JP5554519B2 - プラスチック積層体及びその製造方法 - Google Patents

プラスチック積層体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5554519B2
JP5554519B2 JP2009160915A JP2009160915A JP5554519B2 JP 5554519 B2 JP5554519 B2 JP 5554519B2 JP 2009160915 A JP2009160915 A JP 2009160915A JP 2009160915 A JP2009160915 A JP 2009160915A JP 5554519 B2 JP5554519 B2 JP 5554519B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plasma cvd
supply rate
layer
film layer
cvd film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009160915A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011016257A (ja
Inventor
峰男 野崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Tsukishima Kikai Co Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Tsukishima Kikai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd, Tsukishima Kikai Co Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP2009160915A priority Critical patent/JP5554519B2/ja
Publication of JP2011016257A publication Critical patent/JP2011016257A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5554519B2 publication Critical patent/JP5554519B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Description

本発明は、表面に乾式のハードコート層を有する、好適には透明又は半透明のプラスチック積層体及びその製造方法に関するものである。より詳しくは、例えば自動車ガラスの代替として使用され、少なくとも炭素を含む有機珪素化合物のプラズマCVDによるプラズマCVD膜層を外面に有するプラスチック積層体に係るものである。
例えば、透明性の高いポリカーボネート樹脂は、ガラスに比べて軽量性や耐衝撃性や加工性に優れており、これらの長所を活かしてメガネのレンズや自動車の窓等として、ガラスに代えて広く用いられている。このような光学上の用途では、透明性が高いことが重視されるため、表面に傷が付きにくいことが当然に要求される。しかし、一般に、透明なポリカーボネート樹脂の表面は、その物性から耐擦傷性がガラスに比して劣るため、その欠点を補うべく種々の表面硬化法により製造される透明プラスチック積層体が提案されている。
プラスチック成形物の耐摩耗性の改良を目的として、例えばプラスチック成形物の表面にアクリル樹脂層を湿式コーティングし、さらにその上にオルガノシロキサン系樹脂の硬化膜を湿式コーティングする方法が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、このような湿式法による被膜は、例えば自動車ガラスの代替品とするためには、十分な硬度及び耐擦傷性を得ることは困難である。
他方、本出願人は、特許文献3に、例えばポリカーボネート樹脂表面上に直接、オルガノシロキサン、オルガノシラン又はシラザンの蒸気と共に酸素ガスを存在せしめてプラズマ重合させてハードコート層を形成することにより、十分な硬度及び耐擦傷性を得ることを提案し、その有効性を確認している。プラズマ重合法は、真空反応容器中において気体で存在するような蒸気圧を有する有機化合物に対して、真空反応容器中でプラズマ励起させることによって重合せしめ、ピンホールのような欠陥のない被膜が形成されることを利用するものである。また、真空反応容器中でのプラズマ重合法における反応は、常温での反応であり、プラスチックの耐用温度よりも低い温度で被膜を形成できるという利点がある。しかも、このプラズマ重合法における反応は比較的低温で行うにもかかわらず、電子温度が高いので、化学反応では高温でしか起こらないような反応を行わせることができるために、架橋度が高く、高い硬度を有する膜を形成させることができるという利点がある。
しかし、例えばポリカーボネート樹脂は、特に自動車用途においては、紫外線に晒されて劣化を生じることがある点が大きな問題として残る。
この問題のひとつの解決法は、紫外線を遮断することである。そこで、特許文献4には、ポリカーボネート樹脂表面に対して、紫外線遮断用コーティング層を形成し、その上に、耐摩耗性コーティング層を形成することを開示している。この特許文献4における耐摩耗性コーティング層としては、「特定のジオルガノジオルガノオキシラン(diorganodiorgonoxiysilane)や、特定のオルガノトリオルガノオキシラン(organotriorganoxysilane)、さらにはこれら双方から構成されている。」をプラズマ重合法によって形成できることが記載されているが、それ以上の詳しい説明はなされていない。しかも、特許文献4のものでは、その記載からすれば紫外線遮断用コーティング層と耐摩耗性コーティング層との密着性は高いものとは推測できない。
特公平4−55615号公報 特開2004−35608号公報 特許第3446150号公報 特表2005−519792号公報
したがって、本発明の主たる課題は、透明又は半透明ポリカーボネート樹脂の表面に湿式法で形成された硬化膜上に、この硬化膜と密着性が高く、尚かつ硬くて耐擦傷性の大きいプラズマCVD膜層を形成するプラスチック積層体及びその製造方法を得ることにある。
次に、上記課題を解決するための手段とそれらの作用効果を示す。
<請求項1に係る発明>
