、通信網を介して他の端末装置2xと無線通信を行うことが可能に構成されている。表示部25は、例えば液晶ディスプレイなどにより構成され、ユーザに対して文字、画像などを表示する。スピーカ26は、ユーザに対する音声出力を行う。マイク27は、ユーザによって発せられた音声などを集音する。
操作部28は、端末装置2xの筐体に設けられた操作ボタンやタッチパネル式入力装置などにより構成することができ、ユーザによる各種の選択、指示が入力される。なお、表示部25がタッチパネル方式である場合には、表示部25の表示画面上に設けられたタッチパネルも操作部28として機能する。
カメラ29は、例えばCCDカメラにより構成され、図8に示したように端末装置2xの背面2bに設けられている。基本的には、カメラ29の光軸(レンズの中心から垂直方向に伸びる軸)の方向は、端末装置2xの背面2bの垂直方向(言い換えると法線方向)に一致する。なお、カメラ29を、端末装置2xの背面2bだけでなく、端末装置2xの前面2aにも設けても良い。
(撮影画像補正方法)
次に、第2実施例においてCPU21が行う、カメラ29による撮影画像の補正方法について説明する。
まず、図10を参照して、端末装置2xの設置位置に応じて生じる不具合について説明する。図10は、車両3の車室内に設置された状態にある端末装置2xを上方から観察した図を示していると共に、端末装置2xのカメラ29による撮影画像の例を示している。なお、図10では、説明の便宜上、端末装置2xを簡略化して図示していると共に、端末保持装置1xの図示を省略している。実際には、端末装置2xは、端末保持装置1xに保持された状態で車両3の車室内に設置される。
図10では、端末装置2xを運転席の概ね正面に設置した場合と、端末装置2xを運転席と助手席との間に設置した場合とを例示する(いずれの場合も、端末装置2xをダッシュボード上に設置したものとする)。通常、ユーザ(運転者)は、端末装置2xの表示部25を観察するために、表示部25がユーザの方向を向くように端末装置2xを設置する。端末装置2xを運転席の概ね正面の位置に設置した場合には、表示部25がユーザの方向に向くように端末装置2xを設置すると、端末装置2xは車両3の進行方向を向く傾向にある。具体的には、端末装置2xにおいて表示部25が設けられた前面2aとカメラ29が設けられた背面2bとは略平行に構成されているため、当該背面2bの正面方向(垂直方向)が、車両3の進行方向に概ね一致する傾向にある。言い換えると、端末装置2xの前面2a及び背面2bに沿った方向と進行方向とが概ね垂直になる傾向にある。
これに対して、端末装置2xを運転席と助手席との間の位置に設置した場合には、表示部25がユーザの方向に向くように端末装置2xを設置すると、端末装置2xは車両3の進行方向を向かない傾向にある。具体的には、端末装置2xにおいて表示部25が設けられた前面2aとカメラ29が設けられた背面2bとは略平行に構成されているため、当該背面2bの正面方向(垂直方向)が、車両3の進行方向に一致しない傾向にある。言い換えると、端末装置2xの前面2a及び背面2bに沿った方向と進行方向とが概ね垂直にならない傾向にある。
なお、端末装置2xを運転席の概ね正面に設置すると運転者の視界に影響を与えたり、車種によっては端末装置2xを運転席の概ね正面に設置することが困難であったりするため、通常は、運転席の正面以外の位置に端末装置2xが設置される傾向にある。
図10において、一点鎖線で示す撮影画像101は、運転席の概ね正面に端末装置2xを設置した場合に、カメラ29によって撮影された画像の一例を示している。また、破線で示す撮影画像102は、運転席と助手席との間に端末装置2xを設置した場合に、カメラ29によって撮影された画像の一例を示している。図10より、撮影画像101の左右方向における中心位置101aと、撮影画像102の左右方向における中心位置102aとが一致していないことがわかる。これは、運転席の概ね正面に端末装置2xを設置した場合と運転席と助手席との間に端末装置2xを設置した場合とで、カメラ29の撮影方向が一致していないことを意味している。
