JP5548353B2 - ポリプロピレン系樹脂組成物およびその製造方法、ならびに、発泡成形体 - Google Patents
ポリプロピレン系樹脂組成物およびその製造方法、ならびに、発泡成形体 Download PDFInfo
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Description
ポリプロピレンを発泡成形した発泡成形体は、自動車分野での緩衝材や、吸音材、透水用ドレン材、各種充填剤等に用いられている。ポリプロピレンの発泡成形体が得られる組成物またはポリプロピレン成形発泡体を得る手段として、例えばメタロセン担持型触媒を用いて製造されたプロピレンおよびα,ω−ジエンからなる共重合体、該共重合体に発泡剤が含有されたポリプロピレン系樹脂組成物、該組成物を加熱、溶融、混練、発泡成形した発泡体および該発泡体を成形した発泡成形体が開示されている(特許文献1)。
<1> プロピレン単独重合体(A−1)および/またはプロピレン−エチレン共重合体(A−2)を含むプロピレン重合体(A)を40〜94質量%、下記のエチレン−α−オレフィン共重合体(B)を5〜30質量%、ならびに、無機充填材(C)を1〜30質量%含む樹脂組成物(ただし、(A)、(B)および(C)の合計を100質量%とする。)を含有することを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物、
エチレン−α−オレフィン共重合体(B):α−オレフィンの炭素数が4〜20であり、密度が0.85〜0.89g/cm3であり、メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が10g/10分よりも大きく、40g/10分以下であるエチレン−α−オレフィン共重合体、
<2> プロピレン単独重合体(A−1)および/またはプロピレン−エチレン共重合体(A−2)を含むプロピレン重合体(A)を40〜94質量%、下記のエチレン−α−オレフィン共重合体(B)を5〜30質量%、ならびに、無機充填材(C)を1〜30質量%含む樹脂組成物(ただし、(A)、(B)および(C)の合計を100質量%とする。)を、熱処理して得たことを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物、
エチレン−α−オレフィン共重合体(B):α−オレフィンの炭素数が4〜20であり、密度が0.85〜0.89g/cm3であり、メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が10g/10分よりも大きく、40g/10分以下であるエチレン−α−オレフィン共重合体、
<3> <2>に記載のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法であって、前記プロピレン重合体(A)、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)および前記無機充填材(C)を溶融混練装置に供給する工程、ならびに、前記プロピレン重合体(A)、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)および前記無機充填材(C)を含む樹脂組成物を前記溶融混練装置により熱処理する工程を含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法、
<4> <1>または<2>に記載のポリプロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする発泡成形体。
また、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン単独重合体(A−1)および/またはプロピレン−エチレン共重合体(A−2)を含むプロピレン重合体(A)を40〜94質量%、下記のエチレン−α−オレフィン共重合体(B)を5〜30質量%、ならびに、無機充填材(C)を1〜30質量%含む樹脂組成物(ただし、(A)、(B)および(C)の合計を100質量%とする。)を、熱処理して得たことを特徴とする。
前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)は、α−オレフィンの炭素数が4〜20であり、密度が0.85〜0.89g/cm3であり、メルトフローレート(以下、「MFR」ともいう。)(190℃、2.16kg荷重)が10g/10分よりも大きく、40g/10分以下である。なお、数値範囲を示す「40〜94質量%」等の記載は、「40質量%以上、94質量%以下」と同義であり、特に断りのない限り他の数値範囲の記載も同様とする。また、「(190℃、2.16kg荷重)」等の記載は、JIS K7210に規定された方法に準じて行ったメルトフローレートの測定における測定温度が190℃、測定荷重が2.16kgであることを意味し、特に断りのない限り以下同様とする。以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン単独重合体(A−1)および/またはプロピレン−エチレン共重合体(A−2)を含むプロピレン重合体(A)を含む。
本発明に用いることができるプロピレン重合体(A)としては、プロピレン単独重合体(A−1)および/またはプロピレン−エチレン共重合体(A−2)の他、プロピレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体が挙げられる。