透明又は半透明プラスチック基板の表面に湿式法で硬化膜を形成し、その硬化膜上にプラズマCVD膜層を積層するプラスチック積層体の製造方法において、
原料として少なくとも1種類のオルガノシロキサンの蒸気と共に酸素ガスを存在させ、且つ、成膜時間経過に伴って、オルガノシロキサンの供給速度及び酸素ガスの供給速度を増加させると共に、プラズマ発生電力を減少させてプラズマCVD膜層を積層する、
さらにその積層に際し、プラズマCVD膜層における前記硬化膜側において、X線光電子分析装置(ESCA)により測定した、珪素、酸素、及び炭素の含有量の合計を100%とした際に、炭素の含有量が2%以下とともにプラズマCVD膜層の表面側において、X線光電子分析装置(ESCA)により測定した、珪素、酸素及び炭素の含有量の合計を100%とする条件の下で、炭素の含有量が1%を超え8%以下となるように制御する、
ことを特徴とするプラスチック積層体の製造方法。
(作用効果)
プラズマCVD膜層を湿式法で形成された硬化膜上に積層する際に、プラズマ発生電力を低減させるとともに、オルガノシロキサンの供給速度及び酸素ガスの供給速度を変化させることによって、湿式法で形成された硬化膜の表面と、硬くて耐擦傷性の大きいプラズマCVD膜層とが強固に密着せしめられる。
また、プラズマ発生電力を成膜時間経過に伴って減少させていくことによって、熱の発生量が抑えられるため、透明又は半透明ポリカーボネート樹脂及び湿式法で形成された硬化膜が、熱によって変質又は変形してしまうことを低減することができる。
<請求項2に係る発明>
成膜時間経過に伴って、オルガノシロキサンの供給速度及び酸素ガスの供給速度を増加させ、且つ、プラズマ発生電力を減少させた後に、オルガノシロキサンの供給速度、酸素ガスの供給速度、及びプラズマ発生電力を実質的に一定に保持してプラズマCVD膜層を積層する、
請求項1に記載のプラスチック積層体の製造方法。
(作用効果)
本請求項に係る発明のごとく、成膜時間経過に伴って、オルガノシロキサンの供給速度及び酸素ガスの供給速度を増加させ、且つ、プラズマ発生電力を減少させた後に、オルガノシロキサンの供給速度、酸素ガスの供給速度、及びプラズマ発生電力を一定に保持してプラズマCVD膜層を積層することによって、プラズマCVD膜層の表層において十分な耐擦傷性を確保できるだけの硬度を得ることができる。
<請求項3に係る発明>
成膜開始とともに、オルガノシロキサンの供給速度及び酸素ガスの供給速度を連続的に増加させ、且つ、プラズマ発生電力を連続的に減少させることを、同時に行う請求項1又は請求項2に記載のプラスチック積層体の製造方法。
(作用効果)
本請求項に係る発明によれば、硬化膜上に対するプラズマCVD膜層の組成分布が好適なものとすることができる。
<請求項4に係る発明>
成膜時間経過に伴って、オルガノシロキサンの供給速度及び酸素ガスの供給速度を増加させ、且つ、プラズマ発生電力を減少させる場合、その増加および/または減少が連続的に行われる、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のプラスチック積層体の製造方法。
(作用効果)
本請求項に係る発明によれば、プラズマCVD膜層の組成分布を連続的に変化させることができる。
<請求項に係る発明>
請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のプラスチック積層体の製造方法によって製造されたプラスチック積層体。
以上のように本発明によれば、透明又は半透明ポリカーボネート樹脂の表面に湿式法で形成された硬化膜上に、この硬化膜と密着性が高く、尚かつ硬くて耐擦傷性の大きいプラズマCVD膜層を形成するプラスチック積層体及びその製造方法を得ることができる。
本発明の一実施形態に適用される透明又は半透明プラスチック積層体の断面図である。 ポリカーボネート樹脂上に湿式コーティング第1層および湿式コーティング第2層を有するプラスチック成形体の表面からCVD膜の外表面にかけての、炭素含有率の変化を摸式的に示すグラフである。 実施例におけるプラズマ重合反応条件としての、投入RF電力、有機珪素化合物蒸気および酸素ガスの供給速度の経時変化を模式的に示すグラフである。 比較例におけるプラズマ重合反応条件としての、投入RF電力、有機珪素化合物蒸気および酸素ガスの供給速度の経時変化を模式的に示すグラフである。 比較例におけるプラズマ重合反応条件としての、投入RF電力、有機珪素化合物蒸気および酸素ガスの供給速度の経時変化を模式的に示すグラフである。 本発明のプラズマCVD膜層を形成するための容量結合型のプラズマ重合装置例の概略図である。
次に、本発明に係るプラスチック積層体及びその製造方法の一実施形態を、添付図面を参照しつつ詳説する。
図1に示すように、本発明に係る透明又は半透明プラスチック積層体100は、ポリカーボネート樹脂50の表面に、湿式法で形成された硬化膜である湿式コーティング第1層60と、同じく湿式法で形成された硬化膜である湿式コーティング第2層70と、プラズマCVD膜層80とが順に積層されることで構成されている。なお、湿式法で形成された硬化膜は、2層に限ることなく、1層で形成された硬化膜にも適用可能である。
プラスチック基材の材料50としては、具体的にはポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレート)等のポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホンなどが挙げられる。これらの樹脂は単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
本発明にかかるプラスチック基材として、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂が好ましく、特にポリカーボネート樹脂が好ましい。
ポリカーボネート樹脂の厚みは1〜30mmの範囲が好ましい。
<湿式コーティング>