なお、カメラ29の「撮影方向」は、カメラ29が向いている方向を意味し、端末装置2xの背面2bの垂直方向に概ね一致する。より詳しくは、「撮影方向」は、カメラ29のレンズにおける光軸の方向に相当する。また、第2実施例では、車両3の「進行方向」として、車両3の前後方向(具体的には前方方向)を用いるものとする。
具体的には、運転席の概ね正面に端末装置2xを設置した場合には、上記したように端末装置2xにおいてカメラ29が設けられた背面2bの垂直方向が車両3の進行方向に概ね一致するため、カメラ29の撮影方向は進行方向に概ね一致する。そのため、この場合には、撮影画像101の中心位置101aは、撮影画像101での車両3の進行方向に対応する位置に概ね一致する。これに対して、運転席と助手席との間に端末装置2xを設置した場合には、上記したように端末装置2xにおいてカメラ29が設けられた背面2bの垂直方向が車両3の進行方向に一致しないため、カメラ29の撮影方向は進行方向に一致しない。そのため、この場合には、撮影画像102の中心位置102aは、撮影画像102での車両3の進行方向に対応する位置に一致しない。
ここで、端末装置2xのカメラ29による実写画像(撮影画像に基づいて生成される画像に相当し、以下では「表示画像」とも呼ぶ。)を用いたナビゲーションが知られている。このナビゲーションは、ARナビ(AR:Augmented Reality)などと呼ばれ、表示画像の上に、目的地までの方向や距離などの経路案内のための画像を重ねて表示するものである。このようなARナビを行う場合において、上記したようにカメラ29の撮影方向と車両3の進行方向とが一致していないと、適切にARナビを行えない場合がある。例えば、経路案内するために用いられる画像などが、表示画像において適切な位置に表示されなかったり、表示画像において表示する場所がなかったりする場合がある。
なお、このような不具合は、車室内での端末装置2xの設置位置それ自体が原因で生じているのではなく、端末装置2xの設置位置に応じて、表示部25がユーザの方向に向くように端末装置2xの向きが種々に設定されることにより、カメラ29の撮影方向が車両3の進行方向とずれることに起因して生じる傾向にある。
第2実施例では、上記したようなカメラ29の撮影方向と車両3の進行方向とが一致しない場合に生じる不具合を解消するべく、カメラ29の撮影画像に対して補正を行う。具体的には、端末装置2x内のCPU21は、車両3の進行方向に対するカメラ29の撮影方向のずれに基づいてカメラ29の撮影画像を補正して、ARナビなどに用いるための表示画像を生成する。この場合、CPU21は、進行方向に対する撮影方向のずれを求めて、当該ずれに基づいて、表示画像の左右方向における中心位置が進行方向に対応する位置に一致するように撮影画像を補正する。
なお、本明細書では、「撮影画像を補正する」とは、進行方向に対する撮影方向のずれに基づいて、カメラ29による撮影画像の中から表示すべき画像を抜き出すような処理、つまり撮影画像の中の一部の画像を表示画像として取り込むような処理を意味するものとする。
図11を参照して、第2実施例に係る撮影画像の補正方法の基本概念について説明する。図11も、図10と同様に、車両3の車室内に設置された状態にある端末装置2xを上方から観察した図を示していると共に、端末装置2xのカメラ29による撮影画像の例を示している。図11でも、説明の便宜上、端末装置2xを簡略化して図示していると共に、端末保持装置1xの図示を省略している。
図11では、端末装置2xを運転席と助手席との間(詳しくはダッシュボード上の位置)に設置した場合において、破線で示すような撮影画像105がカメラ29より得られた場合を例示している。この場合には、上記したように、表示部25がユーザの方向に向くように端末装置2xを設置すると、端末装置2xにおいてカメラ29が設けられた背面2bの正面方向(垂直方向)が車両3の進行方向に一致しない。そのため、カメラ29の撮影方向が車両3の進行方向に一致しない。したがって、撮影画像105の中心位置105aが、撮影画像105での車両3の進行方向に対応する位置に一致しないこととなる。
