JP5551006B2 - 車両構造 - Google Patents
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Description
また、サイドドアの内部には、衝撃荷重の入力時に、その荷重をシート側の荷重受け部に効率良く伝達するために、エネルギー吸収機能を持つ荷重伝達部材がドア幅方向に亙って配置されている。
また、この従来の車両構造の場合、サイドドア内の荷重伝達部材が配置される部位はその他の空洞になっている部位に対して相対的に剛性が高くなるため、衝撃荷重がサイドドア内の荷重伝達部材と同じ高さに入力されたときには問題ないが、その他の部位(特に、高さ方向でずれた位置)に衝撃荷重が入力されたときには、その部位が先に変形してしまい、シート側の荷重受け部へのスムーズな荷重伝達が阻害されてしまう。
請求項1に係る発明は、車両の側部に設けられたサイドドア(例えば、実施形態のフロントサイドドア3)と、前記車両の車室内に設けられたシート(例えば、実施形態のシート6)と、このシートに設けられ、前記サイドドアからシート側部に入力された衝撃荷重を車体の車幅方向の中央側に伝達する荷重伝達部材(例えば、実施形態の荷重受けブロック15及び荷重伝達プレート14)と、を備え、前記荷重伝達部材は、前記シートの左右方向の一側に設けられる側部フレーム(例えば、実施形態の側部フレーム11a)と、前記シートの左右方向の他側に設けられる側部フレーム(例えば、実施形態の側部フレーム11b)とを連結するようにシート幅方向に延在し、前記サイドドアは、上端から下端までの間で最も剛性が低くなる低剛性部(例えば、実施形態の狭窄部27)を備え、前記低剛性部は、車幅方向の外側から見て前記荷重伝達部材と重なる位置に設けられていることを特徴とする。
これにより、車体側部に衝撃荷重が入力されると、サイドドアは、低剛性部を基点として車幅方向内側に曲げ変形しようとする。このため、衝撃荷重がサイドドア上のシート側の荷重伝達部材とずれた位置に入力された場合であっても、サイドドアはシート側の荷重伝達部材と重なる部位が最初に車室内側に迫り出すように屈曲し、その屈曲部がシート側の荷重伝達部材に当接するようになる。
これにより、サイドドアは、ドア内部補強部材とドアパネルで形成された上下方向に延出する閉断面構造によって上下方向の剛性が高められる。サイドドアに大きな衝撃荷重が入力されたときには、ドア内部補強部材とドアパネルによる閉断面は狭窄部を基点として車室内側に屈曲するようになる。
これにより、連結機構は、ドア内部補強部材とドアパネルによる閉断面のうちの最も断面積の小さい部位の外側に効率良く配置されることになる。また、連結機構を閉断面の内側に配置する場合と異なり、閉断面の壁に大きな開口等を設ける必要がなくなる。
センターピラーレス車両では、車両側部から衝撃荷重を受けたときにセンターピラーで荷重を受けることができないが、フロントサイドドアとリヤサイドドアのうちの少なくとも一方が、内部補強部材によって上下方向に亙って補強されるとともに、フロントサイドドアとリヤサイドドアが連結機構によって連結されるため、衝撃荷重がフロントサイドドアとリヤサイドドアの全域に分散支持され易くなる。また、これらのサイドドアが車室内側に屈曲変形する場合には、ドア内部補強部材とドアパネルによる閉断面部分が狭窄部を基点として屈曲する。
これにより、車両の側部に衝撃荷重が入力されたときには、他方のサイドドアの一方のサイドドアに隣接する側の端部の変形が第2のドア内部補強部材によって抑制されるようになる。
これにより、他方のサイドドアの側部に衝撃荷重が入力されると、係合部材を通して一方のサイドドア側の連結機構に荷重が伝達され、その荷重が一方のサイドドアの狭窄部の近傍に入力されるようになる。
これにより、他方のサイドドアは、第2のドア内部補強部材とドアパネルによって形成された上下方向に延出する閉断面構造によって上下方向の剛性が高められる。また、他方のサイドドアに大きな衝撃荷重が入力されたときには、第2の内部補強部材とドアパネルによる第2の閉断面は第2の狭窄部を基点として車室内側に屈曲変形するようになる。
