図1には、本発明の実施の形態に係るウェビング巻取装置10の主要部が車両前後方向一側かつ車幅方向内側から見た分解斜視図にて示されており、図2には、ウェビング巻取装置10の主要部が車幅方向内側から見た断面図にて示されている。なお、図面では、車両前後方向一側を矢印LOで示し、車幅方向内側を矢印INで示し、上方を矢印UPで示す。
本実施の形態に係るウェビング巻取装置10は、車両の設置部材としての略矩形筒状のセンタピラー(図示省略)内に設置されている。センタピラーの下端には、設置孔(図示省略)が形成されており、設置孔はセンタピラー内を車幅方向内側(車両内側)の車室側に開放している。ウェビング巻取装置10は、車室側から設置孔を介してセンタピラー内に挿入されている。
図1及び図2に示す如く、ウェビング巻取装置10には、配置部材としての金属製で断面U字形板状のフレーム12が設けられており、フレーム12には、車幅方向内側の背板12Aと、車両前後方向一側の脚板12Bと、車両前後方向他側の脚板12Cと、が設けられている。フレーム12は、背板12Aの下部において、センタピラーの設置孔より下側の車両に固定されており、これにより、ウェビング巻取装置10がセンタピラー内に設置されると共に、ウェビング巻取装置10の背板12A下部より上側部分がセンタピラーの設置孔に車幅方向において対向されている。
脚板12Cの上側には、受圧部としての略矩形板状の延出板12Dが一体に形成されており、延出板12Dは、脚板12Bから上側に延出されている。脚板12B及び脚板12Cには、それぞれ円状の配置孔14A及び配置孔14Bが貫通形成されており、配置孔14Aと配置孔14Bとは、互いに対向されている。
フレーム12の脚板12B(配置孔14A)と脚板12C(配置孔14B)との間には、巻取軸を構成する巻取部材としての略円筒状のスプール16が回転可能に配置されている。スプール16の脚板12B側の一端16Aは、配置孔14Aの脚板12C側に配置されており、スプール16の脚板12C側の他端16Bは、配置孔14Bの脚板12B側に配置されている。
スプール16には、長尺帯状のウェビング18(ベルト)が基端側から巻取られており、ウェビング18は、フレーム12から上側へ延出されて、車両のシート(図示省略)に着座した乗員に装着される。また、スプール16が巻取方向(図1の矢印Aの方向)へ回転されることで、ウェビング18がスプール16に巻取られると共に、ウェビング18がスプール16から引出されることで、スプール16が引出方向(図1の矢印Bの方向)へ回転される。
ウェビング巻取装置10には、フォースリミッタ機構20が設けられている。
スプール16内には、中心軸線に沿って、巻取軸を構成するエネルギー吸収部材としてのトーションシャフト22が収容されている。トーションシャフト22には、スプール16の一端16Aと他端16Bとの間において、連結部24が同軸的且つ一体的に形成されており、トーションシャフト22は、連結部24において、スプール16に同軸的且つ一体的に連結されている。
トーションシャフト22には、連結部24の脚板12B側において、円柱状の第1変形部26が形成されており、第1変形部26の脚板12B側部分には、第1結合部28が同軸的且つ一体的に形成されている。トーションシャフト22には、連結部24の脚板12C側において、円柱状の第2変形部30が形成されており、第2変形部30の脚板12C側部分には、第2結合部32が同軸的且つ一体的に形成されている。
トーションシャフト22の脚板12B側には、フォースリミッタ機構20を構成する第1ロック機構34が設けられている。
トーションシャフト22の第1結合部28には、第1回転体としての第1ロックベース36が同軸的且つ一体的に連結されており、脚板12Bには、第1ロックベース36の径方向外側において、第1ロックパウル38が回動可能に支持されている。車両の急減速時及びスプール16が急激に引出方向へ回転された際には、第1ロックパウル38一端のラチェット歯が第1ロックベース36外周のラチェット歯に噛合(係合)して、第1ロックベース36の引出方向への回転がロックされる(第1ロックベース36の巻取方向への回転は許容される)。
図2及び図3に示す如く、トーションシャフト22の脚板12C側には、フォースリミッタ機構20を構成する切替手段としての第2ロック機構40が設けられている。
