本発明の実施形態1に係るダンパ装置では、動力源(図1の1)と歯車機構(図1の4)との間の動力伝達経路上に配設されるとともに、弾性力によって前記動力源と前記歯車機構との間に生じる変動トルクを吸収するダンパ部(図2の101)と、前記変動トルクが所定値を超えたときにすべりを生ずるリミッタ部(図2の103)と、を備え、前記リミッタ部(図2の103)は、前記ダンパ部(図2の101)と前記歯車機構(図1の4)との間の動力伝達経路上に配設され、前記ダンパ部及び前記リミッタ部は、一体的に形成され、前記リミッタ部の外形は、前記ダンパ部の外形よりも大きく、前記ダンパ部は、前記動力源の回転動力が入力される2枚の入力側の部品と、前記2枚の入力側の部品間に配された出力側の部品と、を備え、前記出力側の部品は、前記リミッタ部と連結され、前記リミッタ部は、前記ダンパ部の前記出力側の部品と連結される他の入力側の部品と、回転動力を出力する他の出力側の部品と、前記他の入力側の部品と前記他の出力側の部品との径方向及び軸方向の間に配される軸受けと、を備える。
本発明の実施形態2に係るダンパ装置では、動力源と歯車機構との間の動力伝達経路上に配設されるとともに、弾性力によって前記動力源と前記歯車機構との間に生ずる変動トルクを吸収するダンパ部と、前記変動トルクが所定値を超えたときにすべりを生じるリミッタ部と、を備え、前記リミッタ部は、前記ダンパ部と前記歯車機構との間の動力伝達経路上に配設され、前記ダンパ部及び前記リミッタ部は、一体的に形成され、前記リミッタ部の外形は、前記ダンパ部の外形よりも大きく、前記ダンパ部は、前記ダンパ部は、前記動力源の回転動力が入力される2枚の入力側の部品と、前記2枚の入力側の部品間に配された出力側の部品と、を備え、前記2枚の入力側の部品と前記出力側の部品との間においてヒステリシストルクによって前記動力源と前記歯車機構との間に生じる変動トルクを吸収するヒステリシス部を備える。
本発明の実施例1に係るダンパ装置について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施例1に係るダンパ装置を有するハイブリッド駆動装置の構成を模式的に示した構成図である。図2は、本発明の実施例1に係るダンパ装置の構成を模式的に示した径方向の部分断面図である。
図1を参照すると、ハイブリッド駆動装置は、第1の動力源であるエンジン1と、第2の動力源である電動モータ2と、エンジン1と電動モータ2との間に配設され両者間の変動トルクを抑制するダンパ装置3と、電動モータ2とダンパ装置3との間に配設された遊星歯車機構4と、駆動輪(図示せず)に動力を伝達する減速機構5と、遊星歯車機構4のリングギヤ4dと減速機構5とを連結するベルト6と、遊星歯車機構4のサンギヤ4aに連結された発電モータ7と、インバータ8を介して発電モータ7及び電動モータ2と電気的に接続されたバッテリ9と、を備える。
エンジン1の出力軸1aは、ダンパ装置3を介して遊星歯車機構4のキャリア4cに連結されている。キャリア4cには、ピニオンギヤ4bが回動可能に保持されている。ピニオンギヤ4bは、サンギヤ4a及びリングギヤ4dと噛み合っている。発電モータ7の回転軸は、遊星歯車機構4のサンギヤ4aに連結されており、エンジン1の駆動によって発生した電気エネルギーをバッテリ9に充電するものである。電動モータ2の回転軸は、リングギヤ4dに連結されている。
ハイブリッド駆動装置は、エンジン1のみが駆動している場合、エンジン1の回転動力がダンパ装置3を介して遊星歯車機構4のキャリア4cに伝達され、キャリア4c全体がエンジン1の出力軸1aを中心として回転し、これによってリングギヤ4dが回転し、ベルト6を介して減速機構5に動力が伝達され、駆動輪(図示せず)を駆動させる。このとき、サンギヤ4aも回転して発電モータ7にて発電され、バッテリ9に充電される。
また、ハイブリッド駆動装置は、エンジン1が停止して電動モータ2のみが駆動すると、リングギヤ4dが回転してベルト6を介して減速機構5に動力が伝達される。このとき、キャリア4c自体はその位置を変えずに自転するだけであるので、エンジン1側には電動モータ2の動力が伝達されない。
さらに、ハイブリッド駆動装置は、エンジン1と電動モータ2の両方をそれぞれ駆動させて減速機構5に動力を伝達することも可能である。このような動力源の切替え(電動モータ2の駆動・非駆動の切替え)は、車速やアクセル開度等の各種信号によって制御装置(図示せず)により切替えられる。
図2を参照すると、ハイブリッド駆動装置におけるダンパ装置3は、捩れ緩衝機能を有し、バネ力(弾性力)によって変動トルクを吸収するダンパ部101と、摩擦等によるヒステリシストルクによって変動トルクを吸収(抑制)するヒステリシス部102と、ダンパ部101やヒステリシス部102で捩れを吸収できなくなったときにすべりを生ずるリミッタ部103と、を有する。ダンパ装置3は、組付性を考慮して、ダンパ部101、ヒステリシス部102及びリミッタ部103と組み合わされて一体のユニット(組立体)となっている。ダンパ部101は、ヒステリシス部102と並列に配設されており、リミッタ部103と直列に配設されている。リミッタ部103は、ダンパ部101と遊星歯車機構(図1の4)との間の動力伝達経路上に配設されており、ダンパ部101の出力側で慣性体として機能する。リミッタ部103の外形は、慣性を確保するとともに歯打ち音抑制効果を確保するために、ダンパ部101の外形よりも大きく構成されている。ダンパ装置3は、フライホイール11と、円筒部材13と、ボルト14と、サイドプレート15と、サイドプレート16と、センタープレート17と、コイルスプリング18と、シート部材19と、スラスト部材20、21と、皿ばね22と、ライニングプレート23と、摩擦材24、25と、プレッシャプレート26と、皿ばね27と、ハブ部材28と、軸受け29と、を有する。