第2実施例では、CPU21は、このような撮影画像105での中心位置105aと進行方向に対応する位置とのずれを補正するような処理を行う。具体的には、まず、CPU21は、車両3の加速度に基づいて、車両3の進行方向に対するカメラ29の撮影方向のずれを求める。次に、CPU21は、撮影画像105での中心位置105aを、当該ずれに相当する量(矢印107に対応する)だけずらした位置105bを求める。第2実施例では、こうして求められた位置105bを、撮影画像105での進行方向に対応する位置として扱う。
次に、CPU21は、表示画像の左右方向における中心位置を進行方向に対応する位置に一致させるべく、撮影画像105の中から、左右方向における中心位置が位置105bに一致するような画像を抜き出し、抜き出した画像を表示画像として用いる。具体的には、CPU21は、撮影画像105の中で、位置105bを中心位置として、所定範囲内にある画像106(言い換えると、左右方向に所定サイズを有する画像106)を、表示画像として生成する。この場合、CPU21は、撮影画像105から画像106以外の画像(つまり画像106の両端にある画像)を切り取って表示を行う。
なお、表示画像を生成する際に用いる「所定範囲」は、表示すべき画像のサイズや範囲などによって予め設定される。例えば、「所定範囲」は、ARナビの設定などにより決定される。
図12を参照して、第2実施例に係る撮影画像の補正方法をより具体的に説明する。図12は、端末装置2xを上方から観察した図を示している。ここでは、カメラ29の撮影方向が車両3の進行方向に一致していない状態の図を示している。なお、図12では、説明の便宜上、端末装置2xを簡略化して図示していると共に、端末保持装置1xの図示を省略している。
図12において、矢印150で示す画角は、カメラ29が撮影に用いる画角を示している。つまり、画角150は、カメラ29自体が有する画角を示している。また、一点鎖線150cは、カメラ29が撮影に用いる画角150における中心位置、即ち撮影方向に対応する位置を示している。なお、CPU21は、カメラ29が撮影に用いる画角150や、当該画角150における中心位置150cを把握しているものとする。
第2実施例では、まず、CPU21は、センサ15dの出力に基づいて、車両3の進行方向に対してカメラ29の撮影方向がなす角(矢印155で示す角度に相当し、以下では適宜「ずれ角」と呼ぶ。)を求める。なお、ずれ角155を求める方法については、詳細は後述する。
次に、CPU21は、カメラ29が撮影に用いる画角150における中心位置150cを、ずれ角155だけずらした位置151cを求める。この場合、CPU21は、求められた位置151cを、車両3の進行方向に対応する位置として扱う。即ち、CPU21は、当該位置151cを、画角150の中で実際に表示を行う際に用いる画角(以下、「表示画角」とも呼ぶ。)の中心位置として用いる。
次に、CPU21は、カメラ29が撮影に用いる画角150において、求められた位置151cを中心とし所定角度だけの幅を有する画角(矢印151で示す)を、表示画角として求める。この後、CPU21は、カメラ29による撮影画像において、求められた表示画角151によって規定される範囲内にある画像を、表示画像として生成する。こうすることは、図11に示したように、撮影画像105の中で位置105bを中心位置として所定範囲内にある画像106を、表示画像として生成することに相当する。
なお、上記のように、進行方向に対応する位置151cを求めて、当該位置151cに基づいて表示画角151を求めることに限定はされない。他の例では、進行方向に対応する位置151cを求めずに、表示画角151を求めることができる。具体的には、矢印152に示すような、通常の使用において撮影画像から表示画像を生成するために用いられる表示画角(中心位置150cを中心とし所定角度だけの幅を有する画角)を、ずれ角155だけずらすことで、表示画角151を求めることができる。
以上説明した第2実施例によれば、車両3の進行方向に対するカメラ29の撮影方向のずれ角に基づいて、撮影画像を適切に補正して表示画像を生成することができる。具体的には、車両3の進行方向に対応する位置を中心位置とするような表示画像を適切に生成することができる。これにより、端末装置2xが車両3の進行方向を向いていない状態(つまりカメラ29の撮影方向が車両3の進行方向と一致していない状態)で設置されたとしても、生成された表示画像を用いて、ARナビなどを適切に行うことが可能となる。例えば、ARナビにおいて経路案内するために用いられる画像などを、表示画像上の適切な位置に表示させることが可能となる。