トーションシャフト22の第2結合部32には、第2回転体としての第2ロックベース42が同軸的且つ一体的に連結されており、第2ロックベース42には、一対の第2ロックパウル44の基端が回動可能に支持されている。第2ロックベース42のスプール16とは反対側には、作動部材としての回転円板46が設けられており、回転円板46は、第2ロックベース42に対し同軸的に相対回転可能に支持されている。
第2ロックベース42には、矩形状のばね収容孔42Aが形成されると共に、回転円板46の第2ロックベース42側の面には、平板状のプレート46Aが突出形成されており、ばね収容孔42Aには、プレート46Aが収容されている。ばね収容孔42Aには、付勢ばね48が収容されており、付勢ばね48は、第2ロックベース42のばね収容孔42A周面と回転円板46のプレート46Aとの間に掛け渡されている。これにより、付勢ばね48が回転円板46を第2ロックベース42に対し巻取方向又は引出方向へ付勢しており、また、後述の如く付勢ばね48の付勢力による回転円板46の第2ロックベース42に対する相対回転が規制されている。
回転円板46の第2ロックベース42側の面には、一対の誘導ピン46Bが突出形成されており、誘導ピン46Bは、第2ロックパウル44に形成された長孔44Aに挿入されている。このため、付勢ばね48の付勢力によって回転円板46が第2ロックベース42に対し相対回転された際には、誘導ピン46Bが長孔44A内を移動されて、第2ロックパウル44の先端が第2ロックベース42の径方向外側へ回動される。
スプール16には、ストッパ収容孔50が形成されており、ストッパ収容孔50は、スプール16の中心軸線に対し平行に配置されると共に、スプール16を貫通して第2ロックベース42のばね収容孔42Aに連通されている。ストッパ収容孔50内には、長手棒状のストッパワイヤ52が収容されており、ストッパワイヤ52の一端は、第1ロックベース36に係止されている。ストッパワイヤ52の他端は、第2ロックベース42のばね収容孔42Aに挿入されて、回転円板46のプレート46Aに対し付勢ばね48とは反対側に配置されており、ストッパワイヤ52の他端は、プレート46Aが干渉して、付勢ばね48の付勢力による回転円板46の第2ロックベース42に対する相対回転を規制している。
図1、図4及び図5に示す如く、フレーム12の脚板12C外側には、第2ロック機構40を構成する切替機構54が設けられている。切替機構54には、箱状のボディ56が設けられており、ボディ56は、脚板12Cに固定されて、内部に第2ロックベース42(一対の第2ロックパウル44を含む)、回転円板46及び付勢ばね48が挿入されている。
ボディ56内には、第2ロックベース42の外周において、回転部材としての円環板状のロックリング58が支持されており、ロックリング58は、第2ロックベース42に対し同軸的に相対回転可能にされている。ロックリング58の内周には、内側ラチェット58Aが形成されており、上述の如く第2ロックパウル44の先端が第2ロックベース42の径方向外側へ回動されることで、第2ロックパウル44先端のラチェット歯が内側ラチェット58Aに噛合(係合)されて、第2ロックベース42の引出方向への回転力が一対の第2ロックパウル44を介してロックリング58に伝達される(第2ロックベース42の巻取方向への回転力はロックリング58に伝達されない)。また、ロックリング58上部の外周には、断面三角形状の外周溝58Bが形成されている。
ボディ56内の上部には、切替部材としての板状のパウル60が回動自在に支持されており、パウル60の下部は、ロックリング58の外周溝58Bに係合(嵌合)されている。ボディ56内の上部には、係止手段としてのシェアピン62が突出形成されており、シェアピン62は、パウル60を貫通して、パウル60の回動を係止している。これにより、パウル60がロックリング58の巻取方向及び引出方向への回転を規制している。
ボディ56の上部(スプール16より上側)には、供給部材としての筒状のシリンダ64が一体に設けられており、シリンダ64は、フレーム12(脚板12C)の延出板12Dの側方に配置されている。シリンダ64の先端側部分は、ボディ56内に設けられており、シリンダ64の基端側部分は、ボディ56の背板12A側部分からフレーム12とは反対側に突出されている。また、シリンダ64の先端側部分内には、ピストン66が収容されており、ピストン66は、パウル60の上部に対向されている。
