JP2009067049A - 透明樹脂積層体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】外側面が高度の耐摩耗性を有し、内側面が耐候性に優れた透明樹脂積層体を提供する。また、生産性に優れ、製造時のVOC(揮発性有機化合物)排出量低減に効果的な透明樹脂積層体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】透明樹脂積層体を、透明樹脂基材と、該透明樹脂基材上の少なくとも片面に形成される、UV(紫外線)吸収剤を含むアクリル樹脂中間層と、該アクリル樹脂中間層上に形成されるシリカ膜層と、を有する構成とし、アクリル樹脂中間層がUV(紫外線)硬化により形成され、シリカ膜層がプラズマCVDにより形成する。
【選択図】なし
【解決手段】透明樹脂積層体を、透明樹脂基材と、該透明樹脂基材上の少なくとも片面に形成される、UV(紫外線)吸収剤を含むアクリル樹脂中間層と、該アクリル樹脂中間層上に形成されるシリカ膜層と、を有する構成とし、アクリル樹脂中間層がUV(紫外線)硬化により形成され、シリカ膜層がプラズマCVDにより形成する。
【選択図】なし
Description
本発明は、透明樹脂積層体及びその製造方法に関する。
近年、プラスチック材料の軽量性、安全性を生かして、窓ガラス、殊に自動車の窓ガラスに有機ガラスとして透明プラスチックを適用しようとする動きがある。このような用途に透明プラスチックを適用する場合、洗車、塵芥の衝突、ワイパー作動時等の擦傷発生を防止する必要があり、ガラス並みの高いレベルの耐摩耗性が要求される。また、窓ガラスとしての用途では、10年以上の長期間、使用されることが通例である。窓ガラスとして使用される場合、長期間の使用中に太陽光線等により変色等の外観劣化が起こらないことも重要である。
かかる要求を満足するべく樹脂成形品の表面に耐擦傷性被膜、耐紫外線被膜を被覆する方法が広く行われている。傷つきを防止し、同時に太陽光線による変色を防止する目的の被膜として、シリコンハードコートが特に優れた性能を有する被膜として広く知られており、実用的な製品が上市されている。また、特定のシリコンハードコートが自動車窓の被膜に好適であると示されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。しかしながら、かかるシリコンハードコートは日本国内で自動車窓として求められている性能にはまだ満足できないものであり、更に高度な耐摩耗性を有する表面保護層の開発が望まれている。
現在シリコンハードコートは2コート2ベーク方式が一般的であり、加熱硬化にかかるエネルギー、時間が大きく、より効率の良い被覆構造を開発することが望まれている。さらに溶媒として有機溶剤を多量に使用しており、加熱硬化の際に大量のVOC(揮発性有機化合物)が放出されることから、溶媒量が少なく、硬化時間・硬化エネルギーの少ないUV硬化型のハードコートが望ましい。しかし、UV硬化型のアクリルハードコートでは、加熱硬化型のシリコーン系ハードコートに比べて耐擦傷性が自動車用窓として求められる性能には遠く及ばないという欠点がある。かかる欠点を解決しようとしたものとして、UV硬化ハードコート表面にさらにポリシラザンを表面に塗布したものが報告されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、ポリシラザンが高価であること、また、ポリシラザンは、−(SiH2NH)−+2H2O→−(SiO2)−+NH3+2H2のように有機基が抜ける縮合反応により硬化するため、応力が大きくかかり、膜厚を上げるとクラックが入りやすくなるため厚膜化をすることができない、およびVOCの面の改善に不向きであることから改善が必要である。
本発明の目的は、耐摩耗性に優れた透明樹脂積層体を提供することにある。また、本発明の別の目的は、外側面が高度の耐摩耗性を有し、内側面が耐候性に優れ、且つ生産性に優れ、さらにVOC(揮発性有機化合物)排出量低減に効果的な透明樹脂積層体及びその製造方法を提供することにある。
本発明者等は、耐摩耗性に優れ、VOC排出量が低減される透明樹脂積層体を得るため、鋭意検討した。その結果、透明樹脂基材上に、プライマーとしての活性エネルギー線硬化型アクリル樹脂中間層を形成し、さらにその上にシリカ膜層をプラズマCVDで形成することにより、耐摩耗性に優れ、VOC排出量が低減される透明樹脂積層体を得ることができることを見出した。
本発明は、以下に関する。
