JP5551041B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
特許文献1のタイヤでは、深さ方向に曲線状に傾斜する深さが同じサイプがブロックに多数形成されている。
特許文献2のタイヤでは、溝底側が深さ方向に直線状に延び、踏面側が深さ方向に対して傾斜した、深さが同じサイプがブロックに多数形成されている。
引用文献3のタイヤでは、サイプで区画された蹴り出し側の小ブロックが他のブロックに比べて摩耗していないという駆動力に起因する偏摩耗を抑制するために、複数のサイプの中で最も蹴り出し側のサイプの溝深さを最も浅くし、蹴り出し側のブロック剛性を高めている。
従来、ブロック剛性向上による、耐摩耗性向上、ヒール・アンド・トゥ摩耗対策としては、下記の手法がある。
(1) 踏み込み側のサイプ間隔を蹴り出し側より大きくすることで相対的に踏み込み側のブロック剛性を上げる。
(2) ブロックに形成されるサイプの深さを全体的に浅くすることでブロック剛性を上げる。
請求項1に記載の空気入りタイヤでは、ブロックにタイヤ幅方向に沿って延びるサイプをタイヤ周方向に複数形成しているので、サイプのエッジ効果により、氷上性能、及び雪上性能を得ることができる。また、ブロックの踏み込み側の剛性と蹴り出し側の剛性を変えるために、従来の手法のようにサイプの間隔を踏み込み側と蹴り出し側とで変える必要がないので、ブロックのサイプ数を減らしてエッジ成分を減少させ、氷上性能、及び雪上性能を低下させることが無い。
ブロックの変形は、駆動時よりもブレーキ時の方が大きい。このため、ブレーキ時のブロックの変形を抑えることが好ましい。ブロックをタイヤ周方向に沿った断面で見たときに、各サイプを、踏面側よりもサイプ溝底側が踏み込み側に位置するように全体的に傾かせることで、反対側に傾かせる場合対比で、ブレーキ時のブロックの変形抑制効果が向上し、各サイプをブロックの踏み込み側の角部を曲率中心とする円弧形状に形成することで、ブレーキ時のブロックの変形抑制効果を高めることが出来る。
ブロックの踏み込み側の角部とブロックの蹴り出し側のブロック側壁と溝底とでなす隅隅部とを連結する直線状の仮想線よりも、各サイプを深く形成しないことで、ブロック剛性の低下し過ぎを抑えることができる。
サイプの深さが浅くなり過ぎると、ブロックが接地した際にサイプが開きづらくなり、エッジ圧を高くし難くなる。このため、ブロックの踏み込み側の角部とブロックの蹴り出し側のブロック側面の溝底からブロック高さ寸法の80%位置とを結ぶ直線状の仮想線よりも深く形成することが好ましい。
図1には、空気入りタイヤ10のトレッド12が平面図で示されている。トレッド12には、タイヤ周方向に沿って延びる複数本の周方向溝14と、タイヤ幅方向に沿って延びる複数本の幅方向溝16とによって複数のブロック18が区画されている。なお、図中、矢印Aは、タイヤ回転方向(前進時)を示しており、矢印Bは車両前進方向を示しており、矢印Wはタイヤ幅方向を示している。本実施形態では、周方向溝14の溝深さと、幅方向溝16の溝深さとは同一寸法となっている。
なお、各サイプ20の溝底の位置を仮想線FL1と一致させている場合、仮想線FL1とブロック18の踏面とのなす角度θは、20°≦θ≦40°とすることが好ましい。
本実施形態の空気入りタイヤ10のブロック18は、踏み込み側のサイプ20が蹴り出し側のサイプ20よりも溝深さが浅く形成され、ブロック18の踏み込み側の剛性の低下が抑制されている(相対的に、踏み込み側のブロック剛性が大、蹴り出し側のブロック剛性が小)ので、ヒール・アンド・トゥ摩耗が発生し難くなっている。
また、各サイプ20の深さが、蹴り出し側から踏み込み側へ向けて徐々に浅くされているので、ブロック18の剛性は、蹴り出し側から踏み込み側へ向けて徐々に増加することとなり、ブロック剛性の急激な変化が抑えられている。
なお、本実施形態の様に各サイプ20の溝底の位置を仮想線FL1と一致させている場合、角度θが20°未満になると、ブロック18が接地した際にサイプ20が開き難くなり、氷上性能及び雪上性能が低下する。一方、角度θが40°を越えると、ブロック18の剛性が低下し、ドライブレーキ性能、及び操縦安定性が低下する。
また、各サイプ20は、仮想線FL1よりも深く形成しないことが好ましいが、深さが浅すぎてもサイプ20がブロック接地時に開き難くなるため、各サイプ20は、仮想線FL2よりも深く形成することが好ましい。
上記実施形態では、ブロック18に4本のサイプ20が形成されていたが、ブロック18に形成されるサイプ20の本数は4本以外であっても良い。
上記実施形態では、サイプ20の側面視形状が、単一の曲率半径を有する円弧形状であり、曲率中心がブロック18の踏み込み側の踏面側角部P1にあったが、曲率中心は踏面側角部P1以外の位置にあっても良い。また、サイプ20の側面視形状(断面形状)は円弧に限らず、円弧以外の曲線形状であっても良く、少なくとも一部が曲線であれば良く、一部に直線部分を有していても良い。サイプ20は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
本実施形態のブロック18の寸法及び形状は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
本発明の効果を確かめるために、従来例のタイヤと本発明の適用された実施例のタイヤを用意し、実車にて下記の各種試験を行った。
実施例のタイヤ:上記実施形態の空気入りタイヤ。
従来例のタイヤ:ブロックの形状及び寸法は実施例と同一で、サイプの形状のみが異なる。図3に示すように、タイヤ軸方向、及びタイヤ径方向に直線状に延びるサイプ100がブロック102に4本形成されている。なお、サイプ100の深さ寸法は6mm(ブロック高さの70%)である。
12 トレッド
14 周方向溝
16 幅方向溝
18 ブロック
20 サイプ
Claims (3)
- トレッドに設けられ、互いに交差する複数の溝で区画されたブロックと、
タイヤ幅方向に沿って延び、前記ブロックにタイヤ周方向に間隔を開けて形成される複数のサイプと、
を備え、
複数の前記サイプは、前記ブロックの踏み込み側の前記サイプが蹴り出し側の前記サイプよりも溝深さが浅く形成され、かつ前記ブロックをタイヤ周方向に沿った断面で見たときに、複数の前記サイプは、踏面側よりもサイプ溝底側が踏み込み側に位置するように全体的に傾いていると共に、前記ブロックの踏み込み側の角部を曲率中心とする円弧形状に形成されている、空気入りタイヤ。 - 前記複数のサイプは、前記ブロックの踏み込み側の角部と前記ブロックの蹴り出し側のブロック側壁と溝底とでなす隅部とを連結する直線状の仮想線に到達するか、または浅く形成されている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記複数のサイプは、前記ブロックの踏み込み側の角部と前記ブロックの蹴り出し側のブロック側面の溝底からブロック高さ寸法の80%位置とを結ぶ直線状の仮想線よりも深く形成されている、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
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