一般に、湿式コーティングによるハードコート処理には、有機系、無機系、有機・無機ハイブリッド系の分類がある。本開発でプラズマCVD膜を積層する湿式コーティングは、オルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜が望ましい。オルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜は、アルコキシシランの加水分解・部分縮合物が加熱により縮合硬化していく過程を経てコーティングされ、硬化皮膜の主骨格はシロキサン結合で構成される。このオルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜の膜構造に対して密着性の良いプラズマCVD膜製造方法を発明した。有機系には、メラニン系、ウレタン系、アルキド系、含フッ素樹脂系、アクリル系などがあるが、これらの有機系コーティングに比べて、オルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜は、骨格構造の中に有機系の部分を残すが、より無機質に近く、耐擦傷性に富む保護膜となる。湿式コーティング膜積層体は、ポリカーボネートにオルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜を一層コーティングした積層体でも良いし、オルガノシロキサン系樹脂熱硬化膜とポリカーボネートの間にウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラニン樹脂、アミノ樹脂、多官能アクリル樹脂などのコーティングを積層した二層コーティングの積層体でも良い。また、機能付与を目的に、光安定剤、紫外線吸収剤、コロイダルシリカなどの添加物が含まれている湿式コーティングに対しても、好適にプラズマCVD膜を積層することが出来る。
<プラズマCVD膜層80>
プラズマCVD膜層80としては、湿式コーティング第1層60および湿式コーティング第2層70を積層したポリカーボネート樹脂50に、例えば、少なくとも1種類のオルガノシロキサン、オルガノシラン又はシラザンの蒸気と共に酸素ガスを存在せしめてプラズマ重合させることによって湿式コーティング第2層70の表面に積層される。その厚みは、1〜10μm、特に3〜8μmが望ましい。膜厚が薄いと所望の硬度及び耐擦傷性が得にくく、反対に10μmを超えても硬度及び耐擦傷性の効果は飽和し、経済的でないものとなる。
また、プラズマCVD膜層80は、湿式コーティング第2層70側が耐擦傷性のシリコン系保護層である場合、その接触面で炭素含有率が低いのが望ましい。さらに、プラズマCVD膜層80は、湿式コーティング第2層70との接触面から表面に向かうに従って炭素含有率が増加している方が望ましい。そして、プラズマCVD膜層80における炭素含有率が、湿式コーティング第2層70との界面から少なくとも0.1μmの範囲、プラズマCVD膜層80の外面側に向かって連続的に増加しているのが最適である。なお、本発明でいう炭素含有率とは、ESCA法で測定した表面上に分布する炭素、酸素、珪素の合計モル数に対する炭素の原子%である。
このように、プラズマCVD膜層80におけるプラズマCVD膜層80と湿式コーティング第2層70との接触面の炭素含有率が、表面から湿式コーティング第2層70との接触面に向かうに従って連続的に変化し、あるいは界面から少なくとも0.1μmの範囲において、炭素含有率が減少していることによって、プラズマCVD膜層80における湿式コーティング第2層70との接触面(界面)およびその近傍の湿式コーティング第2層70に対する密着性が高まる。一方、湿式コーティング第2層70との接触面から表面に向かうに従って炭素含有率が変化する傾斜ゾーンと炭素含有率が一定のフラットゾーンとを持つことにより、密着性を確保すると共に表面側に好適な耐擦傷性を付与することができる。
プラズマCVD膜層80は化学組成が連続的に変化している状態を図2に模式的に示す。図2に示すように、炭素含有率は湿式コーティグ第2層70の表面近傍から表面に向かって増加する傾斜ゾーンとなり、この部分に密着面が形成される。また、この後、炭素含有率はプラズマCVD膜層80の表面に至るまでに、一定の含有率を維持しており、これに伴ってプラズマCVD膜層80の表面に至るまでにその硬さも維持せしめられている。
プラズマCVD膜層80を形成する際に行われるプラズマ重合は低温プラズマ重合であり、それ自体公知の方法で行われる。すなわち、プラズマ重合させる装置(以下プラズマ重合装置と記す)としては、装置内において有機珪素化合物蒸気および酸素ガスをプラズマ励起させるような装置であればよく、プラズマCVDで通常使用される装置を使用することができ、特に容量結合型の装置が好適に使用される。
容量結合型のプラズマ重合装置においては、RF(ラジオ高周波。以下同様)電極が真空反応容器外に設置された外部電極方式およびRF電極が真空反応容器内に設置された内部電極方式のいずれをも使用することができる。有機珪素化合物蒸気および酸素ガスをプラズマ励起させるには、高周波電源が使用されるが、その周波数は、電波法で工業用周波数帯として指定されている周波数であればよく、例えば、13.56メガヘルツ(MHz)、27.12MHz、40.68MHz、2.45ギガヘルツ(GHz)、5.8GHz、22.125GHzおよび10キロヘルツ(KHz)以下のものがあるが、就中、13.56MHzのものが好適に使用される。
また、プラズマを発生させるために電力投入をおこなう電源としては、高周波電源の他に、DCパルス電源、MF電源などを使用できるが、特に好ましくは、高周波電源を用いられる。
RF電源に投入される電力(以下投入RF電力、または、投入電力と記すこともある)は使用される有機珪素化合物の種類およびプラズマ重合装置の規模などによって異なり、特定し得ないが、本発明では、50〜5000Wの範囲から選択した。
投入電力を時間と共に変化させる場合、単位時間に対して投入電力を変化させる割合(以下投入電力勾配と記すこともある)は、実質的に一定に保たれるが、変化させることを妨げない。しかして、この投入電力勾配は、ポリカーボネート樹脂の種類、湿式コーティングの種類、有機珪素化合物の種類、有機珪素化合物が2種類以上使用された場合にはこれらの比、有機珪素化合物に対する酸素の割合および所望とする密着性の大きさなどによって一概に特定し得ないが、本発明では、10〜2000W/分の範囲から選択した。また、真空反応容器の被膜形成時の真空度は、20Pa以下、実用上、好ましくは、10〜1×10-2Pa程度とした。更に、基材を真空反応容器に設置し、被膜形成する際には、被膜形成の為の原料ガス導入前に、真空反応容器の圧力を前記の被膜形成時以下にまで下げておくことで、形成した被膜の性状(密着性など)が改善される。