シリンダ64の基端側部分内には、流体発生手段としてのガスジェネレータ68(マイクロガスジェネレータ)が収容されており、ガスジェネレータ68には、コネクタ70が設けられている。シリンダ64の基端には、略有底筒状のキャップ72が固定されており、キャップ72は、ガスジェネレータ68をシリンダ64に固定している。コネクタ70の背板12A側の面には、接続部としての円状の差込口70Aが開口すると共に、キャップ72の底壁には、円状の接続孔72Aが貫通形成されており、接続孔72Aは、差込口70Aをセンタピラーの設置孔側に向けて開放している。
コネクタ70は、車両の制御装置74(ECU)からの車両側コネクタ(図示省略)が車室側からセンタピラーの設置孔を介してキャップ72の接続孔72Aから差込口70Aに接続されて、制御装置74に電気的に接続されている。制御装置74は、体格センサ(図示省略)と衝突予知センサ又は衝突検出センサ(図示省略)とに電気的に接続されている。体格センサは、乗員が着座する座席に作用する荷重やスプール16からのウェビング18の引出量を検出して、乗員の体格を検出する。衝突予知センサは、車両の衝突を予知すると共に、衝突検出センサは、車両の衝突を検出する。
体格センサが検出した乗員の体格が基準値未満である場合において、衝突予知センサが車両の衝突を予知した際又は衝突検出センサが車両の衝突を検出した際には、制御装置74の制御によりガスジェネレータ68が作動されて、ガスジェネレータ68が瞬時に高圧のガス(流体)を発生する。一方、体格センサが検出した乗員の体格が基準値以上である場合において、衝突予知センサが車両の衝突を予知した際又は衝突検出センサが車両の衝突を検出した際には、ガスジェネレータ68が作動されない。
ガスジェネレータ68がガスを発生した際には、ガスがシリンダ64内に供給されて、ガスの圧力がピストン66に作用することで、ピストン66がパウル60の上部を押圧する。このため、シェアピン62が破断されて、ピストン66の移動によりパウル60が回動されることで、パウル60下部のロックリング58外周溝58Bへの係合が解除されて、ロックリング58の巻取方向及び引出方向への回転が許容される。
図1、図6及び図7に示す如く、ウェビング巻取装置10には、フォースリミッタ機構20のフレーム12とは反対側において、駆動機構76が設けられている。駆動機構76には、ケース78が設けられており、ケース78は、ボディ56に固定されている。
ケース78の上部(スプール16より上側)かつ外側には、モータ80が固定されており、モータ80は、フレーム12の上側に配置されると共に、フレーム12(脚板12C)の延出板12Dに固定されている。モータ80には、モータコネクタ82が設けられており、モータコネクタ82には、モータ接続部としての矩形状の差込口82Aが開口されて、差込口82Aがセンタピラーの設置孔側に向けられている。モータコネクタ82は、制御装置74からの車両側モータコネクタ(図示省略)が車室側からセンタピラーの設置孔を介して差込口82Aに接続されて、制御装置74に電気的に接続されている。衝突予知センサが車両の衝突を予知した際には、制御装置74の制御によりモータ80が駆動される。
ケース78内には、ギヤ機構84(減速機構)が設けられており、モータ80の出力軸は、ケース78内に挿入されて、減速ギヤとしての第1ギヤ86が同軸的且つ一体回転可能に固定されている。第1ギヤ86には、減速ギヤとしての第2ギヤ88が噛合されており、第2ギヤ88には、減速ギヤとしての第3ギヤ90が同軸的且つ一体回転可能に固定されている。第3ギヤ90には、減速ギヤとしての第4ギヤ92が噛合されており、第4ギヤ92には、減速ギヤとしての第5ギヤ94が同軸的且つ一体回転可能に連結されている。第5ギヤ94には、減速ギヤとしての第6ギヤ96が噛合されており、第6ギヤ96には、減速ギヤとしてのクラッチギヤ98が噛合されている。このため、モータ80が駆動されることで、第1ギヤ86、第2ギヤ88、第3ギヤ90、第4ギヤ92、第5ギヤ94、第6ギヤ96及びクラッチギヤ98が回転されて、モータ80が発生した動力(回転力)が減速されてクラッチギヤ98に伝達される。
