以下、本発明について説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。また、本発明では重量及び質量、重量%及び質量%は同様の意味であり、文中での使用は質量及び質量%に統一する。なお、数値範囲に関する省略した記載「A〜B」はA以上、B以下の数値範囲を表す。
まず、以下で使用する略語について定義する。本明細書において、CRC(Centrifuge Retention Capacity)とは遠心分離機保持容量であり、後述する実施例に記載の測定方法により得られる値をいう。また、SFC(Saline Flow Conductivity)とは食塩水流れ誘導性であり、後述する実施例に記載の測定方法により得られる値をいう。また、AAP(Absorbency against Pressure)とは4.83kPaの圧力に対する加圧下吸収力であり、後述する実施例に記載の測定方法により得られる値をいう。「また、FSR(Free Swell Rate)とは吸収速度を示す指標の一つであり、後述する実施例に記載の測定方法により得られる値をいう。また、D50(Distribution)とは質量平均粒子径であり、後述する実施例に記載の測定方法により得られる値をいう。また、σζは粒度分布の対数標準偏差であり、後述する実施例に記載の測定方法により得られる値をいう。FHA(Fixed Height Absorption)とは固定された高さ吸収であり、後述する実施例に記載の測定方法により得られる値をいう。また、本明細書において、食塩水とは塩化ナトリウム水溶液を意味する。
本発明にかかる吸水剤は、吸水性樹脂(A)を含んでおり、さらにヒドロキシル基を主鎖に有するポリアミン系ポリマーであるポリマー(B)とを含んでいる水性液体の吸収固化剤である。
本発明にかかる吸水剤には、吸水性樹脂(A)を含んでおり、さらにモノマーとしてアミン類(b2)とエピハロヒドリン類(b3)とを必須成分として反応させてなるポリマー(B)を含んでいる水性液体の吸収固化剤が含まれる。
また、本発明にかかる吸水剤は、吸水性樹脂(A)を含んでおり、さらにモノマーとしてアンモニア(b1)とアミン類(b2)とエピハロヒドリン類(b3)とを必須成分として反応させてなるポリマー(B)を含んでいる水性液体の吸収固化剤であってもよい。
本発明にかかる吸水剤は、吸水性樹脂(A)を主成分として含み、さらに上記ポリマー(B)を含むものであればよい。ここで「主成分」とは、吸水性樹脂の含有量が吸水剤全体に対して50質量%以上99.999質量%以下であることをいう。吸水性樹脂の含有量は吸水剤全体中、より好ましくは60質量%以上99.999質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以上99.999質量%以下であり、さらに好ましくは90質量%以上99.999質量%以下であり、特に好ましくは95質量%以上99.999質量%以下であり、最も好ましくは98質量%以上99.999質量%以下である。
また、上記ポリマー(B)の吸水剤全体に対しての含有量は、好ましくは0.001質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上5質量%以下である。また、上記ポリマー(B)は、前記吸水性樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.001〜10質量部、より好ましくは0.01質量部以上5質量部以下含まれていることが好ましい。
上記ポリマー(B)の吸水剤全体に対しての含有量が0.001質量%以上であることにより、遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)のバランス、及び吸収速度に優れた吸水剤を得ることができるため好ましい。また、上記ポリマー(B)の吸水剤全体に対しての含有量が10質量%以下であることにより、CRCを高く維持できるため好ましい。また、上記ポリマー(B)の前記吸水性樹脂(A)100質量部に対する含有量が0.001質量部以上であることにより、遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)のバランス、及び吸収速度に優れた吸水剤を得ることができるため好ましい。また、上記ポリマー(B)の前記吸水性樹脂(A)100質量部に対する含有量が10質量部以下であることにより、CRCを高く維持できるため好ましい。
本発明にかかる吸水剤中の吸水性樹脂(A)、ポリマー(B)以外の成分としては、通常は水を含み、さらには必要に応じてその他の添加剤が含まれる。
なお、上記水性液体としては、水に限らず、尿、血液、糞、廃液、湿気や蒸気、氷、水と有機溶媒及び/又は無機溶媒との混合物、雨水、地下水等であってもよく、水を含めば特定に制限されるものではない。中でも上記水性液体としては、より好ましくは、尿、特に人尿を挙げることができる。
以下、(1)本発明の吸水剤に含まれる吸水性樹脂(A)、(2)ポリマー(B)、(3)その他の添加剤、(4)吸水剤、(5)吸水剤の製造方法、(6)吸水体について順に説明する。
(1)本発明の吸水剤に含まれる吸水性樹脂(A)
本発明にかかる吸水剤に用いられる吸水性樹脂は水溶性不飽和単量体を重合して得ることができる水不溶性水膨潤性ヒドロゲル形成性重合体(以下、本明細書において、吸水性樹脂のことを水不溶性水膨潤性ヒドロゲル形成性重合体と称することがある。)である。
水不溶性水膨潤性ヒドロゲル形成性重合体の具体例としては、例えば、部分中和架橋ポリアクリル酸重合体(米国特許第4625001号明細書、米国特許第4654039号明細書、米国特許第5250640号明細書、米国特許第5275773号明細書、欧州特許第456136号明細書等)、架橋されて部分的に中和された澱粉−アクリル酸グラフトポリマー(米国特許第4076663号明細書)、イソブチレン−マレイン酸共重合体(米国特許第4389513号明細書)、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体のケン化物(米国特許第4124748号明細書)、アクリルアミド(共)重合体の加水分解物(米国特許第3959569号明細書)、アクリロニトリル重合体の加水分解物(米国特許第3935099号明細書)等を挙げることができる。
本発明の吸水剤に含まれる吸水性樹脂は、中でも、上記水溶性不飽和単量体として、アクリル酸及び/又はその塩を含む単量体を重合して得られるポリアクリル酸(塩)系架橋重合体からなる吸水性樹脂の粒子であることがより好ましい。ここで、ポリアクリル酸(塩)系架橋重合体とは、アクリル酸及び/又はその塩を50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む単量体を重合して得られる架橋重合体をいう。
また、ポリアクリル酸(塩)系架橋重合体中の酸基は、その50モル%以上90モル%以下が中和されていることが好ましく、60モル%以上80モル%が中和されていることがより好ましい。また、ポリアクリル酸塩としてはナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等を例示することができる。中でも、ポリアクリル酸塩はより好ましくはナトリウム塩である。塩を形成させるための中和は重合前に単量体の状態で行っても良いし、あるいは重合途中や重合後に重合体の状態で行っても良いし、それらを併用してもよい。
本発明にかかる吸水剤に用いられる吸水性樹脂として好ましく用いることができるポリアクリル酸(塩)系架橋重合体は、主成分として用いられる単量体(アクリル酸及び/又はその塩)に併用して、必要により他の単量体を共重合させたものであってもよい。
他の単量体の具体例としては、例えば、WO2007/116777A1号に例示の単量体を挙げることができる。具体的にはアニオン性不飽和単量体及びその塩、ノニオン性の親水基含有不飽和単量体、カチオン性不飽和単量体等を挙げることができる。これら他の単量体の使用量は、全単量体中0モル%以上30モル%以下であることが好ましく、より好ましくは0モル%以上10モル%以下である。
本発明で用いられる吸水性樹脂は、内部架橋構造を有する架橋重合体であることが好ましい。上記吸水性樹脂に内部架橋構造を導入する方法としては、架橋剤を使用しないで自己架橋によって導入する方法、1分子中に2個以上の重合性不飽和基及び/又は2個以上の反応性基を有する内部架橋剤を共重合又は反応させて導入する方法等を例示することができる。中でも内部架橋剤を共重合又は反応させて導入する方法を用いることがより好ましい。
上記内部架橋剤の具体例としては、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、その他、WO2007/116777A1号に例示の内部架橋剤、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類;エチレンジアミン、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これらの内部架橋剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を使用してもよい。中でも、得られる吸水性樹脂粒子の吸水特性等から、2個以上の重合性不飽和基を有する化合物を内部架橋剤として必須に用いることがより好ましい。
上記内部架橋剤の使用量は全単量体に対して0.005モル%以上3モル%以下であることがより好ましく、さらに好ましくは0.01モル%以上2モル%以下、最も好ましくは0.05モル%以上0.2モル%以下である。
重合に際しては、澱粉−セルロース、澱粉−セルロースの誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)架橋体等の親水性高分子や、次亜リン酸(塩)等の連鎖移動剤を添加してもよい。
また、例えば、上記したアクリル酸及び/又はその塩を主成分とする単量体を重合するに際しては、バルク重合、逆相懸濁重合、沈澱重合を行うことも可能であるが、得られる吸水性樹脂の性能面や重合の制御の容易さから、逆相懸濁重合又は単量体を水溶液にする水溶液重合を行うことがより好ましい。かかる重合方法は、例えば、米国特許第4625001号明細書、米国特許第4769427号明細書、米国特許第4873299号明細書、米国特許第4093776号明細書、米国特許第4367323号明細書、米国特許第4446261号明細書、米国特許第4683274号明細書、米国特許第4690996号明細書、米国特許第4721647号明細書、米国特許第4738867号明細書、米国特許第4748076号明細書、米国特許出願公開2002/40095号明細書等に記載されている。
前記単量体を重合する際には、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のラジカル重合開始剤;放射線、電子線、紫外線増感の重合開始剤等を用いることができる。また、反応系に放射線、電子線、紫外線などの活性エネルギー線を照射することにより重合反応を行ってもよいし、前記活性エネルギー線と放射線、電子線、紫外線増感の重合開始剤等とを併用してもよいし、前記活性エネルギー線と前記ラジカル重合開始剤とを併用してもよい。また、ラジカル重合開始剤を用いる場合、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、L−アスコルビン酸等の還元剤を併用してレドックス重合としてもよい。また、これらの重合開始剤の使用量は、全単量体に対して、0.001モル%以上2モル%以下であることが好ましく、より好ましくは0.01モル%以上0.5モル%以下である。
また、本発明で用いられる吸水性樹脂は、キレート剤を含んでも良い。キレート剤を混合する工程は特に限定されるものではないが、前記単量体あるいは単量体溶液に、キレート剤を混合することが好ましい。上記キレート剤としては、高分子キレート剤または非高分子キレート剤が種々使用できる。好ましくは上記キレート剤は酸基含有非高分子キレート剤(好ましい分子量は100〜1000、特に好ましい分子量は100〜500))であり、さらに好ましくは、リン酸含有非高分子キレート剤またはカルボン酸基含有非高分子キレート剤である。中でも、酸基を2〜10個、特に好ましくは2〜6個含有する非高分子キレート剤が好適に用いられ、また、キレート剤中に窒素を有するキレート剤(好ましくはアミノカルボン酸(塩))も好ましい。また、上記キレート剤は水溶性であることが好ましい。
上記キレート剤としては、例えば、米国特許6599989号、WO2008/090961A1号に記載のキレート剤を挙げることができる。中でもWO2008/090961A1号に記載の有機リン化合物がより好ましい。
キレート剤の使用量は、吸水性樹脂100質量部に対して好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上、さらに好ましくは0.05質量部以上であり、また、吸水性樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下、さらに好ましくは0.2質量部以下、特に好ましくは0.1質量部以下である。
上記の重合により得られた吸水性樹脂の形状は、粒子形状であることが好ましく、一般には、不定形破砕状、球状、繊維状、棒状、略球状、偏平状等であるが、不定形破砕状であることがより好ましい。
上記架橋重合体が水溶液重合で得られたものでゲル状である場合、すなわち含水ゲル状架橋重合体(以下、本明細書において含水ゲルと略称することがある)である場合、該含水ゲル状架橋重合体を、乾燥し、乾燥の前及び/又は後で粉砕して吸水性樹脂粒子とすることが好ましい。なお、本発明において、乾燥とは固形分の上昇操作をいい、通常、固形分が乾燥前と比較して上昇すればよいが、固形分が90質量%以上、上限は99質量%程度まで上昇することがより好ましい。乾燥は重合と同時に行ってもよく、重合時の乾燥と重合後の乾燥とを併用してもよいが、より好ましくは、重合後に乾燥装置を用いて乾燥する乾燥工程が設けられる。本発明では、乾燥後の吸水性樹脂の固形分は好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上である。固形分が低くなってしまうと、流動性が悪くなり製造に支障をきたすばかりか、吸水性樹脂が粉砕できなくなり、特定の粒度分布に制御できなくなってしまう場合がある。なお、ここで、吸水性樹脂の固形分は、後述する測定方法により測定される値をいう。
本発明では、乾燥は、乾燥工程にかかる時間の50%以上の時間、より好ましくは実質すべての乾燥工程をとおして100℃〜250℃の範囲で行われる。100℃以上の温度では、未乾燥物の発生を抑えることができるため、粉砕を良好に行うことができ、粒度分布の制御を容易に行うことができる。また、乾燥の温度が250℃以下であることにより、吸水性樹脂にダメージを与えない結果、水可溶分量の上昇が起こらず、諸物性が向上するという効果を得ることができる。なお、乾燥温度は熱媒温度で規定するが、マイクロ波等熱媒温度で規定できない場合は材料温度で規定する。乾燥方法としては、乾燥温度が上記範囲内であれば特に限定されるものではなく、熱風乾燥、無風乾燥、減圧乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥等を好適に用いることができる。中でも、熱風乾燥を用いることがより好ましい。熱風乾燥を用いる場合の風速(水平に広がる乾燥対象物に対して垂直に通過する風の速度)は、好ましくは0.01〜10m/sec、より好ましくは0.1〜5m/secの範囲である。
乾燥温度の範囲はより好ましくは130℃〜220℃、さらに好ましくは150℃〜200℃の温度範囲である。また、乾燥は、一定温度で乾燥してもよく、温度を変化させて乾燥してもよいが、実質、すべての乾燥工程は上記の温度範囲内でなされることが好ましい。
乾燥時間は、重合体の表面積、含水率、及び乾燥機の種類に依存し、目的とする含水率になるよう適宜選択される。乾燥時間は、通常10〜120分、より好ましくは20〜90分、さらに好ましくは30〜60分である。乾燥時間が10分以上であることにより、乾燥が十分で、取扱い性に優れた吸水性樹脂を得ることができる。また、乾燥時間が120分以下であることにより、吸水性樹脂にダメージを与えることがなく、水可溶分量の上昇もなく、諸物性の向上効果を得ることができる。
得られた吸水性樹脂は粉砕機によって粉砕される。粉砕は乾燥前、中、後のいずれに行っても良いが、より好ましくは乾燥後である。上記粉砕機は特に限定されるものではないが、例えばロールミルのようなロール式粉砕機、ハンマーミルのようなハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、カッターミル、ターボグラインダー、ボールミル、フラッシュミル等が用いられる。この中でも、粒度分布を制御するためにはロールミルを用いることがより好ましい。粒度分布を制御するため連続して2回以上粉砕することがより好ましく、連続して3回以上粉砕することがさらに好ましい。また、2回以上粉砕する場合には、それぞれの粉砕機は同じであっても異なっていてもよい。異なる種類の粉砕機を組み合わせて使うことも可能である。