フライホイール11は、エンジン(図1の1)の出力軸(図1の1a)にボルト12によって取付固定された環状の部材である。フライホイール11は、外周端部近傍のダンパ部101側の面にて円筒部材13がボルト14によって取付固定されている。
円筒部材13は、フライホイール11とダンパ部101を離間させるための円筒状の部材である。円筒部材13は、溶接やカシメなどによりサイドプレート15と連結されている。円筒部材13は、ボルト14によってフライホイール11に取付固定されている。
ボルト14は、フライホイール11に円筒部材13を取付固定するための部材である。ボルト14は、フライホイール11の円筒部材13側の反対側から挿入されて、円筒部材13に締結される。
サイドプレート15は、センタープレート17のフライホイール11側に配された環状のプレートであり、ダンパ部101及びヒステリシス部102の構成部材である。サイドプレート15は、外周端部近傍にて溶接やカシメなどにより円筒部材13に連結されている。サイドプレート15は、ダンパ部101よりも外周部分にて、溶接やカシメなどによりサイドプレート16と連結されている。サイドプレート15は、ダンパ部101にて、コイルスプリング18、及びシート部材19を収容するための窓部15aを有し、当該窓部15aの周方向端面がシート部材19と接離可能に接している。サイドプレート15は、ダンパ部101よりも内周側のヒステリシス部102にて、スラスト部材20とスライド可能に圧接している。
サイドプレート16は、センタープレート17のフライホイール11側の反対側に配された環状のプレートであり、ダンパ部101及びヒステリシス部102の構成部材である。サイドプレート16は、ダンパ部101よりも外周部分にて、溶接やカシメなどによりサイドプレート15と連結されている。サイドプレート16は、ダンパ部101にて、コイルスプリング18、及びシート部材19を収容するための窓部16aを有し、当該窓部16aの周方向端面がシート部材19と接離可能に接している。サイドプレート16は、ダンパ部101よりも内周側のヒステリシス部102にて、皿ばね22を支持する。
センタープレート17は、サイドプレート15、16間に配された環状又は円板状のプレートであり、ダンパ部101及びヒステリシス部102の構成部材である。センタープレート17は、ダンパ部101にて、コイルスプリング18、及びシート部材19を収容するための窓部17aを有し、当該窓部17aの周方向端面がシート部材19と接離可能に接している。センタープレート17は、ダンパ部101よりも内周側のヒステリシス部102にて、スラスト部材20、21とスライド可能に圧接している。センタープレート17は、ヒステリシス部102よりも内周の部分にて、溶接やカシメなどによりライニングプレート23と連結されている。
コイルスプリング18は、ダンパ部101の構成部品であり、サイドプレート15、16及びセンタープレート17に形成された窓部15a、16a、17aに収容され、両端に配設されたシート部材19と接している。コイルスプリング18は、サイドプレート15、16とセンタープレート17とが相対回転したときに収縮し、サイドプレート15、16とセンタープレート17との回転差によるショックを吸収する。コイルスプリング18には、ストレート形状、又はストレート形状のスプリングを曲げて組み付けしたものを用いることができるが、広い捩りを実現するために、周方向に沿って曲ったアークスプリングを用いることができる。
シート部材19は、ダンパ部101の構成部品であり、サイドプレート15、16及びセンタープレート17に形成された窓部15a、16a、17aに収容され、当該窓部15a、16a、17aの周方向の端面とコイルスプリング18の端部との間に配されている。シート部材19には、コイルスプリング18の摩耗を低減するために、樹脂を用いることができる。
スラスト部材20は、ヒステリシス部102の構成部品であり、サイドプレート15とセンタープレート17との間に配された環状の摩擦材である。スラスト部材20は、サイドプレート15及びセンタープレート17とスライド可能に圧接している。
スラスト部材21は、ヒステリシス部102の構成部品であり、サイドプレート16とセンタープレート17との間に配された環状の摩擦材である。スラスト部材21は、サイドプレート16側から皿ばね22によって付勢されており、センタープレート17とスライド可能に圧接している。
皿ばね22は、ヒステリシス部102の構成部品であり、スラスト部材21とサイドプレート16との間に配され、スラスト部材21をセンタープレート17側に付勢する皿状のばねである。
ライニングプレート23は、摩擦材24、25が固定された環状又は円板状のプレートであり、リミッタ部103の構成部材である。ライニングプレート23は、ヒステリシス部102よりも内周側部分にて、溶接やカシメなどによりセンタープレート17に連結されている。ライニングプレート23は、ヒステリシス部102よりも内周側部分にて、円筒部23aを有する。円筒部23aは、軸受け29を介してハブ部28aと相対回転可能に配されている。ライニングプレート23は、ダンパ部101及びヒステリシス部102を迂回するように形成されており、外周部分にて摩擦材24、25がリベット(図示せず)によって固定されている。