なお、ここでいう「ブロック共重合体」は、結晶性のホモポリマーとエチレン−プロピレン共重合体等のゴム成分との混合物を意味する(「新ポリマー製造プロセス」((株)工業調査会編(1994年)、第5章、p129)。すなわち、本発明においてプロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)とは、結晶性のホモポリマーであるプロピレン単独重合体成分と、ゴム成分であるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分とからなる混合物である。
プロピレン−α−オレフィン共重合体としては、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、または、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体が挙げられる。プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体とは、プロピレン単独重合体成分と、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体成分とからなる混合物である。なお、本発明におけるα−オレフィンとしては、炭素数4以上のα−オレフィンが挙げられる。
プロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体としては、プロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、または、プロピレン−エチレン−α−オレフィンブロック共重合体が挙げられる。プロピレン−エチレン−α−オレフィンブロック共重合体とは、プロピレン単独重合体成分と、プロピレン−エチレン−α−オレフィンランダム共重合体成分とからなる混合物である。
プロピレン−α−オレフィン共重合体およびプロピレン−エチレン−α−オレフィン共重合体で用いられるα−オレフィンとしては、炭素数が4〜20のα−オレフィンが挙げられ、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。プロピレン重合体(A)は2種類以上併用してもよい。
好ましくは本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン重合体(A)の主成分として、プロピレン単独重合体(A−1)および/またはプロピレン−エチレン共重合体(A−2)を含む。ここでいう「主成分」とは、プロピレン重合体(A)の50質量%以上、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは100質量%を占める成分をいい、以下、同様とする。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)のプロピレン単独重合体成分の、13C−NMRによって測定されるアイソタクチック・ペンタッド分率は0.95以上が好ましく、さらに好ましくは0.98以上である。
特にプロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)に含まれる、プロピレン単独重合体成分の固有粘度(以下、[η]pともいう。)は、0.7〜1.5dl/gであることが好ましく、0.8〜1.1dl/gであることがより好ましい。上記の数値の範囲内であると、流動性に優れる。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)全体の135℃のテトラリン溶媒中で測定される固有粘度(以下、[η]Tともいう。)は、1.0〜2.0dl/gであることが好ましく、1.4〜1.7dl/gであることがより好ましい。
また、プロピレン重合体(A)のメルトフローレート(MFR)は、好ましくは0.1〜200g/10分であり、より好ましくは5〜150g/10分である。ただし、測定温度は230℃で、荷重は2.16kgである。上記の数値の範囲内であると、発泡成形性に優れるため好ましい。
また、プロピレン重合体(A)に含まれるプロピレン単独重合体(A−1)とプロピレン−エチレン共重合体(A−2)との配合比率(質量比)は、プロピレン単独重合体(A−1):プロピレン−エチレン共重合体(A−2)=0:100〜70:30であることが好ましく、0:100〜50:50であることがより好ましく、8:92〜40:60であることがさらに好ましい。上記の範囲内であると機械物性バランスに優れる。
上記プロピレン重合体(A)の製造方法で用いられる公知の重合触媒としては、例えば、(1)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分と、(2)有機アルミニウム化合物と(3)電子供与体成分からなる触媒系が挙げられる。この触媒の製造方法としては、例えば、特開平1−319508号公報、特開平7−216017号公報、特開平10−212319号公報、および、特開2004−182876号公報に記載されている製造方法が挙げられる。
上記の製造方法で用いられる固体触媒成分(1)、有機アルミニウム化合物(2)および電子供与体成分(3)の使用量や、各触媒成分を重合槽へ供給する方法は、適宜、決めればよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、α−オレフィンの炭素数が4〜20であり、エチレン−α−オレフィン共重合体(B)5〜30質量%を含み、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)は、密度が0.85〜0.89g/cm3であり、メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が10g/10分よりも大きく、40g/10分以下である。