上記のようにして粉砕された吸水性樹脂粒子を特定の粒度分布に制御するため、特定の目開きの篩で分級することで、特定の粒子径よりも大きな粒子を除いてもよい。また、除いた粒子を再度粉砕することで特定の粒子径範囲に制御してもよい。篩で分級するために用いる分級機は特に限定されるものではないが、たとえば振動篩(アンバランスウェイト駆動式、共振式、振動モータ式、電磁式、円型振動式等)、面内運動篩(水平運動式、水平円−直線運動式、3次元円運動式等)、可動網式篩、強制攪拌式篩、網面振動式篩、風力篩、音波篩等が用いられ、より好ましくは振動篩、面内運動篩が用いられる。また、篩の目開きは好ましくは1000μm〜100μmの範囲である。かかる範囲内の目開きを有する篩を複数(好ましくは2〜7個)使用することにより、目的の粒度分布を得ることができるためより好ましい。
上記のようにして分級された吸水性樹脂粒子をさらに特定の粒度分布に制御するため、さらに分級することで、特定の粒子径未満の粒子の一部又はすべてを除去してもよい。かかる工程において用いられる分級機も特に限定されるものではないが、たとえば上記で例示されたものが好ましく用いられ、他には微粉型分級装置(遠心力式、慣性力式等)等が用いられる。本工程において、好ましくは粒子径が200μm未満、より好ましくは150μm未満、最も好ましくは106μm未満の粒子径である粒子の、一部又はすべてが除去される。
前述のように本発明で用いられる吸水性樹脂は水膨潤性架橋重合体であり、(粒子)内部に架橋構造を有する。かかる吸水性樹脂(粒子)はさらに表面架橋され、その表面ないし表面近傍の架橋密度が内部より高められていることがより好ましい。なお、表面ないし表面近傍は通常、吸水性樹脂の表層より数10μm以下および/または全体の1/10以下の厚みをさすが、目的に応じて適宜決定される。
かかる吸水性樹脂の表面架橋は、(1)表面架橋剤である、前記ポリマー(B)以外の有機表面架橋剤及び/又は水溶性無機表面架橋剤によって表面架橋されていてもよく、(2)表面で架橋性単量体によって架橋重合(例えば、米国特許7201941号)されていてもよく、また、(3)過硫酸塩などで発生するラジカルによって表面架橋(例えば、米国特許4783510号、))されていてもよい。また、架橋反応は加熱や放射線(好ましくは紫外線、欧州特許1824910号など)で反応促進することが好ましい。吸水剤に含まれる吸水性樹脂はその表面および/または表面近傍が、表面架橋されていることにより、さらに、ポリマー(B)と表面架橋を併用することで、飛躍的に吸水剤の液透過性を向上させることができる。
本発明では吸水性樹脂(A)に対してポリマー(B)を混合するが、本発明で吸水性樹脂を表面架橋する場合、吸水性樹脂へのポリマー(B)の混合と吸水性樹脂の表面架橋との順番は特に問わず、いずれを先に行ってもよいし、同時に行ってもよい。吸水性樹脂の表面架橋とポリマー(B)の混合は同時にまたは別途行えるが、より好ましくは、吸水性樹脂をポリマー(B)以外(すなわちポリマー(B)の不存在下)で表面架橋後、さらに、表面架橋された吸水性樹脂にポリマー(B)が混合される。
以下、好ましい架橋方法として表面架橋剤を使用して、吸水性樹脂を表面架橋する方法について説明する。表面架橋剤による吸水性樹脂の表面架橋はどの段階で行ってもよいが、吸水性樹脂が粒子形状である場合、より好ましくは吸水性樹脂粒子を特定の粒度分布に制御するための操作を行った後に行われる。
上記表面架橋剤としては、吸水性樹脂が有する官能基、例えば、カルボキシル基と反応し得る官能基を2個以上有する表面架橋剤を挙げることができる。かかる表面架橋剤は、有機表面架橋剤であってもよいし、無機表面架橋剤であってもよいが、中でも、水溶性の有機表面架橋剤をより好適に用いることができる。
かかる表面架橋剤としては、種々の有機または無機表面架橋剤を例示できるが、得られる吸水性樹脂の物性や取り扱い性の観点から、カルボキシル基と反応しうる架橋剤が好ましく使用できる。例えば、多価アルコール化合物、エポキシ化合物、多価アミン化合物、ハロエポキシ化合物、オキサゾリン化合物、モノ、ジ、またはポリオキサゾリジノン化合物、多価金属塩、アルキレンカーボネート化合物等を例示できる。より具体的には、米国特許6228930号、同6071976号、同6254990号などに例示されている化合物を挙げることが出来る。
上記表面架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール;その他、多価アミン化合物や、それらの無機塩ないし有機塩(例えば、アゼチジニウム塩等);2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の多価イソシアネート化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等の多価オキサゾリン化合物;尿素、チオ尿素、イミダゾリジノン、グアニジン、ジシアンジアミド等の尿素構造を有する化合物;N−アシル−2−オキサゾリジノン、2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン化合物;1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソパン−2−オン等のアルキレンカーボネート化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤;オキセタン化合物;等を挙げることができる。
上記表面架橋剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でもオキサゾリジノン化合物、アルキレンカーボネート化合物、多価アルコール、オキセタン化合物がより好ましく、多価アルコール、オキセタン化合物は安全性が高い点でさらに好ましく、特に、多価アルコールは、吸水性樹脂粒子の表面の親水性を向上させることができる点で好ましい。
上記表面架橋剤の使用量は、吸水性樹脂粒子の固形分100質量部に対して0.001質量部以上5質量部以下であることが好ましい。
表面架橋剤と吸水性樹脂粒子との混合の際には水を用いてもよい。水の使用量は、吸水性樹脂粒子の固形分100質量部に対して、0.5質量部を越え、10質量部以下が好ましく、1質量部以上5質量部以下の範囲内がより好ましい。
また、表面架橋剤又はその水溶液と吸水性樹脂粒子とを混合する際には、親水性有機溶媒や、第三物質を混合助剤として用いてもよい。親水性有機溶媒を用いる場合には、例えば、国際公開第2004/069915号に記載された親水性溶媒を用いることができる。
親水性有機溶媒の使用量は、吸水性樹脂粒子の種類や粒径、含水率等にもよるが、吸水性樹脂粒子の固形分100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、0質量部以上5質量部以下の範囲内であることがより好ましい。
また、上記第三物質として欧州特許第0668080号明細書に示された無機酸、有機酸、ポリアミノ酸等を存在させてもよい。これらの混合助剤は表面架橋剤として作用するものであっても良いが、表面架橋後に吸水性樹脂粒子の吸水性能を低下させないものであることが好ましい。本発明で用いられる吸水性樹脂粒子は、沸点が100℃以下の親水性有機溶媒を含まない表面架橋剤と混合、加熱により架橋されたものであることが好ましい。吸水性樹脂粒子が沸点100℃以下の親水性有機溶媒を含まない場合、当該親水性有機溶媒は気化しにくいため、気化による表面架橋剤の吸水性樹脂粒子表面での存在状態の変化を回避することができる。それゆえ、SFC等の物性が十分に満たされるため好ましい。
吸水性樹脂粒子と表面架橋剤とをより均一に混合するため、水溶性無機塩(より好ましくは、過硫酸塩)を、吸水性樹脂粒子と表面架橋剤とを混合する際に共存させることがより好ましい。水溶性無機塩の使用量は、吸水性樹脂粒子の種類や粒径等にもよるが、吸水性樹脂粒子の固形分100質量部に対して0.01質量部以上1質量部以下の範囲内が好ましく、0.05質量部以上0.5質量部以下の範囲内がより好ましい。また、上記吸水性樹脂粒子全体に対して0.01質量%以上1.0質量%以下の水溶性無機塩好ましくは過硫酸塩を含む有機表面架橋剤及び/又は水溶性無機表面架橋剤との混合、加熱によって架橋されたものであることが好ましい。
吸水性樹脂と表面架橋剤とを混合する混合方法は特に限定されるものではないが、例えば、吸水性樹脂を親水性有機溶剤に浸漬し、必要に応じて水及び/又は親水性有機溶媒に溶解させた表面架橋剤を混合する方法、吸水性樹脂に直接、水及び/又は親水性有機溶媒に溶解させた表面架橋剤を噴霧若しくは滴下して混合する方法等を例示することができる。
吸水性樹脂と表面架橋剤とを混合した後は、加熱処理を行い、架橋反応を遂行させることが好ましい。上記加熱処理温度は、用いる表面架橋剤にもよるが、40℃以上250℃以下であることが好ましく、100℃以上240℃以下であることがより好ましく、150℃以上230℃以下であることがさらに好ましい。加熱処理温度が40℃以上であることにより、AAPやSFC等の吸収特性が十分に改善されるため好ましい。また、加熱処理温度が250℃以下であることにより、吸水性樹脂の劣化を回避することができ、各種物性が良好に保たれるため好ましい。加熱処理時間は、好ましくは1分以上2時間以下、より好ましくは5分以上1時間以下である。
本発明で用いる吸水性樹脂が粒子形状である場合は、質量平均粒子径が好ましくは100μm以上600μm以下であり、より好ましくは200μm以上500μm以下であり、最も好ましくは300μm以上400μm以下である。吸水性樹脂粒子の質量平均粒子径が100μm以上600μm以下の範囲であることにより、液透過性・拡散性に優れるとともに、吸収速度が低下しないため好ましい。このような吸水性樹脂粒子を、例えば、オムツに用いた場合、液の漏れ等を起こさないため好ましい。
また、本発明で用いる吸水性樹脂粒子は、175μm以上710μm以下の吸水性樹脂粒子が、50質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
また、本発明で用いる吸水性樹脂粒子は、目開き150μmの篩を通過できる大きさの粒子の割合が、吸水性樹脂粒子の全質量に対して、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。目開き150μmの篩を通過できる大きさの粒子の割合が、吸水性樹脂粒子の全質量に対して、5質量%以下である吸水性樹脂粒子が吸水剤に用いられることで、得られる吸水剤の粉塵量を抑制することができる。そのため、吸水剤の製造の際に吸水性樹脂粒子に含まれる微粒子が飛散することに起因する安全衛生上の問題を防止することができ、得られる吸水剤の物性が低下することを抑制することができる。
さらに、上記吸水性樹脂粒子としては、質量平均粒子径が300μm以下である微紛状の吸水性樹脂粒子(以下適宜「微粉」と記す)を造粒、乾燥、粒度調整し、表面架橋したものを用いてもよい。また、粉砕して得られる一次粒子の不定形破砕状の吸水性樹脂粒子に微紛の造粒物を一部混合した吸水性樹脂粒子を用いてもよい。微粉の造粒物を吸水性樹脂粒子に一部混合した場合には、吸水速度、米国特許出願公開2005/0003191A1号公報に記載されている固定された高さ吸収(FHA)等の吸収特性が一層優れた吸水剤を得ることが出来る。吸水性樹脂粒子に含まれる微粉の造粒物の混合量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、最も好ましくは20質量%以上である。上限については、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。なお、微粉の粒子径は分級される篩目径で示される。
微粉の造粒物の作成方法としては、微粉を再生する公知の技術が使用可能である。例えば、温水と微粉とを混合し乾燥する方法(米国特許第6228930号明細書)や、微粉と単量体水溶液とを混合し重合する方法(米国特許第5264495号明細書)、微粉に水を加え特定の面圧以上で造粒する方法(欧州特許第844270号明細書)、微粉を十分に湿潤させ非晶質のゲルを形成し乾燥・粉砕する方法(米国特許第4950692号明細書)、微粉と重合ゲルとを混合する方法(米国特許第5478879号明細書)等を用いることが可能である。
中でも、微粉の造粒物の作成方法としては、上記の温水と微粉とを混合し、乾燥する方法を用いることがより好ましい。当該方法により造粒された吸水性樹脂粒子は、多孔質構造(特開2004−261797号公報に記載されている多孔質構造と同義の構造)を有しているため好ましい。本発明で用いられる吸水性樹脂粒子は、多孔質構造を有する粒子を好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上含んでいることが好ましい。上限については、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。吸水性樹脂粒子が、多孔質構造を有する微粉の造粒物を含むことによって、上記吸水性樹脂粒子及びそれを含む吸水剤は、固定された高さ吸収(FHA)に優れたものとなる。
本発明で用いられる吸水性樹脂(粒子状)(A)のCRCは、好ましくは5(g/g)以上であり、より好ましくは15(g/g)以上であり、さらに好ましくは25(g/g)以上である。CRCの上限値は、特に限定されないが、好ましくは70(g/g)以下であり、より好ましくは50(g/g)以下であり、さらに好ましくは40(g/g)以下である。CRCが5(g/g)以上であることにより、吸水性樹脂粒子を吸水剤に用いた場合、吸収量が多く、オムツ等の衛生材料の使用に好適である。また、CRCが70(g/g)以下であることにより、吸水性樹脂粒子が吸水剤に使用された場合、吸水体への液の取り込み速度に優れる吸水剤を得ることができる。
本発明で用いられる吸水性樹脂(粒子状)のAAPは、8(g/g)以上、好ましくは16(g/g)以上であり、より好ましくは20(g/g)以上であり、さらに好ましくは22(g/g)以上であり、最も好ましくは24(g/g)以上である。AAPの上限値は、特に限定されないが、好ましくは30(g/g)以下である。AAPが8(g/g)以上であることにより、吸水性樹脂粒子が吸水剤に使用された場合、吸水体に圧力が加わった際の液の戻り(通称リウェット:Re−Wetといわれる)が少ない吸水剤を得ることができる。
本発明で用いられる吸水性樹脂のSFCは、好ましくは10(cm3・s・10−7・g−1)以上であり、より好ましくは30(cm3・s・10−7・g−1)以上であり、さらに好ましくは50(cm3・s・10−7・g−1)以上である。SFCが10(cm3・s・10−7・g−1)以上であることにより、液透過性が向上し、吸水性樹脂粒子が吸水剤に使用された場合に、吸水体への液の取り込み速度に優れる吸水剤を得ることができる。SFCの上限は特に指定されないが、好ましくは3000(cm3・s・10−7・g−1)以下であり、より好ましくは2000(cm3・s・10−7・g−1)以下である。SFCが3000(cm3・s・10−7・g−1)以下であることにより、吸水性樹脂粒子が吸水剤に使用された場合に、吸水体での液漏れの発生を防止することができる。
本発明で用いられる吸水性樹脂は、水可溶分量が好ましくは35質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下である。水可溶分量が35質量%以下であることにより、ゲル強度が大きく、液透過性に優れたものとなる。また吸水性樹脂粒子が吸水剤に使用された場合、吸水体に圧力が加わった際の液の戻り(通称リウエット:Re−Wet)が少ない吸水剤を得ることができる。
本発明で用いられる吸水性樹脂が液を吸収する吸収速度は、その指標の一つであるVortex吸水時間が、好ましくは380秒以下、より好ましくは160秒以下、さらに好ましくは100秒以下、最も好ましくは70秒以下である。Vortex吸水時間の下限値は1秒以上であることが好ましい。吸水性樹脂Vortex吸水時間が380秒以下である場合、かかる吸水性樹脂を用いた吸水剤が、例えば吸水体に使用された場合、液が十分に吸収され、液漏れを生じないため好ましい。なお、本発明において、Vortex吸水時間は、後述する実施例に記載の方法により測定される値をいい、通常値が低い程吸水速度に優れており、吸水体への液の取り込み速度が向上する。
また、本発明で用いられる吸水性樹脂において、吸収速度を示す他の指標であるFSRは好ましくは0.05g/g/sec以上であり、より好ましくは0.10g/g/sec以上であり、さらに好ましくは0.15g/g/sec以上、最も好ましくは0.17g/g/sec以上である。FSRの上限値は特に指定されないが、好ましくは5.0g/g/sec以下であり、より好ましくは3.0g/g/sec以下である。FSRが0.05g/g/sec以上であることにより、例えば吸水性樹脂が吸水体に使用された場合、液が十分に吸収され液漏れを生じないため好ましい。
