<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の構成を示す図である。この表示装置は、特殊な眼鏡を用いなくても裸眼で立体画像を視認できる表示装置であり、裸眼立体ディスプレイと、観察者の頭などの位置(移動)を検出する検出部31と、検出部31の検出結果や映像信号等に基づいてこれらを統括的に制御する制御部32とを備えている。なお、以下の説明においては、図1に示す上下方向を前後方向と呼び、図1に示す左右方向を横方向と呼び、図1での奥行方向を縦方向と呼ぶ。
図1には、裸眼立体ディスプレイの断面構造が示されている。この図1に示すように、裸眼立体ディスプレイは、表示パネル11と、当該表示パネル11の前方(図1において上側)に配置された視差バリアシャッタパネル21とを備えている。
表示パネル11は、マトリクス型表示パネルであり、例えば、有機ELパネル、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイが適用される。図1では、液晶ディスプレイを適用した表示パネル11が例として示されており、液晶14と、液晶14を挟み、駆動するサブ画素透明電極12及び対向透明電極15と、サブ画素透明電極12及び対向透明電極15の透明基板にそれぞれ設けられた中間偏光板17及び裏面偏光板16と、裏面偏光板16の後方(図1において下側)に配置されたバックライト3とを備えている。
表示パネル11には、右眼に対する視差画像を表示するサブ画素411a(411)、及び、当該視差画像と少しだけ異なる左眼に対する視差画像を表示するサブ画素411b(411)が、それぞれ遮光壁18で挟まれた状態で、横方向に交互に配置されている。サブ画素411a及びサブ画素411bの横幅は、互いに同一またはほぼ同一である。ここでは、隣り合うサブ画素411a及びサブ画素411bは、左右に異なる視差画像を表示するサブ画素ペア41を構成しており、このように構成されたサブ画素ペア41は表示パネル11において横方向に所定の均一なピッチで配列されている。
なお、本実施の形態では、サブ画素ペア41の横幅に対応して横方向に基準ピッチである基準視差バリアピッチPが規定されている。ここでは、本実施の形態では、サブ画素ペア41を構成するサブ画素411a,411bの中間にある遮光壁18の中央から出て、対応する基準視差バリアピッチP内の中央点を通過した仮想の光線LOが、裸眼立体ディスプレイから正面前方に設計観察距離Dだけ離れた設計視認点DOに集まるように、基準視差バリアピッチPは設定されている。
視差バリアシャッタパネル21は、液晶層24と、液晶層24を挟む第1透明基板22及び第2透明基板26と、第1透明基板22の液晶層24と反対側の面に設けられた表示面偏光板27と、第2透明基板26の表示パネル11側の面に設けられた偏光板とを備えている。ここでは、当該偏光板として、表示パネル11の中間偏光板17が兼用されている。
液晶のモードは、ツイストネマティック(TN)、スーパーツイストネマティック(STN)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイティッドベンド(OCB)などが利用可能である。なお、このうちのいくつかを利用する例については、後の実施の形態で説明する。
第1透明基板22の液晶層24側の表面には、縦方向(図1の奥行方向)に延在する複数の第1透明電極23が設けられ、第2透明基板26の液晶層24側の表面には、横方向(図1の左右方向)に延在する複数の第2透明電極25が設けられている。これら複数の第1透明電極23及び複数の第2透明電極25は、液晶層24に電界を印加することにより、液晶層24の液晶を駆動する。
各第1透明電極23は、当該基準視差バリアピッチP内で1つの透明電極を偶数個(ここでは8つ)に分割されてなる各電極に相当している。つまり、本実施の形態では、複数の第1透明電極23は、各サブ画素ペア41の横方向の基準視差バリアピッチP内に偶数個(ここでは8つ)配列されている。なお、複数の第1透明電極23同士は、特に言及しない限り、互いに電気的に絶縁されているものとする。
一方、複数の第2透明電極25は、サブ画素ペア41の縦方向ピッチで縦方向(図1の奥行方向)に配列されている。
さて、上述した複数の第1及び第2透明電極23,25には、電圧が選択的に印加される。したがって、視差バリアシャッタパネル21においては、第1及び第2透明電極23,25の幅単位で、光透過状態及び遮光状態を切り替え可能となっている。そこで、以下の説明においては、電気的な制御により、第1透明電極23の横幅単位で光透過状態及び遮光状態を切り替え可能な、視差バリアシャッタパネル21における光学的な開口を、サブ開口210と呼ぶ。
本実施の形態では、上述したように、複数の第1透明電極23が、視差バリアシャッタパネル21において横方向に配列されていることから、複数のサブ開口210は、視差バリアシャッタパネル21において横方向に配列されるものとなっている。また、上述したように、偶数個(ここでは8つ)の第1透明電極23が、基準視差バリアピッチP内に配列されていることから、それと同数の偶数個(ここでは8つ)のサブ開口210が、基準視差バリアピッチP内に属するものとなっている。
図2〜10は、視差バリアシャッタパネル21を示す図である。ここでは、上述と同様に、8つの第1透明電極23が各サブ画素ペア41に対応しているものとし、図2に示すように、(1)〜(8)が付された8つのサブ開口210が、基準視差バリアピッチPに属している。この偶数個(8つ)のサブ開口210のうち、図3〜図10に示すように、偶数個の半分の数(4つ)の互いに隣り合うサブ開口210を光透過状態にするとともに、残りの半分の数(4つ)のサブ開口210を遮光状態にすることによって、上述の任意の数の光透過状態にあるサブ開口210により、総合開口300が視差バリアシャッタパネル21に形成されている。
例えば、図3に示すパターン1では、(1)〜(4)が付された連続した4つのサブ開口210を光透過状態にし、(5)〜(8)の残りのサブ開口210を遮光状態にすることによって、光透過状態の4つのサブ開口210により総合開口300を形成している。
ここで、このパターン1において、(1)が付されたサブ開口210を遮光状態にし、(5)が付されたサブ開口210を光透過状態にすると、パターン2と同じ状態となる。このようにパターン1からパターン2にパターンが遷移した場合には、視差バリアシャッタパネル21において、総合開口300が、サブ開口210のピッチ(以下「サブ開口ピッチΔSW」と呼ぶこともある)で右側に移動する。つまり、総合開口300の一端のサブ開口210を遮光状態にし、総合開口300の他端と隣り合うサブ開口210を光透過状態にすると、総合開口300をサブ開口ピッチΔSWで、当該一端から当該他端に向かう方向に移動させることができる。
なお、後述するように、第1透明電極23同士は多少離れていることから、その間に液晶層24に電界を印加することができない境界部が存在し、厳密には、サブ開口ピッチΔSW=サブ開口の横幅+境界部の横幅となっている。
次に、以上のような本実施の形態に係る表示装置の動作について簡単に説明する。上述したように、図1に示す検出部31は、観察者の位置(動き)を検出する。制御部32は、検出部31の検出結果に基づいて、表示パネル11及び視差バリアシャッタパネル21を統括的に制御する。具体的には、制御部32は、検出部31の検出結果に基づいて、複数のサブ開口210の中で光透過状態とするものを変更することにより、視差バリアバリアシャッタパネルの横方向における総合開口300の位置を制御する。つまり、本実施の形態に係る表示装置によれば、観察者の位置が左右に移動した場合には、当該観察者の位置に応じて総合開口300を横方向に移動させることができる。その結果、観察者は、移動していても立体画像を見ることができる。
