JP5554384B2 - Fmcwレーダ装置およびfmcwレーダ用信号処理方法 - Google Patents

Fmcwレーダ装置およびfmcwレーダ用信号処理方法 Download PDF

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Description

この発明は、対象となる物体(以下、「ターゲット」と称する)までの距離やターゲットに対する相対速度を測定するFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)レーダ装置およびFMCWレーダ用信号処理方法に関する。
近年、パルスレーダ等に比べ安価かつ単純な構成で、距離が数百m以下のターゲットに対応できるFMCWレーダ装置(以下、単に「FMCWレーダ」とも称する)が用いられている。FMCWレーダは、特定の変調を施した送信信号を電磁波として放射(送波)し、ターゲットで反射した電磁波を受波し、受波した電磁波を受信信号として、送信信号と受信信号とから、ビート信号を生成する。
ここで、ビート信号は、ADコンバータ(ADC:Analog−to−Digital Converter)によりデジタルデータに変換された後、CPU(Central Processing Unit)等に入力され、CPUでの信号処理により、ターゲットまでの距離やターゲットに対する相対速度、ターゲットの角度が測定される。
なお、FMCWレーダにおけるビート信号のビート周波数は、ターゲットまでの距離とターゲットに対する相対速度との組み合わせにより、正(>0)および負(<0)のどちらの値もとりうる。
このようなFMCWレーダとして、第1送信手段で2種類のビート周波数(U、D)を検出し、第2送信手段で2種類のビート周波数(u、d)を検出し、4種類のビート周波数(U、D、u、d)すべての出現状態により、ビート周波数の正負符号等を判定し、ターゲットの検出処理を行う車載レーダ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−170641号公報
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
すなわち、例えば自動車に搭載され、車速/車間制御(ACC:Adaptive Cruise Control)や衝突被害の軽減または衝突防止に用いられるFMCWレーダ装置は、搭載性の観点から、装置サイズの小型化が要求される。
ここで、FMCWレーダの受信回路に関して、同相成分および直交成分の両方、すなわち複素信号における実部および虚部を観測する理想的な回路を想定した場合には、複雑な2系統の回路が必要になる。これに対して、同相成分のみ、すなわち複素信号における実部のみを観測する場合には、簡素な1系統の回路で足り、装置の小型化が可能になる。
しかしながら、同相成分のみを観測するFMCWレーダにおいて、ビート信号を、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)等により、周波数パワースペクトラムに変換すると、ビート周波数について、正(>0)の範囲と負(<0)の範囲とでパワーのピーク(極大値)が対称に現れる。
そのため、例えば、ターゲットに対応するビート周波数を、パワーのピークとして検出した場合、常に正負両方の周波数で検出されるので、ターゲットまでの距離およびターゲットに対する相対速度を正しく測定するためには、ターゲットに対応する正しい符号のビート周波数を得る必要がある。
ここで、特許文献1に示された車載レーダ装置では、ビート周波数が常に正負両方の周波数で検出される状態を想定していない。そのため、ターゲットに対応する正しい符号のビート周波数が得られない場合には、ターゲットまでの距離およびターゲットに対する相対速度を正しく測定することができないという問題がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、観測されるビート信号が同相成分のみであっても、ターゲットに対応する正しい符号のビート周波数を得ることにより、ターゲットまでの距離およびターゲットに対する相対速度を正しく測定することができるFMCWレーダ装置およびFMCWレーダ用信号処理方法を得ることを目的とする。
この発明に係るFMCWレーダ装置は、送信信号を電磁波として送波し、ターゲットで反射した電磁波を受信信号として受波し、送信信号と受信信号とをミキシングしてビート信号を生成して、ビート信号に基づいて、ターゲットまでの距離およびターゲットに対する相対速度を測定するFMCWレーダ装置であって、FFT後のアップチャープ期間におけるビート信号の周波数複素スペクトル、およびダウンチャープ期間におけるビート信号の周波数複素スペクトルから、所定の範囲における周波数ビンの複素スペクトルのみを抽出する周波数ビン抽出部と、アップチャープ期間におけるターゲットの周波数ビンと、ダウンチャープ期間におけるターゲットの周波数ビンとから、FMCWレーダの原理に基づきターゲットまでの距離およびターゲットに対する相対速度を測定するターゲット測定部とを備え、所定の範囲は、アップチャープ期間では負(<0)の周波数であり、ダウンチャープ期間では正(>0)の周波数であり、アップチャープ期間とダウンチャープ期間とで変調時間幅がともにT[s]であり、送信信号の変調中心周波数がFc[Hz]であり、電磁波の速度がC[m/s]であり、観測する相対速度の範囲が(−Vmax)[m/s]〜(+Vmax)[m/s]である場合に、所定の範囲として、アップチャープ期間では、負(<0)の周波数の上限を、−RoundUp〔{(2×Fc×T)/C}×(Vmax)〕ただし、RoundUp〔 〕は小数点以下を切り上げる関数とし、ダウンチャープ期間では、正(>0)の周波数の下限を、RoundUp〔{(2×Fc×T)/C}×(Vmax)〕とするものである。
この発明に係るFMCWレーダ用信号処理方法は、送信信号を電磁波として送波し、ターゲットで反射した電磁波を受信信号として受波し、送信信号と受信信号とをミキシングしてビート信号を生成して、ビート信号に基づいて、ターゲットまでの距離およびターゲットに対する相対速度を測定するFMCWレーダ装置で実行されるFMCWレーダ用信号処理方法であって、FFT後のアップチャープ期間におけるビート信号の周波数複素スペクトル、およびダウンチャープ期間におけるビート信号の周波数複素スペクトルから、所定の範囲における周波数ビンの複素スペクトルのみを抽出する周波数ビン抽出ステップと、アップチャープ期間におけるターゲットの周波数ビンと、ダウンチャープ期間におけるターゲットの周波数ビンとから、FMCWレーダの原理に基づきターゲットまでの距離およびターゲットに対する相対速度を測定するターゲット測定ステップとを備え、所定の範囲は、アップチャープ期間では負(<0)の周波数であり、ダウンチャープ期間では正(>0)の周波数であり、アップチャープ期間とダウンチャープ期間とで変調時間幅がともにT[s]であり、送信信号の変調中心周波数がFc[Hz]であり、電磁波の速度がC[m/s]であり、観測する相対速度の範囲が(−Vmax)[m/s]〜(+Vmax)[m/s]である場合に、所定の範囲として、アップチャープ期間では、負(<0)の周波数の上限を、−RoundUp〔{(2×Fc×T)/C}×(Vmax)〕ただし、RoundUp〔 〕は小数点以下を切り上げる関数とし、ダウンチャープ期間では、正(>0)の周波数の下限を、RoundUp〔{(2×Fc×T)/C}×(Vmax)〕とするものである。
この発明に係るFMCWレーダ装置およびFMCWレーダ用信号処理方法によれば、周波数ビン抽出部(ステップ)は、FFT後のアップチャープ期間におけるビート信号の周波数複素スペクトル、およびダウンチャープ期間におけるビート信号の周波数複素スペクトルから、所定の範囲における周波数ビンの複素スペクトルのみを抽出し、ターゲット測定部(ステップ)は、アップチャープ期間におけるターゲットの周波数ビンと、ダウンチャープ期間におけるターゲットの周波数ビンとから、ターゲットまでの距離およびターゲットに対する相対速度を測定する。
そのため、観測されるビート信号が同相成分のみであっても、ターゲットに対応する正しい符号のビート周波数を得ることにより、ターゲットまでの距離およびターゲットに対する相対速度を正しく測定することができる。