第2ギヤ88及び第3ギヤ90の中心軸線と第4ギヤ92及び第5ギヤ94の中心軸線と第6ギヤ96の中心軸線とクラッチギヤ98の中心軸線とをこの順番で直交方向において連絡する連絡線L(図6参照)は、略U字状に屈曲されており、第2ギヤ88及び第3ギヤ90と第4ギヤ92及び第5ギヤ94と第6ギヤ96とクラッチギヤ98とは、全体的に略U字状に湾曲されて配置されている。このため、第2ギヤ88と第4ギヤ92と第6ギヤ96とクラッチギヤ98との間(モータ80の位置とクラッチギヤ98の位置との間)には、空間100が形成されており、空間100は、フォースリミッタ機構20側、フォースリミッタ機構20とは反対側及び背板12A側(センタピラーの設置孔側)に開放されている。
ケース78には、空間100に対応して、凹部102が形成されている。凹部102は、フォースリミッタ機構20側及び背板12A側(センタピラーの設置孔側)に開放されており、凹部102には、フォースリミッタ機構20のシリンダ64の基端側部分が嵌入(挿入)されている。これにより、シリンダ64の基端側部分、ガスジェネレータ68及びキャップ72が、空間100に配置されている。さらに、第1ギヤ86、第2ギヤ88、第3ギヤ90、第4ギヤ92、第5ギヤ94、第6ギヤ96及びクラッチギヤ98は、シリンダ64の基端側部分、ガスジェネレータ68及びキャップ72のケース78側への突出幅の範囲内に配置されている(図7参照)。
クラッチギヤ98は、フォースリミッタ機構20のトーションシャフト22と同軸上に配置されており、クラッチギヤ98には、トーションシャフト22が挿通されている。クラッチギヤ98とトーションシャフト22との間には、クラッチ機構(図示省略)が設けられており、クラッチギヤ98及びクラッチ機構は、トーションシャフト22の巻取方向及び引出方向への回転を許容している。上述の如くモータ80が駆動された際には、クラッチ機構がクラッチギヤ98とトーションシャフト22とを連結することで、クラッチギヤ98の回転力がクラッチ機構を介してトーションシャフト22に伝達されて、トーションシャフト22及びスプール16が巻取方向へ回転される。その後、スプール16及びトーションシャフト22がクラッチギヤ98に対し巻取方向へ回転された際には、クラッチ機構がクラッチギヤ98とトーションシャフト22との連結を解除する。
図1に示す如く、ウェビング巻取装置10には、駆動機構76のフレーム12とは反対側において、付勢機構104が設けられており、付勢機構104は、トーションシャフト22に接続されている。このため、付勢機構104は、トーションシャフト22及びスプール16を巻取方向へ付勢しており、ウェビング18には、スプール16への巻取方向への付勢力が作用されている。
次に、本実施の形態の作用を説明する。
以上の構成のウェビング巻取装置10では、ウェビング18がスプール16から引出されて、車両の座席に着座した乗員に装着される。また、付勢機構104によってウェビング18にスプール16への巻取方向への付勢力が作用されることで、ウェビング18が乗員に密着される。
衝突予知センサが車両の衝突を予知した際には、制御装置74の制御により駆動機構76のモータ80が駆動される。このため、ギヤ機構84の第1ギヤ86、第2ギヤ88、第3ギヤ90、第4ギヤ92、第5ギヤ94、第6ギヤ96及びクラッチギヤ98が回転されることで、クラッチギヤ98の回転力がクラッチ機構を介してトーションシャフト22に伝達されて、トーションシャフト22、第1ロックベース36、第2ロックベース42及びスプール16が巻取方向へ回転される。これにより、ウェビング18がスプール16に巻取られて、ウェビング18の弛みが除去される。
その後、車両が衝突した際には、車両が急減速され、又は、乗員の慣性による移動によりウェビング18がスプール16から急激に引出されてスプール16が急激に引出方向へ回転される。このため、第1ロック機構34が作動されて、第1ロックパウル38一端のラチェット歯が第1ロックベース36外周のラチェット歯に噛合して、第1ロックベース36の引出方向への回転がロックされる。これにより、第1ロックベース36、トーションシャフト22、第2ロックベース42及びスプール16の引出方向への回転がロックされて、ウェビング18のスプール16からの引出しがロックされることで、ウェビング18によって乗員が拘束される。
ウェビング18から乗員に作用する荷重が第1フォースリミッタ荷重以上になった際には、フォースリミッタ機構20が作動されて、トーションシャフト22の第1変形部26が捩れ変形されることで、第1ロックベース36に対しスプール16が引出方向へ回転される。
