JP5559490B2 - 金属蒸着層保護コート剤 - Google Patents

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Description

本発明は、金属蒸着基材における金属蒸着層を保護するためのコート剤に関するものである。
熱可塑性樹脂などの基材上に、アルミニウム、金、銀、白金などの金属を蒸着してなる金属蒸着基材は、自動車、家電、構造物、衣類、糸などに広く用いられている。特にアルミニウムを蒸着した基材は、安価であるため、様々な用途に使用されている。
基材上の金属蒸着層には、その用途によって様々な耐性が要求されることがあり、金属蒸着層を保護するために、アクリル系樹脂、変性エポキシ樹脂、変性エポキシ・アミノ樹脂などを金属蒸着層上に塗布することが知られている(特許文献1)。しかしながら、金属蒸着層上にこれらの樹脂を保護コート層として積層しても、特にアルミニウムを蒸着した層では、耐溶剤性、耐ボイル性、耐レトルト性などの耐性を充分に向上させることができなかった。
特開2005−324541号公報
本発明の課題は、上記問題を解決し、金属蒸着基材上の金属蒸着層に、耐溶剤性、耐ボイル性、耐レトルト性を付与することができる保護コート剤を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、酸変性ポリオレフィン樹脂と架橋剤とを含有する水性保護コート剤を金属蒸着層上に塗布することにより、金属蒸着層の耐溶剤性、耐ボイル性、耐レトルト性を向上させることができ、さらに、アルカリ性や酸性などの過酷な条件下においても、耐アルカリボイル性、耐酢酸レトルト性などに優れた性能を発現することを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂(A)、架橋剤(B)および水性媒体を含有し、(B)の含有量が、(A)100質量部に対して、0.5〜20質量部であり、かつ前記架橋剤(B)が、オキサゾリン化合物またはエポキシ化合物またはイソシアネート化合物またはヒドラジド化合物であることを特徴とする金属蒸着層保護コート剤。
)金属蒸着基材(a)の金属蒸着層面に、(1)載のコート剤から水性媒体を除去してなる樹脂組成物の層(b)を設けてなる積層体。
)金属蒸着基材(a)における基材が、ポリエチレンテレフタレートまたはポリプロピレンである()記載の積層体。
)金属蒸着基材(a)における金属が、アルミニウムである()または()に記載の積層体。
本発明の金属蒸着層保護コート剤から得られる塗膜は、耐溶剤性、耐ボイル性、耐レトルト性、耐アルカリボイル性、耐酢酸レトルト性に優れるため、金属蒸着層を効果的に保護することができる。さらに得られる塗膜は透明性が高いため、蒸着面の金属光沢による意匠性を損なうことがない。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の保護コート剤は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、架橋剤(B)と、水性媒体とを含有する。
本発明においては、塗膜を形成する樹脂として、ポリオレフィン樹脂を使用する。そして、ポリオレフィン樹脂は、酸変性ポリオレフィン樹脂であることが必要である。酸変性されていないポリオレフィン樹脂では、水性媒体に樹脂が十分に分散せず、水性コート剤を得ることができない。しかし、ポリオレフィン樹脂を酸変性することにより、水性媒体中に安定に分散することができる。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、不飽和カルボン酸成分とオレフィン成分とを含有する。酸変性ポリオレフィン樹脂(A)における不飽和カルボン酸成分の含有量は、塗膜と金属蒸着層との密着性の点から、0.1〜25質量%であることが好ましく、0.5〜15質量%がより好ましく、1〜8質量%がさらに好ましく、1〜5質量%が特に好ましい。
不飽和カルボン酸成分を導入するための、不飽和カルボン酸やその無水物としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、特にアクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。
また、不飽和カルボン酸成分は、ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)におけるオレフィン成分の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。オレフィン成分の含有量が50質量%未満では、密着性等のポリオレフィン樹脂由来の特性が失われてしまう。