また、第2実施例によれば、前述した特許文献1に記載された技術のように撮影画像に対して画像分析を行うわけではないので、当該技術と比較して、処理負荷を軽減することが可能となる。
なお、カメラ29の画角は、表示部25を観察するためにユーザが設定するものと想定される端末装置2xの向きの範囲内において、ユーザが端末装置2xの向きを種々に変えた際に求められる表示画角の全てが、カメラ29自体が有する画角の範囲内に含まれるように設計することが望ましい。つまり、想定される端末装置2xの向きの範囲内でユーザが端末装置2xの向きを種々に変えたとしても、上記のように求められる表示画角の全てが網羅されるような画角を有するカメラ29を用いることが望ましい。
(ずれ角算出方法)
次に、図13を参照して、車両3の進行方向に対するカメラ29の撮影方向のずれ角を算出する方法の具体例について説明する。
図13(a)は、端末保持装置1xに保持された状態にある端末装置2xを上方から観察した図を示している。なお、図13(a)では、説明の便宜上、端末保持装置1x及び端末装置2xを簡略化して図示している。図13(a)に示すように、端末保持装置1xの基板ホルダ15内にはセンサ15dが設けられている。センサ15dは、2次元方向の加速度を検出可能に構成された加速度センサ(言い換えるとGセンサ)である。以下では、「センサ15d」を「加速度センサ15d」と表記する。前述したように、端末装置2xが端末保持装置1xに保持された状態(詳しくは端末装置2xのコネクタと端末ホルダ16内のコネクタ16aとが接続された状態)において、加速度センサ15dの出力信号は、基板ホルダ15内のセンサ基板15c、端末ホルダ16内の配線16b及びコネクタ16aを通じて端末装置2xへ供給される。この場合、端末装置2x内のCPU21が、加速度センサ15dの出力信号を取得する。
具体的には、加速度センサ15dは、図13(a)に示すようなX方向の加速度及びY方向の加速度を検出する。加速度センサ15dは、端末保持装置1xに固定され、端末保持装置1xに取り付けられる端末装置2xのカメラ29との位置関係は一定であるので、加速度センサ15dが加速度を検出するX方向及びY方向とカメラ29の撮影方向とは一定の関係にある。第2実施例では、図13(a)に示すように、X方向と撮影方向とが一致するように構成されている。
図13(b)は、図13(a)と同様に、端末保持装置1xに保持された状態にある端末装置2xを示しているが、ここでは、端末装置2xが車両3の進行方向を向いていない状態、つまりカメラ29の撮影方向が車両3の進行方向に一致していない状態の図を示している。端末保持装置1xに端末装置2xが保持された状態においては、端末保持装置1xの向きは端末装置2xの向きに一致する。そのため、端末保持装置1x内の加速度センサ15dによって、端末装置2xの向き(具体的には端末装置2x内のカメラ29の撮影方向)を適切に検出することができると言える。
図13(c)は、図13(b)中の加速度センサ15dのみを図示したものである。加速度センサ15dは、図13(c)に示すようなX方向及びY方向についての2次元方向の加速度を検出する。X方向は、カメラ29の撮影方向に対応する。車両3の進行方向に対してカメラ29の撮影方向がずれていると、加速度センサ15dによって検出されるX方向の加速度とY方向の加速度との比から、車両3の進行方向に対するカメラ29の撮影方向(X方向)のずれ角θを算出することができる。ずれ角θは、以下の式(1)より算出することができる。
ずれ角θ=arctan(Y方向の加速度/X方向の加速度) 式(1)
具体的には、ずれ角θは、端末装置2x内のCPU21によって算出される。この場合、CPU21は、加速度センサ15dによって検出されたX方向の加速度及びY方向の加速度に対応する出力信号を取得し、当該出力信号に基づいてずれ角θを算出する。