メタロセン系触媒としては、例えば、特開平3−163088号公報、特開平4−268307号公報、特開平9−12790号公報、特開平9−87313号公報、特開平11−80233号公報、特表平10−508055号公報等に記載されているメタロセン系触媒が挙げられる。
メタロセン系触媒を用いるエチレン−α−オレフィン共重合体(B)の製造方法として、好ましくは、欧州特許出願公開第1211287号明細書に記載されている方法が挙げられる。
エチレン−α−オレフィン共重合体(B)の含有量が5質量%未満であると、耐衝撃性に劣ることがある。また、エチレン−α−オレフィン共重合体(B)の含有量が30質量%を超えると発泡成形性に劣ることがある。
また、エチレン−α−オレフィン共重合体(B)が、ポリプロピレン系樹脂組成物に含まれるエチレン−α−オレフィン共重合体の総量の30〜100質量%を占めることが好ましく、50〜100質量%を占めることがより好ましい。上記範囲内であると、シルバーストリークの発生が少ない成形体を提供できる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、無機充填材(C)を1〜30質量%含む。
無機充填剤(C)は、事前に、プロピレン重合体(A)および/またはエチレン−α−オレフィン共重合体(B)と溶融混練し、マスターバッチとして使用してもよい。
無機充填剤(C)の含有量が1質量%未満であると、発泡成形体の剛性に劣ることがある。また、無機充填剤(C)の含有量が30質量%を超えると発泡成形体の耐衝撃性に劣ることがある。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、必要に応じて前記プロピレン重合体(A)、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)および前記無機充填材(C)の合計100質量部に対して、有機過酸化物(D)2質量部以下を添加して、熱処理して得たものでもよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、添加剤を含有させてもよく、例えば、中和剤、酸化防止剤、耐光剤、紫外線吸収剤、銅害防止剤、滑剤、加工助剤、可塑剤、分散剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、造核剤、難燃剤、発泡剤、気泡防止剤、架橋剤、着色剤、顔料等が挙げられる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)(230℃、2.16kg荷重)は、50〜150g/10分であることが好ましく、50〜120g/10分であることがより好ましい。上記の数値の範囲内であると、シルバーストリークの発生を効果的に抑制することができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法は、前記プロピレン重合体(A)、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)および前記無機充填材(C)を溶融混練装置に供給する工程、ならびに、前記プロピレン重合体(A)、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)および前記無機充填材(C)を含む樹脂組成物を前記溶融混練装置により熱処理する工程を含むことを特徴とする。
また、必要に応じて前記プロピレン重合体(A)、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)および前記無機充填材(C)の合計100質量部に対して、有機過酸化物(D)を2質量部以下供給する工程を、前記熱処理する工程の前にさらに含んでいてもよく、例えば有機過酸化物(D)を、前記プロピレン重合体(A)、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)および前記無機充填材(C)と混合して同時に溶融混練装置に供給してもよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法としては、各成分を溶融混練する方法が挙げられる。溶融混練に用いられる装置としては、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、熱ロール等が挙げられる。
熱処理の温度(溶融混練の温度)は、好ましくは170〜250℃であり、時間は、好ましくは20秒〜20分である。また、各成分の溶融混練は同時に行ってもよく、分割して行ってもよい。例えば樹脂組成物の各成分を所定量計量し、タンブラー等で均一に予備混合する工程と、予備混合物を溶融混練する工程とを含むことが好ましい。
本発明の発泡成形体は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物、または、本発明の製造方法により製造されたポリプロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする。
物理発泡剤としては、窒素、二酸化炭素等の不活性ガスや揮発性有機化合物などが挙げられる。中でも超臨界状態の二酸化炭素、窒素、または、これらの混合物を使用することが好ましい。物理発泡剤は2種以上を併用してもよく、化学発泡剤と物理発泡剤とを併用してもよい。
溶融状のポリプロピレン系樹脂組成物に物理発泡剤を混合する工程としては、物理発泡剤を射出成形装置のノズルまたはシリンダ内に注入する工程が挙げられる。