この発明の実施の形態1に係るFMCWレーダ装置を示すブロック構成図である。 この発明の実施の形態1に係るFMCWレーダ装置の観測期間内における時間と変調電圧との関係を示す説明図である。 この発明の実施の形態1に係るFMCWレーダ装置の観測期間内における時間と送信信号周波数との関係を示す説明図である。 (a)、(b)は、この発明の実施の形態1に係るFMCWレーダ装置のアップチャープ期間におけるターゲットのビート周波数を、距離−相対速度平面上で示した説明図である。 (a)、(b)は、この発明の実施の形態1に係るFMCWレーダ装置のダウンチャープ期間におけるターゲットのビート周波数を、距離−相対速度平面上で示した説明図である。 この発明の実施の形態2に係るFMCWレーダ装置を示すブロック構成図である。 この発明の実施の形態2に係るFMCWレーダ装置の観測期間内における時間と変調電圧との関係を示す説明図である。 この発明の実施の形態2に係るFMCWレーダ装置の観測期間内における時間と送信信号周波数との関係を示す説明図である。 この発明の実施の形態2に係るFMCWレーダ装置の観測期間内における時間と送信信号周波数との関係を示す説明図である。 (a)〜(c)は、この発明の実施の形態2に係るFMCWレーダ装置における距離−相対速度平面上の測定可能領域を示す説明図である。 (a)、(b)は、この発明の実施の形態2に係るFMCWレーダ装置における距離−相対速度平面上の測定可能領域を示す説明図である。 (a)、(b)は、この発明の実施の形態2に係るFMCWレーダ装置における距離−相対速度平面上の測定可能領域を示す説明図である。
以下、この発明に係るFMCWレーダ装置およびFMCWレーダ用信号処理方法の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
なお、以下の各実施の形態では、この発明に係るFMCWレーダ装置が自動車に搭載されてターゲットの検出処理を行う場合を例に挙げて説明する。しかしながら、これに限定されず、この発明に係るFMCWレーダ装置を自動車以外の、例えば船舶や航空機等、他の移動体に適用した場合であっても、同様の効果を奏することはいうまでもない。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るFMCWレーダ装置1を示すブロック構成図である。
図1において、FMCWレーダ装置1は、制御部11、変調電圧発生部12、電圧制御発振器(以下、「VCO:Voltage Controlled Oscillator」と称する)13、分配回路14、高周波アンプ回路15、送波アンテナ16、受波アンテナ17a、17b、ミキサ18a、18b、フィルタ回路19a、19b、アンプ回路20a、20b、ADC21a、21b、メモリ22、FFT処理部23、周波数ビン抽出部24、検出・測角処理部25、ペアリング処理部26およびターゲット測定部27を備えている。
続いて、FMCWレーダ装置1の各部の動作について説明する。
制御部11は、例えば専用のロジック回路や、汎用のCPU、DSP(Digital Signal Processor)内のプログラム、またはこれらの組み合わせで構成され、FMCWレーダ装置1の各構成要素の動作タイミング等を制御する。
変調電圧発生部12は、制御部11の制御により、図2で表されるような、FMCW用の変調電圧を発生する。図2は、この発明の実施の形態1に係るFMCWレーダ装置1の観測期間内における時間と変調電圧との関係を示す説明図である。
図2において、変調電圧は、あらかじめ設定された一定の観測期間内で、時間経過につれて印加電圧が高くなるアップチャープ期間と、時間経過につれて印加電圧が低くなるダウンチャープ期間とを有し、変調電圧発生部12は、それぞれの期間毎に、あらかじめ設定されたFMCW用変調電圧を発生する。
VCO13は、変調電圧発生部12から印加される電圧に応じて、図3で表されるような、時間経過につれて周波数が変化する送信信号を生成する。図3は、この発明の実施の形態1に係るFMCWレーダ装置1の観測期間内における時間と送信信号周波数との関係を示す説明図である。
図3において、送信信号は、変調電圧と同じく、あらかじめ設定された一定の観測期間内で、時間経過につれて送信信号の周波数が高くなるアップチャープ期間と、時間経過につれて送信信号の周波数が低くなるダウンチャープ期間とを有し、VCO13は、それぞれの期間毎に、時間経過につれて周波数が変化する送信信号を生成する。
以下、VCO13の生成する送信信号を、アップチャープ期間およびダウンチャープ期間に分けた上で、それぞれの期間について、VCO13から検出・測角処理部25までの動作を説明する。
まず、アップチャープ期間における動作について説明する。
VCO13は、図3で表されるような、変調周波数幅がB[Hz]で、変調時間幅がT[s]のアップチャープ期間送信信号を生成する。分配回路14は、VCO13で生成された送信信号の一部を高周波アンプ回路15に出力し、送信信号の残りをミキサ18a、18bに出力する。
高周波アンプ回路15は、分配回路14からの送信信号の電力をあらかじめ設定された大きさに増幅して、送波アンテナ16に出力する。送波アンテナ16は、高周波アンプ回路15で増幅された送信信号を電磁波として空間に放射(送波)する。送波された電磁波は、ターゲット(図示せず)に照射され、受波アンテナ17a、17bは、ターゲットで反射した電磁波をそれぞれ受波する。
受波アンテナ17aは、ターゲットで反射した電磁波を受波し、受波した電磁波を受信信号として、ミキサ18aに出力する。ミキサ18aは、分配回路14からの送信信号と受波アンテナ17aからの受信信号とをミキシングし、ビート信号を生成して、フィルタ回路19aに出力する。
フィルタ回路19aは、ミキサ18aからのビート信号に対して、不要な周波数成分を抑圧した(所望の帯域の信号を取り出した)ビート信号を、アンプ回路20aに出力する。アンプ回路20aは、ビート信号の電圧をあらかじめ設定された大きさに増幅して、ADC21aに出力する。ADC21aは、ビート信号の電圧値をデジタルデータに変換し、アップチャープ期間ビート信号#1としてメモリ22に保存する。
一方、受波アンテナ17bは、ターゲットで反射した電磁波を受波し、受波した電磁波を受信信号として、ミキサ18bに出力する。ミキサ18bは、分配回路14からの送信信号と受波アンテナ17bからの受信信号とをミキシングし、ビート信号を生成して、フィルタ回路19bに出力する。
フィルタ回路19bは、ミキサ18bからのビート信号に対して、不要な周波数成分を抑圧した(所望の帯域の信号を取り出した)ビート信号を、アンプ回路20bに出力する。アンプ回路20bは、ビート信号の電圧をあらかじめ設定された大きさに増幅して、ADC21bに出力する。ADC21bは、ビート信号の電圧値をデジタルデータに変換し、アップチャープ期間ビート信号#2としてメモリ22に保存する。
ここで、FFT処理部23、周波数ビン抽出部24、検出・測角処理部25、ペアリング処理部26およびターゲット測定部27は、例えば専用のロジック回路や、汎用のCPU、DSP内のプログラム、またはこれらの組み合わせで構成され、制御部11の制御により、以下の動作を行う。
FFT処理部23は、メモリ22からアップチャープ期間ビート信号#1を読み出し、FFT処理により、アップチャープ期間周波数複素スペクトル#1に変換して、周波数ビン抽出部24に出力する。なお、以下の説明では、FFT後の周波数最小離散単位を、周波数ビンとする。すなわち、FFT処理部23への入力データの時間幅が、変調時間幅T[s]に等しい場合、周波数最小離散幅である周波数ビンの幅は1/T[Hz]となる。
周波数ビン抽出部24は、アップチャープ期間用にあらかじめ設定された範囲の周波数ビンの複素スペクトルを抽出し、アップチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#1としてメモリ22に保存する。
続いて、FFT処理部23は、メモリ22からアップチャープ期間ビート信号#2を読み出し、FFT処理により、アップチャープ期間周波数複素スペクトル#2に変換して、周波数ビン抽出部24に出力する。周波数ビン抽出部24は、アップチャープ期間用にあらかじめ設定された範囲の周波数ビンの複素スペクトルを抽出し、アップチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#2としてメモリ22に保存する。