(1)透明樹脂基材と、該透明樹脂基材上の少なくとも片面に形成される、UV(紫外線)吸収剤を含む活性エネルギー線硬化型アクリル樹脂中間層と、該アクリル樹脂中間層上にプラズマCVDにより形成されるシリカ膜層と、を有する透明樹脂積層体。
(2)前記アクリル樹脂中間層の膜厚が1〜50μmであり、前記シリカ膜層の膜厚が1〜20μmである上記(1)に記載の透明樹脂積層体。
(3)ASTM D1044によるテーバー摩耗試験における荷重500g、1000回転時における曇価の変化率が2%以下である上記(1)又は(2)に記載の透明樹脂積層体。
(4)透明樹脂基材上の少なくとも片面に、UV(紫外線)吸収剤を含むアクリル樹脂を塗布、UV硬化して活性エネルギー線硬化型アクリル樹脂中間層を形成する工程、前記アクリル樹脂中間層上に、有機ケイ素化合物を含む原料を用い、プラズマCVDによりシリカ膜層を形成する工程と、を少なくとも有する透明樹脂積層体の製造方法。
(1)透明樹脂基材と、該透明樹脂基材上の少なくとも片面に形成される、UV(紫外線)吸収剤を含む活性エネルギー線硬化型アクリル樹脂中間層と、該アクリル樹脂中間層上にプラズマCVDにより形成されるシリカ膜層と、を有する透明樹脂積層体。
(2)前記アクリル樹脂中間層の膜厚が1〜50μmであり、前記シリカ膜層の膜厚が1〜20μmである上記(1)に記載の透明樹脂積層体。
(3)ASTM D1044によるテーバー摩耗試験における荷重500g、1000回転時における曇価の変化率が2%以下である上記(1)又は(2)に記載の透明樹脂積層体。
(4)透明樹脂基材上の少なくとも片面に、UV(紫外線)吸収剤を含むアクリル樹脂を塗布、UV硬化して活性エネルギー線硬化型アクリル樹脂中間層を形成する工程、前記アクリル樹脂中間層上に、有機ケイ素化合物を含む原料を用い、プラズマCVDによりシリカ膜層を形成する工程と、を少なくとも有する透明樹脂積層体の製造方法。
本発明により、耐摩耗性に優れた透明樹脂積層体を提供することができる。また、外側面が高度の耐摩耗性を有し、内側面が耐候性に優れ、且つ生産性に優れ、さらにVOC(揮発性有機化合物)排出量低減に効果的な透明樹脂積層体及びその製造方法を提供できる。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明の透明樹脂積層体は、透明樹脂基材と、該透明樹脂基材上の少なくとも片面に形成される、UV(紫外線)吸収剤を含む活性エネルギー線硬化型アクリル樹脂中間層と、該アクリル樹脂中間層上にプラズマCVDにより形成されるシリカ膜層と、を有する。
本発明の透明樹脂積層体は、透明樹脂基材と、該透明樹脂基材上の少なくとも片面に形成される、UV(紫外線)吸収剤を含む活性エネルギー線硬化型アクリル樹脂中間層と、該アクリル樹脂中間層上にプラズマCVDにより形成されるシリカ膜層と、を有する。
本発明の透明樹脂積層体における活性エネルギー線硬化型アクリル樹脂中間層は、UV(紫外線)吸収剤を含むものであり、活性エネルギー線で硬化形成されるアクリル樹脂からなる。前記活性エネルギー線硬化型アクリル樹脂中間層は、透明樹脂基材とシリカ膜層との密着性の向上、耐候性の付与、透明樹脂基材とシリカ膜層との線膨張係数の差の吸収等を目的として設けられているものである。
活性エネルギー線で硬化されるアクリル樹脂としては、特に制限はない。また、アクリル樹脂中間層の原料にも特に制限はなく、紫外線、可視光等の活性エネルギー線で硬化する、活性エネルギー線硬化剤を含むアクリル系重合体、UV吸収剤が原料として挙げられ、必要により光安定剤、コロイダルシリカ等の充填材、老化防止剤等を用いることも好ましい。
なお、入手可能な活性エネルギー線硬化型アクリル樹脂中間層の原料としては、アクリル樹脂にコロイダルシリカ、UV吸収剤、光安定剤、老化防止剤等が含有された、モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製のUVHC3000等が挙げられる。これを用いることにより、シリカ膜層とアクリル中間層との密着性に優れることから好ましい。
活性エネルギー線で硬化されるアクリル樹脂としては、特に制限はない。また、アクリル樹脂中間層の原料にも特に制限はなく、紫外線、可視光等の活性エネルギー線で硬化する、活性エネルギー線硬化剤を含むアクリル系重合体、UV吸収剤が原料として挙げられ、必要により光安定剤、コロイダルシリカ等の充填材、老化防止剤等を用いることも好ましい。