表皮材には、さらにクッション層を設けることができる。かかるクッション層を構成する材料としては、ポリウレタンフォーム、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体)フォーム、ポリプロピレンフォーム、ポリエチレンフォーム等が例示される。
本発明の発泡成形体の用途としては、例えば、自動車内装部品および外装部品等の自動車部品、二輪車部品、家具や電気製品の部品等が挙げられ、中でも自動車部品用であることが好ましく、自動車内装用部品であることがより好ましい。
実施例または比較例では、以下に示した樹脂および添加剤を用いた。
特開平10−212319号公報に記載のα−オレフィン重合用触媒およびα−オレフィン重合体の製造方法に準拠して調製した固体触媒成分を用いて溶媒重合法により製造した。
MFR:300g/10分
(2−1)プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)a
特開平10−212319号公報に記載のα−オレフィン重合用触媒およびα−オレフィン重合体の製造方法に準拠して調製した固体触媒成分を用いて溶媒重合法により製造した。
MFR:130g/10分
プロピレン−エチレンブロック共重合体全体の固有粘度[η]T:1.4dl/g
プロピレン単独重合体成分の固有粘度[η]P:0.8dl/g
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の共重合体全体に対する質量比率X:12質量%
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の固有粘度[η]EP:6.0dl/g
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分のエチレン単位含量:30質量%
特開2004−182876号公報に記載のα−オレフィン重合用固体触媒成分、および、そのα−オレフィン重合用固体触媒成分の製造方法に準拠して調製した固体触媒成分を用いて気相重合法により製造した。
MFR:60g/10分
プロピレン−エチレンブロック共重合体全体の固有粘度[η]T:1.55dl/g
プロピレン単独重合体成分の固有粘度[η]P:0.89dl/g
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の共重合体全体に対する質量比率X:13質量%
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の固有粘度[η]EP:6.0dl/g
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分のエチレン単位含量:32質量%
特開2004−182876号公報に記載のα−オレフィン重合用固体触媒成分、および、そのα−オレフィン重合用固体触媒成分の製造方法に準拠して調製した固体触媒成分を用いて気相重合法により製造した。
MFR:32g/10分
プロピレン−エチレンブロック共重合体全体の固有粘度[η]T:1.64dl/g
プロピレン単独重合体成分の固有粘度[η]P:1.00dl/g
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の共重合体全体に対する質量比率X:16質量%
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の固有粘度[η]EP:5.0dl/g
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分のエチレン単位含量:34.5質量%
特開2004−182876号公報に記載のα−オレフィン重合用固体触媒成分、および、そのα−オレフィン重合用固体触媒成分の製造方法に準拠して調製した固体触媒成分を用いて気相重合法により製造した。
MFR:30g/10分
プロピレン−エチレンブロック共重合体全体の固有粘度[η]T:1.42dl/g
プロピレン単独重合体成分の固有粘度[η]P:1.06dl/g
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の共重合体全体に対する質量比率X:20.5質量%
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の固有粘度[η]EP:2.8dl/g
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分のエチレン単位含量:37質量%
特開平7−216017号公報記載の固体触媒成分を用いて溶媒重合法により製造した。
MFR:30g/10分
プロピレン−エチレンブロック共重合体全体の固有粘度[η]T:1.5dl/g
プロピレン単独重合体成分の固有粘度[η]P:1.05dl/g
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の共重合体全体に対する質量比率X:16質量%
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の固有粘度[η]EP:4.0dl/g
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分のエチレン単位含量:45質量%
(B−1) エチレン−ブテン共重合体ゴム
商品名: CX5505(住友化学(株)製)
密 度: 0.878(g/cm3)
MFR(190℃、2.16kg荷重): 14(g/10分)