検出・測角処理部25は、メモリ22から、アップチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#1およびアップチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#2を読み出し、それぞれの複素スペクトルからパワースペクトルを求め、例えば同じ周波数ビンについて両方のパワー値を加算して、新たなパワー値とする。
また、検出・測角処理部25は、これらの各周波数ビンにおけるパワー値について、例えば、あらかじめ設定されたしきい値以上のパワー値で、パワー値が極大、すなわち隣接する周波数ビンのパワー値よりも大きなパワー値を持つ周波数ビンを検出する。
さらに、検出・測角処理部25は、検出された周波数ビンのアップチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#1と、アップチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#2とから、位相差を算出し、必要に応じて位相補正を行った後、公知の技術である位相モノパルス測角の原理により、ターゲットの角度に換算する。なお、このとき、真の周波数ビンに対して、正負符号が逆の周波数ビンでは、角度誤差が発生する。
検出・測角処理部25は、このようにして得られた検出周波数ビン、その周波数ビンにおけるパワー値およびターゲットの角度をセットにして、検出された数だけ、アップチャープ期間検出データセットとして、メモリ22に保存する。
続いて、ダウンチャープ期間における動作について説明する。
VCO13は、図3で表されるような、変調周波数幅がB[Hz]で、変調時間幅がT[s]のダウンチャープ期間送信信号を生成する。分配回路14は、VCO13で生成された送信信号の一部を高周波アンプ回路15に出力し、送信信号の残りをミキサ18a、18bに出力する。
高周波アンプ回路15は、分配回路14からの送信信号の電力をあらかじめ設定された大きさに増幅して、送波アンテナ16に出力する。送波アンテナ16は、高周波アンプ回路15で増幅された送信信号を電磁波として空間に放射(送波)する。送波された電磁波は、ターゲットに照射され、受波アンテナ17a、17bは、ターゲットで反射した電磁波をそれぞれ受波する。
受波アンテナ17a、17bは、ターゲットで反射した電磁波をそれぞれ受波し、受波した電磁波を受信信号として、ミキサ18a、18bに出力する。ミキサ18a、18bは、分配回路14からの送信信号と受波アンテナ17a、17bからの受信信号とをそれぞれミキシングし、ビート信号を生成して、フィルタ回路19a、19bに出力する。
フィルタ回路19a、19bは、ミキサ18a、18bからのビート信号に対して、それぞれ不要な周波数成分を抑圧した(所望の帯域の信号を取り出した)ビート信号を、アンプ回路20a、20bに出力する。
アンプ回路20a、20bは、ビート信号の電圧をあらかじめ設定された大きさにそれぞれ増幅して、ADC21a、21bに出力する。ADC21a、21bは、ビート信号の電圧値をデジタルデータにそれぞれ変換し、ダウンチャープ期間ビート信号#1およびダウンチャープ期間ビート信号#2としてメモリ22に保存する。
FFT処理部23は、メモリ22からダウンチャープ期間ビート信号#1を読み出し、FFT処理により、ダウンチャープ期間周波数複素スペクトル#1に変換して、周波数ビン抽出部24に出力する。周波数ビン抽出部24は、ダウンチャープ期間用にあらかじめ設定された範囲の周波数ビンの複素スペクトルを抽出し、ダウンチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#1としてメモリ22に保存する。
続いて、FFT処理部23は、メモリ22からダウンチャープ期間ビート信号#2を読み出し、FFT処理により、ダウンチャープ期間周波数複素スペクトル#2に変換して、周波数ビン抽出部24に出力する。周波数ビン抽出部24は、ダウンチャープ期間用にあらかじめ設定された範囲の周波数ビンの複素スペクトルを抽出し、ダウンチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#2としてメモリ22に保存する。
検出・測角処理部25は、メモリ22から、ダウンチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#1およびダウンチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#2を読み出し、それぞれの複素スペクトルからパワースペクトルを求め、アップチャープ期間と同じ方法で新たなパワー値を算出する。
また、検出・測角処理部25は、これらの各周波数ビンにおけるパワー値について、例えば、あらかじめ設定されたしきい値以上のパワー値で、パワー値が極大、すなわち隣接する周波数ビンのパワー値よりも大きなパワー値を持つ周波数ビンを検出する。
さらに、検出・測角処理部25は、検出された周波数ビンのダウンチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#1と、ダウンチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#2とから、位相差を算出し、必要に応じて位相補正を行った後、公知の技術である位相モノパルス測角の原理により、ターゲットの角度に換算する。なお、このとき、真の周波数ビンに対して、正負符号が逆の周波数ビンでは、角度誤差が発生する。
検出・測角処理部25は、このようにして得られた検出周波数ビン、その周波数ビンにおけるパワー値およびターゲットの角度をセットにして、検出された数だけ、ダウンチャープ期間検出データセットとして、メモリ22に保存する。
ペアリング処理部26は、メモリ22から、アップチャープ期間検出データセットおよびダウンチャープ期間検出データセットを読み出し、公知の技術であるペアリング処理により、例えば、パワー値の差が小さい、または角度の差が小さい等の判定指標に基づいて、アップチャープ期間の検出周波数ビンと、ダウンチャープ期間の検出周波数ビンとのペアを生成して、ターゲット測定部27に出力する。このとき、ペアは複数に成り得る。
ターゲット測定部27は、アップチャープ期間の検出周波数ビンがUビン、ダウンチャープ期間の検出周波数ビンがDビンである場合に、送信信号の変調中心周波数をFc[Hz]とし、電磁波の速度をC[m/s]として、FMCWレーダの原理に基づき、ターゲットまでの距離R[m]と、ターゲットに対する相対速度V[m/s](接近の場合にマイナス値と定義する)とを、次式(1)、(2)により求める。
R={C/(4×B)}×(D−U) (1)
V=−{C/(4×Fc×T)}×(U+D) (2)
また、ターゲット測定部27は、アップチャープ期間検出データセットおよびダウンチャープ期間検出データセットからそれぞれターゲットの角度を取り出し、例えばその平均値を最終的なターゲットの角度とし、このターゲットの角度、ターゲットまでの距離およびターゲットに対する相対速度をセットにして、メモリ22に保存、または外部に出力する。
ここで、図4、5を参照しながら、上記式(1)、(2)により、同相成分のみで、ターゲットまでの距離およびターゲットに対する相対速度を得るために、周波数ビン抽出部24で抽出する周波数ビンの範囲を設定する方法について説明する。
図4(a)、(b)は、この発明の実施の形態1に係るFMCWレーダ装置1のアップチャープ期間におけるターゲットのビート周波数を、距離−相対速度平面上で示した説明図であり、図5(a)、(b)は、この発明の実施の形態1に係るFMCWレーダ装置1のダウンチャープ期間におけるターゲットのビート周波数を、距離−相対速度平面上で示した説明図である。
まず、アップチャープ期間とダウンチャープ期間とで変調時間幅がともにT[s]であり、変調周波数幅がB[Hz]であり、送信信号の変調中心周波数がFc[Hz]であり、電磁波の速度がC[m/s]であり、ターゲットまでの距離をR[m]とし、ターゲットに対する相対速度をV[m/s]とする。
このとき、FMCWレーダの原理に基づき、アップチャープ期間で観測されるターゲットのビート周波数Fuは、次式(3)で表され、ダウンチャープ期間で観測されるターゲットのビート周波数Fdは、次式(4)で表される。
Fu=−{(2×B)/(C×T)}×R−{(2×Fc)/C}×V (3)
Fd={(2×B)/(C×T)}×R−{(2×Fc)/C}×V (4)
ここで、図4(a)に示される距離−相対速度平面において、ターゲットのビート周波数が同じ値になるターゲットまでの距離と、ターゲットに対する相対速度との組み合わせは、直線として表される。また、アップチャープ期間におけるターゲットのビート周波数Fuが0[Hz]になる点の集合は、次式(5)で表される原点を通る直線となる。