オレフィン成分としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のアルケンや、ノルボルネンのようなシクロアルケンが例示され、これらの混合物を用いることもできる。中でも、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜6のアルケンが好ましく、この中で、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のアルケンがより好ましく、特にエチレンが好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、塗膜と金属蒸着層との密着性を向上させる理由から、(メタ)アクリル酸エステル成分を含有していることが好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂(A)における(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量は、0.5〜40質量%であることが好ましく、1〜35質量%であることがより好ましく、3〜30質量%であることがさらに好ましく、5〜25質量%であることが特に好ましく、10〜25質量%であることが最も好ましい。この成分の含有量が0.5質量%未満では、金属蒸着層との密着性が低下するおそれがあり、また、40質量%を超えると、オレフィン樹脂由来の性質が失われ、金属蒸着層との密着性が低下するおそれがある。
(メタ)アクリル酸エステル成分としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物が挙げられ、中でも入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物が好ましい。そのような化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの混合物を用いてもよい。この中で、金属蒸着層との密着性の点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルがより好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルがより好ましく、アクリル酸エチルが特に好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜またはメタクリル酸〜」を意味する。
また、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、他の成分を10質量%以下程度含有していてもよい。他の成分としては、ジエン類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類ならびにビニルエステル類を塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、置換スチレン、一酸化炭素、二酸化硫黄などが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)としては、たとえば、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−無水マレイン酸共重合体、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン、酸変性エチレン−プロピレン樹脂、酸変性エチレン−ブテン樹脂、酸変性プロピレン−ブテン樹脂、酸変性エチレン−プロピレン−ブテン樹脂、あるいはこれらの酸変性樹脂にさらにアクリル酸エステル等でアクリル変性したもの等が挙げられる。さらに、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、5〜40質量%の範囲で塩素化されていてもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)は、分子量の目安となる190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが、通常0.01〜5000g/10分、好ましくは0.1〜1000g/10分、より好ましくは1〜500g/10分、さらに好ましくは2〜300g/10分、特に好ましくは2〜200g/10分のものを用いることができる。酸変性ポリオレフィン樹脂(A)のメルトフローレートが0.01g/10分未満では、金属蒸着層との密着性が低下する。一方、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)のメルトフローレートが5000g/10分を超えると、塗膜は硬くてもろくなり、金属蒸着層との密着性が低下してしまう。
本発明のコート剤は、架橋剤(B)を含有することが必要である。架橋剤(B)を含有したコート剤を金属蒸着層上に塗布することで、蒸着金属の耐溶剤性、耐ボイル性、耐レトルト性、耐アルカリボイル性、耐酢酸レトルト性を向上させることができる。
コート剤における架橋剤(B)の含有量は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して、0.5〜20質量部であることが必要であり、0.5〜15質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましく、2〜5質量部であることが特に好ましい。架橋剤(B)の含有量が0.5質量部未満の場合や、20質量部を超える場合には、耐溶剤性、耐ボイル性、耐レトルト性、耐アルカリボイル性、耐酢酸レトルト性が発現しなくなったり、低下する傾向にある。