商品名: A35050(三井化学(株)製)
密 度: 0.863(g/cm3)
MFR(190℃、2.16kg荷重): 35(g/10分)
商品名: タフマー A0250S(三井化学(株)製)
密 度: 0.860(g/cm3)
MFR(190℃、2.16kg荷重): 0.2(g/10分)
商品名: VL800(住友化学(株)製)
密 度: 0.905(g/cm3)
MFR(190℃、2.16kg荷重): 20(g/10分)
商品名: エンケージ 8842(ダウケミカル(株)製)
密 度: 0.858(g/cm3)
MFR(190℃、2.16kg荷重): 1(g/10分)
(C−1) カミタルク(株)製 商品名JR−63 粒径1.8μm
(C−2) 林化成(株)製 商品名JR−46 粒径2.7μm
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)eベースのタルクマスターバッチ(C’)(タルク(C−2)含有量=70質量%)
(D−1)
化薬アクゾ(株)製 商品名:パーカドックス14R−P(ビス(t−ブチルジオキシイソプロピル)ベンゼン)
(D−2)
日油(株)製 商品名:パーヘキサ25B(2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン)
表1に示した各成分を所定量、計量し、タンブラーで均一に予備混合した後、二軸混練押出機((株)日本製鋼所製TEX44SS 30BW−2V型)を用いて、押出量50kg/hr、スクリュー回転数300rpm、温度200℃、ベント吸引下で混練押出して、ポリプロピレン系樹脂組成物のペレットを製造した。
金型として、成形体概略寸法が、図1に示した成形品部寸法が290mm×370mm、高さ45mm、型締めした状態の基本キャビティクリアランス(初期板厚)1.5mmtに、一部1.6mmtの部分を有する箱型形状(ゲート構造:ダイレクトゲート)のものを用いた。
シリンダ温度250℃、金型温度50℃に設定し、型締め後、発泡剤を含むポリプロピレン系樹脂組成物の射出を開始した。前記ポリプロピレン系樹脂組成物を、金型キャビティ内に完全に射出充填した後、金型のキャビティ壁面を2.0mm後退させて該キャビティを増加させて前記ポリプロピレン系樹脂組成物を発泡させた。発泡したポリプロピレン系樹脂組成物をさらに冷却し、完全に固化させて発泡成形体を得、ゲートから100mmの部位にて発泡成形体の評価を行った。結果を表1に示す。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K7210に規定された方法に従って測定した。特に断りのない限り、測定温度は230℃で、荷重は2.16kg荷重で測定した。
(2−1)プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)の固有粘度
(2−1−a)プロピレン単独重合体成分の固有粘度:[η]P
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)に含まれるプロピレン単独重合体成分の固有粘度:[η]Pはその製造時に、第1工程であるプロピレン単独重合体成分の重合後に重合槽内よりプロピレン単独重合体成分を取り出し、取り出されたプロピレン単独重合体成分の[η]Pを135℃のテトラリン溶媒中で測定して求めた。
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)に含まれるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の固有粘度:[η]EPは、プロピレン単独重合体成分の固有粘度:[η]Pとプロピレン−エチレンブロック共重合体全体の固有粘度:[η]Tをそれぞれ135℃のテトラリン溶媒中で測定し、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)全体に対する質量比率:Xを用いて次式から計算により求めた。
[η]EP=[η]T/X−{(1/X)−1}[η]P
[η]P:プロピレン単独重合体成分の固有粘度(dl/g)
[η]T:プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)全体の固有粘度(dl/g)
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)全体に対する質量比率:Xはプロピレン単独重合体成分とプロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)全体の結晶融解熱量をそれぞれ測定し、次式を用いて計算により求めた。結晶融解熱量は、示唆走査型熱分析(DSC)により測定した。
X=1−(ΔHf)T/(ΔHf)P
(ΔHf)T:プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)全体の融解熱量(cal/g)
(ΔHf)P:プロピレン単独重合体成分の融解熱量(cal/g)
プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)に含まれるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分のエチレン含量:(C2’)EPは、赤外線吸収スペクトル法によりプロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)全体のエチレン含量(C2’)Tを測定し、次式を用いて計算により求めた。
(C2’)EP=(C2’)T/X
