JP5543423B2 - 内燃機関の排気管構造 - Google Patents
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Description
このような内燃機関の排気管構造として、排気管にフランジ金具が溶接され、このフランジ金具が内燃機関の排気ポートに接続されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
上記のフランジ金具は、内燃機関側にねじ止めされるフランジ本体と、このフランジ本体から一体に突出する筒部とを備え、筒部の突出端縁と排気管を構成するパイプ材の端部とが溶接されている。筒部の突出端縁は、側面視で上縁が下縁よりも突出した傾斜面形状に形成されるため、筒部の突出端縁とパイプ材の外周面との溶接線が長くなり、筒部とパイプ材との結合強度を高めている。
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、排気管上流端の応力集中を防止することが可能な内燃機関の排気管構造を提供することにある。
また、上記構成において、前記排気管本体(85)は、前記筒部(86)内を貫通しつつ嵌合するとともに、前記筒部(86)は、前記フランジ部(87)内を貫通しつつ嵌合するようにしても良い。この構成によれば、排気管本体の上流端の広範囲を筒部とフランジ部とで強固に補強することができる。
また、上記構成において、前記補強部材(88)は、周方向に複数に分割され、前記補強部材(88)と前記筒部(86)、及び前記補強部材(88)の分割部(88a)同士がそれぞれ溶接されるようにしても良い。この構成によれば、補強部材を分割することで、分割部の筒部への密着性を向上させることができ、補強効果を高めることができて、筒部をより一層強固に補強することができる。
また、上記構成において、前記フランジ部(87)は、略ひし形に形成され、このひし形の対向する2つの頂部を通る直線(103)上に前記筒部(86)の最突出部(86c)及び最後退部(86d)が位置するようにしても良い。この構成によれば、筒部にフランジ部を取付ける際に、最突出部及び最後退部の位置を基準にして筒部に対してフランジ部を容易に位置決めすることができ、組付性を向上させることができる。
また、上記構成において、前記排気管(46)は、車幅方向一側に配置されるマフラ(47)に接続され、前記筒部(86)の最突出部(86c)は、前記筒部(86)の最後退部(86d)よりも前記車幅方向一側に配置されても良い。この構成によれば、マフラ側から排気管に作用する振動や外力に対して、その振動や外力の方向とずれた位置に最突出部が配置されるため、最突出部への応力集中を防ぐことができる。
また、排気管本体は、筒部内を貫通しつつ嵌合するとともに、筒部は、フランジ部内を貫通しつつ嵌合するので、排気管本体の上流端の広範囲を筒部とフランジ部とで強固に補強することができる。
また、補強部材は、周方向に複数に分割され、補強部材と筒部、及び補強部材の分割部同士がそれぞれ溶接されるので、分割部の筒部への密着性を向上させることができ、補強効果を高めることができて、筒部をより一層強固に補強することができる。
また、フランジ部は、略ひし形に形成され、このひし形の対向する2つの頂部を通る直線上に筒部の最突出部及び最後退部が位置するので、筒部にフランジ部を取付ける際に、最突出部及び最後退部の位置を基準にして筒部に対してフランジ部を容易に位置決めすることができ、組付性を向上させることができる。
また、排気管は、車幅方向一側に配置されるマフラに接続され、筒部の最突出部は、筒部の最後退部よりも車幅方向一側に配置されるので、マフラ側からの排気管に作用する振動や外力に対して、その振動や外力の方向とずれた位置に最突出部が配置されるため、最突出部への応力集中を防ぐことができる。
図1は、本発明の実施形態を適用した自動二輪車10を示す左側面図である。
自動二輪車10は、骨格となる車体フレーム11が、その前端部に設けられたヘッドパイプ12と、このヘッドパイプ12から下方斜め後方に延びるメインフレーム13と、このメインフレーム13の下部から左右の後方そして後方斜め上方に延びる左右一対のアンダーフレーム14,14(手前側の符号14のみ図示)と、これらのアンダーフレーム14,14の後端部に取付けられて後方斜め上方に延びるリヤフレーム16とから構成され、ヘッドパイプ12に操舵自在にフロントフォーク21が取付けられ、このフロントフォーク21の下端に車軸22を介して前輪23が回転自在に取付けられ、フロントフォーク21の上端部にバーハンドル24が取付けられ、アンダーフレーム14,14にリンク26を介してエンジン27及び無段変速機28からなるパワーユニット30が上下揺動自在に取付けられ、無段変速機28の後端部に回転自在に後輪31が取付けられ、リヤフレーム16及び無段変速機28のそれぞれにリヤクッションユニット32が渡して取付けられ、リヤフレーム16の上部にタンデムシート33が取付けられ、車体フレーム11の側方及びフロントフォーク21の前方が車体カバー34で覆われたスクータ型車両である。