ここで、配光角度分布(配光輝度分布)のばらつきが大きい場合や、総合開口300の移動が適切でない場合には、移動している観察者は、その立体画像の輝度のばらつき(ちらつき)を感じることになる。このような輝度のばらつきを抑制するためには、以下の条件(C1)〜条件(C3)を満たすことが必要である。具体的には、条件(C1)としてサブ開口210の光透過状態及び遮光状態の切り替えがない観察領域において観察者の左右の眼に対する視差画像の輝度が平坦(一定)であること、条件(C2)として一方の眼に対する視差画像が観察される領域において、他方の眼に対する視差画像が観察されない範囲があること、条件(C3)として総合開口300の移動に伴うサブ開口210の光透過状態及び遮光状態の切り替えが行われても、観察者の移動経路上において輝度が平坦(一定)であること、が必要である。そこで、以上の3つの条件を満たす構成について、以下説明する。
<条件(C1)>
まず、条件(C1)を満たす構成について説明する。ここでは、図11を用いて、右画像表示用のサブ画素411aを出て、視差バリアシャッタパネル21の総合開口300を通過(透過)した光の配光角度分布を考える。なお、SWは総合開口300の開口横幅(以下「総合開口幅」)を示し、GWはサブ画素411の発光域横幅(以下「サブ画素幅」)を示し、BWは遮光壁18の横幅(以下「遮光壁幅」)を示す。
また、この図11では、便宜上、設計観察距離Dを、視差バリアシャッタパネル21とサブ画素411との距離L(画素−バリア間距離L)に比べて同程度に示しているが、実際には、設計観察距離Dは画素−バリア間距離Lに比べて100〜1000倍程度大きい。また、説明を簡単化するため、サブ画素411からの放射光は位置及び放射角度によらず均一であるものとし、視差バリアシャッタパネル21の表面における屈折はないと仮定する。このように仮定すると、サブ画素411の輝度に対して、図中の光線の見た目の角度の大きさは意味が無く、当該光線のサブ画素411及び総合開口300の相対的な位置関係に意味があるものとなる。
以上を前提にして、右画像表示用のサブ画素411aから放射された光の、裸眼立体ディスプレイから設計観察距離Dだけ離れた仮想スクリーン100上での輝度分布(照度分布)について説明する。
図11に示すサブ画素411aの右端の一点から放射された光線L1,L2は、総合開口300を通過し、仮想スクリーン100上の位置P1と位置P2との間の斜線ハッチングで示される領域を照射する。同様に、サブ画素411aの左端の一点から放射された光線L3,L4は、総合開口300を通過し、仮想スクリーン100上の位置P3と位置P4との間の領域を照射する。なお、ここで照射される領域は、便宜上、図11の上側に少しずらして斜線ハッチングで示している。同様に、サブ画素411aでの右端及び左端以外の任意の一点から放射された光線も、総合開口300を通過して同程度の領域を照射する。なお、ここで照射される領域は、斜線ハッチングで示された二つの領域の間に連続的に示されている。
仮想スクリーン100でのサブ画素411aの輝度分布は、以上のような斜線ハッチングで示される領域の重なりを、横方向の位置ごとに累積していくことにより得られる。したがって、サブ画素411aからの光からは、図11に示す輝度分布LPが仮想スクリーン100上に形成される。なお、この図11においては、輝度分布LPの線が図の上側に位置するほど、その位置での輝度が高いことを意味している。なお、以下の図のいくつかにおいても、輝度分布を同様に示している。
さて、輝度分布LPにおいては、位置P2と位置P3との間は平坦となっているが、位置P1と位置P2との間、及び、位置P3と位置P4との間は勾配が生じている。
ここで、上述の条件(C1)を満たす、つまり配光角度分布によらず、なるべく輝度が平坦(一定)となるためには、輝度分布LPの平坦部分が広くなるように、位置P2と位置P3との距離を長くすることが必要である。つまり、光線L2の放射角度θ1と光線L3の放射角度θ2とが平行でなく、それらの間の差がなるべく大きくなることが必要である。すなわち、サブ画素幅GWと、総合開口幅SWとの差がなるべく大きいことが必要である。このようにすれば、輝度が一定となる角度範囲が広がる。
図12は、表示パネル11のサブ画素411を出て、視差バリアシャッタパネル21の総合開口300を通過した光の配光角度分布の計算結果を示す図である。ここで、表示パネル11のサブ画素ピッチGWは0.050mm、視差バリアシャッタパネル21の基準視差バリアピッチPは0.100mm、画素−バリア間距離Lは1.000mm、総合開口幅SWは0.05mmと設定した。また、表示パネル11及び視差バリアシャッタパネル21の屈折率は1.5と設定した。以上の条件において、遮光壁幅BMを、基準視差バリアピッチPの20%、15%、10%として変化させたときの配光角度分布が、図12に示されている。
図13は、条件をより様々に変えながら、輝度平坦領域角度幅など様々な特性を調べた結果を示す図である。この図13に示すように、条件1,2,3において、幅の差|GW−SW|をそれぞれ0.020mm,0.015mm,0.010mmとした場合には、輝度平坦領域角度幅は、2度,1.5度,1度となっている。つまり、幅の差が大きいほど輝度分布の平坦部が広くなるという上述の説明と一致する結果が得られた。したがって、条件(C1)を満たす、つまり輝度平坦領域角度幅を大きくするためには、サブ画素幅GWと総合開口幅SWとの差を大きくすることが必要である。
<条件(C2)>
次に、上述の条件(C2)を満たす構成、つまり一方の眼に対する視差画像が観察される領域において、他方の眼に対する視差画像が観察されない範囲があることを満たす構成について説明する。ここでは図14を用いて、左画像表示用のサブ画素411bを出て、総合遮光部400によって、遮光されなかった余分な光の配光角度分布を考える。なお、総合遮光部400は、遮光状態のサブ開口210により視差バリアシャッタパネル21に形成される遮光部であり、SBWは、当該総合遮光部400の横幅(以下「総合遮光部幅」)を示す。
なお、この図14においても、図11と同様に、便宜上、設計観察距離Dを、画素−バリア間距離Lに比べて同程度に示しているが、実際には、設計観察距離Dは画素−バリア間距離Lに比べて100〜1000倍程度大きい。また、説明を簡単化するため、サブ画素411aからの放射光は位置及び放射角度によらず均一であるものとし、視差バリアシャッタパネル21の表面における屈折はないと仮定する。このように仮定すると、図11と同様に、サブ画素411aの輝度に対して、図中の光の経路を示す線の見た目の角度の大きさは意味が無く、当該線のサブ画素411a,総合開口300及び総合遮光部400の相対的な位置関係に意味があるものとなる。
以上を前提にして、左画像表示用のサブ画素411bから放射された余分な光の、仮想スクリーン100での輝度分布について説明する。
図14に示すサブ画素411bの右端の一点から放射された破線で示される光線LB1,LB2は、総合遮光部400により遮光されることから、仮想スクリーン100上の位置P15と位置P16との間には光が到達しない。同様に、サブ画素411bの左端の一点から放射された破線で示される光線LB3,LB4は、総合遮光部400により遮光されることから、仮想スクリーン100上の位置P17と位置P18との間には光が到達しない。したがって、サブ画素411bからの余分な光からは、図14に示す輝度分布LBPが仮想スクリーン100上に形成される。