このような条件でプラズマ重合を行った場合には、このプラズマ重合は低温プラズマであるため、プラズマ装置の真空反応容器内では熱の発生は実質的にないが、プラズマ発生用電源の投入RF電力によっては、ポリカーボネート樹脂の軟化点を超える温度となる場合があり、その際には基材を冷却する構造を付加すれば良い。また、処理時間は、有機珪素化合物の種類、有機珪素化合物と酸素との割合およびプラズマ重合の条件などによって異なり、一概に特定し得ないが、実用上、通常は、5〜60分程度でよい。
本発明では有機珪素化合物として炭素原子を含む珪素化合物または、炭素原子と酸素原子または窒素原子を含む珪素化合物を使用するのが望ましい。
具体的化合物としては例えば、テトラメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、ヘキサエチルシクロトリシロキサン、テトラメチルシラン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、ペンタメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、ヘプタメチルジシラザン、1,3−ジメトキシテトラメチルジシロキサン、1,3−ジエトキシテトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5,−ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,1,1,3,5,7,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルシクロテトラシラザン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(トリメチルシロキシ)シラン、デカメチルテトラシロキサン等を使用できる。
これらの有機珪素化合物は、1種類だけで使用することができるが、2種類以上を併用することもでき、耐擦傷性を良好にするための有機珪素化合物と密着性を良好にするための有機珪素化合物のそれぞれの1種類以上を併用することにより、被膜の耐擦傷性およびポリカーボネート樹脂の表面への密着性の両者をともに増大させ得る場合もある。
これらの有機珪素化合物は、酸素ガスとともに使用される。また、有機珪素化合物と酸素ガスとは、プラズマ重合装置の真空反応容器へ、予め混合して供給されてもよく、また、別々にこの真空反応容器に供給して該真空反応容器中で互いに混合させることもできる。有機珪素化合物は、通常は、気体で供給されるが、液体で供給され得る。酸素は、通常は、気体で供給される。
有機珪素化合物に対する酸素の割合は、使用される有機珪素化合物の種類および所望とする被膜の硬さなどによって異なり一概に特定し得ないが、一般に、有機珪素化合物の量に対する酸素の量の比を増大させるに伴って、被膜中の炭素比率を減少せしめ、以て、プラスチック成形体表面に形成される被膜を硬くし、耐擦傷性を増大させる傾向があるが、実用上、通常は、有機珪素化合物の蒸気に対して標準状態で10〜500容量倍程度の範囲から適宜選択される。
前記したように、プラズマCVD膜層80において、湿式コーティング第2層70の炭素含有率が低い場合、湿式コーティング第2層70との接触面から表面に向かうに従って炭素の含有率が増加せしめられている。この場合、含有率の変化は、連続的であるほか、ステップ的であってもよい。いずれにしても、含有率の傾斜を示すプラズマCVD膜層80を形成するために、例えば、(1)プラズマ励起を発生させる投入RF電力のみを時間の経過に伴って連続的に変化させる。(2)プラズマ励起を発生させる投入RF電力を時間の経過に伴って連続的またはステップ的に変化させるとともに、1種以上の有機珪素化合物の蒸気および/または酸素ガスの供給速度を時間の経過に伴って連続的またはステップ的に変化させる、等の方法を採ることができる。
図3に、本発明に係るプラズマCVD膜層80を形成させるためのプラズマ重合反応における反応条件の経時変化の具体的な態様を模式的に例示する。図3では、酸素ガス及び有機珪素化合物蒸気の供給速度を時間の経過に伴って連続的に増加させ、酸素ガスと有機珪素化合物の蒸気との比を時間の経過に伴って連続的に変化させ、これとともに、投入RF電力も時間の経過に伴って連続的に減少させている。一定時間経過後は、酸素ガス、及び有機珪素化合物の蒸気の供給速度と、投入RF電力とを一定に保ち続ける。
プラズマCVD膜層80を形成させるためのプラズマ重合反応における反応条件の経時変化の他の態様として、図4に模式的に示すような形態もある。図4では、酸素ガスの供給速度を時間の経過に伴って連続的に増加させ、投入RF電力も時間の経過に伴って連続的に増加させ、これと共に、有機珪素化合物蒸気の供給速度を一定に保っている。そして、一定時間経過後は、酸素ガス、及び有機珪素化合物の蒸気の供給速度と、投入RF電力とを一定に保ち続ける。しかし、図4のような形態では、湿式コーティング第2層70とプラズマCVD膜層80との密着性が良くない。
ここで、図示していないが、2種類の有機珪素化合物を併用する場合には、有機珪素化合物1と有機珪素化合物2との和を、一定に保ってもよいし、また、この和を時間の経過に伴って連続的に変化させてもよい。従って、例えば、プラズマ重合の前期には、一方の有機珪素化合物のみを使用し、プラズマ重合の後期には、他方の有機珪素化合物のみを使用することもできる。
このようにプラズマ重合において、投入RF電力を連続的に低減させるとともに、有機珪素化合物の供給速度および/または酸素の供給速度を連続的に変化させることによって、湿式コーティング第2層70の表面と、硬くて耐擦傷性の大きいプラズマCVD膜層80とが強固に密着せしめられる。
なお、プラズマ重合において、図3に示すように、成膜開始と同時に、酸素ガス及び有機珪素化合物蒸気の供給速度を時間の経過に伴って連続的に増加させこれとともに、投入RF電力も時間の経過に伴って連続的に減少させることが好ましい。
プラズマCVD膜層80を形成する際に、プラズマCVD膜層80における湿式コーティング第2層70との界面部分において、珪素、酸素、及び炭素の含有量の合計を100%とした際に、炭素の含有量が2%以下となるよう制御することが好ましい。プラズマCVD膜層80がこのように構成されていると、プラズマCVD膜層80とシリコン系湿式コーティング第2層70との密着性がより好適なものとなる。
また、プラズマCVD膜層80を形成する際に、プラズマCVD膜層80の表面側の部分において、珪素、酸素、及び炭素の含有量の合計を100%とした際に、炭素の含有量が1〜8%となるよう制御することが好ましい。プラズマCVD膜層80がこのように構成されていると、表層において十分な耐擦傷性を確保できるだけの硬度を得ることができる。