摩擦材24は、ライニングプレート23とハブ部材28のカバー部28dとの間に配され、リベット(図示せず)によってライニングプレート23に取付固定されている。摩擦材24は、ハブ部材28のカバー部28dとスライド可能に圧接している。
摩擦材25は、ライニングプレート23とプレッシャプレート26との間に配され、リベット(図示せず)によってライニングプレート23に取付固定されている。摩擦材25は、プレッシャプレート26とスライド可能に圧接している。
プレッシャプレート26は、皿ばね27と摩擦材25との間に配された環状の部材である。プレッシャプレート26は、皿ばね27によって摩擦材25側に付勢されており、摩擦材25とスライド可能に圧接している。
皿ばね27は、ハブ部材28のサポート部28cとプレッシャプレート26との間に配された皿状のばねである。皿ばね27は、プレッシャプレート26を摩擦材25側に付勢する。
ハブ部材28は、回転動力を出力する部材である。ハブ部材28は、ハブ部28aの外周の所定の部位から延在したフランジ部28bを有する。ハブ部28aは、内周面にシャフト(外スプライン)とスプライン係合するための内スプラインが形成されており、シャフト(外スプライン)に対して軸方向にスライド可能に構成されている。ハブ部28aは、軸受け29を介してライニングプレート23を相対回転可能に支持している。フランジ部28bの先端部分は、リミッタ部103の構成部分となっており、皿ばね27を支持するサポート部28cと、摩擦材24とスライド可能に圧接するカバー部28dと、を有する。
軸受け29は、ライニングプレート23の円筒部23aの内周にて、ライニングプレート23をハブ部材28に相対回転可能に支持させ、芯ずれを防止するためのガイド部材である。軸受け29は、ライニングプレート23とハブ部材28との径方向の間だけでなく軸方向の間にも配されている。
実施例1によれば、リミッタ部103がダンパ部101と遊星歯車機構4との間の動力伝達経路上に配設される。この構成により、リミッタ部103の配設位置の自由度が大きくなり、小型化が可能である。また、リミッタ部103が、ダンパ部101と締結部(円筒部材13とボルト14が締結された部分)との間に配されておらず、出力軸1aの軸方向において、締結部から所定距離離れた位置に配される。この構成により、出力軸1aの軸心から径方向に延びる部分の長さを短くでき、ダンパ装置3の小型化が可能である。また、リミッタ部103の外形がダンパ部101の外形よりも大きい。このため、慣性力が確保されたリミッタ部103により、遊星歯車機構4における歯打ち音が効果的に抑制される。
本発明の実施例2に係るダンパ装置について図面を用いて説明する。図3は、本発明の実施例2に係るダンパ装置の構成を模式的に示した径方向の部分断面図である。
実施例2に係るダンパ装置3は、実施例1の変形例であり、フライホイール31のエンジン側(図3の右側)の反対側から、ダンパ部101、ヒステリシス部102及びリミッタ部103のユニットをボルト33によってフライホイール31に締結可能な構成にしたものである。ダンパ装置3は、組付性を考慮して、ダンパ部101、ヒステリシス部102及びリミッタ部103と組み合わされて1つのユニットとなっている。ダンパ部101は、ヒステリシス部102と並列に配設されており、リミッタ部103と直列に配設されている。リミッタ部103は、ダンパ部101と遊星歯車機構(図1の4に相当)との間の動力伝達経路上に配設されており、ダンパ部101の出力側で慣性体として機能する。リミッタ部103は、ダンパ部101から軸方向にずれた位置に配されている。リミッタ部103の外形は、ボルト33の締付け作業を考慮して、ダンパ部101の外形よりも小さく構成されている。ダンパ装置3は、フライホイール31と、センタープレート32と、ボルト33と、サイドプレート34、35と、コイルスプリング18と、シート部材19と、スラスト部材20、21と、皿ばね22と、プレート36と、摩擦材24、25と、プレッシャプレート26と、ハブ部材37と、軸受け38と、を有する。
なお、コイルスプリング18と、シート部材19と、スラスト部材20、21と、皿ばね22と、摩擦材24、25と、プレッシャプレート26とについては、実施例1(図2参照)の構成と同様である。
フライホイール31は、エンジン(図1の1に相当)の出力軸(図1の1aに相当)にボルト12によって取付固定された環状の部材である。フライホイール31は、外周端部近傍のダンパ部101側の面にて円筒状に突出した円筒部31aを有する。円筒部31aには、ボルト33によってセンタープレート32が取付固定されている。
センタープレート32は、サイドプレート34、35間に配された環状又は円板状のプレートであり、ダンパ部101及びヒステリシス部102の構成部材である。センタープレート32は、ダンパ部101よりも外周部分にて、ボルト33によってフライホイール31の円筒部31aに取付固定されている。センタープレート32は、ダンパ部101にて、コイルスプリング18、及びシート部材19を収容するための窓部32aを有し、当該窓部32aの周方向端面がシート部材19と接離可能に接している。センタープレート32は、ダンパ部101よりも内周側のヒステリシス部102にて、スラスト部材20、21とスライド可能に圧接している。
ボルト33は、フライホイール31の円筒部31aにセンタープレート32を取付固定するための部材である。ボルト33は、フライホイール31のエンジン側(図3の右側)の反対側から挿入されて、円筒部31aに締結される。