{(2×B)/(C×T)}×R=−{(2×Fc)/C}×V (5)
図4(a)において、式(5)で表される直線を境界として、アップチャープ期間におけるターゲットのビート周波数が、正(>0)である領域と負(<0)である領域とに分かれる。なお、図4(a)より、現実の距離範囲(>0)を考慮すると、アップチャープ期間におけるターゲットのビート周波数は、負(<0)である領域の方が広い。
また、観測する相対速度の範囲が(−Vmax)[m/s]〜(+Vmax)[m/s]である場合、図4(b)に示されるターゲットまでの距離R=0[m]で、ターゲットに対する相対速度V=(−Vmax)[m/s]を通る直線は、アップチャープ期間で観測されるターゲットのビート周波数のうち、正(>0)である領域で、大きさ(絶対値)が最大の、次式(6)で表されるビート周波数(+Fumax)に相当する。
(+Fumax)
=−{(2×B)/(C×T)}×(0)−{(2×Fc)/C}×(−Vmax)
=−{(2×Fc)/C}×(−Vmax) (6)
このとき、(+Fumax)が観測されるということは、(−Fumax)〜(+Fumax)の範囲で検出される周波数に対して、正負符号判定が必要になる。これに対して、次式(6)で表される(−Fumax)よりも小さい負(<0)のビート周波数であれば、正負符号判定は不要となる。
(−Fumax)={(2×Fc)/C}×(−Vmax) (7)
なお、観測期間がT[s]の場合は、FFT後の周波数ビンの幅が1/T[Hz]であることから、(−Fumax)よりも小さい整数値としての周波数ビン(−Umax)は、次式(8)で表される。
(−Umax)
=RoundUp〔(−Fumax)/(1/T)〕
=−RoundUp〔(+Fumax)×T〕
=−RoundUp〔−{(2×Fc)/C}×(−Vmax)×T〕
=−RoundUp〔{(2×Fc×T)/C}×(Vmax)〕 (8)
ただし、RoundUp〔 〕は小数点以下を切り上げる関数
したがって、周波数ビン抽出部24では、(−Umax)以下の負(<0)の周波数ビンを、アップチャープ期間用として抽出すればよい。
同様に、図5(a)に示される距離−相対速度平面において、ダウンチャープ期間におけるターゲットのビート周波数Fdが0[Hz]になる点の集合は、次式(9)で表される原点を通る直線となる。
{(2×B)/(C×T)}×R={(2×Fc)/C}×V (9)
図5(a)において、式(9)で表される直線を境界として、ダウンチャープ期間におけるターゲットのビート周波数が、正(>0)である領域と負(<0)である領域とに分かれる。なお、図5(a)より、現実の距離範囲(>0)を考慮すると、ダウンチャープ期間におけるターゲットのビート周波数は、正(>0)である領域の方が広い。
また、観測する相対速度の範囲が(−Vmax)[m/s]〜(+Vmax)[m/s]である場合、図5(b)に示されるターゲットまでの距離R=0[m]で、ターゲットに対する相対速度V=(+Vmax)[m/s]を通る直線は、ダウンチャープ期間で観測されるターゲットのビート周波数のうち、負(<0)である領域で、大きさ(絶対値)が最大の、次式(10)で表されるビート周波数(−Fdmax)に相当する。
(−Fdmax)
={(2×B)/(C×T)}×(0)−{(2×Fc)/C}×(+Vmax)
=−{(2×Fc)/C}×(+Vmax) (10)
このとき、(−Fdmax)が観測されるということは、(−Fdmax)〜(+Fdmax)の範囲で検出される周波数に対して、正負符号判定が必要になる。これに対して、次式(11)で表される(+Fdmax)よりも大きい正(>0)のビート周波数であれば、正負符号判定は不要となる。
(+Fdmax)={(2×Fc)/C}×(+Vmax) (11)
なお、観測期間がT[s]の場合は、FFT後の周波数ビンの幅が1/T[Hz]であることから、(+Fdmax)よりも大きい整数値としての周波数ビン(+Dmax)は、次式(12)で表される。
(+Dmax)
=RoundUp〔(+Fdmax)/(1/T)〕
=RoundUp〔(+Fdmax)×T〕
RoundUp〔{(2×Fc)/C}×(+Vmax)×T〕
=RoundUp〔{(2×Fc×T)/C}×(Vmax)〕 (12)
ただし、RoundUp〔 〕は小数点以下を切り上げる関数
したがって、周波数ビン抽出部24では、(+Dmax)以上の正(>0)の周波数ビンを、ダウンチャープ期間用として抽出すればよい。
このように、アップチャープ期間およびダウンチャープ期間に応じて、周波数ビン抽出部24で抽出する周波数ビンの範囲を上記のように設定することにより、観測されるビート信号が同相成分のみであっても、式(1)、(2)から、ターゲットまでの距離およびターゲットに対する相対速度を得ることができる。
以上のように、実施の形態1によれば、周波数ビン抽出部(ステップ)は、FFT後のアップチャープ期間におけるビート信号の周波数複素スペクトル、およびダウンチャープ期間におけるビート信号の周波数複素スペクトルから、所定の範囲における周波数ビンの複素スペクトルのみを抽出し、ターゲット測定部(ステップ)は、アップチャープ期間におけるターゲットの周波数ビンと、ダウンチャープ期間におけるターゲットの周波数ビンとから、ターゲットまでの距離およびターゲットに対する相対速度を測定する。
そのため、観測されるビート信号が同相成分のみであっても、ターゲットに対応する正しい符号のビート周波数を得ることにより、ターゲットまでの距離およびターゲットに対する相対速度を正しく測定することができる。
したがって、受信回路を簡素にして装置サイズを小型化することができる。
実施の形態2.
図6は、この発明の実施の形態2に係るFMCWレーダ装置1Aを示すブロック構成図である。
図6において、FMCWレーダ装置1Aは、図1に示した変調電圧発生部12およびターゲット測定部27に代えて、距離範囲毎変調電圧発生部31および距離範囲毎ターゲット測定部32を備えている。なお、その他の構成は、上述した実施の形態1と同様なので、説明を省略する。
続いて、FMCWレーダ装置1Aにおいて、上述した実施の形態1とは異なる部分の動作について説明する。
制御部11は、例えば専用のロジック回路や、汎用のCPU、DSP内のプログラム、またはこれらの組み合わせで構成され、FMCWレーダ装置1Aの各構成要素の動作タイミング等を制御する。
距離範囲毎変調電圧発生部31は、制御部11の制御により、図7で表されるような、距離範囲#1〜距離範囲#Mの距離範囲毎にFMCW用の変調電圧を発生する。図7は、この発明の実施の形態2に係るFMCWレーダ装置1Aの観測期間内における時間と変調電圧との関係を示す説明図である。
図7において、変調電圧は、あらかじめ設定された一定の全観測期間で、距離範囲#1〜距離範囲#Mを観測するための期間を有し、それぞれの距離範囲の期間毎に、時間経過につれて印加電圧が高くなるアップチャープ期間と、時間経過につれて印加電圧が低くなるダウンチャープ期間とを有し、距離範囲毎変調電圧発生部31は、それぞれの期間毎に、あらかじめ設定されたFMCW用変調電圧を発生する。
VCO13は、距離範囲毎変調電圧発生部31から印加される電圧に応じて、図8で表されるような、距離範囲毎に時間経過につれて周波数が変化する送信信号を生成する。図8は、この発明の実施の形態2に係るFMCWレーダ装置1Aの観測期間内における時間と送信信号周波数との関係を示す説明図である。
図8において、送信信号は、変調電圧と同じく、あらかじめ設定された一定の全観測期間内で、距離範囲#1〜距離範囲#Mを観測するための期間を有し、それぞれの距離範囲の期間毎に、時間経過につれて送信信号の周波数が高くなるアップチャープ期間と、時間経過につれて送信信号の周波数が低くなるダウンチャープ期間とを有し、VCO13は、それぞれの期間毎に、時間経過につれて周波数が変化する送信信号を生成する。
以下、図9に示されるように、距離範囲が2つ(M=2)である場合を例に挙げて、VCO13の生成する送信信号を、アップチャープ期間およびダウンチャープ期間に分けた上で、それぞれの期間について、VCO13から検出・測角処理部25までの動作を説明する。
まず、距離範囲#1のアップチャープ期間における動作について説明する。