ここで、上述の条件(C2)を満たすための必要条件として、視差画像が観察されない完全遮光角度範囲が存在するための条件を考える。この条件を満たすためには、位置P17が位置P16よりも左側に存在することが必要である。そして、この条件が、任意の設計観察距離Dに対して満たされるためには、光線LB2の放射角度θ3が、光線LB3の放射角度θ4以上となることが必要である。つまり、総合遮光部幅SBWが、サブ画素幅GW以上となることが必要である。なお、完全遮光角度範囲は、幅の差|SBW−GW|が大きくなるにつれて広くなる。
次に、上述の条件(C2)を満たすための必要条件として、右画像表示用のサブ画素411aからの光を完全遮光角度範囲に内在させるための条件を考える。この条件を満たすためには、総合遮光部幅SBWが、総合開口幅SW以上であることが必要である。ここで、総合遮光部幅SBWが総合開口幅SWと等しい(SBW=SW)場合に、位置ズレをなくすためには、サブ画素411aの中央ズレが総合開口300の中央と総合遮光部400の中央のズレと等しくなる、つまり基準視差バリアピッチPの半分であることが必要である。これは、サブ画素411a及びサブ画素411bの左右の遮光壁幅BWが互いに等しいことが必要であることを意味している。
例えば、総合遮光部幅SBWと、総合開口幅SWとが、それぞれ基準視差バリアピッチPの半分であって互いに等しく、表示パネル11の遮光壁幅BWが均一である場合には、サブ画素411a,411bの一方の完全遮光角度範囲と、他方の輝度平坦領域は重なる。
先ほど説明した図13には、条件を様々に変えながら、輝度平坦領域及び完全遮光域の角度幅を調べた結果が示されている。ここで、条件1〜6のいずれにおいても、視差バリアシャッタパネル21の基準視差バリアピッチPを0.100mmとしている。
条件1〜3では、視差バリアシャッタパネル21の総合開口幅SWを、サブ画素幅GWよりも大きくしている。ここでは、総合開口幅SWを基準視差バリアピッチPの半分である0.05mmで一定とし、条件1,2,3において、サブ画素幅GWをそれぞれ0.030mm,0.035mm,0.040mmとしている。この場合には、条件1,2,3になるにつれて幅の差|SW−GW|が順に小さくなることから、上述したように、輝度平坦領域角度幅も順に狭くなっている。
なお、この図13には、相対ピーク輝度も示されている。一般に、相対ピーク輝度に対応する平均輝度は、基準視差バリアピッチPに対するサブ画素幅GWの割合(GW/P)か、基準視差バリアピッチPに対する総合開口幅SWの割合(SW/P)のうち小さい方を、表示パネル11のサブ画素411の輝度に乗じた値となる。そこで図13には、これら割合も示している。なお、条件1〜3においては、SW/PよりもGW/Pの方が小さいことから、SW/Pではなく、GW/Pが、相対ピーク輝度と対応するものとなっている。
また、条件1〜3において、総合遮光部幅SBW(=P−SW)は、0.050mmとなる。そして、条件(C2)で説明したように、完全遮光角度範囲(完全遮光角度幅)は、幅の差|SBW−GW|に対応するものとなっている。
次に、条件4〜6について説明する。条件4〜6では、条件1〜3とは逆に、サブ画素幅GWを、視差バリアシャッタパネル21の総合開口幅SWよりも大きくしている。ここでは、幅の差|SW−GW|を一律に0.02mmとし、条件4,5,6、において、サブ画素幅GWをそれぞれ0.040mm,0.045mm,0.050mmとし、総合開口幅SWをそれぞれ0.020mm,0.025mm,0.030mmとしている。この場合には、条件4〜6において、幅の差|SW−GW|が一定であることから、輝度平坦領域角度幅も一定となる。
また、条件4〜6の相対ピーク輝度については、GW/PよりもSW/Pの方が小さいことから、割合GW/Pではなく、割合SW/Pが、相対ピーク輝度と対応するものとなっている。また、条件4,5,6において、総合遮光部幅SBW(=P−SW)は、それぞれ0.080mm,0.075mm,0.070mmとなる。そして、条件(C2)で説明したように、完全遮光角度範囲(完全遮光角度幅)は、幅の差|SBW−GW|に対応するものとなっている。ここで、条件4,5,6のそれぞれの完全遮光角度幅である4度,3度,2度は、条件1〜3の完全遮光角度幅の最大値2度以上となっている。
なお、条件1と条件6とを比較すると、一方の条件は、他方の条件においてサブ画素幅GWの値と、総合開口幅SWの値とを入れ替えたものとなっているが、両者の輝度平坦領域角度幅、相対ピーク輝度、完全遮光角度幅は互いに同じであることが分かる。また、ここでは示さないが、例えば、条件2において、サブ画素幅GWの値と、総合開口幅SWの値とを入れ替えた条件においても、条件2と同じ輝度平坦領域角度幅、相対ピーク輝度、完全遮光角度幅が得られる。
以上のことをまとめると、輝度を良くする観点から、GW/P及びSW/Pのうち大きい一方を40〜50%に設定することが好ましい。そして、他方(小さい方)は、大きくなりすぎると、|GW−SW|が小さくなって輝度平坦領域角度が悪化し、逆に小さくなりすぎると、相対ピーク輝度が悪化してしまうことから、これらを勘案して適切に設定することが好ましい。
なお、実際の液晶ディスプレイでは遮光壁18が存在するため、サブ画素幅GWは、基準視差バリアピッチPの半分より小さくなる。したがって、液晶ディスプレイにおいては、視差バリアシャッタパネル21における総合開口幅SWをサブ画素幅GWよりも大きくするほうが、総合開口幅SWとサブ画素幅GWとを大きくすることができる。
<条件(C3)>
次に、上述の条件(C3)を満たす構成、つまり総合開口300の移動に伴うサブ開口210の光透過状態及び遮光状態の切り替えが行われても、観察者の移動経路上において輝度が平坦(一定)であることを満たす構成について説明する。ここでは図15を用いて、総合開口300の移動に伴う、右画像表示用のサブ画素411aを出た光の配光角度分布の変化を考える。
なお、この図15においても、図11及び図14と同じ前提が適用されているものとする。また、ここでは、条件(C1)の結果を踏まえて、仮想スクリーン100上において輝度が一定となる領域は広くなる、つまり配光角度分布における平坦部が広くなるように、総合開口幅SWをサブ画素幅GWよりも大きくしている。
以上を前提にして、右画像表示用のサブ画素411aから放射された光の、仮想スクリーン100での輝度分布について説明する。
図15では、3つのサブ開口210a,210b,210cにより総合開口300が形成されている。サブ画素411aから放射された光線は、サブ開口210aを通過し、仮想スクリーン100上に、輝度分布LP1を形成する。同様に、サブ画素411aから放射された光線は、サブ開口210b,210cを通過し、仮想スクリーン100上に、輝度分布LP2,LP3を形成する。そして、これら輝度分布LP1,LP2、LP3を合計して得られる総合輝度分布TLP1が、仮想スクリーン100上に形成される実際の輝度分布となる。
この総合輝度分布TLP1の平坦部の左端に対応する仮想スクリーン100上の位置P22を決めているのは、画素411aの左端の一点から放射され、1つのサブ開口210aの左端を通過している光線L5である。また、当該平坦部の右端に対応する仮想スクリーン100上での位置P23を決めているのは、画素411aの右端の一点から放射され、サブ開口210aの右端を通過している光線L6である。
次に、サブ開口210aを遮光状態にし、サブ開口210dを光透過状態にすることにより、3つのサブ開口210b、210c、210dにより総合開口300を形成した状態を考える。つまり、上述の状態から総合開口300をサブ開口ピッチΔSWで右側に移動させた状態を考える。このときには、輝度分布LP1は形成されずに、サブ画素411aからの光線がサブ開口210を通過して輝度分布LP4が形成される。そして、これら輝度分布LP2,LP3,LP4を合計して得られる総合輝度分布TLP2が、総合開口300を通過した光が仮想スクリーン100上に形成する輝度分布となる。