サイドプレート34は、センタープレート32のフライホイール31側に配された環状のプレートであり、ダンパ部101及びヒステリシス部102の構成部材である。サイドプレート34は、ダンパ部101よりも外周部分にてリベットなどを介してサイドプレート35と連結されている。サイドプレート34は、ダンパ部101にて、コイルスプリング18、及びシート部材19を収容するための窓部34aを有し、当該窓部34aの周方向端面がシート部材19と接離可能に接している。サイドプレート34は、ダンパ部101よりも内周側のヒステリシス部102にて、スラスト部材20とスライド可能に圧接している。
サイドプレート35は、センタープレート32のフライホイール31側の反対側に配された環状のプレートであり、ダンパ部101及びヒステリシス部102の構成部材である。サイドプレート35は、ダンパ部101よりも外周部分にてリベットなどを介してサイドプレート34と連結されている。サイドプレート35は、ダンパ部101にて、コイルスプリング18、及びシート部材19を収容するための窓部35aを有し、当該窓部35aの周方向端面がシート部材19と接離可能に接している。サイドプレート35は、ダンパ部101よりも内周側のヒステリシス部102にて、皿ばね22を支持する。サイドプレート35は、内周部分にて、溶接やカシメなどによりプレート36と連結されている。
プレート36は、サイドプレート35と一体に回転するプレートであり、リミッタ部103の構成部材である。プレート36の外周部分には、皿ばね27を支持するサポート部36aと、摩擦材24とスライド可能に圧接するカバー部36bと、を有する。プレート36は、内周部分にて溶接やカシメなどによりサイドプレート35と連結されている。
ハブ部材37は、回転動力を出力する部材である。ハブ部材37は、ハブ部37aの外周の所定の部位から延在したフランジ部37bを有する。ハブ部37aには、内周面にシャフト(外スプライン)とスプライン係合するための内スプラインが形成されており、シャフト(外スプライン)に対して軸方向にスライド可能に構成されている。ハブ部37aは、軸受け38を介してサイドプレート34、サイドプレート35及びプレート36を相対回転可能に支持している。フランジ部37bの先端部分は、リミッタ部103の構成部分となっており、外周部分にて摩擦材24、25がリベット(図示せず)によって固定されている。
軸受け38は、サイドプレート34、サイドプレート35及びプレート36をハブ部材37に相対回転可能に支持させ、芯ずれを防止するためのガイド部材である。軸受け38は、サイドプレート34、サイドプレート35及びプレート36とハブ部材37との径方向の間だけでなく、プレート36とハブ部材37との軸方向の間にも配されている。
実施例2によれば、実施例1と同様な効果を奏するとともに、フライホイール31のエンジン側(図3の右側)の反対側から、ダンパ部101、ヒステリシス部102及びリミッタ部103のユニットをボルト33によってフライホイール31に締結可能な構成にしているので、エンジンへの取付性をよくすることができる。
本発明の実施例3に係るダンパ装置について図面を用いて説明する。図4は、本発明の実施例3に係るダンパ装置の構成を模式的に示した径方向の部分断面図である。
実施例3に係るダンパ装置3は、実施例1の変形例であり、ダンパ部101、ヒステリシス部102及びリミッタ部103のユニットを、ダンパ部101及びヒステリシス部102の入力側ユニットと、リミッタ部103のみの出力側ユニットとに分割し、出力側ユニットを入力側ユニットに対して組付可能にスプライン係合させることができる構成としたものである。ダンパ部101は、ヒステリシス部102と並列に配設されており、リミッタ部103と直列に配設されている。リミッタ部103は、ダンパ部101と遊星歯車機構(図1の4に相当)との間の動力伝達経路上に配設されており、ダンパ部101の出力側で慣性体として機能する。リミッタ部103の外形は、慣性を確保するとともに歯打ち音抑制効果を確保するために、ダンパ部101の外形よりも大きく構成されている。ダンパ装置3は、フライホイール11と、円筒部材13と、ボルト14と、サイドプレート15と、サイドプレート16と、センタープレート17と、コイルスプリング18と、シート部材19と、スラスト部材20、21と、皿ばね22と、プレート39と、摩擦材24、25と、プレッシャプレート26と、ハブ部材37と、軸受け40と、を有する。
なお、フライホイール11と、円筒部材13と、ボルト14と、サイドプレート15と、サイドプレート16と、コイルスプリング18と、シート部材19と、スラスト部材20、21と、皿ばね22とについては、実施例1(図2参照)の構成と同様である。また、ハブ部材37については、実施例2(図3参照)の構成と同様である。
センタープレート17は、プレート39に対して着脱可能に係合するように構成されている。センタープレート17は、内周部分が円筒状になっており、その円筒状の部分の内周面に内スプライン部17bを有する。内スプライン部17bは、その内周側に配されたプレート39の外スプライン部39aとスプライン係合し、外スプライン部39aに対して軸方向にスライド可能に構成されている。その他の構成は、実施例1のセンタープレート(図2の17)の構成と同様である。