本発明で用いられる吸水性樹脂では、残存モノマーの量は0〜500質量ppm、好ましくは0〜400質量ppm、より好ましくは0〜300質量ppmに制御される。
(2)ポリマー(B)
本発明にかかる吸水剤に用いられるポリマー(B)は、ヒドロキシル基を主鎖に有するポリアミン系ポリマーであればよい。ここで、「ヒドロキシル基を主鎖に有する」とは、ヒドロキシル基が、当該ポリアミン系ポリマーの側鎖ではなく、主鎖に結合していることをいう。ヒドロキシル基は、ポリアミン系ポリマーの主鎖の炭素原子に結合していることがより好ましい。
ヒドロキシル基が、主鎖に結合しているポリアミン系ポリマーを用いることにより、遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)とのバランス、及び吸収速度に優れた吸水剤を製造することができる。
それゆえ、高機能化かつ薄型化された紙おむつ等の衛生材料(吸水体)の吸水剤として用いるときに、体液等の液の取り込み速度に優れる衛生材料を得ることができる。
ここで、上記ポリアミン系ポリマーに含まれるヒドロキシル基の量は、上記ポリアミン系ポリマーの全構成単位、すなわち、ポリアミン系ポリマーの主鎖に含まれる合計窒素原子に対して、30モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましく、70モル%以上であることがさらに好ましく、80モル%以上であることがさらにより好ましく、90モル%以上であることが特に好ましく、100モル%以上であることが最も好ましい。
また、上記ポリマー(B)における上記窒素原子の濃度(プロトン化可能な窒素原子の濃度)は好ましくは2〜20mmol/g、より好ましくは3〜15mmol/g、さらに好ましくは4〜10mmol/g、特に好ましくは4〜8mmol/gである。
なお、上記ポリアミン系ポリマーは、主鎖に、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、第四級アンモニウム基、アミノクロロヒドリン基、アミノアルコール基、ジアミノアルコール基等の官能基のいずれか、あるいは、複数種類を有する官能性ポリマーであることが好ましい。
かかるポリアミン系ポリマーとしては、例えば、後述する、アミン類とエピハロヒドリン類とを必須モノマー成分として重合させてなるポリマー等を挙げることができる。
上記ポリマー(B)は、分岐構造を有するポリマーであってもよいし、直鎖状のポリマーであってもよい。また、上記ポリマー(B)は、架橋構造を有していてもよいし、非架橋構造を有していてもよい。
また、上記ポリマー(B)は、水溶性であることが好ましい。ここで、水溶性とは、純水100gに対して、大気圧下、25℃で、ポリマー(B)が好ましくは1g以上、より好ましくは5g以上、最も好ましくは10g以上溶解するものを示す。ポリマー(B)の水に対する溶解度は高い程好ましいので特に上限はない。
また、上記ポリマー(B)は、その固形分10%の水溶液についてB型粘度計(60rpm/測定温度25℃)で測定した粘度が0.1〜1000(mPa・s)であることが好ましく、粘度が1〜100(mPa・s)であることがより好ましく、粘度が1〜30(mPa・s)であることがさらに好ましい。上記ポリマー(B)の固形分10%の水溶液についてB型粘度計(60rpm/測定温度25℃)で測定した粘度が1000(mPa・s)以下であることにより添加の均一性が向上するため好ましい。
上記ポリマー(B)の重量平均分子量としては、30,000〜2,000,000ダルトンであることが好ましく、30,000〜1,000,000ダルトンであることがより好ましく、30,000〜500,000ダルトンであることがさらに好ましく、40,000〜500,000ダルトンであることが特に好ましい。
<アミン類(b2)とエピハロヒドリン類(b3)とを必須モノマー成分として反応させてなるポリマー>
本発明にかかる吸水剤に用いられるポリマー(B)は、ヒドロキシル基を主鎖に有するポリアミン系ポリマーであればよいが、例えば、モノマーとしてアミン類(b2)とエピハロヒドリン類(b3)とを必須成分として反応させてなるポリマーを好適に用いることができる。なお、「ヒドロキシル基を主鎖に有する」とは、主鎖の炭素原子にヒドロキシル基が直接結合されていることが好ましい。
かかるポリマーを用いることにより、遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)とのバランスに優れるとともに、所定の重量平均分子量の範囲で、吸収速度も向上した吸水剤を製造することができる。さらに、高い湿度や高温度条件下での長期貯蔵状態においても着色が少なく、色安定性に優れ、さらには取り扱い性に優れた吸水剤を得ることができる。特に、上記ポリアミン系ポリマーが主鎖に含む、第一級アミノ基の量を少なくすることにより、さらに長期貯蔵状態においても着色が少なく、色安定性に優れた吸水剤を得ることができる。
上記ポリマー(B)は、アミン類(b2)が、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、ポリアルキレンポリアミン、及びアルカノールアミンよりなる群から選択された1種以上のアミンである、カチオン性ポリマーであることが好ましい。
上記ポリマー(B)では、アミン類(b2)の合計窒素原子に対して、エピハロヒドリン類(b3)の仕込みモル数が好ましくは0.8〜2.0当量、より好ましくは0.9〜1.5当量、さらに好ましくは1.0〜1.2当量である。上記合計窒素原子に対して、エピハロヒドリン類(b3)の仕込みモル数が0.8当量以上であることにより、ポリマーの分子量が向上できるため好ましく、2.0当量以下であることによりポリマーの分子量が調整できるため好ましい。
上記ポリマー(B)は、主鎖に、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、第四級アンモニウム基、アミノクロロヒドリン基、アミノアルコール基、ジアミノアルコール基等の官能基のいずれか、あるいは、複数種類を有する官能性ポリマーであることが好ましい。中でも、第一級アミノ基の含有量を減少させて着色防止を図れる点で第二級アミノ基を含んでいるものが特に好ましい。なお、第一級アミノ基の含有量はポリマー(B)における全アミン類(b2)に対して好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下、特に好ましくは1モル%以下である。
上記アミン類(b2)として用いることのできるアミンは、分子中に少なくとも1個の、エピハロヒドリンと反応可能なアミノ基を有するアミンであれば特に限定されるものではないが、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、ポリアルキレンポリアミン、及びアルカノールアミンからなる群から選択された1種以上のアミンであることが好ましい。
また、前記アミン類(b2)は、少なくとも1種類の第二級アミン(b2−1)を含有することがより好ましい。前記アミン類(b2)が、少なくとも1種類の第二級アミン(b2−1)を含有することにより、色安定性に優れた吸水剤を得ることができるため好ましい。
また、前記アミン類(b2)は、前記第二級アミン(b2−1)と、第二級アミン(b2−1)以外のアミン類、例えば、第一級アミン、第三級アミン、ポリアルキレンポリアミン、及びアルカノールアミンからなる群から選択された1種以上のアミン(以下「第一級アミン等」という)(b2−2)とを含有してもよい。
反応前の全アミン類(b2)に対する、前記第二級アミン(b2−1)の割合、すなわち、全アミン類(b2)に対する、前記第二級アミン(b2−1)の仕込み割合は、1モル%以上100モル%以下であることが好ましく、50モル%以上100モル%以下であることがより好ましく、80モル%以上100モル%以下であることがさらに好ましく、90モル%以上100モル%以下であることが特に好ましい。全アミン類(b2)に対する、前記第二級アミン(b2−1)の割合が、1モル%以上100モル%以下であることにより、色安定性に優れるため好ましい。
前記第二級アミン(b2−1)としては、例えば脂肪族第二級アミン、芳香族第二級アミン、脂環式第二級アミン、及び環式第二級アミンが挙げられ、中でも脂肪族第二級アミンを好ましい例として挙げることができる。これらの第二級アミンは、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記第二級アミン(b2−1)として脂肪族第二級アミンを用いることにより色安定性に優れるため好ましい。
前記脂肪族第二級アミンとしては、例えば炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数7〜20のフェニルアルキル基を有するジアルキルアミンを挙げることができ、より具体的には、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、メチルオクチルアミン、メチルラウリルアミン、ジベンジルアミン等を挙げることができる。これらのジアルキルアミンの中では、得られるポリマーの親水性、水溶性の観点から、ジメチルアミン及び/又はジエチルアミンがより好ましく、ジメチルアミンが特に好ましい。
前記芳香族第二級アミンとしては、例えば炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数7〜20のフェニルアルキル基が窒素原子に結合してなる、N−アルキルアニリン、N−アルキルトルイジン、若しくはN−アルキルナフチルアミン等を挙げることができ、具体的には、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N−ブチルアニリン、N−ペンチルアニリン、N−ヘキシルアニリン、N−オクチルアニリン、N−デシルアニリン、N−ラウリルアニリン、N−ベンジルアニリン、N−メチルトルイジン、N−エチルトルイジン、N−プロピルトルイジン、N−ブチルトルイジン、N−ペンチルトルイジン、N−ヘキシルトルイジン、N−オクチルトルイジン、N−デシルトルイジン、N−ラウリルトルイジン、N−ベンジルトルイジン、N−メチルナフチルアミン、N−エチルナフチルアミン、N−プロピルナフチルアミン、N−ブチルナフチルアミン、N−ペンチルナフチルアミン、N−ヘキシルナフチルアミン、N−オクチルナフチルアミン、N−デシルナフチルアミン、N−ラウリルナフチルアミン、N−ベンジルナフチルアミン等を挙げることができる。これらのN−アルキルアニリンの中でも、特にN−メチルアニリン及び/又はN−エチルアニリンが好ましい。
前記芳香族第二級アミンとして、他には、芳香環が窒素原子に2個結合してなるアミンを挙げることができ、具体的には、ジフェニルアミン、N−フェニル−o−トルイジン、N−フェニル−m−トルイジン、N−フェニル−p−トルイジン、N−トルイル−o−トルイジン、N−トルイル−m−トルイジン、N−トルイル−p−トルイジン、N−フェニルアミノピリジン、N−トルイルアミノピリジン、N−フェニルナフチルアミン、及びN−トルイルナフチルアミン等を挙げることができる。これらのアミンの中では、ジフェニルアミンが特に好ましい。
前記脂環式第二級アミンとしては、炭素環が1個又は2個窒素原子に結合してなるアミンを挙げることができ、具体的には、N−メチルシクロヘキシルアミン、N−エチルシクロヘキシルアミン、N−プロピルシクロヘキシルアミン、N−ブチルシクロヘキシルアミン、N−ヘキシルシクロヘキシルアミン、N−オクチルシクロヘキシルアミン、N−デシルシクロヘキシルアミン、及びN−ラウリルシクロヘキシルアミン等のN−アルキルシクロヘキシルアミン、N−メチルシクロオクチルアミン、N−エチルシクロオクチルアミン、N−プロピルシクロオクチルアミン、N−ブチルシクロオクチルアミン、N−ヘキシルシクロオクチルアミン、N−オクチルシクロオクチルアミン、N−デシルシクロオクチルアミン、及びN−ラウリルシクロオクチルアミン等のN−アルキルシクロオクチルアミン;ジシクロヘキシルアミン、ジシクロオクチルアミン等のジシクロアルキルアミンを挙げることができる。これらの脂環式第二級アミンの中では、ジシクロヘキシルアミンが特に好ましい。
前記環式第二級アミンとしては、ピペラジン、ピペリジン、メチルピペリジン等を挙げることができる。
次に、前記第一級アミン等(b2−2)について以下に説明する。第一級アミン等(b2−2)として使用し得る第一級アミン、第三級アミン、ポリアルキレンポリアミン、及びアルカノールアミンについては以下の通りである。
第一級アミン類としては、例えば、脂肪族第一級アミン、芳香族第1級アミン、脂環式第一級アミン等を挙げることができ、これらの第一級アミンは、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
脂肪族第一級アミンとしては、例えば炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数7〜20のフェニルアルキル基が窒素原子に結合してなる第一級アミンを挙げることができ、具体的には、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、アリルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、2−アミノペンタン、ヘキシルアミン、2−アミノヘキサン、3−アミノヘキサン、モノオクチルアミン、及びベンジルアミンを挙げることができる。これらの脂肪族第一級アミンの中では、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン等が特に好ましい。
芳香族第一級アミンとしては、ベンゼン環、縮合ベンゼン環、又は複合芳香環が窒素原子に結合してなる第1級アミンを挙げることができ、具体的には、アニリン、トルイジン、ビフェニルアミン、ナフチルアミン、アミノピリジン、アミノピコリン等を挙げることができる。
脂環式第一級アミン類としては、窒素原子に炭素環が結合してなる第1級アミンであり、具体的にはシクロヘキシルアミン、シクロオクチルアミン等を挙げることができる。
第三級アミン類としては、脂肪族第三級アミン、芳香族第三級アミン、脂環式第三級アミンを挙げることができ、これらの第三級アミンは、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
脂肪族第三級アミンとしては、例えば炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数7〜20のフェニルアルキル基が窒素原子に3個結合してなるアミンを挙げることができ、具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリ−tert−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、及びトリベンジルアミンを挙げることができる。これらの脂肪族第三級アミンの中では、トリメチルアミン及びトリエチルアミンが特に好ましい。
芳香族第三級アミンとしては、ベンゼン環、縮合ベンゼン環、又は複合芳香環が窒素原子に少なくとも1個結合してなる第三級アミンを挙げることができ、具体的には、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ジメチルトルイジン、ジエチルトルイジン、N−メチルジフェニルアミン、N−エチルジフェニルアミン、N−メチルジトリルアミン、N−エチルジトリルアミン、トリフェニルアミン等を挙げることができる。
脂環式第三級アミン類としては、窒素原子に炭素環が少なくとも1個結合してなる第三級アミンを挙げることができ、具体的にはジメチルアミノシクロヘキサン、ジシクロヘキシルアミノメタン、ジメチルアミノシクロオクタン、ジシクロオクチルアミノメタン、トリシクロヘキシルアミン、トリシクロオクチルアミン等を挙げることができる。
ポリアルキレンポリアミン類としては、分子中に少なくとも2個以上の第1アミノ基と少なくとも1個以上の第2アミノ基とを有する化合物が挙げられ、その代表的な例を挙げると、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘブタエチレンオクタミン、ノナンエチレンデカミン、トリエチレンビス(トリメチレン)ヘキサミンである。これらのポリアルキレンポリアミン類は1種のみ用いてもよく2種以上を併用してもよい。
アルカノールアミン類としては、水酸基を有するアミン類を挙げることができ、具体的には、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン等を挙げることができる。これらのアルカノールアミン類は1種のみ用いてもよく2種以上を併用してもよい。