本発明において、架橋剤(B)としては、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、ヒドラジド化合物を使用することができ、耐酢酸ボイル性、耐アルカリボイル性、耐酢酸レトルト性に優れることから、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、ヒドラジド化合物を使用することが好ましい。特にヒドラジド化合物は、コート剤を塗布した後の乾燥時間を短縮することができるので好ましい。
本発明において架橋剤(B)として用いることのできるオキサゾリン化合物としては、分子中に少なくともオキサゾリン基を2つ以上有しているものであれば特に限定されるものではなく、例えば、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレン−ビス(2−オキサゾリン)、ビス(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィドなどのオキサゾリン基を有する化合物や、オキサゾリン基含有ポリマーなどが挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、取り扱いやすさからオキサゾリン基含有ポリマーが好ましい。オキサゾリン基含有ポリマーは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン等の付加重合性オキサゾリンを重合させることにより得られる。必要に応じて他の単量体が共重合されていてもよい。オキサゾリン基含有ポリマーの重合方法は、特に限定されず、公知の種々の重合方法を採用することができる。
オキサゾリン基含有ポリマーの市販品としては、日本触媒社製エポクロスシリーズなどが挙げられる。より具体的には、水溶性タイプの「WS−500」、「WS−700」、エマルションタイプの「K−1010E」、「K−1020E」、「K−1030E」、「K−2010E」、「K−2020E」、「K−2030E」などが挙げられる。
コート剤におけるオキサゾリン化合物の含有量も同様の理由から、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して、0.5〜20質量部であることが必要であり、0.5〜10質量部であることが好ましく、0.7〜5質量部であることがより好ましく、1〜3質量部であることが特に好ましい。
本発明において架橋剤(B)として用いることのできるエポキシ化合物としては、分子中に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有しているものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル、ジグリシジルテレフタレート、ジグリシジルオルトフタレートなどのグリシジルエステル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンおよび1,3−ビス(N,N′−ジアミングリシジルアミノメチル)シクロヘキサンなどのグリシジルアミンなどが挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。
エポキシ化合物の市販品としては、アデカ社製アデカレジンシリーズやナガセ化成工業社製デナコールシリーズなどが挙げられる。より具体的には、「アデカレジンEM−101−50」、「アデカレジンEM−107−50L」、「アデカレジンEM−0517」、「アデカレジンEM−051R」、「アデカレジンEM−054R」、「デナコールEM−150」などが挙げられる。
コート剤におけるエポキシ化合物の含有量も同様の理由から、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して、0.5〜20質量部であることが必要であり、0.5〜10質量部であることが好ましく、1〜7質量部であることがより好ましく、2〜6質量部であることが特に好ましい。
本発明において架橋剤(B)として用いることのできるイソシアネート化合物としては、分子中に少なくとも2つ以上のイソシアネート基を有しているものであれば特に限定されるものではなく、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。またこれらの各有機ジイソシアネート過剰と多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物、あるいはこれらポリイソシアネートをもとにしたカルボジイミド基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、ビュウレット基、又はイソシアヌレート基を持つ変性物を用いることもできる。