なお、入手可能な活性エネルギー線硬化型アクリル樹脂中間層の原料としては、アクリル樹脂にコロイダルシリカ、UV吸収剤、光安定剤、老化防止剤等が含有された、モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製のUVHC3000等が挙げられる。これを用いることにより、シリカ膜層とアクリル中間層との密着性に優れることから好ましい。
活性エネルギー線硬化型アクリル樹脂中間層に含まれる前記UV吸収剤としては、通常用いられるUV吸収剤を用いることができる。例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2−(5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−t−ブチル−5′−メチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類;エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート類;フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等のサリシレート類;ジエチル−p−メトキシベンジリデンマロネート、ビス(2−エチルヘキシル)ベンジリデンマロネート等のベンジリデンマロネート類;2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(メチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(エチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(プロピル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(ブチル)オキシ〕−フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(ヘキシル)オキシ〕−フェノール等のトリアジン類;2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体;2−(2’―ヒドロキシ−5−アクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体;酸化チタン酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステン、硫化亜鉛、硫化カドミウム等の金属酸化物微粒子;類を挙げることができる。これらは単独使用又は2種以上を併用してもよい。
本発明において、アクリル樹脂中間層には、耐候性を改良する目的として、UV吸収剤に加えて光安定剤を含有していることも好ましい。
前記光安定剤としては、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−オクタノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ジフェニルメタン−p,p’−ジカーバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3−ジスルホネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)フェニルホスファイト等のヒンダードアミン類;ニッケルビス(オクチルフェニルサルファイド、ニッケルコンプレクス−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸モノエチラート、ニッケルジブチルジチオカーバメート等のニッケル錯体;等を挙げることができる。これらは単独使用又は2種以上を併用してもよい。
本発明におけるアクリル樹脂中間層は、透明樹脂基材の少なくとも片面に形成され、活性エネルギー線、特にUV(紫外線)硬化により形成されることが好ましい。活性エネルギー線で硬化形成する方法として、上記重合体、UV吸収剤及び活性エネルギー線重合開始剤、その他必要に応じて光安定剤等の本発明におけるアクリル樹脂中間層の原料を混合し、アクリル樹脂中間層の塗工液を作る。
活性エネルギー線重合開始剤としては、紫外線を用いて硬化する際は、紫外線硬化する際に通常用いられるUV重合開始剤、可視光線を用いて硬化する際は、可視光線硬化する際に通常用いられる可視光線重合開始剤等を用いることができる。
活性エネルギー線重合開始剤としては、紫外線を用いて硬化する際は、紫外線硬化する際に通常用いられるUV重合開始剤、可視光線を用いて硬化する際は、可視光線硬化する際に通常用いられる可視光線重合開始剤等を用いることができる。