第一級アミン等(b2−2)としては、前記の第一級アミン、第三級アミン、ポリアルキレンポリアミン、及びアルカノールアミンの他、1以上の炭素環を有するジアミンも用いることができる。このようなジアミンとしては、例えば1,3−ジアミノシクロヘキシル、1,4−ジアミノシクロヘキシル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキサン、4,4’−ビス(パラアミノシクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミン、1,3(または2,4)−ビス−(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノプロピルシクロヘキシルアミン、オクタヒドロ−4,7−メタノインデン−1(2),5(6)−ジメタンアミン、2,2’−ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、4,4’−オキシビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−スルホンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3,5−トリアミノシクロヘキサン、及び2,4’−または4,4’−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラアルキルジシクロヘキシルアルカンを挙げることができる。
第一級アミン等(b2−2)としては、更にアルキレンジアミンも用いることができる。アルキレンジアミンの例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、及びプロピレンジアミン等を挙げることができる。
上記エピハロヒドリン類(b3)としては、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、メチルエピクロルヒドリン等のエピハロヒドリンを好ましく用いることができ、これらを単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらエピハロヒドリンの中でも、エピクロルヒドリンが好ましい。
上記ポリマー(B)の重量平均分子量としては、30,000〜2,000,000ダルトンであることが好ましく、30,000〜1,000,000ダルトンであることがより好ましく、30,000〜500,000ダルトンであることがさらに好ましく、40,000〜500,000ダルトンであることが特に好ましい。
上記ポリマー(B)の重量平均分子量が30,000以上であることにより、これを用いて吸収速度が向上した吸水剤を製造することができるため好ましい。また、ポリマー(B)の重量平均分子量が2,000,000以下であることにより、高粘度による添加の不均一化が回避できるため好ましい。
なお、本明細書において、重量平均分子量はGPC(Gel Permeation Chromatography)や静的光散乱などの公知の方法で測定したものである。
上記ポリマー(B)は、モノマーとしてアミン類(b2)とエピハロヒドリン類(b3)との2成分を必須成分とするポリマーであるが、その他第3成分としての成分(b4)をポリマー(B)の構成単位(原料)として、ポリマー(B)の全量に対して、0〜60質量%、好ましくは0〜40質量%、より好ましくは0〜20質量%、特に好ましくは0〜10質量%で含んでも良い。その他の成分(b4)としては、特に限定はないが、炭素数2〜20のアルキレンオキシド、芳香族オキシド、炭素数2〜20のアルキルグリシジルエーテル;シランカップリング剤;炭素数が2〜20の脂肪酸;炭素数が2〜20のヒドロキシ脂肪酸等を挙げることができる。
また、上記ポリマー(B)は、未反応のアミン類、及び/又は、エピハロヒドリン類を含んでも良いが、上記ポリマー(B)中の未反応のアミン類及びエピハロヒドリン類の割合は合計で、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましく、1質量%以下が更により好ましく、実質的に0質量%であることが特に好ましい。
上記ポリマー(B)は、アミン類(b2)を水などの水溶性溶媒中に溶かした後、エピハロヒドリン類(b3)を滴下し、その後、さらに30〜100℃、より好ましくは60〜100℃で加熱することにより反応させて得ることが出来る。なお、ここでいう反応とは重合反応を含むことが必須である。
また、米国特許第4088613号明細書などに開示されている合成方法などの公知の方法を利用して上記ポリマー(B)を製造してもよい。
なお、本願の合成例のようにアンモニア水に対してエピクロルヒドリンを数時間かけて滴下することで高分子量のポリマーを得ることができるのに対して、特公平7−10893に開示されているように一括で混合して反応させる方法では高分子量化は不充分であるか、または実質不可能である。
市販されているポリマー(B)の例としては、センカ株式会社製のユニセンスKHE103L(ヘキサメチレンジアミン/エピクロルヒドリン樹脂、1%水溶液のpH約5.0、粘度20〜50(mPa・s)、固形分濃度50質量%の水溶液)、ユニセンスKHE104L(ジメチルアミン/エピクロルヒドリン樹脂、1%水溶液のpH約7.0、粘度1〜10(mPa・s)、固形分濃度20質量%の水溶液)などを挙げることができる。
<アンモニア(b1)とアミン類(b2)とエピハロヒドリン類(b3)とを必須モノマー成分として反応させてなるポリマー>
また、本発明にかかる吸水剤に用いられるポリマー(B)としては、アンモニア(b1)とアミン類(b2)とエピハロヒドリン類(b3)とを必須モノマー成分として反応させてなるカチオン性ポリマーも好適に用いることができる。
かかるポリマーを用いることにより、遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)とのバランスに優れるとともに、吸収速度も向上した吸水剤を製造することができる。
また、かかるポリマーは、分子量が小さいものから大きいものまで、広範な分子量の範囲で、優れた吸収速度を示す吸水剤を製造することができるという効果を奏する。それゆえ、かかるポリマーの合成において、分子量の厳密な制御を必要とせず、容易にポリマー(B)を製造することができる。
さらに、上記ポリアミン系ポリマーが、主鎖に含む、第一級アミノ基の量を少なくすることにより、さらに長期貯蔵状態においても着色が少なく、色安定性に優れた吸水剤を得ることができる。なお、第一級アミノ基の含有量はポリマー(B)における全アミン類(b2)に対して好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下、特に好ましくは1モル%以下である。
上記ポリマー(B)では、アンモニア(b1)とアミン類(b2)との仕込み割合(b1:b2)が、好ましくはモル比で(0より大きく2以下):(8以上10未満)であることが好ましく、0.01:9.99〜2:8であることがより好ましい。アンモニア(b1)とアミン類(b2)との仕込み割合(b1:b2)が、上記範囲であることにより色安定性を向上できるため好ましい。
上記ポリマー(B)は、アミン類(b2)が、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、ポリアルキレンポリアミン、及びアルカノールアミンよりなる群から選択された1種以上のアミンである、カチオン性ポリマーであることが好ましい。
また、アンモニア(b1)とアミン類(b2)との合計窒素原子に対して、エピハロヒドリン類(b3)の仕込みモル数が好ましくは0.5〜3当量、より好ましくは0.8〜2.0当量、さらに好ましくは0.8〜1.2当量、特に好ましくは0.9〜1.2当量、最も好ましくは1.0〜1.2当量である。上記合計窒素原子に対して、エピハロヒドリン類(b3)の仕込みモル数が0.5当量以上であることにより、低分子量化を防ぐため好ましく、3当量以下であることにより分子量をコントロールしやすいため好ましい。
上記ポリマー(B)は、第一級アミノ基、第二級アミノ基、第三級アミノ基、第四級アンモニウム基、アミノクロロヒドリン基、アミノアルコール基、ジアミノアルコール基等の官能基のいずれか、あるいは、複数種類を有する官能性ポリマーであることが好ましい。中でも、第二級アミノ基および第四級アンモニウム基を含んでいるものが特に好ましい。
上記アンモニア(b1)としては、アンモニア及びアンモニア水の何れも用いることができる。アンモニアとしては、気体状のアンモニアの他、液体アンモニアも用いることができる。また、アンモニア水を用いる場合は、アンモニア水中のアンモニア濃度には特に制限はない。
上記アミン類(b2)として用いることのできるアミンについては、好ましい第二級アミン(b2−1)の割合を除いては、<アミン類(b2)とエピハロヒドリン類(b3)とを必須モノマー成分として反応させてなるポリマー>のところで説明したとおりであるので、ここでは説明を省略する。なお、アンモニア(b1)とアミン類(b2)とエピハロヒドリン類(b3)とを必須モノマー成分として反応させてなるポリマー(B)では、全アミン類(b2)に対する、前記第二級アミン(b2−1)の割合は、反応前であれば1モル%以上100モル%以下であることが好ましく、50モル%以上100モル%以下であることがより好ましく、80モル%以上100モル%以下であることがさらに好ましく、90モル%以上100モル%以下であることが特に好ましい。また、全アミン類(b2)に対する、前記第二級アミン(b2−1)の割合は、反応後であれば、0モル%以上50モル%以下であることが好ましく、0モル%以上30モル%以下であることがより好ましく、0モル%以上20モル%以下であることがさらに好ましい。反応前の、全アミン類(b2)に対する、前記第二級アミン(b2−1)の割合が、1モル%以上100モル%以下であることにより着色防止効果の点で好ましい。
上記ポリマー(B)の重量平均分子量としては、5,000〜2,000,000ダルトンであることが好ましく、20,000〜1,000,000ダルトンであることがより好ましく、30,000〜1,000,000ダルトンであることがさらに好ましく、30,000〜500,000ダルトンであることがさらにより好ましく、40,000〜500,000ダルトンであることが特に好ましく、50,000〜500,000ダルトンであることが最も好ましい。
ポリマー(B)の重量平均分子量が5,000以上であることにより、吸水性樹脂中への浸透が抑えられるため好ましい。また、ポリマー(B)の重量平均分子量が2,000,000以下であることにより、高粘度による添加の不均一化が回避できるため好ましい。
上記ポリマー(B)は、モノマーとしてアンモニア(b1)とアミン類(b2)とエピハロヒドリン類(b3)との3成分を必須成分とするポリマーであるが、その他第4成分としての成分(b4)をポリマー(B)の構成単位(原料)として、ポリマー(B)の全量に対して、0〜60質量%、好ましくは0〜40質量%、より好ましくは0〜20質量%、特に好ましくは0〜10質量%で含んでも良い。その他の成分(b4)としては、特に限定はないが、炭素数2〜20のアルキレンオキシド、芳香族オキシド、炭素数2〜20のアルキルグリシジルエーテル;シランカップリング剤;炭素数が2〜20の脂肪酸;炭素数が2〜20のヒドロキシ脂肪酸等を挙げることができる。また、本発明で用いられるポリマー(B)は、未反応のアンモニア、アミン類、及び/又は、エピハロヒドリン類を含んでも良いが、上記ポリマー(B)中の未反応のアンモニア、アミン類、エピハロヒドリン類の割合は合計で、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましく、1質量%以下が更により好ましく、実質的に0質量%であることが特に好ましい。
上記ポリマー(B)は、アンモニア(b1)、及び、アミン類(b2)を水などの水溶性溶媒中に溶かした後、エピハロヒドリン類(b3)を滴下し、その後、さらに30〜100℃で加熱することにより反応させて得ることができる。
また、米国特許第4088613号明細書などに開示されている合成方法などの公知の方法を利用してポリマー(B)を製造してもよい。
市販されているポリマー(B)の例としては、センカ株式会社製のユニセンスKHE100L、ユニセンスKHE101L、ユニセンスKHE102L(ジメチルアミン/アンモニア/エピクロルヒドリン樹脂、平均分子量約7万(参考値)、1%水溶液のpH約6、粘度100〜300(mPa・s)、固形分濃度50質量%の水溶液)、ユニセンスKHE1000L(ジメチルアミン/アンモニア/エピクロルヒドリン樹脂、平均分子量約28万(参考値)、1%水溶液のpH約4.5、粘度1000〜3000(mPa・s)、固形分濃度50質量%の水溶液)、Nalco Industries,Northwich,UK製のNalco7607、Nalco8850、Dispersol San Luis S.A.,Buenos Aires,Argentina製のDisperfloc C−500などを挙げることができる。
(3)その他の添加剤
本発明にかかる吸水剤中の吸水性樹脂(A)、ポリマー(B)以外の成分としては、通常は水が主成分とされ、さらには必要に応じてその他の添加剤が使用される。本発明で用いられるその他の添加剤としては、例えば、水溶性多価金属塩、水不溶性多価金属塩、水不溶性の無機微粒子、ポリエチレングリコール等の水溶性ポリマー、界面活性剤、ヒドロキシカルボン酸、キレート剤、還元剤、酸化防止剤、燐化合物、ポリマーエマルジョン等を挙げることができる。これらの添加剤は、水溶液、水分散液、または、粉体として添加でき、単独で又は2以上を組み合わせて用いることができる。
上記水溶性多価金属塩としては、例えば、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、ビス硫酸カリウムアルミニウム、ビス硫酸ナトリウムアルミニウム、カリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン、ナトリウムミョウバン、アルミン酸ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、炭酸ジルコニウムナトリウム等を好適に用いることができる。また、吸収する水性液体との溶解性の観点から、上記水溶性多価金属塩は、結晶水を有することがより好ましい。これらの水溶性多価金属塩は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、硫酸アルミニウム(好ましくは水溶液)を最も好適に用いることができる。
上記水不溶性多価金属塩としては、例えば、水酸化アルミニウム、乳酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、炭酸バリウム、ピロリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化第一鉄、リン酸第一鉄、ピロリン酸第二鉄、炭酸第一鉄、ピロリン酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、塩化第一銅、水酸化マンガン、硫酸マンガン、水酸化ニッケル、リン酸ニッケル、硫酸鉛、酸化亜鉛、リン酸鉛、水酸化亜鉛、ピロリン酸亜鉛等を挙げることができる。
上記水溶性多価金属塩及び/又は水不溶性多価金属塩の吸水剤全体に対しての含有量は、上記水溶性多価金属塩と水不溶性多価金属塩との合計量で、好ましくは0質量%以上5質量%以下、より好ましくは0.001質量%以上5質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以上1質量%以下である。上記水溶性多価金属塩及び/又は水不溶性多価金属塩を上記含有量の範囲で添加することにより、吸水剤の遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)とをさらに向上することができる。
また、本発明にかかる吸水剤は、粉体流動性の向上、吸湿時のブロッキング防止のために上記量で有機酸の多価金属塩を配合することが出来る。用いられる有機酸の多価金属塩や混合方法としては、例えば、国際出願番号でPCT/JP2004/1355号、PCT/JP2004/1007号、PCT/JP2004/1294号、PCT/JP2004/9242号などに記載の多価金属塩や混合方法を好適に用いることができる。本発明に用いることのできる炭素数を分子内に7個以上有する有機酸多価金属塩(PCT/JP2004/1355号)は、好ましくは、脂肪酸、石油酸、高分子酸等のアルカリ金属塩以外の金属塩からなる。