VCO13は、距離範囲#1用として、図9で表されるような、変調周波数幅がB_1[Hz]で、変調時間幅がT_1[s]のアップチャープ期間送信信号を生成する。分配回路14は、VCO13で生成された送信信号の一部を高周波アンプ回路15に出力し、送信信号の残りをミキサ18a、18bに出力する。
高周波アンプ回路15は、分配回路14からの送信信号の電力をあらかじめ設定された大きさに増幅して、送波アンテナ16に出力する。送波アンテナ16は、高周波アンプ回路15で増幅された送信信号を電磁波として空間に放射(送波)する。送波された電磁波は、ターゲットに照射され、受波アンテナ17a、17bは、ターゲットで反射した電磁波をそれぞれ受波する。
受波アンテナ17a、17bは、ターゲットで反射した電磁波をそれぞれ受波し、受波した電磁波を受信信号として、ミキサ18a、18bに出力する。ミキサ18a、18bは、分配回路14からの送信信号と受波アンテナ17a、17bからの受信信号とをそれぞれミキシングし、ビート信号を生成して、フィルタ回路19a、19bに出力する。
フィルタ回路19a、19bは、ミキサ18a、18bからのビート信号に対して、それぞれ不要な周波数成分を抑圧した(所望の帯域の信号を取り出した)ビート信号を、アンプ回路20a、20bに出力する。
アンプ回路20a、20bは、ビート信号の電圧をあらかじめ設定された大きさにそれぞれ増幅して、ADC21a、21bに出力する。ADC21a、21bは、ビート信号の電圧値をデジタルデータにそれぞれ変換し、アップチャープ期間ビート信号#1およびアップチャープ期間ビート信号#2としてメモリ22に保存する。
FFT処理部23は、メモリ22からアップチャープ期間ビート信号#1を読み出し、FFT処理により、アップチャープ期間周波数複素スペクトル#1に変換して、周波数ビン抽出部24に出力する。周波数ビン抽出部24は、アップチャープ期間用にあらかじめ設定された範囲の周波数ビンの複素スペクトルを抽出し、アップチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#1としてメモリ22に保存する。
続いて、FFT処理部23は、メモリ22からアップチャープ期間ビート信号#2を読み出し、FFT処理により、アップチャープ期間周波数複素スペクトル#2に変換して、周波数ビン抽出部24に出力する。周波数ビン抽出部24は、アップチャープ期間用にあらかじめ設定された範囲の周波数ビンの複素スペクトルを抽出し、アップチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#2としてメモリ22に保存する。
検出・測角処理部25は、メモリ22から、アップチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#1およびアップチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#2を読み出し、それぞれの複素スペクトルからパワースペクトルを求め、アップチャープ期間と同じ方法で新たなパワー値を算出する。
また、検出・測角処理部25は、これらの各周波数ビンにおけるパワー値について、例えば、あらかじめ設定されたしきい値以上のパワー値で、パワー値が極大、すなわち隣接する周波数ビンのパワー値よりも大きなパワー値を持つ周波数ビンを検出する。
さらに、検出・測角処理部25は、検出された周波数ビンのアップチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#1と、アップチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#2とから、位相差を算出し、必要に応じて位相補正を行った後、公知の技術である位相モノパルス測角の原理により、ターゲットの角度に換算する。
検出・測角処理部25は、このようにして得られた検出周波数ビン、その周波数ビンにおけるパワー値およびターゲットの角度をセットにして、検出された数だけ、アップチャープ期間検出データセットとして、メモリ22に保存する。
続いて、距離範囲#1のダウンチャープ期間における動作について説明する。
VCO13は、距離範囲#1用として、図9で表されるような、変調周波数幅がB_1[Hz]で、変調時間幅がT_1[s]のダウンチャープ期間送信信号を生成する。分配回路14は、VCO13で生成された送信信号の一部を高周波アンプ回路15に出力し、送信信号の残りをミキサ18a、18bに出力する。
高周波アンプ回路15は、分配回路14からの送信信号の電力をあらかじめ設定された大きさに増幅して、送波アンテナ16に出力する。送波アンテナ16は、高周波アンプ回路15で増幅された送信信号を電磁波として空間に放射(送波)する。送波された電磁波は、ターゲットに照射され、受波アンテナ17a、17bは、ターゲットで反射した電磁波をそれぞれ受波する。
受波アンテナ17a、17bは、ターゲットで反射した電磁波をそれぞれ受波し、受波した電磁波を受信信号として、ミキサ18a、18bに出力する。ミキサ18a、18bは、分配回路14からの送信信号と受波アンテナ17a、17bからの受信信号とをそれぞれミキシングし、ビート信号を生成して、フィルタ回路19a、19bに出力する。
フィルタ回路19a、19bは、ミキサ18a、18bからのビート信号に対して、それぞれ不要な周波数成分を抑圧した(所望の帯域の信号を取り出した)ビート信号を、アンプ回路20a、20bに出力する。
アンプ回路20a、20bは、ビート信号の電圧をあらかじめ設定された大きさにそれぞれ増幅して、ADC21a、21bに出力する。ADC21a、21bは、ビート信号の電圧値をデジタルデータにそれぞれ変換し、ダウンチャープ期間ビート信号#1およびダウンチャープ期間ビート信号#2としてメモリ22に保存する。
FFT処理部23は、メモリ22からダウンチャープ期間ビート信号#1を読み出し、FFT処理により、ダウンチャープ期間周波数複素スペクトル#1に変換して、周波数ビン抽出部24に出力する。周波数ビン抽出部24は、ダウンチャープ期間用にあらかじめ設定された範囲の周波数ビンの複素スペクトルを抽出し、ダウンチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#1としてメモリ22に保存する。
続いて、FFT処理部23は、メモリ22からダウンチャープ期間ビート信号#2を読み出し、FFT処理により、ダウンチャープ期間周波数複素スペクトル#2に変換して、周波数ビン抽出部24に出力する。周波数ビン抽出部24は、ダウンチャープ期間用にあらかじめ設定された範囲の周波数ビンの複素スペクトルを抽出し、ダウンチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#2としてメモリ22に保存する。
検出・測角処理部25は、メモリ22から、ダウンチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#1およびダウンチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#2を読み出し、それぞれの複素スペクトルからパワースペクトルを求め、ダウンチャープ期間と同じ方法で新たなパワー値を算出する。
また、検出・測角処理部25は、これらの各周波数ビンにおけるパワー値について、例えば、あらかじめ設定されたしきい値以上のパワー値で、パワー値が極大、すなわち隣接する周波数ビンのパワー値よりも大きなパワー値を持つ周波数ビンを検出する。
さらに、検出・測角処理部25は、検出された周波数ビンのダウンチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#1と、ダウンチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#2とから、位相差を算出し、必要に応じて位相補正を行った後、公知の技術である位相モノパルス測角の原理により、ターゲットの角度に換算する。
検出・測角処理部25は、このようにして得られた検出周波数ビン、その周波数ビンにおけるパワー値およびターゲットの角度をセットにして、検出された数だけ、ダウンチャープ期間検出データセットとして、メモリ22に保存する。
ペアリング処理部26は、メモリ22から、アップチャープ期間検出データセットおよびダウンチャープ期間検出データセットを読み出し、公知の技術であるペアリング処理により、例えば、パワー値の差が小さい、または角度の差が小さい等の判定指標に基づいて、アップチャープ期間の検出周波数ビンと、ダウンチャープ期間の検出周波数ビンとのペアを生成して、距離範囲毎ターゲット測定部32に出力する。