この総合輝度分布TLP2の平坦部の左端に対応する仮想スクリーン100上での位置P32を決めているのは、画素411aの左端の一点から放射され、サブ開口210bの左端を通過している光線L7である。ここで、仮に位置P32が位置P23よりも右側に存在する場合には、総合輝度分布TLP1の平坦部と、総合輝度分布TLP2の平坦部との間に谷間が生じることになり、条件(C3)を満たすことができなくなる。
したがって、条件(C3)を満たすためには、位置P32が位置P23よりも左側に存在することが必要である。ここで、仮に、光線L5と光線L7との間の角θ5が、光線L5と光線L6との間の角θ6よりも大きい場合(図15に示す場合)に、設計観察距離Dが大きくなると、光線L7と光線L6とが交差し、位置P32が位置P23よりも右側に存在してしまうことになる。特に、図15においては、設計観察距離Dは、便宜上短くされていることから、通常、この現象が生じてしまうと考えられる。
そこで、条件(C3)が、任意の設計観察距離Dに対して満たされるためには、図15に示すような状態ではなく、光線L5と光線7との間の角θ5が、光線L5と光線L6との間の角θ6以下であることが必要である。そして、角θ5をサブ開口ピッチΔSWと近似した場合には、角θ6を総合開口幅SWとサブ画素幅GWとの差と近似することができることから、サブ開口ピッチΔSWが、総合開口幅SWとサブ画素幅GWとの差以下であることが必要である。
ここで、観察者が図15に示す矢印の方向(右方向)に移動した場合、検出部31が、観察者の位置(動き)を検出する。そして、制御部32が、その検出結果に基づいて、観察者の左眼が、位置P32とP23との間に位置するときに、視差バリアシャッタパネル21のサブ開口210aを遮光状態にしてサブ開口210dを光透過状態にするように制御する。本実施の形態に係る表示装置は、以上のように構成されていることから、観察者は移動していても、輝度の変化を感じないで立体画像を視認し続けることができる。
次に、以上に説明した内容を図16〜図19を用いて詳細に説明する。なお、図16〜図19は、サブ開口210の切り替え動作に伴う配光角度分布の変化についての計算結果を示す。ここで、図16〜図18に係る計算を行う際の条件は、図13に係る条件1とほぼ同じとしている。ここでは、視差バリアシャッタパネル21の基準視差バリアピッチPを0.100mm、総合開口幅SWを基準視差バリアピッチPの半分である0.05mm、サブ画素幅GWを0.030mm、幅の差|GW−SW|を0.020mmとしている。
図16、図17、図18では、この条件1において、サブ開口ピッチΔSWを基準視差バリアピッチPの1/N(N:偶数)とした条件の計算結果を示しており、具体的には、それぞれ1/4(N=4)、1/6(N=6)、1/8(N=8)としている。なお、総合開口幅SWは、基準視差バリアピッチPの半分の0.05mmであるので、総合開口300はN/2個のサブ開口210で構成されていることになる。
ここで、図16に係るN=4である条件(以下「条件1−1」と呼ぶ)においては、サブ開口ピッチΔSWが0.025mm(=P/N)であり、幅の差|GW−SW|=0.020mmよりも大きいことから、条件(C3)が満たす構成とはなっていない。一方、図17に係るN=6である条件(以下「条件1−2」と呼ぶ)においては、サブ開口ピッチΔSWが約0.017mm(=P/N)であり、幅の差|GW−SW|=0.020mmよりも小さいことから、条件(C3)を満たす構成となっている。また、図18に係るN=8である条件(以下「条件1−3」と呼ぶ)においては、サブ開口ピッチΔSWが約0.0125mm(=P/N)であり、幅の差|GW−SW|=0.020mmよりも小さいことから、条件(C3)を満たす構成となっている。
さて、図16〜図18には、個々のサブ開口210を通過した光による輝度分布が実線で示されており、それらを重ねて得られる、平坦部を有する総合輝度分布が破線で示されている。また、同図16〜18には、総合開口300をサブ開口ピッチΔSWで右側に移動させた場合の、総合開口300を通過した光による総合輝度分布などが、二点鎖線で示されている。
また、各図中では、仮定の観察者の眼の位置の切り替えポイントが一点鎖線で示されている。検出部31が、観察者の眼が右方向に移動し切り替えポイントを超えたことを検出すると、制御部32の制御により、総合輝度分布が形状を変えずに右側に移動するものとする。以上を前提にして、条件1−1〜条件1−3の計算結果について、以下説明する。
条件1−1は、条件(C3)を満たす構成ではないことから、図16に示すように、切り替り前後の総合輝度分布の平坦部同士の間に勾配が生じている。したがって、観察者の眼が切り替えポイントを超えた時からサブ開口210の切り替えが完了するまでに時間差がない場合であっても、輝度の変化を観察者に感じさせるものとなっている。また、当該時間差が長い場合には、さらに大きな輝度の変化ΔL1を観察者に感じさせるものとなっている。
これに対し、条件1−2は、条件(C3)を満たす構成であることから、図17に示すように、切り替えポイント近傍の総合輝度分布の平坦部同士は重なっており、勾配は存在していない。したがって、観察者の眼が切り替えポイントを超えた時からサブ開口210の切り替えが完了するまでに時間差がない場合には、輝度の変化を観察者に感じさせないものとなっている。また、当該時間差が多少長くても、比較的小さな輝度の変化ΔL2しか観察者に感じさせないものとなっている。
同様に、条件1−3は、条件(C3)を満たす構成であることから、条件1−3と同様に、総合開口300を移動させるサブ開口210の切り替えに時間差がない場合には、輝度の変化を観察者に感じさせないものとなっている。また、当該時間差が多少長くても、比較的小さな輝度の変化ΔL3しか観察者に感じさせないものとなっている。なお、この条件1−3の輝度の変化ΔL3は、条件1−2の輝度の変化ΔL2よりも小さくなっている。したがって、輝度の変化をなるべく抑制することができるように、サブ開口ピッチΔSWは、なるべく小さい方が好ましい。
図19は、以上の算出結果のまとめを示す図である。この図では、切り替り前後の総合輝度分布の平坦部同士が離れていることを「×」で示し、当該平坦部同士が狭い範囲で重なっていることを「○」で示し、当該平坦部同士が広い範囲で重なっていることを二重丸で示している。
また、図19には、図13に係る条件3において、サブ開口ピッチΔSWを、それぞれ基準視差バリアピッチPの1/6(N=6)、1/8(N=8)、1/10(N=10)とした計算結果も示している。条件3−1(N=6)においては、サブ開口ピッチΔSWが約0.017mm(=P/N)であり、幅の差|GW−SW|=0.010mmよりも大きいことから、平坦部同士の重なりは無い。また、条件3−2(N=8)においては、サブ開口ピッチΔSWが0.0125mm(=P/N)であり、幅の差|GW−SW|=0.010mmよりも大きいことから、平坦部同士の重なりは無い。一方、図17に係る条件3−3(N=10)においては、サブ開口ピッチΔSWが0.010mm(=P/N)であり、幅の差|GW−SW|=0.010mmと同じであることから、平坦部同士が重なっている。
以上のことから、条件(C3)を満たすためには、サブ開口ピッチΔSWを小さくする必要があることが分かる。ただし、現在の生産技術において、第1透明電極23の分断幅を1μm程度以下にすると、製造プロセスの設備コストの上昇や絶縁不良の発生頻度を高めてしまうことから、サブ開口ピッチΔSWは4μm以上であることが望ましい。
さらに、ここで、表示装置の現実的な使用状況を想定すると、観察者の観察位置に応じて、立体視域を制御する必要性が高い裸眼立体ディスプレイとしては、一人の観察者が、固定のディスプレイを見る場合であり、かつ、対角10〜20インチ程度の中型ディスプレイでのサブ画素幅GWは0.040〜0.100mmである場合と考えられる。この場合、基準視差バリアピッチPは0.080mm〜0.200mmとなる。