また、上記水不溶性の無機微粒子としては、少なくとも50重量%が10〜1,000,000nmの粒径を有することが好ましい。上記水不溶性の無機微粒子としては、例えば、タルク、カオリン、フラー土、ベントナイト、活性白土、重晶石、天然アスファルタム、ストロンチウム鉱石、イルメナイト、パーライト等の鉱産物;多価金属酸化物及び多価金属水酸化物;親水性のアモルファスシリカ(例えば、乾式法:トクヤマ社 ReolosilQS−20、沈殿法:DEGUSSA社 Sipernat22S、Sipernat2200);酸化ケイ素・酸化アルミニウム・酸化マグネシウム複合体酸(例えば、ENGELHARD社 Attadel#50)、酸化ケイ素・酸化アルミニウム複合体、酸化ケイ素・酸化マグネシウム複合体等の酸化物複合体類等を挙げることができる。中でも上記水不溶性の無機微粒子としては、親水性のアモルファスシリカを用いることが最も好ましい。
水不溶性の無機微粒子の吸水剤全体に対しての含有量は、好ましくは0質量%以上5質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上1質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下である。上記水不溶性の無機微粒子を上記含有量の範囲で添加することにより、吸水剤の取扱い性(流動性)やSFCを向上することができる。
上記界面活性剤としては、例えばアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を挙げることができる。これらの界面活性剤は、吸水性樹脂100質量部に対し0.0001〜0.01質量部の範囲で吸水性樹脂または吸水剤に混合しても良い。かかる界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤が好ましい。具体的には、例えば、米国特許7473739号に用いられる界面活性剤を、当該文献に記載の使用量で用いることができる。
上記ヒドロキシカルボン酸としては、特に限定されるものではないが、α−ヒドロキシカルボン酸類を好適に用いることができる。ここで、α−ヒドロキシカルボン酸類とは、分子内のα位の炭素にヒドロキシル基が結合しているカルボン酸類のことを指す。中でも上記α−ヒドロキシカルボン酸類は、非高分子α−ヒドロキシカルボン酸類であることが好ましく、添加のしやすさ、添加効果の点から分子量は好ましくは40〜2000、さらに好ましくは60〜1000、特に好ましくは100〜500の範囲であり、水溶性であることがより好ましい。かかるα−ヒドロキシカルボン酸類としては、乳酸(塩)、クエン酸(塩)、リンゴ酸(塩)、イソクエン酸(塩)、グリセリン酸(塩)、ポリαヒドロキシアクリル酸(塩)等を例示できる。α−ヒドロキシカルボン酸類を添加剤として使用することで、吸水剤の経時色安定性を向上せしめ得る。
上記ヒドロキシカルボン酸は、予め単量体溶液中に添加されることが最も好ましいが、吸水性樹脂製造工程の任意の工程で添加することも可能である。
かかるヒドロキシカルボン酸の量は、前記吸水性樹脂に対して1〜100000質量ppmの範囲で添加されるのが好ましい。
上記還元剤としては、無機還元剤が好ましく、さらに好ましい還元剤は硫黄含有無機還元剤である。硫黄含有無機還元剤の具体例としては、水溶性チオジアルキル化合物、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸マグネシウム、システイン、シスチン等があり、これらのうちの1種又は2種以上が使用され得る。また、上記還元剤の使用量は、吸水性樹脂100質量部に対して0.001質量部以上、好ましくは0.05質量部以上、さらに好ましくは0.1質量部以上であり、また、吸水性樹脂100質量部に対して、1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下、さらに好ましくは0.2質量部以下である。
上記燐化合物としては、水溶性の燐化合物が好ましく、特にも好ましい燐化合物は、水溶性無機燐化合物であり具体的には、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、トリリン酸、トリポリリン酸およびこれらの塩(例えば、リン酸1水素2ナトリウム塩やリン酸2水素1ナトリウム塩、リン酸3ナトリウム塩など)である。なお、前記燐化合物は1種または2種以上を併用してもよい。また、塩として好ましいものとして、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩を挙げることができる。
(4)吸水剤
本発明にかかる吸水剤は、吸水性樹脂(A)と、ポリマー(B)とを含む吸水剤である。
本発明にかかる吸水剤は、より好ましくは、水溶性不飽和単量体を重合して得られ、かつ、内部架橋構造を有する吸水性樹脂(A)と、上記ポリマー(B)とを含む吸水剤であって、さらに好ましくは、水溶性不飽和単量体を重合して得られ、かつ、内部架橋構造を有する吸水性樹脂にさらに表面架橋された吸水性樹脂(A)と、上記ポリマー(B)を含む吸水剤である。これにより、高いCRCに加えて、従来に比べて格段に優れる液透過性向上効果を得ることができる。
本発明にかかる吸水剤では、ポリマー(B)と吸水性樹脂(A)の存在位置は特に限定されるものではないが、ポリマー(B)が吸水性樹脂(A)の内部あるいは表面に存在することが好ましく、ポリマー(B)が吸水性樹脂(A)の表面に存在することがより好ましい。
本発明にかかる吸水剤は、吸水剤全体に対して、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%、さらに好ましくは1〜5質量%の水を含んでなる。なお、吸水剤に含まれる水の量は、後述の固形分量で規定される。水の量が20質量%以下であることにより、遠心分離保持容量(CRC)を低下させずに維持することができるため好ましい。また、水の量が1質量%以上であることにより、吸水剤の取扱性に優れるため好ましい。
本発明にかかる吸水剤は、粒子形状であることが好ましく、粒子形状の場合、質量平均粒子径が好ましくは100μm以上600μm以下であり、より好ましくは200μm以上500μm以下であり、さらに好ましくは300μm以上450μm以下であり、さらにより好ましくは300μm以上400μm以下である。上記の範囲内であることにより、液透過性に優れ、吸水剤への液の取り込み速度に優れるため好ましい。すなわち、吸収速度に優れるため、例えばオムツに用いた場合、液の漏れ等を引き起こすおそれがないため好ましい。
また、本発明にかかる吸水剤は、上記ポリマー(B)が吸水性樹脂粒子表面に存在することが好ましく、粒子径が175μm以上710μm以下の吸水剤が、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
さらに、上記吸水剤は、粒子形状の場合、目開き150μmのふるいを通過できる大きさの粒子の割合が、吸水剤全体に対して、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが最も好ましい。目開き150μmのふるいを通過できる大きさの粒子の割合が5質量%以下であることにより、吸水剤の製造の際に粒子の飛散による安全衛生上の問題が生じることを防止できる。また、得られた吸水体の物性が低下することを防止することができる。
また、上記吸水剤は、粒子形状の場合、粒度分布の対数標準偏差(σζ)が0.20以上0.50以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.30以上0.40以下である。粒度分布の対数標準偏差(σζ)がこの範囲内であることにより、液透過性が向上し、吸水体への液の取り込み速度に優れるため好ましい。
また、上記吸水剤は、CRCが、好ましくは5(g/g)以上であり、より好ましくは15(g/g)以上であり、さらに好ましくは25(g/g)以上である。上限値は、特に限定されないが、好ましくは70(g/g)以下であり、より好ましくは50(g/g)以下であり、さらに好ましくは40(g/g)以下である。CRCが5(g/g)以上であることにより、吸収量が多く、オムツ等の衛生材料の使用に好適である。また、遠心分離機保持容量(CRC)が70(g/g)以下であることにより、上記吸水剤が吸水体に使用された場合、吸水体への液の取り込み速度に優れる吸水剤を得ることができる。
本発明にかかる吸水剤は、SFCが、好ましくは30(cm3・s・10−7・g−1)以上であり、より好ましくは50(cm3・s・10−7・g−1)以上であり、さらに好ましくは100(cm3・s・10−7・g−1)以上、さらに好ましくは150(cm3・s・10−7・g−1)以上であり、特に好ましくは170(cm3・s・10−7・g−1)以上、最も好ましくは200(cm3・s・10−7・g−1)以上である。SFCが30(cm3・s・10−7・g−1)以上であることにより、吸水体に使用された時に、吸水体への液の取り込み速度に優れる吸水剤を得ることができる。SFCの上限値は、特に限定されないが、好ましくは3000(cm3・s・10−7・g−1)以下である。SFCの上限値が3000(cm3・s・10−7・g−1)以下であることにより、上記吸水剤が吸水体に使用された場合に、吸水体での液漏れの発生を防止することができる。
本発明にかかる吸水剤は、4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)が、好ましくは8(g/g)以上であり、より好ましくは16(g/g)以上であり、さらに好ましくは20(g/g)以上である。上限値は、特に限定されないが、通常30(g/g)以下である。4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)が8(g/g)以上であることにより、吸水体に使用された時に、吸水体に圧力が加わった際の液の戻り(通称リウェット:Re−Wetといわれる)が少ない吸水剤を得ることができる。
本発明にかかる吸水剤では、Vortex吸水時間は好ましくは380秒以下、より好ましくは160秒以下、さらに好ましくは100秒以下、最も好ましくは70秒以下である。Vortex吸水時間の下限値は1秒以上である。Vortex吸水時間が380秒以下である場合、例えば吸水剤が吸水体に使用された場合、液が十分に吸収され、液漏れを生じないため好ましい。Vortex吸水時間は通常、値が低い程吸水速度に優れており、吸水体への液の取り込み速度が向上する。
また、特に上記ポリマー(B)が、(i)アミン類(b2)とエピハロヒドリン類(b3)とを必須モノマー成分として反応させてなるポリマーであって、重量平均分子量が、30,000〜2,000,000ダルトンである場合、及び、(ii)アンモニア(b1)とアミン類(b2)とエピハロヒドリン類(b3)とを必須モノマー成分として反応させてなるポリマーである場合は、ポリマー(B)を混合する前の吸水性樹脂の吸収速度よりも、混合後の吸水剤の吸収速度が向上していることが好ましい。
また、かかる場合の(ポリマー(B)の混合後の吸水剤のVortex吸水時間)と、(ポリマー(B)の混合前の吸水性樹脂のVortex吸水時間)との差は、2秒以上であり、より好ましくは4秒以上であり、さらに好ましくは6秒以上である。
また、本発明にかかる吸水剤は、FSRが好ましくは0.05g/g/sec以上であり、より好ましくは0.10g/g/sec以上であり、さらに好ましくは0.15g/g/sec以上であり、最も好ましくは0.17g/g/sec以上である。FSRの上限値は特に指定されないが、好ましくは5.0g/g/sec以下であり、より好ましくは3.0g/g/sec以下である。FSRが0.05g/g/sec以上であることにより、例えば吸水性樹脂が吸水体に使用された場合、液が十分に吸収されて液漏れを防止することができる。
また、好ましくはポリマー(B)を混合する前の吸水性樹脂のFSRよりも、混合後の吸水剤のFSRが向上していることが好ましい。ポリマー(B)の混合によるFSRの向上は、好ましくは0.02g/g/sec以上、より好ましくは0.04g/g/sec以上、さらに好ましくは0.06g/g/sec以上である。
本発明にかかる吸水剤は、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液の液滴を滴下したときの接触角が0度以上、90度以下であることが好ましく、70度以下であることがより好ましく、50度以下であることがさらに好ましく、30度以下であることが特に好ましい。上記接触角が、90度以下であると、親水性が高く、吸水体に使用された場合、液の拡散性に優れる。それゆえ、吸水体における液の吸収面積が大きくなり、吸水体の性質が向上するため好ましい。
上記吸水剤は、水可溶分量が、35質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。吸水剤の水可溶分量が35質量%以下であることにより、ゲル強度が大きく、液透過性に優れるため好ましい。また、オムツ中で長時間使用した際に、CRC、AAPなどが経時的に低下することがないため好ましい。
また、本発明の吸水剤は親水性を付与されているものであることがより好ましい。吸水剤を親水化するための技術としては、例えば、WO2005/044915に記載の4価以上のポリオールを少なくとも表面に含有する吸水性樹脂を用いる方法、特開2006−233008号に記載の吸水性樹脂に無機微粒子を添加しUV照射する方法、特願2007−504791号に記載の水不溶性無機微粒子を含有し特定の条件を満たす吸水剤組成物を用いる方法、米国特許出願公開第2005−0288182号に記載の水溶性多価金属塩と尿素誘導体を含む吸水性樹脂を用いる方法、特願2006−188668号に記載の親水性の無機微粒子を添加する方法等従来公知の方法を好適に使用することができる。
本発明にかかる吸水剤は、紙おむつ等の衛生材料向けに好適に使用できるものであり、その際、高い湿度や高温度条件下での長期貯蔵状態においても著しく清浄な白い状態を維持することが好ましい。前記長期貯蔵状態は、長期貯蔵色安定性促進試験として、吸水剤を温度70±1℃、相対湿度65±1%RHの雰囲気に7日間曝露した後の吸水剤の分光式色差計によるハンターLab表色系のL値(Lightness)を測定することで調べることができる。本発明にかかる吸水剤は、前記長期貯蔵色安定性促進試験後の吸水剤の分光式色差計によるハンターLab表色系測定において、L値(Lightness)が少なくとも70であることが好ましい。なお、L値の上限は通常100であるが、70ならば実使用でも実質問題が発生しない。また、b値は好ましくは0〜15である。また、a値は好ましくは−3〜3である。
特に上記ポリマー(B)が、(i)アミン類(b2)とエピハロヒドリン類(b3)とを必須モノマー成分として反応させてなるポリマーである場合、本発明にかかる吸水剤は、高い湿度や高温度条件下での長期貯蔵状態においてもより清浄な白い状態を維持することができる。かかる場合、本発明にかかる吸水剤は、前記長期貯蔵色安定性促進試験後の吸水剤の分光式色差計によるハンターLab表色系測定において、L値(Lightness)が少なくとも70であることが好ましく、74以上であることがより好ましく、78以上を示すことがさらに好ましい。なお、L値の上限は通常100であるが、70ならば実使用でも実質問題が発生しない。また、b値は好ましくは0〜15、より好ましくは0〜12、さらに好ましくは0〜10である。また、a値は好ましくは−3〜3、より好ましくは−2〜2、さらに好ましくは−1〜1である。
また、本発明にかかる吸水剤は、70±1℃、相対湿度65±1%の雰囲気下に7日間曝露後のYI値が好ましくは35以下、より好ましくは30以下、さらに好ましくは25以下、最も好ましくは20以下である。YI値が上記範囲であることにより、本発明の吸水剤を紙おむつなどの衛生材料の吸水体に使用した場合、高温高湿度の状態に置かれても着色しにくい吸水体が得られる。
(5)吸水剤の製造方法
本発明の吸水剤の製造方法は、吸水性樹脂(A)と、ポリマー(B)とを混合する吸水剤の製造方法である。これによって、CRCとSFCのバランスに優れる吸水剤を製造することができる。本発明の吸水剤の製造方法には、吸水性樹脂粒子(A)を含む吸水剤であって、吸水性樹脂粒子(A)の表面に、上記ポリマー(B)が存在する吸水剤を製造する方法も含まれる。
本発明の吸水剤の製造方法は、吸水性樹脂粒子(A)と、ポリマー(B)とを混合する混合工程を少なくとも含んでいればよい。
本発明において吸水性樹脂(A)と、前記ポリマー(B)とを混合する方法は、特に限定されるものではなく、吸水性樹脂(A)に前記ポリマー(B)を含む溶液又は分散液を混合する方法、吸水性樹脂(A)に上記溶液又は分散液を噴霧して混合する方法、吸水性樹脂粒子(A)に前記ポリマー(B)をそのまま混合し必要に応じて水、溶媒、分散媒等を添加して混合する方法等を用いることができる。
中でも本発明にかかる吸水剤の製造方法では、前記ポリマー(B)は、溶液又は分散液で混合されることがより好ましい。これにより混合性が向上するため好ましい。