イソシアネート化合物の市販品としては、BASF社製のバソナート(BASONAT)PLR8878、バソナートHW−100等、住友バイエルウレタン社製のバイヒジュール(Bayhydur)3100、バイヒジュールVPLS2150/1、SBUイソシアネートL801、デスモジュール(Desmodur)N3400、デスモジュールVPLS2102、デスモジュールVPLS2025/1、SBUイソシアネート0772、デスモジュールDN等、武田薬品工業社製のタケネートWD720、タケネートWD725、タケネートWD730等、旭化成工業社製のデュラネートWB40−100、デュラネートWB40−80D、デュラネートWX−1741等、日本ポリウレタン社製のコロネートシリーズ等が挙げられる。
コート剤におけるイソシアネート化合物の含有量も同様の理由から、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して、0.5〜20質量部であることが必要であり、0.5〜15質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましく、2〜5質量部であることが特に好ましい。
本発明において架橋剤(B)として用いることのできるヒドラジド化合物としては、分子中に少なくとも2つ以上のヒドラジド基を有するものであれば特に限定されるものではなく、また、低分子化合物であっても重合体であってもよい。低分子のヒドラジド化合物としては、例えば、アジピン酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどの炭素原子を2〜10個、特に4〜6個含有するジカルボン酸ジヒドラジド;エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジンなどの炭素原子を2〜4個有する脂肪族の水溶性ジヒドラジンなどが挙げられ、これらは1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。重合体のヒドラジド化合物としては、その構造や特性は特に限定されないが、例えば、アクリルアミドとアクリル酸ヒドラジドを共重合して得られたものなどが挙げられる。重合体のヒドラジド化合物の市販品としては、大塚化学社製APAシリーズなどが挙げられる。より具体的には、「APA−M950」、「APA−M980」、「APA−P250」、「APA−P280」などが挙げられる。
コート剤におけるヒドラジド化合物の含有量も同様の理由から、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)100質量部に対して、0.5〜20質量部であることが必要であり、0.5〜10質量部であることが好ましく、0.7〜5質量部であることがより好ましく、1〜3質量部であることが特に好ましい。
本発明の金属蒸着層保護コート剤は、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と架橋剤(B)と水性媒体とを含有する。コート剤の媒体は、作業者や作業環境への安全性の観点から、水を主成分とすることが好ましい。酸変性ポリオレフィン樹脂(A)や架橋剤(B)の水性化、溶解、乾燥負荷低減などの目的のために、媒体には、水以外に有機溶剤が含まれていても差し支えない。また媒体には、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)等を水性化する際に添加される水溶性の塩基性化合物を含む場合もある。
上述のように、本発明のコート剤においては、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性化を促進し、分散粒子径を小さくするために、水性化の際に有機溶剤を添加することが好ましい。使用する有機溶剤量は、水性媒体中の40質量%以下が好ましく、1〜40質量%であることがより好ましく、2〜35質量%がさらに好ましく、3〜30質量%が特に好ましい。有機溶剤量が40質量%を超える場合には、実質的に水性媒体とはみなせなくなり、使用する有機溶剤によっては水性分散体の安定性が低下してしまう場合がある。なお、水性化の際に添加した有機溶剤は、ストリッピングと呼ばれる脱溶剤操作で系外へ留去させて適度に減量してもよく、有機溶剤量を低くしても、特に性能面での影響はない。
本発明において使用される有機溶剤としては、沸点が30〜250℃のものが好ましく、50〜200℃のものが特に好ましい。これらの有機溶剤は2種以上を混合して使用してもよい。なお、有機溶剤の沸点が30℃未満の場合は、樹脂の水性化時に揮発する割合が多くなり、水性化の効率が十分に高まらない場合がある。沸点が250℃を超える有機溶剤は樹脂塗膜から乾燥によって飛散させることが困難であり、塗膜の耐水性が低下する場合がある。
上記の有機溶剤の中でも、樹脂の水性化促進に効果が高く、しかも水性媒体中から有機溶剤を除去し易いという点から、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルが好ましく、低温乾燥性の点からエタノール、n−プロパノール、イソプロパノールが特に好ましい。
また本発明のコート剤において、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)中のカルボキシル基は、塩基性化合物によって中和されていることが好ましい。中和によって生成したカルボキシルアニオン間の電気反発力によって微粒子間の凝集が防がれ、水性分散体に安定性が付与される。水性化の際に用いる塩基性化合物はカルボキシル基を中和できるものであればよい。従って、このような目的で添加される塩基性化合物は、水性化助剤といえるが、本発明の効果を損なわないためには塩基性化合物は揮発性のものが用いられる。