本発明におけるアクリル樹脂中間層の塗工液を透明樹脂基材へ塗工する手段としては特に制限されず、公知又は周知の方法を採用できる。例えば、ディップ法、フローコート法、スプレー法、バーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、スリットコート法、マイクログラビアコート法等の方法を採用できる。アクリル樹脂中間層の塗工液の塗工後、被覆された組成物が溶剤を含んでいる場合は、乾燥して溶剤を除き、次いで、紫外線等の活性エネルギー線を照射して硬化させ、アクリル樹脂中間層を形成する。
硬化方法についても、公知又は周知の活性エネルギー線硬化方法を採用できる。
硬化方法についても、公知又は周知の活性エネルギー線硬化方法を採用できる。
なお、活性エネルギー線で硬化した後に、必要により二次硬化として熱硬化をすることも好ましい。その際は、活性エネルギー線硬化型アクリル樹脂中間層の材料に、熱硬化する際に通常用いられる熱重合開始剤を含有させておき、適宜処理する。
アクリル樹脂中間層の厚みは1〜50μmであることが好ましく、2〜30μmであることがより好ましく、4〜15μmであることが特に好ましい。アクリル樹脂中間層厚が50μm超では、紫外線による硬化が不充分になり透明樹脂基材との密着性が損なわれやすい。アクリル樹脂中間層厚が1μm未満では、アクリル樹脂中間層の上に形成されるシリカ膜層の耐摩耗性や耐擦傷性が充分発現できないおそれがある。10年保障に必要な耐候性を保持するためには膜厚4μm以上が好ましい。また、外観上の不具合や不十分な硬化が起こることを避けるためには膜厚15μm以下が好ましい。
本発明の透明樹脂積層体は、前記アクリル樹脂中間層の上にシリカ膜層が形成される。このシリカ膜層は、有機ケイ素化合物を原料として、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)により形成される。
シリカ膜層を形成する際のプラズマCVDに用いられる有機ケイ素化合物原料の具体的な例としては、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、メチルトリエトキシシラン、1,1,3,3,テトラメチルジシロキサン、テトラメトキシシラン、メトキシトリメチルシラン、テトラメチルシラン、ヘキサメチルトリシロキサン、テトラクロロシラン、トリクロロメチルシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン等を挙げることができる。
シリカ膜層の形成方法としては、上記の透明樹脂基材上にアクリル樹脂中間層が形成されたものを基盤として用い、適宜有機ケイ素化合物原料を選択し、アクリル樹脂中間層上にプラズマCVDにより、シリカ膜層を形成する。
シリカ膜層の形成方法としては、上記の透明樹脂基材上にアクリル樹脂中間層が形成されたものを基盤として用い、適宜有機ケイ素化合物原料を選択し、アクリル樹脂中間層上にプラズマCVDにより、シリカ膜層を形成する。
シリカ膜層の厚みは1〜20μmであることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましい。シリカ膜層厚が20μm超では、クラックが発生しやすく、耐熱性が低下しやすい。耐摩耗性や生産性の面から10μm以下がより好ましい。一方、シリカ膜層厚が1μm未満では、JIS規格を満足する耐摩耗性を発現させることができないことがある。自動車用窓ガラスの外側に使用するのに十分な耐摩耗性を保持するうえで、2μm以上であることがより好ましい。シリカ膜層の厚みを調整するには、プラズマCVDにおいて、処理時間等を調整すればよい。
本発明における透明樹脂基材の材料としては、透明であれば特に限定はなく、各種透明合成樹脂を使用できる。例えば、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリシクロオレフィン系樹脂、ポリアリレート系樹脂等の透明合成樹脂を透明樹脂基材の材料として使用できる。透明樹脂基材として用いる材料は、全光線透過率が85%以上であることが好ましい。本発明における透明樹脂基材は成形されたものであることが好ましく、例えば平板や波板等のシート状基材、フィルム状基材、各種形状に成形された基材等がある。
本発明において、透明樹脂基材としては、特に芳香族ポリカーボネート系樹脂からなる透明シートが好ましい。この透明シートの厚さは1〜100mmであることが窓材等の用途に好ましい。この透明シートの両面又は片面に前記透明合成樹脂が2層以上で積層された透明樹脂基材を用いてもよい。