そうすると、以上のようにサブ開口ピッチΔSWを4μmとし、基準視差バリアピッチPを0.080〜0.200mmとする場合には、サブ開口ピッチΔSWは、基準視差バリアピッチPの2%〜5%となる。したがって、所望のサブ開口ピッチΔSWを得るための現実的な分割数Nとしては、20〜50であるということになる。
ただし、分割数Nが増えるにつれて、視差バリアシャッタパネル21における第1透明電極23同士の間の境界部の幅の合計が増加する。この境界部は液晶層24に電界を印加できない部分であり、境界部を光透過可能にすると光漏れが生じて3Dクロストークが悪化し、逆に、境界部を光吸収体で遮光可能にすると光透過係数が低下してしまう。
図20に、分割数Nによる総合相対ピーク輝度(対画素発光部輝度)の関係を示す。ここでは、境界部が光吸収体からなるものとし、当該境界部(以下「境界遮光部」と呼ぶ)の増加するほど透過率は低下するものとする。
また、ここでは分断幅を1μmとし、境界遮光部はその2倍程度(ここでは2μm)としている。また、基準視差バリアピッチPは0.100mm、総合開口幅SWは0・050mm(50%)で一定とし、サブ画素幅GWと総合開口幅SWとの差がちょうどサブ開口ピッチΔSWに等しくなる、つまりSW−GW=ΔSWとなるようにしている。
条件7−1〜条件7−7に示すように、分割数Nが大きくなるにつれてサブ開口ピッチΔSWは小さくなっていくが、ここではGW=SW−ΔSW、かつ、総合開口幅SWを一定としていることから、サブ画素幅GWが大きくなっていき、それに応じて相対ピーク輝度(図の上から4段目)も大きくなる。その結果、条件7−1〜条件7−4においては、分割数Nが大きくなるにつれて、総合相対ピーク輝度が大きくなる。しかし、分割数Nが大きくなるにつれて、境界遮光部の面積比率が大きくなり、分割数Nがある程度大きくなると、境界遮光部の面積比率の増加に起因する総合相対ピーク輝度の低下が、相対ピーク輝度の上昇に起因する総合相対ピーク輝度の上昇よりも顕著となる。その結果、条件7−4〜条件7−7に示されるように、分割数Nが大きくなるにつれて、総合相対ピーク輝度が小さくなる。
ここでの結果は、分割数N=10の場合に、総合相対ピーク輝度は最大値をとり、分割数N=6〜18の場合に、総合相対ピーク輝度が30%を超えている。なお、基準視差バリアピッチPが0.100mmよりも小さく、境界遮光部の幅が2μmより大きい場合には、総合相対ピーク輝度が最大となる分割数Nは小さくなり、逆に、基準視差バリアピッチPが0.100mmよりも大きく、境界遮光部の幅が2μmより小さい場合には、総合相対ピーク輝度が最大となる分割数Nは大きくなる。
<まとめ>
以上のような本実施の形態に係る表示装置では、視差バリアシャッタパネル21のサブ開口210のピッチが、表示パネル11のサブ画素411の横幅と、視差バリアシャッタパネル21の総合開口300の横幅との差以下となっている。したがって、切り替り前後の輝度分布の平坦部間の谷間の発生を抑制することができることから、移動中の観察者に感じさせる輝度の変化を無くし、ちらつきを抑制することができる。
また、上述したように、基準視差バリアピッチPに対するサブ画素幅GWの割合(GW/P)と、基準視差バリアピッチPに対する総合開口幅WSの割合(GW/P)とのいずれか大きいほうは、40〜50%に設定することが望ましい。また、サブ開口ピッチΔSWは、基準視差バリアピッチPの6〜18分割が適当であることから、サブ開口ピッチΔSWは、基準視差バリアピッチPの10%〜25%程度が適当である。つまり、割合(GW/P)及び割合(SW/P)のいずれか小さい一方は、大きい他方から10%〜25%差し引いた値に設定することが適当である。ただし、透過率の半減をなるべく避けることができるように、当該小さい一方は、当該大きい他方から10%〜20%差し引いた値に設定することが望ましい。
以上のように設定することにより、光利用効率を高めることができ、観察者の位置に応じて総合開口の端に位置するサブ開口210の遮光と光透過を切り替えて総合開口300をずらす際の輝度変化を無くし、観察者にちらつきを感じさせないようにすることができる。
なお、上述したように、図1に示す検出部31は、観察者の位置(動き)を検出する。制御部32は、検出部31の検出結果に基づいて、サブ開口210の中で光透過状態とするものを変更することにより、視差バリアシャッタパネル21の横方向における総合開口300の位置を制御する。つまり、本実施の形態に係る表示装置によれば、観察者の位置が左右方向に移動した場合には、当該観察者の位置に応じて総合開口300を横方向に移動させることができる。その結果、観察者は、移動していても立体画像を見ることができる。ただし、観察者が表示装置の正面から大きく傾いた位置に移動した場合など、検出部31が観察者の位置を検出できない場合がある。このような場合に、視差バリアシャッタパネル21の総てのサブ開口210を光透過状態にし、同時に、表示パネル11のサブ画素411a及びサブ画素411bに同じ画像データを表示するように構成れば、2次元画像を表示することもできる。したがって、このような構成によれば、検出部31の動作不良時も確実に画像を表示することができる。
この際、表示パネル11のサブ画素411a及びサブ画素411bの全体で一つの2次元画像データを表示するようにしてもよい。この場合には、検出部31の動作不良時も確実に通常の2次元画像を表示することができる。
<実施の形態2>
実施の形態1においては、視差バリアシャッタパネル21の縦方向に延在する第1透明電極23の数が、表示パネル11の縦方向に延在する配線数のN/2倍となっており、比較的多くなっている。このような構成では、視差バリアシャッタパネル21でのセグメント方式の駆動は困難であり、また電圧を外部から印加するためのフレキシブル基板回路との接合点数が増え、接合部ピッチが狭くなることから実装作業が多少困難になる。あるいは、駆動用のICの必要数が増え、部材コストが多少増加する。
そこで、本発明の実施の形態2に係る表示装置においては、これらの問題を解決することが可能となっている。なお、以下、本実施の形態に係る表示装置についての説明において、実施の形態1で説明した構成要素と類似するものについては同じ符号を付して説明を省略する。
図21は、向きを90度回転させたときの、本実施の形態に係る裸眼立体ディスプレイの視差バリアシャッタパネル21の構成を示す平面結線図である。本実施の形態では、視差バリアシャッタパネル21の表示エリアを左右方向に分割してなる複数の共通駆動エリア251が設けられている。そして、1つの共通駆動エリア251に、横方向(図21の左右方向)において互いに隣り合う第1のサブ画素ペア41a、及び、第2のサブ画素ペア41bが属している。なお、図21では、便宜上、1組の第1及び第2のサブ画素ペア41a,41bだけを示しているが、他の領域においても同様であるため、その図示は省略している。また、図21では、便宜上、当該の第1及び第2のサブ画素ペア41a,41bにおける総合開口300の図示は省略している。
第1透明電極23は、縦方向(図21の上下方向)に延在している。そして、複数の第1透明電極23は、各サブ画素ペア41に対応した基準視差バリアピッチP内で偶数であるN(N=8)分割されている。つまり、複数の第1透明電極23は、各サブ画素ペア41に対応させて横方向に偶数個(ここでは8つ)配列されている。ここで、総合開口300を形成する配線数はN/2(ここでは4つ)とする。