このため、第1ロックベース36に係止されたストッパワイヤ52がスプール16のストッパ収容孔50を第1ロックベース36側へ移動されて、ストッパワイヤ52の回転円板46(プレート46A)との干渉が解除されることで、第2ロック機構40が作動されて、回転円板46が付勢ばね48の付勢力によって第2ロックベース42に対し回転される。これにより、回転円板46の誘導ピン46Bが第2ロックパウル44の長孔44A内を移動されて、第2ロックパウル44の先端が第2ロックベース42の径方向外側へ回動されることで、第2ロックパウル44先端のラチェット歯がロックリング58の内側ラチェット58Aに噛合されて、第2ロックベース42と一体にロックリング58が引出方向へ回転可能にされる。
体格センサが検出した乗員の体格が基準値未満である場合において、衝突予知センサが車両の衝突を予知した際又は衝突検出センサが車両の衝突を検出した際には、制御装置74の制御によりガスジェネレータ68が作動されて、ガスジェネレータ68が瞬時に高圧のガスを発生する。
ガスジェネレータ68がガスを発生した際には、ガスがシリンダ64内に供給されて、ガスの圧力がピストン66に作用することで、ピストン66がパウル60の上部を押圧する。このため、シェアピン62が破断されて、ピストン66の移動によりパウル60が回動されることで、パウル60下部のロックリング58外周溝58Bへの係合が解除されて、ロックリング58の引出方向への回転が許容される。
これにより、上述の如く第2ロックパウル44先端のラチェット歯がロックリング58の内側ラチェット58Aに噛合された後には、第2ロックベース42と一体にロックリング58が引出方向へ回転されることで、継続してトーションシャフト22の第1変形部26が捩れ変形されて(トーションシャフト22の第2変形部30は捩れ変形されずに)、第1ロックベース36に対しスプール16が引出方向へ回転される。このため、ウェビング18のスプール16からの引出しが許容されて、トーションシャフト22の第1変形部26が乗員の運動エネルギーを吸収する。したがって、フォースリミッタ機構20のフォースリミッタ荷重(ウェビング18のスプール16からの引出しを許容する荷重)が、第1フォースリミッタ荷重(第1変形部26の耐捩れ変形荷重)にされる。
一方、体格センサが検出した乗員の体格が基準値以上である場合において、衝突予知センサが車両の衝突を予知した際又は衝突検出センサが車両の衝突を検出した際には、ガスジェネレータ68が作動されない。このため、パウル60下部のロックリング58外周溝58Bへの係合が維持されて、パウル60がロックリング58の引出方向への回転を規制する。
これにより、上述の如く第2ロックパウル44先端のラチェット歯がロックリング58の内側ラチェット58Aに噛合された後には、ロックリング58が第2ロックベース42の引出方向への回転をロックすることで、トーションシャフト22の第1変形部26のみならず第2変形部30も捩れ変形されて、第1ロックベース36及び第2ロックベース42に対しスプール16が引出方向へ回転される。このため、ウェビング18のスプール16からの引出しが許容されて、トーションシャフト22の第1変形部26及び第2変形部30が乗員の運動エネルギーを吸収する。したがって、フォースリミッタ機構20のフォースリミッタ荷重が、第2フォースリミッタ荷重(第1変形部26の耐捩れ変形荷重と第2変形部30の耐捩れ変形荷重との合計)にされる。
以上により、フォースリミッタ機構20のフォースリミッタ荷重が、第1フォースリミッタ荷重と第2フォースリミッタ荷重とに切替えられる。
ところで、フォースリミッタ機構20のガスジェネレータ68には、コネクタ70が設けられており、コネクタ70は、制御装置74からの車両側コネクタが車室側からセンタピラーの設置孔を介してキャップ72底壁の接続孔72Aから差込口70Aに接続されて、制御装置74に電気的に接続されている。
また、駆動機構76のモータ80には、モータコネクタ82が設けられており、モータコネクタ82は、制御装置74からの車両側モータコネクタが車室側からセンタピラーの設置孔を介して差込口82Aに接続されて、制御装置74に電気的に接続されている。