本発明にかかる吸水剤の製造方法では、前記ポリマー(B)は、溶液、乳化液、又は、懸濁液として混合されることがさらに好ましい。
ここで、前記ポリマー(B)が溶液で混合される場合用いられる溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、水;エタノール、メタノール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類;ポリエチレングリコール等を好適に用いることができる。中でも水あるいは水とアルコール類の混合溶液を用いることが最も好ましい。また、かかる溶液中の前記ポリマー(B)の濃度は1質量%以上100質量%以下であることが好ましく、10質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
また、前記ポリマー(B)が懸濁液で混合される場合用いられる分散媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、水;エタノール、メタノール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類;ポリエチレングリコール等を好適に用いることができる。また、かかる分散液中の前記ポリマー(B)の濃度は1質量%以上100質量%以下であることが好ましく、10質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。また、分散剤として、さらに水溶性ポリマー、界面活性剤等を添加してもよい。
さらに、前記ポリマー(B)は、溶液又は懸濁液のほかにも、乳化剤とともに例えば水中で乳化液として、吸水性樹脂と混合してもよい。かかる場合の分散媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、水等を好適に用いることができる。また、乳化剤としては、特に限定されるものではないが、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等を用いればよい。また、かかる乳化液中の前記ポリマー(B)の濃度は1質量%以上90質量%以下であることが好ましく、10質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
また、本発明にかかる吸水剤の製造方法では、前記ポリマー(B)は、水溶液として混合されることがさらに好ましい。かかる水溶液中の前記ポリマー(B)の濃度は1質量%以上90質量%以下であることが好ましく、10質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
また、上記混合工程を行う時期は、特に限定されるものではない。本発明で用いられる吸水性樹脂は、その表面ないし表面近傍が表面架橋されていることがより好ましい。それゆえ、本発明の吸水剤の製造方法は、さらに、吸水性樹脂の表面を表面架橋剤によって架橋する表面架橋工程を含むことが好ましく、上記混合工程は、かかる表面架橋工程の間及び/又は上記表面架橋工程の後に行われることがより好ましい。
ここで、上記混合工程が行われる、上記表面架橋工程の間及び/又は上記表面架橋工程の後とは、吸水性樹脂と表面架橋剤との混合と同時であってもよいし、吸水性樹脂と表面架橋剤との混合物を加熱処理している間であってもよいし、吸水性樹脂と表面架橋剤との混合物を加熱処理した直後であってもよいし、吸水性樹脂と表面架橋剤の混合物を加熱処理し得られた吸水性樹脂を冷却した後であってもよいし、また、これらの複数の段階で混合を行ってもよい。
中でも上記混合工程は、高いCRCとより優れた液透過性向上効果を得るという観点からは、上記表面架橋工程の後、例えば、吸水性樹脂と表面架橋剤の混合物を加熱処理した直後、吸水性樹脂と表面架橋剤の混合物を加熱処理し得られた吸水性樹脂を冷却した後等に行われることがより好ましく、吸水性樹脂と表面架橋剤の混合物を加熱処理し得られた吸水性樹脂を冷却した後に行われることが特に好ましい。
また、上記混合工程に供される上記吸水性樹脂は、30〜80℃に加温されたものであることが好ましく、50〜70℃に加温されたものであることがより好ましい。上記混合工程に供される上記吸水性樹脂が30℃以上であることにより混合後の取扱い性が向上するため好ましい。また、上記混合工程に供される上記吸水性樹脂が80℃以下であることにより、加熱による着色を防止することができるので好ましい。
また、本発明の吸水剤の製造方法は、さらに上述した水溶性多価金属塩及び/又は水不溶性の無機微粒子等の添加剤を添加する工程を含んでいてもよい。かかる添加剤を添加する場合には、その添加方法は、特に限定されるものではなく、吸水性樹脂(A)又は吸水性樹脂(A)と前記ポリマー(B)との混合物に、上記添加物を含む溶液又は分散液を混合する方法、上記溶液又は分散液を噴霧して混合する方法、上記添加剤をそのまま混合し必要に応じて水、溶媒、分散媒等を添加して混合する方法等を用いることができる。
また、上記添加剤を添加する時期も特に限定されるものではなく、前記ポリマー(B)と同時に添加してもよいし、吸水性樹脂(A)と前記ポリマー(B)とを混合した後その混合物に添加してもよい。中でも、吸収剤の取扱い性向上やSFCの向上の観点から、上記添加剤は、吸水性樹脂(A)と前記ポリマー(B)とを混合した後に添加することがより好ましい。
また、上記混合工程及び添加剤を添加する工程で、吸水性樹脂(A)と、前記ポリマー(B)と、必要に応じて上記他の添加剤とを混合する具体的な混合方法は特に限定されるものではなく、公知の撹拌装置を用いて混合することができる。かかる撹拌装置としては、例えば、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、V型混合機、双腕型ニーダー、流動式混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、ロールミキサー、転動式混合機、レディゲミキサー、パドルブレンダー、リボンミキサー、ロータリーブレンダー、ジャータンブラー、プラウジャーミキサー、モルタルミキサー等を好適に用いることができる。また、かかる攪拌装置は、吸水性樹脂(A)と、前記ポリマー(B)と、必要に応じて上記他の添加剤とを含む混合物を加熱する加熱装置を備えていてもよいし、加熱装置によって加熱した上記混合物を冷却する冷却装置を備えていてもよい。上記攪拌装置によって攪拌を行う時間は特に限定されるものではないが、好ましくは60分以下、より好ましくは30分以下である。
また、上記混合工程後及び/又は添加剤を添加する工程後に、得られた混合物を乾燥してもよい。ここで、乾燥は、乾燥工程にかかる時間の50%以上の時間、より好ましくは実質すべての乾燥工程をとおして好ましくは40℃以上100℃未満の範囲で行われる。かかる温度範囲で乾燥することにより、吸水剤に熱によるダメージを与えることがないため、得られる吸水剤の物性に悪影響を及ぼすことがない。なお、乾燥温度は熱媒温度で規定するが、マイクロ波等熱媒温度で規定できない場合は材料温度で規定する。乾燥方法としては、乾燥温度が上記範囲内であれば特に限定されるものではなく、熱風乾燥、無風乾燥、減圧乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥等を好適に用いることができる。
乾燥温度の範囲はより好ましくは40℃〜100℃、さらに好ましくは50℃〜90℃の温度範囲である。また、乾燥は、一定温度で乾燥してもよく、温度を変化させて乾燥してもよいが、実質、すべての乾燥工程は上記の温度範囲内でなされることが好ましい。
乾燥時間は、吸水剤の表面積、含水率、及び乾燥機の種類に依存し、目的とする含水率になるよう適宜選択される。乾燥時間は、通常10〜120分、より好ましくは20〜90分、さらに好ましくは30〜60分である。乾燥時間が10分以上であることにより、乾燥が十分で、取扱い性に優れた吸水剤を得ることができる。また、乾燥時間が120分以下であることにより、吸水剤にダメージを与えることがなく、水可溶分量の上昇もなく、諸物性の向上効果を得ることができる。
上記吸水剤の製造方法においては、上記吸水性樹脂粒子を不定形破砕状にするため、上記吸水性樹脂粒子に機械的ダメージを与えた後に、上記ポリマー(B)と吸水性樹脂粒子とを混合することがより好ましい。吸水性樹脂粒子を不定形破砕状とすることにより、吸水性樹脂粒子の表面に前記ポリマー(B)を効率よく含ませることができ、得られる吸水剤の物性を向上させることができる。
ここで、機械的ダメージとは、ガラス・金属などを吸水性樹脂粒子に衝突させることにより、物理的衝撃を与えることをいう。
吸水性樹脂粒子に機械的ダメージを与える方法としては、吸水性樹脂粒子に衝撃を与えることができれば特に限定されるものではない。たとえば、ガラス製容器に吸水性樹脂粒子およびガラスビーズを入れた後、振盪することによって機械的ダメージを与える方法(後述するペイントシェーカーテスト)を挙げることができる。また、吸水性樹脂粒子に機械的ダメージを与えるその他の方法としては、吸水性樹脂粒子を、円筒形の容器にボールなどと共に入れて回転させる方法(ボールミル)、攪拌翼を有する撹拌機内で撹拌する方法、パドルドライヤー(パドル翼を有する加熱機、冷却機)を通過させる方法、粉砕機で粉砕する方法、空気輸送により輸送する方法、吸水剤の粒子同士を衝突または摩擦させる方法を挙げることができる。
上記ポリマー(B)は、前述の方法において、吸水性樹脂を含む吸水剤の原料として好ましく使用される。
(6)吸水体
本発明にかかる吸水体は、本発明にかかる吸水剤を含むものである。本発明の吸水剤を適当な素材と組み合わせることにより、たとえば、衛生材料の吸収層として好適な吸水体とすることができる。以下、本発明の吸水体について説明する。
本発明において、吸水体とは、血液、体液、尿等を吸収する衛生材料に用いられる組成物であって、吸水剤とその他の素材とからなる成形された組成物のことである。ここで、上記衛生材料としては、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、医療用パッド等を挙げることができる。吸水体に用いられるその他の素材としては、セルロース繊維を挙げることができる。かかるセルロース繊維の具体例としては、例えば、木材からのメカニカルパルプ、ケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、溶解パルプ等の木材パルプ繊維;レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維等を例示できる。より好ましいセルロース繊維は木材パルプ繊維である。またこれらセルロース繊維はナイロン、ポリエステル等の合成繊維を一部含有していてもよい。本発明にかかる吸水剤を吸水体の一部として使用する際には、吸水体中に含まれる上記吸水剤の含有量が、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上の範囲である。吸水体中に含まれる本発明の吸水剤の質量が、20質量%未満になると、十分な吸収効果が得られなくなるおそれがある。
本発明にかかる吸水剤とセルロース繊維とを用いて吸水体を製造するには、たとえば、セルロース繊維からなる紙、マット等に上記吸水剤を散布し、必要によりこれらの紙、マット等で挟持する方法、セルロース繊維と吸水剤とを均一にブレンドする方法、等吸水体を得るための公知の手段を適宜選択することができる。より好ましい方法としては、吸水剤とセルロース繊維とを乾式混含した後、圧縮する方法を挙げることができる。この方法により、セルロース繊維からの吸水剤の脱落を著しく抑えることが可能である。圧縮は加熱下に行うことが好ましく、その温度範囲は、たとえば50℃以上200℃以下である。
本発明にかかる吸水剤は、吸水体に使用された場合、諸物性に優れるため、液の取り込みが早く、また、吸水体表層の液の残存量が少ない、非常に優れた吸水体が得られる。
本発明にかかる吸水剤は、優れた吸水特性を有しているため、種々の用途の吸水保水剤として使用することができる。具体的には、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、医療用パッド等の衛生材料用吸水保水剤;水苔代替、土壌改質改良剤、保水剤、農薬効力持続剤等の農園芸用保水剤;内装壁材用結露防止剤、セメント添加剤等の建築用保水剤;リリースコントロール剤、保冷剤、使い捨てカイロ、汚泥凝固剤、食品用鮮度保持剤、イオン交換カラム材料、スラッジ又はオイルの脱水剤、乾燥剤、湿度調整材料等で使用できる。中でも、本発明にかかる吸水剤は、紙おむつ、生理用ナプキン等の、糞、尿又は血液の吸収用衛生材料に特に好適に用いられる。
本発明にかかる吸水体は、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、医療用パッド等の衛生材料に用いられる場合、(a)着用者の体に隣接して配置される液体透過性のトップシート、(b)着用者の身体から遠くに、着用者の衣類に隣接して配置される、液体に対して不透過性のバックシート、及び(c)トップシートとバックシートの間に配置された吸水体、を含んでなる構成で使用されることが好ましい。吸水体は二層以上であっても良いし、パルプ層等とともに用いても良い。
以下に、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下では、便宜上、「質量部」を単に「部」と、「リットル」を単に「L」と記すことがある。また、「質量%」を「wt%」と記すことがある。
吸水性樹脂、吸水性樹脂粒子又は吸水剤の諸性能は、以下の方法で測定した。特に記載が無い限り下記の測定は室温(20〜25℃)、湿度50RH%の条件下で行われたものとする。
なお、衛生材料等の最終製品として使用された吸水剤の場合は、吸水剤は吸湿しているので、適宜、吸水剤を最終製品から分離して減圧低温乾燥後(例えば、1mmHg以下、60℃で12時間)に測定すればよい。また、本実施例及び比較例において使用された吸水剤の固形分はすべて94質量%以上であった。また、以下の測定方法の記載は吸水剤の測定を例に挙げているが、同様の方法で吸水性樹脂粒子の物性も測定することができる。
<遠心分離機保持容量(CRC)>
遠心分離機保持容量(CRC)は0.90質量%食塩水に対する無加圧下で30分の吸水倍率を示す。なお、CRCは、無加圧下吸収倍率と称されることもある。
吸水剤0.200gを不織布製(南国パルプ工業(株)製、商品名:ヒートロンペーパー、型式:GSP−22)の袋(85mm×60mm)に均一に入れてヒートシールした後、室温で大過剰(通常500ml程度)の0.90質量%食塩水(塩化ナトリウム水溶液)中に浸漬した。30分後に袋を引き上げ、遠心分離機(株式会社コクサン社製、遠心機:型式H−122)を用いてedana ABSORBENCY II 441.1−99に記載の遠心力(250G)で3分間水切りを行った後、袋の質量W1(g)を測定した。また、同様の操作を吸水剤を用いずに行い、その時の質量W0(g)を測定した。そして、これらW1、W0から、次式に従って遠心分離機保持容量(CRC)(g/g)を算出した。
遠心分離機保持容量(CRC)(g/g)
=(W1(g)−W0(g))/(吸水剤の質量(0.200g))−1
<4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)>
圧力に対する吸収力(AAP)は0.90質量%食塩水に対する4.83kPaで60分の吸収倍率を示す。なお、AAPは、4.83kPaでの加圧下吸収倍率と称されることもある。図1は、AAPの測定装置を示す断面図である。
図1に示す測定装置を用い、内径60mmのプラスチックの支持円筒100の底に、ステンレス製400メッシュの金網101(目の大きさ38μm)を融着させ、室温(20℃以上25℃以下)、湿度50RH%の条件下で、金網101上に吸水剤0.900gを均一に散布し、その上に、試験体102である吸水剤に対して4.83kPa(0.7psi)の荷重を均一に加えることができるよう調整された、外径が60mmよりわずかに小さく支持円筒100との隙間が生じず、かつ上下の動きが妨げられないピストン103と荷重104とをこの順に載置し、この測定装置10の全体の質量Wa(g)を測定した。
直径150mmのペトリ皿105の内側に直径90mmのガラスフィルター106(株式会社相互理化学硝子製作所社製、細孔直径:100〜120μm)を置き、0.90質量%食塩水108(20℃以上25℃以下)をガラスフィルター106の上面と同じ液面になるように加えた。その上に、直径90mmの濾紙107(ADVANTEC東洋株式会社、品名:(JIS P 3801、No.2)、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm)を1枚載せ、表面が全て濡れるようにし、かつ過剰の液を除いた。