そして、本実施の形態では、第1のサブ画素ペア41aに対応する偶数個(8つ)の第1透明電極23は、第2のサブ画素ペア41bに対応する偶数個(8つ)の第1透明電極23と、それぞれ電気的に接続されている。例えば、第1のサブ画素ペア41aにおける番号(1)が付された第1透明電極23は、第2のサブ画素ペア41bにおける同番号(1)が付された第1透明電極23と、共通配線201及びコンタクトホール202を介して電気的につながれている。同様に、第1のサブ画素ペア41aにおける(2)〜(8)が付された第1透明電極23は、第2のサブ画素ペア41bにおける同番号(2)〜(8)が付された第1透明電極23と、共通配線201及びコンタクトホール202を介してそれぞれ電気的につながれている。そして、(1)〜(8)が付された第1透明電極23と接続された8つの共通配線201は、8つの端子La1〜La8とそれぞれ接続されている。なお、端子La1〜La8と接続された第1透明電極23に対応する共通駆動エリア251の隣の共通駆動エリア251においても、同様に、第1透明電極23が設けられており、これらは端子La9〜La16と接続されている。
このような表示装置によれば、端子La1〜La8に電圧を選択的に印加することにより、共通駆動エリア251内の同じ番号が付された第1透明電極23に、同一の電圧を一律に印加することができ、かつ、異なる番号が付された第1透明電極23に、異なる電圧を印加することができる。
次に複数の第2透明電極25について説明する。図21に示すように、複数の第2透明電極25は、横方向に延在している。また、各第2透明電極25は、横方向に配列された各1列のサブ画素ペア41の列に対応させて設けられている。また、複数の第2透明電極25は、表示パネル11のサブ画素ペア41の縦方向のピッチと等しいピッチで配設されている。より厳密には、サブ画素ペア41と視差バリアとの間の距離と、視差バリアと設計観察位置との距離との比の分だけ、小さくするのが望ましい。例えば、サブ画素ペア41と視差バリアとの間の距離を1.5mm、サブ画素ペア41と視差バリアとの間の媒体の屈折率を1.5、視差バリアと設計観察位置との距離を1000mmとすると、第2透明電極25は、表示パネル11のサブ画素ペア41の縦方向のピッチに0.999を掛けた値でピッチ配置されるのが望ましい。これは、設計観察距離から見た場合に、画面の中央から上下端部まで、視差バリアの総合開口300が対応するサブ画素ペア41を正確にカバーできるからである。
複数の第2透明電極25の縦方向の配列において、奇数行目に位置する第2透明電極25は、端子Lb1と接続された共通配線211と接続され、偶数行目に位置する第2透明電極25は、端子Lb2と接続された共通配線211と接続されている。
このような表示装置によれば、端子Lb1,Lb2に電圧を選択的に印加することにより、共通駆動エリア251内の第2透明電極25に、偶数行単位または奇数行単位で同一の電圧を一律に印加することができ、かつ、偶数行の第2透明電極25と奇数行の第2透明電極25に異なる電圧を印加することができる。
なお、端子La1〜La8ならびに端子Lb1,Lb2は、視差バリアシャッタパネル21の表示領域外の周辺部でフレキシブル基板回路や駆動用ICと接合され、それらを介して外部からの電圧を受けるように構成されている。このような表示装置によれば、サブ開口210を制御するための端子を、第1透明電極23及び第2透明電極25に対して1つずつ設けなくて済む。例えば、図21に示される1つの共通駆動エリア251について、各サブ開口210を駆動しようとする場合には、従来であれば、第1透明電極23に対して32個、第2透明電極25に対して2個、つまり合計34個の端子が必要である。しかし、本実施の形態によれば、第1透明電極23に対して8個(端子La1〜La8)、第2透明電極25に対して2個(端子Lb1,Lb2)、つまり合計10個の端子で済む。
以上のように、本実施の形態に係る表示装置では、第1のサブ画素ペア41aに対応する第1透明電極23は、第2のサブ画素ペア41bに対応する第1透明電極23と電気的に接続されていることから、第1透明電極23の端子の数を抑制することができる。したがって、第1透明電極23が設けられる基板のサイズを抑制することができ、実装作業を容易化することができる。また、駆動用のICの数を低減することができることから、部材コストを抑制することができる。
次に、以上の構成からなる本実施の形態に係る表示装置の動作について説明する。
図22は、本実施の形態に係る視差バリアシャッタパネル21の端子La1〜La8及び端子Lb1,Lb2に印加する電圧のパターンを示す図である。なお、図22に示す「○」は、サブ開口210が光透過状態であることを意味し、「×」は、サブ開口210が遮光状態であることを意味する。また、本実施の形態では、視差バリアシャッタパネル21の液晶層24の液晶モードとして、ノーマリーブラックのツイステッドネマティック(TN)モードを想定している。ここで、総合開口300を形成する配線数はN/2(ここでは4つ)である。
端子La1〜La8及び端子Lb1,Lb2のそれぞれに印加する電圧は、+電圧と0電圧との2値である。ここでは、端子Lam1(m1=1〜8)と、端子Lbm2(m2=1,2)とに印加される電圧の組み合わせが、0/+、または、+/0である場合に、当該端子Lam1及び当該端子Lbm2に対応するサブ開口210がTNモードにおいて光透過状態となるように、図1に示す表示面偏光板27、中間偏光板17及び液晶層24が適切に設けられている。また、端子Lam1と、端子Lbm2とに印加される電圧の組み合わせが、0/0、または、+/+である場合に、当該端子Lam1及び当該端子Lbm2に対応するサブ開口210がTNモードにおいて遮光状態となるように、図1に示す表示面偏光板27、中間偏光板17及び液晶層24が適切に設けられている。なお、第2透明電極25は、偶数行と奇数行とにおいて互いに異なる電圧が印加されるものとする。
次に、具体的な動作について、図22に示す電圧パターンNo1を例に説明する。この電圧パターンNo1では、第1透明電極23の端子La1〜La4に+電圧を、端子La5〜La8に0電圧をそれぞれ印加し、第2透明電極25の奇数行の端子Lb1に0電圧を、偶数行の端子Lb2に+電圧をそれぞれ印加する。
この場合、(1)〜(4)が付された第1透明電極23と、奇数行の第2透明電極25との組み合わせに対応する4つのサブ開口210は光透過状態となり、(5)〜(8)が付された第1透明電極23と、奇数行の第2透明電極25との組み合わせに対応する4つのサブ開口210は遮光状態となる。つまり、図3に示すパターン1と同等の総合開口300が形成される状態となる。
また、この際には、(1)〜(4)が付された第1透明電極23と、偶数行の第2透明電極25との組み合わせに対応する4つのサブ開口210は遮光状態となり、(5)〜(8)が付された第1透明電極23と、偶数行の第2透明電極25との組み合わせに対応する4つのサブ開口210は光透過状態となる。つまり、図7に示すパターン5と同等の総合開口300が形成される状態となる。
以上のように、本実施の形態に係る表示装置によれば、各第2透明電極25は、横方向に配列された各1列のサブ画素ペア41の列に対応させて設けられていることから、図22に示すようなサブ開口210の制御をすることが可能となる。したがって、ツイステッドネマティック(TN)モードを適用することができる。
なお、以上において、奇数行の第2透明電極25(偶数行のサブ画素ペア41)における総合開口300の位置(パターン1)と、偶数行の第2透明電極25(偶数行のサブ画素ペア41)における総合開口300の位置(パターン5)とは、視差バリアシャッタパネル21において基準視差バリアピッチPの半分(1つのサブ画素411分)だけずれたものとなっている。