なお、ここで言うプラズマCVD膜層80の表面側の部分とは、投入RF電力、および有機珪素化合物、酸素ガスの供給速度を一定にして成膜する部分を意味している。
図6は、本発明に係るプラズマCVD膜層80の形成装置であるプラズマ重合装置の一例を示している。なお、図示例において、カソード電極10、アノード電極20およびプラスチック成形体30は、上下方向に並んでいるが、左右方向に並置することによっても本発明の効果は実質的に同一にあらわれることを、予め断っておく。
本例におけるプラズマ処理装置においては、真空容器1内に対向して、高周波電力供給装置2に接続されたカソード電極10、およびアノード電極20が配置されている。カソード電極10表面上にプラスチック成形体30が配置され、適宜のホルダーによって支持される。真空容器1内は、ターボ分子ポンプ5及びドライポンプ6によって、減圧状態とされ、真空容器1内に外部から反応ガス7を導入しながら、その反応ガスのプラズマをカソード電極10とアノード電極20との間に形成するようにしてある。アノード電極20はアース接地してある。
上記実施形態に係る湿式コーティング第1層及び湿式コーティング第2層を形成していない、ポリカーボネート樹脂上に直接的にプラズマCVD膜層を形成する方法については、本出願者らが開示した特許文献3に掲げる成膜方法が好適である。
しかしながら、同方法に従って、湿式コーティング第1層及び湿式コーティング第2層を形成した表面にプラズマCVD膜層を形成すると、樹脂基板との密着性が悪い。そこで、基板との密着性を改良しつつ、しかも十分な硬度及び耐擦傷性を示すプラスチック積層体を得るために、鋭意研究及び種々の実験を試みた。
その一例を実施例1から3及び各々の実施例に対する比較例として以下に示す。
得られたプラスチック積層体は以下の方法によって評価した。
(1)外観評価:目視にて試験片のコート層外観(クラックの有無)を確認した。
(2)密着性:コート層にカッターナイフで1mm間隔の100個の碁盤目を作り、ニチバン製粘着テープ(商品名“セロテープ(登録商標)”)を圧着し、垂直に強く引き剥がし、基材上に残った碁盤目の数で評価した。(JISK5400に準拠)
(3)耐摩耗性:両面コート層の一面をCalibrase社製CS−10Fの摩耗輪を用い、試験前にCalibrase社製S−11研磨紙で25回転摩耗輪表面を研磨して、荷重500gで1000回転テーバー摩耗試験を行い、テーバー摩耗試験後のヘーズとテーバー摩耗試験前のヘーズとの差△Hを測定して評価した(ASTMD1044に準拠)。(ヘーズ=Td/Tt×100、Td:散乱光線透過率、Tt:全光線透過率)
なお、結果の表記は、例えば100(3)は3回試験を実施し碁盤目が100個残った事を表す。95(1)は、1回目の試験で碁盤目が95個残った事を表す。
(4)耐擦傷性:試験片の両面コート層の1面を#0000のスチールウールで擦った後、表面の傷つきの状態を目視により5段階で評価した。
1:500g荷重で10回擦っても全く傷つかない
2:500g荷重で10回擦ると僅かに傷つく
3:500g荷重で10回擦ると少し傷つく
4:500g荷重で10回擦ると傷つく
5:100g荷重で10回擦ると傷つく
(5)耐沸水性:試験片を沸騰水中に3時間浸漬した後のコート層の外観変化、密着性を評価した。
(6)耐候性:試験片を紫外線照射量S−Xe180 W/m2、BPT 63℃、降雨時間 18/120minとした模擬気候内に設置し、6000時間経過後の外観変化、密着性を評価した。
(7)耐熱性:試験片を恒温槽にて110℃に保持し、1000時間後のコート層の外観変化、密着性を評価した。
プラズマCVD膜層の組成は、ESCA法(電子分光法)によって分析した。ESCA法では、水素の分析はできないので、結果は、酸素、炭素及び珪素の含有率のみが示され、この三者の含有率の合計が100原子%となるよう表示する。
実施例では、CVD膜を成膜するポリカーボネート樹脂上に湿式コーティング層を有するプラスチック成形体(ポリカーボネート表面硬化グレード 帝人化成(株)製 PC−7129)を使用した。なお、本発明に適用されるプラスチック成形体は、前述のプラスチック成形体に限ることはなく、少なくとも1層の湿式コーティング層を有するプラスチック成形体であれば適用することができる。
[実施例1]
前述したプラスチック成形体上に、CVD膜を積層した。図6に示す容量結合型で内部電極方式のプラズマ重合装置の構成を使用して、図3に示すように有機珪素化合物流量、酸素ガス流量、高周波電力の成膜条件を変化させて成膜を行なった。有機珪素化合物としては、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを使用した。
[実施例1−a]
本実施例において、成膜条件を変化させる変化時間Aは3分、成膜条件を保持する保持時間Bは20分とし、合計成膜時間は23分とした。有機珪素化合物流量を3→30sccm、酸素流量を25→1000sccmにそれぞれ変化させながら、高周波電力を3000→1000Wに変化させて成膜を行なった。このときのチャンバ内圧力は0.5→10Paであった。
実施例1−aで得られたプラズマCVD膜層における湿式コーティング第2層側の炭素含有量は、ESCA法で測定した結果、1.5原子%であった。また、本実施例で得られたプラズマCVD膜層における最表面の炭素含有量は3.5原子%であった。
得られたプラズマCVD膜層の厚みは5μmであった。得られたコート層を有するプラスチック積層体を評価した結果を表2に示した。
[実施例1−b]
実施例1−bでは、成膜条件を変化させる変化時間Aは3分、成膜条件を保持する保持時間Bは20分とし、合計成膜時間は23分とした。
有機珪素化合物流量を3→30sccm、酸素流量を25→1000sccmにそれぞれ変化させながら、高周波電力を4000→1200Wに変化させて成膜を行なった。このときのチャンバ内圧力は0.5→10Paであった。
実施例1−bで得られたプラズマCVD膜層における湿式コーティング第2層側の炭素含有量は、ESCA法で測定した結果、1.4原子%であった。また、本実施例で得られたプラズマCVD膜層における最表面の炭素含有量は2.8原子%であった。得られたプラズマCVD膜層の厚みは5μmであった。得られたコート層を有するプラスチック積層体を評価した結果を表2に示した。
[比較例1−a]