吸気装置41は、パワーユニット30の上部に取付けられたエアクリーナ44を備え、排気装置42は、シリンダ部37のシリンダヘッドに接続された排気管46と、この排気管の後端に接続されたマフラ47とからなる。
車体カバー34は、フロントフォーク21の前方を覆うフロントカバー51と、このフロントカバー51の側部から後方に連続して延びる左右のフロントサイドカバー52,52(手前側の符号52のみ図示)と、これらのフロントサイドカバー52,52の後縁を左右に接続するとともにヘッドパイプ12の後方を覆うインナーカバー53と、このインナーカバー53から後方及び下方に連続するように延びて乗員の足載せ部を形成するフロアステップ54と、このフロアステップ54の両側縁から下方を覆う左右のアンダーカバー56,56(手前側の符号56のみ図示)と、フロアステップ54の後方でタンデムシート33の両側部の下方を覆う左右のリヤサイドカバー57,57(手前側の符号57のみ図示)とからなる。
ここで、符号61はメータバイザ、62はバックミラー、63は前輪23の上方を覆うフロントフェンダ、64はサイドスタンド、66はタンデムシート33の後部に乗車した同乗者が掴むグラブレール、67はリヤコンビネーションランプ、68は後輪31の上方を覆うリヤフェンダである。
パワーユニット30の前部を構成するエンジン27は、クランクケース71と、このクランクケース71の前端に取付けられたシリンダブロック72と、このシリンダブロック72の前端に取付けられたシリンダヘッド73と、このシリンダヘッド73の前端の開口を覆うヘッドカバー74とを備え、上記シリンダブロック72、シリンダヘッド73及びヘッドカバー74は、シリンダ部37を構成する部品である。
シリンダブロック72は、内部にピストンを移動自在に収容するシリンダボアが形成され、このシリンダボアの軸線をシリンダ軸線75とすると、シリンダ軸線75はほぼ水平に車体前後方向に延びている。
シリンダヘッド73は、その下部に排気ガスを排出する排気口77を備える。排気口77は、その先端部に排気管46の上流端に設けられた排気管取付部81を締結するための一対のスタッドボルト(不図示)が設けられている。
排気管46は、シリンダヘッド73に締結された排気管取付部81から下方に延び、そして車体後側へ屈曲し、後方斜め上方に延びてマフラ47に接続されている。
排気管46は、管状の排気管本体85と、この排気管本体85の上流端の外周面に嵌合された筒部86と、この筒部86の外周面に取付けられた板状のフランジ部87及び環状の補強部材88とからなり、排気管本体85の上流端、筒部86、フランジ部87及び補強部材88は、排気管取付部81を構成している。
排気管本体85は、その端面85aが筒部86を貫通して筒部86の一端面86aから外部に突出し、排気管取付部81から下方に離れた位置に、ほぼ直角に車体後方へ屈曲する屈曲部85bを有する。
このような傾斜端面86bを設けることで、筒をその長手方向に直交する方向に切断して端面を円形又は円形に近い形状に形成した場合に比べて、傾斜端面86bと排気管本体85の外周面とを連続溶接する際の溶接線を長くすることができ、排気管本体85と筒部86との接合強度を高めることができる。
補強部材88は、周方向に2分割された筒状部材で、断面が半円の分割部88a,88aからなり、フランジ部87と傾斜端面86bとの間の筒部86に取付けられ、筒部86を補強している。仮に、周方向に分割していない補強部材を使用すると、筒部86及び補強部材のそれぞれの真円度のばらつきによって、筒部86に補強部材を嵌合させたときに隙間が生じ、密着しない状態で接合される場合があり、接合強度が低下するおそれがある。これに対して、補強部材88を2分割に分割することで、上記真円度にばらつきがある場合でも、筒部86と各分割部88aとの密着性が良くなり、接合強度を高めることができる。
以上のように、排気管取付部81は、筒部86及び補強部材88で補強されることで、エンジン振動に対する強度が高められ、耐久性が確保されている。
排気管46は、シリンダヘッド73の排気口77から下方に延び、そして屈曲して車体右方へ延び、車体右側方に配置されたマフラ47に接続されている。
排気管取付部81の最突出部86cは、筒部86の軸線86Eよりも右側に位置している。
排気管取付部81のシリンダヘッド73への組付けは、シリンダヘッド73の排気口77に設けられた一対のスタッドボルトに、フランジ部87に形成された一対のボルト挿通穴87a,87a(図7(B)参照)を嵌合し、これら一対のスタッドボルトにそれぞれナット91をねじ込み、これらのナット91,91でフランジ部87を締め込むことで行われる。なお、符号92はパワーユニット30の下部に取付けられたメインスタンドである。