プレート39は、センタープレート17と一体に回転するプレートであり、リミッタ部103の構成部材である。プレート39の外周部分には、皿ばね27を支持するサポート部39bと、摩擦材24とスライド可能に圧接するカバー部39cと、を有する。プレート39は、センタープレート17に対して着脱可能に係合するように構成されている。プレート39は、内周部分にて、センタープレート17の内スプライン部17bと軸受け40との間に配された円筒状の部分を有し、その円筒状の部分の外周面に外スプライン部39aを有する。外スプライン部39aは、その外周側に配されたセンタープレート17の内スプライン部17bとスプライン係合し、内スプライン部17bに対して軸方向にスライド可能に構成されている。プレート39は、円筒状の部分の内周面にて、軸受け40を介してハブ部材37のハブ部37aと相対回転可能に支持されている。
軸受け40は、プレート36をハブ部材37に相対回転可能に支持させ、芯ずれを防止するためのガイド部材である。軸受け38は、プレート39とハブ部材37との径方向の間だけでなく、サイドプレート15とハブ部材37との軸方向の間(プレート39とハブ部材37との軸方向の間でも可)にも配されている。
実施例3によれば、実施例1と同様な効果を奏するとともに、ダンパ部101及びヒステリシス部102の入力側ユニットと、リミッタ部103のみの出力側ユニットとに分割し、出力側ユニットを入力側ユニットに対して組付可能にスプライン係合させることができる構成とすることで、取付性をよくすることができる。
本発明の実施例4に係るダンパ装置について図面を用いて説明する。図5は、本発明の実施例4に係るダンパ装置の構成を模式的に示した径方向の部分断面図である。
実施例4に係るダンパ装置3は、実施例3の変形例であり、ダンパ部101及びヒステリシス部102の入力側ユニットをボルト33によってフライホイール31に締結可能な構成にするとともに、リミッタ部103のみの出力側ユニットを入力側ユニットに対して組付可能にスプライン係合させることができる構成としたものである。ダンパ部101は、ヒステリシス部102と並列に配設されており、リミッタ部103と直列に配設されている。リミッタ部103は、ダンパ部101と遊星歯車機構(図1の4に相当)との間の動力伝達経路上に配設されており、ダンパ部101の出力側で慣性体として機能する。リミッタ部103は、ダンパ部101から軸方向にずれた位置に配されている。リミッタ部103の外形は、ボルト33の締付け作業を考慮して、ダンパ部101の外形よりも小さく構成されている。ダンパ装置3は、フライホイール31と、ボルト33と、サイドプレート15と、サイドプレート16と、センタープレート17と、コイルスプリング18と、シート部材19と、スラスト部材20、21と、皿ばね22と、ライニングプレート42と、摩擦材24、25と、プレッシャプレート26と、ハブ部材43と、軸受け40と、を有する。
なお、サイドプレート15と、サイドプレート16と、コイルスプリング18と、シート部材19と、スラスト部材20、21と、皿ばね22と、摩擦材24、25と、プレッシャプレート26とについては、実施例1(図2参照)の構成と同様である。フライホイール31と、ボルト33とについては、実施例2(図3参照)の構成と同様である。センタープレート17と、軸受け40とについては、実施例3(図4参照)の構成と同様である。
ライニングプレート42は、摩擦材24、25が固定された環状又は円板状のプレートであり、リミッタ部103の構成部材である。ライニングプレート42は、センタープレート17に対して着脱可能に係合するように構成されている。ライニングプレート42は、内周部分にて、センタープレート17の内スプライン部17bと軸受け40との間に配された円筒状の部分を有し、その円筒状の部分の外周面に外スプライン部42aを有する。外スプライン部42aは、その外周側に配されたセンタープレート17の内スプライン部17bとスプライン係合し、内スプライン部17bに対して軸方向にスライド可能に構成されている。ライニングプレート42は、外周部分にて摩擦材24、25がリベット(図示せず)によって固定されている。
ハブ部材43は、回転動力を出力する部材である。ハブ部材43は、ハブ部43aの外周の所定の部位から延在したフランジ部43bを有する。ハブ部43aは、内周面にシャフト(外スプライン)とスプライン係合するための内スプラインが形成されており、シャフト(外スプライン)に対して軸方向にスライド可能に構成されている。ハブ部43aは、軸受け40を介してライニングプレート42を相対回転可能に支持している。フランジ部43bの先端部分は、リミッタ部103の構成部分となっており、摩擦材24とスライド可能に圧接するカバー部43cと、皿ばね27を支持するサポート部43dと、を有する。
実施例4によれば、実施例1と同様な効果を奏するとともに、フライホイール31のエンジン側(図5の右側)の反対側から、ダンパ部101とヒステリシス部102の入力側ユニットをボルト33によってフライホイール31に締結可能な構成にしているので、エンジンへの取付性をよくすることができる。また、ダンパ部101及びヒステリシス部102の入力側ユニットと、リミッタ部103のみの出力側ユニットとに分割し、出力側ユニットを入力側ユニットに対して組付可能にスプライン係合させることができる構成とすることで、取付性をよくすることができる。
本発明の実施例5に係るダンパ装置について図面を用いて説明する。図6は、本発明の実施例5に係るダンパ装置の構成を模式的に示した径方向の部分断面図である。