距離範囲毎ターゲット測定部32は、制御部11から処理対象が距離範囲#1であることを受け、アップチャープ期間の検出周波数ビンがU_1ビン、ダウンチャープ期間の検出周波数ビンがD_1ビンである場合に、送信信号の変調中心周波数をFc[Hz]とし、電磁波の速度をC[m/s]として、FMCWレーダの原理に基づき、ターゲットまでの距離R[m]と、ターゲットに対する相対速度V[m/s]とを、次式(13)、(14)により求める。
R={C/(4×B_1)}×(D_1−U_1) (13)
V=−{C/(4×Fc×T_1)}×(U_1+D_1) (14)
また、距離範囲毎ターゲット測定部32は、アップチャープ期間検出データセットおよびダウンチャープ期間検出データセットからそれぞれターゲットの角度を取り出し、例えばその平均値を最終的なターゲットの角度とし、このターゲットの角度、ターゲットまでの距離およびターゲットに対する相対速度をセットにして、距離範囲#1における結果としてメモリ22に保存、または外部に出力する。
次に、距離範囲#2のアップチャープ期間における動作について説明する。
VCO13は、距離範囲#2用として、図9で表されるような、変調周波数幅がB_2[Hz]で、変調時間幅がT_2[s]のアップチャープ期間送信信号を生成する。分配回路14は、VCO13で生成された送信信号の一部を高周波アンプ回路15に出力し、送信信号の残りをミキサ18a、18bに出力する。
高周波アンプ回路15は、分配回路14からの送信信号の電力をあらかじめ設定された大きさに増幅して、送波アンテナ16に出力する。送波アンテナ16は、高周波アンプ回路15で増幅された送信信号を電磁波として空間に放射(送波)する。送波された電磁波は、ターゲットに照射され、受波アンテナ17a、17bは、ターゲットで反射した電磁波をそれぞれ受波する。
受波アンテナ17a、17bは、ターゲットで反射した電磁波をそれぞれ受波し、受波した電磁波を受信信号として、ミキサ18a、18bに出力する。ミキサ18a、18bは、分配回路14からの送信信号と受波アンテナ17a、17bからの受信信号とをそれぞれミキシングし、ビート信号を生成して、フィルタ回路19a、19bに出力する。
フィルタ回路19a、19bは、ミキサ18a、18bからのビート信号に対して、それぞれ不要な周波数成分を抑圧した(所望の帯域の信号を取り出した)ビート信号を、アンプ回路20a、20bに出力する。
アンプ回路20a、20bは、ビート信号の電圧をあらかじめ設定された大きさにそれぞれ増幅して、ADC21a、21bに出力する。ADC21a、21bは、ビート信号の電圧値をデジタルデータにそれぞれ変換し、アップチャープ期間ビート信号#1およびアップチャープ期間ビート信号#2としてメモリ22に保存する。
FFT処理部23は、メモリ22からアップチャープ期間ビート信号#1を読み出し、FFT処理により、アップチャープ期間周波数複素スペクトル#1に変換して、周波数ビン抽出部24に出力する。周波数ビン抽出部24は、アップチャープ期間用にあらかじめ設定された範囲の周波数ビンの複素スペクトルを抽出し、アップチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#1としてメモリ22に保存する。
続いて、FFT処理部23は、メモリ22からアップチャープ期間ビート信号#2を読み出し、FFT処理により、アップチャープ期間周波数複素スペクトル#2に変換して、周波数ビン抽出部24に出力する。周波数ビン抽出部24は、アップチャープ期間用にあらかじめ設定された範囲の周波数ビンの複素スペクトルを抽出し、アップチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#2としてメモリ22に保存する。
検出・測角処理部25は、メモリ22から、アップチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#1およびアップチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#2を読み出し、それぞれの複素スペクトルからパワースペクトルを求め、アップチャープ期間と同じ方法で新たなパワー値を算出する。
また、検出・測角処理部25は、これらの各周波数ビンにおけるパワー値について、例えば、あらかじめ設定されたしきい値以上のパワー値で、パワー値が極大、すなわち隣接する周波数ビンのパワー値よりも大きなパワー値を持つ周波数ビンを検出する。
さらに、検出・測角処理部25は、検出された周波数ビンのアップチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#1と、アップチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#2とから、位相差を算出し、必要に応じて位相補正を行った後、公知の技術である位相モノパルス測角の原理により、ターゲットの角度に換算する。
検出・測角処理部25は、このようにして得られた検出周波数ビン、その周波数ビンにおけるパワー値およびターゲットの角度をセットにして、検出された数だけ、アップチャープ期間検出データセットとして、メモリ22に保存する。
続いて、距離範囲#2のダウンチャープ期間における動作について説明する。
VCO13は、距離範囲#2用として、図9で表されるような、変調周波数幅がB_2[Hz]で、変調時間幅がT_2[s]のダウンチャープ期間送信信号を生成する。分配回路14は、VCO13で生成された送信信号の一部を高周波アンプ回路15に出力し、送信信号の残りをミキサ18a、18bに出力する。
高周波アンプ回路15は、分配回路14からの送信信号の電力をあらかじめ設定された大きさに増幅して、送波アンテナ16に出力する。送波アンテナ16は、高周波アンプ回路15で増幅された送信信号を電磁波として空間に放射(送波)する。送波された電磁波は、ターゲットに照射され、受波アンテナ17a、17bは、ターゲットで反射した電磁波をそれぞれ受波する。
受波アンテナ17a、17bは、ターゲットで反射した電磁波をそれぞれ受波し、受波した電磁波を受信信号として、ミキサ18a、18bに出力する。ミキサ18a、18bは、分配回路14からの送信信号と受波アンテナ17a、17bからの受信信号とをそれぞれミキシングし、ビート信号を生成して、フィルタ回路19a、19bに出力する。
フィルタ回路19a、19bは、ミキサ18a、18bからのビート信号に対して、それぞれ不要な周波数成分を抑圧した(所望の帯域の信号を取り出した)ビート信号を、アンプ回路20a、20bに出力する。
アンプ回路20a、20bは、ビート信号の電圧をあらかじめ設定された大きさにそれぞれ増幅して、ADC21a、21bに出力する。ADC21a、21bは、ビート信号の電圧値をデジタルデータにそれぞれ変換し、ダウンチャープ期間ビート信号#1およびダウンチャープ期間ビート信号#2としてメモリ22に保存する。
FFT処理部23は、メモリ22からダウンチャープ期間ビート信号#1を読み出し、FFT処理により、ダウンチャープ期間周波数複素スペクトル#1に変換して、周波数ビン抽出部24に出力する。周波数ビン抽出部24は、ダウンチャープ期間用にあらかじめ設定された範囲の周波数ビンの複素スペクトルを抽出し、ダウンチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#1としてメモリ22に保存する。
続いて、FFT処理部23は、メモリ22からダウンチャープ期間ビート信号#2を読み出し、FFT処理により、ダウンチャープ期間周波数複素スペクトル#2に変換して、周波数ビン抽出部24に出力する。周波数ビン抽出部24は、ダウンチャープ期間用にあらかじめ設定された範囲の周波数ビンの複素スペクトルを抽出し、ダウンチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#2としてメモリ22に保存する。
検出・測角処理部25は、メモリ22から、ダウンチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#1およびダウンチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#2を読み出し、それぞれの複素スペクトルからパワースペクトルを求め、ダウンチャープ期間と同じ方法で新たなパワー値を算出する。