水性分散体に添加する塩基性化合物として、塗膜形成時に揮発するアンモニア又は有機アミン化合物が塗膜の耐水性の面から好ましく、中でも沸点が30〜250℃、さらには50〜200℃の有機アミン化合物が好ましい。沸点が30℃未満の場合は、後述する樹脂の水性化時に揮発する割合が多くなり、水性化が完全に進行しない場合がある。沸点が250℃を超えると樹脂塗膜から乾燥によって有機アミン化合物を飛散させることが困難になり、塗膜の耐水性が低下する場合がある。
有機アミン化合物の具体例としては、トリエチルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等を挙げることができる。
塩基性化合物の添加量は酸変性ポリオレフィン樹脂(A)中のカルボキシル基に対して0.5〜3.0倍当量であることが好ましく、0.8〜2.5倍当量がより好ましく、1.01〜2.0倍当量が特に好ましい。0.5倍当量未満では、塩基性化合物の添加効果が認められず、3.0倍当量を超えると塗膜形成時の乾燥時間が長くなったり、水性分散体が着色する場合がある。
本発明のコート剤の製造方法を説明する。
本発明のコート剤の製造方法としては、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と架橋剤(B)とを水性媒体中に均一に分散または溶解することができる方法であれば、特に限定されるものではない。たとえば、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の分散体と架橋剤(B)の液状物とを混合し、さらに必要に応じて水または有機溶媒などを添加する方法が挙げられる。酸変性ポリオレフィン樹脂(A)や架橋剤(B)を水性分散体とする方法としては、これらの成分を、水性媒体、塩基性化合物とともに加熱、攪拌する方法が挙げられる。この際、必要に応じて乳化剤等の水性化助剤を使用してもよい。
また、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と架橋剤(B)の各原料樹脂を混合した後、水や有機溶媒と混合して水性分散化または溶解させる方法も挙げられ、必要に応じて塩基性化合物や乳化剤を使用すればよい。
いずれの製法においても、工程後や工程中に、水や有機溶剤を留去したり、水や有機溶媒により希釈することによって任意に濃度調整を行うことができる。
本発明に使用可能な酸変性ポリオレフィン樹脂(A)としては、アルケマ社製のHX−8290、TX−8030、HX−8210などが挙げられる。また、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体としては、三井化学社製のケミパールSA−100、ケミパールS−75N、日本製紙社製のスーパークロンE−723などが挙げられる。
本発明のコート剤における樹脂含有率は、成膜条件、目的とする塗膜厚さや要求される耐性等に応じて適宜選択され、特に限定されるものではない。コート剤の粘性を適度に保ち、かつ良好な塗膜形成能を発現させる点で、1〜60質量%であることが好ましく、3〜55質量%であることがより好ましく、5〜50質量%であることがさらに好ましく、5〜45質量%であることが特に好ましい。
なお、本発明のコート剤には、乳化剤等の不揮発性の水性化助剤を使用してもよいが、金属蒸着層との密着性の観点から、コート剤中の含有量を5質量%以下とすることが好ましく、使用しないことが最も好ましい。不揮発性の水性化助剤としては、乳化剤、保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子などが挙げられる。
乳化剤としては、カチオン性乳化剤、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、あるいは両性乳化剤が挙げられ、一般に乳化重合に用いられるもののほか、界面活性剤類も含まれる。例えば、アニオン性乳化剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、高級カルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等が挙げられ、ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などのポリオキシエチレン構造を有する化合物やポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのソルビタン誘導体等が挙げられ、両性乳化剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