これにより、第2のドア内部補強部材上の係合部材の取り付け面は充分な幅が確保され、その分、第2のドア内部補強部材の係止部材の取り付け面と垂直な断面長さが短く設定されることにより、その部位における断面積が充分に小さくなる。
これにより、車両側部から衝撃荷重が入力されたときには、剛体であるラッチ機構を通して早期に荷重がシート側の荷重伝達部材に伝達されるようになる。
図1は、この実施形態の車両1を車外側の左側面から見た図であり、同図中2は、車体側部に設けられたドア開口部、3,4は、ドア開口部2に開閉可能に取り付けられたフロントサイドドアとリヤサイドドアである。この車両1は、ドア開口部2の前後方向中央にセンターピラーを持たないセンターピラーレス車両であり、フロントサイドドア3は、前端部側のドアヒンジ5,5を介して車体のドア開口部2の前縁に回動自在に取り付けられ、リヤサイドドア4は、車体のドア開口部2の後半領域に、図示しないスライド機構を介して前後スライド可能に取り付けられている。
シート6は、乗員の臀部を支持するシートクッション10と、乗員の腰部及び胸部(背部)を支持するシートバック11と、このシートバック11の上部に支持されて、乗員の頭部及び首部を支持するヘッドレスト12と、を備えている。シートクッション10は、シートレール13を介して車体フロア9に前後方向にスライド可能に取り付けられており、シートバック11は、図示しないリクライニング機構を介してシートクッション10の後端部に傾動可能に連結されている。
フロントサイドドア3のドアインナパネル3bの後縁部にはドア内部補強部材である第1のスチフナ30が取り付けられている。この第1のスチフナ30は、ドアインナパネル3bのドアアウタパネル3aと対向する側の面に、ドアインナパネル3bの上端から下端に亙る範囲に溶接固定されている。第1のスチフナ30は、図5〜図7に示すように、ドアインナパネル3bに対して前縁部と後縁部でそれぞれ接合され、ドアインナパネル3bとともに同パネル3bの上端部から下端部に延出する閉断面を形成している。
第1のスチフナ30とドアインナパネル3bによる閉断面は、図2に示すようにフロントサイドドア3を後方側から見たときに、第1のスチチフナ30が窪み部26部分で車室内側に部分的に屈曲するとともに、狭窄部27がシート6の側部の荷重受けブロック15と同高さになるようになっている。狭窄部27(窪み部26)は、フロントサイドドア3を車幅方向の外側から見たときに、荷重受けブロック15と重なる位置、即ち、荷重ブロック15と対向する位置に配置されている。
ラッチ機構32とストライカ31は、ヒンジ開閉式のサイドドアと前後スライド式のサイドドアの間で用いられる周知の構造のものであり、フロントサイドドア3とリヤサイドドア4の一方が閉位置にある状態で他方が閉じられたときに、ストライカ31がドアインナパネル3bの受け入れ口33を通してラッチ機構32に自動的に連結されるようになっている。
こうして、フロントサイドドア3の狭窄部27に対応する部位が屈曲変形すると、図2中に仮想線で示すように、その部位がシート6側の荷重受けブロック15の側部に当接するようになる。そして、荷重伝達ブロック15に衝撃荷重が入力されると、シート6の車幅方向の移動とともに車幅方向中央側の荷重受けブロック17がセンターコンソール8に当接し、このとき衝撃荷重がシート6の荷重伝達プレート14と荷重受けブロック17を通してセンターコンソール8に速やかに伝達される。
特に、この実施形態の場合、第1のスチフナ30に車室内側に窪む窪み部26が設けられ、その窪み部26によって狭窄部27が構成されていることから、車両側部からの衝撃荷重の入力時に、狭窄部27の車室内方向への変形をより促すことができる。
そして、この車体構造では、フロントサイドドア3内の荷重受けブロック15に対応する位置に、専用の荷重伝達部材をドア幅方向に亙って配置する必要がないため、フロントサイドドア3内の部品レイアウトを大幅に制限することもない。
さらに、この車体構造では、第1のスチフナ30とドアアウタパネル3aの間に剛体であるラッチ機構32が介在されているため、ラッチ機構32の高さに衝撃荷重が入力されたときには、ラッチ機構32を通して第1のスチフナ30に早期に荷重を伝達することができる。