図23は、本実施の形態に係る裸眼立体ディスプレイにおける、総合開口300の配置の状態を示す平面図である。図23においては、縦方向において隣り合うサブ画素ペア41同士を、1つのサブ画素411分だけ横方向にずらして配置している。例えば、本実施の形態において、表示パネル11の奇数行の第3〜第5のサブ画素ペア41c〜41eと、偶数行の第6〜第8のサブ画素ペア41f〜41hとは、1つのサブ画素411分だけ横方向にずらして配置している。
このような構成によれば、奇数行及び偶数行の間では、視差バリアシャッタパネル21におけるサブ画素ペア41の位置が、1つのサブ画素411分だけずれており、また、以上のように、複数の第1透明電極23を、各サブ画素ペア41に対応した横方向の基準視差バリアピッチP内で偶数であるN(N=8)分割し、総合開口300を形成する配線数はN/2(ここでは4つ)とし、複数の第2透明電極25は、横方向に配列された各1列のサブ画素ペア41の縦方向ピッチと等しいピッチで設け、奇数行及び偶数行の間では異なる電圧を印加することにより、図22を用いて説明したように、視差バリアシャッタパネル21における総合開口300の位置が、1つのサブ画素411だけずれている。したがって、サブ画素ペア41と、総合開口300との位置関係は、奇数行も偶数行も同じ位置関係になっている。つまり、以上の構成によれば、ひとつの視点から視た、横方向における解像度は半減するが、奇数行及び偶数行とで1つのサブ画素411だけずれた画素配置を実現することができる。視差バリア方式の裸眼立体表示装置では、解像度が通常の2次元画像表示時の半分に低下するが、これにより、解像度感を改善することができる。
図24は、サブ画素ペア41を構成するサブ画素411a,411bの間の遮光壁18の中央から光が仮想的に放射された場合に、その仮想の光線に一致する境界線を示す断面模式図である。次に、この図24を用いて、本実施の形態に係る表示装置において行われる、視差バリアシャッタパネル21の制御について説明する。なお、ここでは、裸眼立体ディスプレイは、5つの共通駆動エリア251(左2共通駆動エリア〜右2共通駆動エリア)に区分されているものして説明する。
この図24においては、境界線(仮想の光線)のいくつかが矢印によって示されている。
実線で示される境界線LOAは、各共通駆動エリア251の複数の第1透明電極23及び複数の第2透明電極25(以下「各共通駆動エリア251の電極群」と呼ぶ)に、上述の電圧パターンNo3で電圧を印加した場合の境界線を示している。図24に示すように、本実施の形態に係る表示装置は、各共通駆動エリア251の境界線LOAが、白丸で示す集光点3に集光するように構成されている。
同様に、破線で示される境界線LOBは、各共通駆動エリア251の電極群に、上述の電圧パターンNo5で電圧を印加した場合の境界線を示している。図24に示すように、本実施の形態に係る表示装置は、各共通駆動エリア251の境界線LOBが、白丸で示す集光点5に集光するように構成されている。同様に、本実施の形態に係る表示装置は、各共通駆動エリア251の電極群に、上述の電圧パターンNo1,2,4で電圧を印加した場合に、各共通駆動エリア251の境界線が、白丸で示す集光点1,2,4に集光するように構成されている。
さて、一般に、境界線のごく近傍においては、輝度差や3Dクロストークが大きく、良好な画像を観察することができないものとなっている。そこで、本実施の形態では、制御部32は、検出部31の検出結果に基づいて、視差バリアシャッタパネル21での総合開口300の位置を共通駆動エリア251ごとに決定するものとなっている。具体的には、制御部32は、検出部31の検出結果に基づいて、観察者が設計観察距離D近傍に位置すると判断した場合には、各共通駆動エリア251の境界線を集光点1〜5のいずれか1つにのみ集光させるように、視差バリアシャッタパネル21を制御するものとなっている。
具体的には、観察者が、裸眼立体ディスプレイから画面正面方向に設計観察距離Dだけ離れた観察点Aに位置する場合には、各共通駆動エリア251の電極群に、電圧パターンNo3で電圧を印加することにより、各共通駆動エリア251からの境界線を、観察者の左右の眼の中間に位置する集光点3に集光させる。
この状態から、観察者が、片方の眼が集光点3に位置する観察点Bに移動した場合には、各共通駆動エリア251の電極群に、電圧パターンNo5で電圧を印加することにより、各共通駆動エリア251からの境界線を、観察者の左右の眼の中間に位置する集光点5に集光させる。
以上のような動作を行う本実施の形態に係る表示装置によれば、境界線を左右の眼の間の一点に集め、左右の眼に入る可能性を低くしている。したがって、観察者は画面全体で良好な3D画像を観察することが可能となっている。
図25は、図24と同様、境界線を示す断面模式図である。この図25においては、観察者が、設計観察距離Dよりも長い実観察距離Rだけ裸眼立体ディスプレイから離れた観察点Cに位置する場合の境界線が示されている。
本実施の形態に係る制御部32は、検出部31の検出結果に基づいて、観察者が設計観察距離Dより遠方に位置すると判断した場合には、共通駆動エリア251からの境界線を、異なる集光点1〜5に集光させるように、視差バリアシャッタパネル21を制御するものとなっている。
具体的には、図25に示すように、観察者が観察点Cに位置する場合には、制御部32は、中央共通駆動エリア251の電極群に、電圧パターンNo3で電圧を印加することにより、中央共通駆動エリア251からの境界線を集光点3に集光させる。また、制御部32は、左2共通駆動エリア251の電極群に、電圧パターンNo1で電圧を印加することにより、左2共通駆動エリア251からの境界線を集光点1に集光させる。以下、同様にして、左1共通駆動エリア251、右1共通駆動エリア251及び右2共通駆動エリア251からの境界線を、それぞれ集光点2,4,5に集光させる。
ここで、各集光点1〜5に集光された各境界線は、設計観察距離Dより遠方では再び広がっていく。しかし、各共通駆動エリア251の横幅は、画面全体(裸眼立体ディスプレイ全体)の横幅の1/5となっており、設計観察距離Dより遠方での、各共通駆動エリア251からの境界線の幅は、画面全体からの境界線の幅よりも狭いものとなっている。したがって、本実施の形態に係る表示装置によれば、設計観察距離Dより遠方における各境界線の広がりを狭くすることができる。よって、遠方に位置する観察者の左右の眼に境界線が入る可能性を低くすることができることから、当該観察者も画面全体で良好な3D画像を観察することが可能となっている。
図26は、観察者の左右の眼の間の一点に、画面全域からの境界線を集光可能にするための、サブ画素ペア41の境界の中央位置と、総合開口300の中央位置との間に設けるべき最適ズレ量の計算結果を示している。なお、ここでは、基準視差バリアピッチPを0.100mmとし、サブ開口ピッチΔSWを0・015mmとしている。また、図26の例では、共通駆動エリア251は7つのエリアに分けられ、電圧パターンも7つとなっている。
この図においては、観察者の観察距離が700mm、1000mm、1500mmである場合の、画面左右位置におけるサブ画素ペア41の境界の中央と、総合開口300の中央との間に設けるべき最適ズレ量が示されている。これらに示されるように、最適ズレ量は直線的に変化することから、実際のズレ量も直線的に変化させることが望ましい。しかし、サブ開口ピッチΔSWは有限な値を持つため、実現可能な実際のズレ量は、ステップ的に変化させざるを得ない。
図中の一点鎖線は、それぞれ画面全体に共通に電圧パターンを印加したときに実現可能な、サブ画素ペア41の境界の中央と、総合開口300の中央との間のズレ量を示している。画面全体で良好な3D画像の表示を実現するためには、図中の黒丸と白三角で示すように、それぞれの共通駆動エリア251において、最適ズレ量に最も近い、実現可能な実際のズレ量に対応する電圧パターンを選べばよい。