保護コロイド作用を有する化合物、変性ワックス類、高酸価の酸変性化合物、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその塩、カルボキシル基含有ポリエチレンワックス、カルボキシル基含有ポリプロピレンワックス、カルボキシル基含有ポリエチレン−プロピレンワックスなどの数平均分子量が通常は5000以下の酸変性ポリオレフィンワックス類およびその塩、アクリル酸−無水マレイン酸共重合体およびその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸交互共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の不飽和カルボン酸含有量が10質量%以上のカルボキシル基含有ポリマーおよびその塩、ポリイタコン酸およびその塩、アミノ基を有する水溶性アクリル系共重合体、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン等、一般に微粒子の分散安定剤として用いられている化合物が挙げられる。
本発明のコート剤には、必要に応じて、ブロッキング防止剤、レベリング剤、消泡剤、ワキ防止剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤等の各種薬剤を添加してもよい。
本発明のコート剤には、必要に応じて他の重合体を添加することができる。例えば、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデン、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、変性ナイロン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂が挙げられ、2種以上使用してもよい。添加時期は特に限定されず、たとえば、上記重合体の液状物を適宜添加すればよい。
本発明のコート剤を金属蒸着基材(a)の金属蒸着層面に塗工する方法は特に限定されるものではないが、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、リップコーティング、エアナイフコーティング、カーテンフローコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、はけ塗り法等が採用できる。塗工後の乾燥は、100〜180℃、10秒〜10分の条件で実施することが好ましい。コート剤の塗布量については、基材によって適宜、決定すればよい。塗膜の厚みは、基材が熱可塑性樹脂フィルムの場合、ヒートシール性を十分高めるためには少なくとも0.1μmより厚くすることが好ましく、0.1〜10μmであることがより好ましく、0.2〜8μmがさらに好ましく、0.3〜7μmが特に好ましい。
金属蒸着基材(a)の金属蒸着層面上に、本発明のコート剤から水性媒体を除去してなる樹脂組成物の層(b)を設ければ、金属蒸着層に、耐溶剤性、耐ボイル性、耐レトルト性、耐アルカリボイル性、耐酢酸レトルト性等の耐性が得られる。このようにして得られる積層体は、バリアフィルムや、めっき調鏡面シート、金銀糸、反射板、反射ワッペンなどとして使用することができる。めっき調鏡面シートは、その金属調の意匠性により、様々な用途に好適に使用できる。たとえば、エンブレム、フロントグリル、ドアノブ、スイッチ、ボタン類のような自動車用内外装部品;看板、展示材、パーティションのような建材;コンピュータ、楽器、家電、ゲーム機などの本体やカバーなどが挙げられる。反射板、反射ワッペンは、道路標識や高輝度反射ベストなどの衣服などが挙げられる。本発明の積層体には、上記のような種々の用途に応じて、適当な金型を用いて成形することで後加工を施すこともできる。
金属蒸着基材(a)における基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂や、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂や、ポリスチレン、ABS等のスチレン系樹脂や、ポリ塩化ビニル樹脂、金属、紙、糸等を用いることができる。成形性と耐熱性の点からポリエチレンテレフタレートまたはポリプロピレンを使用することが好適である。
金属蒸着基材(a)の厚さは特に限定されるものではないが、通常0.5〜1000μm、好ましくは1〜500μm、より好ましくは1〜100μm、特に好ましくは1〜50μmである。
金属蒸着基材(a)における金属としては、特に限定されないが、金、銀、銅、鉄、真鍮、アルミニウム、アルミナ、クロム、ニッケル、錫、ステンレスを例示することができる。成形性、価格面の点からアルミニウムまたは銀を使用することが好ましい。また、2種類以上の金属を重ねて基材に蒸着してもよい。例えば、アルミニウム蒸着層の上にさらに銀を蒸着することによって、アルミニウムの抜けをより効果的に抑制することができる。
金属蒸着層の厚さは特に限定されるものではないが、通常0.02〜0.1μm、好ましくは0.02〜0.09μm、より好ましくは0.03〜0.08μm、特に好ましくは0.03〜0.07μmである。
蒸着方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
以下に実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお、各種の特性については以下の方法によって測定または評価した。
1.水性分散体の特性