比較例1−aとして図4に示すように、有機珪素化合物蒸気の供給速度を一定に保ち、酸素ガスの供給速度を時間の経過に伴って連続的に増加させつつ、他方では投入RF電力を時間の経過に伴って連続的に増加させてプラズマ重合を行い、このポリカーボネート樹脂の表面に硬い被膜を形成させた。成膜開始時の成膜条件を保持する保持時間Aは3分、成膜条件を変化させる変化時間Bは2分、成膜条件を保持する保持時間Cは12分とし、合計成膜時間は17分とした。
有機珪素化合物流量は30sccm、酸素流量を40→1000sccmに変化させながら、投入RF電力を50→1200Wに変化させて成膜を行なった。このときのチャンバ内圧力は0.5→10Paであった。
本比較例で得られたプラズマCVD膜層における湿式コーティング層側の炭素含有量は、ESCA法で測定した結果、15原子%であった。得られたプラズマCVD膜層の厚みは7μmであった。得られたコート層を有するプラスチック積層体を評価した結果を表2に示した。
[比較例1−b]
比較例1−a同様、図5に示すように、有機珪素化合物蒸気の供給速度と酸素ガスの供給速度を一定に保ち、他方では投入RF電力も一定に保ちつつプラズマ重合を行い、前述したプラスチック成形体の表面に硬い被膜を形成させた。本比較例において、成膜条件を保持する保持時間Aは17分とし、合計成膜時間は17分とした。
有機珪素化合物の流量は30sccm、酸素流量を1000sccmに保持しながら、投入RF電力を1200Wに保持して成膜を行なった。このときのチャンバ内圧力は10Paであった。
本比較例で得られたプラズマCVD膜層における湿式コーティング層側の炭素含有量は、ESCA法で測定した結果、3原子%であった。
得られたプラズマCVD膜層の厚みは5μmであった。得られたコート層を有するプラスチック積層体を評価した結果を表2に示した。
[比較例1−c]
湿式コーティング層を有するプラスチック成形体を、本例においては、プラズマCVD膜層は形成せず評価した結果を表2に示した。
Figure 0005554519
Figure 0005554519
表2の結果に注目すると、実施例1−a、1−bは、比較例1−aとの対比から、プラズマCVD膜層の密着性に優れることが判る。また、耐摩耗性の数値が比較例1−cに比べて大幅に改善されており、このため、特に車輛窓用に利用した際のワイパーなどによる擦傷作用に対する耐久性が、飛躍的に改善されていることが明確に判る。比較例1−bでは、傾斜ゾーンがなく、密着性、耐沸水性、耐熱性で、実施例1−a、1−bに劣る結果を得た。
[実施例2]
投入RF電力と、プラズマCVD膜層及び湿式コーティング層の密着性との相関関係を確認すべく以下の実験を試み、その結果を表3に示す。成膜条件は次の通りとし、初期投入RF電力のみ変化させた。
成膜時間:17分
有機珪素化合物:1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン
有機珪素化合物供給流量:3→30sccm
酸素流量:25→1000sccm
最終投入RF電力:1000W
なお、表3の実施例及び比較例に示されるプラスチック積層体は、以下の方法によって評価した。
(1)密着性:コート層にカッターナイフで1mm間隔の100個の碁盤目を作り、ニチバン製粘着テープ(商品名“セロテープ(登録商標)”)を圧着し、垂直に強く引き剥がし、基材上に残った碁盤目の数で評価した。なお、表3中の×は50個以上の碁盤目で剥離が生じたことを示している。
(2)プラズマCVD膜層における湿式コーティング層側の炭素含有量:ESCA法で測定した。
[実施例2−a]
実施例2−aとして、初期投入RF電力を3000Wで成膜を行なった。
[実施例2−b]
実施例2−bとして、初期投入RF電力を4000Wで成膜を行ったとした。
[比較例2−a]
比較例2−aとして、初期投入RF電力を1000Wで成膜を行った
[比較例2−b]
比較例2−bとして、初期投入RF電力を2000Wで成膜を行った。
Figure 0005554519
表3の結果に注目すると、プラズマCVD膜層の密着性を決定づける炭素含有量は投入RF電力に左右されることが確認でき、初期投入RF電力が高いほどプラスチック成形体界面における炭素含有量が少なくなり、密着性が向上することが確認された。特に炭素含有率が2%以下となるよう初期投入RF電力を制御した場合に、密着性が良好である。
[実施例3]
プラズマCVD膜層における最表面の炭素含有量と耐摩耗性との相関関係を確認すべく以下の実験を試み、その結果を表4に示す。成膜条件は次の通りとし、外表面の組成の形成に寄与する最終投入RF電力の値のみ変化させた。
成膜時間:17分
有機珪素化合物:1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン
有機珪素化合物供給流量:3→30sccm
酸素流量:25→1000sccm
初期投入RF電力:3000W
なお、表4の実施例及び比較例に示されるプラスチック積層体は、以下の方法によって評価した。
(1)耐摩耗性:両面コート層の一面をCalibrase社製CS−10Fの摩耗輪を用い、試験前にCalibrase社製S−11研磨紙で25回転摩耗輪表面を研磨して、荷重500gで1000回転テーバー摩耗試験を行い、テーバー摩耗試験後のヘーズとテーバー摩耗試験前のヘーズとの差△Hを測定して評価した(ASTMD1044に準拠)。
(2)プラズマCVD膜層における最表面の炭素含有量:ESCA法で測定した。
[実施例3−a]
実施例3−aとして、投入RF電力の最終出力700Wで成膜を行なった。
[実施例3−b]
実施例3−bとして、投入RF電力の最終出力1200Wで成膜を行なった。
[比較例3−a]
比較例3−aとして、投入RF電力の最終出力50Wで成膜を行なった。
[比較例3−b]
比較例2―bとして、投入RF電力の最終出力400Wで成膜を行なった。
Figure 0005554519
表4の結果に注目すると、プラズマCVD膜層における最表面の炭素含有量が8%を超えると耐摩耗性が著しく低下することが確認された。
以上の結果から、容量結合型で内部電極方式のプラズマ重合装置を使用して、酸素ガス及び有機珪素化合物蒸気の供給速度を時間の経過に伴って連続的に増加させつつ、他方では投入RF電力を時間の経過に伴って連続的に減少させてプラズマ重合を行うことによって湿式コーティング第2層に積層されたプラズマCVD膜層は、耐擦傷性及び密着性に優れていることが判る。
50…ポリカーボネート樹脂、60…湿式コーティング第1層、70…湿式コーティング第2層、80…プラズマCVD膜層、100…透明又は半透明プラスチック積層体。