(C2’)T:プロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)全体のエチレン含量(質量%)
(C2’)EP:プロピレン−エチレンランダム共重合体成分のエチレン含量(質量%)
X:プロピレン−エチレンランダム共重合体成分のプロピレン−エチレンブロック共重合体(A−2−2)全体に対する質量比率
発泡成形により得られたポリプロピレン系樹脂組成物からなる発泡成形体3のゲート部1から100mm離れた部位の図1に示した直径60mmの円の範囲(シルバーストリークを評価した部位)2を、目視で評価し、以下に示したとおりに判定した。
○:発泡成形体の表面のシルバーストリークが目視では確認できない
△:シルバーストリークがやや目立つ
×:シルバーストリークが目立つ
得られたポリプロピレン系樹脂組成物を発泡成形する際の、発泡セルの膨らみやすさおよび成形条件幅を以下に示した通り判定した。
○:金型キャビティ内に完全に射出充填してから、金型のキャビティ壁面を後退させる際に、キャビティ壁面の後退量に応じて、発泡成形体が膨らむ。また、金型キャビティ内に完全に射出充填してから、金型のキャビティ壁面を後退させるまでの時間を延長しても、キャビティ壁面の後退量に応じて、発泡成形体が膨らむ。
△:キャビティ壁面を後退させると、発泡成形体が膨らむ。
×:キャビティ壁面を後退させても、キャビティ壁面の後退量に応じて、発泡成形体は膨らまず、発泡成形性に劣る。
発泡成形性の評価が○または△の場合を合格とした。
2:直径60mmの円の範囲(シルバーストリークを評価した部位)
3:発泡成形体
Claims (8)
- プロピレン単独重合体(A−1)および/またはプロピレン−エチレン共重合体(A−2)を含むプロピレン重合体(A)を40〜94質量%、
下記のエチレン−α−オレフィン共重合体(B)を5〜30質量%、ならびに、
無機充填材(C)を1〜30質量%含む
樹脂組成物(ただし、(A)、(B)および(C)の合計を100質量%とする。)を含有することを特徴とする
発泡成形体用ポリプロピレン系樹脂組成物。
エチレン−α−オレフィン共重合体(B):α−オレフィンの炭素数が4〜20であり、密度が0.85〜0.89g/cm3であり、メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が10g/10分よりも大きく、40g/10分以下であるエチレン−α−オレフィン共重合体 - 前記ポリプロピレン系樹脂組成物のメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が、50〜150g/10分である請求項1に記載の発泡成形体用ポリプロピレン系樹脂組成物。
- プロピレン単独重合体(A−1)および/またはプロピレン−エチレン共重合体(A−2)を含むプロピレン重合体(A)を40〜94質量%、
下記のエチレン−α−オレフィン共重合体(B)を5〜30質量%、ならびに、
無機充填材(C)を1〜30質量%含む
樹脂組成物(ただし、(A)、(B)および(C)の合計を100質量%とする。)を、
熱処理して得たことを特徴とする
発泡成形体用ポリプロピレン系樹脂組成物。
エチレン−α−オレフィン共重合体(B):α−オレフィンの炭素数が4〜20であり、密度が0.85〜0.89g/cm3であり、メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が10g/10分よりも大きく、40g/10分以下であるエチレン−α−オレフィン共重合体 - 前記樹脂組成物が、前記プロピレン重合体(A)、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)および前記無機充填材(C)の合計100質量部に対して2質量部以下の有機過酸化物(D)をさらに含む請求項3に記載の発泡成形体用ポリプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項3または4に記載の発泡成形体用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法であって、
前記プロピレン重合体(A)、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)および前記無機充填材(C)を溶融混練装置に供給する工程、ならびに、
前記プロピレン重合体(A)、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)および前記無機充填材(C)を含む樹脂組成物を前記溶融混練装置により熱処理する工程を含むことを特徴とする
発泡成形体用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。 - 前記プロピレン重合体(A)、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)および前記無機充填材(C)の合計100質量部に対して、有機過酸化物(D)を2質量部以下供給する工程を、前記熱処理する工程の前にさらに含む請求項5に記載の発泡成形体用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜4いずれか1つに記載の発泡成形体用ポリプロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする
発泡成形体。 - 前記発泡成形体が自動車部品用である請求項7に記載の発泡成形体。
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