また、検出・測角処理部25は、これらの各周波数ビンにおけるパワー値について、例えば、あらかじめ設定されたしきい値以上のパワー値で、パワー値が極大、すなわち隣接する周波数ビンのパワー値よりも大きなパワー値を持つ周波数ビンを検出する。
さらに、検出・測角処理部25は、検出された周波数ビンのダウンチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#1と、ダウンチャープ期間抽出周波数複素スペクトル#2とから、位相差を算出し、必要に応じて位相補正を行った後、公知の技術である位相モノパルス測角の原理により、ターゲットの角度に換算する。
検出・測角処理部25は、このようにして得られた検出周波数ビン、その周波数ビンにおけるパワー値およびターゲットの角度をセットにして、検出された数だけ、ダウンチャープ期間検出データセットとして、メモリ22に保存する。
ペアリング処理部26は、メモリ22から、アップチャープ期間検出データセットおよびダウンチャープ期間検出データセットを読み出し、公知の技術であるペアリング処理により、例えば、パワー値の差が小さい、または角度の差が小さい等の判定指標に基づいて、アップチャープ期間の検出周波数ビンと、ダウンチャープ期間の検出周波数ビンとのペアを生成して、距離範囲毎ターゲット測定部32に出力する。
距離範囲毎ターゲット測定部32は、制御部11から処理対象が距離範囲#2であることを受け、アップチャープ期間の検出周波数ビンがU_2ビン、ダウンチャープ期間の検出周波数ビンがD_2ビンである場合に、送信信号の変調中心周波数をFc[Hz]とし、電磁波の速度をC[m/s]として、FMCWレーダの原理に基づき、ターゲットまでの距離R[m]と、ターゲットに対する相対速度V[m/s]とを、次式(15)、(16)により求める。
R={C/(4×B_2)}×(D_2−U_2) (15)
V=−{C/(4×Fc×T_2)}×(U_2+D_2) (16)
また、距離範囲毎ターゲット測定部32は、アップチャープ期間検出データセットおよびダウンチャープ期間検出データセットからそれぞれターゲットの角度を取り出し、例えばその平均値を最終的なターゲットの角度とし、このターゲットの角度、ターゲットまでの距離およびターゲットに対する相対速度をセットにして、距離範囲#2における結果としてメモリ22に保存、または外部に出力する。
ここで、図10〜12を参照しながら、距離範囲#1用としての変調周波数幅B_1および変調時間幅T_1、並びに距離範囲#2用としての変調周波数幅B_2および変調時間幅T_2の設定方法について説明する。
図10(a)〜(c)、図11(a)、(b)および図12(a)、(b)は、この発明の実施の形態2に係るFMCWレーダ装置1Aにおける距離−相対速度平面上の測定可能領域を示す説明図である。
まず、距離範囲#1のアップチャープ期間では、上述した実施の形態1と同様に、次式(17)で表される周波数ビン(−U_1max)が、周波数ビン抽出部24で抽出される周波数ビンの範囲の上限となる。
(−U_1max)
=−RoundUp〔{(2×Fc×T_1)/C}×(Vmax)〕 (17)
ただし、RoundUp〔 〕は小数点以下を切り上げる関数
また、周波数ビンの範囲の上限は、図10(a)の距離−相対速度平面上では、次式(18)で表される直線となる。
(−U_1max)×(1/T_1)
=−{(2×B_1)/(C×T_1)}×R−{(2×Fc)/C}×V (18)
また、距離範囲#1のアップチャープ期間において、2×(N_1)個(ただし、N_1は2のべき乗の整数)のデータがADC21a、21bでサンプリングされ、その全データに対してFFTが実施されている場合には、周波数ビンの範囲の下限は、(1−N_1)であり、図10(a)の距離−相対速度平面上では、次式(19)で表される直線となる。
(1−N_1)×(1/T_1)
=−{(2×B_1)/(C×T_1)}×R−{(2×Fc)/C}×V (19)
すなわち、距離範囲#1のアップチャープ期間において、周波数ビン抽出部24で抽出される周波数ビンについては、図10(a)の点線を境界とする領域内でのみ、ターゲットまでの距離およびターゲットに対する相対速度を得ることができる。
一方、距離範囲#1のダウンチャープ期間では、上述した実施の形態1と同様に、次式(20)で表される周波数ビン(+D_1max)が、周波数ビン抽出部24で抽出される周波数ビンの範囲の下限となる。
(+D_1max)
=RoundUp〔{(2×Fc×T_1)/C}×(Vmax)〕 (20)
ただし、RoundUp〔 〕は小数点以下を切り上げる関数
また、周波数ビンの範囲の下限は、図10(b)の距離−相対速度平面上では、次式(21)で表される直線となる。
(+D_1max)×(1/T_1)
={(2×B_1)/(C×T_1)}×R−{(2×Fc)/C}×V (21)
また、距離範囲#1のダウンチャープ期間において、アップチャープ期間と同じ2×(N_1)個のデータがADC21a、21bでサンプリングされ、その全データに対してFFTが実施されている場合には、周波数ビンの範囲の上限は、(N_1−1)であり、図10(b)の距離−相対速度平面上では、次式(22)で表される直線となる。
(N_1−1)×(1/T_1)
={(2×B_1)/(C×T_1)}×R−{(2×Fc)/C}×V (22)
すなわち、距離範囲#1のダウンチャープ期間において、周波数ビン抽出部24で抽出される周波数ビンについては、図10(b)の一点鎖線を境界とする領域内でのみ、ターゲットまでの距離およびターゲットに対する相対速度を得ることができる。
ここで、距離範囲毎ターゲット測定部32は、これら点線の領域と一点鎖線の領域との共通部分にのみ対応できるので、距離範囲#1では、図10(c)のハッチング領域内でのみ、ターゲットまでの距離およびターゲットに対する相対速度を得ることができる。
また、距離範囲#2についても、距離範囲#1の場合と同様に、アップチャープ期間における周波数ビンの範囲の上限は、距離−相対速度平面上において、次式(23)で表される直線となる。
(−U_2max)×(1/T_2)
=−{(2×B_2)/(C×T_2)}×R−{(2×Fc)/C}×V (23)
なお、式(23)について、次式(24)が成立する。
(−U_2max)
=−RoundUp〔{(2×Fc×T_2)/C}×(Vmax)〕 (24)
ただし、RoundUp〔 〕は小数点以下を切り上げる関数
また、アップチャープ期間における周波数ビンの範囲の下限は、距離−相対速度平面上において、次式(25)で表される直線となる。
(1−N_2)×(1/T_2)
=−{(2×B_2)/(C×T_2)}×R−{(2×Fc)/C}×V (25)
また、ダウンチャープ期間における周波数ビンの範囲の下限は、距離−相対速度平面上において、次式(26)で表される直線となる。
(+D_2max)×(1/T_2)
={(2×B_2)/(C×T_2)}×R−{(2×Fc)/C}×V (26)
なお、式(26)について、次式(27)が成立する。
(+D_2max)
=RoundUp〔{(2×Fc×T_2)/C}×(Vmax)〕 (27)
ただし、RoundUp〔 〕は小数点以下を切り上げる関数
また、ダウンチャープ期間における周波数ビンの範囲の上限は、距離−相対速度平面上において、次式(28)で表される直線となる。
(N_2−1)×(1/T_2)
={(2×B_2)/(C×T_2)}×R−{(2×Fc)/C}×V (28)
このとき、変調周波数幅B_1とB_2との違い、および変調時間幅T_1とT_2との違いにより、外縁位置は異なるが、距離範囲毎ターゲット測定部32は、距離範囲#2において、図10(c)のハッチング領域と相似な領域内でのみ、ターゲットまでの距離およびターゲットに対する相対速度を得ることができる。
ここで、距離範囲#1において、変調周波数幅B_1の値を固定して、変調時間幅T_1の値を変化させた場合、図11(a)、(b)より、変調時間幅T_1の値によって、ターゲットまでの距離およびターゲットに対する相対速度を測定可能な領域(図11のハッチング領域)が変化することが分かる。
具体的には、距離範囲毎ターゲット測定部32は、T_1の値が小さい場合には、T_1の値が大きい場合よりも、近くの距離まで測定可能であり、T_1の値が大きい場合には、T_1の値が小さい場合よりも、遠くの距離まで測定可能である。
このことから、距離範囲#2に比べて近い距離を測定可能な距離範囲#1と、距離範囲#1に比べて遠い距離を測定可能な距離範囲#2とを実現するためには、T_1<T_2となるような変調時間幅を設定すればよい。