Claims (5)

  1. 透明又は半透明プラスチック基板の表面に湿式法で硬化膜を形成し、その硬化膜上にプラズマCVD膜層を積層するプラスチック積層体の製造方法において、
    原料として少なくとも1種類のオルガノシロキサンの蒸気と共に酸素ガスを存在させ、且つ、成膜時間経過に伴って、オルガノシロキサンの供給速度及び酸素ガスの供給速度を増加させると共に、プラズマ発生電力を減少させてプラズマCVD膜層を積層する、
    さらにその積層に際し、プラズマCVD膜層における前記硬化膜側において、X線光電子分析装置(ESCA)により測定した、珪素、酸素、及び炭素の含有量の合計を100%とした際に、炭素の含有量が2%以下とともにプラズマCVD膜層の表面側において、X線光電子分析装置(ESCA)により測定した、珪素、酸素及び炭素の含有量の合計を100%とする条件の下で、炭素の含有量が1%を超え8%以下となるように制御する、
    ことを特徴とするプラスチック積層体の製造方法。
  2. 成膜時間経過に伴って、オルガノシロキサンの供給速度及び酸素ガスの供給速度を増加させ、且つ、プラズマ発生電力を減少させた後に、オルガノシロキサンの供給速度、酸素ガスの供給速度、及びプラズマ発生電力を実質的に一定に保持してプラズマCVD膜層を積層する、
    請求項1に記載のプラスチック積層体の製造方法。
  3. 成膜開始とともに、オルガノシロキサンの供給速度及び酸素ガスの供給速度を増加させ、且つ、プラズマ発生電力を減少させることを、同時に行う請求項1又は請求項2に記載のプラスチック積層体の製造方法。
  4. 成膜時間経過に伴って、オルガノシロキサンの供給速度及び酸素ガスの供給速度を増加させ、且つ、プラズマ発生電力を減少させる場合、その増加および/または減少が連続的に行われる、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のプラスチック積層体の製造方法。
  5. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のプラスチック積層体の製造方法によって製造されたプラスチック積層体。
JP2009160915A 2009-07-07 2009-07-07 プラスチック積層体及びその製造方法 Active JP5554519B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009160915A JP5554519B2 (ja) 2009-07-07 2009-07-07 プラスチック積層体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009160915A JP5554519B2 (ja) 2009-07-07 2009-07-07 プラスチック積層体及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011016257A JP2011016257A (ja) 2011-01-27
JP5554519B2 true JP5554519B2 (ja) 2014-07-23