(1)ポリオレフィン樹脂の構成
オルトジクロロベンゼン(d)中、120℃にてH−NMR分析(バリアン社製、300MHz)を行い求めた。
(2)ポリオレフィン樹脂のメルトフローレート
JIS 6730記載の方法(190℃、2160g荷重)で測定した値である。
(3)ポリオレフィン樹脂の融点
DSC(Perkin Elmer社製DSC−7)を用いて昇温速度10℃/分で測定した値である。
(4)ポリオレフィン樹脂水性分散体の固形分濃度
ポリオレフィン樹脂水性分散体を適量秤量し、これを150℃で残存物(固形分)の質量が恒量に達するまで加熱し、固形分濃度を求めた。
(5)ポリオレフィン樹脂粒子の平均粒子径
日機装社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340)を用い、数平均粒子径、重量平均粒子径を求めた。
2.塗膜の特性
以下の評価においては、金属蒸着基材(a)として、アルミニウム蒸着PETフィルム(尾池工業社製、エコモールド、厚み12μm)、アルミニウム蒸着未延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(東セロ社製、メタラインフィルム、厚み25μm)を用いた。
下記(1)密着性、(2)耐ブロッキング性以外の評価には、アルミニウム蒸着フィルムのアルミニウム蒸着面に、コート剤を乾燥後の膜厚が1μmになるようにマイヤーバーを用いて塗布し、150℃で5分間または150℃で20秒、乾燥させて作製した積層フィルムを使用した。
(1)密着性(テープ剥離試験)
アルミニウム蒸着フィルムのアルミニウム蒸着面に、コート剤を乾燥後の膜厚が1μmになるようにマイヤーバーを用いて塗布した後、100℃で2分間乾燥させた。得られた積層フィルムを室温で1日放置後、塗布面にセロハンテープ(ニチバン社製TF−12)を貼り付け、テープを一気に剥がした場合の剥がれの程度を次の基準で目視評価した。
○:全く剥がれなし。
△:一部、剥がれた。
×:全て剥がれた。
(2)耐ブロッキング性
アルミニウム蒸着フィルムのアルミニウム蒸着面に、コート剤を乾燥後の膜厚が1μmになるようにマイヤーバーで塗布し、150℃で5分間乾燥した。得られた積層フィルムを2枚用意し、塗布面同士を重ね合わせた状態で、0.1MPaの負荷をかけ、30℃、65%RHの雰囲気下で24時間放置後、その耐ブロッキング性を次の3段階で評価した。
○:軽く持ち上げる程度で剥離する。
△:引っ張ることで剥離する。
×:塗膜の界面あるいは凝集剥離が認められる。
(3)塗膜の透明性
積層フィルムのコート剤塗布面の状態を目視観察した。
○:塗膜は透明であり、塗膜を通して蒸着面が鏡面状に見える。
△:部分的に塗膜が白濁している。
×:塗膜は白濁しており、塗膜を通して蒸着面が曇って見える。
(4)防錆性
積層フィルムを3%NaClに30℃で96時間浸漬し、塗膜や蒸着金属の状態を目視にて評価した。
○:変化なし。
△:一部に、塗膜と蒸着金属の抜け落ちがある。
×:全体に、塗膜と蒸着金属が抜け落ちている。
(5)耐溶剤性
積層フィルムを80%エタノールに20℃で96時間浸漬し、塗膜や蒸着金属の状態を目視にて評価した。
○:変化なし。
△:塗膜の一部に剥がれが見られるか又は白色になっている。
×:塗膜のすべてが剥がれるか又は白色になっている。
(6)耐アルカリ性
積層フィルムを5%水酸化ナトリウムに40℃で24時間浸漬し、塗膜や蒸着金属の状態を目視にて評価した。
○:変化なし。
△:塗膜の一部に剥がれが見られるか又は白色になっている。
×:塗膜のすべてが剥がれるか又は白色になっている。
(7)耐酢酸ボイル性
積層フィルムを1%酢酸熱水溶液に98℃で2時間浸漬し、塗膜や蒸着金属の状態を目視にて評価した。
○:変化なし。
△:一部に、塗膜と蒸着金属の抜け落ちがあり、部分的に塗膜が白濁している。
×:全体に、塗膜と蒸着金属が抜け落ちている。
(8)耐ボイル性
積層フィルムを98℃の熱水に2時間浸漬し、塗膜や蒸着金属の状態を目視にて評価した。
○:変化なし。
×:全体に、塗膜と蒸着金属が抜け落ちている。
(9)耐レトルト性
積層フィルムと水とを密閉金属容器に入れて130℃のオイルバスに1時間浸漬し、塗膜や蒸着金属の状態を目視にて評価した。
○:変化なし。
×:全体に、塗膜と蒸着金属が抜け落ちている。
(10)耐アルカリボイル性
積層フィルムを5%水酸化ナトリウムに98℃で2時間浸漬し、塗膜や蒸着金属の状態を目視にて評価した。
○:変化なし。
△:一部に、塗膜と蒸着金属の抜け落ちがあり、部分的に塗膜が白濁している。
×:全体に、塗膜と蒸着金属が抜け落ちている。
(11)耐酢酸レトルト性
積層フィルムと1%酢酸水溶液とを密閉金属容器に入れて130℃のオイルバスに1時間浸漬し、塗膜や蒸着金属の状態を目視にて確認した。
○:変化なし。
△:一部に、塗膜と蒸着金属の抜け落ちがあり、部分的に塗膜が白濁している。
×:全体に、塗膜と蒸着金属が抜け落ちている。
使用したポリオレフィン樹脂の組成を表1に示す。
(ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1Lガラス容器を備えた撹拌機を用いて、125.0gのポリオレフィン樹脂(ア)〔ボンダインHX−8290、アルケマ社製〕、75.0gのイソプロパノール(以下、IPA)、7.0gのトリエチルアミン(以下、TEA)および293gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を130℃に保ってさらに30分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を得た。この水性分散体の各種特性を表2に示した。
(ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2の製造)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1Lガラス容器を備えた撹拌機を用いて、100.0gのポリオレフィン樹脂(イ)〔ボンダインTX−8030、アルケマ社製〕、150.0gのIPA、6.0gのTEAおよび244.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を130℃に保ってさらに30分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体E−2を得た。この水性分散体の各種特性を表2に示した。
(ポリオレフィン樹脂水性分散体E−3の製造)
ポリオレフィン樹脂(ウ)〔ボンダインHX−8210、アルケマ社製〕を用いた以外は、E−1と同様の操作でポリオレフィン樹脂水性分散体E−3を得た。この水性分散体の各種特性を表2に示した。
(架橋剤:K−1)
日本触媒社製エポクロスWS−700(2−イソプロペニル−2−オキサゾリンを重合してなるオキサゾリン化合物の水性溶液、固形分濃度40質量%)を使用した。
(架橋剤:K−2)
アデカ社製アデカレジンEM−0517(ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ化合物の水性溶液、固形分濃度51質量%、エポキシ当量730)を使用した。
(架橋剤:K−3)
BASF社製バソナートHW−100(非ブロック型の多官能イソシアネート化合物、イソシアネート含有率約17%)を水で希釈し、固形分濃度が10質量%の溶液を使用した。
(架橋剤:K−4)
大塚化学社製ADH(アジピン酸ジヒドラジド)を水に溶解し、固形分濃度が8質量%の溶液を使用した。
表3に用いた架橋剤を示す。
実施例1
E−1とK−1とを、E−1の固形分100質量部に対して、K−1の固形分が1質量部となるように室温にてメカニカルスターラーで攪拌(100rpm)・混合し、コート剤J−1を調製した。
実施例2〜35、比較例1〜11
表4〜9に示すように、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)や架橋剤(B)の種類や比率を変更した以外は、実施例1と同様の操作を行ってコート剤J−2〜J−27、H−1〜H−11を得た。
実施例1〜27、32〜35、比較例1〜11では、コート剤をアルミニウム蒸着PETフィルムに塗布し、また実施例28〜31では、アルミニウム蒸着未延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムに塗布し、次いで実施例1〜31、比較例1〜11では、150℃で5分乾燥し、また実施例32〜35では、150℃で20秒乾燥して積層体を作製した。得られた積層体の評価結果を表4〜表9に示した。
実施例1〜35では、コート剤から得られる塗膜は、耐溶剤性、耐ボイル性、耐レトルト性、耐アルカリボイル性、耐酢酸レトルト性などの耐性に優れていた。また、架橋剤としてヒドラジド化合物を使用した実施例35では、乾燥時間を短縮しても耐溶剤性、耐ボイル性、耐レトルト性、耐アルカリボイル性、耐酢酸レトルト性などの耐性に優れる塗膜が得られた。
これに対し、比較例1〜3では架橋剤(B)を含有していないため、また、比較例4、6、8、10は、架橋剤(B)の含有量が本発明で規定する量よりも下方に外れていたため、耐溶剤性、耐ボイル性、耐レトルト性、耐アルカリボイル性、耐酢酸レトルト性などに劣っていた。比較例5、7、9、11は、架橋剤の含有量が本発明で規定するよりも上方に外れていたため、耐ブロッキング性は良好であったが、耐溶剤性、耐ボイル性、耐レトルト性、耐アルカリボイル性、耐酢酸レトルト性などが低下していた。

Claims (4)

  1. 酸変性ポリオレフィン樹脂(A)、架橋剤(B)および水性媒体を含有し、(B)の含有量が、(A)100質量部に対して、0.5〜20質量部であり、かつ前記架橋剤(B)が、オキサゾリン化合物またはエポキシ化合物またはイソシアネート化合物またはヒドラジド化合物であることを特徴とする金属蒸着層保護コート剤。
  2. 金属蒸着基材(a)の金属蒸着層面に、請求項1載のコート剤から水性媒体を除去してなる樹脂組成物の層(b)を設けてなる積層体。
  3. 金属蒸着基材(a)における基材が、ポリエチレンテレフタレートまたはポリプロピレンである請求項記載の積層体。
  4. 金属蒸着基材(a)における金属が、アルミニウムである請求項またはに記載の積層体。
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