実施例5に係るダンパ装置3は、実施例4の変形例であり、ダンパ部101及びヒステリシス部102の入力側ユニットをフライホイール31とともにボルト12によってエンジンの出力軸(図1の1aに相当)に締結可能な構成とするとともに、リミッタ部103のみの出力側ユニットを入力側ユニットに対して組付可能にスプライン係合させることができる構成としたものである。ダンパ部101は、ヒステリシス部102と並列に配設されており、リミッタ部103と直列に配設されている。リミッタ部103は、ダンパ部101と遊星歯車機構(図1の4に相当)との間の動力伝達経路上に配設されており、ダンパ部101の出力側で慣性体として機能する。リミッタ部103の外形は、慣性を確保するとともに歯打ち音抑制効果を確保するために、ダンパ部101の外形よりも大きく構成されている。ダンパ装置3は、フライホイール31と、サイドプレート45と、センタープレート17と、コイルスプリング18と、シート部材19と、スラスト部材20、21と、皿ばね22と、ライニングプレート42と、摩擦材24、25と、プレッシャプレート26と、ハブ部材43と、軸受け46と、を有する。
なお、コイルスプリング18と、シート部材19と、スラスト部材20、21と、皿ばね22と、摩擦材24、25と、プレッシャプレート26とについては、実施例1(図2参照)の構成と同様である。また、センタープレート17については、実施例3(図4参照)の構成と同様である。また、ハブ部材43については、実施例4(図5参照)の構成と同様である。
フライホイール31は、エンジン(図1の1に相当)の出力軸(図1の1aに相当)に、サイドプレート45とともにボルト12によって取付固定された環状の部材である。フライホイール31は、外周端部近傍のダンパ部101側の面にて円筒状に突出した円筒部31aを有する。
サイドプレート45は、センタープレート17の軸方向両側に配された環状のプレートであり、ダンパ部101及びヒステリシス部102の構成部材である。サイドプレート45は、ダンパ部101よりも外周部分にて繋がっており、センタープレート17を跨ぐように配されている。サイドプレート45は、ダンパ部101にて、コイルスプリング18、及びシート部材19を収容するための窓部45b、45cを有し、当該窓部45b、45cの周方向端面がシート部材19と接離可能に接している。サイドプレート45は、ダンパ部101よりも内周側のヒステリシス部102にて、フライホイール31側のプレート部分においてスラスト部材20とスライド可能に圧接し、反対側のプレート部分において皿ばね22を支持する。サイドプレート45は、内周側に延在した内周延在部45aを有する。内周延在部45aは、フライホイール31に当接しており、フライホイール31とともにボルト12によってエンジン(図1の1に相当)の出力軸(図1の1aに相当)に取付固定されている。
ライニングプレート42は、摩擦材24、25が固定された環状又は円板状のプレートであり、リミッタ部103の構成部材である。ライニングプレート42は、内周部分にて、センタープレート17の内スプライン部17bの内周側に配された円筒状の部分を有し、その円筒状の部分の外周面に外スプライン部42aを有する。外スプライン部42aは、その外周側に配されたセンタープレート17の内スプライン部17bとスプライン係合する。ライニングプレート42は、外周部分にて摩擦材24、25がリベット(図示せず)によって固定されている。ライニングプレート42は、内周側に延在した内周延在部42bを有する。内周延在部42bの内周端部は、軸受け46を介して相対回転可能にハブ部材43のハブ部43aに支持されている。
軸受け46は、ライニングプレート42をハブ部材43に相対回転可能に支持させ、芯ずれを防止するためのガイド部材である。軸受け46は、ライニングプレート42の内周延在部42bとハブ部材43との径方向の間だけでなく、内周延在部42bとハブ部材43との軸方向の間にも配されている。
実施例5によれば、実施例1と同様な効果を奏するとともに、ダンパ部101及びヒステリシス部102の入力側ユニットをフライホイール31とともにボルト12によってエンジンの出力軸(図1の1aに相当)に締結可能な構成とすることにより、部品点数を削減することができるとともに、組付工数を低減させることができる。また、リミッタ部103のみの出力側ユニットを入力側ユニットに対して組付可能にスプライン係合させることができる構成とすることにより、組付性を向上させることができる。
本発明の実施例6に係るダンパ装置について図面を用いて説明する。図7は、本発明の実施例6に係るダンパ装置の構成を模式的に示した径方向の部分断面図である。
実施例6に係るダンパ装置3は、実施例5の変形例であり、ダンパ部101及びヒステリシス部102の入力側ユニットにおいてフライホイール48もダンパ部101及びヒステリシス部102の構成部材としたものであり、リミッタ部103のみの出力側ユニットを入力側ユニットに対して組付可能にスプライン係合させることができる構成としたものである。ダンパ部101は、ヒステリシス部102と並列に配設されており、リミッタ部103と直列に配設されている。リミッタ部103は、ダンパ部101と遊星歯車機構(図1の4に相当)との間の動力伝達経路上に配設されており、ダンパ部101の出力側で慣性体として機能する。リミッタ部103の外形は、慣性を確保するとともに歯打ち音抑制効果を確保するために、ダンパ部101の外形よりも大きく構成されている。ダンパ装置3は、フライホイール48と、サイドプレート49と、センタープレート17と、コイルスプリング18と、シート部材19と、スラスト部材20、21と、皿ばね22と、ライニングプレート42と、摩擦材24、25と、プレッシャプレート26と、ハブ部材43と、軸受け46と、を有する。