上記測定装置10の一式を上記湿った濾紙上に載せ、液を荷重下で吸収させた。1時間後、測定装置10の一式を持ち上げ、その質量Wb(g)を測定した。そして、Wa、Wbから、下記の式に従って4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)(g/g)を算出した。
4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)
=(Wb(g)−Wa(g))/(吸水剤の質量(0.900g))
<食塩水流れ誘導性(SFC)>
食塩水流れ誘導性(SFC)は吸水剤の膨潤時の液透過性を示す値である。SFCの値が大きいほど、吸水剤は、高い液透過性を有することとなる。本実施例においては、米国特許第5849405号明細書記載のSFC試験に準じて行った。図2は、SFCの測定装置を示す概略図である。
図2に示す測定装置において、タンク31にはガラス管32が挿入されており、ガラス管32の下端は、0.69質量%食塩水33をセル41中のゲル44の底部から、5cm上の高さに維持できるように配置されている。また、タンク31中の0.69質量%食塩水33は、コック付きL字管34を通じてセル41へ供給されるよう構成されている。セル41の下には、透過した液を補集する捕集容器48が配置されており、補集容器48は上皿天秤49の上に設置されている。セル41の内径は6cmであり、下部の底面にはNo.400ステンレス製金網(目開き38μm)42が設置されていた。ピストン46の下部には液が透過するのに十分な穴47があり、底部には吸水剤あるいはその膨潤ゲルが、穴47へ入り込まないように透過性の良いガラスフィルター45が取り付けてあった。セル41は、セル41を乗せるための台の上に置かれ、セル41と接する台の面は、液の透過を妨げないステンレス製の金網43の上に設置した。
人工尿(1)は、塩化カルシウムの2水和物0.25g、塩化カリウム2.0g、塩化マグネシウムの6水和物0.50g、硫酸ナトリウム2.0g、りん酸2水素アンモニウム0.85g、りん酸水素2アンモニウム0.15g、及び、純水994.25gを加えたものを用いた。
図2に示す測定装置20を用い、容器40に均一に入れた吸水剤(0.900g)を人工尿(1)中で2.07kPa(0.3psi)の加圧下、60分間膨潤させゲル44とした。その後、ゲル44のゲル層の高さを記録し、次に2.07kPa(0.3psi)の加圧下、0.69質量%の食塩水33を、一定の静水圧でタンク31から膨潤したゲル層を通液させた。このSFC試験は室温(20℃以上25℃以下)で行った。試験ではコンピューターと天秤とを用い、時間の関数として、20秒間隔でゲル層を透過する液体量を10分間記録した。膨潤したゲル44(の主に粒子間)を透過する流速Fs(T)は増加質量(g)を増加時間(s)で割ることによりg/sの単位で決定した。一定の静水圧と安定した流速が得られた時間をTsとし、Tsと10分間の間に得たデータだけを流速計算に使用して、Tsと10分間の間に得た流速を使用してFs(T=0)の値、つまりゲル層を通る最初の流速を計算した。Fs(T=0)はFs(T)対時間の最小2乗法の結果をT=0に外挿することにより計算した。
食塩水流れ誘導性(SFC)
=(Fs(T=0)×L0)/(ρ×A×ΔP)
=(Fs(T=0)×L0)/139506
ここで、Fs(T=0):g/sで表した流速、L0:cmで表したゲル層の高さ、ρ:NaCl溶液の密度(1.003g/cm3)、A:セル41中のゲル層上側の面積(28.27cm2)、ΔP:ゲル層にかかる静水圧(4920dyne/cm2)及びSFC値の単位は(cm3・s・10−7・g−1)である。
液の透過が早すぎて、静水圧が上記に満たない場合は、上記ΔPの値を食塩水の液面の高さから計算された値に変更してSFCを計算することができる。
<Vortex吸水時間>
Vortex吸水時間として、生理食塩水へのボルテックス吸水時間を以下のようにして測定した。予め調製された生理食塩水(0.9%食塩水)に1000質量部に食品添加物である食用青色1号ブリリアントブルー=FCF0.02重量部を添加し、液温30℃に調製した。得られた食用青色1号ブリリアントブルーを添加した生理食塩水50mlを100mlビーカーに計り取り、長さ40mmで直径8mm(8mmφ)の円筒型回転子で600rpmで攪拌する中に、吸水剤(又は吸水性樹脂)2.0gを投入し、Vortex吸水時間(秒)を測定した。終点は、JIS K 7224(1996年)「高吸水性樹脂の吸水速度試験方法 解説」に記載されている基準に準じ、生理食塩水に吸水剤(又は吸水性樹脂)を投入した時点と、生理食塩水を吸液した吸水剤(又は吸水性樹脂)である試験液がスターラーチップを覆う時点との間隔をVortex吸水時間(秒)として測定した。
<FSR(Free Swell Rate)>
FSRとは、吸水剤の液を吸収する速度の指標である。FSRは高い値を示すことが好ましく、FSRが高い吸水剤を吸水体に使用することで、液の吸収速度に優れた吸水体を得ることが可能となる。FSRは以下の方法で測定される。
吸水剤1.000±0.0005gを小数点以下4桁まで正確に秤量し(Wc(単位:g)とする)、25mlのガラス製ビーカー(直径32−34mm、高さ50mm)に入れた。この際、ビーカーに入れた吸水剤の上面が水平になるようにした。必要により、慎重にビーカーをたたくなどの処置を行うことで吸水剤を水平にしてもよい。次に、23℃±2.0℃に調温した0.9質量%塩化ナトリウム水溶液20mlを50mlのガラス製ビーカーにはかりとり、液の重さを小数点以下4桁まで測定した(Wd(単位:g)とする)。次に、はかりとった0.9質量%塩化ナトリウム水溶液を、吸水剤の入った25mlビーカーに素早く注いだ。注ぎ込んだ塩化ナトリウム水溶液が吸水剤と接触したと同時に時間測定を開始した。そして、塩化ナトリウム水溶液を注ぎ込んだビーカー中の液の上面を約20°の角度で目視した際、始め塩化ナトリウム水溶液表面であった上面が、吸水剤が塩化ナトリウム水溶液を吸収することにより、塩化ナトリウム水溶液を吸収した吸水剤の表面に置き換わった時点で、時間測定を終了した(Th(単位:秒)とする)。次に、塩化ナトリウム水溶液を注いだ後のビーカーに付着し、残存した塩化ナトリウム水溶液の重さを小数点以下4桁まで測定した(We(単位:g)とする)。注ぎ込んだ塩化ナトリウム水溶液の重さ(Wf(単位:g)とする)を下記式(a)により求めた。また、下記式(b)によって、FSR(単位:g/g/sec)を求めた。
式(a):Wf(g)=Wd(g)−We(g)
式(b):FSR(g/g/sec)=Wf/(Th×Wc)
1つのサンプルにつき、同様の測定を3回繰り返し行い、測定結果は3回の測定値の平均値とした。
<質量平均粒子径(D50)及び粒度分布の対数標準偏差(σζ)>
国際公開第2004/69915号パンフレット記載の質量平均粒子径(D50)及び粒度分布の対数標準偏差(σζ)試験に準じて行った。
<目開き150μmのふるいを通過できる大きさの粒子の割合>
上記、質量平均粒子径(D50)及び粒度分布の対数標準偏差(σζ)の測定方法と同様の分級操作を行い、目開き150μmのふるいを通過した量から目開き150μmのふるいを通過できる大きさの粒子の割合(質量%)を求めた。
<吸水剤の固形分>
吸水剤において、180℃で揮発しない成分が占める割合を表す。含水率との関係は以下の様になる。
固形分(質量%)=100−含水率(質量%)
固形分の測定方法は、以下のように行った。
底面の直径が約5cmのアルミカップ(質量Wl(単位:g)とする)に、約1gの吸水剤を量り取り(質量Ws(単位:g)とする)、180℃の無風乾燥機中において3時間静置し、乾燥させる。乾燥後のアルミカップと吸水剤の質量を合計した質量(Wk(単位:g)とする)を測定し、以下の式より固形分を求めた。
固形分(質量%)=((Wk−Wl)/Ws)×100
<水可溶分(水可溶成分)量>
250ml容量の蓋付きプラスチック容器に0.90質量%食塩水184.3gをはかり取り、その水溶液中に吸水剤1.00gを加え16時間、直径8mm、長さ25mmの磁気撹拌子を用いて500rpmの回転数でスターラーを回転させ攪拌することにより樹脂中の可溶分を抽出した。この抽出液を濾紙1枚(ADVANTEC東洋株式会社、品名:(JIS P 3801、No.2)、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm)を用いて濾過することにより得られた濾液の50.0gを測り取り測定溶液とした。
はじめに0.90質量%食塩水だけを、まず、0.1NのNaOH水溶液でpH10まで滴定を行い、その後、0.1NのHCl水溶液でpH2.7まで滴定して空滴定量([bNaOH]ml、[bHCl]ml)を得た。
同様の滴定操作を測定溶液についても行うことにより滴定量([NaOH]ml、[HCl]ml)を求めた。
例えば既知量のアクリル酸とそのナトリウム塩が主成分の吸水剤の場合、そのモノマーの平均分子量と上記操作により得られた滴定量をもとに、吸水剤の水可溶分量を以下の計算式により算出することができる。未知量の場合は滴定により求めた中和率を用いてモノマーの平均分子量を算出する。
水可溶分(質量%)=0.1×(平均分子量)×184.3×100×([HCl]−[bHCl])/1000/1.0/50.0
中和率(mol%)=(1−([NaOH]−[bNaOH])/([HCl]−[bHCl]))×100
<固定された高さ吸収(FHA)>
US2005/000319A1に記載の方法に従って固定された高さ吸収(FHA)の測定を行う。なお、本発明においては、測定時の高さは20cmで行った。
<ペイントシェーカーテスト>
ペイントシェーカーテスト(PS)とは、直径6cm、高さ11cmのガラス製容器に、直径6mmのガラスビーズ10g、吸水性樹脂または吸水剤30gを入れてペイントシェーカー(東洋製機製作所 製品No.488)に取り付け、800cycle/min(CPM)で振盪するものであり、装置詳細は特開平9−235378号公報に開示されている。なお振盪時間はペイントシェーカーテスト1と記載された場合は30分間、ペイントシェーカーテスト2と記載された場合は10分間とした。
振盪後、目開き2mmのJIS標準篩でガラスビーズを除去し、ダメージを与えられた吸水性樹脂粒子または吸水剤が得られる。
<吸水剤の着色評価(ハンターLab表色系/L値、a値、b値、YI値)>
吸水剤の着色評価は、日本電色工業株式会社製の分光式色差計SZ−Σ80COLOR MEASURING SYSTEMを用いて行った。測定の設定条件は、反射測定が選択され、内径30mmで且つ高さ12mmである付属の粉末・ペースト試料台が用いられ、標準として粉末・ペースト用標準丸白板No.2が用いられ、30Φ投光パイプが用いられた。備え付けの試料台に約5gの吸水剤を充填した。この充填は、備え付け試料台を約6割程度充填するものであった。室温(20〜25℃)及び湿度50RH%の条件下で、上記分光式色差計にて表面のハンターLab表色系におけるL値(Lightness:明度指数)、a値(色度)、b値(色度)を測定した。この値を、「曝露前のL値、a値、b値」とする。
続いて、上記ペースト試料台に約5gの吸水剤を充填し、70±1℃、相対湿度65±1%の雰囲気に調整した恒温恒湿機(タバイエスペック株式会社製PLATINOUSLUCIFER、形式PL−2G)中に吸水剤を充填したペースト試料台を7日間曝露した。この曝露が、7日間着色促進試験である。曝露後、上記分光式色差計にて表面のハンターLab表色系におけるL値(Lightness)、a値(色度)、b値(色度)を測定した。この測定値を、「70±1℃、相対湿度65±1%の雰囲気下に7日間曝露後のL値、a値、b値」とする。L値は高い程良く、またa値、b値は0からの絶対値が小さい方が好ましい。
また、同じ装置の同じ測定法によって、同時に他の尺度の物体色YI値(黄色度;イエローネスインデックス)ないしWB値(ホワイトブルー)も測定できる。WB値は大きいほど、YI値は小さいほど、低着色で実質白色に近づくことを示す。
<ポリマー(B)の合成例>
本発明にかかる吸水剤に用いられる、モノマーとしてアンモニア(b1)とアミン類(b2)とエピハロヒドリン類(b3)とを必須成分とするポリマー(B)の合成例を以下に記す。
(合成例1)
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた反応容器中にジメチルアミン水溶液(50%)90.2gと、アンモニア水(25%)6.8gと、水172.6gとを入れ、撹拌して均一に溶解させた後、この混合物に滴下ロートからエピクロルヒドリン101.8gを約3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃にて6時間反応を続け樹脂分39%の無色〜淡黄色液状水溶液を得た。得られた重合物のGPC(Gel Permeation Chromatography)より求めた重量平均分子量は2.0万であった。
(合成例2)
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた反応容器中にジメチルアミン水溶液(50%)90.2gと、アンモニア水(25%)34.0gと、水217.9gとを入れ、撹拌して均一に溶解させた後、この混合物に滴下ロートからエピクロルヒドリン138.8gを約3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃にて8時間反応を続け樹脂分39%の無色〜淡黄色液状水溶液を得た。得られた重合物のGPCより求めた重量平均分子量は2.5万であった。
(合成例3)
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた反応容器中にジメチルアミン水溶液(50%)90.2gと、アンモニア水(25%)68gと、水2746gとを入れ、撹拌して均一に溶解させた後、この混合物に滴下ロートからエピクロルヒドリン185gを約3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃にて10時間反応を続け樹脂分39%の無色〜淡黄色液状水溶液を得た。得られた重合物のGPCより求めた重量平均分子量は3.0万であった。
(合成例4)
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた反応容器中にジメチルアミン水溶液(50%)90.2gと、アンモニア水(25%)68gと、水81gとを入れ、撹拌して均一に溶解させた後、この混合物に滴下ロートからエピクロルヒドリン203.5gを約3時間かけて滴下した。滴下終了後、90℃にて10時間反応を続け樹脂分57%の無色〜淡黄色液状水溶液を得た。得られた重合物のGPCより求めた重量平均分子量は8.0万であった。
(合成例5)
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた反応容器中にジエチルアミン水溶液(50%)146.2gと、アンモニア水(25%)34.0gと、水231.9gとを入れ、撹拌して均一に溶解させた後、この混合物に滴下ロートからエピクロルヒドリン138.8gを約3時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃にて10時間反応を続け樹脂分39%の無色〜淡黄色液状水溶液を得た。得られた重合物のGPCより求めた重量平均分子量は3.0万であった。
(合成例6)
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた反応容器中に水120.5部、28%アンモニア水30.4部(0.5モル)と、50%ジメチルアミン45部(0.5モル)と、n−ブチルアミン18.3部(0.25モル)とを仕込み、40℃未満で90分間かけてエピクロルヒドリン115.6部(1.25モル)を滴下した。その後、40℃に昇温、1時間保持した。その後、80℃に昇温、1.5時間保持した後、室温まで冷却した。得られた反応生成物は、固形分52.6%、粘度23.0cps、pH5.5であった。
<本発明の吸水剤の製造>
(実施例1)