また、T_1<T_2である変調時間幅T_1、T_2、および変調周波数幅B_2の値を固定して、変調周波数幅B_1の値を変化させた場合、図12(a)、(b)より、変調周波数幅B_1の値が大きい方が、より近くの距離まで測定可能であることが分かる。また、変調周波数幅B_1の値が大きい方が、距離範囲#1の遠方側境界距離が近いことが分かる。
このことは、変調時間幅T_1の値が固定で、同じFFT点数であることを踏まえると、1つの周波数ビンに相当する距離が短くなっていることと等価であり、より細かい刻み値で、ターゲットまでの距離を測定することができることを意味している。
また、このことは、近い距離のターゲットまでの距離を測定するのに適しているので、距離範囲#2に比べて近い距離を測定可能な距離範囲#1の実現において、B_1≧B_2と設定する方がよい。
すなわち、距離範囲#2に比べて近い距離を測定可能な距離範囲#1と、距離範囲#1に比べて遠い距離を測定可能な距離範囲#2とを実現するためには、T_1<T_2となるような変調時間幅、およびB_1≧B_2となるような変調周波数幅を設定すればよい。
なお、変調時間幅T_1、T_2、および変調周波数幅B_1、B_2の具体的な値を設定する場合には、図12に示されたように、距離範囲毎に測定可能な領域を描き、所望する距離および相対速度の測定範囲が、双方の領域によって全て覆われ、抜けている領域がないようにする。
以上のように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に、周波数ビン抽出部(ステップ)は、FFT後のアップチャープ期間におけるビート信号の周波数複素スペクトル、およびダウンチャープ期間におけるビート信号の周波数複素スペクトルから、所定の範囲における周波数ビンの複素スペクトルのみを抽出し、ターゲット測定部(ステップ)は、アップチャープ期間におけるターゲットの周波数ビンと、ダウンチャープ期間におけるターゲットの周波数ビンとから、ターゲットまでの距離およびターゲットに対する相対速度を測定する。
そのため、観測されるビート信号が同相成分のみであっても、ターゲットに対応する正しい符号のビート周波数を得ることにより、ターゲットまでの距離およびターゲットに対する相対速度を正しく測定することができる。
したがって、受信回路を簡素にして装置サイズを小型化することができる。
なお、上記実施の形態2では、距離範囲が2つ(M=2)である場合を例に挙げて説明したが、距離範囲が3つ以上(M≧3)の場合であっても、同様の方法により、上記実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
例えば、距離範囲が3つ(M=3)である場合、距離範囲#2に比べて近い距離を測定可能な距離範囲#1と、距離範囲#1に比べて遠い距離を測定可能で、かつ距離範囲#3に比べて近い距離を測定可能な距離範囲#2と、距離範囲#2に比べて遠い距離を測定可能な距離範囲#3とを実現するためには、T_1<T_2<T_3となるような変調時間幅、およびB_1≧B_2≧B_3となるような変調周波数幅を設定すればよい。
1、1A FMCWレーダ装置、11 制御部、12 変調電圧発生部、13 VCO、14 分配回路、15 高周波アンプ回路、16 送波アンテナ、17a、17b 受波アンテナ、18a、18b ミキサ、19a、19b フィルタ回路、20a、20b アンプ回路、21 ADC、22 メモリ、23 FFT処理部、24 周波数ビン抽出部、25 検出・測角処理部、26 ペアリング処理部、27 ターゲット測定部、31 距離範囲毎変調電圧発生部、32 距離範囲毎ターゲット測定部。

Claims (4)

  1. 送信信号を電磁波として送波し、ターゲットで反射した前記電磁波を受信信号として受波し、前記送信信号と前記受信信号とをミキシングしてビート信号を生成して、前記ビート信号に基づいて、前記ターゲットまでの距離および前記ターゲットに対する相対速度を測定するFMCWレーダ装置であって、
    FFT後のアップチャープ期間における前記ビート信号の周波数複素スペクトル、およびダウンチャープ期間における前記ビート信号の周波数複素スペクトルから、所定の範囲における周波数ビンの複素スペクトルのみを抽出する周波数ビン抽出部と、
    前記アップチャープ期間における前記ターゲットの周波数ビンと、前記ダウンチャープ期間における前記ターゲットの周波数ビンとから、FMCWレーダの原理に基づき前記ターゲットまでの距離および前記ターゲットに対する相対速度を測定するターゲット測定部と、
    を備え
    前記所定の範囲は、前記アップチャープ期間では負(<0)の周波数であり、前記ダウンチャープ期間では正(>0)の周波数であり、
    前記アップチャープ期間と前記ダウンチャープ期間とで変調時間幅がともにT[s]であり、前記送信信号の変調中心周波数がFc[Hz]であり、前記電磁波の速度がC[m/s]であり、観測する相対速度の範囲が(−Vmax)[m/s]〜(+Vmax)[m/s]である場合に、
    前記所定の範囲として、
    前記アップチャープ期間では、負(<0)の周波数の上限を、
    −RoundUp〔{(2×Fc×T)/C}×(Vmax)〕
    ただし、RoundUp〔 〕は小数点以下を切り上げる関数
    とし、
    前記ダウンチャープ期間では、正(>0)の周波数の下限を、
    RoundUp〔{(2×Fc×T)/C}×(Vmax)〕
    とする
    ことを特徴とするFMCWレーダ装置。
  2. 複数の観測期間毎に測定可能な距離範囲が変わるように、前記複数の観測期間毎に変調時間幅が異なる送信変調を生成する距離範囲毎変調電圧発生部を備え、
    前記ターゲット測定部に代えて、
    前記複数の観測期間毎に、前記アップチャープ期間における前記ターゲットの周波数ビンと、前記ダウンチャープ期間における前記ターゲットの周波数ビンとから、FMCWレーダの原理に基づき前記ターゲットまでの距離および前記ターゲットに対する相対速度を測定する距離範囲毎ターゲット測定部を備えた
    ことを特徴とする請求項1に記載のFMCWレーダ装置。
  3. 前記距離範囲毎ターゲット測定部は、前記複数の観測期間において、測定可能な距離範囲が近いほど、前記送信信号の変調周波数幅を広くして、前記ターゲットまでの距離を測定する
    ことを特徴とする請求項に記載のFMCWレーダ装置。
  4. 送信信号を電磁波として送波し、ターゲットで反射した前記電磁波を受信信号として受波し、前記送信信号と前記受信信号とをミキシングしてビート信号を生成して、前記ビート信号に基づいて、前記ターゲットまでの距離および前記ターゲットに対する相対速度を測定するFMCWレーダ装置で実行されるFMCWレーダ用信号処理方法であって、
    FFT後のアップチャープ期間における前記ビート信号の周波数複素スペクトル、およびダウンチャープ期間における前記ビート信号の周波数複素スペクトルから、所定の範囲における周波数ビンの複素スペクトルのみを抽出する周波数ビン抽出ステップと、
    前記アップチャープ期間における前記ターゲットの周波数ビンと、前記ダウンチャープ期間における前記ターゲットの周波数ビンとから、FMCWレーダの原理に基づき前記ターゲットまでの距離および前記ターゲットに対する相対速度を測定するターゲット測定ステップと、
    を備え
    前記所定の範囲は、前記アップチャープ期間では負(<0)の周波数であり、前記ダウンチャープ期間では正(>0)の周波数であり、
    前記アップチャープ期間と前記ダウンチャープ期間とで変調時間幅がともにT[s]であり、前記送信信号の変調中心周波数がFc[Hz]であり、前記電磁波の速度がC[m/s]であり、観測する相対速度の範囲が(−Vmax)[m/s]〜(+Vmax)[m/s]である場合に、
    前記所定の範囲として、
    前記アップチャープ期間では、負(<0)の周波数の上限を、
    −RoundUp〔{(2×Fc×T)/C}×(Vmax)〕
    ただし、RoundUp〔 〕は小数点以下を切り上げる関数
    とし、
    前記ダウンチャープ期間では、正(>0)の周波数の下限を、
    RoundUp〔{(2×Fc×T)/C}×(Vmax)〕
    とする
    ことを特徴とするFMCWレーダ用信号処理方法。
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