なお、上記では、端末保持装置1xの基板ホルダ15内に設けられた加速度センサ15dの出力に基づいてずれ角を算出する例を示したが、これに限定はされない。加速度センサ15dの代わりに、車両3内に設けられたセンサの出力や、端末装置2xとは別に車両3内に設置されたナビゲーション装置内に設けられたセンサの出力などに基づいて、ずれ角を算出しても良い。
(撮影画像補正処理)
次に、図14を参照して、第2実施例に係る撮影画像補正処理について説明する。図14は、第2実施例に係る撮影画像補正処理を示すフローチャートである。当該処理は、端末装置2x内のCPU21がROM22などに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
まず、ステップS101では、CPU21は、撮影画像補正処理を前回行ってから所定時間が経過したか否かを判定する。この判定は、所定時間ごとに(言い換えると所定の周期で)、撮影画像補正処理を繰り返し実行するために行っている。所定時間が経過している場合(ステップS101;Yes)、処理はステップS102に進み、所定時間が経過していない場合(ステップS101;No)、処理は終了する。
ステップS102では、CPU21は、車両3の加速度が所定値以上であるか否かを判定する。例えば、CPU21は、加速度センサ15dによって検出されたX方向の加速度が所定値以上であるか否かを判定する。このような判定は、撮影画像の補正についての精度を確保するべく、加速度センサ15dの安定した出力値を用いて以降の処理を実行するために行っている。なお、当該判定に用いられる「所定値」は、例えば、撮影画像の補正の精度を確保することができるような加速度の値に設定される。
加速度が所定値以上である場合(ステップS102;Yes)、処理はステップS103に進み、加速度が所定値以上でない場合(ステップS102;No)、処理はステップS102に戻る。
ステップS103では、CPU21は、車両3が直線走行中(言い換えると直進中)であるか否かを判定する。具体的には、CPU21は、加速度センサ15dによって検出されたX方向の加速度とY方向の加速度との比に基づいて、車両3が直線走行中であるか否かを判定する。詳しくは、CPU21は、X方向の加速度(所定値以上の加速度である)とY方向の加速度との比を複数サンプリングし、サンプリングされた複数の比の値が概ね一定値となっている場合には車両3が直線走行中であると判定し、サンプリングされた複数の比の値が変動している場合には車両3が直線走行中でないと判定する。このような判定も、撮影画像の補正についての精度を確保する観点から行っている。具体的には、当該判定は、車両3の進行方向が車両3の前後方向に一致する際の加速度センサ15dの出力値を用いて撮影画像の補正を実行するために行っている。
車両3が直線走行中である場合(ステップS103;Yes)、処理はステップS104に進み、車両3が直線走行中でない場合(ステップS103;No)、処理はステップS102に戻る。
ステップS104では、CPU21は、車両3の進行方向に対するカメラ29の撮影方向のずれ角を算出する。例えば、CPU21は、上記の式(1)より、加速度センサ15dによって検出されたX方向の加速度及びY方向の加速度との比に基づいて、ずれ角を算出する。そして、処理はステップS105に進む。
ステップS105では、CPU21は、ステップS104で算出されたずれ角に基づいて、カメラ29による撮影画像を補正して表示画像を生成する。具体的には、CPU21は、カメラ29が撮影に用いる画角の中心位置をずれ角だけずらした位置を求め、求められた位置を中心とし所定角度だけの幅を有する画角を、表示画角として求める。こうする代わりに、通常の使用において撮影画像から表示画像を生成するために用いられる表示画角をずれ角だけずらした画角を、表示画角として求めても良い。この後、CPU21は、撮影画像において、求められた表示画角によって規定される範囲内にある画像を、表示画像として生成する。CPU21は、こうして生成した表示画像を表示部25に表示させる。そして、処理はステップS106に進む。