本発明の透明樹脂積層体は、ASTM D1044による摩耗試験における荷重500g、1000回転時における曇価の変化率が2%以下であることが好ましい。耐摩耗性の測定方法は、ASTM D1044に準じて、摩耗輪はCalibrase社製CS−10Fを用い、荷重500gで1000回転テーバー摩耗試験を行い、テーバー摩耗した後のヘーズと、テーバー摩耗試験前のヘーズとの差ΔHを測定して評価する。摩耗輪のリフェースはST−11 Refacing stoneを用いて25回転で行う。各ヘーズ値は下記式で算出できる。
(ヘーズ=Td/Tt×100、Td:散乱光線透過率、Tt:全光線透過率)
(ヘーズ=Td/Tt×100、Td:散乱光線透過率、Tt:全光線透過率)
耐摩耗性が上記範囲とするには、前記アクリル樹脂中間層の膜厚を1〜50μmとし、前記シリカ膜層の膜厚を1〜20μmとすればよい。
また、本発明の透明樹脂積層体は、製造工程においてVOC排出量が200g/m3以下、さらには160g/m3以下であることが好ましい。本発明におけるアクリル樹脂中間層及びシリカ膜層を加熱硬化でなく、それぞれUV硬化、プラズマCVDにより形成されることで、透明樹脂積層体のVOC排出量を200g/m3以下とすることができる。VOC排出量は、以下の方法で測定できる。
本発明において、VOC排出量の測定は、固形分と乾燥膜厚と成分から計算する。
本発明において、VOC排出量の測定は、固形分と乾燥膜厚と成分から計算する。
本発明の透明樹脂積層体は、透明樹脂基材の片面にアクリル樹脂中間層、シリカ膜層が形成されてもよいが、透明樹脂基材の両面にアクリル樹脂中間層、シリカ膜層が積層されることが好ましい。
本発明の透明樹脂積層体は、耐摩耗性、耐候性に優れていることから、窓材、特に自動車用の窓材等に利用可能である。
本発明の透明樹脂積層体は、耐摩耗性、耐候性に優れていることから、窓材、特に自動車用の窓材等に利用可能である。
本発明は、透明樹脂積層体の製造方法も範囲内とする。すなわち、本発明は、透明樹脂基材上の少なくとも片面に、UV(紫外線)吸収剤を含むアクリル樹脂を塗布、UV等の活性エネルギー線で硬化して活性エネルギー線硬化型アクリル樹脂中間層を形成する工程、前記アクリル樹脂中間層上に、有機ケイ素化合物を含む原料を用い、プラズマCVDによりシリカ膜層を形成する工程と、を少なくとも有する透明樹脂積層体の製造方法である。
本発明の透明樹脂積層体の製造方法におけるアクリル中間層の形成方法、シリカ膜層の形成方法は、上述した各々の層の形成方法により行えばよい。
本発明の透明樹脂積層体の製造方法におけるアクリル中間層の形成方法、シリカ膜層の形成方法は、上述した各々の層の形成方法により行えばよい。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はもとよりこれに限定されるものではない。なお、得られた透明樹脂積層体は以下の方法によって評価した。
(外観評価)
目視にて試験片の第2層の外観(異物の有無)、ひび割れ(クラック)の有無を確認した。
目視にて試験片の第2層の外観(異物の有無)、ひび割れ(クラック)の有無を確認した。
(密着性)
第2層にカッターナイフで1mm間隔の100個の碁盤目を作りニチバン製粘着テープ(ニチバン株式会社製、商品名セロテープ(登録商標))を圧着し、約60°の角度ですばやく引き剥がして、第一層上に残った碁盤目の数で評価した(JIS K5600−5−6に準拠)。
第2層にカッターナイフで1mm間隔の100個の碁盤目を作りニチバン製粘着テープ(ニチバン株式会社製、商品名セロテープ(登録商標))を圧着し、約60°の角度ですばやく引き剥がして、第一層上に残った碁盤目の数で評価した(JIS K5600−5−6に準拠)。
(耐摩耗性)
ASTM D1044に準じて、行う。まず、サンプルとして100mm角、3〜5mm程度の板厚の透明樹脂積層体を用意し、摩耗輪はCalibrase社製CS−10Fを用い、荷重500gで1000回転テーバー摩耗試験を行い、テーバー摩耗した後のヘーズと、テーバー摩耗試験前のヘーズとの差ΔHを測定して評価した。摩耗輪のリフェースはST−11 Refacing stoneを用いて25回転で行った。各ヘーズ値は、下記式で算出できる。
(ヘーズ=Td/Tt×100、Td:散乱光線透過率、Tt:全光線透過率)