シグマ型羽根を2本有する内容積10リットルのジャケット付きステンレス型双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器中で、アクリル酸436.4g、37質量%アクリル酸ナトリウム水溶液4617.9g、純水395.96g、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523、この内部架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレートは、エチレンオキシドの平均付加モル数nが9である。)10.13g(0.08mol%)、1,4−ブタンジオール0.873g(0.04mol%)を溶解させて反応液とした。さらに、上記反応溶液を25℃に保ちながら、この反応液を窒素ガス雰囲気下で、20分間脱気した。系内に溶存する酸素は1ppm以下であった。続いて、反応液に20質量%過硫酸ナトリウム水溶液14.53gおよび0.1質量%L−アスコルビン酸水溶液24.22gを攪拌しながら添加したところ、およそ34秒後に上記反応溶液が25.5℃になり重合が開始した。重合開始3分後、2質量%エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)5ナトリウム(略称:EDTMP・5Na)水溶液を21.55g(全モノマー質量に対して200質量ppm)を系内に添加した。そして、生成したゲルを粉砕しながら、25.5℃以上92℃以下で重合を行い、重合が開始して30分後に含水ゲル状架橋重合体を取り出した。得られた含水ゲル状架橋重合体は、実質ゲルの粒子径が約5mm以下に細分化されていた。
この細分化された含水ゲル状架橋重合体を50メッシュの金網上に広げ、180℃で45分間熱風乾燥を行い、乾燥物をロールミルで粉砕し、さらに分級操作によって、目開き710μmのJIS標準篩を通過した粒子を、さらに目開き172μmのJIS標準篩で分級し、通過した微粒子を除去することにより、質量平均粒子径(D50)389μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.31の不定形破砕状の吸水性樹脂(a)を得た。吸水性樹脂(a)の遠心分離機保持容量(CRC)は32.9(g/g)、水可溶分は9.7質量%、目開き150μmのふるいを通過できる大きさの粒子の割合は0.3質量%であった。
得られた吸水性樹脂(a)100質量部に1,4−ブタンジオール0.34質量部、プロピレングリコール0.56質量部、純水3.0質量部の混合液からなる表面架橋液を均一に混合した後、混合物を208℃で40分間加熱処理した。その後、得られた粒子を目開き710μmのJIS標準篩を通過するまで解砕した。こうして、表面が架橋された吸水性樹脂粒子(1)を得た。
次に、吸水性樹脂粒子(1)にペイントシェーカーテスト1を行った。こうして、吸水性樹脂粒子(1)から、吸水性樹脂粒子(1D)を得た。吸水性樹脂粒子(1D)の質量平均粒子径(D50)は389μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)は0.31、水可溶分量は9.2質量%、目開き150μmのふるいを通過できる大きさの粒子の割合は0.4質量%であった。
上記で得られた吸水性樹脂(a)の諸物性について表1に示した。また、吸水性樹脂粒子(1D)の諸物性について表2にまとめた。
上記の吸水性樹脂粒子(1D)100質量部に、2.0質量部のユニセンスKHE102L(センカ株式会社製、ジメチルアミン/アンモニア/エピクロルヒドリン樹脂、平均分子量約7万(参考値)、固形分濃度50質量%の水溶液、1%に希釈した水溶液のpH約6および2.0質量部のメタノールを混合した溶液を添加した。添加は吸水性樹脂粒子(1D)を攪拌しながら、溶液が粒子に均一に添加されるように行った。この混合物を、90℃で1時間、無風下で静置乾燥した。その後、得られた混合物を目開き710μmのJIS標準ふるいを通し、吸水剤(1)とした。吸水剤(1)の質量平均粒子径(D50)は395μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)は0.30、水可溶分量は9.0質量%、目開き150μmのふるいを通過できる大きさの粒子の割合は0質量%であった。
なお、ジメチルアミン/アンモニア/エピクロルヒドリン樹脂は、下記式(1)
で表される構造、及び、下記式(2)
で表される構造を含むポリマーである。
(実施例2)
実施例1と同様の操作を、2.0質量部のユニセンスKHE102Lおよび2.0質量部のメタノールを混合した溶液のかわりに、1.0質量部のユニセンスKHE102Lおよび1.0質量部のメタノールを混合した溶液を用いて行った。これによって得られた吸水剤を吸水剤(2)とした。
(実施例3)
実施例1と同様の操作を、2.0質量部のユニセンスKHE102Lおよび2.0質量部のメタノールを混合した溶液のかわりに、0.5質量部のユニセンスKHE102Lおよび0.5質量部のメタノールを混合した溶液を用いて行った。これによって得られた吸水剤を吸水剤(3)とした。
(実施例4)
実施例1と同様の操作を、2.0質量部のユニセンスKHE102Lおよび2.0質量部のメタノールを混合した溶液のかわりに、0.2質量部のユニセンスKHE102Lおよび0.2質量部のメタノールを混合した溶液を用いて行った。これによって得られた吸水剤を吸水剤(4)とした。
(実施例5)
実施例1と同様の操作を、2.0質量部のユニセンスKHE102Lおよび2.0質量部のメタノールを混合した溶液のかわりに、2.0質量部のユニセンスKHE102Lを用いて行った。これによって得られた吸水剤を吸水剤(5)とした。
(実施例6)
実施例1と同様の操作を、2.0質量部のユニセンスKHE102Lおよび2.0質量部のメタノールを混合した溶液のかわりに、1.0質量部のユニセンスKHE102Lを用いて行った。これによって得られた吸水剤を吸水剤(6)とした。
(実施例7)
実施例1と同様の操作を、2.0質量部のユニセンスKHE102Lおよび2.0質量部のメタノールを混合した溶液のかわりに、0.5質量部のユニセンスKHE102Lを用いて行った。これによって得られた吸水剤を吸水剤(7)とした。
(実施例8)
実施例1と同様の操作を、2.0質量部のユニセンスKHE102Lおよび2.0質量部のメタノールを混合した溶液のかわりに、0.2質量部のユニセンスKHE102Lを用いて行った。これによって得られた吸水剤を吸水剤(8)とした。
(実施例9)
実施例1と同様の操作を、ユニセンスKHE102L2.0質量部およびメタノール2.0質量部を混合した溶液のかわりに、ユニセンスKHE1000L(センカ株式会社製、ジメチルアミン/アンモニア/エピクロルヒドリン樹脂、平均分子量約30万(参考値)、粘度約1500(mPa・s)、固形分濃度50質量%の水溶液)2.0質量部およびメタノール2.0質量部を混合した溶液を用いて行った。これによって得られた吸水剤を吸水剤(9)とした。
(実施例10)
実施例1と同様の操作を、ユニセンスKHE102L2.0質量部およびメタノール2.0質量部を混合した溶液のかわりに、ジメチルアミン/エピクロルヒドリン樹脂水溶液(モル比;ジメチルアミン/エピクロルヒドリン=1/1、平均分子量5.2万、粘度約258(mPa・s)、固形分濃度50質量%の水溶液)2.0質量部およびメタノール2.0質量部を混合した溶液を用いて行った。これによって得られた吸水剤を吸水剤(10)とした。
(実施例11)
実施例1と同様の操作を、ユニセンスKHE102L2.0質量部およびメタノール2.0質量部を混合した溶液のかわりに、ジメチルアミン/アンモニア/エピクロルヒドリン樹脂水溶液(モル比;ジメチルアミン/アンモニア/エピクロルヒドリン=0.9/0.1/1.0、平均分子量8.8万、粘度約179(mPa・s)、固形分濃度50質量%の水溶液)2.0質量部およびメタノール2.0質量部を混合した溶液を用いて行った。これによって得られた吸水剤を吸水剤(11)とした。
(実施例12)
実施例1と同様の操作を、ユニセンスKHE102L2.0質量部およびメタノール2.0質量部を混合した溶液のかわりに、ジメチルアミン/アンモニア/エピクロルヒドリン樹脂水溶液(モル比;ジメチルアミン/アンモニア/エピクロルヒドリン=0.8/0.2/1.0、平均分子量6.9万、粘度約158(mPa・s)、固形分濃度50質量%の水溶液)2.0質量部およびメタノール2.0質量部を混合した溶液を用いて行った。これによって得られた吸水剤を吸水剤(12)とした。
(実施例13)
実施例1と同様の操作を、ユニセンスKHE102L2.0質量部およびメタノール2.0質量部を混合した溶液のかわりに、ジメチルアミン/アンモニア/エピクロルヒドリン樹脂水溶液(モル比;ジメチルアミン/アンモニア/エピクロルヒドリン=0.9/0.1/1.0、平均分子量19万、粘度約1584(mPa・s)、固形分濃度50質量%の水溶液)2.0質量部およびメタノール2.0質量部を混合した溶液を用いて行った。これによって得られた吸水剤を吸水剤(13)とした。
(実施例14)
実施例1と同様の操作を、ユニセンスKHE102L2.0質量部およびメタノール2.0質量部を混合した溶液のかわりに、ジメチルアミン/アンモニア/エピクロルヒドリン樹脂水溶液(モル比;ジメチルアミン/アンモニア/エピクロルヒドリン=0.8/0.2/1.0、平均分子量14万、粘度約1380(mPa・s)、固形分濃度50質量%の水溶液)2.0質量部およびメタノール2.0質量部を混合した溶液を用いて行った。これによって得られた吸水剤を吸水剤(14)とした。
(実施例15)
実施例1で得られた吸水性樹脂粒子(1D)100質量部に、ユニセンスKHE102Lを2.0質量部添加した。添加3分後に、さらに硫酸アルミニウム27.5質量%水溶液(酸化アルミニウム換算で8質量%)1.17質量部、乳酸ナトリウム60質量%水溶液0.196質量部、プロピレングリコール0.029質量部からなる混合液を添加した。添加は吸水性樹脂粒子(1D)を攪拌しながら、溶液が粒子に均一に添加されるように行った。この混合物を、90℃で1時間、無風下で静置乾燥した。その後、得られた混合物を目開き710μmのJIS標準ふるいを通し、吸水剤(15)とした。
(実施例16)
実施例1で得られた吸水性樹脂粒子(1D)100質量部に、硫酸アルミニウム27.5質量%水溶液(酸化アルミニウム換算で8質量%)1.17質量部、乳酸ナトリウム60質量%水溶液0.196質量部、プロピレングリコール0.029質量部からなる混合液を添加した。添加3分後に、さらにユニセンスKHE102Lを2.0質量部添加した。添加は吸水性樹脂粒子(1D)を攪拌しながら、溶液が粒子に均一に添加されるように行った。この混合物を、90℃で1時間、無風下で静置乾燥した。その後、得られた混合物を目開き710μmのJIS標準ふるいを通し、吸水剤(16)とした。
(実施例17)
実施例1で得られた吸水性樹脂粒子(1D)100質量部に、硫酸アルミニウム27.5質量%水溶液(酸化アルミニウム換算で8質量%)1.17質量部、乳酸ナトリウム60質量%水溶液0.196質量部、プロピレングリコール0.029質量部、ユニセンスKHE102L2.0質量部からなる混合溶液を添加した。添加は吸水性樹脂粒子(1D)を攪拌しながら、溶液が粒子に均一に添加されるように行った。この混合物を、90℃で1時間、無風下で静置乾燥した。その後、得られた混合物を目開き710μmのJIS標準ふるいを通し、吸水剤(17)とした。
(比較例1)
実施例1で得られた吸水性樹脂粒子(1D)を比較吸水剤(1)とした。
(比較例2)
実施例1と同様の操作を、2.0質量部のユニセンスKHE102Lおよび2.0質量部のメタノールを混合した溶液のかわりに、硫酸アルミニウム27.5質量%水溶液(酸化アルミニウム換算で8質量%)1.17質量部、乳酸ナトリウム60質量%水溶液0.196質量部、プロピレングリコール0.029質量部からなる混合液を用いて行った。これによって得られた吸水剤を比較吸水剤(2)とした。
(比較例3)
実施例1と同様の操作を、ユニセンスKHE102L2.0質量部およびメタノール2.0質量部を混合した溶液のかわりに、ポリエチレンイミン水溶液(数平均分子量7万、日本触媒株式会社製、品番エポミンP−1050、50質量%水溶液)2.0質量部を用いて行った。これによって得られた吸水剤を比較吸水剤(3)とした。
(比較例4)
実施例1と同様の操作を、ユニセンスKHE102L2.0質量部およびメタノール2.0質量部を混合した溶液のかわりに、ポリビニルアミン水溶液(BASF社製、品番Luredur PR8097、10.5質量%水溶液)3.0質量部を用いて行った。これによって得られた吸水剤を比較吸水剤(4)とした。
(比較例5)
実施例1と同様の操作を、ユニセンスKHE102L2.0質量部およびメタノール2.0質量部を混合した溶液のかわりに、ポリアリルアミン水溶液(Polyallylamine−H、日東紡製,20%水溶液,分子量6〜10万))5.0質量部を用いて行った。これによって得られた吸水剤を比較吸水剤(5)とした。
(比較例6)
特公平7−10893に記載された参考例1と同様に、エピクロロヒドリン6.0g、25%アンモニア水1.47gおよびメタノール60gを攪拌混合し、50℃で15時間静置反応させて架橋液(A)を得た。
特公平7−10893に記載された実施例3と同様に、80%アクリル酸75重量部、48.6%水酸化ナトリウム48.0重量部およびイオン交換水48.6重量部を混合して中和度70%のアクリル酸塩水溶液を調製した。このアクリル酸塩水溶液1028gに、上記で得た架橋液(A)4.00gを加え、窒素で置換した後、2%ペルオキソ二硫酸塩水溶液36g、2%ピロ亜硫酸塩水溶液21.6gおよび40%グリオキサール水溶液の水希釈液(50倍希釈)14.4gを添加して混合液を得た。次いで、この混合液を、縦48cm、横37cmのバット(内面テフロン(登録商標)コーティング)に注入し、42℃の熱風循環乾燥器内で20分間重合して、縦48cm、横37cm、厚さ0.5〜0.6cmの含水ゲルを得た。得られた含水ゲルを表面温度130℃のドラム乾燥機で乾燥してフレーク状の樹脂とし、この樹脂をピンミルで粉砕した後、分級し、16〜200メッシュの吸水性樹脂粉末を得た。これを比較吸水剤(6)とした。
吸水剤(1)〜(17)、比較吸水剤(1)〜(6)の諸物性を測定した結果を表3に示した。また、吸水剤(1)、(5)、比較吸水剤(1)〜(5)の着色評価(ハンターLab表色系/L値、a値、b値、YI値)結果を表4に示した。
表3より、吸水剤(1)〜(17)が比較吸水剤(1)〜(6)に比べて、ほぼ同等のCRCにおいて優れたSFC値を示すことが明らかである。このことから、本発明にかかる吸水剤を紙おむつなどの衛生材料の吸水体に使用した場合、優れた液の取り込み性を有する吸水体が得られることがわかる。
比較例3〜5に代表されるような、従来使用されてきたカチオン性高分子添加剤を用いると比較しても、本発明に用いられる吸水剤は優れたSFC値、AAP値、FHA値を示した。このことから、本発明では、従来のカチオン性高分子添加剤を用いた吸水剤を、紙おむつなどの衛生材料の吸水体に使用した場合と比較して、優れた液の取り込み性、優れた表面のさらさら感(ドライネス)を有する吸水体が得られることがわかる。
添加剤を使用しない比較例(1)や、ポリマー(B)を用いず多価金属塩添加剤(硫酸アルミニウム)のみを使用した比較例(2)と比較して、吸水剤(1)〜(17)は優れた吸収速度(FSR、Vortex吸水時間)を示した。このことから、本発明の吸水剤を紙おむつなどの衛生材料の吸水体に使用した場合、優れた液の取り込み速度を有する吸水体が得られることがわかる。
表4より、吸水剤(1)、(5)は70±1℃、相対湿度65±1%の雰囲気下に7日間曝露後のYI値が約19であり、添加剤を使用しない比較例(1)と同等の経時着色性を示すことがわかる。
比較例3〜5に代表されるような、従来使用されてきたカチオン性高分子添加剤を使用した比較吸水剤(3)〜(5)、および比較例2のポリマー(B)を用いず多価金属塩添加剤(硫酸アルミニウム)のみを使用した比較吸水剤(2)は7日間曝露後のYI値が35以上と非常に高い値を示した。このことより、本発明に用いられる添加剤は経時着色耐性を損なうことなくSFC値等の性能を向上させることができることがわかる。
このことから、本発明にかかる吸水剤を紙おむつなどの衛生材料の吸水体に使用した場合、高温高湿度の状態に置かれても着色しにくい吸水体が得られることがわかる。
(実施例18)
実施例1と同様の操作を、以下の点(i)〜(iii)を変更して行った。
(i)ポリエチレングリコールジアクリレートの量を10.13gから5.06gに変更
(ii)1,4−ブタンジオールの量を0.873gから0gへ変更
(iii)目開き710μmのJIS標準篩を目開き850μmのJIS標準篩に変更
これにより不定形破砕状の吸水性樹脂(a)のかわりに、不定形破砕状の吸水性樹脂(B)を得た。また、吸水性樹脂粒子(1D)のかわりに、吸水性樹脂粒子(18D)を得た。さらに、吸水剤(1)のかわりに吸水剤(18)を得た。
(実施例19)
実施例1と同様の操作を、以下の点(i)〜(ii)を変更して行った。
(i)ポリエチレングリコールジアクリレートの量を10.13gから13.94gに変更
(ii)目開き710μmのJIS標準篩を目開き600μmのJIS標準篩に変更
これにより不定形破砕状の吸水性樹脂(a)のかわりに、不定形破砕状の吸水性樹脂(C)を得た。また、吸水性樹脂粒子(1D)のかわりに、吸水性樹脂粒子(19D)を得た。さらに、吸水剤(1)のかわりに吸水剤(19)を得た。
吸水性樹脂(B)、(C)の諸物性を表5に、吸水性樹脂粒子(18D)、(19D)の諸物性を表6に、吸水剤(18)、(19)の諸物性を表7にまとめた。