Family

ID=43594441

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009160915A Active JP5554519B2 (ja) 2009-07-07 2009-07-07 プラスチック積層体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5554519B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016088810A1 (ja) 2014-12-02 2016-06-09 大日本印刷株式会社 無機酸化皮膜で被覆された有機ガラス積層体
CN108472685B (zh) 2015-12-28 2021-02-02 信越化学工业株式会社 层叠体的制造方法
EP3778216A4 (en) 2018-03-30 2021-05-26 FUJIFILM Corporation LAMINATE AND METHOD FOR MANUFACTURING THEREOF

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4842941A (en) * 1987-04-06 1989-06-27 General Electric Company Method for forming abrasion-resistant polycarbonate articles, and articles of manufacture produced thereby
JP2734548B2 (ja) * 1988-08-30 1998-03-30 橋本フォーミング工業株式会社 表面硬化プラスチック成形品の製造方法
US8313812B2 (en) * 2005-11-30 2012-11-20 The Boeing Company Durable transparent coatings for aircraft passenger windows
JP5074053B2 (ja) * 2007-02-15 2012-11-14 出光興産株式会社 樹脂積層体及びその製造方法
US7878054B2 (en) * 2007-02-28 2011-02-01 The Boeing Company Barrier coatings for polymeric substrates

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011016257A (ja) 2011-01-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11220584B2 (en) Protective coating system for plastic substrate
JP5944069B2 (ja) ハードコート層付高分子基板およびその製造方法
JP5965225B2 (ja) 微小亀裂耐性の向上した積層品及びその製造方法
CN1946874A (zh) 用于非平面基材的等离子体涂覆体系
WO2017051914A1 (ja) ハードコート層付高分子基板およびその製造方法
JP6638182B2 (ja) 積層フィルムおよびフレキシブル電子デバイス
WO1984000722A1 (en) A method of making an abrasion resistant coating on a solid substrate and articles produced thereby
JP5330070B2 (ja) プラスチック積層体及びその製造方法
JP6749476B2 (ja) ハードコート層付高分子基板
JP5554519B2 (ja) プラスチック積層体及びその製造方法
JP2019051708A (ja) ガスバリア性フィルムおよびフレキシブル電子デバイス
JP2008045160A (ja) 透光性積層体
JP5336016B1 (ja) 積層体およびその製造方法
WO2017104332A1 (ja) ガスバリアーフィルム
JP7101145B2 (ja) プラスチック積層体及びその製造方法
JP7159336B2 (ja) ハードコート層付高分子基板
JPWO2009104407A1 (ja) 樹脂成形体
JP6983039B2 (ja) ガスバリア性フィルム及びフレキシブル電子デバイス
JP2016193526A (ja) ガスバリア性フィルムおよび該ガスバリア性フィルムを用いた電子デバイス
JP3446150B2 (ja) ハードコーティング方法
JP2009067049A (ja) 透明樹脂積層体とその製造方法
JPH09209154A (ja) 被膜を備えた光学物品の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120321

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130125

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130312

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20130514

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20131206

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140226

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20140410

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140502

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140529

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5554519

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350