自動二輪車10のパワーユニット30は、後輪31の車体前方に配置されたエンジン27と、エンジン27から後輪31の左側方まで延びる無段変速機28とからなり、パワーユニット30の右側部にマフラ支持ステー98が取付けられ、このマフラ支持ステー98で後輪31の右側方に配置されたマフラ47が支持されている。
排気管46は、シリンダヘッド73に取付けられた排気管取付部81から車体後方斜め右方に屈曲しながら延びてマフラ47の先端部に接続されている。図中の符号95は、排気管46において、排気管取付部81(詳しくは、筒部86の軸線86E)とマフラ47への接続部の車幅方向中央(詳しくは、排気管本体85の後端部85hの軸線85Jとマフラ47の先端面47aとが交わる位置)とを通る直線、100は前輪23(図1参照)及び後輪31のそれぞれの幅の中央を通って車体前後方向に延びる車体中心線である。
直線95とシリンダ軸線75となす角度を角度θ1とする。
排気管取付部81の最突出部86cと最後退部86dとを通る仮想線を97とすると、仮想線97は、シリンダ軸線75に対して角度θ2だけ傾斜している。即ち、最突出部86cと最後退部86dとは、シリンダ軸線75の延びる方向に並んでおらず、また、最突出部86cは、筒部86の最も車体前側の部分よりやや後側で且つ右側にずれている。
シリンダ軸線75は、車体中心線100に対して左側にオフセット量δ1だけオフセットして設けられ、また、筒部86の軸線86E(黒丸で示す部分)は、シリンダ軸線75に対して右側にオフセット量δ2だけオフセットして設けられている。
図7(A)に示すように、排気管46は、排気管取付部81の下流側(マフラ47(図6参照)側)の排気管本体85に、ほぼ直角に屈曲する屈曲部85bが形成されている。
フランジ部87は、板状の部材であり、板の上面87cが排気口77(図4参照)に接合される接合面となる。
補強部材88は、2つの分割部88a,88aからなり、これらの分割部88a,88aの2つの合せ部88b,88b(手前側の符号88bのみ図示)は、周方向で180°間隔で設けられ、最突出部86c及び最後退部86dのそれぞれの位置に合うように設けられている。このように、最突出部86c及び最後退部86dに合せ部88b,88bをそれぞれ合わせるようにすることで、最突出部86c及び最後退部86dの位置を基準にして筒部86に分割部88a,88aを容易に組み付けることができる。
傾斜端面86bと筒部86の外周面86g及び内周面86hとが交差する部分には楕円86M,86Nが形成される。例えば、一方の楕円86Nでは107が長軸、108が短軸となり、長軸107の延長上に最突出部86c及び最後退部86dが位置している。
図8(A)に示すように、排気管本体85の外周面85dに筒部86を嵌合させる。このとき、排気管本体85は、筒部86を貫通し、筒部86の一端面86aから端面85aがわずかに突出するようにする。
そして、筒部86の傾斜端面86bと排気管本体85の外周面85dとを例えばアーク放電を利用して連続すみ肉溶接にて接合する。
上記のように、フランジ部87と補強部材88とは接近しているため、補強部材88と筒部86との溶接部に、フランジ部87と筒部86との溶接部が隣接するので、補強部材88、筒部86及びフランジ部87が一体的になり、補強部材88、フランジ部87間の筒部86の強度を向上させることができる。この結果、排気管取付部81の強度をより一層高めることができる。
また、フランジ部87と筒部86の傾斜端面86bとの間に、筒部86の外周面86gと接合される環状の補強部材88が設けられるので、補強部材88を筒部86の外周面86gに接合して筒部86を補強することができる。
また、補強部材88は、周方向に複数に分割され、補強部材88と筒部86、及び補強部材88の分割部88a同士がそれぞれ溶接されるので、補強部材88を分割することで、分割部88aの筒部86への密着性を向上させることができ、補強効果を高めることができて、筒部86をより一層強固に補強することができる。
また、図7(B)に示したように、フランジ部87は、略ひし形に形成され、このひし形の対向する2つの頂部を通る直線としての中心線103上に筒部86の最突出部86c及び最後退部86dが位置するので、筒部86にフランジ部87を取付ける際に、最突出部86c及び最後退部86dの位置を基準にして筒部86に対してフランジ部87を容易に位置決めすることができ、組付性を向上させることができる。
また、図5に示したように、排気管46は、車幅方向一側(車体右側)に配置されるマフラ47に接続され、筒部86の最突出部86cは、筒部86の最後退部86dよりも車幅方向一側(車体右側)に配置されているので、マフラ47側から排気管46に作用する振動や外力に対して、その振動や外力の方向とずれた位置に最突出部86cが配置されるため、最突出部86cへの応力集中を防ぐことができる。