ここで、駆動機構76におけるギヤ機構84の第2ギヤ88及び第3ギヤ90の中心軸線と第4ギヤ92及び第5ギヤ94の中心軸線と第6ギヤ96の中心軸線とクラッチギヤ98の中心軸線とをこの順番で直交方向において連絡する連絡線Lが略U字状に屈曲されて、第2ギヤ88と第4ギヤ92と第6ギヤ96とクラッチギヤ98との間(モータ80の位置とクラッチギヤ98の位置との間)に、空間100が形成されており、この空間100に、フォースリミッタ機構20の切替機構54におけるシリンダ64の基端側部分、ガスジェネレータ68及びキャップ72が配置されている。
このため、駆動機構76のギヤ機構84と切替機構54の駆動機構76側への突出部分(シリンダ64の基端側部分、ガスジェネレータ68及びキャップ72)との上下方向における配置スペースを小さくできる。
さらに、ギヤ機構84の第1ギヤ86、第2ギヤ88、第3ギヤ90、第4ギヤ92、第5ギヤ94、第6ギヤ96及びクラッチギヤ98が、シリンダ64の基端側部分、ガスジェネレータ68及びキャップ72の駆動機構76側への突出幅の範囲内に配置されている。
このため、駆動機構76のギヤ機構84と切替機構54の駆動機構76側への突出部分(シリンダ64の基端側部分、ガスジェネレータ68及びキャップ72)との車両前後方向における配置スペースを重複させて小さくできる。
以上により、ウェビング巻取装置10に駆動機構76及び切替機構54が設けられる場合でも、ウェビング巻取装置10の体格の上下方向及び車両前後方向における大型化を抑制できる。
また、フレーム12の脚板12C外側において、コネクタ70とモータコネクタ82とが隣接して配置されている。しかも、空間100がセンタピラーの設置孔側に開放されてコネクタ70の差込口70Aがセンタピラーの設置孔側に開放されることでキャップ72底壁の接続孔72Aがコネクタ70の差込口70Aをセンタピラーの設置孔側に向けて開放すると共に、モータコネクタ82の差込口82Aがセンタピラーの設置孔側に向けられている。このため、コネクタ70とモータコネクタ82とにそれぞれ車両側コネクタと車両側モータコネクタとを車室側からセンタピラーの設置孔を介して容易に(一緒にかつ効率良く)接続でき、コネクタ70とモータコネクタ82とを制御装置74に容易に電気的に接続できる。
しかも、コネクタ70の差込口70A及びモータコネクタ82の差込口82Aが、スプール16より上側に配置されている。このため、コネクタ70とモータコネクタ82とにそれぞれ車両側コネクタと車両側モータコネクタとをスプール16より上側から容易に接続でき、コネクタ70とモータコネクタ82とを制御装置74に一層容易に電気的に接続できる。
さらに、フレーム12の脚板12Cに延出板12Dが一体に形成されており、延出板12Dの側方にフォースリミッタ機構20のシリンダ64、パウル60、ピストン66及びガスジェネレータ68が配置されると共に、延出板12Dに駆動機構76のモータ80が固定されている。このため、延出板12Dが、ガスジェネレータ68の作動時におけるフォースリミッタ機構20からの圧力(衝撃)を受けることができると共に、モータ80の駆動時における駆動機構76からの圧力(振動等)を受けることができて、フォースリミッタ機構20のボディ56及び駆動機構76のケース78の変形を抑制できる。これにより、延出板12Dを脚板12Cとは別に設けて部品点数を増加させることなく、ボディ56及びケース78の変形を抑制できる。
なお、本実施の形態では、コネクタ70の差込口70A及びモータコネクタ82の差込口82Aをスプール16より上側に配置したが、コネクタ70の差込口70A及びモータコネクタ82の差込口82Aの少なくとも1つをスプール16の中心軸線より上側に配置すればよい。
さらに、本実施の形態では、ウェビング巻取装置10に駆動機構76及びフォースリミッタ機構20の切替機構54を設けたが、ウェビング巻取装置10に駆動機構76及びフォースリミッタ機構20の切替機構54の少なくとも一方を設けなくてもよい。また、ウェビング巻取装置10に駆動機構76を設けない場合でも、本実施の形態のウェビング巻取装置10と駆動機構76以外の部分(フォースリミッタ機構20の切替機構54を含む)を共用できると共に、ウェビング巻取装置10にフォースリミッタ機構20の切替機構54を設けない場合でも、本実施の形態のウェビング巻取装置10と切替機構54以外の部分(駆動機構76を含む)を共用できる。