ステップS106では、CPU21は、ステップS105で表示画像を生成するために用いられた、ずれ角及び/又は表示画角のデータを補正量としてROM22などに記憶させる。そして、処理は終了する。なお、CPU21は、上記した所定時間が経過するまでの間は(「ステップS101;No」となる場合)、ステップS106で記憶された補正量を用いて撮影画像を補正して表示画像を生成する。また、CPU21は、車両3内のエンジンがオフとなった後も補正量を保持しておき、エンジンが始動されてから所定値以上の加速度が発生するまでの間は、保持している補正量を用いる。
以上説明した撮影画像補正処理によれば、車両3の進行方向に対するカメラ29の撮影方向のずれ角に基づいて、撮影画像を適切に補正して表示画像を生成することができる。具体的には、車両3の進行方向に対応する位置を中心位置とするような表示画像を適切に生成することができる。これにより、端末装置2xが車両3の進行方向を向いていない状態で設置されたとしても、生成された表示画像を用いて、ARナビなどを適切に行うことが可能となる。
なお、上記では、加速度センサ15dによって検出されたX方向の加速度とY方向の加速度との比に基づいて、車両3が直線走行中であるか否かを判定する例を示したが(ステップS103)、X方向の加速度とY方向の加速度との比に基づいて当該判定を行うことに限定はされない。他の例では、ARナビなどが用いるナビゲーション情報に基づいて、車両3が直線走行中であるか否かを判定することができる。具体的には、CPU21は、経路の情報や地図情報などのナビゲーション情報から、車両3が現在走行している道路が直線であるかカーブしているかを判断し、現在走行している道路が直線であると判断される場合に、ステップS103において車両3が直線走行中であると判定することができる。
なお、図14に示した撮影画像補正処理では、ステップS101、S102、S103の判定を全て行う例を示したが、この代わりに、ステップS101、S102、S103のうちのいずれか1つ以上の判定を行うこととしても良い。つまり、ステップS101、S102、S103のうちのいずれか1つ又は2つの判定を行い、当該判定における条件が成立する場合に撮影画像の補正を行うこととしても良い。
(第2実施例の変形例)
上記では、所定の周期で撮影画像補正処理を繰り返し実行する例を示した。変形例では、所定の周期で撮影画像補正処理を繰り返し実行する代わりに、端末装置2xの設置状態が変更された場合にのみ、撮影画像補正処理を実行する。
図15を参照して、変形例に係る撮影画像補正処理について説明する。図15は、変形例に係る撮影画像補正処理を示すフローチャートである。当該処理は、端末装置2x内のCPU21がROM22などに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
変形例では、図14に示したステップS101の処理の代わりに、ステップS201の処理を行う点で、上記した第2実施例と異なる。ステップS202〜S206の処理は、図14に示したステップS102〜S106の処理と同様であるため、その説明を省略する。ここでは、ステップS201の処理のみ説明を行う。
ステップS201では、CPU21は、端末装置2xの設置状態が変更されたか否かを判定する。この場合、CPU21は、ユーザによって、端末装置2xの向きが変えられたり、端末装置2xが端末保持装置1xから取り外されたり、端末装置2xが端末保持装置1xに取り付けられたりしたかを判定する。このような判定を行っているのは、端末装置2xの設置状態が変更された場合には車両3の進行方向に対するカメラ29の撮影方向のずれ角も変わる傾向にあるので、当該場合に撮影画像の補正を実行するためである。つまり、端末装置2xの設置状態が変更された場合には、前回求められた補正量で撮影画像を補正すべきではなく、新たに補正量を求めて撮影画像を補正すべきだからである。
具体的には、CPU21は、以下の第1〜第4の例で示すような方法により、端末装置2xの設置状態が変更されたか否かを判定する。
第1の例では、端末保持装置1x内に上下方向の加速度を検出可能に構成された加速度センサを設け、CPU21は、当該加速度センサの出力に基づいて、端末装置2xの設置状態が変更されたか否かを判定する。具体的には、CPU21は、加速度センサによって上下方向の加速度が検出された場合に、端末装置2xの設置状態が変更されたと判定する。例えば、第1の例に係る方法は、上記した加速度センサ15dの代わりに、3次元方向の加速度を検出可能に構成された加速度センサを端末保持装置1x内に設けることで実現することができる。