なお、センタープレート17と、コイルスプリング18と、シート部材19と、スラスト部材20、21と、皿ばね22と、ライニングプレート42と、摩擦材24、25と、プレッシャプレート26と、ハブ部材43と、軸受け46とについては、実施例5(図6参照)の構成と同様である。
フライホイール48は、エンジン(図1の1)の出力軸(図1の1a)にボルト12によって取付固定された環状の部材であり、ダンパ部101及びヒステリシス部102の構成部材である。フライホイール48は、ダンパ部101よりも外周部分にて、溶接やカシメなどによりサイドプレート49と連結されている。フライホイール48は、ダンパ部101にて、コイルスプリング18、及びシート部材19を収容するための窓部48aを有し、当該窓部48aの周方向端面がシート部材19と接離可能に接している。フライホイール48は、ダンパ部101よりも内周側のヒステリシス部102にて、スラスト部材20とスライド可能に圧接している。フライホイール48は、センタープレート17の内スプライン部17bよりも内周側でエンジン(図1の1)の出力軸(図1の1a)にボルト12によって取付固定されている。
サイドプレート49は、センタープレート17のフライホイール48側の反対側に配された環状のプレートであり、ダンパ部101及びヒステリシス部102の構成部材である。サイドプレート49は、ダンパ部101よりも外周部分にて、溶接やカシメなどによりフライホイール48と連結されている。サイドプレート49は、ダンパ部101にて、コイルスプリング18、及びシート部材19を収容するための窓部49aを有し、当該窓部49aの周方向端面がシート部材19と接離可能に接している。サイドプレート49は、ダンパ部101よりも内周側のヒステリシス部102にて、皿ばね22を支持する。
実施例6によれば、実施例1と同様な効果を奏するとともに、ダンパ部101及びヒステリシス部102の入力側ユニットにおいてフライホイール48もダンパ部101及びヒステリシス部102の構成部材とすることにより、部品点数を削減することができるとともに、組付工数を低減させることができる。また、リミッタ部103のみの出力側ユニットを入力側ユニットに対して組付可能にスプライン係合させることができる構成とすることにより、組付性を向上させることができる。
本発明の実施例7に係るダンパ装置について図面を用いて説明する。図8は、本発明の実施例7に係るダンパ装置とモータを含む動力伝達装置の構成を模式的に示した径方向の部分断面図である。
実施例7に係るダンパ装置3では、ダンパ部101及びヒステリシス部102の入力側ユニットと、リミッタ部103のみの出力側ユニットとが完全に分離され、リミッタ部103を、発電モータ7や遊星歯車機構4を収納するハウジング53内であって発電モータ7よりもエンジンの出力軸1a側に配設したものである。ダンパ部101は、ヒステリシス部102と並列に配設されており、リミッタ部103と直列に配設されている。リミッタ部103は、ダンパ部101と遊星歯車機構4との間の動力伝達経路上に配設されており、ダンパ部101の出力側で慣性体として機能する。
ダンパ装置3を含む動力伝達装置では、エンジン(図1の1に相当)の出力軸1aからダンパ部101までの動力伝達経路において、出力軸1aの回転動力は、出力軸1aにボルト12によって取付固定されたフライホイール31に伝達され、フライホイール31の円筒部31aにボルト33によって取付固定されたサイドプレート15、16に伝達され、並列に配されたダンパ部101(コイルスプリング18、シート部材19を含む)及びヒステリシス部102(スラスト部材20、21、皿ばね22を含む)に伝達される。
ダンパ部101から遊星歯車機構4までの動力伝達経路において、ダンパ部101及びヒステリシス部102からの回転動力は、ハブ部材51(フランジ部51b、窓部51c)に伝達され、ハブ部材51(ハブ部51a)とスプライン係合したシャフト52に伝達される。なお、シャフト52は、ベアリング54を介して相対回転可能にハウジング53に支持されている。シャフト52の回転動力は、ハウジング53内に入力され、シャフト52とスプライン係合したサポートプレート57(ハブ部57a)に伝達され、サポートプレート57にリベット、溶接などにより連結されたカバープレート58に伝達され、リミッタ部103(摩擦材24、25、プレッシャプレート26、皿ばね27を含む)に伝達される。なお、サポートプレート57には、ダンパ部101と遊星歯車機構4との間の動力伝達経路の慣性を強化するため、慣性体59がリベット、溶接などにより連結されている。リミッタ部103からの回転動力は、ライニングプレート60に伝達され、ライニングプレート60(ハブ部60a)とスプライン係合したシャフト61に伝達され、シャフト61とスプライン係合した遊星歯車機構4のキャリア62に伝達され、キャリア62に回転可能に支持されたピニオンギヤ4bを公転させ、リングギヤ4dを回転させる。なお、シャフト61は、図示されていない位置にてベアリング(図示せず)を介して回転可能にハウジング53に支持されている。