そして、この車体構造では、フロントサイドドア3とリヤサイドドア4のいずれに衝撃荷重が入力された場合にも、両サイドドア3,4内の上下方向に延出する閉断面の狭窄部27,39の近傍部同士がラッチ機構32とストライカ31で相互に連結されているため、サロントサイドドア3側の閉断面の狭窄部27を基点としてその部位をシート6側の荷重受けブロック15に向けて屈曲させ、荷重を荷重受けブロック15に確実に伝達することができる。
3…フロントサイドドア(サイドドア)
3a…ドアアウタパネル(車外側のドアパネル)
3b…ドアインナパネル(ドアパネル)
4…リヤサイドドア(サイドドア)
6…シート
11a,11b…側部フレーム
14…荷重伝達プレート(荷重伝達部材)
15…荷重受けブロック(荷重伝達部材)
27…狭窄部(低剛性部)
30…第1のスチフナ(ドア内部補強部材)
31…ストライカ(係合部材)
32…ラッチ機構(連結機構)
35…第2のスチフナ(第2のドア内部補強部材)
39…第2の狭窄部
40…キャッチャ機構(連結機構)
Claims (9)
- 車両の側部に設けられたサイドドアと、
前記車両の車室内に設けられたシートと、
このシートに設けられ、前記サイドドアからシート側部に入力された衝撃荷重を車体の車幅方向の中央側に伝達する荷重伝達部材と、を備え、
前記サイドドアは、上端から下端までの間で最も剛性が低くなる低剛性部を備え、
前記荷重伝達部材は、前記シートの左右方向の一側に設けられる側部フレームと、前記シートの左右方向の他側に設けられる側部フレームとを連結するようにシート幅方向に延在し、
前記低剛性部は、車幅方向の外側から見て前記荷重伝達部材と重なる位置に設けられていることを特徴とする車両構造。 - 前記サイドドアは、該サイドドアの内部で該サイドドアの上端から下端まで延出するドア内部補強部材を備え、
前記ドア内部補強部材と前記サイドドアのドアパネルとで上下方向に延出する閉断面が形成され、
前記低剛性部は、前記閉断面の断面積の最も小さい狭窄部によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両構造。 - 前記ドア内部補強部材は、前記サイドドアの車両前後方向の一端に設けられ、
前記サイドドアの車両前後方向の一端には、前記ドア内部補強部材の前記狭窄部と同じ高さ、かつ前記閉断面の外側となる位置に、該サイドドアと他の部材を相互に連結する連結機構が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両構造。 - 前記車両は、センターピラーの無いドア開口部をフロントサイドドアとリヤサイドドアによって開閉するセンターピラーレス車両であり、
前記連結機構は、前記フロントサイドドアとリヤサイドドアとを、少なくとも衝撃荷重の入力時に連結する機構であることを特徴とする請求項3に記載の車両構造。 - 前記フロントサイドドアとリヤサイドドアのうちの一方のサイドドアに前記内部補強部材が設けられ、
前記フロントサイドドアとリヤサイドドアのうちの他方のサイドドアの、前記一方のサイドドアと隣接する側の端部に、当該他方のサイドドアの上端から下端まで延出する第2のドア内部補強部材が設けられていることを特徴とする請求項4項に記載の車両構造。 - 前記第2のドア内部補強部材に、前記一方のサイドドアの前記連結機構と係合する係合部材が取り付けられていることを特徴とする請求項5に記載の車両構造。
- 前記第2のドア内部補強部材と前記他方のサイドドアのドアパネルとで上下方向に延出する第2の閉断面が形成され、
前記第2の閉断面は、車幅方向外側から見て前記係合部材の取り付けられる位置が、最も断面積の小さい第2の狭窄部とされていることを特徴とする請求項6に記載の車両構造。 - 前記第2のドア内部補強部材は、前記係合部材が取り付けられる位置において、前記係合部材の取り付け面に対して垂直な断面長さが最も短く設定されていることを特徴とする請求項7に記載の車両構造。
- 前記連結機構はラッチ機構であり、
前記ラッチ機構は、前記ドア内部補強部材と前記サイドドアの車外側のドアパネルとの間に介在されていることを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項に記載の車両構造。
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