第2の例では、CPU21は、加速度センサ15dによって、通常のハンドル操作で生じ得ないような加速度が検出された場合に、端末装置2xの設置状態が変更されたと判定する。具体的には、CPU21は、X方向の加速度とY方向の加速度との比を複数サンプリングし、サンプリングされた複数の比の値が大きく変動している場合に、端末装置2xの設置状態が変更されたと判定する。例えば、CPU21は、サンプリングされた複数の比の値が、車両3がカーブする際に発生し得るX方向の加速度とY方向の加速度との比の値よりも大きい場合に、端末装置2xの設置状態が変更されたと判定する。
第3の例では、CPU21は、ARナビなどが用いるナビゲーション情報と、加速度センサ15dの出力とに基づいて、端末装置2xの設置状態が変更されたか否かを判定する。具体的には、CPU21は、ナビゲーション情報より、車両3が現在走行している道路が直線道路であると判断される場合において、加速度センサ15dによって、直線走行中には生じ得ないような加速度が検出された場合に、端末装置2xの設置状態が変更されたと判定する。詳しくは、直線走行中にはX方向の加速度とY方向の加速度との比の値が概ね一定となるはずだが、当該比の値が変動している場合には、CPU21は、端末装置2xの設置状態が変更されたと判定する。一方で、CPU21は、ナビゲーション情報より、車両3が現在走行している道路が曲がっていると判断される場合には、端末装置2xの設置状態が変更されたか否かの判定を行わない。この場合には、加速度センサ15dの出力値が安定しない傾向にあるため、誤判定を防止する観点から、設置状態の変更についての判定を行わない。
第4の例では、CPU21は、ユーザが端末装置2xの操作部28を操作した場合に、端末装置2xの設置状態が変更されたと判定する。つまり、CPU21は、操作部28から何らかの入力があった場合に、端末装置2xの設置状態が変更されたと判定する。例えば、CPU21は、ARナビをオフにする操作や、端末装置2xの電源をオフにする操作などがあった場合に、端末装置2xの設置状態が変更されたと判定する。
このような第1〜第4の例に係る方法により、端末装置2xの設置状態が変更されたと判定された場合(ステップS201;Yes)、処理はステップS202に進み、端末装置2xの設置状態が変更されたと判定されなかった場合(ステップS201;No)、処理は終了する。なお、第1〜第4の例のうちのいずれか1つの方法のみを用いて判定を行うことに限定はされず、第1〜第4の例のうちのいずれか2つ以上の方法を組み合わせて判定を行っても良い。
以上説明した変形例によれば、端末装置2xの設置状態の変更を適切に検出して、設置状態が変更された際に撮影画像の補正を適切に行うことができる。また、変形例によれば、上記した第2実施例と異なり(図14参照)、所定の周期で撮影画像補正処理を繰り返し実行しないため、処理負荷を軽減することができる。なお、上記した第2実施例では、所定の周期で撮影画像補正処理を繰り返し実行するため、端末装置2xの設置状態の変更を考慮することなく、撮影画像の補正を随時行うことができる。
なお、図15に示した撮影画像補正処理では、ステップS201、S202、S203の判定を全て行う例を示したが、この代わりに、ステップS201、S202、S203のうちのいずれか1つ以上の判定を行うこととしても良い。つまり、ステップS201、S202、S203のうちのいずれか1つ又は2つの判定を行い、当該判定における条件が成立する場合に撮影画像の補正を行うこととしても良い。
なお、上記では本発明を車両に適用する例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。本発明は、車両の他に、船や、ヘリコプターや、飛行機などの種々の移動体に適用することができる。
以上に述べたように、実施例は、上述した第1実施例及び第2実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能である。