ここで、ハウジング53内において、リミッタ部103と遊星歯車機構4との間の空間には、発電モータ7が配設されている。発電モータ7は、ハウジング53に固定されたステータ7aと、ステータ7aの内周で回転するロータ7bと、ロータ7bに固定されたシャフト7cを有する。シャフト7cは、ベアリング55、56を介して回転可能にハウジング53に支持されている。シャフト7cは、遊星歯車機構4のサンギヤ4aと一体に回転するシャフト63とスプライン係合している。サンギヤ4aは、ピニオンギヤ4bと噛み合っている。ピニオンギヤ4bは、リングギヤ4dと噛み合っている。リングギヤ4dは、シャフト64に固定されている。シャフト64の回転動力は、ベルト(図1の6に相当)を介して減速機構(図1の5に相当)に伝達される。
実施例7によれば、実施例1と同様な効果を奏するとともに、リミッタ部103を、発電モータ7や遊星歯車機構4を収納するハウジング53内に配設することにより、ハウジング53内の油環境により、リミッタ部103の特性を安定させることができる。
本発明の実施例8に係るダンパ装置について図面を用いて説明する。図9は、本発明の実施例8に係るダンパ装置とモータを含む動力伝達装置の構成を模式的に示した径方向の部分断面図である。
実施例8に係るダンパ装置3は、実施例7の変形例であり、ダンパ部101及びヒステリシス部102の入力側ユニットと完全に分離されたリミッタ部103のみの出力側ユニットを、発電モータ7や遊星歯車機構4を収納するハウジング67内であって遊星歯車機構4の発電モータ7側の反対側に配設したものである。ダンパ部101は、ヒステリシス部102と並列に配設されており、リミッタ部103と直列に配設されている。リミッタ部103は、ダンパ部101と遊星歯車機構4との間の動力伝達経路上に配設されており、ダンパ部101の出力側で慣性体として機能する。
ダンパ装置3を含む動力伝達装置では、エンジン(図1の1に相当)の出力軸1aからダンパ部101までの動力伝達経路において、出力軸1aの回転動力は、出力軸1aにボルト12によって取付固定されたフライホイール31に伝達され、フライホイール31の円筒部31aにボルト33によって取付固定されたサイドプレート15、16に伝達され、並列に配されたダンパ部101(コイルスプリング18、シート部材19を含む)及びヒステリシス部102(スラスト部材20、21、皿ばね22を含む)に伝達される。
ダンパ部101から遊星歯車機構4までの動力伝達経路において、ダンパ部101及びヒステリシス部102からの回転動力は、ハブ部材51に伝達され、ハブ部材51とスプライン係合したシャフト66に伝達される。なお、シャフト66は、図示されていない位置にてベアリング(図示せず)を介して回転可能にハウジング67に支持されている。シャフト66の回転動力は、ハウジング67内に入力され、シャフト66とスプライン係合したライニングプレート68(ハブ部68a)に伝達され、リミッタ部103(摩擦材24、25、プレッシャプレート26、皿ばね27を含む)に伝達される。リミッタ部103からの回転動力は、カバープレート69に伝達され、カバープレート69にリベット、溶接などにより連結された遊星歯車機構4のキャリア70に伝達され、キャリア70に回転可能に支持されたピニオンギヤ4bを公転させ、リングギヤ4dを回転させる。なお、図9において、ダンパ部101は、ハウジング67の外部に配設されているが、ハウジングの内部に配設するように構成してもかまわない。また、キャリア70は、リミッタ部103において皿ばね27を支持するサポートプレートとして機能する。また、キャリア70は、リミッタ部103において摩擦材とスライド可能に圧接するカバープレートして機能させてもよい。また、ピニオンギヤ4bのキャリア70側の反対側には、ピニオンギヤ4bを回転可能に支持するキャリア4cが配設されている。キャリア4cは、キャリア70と一体に回転する。キャリア4cには、ダンパ部101と遊星歯車機構4との間の動力伝達経路の慣性を強化するため、慣性体71がリベット、溶接などにより連結されている。なお、キャリア4cは、慣性体71を連結せずに、キャリア4c自体が外周方向に延在させた構成とすることで、慣性体としての機能し、部品点数を削減することができる。
ここで、ハウジング67内において、遊星歯車機構4の出力軸1a側の空間には、発電モータ7が配設されている。発電モータ7は、ハウジング67に固定されたステータ7aと、ステータ7aの内周で回転するロータ7bと、ロータ7bに固定されたシャフト7cを有する。シャフト7cは、ベアリング55、56を介して回転可能にハウジング67に支持されている。シャフト7cは、遊星歯車機構4のサンギヤ4aと一体に回転するシャフト63とスプライン係合している。サンギヤ4aは、ピニオンギヤ4bと噛み合っている。ピニオンギヤ4bは、リングギヤ4dと噛み合っている。リングギヤ4dは、シャフト64に固定されている。シャフト64の回転動力は、ベルト(図1の6に相当)を介して減速機構(図1の5に相当)に伝達される。
実施例8によれば、実施例1と同様な効果を奏するとともに、リミッタ部103を、発電モータ7や遊星歯車機構4を収納するハウジング67内に配設することにより、ハウジング67内の油環境により、リミッタ部103の特性を安定させることができる。また、慣性体71がリミッタ部103とは別体であるが一体に回転するキャリア4cに固定されているため、スペース収納性を向上させることができ、連結構造を簡素化することができる。さらに、キャリア70がリミッタ部103において皿ばね27を支持するサポートプレートとして機能するので、部品点数を削減することができる。
本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施例ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。