以上、説明したように、本実施の形態によれば、制御部32は、検出部31の検出結果に基づいて、視差バリアシャッタパネル21での総合開口300の位置を共通駆動エリア251ごとに決定する。したがって、遠方に位置する観察者の左右の眼に境界線が入る可能性を低くすることができることから、観察者は、画面全体で良好な3D画像を観察することができる。また、パターン位置の決定のための計算の回数は、共通駆動エリア251の分割数に限定されるため、演算に要する時間を短くなる。つまり、本実施の形態によれば、検出部31による観察者の位置の検出から、視差バリアシャッタパネル21の総合開口300の位置移動の完了までに要する時間を短縮することができ、輝度変化を抑制することができる。また、観察者の位置が設計視認距離から遠いか近いかに関係なく、同じ計算手順で総合開口300(バリア)の位置を決定することができるため、表示装置を動作させるプログラムを簡素化することも期待できる。
<実施の形態3>
図27は、本発明の実施の形態3に係る裸眼立体ディスプレイの視差バリアシャッタパネル21の構成を示す平面結線図である。なお、以下、本実施の形態に係る表示装置についての説明において、実施の形態2で説明した構成要素と類似するものについては同じ符号を付して説明を省略する。
第1透明電極23は、縦方向に延在している。また、複数の第1透明電極23は、各サブ画素ペア41に対応させて横方向に偶数個(ここでは8つ)配列されている。第1のサブ画素ペア41aに対応する偶数個(8つ)の第1透明電極23は、第2のサブ画素ペア41bに対応する偶数個(8つ)の第1透明電極23と電気的に接続されている。
ここでは、第1のサブ画素ペア41aにおける番号(5)が付された第1透明電極23は、第2のサブ画素ペア41bにおける同番号(4)が付された第1透明電極23と電気的につながれている。同様に、第1のサブ画素ペア41aにおける(6),(7),(8)が付された第1透明電極23は、第2のサブ画素ペア41bにおける同番号(3),(2),(1)が付された第1透明電極23と電気的につながれている。
また、本実施の形態では、複数の第1透明電極23は、各共通駆動エリア251内で、前後方向(図27の奥行方向)に交差させることなく、折り返した帯状の配線形状を有している。ここでは、任意のサブ画素ペア41における、一方のサブ画素411a(411b)に対応する所定数(4つ)の第1透明電極23と、他方のサブ画素411b(411b)に対応する所定数(4つ)の第1透明電極23との間にはそれぞれ折り返し部23aが設けられている。
例えば、第1のサブ画素ペア41aを構成する2つのサブ画素411a,411bにおいて、当該サブ画素411aに対応する(1)が付された第1透明電極23と、当該サブ画素411bに対応する(8)が付された第1透明電極23との間には折り返し部23aが設けられている。同様に、サブ画素411aに対応する(2),(3),(4)が付された第1透明電極23と、サブ画素411bに対応する(7),(6),(5)が付された第1透明電極23との間には折り返し部23aがそれぞれ設けられている。また、本実施の形態では、複数の第1透明電極23は、端子Lc1〜Lc4とそれぞれ接続されている。なお、端子Lc1〜Lc4と接続された第1透明電極23に対応する共通駆動エリア251の隣の共通駆動エリア251においても、同様に、第1透明電極23が設けられており、これらは端子Lc5〜Lc8と接続されている。
次に複数の第2透明電極25について説明する。図27に示すように、複数の第2透明電極25は、横方向に延在している。また、隣り合う第2透明電極25の一方には、上述の一方のサブ画素411a(411b)に対応する凸部が設けられ、当該第2透明電極25の他方には、上述の他方のサブ画素411b(411a)に対応する凸部が設けられている。
複数の第2透明電極25の縦方向の配列において、奇数行目に位置する第2透明電極25は、端子Lb1と接続された共通配線211と接続され、偶数行目に位置する第2透明電極25は、端子Lb2と接続された共通配線211と接続されている。
次に、以上の構成からなる本実施の形態に係る表示装置の動作について説明する。
図28は、本実施の形態に係る視差バリアシャッタパネル21の端子Lc1〜Lc4及び端子Ld1,Ld2に印加する電圧のパターンを示す図である。なお、図28に示す「○」は、サブ開口210が光透過状態であることを意味し、「×」は、サブ開口210が遮光状態であることを意味し、白抜きの三角は、サブ開口210の液晶が変化するのに時間がかかり、一定時間内では状態が維持される状態維持であることを意味する。また、本実施の形態では、視差バリアシャッタパネル21の液晶層24の液晶モードとして、ノーマリーブラックのスーパーツイステッドネマティック(STN)モードを想定している。
端子Lc1〜Lc4に印加する電圧は、+電圧と0電圧との2値であり、端子Ld1,Ld2に印加する電圧は、+電圧と−電圧との2値とする。ここでは、端子Lcm3(m3=1〜4)と、端子Ldm4(m4=1,2)とに印加される電圧の組み合わせが、無電界状態(+/+)、中間電界状態(0/+,0/−)、強電界状態(+/−)である場合に、当該端子Lcm3及び当該端子Ldm4に対応するサブ開口210がSTNモードにおいてそれぞれ遮光状態、状態維持、光透過状態となるように、図1に示す表示面偏光板27、中間偏光板17及び液晶層24が適切に設けられている。次に、具体的な動作について説明する。
時間的に順番に、まず、第2透明電極25の奇数行用端子Ld1に−電圧、偶数行用端子Ld2に+電圧をそれぞれ印加し、その電圧を維持したまま、第1透明電極23の端子Lc1〜Lc4の順番に、光透過状態にしたいサブ開口210の端子Lcm3に+電圧を所定時間印加し、状態維持したいサブ開口210の端子Lcm3に0電圧を所定時間印加する。このとき、例えば、端子Lc1に+電圧を印加し、その他の端子Lc2〜Lc4に0電圧を印加すれば、(1)が付された第1透明電極23に対応するサブ開口210のみが光透過状態に変わる。
上記の動作が完了したら、ついで、第2透明電極25の奇数行用端子Ld1に+電圧、偶数行用端子Ld2に−電圧をそれぞれ印加し、その電圧を維持したまま、第1透明電極23の端子Lc1〜Lc4の順番に、光透過状態にしたいサブ開口210の端子Lcm3に+電圧を所定時間印加し、状態維持したいサブ開口210の端子Lcm3に0電圧を所定時間印加する。このとき、例えば、端子Lc1に+電圧を印加し、その他の端子Lc2〜Lc4に0電圧を印加すれば、(5)が付された第1透明電極23に対応するサブ開口210のみが光透過状態に変わり、その他のサブ開口210は遮光状態が維持される。この動作を繰り返せば、(1)〜(8)が付された第1透明電極23に対応するサブ開口210のうち、所望のサブ開口210を光透過/遮光状態に制御することができる。したがって、任意のパターンの総合開口300を実現することができる。
このとき、行ごとに、第2透明電極25の位置は、基準視差バリアピッチPの半分だけずれるため、自動的に、奇数行及び偶数行とで総合開口300を基準視差バリアピッチPの半分だけすれた画素配置を実現することができる。つまり、画素の千鳥配列が可能であることから、3D画像の解像度感を向上させることができる。
以上のような本実施の形態に係る表示装置によれば、図28に示すようなサブ開口210の制御をすることが可能となる。したがって、スーパーツイステッドネマティック(STN)モードを適用することができる。したがって、薄膜トランジスタが不要となり、さらに配線の立体的な交差がないのでコンタクトホール形成などの製造プロセスも不要となることから、部品コスト及びプロセスコストを抑制することができる。また、実施の形態1及び実施の形態2と同様の効果を得ることができる。