ASTM D1044に準じて、行う。まず、サンプルとして100mm角、3〜5mm程度の板厚の透明樹脂積層体を用意し、摩耗輪はCalibrase社製CS−10Fを用い、荷重500gで1000回転テーバー摩耗試験を行い、テーバー摩耗した後のヘーズと、テーバー摩耗試験前のヘーズとの差ΔHを測定して評価した。摩耗輪のリフェースはST−11 Refacing stoneを用いて25回転で行った。各ヘーズ値は、下記式で算出できる。
(ヘーズ=Td/Tt×100、Td:散乱光線透過率、Tt:全光線透過率)
(耐候性)
試験片をスーパーキセノンテスト(UV照射強度180W/m2、ブラックパネル温度63℃)にて暴露し、外観の変化や密着性の低下、具体的にはクラックの発生及び/又は剥離を起こすまでの時間を評価した。
試験片をスーパーキセノンテスト(UV照射強度180W/m2、ブラックパネル温度63℃)にて暴露し、外観の変化や密着性の低下、具体的にはクラックの発生及び/又は剥離を起こすまでの時間を評価した。
(実施例1)
帝人化成株式会社製ポリカーボネートシート パンライトLZ−1225、板厚3mm(以下PC板と略称する)に、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製UVHC3000をフローコートにより塗布し、25℃で2分間静置、熱風循環式オーブンを用いて温度75℃の雰囲気で10分間加熱乾燥を行った後、UVランプを用いUV−A照射量5.4J/cm2となるように紫外線を照射し、第1層となるアクリル樹脂中間層を被覆したポリカーボネート板状成形体を得た。アクリル樹脂中間層の膜厚は8μmだった。
帝人化成株式会社製ポリカーボネートシート パンライトLZ−1225、板厚3mm(以下PC板と略称する)に、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製UVHC3000をフローコートにより塗布し、25℃で2分間静置、熱風循環式オーブンを用いて温度75℃の雰囲気で10分間加熱乾燥を行った後、UVランプを用いUV−A照射量5.4J/cm2となるように紫外線を照射し、第1層となるアクリル樹脂中間層を被覆したポリカーボネート板状成形体を得た。アクリル樹脂中間層の膜厚は8μmだった。
次いでアクリル樹脂中間層を被覆したポリカーボネート板状成形体のアクリル樹脂中間層上に株式会社ユーテック社製プラズマCVD装置を用いて第2層となるシリカ膜層を形成し、透明樹脂積層体を得た。原料ガスにはヘキサメチルジシロキサンと酸素の混合ガスを用いた。シリカ膜層の膜厚は3.7μmだった。得られた透明樹脂積層体の評価結果を下記表1に示した。
なお、VOC(揮発性有機化合物)排出量は、160g/m2であった。
なお、VOC(揮発性有機化合物)排出量は、160g/m2であった。
(比較例1)
PC板にモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製SHP470(加熱硬化型アクリル樹脂)をフローコートにより塗布し、25℃で20分間静置後、熱風循環式オーブンを用いて125℃の雰囲気で30分間加熱乾燥を行い、第1層として加熱硬化により形成されたアクリル樹脂中間層を被覆したポリカーボネート板状成形体を得た。第1層の膜厚は3.0μmだった。
次いで、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製AS4700(オルガノシロキサン系のシリコーン系ハードコート)をフローコートにより第1層を被覆したポリカーボネート板状成形体に塗布し、25℃で20分静置後、熱風循環式オーブンを用いて125℃の雰囲気で60分間硬化させ、加熱硬化により第2層(オルガノシロキサン層)を形成し、透明樹脂積層体を得た。第2層の膜厚は5.2μmだった。得られた透明樹脂積層体の評価結果を下記表1に示した。
なお、VOC(揮発性有機化合物)排出量は、550g/m2であった。
PC板にモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製SHP470(加熱硬化型アクリル樹脂)をフローコートにより塗布し、25℃で20分間静置後、熱風循環式オーブンを用いて125℃の雰囲気で30分間加熱乾燥を行い、第1層として加熱硬化により形成されたアクリル樹脂中間層を被覆したポリカーボネート板状成形体を得た。第1層の膜厚は3.0μmだった。
次いで、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製AS4700(オルガノシロキサン系のシリコーン系ハードコート)をフローコートにより第1層を被覆したポリカーボネート板状成形体に塗布し、25℃で20分静置後、熱風循環式オーブンを用いて125℃の雰囲気で60分間硬化させ、加熱硬化により第2層(オルガノシロキサン層)を形成し、透明樹脂積層体を得た。第2層の膜厚は5.2μmだった。得られた透明樹脂積層体の評価結果を下記表1に示した。