例えば、上記実施形態において、図7(A)に示したように、補強部材88を周方向に2分割したが、これに限らず、3分割、4分割など複数に分割しても良い。
また、図7(B)に示したように、フランジ部87において、中心線103上に筒部86の最突出部86c及び最後退部86dを配置したが、これに限らず、中心線102上に最突出部86c及び最後退部86dを配置しても良い。
また、上記実施形態では、スクータ型の自動二輪車10に本発明を適用する場合を説明したが、これに限らず、他の形式の自動二輪車や、自動二輪車以外も含む鞍乗り型車両にも適用可能である。なお、鞍乗り型車両とは、車体に跨って乗車する車両全般を含み、自動二輪車(原動機付き自転車も含む)のみならず、ATV(不整地走行車両)に分類される三輪車両や四輪車両を含む車両である。
46 排気管
75 シリンダ軸線
77 排気口(内燃機関の取付部)
85 排気管本体
85b 屈曲部
85d 外周面
86 筒部
86b 傾斜端面
86c 最突出部
86d 最後退部
86E 軸線
86g 外周面
87 フランジ部
87c 上面(接合面)
87d 下面(補強部材側の面)
88a 分割部
97 仮想線
103 中心線(直線)
Claims (9)
- 内燃機関(27)に接続される排気管(46)が、管状の排気管本体(85)と、この排気管本体(85)の上流端に取付けられる筒部(86)と、この筒部(86)に設けられて前記内燃機関(27)側の取付部(77)に接続されるフランジ部(87)とを備え、前記筒部(86)は該筒部(86)の軸線(86E)に対して傾斜した傾斜端面(86b)を有し、この傾斜端面(86b)が前記排気管本体(85)の外周面(85d)に接合される内燃機関の排気管構造において、前記傾斜端面(86b)で最も突出する最突出部(86c)と最も後退する最後退部(86d)とを、前記フランジ部(87)における前記内燃機関(27)側の取付部(77)への接合面(87c)に直交する方向から見たときに、前記最突出部(86c)と前記最後退部(86d)とを通る仮想線(97)が、前記内燃機関(27)のシリンダ軸線(75)に対して傾斜していることを特徴とする内燃機関の排気管構造。
- 前記排気管本体(85)は、その上流端から下流側へ離れた位置に屈曲部(85b)を備え、この屈曲部(85b)の外周側寄りに前記筒部(86)の最突出部(86c)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気管構造。
- 前記排気管本体(85)は、前記筒部(86)内を貫通しつつ嵌合するとともに、前記筒部(86)は、前記フランジ部(87)内を貫通しつつ嵌合することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の排気管構造。
- 前記フランジ部(87)と前記筒部(86)の傾斜端面(86b)との間に、前記筒部(86)の外周面(86g)と接合される環状の補強部材(88)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の内燃機関の排気管構造。
- 前記補強部材(88)は、周方向に複数に分割され、前記補強部材(88)と前記筒部(86)、及び前記補強部材(88)の分割部(88a)同士がそれぞれ溶接されていることを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の排気管構造。
- 前記フランジ部(87)は、前記補強部材(88)側の面(87d)が前記筒部(86)の外周面(86g)に溶接されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の内燃機関の排気管構造。
- 前記フランジ部(87)は、略ひし形に形成され、このひし形の対向する2つの頂部を通る直線(103)上に前記筒部(86)の最突出部(86c)及び最後退部(86d)が位置することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載の内燃機関の排気管構造。
- 前記シリンダ軸線(75)は、車両前後方向に延び且つ略水平になるように前傾し、前記排気管(46)が前記内燃機関(27)から車体後方へ延び、前記筒部(86)の最突出部(86c)は前記排気管本体(85)の前側に位置することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の内燃機関の排気管構造。
- 前記排気管(46)は、車幅方向一側に配置されるマフラ(47)に接続され、前記筒部(86)の最突出部(86c)は、前記筒部(86)の最後退部(86d)よりも前記車幅方向一側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の内燃機関の排気管構造。
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