なお、VOC(揮発性有機化合物)排出量は、550g/m2であった。
(比較例2)
PC板にモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製UVHC3000をフローコートにより塗布し、25分間で2分静置後、熱風循環式オーブンを用いて温度75℃の雰囲気で10分間加熱乾燥を行った後、UVランプを用いUV−A照射量5.4J/cm2となるように紫外線を照射し、第1層としてアクリル樹脂中間層を被覆したポリカーボネート板状成形体を得た。アクリル樹脂中間層の膜厚は7.9μmだった。
次いで該アクリル樹脂中間層を被覆したポリカーボネート板状成形体のアクリル樹脂中間層上にAZエレクトロニックマテリアルズ社製ポリシラザンNL120A−20(10%ジブチルエーテル溶液)をスプレーコートにより塗布し、25℃で2分間静置後、熱風循環式オーブンを用いて130℃の雰囲気で120分加熱硬化させ、加熱硬化して第2層を形成し、透明樹脂積層体を得た。第2層の膜厚は4.2μmとなった。得られた透明樹脂積層体の評価結果を下記表1に示した。
得られた透明樹脂積層体は、第2層形成において硬化する際に応力が大きくかかり、クラックが発生した。
なお、VOC(揮発性有機化合物)排出量は、580g/m2であった。
PC板にモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製UVHC3000をフローコートにより塗布し、25分間で2分静置後、熱風循環式オーブンを用いて温度75℃の雰囲気で10分間加熱乾燥を行った後、UVランプを用いUV−A照射量5.4J/cm2となるように紫外線を照射し、第1層としてアクリル樹脂中間層を被覆したポリカーボネート板状成形体を得た。アクリル樹脂中間層の膜厚は7.9μmだった。
次いで該アクリル樹脂中間層を被覆したポリカーボネート板状成形体のアクリル樹脂中間層上にAZエレクトロニックマテリアルズ社製ポリシラザンNL120A−20(10%ジブチルエーテル溶液)をスプレーコートにより塗布し、25℃で2分間静置後、熱風循環式オーブンを用いて130℃の雰囲気で120分加熱硬化させ、加熱硬化して第2層を形成し、透明樹脂積層体を得た。第2層の膜厚は4.2μmとなった。得られた透明樹脂積層体の評価結果を下記表1に示した。
得られた透明樹脂積層体は、第2層形成において硬化する際に応力が大きくかかり、クラックが発生した。
なお、VOC(揮発性有機化合物)排出量は、580g/m2であった。
実施例1により得られた透明樹脂積層体は、表1に示したように評価結果はすべて良好であった。
表2に、従来方式と本発明の透明樹脂積層体の生産サイクルの一例を示した。これより、本発明の透明樹脂積層体は、生産性に優れていることがわかる。
表2に、従来方式と本発明の透明樹脂積層体の生産サイクルの一例を示した。これより、本発明の透明樹脂積層体は、生産性に優れていることがわかる。
Claims (4)
- 透明樹脂基材と、該透明樹脂基材上の少なくとも片面に形成される、UV(紫外線)吸収剤を含む活性エネルギー線硬化型アクリル樹脂中間層と、該アクリル樹脂中間層上にプラズマCVDにより形成されるシリカ膜層と、を有する透明樹脂積層体。
- 前記アクリル樹脂中間層の膜厚が1〜50μmであり、前記シリカ膜層の膜厚が1〜20μmである請求項1に記載の透明樹脂積層体。
- ASTM D1044によるテーバー摩耗試験における荷重500g、1000回転時における曇価の変化率が2%以下である請求項1又は2に記載の透明樹脂積層体。
- 透明樹脂基材上の少なくとも片面に、UV(紫外線)吸収剤を含むアクリル樹脂を塗布、UV硬化して活性エネルギー線硬化型アクリル樹脂中間層を形成する工程、前記アクリル樹脂中間層上に、有機ケイ素化合物を含む原料を用い、プラズマCVDによりシリカ膜層を形成する工程と、を少なくとも有する透明樹脂積層体の製造方法。
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- 2008-08-22 JP JP2008213414A patent/JP2009067049A/ja active Pending
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